(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】溶融物の処理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C21C 7/00 20060101AFI20230220BHJP
C21C 7/072 20060101ALI20230220BHJP
F27D 3/16 20060101ALI20230220BHJP
B22D 1/00 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
C21C7/00 P
C21C7/072 P
F27D3/16 Z
B22D1/00 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538800
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 KR2020018846
(87)【国際公開番号】W WO2021133018
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】10-2019-0175095
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592000691
【氏名又は名称】ポスコホールディングス インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソン ジュル
【テーマコード(参考)】
4K013
4K055
【Fターム(参考)】
4K013CA02
4K013CF13
4K055AA04
4K055MA03
(57)【要約】
【課題】噴射部に溶融物が浸透することを長時間にわたって有効に防ぐことのできる溶融物の処理装置及び方法を提供する。
【解決手段】
本発明の溶融物の処理装置は、溶融物が収容できるように内部に空間を有する容器部と、容器部の内部の溶融物内にガスを噴射できるように容器部の下部に取り付けられる噴射部と、容器部に取り付けられ、内部にガスが充填可能な貯留部と、噴射部と貯留部とをつなぎ合わせるように容器部に配設され、ガスの供給圧力を調節する圧力調節器及び供給圧力の調節されたガスの供給流量を調節する流量調節器を有する供給部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融物が収容できるように内部に空間を有する容器部と、
前記容器部の内部の溶融物内にガスを噴射できるように前記容器部の下部に取り付けられる噴射部と、
前記容器部に取り付けられ、内部にガスが充填可能な貯留部と、
前記噴射部と前記貯留部とをつなぎ合わせるように前記容器部に配設され、ガスの供給圧力を調節する圧力調節器及び供給圧力の調節されたガスの供給流量を調節する流量調節器を有する供給部と、
を備えることを特徴とする溶融物の処理装置。
【請求項2】
前記供給部は、
前記容器部の外面に沿って延び、前記噴射部と前記貯留部とをつなぎ合わせる配管と、
前記配管に取り付けられる安全弁と、
を備え、
前記安全弁と前記噴射部との間に位置するように前記配管に前記圧力調節器が取り付けられ、前記圧力調節器と前記噴射部との間に位置するように前記配管に前記流量調節器が取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の溶融物の処理装置。
【請求項3】
前記供給部は、
前記安全弁と前記圧力調節器との間に位置するように前記配管に取り付けられる第1の遮断弁と、
前記第1の遮断弁と前記安全弁との間に位置するように前記配管に取り付けられる排出弁と、
前記圧力調節器と前記流量調節器との間に位置するように前記配管に取り付けられる第2の遮断弁と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の溶融物の処理装置。
【請求項4】
前記貯留部は複数配備され、
前記配管は、一部が複数本の枝管に分岐され、
それぞれの枝管がそれぞれの貯留部に連結されることを特徴とする請求項2に記載の溶融物の処理装置。
【請求項5】
前記貯留部は、
前記配管と連結され、内部にガスが充填され、取り替え可能な圧力容器と、
前記圧力容器が収容され、前記容器部の外面に取り付けられ、一部が開閉可能な保護容器と、
前記保護容器の上面を覆うように形成される飛散防止板と、
前記保護容器の内面から突出し、前記圧力容器と接触可能な固定板と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の溶融物の処理装置。
【請求項6】
前記圧力容器は、上部が上側に向かって凸状となるように形成され、
前記固定板は複数枚配備され、少なくとも一枚の固定板が前記圧力容器の上部の凸状の部分に接触して前記圧力容器の上下方向の動きを拘束できることを特徴とする請求項5に記載の溶融物の処理装置。
【請求項7】
前記固定板の残りは、前記圧力容器の側面に接触して前記圧力容器の水平方向の動きを拘束できることを特徴とする請求項6に記載の溶融物の処理装置。
【請求項8】
前記保護容器の内面には、遮熱部材及び冷却流路のうちの少なくともどちらか一方が配備されることを特徴とする請求項5に記載の溶融物の処理装置。
【請求項9】
前記容器部を間に挟んで前記貯留部と水平方向に対向する位置において前記容器部の外面に取り付けられる重さ調整部を備えることを特徴とする請求項1に記載の溶融物の処理装置。
【請求項10】
前記重さ調整部は、重心を調節できるように少なくとも一部が前記容器部の外面に沿って水平方向に移動可能なように配設されることを特徴とする請求項9に記載の溶融物の処理装置。
【請求項11】
ガスの充填された貯留部ととともに移動可能な容器部を用意する過程と、
溶融物の収容された前記容器部を第1の位置から第2の位置へと搬送する過程と、
前記容器部の内部の溶融物内にガスを噴射できるように前記容器部の下部に取り付けられた噴射部にガスを供給する過程と、
前記噴射部に供給されるガスの供給圧力を調節する過程と、
前記供給圧力の調節されたガスの供給流量を調節する過程と、
を含むことを特徴とする溶融物の処理方法。
【請求項12】
前記圧力を調節する過程は、
前記第1の位置及び第2の位置のうちの少なくとも一方の位置のユーティリティラインの内部圧力よりも低く、かつ、溶融物の圧力よりも高い基準圧力まで前記供給圧力を減圧させる過程を含むことを特徴とする請求項11に記載の溶融物の処理方法。
【請求項13】
前記圧力を調節する過程は、
前記貯留部の充填圧力よりも低く、かつ、溶融物の圧力よりも高い基準圧力まで前記供給圧力を減圧させる過程を含むことを特徴とする請求項11に記載の溶融物の処理方法。
【請求項14】
前記基準圧力は、前記容器部の内部の溶融物の高さに応じて定められることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の溶融物の処理方法。
【請求項15】
前記流量を調節する過程は、
前記ガスが前記供給圧力を保持しつつ、予め設定された基準流量に追随するように前記供給流量を増減させる過程を含むことを特徴とする請求項12または請求項13に記載の溶融物の処理方法。
【請求項16】
前記容器部から前記貯留部へと温度が伝わることを防ぐ過程と、
前記溶融物に起因する飛散物が前記貯留部を汚染させることを防ぐ過程と、
前記貯留部の内部圧力が急激に上がると、ガスが流れる配管の一部を開いて前記供給圧力の変動を防ぐ過程と、 のうちのいずれか一つの過程を含むことを特徴とする請求項11に記載の溶融物の処理方法。
【請求項17】
前記容器部を中心として前記貯留部の反対側に重さを加えて前記容器部の重心が偏ることを防ぐ過程を含むことを特徴とする請求項11に記載の溶融物の処理方法。
【請求項18】
前記ガスの消耗量に応じて前記重さの作用点を前記貯留部に向かって移動させる過程を含むことを特徴とする請求項17に記載の溶融物の処理方法。
【請求項19】
前記溶融物は、溶鋼及び鉱滓のうちの少なくともどちらか一方を含むことを特徴とする請求項11に記載の溶融物の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融物の処理装置及び方法に関し、より詳しくは、噴射部に溶融物が浸透することを長時間にわたって有効に防ぐことのできる溶融物の処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製鋼工程及び連続鋳造工程において、取鍋は、溶鋼の収容、精錬及び運搬に用いられる。取鍋の下部にはパージングプラグ(Purging Plug)が配備され、パージングプラグは、アルゴンガスユーティリティラインと連結される。製鋼工程の最中にユーティリティラインからパージングプラグへとアルゴンガスを供給し、これにより、溶鋼のバブリング工程を行うことができる。このような溶鋼のバブリング工程において、溶鋼の攪拌、成分の調整、介在物の浮上及び温度の調節などを行うことが可能である。
【0003】
一方、溶鋼のバブリング工程が完了すると、パージングプラグとアルゴンガスユーティリティラインとを分離し、後続の工程に取鍋を運搬する。このとき、取鍋内の溶鋼がパージングプラグに浸透して凝固される。したがって、従来には、取鍋運搬用の受鋼台車に着脱式構造のガス配管を引き回し、取鍋を運搬する最中にもガス配管を介してパージングプラグにガスを供給していた。
【0004】
しかしながら、このような従来の構造においては、受鋼台車の移動中にもアルゴンガスユーティリティラインからバブリング工程時の圧力と同じ圧力のアルゴンガスを供給されるが故に、パージングプラグに過剰にアルゴンガスが供給されてしまうという不都合がある。なお、受鋼台車から取鍋を持ち上げた後には、パージングプラグにアルゴンガスを供給し難いという不都合がある。
【0005】
本発明の背景となる技術は、下記の特許文献に掲載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2013-0101786号公報
【特許文献2】韓国公開特許第10-2013-0107713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、噴射部に溶融物が浸透することを長時間にわたって有効に防ぐことのできる溶融物の処理装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による溶融物の処理装置は、溶融物が収容できるように内部に空間を有する容器部と、前記容器部の内部の溶融物内にガスを噴射できるように前記容器部の下部に取り付けられる噴射部と、前記容器部に取り付けられ、内部にガスが充填可能な貯留部と、前記噴射部と前記貯留部とをつなぎ合わせるように前記容器部に配設され、ガスの供給圧力を調節する圧力調節器及び供給圧力の調節されたガスの供給流量を調節する流量調節器を有する供給部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
前記供給部は、前記容器部の外面に沿って延び、前記噴射部と前記貯留部とをつなぎ合わせる配管と、前記配管に取り付けられる安全弁と、を備え、前記安全弁と前記噴射部との間に位置するように前記配管に前記圧力調節器が取り付けられ、前記圧力調節器と前記噴射部との間に位置するように前記配管に前記流量調節器が取り付けられることを特徴とする。
【0010】
前記供給部は、前記安全弁と前記圧力調節器との間に位置するように前記配管に取り付けられる第1の遮断弁と、前記第1の遮断弁と前記安全弁との間に位置するように前記配管に取り付けられる排出弁と、前記圧力調節器と前記流量調節器との間に位置するように前記配管に取り付けられる第2の遮断弁と、を備えることを特徴とする。
【0011】
前記貯留部は複数配備され、前記配管は、一部が複数本の枝管に分岐され、それぞれの枝管がそれぞれの貯留部に連結されることを特徴とする。
【0012】
前記貯留部は、前記配管と連結され、内部にガスが充填され、取り替え可能な圧力容器と、前記圧力容器が収容され、前記容器部の外面に取り付けられ、一部が開閉可能な保護容器と、前記保護容器の上面を覆うように形成される飛散防止板と、前記保護容器の内面から突出し、前記圧力容器と接触可能な固定板と、を備えることを特徴とする。
【0013】
前記圧力容器は、上部が上側に向かって凸状となるように形成され、前記固定板は複数枚配備され、少なくとも一枚の固定板が前記圧力容器の上部の凸状の部分に接触して前記圧力容器の上下方向の動きを拘束できることを特徴とする。
【0014】
前記固定板の残りは、前記圧力容器の側面に接触して前記圧力容器の水平方向の動きを拘束できることを特徴とする。
【0015】
前記保護容器の内面には、遮熱部材及び冷却流路のうちの少なくともどちらか一方が配備されることを特徴とする。
【0016】
前記溶融物の処理装置は、前記容器部を間に挟んで前記貯留部と水平方向に対向する位置において前記容器部の外面に取り付けられる重さ調整部を備えることを特徴とする。
【0017】
前記重さ調整部は、重心を調節できるように少なくとも一部が前記容器部の外面に沿って水平方向に移動可能なように配設されることを特徴とする。
【0018】
本発明による溶融物の処理方法は、ガスの充填された貯留部ととともに移動可能な容器部を用意する過程と、溶融物の収容された前記容器部を第1の位置から第2の位置へと搬送する過程と、前記容器部の内部の溶融物内にガスを噴射できるように前記容器部の下部に取り付けられた噴射部にガスを供給する過程と、前記噴射部に供給されるガスの供給圧力を調節する過程と、前記供給圧力の調節されたガスの供給流量を調節する過程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
前記圧力を調節する過程は、前記第1の位置及び第2の位置のうちの少なくとも一方の位置のユーティリティラインの内部圧力よりも低く、かつ、溶融物の圧力よりも高い基準圧力まで前記供給圧力を減圧させる過程を含むことを特徴とする。
【0020】
前記圧力を調節する過程は、前記貯留部の充填圧力よりも低く、かつ、溶融物の圧力よりも高い基準圧力まで前記供給圧力を減圧させる過程を含むことを特徴とする。
【0021】
前記基準圧力は、前記容器部の内部の溶融物の高さに応じて定められることを特徴とする。
【0022】
前記流量を調節する過程は、前記ガスが前記供給圧力を保持しつつ、予め設定された基準流量に追随するように前記供給流量を増減させる過程を含むことを特徴とする。
【0023】
前記溶融物の処理方法は、前記容器部から前記貯留部へと温度が伝わることを防ぐ過程と、前記溶融物に起因する飛散物が前記貯留部を汚染させることを防ぐ過程と、前記貯留部の内部圧力が急激に上がると、ガスが流れる配管の一部を開いて前記供給圧力の変動を防ぐ過程と、のうちのいずれか一つの過程を含むことを特徴とする。
【0024】
前記溶融物の処理方法は、前記容器部を中心として前記貯留部の反対側に重さを加えて前記容器部の重心が偏ることを防ぐ過程を含むことを特徴とする。
【0025】
前記溶融物の処理方法は、前記ガスの消耗量に応じて前記重さの作用点を前記貯留部に向かって移動させる過程を含むことを特徴とする。
【0026】
前記溶融物は、溶鋼及び鉱滓のうちの少なくともどちらか一方を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ユーティリティラインと分離された貯留部を用いて、定められた圧力と流量にて噴射部にガスを長時間に亘って供給することができる。また、貯留部に予め充填されたガスが消耗されて貯留部の圧力が下がる間に、圧力調節器と流量調節器を用いてガスの供給圧力及び供給流量を所望の基準値に保持することができる。このとき、ガスの供給圧力を先に調節し、圧力の調節されたガスの供給流量を調節することにより、ガスの供給圧力及び供給流量を長時間に亘って安定的に保持することができる。このため、容器部が製鋼工程と連続鋳造工程の全体の工程サイクルを複数回繰り返し行う間に、溶融物に直接的に晒された噴射部に溶融物が浸透することを長時間にわたって有効に防ぐことができる。このため、ガス注入部の使用寿命を伸ばすことができ、これにより、容器部の運用が円滑になることから、製鋼工程と連続鋳造工程の生産性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施形態に係る溶融物の処理装置の概略図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る溶融物の処理装置の平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る溶融物の処理装置の側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る溶融物の処理装置の背面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る供給部の概念図である。
【
図6】本発明の第1の変形例に係る供給部の概念図である。
【
図7】本発明の第1の変形例に係る供給部の概念図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る溶融物の処理装置の正面図である。
【
図9】本発明の第2の変形例に係る重さ調整部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化される。本発明の実施形態は本発明の開示を完全にするためのものである。図面で同じ符号は同じ構成要素を指し示す。
【0030】
本発明の実施形態に係る溶融物の処理装置及び方法は、種々の産業分野における各種の溶融物の処理工程に適用可能である。以下では、製鉄分野の製鋼工程及び連続鋳造工程において溶鋼の収容、精錬及び運搬に用いられる取鍋を基準として、本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施形態に係る溶融物の処理装置を示す概略図であり、
図2の(a)及び(b)は、本発明の実施形態に係る容器部の上部及び下部を示す平面図である。
【0032】
図1及び
図2に基づいて、本発明の実施形態に係る溶融物の処理装置について詳しく説明する。
【0033】
本発明の実施形態に係る溶融物の処理装置は、溶融物Mが収容できるように内部に空間を有する容器部100と、容器部100の内部の溶融物M内にガスを噴射できるように容器部100の下部に取り付けられる噴射部200と、容器部100に取り付けられ、内部にガスが充填可能な貯留部300と、噴射部200と貯留部300とをつなぎ合わせるように容器部100に配設され、ガスの供給圧力を調節する圧力調節器430及び供給圧力の調節されたガスの供給流量を調節する流量調節器440を有する供給部400と、を備える。
【0034】
溶融物Mは、溶鋼及び溶融済みの鉱滓のうちの少なくともどちらか一方を含んでいてもよい。いうまでもなく、溶融物Mの種類は多岐にわたっていてもよい。なお、ガスは、不活性ガスを含んでいてもよい。不活性ガスは、例えば、アルゴンガスを含んでいてもよい。いうまでもなく、ガスの種類は、多岐にわたっていてもよい。
【0035】
容器部100は、内部に溶融物Mを収容することができる。容器部100は、製鋼工程及び連続鋳造工程において溶鋼の収容、精錬及び運搬に使用可能であり、鉱滓の収容と運搬などに使用可能である。このような容器部100は、容器本体110と、突出部材120と、係止部材130と、受け止め部材140及び排出部材150を備えていてもよい。
【0036】
容器本体110は、例えば、円筒状であってもよい。容器本体110は、内部に空間を有することができ、上部が開かれてもよい。容器本体110の内部に溶融物Mが収容可能である。容器本体110は、底板及び側壁を備えていてもよい。底板は、例えば、円板状であり、水平方向に延びてもよい。このとき、水平方向は、左右方向及び前後方向を網羅してもよい。側壁は、中空の円筒体の形状であってもよく、上下方向に延びてもよい。なお、側壁は、底板の上面の周縁部を縁取って取り付けられてもよい。いうまでもなく、上述した容器本体110の形状及び構造は、多岐にわたっていてもよい。
【0037】
突出部材120は、容器本体110の側壁の外周面から突出してもよく、その外周面の周りに沿って延びてもよい。突出部材120は、複数配備されてもよく、上下方向に並べられてもよい。係止部材130は、一対をなして配備され、左右方向に離れ合い、容器本体110の側壁の上部の両側に取り付けられてもよい。また、係止部材130は、クレーン(図示せず)の主巻フック(図示せず)と結合されてもよい。係止部材130により容器部100が主巻フックに支持されかつ巻き上げられてもよい。一方、クレーンの補巻フック(図示せず)と結合できるように容器本体110の底板の下面に傾動アーム(図示せず)が配備されてもよい。補巻フックにて傾動アームを上に引っ張って容器部100を傾動させることができる。
【0038】
受け止め部材140は、複数配備され、水平方向に離れ合って容器本体110の底板の下面の周縁部に取り付けられてもよい。容器本体110が受鋼台車(図示せず)及び取鍋ターレット(図示せず)に載置されたとき、受け止め部材140によって容器本体110の底板の下側に所定の離隔空間が確保されることが可能になる。排出部材150は、一対の係止部材130の間において容器本体110の側壁の上端部に取り付けられてもよい。排出部材150と傾動アームは、前後方向に離れ合ってもよい。排出部材150は、係止部材130の前方に位置してもよい。排出部材150は、上面に凹状に排出流路が配備されてもよい。排出流路は、前後方向に延びてもよい。容器部100が傾動されれば、排出流路を介して溶融物Mが容器本体110の前方に排出されることが可能になる。すなわち、前方は、溶融物Mを容器部100から排出する方向を意味することがある。
【0039】
図3は、本発明の実施形態に係る溶融物の処理装置を示す側面図であり、
図4は、本発明の実施形態に係る溶融物の処理装置を示す背面図である。なお、
図5は、本発明の実施形態に係る供給部を説明するための概念図である。
【0040】
図3から
図5に基づいて、本発明の実施形態に係る溶融物の処理装置の噴射部、貯留部及び供給部について順番に説明する。
【0041】
図3を参照すると、噴射部200は、容器本体110の内部にガスを噴射できるように容器本体110の下部に取り付けられてもよい。例えば、噴射部200は、上下方向に容器本体110の底板を貫通するように取り付けられてもよい。また、噴射部200は、その上面が容器本体110の内部に晒されてもよい。噴射部200は、多孔質の耐火物材質を含んでいてもよい。例えば、噴射部200をパージングプラグもしくはボトムプラグ(Bottom Plug)と称してもよい。また、噴射部200をノズルもしくは底吹きノズルと称してもよい。噴射部200は、供給部400を介して貯留部300と連結され、貯留部300に充填されたガスを供給されることができる。噴射部200から容器部100の内部の溶融物M内へとガスを噴射することができる。容器部100が溶融物Mの精練に用いられるときには、噴射部200に相対的に多量のガスが供給されることができる。また、容器部100が溶融物Mの収容及び運搬に用いられるときには、噴射部200に相対的に少量のガスが供給されることができる。このとき、噴射部200に供給される多量のガスは、溶融物M中の溶鋼をバブリングさせることができる。さらに、噴射部200に供給される少量のガスは、噴射部200に溶融物Mが浸透することを防ぐ役割を果たし、溶融物Mの上部の表面に裸湯が生じない清浄バブリングに使用可能である。ガスの供給は、貯留部300及び供給部400により行われ、供給部400の作動は、制御部(図示せず)により制御されてもよい。
【0042】
貯留部300は、容器部100に支持されてもよい。貯留部300は、容器部100とともに動いてもよい。貯留部300は、容器部100が製鋼工程から連続鋳造工程へと続く全体の工程サイクルを複数回繰り返して経る間に、噴射部200に持続的に、例えば、絶え間なくガスを供給し続ける役割を果たす。すなわち、貯留部300は、容器部100が転炉出鋼からバブリング、2次精練、連続鋳造及び鉱滓の排除に至るまでの一連の工程を繰り返して経る間に、噴射部200に持続的にガスを供給し続け、噴射部200に溶融物Mが浸透することを防ぐ役割を果たす。このために、貯留部300は、その内部に十分な量のガスを貯留できながらも、貯留されたガスを噴射部200に長時間に亘って安定的に供給できるように形成されてもよい。そして、貯留部300は、その内部に貯留されたガスを溶融物Mの高温及び飛散物から安全に保護できるように形成されてもよい。このような貯留部300は、保護容器310と、圧力容器320と、飛散防止板330及び固定板340を備えていてもよい。
【0043】
図3及び
図4を参照すると、保護容器310は、排出部材150から前後方向に離れてもよい。このとき、保護容器310が排出部材150の後方に離れてもよい。また、保護容器310と排出部材150との間に係止部材130が位置してもよい。保護容器310は、圧力容器320を収容できるように、例えば、内部が空いている円筒状に形成されてもよい。いうまでもなく、圧力容器320の形状に応じて、保護容器310の形状は種々に変更可能である。また、圧力容器320は、例えば、クレーン及びフックなどの周辺設備との干渉が生じない範囲内において、多岐にわたる形状を有していてもよい。保護容器310は、内面の少なくとも一部が圧力容器320から離れられるように圧力容器320よりも大きく形成されてもよい。保護容器310は、容器部100の外面に取り付けられてもよい。
【0044】
すなわち、保護容器310は、容器本体110の側壁及び突出部材120のうちの少なくともどちらか一方に取り付けられてもよい。具体的に、保護容器310は、突出部材120に取り付けられ、容器本体110の側壁から後方へと離れてもよい。保護容器310は、上下方向への突出部材120同士の間において容器本体110の側壁に取り付けられてもよい。保護容器310は、溶融物Mの飛散及び高温から圧力容器320を保護する役割を果たす。
【0045】
保護容器310は、圧力容器320を収納しやすいように一部が開閉されてもよい。このために、保護容器310は、着脱可能な複数の保護胴体を備えていてもよい。すなわち、保護容器310は、第1の保護胴体311及び第2の保護胴体312に分離可能なように形成されてもよい。各保護胴体311、312は、円筒の半分を上下方向に切断した形状であってもよい。これらの保護胴体311、312が組み合わせられることにより、一つの完全な円筒の形状をなすことができる。保護胴体311、312の円筒状により、周りの他の設備と保護胴体311、312との構造的な干渉が極力抑えられたり防止されたりすることが可能になる。
【0046】
保護胴体311、312は、前後方向に並べられてもよく、これらのどちらか一方が容器部100に取り付けられてもよい。具体的に、第2の保護胴体312は突出部材120に取り付けられ、第1の保護胴体311は第2の保護胴体312の左右方向への一方の側に回転可能なように取り付けられてもよい。また、第2の保護胴体312が突出部材120同士の間において容器本体110の側壁に取り付けられ、第1の保護胴体311が第2の保護胴体312の左右方向への一方の側に回転可能なように取り付けられてもよい。いうまでもなく、第1の保護胴体311が突出部材120もしくは容器本体110に取り付けられ、第2の保護胴体312が第1の保護胴体311に回転可能なように取り付けられてもよい。
【0047】
第1の保護胴体311の左右方向への一方の側を中心としてその他方の側を回転させて、保護容器310の内部を開閉してもよい。第1の保護胴体311の左右方向への他方の側には、第1の保護胴体311を第2の保護胴体312に結合できるように所定の締結部材(図示せず)が配備されてもよい。締結部材の構造は多岐にわたっていてもよい。このような構造により、保護容器310の開閉が行われ易くなる。
【0048】
圧力容器320は、供給部400の配管410と連結されてもよく、内部にガスが高圧にて充填されてもよく、取り替え可能であってもよい。ここで、圧力容器320が取り替え可能であるということは、圧力容器320の内部に充填されたガスを所定量だけ消耗すると、ガスを消耗した圧力容器320を内部にガスが高圧にて充填された新たな圧力容器320に取り替えるということを意味する。
【0049】
圧力容器320は、上下方向に長尺状に延び、水平方向に所定の直径を有し、円筒状に形成されてもよい。いうまでもなく、圧力容器320の延長方向及び形状は、多岐にわたっていてもよい。圧力容器320は、保護容器310に収納されて保護されてもよい。圧力容器320は、内部にガスが高圧にて充填されてもよい。ここで、高圧とは、後述するユーティリティラインの圧力よりも高い圧力のことをいうこともある。圧力容器320をガス貯留容器と称することもある。
【0050】
圧力容器320は、製鋼工程設備及び連続鋳造工程設備のうちの少なくともどちらか一方の設備に配備されるユーティリティラインから分離され、独立して使用可能である。すなわち、圧力容器320は、ユーティリティラインとは別途の構成要素であってもよい。圧力容器320は、別途の充填設備(図示せず)を用いて内部にガスを充填することができ、ユーティリティラインの内圧よりも高い圧力にて内部にガスを充填することができる。圧力容器320から供給部400を経て噴射部200に供給されるガスの供給圧力は、ユーティリティラインの圧力よりも低い圧力であってもよい。このとき、ユーティリティラインの圧力とは、ユーティリティラインの内部を流れるガスの供給圧力のことをいうこともある。
【0051】
圧力容器320の容量は、約52リットルであってもよい。いうまでもなく、容器本体110の大きさと、転炉出鋼からバブリング、2次精練、連続鋳造及び鉱滓の排除に至るまでの一連の工程が行われる全体の時間などに応じて、圧力容器320の容量は異なってくる可能性がある。圧力容器320は、ガスの充填圧力がユーティリティラインのガスの供給圧力の6倍~7倍の範囲であってもよく、好ましくは、6.1倍~6.6倍の範囲を有することができる。すなわち、圧力容器320は、ガスの充填圧力が、例えば、110bar~120barの範囲を有することができる。充填圧力とは、圧力容器320にガスを充填するに際して、圧力容器320に供給可能なガスの圧力を意味する。圧力容器320にガスを最大限に充填すると、圧力容器320の内部圧力が充填圧力に等しくなることができる。すなわち、圧力容器320の充填を完了した時点の圧力容器320のガスの圧力を充填圧力と称する。また、圧力容器320の使用中における圧力容器320の内部のガスの圧力を内部圧力と称する。このような圧力容器320の充填圧力の範囲は、製鋼工程設備及び連続鋳造設備に配備されるユーティリティラインのガス供給圧力である約18barの圧力よりもかなり高い圧力であってもよい。このように、圧力容器320のガスの充填圧力が相対的に高めであるので、圧力容器320の内部に多量のガスを充填することができる。
【0052】
一方、圧力容器320の上述した充填圧力よりも圧力容器320が耐えられる内部圧力の方が高いこともある。したがって、圧力容器320に、例えば、120barの圧力にてガスを充填した後、圧力容器320を安定的に用いることができ、たとえ圧力容器320が一時的にもしくは長時間に亘って高温の輻射熱に晒されて温度が上昇するとしても、それに伴うガスの体積の膨張を圧力容器320が安定的に受け入れることができる。このとき、圧力容器320が耐えられる内部圧力を、例えば、圧力容器323の最大の内部圧力または許容圧力と称することができる。
【0053】
圧力容器320は、内部にガスが110bar~120barの充填圧力にて充填された状態で、保護容器310の内部に収納されてもよく、保護容器310の内部において供給部400の配管410と連結されてもよい。圧力容器320は、配管410を介して噴射部200にガスを供給してもよい。このとき、圧力容器320から噴射部200へのガスの供給圧力及び供給流量は、供給部400の圧力調節器430と流量調節器440により順次に制御されてもよい。圧力容器320の内部に充填されたガスの圧力、すなわち、圧力容器320の内部圧力が噴射部200に供給しようとするガスの供給圧力に近づくと、その内部にガスが110bar~120barの充填圧力にて充填された新たな圧力容器320に取り替えられて保護容器310に収納されてもよい。
【0054】
飛散防止板330は、保護容器310の上面を覆うように形成されてもよい。このため、容器本体310の内部の溶融物Mに起因する高温の輻射熱と飛散物が保護容器310を汚染させないうちに飛散防止板330により遮断されることが可能になる。これにより、圧力容器320は、飛散防止板330により熱気及び飛散物から1次的に保護され、保護容器310により2次的に保護されることが可能になる。このように、貯留部300は、飛散防止板330及び保護容器310を有することにより、圧力容器320を2重に安全に保護することができる。
【0055】
例えば、容器部100が転炉出鋼から連続鋳造と鉱滓の排除に至るまでの一連の工程を経る間に、容器部100から溶融物Mが複数回排出されることができ、その過程において強いスプラッシュが生じて容器部100にくっついて地金が形成される虞がある。このとき、飛散防止板330が保護容器310の上側においてスプラッシュが保護容器310に達することを遮断することができ、保護容器310に地金がくっついてしまうことを防ぐことができる。
【0056】
このような飛散防止板330は、着脱式に設けられてもよく、保護容器310よりも先に取り替えられてもよい。すなわち、貯留部300の全体を取り替えることなく、必要に応じて、飛散防止板330のみを取り替えて、貯留部300の全体を清浄な状態に保持することができる。
【0057】
固定板340は、保護容器310の内部の圧力容器320を安定的に支持する役割を果たす。すなわち、保護容器310から圧力容器320への伝熱を抑制もしくは防止するために、保護容器310の内側の側面及び内側の上面と圧力容器320の外側の側面及び外側の上面は離れ合うが、このとき、固定板340が圧力容器320と接触して圧力容器320を保護容器310内において固定することができる。例えば、固定板340は、リング状に形成され、内周面が圧力容器320と接触されてもよく、外周面が保護容器310の内側の側面に支持されてもよい。このとき、固定板340は、複数枚、例えば、二枚の分割型の部材から形成されてもよく、その一部は第1の保護胴体311に支持され、残りは第2の保護胴体312に支持されてもよい。第1の保護胴体311と第2の保護胴体312とが組み合わせられれば、上述した二枚の分割型部材が組み合わせられて一枚の固定板340を形成することができる。
【0058】
このような固定板340は、保護容器310の内面、例えば、内側の側面から突出してもよく、圧力容器320の外面、例えば、外側の側面及び外側の上面と接触されてもよい。圧力容器320は、上部が上側に向かって凸状になるように形成されてもよい。このため、圧力容器320の外側の上面は、上方に向かって凸状になるように形成されることが可能である。固定板340は、複数枚配備されてもよく、これらのうちの少なくとも一枚の固定板、例えば、第1の固定板341は、圧力容器310の上部の凸状の部分、すなわち、圧力容器320の外側の上面に接触されてもよく、このため、圧力容器320の上下方向の動きを拘束することができる。ここで、第1の固定板341は、上述したように、二枚の分割型部材から形成されて、一方が第1の保護胴体311に支持され、他方が第2の保護胴体312に支持されてもよい。
【0059】
一方、複数枚の固定板340のうち、第1の固定板341を除いた残りを第2の固定板342と称する。第2の固定板342の枚数は、少なくとも一枚以上であってもよい。第2の固定板342は、第1の固定板341の下側に離れ、圧力容器320の内側の側面と接触され、圧力容器320の水平方向の動きを拘束することができる。このとき、第2の固定板342もまた、二枚の分割型の部材から形成され、これらの一方が第1の保護胴体311に支持され、他方が第2の保護胴体312に支持されてもよい。
【0060】
上述した固定板340によって保護容器310と圧力容器320との間に離れた空間が形成されかつ保持されることができ、保護容器310内において圧力容器320が安定的に固定されることが可能になる。
【0061】
例えば、容器部100は、鉱滓の排除に際して直立した状態から90°~180°まで傾動可能である。このとき、固定板340が保護容器310の内部において圧力容器320が左右方向及び上下方向に移動することを防ぐことができる。このため、圧力容器320が保護容器310と衝突して損傷されることを根本的に防ぐことができる。
【0062】
貯留部300は、配管引き回し口350及び送風口360を備えていてもよい。配管引き回し口350は、第1の保護胴体311の上部もしくは下部を貫通するように形成されてもよい。このような配管引き回し口350を貫通するように供給部400の配管410が配置されてもよい。
【0063】
送風口360は、第1の保護胴体311の下部もしくは上部を貫通するように形成されてもよい。このような送風口360を介して保護容器310の外部から内部へとエア(air)が流れ込むことができる。送風口360の本数は、一本以上であってもよい。一方、送風口360の近くには、エアの強制的な流れ込みのための送風器(図示せず)が配備されてもよい。送風器は、保護容器310に支持されてもよい。
【0064】
保護容器310は、内面に遮熱部材(図示せず)及び冷却流路(図示せず)のうちの少なくともどちらか一方が配備されてもよい。このとき、上述した保護容器310と圧力容器320との間に形成される離隔空間が遮熱部材の配設空間及び冷却流路の配設空間のうちの少なくともどちらか一方の配設空間として活用されることが可能である。
【0065】
遮熱部材は、約1000℃以上の温度においても遮熱機能を円滑に行える耐火断熱材の材質を含んでいてもよい。遮熱部材は、シリカ及びアルミナなどを含む耐火材を溶融させかつ繊維化させた後、所望の形状に成形もしくは織り上げて製造してもよい。例えば、このような遮熱部材をセラクウール(Cerakwool)と称してもよい。遮熱部材は、保護容器310の内面及び圧力容器320の外面のうちの少なくともどちらか一方を包み込んで形成されてもよい。このため、容器部100の内部の溶融物Mから保護容器310へと伝わった輻射熱が圧力容器320に伝わることを引延したり、このような伝熱を遮断したりすることができる。遮熱部材によって圧力容器320の温度の上昇が抑制もしくは防止されることができ、このため、圧力容器320の内圧が増加することを抑制もしくは防止することができる。
【0066】
冷却流路は、保護容器310と圧力容器320との間に配設されてもよく、少なくとも一部が圧力容器320に接触もしくは露出されてもよい。冷却流路は、送風口360と連結されてもよく、あるいは、冷媒供給用のユーティリティライン(図示せず)と連結されてもよい。一方、保護容器310と圧力容器320との間の離隔空間がそのまま冷却流路として活用されてもよい。冷却流路に供給されるエアもしくは冷媒により圧力容器320の温度が上昇することを抑制もしくは防止することができる。このため、圧力容器320の内圧が増加することを抑制もしくは防止することができる。
【0067】
上述した貯留部300は、容器本体110の後方に複数配備されてもよい。例えば、貯留部300は、二つ配備されてもよく、左右方向に離れ合い、係止部材130の後方において突出部材120に支持されてもよく、あるいは、突出部材120の間において容器本体110の側壁に支持されてもよい。いうまでもなく、貯留部300の数は種々に変更可能である。貯留部300が複数配備されることにより、噴射部200にガスを長時間に亘って供給することができ、噴射部200の健全性を長時間に亘って保持することができる。このとき、健全性は、噴射部200への溶融物Mの浸透の度合いに応じて定められることができる。すなわち、噴射部200に溶融物Mが浸透されなかったり、噴射部200が自分の機能を円滑に行える程度に噴射部200に微量の溶融物Mが浸透されたりした状態であるとき、噴射部200が健全性を保持するものとみなす。
【0068】
このように、貯留部300が複数配備されることにより、例えば、容器部100が鉱滓の排除後に長時間に亘って待っている間にも、噴射部200の健全性が保持されることが可能になる。一方、貯留部300は、容器本体100の後方に一つ配備されてもよい。
【0069】
図3及び
図5を参照すると、供給部400は、容器部100の外面に沿って延び、一方の端が噴射部200と連結され、他方の端が貯留部300と連結される配管410と、配管410の他方の端に取り付けられる安全弁420と、安全弁420と噴射部200との間に位置するように配管410に取り付けられる圧力調節器430と、圧力調節器430と噴射部200との間に位置するように配管410に取り付けられる流量調節器440と、を備えていてもよい。このとき、配管410は、一部が複数本の分枝管410aに分岐されてもよく、それぞれの分枝管410aがそれぞれの貯留部300に連結されてもよい。具体的に、配管410の他方の端は複数本の分枝管410aに分岐されてもよい。なお、複数本の分枝管410aが複数の貯留部300とそれぞれ一対一にて連結されてもよい。
【0070】
配管410は、噴射部200と貯留部300をつなぎ合わせるように、一方の端が容器本体110の底板の下面に沿って延び、噴射部200の下部に連結されてもよい。配管410の他方の端に形成された各分枝管410aは、保護容器310を貫通するように配設され、圧力容器320と連結されてもよい。
【0071】
一方、貯留部300が一つ配備される場合、配管310の他方の端は分岐されなくてもよい。すなわち、配管310の他方の端が保護容器310を貫通するように配設され、圧力容器320と直結されてもよい。
【0072】
配管410の一方の端と他方の端とをつなぎ合わせる連結管は、容器本体110の側壁に沿って延びてもよい。この連結管に圧力調節器430と流量調節器440が取り付けられてもよい。
【0073】
安全弁420は、配管410に取り付けられてもよい。具体的に、安全弁420は、保護容器310の外部における分枝管410aに取り付けられてもよい。安全弁420は、圧力容器320が耐えられる内部圧力、例えば、許容圧力よりも小さな所定の圧力まで圧力容器320の内部圧力が上がると、自動的に開かれることができ、外部にガスを排出することができる。所定の時間が経ち、所定の量のガスが排出された後、安全弁420が閉じられてもよい。貯留部300が一つである場合には、安全弁320は、保護容器310の外部における配管410の他方の端に取り付けられてもよい。
【0074】
圧力調節器430は、圧力容器320から噴射部200へのガスの流れを基準として、流量調節器440よりも上流に位置してもよい。流量調節器440は、上述したガスの流れを基準として、圧力調節器430よりも下流に位置してもよい。ここで、上流とは、ガスが相対的に先に通過する部分のことをいい、下流とは、ガスが相対的に後で通過する部分のことをいう。
【0075】
圧力調節器430は、例えば、減圧弁を備えていてもよい。圧力調節器430は、入力圧力よりも小さな所定の圧力に出力圧力を一定に保持してもよい。入力圧力とは、圧力容器320から配管410へと供給されて圧力調節器430に入力される圧力のことをいう。また、出力圧力とは、入力調節器430を通過して配管410の内部に出力されるガスの圧力のことをいう。このとき、出力圧力が圧力容器320から噴射部200へのガスの供給圧力であってもよい。
【0076】
圧力調節器430は、圧力容器310のガスの充填容量が減って圧力が下がる場合であっても、出力圧力を一定に保持することができる。例えば、入力圧力は、3bar超え120bar以下の圧力であってもよく、出力圧力は、3barであってもよい。ここで、出力圧力は、溶融物、例えば、溶鋼の高さにより決められてもよい。このような圧力調節器430により噴射部200に一定の量のガスを安定的に供給することができる。
【0077】
一方、圧力調節器430において圧力を調節するとき、ガスの流量が急激に変わり、圧力の調節されたガスの供給圧力を保持しながら、そのまま噴射部200に供給しながらガスの供給流量を制御することが困難である。このため、圧力調節器430の下流に流量調節器440を取り付け、圧力の調節されたガスの流量を所望の供給流量に調節することができる。すなわち、流量調節器440が噴射部200に供給されるガスの供給流量を調節することができ、たとえ貯留部300に貯留されたガスの内部圧力が下がる場合であっても、噴射部200に供給されるガスの流量を安定的に保持することができる。
【0078】
流量調節器440は、圧力調節器430を通過しながら圧力が調節されたガスを入力されて所望の供給流量に調節して配管410の内部に出力してもよい。このため、噴射部200が一定の供給圧力及び供給流量にてガスを供給されることが可能になる。
【0079】
圧力容器320の内部圧力が下がる間に、たとえ流量調節器440を通過しながら圧力が調節されたガスが不規則的な流量にて流量調節器440に供給されるとしても、流量調節器440を通過しながら所定の供給流量、例えば、約20L/minの供給流量に流量が調節されることが可能になる。したがって、流量調節器440から噴射部200へと3barの圧力のガスが20L/minの流量にて供給されることが可能になる。一方、流量調節器440は、ガスの圧力を等圧に一定に保持しながら流量を自動的に調節できる様々な方式の流量計を備えていてもよい。
【0080】
上述した圧力調節器430と流量調節器440は、制御部(図示せず)によって制御されてもよく、制御部の制御により機械的に動作しながらガスの供給圧力と供給流量を順次に調節してもよい。また、圧力調節器430と流量調節器440は、制御部の制御によって設定された供給圧力の大きさと設定された供給流量の大きさを調節してもよい。すなわち、必要に応じて、供給圧力の大きさを減らしたいのであれば、制御部により圧力調節器430を制御して圧力調節器430の出口の圧力を減圧させることができる。なお、必要に応じて、供給流量の大きさを減らしたいのであれば、制御部により流量調節器440を制御して流量調節器440の出口の流量を減量させることができる。
【0081】
例えば、溶融物Mの高さが低くなると、溶融物Mの圧力、例えば、溶鋼静圧が低くなるため、溶融物Mが噴射部200に加える圧力が小さくなり、このときに供給圧力の大きさを減らしてもよい。なお、溶融物Mの温度が変わる場合、溶融物Mの流動性及び粘性などが変わり、これに合わせて、供給流量の大きさを異ならせてもよい。
【0082】
上述した供給部400は、製鋼工程及び連続鋳造工程のユーティリティラインと連結されなくてもよい。すなわち、容器部100が用いられる全体の工程において、貯留部300に充填されたガスだけで噴射部200の閉塞を防ぐように噴射部200にガスを供給してもよい。
【0083】
図8は、本発明の実施形態に係る溶融物の処理装置の正面図である。
【0084】
図2及び
図8を参照すると、本発明の実施形態に係る溶融物の処理装置は、重さ調整部500をさらに備えていてもよい。重さ調整部500は、容器部100を間に挟んで貯留部300と前後方向に対向する位置において容器部100の外面に取り付けられてもよい。重さ調整部500は、貯留部300による容器部100の重心の偏りを防ぐことができる。重さ調整部500は、上下方向に延びてもよく、突出部材120に支持される固定バー510と、容器本体110の外周面の形状に倣って湾曲されるように形成され、突出部材120の上面に載置可能であり、固定バー510と嵌合可能な錘520と、を備えていてもよい。重さ調整部500は、容器本体110の前方に位置してもよい。重さ調整部500は、錘520の数を調節して、容器本体110の重心の位置を一対の係止部材130の間に位置させてもよい。このため、貯留部300の大きさが大きく、たとえ貯留部300に多量のガスを充填するとしても、容器部100が貯留部300に向かって重心が偏らないことが可能になる。
【0085】
固定バー510は、複数本配備されてもよい。複数本の固定バー510は、左右方向及び上下方向のうちの少なくともどちらか一方の方向に離れ合い、それぞれの上端と下端が上下方向に並べられた突出部材120の向かい合う面にそれぞれ嵌合されてもよい。
【0086】
錘520は、弓形の部材であってもよく、突出部材120の上面に載置可能な面積を有し、複数配備されて上下に積層されてもよい。このとき、錘520の上面と下面には、凹凸及び粘着部材が配備されてもよい。このため、複数の錘520が上下に積層され合ったとき、結合され合って動きが防がれることが可能になる。錘520は、その側面に嵌合溝hが形成されてもよい。嵌合溝hに固定バー510が嵌合されてもよい。このとき、嵌合溝hは、錘520の前方の側面に形成されてもよい。このため、錘520は、容器本体110と固定バー510との間において安定的に保護されることが可能になる。ここで、前方の側面とは、容器本体110の前方を向く側面のことをいう。後方の側面は、容器本体110を向かい合う側面であってもよい。
【0087】
本発明の実施形態によれば、たとえ圧力容器320に充填されたガスの圧力、例えば、圧力容器320の内部圧力が変動するとしても、噴射部200に長時間に亘って安定的に一定の供給圧力と一定の供給流量のガスを供給することができる。なお、溶融物Mからの輻射熱に圧力容器320が晒されることを極力抑えることができる。このため、噴射部200に溶融物Mが浸透することを長時間に亘って抑制もしくは防止することができる。
【0088】
図6及び
図7は、本発明の第1の変形例に係る供給部の概念図である。具体的に、
図6は、貯留部が複数、例えば、二つであるときにおける本発明の第1の変形例に係る供給部の連結構造を示す概念図である。なお、
図7は、貯留部が一つであるときにおける本発明の第1の変形例に係る供給部の連結構造を示す概念図である。
【0089】
図6を参照すると、本発明の第1の変形例によれば、供給部400は、安全弁420と圧力調節器430との間に位置するように配管410に取り付けられる第1の遮断弁450と、第1の遮断弁450と安全弁420との間に位置するように配管410に取り付けられる排出弁460と、圧力調節器430と流量調節器440との間に位置するように配管410に取り付けられる第2の遮断弁470と、を備えていてもよい。
【0090】
第1の遮断弁450は、手動ニードル弁を備えていてもよい。第1の遮断弁450は、容器部100が運用されていない時点で、貯留部300から供給部400へのガスの供給を手動にて遮断することができる。排出弁460は、手動ボール弁を備えていてもよい。排出弁460は、容器部100の運用が再開される時点で、第1の遮断弁450と貯留部300との間において配管410に溜まっている高圧のガスを排出して、第1の遮断弁450と貯留部300との間の圧力を減圧させることができる。したがって、容器部100の運用が再開される時点で、圧力調節器430が損傷されることを防ぐことができる。排出弁460は、ベンチレーションライン(ventilation line)Lに高圧のガスを排出してもよい。第2の遮断弁470は、手動ニードル弁を備えていてもよく、必要に応じて、圧力調節器430と流量調節器440との間のガスの流れを遮断するときに使用可能である。
【0091】
また、供給部400は、流量調節器440の下流側における配管410に取り付けられる圧力計490及び圧力計490と噴射部200との間における配管410に取り付けられる切り換え弁480をさらに備えていてもよい。
【0092】
圧力計490は、流量制御器440から出力されるガスの圧力を実際に測定することができる。圧力計490の測定結果は、制御部に受け渡され、圧力計490において測定される実際の圧力と圧力調節器430に設定された出力圧力とが互いに異なる場合、制御部がこの旨を速やかに使用者に報知することができる。
【0093】
切り換え弁480は、例えば、三方弁(three way valve)であってもよい。切り換え弁480は、ユーティリティラインUに選択的に着脱されてもよい。切り換え弁480がユーティリティラインUに取り付けられれば、切り換え弁480は、流量調節部440から噴射部200へのガスの流れを閉じ、ユーティリティラインUから噴射部200へのガスの流れを開いてもよい。そして、切り換え弁480がユーティリティラインUから取り外されれば、切り換え弁480は、流量調節部440から噴射部200へのガスの流れを開いてもよい。
【0094】
図9は、本発明の第2の変形例に係る重さ調整部の概略図である。
【0095】
図8及び
図9を参照すると、本発明の第2の変形例に係る重さ調整部500は、貯留部300のガスの消耗量に応じた重さの変化に基づいて、容器部100の重心を調節できるように少なくとも一部が容器部100の外面に沿って水平方向に移動可能なように配設されてもよい。このための重さ調整部500は、固定バー510と、錘520と、アクチュエーター530及びガイドレール540を備えていてもよい。
【0096】
固定バー510は、容器本体110の前方において上下方向に延び、複数本配備され、左右方向に離れ合い、突出部材120の間に配置されてもよい。錘520は、複数配備され、左右方向に並べられてもよく、上下方向に積層されてもよい。左側の錘520群と右側の錘520群は、互いに異なる固定バー510に嵌合されてもよい。
【0097】
アクチュエーター530は、左右方向に長さが調節されてもよく、容器本体110の外面に支持されてもよく、固定バー510に一対一にて連結されてもよい。ガイドレール540は、上下方向に並べられた突出部材120の向かい合う面にそれぞれ形成されてもよく、突出部材120に沿って容器本体110の周方向に延びてもよく、固定バー510の上端と下端が取り付けられてもよい。
【0098】
アクチュエーター530は、制御部により制御されてもよく、貯留部300のガスの充填量が相対的に多めであるときには、固定バー510を容器本体110の前方に向かって移動させながら集めてもよい。また、アクチュエーター530は、貯留部300のガスの充填量が相対的に少なめであるときには、固定バー510を係止部材130に向かって引っ張りながら、固定バー510を左右方向に広げてもよい。このような固定バー510の動きにつれて錘520の前後方向の位置が調節され、このため、重心が調節可能になる。
【0099】
以下、
図1から
図9に基づいて、本発明の実施形態に係る溶融物の処理方法について詳しく説明する。
【0100】
本発明の実施形態に係る溶融物の処理方法は、ガスの充填された貯留部300ととともに移動可能な容器部100を用意する過程と、溶融物Mの収容された容器部100を第1の位置から第2の位置へと搬送する過程と、容器部100の内部の溶融物M内にガスを噴射できるように容器部100の下部に取り付けられた噴射部200にガスを供給する過程と、噴射部200に供給されるガスの供給圧力を調節する過程と、供給圧力の調節されたガスの供給流量を調節する過程と、を含む。
【0101】
まず、ガスの充填された貯留部300及びこれととともに移動可能な容器部100を用意する。貯留部300は、ガスが約110bar~120barの充填圧力にて充填された状態であってもよい。いうまでもなく、充填圧力は、上述した圧力よりもさらに高いか、あるいはさらに低い所定の圧力範囲であってもよい。このとき、容器部100には溶融物Mが収容された状態であってもよい。溶融物Mは、溶鋼及び鉱滓のうちの少なくともどちらか一方であってもよい。
【0102】
次いで、溶融物Mの収容された上述した容器部100を第1の位置から第2の位置へと搬送する。ここで、第1の位置は、現在容器部100が位置している場所であり、第2の位置は、容器部100を移動させようとする所定の場所であってもよい。すなわち、容器部100が転炉出鋼済みの溶鋼を後続の工程に搬送する場合、転炉工程設備の位置が第1の位置であってもよく、後続の工程、例えば、バブリング工程、2次精練工程または連続鋳造工程が行われる設備の位置が第2の位置であってもよい。
【0103】
上述した過程の間に、容器部100の内部の溶融物M内にガスを噴射できるように噴射部200にガスを供給する。具体的に、貯留部300に充填されたガスを供給部400を用いて噴射部200に供給してもよい。ここで、貯留部300に充填されたガスの充填量が減ると、噴射部200に供給されるガスの流量と流圧が不規則的に変わってしまうことが懸念され、溶融物Mの湯面が不安定になることにより、品質が低下してしまう虞がある。これを防ぐために、上述した過程の間に、噴射部200に供給されるガスの供給圧力を調節し、圧力の調節されたガスの供給流量を調節する。
【0104】
ここで、ガスの供給圧力を先に調節する理由は、通常、ガスの圧力を調節した後には、ガスの流量の変動が甚だ大きいため、安定的な流量のガスを噴射部200に供給するために、圧力調節部430においてガスの圧力を調節した後、流量調節部430においてガスの流量を調節し、噴射部200に供給する。
【0105】
ここで、圧力を調節する過程は、貯留部300の充填圧力よりも低く、かつ、溶融物Mの圧力よりも高い基準圧力まで供給圧力を減圧させる過程を含んでいてもよい。また、圧力を調節する過程は、第1の位置及び第2の位置のうちの少なくとも一方の位置のユーティリティラインの内部圧力よりも低く、かつ、溶融物の圧力よりも高い基準圧力まで供給圧力を減圧させる過程を含んでいてもよい。溶融物の圧力は、溶融物の最下端部の圧力であってもよい。すなわち、溶融物が容器部100の底板の上面に加える圧力であってもよい。
【0106】
このとき、溶融物Mの圧力は、溶融物Mが噴射部200に加える圧力であってもよく、例えば、溶鋼静圧であってもよい。また、基準圧力は、溶融物Mが噴射部200に流れ込むことを防ぎ、かつ、ガスが噴射部200を介して溶融物Mに噴射できる所定の圧力であってもよい。なお、基準圧力は、溶融物Mが溶鋼及び鉱滓を含むとき、溶鋼の湯面に裸湯面が形成されないようにする所定の圧力であってもよい。
【0107】
このように、上述した基準圧力まで供給圧力を減圧させて噴射部200に供給することから、少ない量のガスを用いながらも、溶融物Mが噴射部200に流れ込むことを防ぎ、溶融物Mの湯面に裸湯が生じることも防ぐことができる。このような基準圧力は、約3barの圧力であってもよい。例えば、このような基準圧力は、上述したユーティリティラインの供給圧力よりも6倍低い圧力であってもよい。
【0108】
一方、溶融物mの高さが高くなると、溶融物Mの圧力、例えば、溶鋼静圧が大きくなるため、その割合に見合う分だけ供給圧力の大きさを増加させなければならない。例えば、溶融物の密度が7020kg/m3であれば、溶融物mの高さが約1mだけ高くなるとき、供給圧力を約0.68barだけ増加させなければならない。このため、たとえ溶融物mの高さが変わるとしても、適切な圧力のガスを噴射部200に供給することができる。このように、基準圧力は、容器部100の内部の溶融物Mの高さに応じて定められることが可能になる。
【0109】
次いで、供給圧力の調節されたガスの供給流量を調節する。具体的に、ガスが供給圧力の大きさを保持しながら、予め設定された基準流量に追随するように供給流量を増減させてもよい。したがって、たとえ圧力調節部430においてガスの流量が不規則的に変わるとしても、流量調節部440によりガスの流量を調節して、一定の供給流量にて噴射部200にガスを供給することができる。このとき、基準流量は、溶融物Mの湯面に裸湯が生じないガスの流量もしくは溶融物Mの急激な攪拌を防げるガスの流量であってもよい。いうまでもなく、基準流量は、様々な方式により定義可能である。
【0110】
一方、上述した過程を行う間に、保護容器310と飛散防止板330を用いて、容器部100から貯留部300の圧力容器320へと高温の温度が伝わることを防ぐことができる。なお、溶融物Mに起因する飛散物が圧力容器320を汚染させることを防ぐことができる。
【0111】
また、上述した過程を行う間に、貯留部300の温度の上昇によって貯留部300の内部圧力が急激に上がって特定の圧力よりも高くなると、圧力容器320から圧力調節器430へのガスの供給圧力が急激に上がってしまう。このとき、供給部400の安全弁420を用いて、ガスが流れる配管410の一部、例えば、分岐管410aを開くことにより、圧力調節器430に供給されるガスの圧力を下げることができる。このため、圧力調節器430の損傷を防ぐことができ、供給圧力の変動を防ぐことができる。一方、上述した特定の圧力は、例えば、貯留部300の充填圧力よりも高く、かつ、貯留部300の圧力容器320が破損されずに耐えられる内部の圧力である許容圧力よりも低い所定の圧力範囲内において選ばれる所定の圧力であってもよい。
【0112】
ガスの供給圧力と供給流量を調節して噴射部200に供給する間に、圧力容器320への温度の伝わりを防ぐ過程と、圧力容器320の汚染を防ぐ過程と、供給圧力の変動を防ぐ過程と、は選択的に行われてもよい。すなわち、ガスの供給圧力と供給流量を調節して噴射部200に供給する間に、これらの過程のうちの少なくともいずれか一つの過程が行われてもよい。
【0113】
さらに、上述した過程を行う間に、容器部100を中心として貯留部300の反対側において、重さ調整部500を用いて容器部100に重さを加える方式により、容器部100の重心が偏ることを防ぐことができ、このとき、貯留部300においてガスが消耗される消耗量に応じて、重さ調整部500が重さを加える作用点を貯留部300に向かって移動させて、重心を安定的に保持することができる。
【0114】
上述したところによれば、たとえ貯留部300の圧力容器320の内部圧力が変動されるとしても、長時間に亘って一定の流量と流圧のガスを噴射部200に供給することにより、噴射部200に溶融物Mが浸透することを防ぐことができ、噴射部200の損傷を防ぐことができる。
【0115】
本発明の前記実施形態は本発明の説明のためのものであり、本発明の制限のためのものではない。本発明の前記実施形態及びその変形例に開示されている構成と方式は、互いに結合したり交差したりして種々の形態に変形される筈であり、これによる変形例もまた、本発明の範ちゅうに収まるものとみなせるということに留意すべきである。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及びこれと均等な技術的思想の範囲内において互いに異なる種々の形態に具体化される筈であり、本発明が該当する技術分野における業者は、本発明の技術的思想の範囲内において種々の実施形態が可能であるということが理解できる筈である。
【符号の説明】
【0116】
100:容器部
110:容器本体
120:突出部材
130:係止部材
140:受け止め部材
150:排出部材
200:噴射部
300:貯留部
310:保護容器
311:保護胴体
312:保護胴体
320:圧力容器
330:飛散防止板
340:固定板
341:第1の固定板
342:第2の固定板
350:配管引き回し口
360:送風口
400:供給部
410:配管
410a:分岐管
420:安全弁
430:圧力調節器
440:流量調節器
450:第1の遮断弁
460:排出弁
470:第2の遮断弁
480:切り換え弁
490:圧力計
500:重さ調整部
510:固定バー
520:錘
530:アクチュエーター
540:ガイドレール
【手続補正書】
【提出日】2022-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0044
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0044】
すなわち、保護容器310は、容器本体110の側壁及び突出部材120のうちの少なくともどちらか一方に取り付けられてもよい。具体的に、保護容器310は、突出部材120に取り付けられ、容器本体110の側壁から後方へと離れてもよい。保護容器310は、上下方向への突出部材120同士の間において容器本体110の側壁に取り付けられてもよい。保護容器310は、溶融物Mの飛散物及び高温から圧力容器320を保護する役割を果たす。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
このような固定板340は、保護容器310の内面、例えば、内側の側面から突出してもよく、圧力容器320の外面、例えば、外側の側面及び外側の上面と接触されてもよい。圧力容器320は、上部が上側に向かって凸状になるように形成されてもよい。このため、圧力容器320の外側の上面は、上方に向かって凸状になるように形成されることが可能である。固定板340は、複数枚配備されてもよく、これらのうちの少なくとも一枚の固定板、例えば、第1の固定板341は、圧力容器320の上部の凸状の部分、すなわち、圧力容器320の外側の上面に接触されてもよく、このため、圧力容器320の上下方向の動きを拘束することができる。ここで、第1の固定板341は、上述したように、二枚の分割型部材から形成されて、一方が第1の保護胴体311に支持され、他方が第2の保護胴体312に支持されてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
このように、貯留部300が複数配備されることにより、例えば、容器部100が鉱滓の排除後に長時間に亘って待っている間にも、噴射部200の健全性が保持されることが可能になる。一方、貯留部300は、容器本体110の後方に一つ配備されてもよい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
一方、貯留部300が一つ配備される場合、配管410の他方の端は分岐されなくてもよい。すなわち、配管410の他方の端が保護容器310を貫通するように配設され、圧力容器320と直結されてもよい。
【国際調査報告】