(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】直線性管理組成物および使用方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/48 20060101AFI20230220BHJP
G01N 33/72 20060101ALI20230220BHJP
G01N 33/49 20060101ALI20230220BHJP
C12N 5/078 20100101ALN20230220BHJP
【FI】
G01N33/48 P
G01N33/72 A
G01N33/49 A
G01N33/49 B
G01N33/49 X
C12N5/078
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538323
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 US2020065381
(87)【国際公開番号】W WO2021127026
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514017758
【氏名又は名称】ロッシュ ダイアグノスティクス ヘマトロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティモンズ、レベッカ
(72)【発明者】
【氏名】チェイス、クリス
(72)【発明者】
【氏名】ボナパルト ザ セカンド、ルイス
(72)【発明者】
【氏名】ルール、ジャクリン
(72)【発明者】
【氏名】ブレイク、リスベス
【テーマコード(参考)】
2G045
4B065
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045DA51
2G045FA19
2G045GA02
2G045GA03
2G045GA04
2G045GA05
4B065AA93X
4B065CA46
(57)【要約】
本開示は、直線性管理スライドを分析装置が検証されるたびに分析装置ごとに繰り返し作製する必要なく、画像ベースの血液学分析装置の直線性を検証するために直線性管理スライドを調製するための方法および組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像ベースの血液学分析装置の分析測定間隔(AMI)もしくは報告可能範囲、またはその双方を検証するための直線性管理スライドのセットであって、
赤血球(RBC)成分、ヘモグロビン(HGB)成分およびヘマトクリット(HCT)成分の組み合わせ用の第1のスライドのセットと、
白血球(WBC)成分用の第2のスライドのセットと、
血小板(PLT)成分用の第3のスライドのセットと、
網赤血球(RET)成分用の第4のスライドのセットと、
有核赤血球(NRBC)成分用の第5のスライドのセットと、のうちの少なくとも1つ、例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、または5つ全てを備え、
スライドの各セットが、3つ以上のスライドを含み、
前記セット内の各スライドが、そのセットの血液成分の濃度の範囲内の一連の等間隔希釈液のうちの1つを含み、
スライドの各セットが、例えば、血液学分析装置、例えば、画像ベースの血液学分析装置によって固定されて染色される、直線性管理スライドのセット。
【請求項2】
固定および染色後、前記セットが、少なくとも6か月間冷蔵なしで安定である、請求項1に記載の直線性管理スライドのセット。
【請求項3】
染色が、エオシン溶液の使用を含む、請求項1または2に記載の直線性管理スライドのセット。
【請求項4】
染色が、メチレンブルー溶液の使用を含む、請求項1または2に記載の直線性管理スライドのセット。
【請求項5】
少なくとも前記第1(RBC)のスライドのセット、前記第2(WBC)のスライドのセット、および前記第3(PLT)のスライドのセットを含み、前記第1のスライドのセット、前記第2のスライドのセット、および前記第3のスライドのセットが、以下の高濃度および低濃度のそれぞれのタイプの細胞を含む、請求項1または2に記載の直線性管理スライドセット。
【請求項6】
拡張濃度範囲において画像ベースの血液学分析装置による血液成分の列挙の直線性を検証する方法であって、
血液成分のための請求項1から5のいずれか一項に記載の直線性管理スライドのセットを取得することと、
前記血液成分のための標準プロトコルを使用して、前記画像ベースの血液学分析装置を用いて前記直線性管理スライドのセットを分析することと、
前記画像ベースの血液学分析装置から各血液成分についての列挙値を取得することと、
前記列挙値と、前記画像ベースの血液学分析装置についての前記血液成分の既知の目標範囲とを使用して、前記血液成分の列挙の直線性を決定することと、を含む、方法。
【請求項7】
2つ以上の血液成分、例えば、RBC、WBC、PLT、RET、およびNRBCのうちの2つ以上の直線性管理スライドのセットを取得することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1つまたは複数の血液成分に関して血液分析装置上で直線性を検証するための直線性管理スライドのセットを生成する方法であって、
健常ヒト被験者から全血試料または血液成分を取得するステップと、
第1の血液成分についての全血または血液製剤試料から高濃度試料を調製するステップと、
前記第1の血液成分についての全血または血液製剤試料から低濃度試料を調製するステップと、
前記第1の血液成分についての複数の等間隔希釈液を調製するステップであって、前記複数の等間隔希釈液が、高濃度血液または血液製剤試料、低濃度血液または血液製剤試料、前記高濃度試料の一部および前記低濃度試料の一部を含む第1の希釈液、前記第1の希釈液の一部および前記低濃度試料の一部を含む第2の希釈液、ならびに前記第1の希釈液の一部および前記高濃度試料の一部を含む第3の希釈液を含む、複数の等間隔希釈液を調製するステップと、
画像ベースの血液学分析装置において第1の血液または血液製剤成分についての前記等間隔希釈液のそれぞれを処理して、前記等間隔希釈液をスライド上に印刷、固定、および染色することによって、前記複数の等間隔希釈液のそれぞれについてのスライドを調製するステップと、を含む、方法。
【請求項9】
前記高濃度血液試料および前記低濃度血液試料が同じ血液試料に由来する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記高濃度血液試料および前記低濃度血液試料が、それぞれ、所定の濃度の前記第1の成分を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の血液成分が、赤血球(RBC)、白血球(WBC)、血小板(PLT)、網赤血球(RET)、および有核赤血球(NRBC)からなる群から選択される、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
第2の血液成分について、記載された前記ステップのそれぞれを実行して、前記第2の血液成分についての直線性管理スライドの第2のセットを生成するステップをさらに含む、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の血液成分が、RBC、WBC、PLT、RETおよびNRBCからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の血液成分がRBCである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記高濃度血液試料が、8.0×10
6/μL以上のRBCであり、前記低濃度血液試料が、0.4×10
6/μL以下のRBCである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の血液成分がWBCである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記高濃度血液試料が、400×10
3/μL以上のWBCであり、前記低濃度血液試料が、0.1×10
3/μL以下のWBCである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
WBCの前記低濃度血液試料が、1.5×10
6/μL超のRBCをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の血液成分がPLTである、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記高濃度血液試料が、5000×10
3/μL以上のPLTであり、前記低濃度血液試料が、10×10
3/μL以下のPLTである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
PLTの前記低濃度血液試料が、1.5×10
6/μL超のRBCをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の等間隔希釈液が、それぞれ、2、3、4、5、または6つのスライド上で処理される、請求項8に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の等間隔希釈液が、前記低濃度血液試料の一部と前記第2の希釈液の一部とを含む第4の希釈液、前記第2の希釈液の一部と前記第1の希釈液の一部とを含む第5の希釈液、前記第1の希釈液の一部と前記第3の希釈液の一部とを含む第6の希釈液、および前記高濃度血液試料の一部と前記第3の希釈液の一部とを含む第7の希釈液をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月20日に出願された米国仮特許出願第62/951,581号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、白血球数(WBC)、血小板数(PLT)、赤血球数(RBC)、有核赤血球数(NRBC)、ヘモグロビン(HGB)およびヘマトクリット(HCT)の計算されたパラメータ、ならびに網状赤血球(RET)計数のいずれか1つ以上について、画像ベースの血液学分析装置の測定可能な範囲および測定値の直線性の確認を可能にする直線性管理組成物および使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
血液学分析装置などのシステムが使用されて、RBC、WBC、HGB、HCT、PLT、RET、およびNRBCなどの血液試料の異なる成分を分析することができる。血液試料中の異なる血液成分の濃度の正確な読み取り値を提供するために、1つ以上の直線性管理標準がシステム上で処理され、システムは、回収された値を既知の値と比較することによって直線性係数を計算する。直線性標準は、特定の範囲の濃度の血液成分についてシステムを検証するために使用される。現在、例えば、米国特許第9,217,695号明細書、米国特許第10,094,764号明細書、および米国特許第10,764,538号明細書に開示されているように、画像ベースの血液学分析装置、例えば、cobas(登録商標)m 511統合血液学分析装置(Roche Diagnostics)の直線性主張の検証をサポートするのに適した市販の血液学直線性キットまたは任意の他の市販の血液学製品はない。その結果、この問題を解決する直線性管理組成物を作成する強い必要性がある。
【発明の概要】
【0004】
概要
本開示は、少なくとも部分的には、少なくとも6ヶ月間安定であり、システムの報告可能範囲を検証するために異なる画像ベースの血液学システムにおいて複数回使用されることができる「直線性管理スライド」と呼ばれる新たな直線性材料/マトリックスを生成するために、高濃度および低濃度の血液試料が調製および使用されることができるという発見に基づいている。本開示は、血液学分析装置および細胞型に特異的な濃度範囲にわたって直線性管理スライドを構成する等間隔希釈を行うために高濃度および低濃度血液試料を生成する方法および組成物を提供する。
【0005】
一態様では、本開示は、画像ベースの血液学分析装置の分析測定区間(AMI)または報告可能範囲を検証するための直線性管理スライドのセットを特徴とする。直線性管理スライドのセットは、赤血球(RBC)成分、ヘモグロビン(HGB)成分とヘマトクリット(HCT)成分とを組み合わせた第1のスライドのセット、白血球(WBC)成分用の第2のスライドのセット、血小板(PLT)成分用の第3のスライドのセット、網赤血球(RET)成分用の第4のスライドのセット、有核赤血球(NRBC)成分用の第5のスライドのセット、のうちの少なくとも1つ、例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ、または5つ全てを含み、各スライドのセットは、3つ以上のスライドを含み、セット内の各スライドは、そのセットの血液成分の濃度の範囲内の一連の等間隔希釈液のうちの1つを含み、各スライドのセットは、例えば、血液学分析装置、例えば、画像ベースの血液学分析装置によって固定および染色される。
【0006】
いくつかの実施形態では、固定および染色後、セットは、少なくとも6ヶ月間冷蔵なしで安定である。いくつかの実施形態では、染色は、エオシン溶液を含む。いくつかの実施形態では、染色は、メチレンブルー溶液を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、少なくともRBC、WBCおよびPLTスライドセットであって、スライドのセットが、以下の高濃度および低濃度のそれぞれの型の細胞を含む:
【0008】
別の態様では、本開示は、画像ベースの血液学分析装置による血液成分の計数の直線性を拡張濃度範囲で検証する方法であって、1つ以上の血液成分について本明細書に開示される直線性管理スライドのセットを取得することと、各血液成分の標準プロトコルを使用して、画像ベースの血液学分析装置によって直線性管理スライドのセットを分析することと、画像ベースの血液学分析装置から血液成分の列挙値を取得することと、列挙値と、画像ベースの血液学分析装置のための血液成分の既知の目標範囲とを使用して、血液成分の列挙の直線性を決定することと、を含む、方法を特徴とする。
【0009】
いくつかの実施形態では、本方法は、2つ以上の血液成分、例えば、RBC、WBC、PLT、RET、およびNRBCの2つ以上の直線性管理スライドのセットを取得することをさらに含む。
【0010】
別の態様では、本開示は、1つ以上の血液成分に関して血液学分析装置上で直線性を検証するための直線性管理スライドのセットを作製する方法を特徴とする。例えば、方法は、以下を含む:健常ヒト被験者から全血試料または血液成分を取得するステップと、第1の血液成分についての全血または血液製剤試料から高濃度試料を調製するステップと、第1の血液成分についての全血または血液製剤試料から低濃度試料を調製するステップと、第1の血液成分についての複数の等間隔希釈液を調製するステップであって、複数の等間隔希釈液が、高濃度血液または血液製剤試料、低濃度血液または血液製剤試料、高濃度試料の一部および低濃度試料の一部を含む第1の希釈液、第1の希釈液の一部および低濃度試料の一部を含む第2の希釈液、ならびに第1の希釈液の一部および高濃度試料の一部を含む第3の希釈液を含む、複数の等間隔希釈液を調製するステップと、画像ベースの血液学分析装置において第1の血液または血液製剤成分のための等間隔希釈液のそれぞれを処理して、等間隔希釈液をスライド上に印刷し、固定し、染色することによって、複数の等間隔希釈液のそれぞれのためのスライドを調製するステップ。
【0011】
いくつかの実施形態では、高濃度血液試料および低濃度血液試料は、同じ血液試料に由来する。特定の実施形態では、高濃度血液試料および低濃度血液試料は、それぞれ、所定の濃度の第1の成分を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、第1の血液成分は、赤血球(RBC)、白血球(WBC)、血小板(PLT)、網状赤血球(RET)、および有核赤血球(NRBC)からなる群から選択される。
【0013】
特定の実施形態では、本方法は、第2の血液成分のための直線性管理スライドの第2のセットを生成するために、第2の血液成分についての列挙されたステップのそれぞれを実行するステップをさらに含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、第2の血液成分は、RBC、WBC、PLT、RETおよびNRBCからなる群から選択される。特定の実施形態では、第1の血液成分は、RBCである。いくつかの実施形態では、高濃度血液試料は、8.0×106/μL以上のRBCであり、低濃度血液試料は、0.4×106/μL以下のRBCである。
【0015】
いくつかの実施形態では、第1の血液成分は、WBCである。いくつかの実施形態では、高濃度血液試料は、400×103/μL以上のWBCであり、低濃度血液試料は、0.1×103/μL以下のWBCである。いくつかの実施形態では、WBCの低濃度血液試料は、1.5×106/μL超のRBCをさらに含む。
【0016】
特定の実施形態では、第1の血液成分は、PLTである。いくつかの実施形態では、高濃度血液試料は、5000×103/μL以上のPLTであり、低濃度血液試料は、10×103/μL以下のPLTである。いくつかの実施形態では、PLTの低濃度血液試料は、1.5×106/μL超のRBCをさらに含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、複数の等間隔希釈液は、それぞれ、2、3、4、5または6枚のスライド上で処理される。
【0018】
いくつかの実施形態では、複数の等間隔希釈液は、低濃度血液試料の一部と第2の希釈液の一部とを含む第4の希釈液、第2の希釈液の一部と第1の希釈液の一部とを含む第5の希釈液、第1の希釈液の一部と第3の希釈液の一部とを含む第6の希釈液、および高濃度血液試料の一部と第3の希釈液の一部とを含む第7の希釈液をさらに含む。
【0019】
本明細書で使用される場合、列挙された用語は、以下の意味を有する。本明細書で使用される他の全ての用語および語句は、当業者が理解するであろう通常の意味を有する。
【0020】
本明細書における「直線性」への言及は、所与の濃度範囲内で、単一試料中の特定の細胞または血液成分、例えばRBC、WBC、PLTおよびRETの濃度に正比例する結果を提供する能力を示す。システム(例えば、画像ベースの血液学システム)の直線性は、既知の量である試料中の各細胞成分の濃度の範囲を試験することによって測定され、血液学システムの結果がこれらの既知の値に対してプロットされると、結果が直線に一致する程度は、システムの直線性の尺度である。
【0021】
本明細書における「直線性管理スライド」への言及は、画像ベースの血液学分析装置の直線性範囲を決定または検証するために後に使用されることができるスライド上に印刷、固定、および染色される様々な既知量の細胞または血液成分を含む試料から構成される一連のスライドを指す。
【0022】
本明細書における「分析測定区間」(「AMI」)または「報告可能範囲」への言及は、通常の試料処理の一部ではない希釈、濃縮、または他の前処理なしに所与の検体で方法が直接測定することができる分析物値の範囲を指す。
【0023】
本明細書における「等間隔希釈液」または「等間隔濃度」への言及は、特定の血液成分の高濃度試料と低濃度試料との間の等間隔の中間濃度レベルを指す。
【0024】
本明細書における「ゼロバイアス」または「直線性からの0%偏差」への言及は、特定の血液成分の所定の(既知の)濃度値と試験対象のシステムによって返される直線性アッセイの結果との間に差がない場合を指す。
【0025】
全血(実装)プロトコルが使用されて試料を調製し、画像ベースの血液学分析装置で直線性を検証することもできる。しかしながら、そのような全血プロトコルは、時間がかかり、費用がかかり、試料依存性が高く、報告可能範囲が限られている(切り捨てられる)。
【0026】
本明細書に開示される直線性管理スライドは、エンドユーザのために予め製造されることができ、したがって顧客サイトでの技術的専門知識の必要性を排除し、時間およびコストの節約、ならびに全血直線性試料またはプロトコルを使用するよりも報告可能範囲の拡大をもたらす。
【0027】
新規な直線性管理組成物および方法は、様々な利益および利点を提供する。例えば、AMIの主張またはレベルについて、Roche cobas(登録商標)m 511システムなどの画像ベースの血液学分析装置で直線性の主張またはレベルを実証するのに適した市販の直線性キットはない。全血実施プロトコルは、製造業者のSAPC(システム分析性能特性)文書に公開されている仕様を満たしていない。表2に列挙されたAMI範囲は、全血実装プロトコルを使用してWBCおよびPLTについて達成されることができない。なぜなら、AMI範囲を達成するために必要な試料が容易に入手できず、第三者の提供者からのリソースにとって困難であり、高価であり、直線性系列を首尾よく作成するために操作するためにかなりの技術的専門知識を必要とするからである。しかしながら、スライドベースの解決策は、AMI要件を満たし、追加のcobas(登録商標)m 511システムでの再画像化に適した試料およびスライド(直線性管理スライド)を作成する最小限の訓練された専門家によってその後に操作されることができる高度に特殊化された試料を確保する機会を可能にする。このスライドベースの直線性解決策は、製造業者によって主張されるAMI全体を顧客サイトで検証することを可能にする。
【0028】
信頼性に関して、システム間の光学分散の早期検出が識別されるため、新たな組成物および方法は、スライドベースの解決策を使用することを改善する。AMIスライドを生成することは、液体ベースの血液学分析装置を使用して一般的に発生する残留粒子の「キャリーオーバ」を排除する。十分に維持され監視されたcobas(登録商標)m 511システムから生成されたAMIスライドの認定されたセットでは、AMIスライドを再画像化するプロセスは、現場の光学システムの障害を検出することができる。新しく試験されたcobas(登録商標)m 511システムが「ゴールデン」cobas(登録商標)m 511システムと分析的に十分に比較されない場合、障害は、サービス調査を開始する根拠を提供する。したがって、スライドベースの解決策を用いて光学的問題の早期検出が識別されることができる。
【0029】
新たな組成物および方法はまた、現在の直線性検証プロトコル(実施例1~3に記載)を実行することによって発生する初期コストを、製造されたスライドが他のcobas(登録商標)m 511試験システムで再画像化される回数で割ることができるため、コストを削減する。さらに、直線性系列スライドの複数のセットは、同じ検証実験または原料(例えば、10組のスライド)から生成されることができる。次いで、これらのスライドのそれぞれが分配され、呼気までスライドベースの直線性検証に使用されることができる。例えば、5,000USドル/10セット/50機器検証のコスト=セットあたり10USドルである。したがって、スライドベースの解決策を利用することにより、コストが大幅に削減されることができる。
【0030】
単一の顧客サイトで全血直線性プロトコルを実行する時間は、約5日かかる可能性がある。一方、本明細書に記載のスライドベースの溶液を使用した直線性検証は、1日で実行されることができ、したがってかなりの時間を節約する。
【0031】
直線性管理スライドは、直線性検証、品質管理、熟練度試験、および画像ベースの血液学分析装置の光学分析を含むがこれらに限定されない用途に使用されることができる。直線性管理スライドは、信頼性があり、堅牢であり、少なくとも6ヶ月間安定であり、1つ以上の画像ベースの血液学システムで繰り返し使用されることができるため有利である。
【0032】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法および材料が本発明の実施または試験で使用されることができるが、好適な方法および材料が以下に記載される。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりその全体が援用される。矛盾する場合は、定義を含む本明細書が優先する。さらに、材料、方法、および実施例は例示にすぎず、限定的であることは意図されない。
【0033】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】初期高濃度血液試料を調製し、続いて低濃度試料を達成するために高濃度試料を希釈する一般的な方法の高レベルフローチャートである。
【
図2】低濃度血液試料と高濃度血液試料との間の等間隔希釈液を調製するための詳細な方法のフローチャートである。
【
図3】画像ベースの血液学分析装置、Roche cobas(登録商標)m 511システムによって処理されたガラススライド上に印刷、固定、および染色された一連の直線性試料の図である。
【
図4A】本明細書に記載の標準的な検証プロトコルを使用して調製された高濃度、低濃度、および中濃度の血液試料または製品を使用して、cobas(登録商標)m 511システムによって測定されたWBC分析測定区間(直線性)の代表的なグラフである。
【
図4B】
図4Aの分析測定区間から計算された直線性の許容可能な限界および直線性からのWBC偏差の代表的なグラフである。
【
図5A】本明細書に記載の全血WBCプロトコルを使用して調製された高濃度および低濃度の血液試料を使用してcobas(登録商標)m 511システムによって測定されたWBC分析測定区間(直線性)の代表的なグラフである。
【
図5B】
図5Aの分析測定区間から計算された直線性からの許容限界およびWBC偏差の代表的なグラフである。制限された報告可能範囲に留意されたい。
【
図6A】本明細書に記載のように調製された高濃度、低濃度、および中濃度の血液試料を使用して、C4として識別された第1のcobas(登録商標)m 511システムによって最初に処理され、続いて新たに調製されたRBC直線性管理スライドを使用して同じcobas(登録商標)m 511システム(C4)で再処理されたRBC分析測定区間(直線性)の代表的なグラフである。
【
図6B】
図6Aの分析測定区間から計算された直線性からの許容限界およびRBC偏差の代表的なグラフである。
【
図6C】
図6Aに記載の、C4として識別されるcobas(登録商標)m 511システムによって作成された直線性管理スライドを使用して、第2のcobas(登録商標)m 511システムP37で測定されたRBC分析測定区間(直線性)の代表的なグラフである。
【
図6D】
図6Cの分析測定区間から計算された直線性からのRBC偏差の代表的なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
詳細な説明
直線性試験による報告可能範囲の検証は、例えば米国特許第9,217,695号明細書、米国特許第10,094,764号明細書、および米国特許第10,764,538号明細書に開示されているような画像ベースの血液学分析装置の1つ以上の測定されたパラメータに対して必要とされることが多い。検証を達成するために、本明細書に記載の方法が使用されて、特殊な血液成分および/または全血から直線性管理組成物およびスライドを調製することができる。直線性管理組成物は、安定化された表面、例えばガラスまたはプラスチックスライド、例えば顕微鏡スライド上に印刷、固定および染色されたWBC、RBC、網状赤血球、PLTおよびRETなどの血液成分の等間隔希釈液を含み、その後、WBC、RBC(HGBおよびHCTを含む)、PLTおよびRETの計数および濃度を決定するためのデジタル画像ベースの走査が続く。
【0036】
定量的分析方法は、一連の試験試料からの測定結果が各試験試料中の細胞または血液成分の既知の濃度に正比例する場合に「直線性」であると言われる。したがって、AMIまたは報告可能範囲をもたらす所定の濃度範囲について、測定された試験試料結果と試験試料の既知の濃度との間の関係を特徴付けるために直線が使用されることができる。
【0037】
本明細書に記載の新たな方法および組成物の開発前に、直線性検証プロトコルが実行されるたびに、特殊な血液製剤を用いた検証プロトコルがドナーから収集された。画像ベースの血液学分析装置に特異的な市販の直線性材料はなかった。検証プロトコルの標準的な方法は、9つの濃度の試料のスライドを調製することであった。直線性からの偏差はスライドから決定されたが、試料材料およびユーザ経験に大きく依存した。検証プロトコルが検証されたら、スライドを廃棄した。
【0038】
全血のみを使用して直線性管理組成物およびスライドを調製することは、本明細書に開示されるような特殊化された血液製剤および成分から調製された直線性管理組成物およびスライドと比較して、製造者の直線性の主張におよぶ結果または測定値を提供しない。さらに、全血処置の実行は、画像ベースの血液学分析装置が設置されている部位で患者またはドナー血液を収集するために、訓練された静脈切開医を必要とする。全血直線性範囲はまた、設置部位に特異的な利用可能な試料(患者集団またはドナー)によっても制限される。さらに、全血プロトコルを実行するために、専門のオンサイト実験室機器および実証された技術的能力を有する訓練された技術者が必要とされる。直線性試験の結果の成功は、技術的専門知識に大きく依存する(機器故障ではなく、技術的専門知識に基づく直線性故障である
図5Bを参照)。したがって、達成されることができる全血直線性範囲は、限られた患者試料集団、特殊な実験装置の欠如、および直線性系列を作成する際の技術的専門知識および能力の欠如のために、画像ベースの血液学分析装置における直線性についての製造業者の主張と比較して大幅に低減または切り捨てられる。
【0039】
対照的に、本明細書に記載の高濃度、低濃度、および中間濃度の試料を作製するために特殊化された血液製剤から製造業者によって調製された直線性管理スライドは、費用効果が高く、効率的であり、直線性についての製造業者の主張を満たす。直線性管理スライドは、再現可能な結果を提供し、6ヶ月まで安定であり、1つまたはいくつかの画像ベースの血液学システムで繰り返し使用されることができる。
【0040】
一般的な方法論
本明細書に記載の方法は、画像ベースの血液学分析装置の報告可能範囲を検証するために使用されることができる直線性管理組成物、すなわち直線性管理スライドを提供する。高濃度および低濃度の試料は、試験される特定の血液成分に対して特定の濃度に調製される。次いで、血液成分のAMIを表す高濃度および低濃度試料から等間隔の中間希釈液が調製される。全ての試料がスライド上に印刷され、固定され、染色されて、典型的には複数の複製物、例えば6、7、8またはそれ以上の複製物を有する直線性管理スライドを生成する。直線性スライドは、異なる画像ベースの血液学分析装置で繰り返し使用されることができ、直線性を検証するための再現可能な直線性範囲の結果をもたらす。
【0041】
直線性管理スライドについての試料調製方法
血液試料および特殊化された血液製剤は、各血液成分、例えばWBC、RBC、PLTおよびRET、ならびに計算されたパラメータ、例えばHGBおよびHCTについて、画像ベースの血液学システムの直線性を決定および/または検証するために調製される。
【0042】
高濃度血液試料および低濃度血液試料は、一般に
図1に示すように調製される。血液試料または血液製剤は、健常ドナーから得られ、遠心分離される。例えば、白血球アフェレーシス試料がWBC分析のために得られ、全血試料がRBC、HGBおよびHCT分析のために得られ、血小板アフェレーシス試料がPLT分析のために得られる。得られた上清が除去され、必要に応じて後の希釈のために保持される。「高濃度」直線性試料の結果は、任意の他の血液学分析装置でアリコートを分析することによって決定される。最終希釈は、高濃度および低濃度試料の目標値を満たすように行われる。画像ベースの血液学分析装置が画像化のために最小数の赤血球を必要とする場合、RBCが低濃度直線性試料に添加されることができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、高濃度直線性試料の結果が目標値未満である場合、上述したステップを使用して試料がさらに処理されることができる。表1は、RBC、WBCおよびPLTパラメータについての低濃度直線性試料および高濃度直線性試料の目標値を示す。
【表1】
【0044】
高濃度試料および低濃度試料が使用されて、高濃度試料と低濃度試料との間に3から7つの中間希釈が存在し、5から9つの総等間隔濃度をもたらす等間隔希釈液を調製する。
図2は、高濃度試料(管9)と低濃度試料(管1)との間の等間隔希釈液系列を調製するために使用される各管の比率を示すフローチャートである。
【0045】
第一に、等量の高濃度および低濃度の血液試料は、中間濃度を生じる(管5)。第二に、低濃度と中濃度または高濃度と中濃度との間のさらなる希釈は、中間濃度をもたらす(管3および7)。第三に、中間濃度は、中間濃度(管4および6)で、または高濃度(管8を生成するため)で、または低濃度(管2を生成するため)でさらに希釈されることができる。全ての希釈は、開始濃度の等しい部分である。
【0046】
新たな直線性管理スライド(
図3に示す)を自動化された方法で調製するために、画像ベースの血液学分析装置、例えばRoche cobas(登録商標)m 511統合血液学分析装置で、以下の標準的なステップおよび方法を使用して、等間隔濃度が処理されて、
1)各等間隔試料を1つ以上の固有のスライド(複製)に印刷し、
2)各固有のスライドをDigiMAC3(商標)固定溶液で固定し、
3)各固有のスライドをDigiMAC3(商標)溶液で染色し、
4)各スライドをDigiMAC3(商標)すすぎ溶液ですすぐ。
【0047】
さらに詳細には、各試料は、スライド、例えばガラスまたはプラスチックスライド(例えば、顕微鏡スライド)上に単層で印刷され、次いで固定され、染色される。染色後、試料スライドがデジタル画像化され、血液成分が計数され、既知の値と比較される。
【0048】
いくつかの実施形態では、等間隔濃度は、開放管モードまたは閉鎖管モード(すなわち、ラックモード)のいずれかで処理される。開放管モードとは、管から血液を吸引するために開放管プローブを使用して等間隔希釈液を処理する場合を指す。閉鎖管モードとは、閉鎖管において画像ベースの血液学分析装置によって自動的に等間隔希釈が処理される場合を指す。例えば、等間隔希釈液は、それぞれ、管ラックから自動的に回収され、各閉鎖管のゴム栓を貫通するように設計または構成された試料プローブを使用してシステムによって吸引されることができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、等間隔濃度が複数の異なるスライド上で処理されて、複製物、例えば、濃度ごとに2、3、4、5、6またはそれ以上の複製物を調製する。一例では、9つの調製された等間隔濃度のそれぞれがスライドガラス上に6回印刷、固定、および染色されて(6回反復)、特定の血液成分、例えばRBCに対する合計54枚の直線性管理スライドを生成する。直線性管理スライドは、画像ベースの血液学分析装置で分析され、表2に示すように、既知の下限および上限の目標値(AMIの範囲)ならびに直線性からの最大許容偏差と比較する。結果は、Clinical Laboratory Standards Instituteに記載されている基準にしたがって分析される。H26-A2 Validation,Verification,and Quality Assurance of Automated Hematology Analyzers;Approved Standard-Second Edition,2010年6月およびEP06-A Evaluation of the Linearity of Quantitative Measurement Procedures;A Statistical Approach Approved Guideline-2003年6月。
【表2】
【0050】
いくつかの実施形態では、直線性管理スライドは、室温で冷蔵せずに保存される。さらに、直線スライドは、暗所での冷蔵なしで最大6ヶ月間保存されることができる。
【0051】
直線性管理スライドの使用方法
直線性管理スライドは、本明細書に記載されるように、画像ベースの血液学分析装置上の報告可能範囲を検証するために使用される。各直線性系列からの保存されたガラススライドは、保存され、印刷および染色をバイパスするように一時的に再構成された1つ以上の追加のcobas(登録商標)m 511集積血液学分析装置で再使用(再画像化)されることができ、したがって、cobas(登録商標)m 511システムが保存されたガラススライド上の細胞のデジタル識別および計数を実行することを可能にする。例えば、cobas(登録商標)m 511システムで得られた各直線性管理スライド上の回収されたカウントおよび血液成分の濃度は、各直線性管理スライド上の既知の値と比較される。システムの直線性は、回収されたカウントおよび濃度と既知の値との関係によって決定される。
【0052】
いくつかの実施形態では、直線性管理スライドは、同じ画像ベースの血液学分析装置または異なる画像ベースの血液学分析装置で繰り返し分析されることができる。
【0053】
直線性管理スライドが使用されて、システムが新たに設置されたとき、再設置されたとき、メンテナンス、大規模な修理、トラブルシューティングを受けた後、またはエンドユーザによって決定された任意の間隔で、画像ベースの血液学分析装置上の報告可能範囲を検証することができる。
【0054】
cobas(登録商標)m 511システムにおいて使用されるソフトウェア
cobas(登録商標)m 511システムは、ビューイングステーションソフトウェア、分析装置ソフトウェア、および画像分析アプリケーションの3つの主要なソフトウェアコンポーネントを含む。
【0055】
ビューイングステーションソフトウェア:ビューイングステーションソフトウェアは、システム構成および消耗品の管理、分析装置および試料処理状況の報告、トラブルシューティングおよびエラー回復、品質管理処理および結果、試料結果のレビュー、細胞の分類/再分類、および細胞形態の評価を含む、cobas(登録商標)m 511分析装置へのユーザインターフェースを提供する。
【0056】
分析装置ソフトウェア:分析装置ソフトウェアは、分析装置コンピュータを実行し、全てのハードウェア要素、試料処理、データ管理、およびビューイングステーション通信を管理する。
【0057】
画像分析アプリケーション:画像分析アプリケーションは、分析装置コンピュータ上で実行され、カメラおよびモーション管理ハードウェアと通信して、低倍率および高倍率画像化ステーションの双方において画像を取得する。プログラムは、画像内の細胞を識別および測定し、細胞数および測定値を分析装置ソフトウェアに報告する。また、ビューイングステーションに表示するための画像も保存する。
【実施例】
【0058】
本発明は、以下の実施例にさらに記載され、特許請求の範囲に記載される発明の範囲を限定するものではない。
【0059】
以下に開示される実施例は、中間等間隔希釈液を生成するために使用される高濃度および低濃度試料を調製する方法を記載する。各血球タイプは、血液学分析装置の直線性要件を満たすために異なるプロトコルを有する。等間隔希釈液が使用されて直線性管理スライドを調製する。直線性管理スライドは、複数回使用されることができ、再現可能に正確な読み取り値を提供することができる。
【0060】
特異的血液製剤から調製した直線性プロトコル
実施例1:白血球分析測定区間
実施例1の目的は、パラメータWBCの画像ベースの血液学分析装置用のAMIが直線性要件を満たすことを確立することであった。
【0061】
WBC AMIを試験するために、新鮮な白血球除去輸血試料および3つの対応する全血試料が単一のボランティアドナーから得られた。およそ120~130mLの白血球除去輸血試料が抗凝固剤クエン酸デキストロース溶液A(ACD-A)に収集された。3つの10mL全血試料のそれぞれがK2-EDTA試料収集管に収集された。試料が濃縮され、(必要に応じて)希釈されて、高濃度試料、低濃度試料、および7つの中間等間隔濃度試料を作成し、(
図2に示すように)固有の直線性系列を得た。合計3つの異なる直線性系列が作成されて、3つのcobas(登録商標)m 511システムで実行した。直線性系列の各濃度試料は、閉鎖管モードと開放管モードの双方で6回繰り返し処理された。
【0062】
高濃度WBC試料
高濃度WBC試料は、400×103/μL以上のWBC目標濃度を満たすように調製された。白血球除去輸血バッグが約5分間混合され、内容物をコニカル管(管あたり約10mL)に移した。ベースライン試料が保持され、別のSYSMEX(登録商標)血液学分析装置で処理されてWBC濃度を得た。
【0063】
WBCベースライン結果が400×103/μL以上の目標値未満であった場合、残りの白血球除去輸血試料が1,000rpmで12分間遠心分離され、WBCペレットを作成した。上清が除去され、各管に約2mLを残した。WBCペレットおよび上清が再懸濁され、合成された。血小板凝集物が存在する場合、試料が廃棄され、新たな白血球除去輸血試料によってプロトコルが繰り返された。濃縮試料のSTE緩衝液(塩化ナトリウム-トリス-EDTA、1×溶液、pH8.0)での1:10希釈が別のSYSMEX(登録商標)血液学分析装置で処理され、WBC濃度を得た。
【0064】
濃縮試料が400×103/μL以上の目標値未満であった場合、試料が再遠心分離され、さらなる上清が除去された。試料が再びSTE緩衝液に再懸濁され、1:10希釈物が別のSYSMEX(登録商標)血液学分析装置でWBC濃度について分析された。目標値が満たされた場合、試料が「高濃度」試料として標識された。
【0065】
低濃度WBC試料
低濃度WBC試料は、WBCについて0.1×103/μL以下およびRBCについて1.5×106/μL超という2つの目標値を満たすように調製された。RBCが添加されて、Roche画像ベースの血液学分析装置(cobas(登録商標)m 511システム)が試料処理を開始し、画像化を容易にするのに必要な細胞の最小数を満たした。3つの全血ドナー試料が4,000rpmで12分間遠心分離された。バフィーコート層が除去され、残りの内容物が1つの管に移された。試料が混合され、別のSYSMEX(登録商標)血液学分析装置で処理されて、WBCおよびRBCの結果を得た。
【0066】
試料の低濃度WBC目標値が満たされなかった場合、等体積のSTE緩衝液が添加され、試料が4,000rpmで12分間遠心分離された。さらなるバフィーコート層が除去され、試料が再懸濁され、別のSYSMEX(登録商標)血液学分析装置で分析された。WBCおよびRBC目標値が満たされたとき、試料が「低濃度」試料として標識された。
【0067】
直線性系列の調製
高濃度試料と低濃度試料との間の等間隔希釈系列が調製されて、直線性系列を作成した(
図2を参照)。管1から9が標識され、ここで、管1は、低濃度試料を含有し、管9は、高濃度試料を含有した。
【0068】
管5は、管1からの1つの部分と管9からの1つの部分とを合成して調製された。管3は、管1からの1つの部分と管5からの1つの部分とを合成して調製された。管7は、管5からの1つの部分と管9からの1つの部分とを合成して調製された。管2は、管1からの1つの部分と管3からの1つの部分とを合成して調製された。管8は、管7からの1つの部分と管9からの1つの部分とを合成して調製された。管4は、管3からの1つの部分と管5からの1つの部分とを合成して調製された。管6は、管5からの1つの部分と管7からの1つの部分とを合成して調製された。
【0069】
試料処理
各希釈物(濃度)が完全に混合されて、標準的なステップを使用するcobas(登録商標)m 511システムによる処理の準備をした。各試料が単層でガラス顕微鏡スライド上に印刷され、次いで自動的に固定され、分析装置によって染色された。次いで、分析装置は、WBCのデジタル識別および計数を自動的に行った。各希釈の自動化された結果が各希釈の目標値と比較されて、試料の直線性を決定した。
【0070】
WBC直線性試料の結果
54枚のWBC直線性スライド(9つの濃度、濃度あたり6回の反復)が、別個のcobas(登録商標)m 511システムで処理され、再現性のある結果を示した。完全なWBC直線性範囲(0.1以下~400.0×10
3/μL)にわたる9つの等間隔データ点が円で示される(
図4A)。9つの等間隔試料のそれぞれについての6回の反復の平均値は、直線性グラフからの偏差に示されるように許容範囲内に入った(
図4B)。
【表3】
【表4】
【0071】
表3および表4は、別々のcobas(登録商標)m 511システムで処理および分析されたWBC直線性スライドの直線性からの偏差を示す。血液試料およびスライドの調製は上記の通りであった。直線性からの偏差は、使用したスライドおよびシステムの双方のセットについて許容範囲内であった。
【0072】
実施例2:赤血球、ヘモグロビンおよびヘマトクリット分析測定区間
実施例2の目的は、複合パラメータRBC-HGB-HCTの画像ベースの血液学分析装置用のAMIが直線性要件を満たすことを確立することであった。
【0073】
RBC-HGB-HCT AMIを試験するために、K
2-EDTA管に収集した10~10mLの全血試料が単一のボランティアドナーから得られた。10本の管のうちの1本が別のSYSMEX(登録商標)血液学分析装置で処理されて、全血球計算値(CBC)を得た。試料が濃縮され、(必要に応じて)希釈されて、高濃度試料、低濃度試料、および7つの中間等間隔濃度試料を作成し、(
図2に示すように)固有の直線性系列を得た。直線性系列が3つの別個のcobas(登録商標)m 511システムで処理された。直線性系列の各濃度試料は、閉鎖管モードと開放管モードの双方で6回繰り返し処理された。
【0074】
高濃度および低濃度RBC試料
高濃度血液試料は、8.00×106/μL以上のRBCの目標濃度を満たすように調製された。10mLのK2-EDTAドナー試料管の一方が「ベースライン」と標識され、別のSYSMEX(登録商標)血液学分析装置で処理されてベースラインCBC結果を得た。次いで、この管が後で使用するために確保された。残りの9本のドナー試料管が4,000rpmで10分間遠心分離された。この遠心分離ステップの間に、2本の50mLコニカル管が入手され、それぞれ「血漿」および「充填RBC」と標識された。
【0075】
遠心分離が完了した後、9本のドナー試料管のそれぞれからの血漿が、「血漿」と標識された50mLコニカル管に移された。次いで、充填RBCが「充填RBC」と表示した新たな50mLコニカル管に移され、完全に混合された。「充填RBC」の500μLアリコートが赤色/グレートップ管に移された。この同じ赤色/グレートップ管に、「血漿」管からの500μLアリコートが添加され、したがって1:1希釈液を作成した。1:1希釈管が別のSYSMEX(登録商標)血液学分析装置で処理されて、RBC、HGB、およびHCTの結果を得た。RBCの結果が8.00×106/μL以上の目標値を満たした場合、管が「高濃度」試料と標識された。
【0076】
低濃度血液試料は、0.40×106/μL以下の目標濃度を満たすように、予め確保されたドナー試料を希釈することによって調製された。目標値を満たした場合、その試料が「低濃度」試料として標識された。
【0077】
直線性系列の調製
実施例1に記載し、
図2に示すように、高濃度および低濃度の試料を使用して、等間隔希釈液が調製された。9つの希釈液がcobas(登録商標)m 511システムで6回繰り返し処理された。
【0078】
試料処理
各希釈物(濃度)が完全に混合されて、cobas(登録商標)m 511システムによる処理の準備をした。各試料が単層でガラス顕微鏡スライド上に印刷され、次いで自動的に固定され、分析装置によって染色された。次いで、分析装置は、RBCのデジタル識別および計数を自動的に行い、細胞形態および含有量(例えば、HGBおよびHCT)についてRBCを評価した。各希釈の自動化された結果が各希釈の目標値と比較されて、試料の直線性を決定した。
【0079】
RBC直線性試料の結果
54枚のRBC直線性スライド(9つの濃度、濃度あたり6回の反復)が、3つの別個のcobas(登録商標)m 511システムで処理され、再現性のある結果を示した。以下の9つの等間隔データ点が直線性範囲に及んだ:
0.4以下~8.00×10
6/μL以上のRBCの場合、
1.2以下~24.0g/dL以上のHGBの場合、および
3.6以下~72.0%以上のHCTの場合。
【表5】
【表6】
【表7】
【0080】
スライドは、上述したように調製された。スライドは、標準的なステップを使用して、RBC、HGB、およびHCT用のcobas(登録商標)m 511システムで測定された。9つの等間隔試料のそれぞれについての6回の反復の平均値は、RBC(表5)、HGB(表6)およびHCT(表7)の直線性からの偏差について許容範囲内であった。
【0081】
実施例3:血小板分析測定区間
実施例3の目的は、パラメータPLTの画像ベースの血液学分析装置用のAMIが直線性要件を満たすことを確立することであった。
【0082】
PLT AMIを試験するために、単一ユニットPLTアフェレーシス試料が単一ドナーから得られた。この成分ドナーの各単一単位は、ACD-A抗凝固剤に収集された最小150mLから最大400mLの生成物を含有していた。血餅および凝集物が存在しないことを確実にするために検査された80-100mLのプールABO/Rh適合全血も必要とされた。試料が濃縮され、(必要に応じて)希釈されて、高濃度試料、低濃度試料、および7つの中間等間隔濃度試料を作成し、(
図2に示すように)固有の直線性系列を得た。直線性系列が3つの別個のcobas(登録商標)m 511システムで処理された。直線性系列の各濃度試料は、閉鎖管モードと開放管モードの双方で6回繰り返し処理された。
【0083】
高濃度および低濃度のPLT試料
高濃度試料は、PLTの目標値5,000×103/μL以上を満たすように調製された。100mg/mLのK2-EDTAを含む4mLのSTE緩衝液を含むコニカル管が調製された。PLTアフェレーシス試料がコニカル管に移され、RBCおよび緩衝液と混合された。コニカル管が4,000rpmで12分間遠心分離された。上清が除去され、PLTペレットが再懸濁され、PLTおよびRBCに対する残りの溶液の希釈物がSYSMEX(登録商標)血液学分析装置で分析されて、試料中のPLTの結果を得た。
【0084】
低濃度血液試料は、PLTについては10×103/μL以下、RBCについては1.5×106/μL超の目標値を満たすように調製された。全てのABO/Rh適合全血試料が4,000rpmで12分間遠心分離された。バフィーコート層が除去された。次いで、残りのRBCがSTE緩衝液を用いて洗浄された。次いで、試料がSYSMEX(登録商標)血液学分析装置で試験されて、PLTおよびRBCの目標値を割り当てた。
【0085】
直線性系列の調製
実施例1に記載し、
図2に示すように、高濃度および低濃度の試料を使用して、等間隔希釈液が調製された。9つの希釈物が、画像ベースの血液学分析装置で6回繰り返し処理された。PLTの結果が各直線性系列について得られた。
【0086】
試料処理
各希釈物(濃度)が完全に混合されて、cobas(登録商標)m 511システムによる処理の準備をした。各試料が単層でガラス顕微鏡スライド上に印刷され、次いで自動的に固定され、分析装置によって染色された。次いで、分析装置は、PLTのデジタル識別および計数を自動的に実行した。各希釈の自動化された結果が各希釈の目標値と比較されて、試料の直線性を決定した。
【0087】
PLT直線性試料の結果
54枚のPLT直線性スライド(9つの濃度、濃度あたり6回の反復)が、標準的なステップを使用して別個のcobas(登録商標)m 511システムで処理され、再現可能な結果を示した。完全なPLT直線性範囲10×10
3/μL以下および5,000×10
3/μL以上にわたる9つの等間隔データ点が使用された。
【表8】
【0088】
9つの等間隔試料のそれぞれについての6回の反復の平均値は、直線性グラフからの偏差に示されるように許容範囲内に入った(表8)。
【0089】
全血から調製された直線性プロトコル
表9は、全血プロトコルを使用したパラメータWBC、PLT、およびRBC/HGBについての低濃度直線性試料および高濃度直線性試料の目標値を示す。
【表9】
【0090】
高濃度試料および低濃度試料が使用されて、前述と同様の等間隔希釈液を調製するが、高濃度試料と低濃度試料との間には3つの中間希釈液しかなく、合計5つの等間隔濃度をもたらす。
図2のフローチャートと同様に、高濃度血液試料(管5)および低濃度血液試料(管1)が識別される。高濃度および低濃度血液試料の等量は、中間濃度(管3)を生成する。第二に、低濃度と中濃度または高濃度と中濃度との間のさらなる希釈は、中間濃度をもたらす(管2および管4)。
【0091】
各試料は、スライド、例えばガラスまたはプラスチックスライド(例えば、顕微鏡スライド)上に単層で印刷され、固定され、染色される。染色後、試料スライドが自動的に画像化され、血液成分が計数され、既知の値と比較される。
【0092】
いくつかの実施形態では、等間隔濃度は、開放管モードまたは閉鎖管モード(すなわち、ラックモード)のいずれかで処理される。以下の実施例では、5つの調製された等間隔濃度のそれぞれがスライドガラス上に6回印刷、固定、および染色されて(6回反復)、各血液パラメータについて合計30の直線性測定値を生成した。直線性測定値は、Clinical Laboratory Standards Institute,H26-A2 Validation,Verification,and Quality Assurance of Automated Hematology Analyzers;Approved Standard-Second Edition,2010年6月に記載されている基準にしたがって、画像ベースの血液学分析装置で分析され、表10(中国食品医薬品局(CFDA))および表11(米国食品医薬品局(USFDA))に示す既知の下限および上限目標値(AMIの切り捨てられた範囲)ならびに直線性からの最大許容偏差と比較された。
【表10】
【表11】
【0093】
実施例4:全血プロトコルを使用したWBC直線性の比較
実施例1に記載されているように、特殊な試料および試料調製がなければ、WBCのAMI全体は達成されることができない。実施例4の目的は、WBCの全血実施プロトコルで調製された試料を使用した場合の画像ベースの血液学分析装置のAMIの範囲の縮小(切り捨て)を実証することであった。
【0094】
全血WBC AMIを試験するために、単一のドナーからの最小15個の10mL K2/K3-EDTA管が標準的な静脈穿刺によって得られて、完全に混合された。木製アプリケータスティックを使用して、全ての管が血餅について検査された。試料が凝固した場合、廃棄されて回収された。ドナー試料が濃縮され、(必要に応じて)希釈されて、高濃度および低濃度の直線性試料を作成した。
【0095】
ベースラインWBC試料
ドナー血液の15本の管のうちの1本が「ベースライン」と標識された。ベースライン管は、標準的なステップを使用してcobas(登録商標)m 511システムで処理され、将来の使用のために確保された。8.0×103/μL以上のベースラインWBC結果を有するドナー試料を収集することが推奨される。
【0096】
高濃度WBC試料
高濃度WBC試料は、99×103/μL以上のWBC目標値を満たすように調製された。高濃度試料を調製するために、残りのドナー管が5000rpmで10分間遠心分離された。遠心分離が完了した後、血漿の約2/3が除去され、各ドナー管から単一の15mLコニカル管に移された。このコニカル管は「血漿」と標識され、後で使用するために保持した。バフィーコート層またはRBC層の破壊が起こった場合、遠心分離ステップが繰り返された。
【0097】
血漿を除去した後、各ドナー管からバフィーコート層が除去され、単一の15mLコニカル管に移された。一部のRBCがバフィーコート層からピペットで取り出されてもよい。このコニカル管は「高濃度」試料と標識された。ドナー管(大部分がRBCを含む)が、低濃度WBC試料の調製に使用するために保持された。
【0098】
高濃度試料が5秒間撹拌され、標準ステップを使用してcobas(登録商標)m 511システムで処理された。結果がレビューされて、WBCが99.0×103/μL超であることを確認した。高濃度WBC目標値を達成することができない場合、8.0×103/μL超のベースラインWBC結果を有する新たなドナー試料が収集された。
【0099】
低濃度WBC試料
低濃度WBC試料は、WBCについて1.0×103/μL以下およびRBCについて0.30×106/μL超という2つの目標値を満たすように調製された。RBCが添加されて、cobas(登録商標)m 511システムが試料処理を開始し、画像化を容易にするのに必要な細胞の最小数を満たした。
【0100】
低濃度試料を調製するために、RBCのさらなる層(約500μL)が上述したように保持されたドナー管のうちの3つから除去され、新たな15mLコニカルに移された。
【0101】
血漿が、血漿管からRBCを含有する15mLコニカル管に移された。この管は「低濃度」と標識された。低濃度試料が完全に混合され、標準ステップを使用してcobas(登録商標)m 511システムで処理された。結果がレビューされて、WBCが<1.0×103/μLであり、RBCが0.30×106/μL超の目標値が達成されたことを確認した。
【0102】
直線性系列の調製
高濃度試料と低濃度試料との間で等間隔直線性系列が調製された。管1から5が標識され、ここで、管1は、低濃度試料を含有し、管5は、高濃度試料を含有した。
【0103】
管3は、管1からの1つの部分と管5からの1つの部分とを合成して調製された。
【0104】
管2は、管1からの1つの部分と管3からの1つの部分とを合成して調製された。
【0105】
管4は、管3からの1つの部分と管5からの1つの部分とを合成して調製された。
【0106】
試料処理
直線性系列の各管は、cobas(登録商標)m 511システムによる処理のために調製された。各試料が単層でガラス顕微鏡スライド上に印刷され、次いで自動的に固定され、分析装置によって染色された。分析装置はまた、WBCのデジタル識別および計数を自動的に行った。各希釈の自動化されたWBCカウントが各希釈の目標値と比較されて、試料の直線性を決定した。
【0107】
WBC直線性試料の結果
30のWBC直線性の結果(5つの濃度、濃度あたり6回の反復)が、cobas(登録商標)m 511システムで得られた。切り捨てられたWBC直線性範囲(1.0以下~99.0×10
3/μL)にわたる5つの等間隔データ点が円で示される(
図5A)。5つの等間隔試料のそれぞれについての6つの反復の平均値は、オペレータの技術が不十分であるために、直線性グラフ(
図5B)からの偏差に示されるように許容範囲内に入らなかった。
【表12】
【0108】
図4Aおよび
図4Bから
図5Aおよび
図5Bの比較は、全血試料から調製された直線性系列に対して、特殊な直線性試料を使用した結果、精度、および精密さの直線性範囲の向上を強調している。全血WBCプロトコルを使用したWBCの直線性からの偏差は、特殊な血液製剤プロトコルを使用した場合よりも高かった(表3および表12を比較)。
【0109】
実施例5:全血プロトコルを使用したRBC直線性の比較
実施例2に記載されているように、特殊な試料および試料調製がなければ、RBC-HGB-HCTの全AMIは達成されることができない。実施例5の目的は、RBCの全血実施プロトコルで調製された試料を使用した場合の画像ベースの血液学分析装置のAMIの範囲の縮小(切り捨て)を実証することであった。HGBおよびHCT直線性の分析のために、別個の全血プロトコルが開発されることができる。
【0110】
全血RBC AMIを試験するために、単一のドナーからの3本の10mLのK2/K3-EDTA管が標準的な静脈穿刺によって得られて、完全に混合された。木製アプリケータスティックを使用して、全ての管が血餅について検査された。試料が凝固した場合、廃棄されて回収された。ドナー試料が濃縮され、(必要に応じて)希釈されて、高濃度および低濃度の直線性試料を作成した。
【0111】
ベースラインRBC試料
ドナー血液の3本の管のうちの1本が「ベースライン」と標識された。ベースライン管は、標準的なステップを使用してcobas(登録商標)m 511システムで処理され、将来の使用のために確保された。4.5×106/μL以上のベースラインRBC結果を有するドナー試料を収集することが推奨される。
【0112】
高濃度RBC試料
高濃度RBC試料は、7.0×106/μL以上のRBC目標値を満たすように調製された。高濃度試料を調製するために、残りのドナー管が5000rpmで10分間遠心分離された。遠心分離が完了した後、血漿の約2/3が除去され、各ドナー管から単一の15mLコニカル管に移された。このコニカル管は「血漿」と標識され、後で使用するために保持された。バフィーコート層またはRBC層の破壊が起こった場合、遠心分離ステップが繰り返された。
【0113】
低濃度RBC試料
低濃度RBC試料は、0.30×106/μL以下の目標値を満たすように調製された。予め確保したベースライン管および血漿管のアリコートが合成され、「低濃度」と標識された。低濃度試料が完全に混合され、標準ステップを使用してcobas(登録商標)m 511システムで処理された。結果がレビューされて、0.30×106/μL以下のRBC目標値が達成されたことを検証した。
【0114】
直線性系列の調製
直線性系列は、実施例4に記載されているように、高濃度試料と低濃度試料との間の等間隔希釈系列によって調製された。
【0115】
試料処理
各希釈物(濃度)が完全に混合されて、cobas(登録商標)m 511システムによる処理の準備をした。各試料が単層でガラス顕微鏡スライド上に印刷され、次いで自動的に固定され、分析装置によって染色された。次いで、分析装置は、RBCのデジタル識別および計数を自動的に行い、細胞形態および含有量(例えば、HGBおよびHCT)についてRBCを評価した。各希釈の自動化された結果が各希釈の目標値と比較されて、試料の直線性を決定した。
【0116】
RBC直線性試料の結果
30のRBC直線性の結果(5つの濃度、濃度あたり6回の反復)が、cobas(登録商標)m 511システムで得られた。5つの等間隔データ点が、切り捨てられたRBC直線性範囲(0.3以下~7.0×10
6/μL)にわたる。表13に示すように、5つの等間隔試料のそれぞれについての6回の反復の平均値は、許容限界内に入った。
【表13】
【0117】
表5および表13の比較は、高濃度試料、低濃度試料、および7つの中間濃度試料から調製された試料を使用した結果、精度、および精密さの直線性範囲の向上と、高濃度試料、低濃度試料、および3つの中間濃度試料から調製された直線性系列との対比を強調している。全血RBCプロトコルを使用した偏差は、本明細書に記載の特殊な血液製剤プロトコルを使用した場合よりも高かった。
【0118】
実施例6:全血プロトコルを使用したPLT直線性の比較
実施例3に記載されているような特殊な試料および試料調製がなければ、PLTについてのAMI全体は達成されることができない。実施例6の目的は、PLTの全血実施プロトコルで調製された試料を使用した場合の画像ベースの血液学的分析装置のAMIの範囲の縮小(切り捨て)を実証することであった。
【0119】
全血PLT AMIを試験するために、標準的な静脈穿刺を介して単一のドナーから最低5本の10mLのK2/K3-EDTA管が得られて、完全に混合された。木製アプリケータスティックを使用して、全ての管が血餅について検査された。試料が凝固した場合、廃棄されて回収された。ドナー試料が濃縮され、(必要に応じて)希釈されて、高濃度および低濃度の直線性試料を作成した。
【0120】
ベースラインPLT試料
ドナー血液の5本の管のうちの1本が「ベースライン」と標識された。ベースライン管は、標準的なステップを使用してcobas(登録商標)m 511システムで処理され、将来の使用のために確保された。ベースラインPLT数が300×103/μL以上のドナー試料を収集することが推奨される。
【0121】
多血小板血漿試料の調製
999×103/μL以上のPLT目標濃度を満たす高濃度PLT試料を作成するために、最初に、4つの残りのドナー管を2000rpmで10(10)分間遠心分離することによって多血小板血漿(PRP)画分を調製した。遠心分離を行いながら、0.3gのEDTAが秤量され、2つのEDTA 15mLコニカル管のそれぞれに移された。遠心分離が完了した後、各ドナー管からの多血小板血漿が除去され、EDTAを含有する2つの15mLコニカル管の間に等しく分配された。RBCと血漿層との分離が不明確であるため、血漿の移送中に一部のRBCがEDTA管にピペットで取り出されても許容される。RBCと血漿の分離が目視評価に基づいて達成されない場合、ドナー管が2000rpmでさらに5分間再遠心分離されることができる。EDTAが確実に溶液に溶解するように、「PRP」管が十分に混合された。
【0122】
以下の管が5000rpmで(10)分間遠心分離された:
a.2本の15mLコニカルPRP管
b.PRPを除去した2本の10mLのEDTAドナー管
【0123】
高濃度PLT試料
遠心分離が完了し、PLTペレットを乱すことなく、乏血小板血漿(PPP)がPRP管から除去され、「PPP」と標識された新たな15mLコニカル管に移され、後で使用するために保持された。
【0124】
2つの「PRP」管の内容物が、目に見えるPLTペレットがなくなるまで完全に混合された。2つの「PRP」管の内容物が合成され、500μLの「ベースライン」試料が添加された。このコニカル管は「高濃度」と標識された。
【0125】
高濃度管が完全に混合され、標準ステップを使用してcobas(登録商標)m 511システムで処理された。結果がレビューされて、PLTが999×103/μL超であることを確認した。高濃度PLT要件を達成することができない場合、300×103/μL超のより高いベースラインPLT結果を有する新たなドナー試料が収集された。
【0126】
低濃度PLT試料
低濃度PLT試料は、PLTについては20.0×103/μL以下およびRBCについては0.30×106/μL超という2つの目標濃度を満たすように調製された。RBCが添加されて、Roche画像ベースの血液学分析装置(cobas(登録商標)m 511システム)が試料処理を開始し、画像化を容易にするのに必要な細胞の最小数を満たした。低濃度試料を調製するために、PRPを含有する2本の10mL EDTAドナー管が回収された。残っている血漿およびバフィーコートが除去され、廃棄された。充填したRBCが移され、「低濃度」と標識された新たな15mLコニカル管に合成され、そこに3.0~4.0mLのPPPが移された。
【0127】
低濃度管の内容物が完全に混合され、標準的なステップを使用してcobas(登録商標)m 511システムで処理された。結果がレビューされて、PLTが<20.0×103/μLであり、RBCが0.30×106/μL超であることを確認した。
【0128】
直線性系列の調製
直線性系列は、実施例4に記載されているように、高濃度試料と低濃度試料との間の等間隔希釈系列によって調製された。
【0129】
試料処理
各希釈物(濃度)が完全に混合されて、cobas(登録商標)m 511システムによる処理の準備をした。各試料が単層でガラス顕微鏡スライド上に印刷され、次いで自動的に固定され、分析装置によって染色された。次いで、分析装置は、PLTのデジタル識別および計数を自動的に実行した。各希釈の自動化された結果が各希釈の目標値と比較されて、試料の直線性を決定した。
【0130】
PLT直線性試料の結果
標準的なステップを使用してcobas(登録商標)m 511システムで30のPLT直線性結果(5つの濃度、濃度あたり6回の反復)が得られた。切り捨てられたPLT直線性範囲(8~1379×10
3/μL)におよぶ5つの等間隔データ点が使用された。表14に示すように、5つの等間隔試料のそれぞれについての6回の反復の平均値は、許容限界内に入った。
【表14】
【0131】
表8および表14の比較は、全血ならびに高、低、および3つの中間濃度試料から調製された直線性系列に対して、高、低、および7つの中間濃度試料から調製された特殊な直線性試料を使用した結果、精度、および精密さの直線性範囲の向上を強調している。全血プロトコルを使用することは、本明細書に記載の特殊血液製剤プロトコルを使用する場合よりも高い偏差をもたらした。
【0132】
直線性管理スライド
データは、ゴールドスタンダード検証プロトコルと組み合わせて特殊な血液製剤を使用する方法(実施例1~3)、および全血実装プロトコルと組み合わせて全血試料を使用する方法(実施例4~6)によって生成されている。選択された方法およびAMIの結果にかかわらず、6つの例は、全て、かなりの量の時間、お金、および技術的専門知識の投資を必要とする。これらの障害を排除することは、顧客にとって非常に有利である。
【0133】
実施例7:RBC-HGB-HCTの直線性管理スライドの比較
実施例7の目的は、直線性管理スライドを使用して2つのcobas(登録商標)m 511システムのAMIを比較することであった。RBC-HGB-HCTのパラメータが選択されて、原理証明の実現可能性を実証した。
【0134】
直線性希釈液が調製され、実施例2において前述した(ゴールドスタンダード)方法を使用して、cobas(登録商標)m 511システムC4で処理された。RBC-HGB-HCTのカウントが得られた。ゴールドスタンダードRBC法から得られた直線性管理スライドが保持された。次いで、同じcobas(登録商標)m 511システムC4の印刷および染色機能が一時的に再構成された。
【0135】
次いで、直線性管理スライドが2つのcobas(登録商標)m 511システムで処理された:まず、同じcobas(登録商標)m 511システム(C4)において、次に第2のcobas(登録商標)m 511システム(P37)において:
1)第1のcobas(登録商標)m 511システムで処理されたRBC(直線性管理スライドから)の直線性範囲は、0.35~8.66×10
6/μLであり、第2のcobas(登録商標)m 511システムで処理された直線性範囲は、それぞれ、
図6Aおよび
図6Cに示すように0.34~8.30×10
6/μLであり、0.4以下~8.0×10
6/μL以上の目標値を満たす。
【表15】
【0136】
2)(直線性管理スライドを使用して)直線性からの許容限界およびRBC偏差は、全ての濃度について0%の偏差として第1のcobas(登録商標)m 511システムで計算され、
図6B(表15)および
図6D(表16)に示すように、それぞれ第2のcobas(登録商標)m 511システムでは-0.68%から0.07%の偏差の範囲であった。
【表16】
【0137】
3)表17に示すように、第1のcobas(登録商標)m 511システムで処理された(直線性管理スライドからの)HGBの直線性範囲は、1.08~26.02g/dLであり、第2のcobas(登録商標)m 511システムで処理された直線性範囲は、1.00~25.57g/dLであり、1.2以下~24.0×g/dL以上の目標値を満たす。
【表17】
【0138】
4)(直線性管理スライドを使用して)直線性からの許容限界およびHGB偏差は、全ての濃度について0%の偏差として第1のcobas(登録商標)m 511システムで計算され、表18に示すように第2のcobas(登録商標)m 511システムで-0.35%から2.71%の偏差の範囲であった。
【表18】
【0139】
5)表19に示すように、それぞれ、第1のcobas(登録商標)m 511システムで処理されたHCT(直線性管理スライドから)の直線性範囲は、3~79%であり、第2のcobas(登録商標)m 511システムで処理された直線性範囲は、3~78%であり、3.6以下~72.0%以上の目標値を満たす。
【表19】
【0140】
6)(直線性管理スライドを使用して)直線性からの許容限界およびHCT偏差は、表20に示すように、全ての濃度について0%の偏差として第1のcobas(登録商標)m 511システムで計算され、第2のcobas(登録商標)m 511システムで-0.10%から0.95%の偏差の範囲であった。
【表20】
【0141】
本明細書に記載されるような特殊化された高濃度、低濃度、および中間濃度の試料から調製された直線性管理スライドは、特殊化された高濃度、低濃度、および中間濃度の試料から新たに調製された直線性試料と同等の相関を提供する。
【0142】
さらに、記載されるように調製された直線性管理スライドは、全血試料から調製された直線性試料と比較して、変動性の減少、再現性の増加を提供し、AMI全体を達成する。表13および表16の比較は、高濃度および低濃度の血液試料から調製された直線性試料に基づく直線性管理スライドからの精度、精密さ、および機器間標準化の向上を強調している。特殊な血液製剤を使用している間の偏差は、2つのcobas(登録商標)m 511システムで測定した場合に一貫していた。
【0143】
最後に、直線性管理スライドは製造業者によって作成/生成されるため、顧客に対する時間およびコストの節約は重要である。
【0144】
実施例8:直線性管理スライドの安定性
この試験は、30日間保存されたcobas(登録商標)m 511システムスライドが、WBCの差異および形態に関する手動顕微鏡レビューに関して、元の(ベースライン)結果と比較して同様の結果をもたらすことを実証するために行われた。この試験中に行われた全ての評価の結果は成功し、所定の合格基準を満たした。これは、cobas(登録商標)m 511システムによって生成されたスライドが、最低30日間から180日間まで手動顕微鏡検査で安定していることを実証している。
【0145】
cobas(登録商標)m 511スライド安定性性能を検証するために、K2 EDTA収集管に収集され、SYSMEX(登録商標)自動血液学分析装置で処理された少なくとも20個の試料を使用してプロトコルが実行された。試料は以下からなっていた:
●6つのランダムな残留全血試料
●5人の健常ドナー
●9つの目標残留全血試料;以下のカテゴリのそれぞれから3つ:
貧血 HGB 6~10g/dL
白血球除去輸血 WBC 2×103/μL以下
血小板減少症 PLT 50×103/μL以下
【0146】
各試料は、試料収集の8時間以内に1つのcobas(登録商標)m 511システムでラックモードで3連で処理された。cobas(登録商標)m 511システムによって作成されたcobas(登録商標)m 511システムスライドは、ベースラインで、最低30日後、および最低180日後に資格のある医療技術者(MT)によって評価された。
【0147】
評価は、5つの別個の分析からなった。個々の評価は、いずれも、特定のPSD要件を満たすために要求されない。むしろ、結果の組み合わせセットが使用されてスライド安定性を決定する。
【0148】
1-赤血球含有物:有り/無し:%同意を報告
2-WBC、RBCおよびPLTの形態:等級1~4+:%同意を報告
3-WBC差パラメータバイアス評価:%バイアスを報告
4-WBC差パラメータ回帰分析:傾きおよび切片を報告
5-巨視的スライド特性:剥離、フレーク化、印刷、退色:等級 1~3+:%同意を報告
【0149】
cobas(登録商標)m 511システムで処理された各試料の最初の複製(ベースライン)のスライド評価は、試料処理の8時間以内に行われた。各試料の残りのスライドは、室温(15°~25°C)で残りの試験のためにFisher Scientific Slide保管ボックスに保管された。180日後、資格のある医療技術者(MT)が残りの2枚のスライドのうちの1枚を評価した。評価後、cobas(登録商標)m 511システムスライドがスライド保管ボックスに戻された。
【0150】
細胞特性(RBCの包含ならびにWBC、RBCおよびPLTの形態)は、0日と30日との間の差も、0日と180日との間の差も示さない。5部のWBC差についてのパーセントバイアスおよび相関係数は許容可能であり、最後に、cobas(登録商標)m 511スライドの巨視的評価は、試料の剥離、試料のフレーク化または印刷均一性の変化の観察を示さず、ベースライン結果と、少なくとも30日の保管および180日の保管後に得られた結果とを比較した場合、色の僅かな変化(退色)のみを示す。
【0151】
このプロトコルは、cobas(登録商標)m 511システムによって生成されたスライドが最低180日間安定であることを実証した。
【0152】
他の実施形態
本発明をその詳細な説明と併せて説明してきたが、前述の説明は、例示を意図しており、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。他の態様、利点、および変更は、以下の特許請求の範囲内である。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像ベースの血液学分析装置の分析測定間隔(AMI)もしくは報告可能範囲、またはその双方を検証するための直線性管理スライドのセットであって、
赤血球(RBC)成分、ヘモグロビン(HGB)成分およびヘマトクリット(HCT)成分の組み合わせ用の第1のスライドのセットと、
白血球(WBC)成分用の第2のスライドのセットと、
血小板(PLT)成分用の第3のスライドのセットと、
網赤血球(RET)成分用の第4のスライドのセットと、
有核赤血球(NRBC)成分用の第5のスライドのセットと、のうちの少なくとも1
つを備え、
スライドの各セットが、3つ以上のスライドを含み、
前記セット内の各スライドが、そのセットの血液成分の濃度の範囲内の一連の等間隔希釈液のうちの1つを含み、
スライドの各セットが
、固定されて染色される、直線性管理スライドのセット。
【請求項2】
前記スライドのセットのうちの少なくとも3つを備える、請求項1に記載の直線性管理スライドのセット。
【請求項3】
前記スライドのセットのうちの5つすべてを備える、請求項1に記載の直線性管理スライドのセット。
【請求項4】
スライドの各セットが、血液学分析装置によって固定されて染色される、請求項1に記載の直線性管理スライドのセット。
【請求項5】
前記血液学分析装置が、画像ベースの血液学分析装置である、請求項4に記載の直線性管理スライドのセット。
【請求項6】
固定および染色後、前記セットが、少なくとも6か月間冷蔵なしで安定である、請求項1
から5のいずれか一項に記載の直線性管理スライドのセット。
【請求項7】
染色が、エオシン溶液の使用を含む、請求項1
から6のいずれか一項に記載の直線性管理スライドのセット。
【請求項8】
染色が、メチレンブルー溶液の使用を含む、請求項1
から6のいずれか一項に記載の直線性管理スライドのセット。
【請求項9】
少なくとも前記第
1のスライドのセット、前記第
2のスライドのセット、および前記第
3のスライドのセットを含み、前記第1のスライドのセット、前記第2のスライドのセット、および前記第3のスライドのセットが、以下の高濃度および低濃度のそれぞれのタイプの細胞を含む、請求項1
から6のいずれか一項に記載の直線性管理スライドセット。
【請求項10】
拡張濃度範囲において画像ベースの血液学分析装置による血液成分の列挙の直線性を検証する方法であって、
血液成分のための請求項1から
9のいずれか一項に記載の直線性管理スライドのセットを取得することと、
前記血液成分のための標準プロトコルを使用して、前記画像ベースの血液学分析装置を用いて前記直線性管理スライドのセットを分析することと、
前記画像ベースの血液学分析装置から各血液成分についての列挙値を取得することと、
前記列挙値と、前記画像ベースの血液学分析装置についての前記血液成分の既知の目標範囲とを使用して、前記血液成分の列挙の直線性を決定することと、を含む、方法。
【請求項11】
2つ以上の血液成
分の直線性管理スライドのセットを取得することをさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記2つ以上の血液成分が、RBC、WBC、PLT、RET、およびNRBCのうちの2つ以上を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1つまたは複数の血液成分に関して血液分析装置上で直線性を検証するための直線性管理スライドのセットを生成する方法であって、
健常ヒト被験者から全血試料または血液成分を取得するステップと、
第1の血液成分についての全血または血液製剤試料から高濃度試料を調製するステップと、
前記第1の血液成分についての全血または血液製剤試料から低濃度試料を調製するステップと、
前記第1の血液成分についての複数の等間隔希釈液を調製するステップであって、前記複数の等間隔希釈液が、高濃度血液または血液製剤試料、低濃度血液または血液製剤試料、前記高濃度試料の一部および前記低濃度試料の一部を含む第1の希釈液、前記第1の希釈液の一部および前記低濃度試料の一部を含む第2の希釈液、ならびに前記第1の希釈液の一部および前記高濃度試料の一部を含む第3の希釈液を含む、複数の等間隔希釈液を調製するステップと、
画像ベースの血液学分析装置において第1の血液または血液製剤成分についての前記等間隔希釈液のそれぞれを処理して、前記等間隔希釈液をスライド上に印刷、固定、および染色することによって、前記複数の等間隔希釈液のそれぞれについてのスライドを調製するステップと、を含む、方法。
【請求項14】
前記高濃度血液試料および前記低濃度血液試料が同じ血液試料に由来する、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
前記高濃度血液試料および前記低濃度血液試料が、それぞれ、所定の濃度の前記第1の
血液成分を含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の血液成分が、赤血球(RBC)、白血球(WBC)、血小板(PLT)、網赤血球(RET)、および有核赤血球(NRBC)からなる群から選択される、請求項
13から
15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
第2の血液成分について、記載された前記ステップのそれぞれを実行して、前記第2の血液成分についての直線性管理スライドの第2のセットを生成するステップをさらに含む、請求項
13から
16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の血液成分が、RBC、WBC、PLT、RETおよびNRBCからなる群から選択される、請求項
17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の血液成分がRBCである、請求項
16に記載の方法。
【請求項20】
前記高濃度血液試料が、8.0×10
6/μL以上のRBCであり、前記低濃度血液試料が、0.4×10
6/μL以下のRBCである、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の血液成分がWBCである、請求項
16に記載の方法。
【請求項22】
前記高濃度血液試料が、400×10
3/μL以上のWBCであり、前記低濃度血液試料が、0.1×10
3/μL以下のWBCである、請求項
21に記載の方法。
【請求項23】
WBCの前記低濃度血液試料が、1.5×10
6/μL超のRBCをさらに含む、請求項
22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の血液成分がPLTである、請求項
16に記載の方法。
【請求項25】
前記高濃度血液試料が、5000×10
3/μL以上のPLTであり、前記低濃度血液試料が、10×10
3/μL以下のPLTである、請求項
24に記載の方法。
【請求項26】
PLTの前記低濃度血液試料が、1.5×10
6/μL超のRBCをさらに含む、請求項
25に記載の方法。
【請求項27】
前記複数の等間隔希釈液が、それぞれ、2、3、4、5、または6つのスライド上で処理される、請求項
13に記載の方法。
【請求項28】
前記複数の等間隔希釈液が、前記低濃度血液試料の一部と前記第2の希釈液の一部とを含む第4の希釈液、前記第2の希釈液の一部と前記第1の希釈液の一部とを含む第5の希釈液、前記第1の希釈液の一部と前記第3の希釈液の一部とを含む第6の希釈液、および前記高濃度血液試料の一部と前記第3の希釈液の一部とを含む第7の希釈液をさらに含む、請求項
13に記載の方法。
【国際調査報告】