(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】方向性電磁鋼板およびその磁区微細化方法
(51)【国際特許分類】
C22C 38/00 20060101AFI20230220BHJP
C21D 10/00 20060101ALI20230220BHJP
C21D 8/12 20060101ALI20230220BHJP
H01F 1/147 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
C22C38/00 303U
C21D10/00
C21D8/12 D
H01F1/147 183
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538351
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-06-20
(86)【国際出願番号】 KR2020017973
(87)【国際公開番号】W WO2021125680
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0171286
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコホールディングス インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク, セ-ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム, チャン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】ミン, キ-ヨン
【テーマコード(参考)】
4K033
5E041
【Fターム(参考)】
4K033AA02
4K033DA02
4K033FA00
4K033HA00
4K033MA00
4K033PA08
4K033PA09
4K033RA04
4K033SA03
4K033TA03
4K033TA04
4K033TA06
5E041AA02
5E041BC01
5E041BD10
5E041CA02
5E041HB05
5E041HB14
5E041HB19
5E041NN06
5E041NN17
(57)【要約】
【課題】永久磁区微細化法および一時磁区微細化法を組み合わせて、鉄損を改善すると同時に熱衝撃量を減少させることができる方向性電磁鋼板およびその磁区微細化方法を提供する。
【解決手段】
本発明の方向性電磁鋼板は、電磁鋼板の一面または両面に、圧延方向と交差する方向に形成された線状のグルーブ、および電磁鋼板の一面または両面に、圧延方向と交差する方向に形成された線状の熱衝撃部を含み、。
グルーブの長さ方向および熱衝撃部の長さ方向間の角度は1~5゜であり、
前記グルーブおよび前記熱衝撃部は圧延方向に沿って複数形成され、
前記グルーブ間の間隔D1に対する前記熱衝撃部間の間隔D2の比率(D2/D1)は1.7~2.3であり、前記グルーブ間の間隔D1に対する前記熱衝撃部間の間隔D2の比率(D2/D1)は1.7~1.9または2.1~2.3であり、前記グルーブ間の間隔D1が2.0~3.0mmであり、前記熱衝撃部間の間隔D2は4.0~6.0mmであることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁鋼板の一面または両面に、圧延方向と交差する方向に形成された線状のグルーブ、および
前記電磁鋼板の一面または両面に、圧延方向と交差する方向に形成された線状の熱衝撃部を含み、
前記グルーブの長さ方向および前記熱衝撃部の長さ方向間の角度は1~5゜であることを特徴とする方向性電磁鋼板。
【請求項2】
前記グルーブおよび前記熱衝撃部は圧延方向に沿って複数形成され、
前記グルーブ間の間隔D1に対する前記熱衝撃部間の間隔D2の比率(D2/D1)は1.7~2.3であることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項3】
前記グルーブ間の間隔D1に対する前記熱衝撃部間の間隔D2の比率(D2/D1)は1.7~1.9または2.1~2.3であることを特徴とする請求項2に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項4】
前記グルーブ間の間隔D1が2.0~3.0mmであり、前記熱衝撃部間の間隔D2は4.0~6.0mmであることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項5】
前記グルーブおよび前記熱衝撃部は鋼板の一面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項6】
前記グルーブは鋼板の一面に形成され、前記熱衝撃部は鋼板の他面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項7】
前記グルーブの深さは鋼板厚さの3~5%であることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項8】
前記熱衝撃部は、前記熱衝撃部が形成されていない鋼板表面と10~120のビッカース硬さ(Hv)差を有することを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項9】
前記グルーブの下部に形成された凝固合金層を含み、前記凝固合金層は厚さが0.1μm~3μmであることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項10】
前記グルーブの上部に形成された絶縁被膜層を含むことを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項11】
前記グルーブおよび熱衝撃部の長さ方向と前記圧延方向は75~88°の角度を成すことを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項12】
前記グルーブまたは前記熱衝撃部は、前記鋼板の圧延垂直方向に沿って2個~10個断続的に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項13】
方向性電磁鋼板を準備する段階、
前記方向性電磁鋼板の一面または両面に、圧延方向と交差する方向にレーザを照射して、線状のグルーブを形成する段階、および
前記方向性電磁鋼板の一面または両面に、圧延方向と交差する方向にレーザを照射して、線状の熱衝撃部を形成する段階を含み、
前記グルーブの長さ方向および前記熱衝撃部の長さ方向間の角度は1~5゜であることを特徴とする方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
【請求項14】
前記グルーブを形成する段階および前記熱衝撃部を形成する段階を複数回行って、前記グルーブおよび前記熱衝撃部を圧延方向に沿って複数形成し、
前記グルーブ間の間隔D1に対する前記熱衝撃部間の間隔D2の比率(D2/D1)は1.7~2.3になるように形成することを特徴とする請求項13に記載の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
【請求項15】
前記グルーブを形成する段階で、前記レーザのエネルギー密度は0.5~2J/mm
2であり、前記熱衝撃部を形成する段階で、前記レーザのエネルギー密度は0.02~0.2J/mm
2であることを特徴とする請求項13に記載の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
【請求項16】
前記グルーブを形成する段階で、前記レーザの鋼板圧延垂直方向のビーム長さが50~750μmであり、前記レーザの鋼板圧延方向のビーム幅が10~30μmであることを特徴とする請求項13に記載の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
【請求項17】
前記熱衝撃部を形成する段階で、前記レーザの鋼板圧延垂直方向のビーム長さが1,000~15,000μmであり、前記レーザの鋼板圧延方向のビーム幅が80~300μmであることを特徴とする請求項13に記載の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
【請求項18】
前記鋼板の表面に絶縁被膜層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
【請求項19】
前記グルーブを形成する段階以後、前記鋼板の表面に絶縁被膜層を形成する段階を行うことを特徴とする請求項18に記載の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
【請求項20】
前記鋼板の表面に絶縁被膜層を形成する段階以後、前記熱衝撃部を形成する段階を行うことを特徴とする、請求項19に記載の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方向性電磁鋼板およびその磁区微細化方法に係り、さらに詳しくは、永久磁区微細化法および一時磁区微細化法を組み合わせて、鉄損を改善すると同時に熱衝撃量を減少させることができる方向性電磁鋼板およびその磁区微細化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
方向性電磁鋼板は変圧器などの電磁気製品の鉄心材料として使用されるため、電気機器の電力損失を減らすことによってエネルギー変換効率を向上させるためには鉄心素材の鉄損に優れ積層および巻取り時点滴率の高い鋼板が要求される。
方向性電磁鋼板は、熱延、冷延および焼鈍工程を通じて二次再結晶された結晶粒が圧延方向に{110}<001>方向に配向された集合組織(一名“Goss Texture”ともいう)を有する機能性鋼板をいう。
方向性電磁鋼板の鉄損を低める方法として、磁区微細化方法が知られている。即ち、磁区をスクラッチやエネルギー的衝撃を与えて方向性電磁鋼板が有している大きな磁区の大きさを微細化させることである。この場合、磁区が磁化されその方向が変わる時エネルギー的消耗量を磁区の大きさが大きかった時より減らすことができるようになる。磁区微細化方法としては、熱処理後にも改善効果が維持される永久磁区微細化と、そうでない一時磁区微細化がある。
【0003】
回復(Recovery)が現れる熱処理温度以上の応力緩和熱処理後にも鉄損改善効果を示す永久磁区微細化方法は、エッチング法、ロール法およびレーザー法に区分することができる。エッチング法は、溶液内選択的な電気化学反応で鋼板表面に溝(グルーブ、groove)を形成させるため溝形状を制御しにくく、最終製品の鉄損特性を幅方向に均一に確保することが難しい。これと共に、溶媒として使用する酸容液によって環境に優しくない短所を有している。
ロールによる永久磁区微細化方法は、ロールに突起形状を加工してロールや板を加圧することによって板表面に一定の幅と深さを有する溝を形成した後に焼鈍することによって溝下部の再結晶を部分的に発生させる鉄損改善効果を示す磁区微細化技術である。ロール法は、機械加工に対する安定性、厚さによる安定的な鉄損確保を得にくい信頼性およびプロセスが複雑であり、溝形成直後(応力緩和焼鈍前)鉄損と磁束密度特性が劣化する短所を有している。
【0004】
レーザーによる永久磁区微細化方法は、高出力のレーザーを高速で移動する電磁鋼板表面部に照射し、レーザー照射によって基地部の溶融を伴うグルーブ(groove)を形成させる方法を使用する。しかし、このような永久磁区微細化方法も磁区を最小大きさに微細化させるのは難しい。
一時磁区微細化の場合、コーティングされた状態でレーザを加えた後、コーティングをもう一度行わないことに現在技術は集中しているため、レーザを一定以上の強度で照射しようとしない。一定以上に加える場合、コーティングの損傷によって張力効果をうまく発揮しにくいためである。
永久磁区微細化の場合、溝を彫って静磁エネルギーを受けることができる自由電荷面積を広げることであるため、できる限り深い溝深さが必要である。もちろん、深い溝深さによって磁束密度の低下などの副作用も発生する。そのため、磁束密度劣化を減らすために適正の溝深さとして管理するようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、永久磁区微細化法および一時磁区微細化法を組み合わせて、鉄損を改善すると同時に熱衝撃量を減少させることができる方向性電磁鋼板およびその磁区微細化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の方向性電磁鋼板は、電磁鋼板の一面または両面に、圧延方向と交差する方向に形成された線状のグルーブ、および電磁鋼板の一面または両面に、圧延方向と交差する方向に形成された線状の熱衝撃部を含む。
グルーブの長さ方向および熱衝撃部の長さ方向間の角度は1~5゜である。
グルーブおよび熱衝撃部は圧延方向に沿って複数形成され、グルーブ間の間隔D1に対する熱衝撃部間の間隔D2の比率(D2/D1)は1.7~2.3であってもよい。
グルーブ間の間隔D1に対する熱衝撃部間の間隔D2の比率(D2/D1)は1.7~1.9または2.1~2.3であってもよい。
グルーブ間の間隔D1が2.0~3.0mmであり、熱衝撃部間の間隔D2は4.0~6.0mmであってもよい。
グルーブおよび熱衝撃部は鋼板の一面に形成できる。
グルーブは鋼板の一面に形成され、熱衝撃部は鋼板の他面に形成できる。
グルーブの深さは鋼板厚さの3~5%であってもよい。
熱衝撃部は、前記熱衝撃部が形成されていない鋼板表面と10~120のビッカース硬さ(Hv)差を有することができる。
グルーブの下部に形成された凝固合金層を含み、前記凝固合金層は厚さが0.1μm~3μmであってもよい。
グルーブの上部に形成された絶縁被膜層を含むことができる。
グルーブおよび熱衝撃部の長さ方向と圧延方向は75~88°の角度を成すことができる。
グルーブまたは熱衝撃部は、前記鋼板の圧延垂直方向に沿って2個~10個断続的に形成できる。
【0007】
本発明の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法は、方向性電磁鋼板を準備する段階、方向性電磁鋼板の一面または両面に、圧延方向と交差する方向にレーザを照射して、線状のグルーブを形成する段階、および方向性電磁鋼板の一面または両面に、圧延方向と交差する方向にレーザを照射して、線状の熱衝撃部を形成する段階を含む。
グルーブの長さ方向および熱衝撃部の長さ方向間の角度は1~5゜である。
グルーブを形成する段階および熱衝撃部を形成する段階を複数回行って、前記グルーブおよび前記熱衝撃部を圧延方向に沿って複数形成し、グルーブ間の間隔D1に対する前記熱衝撃部間の間隔D2の比率(D2/D1)は1.7~2.3になるように形成することができる。
グルーブを形成する段階で、前記レーザのエネルギー密度は0.5~2J/mm2であり、前記熱衝撃部を形成する段階で、前記レーザのエネルギー密度は0.02~0.2J/mm2であってもよい。
グルーブを形成する段階で、前記レーザの鋼板圧延垂直方向のビーム長さが50~750μmであり、前記レーザの鋼板圧延方向のビーム幅が10~30μmであってもよい。
熱衝撃部を形成する段階で、レーザの鋼板圧延垂直方向のビーム長さが1,000~15,000μmであり、レーザの鋼板圧延方向のビーム幅が80~300μmであってもよい。
鋼板の表面に絶縁被膜層を形成する段階をさらに含むことができる。
グルーブを形成する段階以後、鋼板の表面に絶縁被膜層を形成する段階を行うことができる。
鋼板の表面に絶縁被膜層を形成する段階以後、熱衝撃部を形成する段階を行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、永久磁区微細化法および一時磁区微細化法を組み合わせて、鉄損を改善すると同時に熱衝撃量を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による方向性電磁鋼板の圧延面(ND面)の模式図である。
【
図2】本発明による方向性電磁鋼板の圧延面(ND面)の模式図である。
【
図3】本発明による方向性電磁鋼板の断面(TD面)の模式図である。
【
図4】本発明のまた他の方向性電磁鋼板の断面(TD面)の模式図である。
【
図6】本発明のレーザビームの形状を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
第1、第2、および第3などの用語は多様な部分、成分、領域、層および/またはセクションを説明するために使用されるが、これらに限定されない。これら用語はある部分、成分、領域、層またはセクションを他の部分、成分、領域、層またはセクションと区別するためにのみ使用される。したがって、以下で叙述する第1部分、成分、領域、層またはセクションは本発明の範囲を逸脱しない範囲内で第2部分、成分、領域、層またはセクションと言及できる。
ここで使用される専門用語は単に特定実施形態を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。ここで使用される単数形態は文句がこれと明確に反対の意味を示さない限り複数形態も含む。明細書で使用される“含む”の意味は特定特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分の存在や付加を除外させるのではない。
ある部分が他の部分“の上に”または“上に”あると言及する場合、これは直ぐ他の部分の上にまたは上にあり得るか、その間に他の部分が伴われることがある。対照的に、ある部分が他の部分“の真上に”あると言及する場合、その間に他の部分が介されない。
異なる定義をしていないが、ここに使用される技術用語および科学用語を含む全ての用語は本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が一般に理解する意味と同一の意味を有する。通常使用される辞典に定義された用語は関連技術文献と現在開示された内容に符合する意味を有すると追加解釈され、定義されない限り理想的であるか非常に公式的な意味に解釈されない。
【0011】
以下、本発明の実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
図1および
図2では本発明の一実施形態によって磁区微細化された方向性電磁鋼板10の模式図を示す。
図1および
図2に示すように、本発明の方向性電磁鋼板10は、電磁鋼板の一面11または両面11、12に、圧延方向(RD方向)と交差する方向に形成された線状のグルーブ20、および電磁鋼板の一面11または両面11、12に、圧延方向と交差する方向に形成された線状の熱衝撃部30を含む。
グルーブ20の長さ方向および熱衝撃部30の長さ方向間の角度は1~5゜であってもよい。
【0012】
本発明によれば、グルーブ20および熱衝撃部30を同時に形成して、磁区を最小大きさに微細化させることができ、その結果、鉄損を改善することができる。レーザでグルーブ20を形成時、鉄粉が発生する程度の強いエネルギーが集束されるため、付近の温度は非常に高く上昇するようになる。この付近に熱衝撃部30形成のためのレーザを照射するようになると、グルーブ20周辺部は熱を受けるようになり、冷却時に熱収縮が起こるようになる。熱収縮によって鋼板10に引張応力が作用するようになる。結果的に、このような張力は磁区の大きさを減少させるようになる。また、グルーブ20形成によって発生した自由面は閉曲線を作るために静磁エネルギー的表面電荷を生成するようになり、異なる機作による二つの効果が同時に形成され、二つの効果のシナジーで鉄損が追加的に減少するようになる。
特に、グルーブ20を形成して、熱衝撃部30の多量形成による熱衝撃を減少させることができ、熱衝撃部30を形成して、絶縁被膜層50の損傷を防止して耐食特性を極大化することができる。
特に、グルーブ20を単独で形成する時、適正グレインサイズと内部磁区形成形状のためグルーブ20周辺に鉄損に非効率的な領域が存在するようになるが、本発明の一実施形態では熱衝撃部30をまた形成することによって、このような鉄損減少を補完する。
【0013】
図2に示すように、グルーブ20の長さ方向および熱衝撃部30の長さ方向間の角度(θ)が存在し、その角度範囲は1~5゜である。
グルーブ20および熱衝撃部30は交差するか、交差しなくてもよい。グルーブ20および熱衝撃部30が交差する場合、交差地点での角度が1~5゜である。交差しない場合、グルーブ20を圧延方向RDに平行移動させた仮想の線21と熱衝撃部30が交差する地点での角度が1~5゜であってもよい。
グルーブ20の長さ方向および熱衝撃部30の長さ方向間の角度(θ)が過度に小さい場合、即ち、平行に近い場合、鋼板の集合組織の角度分布が±5゜内で分布しているため、全体範囲を全てカバーすることができなくて、鉄損が劣位になることがある。グルーブ20の長さ方向および熱衝撃部30の長さ方向間の角度(θ)が過度に大きい場合、鋼板の集合組織の角度分布を超過してむしろレーザ線周辺に鉄損に良くない磁区ができて、鉄損が劣位になることがある。さらに具体的に、グルーブ20の長さ方向および熱衝撃部30の長さ方向間の角度は1~3゜であってもよい。
【0014】
図3では本発明の方向性電磁鋼板の断面(TD面)の模式図を示す。
図3では、グルーブ20間の間隔をD1と表し、熱衝撃部30間の間隔をD2と表した。
図3のように、複数のグルーブ20および複数の熱衝撃部30が形成された場合、任意のグルーブ20およびその任意のグルーブ20と最も近いグルーブ20をグルーブ間の間隔D1と定義する。また、任意の熱衝撃部30と最も近い熱衝撃部30を熱衝撃部間の間隔D2と定義する。
また、本発明でグルーブ20および熱衝撃部30に圧延方向(RD方向)に厚さが存在するので、グルーブ20中心線と熱衝撃部30の中心線を基準にして間隔を定義する。また、複数のグルーブ20および複数の熱衝撃部30が形成された場合、それぞれの間隔D1、D2の平均値、即ち、間隔D1、D2の総合計を全体個数で割った値が前述の範囲を満足することができる。
グルーブ20間の間隔D1に対する熱衝撃部30間の間隔D2の比率(D2/D1)は1.7~2.3であってもよい。
【0015】
図3および
図4ではD2/D1が約1程度である例を記載したが、これはD1、D2の定義を説明するためのものであり、その比率が1.7~2.3であるものであってもよい。単位面積内に形成されるスパイクドメインの密度を極大化して鉄損改善効果を極大化することができる。D2/D1が過度に小さければ、スパイク磁区形成による磁区移動容易性にもかかわらず、鉄損改善効果を確保することができない問題が発生することがある。D2/D1が過度に大きければ、意図した鉄損の追加減少効果よりはむしろ良くない磁区(磁区移動を円滑にすることができるスパイク磁区が形成されなくて)を作って鉄損減少を阻害する要素になることがある。さらに具体的に、グルーブ20間の間隔D1に対する熱衝撃部30間の間隔D2の比率(D2/D1)は1.7~1.9または2.1~2.3であってもよい。その比率(D2/D1)が2.0である場合、完全に間隔比率が一致して、熱衝撃部30の最大点がグルーブ20の最低点と一致するようになる。グルーブ20形成によってベースコーティングなどの形成が不足なグルーブ20の最低点に過度に強い熱衝撃が加えられてその部位の亀裂または劣化が発生することがある。したがって、D2/D1比率が整数倍にならないようにレーザを加えることができる。
【0016】
さらに具体的に、グルーブ20間の間隔D1は2.0~3.0mmであり、熱衝撃部30間の間隔D2は4.0~6.0mmであってもよい。さらに具体的に、グルーブ20間の間隔D1は2.2~2.7mmであり、熱衝撃部30間の間隔D2は4.2~5.7mmであってもよい。
間隔D1、D2が過度に大きい場合、意図した鉄損の追加減少効果よりは磁区移動を円滑にすることができるスパイク磁区が形成されず鉄損減少を阻害する要素になることがある。間隔D1、D2が過度に小さい場合、スパイク磁区形成による磁区移動容易性にもかかわらず、レーザ照射による熱影響部が過度に大きくて鉄損改善効果を確保することができない問題が発生することがある。
グルーブ間の間隔D1および熱衝撃部間の間隔D2は、全体電磁鋼板内でその間隔が一定であってもよい。具体的に、全体電磁鋼板内の全てのグルーブ間の間隔D1および熱衝撃部間の間隔D2が平均グルーブ間の間隔D1および平均熱衝撃部間の間隔D2の10%以内に該当し得る。さらに具体的に、1%以内に該当し得る。
【0017】
図3ではグルーブ20および熱衝撃部30が鋼板の一面11に形成されたものを示したが、これに制限されるわけではない。例えば、
図4に示すように、グルーブ20は鋼板の一面11に形成され、熱衝撃部30は鋼板の他面12に形成されることも可能である。熱衝撃部30を他面12に形成することを除いては本発明で説明したことと同一なので、重複する説明を省略する。
図3におよび
図4に示すように、グルーブ20は鋼板の表面一部がレーザ照射によって除去された部分を意味する。
図3および
図4ではグルーブ20の形状が楔形として表現されているが、これは一例に過ぎず、四角形、梯形型、U字形、半円形、W系など多様な形態に形成できる。
図5では本発明のグルーブ20の模式図を示す。グルーブ20の深さ(H
G)は鋼板厚さの3~5%であってもよい。グルーブの深さ(H
G)が過度に浅ければ、適切な鉄損改善効果を得にくい。グルーブの深さ(H
G)が過度に深ければ、強いレーザ照射によって鋼板10の組織特性を大きく変化させるか、多量のヒルアップおよびスパッタを形成して磁性を劣化させることがある。したがって、前述の範囲にグルーブ20の深さを制御することができる。
【0018】
図5に示すように、グルーブ20の下部に形成された凝固合金層40を含み、凝固合金層40は厚さが0.1μm~3μmであってもよい。凝固合金層40の厚さを適切に制御することによって、2次再結晶形成には影響を与えず最終絶縁コーティング後、溝部にスパイクドメイン(spike domain)のみを形成するようにする。凝固合金層40の厚さが過度に厚ければ、1次再結晶時、再結晶に影響を与えるため、2次再結晶焼鈍後2次再結晶のゴス集積度が劣位になるので2次再結晶鋼板にレーザ照射を実施しても鉄損改善効果特性を確保することができないこともある。凝固合金層は平均粒径が1~10μmである再結晶を含み、他の鋼板部分と区分される。
図5に示すように、グルーブ20の上部には絶縁被膜層50が形成できる。
図1および
図2ではグルーブ20および熱衝撃部30の長さ方向と圧延方向(RD方向)が直角を形成するものと示されているが、これに制限されるわけではない。例えば、グルーブ20および熱衝撃部30の長さ方向と圧延方向は75~88°の角度を成すことができる。前述の角度を形成する時、方向性電磁鋼板の鉄損を改善することに寄与できる。
【0019】
図1および
図2ではグルーブ20および熱衝撃部30が圧延垂直方向(TD方向)に沿って連続的に形成されたものとして示しているが、これに制限されるわけではない。例えば、グルーブ20または熱衝撃部30は鋼板の圧延垂直方向(TD方向)に沿って2個~10個断続的に形成できる。このように断続的に形成する時、方向性電磁鋼板の鉄損を改善するのに寄与できる。
熱衝撃部30は、グルーブ20とは異なり、外観上には他の鋼板表面と区別できない。熱衝撃部30は塩酸濃度5%以上で10分以上浸漬時、溝形態にエッチングされる部分であって、他の鋼板表面部分と区別が可能である。または、熱衝撃部30はグルーブ20や熱衝撃部30が形成されていない鋼板表面と10~120のビッカース硬さ(Hv)差を有する点で区別が可能である。この時、硬度測定方法はナノインデンターによる微小硬さで熱衝撃部と熱衝撃を受けない部位の硬さを測定することができる。即ち、ナノビッカース硬さ(Hv)を意味する。
【0020】
本発明の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法は、方向性電磁鋼板10を準備する段階、方向性電磁鋼板10の一面または両面に、圧延方向(RD方向)と交差する方向にレーザを照射して、グルーブ20を形成する段階、および方向性電磁鋼板10の一面または両面に、圧延方向(RD方向)と交差する方向にレーザを照射して、熱衝撃部30を形成する段階を含む。
まず、方向性電磁鋼板10を準備する。本発明の一実施形態では磁区微細化方法および形成されるグルーブ20および熱衝撃部30の形状にその特徴があるのであって、磁区微細化の対象になる方向性電磁鋼板は制限なく使用することができる。特に、方向性電磁鋼板の合金組成とは関係なく本発明の効果が発現される。したがって、方向性電磁鋼板の合金組成に関する具体的な説明は省略する。
本発明の一実施形態で、方向性電磁鋼板はスラブから熱間圧延および冷間圧延を通じて所定の厚さに圧延された方向性電磁鋼板を使用することができる。
その次に、方向性電磁鋼板の一面11に、圧延方向(RD方向)と交差する方向にレーザを照射して、グルーブ20を形成する。
この時、レーザのエネルギー密度Edは0.5~2J/mm2であってもよい。エネルギー密度が過度に小さい場合、適切な深さのグルーブ20が形成されず、鉄損改善効果を得にくい。逆に、エネルギー密度が過度に大きい場合にも、過度に厚い深さのグルーブ20が形成されて、鉄損改善効果を得にくい。
【0021】
図6ではレーザビームの形状に対する模式図を示した。グルーブを形成する段階で、レーザの鋼板圧延垂直方向(TD方向)のビーム長さLが50~750μmであってもよい。圧延垂直方向(TD方向)のビーム長さLが過度に短ければ、レーザが照射される時間が過度に短くて、適切なグルーブを形成することができず、鉄損改善効果を得にくい。逆に、圧延垂直方向(TD方向)のビーム長さLが過度に長ければ、レーザが照射される時間が過度に長くて、過度に厚い深さのグルーブ20が形成されて、鉄損改善効果を得にくい。
レーザの鋼板圧延方向(RD方向)のビーム幅Wは10~30μmであってもよい。ビーム幅Wが過度に短いか長ければ、グルーブ20の幅が短いか長くなり、適切な磁区微細化効果を得ることができなくなることがある。
図6ではビーム形状を楕円形に示したが、円形、あるいは長方形など形状の制限を受けない。
レーザとしては1kW~100kW出力を有するレーザを使用することができ、ガウシアン モード(Gaussian Mode)、シングル モード(Single Mode)、ファンダメンタル ガウシアン モード(Fundamental Gaussian Mode)のレーザを使用することができる。TEMoo形態ビームであり、M2値は1.0~1.2範囲値を有することができる。
その次に、方向性電磁鋼板10の一面または両面に、圧延方向(RD方向)と交差する方向にレーザを照射して、熱衝撃部30を形成する。
【0022】
前述の、グルーブ20を形成する段階および熱衝撃部30を形成する段階は時間先、後の制限なく、行うことができる。具体的に、グルーブ20を形成する段階以後、熱衝撃部30を形成することができる。また、熱衝撃部30を形成する段階以後、グルーブ20を形成することができる。また、グルーブ20および熱衝撃部30を同時に形成することも可能である。
熱衝撃部30を形成する段階で、レーザのエネルギー密度Edは0.02~0.2J/mm2であってもよい。エネルギー密度が過度に小さい場合、適切な熱衝撃部30が形成されず、鉄損改善効果を得にくい。逆に、エネルギー密度が過度に大きい場合、鋼板表面が損傷して、鉄損改善効果を得にくい。
熱衝撃部30を形成する段階で、レーザの鋼板圧延垂直方向(TD方向)のビーム長さLが1,000~15,000μmであり、レーザの鋼板圧延方向(RD方向)のビーム幅Wが80~300μmであってもよい。
グルーブ20および熱衝撃部30の形状については前述のものと同一なので、重複する説明は省略する。
【0023】
本発明の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法は、絶縁被膜層を形成する段階をさらに含むことができる。絶縁被膜層を形成する段階は、方向性電磁鋼板を準備する段階以後、グルーブを形成する段階以後、または熱衝撃部を形成する段階以後に含まれてもよい。さらに具体的に、グルーブを形成する段階以後に含まれてもよい。グルーブを形成した以後、絶縁被膜層を形成する時、絶縁コーティングを1回のみ行ってもよいという点で長所がある。絶縁被膜層を形成した以後、熱衝撃部を形成する段階を行うことができる。熱衝撃部の場合、絶縁被膜層に損傷を加えないので、絶縁コーティング層の損傷を最少化することによって、耐食特性を極大化することができる。
絶縁被膜層を形成する方法は特別に制限なく使用することができ、一例として、リン酸塩を含む絶縁コーティング液を塗布する方式で絶縁被膜層を形成することができる。このような絶縁コーティング液はコロイダルシリカと金属リン酸塩を含むコーティング液を使用することが好ましい。この時、金属リン酸塩はAlリン酸塩、Mgリン酸塩、またはこれらの組み合わせであってもよく、絶縁コーティング液の重量に対するAl、Mg、またはこれらの組み合わせの含量は15重量%以上であってもよい。
【0024】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。しかし、このような実施例は単に本発明を例示するためのものであり、本発明がここに限定されるのではない。
【実施例】
【0025】
実験例1:グルーブおよび熱衝撃部の角度
冷間圧延した厚さ0.30mmの方向性電磁鋼板を準備した。この電磁鋼板に1.0kWのガウシアン モード(Gaussian mode)の連続波レーザを照射して、RD方向と86°角度のグルーブを形成した。レーザビームの幅Wは20μmであり、レーザビームの長さLは600μmである。レーザのエネルギー密度は1.5J/mm2、グルーブの深さは12μmであった。
グルーブ間の間隔D1を下記表1のように調節して鋼板の一面にグルーブを形成し、絶縁被膜を形成した。
その後、電磁鋼板に1.0kWのガウシアン モード(Gaussian mode)の連続波レーザを照射して、熱衝撃部を形成した。レーザビームの幅Wは200μmであり、レーザビームの長さLは10,000μmである。レーザのエネルギー密度は0.16J/mm2であった。
熱衝撃部間の間隔D2を下記表1のように調節して熱衝撃部を形成し、この時、グルーブと成す角度(θ)を表1に整理した。また、熱衝撃部の照射面を一面/他面と表1に整理した。
下記表1に鉄損改善率および磁束密度劣化率を表わした。鉄損改善率はレーザを照射する前の電磁鋼板の鉄損W1とレーザを照射して熱衝撃部を形成した後の鉄損W2を測定して(W1-W2)/W1で計算した。鉄損は、磁束密度の値が1.7テスラ(Tesla)である時、周波数が50Hzである場合の鉄損値(W17/50)として測定した。
【0026】
【0027】
表1に示すように、グルーブおよび熱衝撃部間角度を適切に制御した場合、鉄損改善率が優れるのを確認することができる。反面、グルーブおよび熱衝撃部が平行に形成されるか、角度が過度に大きい場合、鉄損改善率が劣位になるのを確認することができる。
また、実施例のうちのD2/D1が1.8、2.2である場合が2.0である実施例に比べて鉄損改善率が優れるのを確認することができる。
また、実施例のうち、熱衝撃部を他面に形成した場合、熱衝撃部を一面に形成した場合に比べて鉄損改善率が優れるのを確認することができる。
本発明は実施形態に限定されるのではなく、互いに異なる多様な形態に製造でき、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更しなくて他の具体的な形態に実施できるということを理解することができるはずである。したがって、以上で述べられた実施形態は全ての面で例示的なものであり限定的ではないと理解しなければならない。
【符号の説明】
【0028】
10:方向性電磁鋼板
11:鋼板の一面
12:鋼板の他面
20:グルーブ
21:仮想グルーブ
30:熱衝撃部
40:凝固合金層
50:絶縁被膜層
【手続補正書】
【提出日】2022-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁鋼板の一面または両面に、圧延方向と交差する方向に形成された線状のグルーブ、および 前記電磁鋼板の一面または両面に、圧延方向と交差する方向に形成された線状の熱衝撃部を含み、
前記グルーブの長さ方向および前記熱衝撃部の長さ方向間の角度は1~5゜であることを特徴とする方向性電磁鋼板。
【請求項2】
前記グルーブおよび前記熱衝撃部は圧延方向に沿って複数形成され、
前記グルーブ間の間隔D1に対する前記熱衝撃部間の間隔D2の比率(D2/D1)は1.7~2.3であることを特徴とする請求項1に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項3】
前記グルーブ間の間隔D1に対する前記熱衝撃部間の間隔D2の比率(D2/D1)は1.7~1.9または2.1~2.3であることを特徴とする請求項2に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項4】
前記グルーブ間の間隔D1が2.0~3.0mmであり、前記熱衝撃部間の間隔D2は4.0~6.0mmであることを特徴とする請求項1
乃至請求項3のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項5】
前記グルーブおよび前記熱衝撃部は鋼板の一面に形成されることを特徴とする請求項1
乃至請求項4のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項6】
前記グルーブは鋼板の一面に形成され、前記熱衝撃部は鋼板の他面に形成されることを特徴とする請求項1
乃至請求項5のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項7】
前記グルーブの深さは鋼板厚さの3~5%であることを特徴とする請求項1
乃至請求項6のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項8】
前記熱衝撃部は、前記熱衝撃部が形成されていない鋼板表面と10~120のビッカース硬さ(Hv)差を有することを特徴とする請求項1
乃至請求項7のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項9】
前記グルーブの下部に形成された凝固合金層を含み、前記凝固合金層は厚さが0.1μm~3μmであることを特徴とする請求項1
乃至請求項8のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項10】
前記グルーブの上部に形成された絶縁被膜層を含むことを特徴とする請求項1
乃至請求項10のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項11】
前記グルーブおよび熱衝撃部の長さ方向と前記圧延方向は75~88°の角度を成すことを特徴とする請求項1
乃至請求項10のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項12】
前記グルーブまたは前記熱衝撃部は、前記鋼板の圧延垂直方向に沿って2個~10個断続的に形成されたことを特徴とする請求項1
乃至請求項11のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板。
【請求項13】
方向性電磁鋼板を準備する段階、
前記方向性電磁鋼板の一面または両面に、圧延方向と交差する方向にレーザを照射して、線状のグルーブを形成する段階、および
前記方向性電磁鋼板の一面または両面に、圧延方向と交差する方向にレーザを照射して、線状の熱衝撃部を形成する段階を含み、
前記グルーブの長さ方向および前記熱衝撃部の長さ方向間の角度は1~5゜であることを特徴とする方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
【請求項14】
前記グルーブを形成する段階および前記熱衝撃部を形成する段階を複数回行って、前記グルーブおよび前記熱衝撃部を圧延方向に沿って複数形成し、
前記グルーブ間の間隔D1に対する前記熱衝撃部間の間隔D2の比率(D2/D1)は1.7~2.3になるように形成することを特徴とする請求項13に記載の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
【請求項15】
前記グルーブを形成する段階で、前記レーザのエネルギー密度は0.5~2J/mm
2であり、前記熱衝撃部を形成する段階で、前記レーザのエネルギー密度は0.02~0.2J/mm
2であることを特徴とする請求項13
または請求項14に記載の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
【請求項16】
前記グルーブを形成する段階で、前記レーザの鋼板圧延垂直方向のビーム長さが50~750μmであり、前記レーザの鋼板圧延方向のビーム幅が10~30μmであることを特徴とする請求項13
乃至請求項15のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
【請求項17】
前記熱衝撃部を形成する段階で、前記レーザの鋼板圧延垂直方向のビーム長さが1,000~15,000μmであり、前記レーザの鋼板圧延方向のビーム幅が80~300μmであることを特徴とする請求項13
乃至請求項16のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
【請求項18】
前記鋼板の表面に絶縁被膜層を形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項13
乃至請求項17のいずれか一項に記載の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
【請求項19】
前記グルーブを形成する段階以後、前記鋼板の表面に絶縁被膜層を形成する段階を行うことを特徴とする請求項18に記載の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
【請求項20】
前記鋼板の表面に絶縁被膜層を形成する段階以後、前記熱衝撃部を形成する段階を行うことを特徴とする、請求項19に記載の方向性電磁鋼板の磁区微細化方法。
【国際調査報告】