(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】低リプル放射パターンを有するアンテナ機構
(51)【国際特許分類】
H01Q 13/10 20060101AFI20230220BHJP
G01S 7/02 20060101ALI20230220BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20230220BHJP
【FI】
H01Q13/10
G01S7/02 202
G01S13/931
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537523
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2020086394
(87)【国際公開番号】W WO2021122725
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515096169
【氏名又は名称】ギャップウェーブス アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(72)【発明者】
【氏名】カルロ、ベンチベッニ
(72)【発明者】
【氏名】ユリウス、ペッテション
【テーマコード(参考)】
5J045
5J070
【Fターム(参考)】
5J045AA21
5J045DA04
5J045FA02
5J045HA01
5J045LA01
5J045MA07
5J045NA07
5J070AC13
5J070AD03
5J070AD15
5J070AF03
5J070AG03
5J070AK08
(57)【要約】
車両レーダ送受信機に好適なアンテナ機構(100)。アンテナ機構は、表面(110)を有する放射層(105)を含み、表面は、表面境界(115)によって区切られる。1つまたは複数の開口(120)が表面に配置される。アンテナ機構は、表面に配置される1つまたは複数の表面電流抑制部材(130)をさらに含む。1つまたは複数の表面電流抑制部材は、開口から表面境界への表面電流を抑制するように配置される。1つまたは複数の表面電流抑制部材は、1つまたは複数の溝を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両レーダ送受信機のためのアンテナ機構(100)であって、前記アンテナ機構は、
表面境界(115)によって区切られる表面(110)を有する放射層(105)と、
前記表面(110)に配置される1つまたは複数の開口(120)と、
前記表面(110)に配置される1つまたは複数の表面電流抑制部材(130)と、を備え、
前記1つまたは複数の表面電流抑制部材は、開口(120)から前記表面境界(115)への表面電流を抑制するように配置され、
前記1つまたは複数の表面電流抑制部材(130)は、1つまたは複数の溝を含む、アンテナ機構(100)。
【請求項2】
前記1つまたは複数の溝および前記1つまたは複数の開口は、単一の層内に形成される、請求項1に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項3】
分配層(1320)をさらに含み、前記1つまたは複数の溝は、前記放射層内のスルーホールであり、前記分配層内において電磁的に終端している、請求項1に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項4】
前記1つまたは複数の開口(120)は、細長いスロットである、請求項1~3のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項5】
前記1つまたは複数の細長いスロットは、前記表面(110)上において第1の方向(A)に延びる、請求項4に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項6】
前記細長いスロットの少なくとも1つは、前記第1の方向(A)に延び、前記細長いスロットの少なくとも1つの他のものは、前記表面(110)上において第2の方向(B)に延び、前記第2の方向(B)は、前記第1の方向(A)とは異なるか、前記第1の方向(A)に直交する、請求項4に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項7】
前記1つまたは複数の表面電流抑制部材(130)は、前記第1の方向(A)に伸長方向を有する少なくとも1つの細長い要素を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項8】
前記1つまたは複数の表面電流抑制部材(130)は、前記表面境界(115)に接続して配置される、請求項1~7のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項9】
前記1つまたは複数の表面電流抑制部材(130)は、前記表面境界(115)に接続して配置され、前記1つまたは複数の開口(120)を包囲する、請求項1~8のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項10】
複数の開口(120)を含み、前記1つまたは複数の表面電流抑制部材(130)のうちの少なくとも1つは、前記複数の開口における第1の開口と第2の開口との間に配置される、請求項1~8のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項11】
複数の開口(120)を含み、前記複数の開口における開口のうちの少なくとも1つは、前記1つまたは複数の表面電流抑制部材によって包囲される、請求項1~7のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項12】
フレーム(710)を含み、前記放射層(105)は、前記フレーム(710)内に受容されるように配置され、前記1つまたは複数の表面電流抑制部材(130)は、前記フレーム(710)上に配置される、請求項1~11のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)を含む車両(101)。
【請求項14】
車両用のレーダ送受信機(102)であって、請求項1~12のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)を含む、レーダ送受信機(102)。
【請求項15】
車両レーダ送受信機のためのアンテナ機構(100)であって、前記アンテナ機構は、
表面境界(115)によって区切られる表面(110)を有する放射層(105)と、
前記表面(110)に配置される1つまたは複数の開口(120)と、
前記表面(110)に配置される1つまたは複数の表面電流抑制部材(130)と、を備え、
前記1つまたは複数の表面電流抑制部材は、開口(120)から前記表面境界(115)への表面電流を抑制するように配置され、
前記1つまたは複数の表面電流抑制部材(130)は、1つまたは複数の電磁吸収体を含む、アンテナ機構(100)。
【請求項16】
前記1つまたは複数の開口(120)は、細長いスロットである、請求項15に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項17】
前記1つまたは複数の細長いスロットは、前記表面(110)上において第1の方向(A)に延びる、請求項16に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項18】
前記細長いスロットの少なくとも1つは、前記第1の方向(A)に延び、前記細長いスロットの少なくとも1つの他のものは、前記表面(110)上において第2の方向(B)に延び、前記第2の方向(B)は、前記第1の方向(A)とは異なるか、前記第1の方向(A)に直交する、請求項16に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項19】
前記1つまたは複数の表面電流抑制部材(130)は、前記第1の方向(A)に伸長方向を有する少なくとも1つの細長い要素を含む、請求項15~18のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項20】
前記1つまたは複数の表面電流抑制部材(130)は、前記表面境界(115)に接続して配置される、請求項15~19のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項21】
前記1つまたは複数の表面電流抑制部材(130)は、前記表面境界(115)に接続して配置され、前記1つまたは複数の開口(120)を包囲する、請求項15~20のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項22】
複数の開口(120)を含み、前記1つまたは複数の表面電流抑制部材(130)のうちの少なくとも1つは、前記複数の開口における第1の開口と第2の開口との間に配置される、請求項15~20のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項23】
複数の開口(120)を含み、前記複数の開口における開口のうちの少なくとも1つは、前記1つまたは複数の表面電流抑制部材によって包囲される、請求項15~19のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項24】
前記1つまたは複数の電磁吸収体(130)のうちの少なくとも1つは、前記表面(110)上にコーティングされる(511)、請求項15~23のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項25】
前記1つまたは複数の電磁吸収体(130)のうちの少なくとも1つは、前記表面(110)に形成される凹部(512)に配置される、請求項15~24のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項26】
前記表面(110)は、支持層(510)上に金属化コーティングを含み、前記1つまたは複数の電磁吸収体(130)は、支持層の一部を構成する、請求項15~25のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項27】
前記支持層(510)は、プラスチックを含む、請求項26に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項28】
前記支持層(510)は、プライマを含む、請求項26に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項29】
フレーム(710)を含み、前記放射層(105)は、前記フレーム(710)内に受容されるように配置され、前記1つまたは複数の表面電流抑制部材(130)は、前記フレーム(710)上に配置される、請求項15~28のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)。
【請求項30】
請求項15~29のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)を含む車両(101)。
【請求項31】
車両用のレーダ送受信機(102)であって、請求項15~29のいずれか一項に記載のアンテナ機構(100)を含む、レーダ送受信機(102)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両レーダ送受信機のためのアンテナ機構に関する。改善された放射パターンを有するアンテナ機構が開示される。
【背景技術】
【0002】
レーダ送受信機は、現代の車両においてますます重要な役割を果たす。レーダ送受信機は、自動運転のため、または有用な情報を運転者に提供するために使用され得る。
【0003】
レーダは、アンテナ機構を通じて目的の方向に信号を伝送することによって機能する。伝送された信号は、その後、物体によって目的の方向に反射される。次いで、反射信号は、アンテナ機構によって受信され、処理される。処理された反射信号は、例えば、レーダに対する物体の範囲およびレーダに対する物体の速度に関する情報を提供し得る。
【0004】
一部の車両用途において、アンテナ機構の仰角次元における放射パターンは、好ましくは、単一の狭ビームを含まなければならない。これは、例えば、アンテナ素子のアレイによって達成され得る。この方式では、仰角次元における視野は、地面に実質的に平行であり得る。以て、レーダは、車両より上の興味のない物体を検出することを回避し得、また、望ましくない地面反射も回避し得る。アンテナ機構の方位角次元における放射パターンは、理想では、視野にわたって均一であるべきである。方位角次元における視野は、好ましくは、できる限り広い角度、例えば、180度を有する。しかしながら、実際のアンテナ機構は、方位角ビーム幅と方位角放射パターン内のリプルとの間のトレードオフを提示する。低リプルを有する狭い方位角ビーム幅は、視野を低減する。その一方で、より大きいリプルを有するより広いビーム幅は、ビームにわたって異なる量の電力を伝送し、これにより、信号処理を複雑にする可能性を有する。
【0005】
改善された放射パターンを有するアンテナ機構が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的は、改善されたアンテナ機構を提供することである。本アンテナ機構は、車両レーダ送受信機に好適である。本アンテナ機構は、表面を有する放射層を含み、表面は、表面境界によって区切られる。1つまたは複数の開口が表面に配置される。本アンテナ機構は、表面に配置される1つまたは複数の表面電流抑制部材をさらに含む。1つまたは複数の表面電流抑制部材は、開口から表面境界への表面電流を抑制するように配置される。
【0007】
表面境界および/または近隣スロットの散乱される表面電流は、1つまたは複数のスロットから生じる放射パターンを妨害する望ましくない放射を引き起こす。表面電流抑制部材は、表面電流を抑制し、したがって、望ましくない放射を低減する。結果として、表面電流抑制部材は、所望のローブ幅を維持しながらリプルを下げることに関してアンテナ機構の放射パターンを改善する。
【0008】
態様によると、1つまたは複数の表面電流抑制部材は、1つまたは複数の溝を含む。溝は、表面電流を制御された方式で散乱させることにより、表面電流を抑制する。溝と相互作用する表面電流は、電磁放射として散乱され、これによりそのエネルギーは減少し、電流は抑制される。溝の利点は、それが放射層内の開口と同様の方法で製造され得ることである。
【0009】
本アンテナ機構の実施形態において、1つまたは複数の溝および1つまたは複数の開口は、単一の層内に形成され、これは、製造の視点から有利な点である。言い換えると、溝および開口は、同じ層上に一体に形成される。
【0010】
本アンテナ機構の実施形態において、溝および開口は、単一の材料、例えば、金属で形成され、これは、製造の視点から有利な点である。
【0011】
態様によると、1つまたは複数の表面電流抑制部材は、1つまたは複数の電磁吸収体を含む。
【0012】
電磁吸収体は、減衰により表面電流を抑制する。電磁吸収体を使用することの1つの利点は、それらが、放射層が製造された後に表面に配置され得ることである。
【0013】
態様によると、1つまたは複数の電磁吸収体のうちの少なくとも1つは、表面上にコーティングされる。これは、製造し易さおよび低費用アンテナ機構をもたらす。
【0014】
態様によると、1つまたは複数の電磁吸収体のうちの少なくとも1つは、表面に形成される凹部に配置される。この方式では、表面と同一平面に1つまたは複数の電磁吸収体を配置することが可能である。そのような配置は、空間を節約し、組み立てを容易にし得、また、例えば、アンテナ組み立て中に電磁吸収体のスナッギング(飛び出し、snagging)を回避するために使用され得る。
【0015】
態様によると、表面は、支持層上に金属化コーティングを含み、1つまたは複数の電磁吸収体が、支持層の一部を構成する。この方式では、本アンテナ機構は、スロット切り欠きを有する支持層を含み得、既定の領域を除くすべての表面が金属化される。既定の領域は、このとき、電磁吸収体を構成する。そのようなアンテナ機構は、製造が容易であり、低費用を有する。
【0016】
態様によると、支持層は、プラスチックを含む。この方式では、支持層は、低費用および低重量を有する。
【0017】
態様によると、支持層は、プライマを含む。この方式では、支持層を金属化するのがより容易である。
【0018】
態様によると、1つまたは複数の開口は、細長いスロットである。
【0019】
この方式では、放射層は、費用対効果が高く、例えば損失に関して、高性能であり、例えば車両レーダのための望ましい放射パターンを提示する。
【0020】
態様によると、1つまたは複数の細長いスロットは、表面上において第1の方向に延びる。
【0021】
この方式では、本アンテナ機構は、例えば、1つの次元においては狭いビーム幅を、および別の次元においては広いビーム幅を有するアンテナアレイを含み得る。
【0022】
態様によると、細長いスロットのうちの少なくとも1つは、第1の方向に延び、細長いスロットのうちの少なくとも1つの他のものは、表面上において第2の方向に延びる。第2の方向は、第1の方向とは異なるか、これに直交する。
【0023】
この方式では、本アンテナ機構は、偏波共用アンテナ機構のために使用され得る。この偏波共用アンテナ機構において、両方の偏波における放射パターンが改善される。
【0024】
態様によると、1つまたは複数の表面電流抑制部材は、第1の方向に伸長方向を有する少なくとも1つの細長い要素を含む。この方式では、1つの表面電流抑制部材は、第1の方向に延びるいくつかの開口から生じる表面電流を抑制し得る。
【0025】
態様によると、1つまたは複数の表面電流抑制部材は、表面境界に接続して配置される。この方式では、表面電流抑制部材は、放射層上のいくつかの開口から生じる表面電流を抑制し得る。
【0026】
態様によると、1つまたは複数の表面電流抑制部材は、表面境界に接続して配置され、1つまたは複数の開口を包囲する。この方式では、表面電流抑制部材は、表面上の開口のどのような向きに対しても、方位角次元における放射パターンを改善し得、これは有利な点である。
【0027】
態様によると、本アンテナ機構は、複数の開口を含み、1つまたは複数の表面電流抑制部材のうちの少なくとも1つは、複数の開口における第1の開口と第2の開口との間に配置される。この方式では、表面電流抑制部材は、放射層上の開口の中間の表面電流を抑制し得る。
【0028】
態様によると、本アンテナ機構は、複数の開口を含み、複数の開口における開口のうちの少なくとも1つは、1つまたは複数の表面電流抑制部材によって包囲される。この方式では、表面電流抑制部材は、包囲された開口からのすべての方向において表面電流を抑制し得る。
【0029】
態様によると、本アンテナ機構は、フレームを含み、放射層は、フレーム内に受容されるように配置され、1つまたは複数の表面電流抑制部材は、フレーム上に配置される。
【0030】
この方式では、異なる構成の放射層が、同じフレームに適合し得ることで、製造費用を節約する。放射層は、フレーム内に受容されるように配置される複数の放射層モジュールを含むことが可能である。フレームは、1つまたは複数の放射層モジュールの構造支持体であり、フレームは、好ましくは、導電性材料を含む。1つまたは複数の放射層モジュールは、例えば、締り嵌めまたはスナップフィットにより、容易な組み立てのために、フレームに解放可能に装着され得る。
【0031】
態様によると、車両は、本アンテナ機構を含む。
【0032】
態様によると、車両用のレーダ送受信機は、本アンテナ機構を含む。
【0033】
全体的に、クレーム内で使用されるすべての用語は、本明細書内で別途明示的に規定されない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるものとする。「要素、装置、構成要素、手段、ステップなど」へのすべての言及は、別途明示的に記載されない限り、要素、装置、構成要素、手段、ステップなどの少なくとも1つの事例について言及するものと解釈される。本発明の更なる特徴および本発明による利点は、添付のクレームおよび以下の説明を検討するときに明白になるものとする。当業者は、本発明の異なる特徴が、本発明の範囲から逸脱することなく、以下において説明されるもの以外の実施形態を作成するために組み合わされ得ることを認識する。
【0034】
本開示は、これより、添付の図面を参照してより詳細に説明されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1A】
図1Aは、レーダ送受信機を有する車両の上面図である。
【
図1B】
図1Bは、レーダ送受信機を有する車両の側面図である。
【
図2】
図2は、例示的なアンテナ機構を概略的に例証する図である。
【
図3】
図3は、例示的な放射パターンを例証する図である。
【
図5A】
図5Aは、異なる構成の表面電流抑制部材を有する例示的なアンテナ機構を例証する図である。
【
図5B】
図5Bは、異なる構成の表面電流抑制部材を有する例示的なアンテナ機構を例証する図である。
【
図5C】
図5Cは、異なる構成の表面電流抑制部材を有する例示的なアンテナ機構を例証する図である。
【
図6】
図6は、二重偏波を有する例示的なアンテナ機構を概略的に例証する図である。
【
図7】
図7は、例示的なアンテナ機構を概略的に例証する図である。
【
図8】
図8は、フレームを含む例示的なアンテナ機構を概略的に例証する図である。
【
図9】
図9は、例示的なアンテナ機構を概略的に例証する図である。
【
図10A】
図10Aは、異なる構成の表面電流抑制部材を有する例示的なアンテナ機構を例証する図である。
【
図10B】
図10Bは、異なる構成の表面電流抑制部材を有する例示的なアンテナ機構を例証する図である。
【
図10C】
図10Cは、異なる構成の表面電流抑制部材を有する例示的なアンテナ機構を例証する図である。
【
図11】
図11は、例示的なアンテナ機構を概略的に例証する図である。
【
図12A】
図12Aは、異なる構成の表面電流抑制部材を有する例示的なアンテナ機構を例証する図である。
【
図12B】
図12Bは、異なる構成の表面電流抑制部材を有する例示的なアンテナ機構を例証する図である。
【
図12C】
図12Cは、異なる構成の表面電流抑制部材を有する例示的なアンテナ機構を例証する図である。
【
図12D】
図12Dは、異なる構成の表面電流抑制部材を有する例示的なアンテナ機構を例証する図である。
【
図13】
図13は、例示的なアンテナ機構を概略的に例証する図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示の態様は、これより、添付の図面を参照してより詳細に説明されるものとする。しかしながら、本明細書に開示される異なるデバイスおよび方法は、多くの異なる形態で実現され得、本明細書に明記される態様に限定されるものと解釈されるべきではない。図面内の同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。
【0037】
本明細書で使用される用語は、開示の態様を説明するにすぎず、本発明を制限することは意図されない。本明細書で使用される場合、単数形「a(1つの)」、「an(1つの)」、および「the(その)」は、文脈が別のことを明白に示さない限り、複数形も同様に含むことが意図される。
【0038】
車両レーダ送受信機に好適な様々なタイプのアンテナ機構が本明細書に開示される。
図1Aおよび
図1Bは、レーダ送受信機102を含む例示的な車両101を概略的に例証する。より詳細には、
図1Aは、車両の上面図を示し、レーダ送受信機は、車両の前に配置される。
図1Aはまた、方位角次元104におけるレーダ送受信機の放射パターン103を示す。放射パターン、またはアンテナパターン、または遠視野パターンは、レーダ送受信機内のアンテナ機構からの電磁放射の角度依存強度である。アンテナ機構が、角寸法(例えば、方位角)においてある角度範囲(例えば、180度)で等しく放射する場合、放射パターンは、その範囲において均一である。その一方で、アンテナ機構が指向性を有する場合、最も高い放射電力は、メインローブ内に含まれる。メインローブは、度単位の角度幅を有し、これは、放射電力がその最大値の半分である2つの角点の間の角度範囲である半値電力幅(HPBW)によって指定され得る。
図1Bは、車両の側面図、および仰角次元105におけるアンテナ機構の放射パターン103を示す。レーダ送受信機は、車両上の他の場所に、例えば、横に、または後方を向く位置に置かれ得るということを理解されたい。さらには、開示されたアンテナ機構は、車両レーダ送受信機以外の他のレーダ送受信機のため、または通信システム、位置決めシステムなどの他の無線周波数用途に使用され得るということを理解されたい。
【0039】
本明細書に開示されたアンテナ機構は、仰角次元においては狭く、方位角次元においては低リプルを伴って広いメインローブを有する放射パターンを提示する能力を有する。そのようなパターンは、地面に実質的に平行な方向における物体の検出を、車両から広角度で可能にしながら、同時に、望ましくない地面反射および車両より上の望ましくない検出を回避する。車両レーダ送受信機の場合、仰角次元における狭いメインローブは、例えば、最大40度、および好ましくは15度の角度範囲を網羅するパターンであり得る。車両レーダ送受信機の方位角次元メインローブ幅は、約180度であり得る。
【0040】
メインローブ内のリプルは、メインローブ内の、(例えば、方位角次元における)角度に対する放射電力の変動である。リプルの振幅が最大放射電力の半分よりも大きい場合、放射パターンは、もはや単一のメインローブを含まない。リプルは、角度に対して周期的または非周期的であり得る。
【0041】
図2は、アンテナアレイに配置されるスロットアンテナを含むアンテナ機構を示す。本アンテナ機構は、表面110を有する放射層105を含む。表面は、表面境界115によって区切られる。放射層は、2つの面を有し、厚さと関連付けられる。厚さは、面の寸法よりもはるかに小さい。スロットアンテナは、通常、切り欠き部分、すなわちスロット、を有する導電性表面を含む。導電性表面は、接地面として作用する。導電性表面は、優れた導電体、例えば、銅を含む。スロットは、通常、略矩形であり、第1の辺は、意図した無線周波数信号の波長の半分に対応する長さを有し、第2の辺は、第1の辺よりも実質的に短い長さ、例えば、第1の辺の長さの10分の1の長さを有する。角部は、スロットアンテナの改善された帯域幅のために丸められ得る。帯域幅は、アンテナが無線周波数信号を伝送および/または受信することができる周波数範囲である。更なる帯域幅改善のため、スロット開口は、ダンベル形状を有し得、すなわち、2つの短い辺が楕円形状を有する。略矩形である他のスロット開口形状も可能である。
【0042】
開示されたアンテナ機構は、任意の開口を有し得るということに留意されたい。故に、1つまたは複数の開口120は、任意選択的に、開示されたアンテナ機構100内の細長いスロットである。しかしながら、読みやすさのため、細長いスロットである1つまたは複数の開口の非限定的な例が、発明を実施するための形態の全体を通して使用される。
【0043】
複数のスロットアンテナがアレイを形成し得る。例えば、複数の垂直に細長いスロットが、垂直に並べられ得る。そのような垂直な並びにおいて、スロットは、スロット間の小さい垂直距離のためにグライド対称方式で配置され得る。
図2におけるグライド対称は、垂直に並べられた複数のスロットが、1つのスロットおきに(方向Bに沿って)水平に移動して配置されることで、(方向Aに沿って)垂直対称線を有する。複数の垂直に細長いスロットアンテナはまた、水平アレイのために水平に配置され得る。スロットの水平および垂直配置の組み合わせも可能である。
【0044】
図3は、異なるスロットアンテナ機構についての方位角次元における放射パターンを示し、スロットは、それらが垂直(
図2の方向A)に細長であるように向きを調整される。無限接地面を有する理想のスロットアンテナは、方位角次元において180度の範囲にわたって完璧に均一の放射パターン301を提示する。しかしながら、有限接地面に起因して、実際の従来のスロットアンテナは、方位角次元において放射パターン303内にリプル304を提示する。このリプルは、302のように、ビームをより狭くするという代償を払って低減され得る。有限接地面は、接地面縁および/または任意の近隣スロットにおいて散乱される表面電流をもたらす。ここでは、表面電流は、スロット開口から生じる。言い換えると、接地面における不連続性が、散乱を生じさせる。接地面が無限に大きかったならば、接地面縁から生じる散乱された表面電流は存在しない。散乱された表面電流は、アンテナ機構からの望ましくない放射を引き起こし、これがスロット開口から生じる放射パターンを妨害する。
【0045】
図2は、本開示の例示的なアンテナ機構を例証する。開示されたアンテナ機構のより詳細な図および様々な実施形態は、
図4A~
図12Dに示される。開示されたアンテナ機構100は、表面110を有する放射層105を含み、表面110は、表面境界115によって区切られる。1つまたは複数の開口120が表面に配置される。本アンテナ機構は、表面110に配置される1つまたは複数の表面電流抑制部材130をさらに含み、1つまたは複数の表面電流抑制部材は、開口120から表面境界115への表面電流を抑制するように配置される。表面境界115および/または任意の近隣スロットにおいて散乱される表面電流は、1つまたは複数のスロットから生じる放射パターンを妨害する望ましくない放射を引き起こす。表面電流抑制部材は、表面電流を抑制し、したがって、望ましくない放射を低減する。結果として、表面電流抑制部材は、幅広いメインローブを維持しながらリプルを下げることに関して、アンテナ機構の放射パターンを改善する。したがって、開示されたアンテナ機構の放射パターンは、より均一であり、
図3の平坦な放射パターン301に類似する。
【0046】
放射層105の表面110は、導電性を有する。しかしながら、プラスチックフィルム等が放射層を被覆し得るということを理解されたい。故に、アンテナ機構100の外面は、必ずしも導電性を有さなくてもよい。故に、例示的な実施形態において、放射層は、金属化プラスチックを含む。このとき、プラスチック層の片面または両面は、金属化され得、すなわち、金属化が表面110を構成し得る。
【0047】
表面110は、必ずしも平坦な表面でなくてもよい。例えば、コンフォーマルアンテナのように、1次元または2次元において弓形を有する表面など、他の表面形状が可能であるということを理解されたい。
図9は、表面が弓形を有する例示的なアンテナ機構を例証する。表面境界は、例えば、矩形、円形、または任意の他の閉じた形態の形状であり得る。
【0048】
アンテナ機構100は、表面110上において第1の方向Aに延びる1つまたは複数の細長いスロット120を含み得る。方向Aに延びる1つまたは複数の細長いスロットは、例えば、方向Aおよび/または方向Aに垂直の方向にアレイを形成し得る。
【0049】
図2は、複数の細長いスロット120が方向Aに延びる、例示的なアンテナ機構100を例証する。同様に方向Aに延びる2つの表面電流抑制部材は、表面110のそれぞれの側縁部に配置され、この側縁部は、方向Aに延びる。この例示的なアンテナ機構において、2つの表面電流抑制部材は、表面電流抑制部材が、スロットから、方向Aに延びる表面境界への表面電流を抑制することで、すべてのスロットアンテナについて方位角次元における放射パターンを改善し、以て表面電流の望ましくない散乱を低減する。故に、いくつかの態様によると、1つまたは複数の表面電流抑制部材130は、第1の方向Aに伸長方向を有する少なくとも1つの細長い要素を含む。
図7は、第1の方向Aにアレイを有する同様のアンテナ機構を示す。
【0050】
図6は、細長いスロット120の少なくとも1つが第1の方向Aに延び、細長いスロット120の少なくとも1つの他のものが表面110上の第2の方向Bに延びる、例示的なアンテナ機構100を例証する。第2の方向Bは、第1の方向Aとは異なるか、これと直交している。そのようなスロット配置は、偏波共用アンテナ機構のために使用され得、表面電流抑制部材が表面110のすべての側縁部上の散乱された表面電流からの望ましくない放射を抑制することで、放射パターンは、両方の偏波のために改善される。
【0051】
図2、
図5A、
図5B、
図5C、
図6、
図7、および
図8の例示的なアンテナ機構100において、1つまたは複数の表面電流抑制部材130は、表面境界115に接続して配置される。
図4Aおよび
図4Bは、例示的な表面境界115の詳細を示す。
図4Aにおいて、表面境界は、90度の角部を含む。そのようなものとして、表面電流抑制部材は、角部に接続して配置される。
図4Bにおいて、表面境界は、丸みのついた角部を含む。そのようなものとして、表面電流抑制部材は、角部の近く410に配置される。他の形状の表面境界が可能であることを理解されたい。表面電流抑制部材は、表面境界を超えて延びることができ、以て表面電流抑制部材は表面110上に部分的に、および、隣接又は近接する表面420上に部分的に配置され得るということも理解されたい。隣接又は近接する表面は、例えば、表面110に対して90度に配置され得るが、他の角度も可能である。
【0052】
図6のアンテナ機構の例示的な実施形態において、1つまたは複数の表面電流抑制部材130は、表面境界115に接続して配置され、1つまたは複数の開口120を包囲している。ここでは、包囲することは、
図6に示されるように、包囲された物体の周りに周を形成することを意味する。しかしながら、小空隙が、機能損失なしに周に形成され得ることを理解されたい。このタイプの構成では、表面電流抑制部材は、表面110上のスロットの任意の向きに対する方位角次元における放射パターンを改善し得、これは利点である。
【0053】
図10A、
図10B、
図10C、および
図12Aのアンテナ機構の例示的な実施形態において、各アンテナ機構は、複数の開口120を含み、1つまたは複数の表面電流抑制部材130のうちの少なくとも1つは、複数の開口における第1の開口と第2の開口との間に配置される。ここで、間に配置されるとは、2つの隣接又は近接するスロットの間に描かれる直線上に位置することを意味し、例えば、
図10Bの線Dまたは
図10Cの線Eを参照されたい。
【0054】
複数の開口120を含む
図11のアンテナ機構の例示的な実施形態において、複数の開口における開口のうちの少なくとも1つは、1つまたは複数の表面電流抑制部材によって包囲される。
【0055】
開示されたアンテナ機構100において、1つまたは複数の表面電流抑制部材130は、1つまたは複数の電磁吸収体を含み得る。電磁吸収体は、減衰により表面電流を抑制する。電磁吸収体は、一般的には、電磁放射の伝送または反射を減衰する損失材料を含む。そのようなものとして、電磁吸収体は、(例えば、ゴムのような)優れた電気絶縁体でも、(例えば、銅のような)優れた導電体でもあるべきでない。電磁吸収体の例は、鉄および/または炭素を充填された発泡材である。電磁吸収体は、共鳴性を有してもよく、すなわち、特定の周波数(例えば、30GHz)が減衰されてもよく、または広帯域、すなわち、周波数の範囲(例えば、1GHzと40GHzとの間)が減衰されてもよい。ある方向における電磁放射の減衰は、同じ方向における電磁吸収体の厚さに依存する。長さあたりの減衰の一例は、2GHzで10dB/cmである。別の例は、30GHzで150dB/cmである。長さあたりの減衰のこれらの2つの例は、開示されたアンテナ機構100に適用可能であり得る。
【0056】
図5Aは、1つまたは複数の電磁吸収体が表面110の上端に配置される、例示的なアンテナ機構100の側面図を例証する。放射層105の(
図5Aの方向Cに延びる)高さは、必ずしも図の残りと比較したスケールではなくてもよいということに留意されたい。1つまたは複数の電磁吸収体130のうちの少なくとも1つは、迅速かつ費用対効果の高い製造プロセスのために、表面110上にコーティング511され得る。コーティングは、表面110上に電磁吸収材を噴霧することを含み得る。さらには、1つまたは複数の電磁吸収体130は、接着剤により表面110に装着され得る。
【0057】
図5Bは、1つまたは複数の電磁吸収体130のうちの少なくとも1つが表面110に形成される凹部512に配置される、例示的なアンテナ機構100の側面図を例証する。放射層105の(
図5Bの方向Cに延びる)高さは、必ずしも図の残りと比較したスケールではなくてもよいということに留意されたい。以て、表面110と同一平面に1つまたは複数の電磁吸収体を配置することが可能である。そのような配置は、空間を節約し、組み立てを容易にし得、また、例えば、アンテナ組み立て中に電磁吸収体のスナッギングを回避するために使用され得る。
【0058】
図5Cは、表面110が支持層510上に金属化コーティングを含み、1つまたは複数の電磁吸収体130が支持層の一部を構成する、例示的なアンテナ機構100の側面図を例証する。故に、放射層は、支持層および金属化を含む。放射層105の(
図5Cの方向Cに延びる)高さは、必ずしも図の残りと比較したスケールではなくてもよいということに留意されたい。支持層において、表面100の反対側もまた金属化され得る。好ましくは、スロットの内側も金属化される。言い換えると、本アンテナ機構は、スロット切り欠きを有する支持層を含み得、既定の領域を除くすべての表面が金属化される。既定の領域は、このとき、電磁吸収体130を構成する。既定の領域は、支持層が金属化されるとき、例えば、除去可能なフィルムで被覆され得る。
【0059】
開示されたアンテナ機構の例示的な実施形態において、支持層は、プラスチックを含み、プラスチックは、アンテナ機構の動作の周波数帯域で電磁吸収性質を有する。
【0060】
プラスチックの金属化は、2つのステップで行われ得、プラスチック表面が所望の金属によってコーティングされる前に、まずプライマがプラスチック表面上に適用される。本開示において、プラスチックの金属化のための望ましい金属は、銅、銀、および金など、低損失および高導電性を有する。多くの他の金属および合金も可能である。好適なプライマの例は、ニッケル、クロム、パラジウム、およびチタンであるが、多くの他の材料も可能である。したがって、開示されたアンテナ機構の別の例示的な実施形態において、プライマによってのみコーティングされた領域が、電磁吸収体130を含み、すなわち、支持層がプライマを含む。言い換えると、本アンテナ機構は、スロット切り欠きを有するプラスチック層を含み得、すべての表面がプライマによってコーティングされる。これ以降、既定の領域を除くすべての領域は金属化される。既定の領域は、電磁吸収体130を構成する。
【0061】
図12A、
図12B、
図12C、および
図12Dは、例示的なアンテナ機構100を示す。ここでは、1つまたは複数の表面電流抑制部材130は、1つまたは複数の溝を含む。溝は、表面電流を制御された方式で散乱させることにより、表面電流を抑制する。溝と相互作用する表面電流は、電磁放射として散乱され、これによりそのエネルギーは減少し、電流は抑制される。表面境界115および/または任意の近隣スロットにおいて散乱される、1つまたは複数のスロットから生じる表面電流は、アンテナ機構100の放射パターンを悪化させる。表面電流を制御された方式で散乱させることにより、所望の放射パターンが維持され得る。溝の内側は、好ましくは、導電性を有する。
【0062】
図12B、
図12C、および
図12Dは、
図12Aの断面Fに沿って見た、アンテナ機構の異なる実施形態を示す。(図内の方向Cに延びる)高さは、必ずしも図の残りと比較したスケールではなくてもよいということに留意されたい。
図12Bおよび
図12Cにおいて、スロット120は、表面110を貫通する切り欠きであり、通路を提供するが、溝は、通路を提供しない凹部である。
図12Bは、溝が、スロットよりも浅くてもよいことを例証し、
図12Cおよび
図12Dは、スロットが、溝と比較して、より浅いか、または等しく浅くてもよいことを例証する。言い換えると、溝の周囲の放射層の(図内の方向Cにおける)厚さは、スロットの周囲の厚さと比較して大きくてもよい。
図12Dは、1つまたは複数の溝が2つの層を含む実施形態を示す。より詳細には、溝は、放射層105を貫通し、支持層1205内へ延びる。支持層1205内での溝の継続部は、放射層内で開口する溝の部分に必ずしもサイズ一致しなくてもよい。例えば、継続部は、より幅広くてもよい。支持層の目的は、溝を塞ぐことである。支持層は、好ましくは、導電性を有している。支持層は、任意選択の分配層の一体部である場合とそうでない場合とがある。アンテナ機構に共通して、放射層の放射することが意図されない表面を向く分配層が存在する。分配層は、無線周波数信号を、放射層内のスロットへ、またはそこから分配する。
【0063】
任意選択的に、1つまたは複数の溝130は、細長いスロット120の1つの第1の幅W1に一致する第2の幅W2を有する細長い溝である。細長いスロットは、伸長方向(
図12AのA)における長さおよび幅W1を有し、幅は、伸長方向に直角である(W1は、
図12Aおよび
図12Bの方向Bに延びている)。溝は、伸長方向における長さおよび幅W2を有し、幅W2は、伸長方向に直交して測定される。
図12Aに示されるように、溝の長さは、実質的に、幅よりも長くてもよい。溝の長さはスロットの延長に一致するということもさらに分かる。態様によると、複数の溝が、スロットに隣接又は近接して配置される。アレイアンテナ上に溝を非対称に配置することも可能であり、すなわち、アレイ上の異なる開口は、溝から異なって影響を及ぼされる。これは、非対称ビームを成形するのが望まれる場合に有用であり得る。
【0064】
アンテナ機構100は、任意選択的に、ギャップ導波管技術に基づいた伝送線を有する分配層1320を含み得る。そのようなアンテナ機構の例は、
図13に示される。伝送線は、無線周波数信号を伝達するために使用される。ギャップ導波管技術に基づいた伝送線は、一般的には、互いのすぐ近くに置かれるが必ずしも直接接触していなくてもよいメタマテリアル構造表面1325および平坦金属表面という2つの部分で構築される。メタマテリアル構造表面は、例えば、反復的な伝導ピン1326または反復的な伝導空洞を含み得る。メタマテリアル構造表面は、時として、人工磁気導体と称される。メタマテリアル構造は、電磁波が望ましくない方向に伝播することを防ぐバリアを作成する。この方式では、メタマテリアル構造は、方形導波管内の2つの壁に取って代わる。これは、完璧に密閉された金属エンクロージャを必要とすることなく行われ、これは有利な点である。
【0065】
述べたように、溝は、電磁通路を提供しない凹部である。さらには、1つまたは複数の溝は、2つの層を含み得る。より詳細には、溝は、放射層105を貫通し、分配層1320内へ延び得る。分配層1320の接続部の目的は、溝を塞ぐことである。以て、溝は依然として、通路を提供しない凹部である。言い換えると、1つまたは複数の溝は、放射層内のスルーホールであり、分配層内で電磁的に終端している。終端しているとは、電磁放射が溝内へ伝播して通過することができないことを意味し、すなわち、溝は、1ポートネットワークとして見られ得る。
【0066】
図13は、放射層105を貫通し、分配層1320内へ延びる溝を含む、例示的な表面電流抑制部材130を示す。ここでは、分配層内への延長は、大半が、EBG構造体1325を構成する導電性突出部1326により包囲される。EBG構造体は、EBG構造体の表面に沿った電磁結合を防ぐ。以て、延長した溝に隣接又は近接して配置されるEBG構造体は、溝を効果的に塞ぐ。
図13では、突出部は、溝の各端1310に存在しないということに留意されたい。これは、この特定の例示的な配置において機能的に含まれる必要があるこれらの場所にいかなる電場も存在しないことによって、可能である。言い換えると、延長した溝は、依然として塞がれる。しかしながら、突出部は、任意選択的に、他の目的、例えば、機械的および遮蔽目的のために、それらの場所に置かれ得る。EBS構造体なしに、例えば、分配層内に通常の導波管空洞を配置することにより、溝を閉鎖することも可能である。
図12Dおよび
図13において、溝は、放射層の下のスロット、すなわち、放射層が支持/分配層に面する方向から、電磁的に隔離される。
【0067】
図8は、フレーム710を含む例示的なアンテナ機構100を示し、放射層105は、フレーム内に受容され、1つまたは複数の表面電流抑制部材130は、フレーム上に配置される。この方式では、異なる構成の放射層が、同じフレームに適合し得、以て製造費用を節約する。放射層は、フレーム内に受容されるように配置される複数の放射層モジュールを含むことが可能である。フレームは、1つまたは複数の放射層モジュールの構造支持体であり、フレームは、好ましくは、導電性材料を含む。1つまたは複数の放射層モジュールは、例えば、締り嵌めまたはスナップフィットにより、容易な組み立てのために、フレームに解放可能に装着され得る。
【0068】
いくつかの態様によると、車両101は、アンテナ機構100を含む。
【0069】
いくつかの態様によると、車両用のレーダ送受信機102は、アンテナ機構100を含む。
【国際調査報告】