(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】増幅中空コアファイバ伝送
(51)【国際特許分類】
H04B 10/25 20130101AFI20230220BHJP
H04B 10/27 20130101ALI20230220BHJP
H04B 10/291 20130101ALI20230220BHJP
【FI】
H04B10/25
H04B10/27
H04B10/291
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537330
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 US2020064417
(87)【国際公開番号】W WO2021126674
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509094034
【氏名又は名称】オーエフエス ファイテル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】マンガン,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ディジョヴァンニ,デヴィッド,ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】チュー,ベンユアン
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AD01
5K102KA01
5K102KA02
5K102KA39
5K102PA00
5K102PB11
5K102PH11
5K102PH13
5K102PH43
5K102PH46
5K102PH47
5K102PH48
(57)【要約】
低レイテンシ通信のための増幅中空コアファイバ(HCF)光伝送システム。光伝送システムは、低レイテンシ増幅hcfケーブルを備える。低レイテンシ増幅hcfケーブルは、複数のhcfセグメント(またはhcfスパン)を含む。連続するhcfセグメント間に、システムは、低レイテンシ遠隔光ポンプ増幅器(Ropa)を備える。各rOpaは、ゲインファイバと、波長分割多重(wdm)カプラと、光アイソレータとを備える。好ましくは、ropaはhcfケーブルに組み込まれる。各ropaは、ポンプ光をゲインファイバに提供する遠隔光ポンプソースによってポンプされる。ゲインファイバは、hcfから光伝送信号を受信する。wdmカプラは、ポンプ光と光伝送信号を組み合わせることにより、ゲインファイバが光伝送信号を増幅して増幅伝送信号とする。増幅された信号は、光アイソレータを介して別のhcfセグメントに送信される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の中空コアファイバ(HCF)セグメントであって、
少なくとも2つの中空コアファイバ(HCF)を備えるHCFの第1のセットであって、各HCFは、約1550ナノメートル(約1550nm)の中心波長(λ)で光伝送信号を搬送するHCFの第1のセット;
少なくとも4つのソリッドコア光ファイバを備えるソリッドコア光ファイバの第1のセットであって、各ソリッドコア光ファイバは、第1の遠隔光ポンプソースからポンプ光を搬送し、前記ポンプ光は、1475±25nmのλを有し、各ソリッドコア光ファイバは、
G.652規格準拠の規格シングルモードファイバ(SMF)、
G.654規格準拠の大面積超低損失(ULL)光ファイバ
からなる群から選択されるソリッドコア光ファイバであるソリッドコア光ファイバの第1のセット;
を備える第1の中空コアファイバ(HCF)セグメントと:
前記第1のHCFセグメントに光学的に結合された第1の遠隔光ポンプ増幅器(ROPA)であって、前記第1のROPAは、前記第1のHCFセグメントから前記光伝送信号を受信し、前記第1のROPAは、前記光伝送信号を増幅送信信号へと増幅し、前記増幅伝送信号は、約100ミリワット(約100mW)から約300mWの間の出力信号電力を有し、前記第1のROPAは、第1のエルビウム(Er)ドープファイバ(EDF)を備え、前記第1のEDFは、約1.5m(約1.5m)未満の長さを有する第1のROPAと:
前記第1のROPAに光学的に結合された第2のHCFセグメントであって、
少なくとも2つのHCFを備えるHCFの第2のセットであって、各HCFは前記増幅伝送信号を搬送するHCFの第2のセット;
少なくとも4つのソリッドコア光ファイバを備えるソリッドコア光ファイバの第2のセットであって、各ソリッドコア光ファイバは、ポンプ光を伝送するソリッドコア光ファイバの第2のセット;
を備える第2のHCFセグメントと:
前記第2のHCFセグメントに光学的に結合され、前記増幅伝送信号をさらに増幅する第2のROPAと:
前記第2のROPAに光学的に結合された第3のHCFセグメントであって、
少なくとも2つのHCFを備えるHCFの第3のセットであって、各HCFは前記さらに増幅された伝送信号を搬送するHCFの第3のセット;
少なくとも4つのソリッドコア光ファイバを備えるソリッドコア光ファイバの第3のセットであって、各ソリッドコア光ファイバはポンプ光を搬送するソリッドコア光ファイバの第3のセット;
を備える第3のHCFセグメントと:
を備える光ファイバ信号伝送システム。
【請求項2】
第1の中空コアファイバ(HCF)ケーブルであって、
光伝送信号を搬送する第1のHCF;
遠隔光ポンプソースからポンプ光を搬送するソリッドコア光ファイバ;
を備える第1のHCFケーブルと:
前記第1のHCFケーブルに光学的に結合された遠隔光ポンプ増幅器(ROPA)であって、
前記第1のHCFから前記光伝送信号を受信するエルビウム(Er)ドープファイバ(EDF)であって、前記光伝送信号を増幅伝送信号へと増幅するEDF;
前記ソリッドコア光ファイバに光学的に結合された波長分割多重(WDM)カプラであって、前記WDMカプラは、前記EDFに光学的に結合され、前記WDMカプラは前記ポンプ光を前記光伝送信号と組み合わせるWDMカプラ;
前記EDFから前記増幅伝送信号を搬送する光アイソレータ;
を備えるROPAと:
前記ROPAに光学的に結合された第2のHCFケーブルであって、
前記第2のHCFケーブル内に位置する第2のHCFであって、前記第2のHCFは、前記光アイソレータに光学的に結合され、前記増幅伝送信号を搬送する第2のHCF;
を備える第2のHCFケーブルと:
を備える光ファイバ信号伝送システム。
【請求項3】
前記EDFは約1.5メートル(約1.5m)未満の長さを有し、前記EDFは約80デシベル/メートル(約80dB/m)から約150dB/mのピーク吸収を有する請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記WDMカプラは、前記第1のHCFおよび前記EDFの間に配置され、それによって、前記EDFを共ポンプするように前記遠隔光ポンプを構成する請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記WDMカプラは、前記EDFおよび前記光アイソレータの間に配置され、それによって、前記EDFをカウンタポンプするように前記遠隔光ポンプを構成することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記遠隔光ポンプソースは、第1の遠隔光ポンプソースであり、
前記ポンプ光は、第1のポンプ光であり、
前記ソリッドコア光ファイバは、第1のソリッドコア光ファイバであり、
前記WDMカプラは、第1のWDMカプラであり、
前記第1のWDMは、前記第1のHCFおよび前記EDFの間に配置され、それによって、前記EDFを共ポンプするように前記第1の遠隔光ポンプソースを構成し、
前記システムは、
第2のポンプ光を供給する第2の遠隔光ポンプソースと、
前記第1のケーブル内に配置され、第2の遠隔光ポンプソースから前記第2のポンプ光を搬送る第2のソリッドコア光ファイバと、
前記EDFおよび前記光アイソレータの間に光学的に結合されることによって前記EDFをカウンタポンプするように前記第2の遠隔光ポンプソースを構成し、前記第2のポンプ光を前記伝送信号と組み合わせる第2のWDMカプラとをさらに備える請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記ソリッドコア光ファイバは、G.652規格準拠の規格シングルモードファイバ(SMF)およびG.654規格準拠の大面積超低損失(ULL)光ファイバからなる群から選択される請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記ROPAは、約100ミリワット(約100mW)から約300mWの出力信号電力を供給することを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年12月18日付の米国仮特許出願第62/949,704号Digovanni et al.,「Long-Length,Low-Latency,Amplified Hollow Core Fiber Transmission」の優先権を主張し、その出願は引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、概して光ファイバに関し、より詳細には、増幅中空コアファイバ(HCF)伝送に関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバを通る信号伝送は、伝送路の長さにわたって減衰を受ける。減衰に起因する信号障害のため、光伝送路における光信号対雑音比(OSNR)を改善する試みがなされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、低レイテンシ通信のための増幅中空コアファイバ(HCF)光伝送システムを教示する。一実施形態では、伝送システムは、低レイテンシ増幅HCFケーブルを備える。低レイテンシ増幅HCFケーブルは、複数のHCFセグメント(またはHCFスパン)を含む。連続するHCFセグメント間に、システムは、低レイテンシの遠隔光ポンプ増幅器(ROPA)を備える。各ROPAは、ゲインファイバ(典型的には、例えば、エルビウム(Er)ドープファイバ(EDF)などの希土類(RE)ドープファイバ)と、波長分割多重(WDM)カプラと、光アイソレータとを備える。いくつかの実施形態では、ROPAはHCFケーブルに組み込まれる。各ROPAは、遠隔光ポンプソースによってポンプされる。遠隔光ポンプソースは、送信機端末または受信機端末のいずれか(または何らかの遠隔位置)に位置し、ポンプ光をROPA内のゲインファイバに提供する。ゲインファイバは、HCFから光伝送信号を受信する。WDMカプラは、ポンプ光を光伝送信号と組み合わせることにより、ゲインファイバが光伝送信号を増幅して増幅伝送信号とする。増幅された信号は、光アイソレータを介して別のHCFセグメントに送信される。
【0005】
他のシステム、デバイス、方法、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な説明の検討によって、当業者に明白となるであろう。全てのそのような追加のシステム、方法、特徴、および利点は、本説明内に含まれ、本開示の範囲内であり、添付の請求の範囲によって保護されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照してより良く理解することができる。図面中の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、本開示の原理を明確に示すことに重点が置かれている。さらに、図面において、同様の参照番号は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。
【
図1A】
図1Aは、共ポンプ光ファイバを備える遠隔光ポンプ増幅器(ROPA)システムの一実施形態を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、カウンタポンプゲインファイバを備えるROPAシステムの一実施形態を示す図である。
【
図1C】
図1Cは、ゲインファイバの共ポンプおよびカウンタポンプの両方を示すROPAシステムの一実施形態を示す図である。
【
図2】
図2は、送信機端末および受信機端末の間の異なるセグメントで光伝送信号を増幅するための複数のROPAを有する光伝送システムの一実施形態を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2の伝送システムの各セグメントに対応する総光信号電力の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
光ファイバを通る信号伝送は、伝送路の長さにわたって減衰を受ける。減衰に起因する信号障害のため、光伝送路における光信号対雑音比(OSNR)を改善する努力が進行中である。減衰は、高い減衰によって制限され、高い信号対雑音比(SNR)を必要とする低レイテンシ用途のための中空コアファイバ(HCF)における信号伝送にとって特に問題である。これは、信号減衰のための従来の対策がしばしばレイテンシを劣化させるからである。
【0008】
レイテンシに大きな影響を及ぼすことなくOSNRを改善することであって、本開示は、HCFセグメントの到達範囲を拡張し、それにより伝送リンク全体にわたってカスケード増幅を可能にする遠隔光ポンプ増幅器(ROPA)を提供する。低レイテンシ用途の場合、主な目的は、ファイバピグテールなどにおける余分なファイバ長を最小限に抑えるかまたは減少させることである。
【0009】
ファイバ長を低減するために、いくつかの実施形態では、各ROPA内のゲインファイバは、長さが約1メートル(約1m)未満であり、HCFケーブル内に配置される。当然ながら、これらの実施形態では、ゲインファイバに付随する光学構成要素(例えば、波長分割多重(WDM)カプラ、光アイソレータなど)は、ゲインファイバとともに単一パッケージに統合され、それによって、余分なピグテールファイバをさらに低減する。ゲインファイバの減少した長さは、約1メートル未満(<約1m)から約2mの非HCFの全長を有する適切なゲイン(例えば約20デシベル(約20dB)から約30dB)を生成する。他の実施形態では、ROPAは、HCFケーブル自体に配置される必要はないが、ケーブルに近接して配置されること(非HCF長を最小化または低減するのに充分近い)を理解されたい。明確にするために、ROPAがHCFケーブル自体に位置するとは、ROPAが、最終ケーブルが製造される前にHCFおよびソリッドコア光ファイバに接続され、したがって、ROPA、HCF、およびソリッドコア光ファイバが、ケーブル内にともに被覆されるか、または代替として、それのいずれかを意味する。代替的に、ROPAは、(海中システムのためのインライン増幅器がどのように構築されるかと同様に)HCFケーブルに取り付けられる小型ポッド内に含まれる。
【0010】
続いて、ゲインファイバはHCFケーブル内に位置するが、ポンプソースは遠隔(例えば、送信機端末、受信機端末のいずれか、または両方)に位置し、ポンプ光は、HCFと共にケーブル接続されたソリッドコア光ファイバを通してゲインファイバに提供される。ポンプソースの遠隔配置は、電源(および他の電気構成要素)が遠隔に配置されることを可能にする。これは、煩雑で高価な構成要素をゲインファイバと共同設置することを必要とすることなく、HCFケーブルにおける増幅を可能にする。ゲインファイバのHCFへの近接は、低レイテンシをもたらす。さらに、HCFは非常に低い光学非線形性を示すので、HCFへの入力信号電力は、約1ワット(約1W)、約10W、またはそれ以上にもなり得る。
【0011】
技術的問題に対する広範な技術的解決策を提供したので、図面に示される実施形態の説明を詳細に参照する。いくつかの実施形態がこれらの図面に関連して説明されるが、本開示を本明細書に開示される1つまたは複数の実施形態に限定する意図はない。反対に、すべての代替形態、修正形態、および均等物を網羅することが意図される。
【0012】
図1Aは、高出力信号電力を送達し、共ポンプ構成を有するROPAシステム100aの一実施形態を示す図である。構成について、ROPAシステム100aは、HCF110からの入力と、ソリッドコア光ファイバ120と、波長分割多重(WDM)カプラ130aと、ゲインファイバ140と、光アイソレータ150と、別のHCF160への出力とを備える。例示のために、HCF110は、約4キロメートル(約4km)を超える長さにわたって光信号を搬送し、したがって、HCF110とソリッドコア光ファイバ120の両方は、約4kmを超える長さを有する。
【0013】
動作において、入力HCF110は光伝送信号をROPAシステム100aに搬送し、ソリッドコア光ファイバ120はポンプ光を遠隔光ポンプソース(
図1Aにおいて不図示)からROPAシステム100aに搬送する。いくつかの実施形態では、HCF110およびソリッドコア光ファイバ120は、ともにケーブル接続される。すなわち、HCF110とソリッドコア光ファイバ120とを1本のケーブルで収容している。他の実施形態では、ソリッドコア光ファイバは、HCFケーブルに隣接する別個のケーブル内にあり得る。他の実施形態では、ポンプ光は、光伝送信号とともにHCFを通して伝送されることができる。例示的な実施形態では、光伝送信号の中心波長(λ)は、約1550ナノメートル(約1550nm)、またはCバンドであり、これは、しばしば、高密度波長分割多重化(DWDM)に使用され、ポンプ光のためのλは、約1485nm(±5nm)である。ソリッドコア光ファイバは、約1W、約10W、またはそれ以上のオーダーのポンプ電力を供給する。いくつかの実施形態では、ポンプ光は、約1475±25nmのλを有し、それによって、より広い波長範囲を提供し、それは、より高いポンプ光の送達を可能にし、それによって、ROPAシステム100aのゲインまたは出力電力を増加させることを理解されたい。
【0014】
ポンプ光および光伝送信号は、HCF110とソリッドコア光ファイバ120の両方に光学的に結合されたWDMカプラ130aで組み合わされる。光伝送信号は、ゲインファイバ140により増幅されて増幅伝送信号となり、WDMカプラ130aに光結合される。言い換えれば、共ポンプ構成の場合、WDMカプラ130aは、HCF110およびゲインファイバ140の間に位置する。ポンプ光が、共ポンプされるかカウンタポンプされるかにかかわらず、伝送信号とともにHCFを通してゲイン媒体に送達される実施形態では、HCFは、ゲインファイバおよびWDMの間に位置付けられる。
【0015】
いくつかの実施形態について、ゲインファイバ140は、例えば、約80デシベル/メートル(約80dB/m)から約150dB/mのピーク吸収を有するエルビウム(Er)ドープファイバ(EDF)などの希土類(RE)ドープ光ファイバである。レイテンシを低減するために、ゲインファイバ140は、たとえこれが増幅器の効率を損なうとしても、長さが約1.5メートル(約1.5m)未満である。当技術分野が増幅器の効率を減少させることを教示することに留意することは価値があるが、従来の知識は、伝搬中のポンプ電力の損失のためにROPAの効率を増大させるべきであることを教示している。従来の知識とは対照的に、開示される実施形態は、実際に、増幅器の効率を(ゲインファイバの長さを減少させることによって)減少させ、それによって、効率を犠牲にしてより低いレイテンシを達成する。
【0016】
続いて、増幅された伝送信号は、ゲインファイバ140から出て、光アイソレータ150を通って出力HCF160に進む。好ましくは、出力HCF160も約4kmを超える。約4kmの長さが明示的に開示されているが、この長さは、信号損失の関数としてより長くても短くてもよいことを理解されたい。したがって、いくつかの実施形態では、約4kmのHCFセグメントの後にROPAを配置するのではなく、信号損失が約16dBから約33dBの間であるROPAを配置することができる。他のゲイン媒体、例えばErまたはEr/Ybドープリン酸塩または多成分ガラスホストをCバンドでの動作に使用することができる。当然のことながら、他の帯域(Sバンド、Oバンド、Lバンド、または、HCFが低い損失(2μmのλ)を有し得るLバンドを超える伝送など)が、それらの対応する光増幅器とともに使用され得る。Cバンド、Sバンド、Oバンド、Lバンドなどの波長範囲が当業者に知られている限り、これらの特定の伝送バンドのさらなる説明は、本開示では省略される。
【0017】
図1Aの共ポンプ構成は、いくつかの代替構成よりも低い雑音指数(NF)を提供する。
【0018】
図1Bは、高信号出力電力を送達し、カウンタポンプ構成を有するROPAシステム100bの一実施形態を示す図である。
図1Aと同様に、
図1BのROPAシステム100bは、HCF110からの入力と、ソリッドコア光ファイバ120と、WDMカプラ130bと、ゲインファイバ140と、光アイソレータ150と、別のHCF160への出力とを備える。
【0019】
図1Aの実施形態とは異なり、
図1BのROPAシステム100bにおけるWDMカプラ130bは、ゲインファイバ140および光アイソレータ150の間に位置し、それによってカウンタポンプ構成をもたらす。ROPAシステム100bの個々の構成要素が
図1Aを参照して詳細に議論される限り、それらの同じ構成要素の冗長な議論は、
図1Bを参照して省略される。
【0020】
図1Bのカウンタポンプ構成は、いくつかの代替構成(例えば、共ポンプ構成など)よりも高いゲインおよび高い出力電力を提供することを理解されたい。
【0021】
図1Cは、高出力電力を送達し、共ポンプ構成およびカウンタポンプ構成の両方を有するROPAシステム100cの一実施形態を示す図である。
図1Aおよび
図1Bと同様に、
図1CのROPAシステム100cは、HCF110からの入力と、ソリッドコア光ファイバ120と、ゲインファイバ140と、光アイソレータ150と、別のHCF160への出力とを備える。
【0022】
しかしながら、
図1Aまたは
図1Bとは異なり、
図1CのROPAシステム100cは、2つのWDMカプラ130a、130bと、ポンプスプリッタ125とを備える。一方のWDMカプラ130aは、HCF110およびゲインファイバ140の間に配置され(ゲインファイバ140を共ポンプするため)、他方のWDMカプラ130bは、ゲインファイバ140および光アイソレータ150の間に配置される(ゲインファイバ140をカウンタポンプするため)。言い換えれば、
図1Cの構成は、ゲインファイバ140を共ポンプおよびカウンタポンプの両方で駆動する。
【0023】
ポンプ光は、2つの異なるWDMカプラ130a、130bに提供されるので、遠隔光ポンプソース(不図示)からのソリッドコア光ファイバ120は、スプリッタ125によって2つの異なる経路に分割され、一方の光ポンプ路は、第1のWDMカプラ130aにあり、他方の光ポンプ路は、第2のWDMカプラ130bにある。いくつかの実施形態では、ソリッドコア光ファイバ120は、当業者に周知である、G.652規格に準拠する標準シングルモードファイバ(G.652規格準拠ファイバとして指定される)であることを理解されたい。他の実施形態では、ソリッドコア光ファイバ120は、G.654規格準拠の大面積超低損失ファイバである。G.652規格準拠ファイバおよびG.654規格準拠ファイバの両方は、ROPAへのポンプ光のより効率的な送達を可能にする。
【0024】
ROPAシステム100cの他の構成要素は、
図1Aおよび
図1Bを参照して上述されているので、これらの同じ構成要素の冗長な説明は、
図1Cを参照して省略される。また、当業者は、G.652規格(シングルモード光ファイバ(SMF)ケーブルを指定する国際電気通信連合(ITU-T)の規格部門によって開発されたシングルモード光ファイバおよびケーブルの幾何学的、機械的、および伝送属性を記述する国際規格である)とG.654規格(カットオフシフトされたSMFおよびケーブルの国際規格)の両方に精通しているため、これらおよび他のITU-T規格のさらなる議論は、本開示では省略される。
【0025】
図1Cに示されるように、共ポンプ構成およびカウンタポンプ構成の両方を有することは、(共ポンプからの)低いNFと、(カウンタポンプからの)高いゲインおよび高い出力電力との両方を提供することを理解されたい。
【0026】
ROPAの任意の構成に関して、ROPAがHCFと同じケーブルまたは導管内に存在することが望ましいので、空間は限られており、ゲインファイバおよび任意の構成要素ピグテールなどのファイバは、許容できない減衰または信頼性の低下を引き起こすことなく小さい半径に曲げることができるべきである。
【0027】
ROPAシステム100a、100b、100cの異なる構成について説明してきたが、
図2および
図3に注目する。具体的には、
図2は、送信機端末210および受信機端末220の間の異なるセグメント110d、160d/110e、160e/110f、160f/110g、160gで光伝送信号を増幅するための複数のROPA100d、100e、100f、100gを有する長距離低レイテンシ光伝送システム200の一実施形態を示す。
図3は、
図2の伝送システムの各セグメントに対応する総光信号パワーの例を示す。
【0028】
続いて、構成において、光伝送システム200は、一端に送信機端末210を備え、他端に受信機端末220を備える。送信機端末210は、送信機230(または複数のDWDM送信機チャネル)と、高電力低レイテンシブースタ増幅器240と、いくつかの遠隔光ポンプソース250a、250bとを備える。受信機端末220はまた、遠隔光ポンプソース250c、250dを含む。さらに、受信機端末220は、低レイテンシ受信機プリ増幅器260と、(DWDM信号を逆多重化するための)デマルチプレクサ270と、受信機280(または複数のDWDM受信機チャネル)とを備える。いくつかの実施形態では、ポンプソース250a、250b、250c、250d(集合的に250)は、約1485nm(±約5nm)のλで動作する高出力ポンプレーザである。ファイバグレーティングはシステムにわずかなレイテンシしか追加しないので、ファイバグレーティングベースの波長分散補償器もまた、ノンリターンツーゼロ(NRZ)変調フォーマットを使用する直接検出のために受信機端末220に含まれ得ることを理解されたい。また、コヒーレント伝送システムの場合、波長分散およびモード電力分布(MPD)は、受信機280において電子的に補償される。マルチパス干渉(MPI)は、いくつかの実施形態では、受信機280におけるデジタル信号処理(DSP)によって軽減される。
【0029】
図2の例示的な実施形態では、送信機端末210および受信機端末220の間の光路は、約30キロメートル(約30km)であり、5つの別個のHCFセグメント110d、160d/110e、160e/110f、160f/110g、160gと、それらのそれぞれのHCFセグメント110d、160d/110e、160e/110f、160f/110g、160gを接続する4つの別個のROPAシステム100d、100e、100f、100gとを備える。
【0030】
動作において、送信機230からのDWDMチャネルは、約30dBmより大きい(または約33dBより大きい)ように高電力低レイテンシブースタ増幅器240によって増幅され、HCF110dに送出される。
図2の実施形態では、HCF110dを有するケーブルはまた、ソリッドコア光ファイバ120d、120eを備え、それによって、同じケーブルを通して光伝送信号と光ポンプ光の両方を提供する。説明のために、第1のHCFセグメント110dは、約10kmの長さであるように示されているが、同様の原理を異なる送信長さ(例えば、約4km、約5km、約6kmなど)に適用することができることを理解されたい。第1のHCFセグメント110dの端部において、第1のROPAシステム100dは、約10kmの伝送距離にわたって減衰した光伝送信号を受信する。光伝送信号の減衰を
図3に示す。
【0031】
送信機端末210および第1のROPAシステム100dの間で減衰した光送信信号を増幅するために、送信機端末210からの高電力遠隔光ポンプソース250aのうちの1つは、ソリッドコア光ファイバ120dのうちの1つを介して第1のROPAシステム100dに光ポンプ光を供給する。好ましくは、ROPAシステム100dは、約100ミリワット(mW)から約300mWを超える出力電力を供給する。ROPAシステムのいくつかの実施形態は、
図1A、1Bおよび1Cを参照して詳細に説明されているため、ROPAシステムのさらなる説明は、
図2および3を参照して省略される。約10kmマークにおける光伝送信号の増幅を
図3に示す。
【0032】
増幅された送信信号は、第1のROPAシステム100dから第2のHCFセグメント160dに伝搬し続ける。例示目的のために、第2のHCFセグメント160d/110eは、長さが約5kmであることが示されている。第2のHCFセグメント110eの端部において、第2のROPAシステム100eは、約5kmの伝送距離にわたって再び減衰した光送信信号を受信する。光伝送信号は約15kmの全距離を横断しているので、第2のHCFセグメント160d/110eの端部における減衰は、
図3において約15kmのマークで示される。
【0033】
第2のROPAシステム100eにおいて光伝送信号を増幅するために、送信機端末210からの別の高出力遠隔光ポンプソース250bは、別のソリッドコア光ファイバ120eを介して第2のROPAシステム100eに光ポンプ光を提供する。別個の遠隔光ポンプソース250bが
図2に示されているが、ポンプ光の一部が連続ROPAシステム100においてソリッドコア光ファイバ120からタップされた状態で、単一の高出力光ポンプソースを使用することができることを理解されたい。光伝送信号は、第2のROPAシステム100eにおいて増幅され、第2のROPAシステム100eから第3のHCFセグメント160eに伝搬し続け、これは約4kmの長さとして示される。
【0034】
第3のHCFセグメント110fの端部において、第3のROPAシステム100fは、再び減衰された光伝送信号を受信する。減衰は、
図3の約19kmのマークに示されている。この例示的な実施形態における第3のROPAシステム100fは、送信機端末210よりも受信機端末220に近いので、第3のROPAシステム100fは、受信機端末220から高出力遠隔光ポンプソース250dのうちの1つによってポンプされる。本実施形態では、光ポンプ光を伝送するソリッドコア光ファイバ120fは、受信機端末220からHCF160gとともにケーブル接続される。従来の2つのROPAシステム100d、100eと同様に、第3のROPAシステム100fは、
図3に示すように、光伝送信号を増幅するゲインファイバ(例えば、
図2に不図示のEDF)を備える。
【0035】
増幅された伝送信号は、第4のHCFセグメント160f/110gを通って第4のROPAシステム100gに続く。例示の目的で、第4のHCFセグメント160f/110gは、約5kmの長さであるように示されている。第4のROPAシステム100gの動作は第3のROPAシステム100fの動作と実質的に同様であるので、第4のROPAシステム100gのさらなる説明はここでは省略する。第4のROPAシステム100g(約24kmマーク)における信号の減衰および増幅を
図3に示す。別個の遠隔光ポンプソース250c、250dが
図2に示されているが、ポンプ光を第3および第4のROPAシステム100f、100gに提供するために、ポンプ光の一部がソリッドコア光ファイバ120からタップされる単一の高出力光ポンプソースを使用することができることを理解されたい。
【0036】
第4のROPAシステム100gから、光伝送信号(ここで再び増幅される)は、第5のHCFセグメント160(長さ約6kmとして示される)を通って受信機端末220に伝搬し、そこで低レイテンシ受信機プリ増幅器260によって増幅される。その後、DWDMデマルチプレクサ270は、DWDM信号を分離し、分離した光信号を受信機280に伝達する。ここでも、(約30kmのマークにおける)光伝送信号の減衰および増幅が
図3に示されている。
【0037】
図2および
図3に示すように、光伝送信号は、ROPAシステム100d、100e、100f、100g(集合的に100)によって、伝送路に沿った様々な位置で順次増幅される。ROPAシステム100は遠隔でポンプされるので、
図2の構成は、レイテンシに大きく影響を及ぼすことなくOSNRを改善する。さらに、当業者は、各ROPAシステム100の位置およびゲイン(またはスパン損失)が、受信機280におけるOSNRを最適化するように修正され得ることを理解するであろう。例えば、端末210、220により近いROPAシステム100は、比較的高いゲインのために構成されてもよく、一方、端末210、220からより遠いROPAシステム100は、比較的低いゲインのために構成され得る。これは、より近いROPAシステム100は、遠隔光ポンプソース250に近接しているため、比較的高いポンプ電力を有し、より遠いROPAシステム100は、遠隔光ポンプソース250までの距離が長いため、比較的低いポンプ電力を有するからである。
【0038】
好ましくは、各スパンまたはセグメント110/160の最低電力レベルは、複数のROPAシステム100にわたって一貫しているが、各セグメント110/160の最高信号電力レベルは異なる。これは、HCFが極めて低い非線形影響を有するためである。また、各ROPAシステム100が有限長のゲインファイバ(例えば、EDFなどのREドープファイバ)を含むとしても、すべてのゲインファイバの全長は、HCFのキロメートル当たり約1m未満に制限することができる。したがって、
図2の約30kmの例では、ゲインファイバの全長は、4つのROPAシステム100のすべてにわたって約10m未満である。加えて、上述のように、受動構成要素(例えば、WDMカプラ130、光アイソレータ150等)は、単一のサブシステムに統合することができ、それによって、ROPAシステム100の総サイズを低減する。さらに、タップは、受動構成要素と統合されることができ、それによって、光伝送信号の監視を可能にする。
【0039】
本開示の当業者によって理解されるように、フローチャートにおける任意のプロセスの説明またはブロックは、関与する機能に応じて、実質的に同時または逆の順序を含む、図示または説明された順序とは異なる順序で実行可能であるものとして理解されるべきである。
【0040】
例示的な実施形態を示し、説明してきたが、当業者には、説明したような本開示に対して多くの変更、修正、または改変を行うことができることが明らかであろう。例えば、低レイテンシROPAが例示的な実施形態として示され、説明されるが、(低レイテンシROPAではなく)HCFに大きく起因する低レイテンシ改善を有する増幅器など、より高いレイテンシの増幅器が他の実施形態のために使用され得ることを、当業者は理解されたい。また、
図1A~
図3では、単一のHCFおよび単一のソリッドコア光ファイバが示されているが、HCFケーブルは、複数のHCF(光伝送信号の送達用)および複数のソリッドコア光ファイバ(光ポンプ光の送達用)を有することができることを理解されたい。2つのHCFを有する実施形態では、一方のHCFを信号データに使用することができ、他方のHCFを保護に使用することができる。代替として、各HCFは、一方のHCFが発信データ送信を処理し、他方のHCFが着信データ送信を処理するように、単方向データ転送のために構成され得る。さらに、開示される実施形態は、ゲイン媒体がゲインファイバと実質的に同様の伝送特性を有する限り、導波路として働く任意のタイプのゲイン媒体(必ずしもゲインファイバではない)を用いて実装され得る。例えば、ゲイン媒体は、Erドープファイバの代わりにErドープ導波路とすることができる。
【0041】
したがって、これらおよび他のそのような変更、修正、および改変は、本開示の範囲内であると見なされるべきである。
【国際調査報告】