IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ティーシー1 エルエルシーの特許一覧

特表2023-507980パーソナライズされた心血管分析のためのシステム及び方法
<>
  • 特表-パーソナライズされた心血管分析のためのシステム及び方法 図1
  • 特表-パーソナライズされた心血管分析のためのシステム及び方法 図2
  • 特表-パーソナライズされた心血管分析のためのシステム及び方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】パーソナライズされた心血管分析のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20230220BHJP
   A61M 60/508 20210101ALI20230220BHJP
   A61M 60/165 20210101ALN20230220BHJP
【FI】
A61B34/10
A61M60/508
A61M60/165
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537239
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 US2020064450
(87)【国際公開番号】W WO2021126683
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/951,312
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517073591
【氏名又は名称】ティーシー1 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、エリック
(72)【発明者】
【氏名】ハージェス、ダニエル・アイ
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA04
4C077DD01
4C077JJ28
4C077JJ30
4C077KK25
4C077KK27
(57)【要約】
パーソナライズされた心血管分析を実行するためのシステム及び方法が提供される。本方法は、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、患者特有のモデルを構築するステップと、該デバイスを使用して、患者特有のモデルをデータベースに保存するステップと、該デバイスで、少なくとも1つのリモートモニタリングデータソースからリモートモニタリングデータを受信するステップと、該デバイスで、少なくとも1つの臨床データソースから臨床データを受信するステップと、を含む。本方法は、該デバイスを使用して、リモートモニタリングデータ及び臨床データを用いて患者特有のモデルを更新するステップと、該デバイスを使用して、更新された患者特有のモデルに対して少なくとも1つのシミュレーションを実行するステップと、該デバイスから、少なくとも1つのシミュレーションに基づいて少なくとも1つの出力を出力するステップと、をさらに含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナライズされた心血管分析を実行するためにコンピュータに実装される方法であって、
モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、前記患者特有のモデルを構築する構築ステップと、
前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、前記患者特有のモデルをデータベースに保存する保存ステップと、
前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスで、少なくとも1つのリモートモニタリングデータソースからリモートモニタリングデータを受信するリモートモニタリングデータ受信ステップと、
前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスで、少なくとも1つの臨床データソースから臨床データを受信する臨床データ受信ステップと、
前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、前記リモートモニタリングデータ及び前記臨床データを用いて前記患者特有のモデルを更新する更新ステップと、
前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、更新された患者特有のモデルに対して少なくとも1つのシミュレーションを実行する実行ステップと、
前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスから、前記少なくとも1つのシミュレーションに基づいて少なくとも1つの出力を出力する出力ステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、前記更新された患者特有のモデルを分析する分析ステップと、
前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスから、分析に基づいて少なくとも1つの追加出力を出力する追加出力ステップと、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記追加出力ステップは、デバイスパラメータ及び投薬計画のうちの一方の推奨調整を表示することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記分析ステップは、機械学習を用いて前記更新された患者特有のモデルを分析することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記追加出力ステップは、制御信号を植え込み型デバイスに送信することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記構築ステップは、複数の匿名化された患者モデルを含むデータベースを生成することと、前記複数の匿名化された患者モデルのうちの1つを前記患者特有のモデルとして選択することと、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記実行ステップは、心室補助装置の動作をシミュレーションすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
パーソナライズされた心血管分析を実行するためのコンピューティングデバイスであって、
メモリデバイスと、
前記メモリデバイスに対して通信可能に接続されたプロセッサと、を有し、
前記プロセッサは、
患者特有のモデルを構築し、
前記患者特有のモデルを前記メモリデバイスに保存し、
少なくとも1つのリモートモニタリングデータソースからリモートモニタリングデータを受信し、
少なくとも1つの臨床データソースから臨床データを受信し、
前記リモートモニタリングデータ及び前記臨床データを用いて前記患者特有のモデルを更新し、
更新された患者特有のモデルに対して少なくとも1つのシミュレーションを実行し、
前記少なくとも1つのシミュレーションに基づいて出力を出力する、コンピューティングデバイス。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記更新された患者特有のモデルを分析し、分析に基づいて少なくとも1つの追加出力を出力する、請求項8に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの追加出力は、デバイスパラメータ及び投薬計画のうちの一方の推奨調整を含む、請求項9に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項11】
前記更新された患者特有のモデルを分析するために、前記プロセッサは、機械学習を用いて前記更新された患者特有のモデルを分析するように構成されている、請求項9に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの追加出力は、植え込み型デバイスに送信される制御信号を含む、請求項9に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項13】
前記患者特有のモデルを構築するために、前記プロセッサは、複数の匿名化された患者モデルを含むデータベースを生成し、前記複数の匿名化された患者モデルのうちの1つを前記患者特有のモデルとして選択するように構成されている、請求項8に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つのシミュレーションを実行するために、前記プロセッサは、心室補助装置の動作をシミュレーションするように構成されている、請求項8に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項15】
コンピュータ実行可能命令を有する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、コンピューティングデバイスのプロセッサによって実行されると、前記コンピューティングデバイスの前記プロセッサに、
患者特有のモデルを構築することと、
前記患者特有のモデルをデータベースに保存することと、
少なくとも1つのリモートモニタリングデータソースからリモートモニタリングデータを受信することと、
少なくとも1つの臨床データソースから臨床データを受信することと、
前記リモートモニタリングデータ及び前記臨床データを用いて前記患者特有のモデルを更新することと、
更新された患者特有のモデルに対して少なくとも1つのシミュレーションを実行することと、
前記少なくとも1つのシミュレーションに基づいて出力を出力することと、を実行させる、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項16】
前記コンピュータ実行可能命令は、前記プロセッサに、前記更新された患者特有のモデルを分析することと、分析に基づいて少なくとも1つの追加出力を出力することと、をさらに実行させる、請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記少なくとも1つの追加出力は、デバイスパラメータ及び投薬計画のうちの一方の推奨調整を含む、請求項16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記更新された患者特有のモデルを分析するために、前記コンピュータ実行可能命令は、前記プロセッサに、機械学習を用いて更新された患者特有のモデルを分析することを実行させる、請求項16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記少なくとも1つの追加出力は、植え込み型デバイスに送信される制御信号を含む、請求項16に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
前記少なくとも1つのシミュレーションを実行するために、前記コンピュータ実行可能命令は、前記プロセッサに、心室補助装置の動作をシミュレーションすることを実行させる、請求項15に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は2019年12月20日に出願された米国仮出願第62/951,312号の優先権を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は心血管の問題を抱える患者のモニタリングに関連し、より具体的には、本開示は患者特有の心血管分析の実行に関連する。
【背景技術】
【0003】
心室補助システム(VAS)には、患者の心臓が適切な循環を提供することができない(一般に心不全またはうっ血性心不全と呼ばれる)、短期(つまり、数日、数か月)及び長期(すなわち、数年または生涯)の両方のアプリケーションに使用される植え込み型の血液ポンプなどの心室補助装置(VAD)が含まれる。心不全を患っている患者は、心臓移植を待っている間に、あるいは長期の目的地治療として、VASを使用することがある。別の例では、患者は心臓手術から回復している間にVASを使用することがある。したがって、VASは弱い心臓を補う(すなわち、部分的なサポートを行う)か、あるいは自然な心臓の機能を効果的に置き換えることができる。VASは、患者の体内に植え込まれ、患者の体内または体外の電源から電力を供給され得る。
【0004】
心不全患者の血行動態を理解して管理することは、比較的難しい。さらに、右心室(RV)機能障害、弁障害、不整脈などの1以上の基礎疾患を伴うVAD患者には、さらなる複雑さが生じる。
【0005】
次世代のVAD開発の焦点の1つは、有害事象プロファイル及び全体的な患者の生活の質を改善するために、医師による治療の最適化を支援するシステム拡張機能を追加することである。強化の例には、閉ループ制御アルゴリズム(例えば、パルス及び生理学的制御)と組み合わせた、改善された検出能力(例えば、フロー波形検出、圧力波形検出、加速度計など)の使用が含まれる。これらの拡張機能は、いわゆる「スマートVAD」において利用される。
【0006】
しかしながら、これらの新機能により、特に患者がペースメーカーや肺動脈(PA)圧センサなどの追加のデバイスを有している場合には、患者管理の複雑さ及び高度さが増加する。したがって、複雑な患者/デバイスシステムの相互作用を管理する方法に関して医師を教育及び訓練し、新たな診断ツールが出現したときにその意味を理解する必要がある。さらに、心臓補助装置のインターフェースを簡素化及び統合し、リモートモニタリングを活用して診療所の外で患者/デバイスのデータを長期間にわたって記録し、デバイスのデータを処理及び解釈して患者の治療の最適化を促進することができるアルゴリズムを開発する必要がある。したがって、統合されたリモートモニタリングインフラストラクチャが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、本開示は、パーソナライズされた心血管分析を実行するための方法に関する。本方法は、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、前記患者特有のモデルを構築する構築ステップと、前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、前記患者特有のモデルをデータベースに保存する保存ステップと、前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスで、少なくとも1つのリモートモニタリングデータソースからリモートモニタリングデータを受信するリモートモニタリングデータ受信ステップと、前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスで、少なくとも1つの臨床データソースから臨床データを受信する臨床データ受信ステップと、を含む。本方法は、前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、前記リモートモニタリングデータ及び前記臨床データを用いて前記患者特有のモデルを更新する更新ステップと、前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、更新された患者特有のモデルに対して少なくとも1つのシミュレーションを実行する実行ステップと、前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスから、前記少なくとも1つのシミュレーションに基づいて少なくとも1つの出力を出力する出力ステップと、をさらに含む。
【0008】
別の実施形態では、本開示は、パーソナライズされた心血管分析を実行するためのコンピューティングデバイスに関する。コンピューティングデバイスは、メモリデバイスと、前記メモリデバイスに対して通信可能に接続されたプロセッサと、を有する。プロセッサは、患者特有のモデルを構築し、前記患者特有のモデルを前記メモリデバイスに保存し、少なくとも1つのリモートモニタリングデータソースからリモートモニタリングデータを受信し、少なくとも1つの臨床データソースから臨床データを受信し、前記リモートモニタリングデータ及び前記臨床データを用いて前記患者特有のモデルを更新し、更新された患者特有のモデルに対して少なくとも1つのシミュレーションを実行し、前記少なくとも1つのシミュレーションに基づいて出力を出力するように構成されている。
【0009】
さらに別の実施形態では、本開示は、コンピュータ実行可能命令を有する非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。コンピューティングデバイスのプロセッサによって実行されると、命令は、前記コンピューティングデバイスの前記プロセッサに、患者特有のモデルを構築することと、前記患者特有のモデルをデータベースに保存することと、少なくとも1つのリモートモニタリングデータソースからリモートモニタリングデータを受信することと、少なくとも1つの臨床データソースから臨床データを受信することと、前記リモートモニタリングデータ及び前記臨床データを用いて前記患者特有のモデルを更新することと、更新された患者特有のモデルに対して少なくとも1つのシミュレーションを実行することと、前記少なくとも1つのシミュレーションに基づいて出力を出力することと、を実行させる。
【0010】
本開示の上記の、及び他の態様、特徴、詳細、有用性、及び利点は、以下の説明及び特許請求の範囲を読み、添付の図面を検討することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】リモートモニタリング及びシミュレーションシステムの一実施形態の概略図。
図2】本明細書に記載のシステム及び方法を実施するために使用されるコンピューティングデバイスの一実施形態のブロック図。
図3】パーソナライズされた心血管分析を実行する方法のブロック図。
【0012】
対応する参照符号は、複数の図にわたって対応する部分を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、パーソナライズされた心血管分析を実行するためのシステム及び方法を提供する。本方法は、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、患者特有のモデルを構築する構築ステップと、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、患者特有のモデルをデータベースに保存する保存ステップと、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスで、少なくとも1つのリモートモニタリングデータソースからリモートモニタリングデータを受信するリモートモニタリングデータ受信ステップと、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスで、少なくとも1つの臨床データソースから臨床データを受信する臨床データ受信ステップと、を含む。本方法は、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、リモートモニタリングデータ及び臨床データを用いて患者特有のモデルを更新する更新ステップと、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、更新された患者特有のモデルに対して少なくとも1つのシミュレーションを実行する実行ステップと、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスから、少なくとも1つのシミュレーションに基づいて少なくとも1つの出力を出力する出力ステップと、をさらに含む。
【0014】
本明細書に記載された複数の実施形態は、患者特有の数値を有する心血管モデルを保存及び維持するクラウドベースのリモートモニタリング及びシミュレーションシステムを提供する。システムは、機械学習及び最適化手法を用いて、臨床データソース及びリモートモニタリングデータソースから収集された実際の患者データを使用して、モデルのシミュレーションパラメータを継続的に更新する。システムによって収集されるデータが多いほど、モデルはより正確になる。モデルは特定の患者を複製しているので、特定の患者の「デジタルクローン」と呼ばれることもある。
【0015】
様々な図において同一の構成要素を識別するために同様の参照符号が使用される図面を参照すると、図1は、リモートモニタリング及びシミュレーションシステム100の一実施形態を示している。リモートモニタリング及びシミュレーションシステム100は、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102を含む。例示的な実施形態では、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102は、クラウドベースのサーバシステムである。あるいは、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102は、本明細書に記載のシステム及び方法を実装するために適した任意のコンピューティングデバイスであってもよい。
【0016】
モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102は、複数のリモートモニタリングデータソース104及び複数の臨床データソース106に対して通信可能に接続されている。特定の患者についての患者特有のモデルを構築及び更新するために、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102は、本明細書に記載されるように、リモートモニタリングデータソース104からの患者に関連するリモートモニタリングデータ、及び臨床データソース106からの患者に関連する臨床データを収集する。いくつかの実施形態では、データは、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102によって受信されると、タイムスタンプが付けられる。
【0017】
患者に関連するリモートモニタリングデータソース104は、例えば、患者モニタリングデバイス110、心不全モニタ112、CRT(心臓再同期療法)デバイス114、及びVAD116を含む。いくつかの実施形態では、患者モニタリングデバイス110は、最初に他のデバイス(例えば、心不全モニタ112、CRTデバイス114、及びVAD116)からリモートモニタリングデータを収集し、収集したリモートモニタリングデータをモデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102に中継する。あるいは、各デバイスは、リモートモニタリングデータをモデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102に独立して送信してもよい。
【0018】
リモートモニタリングデータソース104から収集されたリモートモニタリングデータは、患者の血行動態データ及びデバイスステータスデータを含み得る。例えば、収集されたデータには、ポンプのフロー波形、左心室(LV)の圧力波形、及び大動脈圧の波形(例えば、VAD116からの)が含まれる。また、収集されたリモートモニタリングデータは、追加的あるいは代替的に、肺動脈(PA)の圧力波形(例えば、心不全モニタ112からの)、CRTデータ(例えば、CRTデバイス114からの)、及び植え込み型心臓のモニタデータを含み得る。当業者は、他の種類のリモートモニタリングデータも収集され得ることを理解するであろう。
【0019】
臨床データソース106は、例えば、医師コンピューティングデバイス、電子医療記録システムなどを含み得る。さらに、患者の臨床データは、例えば、右カテーテル測定値、心エコーデータ、血圧測定値などの院内測定値を含む。
【0020】
図2は、本明細書に記載のシステム及び方法を実施するために使用されるコンピューティングデバイス200の一実施形態を示している。コンピューティングデバイス200は、例えば、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102(図1に示されている)を実装するために使用される。コンピューティングデバイス200は、少なくとも1つのメモリデバイス210と、命令を実行するためにメモリデバイス210に接続されたプロセッサ215とを含む。いくつかの実施形態では、実行可能命令はメモリデバイス210に格納されている。この実施形態では、コンピューティングデバイス200は、プロセッサ215をプログラミングすることによって本明細書に記載された1以上の動作を実行する。例えば、プロセッサ215は、動作を1以上の実行可能命令として符号化することによって、かつ、実行可能命令をメモリデバイス210に提供することによって、プログラムされ得る。
【0021】
プロセッサ215は、1以上の処理ユニットを含む(例えば、マルチコア構成の)。さらに、プロセッサ215は、メインプロセッサがシングルチップ上にセカンダリプロセッサとともに存在する1以上の異種プロセッサシステムを使用して実装されてもよい。別の例示的な例では、プロセッサ215は、同一の種類の複数のプロセッサを含む対称型マルチプロセッサシステムであってもよい。さらに、プロセッサ215は、1以上のシステム及びマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及び本明細書に記載の機能を実行することができる任意の他の回路を含む、任意の適切なプログラマブル回路を使用して実装され得る。
【0022】
この実施形態では、メモリデバイス210は、実行可能命令及び/または他のデータなどの情報を格納及び検索することを可能にする1以上のデバイスである。メモリデバイス210は、これに限定されないが、例えばダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ソリッドステートディスク、及び/またはハードディスクなどの、1以上のコンピュータ可読媒体を含む。メモリデバイス210は、これに限定されないが、アプリケーションソースコード、アプリケーションオブジェクトコード、対象のソースコード部分、対象のオブジェクトコード部分、構成データ、実行イベント、及び/または任意の他の種類のデータを格納するように構成される。
【0023】
この実施形態では、コンピューティングデバイス200は、プロセッサ215に接続された提示インターフェース220を含む。提示インターフェース220は、ユーザ225に情報を提示する。例えば、提示インターフェース220は、陰極線管、液晶ディスプレイ(LCD)、有機LED(OLED)ディスプレイ、及び/または「電子インク」ディスプレイなどのディスプレイデバイスに接続されたディスプレイアダプタ(図示せず)を含む。いくつかの実施形態では、提示インターフェース220は、1以上のディスプレイデバイスを含む。本明細書に記載の実施形態を使用して処理された入力信号及び/またはフィルタリングされた信号は、提示インターフェース220上に表示される。
【0024】
この実施形態では、コンピューティングデバイス200は、ユーザ入力インターフェース235を含む。ユーザ入力インターフェース235は、プロセッサ215に結合され、ユーザ225から入力を受け取る。ユーザ入力インターフェース235は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、マウス、スタイラス、タッチセンシティブパネル(例えば、タッチパッドまたはタッチスクリーン)、ジャイロスコープ、加速度計、位置検出器、及び/またはオーディオユーザ入力インターフェースを含む。タッチスクリーンなどの単一の構成要素は、提示インターフェース220のディスプレイデバイスと、ユーザ入力インターフェース235との両方として機能してもよい。
【0025】
この実施形態では、コンピューティングデバイス200は、プロセッサ215に接続された通信インターフェース240を含む。通信インターフェース240は、1以上のリモートデバイスと通信する。リモートデバイスと通信するために、通信インターフェース240は、例えば、有線ネットワークアダプタ、無線ネットワークアダプタ、及び/またはモバイル通信アダプタを含む。
【0026】
図1に戻ると、リモートモニタリングデータソース104から収集されたリモートモニタリングデータと、臨床データソース106から収集された臨床データとを用いて、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102は、患者特有のモデルを構築及び更新する。患者特有のモデルは、例えば、メモリデバイス210(図2に示されている)に保存される。
【0027】
続いて、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102は、患者特有のモデルに対して1以上のシミュレーションを実行して、患者の治療の最適化を容易にする。シミュレーションの出力結果は、例えば、提示インターフェース220(図2に示されている)上に表示される。
【0028】
例えば、患者にVADを植え込む前に、シミュレーションを実行して、患者がVAD療法にどのように反応するかをシミュレーションすることができる。このシナリオでは、VADがまだ植え込まれていないので、心不全モニタ112及び/またはCRTデバイス114からのデータと、院内測定値からのデータとを用いて患者モデルが構築される。このようなシミュレーションのこれらの結果は、臨床医がVADを植え込むかどうかを決定する際や、植え込むべきVADの種類(例えば、LVAD、Bi-VADなど)を決定する際に役立つ。
【0029】
VADの植え込み後、VADの動作をシミュレーションするために、患者特有のモデルでシミュレーションが実行される。例えば、ポンプ速度の調整及び/またはパルスタイプの調整の影響がシミュレーションされる。別の例では、投薬及び/または液量の調整の影響がシミュレーションされる。
【0030】
さらに、いくつかの実施形態では、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102は、患者特有のモデルを分析する(例えば、機械学習及び/または他の人工知能技術を用いて)。これらの分析の出力結果は、例えば、提示インターフェース220(図2に示されている)に表示される。
【0031】
例えば、患者特有のモデルを分析した結果として、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102は、望ましい血行動態の結果(例えば、所望のLV圧力プロファイル)を達成するために、VADパラメータ(例えば、ポンプ速度)及び/または投薬の変更を推奨する。別の例では、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102は、パターンを識別し、及び/またはアラートを生成するために、経時的な血行動態特性の変化を追跡する。追跡される血行動態特性には、LV/RV収縮機能、肺及び全身の血管抵抗、血管コンプライアンス、液/量の状態、弁機能、ヘマトクリット値などが含まれる。一例では、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102は、心臓の回復(例えば、心室機能容量)を追跡し、患者特有の基準で回復プロトコルを最適化する(例えば、投薬の量/タイミング、ポンプ離脱、パルスタイプなどを推奨することによって)。
【0032】
さらに、患者特有のモデルの分析に基づいて、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102は、推奨されるデバイス設定を生成する。例えば、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102は、ポンプ速度、生理学的制御設定、パルスタイプ、及び/またはペースメーカー設定のための推奨設定を生成する。いくつかの実施形態では、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102は、リモートモニタリングデータソース104のうちの1以上を制御する。例えば、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102は、制御信号を生成してCRTデバイス114及び/またはVAD116に送信することにより、CRTデバイス114及び/またはVAD116に指示してそれらの設定を調整する。
【0033】
本明細書で説明する実施形態では、患者特有のモデルは、リモートモニタリングデータソース104及び臨床データソース106から受信したデータに基づいて患者の現在の状態に一致するように継続的に更新するオンラインの数値モデルである。利用可能であり、かつモデルに組み込まれるデータがより多いほど、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102によって実行されるシミュレーション及び分析は、より正確になる。
【0034】
患者特有のモデルは、例えば、人間の循環系をシミュレーションする忠実度の高い集中定数系の数値モデルである。さらに、モデルには、生理学的フィードバックメカニズムや非線形流出グラフトダイナミクスなどの、モデルが実際の患者によりよく一致することを可能にする機能が含まれる。
【0035】
例えば、一実施形態では、モデルは、循環系全体の挙動を定義する約75個のパラメータを含む。これらのパラメータを変更することにより、モデルは、ほとんどの患者(重度の自己調節障害を除く)の行動を再現することができる。
【0036】
VAD患者の特性及び血行動態の可変性を考慮すると、いくつかの実施形態では、モデルは、特定の患者に一致するように調整される。具体的には、機械学習及び/または他の人工知能技術を用いて、シミュレーションされたモデルが臨床データから実際の血行動態及びポンプパラメータデータ(例えば、心室の寸法、PA圧力など)を複製するまで、主要なモデルパラメータを体系的に変化させる。
【0037】
いくつかの実施形態では、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102はまた、一般化されたモデルのデータベースを構築する。例えば、それぞれの一般化されたモデルは、対応する臨床研究データを使用して構築される。したがって、生成されたデータベースには、複数の匿名化されたモデルが含まれる。これらのモデルは、例えば、性別、人種、体重、BMI、心係数、INTERMACS分類などの一般的な患者特性に基づいて検索可能である。この検索可能なデータベースにより、ユーザは、対象の患者の特性に基づいて匿名化されたモデルを検索し、その匿名化されたモデルを患者特有モデルの「出発点」として使用することができる。特に、対象の患者に匿名化されたモデルが類似しているほど、匿名化されたモデルは正確な患者特有のモデルに対してより速く収束する。さらに、いくつかの実施形態では、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102は、患者に関連する既存の臨床及び/または人口統計データを受信し、既存の臨床及び/または人口統計データに基づいてデータベースから匿名化されたモデルを自動的に選択する。
【0038】
モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102を使用すると、ユーザ(例えば、臨床医)は、様々な患者/デバイスの相互作用の背後にあるメカニズムを明確に視覚化及び理解することができる。さらに、シミュレーションを実行することにより、ユーザは、ポンプ速度、投薬、液量などを変更して「仮想的に」実験を行い、定量化された予想される血行動態反応を観察することができる。さらに、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102を使用すると、ユーザは、様々なイベント(例えば、脱水、不整脈、運動、急性高血圧など)をシミュレーションすることにより、予想される結果を観察し、そのようなイベントの将来の認識を支援することができる。
【0039】
モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102はまた、機械学習及び/または他の人工知能技術を用いて主要なモデルパラメータ(例えば、心室エラスタンス曲線、弁抵抗、大動脈コンプライアンスなど)を継続的に更新することにより、シミュレーション結果が臨床データと一致すること、あるいは臨床データを厳密に追跡することを保証する。つまり、患者特有のモデルは直接の物理的測定なしで様々な患者パラメータを推定するが、これは、心室機能、弁の漏れなどの経時的な生理学的変化を追跡するのに非常に役立つ。
【0040】
本明細書で説明されるシステム及び方法の有効性を示すために、例示的なケーススタディを以下で説明する。具体的には、以下のケーススタディは、本明細書で説明するシステム及び方法を使用した、連続的な心不全を通した拡張型心筋症(DCM)心不全患者の治療を支援する方法を示している。当業者は、同様の技術が他の心不全患者にも適用できることを理解するであろう。このケーススタディは純粋に架空のものであり、本明細書で説明するシステム及び方法を実装する方法を示すことを意図としている。
【0041】
この例では、患者が根本的な電気生理学的障害(例えば、左脚ブロック)を徐々に発症し、LV機能が低下すると仮定する。患者は、最初は無症候性であり、問題に気づいていない。しかしながら、時間の経過とともに、電気伝導の問題が悪化し、心室ポンプ機能が損なわれ、患者は時折、軽度の心不全(HF)症状を示す(すなわち、ステージII)。
【0042】
レニン-アンジオテンシン(RAS)フィードバック系が活性化しているにもかかわらず、患者は十分な心拍出量及び動脈圧を維持することができない。慢性的な高心室圧は、LVをさらに拡張させ、ポンプ機能をさらに損なう。患者は現在、心臓専門医を受診するほどに症状が出ている(すなわち、ステージIII)。心臓専門医は完全な血行動態の精密検査を行い、30%の駆出率を測定し、根底にある左脚ブロック障害を特定する。
【0043】
この時点で、患者にはペースメーカーと心不全モニタ(例えば、PA圧力センサ)とが植え込まれ、一般的なHF投薬計画が割り当てられる。次に、患者は、リモートモニタリングシステム(モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102と同一であってもよく、別個であってもよい)のアカウントに登録され、デバイスのリモートモニタリングを可能にするために必要な機器が患者に与えられる。さらに、本明細書に記載のシステム及び方法にしたがって、臨床医は、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102を使用して、その患者についての患者特有のモデルを初期化する。例えば、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102は、患者の既存の臨床及び/または人口統計データに基づいて、モデルの初期パラメータを自動的に選択する。
【0044】
ペースメーカーは、最初に心臓のポンプ能力を改善し、患者に対して明らかなHFシステムを緩和してステージIIに戻す。しかしながら、それまでの慢性的なLV拡張により、心臓は物理的に損傷し、高い心室充満圧が持続する。その後数ヶ月/年にわたって、ペーシングが成功したにもかかわらず、LVは拡張し続ける。心不全モニタは、より高くドリフトするPA圧を追跡し、これらの結果はリモートモニタリングシステムに伝わり、臨床医に対して表示される。さらに、患者特有のモデルはペースメーカー及び心不全モニタから受信したデータに基づいて更新されており、現在では65%の実際の患者に対して一致する信頼水準を有している。モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102はまた、モデルの分析に基づいて、LV収縮機能の低下を報告している。
【0045】
臨床医は、概して問題ないと感じているが、完全な血行動態の精密検査を受けるために患者を診療所に戻すことに決定した。結果は、LVが深刻に拡張し、全身の血行動態が悪いことを示している。これらの院内結果は、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102に提供され、一致する信頼水準は75パーセントに増加する。臨床医は投薬を調整し、リモート観察のために患者を家に送り出す。
【0046】
次の数ヶ月で、HF症状はステージIVに悪化し、患者は日々の仕事を行うことができなくなる。患者特有のモデルは、LV収縮機能が非常に低く、着実に悪化していることを示唆している。最終的に、患者は別の血行動態の精密検査のために診療所に戻る。結果は悪く、駆出率は20%であり、心係数は低い。患者は、回復の候補者としては良好であるようだが(若く、HFになって数年しか経っていない)、移植の候補者としては不良である(血液型O、体重100キログラム超)。
【0047】
モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102を使用して、臨床医は、患者がVAD療法に対してどのように反応するかをシミュレーションする(一致する信頼水準は、現在80パーセントである)。患者特有のモデルは、VADサポート及び強力なRV機能に対して良好な血行動態反応を示している。したがって、データをモデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102に通信することができるVADを移植することが決定される。
【0048】
VADの移植後数週間以内に、患者は健康になり、HF症状なしで歩き回っている(すなわち、ステージI)。現在ではVADからの豊富なデータも組み込んでいる患者特有のモデルは、一致する信頼水準は、現在95%に達している。3ヶ月後、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102による患者特有のモデルの分析は、現在、改善されたLV収縮機能及びリモデリングを示している。臨床医は、記録されたデータをレビューし、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102が、回復プロトコルを開始するようVADに指示することを可能する。この回復プロトコルにおいて、VADは、LVを自動的に「訓練」するためにポンプ速度を定期的に低下させる。
【0049】
さらに2ヶ月後、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102による患者特有のモデルの分析は一貫して強力なLV機能を示し、ウィーニングアルゴリズムは、VADサポートが最小になるように、VADポンプ速度を比較的低いレベルに低下させるように実装された。モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102を使用して、臨床医は、VADの取り外しをシミュレーションし、シミュレーションの結果は、回復の可能性が高いことを示している。したがって、VADから離脱することが決定される。VADからの離脱から2年後、患者は安定した持続的な回復を示している。モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102によって維持される患者特有のモデルは、ペースメーカー及び心不全モニタからの利用可能なデータを用いて、依然としてアクティブである。
【0050】
したがって、このケーススタディは、本明細書で説明するシステム及び方法を使用して実現される利点を示している。
【0051】
図3は、パーソナライズされた心血管分析を実行する方法300のブロック図である。方法300は、例えば、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイス102(図1に示されている)に実装される。
【0052】
方法300は、患者特有のモデルを構築するステップ302を含む。方法300はさらに、患者特有のモデルをデータベースに保存するステップ304を含む。さらに、方法300は、少なくとも1つのリモートモニタリングデータソースからリモートモニタリングデータを受信するステップ306と、少なくとも1つの臨床データソースから臨床データを受信するステップ308とを含む。方法300はさらに、リモートモニタリングデータ及び臨床データを用いて、患者特有のモデルを更新するステップ310を含む。さらに、方法300は、更新された患者特有のモデルに対して少なくとも1つのシミュレーションを実行するステップ312と、少なくとも1つのシミュレーションに基づいて少なくとも1つの出力を出力するステップ314とを含む。
【0053】
本明細書で説明するシステム及び方法は、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、患者特有のモデルを構築する構築ステップと、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、患者特有のモデルをデータベースに保存する保存ステップと、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスで、少なくとも1つのリモートモニタリングデータソースからリモートモニタリングデータを受信するリモートモニタリングデータ受信ステップと、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスで、少なくとも1つの臨床データソースから臨床データを受信する臨床データ受信ステップと、を含む。システム及び方法はさらに、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、リモートモニタリングデータ及び臨床データを用いて患者特有のモデルを更新する更新ステップと、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、更新された患者特有のモデルに対して少なくとも1つのシミュレーションを実行する実行ステップと、モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスから、少なくとも1つのシミュレーションに基づいて少なくとも1つの出力を出力する出力ステップと、を含む。
【0054】
本開示の特定の実施形態は、ある程度の特殊性をもって上記で説明されたが、当業者は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく開示された実施形態に多数の変更を加えることができる。すべての方向参照(例えば、上側、下側、上向き、下向き、左、右、左向き、右向き、上、下、上方、下方、垂直、水平、時計回り、及び反時計回り)は、本開示の理解を支援するための識別目的でのみ使用され、特に本開示の位置、方向、または使用に関して制限を生じさせるものではない。接合の参照(例えば、取り付けられた、接続された、連結されたなど)は、広く解釈されるべきであり、要素の接続間の中間部材や、要素間の相対的な動きを含む。そのため、接合の参照は、2つの要素が直接接続され、相互に対して固定されていることを必ずしも暗示するわけではない。上記の説明に含まれる、あるいは添付の図面に示されるすべての事項は、例示としてのみ解釈され、限定しないものとして解釈されることが意図されている。詳細または構造の変更は、添付の特許請求の範囲で定義されている開示の精神から逸脱することなく行うことができる。
【0055】
本開示の要素またはその好ましい実施形態を導入する場合、冠詞「或る」、「1つの」、「その」、及び「前記」は、1以上の要素の存在を意味することを意図している。用語「含む」、「備える」、及び「有する」は、包括的であることを意図しており、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味している。
【0056】
本開示の範囲を逸脱することなく上記の構成に様々な変更を加えることができるので、上記の説明に含まれる、あるいは添付の図面に示されるすべての事項は、限定的な意味ではなく例示として解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナライズされた心血管分析を実行するためにコンピュータに実装される方法であって、
モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、患者特有のモデルを構築する構築ステップと、
前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、前記患者特有のモデルをデータベースに保存する保存ステップと、
前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスで、少なくとも1つのリモートモニタリングデータソースからリモートモニタリングデータを受信するリモートモニタリングデータ受信ステップと、
前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスで、少なくとも1つの臨床データソースから臨床データを受信する臨床データ受信ステップと、
前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、前記リモートモニタリングデータ及び前記臨床データを用いて前記患者特有のモデルを更新する更新ステップと、
前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、前記患者特有のモデルに関連する患者の心室補助装置の動作をシミュレーションするために、更新された患者特有のモデルに対して少なくとも1つのシミュレーションを実行する実行ステップと、
前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスから、前記少なくとも1つのシミュレーションに基づいて少なくとも1つの出力を出力する出力ステップと、
前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスを使用して、前記更新された患者特有のモデルを分析する分析ステップと、
前記モデリング及びシミュレーションコンピューティングデバイスから、分析に基づいて少なくとも1つの追加出力を出力する追加出力ステップであって、前記少なくとも1つの追加出力は前記心室補助装置の調整された動作パラメータを含む、該追加出力ステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記追加出力ステップは、前記調整された動作パラメータを含む推奨を表示することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記追加出力ステップは、前記調整された動作パラメータを含む制御信号を植え込み型デバイスに送信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記構築ステップは、複数の匿名化された患者モデルを含むデータベースを生成することと、前記複数の匿名化された患者モデルのうちの1つを前記患者特有のモデルとして選択することと、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
パーソナライズされた心血管分析を実行するためのコンピューティングデバイスであって、
メモリデバイスと、
前記メモリデバイスに対して通信可能に接続されたプロセッサと、を有し、
前記プロセッサは、
患者特有のモデルを構築し、
前記患者特有のモデルを前記メモリデバイスに保存し、
少なくとも1つのリモートモニタリングデータソースからリモートモニタリングデータを受信し、
少なくとも1つの臨床データソースから臨床データを受信し、
前記リモートモニタリングデータ及び前記臨床データを用いて前記患者特有のモデルを更新し、
前記患者特有のモデルに関連する患者の心室補助装置の動作をシミュレーションするために、更新された患者特有のモデルに対して少なくとも1つのシミュレーションを実行し、
前記少なくとも1つのシミュレーションに基づいて出力を出力し、
機械学習を用いて前記更新された患者特有のモデルを分析し、
分析に基づいて、前記心室補助装置の調整された動作パラメータを含む少なくとも1つの追加出力を出力する、コンピューティングデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの追加出力は、前記調整された動作パラメータを含む推奨を含む、請求項5に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの追加出力は、植え込み型デバイスに送信される前記調整された動作パラメータを含む制御信号を含む、請求項5に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項8】
前記患者特有のモデルを構築するために、前記プロセッサは、複数の匿名化された患者モデルを含むデータベースを生成し、前記複数の匿名化された患者モデルのうちの1つを前記患者特有のモデルとして選択するように構成されている、請求項5に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項9】
コンピュータ実行可能命令を有する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、コンピューティングデバイスのプロセッサによって実行されると、前記コンピューティングデバイスの前記プロセッサに、
患者特有のモデルを構築することと、
前記患者特有のモデルをデータベースに保存することと、
少なくとも1つのリモートモニタリングデータソースからリモートモニタリングデータを受信することと、
少なくとも1つの臨床データソースから臨床データを受信することと、
前記リモートモニタリングデータ及び前記臨床データを用いて前記患者特有のモデルを更新することと、
前記患者特有のモデルに関連する患者の心室補助装置の動作をシミュレーションするために、更新された患者特有のモデルに対して少なくとも1つのシミュレーションを実行することと、
前記少なくとも1つのシミュレーションに基づいて出力を出力することと、
機械学習を用いて前記更新された患者特有のモデルを分析することと、
分析に基づいて、前記心室補助装置の調整された動作パラメータを含む少なくとも1つの追加出力を出力することと、を実行させる、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記少なくとも1つの追加出力は、前記調整された動作パラメータを含む推奨を含む、請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記少なくとも1つの追加出力は、植え込み型デバイスに送信される前記調整された動作パラメータを含む制御信号を含む、請求項9に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】