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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】分子相互作用の検出
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/02 20060101AFI20230220BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20230220BHJP
【FI】
C12Q1/02
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537197
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(85)【翻訳文提出日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 US2020065024
(87)【国際公開番号】W WO2021126806
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/949,023
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】521437068
【氏名又は名称】オリオニス バイオサイエンシズ,インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】518268352
【氏名又は名称】オリオニス バイオサイエンシズ ビーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】クレイ,ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】リーヴェンス,サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】スー,エドワード
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
4B063QA18
4B063QR80
4B063QS28
4B063QS36
4B063QX01
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA01
4B065CA24
4B065CA60
(57)【要約】
蛋白質/蛋白質相互作用または低分子/蛋白質相互作用などの分子相互作用を検出する方法が記載される。すなわち、本発明は部分的には細胞を基盤とするシステムであって、様々な分子相互作用を検出するシステムに関する。いくつかの実施態様において、本発明は、標準的アッセイを用いた場合には検出可能ではない分子相互作用(例えば、蛋白質/蛋白質相互作用、蛋白質/低分子相互作用、および/または低分子によって調節される蛋白質/蛋白質相互作用)の試験を可能にする方法を提供する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子相互作用を検出する方法であって、該方法が:
(a)リガンド依存性キメラ受容体蛋白質を含む細胞を提供することであって、該リガンド依存性キメラ受容体蛋白質が:
(i)第1の受容体に由来するリガンド結合ドメインの細胞外部分、
および
(ii)第2の受容体の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインおよびそれに融合した細胞内プレイ蛋白質、
を含み、
ここで該第2の受容体の膜貫通ドメインおよび/または細胞内ドメインが、STAT(Signal Transducer and Activator of Transcription:シグナル伝達因子および転写活性化因子)の動員を低減または排除する変異を含む、
膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインである、
細胞を提供すること;
(b)受容体断片に融合したベイト蛋白質を細胞中で発現させることであって、
ここで該受容体断片が機能的STAT動員部位を含む、
発現させること、
および
(c)分子相互作用の存在を示唆するシグナルを検出することであって、
ここで該ベイト蛋白質が、
(i)膜結合細胞内微小器官の内部よりも細胞質に局在する傾向を有し、
および/または
(ii)細胞膜および/またはキメラ受容体の非プレイ部分との非特異的相互作用よりもプレイ蛋白質と特異的相互作用する傾向を有する、
シグナルを検出すること、
を含む、
方法。
【請求項2】
請求項1の方法であって、ここで該プレイ蛋白質とベイト蛋白質との間の相互作用によって、該ベイト蛋白質に融合した受容体断片が膜貫通キメラ受容体蛋白質へ動員されるので、リガンド依存性膜貫通キメラ受容体シグナル伝達が回復し、STAT分子の活性化が起こる、方法。
【請求項3】
請求項2の方法であって、ここで該細胞がSTAT応答性レポーター遺伝子を含む、方法。
【請求項4】
請求項3の方法であって、ここで該活性化したSTAT分子は核内に移行してSTAT応答性レポーター遺伝子の転写を誘導するので、このレポーター遺伝子シグナルによって分子相互作用の検出が可能となる、方法。
【請求項5】
請求項1の方法であって、ここで該ベイト蛋白質が、細胞核、ミトコンドリア、小胞体、およびゴルジ体から任意選択的に選択される細胞の細胞内微小器官内に実質的に捕捉されない、方法。
【請求項6】
請求項1の方法であって、ここで該ベイト蛋白質が細胞膜と実質的に相互作用しない、方法。
【請求項7】
請求項1の方法であって、ここで該ベイト蛋白質がキメラ受容体の非プレイ部分と実質的に相互作用しない、方法。
【請求項8】
請求項7の方法であって、ここで該ベイト蛋白質がキメラ受容体の第2の受容体の膜貫通ドメインおよび/または細胞内ドメインと実質的に相互作用しない、方法。
【請求項9】
前記請求項のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該ベイト蛋白質が、受容体断片に任意選択的に融合される足場蛋白質に会合する、方法。
【請求項10】
前記請求項のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該分子相互作用が蛋白質/蛋白質相互作用である、方法。
【請求項11】
前記請求項のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該方法が、該プレイ蛋白質またはベイト蛋白質に結合する低分子を導入することをさらに含む、方法。
【請求項12】
請求項11の方法であって、ここで該分子相互作用が、該低分子と該プレイ蛋白質またはベイト蛋白質との結合によって仲介される蛋白質/蛋白質相互作用である、方法。
【請求項13】
前記請求項のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該分子相互作用が、該低分子と該プレイ蛋白質またはベイト蛋白質との結合によって仲介される2種類以上の蛋白質/蛋白質相互作用である、方法。
【請求項14】
請求項11~13のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該低分子と該プレイ蛋白質またはベイト蛋白質との結合によって仲介される蛋白質/蛋白質相互作用が、蛋白質/蛋白質界面の部位における該プレイ蛋白質またはベイト蛋白質と該低分子との間の直接結合である、方法。
【請求項15】
請求項11~13のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該低分子の該プレイ蛋白質またはベイト蛋白質との結合によって仲介される蛋白質/蛋白質相互作用が、該プレイ蛋白質またはベイト蛋白質の蛋白質表面のアロステリック修飾によって媒介される、方法。
【請求項16】
請求項15の方法であって、ここで該低分子が該プレイ蛋白質またはベイト蛋白質との相互作用を可能にする該プレイ蛋白質またはベイト蛋白質の疎水性表面の露出を誘導する、方法。
【請求項17】
請求項15または16のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該低分子が該ベイト蛋白質の疎水性表面露出を誘導し、それによって該プレイ蛋白質との相互作用が可能になる、方法。
【請求項18】
請求項15または16のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該低分子が該プレイ蛋白質の疎水性表面露出を誘導し、それによって該ベイト蛋白質との相互作用が可能になる、方法。
【請求項19】
請求項11~18のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該低分子が分子糊である、方法。
【請求項20】
請求項1の方法であって、ここで該分子相互作用が複合体形成である、方法。
【請求項21】
請求項1の方法であって、ここで該分子相互作用が低分子/蛋白質相互作用である、方法。
【請求項22】
請求項1の方法であって、ここで該プレイ蛋白質が低分子に結合し、該低分子はリンカーを介して第2の低分子に連結しており、該第2の低分子が該ベイト蛋白質に結合する、方法。
【請求項23】
請求項1の方法であって、ここで該ベイト蛋白質が低分子に結合し、該低分子はリンカーを介して第2の低分子に連結しており、該第2の低分子が該プレイ蛋白質に結合する、方法。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該第1の受容体および第2の受容体が同一の受容体である、方法。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該第1の受容体および第2の受容体が異なる受容体である、方法。
【請求項26】
請求項1~24のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該第1の受容体および/または第2の受容体が多量体化受容体である、方法。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該リガンド結合ドメインがサイトカイン受容体に由来する、方法。
【請求項28】
請求項1~26のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該リガンド結合ドメインが1型サイトカイン受容体(CR)に由来する、方法。
【請求項29】
請求項1~26のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該リガンド結合ドメインがエリスロポエチン受容体(EpoR)またはレプチン受容体(LR)に由来する、方法。
【請求項30】
請求項29の方法であって、ここで該膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインがマウスレプチン受容体(LR)に由来する、方法。
【請求項31】
請求項1~30のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該ベイトが、該第1の受容体および/または第2の受容体断片に対して異種である、方法。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該細胞内ドメインがJAK結合部位および/またはgp130を含む受容体断片を含む、方法。
【請求項33】
請求項1~32のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該STATがSTAT1またはSTAT3から選択される、方法。
【請求項34】
請求項1~33のいずれか1項に記載の方法であって、ここでSTATの動員を低減または排除する該変異が1か所以上のチロシンリン酸化部位において起こる、方法。
【請求項35】
請求項1~34のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインがマウスレプチン受容体(LR)に由来し、該変異がY985、Y1077、およびY1138の位置のうちの1か所以上である、方法。
【請求項36】
請求項1~35のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインがマウスレプチン受容体(LR)に由来し、該変異がY985F、Y1077F、およびY1138Fである、方法。
【請求項37】
請求項1~36のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインが、マウスレプチン受容体(LR)のY985F、Y1077F、およびY1138Fと機能的に同等の変異を有する、方法。
【請求項38】
請求項1~37のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該ベイト蛋白質が核外搬出配列(NES)を含む、方法。
【請求項39】
請求項38の方法であって、ここで該NESが1~4個の疎水性残基を有する、方法。
【請求項40】
請求項39の方法であって、ここで該疎水性残基がロイシンである、方法。
【請求項41】
請求項38~40のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該NESが配列LxxxLxxLxLを有し、ここでLが疎水性残基であり、xは他の任意のアミノ酸である、方法。
【請求項42】
請求項35~38のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該NESが配列LxxxLxxLxLを有し、ここでLがロイシンであり、xは他の任意のアミノ酸である、方法。
【請求項43】
前記請求項のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該ベイトがE3リガーゼ基質結合サブユニットであり、任意選択的にセレブロン(CRBN)およびフォン・ヒッペル・リンドウ(Von Hippel Lindau:VHL)(VHL)から選択され、および任意選択的に足場蛋白質に会合しており、該足場蛋白質が損傷DNA結合蛋白質1(DDB1)、カリン4A(CUL4A)、およびカリン1の制御因子(ROC1)から任意選択的に選択される、方法。
【請求項44】
請求項43の方法であって、ここで該プレイ蛋白質との相互作用前に、該ベイトが化合物に接触している、方法。
【請求項45】
請求項44の方法であって、ここで該化合物がグルタルイミド環およびフタルイミド環を含む、方法。
【請求項46】
請求項45の方法であって、ここで該化合物が、サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、CC-220、CC-122、CC-885、またはその誘導体または類似体から選択される、方法。
【請求項47】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで該方法が複数の細胞をアッセイすることを含み、該複数の細胞がリガンド依存性キメラ受容体を含み、該リガンド依存性キメラ受容体が:
(i)第1の受容体に由来するリガンド結合ドメインの細胞外部分、
および
(ii)第2の受容体の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインおよびそれに融合した細胞内プレイ蛋白質、
を含む、方法。
【請求項48】
請求項47の方法であって、ここで単一ベイト蛋白質が各細胞中に発現する、方法。
【請求項49】
請求項47の方法であって、ここで単一ベイト蛋白質を複数のプレイ蛋白質との分子相互作用に関してアッセイする、方法。
【請求項50】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで該方法が新規蛋白質/蛋白質相互作用を同定する、方法。
【請求項51】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで該方法が、該低分子と該プレイ蛋白質またはベイト蛋白質との結合によって媒介される新規蛋白質/蛋白質相互作用を同定する、方法。
【請求項52】
前記請求項のいずれかに記載の方法であって、ここで該方法が、該プレイ蛋白質およびベイト蛋白質を含む蛋白質/蛋白質相互作用を誘導、媒介または安定化する低分子化合物を同定する、方法。
【請求項53】
請求項52の方法であって、ここで該低分子化合物が分子糊またはハイブリッドリガンドである、方法。
【請求項54】
請求項1~42または47~53のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該ベイトがFK506結合蛋白質(FKBP)である、方法。
【請求項55】
請求項1~42または47~54のいずれか1項に記載の方法であって、ここで該FK506結合蛋白質(FKBP)がFKBP12、FKBP38およびFKBP52から選択される、方法。
【請求項56】
請求項55の方法であって、ここで該化合物が、FK506(タクロリムス)、ラパマイシン(シロリムス)、およびシクロスポリンA(CsA)またはその誘導体または類似体;あるいはFK506(タクロリムス)、ラパマイシン(シロリムス)、およびシクロスポリンA(CsA)またはその誘導体または類似体と同一のFKBPベイト結合部位に競争的に結合する化合物から選択される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ蛋白質/蛋白質相互作用または蛋白質/低分子相互作用、および/または新規低分子の検出および同定に関する。
【0002】
関連する出願の相互参照
本出願は、2019年12月17日付けで出願された米国仮出願番号第62/949,023号に基づく優先権を主張する。その優先出願の開示内容全体が本明細書に組み入れられる。
【0003】
電子提出のテキストファイルについての説明
本明細書に付帯する電子提出のテキストファイルの内容は参照としてその全体が本明細書に組み入れられる:配列表のコンピューター可読性形態のコピー(ファイル名:「ORN-060PC_ST25.txt」;作成日:2020年12月7日;ファイルサイズ:10,349バイト)。
【背景技術】
【0004】
蛋白質/蛋白質相互作用および蛋白質/低分子相互作用などの分子相互作用は、全ての生物学的過程ではなくとも、多くの生物学的過程にとっては重要な部分である。分子相互作用を同定するために、複数のアプローチが開発されている。例えば、生化学アプローチは特に、共精製、免疫共沈降を含む。しかし、これらの技術は退屈であって、大規模高速スクリーニングを可能とするものではなく、また溶解を必要とするので正常な細胞の状況が喪失する。遺伝子的アプローチは、これらの問題の一部を解決する。例えば、酵母2ハイブリッド法は卓越した有用性を示してきた。しかしながら、広く用いられているにもかかわらず、酵母2ハイブリッドシステムには複数の欠点がある;そのような欠点としては、融合蛋白質の核内移行を必要とすることが挙げられる。もう一つの別のアプローチとしては、ファージディスプレイがあるが、これは核内移行を必要とはしない。しかし、ファージディスプレイアプローチは不自然過ぎる;すなわち、蛋白質をファージ表面に露出させる必要があり、生理的に妥当であるとは言えない環境に蛋白質を曝露するため、それが生細胞の相互作用と同等であると判断することは困難である。
【0005】
すなわち、分子相互作用を検出する新規の方法に対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明は部分的には、細胞を基盤とした、様々な分子相互作用を検出するシステムに関する。いくつかの実施態様においては、本発明は、標準的アッセイを用いた場合には検出可能ではない分子相互作用(例えば、蛋白質/蛋白質、蛋白質/低分子、および/または低分子によって調節される蛋白質/蛋白質相互作用)の試験を可能にする方法を提供する。例えば、いくつかの実施態様において、本法は偽陽性または偽陰性シグナルの発生を低減または排除する。
【0007】
いくつかの実施態様においては、本法は公知の方法と相対的にベイトとプレイを逆転させることを利用する;例えば、改善された分子相互作用検出を可能にする、サイトカイン受容体を基盤とする相互作用的捕捉法および本明細書中に記載のような方法など。
【0008】
例えば、本明細書に記載するように、「順」型の哺乳動物蛋白質/蛋白質相互作用捕捉(MAPPITに関しては、Eyckermanらの「サイトカイン受容体を基盤とする相互作用捕捉の設計と応用(Design and application of a cytokine-receptor-based interaction trap)」 Nat Cell Biol. 2001 Dec;3(12):1114-9;およびLievensらの「ヒト細胞におけるプロテオームスケールの2蛋白質インタラクトミックス(Proteome-scale binary interactomics in human cells)」Molecular & Cellular Proteomics 15.12 (2016): 3624-3639)を参照のこと;これらの参考文献はその全体が参照として本明細書に組み入れられる)は、場合によっては、うまく機能しないこともある。本発明の様々な実施態様では、例えば、方法設計を逆にすることにより、これらの不具合を解消する。例えば、様々な実施態様において、例えば、(本明細書に記載の)順MAPPITアッセイ形態で発現した場合に、例えば、相互作用パートナーが細胞の核または/細胞内微小器官に隔離された状態であるために、順MAPPIT法では明確に同定されない相互作用であっても、本法ではそのような相互作用の検出および/または発見を可能にする。さらに一例を挙げれば、いくつかの実施態様において、順MAPPITアッセイ形態で発現した場合に、そのアッセイ形態で発現した相互作用パートナーが細胞の膜に非特異的に接触するために、および/またはこの検出に利用している膜を基盤とした構築物に非特異的に接触するために、順MAPPIT法では明確に同定されない相互作用であっても、本法ではそのような相互作用の検出を可能にする。
【0009】
様々な実施態様においては、本発明は分子相互作用を検出する方法に関するが、ここで該方法は:
(a)リガンドを基盤とするキメラ受容体を有する細胞を提供することであって、
該キメラ受容体が、
(i)第1の受容体に由来するリガンド結合ドメインの細胞外部分、
および
(ii)第2の受容体の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインおよびそれに融合した細胞内プレイ蛋白質、
を含み、
ここで該第2の受容体の膜貫通ドメインおよび/または細胞内ドメインがSTAT(Signal Transducer and Activator of Transcription:シグナル伝達因子および転写活性化因子)の動員を低減または排除する変異を含む膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインである、
細胞を提供すること;
(b)受容体断片に融合したベイト蛋白質を細胞中で発現させることであって、
ここで該受容体断片が機能的STAT動員部位を含む、
発現させること、
および
(c)分子相互作用の存在を示唆するシグナルを検出することであって、
ここで該ベイト蛋白質が、
(i)膜結合細胞内微小器官の内部よりも細胞質に局在する傾向を有し、
および/または
(ii)細胞膜および/またはキメラ受容体の非プレイ部分との非特異的相互作用よりもプレイ蛋白質と特異的に相互作用する傾向を有する、
シグナルを検出すること、
によって分子相互作用を検出する。
実施態様においては、該第1の受容体および第2の受容体は同一の受容体である。
【0010】
いくつかの実施態様においては、プレイ蛋白質とベイト蛋白質との間の相互作用によって、第1の受容体に融合した第2の受容体の細胞内ドメインに対して、受容体断片の動員を引き起こすので、リガンド依存性受容体シグナル伝達が回復し、STAT分子の活性化が起こる。いくつかの実施態様においては、該細胞はSTAT応答性レポーター遺伝子を含む。いくつかの実施態様においては、活性化したSTAT分子は核内に移行してSTAT応答性レポーター遺伝子の転写を誘導するので、このレポーター遺伝子シグナルによって分子相互作用の検出が可能となる。
【0011】
いくつかの実施態様においては、該分子相互作用は蛋白質/蛋白質相互作用である。いくつかの実施態様においては、該分子相互作用は低分子が仲介する蛋白質/蛋白質相互作用である(例えば、該方法はプレイ蛋白質またはベイト蛋白質に結合する低分子を導入することをさらに含む)。具体的には、いくつかの実施態様において、該分子相互作用は、低分子がプレイ蛋白質またはベイト蛋白質に結合することによって仲介される蛋白質/蛋白質相互作用である。例えば、本法は複合体形成を検出するものであってもよい。いくつかの実施態様において、該低分子はプレイ蛋白質またはベイト蛋白質との相互作用を可能にするプレイ蛋白質またはベイト蛋白質の疎水性表面の露出を誘導する。いくつかの実施態様においては、該低分子は分子糊または二価ハイブリッドリガンド分子(例えば、PROTACが挙げられるが、これのみに限定されるものではない)である。
【0012】
一例を挙げれば、いくつかの実施態様においては、検出する相互作用は、限定されるものではないが例えば、免疫調節薬剤(IMiD)、例えば、サリドマイド、レナリドミドおよびポマリドミド、およびそれに関連する化合物;および/またはセレブロン(CRBN)蛋白質の同一または類似の部位(ポケット)に結合する化合物であって、いくつかの実施態様においては、本「逆」アッセイの受容体断片に融合した(または間接的に結合した)ベイトである化合物に接触しているE3リガーゼ蛋白質を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】MAPPITの概念を示す。ベイト蛋白質(「B」)はキメラ受容体のC末端に融合しているが、このキメラ受容体は、例えば、I型サイトカイン受容体(「CYT」)の細胞外部分、ならびに突然変異生成によってSTAT動員が不全となるように作成された受容体の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを有する。機能性STAT動員部位を含む受容体断片に融合しているプレイ蛋白質(「P」)を共発現した場合に、その受容体複合体は機能的に相補し、サイトカインリガンド刺激時に(L)シグナル伝達を回復する。STAT分子が活性化して核内に移行し、STAT応答性レポーター遺伝子の転写を誘導する。本開示全体を通じて、この方式を「順」アッセイとよぶ。
図2A図1のシステムの不全、すなわち偽陰性シグナルの発生に関する概要を示す。ここで、膜構築物に融合したベイトに、プレイが近づくことができない、例えば、それは核および/または細胞内微小器官に隔離されていることによる(左パネル)。右パネルは、隔離からプレイを開放するベイトとプレイの間の逆転を示しており、それによって分子相互作用の検出が可能になる(本開示全体を通じて、この方式を「逆」アッセイとよぶ)。
図2B図1のシステムのさらなる不全、すなわち偽陰性シグナルの発生に関する別の一例に関する概要を示す。ここで、プレイは膜構築物に非特異的に相互作用する(左パネル)。右パネルは、非特異的相互作用を弱める/減らすための、ベイトとプレイの間の逆転を示している(右パネル;本開示全体を通じて、この方式を「逆」アッセイとよぶ)。
図3】「逆」アッセイの別の構築に関する概要を示す。この構築では、低分子および/またはプレイと相互作用可能なベイトは足場蛋白質と会合する。網掛け表示のセグメントは、細胞中で独立に発現させる、あるいはベイト蛋白質との直接融合物として発現させる足場蛋白質である。
図4A】MAPPIT順および/または逆アッセイ構成による、選択基質を動員するCRBN結合化合物の評価。文献に記載されている公知のCRBN基質パネルのCRBN IMiDリガンドであるレナリドミドおよびCC-220によって誘導される動員をMAPPITで評価した。MAPPITは既に報告されている2ハイブリッド技術システムの変法であり(Lemmensら、「MAPPIT、蛋白質/蛋白質相互作用の細胞内検出に関する哺乳動物2ハイブリッド法(MAPPIT, a mammalian two-hybrid method for in-cell detection of protein-protein interactions)」Methods Mol Biol. 2015;1278:447-55;本参考文献は参照としてその全体が本明細書に組み入れられる)、実施例1においてより具体的に概説する。より具体的には、MAPPITアッセイの「順」および「逆」アッセイモードとよぶ2種類の構成を比較した。これら2種類の構成間の相違は、実施例1においてより具体的に概説するように、ベイト蛋白質が、この場合にはCRBNであるが、(古典的な「順」モードにおいて)MAPPITキメラ膜貫通受容体に融合されているか、あるいは(「逆」モードにおいて)可溶性gp130受容体部分に融合されているかの違いである。両方のアッセイ構成のいずれにおいても、CRBNリガンド誘導性蛋白質相互作用(すなわち、表示ネオ基質:IKZF1、IKZF3、IKZF2、SALL4、ZFP91またはCSNK1A(CK1a)との相互作用)を促進する促進能をモニターするために、被検化合物の活性を、被検化合物濃度を増加させながら評価した(用量応答試験)。図から分かるように、IKZF1の場合には、順および逆アッセイ構成において、化合物誘導性のCRBN結合が検出可能であるが、それ以外の場合には全て、逆アッセイ設定においてのみ、相互作用シグナル応答の検出が可能であった。
図4B】MAPPIT順および/または逆アッセイ構成による、選択基質を動員するCRBN結合化合物の評価。文献に記載されている公知のCRBN基質パネルのCRBN IMiDリガンドであるレナリドミドおよびCC-220によって誘導される動員をMAPPITで評価した。MAPPITは既に報告されている2ハイブリッド技術システムの変法であり(Lemmensら、「MAPPIT、蛋白質/蛋白質相互作用の細胞内検出に関する哺乳動物2ハイブリッド法(MAPPIT, a mammalian two-hybrid method for in-cell detection of protein-protein interactions)」Methods Mol Biol. 2015;1278:447-55;本参考文献は参照としてその全体が本明細書に組み入れられる)、実施例1においてより具体的に概説する。より具体的には、MAPPITアッセイの「順」および「逆」アッセイモードとよぶ2種類の構成を比較した。これら2種類の構成間の相違は、実施例1においてより具体的に概説するように、ベイト蛋白質が、この場合にはCRBNであるが、(古典的な「順」モードにおいて)MAPPITキメラ膜貫通受容体に融合されているか、あるいは(「逆」モードにおいて)可溶性gp130受容体部分に融合されているかの違いである。両方のアッセイ構成のいずれにおいても、CRBNリガンド誘導性蛋白質相互作用(すなわち、表示ネオ基質:IKZF1、IKZF3、IKZF2、SALL4、ZFP91またはCSNK1A(CK1a)との相互作用)を促進する促進能をモニターするために、被検化合物の活性を、被検化合物濃度を増加させながら評価した(用量応答試験)。図から分かるように、IKZF1の場合には、順および逆アッセイ構成において、化合物誘導性のCRBN結合が検出可能であるが、それ以外の場合には全て、逆アッセイ設定においてのみ、相互作用シグナル応答の検出が可能であった。
図4C】MAPPIT順および/または逆アッセイ構成による、選択基質を動員するCRBN結合化合物の評価。文献に記載されている公知のCRBN基質パネルのCRBN IMiDリガンドであるレナリドミドおよびCC-220によって誘導される動員をMAPPITで評価した。MAPPITは既に報告されている2ハイブリッド技術システムの変法であり(Lemmensら、「MAPPIT、蛋白質/蛋白質相互作用の細胞内検出に関する哺乳動物2ハイブリッド法(MAPPIT, a mammalian two-hybrid method for in-cell detection of protein-protein interactions)」Methods Mol Biol. 2015;1278:447-55;本参考文献は参照としてその全体が本明細書に組み入れられる)、実施例1においてより具体的に概説する。より具体的には、MAPPITアッセイの「順」および「逆」アッセイモードとよぶ2種類の構成を比較した。これら2種類の構成間の相違は、実施例1においてより具体的に概説するように、ベイト蛋白質が、この場合にはCRBNであるが、(古典的な「順」モードにおいて)MAPPITキメラ膜貫通受容体に融合されているか、あるいは(「逆」モードにおいて)可溶性gp130受容体部分に融合されているかの違いである。両方のアッセイ構成のいずれにおいても、CRBNリガンド誘導性蛋白質相互作用(すなわち、表示ネオ基質:IKZF1、IKZF3、IKZF2、SALL4、ZFP91またはCSNK1A(CK1a)との相互作用)を促進する促進能をモニターするために、被検化合物の活性を、被検化合物濃度を増加させながら評価した(用量応答試験)。図から分かるように、IKZF1の場合には、順および逆アッセイ構成において、化合物誘導性のCRBN結合が検出可能であるが、それ以外の場合には全て、逆アッセイ設定においてのみ、相互作用シグナル応答の検出が可能であった。
図4D】MAPPIT順および/または逆アッセイ構成による、選択基質を動員するCRBN結合化合物の評価。文献に記載されている公知のCRBN基質パネルのCRBN IMiDリガンドであるレナリドミドおよびCC-220によって誘導される動員をMAPPITで評価した。MAPPITは既に報告されている2ハイブリッド技術システムの変法であり(Lemmensら、「MAPPIT、蛋白質/蛋白質相互作用の細胞内検出に関する哺乳動物2ハイブリッド法(MAPPIT, a mammalian two-hybrid method for in-cell detection of protein-protein interactions)」Methods Mol Biol. 2015;1278:447-55;本参考文献は参照としてその全体が本明細書に組み入れられる)、実施例1においてより具体的に概説する。より具体的には、MAPPITアッセイの「順」および「逆」アッセイモードとよぶ2種類の構成を比較した。これら2種類の構成間の相違は、実施例1においてより具体的に概説するように、ベイト蛋白質が、この場合にはCRBNであるが、(古典的な「順」モードにおいて)MAPPITキメラ膜貫通受容体に融合されているか、あるいは(「逆」モードにおいて)可溶性gp130受容体部分に融合されているかの違いである。両方のアッセイ構成のいずれにおいても、CRBNリガンド誘導性蛋白質相互作用(すなわち、表示ネオ基質:IKZF1、IKZF3、IKZF2、SALL4、ZFP91またはCSNK1A(CK1a)との相互作用)を促進する促進能をモニターするために、被検化合物の活性を、被検化合物濃度を増加させながら評価した(用量応答試験)。図から分かるように、IKZF1の場合には、順および逆アッセイ構成において、化合物誘導性のCRBN結合が検出可能であるが、それ以外の場合には全て、逆アッセイ設定においてのみ、相互作用シグナル応答の検出が可能であった。
図4E】MAPPIT順および/または逆アッセイ構成による、選択基質を動員するCRBN結合化合物の評価。文献に記載されている公知のCRBN基質パネルのCRBN IMiDリガンドであるレナリドミドおよびCC-220によって誘導される動員をMAPPITで評価した。MAPPITは既に報告されている2ハイブリッド技術システムの変法であり(Lemmensら、「MAPPIT、蛋白質/蛋白質相互作用の細胞内検出に関する哺乳動物2ハイブリッド法(MAPPIT, a mammalian two-hybrid method for in-cell detection of protein-protein interactions)」Methods Mol Biol. 2015;1278:447-55;本参考文献は参照としてその全体が本明細書に組み入れられる)、実施例1においてより具体的に概説する。より具体的には、MAPPITアッセイの「順」および「逆」アッセイモードとよぶ2種類の構成を比較した。これら2種類の構成間の相違は、実施例1においてより具体的に概説するように、ベイト蛋白質が、この場合にはCRBNであるが、(古典的な「順」モードにおいて)MAPPITキメラ膜貫通受容体に融合されているか、あるいは(「逆」モードにおいて)可溶性gp130受容体部分に融合されているかの違いである。両方のアッセイ構成のいずれにおいても、CRBNリガンド誘導性蛋白質相互作用(すなわち、表示ネオ基質:IKZF1、IKZF3、IKZF2、SALL4、ZFP91またはCSNK1A(CK1a)との相互作用)を促進する促進能をモニターするために、被検化合物の活性を、被検化合物濃度を増加させながら評価した(用量応答試験)。図から分かるように、IKZF1の場合には、順および逆アッセイ構成において、化合物誘導性のCRBN結合が検出可能であるが、それ以外の場合には全て、逆アッセイ設定においてのみ、相互作用シグナル応答の検出が可能であった。
図4F】MAPPIT順および/または逆アッセイ構成による、選択基質を動員するCRBN結合化合物の評価。文献に記載されている公知のCRBN基質パネルのCRBN IMiDリガンドであるレナリドミドおよびCC-220によって誘導される動員をMAPPITで評価した。MAPPITは既に報告されている2ハイブリッド技術システムの変法であり(Lemmensら、「MAPPIT、蛋白質/蛋白質相互作用の細胞内検出に関する哺乳動物2ハイブリッド法(MAPPIT, a mammalian two-hybrid method for in-cell detection of protein-protein interactions)」Methods Mol Biol. 2015;1278:447-55;本参考文献は参照としてその全体が本明細書に組み入れられる)、実施例1においてより具体的に概説する。より具体的には、MAPPITアッセイの「順」および「逆」アッセイモードとよぶ2種類の構成を比較した。これら2種類の構成間の相違は、実施例1においてより具体的に概説するように、ベイト蛋白質が、この場合にはCRBNであるが、(古典的な「順」モードにおいて)MAPPITキメラ膜貫通受容体に融合されているか、あるいは(「逆」モードにおいて)可溶性gp130受容体部分に融合されているかの違いである。両方のアッセイ構成のいずれにおいても、CRBNリガンド誘導性蛋白質相互作用(すなわち、表示ネオ基質:IKZF1、IKZF3、IKZF2、SALL4、ZFP91またはCSNK1A(CK1a)との相互作用)を促進する促進能をモニターするために、被検化合物の活性を、被検化合物濃度を増加させながら評価した(用量応答試験)。図から分かるように、IKZF1の場合には、順および逆アッセイ構成において、化合物誘導性のCRBN結合が検出可能であるが、それ以外の場合には全て、逆アッセイ設定においてのみ、相互作用シグナル応答の検出が可能であった。
図5】免疫蛍光染色は、IKZF3 gp130融合構築物が核内に局在することを示しており、このことは、対応するMAPPIT順アッセイにおいてシグナルが欠如することの理由を説明する。実施例1においてさらに詳細に考察されるように、MAPPITアッセイにおいて特定の相互作用を検出不能にする原因の1つは、アッセイに用いる目的の標的蛋白質のgp130ドメイン融合物が細胞内細胞質区画で発現せず、そのため膜結合ベイト蛋白質と複合体を形成できないことなどがあり得る。図4A~Fに示す1例はIKZF3との相互作用であるが、この場合にCRBNについて化合物誘導性動員が検出可能であったのは逆モードのみであり、順アッセイ構成では検出されなかった。後者の順アッセイ構成においては、CRBNのMAPPITキメラ受容体融合物をgp130-IKZF3融合蛋白質と組み合わせて用いる。ここでは、gp130-IKZF3融合蛋白質の免疫蛍光染色を行った。gp130-IKZF1融合蛋白質を対照として用いた;理由は、順モードではCRBN-IKZF1相互作用が検出可能であったからである。免疫蛍光像において、IKZF1に関しては、細胞質内にgp130融合蛋白質を示す緑色染色を観察することができるが、IKZF3融合の場合には、その発現は専ら核内区画(青色染色として可視化されている)にのみほぼ限定された。このことは、CRBN/IKZF3相互作用が順MAPPIT構成ではアッセイ不能であり、逆モードでのみ可能である理由を説明する;逆モードでは、IKZF3が細胞質に露出した状態でMAPPIT膜受容体に連結されており、そのため細胞質に存在するCRBNベイト蛋白質との相互作用に利用可能である。
図6】MAPPIT結合分析は、CSNK1A1-gp130融合蛋白質がMAPPITキメラ受容体構築物に対して非特異的な強い結合を示すので、CRBN相互作用アッセイにおいて分子糊非存在下でのバックグラウンドレポーターシグナルが高くなることを示しており、順アッセイ構成での当該相互作用について化合物/分子糊誘導性応答特異性が存在しないことの理由を説明する。実施例1に記載のように、特定標的について順構成のMAPPITが化合物誘導性相互作用を検出し得ないことがあるもう一つの理由は、クローン化しgp130融合蛋白質として発現した場合に、これらの標的がベイト蛋白質ではないMAPPITキメラ受容体の構成要素(レプチン受容体の細胞質内の末尾または受容体結合JAK2蛋白質など)に対して高親和性を示すからである。このような場合の一例としては、図4A~Fに示すCSNK1A1(またはCK1a)であるが、この場合には逆MAPPIT設定においてのみレナリドミド誘導性またはCC-220誘導性の特異的シグナルを明確に示し、順MAPPIT設定ではそのようなシグナルが得られない。ここでは、MAPPITキメラ受容体融合物または無関連の大腸菌DHFR(ジヒドロ葉酸還元酵素)蛋白質とCRBNベイトとの融合物に対する結合に関して、CSNK1A1/gp130融合蛋白質(MAPPITにおいて用いたgp130サブドメインのN末端またはC末端に融合したCSNK1A1)を試験するMAPPIT結合分析を実施した。相互作用の強度を表すルシフェラーゼレポーターシグナルによって、CSNK1A1-gp130融合物は、両方の受容体融合物と相互作用/結合することが分かるが、このことは、この結合がCRBN特異的ではなく、CSNK1A1がキメラ受容体の構成要素そのものと相互作用することを示唆する。CRBN結合蛋白質を評価するために用いるこの構成の場合には、CRBNに対する特異的化合物誘導性相互作用の非存在下で得られた強いレポーターシグナルが、特定プレイ/gp130融合物のCRBNとの相互作用によって誘導される付加的なシグナルをマスクするので、CSNKlA1で観察される挙動と類似の挙動を与えるがために、順アッセイ設定が蛋白質のCRBN相互作用分析に不適切なものとなる。
図7】代替的CSNK1A1キメラ受容体融合蛋白質を利用したMAPPIT逆構成による、化合物依存性CRBN-CSNK1A1相互作用の分析。実施例1で考察するように、MAPPITアッセイに複数の受容体融合物構成を用いることができる。典型的な融合蛋白質は、変異レプチン受容体の膜貫通部分および細胞内部分に融合したEPO受容体の細胞外ドメインから成る;これは、図4A~F、図6および図8で用いられている構築物である。しかし、EPO受容体細胞外ドメインはレプチン受容体の細胞外ドメインで代替可能であり、その場合にはEPOではなくレプチンで活性化するアッセイシステムが得られる。ここで発明者らは、代替的CSNK1A1受容体融合物との組み合わせでCRBN gp130融合物を用い、図4A~Fに示されるレナリドミド誘導性およびCC-220誘導性CRBN-CSNK1A1相互作用を再び試験した;この場合には、EPO受容体の細胞外ドメインの代わりに、レプチン受容体の細胞外ドメインを用い、アッセイの活性化はレプチンで行った。この代替的受容体構築物でも、逆アッセイ構成であればCSNK1A1ネオ基質動員の検出が可能であることを、この結果は示している。ヒストグラムの各セットにおいて、最も左のバーは0μM、その右隣のバーは0.1μM、さらにその右隣のバーは1μM、また最も右のバーが10μMを表す。
図8A】MAPPIT順および逆アッセイ構成による、化合物依存性FKBP1A(FKBP12)/標的相互作用の評価。CRBN標的相互作用についての図4A~Fの分析と同様に、公知の標的蛋白質に対するFKBP1A(FKBP12)の化合物依存性相互作用をMAPPIT順構成および逆構成で評価した。図から分かるように、MAPPIT順および逆モードの両方で、MTORのラパマイシン誘導性動員を検出した。同様に、カルシニューリン触媒性PPP3CAサブユニットのFK506依存性結合もまた両方のアッセイモードでモニター可能である。注目すべきは、カルシニューリン結合の場合には、PPP3R2調節性サブユニットの共発現によって、両方のアッセイ構成でシグナル窓が有意に増加することである;ただし、順モードに比較して逆モードではその程度が小さい。
図8B】MAPPIT順および逆アッセイ構成による、化合物依存性FKBP1A(FKBP12)/標的相互作用の評価。CRBN標的相互作用についての図4A~Fの分析と同様に、公知の標的蛋白質に対するFKBP1A(FKBP12)の化合物依存性相互作用をMAPPIT順構成および逆構成で評価した。図から分かるように、MAPPIT順および逆モードの両方で、MTORのラパマイシン誘導性動員を検出した。同様に、カルシニューリン触媒性PPP3CAサブユニットのFK506依存性結合もまた両方のアッセイモードでモニター可能である。注目すべきは、カルシニューリン結合の場合には、PPP3R2調節性サブユニットの共発現によって、両方のアッセイ構成でシグナル窓が有意に増加することである;ただし、順モードに比較して逆モードではその程度が小さい。
図8C】MAPPIT順および逆アッセイ構成による、化合物依存性FKBP1A(FKBP12)/標的相互作用の評価。CRBN標的相互作用についての図4A~Fの分析と同様に、公知の標的蛋白質に対するFKBP1A(FKBP12)の化合物依存性相互作用をMAPPIT順構成および逆構成で評価した。図から分かるように、MAPPIT順および逆モードの両方で、MTORのラパマイシン誘導性動員を検出した。同様に、カルシニューリン触媒性PPP3CAサブユニットのFK506依存性結合もまた両方のアッセイモードでモニター可能である。注目すべきは、カルシニューリン結合の場合には、PPP3R2調節性サブユニットの共発現によって、両方のアッセイ構成でシグナル窓が有意に増加することである;ただし、順モードに比較して逆モードではその程度が小さい。
図9】MAPPIT逆構成では、CRBNとDHFRとの間のトリメトプリム-レナリドミド・ハイブリッドリガンド誘導性結合の検出が可能である。PEGリンカーを介して、CRBNリガンドであるレナリドミドに融合したDHFRリガンド・トリメトプリム(TMP)から成るハイブリッド分子を、MAPPITアッセイに用いてCRBNベイトへのDHFR動員を誘導した。図から分かるように、gp130融合物として発現したCRBNおよびMAPPITキメラ膜受容体に連結したDHFRを用いた逆アッセイ構成では、TMP-LEN用量依存性シグナルを観察することができる。
図10A】IMiDおよびその他の分子糊のCRBN結合を評価するCRBN逆MAPPITアッセイの利用。ここでは、競争的設定でCRBN分子糊の結合を評価するために、図9に記載の逆MAPPIT TMP-LEN依存性DHFR-CRBN結合アッセイを用いた。図9のようなTMP-LENハイブリッドリガンドを添加することによって陽性アッセイシグナルを生成するように、導入遺伝子(DHFRおよびCRBN融合蛋白質)をコードする適切なcDNAで形質転換した細胞を用いた。当該グナルを100%ルシフェラーゼ活性に設定する。別々の試料設定において、細胞は同一の方法で調製したが、さらにそれらの細胞を、CRBNとの相互作用を調べる被検化合物と共にインキュベートした。CRBN融合蛋白質に対する結合はハイブリッドリガンドの同一CRBN蛋白質への結合と競合するので、アッセイシグナルの生成に必要である三重複合体形成を阻止することにより、アッセイシグナルを阻害する。生細胞を用いたこの種のリガンド競争実験において決定されるようなCRBN結合効率を求めるために、被検化合物の濃度を増加させて評価を行った。図から分かるように、公知のIMiD化合物(レナリドミド/LEN、ポマリドミド/POM、CC-122、CC-220)は、CRBNへの結合に関してレナリドミド・ハイブリッドリガンドと有効に競合した(CRBN会合アッセイシグナル阻害に関する用量応答曲線)。同様に、他の種類の化合物も様々なレベルの効能で有効に競合した。シグナル阻害特異性は並列的実験設定で評価するが、その設定においては、ハイブリッドリガンド非存在下でDHFR受容体融合蛋白質に直接結合(すなわち、蛋白質の直接相互作用)する対照gp-130融合蛋白質(CTRL)によって生成したシグナルの阻害に関して、被検化合物の効果を評価する。
図10B】IMiDおよびその他の分子糊のCRBN結合を評価するCRBN逆MAPPITアッセイの利用。ここでは、競争的設定でCRBN分子糊の結合を評価するために、図9に記載の逆MAPPIT TMP-LEN依存性DHFR-CRBN結合アッセイを用いた。図9のようなTMP-LENハイブリッドリガンドを添加することによって陽性アッセイシグナルを生成するように、導入遺伝子(DHFRおよびCRBN融合蛋白質)をコードする適切なcDNAで形質転換した細胞を用いた。当該グナルを100%ルシフェラーゼ活性に設定する。別々の試料設定において、細胞は同一の方法で調製したが、さらにそれらの細胞を、CRBNとの相互作用を調べる被検化合物と共にインキュベートした。CRBN融合蛋白質に対する結合はハイブリッドリガンドの同一CRBN蛋白質への結合と競合するので、アッセイシグナルの生成に必要である三重複合体形成を阻止することにより、アッセイシグナルを阻害する。生細胞を用いたこの種のリガンド競争実験において決定されるようなCRBN結合効率を求めるために、被検化合物の濃度を増加させて評価を行った。図から分かるように、公知のIMiD化合物(レナリドミド/LEN、ポマリドミド/POM、CC-122、CC-220)は、CRBNへの結合に関してレナリドミド・ハイブリッドリガンドと有効に競合した(CRBN会合アッセイシグナル阻害に関する用量応答曲線)。同様に、他の種類の化合物も様々なレベルの効能で有効に競合した。シグナル阻害特異性は並列的実験設定で評価するが、その設定においては、ハイブリッドリガンド非存在下でDHFR受容体融合蛋白質に直接結合(すなわち、蛋白質の直接相互作用)する対照gp-130融合蛋白質(CTRL)によって生成したシグナルの阻害に関して、被検化合物の効果を評価する。
図11】逆MAPPITアッセイ構成を用いた、FKBP1A(FKBP12)とDHFRとの間のTMP-FK506誘導性結合の検出。PEGリンカーを介して、FKBP1A(FKBP12)リガンドFK506に融合したDHFRリガンド・トリメトプリム(TMP)から成るハイブリッド分子を用いて、DHFRのFKBP1Aベイトへの化合物誘導性結合を試験した;FKBP1Aをgp130融合物として用い、およびキメラ膜受容体に連結したDHFRを用いた逆MAPPITアッセイ設定で、この試験を行った。図から分かるように、明確な用量依存性MAPPITシグナルを観察することが可能であり、このことは、この逆MAPPITアッセイ構成によって、FKBP1AとDHFRとの間のFK506ハイブリッドリガンド誘導性相互作用を評価可能であることを示す。
図12】MAPPIT逆構成では、RBM39のDCAF15へのスルホンアミド誘導性動員を検出可能であるが、順構成では検出不能である。CRBNへの糊誘導性基質動員と同様に、他のE3リガーゼの化合物誘導性基質結合も報告が成されている(例えば、RBM39のDCAF15へのスルホンアミド依存性動員)。順構成(RBM39 gp130融合物と共発現したDCAF15受容体融合物)または逆設定(DCAF15 gp130融合物との組み合わせたRBM39受容体融合物)のMAPPITを用いて、RBM39のDCAF15へのスルホンアミド誘導性動員を評価した。異なるスルホンアミド類を評価した:すなわち、インジスラム(順および逆モード)、ならびにタシスラム、クロロキノキサリンスルホンアミド(CQS)およびE7820(逆モード)である。図から分かるように、逆モードにおいてのみ、用量依存性ルシフェラーゼ・シグナル増加を観察することができた。
図13A】化合物集合体のスクリーニングによって、SALL4のCRBNヘの動員を可能にする新規分子糊を同定する。CRBN gp130融合構築物およびSALL4キメラ受容体融合構築物を共発現する逆MAPPITアッセイを用いて、96種類のIMiDとIMiD様化合物の集合体をスクリーニングした。第1スクリーニングでは、3種類の用量(低、中および高濃度)の化合物の試験を行い、ルシフェラーゼレポーターシグナルを判定した。図13A~Cに示す曲線(左パネル)は、化合物処理試料およびDMSO処理対照の両方についてのルシフェラーゼ・シグナル頻度分布を示す。化合物処理試料の曲線は2峰性であり、右にシフトしたピークは、DMSO処理対照よりも高いレポーターシグナルを示す化合物に相当する。応答性を示し、したがってSALL4のCRBNへの動員を誘導する化合物であることを示す3種類の化合物に関して、用量応答性であること(ヒットしたこと)の確認を右パネルに示す。第1スクリーニングの各試験濃度に対応するシグナルを、用量応答曲線(点線、破線または実線)で用いたものに対応する線種の直線で示す。これらの試料曲線は、MAPPIT逆アプローチが広範な効力範囲に渡って分子糊を同定可能であることを示している。
図13B】化合物集合体のスクリーニングによって、SALL4のCRBNヘの動員を可能にする新規分子糊を同定する。CRBN gp130融合構築物およびSALL4キメラ受容体融合構築物を共発現する逆MAPPITアッセイを用いて、96種類のIMiDとIMiD様化合物の集合体をスクリーニングした。第1スクリーニングでは、3種類の用量(低、中および高濃度)の化合物の試験を行い、ルシフェラーゼレポーターシグナルを判定した。図13A~Cに示す曲線(左パネル)は、化合物処理試料およびDMSO処理対照の両方についてのルシフェラーゼ・シグナル頻度分布を示す。化合物処理試料の曲線は2峰性であり、右にシフトしたピークは、DMSO処理対照よりも高いレポーターシグナルを示す化合物に相当する。応答性を示し、したがってSALL4のCRBNへの動員を誘導する化合物であることを示す3種類の化合物に関して、用量応答性であること(ヒットしたこと)の確認を右パネルに示す。第1スクリーニングの各試験濃度に対応するシグナルを、用量応答曲線(点線、破線または実線)で用いたものに対応する線種の直線で示す。これらの試料曲線は、MAPPIT逆アプローチが広範な効力範囲に渡って分子糊を同定可能であることを示している。
図13C】化合物集合体のスクリーニングによって、SALL4のCRBNヘの動員を可能にする新規分子糊を同定する。CRBN gp130融合構築物およびSALL4キメラ受容体融合構築物を共発現する逆MAPPITアッセイを用いて、96種類のIMiDとIMiD様化合物の集合体をスクリーニングした。第1スクリーニングでは、3種類の用量(低、中および高濃度)の化合物の試験を行い、ルシフェラーゼレポーターシグナルを判定した。図13A~Cに示す曲線(左パネル)は、化合物処理試料およびDMSO処理対照の両方についてのルシフェラーゼ・シグナル頻度分布を示す。化合物処理試料の曲線は2峰性であり、右にシフトしたピークは、DMSO処理対照よりも高いレポーターシグナルを示す化合物に相当する。応答性を示し、したがってSALL4のCRBNへの動員を誘導する化合物であることを示す3種類の化合物に関して、用量応答性であること(ヒットしたこと)の確認を右パネルに示す。第1スクリーニングの各試験濃度に対応するシグナルを、用量応答曲線(点線、破線または実線)で用いたものに対応する線種の直線で示す。これらの試料曲線は、MAPPIT逆アプローチが広範な効力範囲に渡って分子糊を同定可能であることを示している。
図14】新規分子糊誘導性CRBNネオ基質を同定するORF cDNAライブラリースクリーニング。ここでは、公知のIMiD薬剤でありCRBNリガンドであるCC-220に応答して、CRBNへと動員される標的について、ヒトORF(eome)のcDNAライブラリーをスクリーニングする、細胞マイクロアレイを基盤とするスクリーニング形態にMAPPIT逆アプローチを利用した。細胞内の蛋白質と低分子の相互作用を、アレイ形態の細胞クラスター内でアッセイした。細胞マイクロアレイの各スポットは、CRBNとのリガンド誘導性(この場合には、CC-220誘導性)相互作用に関する単一の被検ORF/蛋白質候補を発現する前記のような細胞クラスターに対応する。正の相互作用は細胞の蛍光の増加として測定される。多数の個々のORF/標的蛋白質候補に渡る/関する細胞マイクロアレイ・スクリーニングの蛍光強度データをドットプロットしたものを示す。X軸は粒子数を示し、Y軸はマイクロアレイにおける各細胞クラスターの積分強度を示す。図から分かるように、ORF cDNAの数についてシグナルの有意な誘導が認められる。応答を示し、それゆえにCC-220分子糊(矢印で示される)によってCRBNへと動員される蛋白質であることが示される3種類のORF cDNAについて、CRBNへのCC-220用量依存性結合を確認する目的で用量応答曲線を作成した。これらの例は、この逆MAPPITスクリーニングアプローチがCRBNの新規分子糊誘導性基質の同定を可能にすることを示している。
図15A】MAPPIT順および逆構成による、FKBP蛋白質とMTORとの間のラパマイシン誘導性結合の同定。MTOR(FRBドメイン)の動員に関して、FKBP蛋白質ファミリーの異なる構成員(FKBP1A/FKBP12、FKBP3、FKBP4およびFKBP5)を、順アッセイ構成(FKBP受容体融合物およびMTOR gp130融合物)または逆アッセイ構成(MTOR受容体融合物およびFKBP gp130融合物)のいずれかのMAPPITアッセイで評価した。図から分かるように、試験したFKBP蛋白質のそれぞれについて、順設定および逆設定の両方で、ラパマイシン依存性シグナルが得られたが、これらは既報に一致するものであった。ヒストグラムの各セットにおいて、最も左のバーは0nMのラパマイシン、その右隣のバーは1nMのラパマイシン、さらにその右隣のバーは10nMのラパマイシン、また最も右のバーが100nMのラパマイシンを表す。
図15B】MAPPIT順および逆構成による、FKBP蛋白質とMTORとの間のラパマイシン誘導性結合の同定。MTOR(FRBドメイン)の動員に関して、FKBP蛋白質ファミリーの異なる構成員(FKBP1A/FKBP12、FKBP3、FKBP4およびFKBP5)を、順アッセイ構成(FKBP受容体融合物およびMTOR gp130融合物)または逆アッセイ構成(MTOR受容体融合物およびFKBP gp130融合物)のいずれかのMAPPITアッセイで評価した。図から分かるように、試験したFKBP蛋白質のそれぞれについて、順設定および逆設定の両方で、ラパマイシン依存性シグナルが得られたが、これらは既報に一致するものであった。ヒストグラムの各セットにおいて、最も左のバーは0nMのラパマイシン、その右隣のバーは1nMのラパマイシン、さらにその右隣のバーは10nMのラパマイシン、また最も右のバーが100nMのラパマイシンを表す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、細胞を基盤とするシステムおよび方法であって、標準的アッセイを用いた場合には検出可能ではない分子相互作用(例えば、蛋白質/蛋白質、蛋白質/低分子、および/または低分子によって調節される蛋白質/蛋白質相互作用)の試験を可能にするシステムおよび方法の発見に部分的には基づく。一局面において、本法は分子相互作用を検出する方法を可能にするが、ここで該方法は:
(a)リガンドを基盤とするキメラ受容体を含む細胞を提供することであって、
該リガンドを基盤とするキメラ受容体が、
(i)第1の受容体に由来するリガンド結合ドメインの細胞外部分、
および
(ii)第2の受容体の膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインおよびそれに融合した細胞内プレイ蛋白質、
ここで該第2の受容体の膜貫通ドメインおよび/または細胞内ドメインがSTATの動員を低減または排除する変異を含む、
膜貫通ドメインおよび細胞内ドメイン、
を含む、
細胞を提供すること;
(b)受容体断片に融合したベイト蛋白質を細胞中で発現させることであって、
ここで該受容体断片が機能的STAT動員部位を含む、
発現させること、
および
(c)分子相互作用の存在を示唆するシグナルを検出することであって、
ここで該ベイト蛋白質が、
(i)膜結合細胞内微小器官の内部よりも細胞質に局在する傾向を有し、
および/または
(ii)細胞膜および/またはキメラ受容体の非プレイ部分との非特異的相互作用よりもプレイ蛋白質と特異的相互作用する傾向を有する、
シグナルを検出すること、
を含む。
【0015】
いくつかの実施態様においては、プレイ蛋白質とベイト蛋白質との間の相互作用によって、第1の受容体に融合した第2の受容体の細胞内ドメインへの受容体断片の動員を引き起こすので、リガンド依存性受容体シグナル伝達が回復し、STAT分子の活性化が起こる。いくつかの実施態様においては、該細胞はSTAT応答性レポーター遺伝子を含む。いくつかの実施態様において、活性化したSTAT分子は核内に移行してSTAT応答性レポーター遺伝子の転写を誘導し、場合によっては、該レポーター遺伝子シグナルにより分子相互作用の検出が可能になることもある。
【0016】
場合によっては、プレイ蛋白質を除く、リガンドを基盤とするキメラ受容体のいずれの部分に対するベイト蛋白質の非特異的相互作用も、本明細書中に記載の細胞を基盤とするシステムによって取得するシグナルに、偽性シグナルまたはバックグラウンドノイズを発生させることもあり得る。したがって、いくつかの実施態様においては、ベイト蛋白質はプレイ蛋白質と特異的に相互作用する、あるいはプレイ蛋白質仲介性の相互作用に関与する。いくつかの実施態様において、ベイト蛋白質は、リガンド依存性キメラ受容体の他の部分との相互作用よりも、プレイ蛋白質と相互作用する傾向を有する。他の実施態様において、ベイト蛋白質は、細胞膜の一部または他の細胞構成成分に対する相互作用よりも、プレイ蛋白質と相互作用する傾向を有する。いくつかの実施態様において、ベイト蛋白質は、キメラ受容体の非プレイ部分よりも、プレイ蛋白質に対してより結合高親和性有している。いくつかの実施態様において、ベイト蛋白質は、細胞膜の一部と比較してプレイ蛋白質により結合高親和性を有している。
【0017】
細胞のいずれかの部分にベイト蛋白質が隔離または捕捉されると、ベイト蛋白質がプレイ蛋白質と相互作用できなくなるため、本明細書に記載の細胞を基盤とするシステムにおいて偽陰性シグナルが発生し得る。したがって、いくつかの実施態様において、ベイト蛋白質は、細胞内において遊離して利用可能であり、プレイ蛋白質と相互作用できる。いくつかの実施態様において、ベイト蛋白質は、細胞の核、ミトコンドリア、ゴルジ体、または小胞体など細胞の細胞内微小器官の内部に実質的に捕捉されない。いくつかの実施態様において、ベイト蛋白質は、細胞の細胞質内で利用可能であり、プレイ蛋白質と相互作用できる。いくつかの実施態様において、ベイト蛋白質は、細胞膜とは実質的に相互作用しない。いくつかの実施態様において、ベイト蛋白質は、キメラ受容体の非プレイ部分とは実質的に相互作用しない。いくつかの実施態様において、ベイト蛋白質は、キメラ受容体の第2の受容体の膜貫通ドメインおよび/または細胞内ドメインとは、実質的に相互作用しない。
【0018】
様々な実施態様において、このベイト蛋白質はリガンド依存性キメラ受容体に融合させない。
【0019】
様々な実施態様において、順MAPPIT(すなわち、プレイが膜蛋白質に結合してはいない)でアッセイした場合には、このプレイ(逆モードでは、プレイが膜蛋白質に結合している)は、膜結合細胞内微小器官の内部に捕捉されることによって、および/または細胞膜および/またはキメラ受容体の非プレイ部分と非特異的に相互作用することによって、制限を受ける。さらに、順MAPPITの場合には、ベイトが受容体融合蛋白質として発現不良のこともあり、および/または折れたたみが不適切のこともあり、および/または融合によってベイトの相互作用面が不明瞭になることもある;したがって、実施態様において、逆MAPPITでは、ベイトを可溶化する(すなわち、非融合)ことによって、これらの問題を解決する。
【0020】
様々な実施態様においては、順MAPPITにおいてgp130融合物として分析した場合に、プレイ蛋白質は非検出または検出不良の蛋白質である。様々な実施態様において、分子相互作用(例えば、蛋白質/蛋白質相互作用、または低分子とプレイ蛋白質またはベイト蛋白質との結合によって媒介される蛋白質/蛋白質相互作用が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない)は、本法で検出されるが、順MAPPITで分析した場合には、非検出または検出不良である。
【0021】
様々な実施態様においては、ベイト蛋白質を膜貫通蛋白質には融合させないので、そのため生理的条件に固有の蛋白質露出表面に、より類似した蛋白質構造の部分的表面を露出し得る。言い換えれば、ベイトが融合していないことは、天然状況のベイトの状態をより正確に反映し得る。
【0022】
本発明はまた、分子相互作用に関して、プレイ蛋白質のライブラリー、リガンドを基盤とするキメラ受容体のライブラリー、および/またはリガンドを基盤とするキメラ受容体のライブラリーを発現する細胞のライブラリーを分析することを含む。本発明はまた、化合物ライブラリーを分析することを含む。実施態様においては、ベイトが化合物に結合するが、このベイト/化合物複合体はプレイと相互作用してもよい。したがって、実施態様において、本法は化合物仲介性の新規の蛋白質/蛋白質相互作用および/または新規の蛋白質/化合物相互作用の検出および/または発見を可能にする。実施態様において、本法は分子糊として働く新規化合物の検出および/または発見を可能にする。実施態様において、本法は弱いベイト/プレイ相互作用を強いベイト/プレイ相互作用に変換する新規化合物の検出および/または発見を可能にする。
【0023】
例えば、プレイイブラリーは、本明細書に記載の方法を実施するために好適な少なくとも2つの異なるタイプ/種類の固有のプレイ蛋白質を含む。
【0024】
本発明の受容体ライブラリーは、各キメラ受容体またはキメラ受容体集団のそれぞれが、異なるタイプ/種類のプレイ蛋白質に融合している、リガンドを基盤とするキメラ受容体を少なくとも2種類含む。該細胞ライブラリーは、それぞれの細胞または細胞集団が1タイプ/種類のキメラ蛋白質を発現しており、キメラ蛋白質が1種類以上の種類/タイプのプレイ蛋白質に融合している、少なくとも2つの異なる種類/タイプの細胞を含む。
【0025】
いくつかの実施態様において、該細胞ライブラリーは、第1の細胞集団/画分および第2の細胞集団/画分を含み、ここで該1の細胞集団では、第1の集団/画分のキメラ受容体が第1の種類のプレイ蛋白質に融合しており、該第2の細胞集団では、第2の集団/画分のキメラ受容体が第2の種類のプレイ蛋白質に融合している。細胞ライブラリーに含まれる細胞集団の数は限定されない。例えば、一実施態様において、該細胞ライブラリーは2種類以上の異なる細胞集団を含むが、ここで各細胞集団は、キメラ受容体に融合した異なるプレイ蛋白質を有しており、その点で他の集団と異なる。
【0026】
いくつかの実施態様において、該受容体ライブラリーは、1種類/タイプのプレイ蛋白質に融合しているキメラ受容体である第1の集団のキメラ受容体および別の1種類/タイプのプレイ蛋白質に融合している受容体である第2の集団のキメラ受容体を含む。受容体ライブラリーに含まれ得る異なるタイプ/種類のキメラ受容体の数については制限がない。例えば、一実施態様において、該受容体ライブラリーは、2種類以上の異なるキメラ受容体集団を含むが、ここで各受容体集団は、キメラ受容体に融合した異なるプレイ蛋白質を有しており、その点で他の集団とは異なる。
【0027】
様々な実施態様において、本法はキメラ受容体に融合したプレイ蛋白質のオープンリーディングフレーム(ORF)ライブラリーに関連する。様々な実施態様において、本法はキメラ受容体に融合したプレイ蛋白質のORFライブラリーを有する細胞集団に関連する。実施態様において、キメラ受容体に融合したプレイ蛋白質に関するそのようなORFライブラリーは、キメラ受容体には融合していない単一ベイトを試験する目的で利用することができる。
【0028】
様々な実施態様において、本法は、例えば、各種のベイト蛋白質をコードするcDNAが表面上にスポットされているアレイ型形態に関連する。様々な実施態様において、本法は、例えば、ベイト蛋白質のライブラリーを細胞に導入して、平均的には各細胞が単一ベイトを発現するようにした細胞の細胞集団を基盤とする方法に関連する。そのような実施態様においては、化合物および/またはベイトと相互作用した場合に、当該コードcDNAを同定してその相互作用を明らかにする。実施態様においては、そのような同定にFACSまたは微量流体分離を用いる。
【0029】
様々な実施態様においては、複数のプレイ蛋白質を単一ベイトとの分子相互作用に関して分析するが、ここでベイトはリガンド依存性キメラ受容体に融合していない。
【0030】
いくつかの実施態様においては、該分子相互作用は蛋白質/蛋白質相互作用である。実施態様においては、ベイトおよびプレイはいずれも蛋白質である。
【0031】
いくつかの実施態様において、該方法は、プレイ蛋白質またはベイト蛋白質に結合する低分子を導入することをさらに含む。いくつかの実施態様においては、該分子相互作用は、低分子がプレイ蛋白質またはベイト蛋白質に結合することによって仲介される蛋白質/蛋白質相互作用である。実施態様においては、ベイトおよびプレイはいずれも蛋白質である。
【0032】
いくつかの実施態様において、該分子相互作用は、低分子がプレイ蛋白質またはベイト蛋白質に結合することによって仲介される2種類以上の蛋白質/蛋白質相互作用である。いくつかの実施態様においては、該低分子のプレイ蛋白質またはベイト蛋白質との結合によって仲介される蛋白質/蛋白質相互作用は、蛋白質/蛋白質界面の部位におけるプレイ蛋白質またはベイト蛋白質と低分子との間の直接結合である。
【0033】
いくつかの実施態様においては、該低分子のプレイ蛋白質またはベイト蛋白質との結合によって仲介される蛋白質/蛋白質相互作用は、プレイ蛋白質またはベイト蛋白質の蛋白質表面のアロステリック修飾によって媒介される。
【0034】
いくつかの実施態様において、該低分子はプレイ蛋白質またはベイト蛋白質との相互作用を可能にするプレイ蛋白質またはベイト蛋白質の疎水性表面の露出を誘導する。いくつかの実施態様においては、該低分子がベイト蛋白質の疎水性表面露出を誘導し、それによってプレイ蛋白質との相互作用が可能になる。いくつかの実施態様においては、該低分子がプレイ蛋白質の疎水性表面露出を誘導し、それによってベイト蛋白質との相互作用が可能になる。
【0035】
いくつかの実施態様においては、該低分子は分子糊である。いくつかの実施態様においては、該低分子は二価ハイブリッドリガンド分子(例えば、PROTACが挙げられるが、これのみに限定されるものではない)である。
【0036】
いくつかの実施態様においては、該分子相互作用は複合体形成である。
【0037】
いくつかの実施態様において、該分子相互作用は低分子/蛋白質相互作用である。
【0038】
いくつかの実施態様において、プレイ蛋白質は低分子に結合しており、リンカーを介して該低分子が、ベイト蛋白質に結合する第2の低分子に連結している。いくつかの実施態様において、ベイト蛋白質は低分子に結合しており、リンカーを介して該低分子が、プレイ蛋白質に結合する第2の低分子に連結している。
【0039】
様々な実施態様においては、該第1の受容体および第2の受容体は同一の受容体である。
【0040】
様々な実施態様においては、該第1の受容体および第2の受容体は異なる受容体である。
【0041】
様々な実施態様においては、該第1の受容体および/または第2の受容体は多量体化受容体である。
【0042】
いくつかの実施態様においては、該リガンド結合ドメインはサイトカイン受容体に由来する。いくつかの実施態様においては、該リガンド結合ドメインは1型サイトカイン受容体(CR)に由来する。
【0043】
いくつかの実施態様においては、該リガンド結合ドメインは、エリスロポエチン受容体(EpoR)またはレプチン受容体に由来する。いくつかの実施態様においては、該膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインはマウスレプチン受容体に由来する。
【0044】
いくつかの実施態様において、該ベイトは、該第1の受容体および/または第2の受容体断片に対して異種である。
【0045】
いくつかの実施態様において、該細胞内ドメインはJAK結合部位を含む。
【0046】
いくつかの実施態様において、該細胞内ドメインは糖蛋白質130(gp130)またはその断片を含む。
【0047】
いくつかの実施態様において、該受容体断片は糖蛋白質130(gp130)またはその断片を含む。
【0048】
いくつかの実施態様において、該STATはSTAT1またはSTAT3から選択される。
【0049】
いくつかの実施態様において、STATの動員を低減または排除する変異は、1か所以上のチロシンリン酸化部位において起こる。いくつかの実施態様においては、該膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインはマウスレプチン受容体に由来し、該変異はY985、Y1077、およびY1138の位置のうちの1か所以上である。いくつかの実施態様において、該膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインは、マウスレプチン受容体に由来し、該変異はY985F、Y1077F、およびY1138Fである。いくつかの実施態様において、該膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインは、マウスレプチン受容体のY985F、Y1077F、およびY1138Fと機能的に同等の変異を有する。いくつかの実施態様においては、膜貫通ドメインの欠失が提供されるが、JAK結合については保持される。
【0050】
マウスレプチン受容体のアミノ酸配列は以下である:
MMCQKFYVVLLHWEFLYVIAALNLAYPISPWKFKLFCGPPNTTDDSFLSPAGAPNNASALKGASEAIVEAKFNSSGIYVPELSKTVFHCCFGNEQGQNCSALTDNTEGKTLASVVKASVFRQLGVNWDIECWMKGDLTLFICHMEPLPKNPFKNYDSKVHLLYDLPEVIDDSPLPPLKDSFQTVQCNCSLRGCECHVPVPRAKLNYALLMYLEITSAGVSFQSPLMSLQPMLVVKPDPPLGLHMEVTDDGNLKISWDSQTMAPFPLQYQVKYLENSTIVREAAEIVSATSLLVDSVLPGSSYEVQVRSKRLDGSGVWSDWSSPQVFTTQDVVYFPPKILTSVGSNASFHCIYKNENQIISSKQIVWWRNLAEKIPEIQYSIVSDRVSKVTFSNLKATRPRGKFTYDAVYCCNEQACHHRYAELYVIDVNINISCETDGYLTKMTCRWSPSTIQSLVGSTVQLRYHRRSLYCPDSPSIHPTSEPKNCVLQRDGFYECVFQPIFLLSGYTMWIRINHSLGSLDSPPTCVLPDSVVKPLPPSNVKAEITVNTGLLKVSWEKPVFPENNLQFQIRYGLSGKEIQWKTHEVFDAKSKSASLLVSDLCAVYVVQVRCRRLDGLGYWSNWSSPAYTLVMDVKVPMRGPEFWRKMDGDVTKKERNVTLLWKPLTKNDSLCSVRRYVVKHRTAHNGTWSEDVGNRTNLTFLWTEPAHTVTVLAVNSLGASLVNFNLTFSWPMSKVSAVESLSAYPLSSSCVILSWTLSPDDYSLLYLVIEWKILNEDDGMKWLRIPSNVKKFYIHDNFIPIEKYQFSLYPVFMEGVGKPKIINGFTKDAIDKQQNDAGLYVIVPIIISSCVLLLGTLLISHQRMKKLFWDDVPNPKNCSWAQGLNFQKPETFEHLFTKHAESVIFGPLLLEPEPISEEISVDTAWKNKDEMVPAAMVSLLLTTPDPESSSICISDQCNSANFSGSQSTQVTCEDECQRQPSVKYATLVSNDKLVETDEEQGFIHSPVSNCISSNHSPLRQSFSSSSWETEAQTFFLLSDQQPTMISPQLSFSGLDELLELEGSFPEENHREKSVCYLGVTSVNRRESGVLLTGEAGILCTFPAQCLFSDIRILQERCSHFVENNLSLGTSGENFVPYMPQFQTCSTHSHKIMENKMCDLTV(配列番号:1)。
【0051】
いくつかの実施態様において、該ドメインはマウスレプチン受容体に由来し、マウスレプチン受容体の配列のアミノ酸839~1162に由来する。
【0052】
いくつかの実施態様において、該ベイト蛋白質は核外搬出配列(NES)を含む。例えば、実施態様において、該ベイト蛋白質は核内蛋白質であるが、該NESによって細胞質中に存在可能となる(すなわち、プレイが利用できる場合には、プレイと接触させることができる)。したがって、実施態様においては、強力な核局在化シグナルが存在する場合であっても、該NESシグナルは、ベイトポリペプチドが細胞質内に存在する状態を支援するので、プレイとの相互作用が促進される。
【0053】
いくつかの実施態様においては、該NESは1~4個の疎水性残基を有する。いくつかの実施態様においては、該疎水性残基はロイシンである。いくつかの実施態様においては、該NESは配列LxxxLxxLxLを有するが、ここでLは疎水性残基であり、xは他の任意のアミノ酸である。いくつかの実施態様においては、該NESは配列LxxxLxxLxLを有するが、ここでLはロイシンであり、xは他の任意のアミノ酸である。
【0054】
いくつかの実施態様において、該NESは、cAMP依存性蛋白質キナーゼの熱安定阻害因子のアミノ酸37~46を含むが、これは強力な核局在化シグナルを無効化することが示されている(Wileyら、(1999)、J. Biol. Chem. 274:6381-6387;本参考文献は参照としてその全内容が本明細書に組み入れられる)。
【0055】
いくつかの実施態様において、本法は、新規相互作用パートナー、例えば、化合物に結合する蛋白質の基質またはネオ基質の同定を可能にするが、ここで該蛋白質は、該化合物のグルタルイミド環と、例えば、水素結合によって相互作用することのできる、カゴ(cage)状配置をとる3つのトリプトファン残基を有する。いくつかの実施態様において、該相互作用パートナー(例えば、ネオ基質)は、表面β-ヘアピンループを有し、該表面β-ヘアピンループは、ターンの先端に3つのバックボーン水素結合受容体とそれに続くグリシン残基の配置を有してもよい。いくつかの実施態様において、該相互作用パートナー(例えば、ネオ基質)はデグロンモチーフを有する(Meszarosら、Sci Signal 2017:10、470を参照のこと;本参考文献は参照としてその全内容が本明細書に組み入れられる)。
【0056】
いくつかの実施態様においては、該ベイトは、該化合物(免疫調節薬剤または免疫調節性イミド薬剤(IMiD)など)のグルタルイミド環と、例えば、水素結合によって相互作用することのできる、カゴ(cage)状配置をとる3つのトリプトファン残基を有する蛋白質である。
【0057】
いくつかの実施態様においては、該プレイ(例えば、ネオ基質)は、表面β-ヘアピンループを有し、該表面β-ヘアピンループは、ターンの先端に3つのバックボーン水素結合受容体とそれに続くグリシン残基の配置を有してもよい。いくつかの実施態様においては、該プレイ(例えば、ネオ基質)はデグロンモチーフを有する(Meszarosら、Sci Signal 2017:10、470を参照のこと;本参考文献は参照としてその全内容が本明細書に組み入れられる)。
【0058】
いくつかの実施態様において、該ベイトはユビキチンプロテアソームシステムを調節する蛋白質である。いくつかの実施態様において、該ベイトは、E3リガーゼ蛋白質、またはE3リガーゼ蛋白質を調節する蛋白質である。いくつかの実施態様において、該ベイトはカリンリングリガーゼ(CRL)蛋白質またはCRL蛋白質を調節する蛋白質である。様々な実施態様において、該ベイトはCRL4蛋白質またはCRL4蛋白質を調節する蛋白質である。いくつかの実施態様において、該ベイトはDDB1-CUL4関連因子(DCAF)蛋白質またはDCAFを調節する蛋白質である。
【0059】
いくつかの実施態様において、該ベイトは、セレブロン(CRBN)、損傷DNA結合蛋白質1(DDB1)、カリン4A(CUL4A)、カリン1の制御因子(ROC1)、およびフォン・ヒッペル・リンドウ(Von Hippel Lindau:VHL)のうちの1種類以上であるか、またはそれらを含む。様々な実施態様においては、該ベイトは、セレブロン(CRBN)、損傷DNA結合蛋白質1(DDB1)、カリン4A(CUL4A)、カリン1の制御因子(ROC1)、およびフォン・ヒッペル・リンドウ(Von Hippel Lindau:VHL)のうちの1種類以上である。様々な実施態様においては、該プレイ、セレブロン(CRBN)、損傷DNA結合蛋白質1(DDB1)、カリン4A(CUL4A)、カリン1の制御因子(ROC1)、およびフォン・ヒッペル・リンドウ(Von Hippel Lindau:VHL)のうちの1種類以上である。
【0060】
いくつかの実施態様において、該ベイトは、任意選択的にFKBP12、FKBP38およびFKBP52から選択されるFK506結合蛋白質(FKBP)であるか、またはそれを含む。
【0061】
いくつかの実施態様においては、該ベイト蛋白質は受容体断片に融合している。いくつかの実施態様においては、該ベイト蛋白質は受容体断片のN末端またはC末端に融合している。いくつかの実施態様においては、該ベイト蛋白質はgp130またはその断片に融合している。いくつかの実施態様においては、該ベイト蛋白質はgp130またはその断片のN末端またはC末端に融合している。
【0062】
実施態様において、該ベイトは2種類以上の蛋白質(例えば2種類、または3種類、または4種類、または5種類の蛋白質)である。実施態様において、該ベイトは、低分子および/またはベイトと相互作用可能な第1の蛋白質を含み、足場蛋白質は第1の蛋白質と相互作用する。いくつかの実施態様においては、本法は図3のシステムを利用する。
【0063】
いくつかの実施態様において、該足場蛋白質は受容体断片に融合している。いくつかの実施態様において、該足場蛋白質は受容体断片のN末端またはC末端に融合している。実施態様において、該足場蛋白質はgp130またはその断片に融合している。実施態様において、該足場蛋白質はgp130またはその断片のN末端またはC末端に融合している。
【0064】
いくつかの実施態様において、該足場蛋白質は受容体断片に融合している。実施態様において、該足場蛋白質はgp130またはその断片に融合しており、低分子および/またはベイトと相互作用可能な蛋白質は、プレイおよび/または低分子相互作用可能な該足場蛋白質と相互作用する。
【0065】
実施態様においては、該ベイトはE3リガーゼ基質結合サブユニットである。
【0066】
実施態様においては、該E3リガーゼ基質結合サブユニットは以下の遺伝子のいずれかによってコードされる蛋白質から選択される:
AMFR、ANAPC11、APG16L、ARIH1、ARIH2、ARPC1A、ARPC1B、ASB2、ASB2、ATG16L1、BAF250、BARD1、BIRC2、BIRC3、BIRC4、BIRC7、BMI1、BRAP、BRCA1、bTrCP、CBL、CBLB、CBLC、CBLL1、CCIN、CCIN、CCNB1IP1、CRBN、CHFR、CHIP、CNOT4、COP1、CSA、DCAF1、DCAF10、DCAF11、DCAF12、DCAF13、DCAF14、DCAF15、DCAF16、DCAF17、DCAF19、DCAF2、DCAF3、DCAF4、DCAF5、DCAF6、DCAF7、DCAF8、DCAF9、Dda1、DDB2、DET1、DNAI2、DTX3、DZIP3、E6AP、EDD、EED、ENC1、ENC1、FANCL、FBXL1、FBXL10、FBXL11、FBXL12、FBXL13、FBXL14、FBXL15、FBXL16、FBXL17、FBXL18、FBXL19、FBXL20、FBXL21、FBXL22、FBXL3、FBXL4、FBXL5、FBXL7、FBXL8、FBXO1、FBXO10、FBXO11、FBXO12、FBXO13、FBXO14、FBXO15、FBXO16、FBXO17、FBXO18、FBXO19、FBXO2、FBXO20、FBXO21、FBXO22、FBXO3、FBXO4、FBXO5、FBXO6、FBXO7、FBXO8、FBXW1、FBXW10、FBXW11、FBXW12、FBXW5、FBXW7、FBXW8、FBXW9、FEM1A、FEM1B、FEM1C、GAN、GAN、GNB1、GNB2、GNB5、GRWD1、GTF2H2、GTF3C2、HACE1、HECTD1、HECTD2、HECTD3、HERC1、HERC2、HERC3、HERC4、HERC5、HERC6、HLTF、HOIP、HUWE1、IBRDC2、IBRDC3、IFRG15、IPP、IPP、ITCH、IVNS1ABP、IVNS1ABP、KATNB1、KBTBD10、KBTBD10、KBTBD11、KBTBD11、KBTBD12、KBTBD12、KBTBD13、KBTBD13、KBTBD2、KBTBD2、KBTBD3、KBTBD3、KBTBD4、KBTBD4、KBTBD5、KBTBD5、KBTBD6、KBTBD6、KBTBD7、KBTBD7、KBTBD8、KBTBD8、KCTD5、KEAP、KEAP1、KIAA0317、KIAA0614、KLHDC5、KLHL1、KLHL1、KLHL10、KLHL10、KLHL11、KLHL11、KLHL12、KLHL12、KLHL13、KLHL13、KLHL14、KLHL14、KLHL15、KLHL15、KLHL17、KLHL17、KLHL18、KLHL18、KLHL2、KLHL2、KLHL20、KLHL21、KLHL21、KLHL22、KLHL22、KLHL23、KLHL23、KLHL24、KLHL24、KLHL25、KLHL25、KLHL26、KLHL26、KLHL28、KLHL28、KLHL29、KLHL29、KLHL3、KLHL3、KLHL30、KLHL30、KLHL31、KLHL31、KLHL32、KLHL32、KLHL33、KLHL33、KLHL34、KLHL34、KLHL35、KLHL35、KLHL36、KLHL36、KLHL38、KLHL38、KLHL4、KLHL4、KLHL5、KLHL5、KLHL6、KLHL6、KLHL7、KLHL7、KLHL8、KLHL8、KLHL9、KLHL9、LINCR、LNX1、LRR1、LRRC41、LRSAM1、LZTR1、LZTR1、MAGEA1、MAGE-A1、MAGEA2、MAGE-A2、MAGEA3、MAGE-A3、MAGEA6、MAGE-A6、MAGEB18、MAGE-B18、MAGEB2、MAGE-B2、MAGEC2、MAGE-C2、MALIN、MAP3K1、MARCH1、MARCH11、MARCH2、MARCH4、MARCH5、MARCH6、MARCH7、MARCH8、MARCH9、MDM2、MDM4、MEX、MGRN1、MIB1、MIB2、MID1、MKRN1、MNAT1、MUF1、MULAN、MURF、MYCBP2、MYLIP、Nedd4、NEDD4L、NEDL1、NEDL2、NEURL、NEURL2、NLE1、NUP43、OSTM1、PAFAH1B1、PARC、PARK2、PCGF1、PCGF2、PDZRN3、PEX10、PEX7、PJA1、PJA2、POC1A、PPIL2、PRAME、PRPF19、PWP1、RACK1、RAD18、RAE1、RAG1、RBBP4、RBBP5、RBBP6、RBBP7、RBCK1、RBX1、RCHY1、RFFL、RFPL4A、RFWD2、RING1、RNF103、RNF11、RNF111、RNF114、RNF12、RNF123、RNF125、RNF128、RNF13、RNF130、RNF133、RNF135、RNF138、RNF139、RNF14、RNF144A、RNF167、RNF168、RNF180、RNF181、RNF182、RNF185、RNF19、RNF2、RNF20、RNF20、RNF216、RNF25、RNF34、RNF4、RNF40、RNF41、RNF43、RNF43、RNF5、RNF6、RNF7、RNF8、RNF85、RPTOR、SCAP、SH3RF1、SHPRH、SIAH1、SIAH2、SMU1、SMURF1、SMURF2、SOCS1、SOCS3、SPOP、SPSB1、SPSB1、SPSB2、SPSB2、SPSB4、SPSB4、STXBP5L、SYVN1、TAF5L、TBL1Y、THOC3、TLE1、TLE2、TLE3、TOPORS、TRAF2、TRAF6、TRAF7、TRAIP、TRIAD3、TRIM1、TRIM10、TRIM11、TRIM12、TRIM13、TRIM14、TRIM15、TRIM16、TRIM17、TRIM18、TRIM2、TRIM21、TRIM22、TRIM23、TRIM24、TRIM25、TRIM26、TRIM27、TRIM28、TRIM29、TRIM29、TRIM3、TRIM31、TRIM32、TRIM33、TRIM36、TRIM37、TRIM39、TRIM40、TRIM41、TRIM44、TRIM45、TRIM47、TRIM5、TRIM50、TRIM52、TRIM54、TRIM55、TRIM58、TRIM59、TRIM62、TRIM65、TRIM66、TRIM7、TRIM71、TRIM8、TRIM9、TRIP12、TRPC4AP、TSSC1、UBE3B、UBE3C、UBE4A、UBE4B、UBOX5、UBR1、UBR2、UBR3、UBR4、UHRF1、UHRF2、VHL、VPS18、WDR12、WDR23、WDR26、WDR3、WDR31、WDR37、WDR39、WDR4、WDR47、WDR48、WDR5、WDR51B、WDR53、WDR57、WDR59、WDR5B、WDR61、WDR76、WDR77、WDR82、WDR83、WDR86、WSB1、WSB2、WWP1、WWP2、ZNF294、ZNF313、ZNF364、ZNRF1、ZNRF2、ZYG11A、ZYG11B、またはZYG11BL。
【0067】
実施態様において、該E3リガーゼ基質結合サブユニットはCRBNまたはVHLである。
【0068】
実施態様において、該足場蛋白質はE3リガーゼ基質結合サブユニットと相互作用し、該足場蛋白質とE3リガーゼ基質結合サブユニットとの間の複合体はプレイと相互作用する、あるいはその相互作用は低分子によって誘導または媒介される。
【0069】
実施態様において、該足場は以下から選択される:
BIRC6、CUL3、DDB1、ELOB、ELOC、RBX1、SKP1、UBCH5A、UBE2A、UBE2B、UBE2B2、UBE2C、UBE2D1、UBE2D2、UBE2D3、UBE2D4、UBE2E1、UBE2E2、UBE2E3、UBE2F、UBE2G1、UBE2G2、UBE2H、UBE2J1、UBE2J2、UBE2K、UBE2L3、UBE2L6、UBE2M、UBE2N、UBE2NL、UBE2O、UBE2Q1、UBE2Q2、UBE2QL、UBE2R1、UBE2R2、UBE2S、UBE2T、UBE2U、UBE2V1、UBE2V1、UBE2V2、およびUBE2W。
【0070】
いくつかの実施態様において、該足場蛋白質は、損傷DNA結合蛋白質1(DDB1)、カリン4A(CUL4A)、およびカリン1の制御因子(ROC1)から選択される。
【0071】
いくつかの実施態様において、プレイはCRBNの基質および/またはネオ基質である。実施態様において、CRBNの基質および/またはネオ基質は、iの側鎖とi+3のバックボーンNHとの間、およびiのバックボーンのカルボニル酸素とi+4のバックボーンNHとの間に水素結合を有するAsxまたはSTモチーフなどの、水素結合受容体を有する側鎖を含むi-残基を有するb-ヘアピンa-ターンを含む。実施態様において、i+4残基はグリシンである(GSPT1、CK1aが挙げられるが、これらのみに限定されるものではない)。実施態様において、CRBNの基質および/またはネオ基質は、システインである残基iおよびi+3ならびにグリシンであるi+4残基を含むb-ヘアピンa-ターンを有する。該2つのCys残基は亜鉛イオンに結合して、ターンの形態を強化する(IKZF1、ZnF692および以下の参考文献に報告されている全ての基質が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない:「CRBNによってサリドマイド類似体の標的となるヒトC2H2ジンクフィンガーデグロムを絞り込む(Defining the human C2H2 zinc finger degrome targeted by thalidomide analogs through CRBN)」、Sieversら、Science Vol.362、Issue 6414、DOI: 1 0.1126/science. aat0572 (2018);本参考文献は参照としてその全体が本明細書に組み入れられる)。実施態様においては、CRBNの基質および/またはネオ基質は、i+3の位置にグリシンを含むb-ヘアピンb-ターンである「偽性ループ」を有する。ターン構造は、i-1の側鎖の水素結合受容体とi+3グリシンのカルボニルとの間の水素結合によって強化され得る。
【0072】
いくつかの実施態様において、プレイは、イカロス(Ikaros)(IKZF1)、ヘリオス(Helios)(IKZF2)、アイオロス(Aiolos)(IKZF3)、Eos(IKZF4)、ペガサス(Pegasus)(IKZF5)、SALL4、CSNK1A、CK1a、およびZFP91のうちの1種類以上であるか、またはそれを含む。様々な実施態様において、プレイは、イカロス(Ikaros)(IKZF1)、ヘリオス(Helios)(IKZF2)、アイオロス(Aiolos)(IKZF3)、Eos(IKZF4)、ペガサス(Pegasus)(IKZF5)、SALL4、CSNK1A、CK1a、およびZFP91のうちの1種類以上である。いくつかの実施態様において、プレイは、イカロス(Ikaros)(IKZF1)、ヘリオス(Helios)(IKZF2)、アイオロス(Aiolos)(IKZF3)、Eos(IKZF4)、ペガサス(Pegasus)(IKZF5)、SALL4、CSNK1A、CK1a、およびZFP91のうちの1種類以上である。
【0073】
いくつかの実施態様において、該低分子または化合物は免疫調節物質である。いくつかの実施態様において、該化合物は、グルタルイミド環を含み、かつ任意選択的にフタルイミド環を含んでいてもよいグルタミン酸誘導体である。いくつかの実施態様において、該フタルイミド環は化学的に修飾される。いくつかの実施態様において、該グルタミン酸誘導体は本開示の実施態様にしたがう特性を有する合成誘導体であり得る。
【0074】
いくつかの実施態様において、該化合物は免疫調節薬剤または免疫調節性イミド薬剤(IMiD)として知られる化合物群の構成員である。
【0075】
実施態様において、該化合物はIMiD様グルタルイミド環を含むが、それ以外は化学構造的に異なっており、CRBNのグルタルアミド-IMiD(CRBNのIMiD結合ポケット)と同一または類似の低分子結合ポケットに結合する。実施態様において、該化合物はグルタルアミド環を含まずにCRBNのIMiDポケットに結合することができる。実施態様において、該化合物はCRBNに結合するがIMiDポケットには結合しない。実施態様においては、IMiDポケットにおいて結合するIMiDまたはIMiD様化合物と非競争的な様式で、該化合物がCRBNに結合する。
【0076】
いくつかの実施態様において、該化合物は:サリドマイド、レナリドミド、ポマリドミド、CC-220、CC-122、CC-885、またはその誘導体、類似体、光学異性体または光学異性体の混合物、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレート、または多形体;またはFK506(タクロリムス)、ラパマイシン(シロリムス)、およびシクロスポリンA(CsA)またはその誘導体または類似体と同一のCRBNベイト結合部位に競争的に結合する化合物;またはFK506(タクロリムス)、ラパマイシン(シロリムス)、およびシクロスポリンA(CsA)またはその誘導体または類似体と同一のFKBPベイト結合部位に競争的に結合する化合物、である。
【0077】
実施態様においては、該化合物は、FK506(タクロリムス)、ラパマイシン(シロリムス)、およびシクロスポリンA(CsA)またはその誘導体または類似体;あるいはFK506(タクロリムス)、ラパマイシン(シロリムス)、およびシクロスポリンA(CsA)またはその誘導体または類似体と同一のFKBPベイト結合部位に競争的に結合する化合物から選択される。
【0078】
いくつかの実施態様において、該化合物は、アバドミド、エンドミド、イベルドミド、レナリドミド、ミチンドミド、ポマリドミド、およびサリドマイド、またはその誘導体、類似体、光学異性体または光学異性体の混合物、またはその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物、共結晶、クラスレート、または多形体である。
【0079】
いくつかの実施態様において、本法はCRBN、DDB1、CUL4A、ROC1、およびVHLのうちの1種類以上をベイトとして含み、該ベイトを本明細書中に記載の化合物(例えば、CRBN、DDB1、CUL4A、ROC1、およびVHLのうちの1種類以上に結合する化合物、例えば、IMiD)に接触させて、ベイトが該化合物によって調節される場合にベイトと相互作用するプレイを発見する。例えば、本法では、該化合物によって調節されるベイトに接触して相互作用するプレイを同定する。いくつかの実施態様において、該プレイは、ベイトと相互作用するので、動員および/または分解される。そのような実施態様において、該化合物はプレイと直接には相互作用しない(例えば、ベイトとプレイとの間の複合体において、該化合物はプレイには接触しなくてもよいが、それのみに限定されるものではない);しかしながら、上記のみに限定されるものではない。
【0080】
いくつかの実施態様において、本法はCRBNの新規の基質またはネオ基質の同定を可能にする。
【0081】
様々な実施態様において、本法は新規分子相互作用を同定する。様々な実施態様において、本法は新規蛋白質/蛋白質相互作用を同定する。様々な実施態様においては、本法は低分子のプレイ蛋白質またはベイト蛋白質との結合によって仲介される新規蛋白質/蛋白質相互作用を同定する。
【0082】
様々な実施態様において、本法は、順MAPPITで分析した場合には、非検出または検出不良である分子相互作用を同定する。様々な実施態様においては、本法は、順MAPPITで分析した場合には、非検出または検出不良である蛋白質/蛋白質相互作用を同定する。様々な実施態様においては、本法は、プレイ蛋白質またはベイト蛋白質との低分子の結合によって媒介される蛋白質/蛋白質相互作用であって、順MAPPITで分析した場合には、非検出または検出不良である蛋白質/蛋白質相互作用を同定する。
【0083】
様々な実施態様において、本法では、バックグラウンドシグナルが、順MAPPITに見られるバックグラウンドシグナルよりも低い。様々な実施態様において、本法は、順MAPPITに見られる偽陽性シグナルよりも偽陽性シグナルが少ない。
【0084】
様々な実施態様において、本発明は、順MAPPITおよび本明細書に記載の方法の両方を用いることによる、分子相互作用の検出を提供する。したがって、この組み合わせ法によって、単一の方法、すなわち順MAPPITおよび本明細書に記載の方法、を用いた場合には検出されない分子相互作用の検出が可能になる。
【0085】
いくつかの実施態様においては、本法では図2A(右パネル)のシステムを用いる。
【0086】
いくつかの実施態様においては、本法では図3のシステムを用いる。
【0087】
実施例
実施例1:分子糊誘導性CRBN基質相互作用の検出に関する、MAPPIT順および逆アッセイ構成の比較
本実施例では、リガンド誘導性CRBN基質またはネオ基質を同定する目的で、Lemmensら、「MAPPIT、蛋白質/蛋白質相互作用の細胞内検出に関する哺乳動物2ハイブリッド法(MAPPIT, a mammalian two-hybrid method for in-cell detection of protein-protein interactions)」Methods Mol Biol. 2015;1278:447-55に記載の方法を利用するMAPPITアッセイを用いる。従来型のMAPPITアッセイは蛋白質/蛋白質相互作用をモニターするために用いられていた。ベイト蛋白質(蛋白質A)を融合蛋白質として発現するが、該融合蛋白質では蛋白質Aが、レプチン受容体の工学的に改変した細胞内受容体ドメインと遺伝子的に融合されており、該細胞内受容体ドメインはそれ自身がエリスロポエチン(Epo)受容体の細胞外ドメインに融合されている。該Epo受容体構成要素にEpoリガンドが結合することによって、受容体結合細胞内JAK2を活性化する。しかし、活性化JAK2は、STAT3結合およびそのリン酸化を引き起こすレプチン受容体を活性化できない;理由は、正常であれば活性化JAK2によってリン酸化されるそのチロシン残基に変異が導入されているからである。代わりに蛋白質Bと蛋白質Aの相互作用によって、JAK2リン酸化可能STAT3ドッキング部位の再構成を行う;これにより、蛋白質Bはgp130受容体の細胞内ドメインに融合する(活性化JAK2キナーゼが認識する適正なチロシン残基を含むことになる)。すなわち、蛋白質Aと蛋白質Bの物理的相互作用または蛋白質Aおよび蛋白質Bを含む蛋白質複合体の形成によって、EPOが惹起するJAK2-STAT3シグナル伝達経路の活性化が再構成される。STAT3の活性化は、ルシフェラーゼをコードする遺伝子または蛍光マーカー(GFPまたは他の種類の蛍光蛋白質(EGFPなど)など)をコードする遺伝子を含むSTAT3応答性レポーター遺伝子を導入することによってモニターできる。このようにして、MAPPITアッセイは無損傷細胞におけるそのような組換え蛋白質/蛋白質相互作用を評価する汎用アッセイを提供する。
【0088】
本実施例1では、本発明者らが開発した、特にCRBNリガンド誘導性蛋白質相互作用の判定に用いる(すなわち、特異的なCRBNベイト蛋白質を利用し、蛋白質複合体形成のリガンド依存性誘導についてアッセイする)MAPPITアッセイ派生法を用いた。以前に報告されている従来型のMAPPITアッセイ構成(本明細書では、「順」とよぶ)では、目的のベイト蛋白質(本実施例1ではCRBN)をMAPPITキメラ膜受容体との融合物として発現し、相互作用する標的蛋白質を細胞内gp130受容体断片(本実施例1の場合には、IKZF1、IKZF3、IKZF3、SALL4、ZFP91またはCSNK1A1)に融合する。ここでは、ベイトとプレイ融合物とを逆にした「逆」アッセイ構成とよぶ、別のアッセイモードを例示する;すなわち、CRBNベイトをgp130断片に融合し、基質蛋白質を膜貫通キメラ受容体に融合する。
【0089】
古典的な順モードに比べて、この逆アッセイ構成は数々の利点を有する。第1に、天然には細胞質よりも他の細胞区画に局在する目的標的蛋白質は、gp130融合物として用いた場合には、膜結合ベイト(ここでは、CRBN)と相互作用ができるほど接近可能とはならない。この場合には、設定を逆にして、標的蛋白質をMAPPITキメラ膜貫通受容体に連結して強制的に細胞質に局在化させることによって、この問題を解決し得る。そのような一例としてはIKZF3が挙げられるが、これは実施例2で考察する。
【0090】
gp130融合構築物よりもMAPPIT受容体融合物に標的/プレイ蛋白質を用いたほうが有益である別の例は、gp130-融合蛋白質としての標的/プレイ蛋白質が、相互作用する蛋白質ベイト以外のMAPPITキメラ受容体構成要素(例えば、レプチン受容体の細胞内部分またはJAK2)に対して親和性を示す場合である。この場合には、上記の「接着性」によって、特異的ベイト/プレイ相互作用が非存在の状態であっても、高いレポーターシグナルを既に発生しており、そのことが特異的蛋白質/蛋白質または化合物誘導性ベイト/プレイ相互作用によって誘導されるさらなるシグナル増加を不明瞭にする可能性がある。その構成を逆にして、代わりにMAPPITキメラ受容体に標的/プレイ蛋白質を融合することにより、そのようなバックグラウンドシグナルは防止される。実施例3においては、CRBNとCSNK1A1(CK1a)との間の化合物誘導性相互作用について、このことを例示する。
【0091】
本実施例1では、蛋白質のCRBNに対するレナリドミド誘導性およびCC-220誘導性結合の検出について、順および逆MAPPITアッセイ構成の両方を評価した。文献(Lievensら、「アレイMAPPIT:哺乳動物細胞における高速大量処理インタラクトーム分析(Array MAPPIT: high-throughput interactome analysis in mammalian cells)」、 Journal of Proteome Research 8.2 (2009): 877-886)に記載のように、MAPPIT受容体融合物をコードするプラスミド(pSEL;順モードではCRBN、または逆モードでは試験した基質/プレイ蛋白質のすべて)、MAPPIT gp130融合物をコードするプラスミド(逆モードではCRBN、または順モードでは試験した基質/プレイ蛋白質のすべて)およびSTAT3応答性ルシフェラーゼをコードするレポータープラスミド(pXP2d2-rPAPIルシフェラーゼレポータープラスミド)で、HEK293T細胞を形質転換した。試験した標的/プレイ蛋白質のそれぞれについて、完全長蛋白質を融合したが、例外は、IKZF1であり、この場合にはイソ型7を用いた。本実施例1に用いたMAPPIT受容体融合物は、レプチン受容体の工学的に改変したシグナル伝達不全細胞内ドメインに融合した目的蛋白質(CRBNまたは標的/プレイ蛋白質)であって、該細胞内ドメイン自体がエリスロポエチン(EPO)受容体の細胞外ドメインに融合しているものから成る。受容体/受容体結合JAK2活性化を促進するために、EPO受容体細胞外ドメインとレプチン受容体細胞外ドメイン(実施例4で用いられるように)を相互代替的に用いることができる(該活性化は、それぞれEPOまたはレプチンによる)。形質転換から24時間後に、表示用量の被検化合物の存在下または非存在下で、細胞をエリスロポエチン(EPO)で処理した。被検化合物処理から24時間後に、ルシフェラーゼアッセイシステムキット(PROMEGA、Madison、WI)とEnsightプレートリーダー(PERKIN ELMER LIFE SCIENCES、Waltham、MA)を用いて、ルシフェラーゼ活性を測定した。データ点は、EPO+被検化合物で処理した細胞のEPOのみで処理した細胞に対する平均ルシフェラーゼ活性の誘導倍率(三重試料)を表している。誤差棒は標準偏差を表す。曲線のフィッティングはGRAPHPAD PRISMソフトウエアにより4パラメーター非線型回帰を用いて行った。図から分かるように、ほとんどのCRBN/(ネオ)基質/プレイ相互作用について、逆アッセイ構成のみが化合物誘導性CRBN相互作用を検出可能であった。
【0092】
実施例2:gp130融合物の免疫蛍光染色では、CRBN-IKZF3 MAPPIT順アッセイ構成におけるシグナル欠如に一致して、例外なくgp130-IKZF3融合蛋白質が核内に局在することが分かる
本試験では、免疫蛍光染色によって、gp130融合蛋白質の細胞内局在を調べた。実施例1に記載のように、順構成のMAPPITを用いた場合に特定の相互作用が検出されない理由は、gp130-標的融合蛋白質が細胞質内で発現していない可能性が考えられる。そこで、ポリLリジンをコーティングしたガラススライドにHEK293T細胞を播種し、24時間後にFlag-gp130-IKZF3をコードするプラスミドまたはFlag-gp130-IKZF1(イソ型7)で形質転換した。さらに形質転換から24時間後に、細胞をパラフォルムアルデヒドで固定し、Triton X-100によって透過性処理してから抗Flag (SIGMA)1次抗体、および次いでAlexaFluor488標識2次抗体(THERMO Scientific)で染色した。同時に、核をDAPI色素(SIGMA)で染色した。この染色細胞調製物をVectashield封入溶液(VECTOR Laboratories)で封入し、共焦点顕微鏡(OLYMPUS)で撮像した。図5に示す画像上で、gp130融合蛋白質およびDAPI染色は、それぞれ緑色および青色で示される。IKZF1 gp130融合蛋白質とIKZF3 gp130融合蛋白質との間の細胞内局在の相違、すなわち発現がそれぞれ細胞質または核に局在することを、得られた顕微鏡像は明確に示しており、上記の考察にように、MAPPIT順アッセイ構成で得られた結果と整合している。
【0093】
実施例3:CSNK1A1-gp130融合物のMAPPITキメラ受容体の共通構成要素に対する非特異的結合が高バックグラウンドのレポーターシグナルを与え、順アッセイ構成における化合物依存性シグナル検出を不明瞭にする
本実施例3では、Lemmensら、「MAPPIT、蛋白質/蛋白質相互作用の細胞内検出に関する哺乳動物2ハイブリッド法(MAPPIT, a mammalian two-hybrid method for in-cell detection of protein-protein interactions)」Methods Mol Biol. 2015;1278:447-55に記載のような、順MAPPITアッセイを用いて蛋白質/蛋白質相互作用の分析を行った。文献(Lievensら、「アレイMAPPIT:哺乳動物細胞における高速大量処理インタラクトーム分析(Array MAPPIT: high-throughput interactome analysis in mammalian cells)」、 Journal of Proteome Research 8.2 (2009): 877-886)に記載のように、CSNK1A1-gp130融合物 (N末端またはC末端のいずれに融合したもの)をコードするプラスミドおよびSTAT3応答性ルシフェラーゼをコードするレポータープラスミド(pXP2d2-rPAPIルシフェラーゼレポータープラスミド)と共に、CRBNまたは大腸菌DHFR(ジヒドロ葉酸還元酵素)のいずれかに連結されたMAPPIT受容体融合物(レプチン受容体の工学的に改変した細胞内ドメインに融合したEPO細胞外ドメイン;実施例1でも用いられている)をコードするプラスミドで、HEK293T細胞を形質転換した。形質転換から24時間後に、細胞をEPO処理するか、または非処理のままにした。24時間後に、ルシフェラーゼアッセイシステムキット(PROMEGA、Madison、WI)とEnsightプレートリーダー(PERKIN ELMER LIFE SCIENCES、Waltham、MA)を用いて、ルシフェラーゼ活性を測定した。データ点は、EPOで処理した細胞の非処理細胞に対する平均ルシフェラーゼ活性の誘導倍率(三重試料)を表している。誤差棒は標準偏差を表す。観察された強いシグナルは、CSNK1A1/gp130融合蛋白質とキメラ受容体蛋白質との間で起こる強力な相互作用であって、それに結合したベイト蛋白質の性質とは無関係な、すなわち、ベイト蛋白質以外の膜貫通キメラ受容体構成要素への結合を示唆する。実施例1でも考察しているが、この接着性は、順アッセイ構成においてCSNK1A1のCRBNとの相互作用分析を妨害する。図6を参照のこと。
【0094】
実施例4:MAPPIT逆CRBN相互作用アッセイにおける、代替的CSNK1A1キメラ受容体融合蛋白質の評価
ここでは、CRBNとCSNK1A1ネオ基質との間のレナリドミド依存性相互作用およびCC-220依存性相互作用の検出に関して、逆MAPPIT相互作用アッセイを用いたが、実施例1で考察したものに類似しているものの、代替的CSNK1A1受容体融合物を利用した点において相違がある。既に実施例1で言及しているように、EPO細胞外ドメインをレプチン受容体の細胞外ドメインで代替した代替的受容体融合物が利用可能であるが、そのアッセイシステムでは、EPOの代わりにレプチンで活性化を行う。本実施例では、文献(Lievensら、「アレイMAPPIT:哺乳動物細胞における高速大量処理インタラクトーム分析(Array MAPPIT: high-throughput interactome analysis in mammalian cells)」、 Journal of Proteome Research 8.2 (2009): 877-886)に記載のように、レプチン受容体細胞外ドメインを含むMAPPIT受容体融合物に融合したCSNK1A1をコードするプラスミド(pCLG-CSNK1A1)、部分的gp130ドメインに融合したCRBNをコードするプラスミドおよびSTAT3応答性ルシフェラーゼをコードするレポータープラスミド(pXP2d2-rPAPIルシフェラーゼレポータープラスミド)で、HEK293T細胞を形質転換した。形質転換から24時間後に、表示用量の被検化合物の存在下または非存在下で、細胞をレプチンで処理した。被検化合物処理から24時間後に、ルシフェラーゼアッセイシステムキット(PROMEGA、Madison、WI)とEnsightプレートリーダー(PERKIN ELMER LIFE SCIENCES、Waltham、MA)を用いて、ルシフェラーゼ活性を測定した。データ点は、レプチン+被検化合物で処理した細胞のレプチンのみで処理した細胞に対する平均ルシフェラーゼ活性の誘導倍率(三重試料)を表している。誤差棒は標準偏差を表す。図7のデータは、この代替的MAPPIT受容体融合物も、逆アッセイ構成においてCRBNとの分子糊依存性ネオ基質相互作用の検出を可能にすることを示唆している。
【0095】
実施例5:順および逆MAPPITアッセイ構成における、化合物誘導性FKBP1A(FKBP12)基質相互作用の検出
本実施例では、FKBP1A(FKBP12)とMTORおよびカルシニューリンサブユニットとの化合物依存性相互作用の検出に関して、順および逆MAPPITアッセイ構成を比較した。実験設定は実施例1に記載の方法にしたがい、以下のMAPPIT受容体およびgp130融合物をコードするプラスミド構築物を用いた:順モードでは、EPO受容体細胞外ドメインを含むMAPPITキメラ受容体構築物にFKBP12ベイトを融合(pSEL-FKBP1A)し、標的蛋白質は部分的gp130ドメイン(MTOR FRBドメインまたはPPP3CA)に融合した;逆モードアッセイでは、FKBP1Aベイトを部分的gp130ドメインに融合し、MTOR(FRB)またはPPP3CAをMAPPIT膜貫通受容体に融合した(pSEL-MTOR(FRB)およびpSEL-PPP3CA)。カルシニューリン相互作用については、付加的にもうひとつのアッセイ設定を用いたが、その設定では、MAPPIT受容体およびgp130融合物に加えて、非融合PPP3R2を発現するプラスミドを共発現させた。PPP3R2はカルシニューリン調節サブユニットをコードし、またFK506マクロライド誘導性FKBP1A-カルシニューリン相互作用を増強/促進することが報告されている。文献(Lievensら、「アレイMAPPIT:哺乳動物細胞における高速大量処理インタラクトーム分析(Array MAPPIT: high-throughput interactome analysis in mammalian cells)」、 Journal of Proteome Research 8.2 (2009): 877-886)に記載のように、表示の受容体をコードするプラスミドおよびgp130をコードするプラスミドおよびSTAT3応答性ルシフェラーゼをコードするレポータープラスミド(pXP2d2-rPAPIルシフェラーゼレポータープラスミド)で、HEK293T細胞を形質転換した。形質転換から24時間後に、表示用量の被検化合物(ラパマイシンまたはFK506)の存在下または非存在下で、細胞をEPOで処理した。被検化合物処理から24時間後に、ルシフェラーゼアッセイシステムキット(PROMEGA、Madison、WI)とEnsightプレートリーダー(PERKIN ELMER LIFE SCIENCES、Waltham、MA)を用いて、ルシフェラーゼ活性を測定した。データ点は、EPO+被検化合物で処理した細胞のEPOのみで処理した細胞に対する平均ルシフェラーゼ活性の誘導倍率(三重試料)を表している。誤差棒は標準偏差を表す。曲線のフィッティングはGRAPHPAD PRISMソフトウエアにより4パラメーター非線型回帰を用いて行った。図8A~Cに示す結果は、順および逆アッセイモードの両方がFKBP12相互作用を検出可能であることを示している。
【0096】
実施例6:CRBNとDHFRとの間のレナリドミド・ハイブリッドリガンド誘導性結合の評価
ここでは、PEGリンカーを介してCRBNリガンドであるレナリドミド(LEN)に融合したDHFRリガンド・トリメトプリム(TMP)から成るハイブリッド分子によって誘導されるCRBNとDHFR(ジヒドロ葉酸還元酵素)との間の結合に関する評価を、MAPPIT逆アッセイモードを用いて行った。文献(Lievensら、「アレイMAPPIT:哺乳動物細胞における高速大量処理インタラクトーム分析(Array MAPPIT: high-throughput interactome analysis in mammalian cells)」、 Journal of Proteome Research 8.2 (2009): 877-886)に記載のように、STAT3応答性ルシフェラーゼをコードするレポータープラスミド(pXP2d2-rPAPIルシフェラーゼレポータープラスミド)と共に、レプチン受容体細胞外ドメインを含むキメラMAPPIT派生的受容体に連結した(大腸菌)DHFRアンカー蛋白質の融合構築物をコードするプラスミド(pCLG-DHFR)およびgp130-CRBNベイト融合構築物で、HEK293T細胞を共形質転換した。形質転換から24時間後に、表示濃度のTMP-LENハイブリッドリガンドの存在下および非存在下で細胞をレプチン処理し、さらに24時間後に、ルシフェラーゼ活性を測定した。図9に示す用量応答曲線は、レプチン+被検化合物で処理した細胞のレプチンのみで処理した細胞に対する平均ルシフェラーゼ活性の誘導倍率(三重試料)を表す。誤差棒は標準偏差を表し、曲線のフィッティングはGRAPHPAD PRISMソフトウエアにより4パラメーター非線型回帰を用いて行った。本明細書に記載のMAPPIT逆アッセイを用いることにより、ハイブリッドリガンドで誘導される2蛋白質間の結合が評価可能であることを、本実施例は示唆している。
【0097】
実施例7:CRBN逆MAPPITアッセイを用いた、CRBNへの分子糊結合の特徴付け
実施例6に記載のようなMAPPITアッセイを用いて、CRBNに対する分子糊結合の評価を行った;すなわち、細胞内におけるCRBNへの結合に関して、被検化合物がTMP-レナリドミド・ハイブリッドリガンドと競争する能力を判定することによって評価した。文献(Lievensら、「アレイMAPPIT:哺乳動物細胞における高速大量処理インタラクトーム分析(Array MAPPIT: high-throughput interactome analysis in mammalian cells)」、 Journal of Proteome Research 8.2 (2009): 877-886)に記載のように、変異レプチン受容体の細胞内ドメインの末尾に融合した大腸菌ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)をコードするプラスミド(pCLG-DHFR)、gp130細胞内ドメインを融合したCRBNプレイをコードするプラスミド、またはDHFR融合蛋白質のレプチン受容体に直接相互作用可能なgp130-REM2対照融合物をコードするプラスミド、およびSTAT3応答性pXP2d2-rPAPIルシフェラーゼレポータープラスミドで、標準的な形質転換法を用いて、実施例6と同様にHEK293T細胞を形質転換した。形質転換から24時間後に、表示用量の被検化合物の存在下および非存在下で、細胞をレプチン処理してレプチン受容体融合蛋白質を活性化し、300nMのTMP-レナリドミド融合化合物(トリメトプリムがDHFRと相互作用し、レナリドミドがCRBNと相互作用するハイブリッドリガンド)を添加した。化合物処理の24時間後に、DHFR-TMP-レナリドミド-CRBNを含む三重複合体の形成によって誘導されるルシフェラーゼ活性、およびその結果生じたSTAT3シグナル伝達活性化を、ルシフェラーゼアッセイシステムキット(PROMEGA、Madison、WI)とEnsightプレートリーダー(PERKIN ELMER LIFE SCIENCES、Waltham、MA)を用いて、ルシフェラーゼ活性を測定した。図10A~Bのデータ点は、レプチン(CTRL)またはレプチン+ハイブリッドリガンド(CRBN)のみで処理した試料に対して相対的な、REM2対照(CTRL)についてレプチン+被検化合物で処理した細胞またはレプチン+ハイブリッドリ細胞ガンド+被検化合物(CRBN)で処理した細胞の平均ルシフェラーゼ活性(三重試料)を表している(両方の場合について、添加被検化合物の非存在下で取得したシグナルをy軸において100%ルシフェラーゼ活性と設定する)。誤差棒は標準偏差を表す。曲線のフィッティングはGRAPHPAD PRISMソフトウエアにより4パラメーター非線型回帰を用いて行った。図10A~Bから分かるように、レナリドミド(LEN)、ポマリドミド(POM)、CC-122およびCC-220などの公知のIMiD化合物は、ハイブリッドリガンド誘導性ルシフェラーゼレポーターの活性化を特異的に用量依存性に阻害する。このことは、CRBNへの結合およびハイブリッドリガンドとCRBNとの結合の阻害(つまり、アッセイシグナルの阻害)に関する競争が有効であることを反映している。さらに、本アッセイで複数の別の化合物(Cmpd1、cmpd2、cmpd3およびcmpd4)についても評価し、様々なレベルの効能(マイクロモル(Cmpd1)からナノモル(Cmpd4)の範囲の親和性)でTMP-LEN誘導性ルシフェラーゼ・シグナルを特異的に阻害することが明らかになった。
【0098】
実施例8:FKBP1A(FKBP12)とDHFRとの間のTMP-FK506ハイブッドリガンド誘導性結合の逆MAPPITによる検出
PEGリンカーを介してFKBP1AリガンドFK506に融合したDHFRリガンド・トリメトプリム(TMP)から成るハイブリッド分子によって誘導されるFKBP1A(FKBP12)とDHFR(ジヒドロ葉酸還元酵素)との間の結合を、MAPPIT逆アッセイモードを用いて試験した。文献(Lievensら、「アレイMAPPIT:哺乳動物細胞における高速大量処理インタラクトーム分析(Array MAPPIT: high-throughput interactome analysis in mammalian cells)」、 Journal of Proteome Research 8.2 (2009): 877-886)に記載のように、STAT3応答性ルシフェラーゼをコードするレポータープラスミド(pXP2d2-rPAPIルシフェラーゼレポータープラスミド)と共に、レプチン受容体細胞外ドメインを含むキメラMAPPIT派生的受容体に連結した(大腸菌)DHFRアンカー蛋白質の融合構築物をコードするプラスミド(pCLG-DHFR)およびgp130-FKBP1Aベイト融合構築物で、HEK293T細胞を共形質転換した。形質転換から24時間後に、表示濃度のTMP-FK506ハイブリッドリガンドの存在下および非存在下で、細胞をレプチン処理し、さらに24時間後にルシフェラーゼ活性を測定した。図11に示す用量応答曲線は、レプチン+被検化合物で処理した細胞のレプチンのみで処理した細胞に対する平均ルシフェラーゼ活性の誘導倍率(三重試料)を表している。誤差棒は標準偏差を表し、曲線のフィッティングはGRAPHPAD PRISMソフトウエアにより4パラメーター非線型回帰を用いて行った。逆MAPPITアッセイモードはまた、FKBP1Aへのハイブリッドリガンド誘導性蛋白質動員の検出を可能にすることを、これらのデータは示唆している。
【0099】
実施例9:MAPPIT順および逆構成を用いた、RBM39のDCAF15へのスルホンアミド誘導性結合についての評価
本実施例では、DCAF15とRBM39との間の結合を誘導するスルホンアミド類の評価を可能にするMAPPIT順および逆アッセイを開発した。DCAF15は、後に起こるユビキチン化の基質としてRBM39を動員することが示されているE3リガーゼ基質受容体であり、この動員はインジスラム、タシスラム、クロロキノキサリンスルホンアミド(CQS)およびE7820などのスルホンアミド類に依存性である。実験設定は上述の方法にしたがい、以下のMAPPIT受容体およびgp130融合物をコードするプラスミド構築物を用いた:順モードでは、レプチン受容体細胞外ドメインを含むMAPPITキメラ受容体構築物にDCAF15ベイトを融合(pCLL-DCAF15)し、RBM39蛋白質を部分的gp130ドメインに融合した;逆モードでは、DCAF15ベイトを部分的gp130ドメインに融合し、RBM39をMAPPIT膜貫通受容体に融合した(pCLG-RBM39)。文献(Lievensら、「アレイMAPPIT:哺乳動物細胞における高速大量処理インタラクトーム分析(Array MAPPIT: high-throughput interactome analysis in mammalian cells)」、 Journal of Proteome Research 8.2 (2009): 877-886)に記載のように、表示の受容体をコードするプラスミドおよびgp130をコードするプラスミド、およびSTAT3応答性ルシフェラーゼをコードするレポータープラスミド(pXP2d2-rPAPIルシフェラーゼレポータープラスミド)で、HEK293T細胞を形質転換した。形質転換から24時間後に、表示用量の被検化合物(インジスラム、タシスラム、CQSまたはE7820)の存在下または非存在下で、細胞をレプチンで処理した。被検化合物処理から24時間後に、ルシフェラーゼアッセイシステムキット(PROMEGA、Madison、WI)とEnsightプレートリーダー(PERKIN ELMER LIFE SCIENCES、Waltham、MA)を用いて、ルシフェラーゼ活性を測定した。データ点は、レプチン+被検化合物で処理した細胞のレプチンのみで処理した細胞に対する平均ルシフェラーゼ活性の誘導倍率(三重試料)を表している。誤差棒は標準偏差を表す。曲線のフィッティングはGRAPHPAD PRISMソフトウエアにより4パラメーター非線型回帰を用いて行った。図12に示す結果は、逆アッセイモードでのみ、スルホンアミド誘導性DCAF15/RBM39結合が検出可能であることを示唆している。
【0100】
実施例10:新規分子糊誘導性のCRBNへのSALL4動員に関する化合物スクリーニング
本実施例では、CRBNに対するSALL4動員を誘導する化合物を同定するために、実施例1にも記載されている逆MAPPIT CRBN-SALL4動員アッセイを用いて、96種類のIMiDおよびIMiD様分子糊から成る化合物集合体をマイクロタイタープレート形態でスクリーニングした。文献(Lievensら、「アレイMAPPIT:哺乳動物細胞における高速大量処理インタラクトーム分析(Array MAPPIT: high-throughput interactome analysis in mammalian cells)」、 Journal of Proteome Research 8.2 (2009): 877-886)に記載のように、STAT3応答性ルシフェラーゼをコードするレポータープラスミド(pXP2d2-rPAPIルシフェラーゼレポータープラスミド)と共に、EPO受容体細胞外ドメインを含むキメラMAPPIT膜受容体に融合したSALL4の融合構築物をコードするプラスミド(pSEL-SALL4)およびgp130-CRBNベイト融合構築物で、HEK293T細胞を共形質転換した。形質転換から24時間後に、細胞をEPOおよび化合物(または陰性対照としてのDMSO)で処理した。各化合物について3種類の濃度(図13A~Cにおいて、「低」、「中」および「高」と表示されている)を用いた:すなわち、以前に評価した化合物の細胞毒性レベルに応じて、0.8、4および20μMまたは0.2、1および5μMのいずれかを用い、各化合物濃度はそれぞれ2回試験した。化合物処理から24時間後に、ルシフェラーゼアッセイシステムキット(PROMEGA、Madison、WI)とEnsightプレートリーダー(PERKIN ELMER LIFE SCIENCES、Waltham、MA)を用いて、ルシフェラーゼ活性を測定した。図13A~C(左パネル)に示すグラフは、化合物処理試料およびDMSO処理対照の両方について平均ルシフェラーゼ・シグナル(生データ)の頻度分布を示しており、またそれぞれのグラフは試験を行った3種類の化合物濃度(低、中、および高)の1つについてのデータに対応している。化合物処理試料に対応する、2峰性分布の右にシフトした部分はバックグラウンドより高いシグナルを有する化合物を表し、したがってそれらの化合物はCRBNに対するSALL4の動員を誘導する。3つの試験濃度のうちの1つ以上の濃度において、バックグラウンドよりも高いレポーターシグナルを示す3種類の化合物について、ルシフェラーゼ・シグナルに線(点線、破線または実線)で印付けしている;また、対応する用量応答曲線を右パネルに示す。これら用量応答曲線は、第1スクリーニングに用いたアッセイ設定およびプロトコルと同様のものを用いて得られたが、ここでは表示濃度の9点の用量範囲について試験した。ここでデータ点は、EPO+被検化合物で処理した細胞のEPOのみで処理した細胞に対する平均ルシフェラーゼ活性の誘導倍率(三重試料)を表している。誤差棒は標準偏差を表し、曲線のフィッティングはGRAPHPAD PRISMソフトウエアにより4パラメーター非線型回帰を用いて行った。まとめると、本実施例に記載したMAPPIT逆アッセイが、CRBNへの公知および新規の分子糊誘導性基質動員を同定する化合物集合体スクリーニングに利用可能であることを、本実施例は示唆している。図13A~Cは、特にCRBNに対する糊誘導性SALL4動員に関する化合物スクリーニングの例示であるが、このアプローチは他の潜在的な基質のスクリーニングにも応用可能である。
【0101】
実施例11:逆MAPPIT ORF cDNAライブラリースクリーニングアプローチを用いた新規分子糊誘導性CRBN基質の同定
リガンド誘導性CRBN基質またはネオ基質を同定する目的で、Lievensらの文献(「ヒト細胞におけるプロテオームスケールの2蛋白質インタラクトミックス(Proteome-scale binary interactomics in human cells)」Molecular & Cellular Proteomics 1 5.12 (2016): 3624-3639)に記載の方法を用いて、MAPPIT細胞マイクロアレイ・スクリーニングを実施した。簡単に説明すると、gp130-CRBN融合構築物をコードするCRBNベイト発現プラスミドでHEK293T細胞を形質転換した。次いで、15,000種類を超えるORFを網羅するMAPPITキメラ膜受容体融合発現プラスミド集合体を含むマイクロアレイ・スクリーニングプレートに、これら形質転換細胞を添加した。マイクロアレイの各スポットは、異なるキメラ受容体ORF融合発現プラスミドならびにSTAT3応答性蛍光蛋白質をコードするレポータープラスミドを含有していた。したがって、これらのスポット上に到達して接着したGp130-CRBNベイト形質転換細胞はいずれも受容体ORFプレイプラスミドおよびレポータープラスミドで形質転換されるので、異なるそれぞれのマイクロアレイスポット上の細胞が異なるCRBN-ORFの組み合わせで試験される。形質転換から24時間後に、CRBNリガンドCC-220(最終濃度、1μM)の存在下または非存在下で、細胞をエリスロポエチンで特異的に刺激し、48時間後にレポーターシグナル(GFP様蛍光レポーター)を測定した。蛍光強度のデータを以前に報告されているような方法で分析して、ボルケーノプロットを作成した;図14に示されるように、このプロットでは、各マイクロアレイの細胞クラスターの積算蛍光強度(Y軸)に基づいて算出したq値を、対応する細胞クラスターの蛍光粒子数(X軸)の中央値の比に対して示す。逆MAPPITアッセイ設定を用いた用量応答を確認するために、強いシグナルを示す3種類のORF cDNA(図14において、ドットプロット上の矢印で示される)を選択した。対応する受容体ORFプラスミドおよびルシフェラーゼレポータープラスミドと共に、gp130-CRBN融合プラスミドで、HEK293T細胞を共形質転換した。形質転換から24時間後に、表示濃度のCC-220の存在下または非存在下で細胞をEPO処理し、さらに24時間後にルシフェラーゼ活性を判定した。用量応答曲線は、EPO+被検化合物で処理した細胞のEPOのみで処理した細胞に対する平均ルシフェラーゼ活性の誘導倍率(三重試料)を表している。誤差棒は標準偏差を表し、曲線のフィッティングはGRAPHPAD PRISMソフトウエアにより、4パラメーター非線型回帰を用いて行った。本実施例でCC-220について例示されるように、本明細書に記載の逆MAPPITアッセイが、公知および新規の分子糊誘導性CRBN基質を同定するORF cDNA集合体をスクリーニングに利用可能であることを、本実施例は示唆している。
【0102】
実施例12:MAPPIT順および逆構成による、MTORのFKBP蛋白質へのラパマイシン誘導性動員の検出
本実施例では、MTORとFKBP蛋白質ファミリー構成員(具体的にはFKBP1A(FKBP12)、FKBP3、FKBP4およびFKBP5)との間のラパマイシン誘導性結合をモニターするMAPPIT順および逆アッセイを開発した。順モードでは、EPO受容体細胞外ドメインを含むMAPPIT受容体融合物としてFKBP cDNAと(pSEL-FKBPx)をクローン化し、MTOR(FRBドメイン)をgp130融合物としてクローン化した;逆モードでは、FKBP cDNAをgp130に融合し、MTORを受容体融合物としてクローン化した(pSEL-MTOR)。文献(Lievensら、「アレイMAPPIT:哺乳動物細胞における高速大量処理インタラクトーム分析(Array MAPPIT: high-throughput interactome analysis in mammalian cells)」、 Journal of Proteome Research 8.2 (2009): 877-886)に記載のように、FKBP融合構築物およびMTOR融合プラスミドおよびSTAT3応答性ルシフェラーゼをコードするレポータープラスミド(pXP2d2-rPAPIルシフェラーゼレポータープラスミド)の組み合わせで、HEK293T細胞を共形質転換した。形質転換から24時間後に、表示用量のラパマイシンの存在下または非存在下で、細胞をEPOで処理した。被検化合物処理から24時間後に、ルシフェラーゼアッセイシステムキット(PROMEGA、Madison、WI)とEnsightプレートリーダー(PERKIN ELMER LIFE SCIENCES、Waltham、MA)を用いて、ルシフェラーゼ活性を測定した。データ点は、EPO+被検化合物で処理した細胞のEPOまたはレプチンのみで処理した細胞に対する平均ルシフェラーゼ活性の誘導倍率(三重試料)を表している。誤差棒は標準偏差を表す。図15A~Bから分かるように、順および逆MAPPITアッセイ構成の両方において、各FKBP-MTOR相互作用について、これらの相互作用に関する公表データを再現するラパマイシン誘導性レポーターシグナルが得られた。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15A
図15B
【国際調査報告】