(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】改良されたシール手段を含む電池式電気化学装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20230220BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20230220BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20230220BHJP
H01M 50/117 20210101ALI20230220BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20230220BHJP
H01M 50/562 20210101ALI20230220BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M50/103
H01M50/548
H01M50/117
H01M50/121
H01M50/562
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538933
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(85)【翻訳文提出日】2022-08-22
(86)【国際出願番号】 IB2020062375
(87)【国際公開番号】W WO2021130688
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514110783
【氏名又は名称】アイ テン
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ギャバン,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ケイルフルク,イアン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA02
5H011CC02
5H011CC05
5H011KK01
5H029AJ14
5H029BJ12
5H029DJ02
5H029DJ05
5H029HJ04
5H029HJ12
5H043AA07
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA08
5H043CA13
5H043DA08
5H043DA11
5H043LA21D
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの単位セルによって形成されたいわゆる単位スタック(2)、少なくとも一部が導電性材料で作られ、単位スタックの第1前面(12)の近くに設けられた電気接続支持体(5)、電気接続支持体(5)の2つの離れた領域(56、57)を互いに絶縁可能な電気絶縁手段(53、54)、単位スタックの第1側面(23)が電気接続支持体(5)に電気的に接続可能なアノード接点手段(30)、単位スタックの第1側面の反対側の第2側面(24)が電気接続支持体(5)に電気的に接続可能なカソード接点手段(40)、単位スタックの他の前面(11)、アノード接点手段、カソード接点手段及び少なくとも部分的に前記電気接続支持体(5)の単位スタックに面している面(51)を覆うカプセル化システム(7)、電気接続支持体(5)の反対側のカプセル化システムを覆う機械的補強システム(8)を含む、電池式電気化学装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの単位セルによって形成されたいわゆる単位スタック(2)であって、各単位セルが少なくとも1つのアノード集電基板、少なくとも1つのアノード層、電解質材料又は電解質を含浸させたセパレータの少なくとも1つの層、少なくとも1つのカソード層及び少なくとも1つのカソード集電基板を順次含み、6つの面、すなわち、アノード、電解質材料及びカソード層と概ね平行に互いに対向する2つのいわゆる前面(21、22)並びに対になって互いに対向する、特に対になって互いに平行な4つのいわゆる側面(23~26)を画定する単位スタック(2)と、
アノード接点手段(30)と、
カソード接点手段(40)と、
前記単位スタックを保護可能な不浸透性シール手段(7)とを含む電池式電気化学装置であって、
少なくとも一部が導電性材料で作られ、前記単位スタックの第1前面(12)の近くに設けられた電気接続支持体(5)と、
前記電気接続支持体(5)の2つの離れた領域(56、57)を互いに絶縁可能な電気絶縁手段(53、54)とをさらに含み、
前記アノード接点手段(30)は、前記単位スタックの第1側面(23)が前記電気接続支持体(5)に電気的に接続されることを可能にし、
前記カソード接点手段(40)は、前記単位スタックの前記第1側面の反対側の第2側面(24)が前記電気接続支持体(5)に電気的に接続されることを可能にすることを特徴とする、電池式電気化学装置。
【請求項2】
前記不浸透性シール手段は、カプセル化システム(7)を含む、請求項1に記載の電池式電気化学装置。
【請求項3】
前記カプセル化システム(7)は、前記単位スタックの他の前面(11)、前記アノード接点手段、前記カソード接点手段及び少なくとも部分的に前記電気接続支持体(5)の前記単位スタックに面している面(51)を覆っている、請求項2に記載の電池式電気化学装置。
【請求項4】
前記カプセル化システムは、前記単位スタックの反対側の前面並びに前記アノード及びカソード接点手段によって覆われていない前記単位スタックの側面を覆い、
前記カプセル化システムは、任意で、前記電気絶縁手段(53、54)の全部又は一部、及び前記単位スタックの前記第1前面から前記支持体を分離する中間空間をさらに占有している、請求項2又は3に記載の電池式電気化学装置。
【請求項5】
前記不浸透性シール手段は、前記アノード接点手段及び/又は前記カソード接点手段を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の電池式電気化学装置。
【請求項6】
前記不浸透性シール手段は、一方では、前記単位スタックの2つの第1側面を覆う接点手段と、他方では、前記単位スタックの他の2つの側面及び前記単位スタックの2つの前面を覆うカプセル化システムとを含む、請求項4又は5に記載の電池式電気化学装置。
【請求項7】
前記電気接続支持体(5)の反対側の前記カプセル化システムを覆う、機械的補強システム(8)をさらに含む、請求項2~6のいずれか1項に記載の電池式電気化学装置。
【請求項8】
前記電気接続支持体は、単層タイプであり、特に金属グリッド又はシリコン中間層である、請求項1~7のいずれか1項に記載の電池式電気化学装置。
【請求項9】
前記電気絶縁手段は、単層タイプの前記電気接続支持体に作られた1つ以上の自由空間を含み、
前記1つ以上の自由空間は、空にする又は電気絶縁材料で充填することができ、
前記電気接続支持体の離れた接続領域は、前記1つ以上の自由空間の両側に配置されている、請求項8に記載の電池式電気化学装置。
【請求項10】
前記電気接続支持体は、単一の自由空間を含み、その両側に前記離れた接続領域が設けられている、請求項9に記載の電池式電気化学装置。
【請求項11】
前記電気接続支持体は、2つの自由空間を含み、その間に前記電気接続支持体の中央ベースプレートが設けられている、請求項9に記載の電池式電気化学装置。
【請求項12】
前記電気接続支持体は、多層タイプであり、上下に配置された複数の層を含み、特にプリント回路基板タイプである、請求項1~7のいずれか1項に記載の電池式電気化学装置。
【請求項13】
前記多層支持体の各層は、少なくとも1つの導電性ゾーン及び少なくとも1つの絶縁ゾーンを含み、
異なる層の前記導電性ゾーンは、前記アノード及びカソード接点手段をそれぞれ前記支持体の前記積層体と反対側の面に接続可能な電気接続経路を形成し、
前記絶縁ゾーンは前記電気絶縁手段を形成する、請求項12に記載の電池式電気化学装置。
【請求項14】
前記カプセル化システムは、
ALD、PECVD又はHDPCVDの中から選択される技術によって堆積された、5μm未満、好ましくは2μm未満の総厚みを有する緻密な無機膜、
5μm未満、好ましくは2μm未満の総厚みを有する連続した無機膜、又は、
20μm未満、好ましくは10μm未満の総厚みを有する連続した有機及び無機膜の中から選択される、請求項2~13のいずれか1項に記載の電池式電気化学装置。
【請求項15】
前記機械的補強システムは、
単純なポリマー又は好ましくはエポキシ若しくはアクリレートポリマーであるポリマーマトリックスを有するポリマーからなり得る樹脂及び粒子、フレーク又はガラス繊維からなり得る鉱物フィラーと、
好ましくは、SiO
2-B
2O
3ガラス、Bi
2O
3-B
2O
3ガラス、ZnO-Bi
2O
3-B
2O
3ガラス、TeO
2-V
2O
5ガラス及びPbO-SiO
2ガラスによって形成されるグループから選択される低融点ガラスと、
圧延によって製造されたフィルムとの中から選択される、請求項7~14のいずれか1項に記載の電池式電気化学装置。
【請求項16】
前記単位スタックの前面のうちの1つ(21)を前記電気接続支持体(5)に堅固に接続可能な堅固な接続手段(6)をさらに含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の電池式電気化学装置。
【請求項17】
前記堅固な接続手段は、非導電性接着剤(6)の層を含む、請求項16に記載の電池式電気化学装置。
【請求項18】
前記アノード又はカソード電気接点手段は、導電性接着剤を含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の電池式電気化学装置。
【請求項19】
前記アノード又はカソード電気接点手段は、金属箔を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の電池式電気化学装置。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載の電池式電気化学装置の製造方法であって、
前記電気接続支持体(5)を前記単位スタックの前記第1前面(12)の近くに配置する工程と、
前記電気接続支持体(5)の前記2つの離れた領域(56、57)を互いに絶縁する工程と、
前記単位スタックの前記第1側面(23)を前記電気接続支持体(5)に電気的に接続する工程と、
前記単位スタックの前記第1側面の反対側の前記第2側面(24)を前記電気接続支持体(5)に電気的に接続する工程と、
前記不浸透性シール手段をコーティングする工程とを含む、製造方法。
【請求項21】
前記不浸透性シール手段は、前記電気接続支持体が前記単位スタックの前記第1前面の近くに配置された後にコーティングされている、請求項20に記載の製造方法。
【請求項22】
前記不浸透性シール手段の少なくとも一部は、前記電気接続支持体が前記単位スタックの前記第1前面の近くに配置される前にコーティングされている、請求項20に記載の製造方法。
【請求項23】
前記不浸透性シール手段の少なくとも1つの第1層は、前記電気接続支持体が前記単位スタックの前記第1前面の近くに配置される前にコーティングされ、
前記不浸透性シール手段の少なくとも1つの第2層は、前記電気接続支持体が前記第1前面の近くに配置された後にコーティングされている、請求項22に記載の製造方法。
【請求項24】
複数の前記電気接続支持体(5)を形成することを目的ととしたフレーム(105)を供給する工程と、
前記フレームを複数の単位スタックの前記第1前面の近くに配置する工程であって、前記複数の単位スタックが複数の行及び/又は複数の列に配置されている工程と、
複数の電気化学装置を形成するために、前記複数の単位スタックの縦方向及び/又は横方向に少なくとも1つの切れ目、特に複数の切れ目を入れる工程とをさらに含む、請求項20~23のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項25】
本体(1002)と、請求項1~19のいずれか1項に記載の電気化学装置(1)とを含む電気エネルギー消費装置(1000)であって、
前記電気化学装置は、前記電気エネルギー消費装置に電気エネルギーを供給することができ、
前記電気化学デバイスの前記電気接続支持体(5)は、前記本体に固定されている、電気エネルギー消費装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池式電気化学装置に関するものである。特に、リチウムイオン電池に適用され得る。本発明は、改良された不浸透性シール特性を電池に与える、新規な電池構造に関する。本発明はさらに、これらの電池を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一部の種類の電池、特に一部の種類の薄膜電池は、気相中の酸素や水(H2O)によって劣化するため、長寿命化のためにカプセル化が必要なものがある。特に、リチウムイオン電池は、気相中の水分に対して非常に敏感である。市場は10年以上の製品寿命を求めており、その寿命を保証するためにカプセル化を提供する必要がある。
【0003】
薄膜リチウムイオン電池は、電極層と電解質層の厚さが通常約1μm~約10μmの多層積層体である。それらは、複数の単位セルの積層体を含み得る。このような固体薄膜リチウムイオン電池は、通常、リチウム金属層を有するアノードを使用する。
【0004】
リチウムイオン電池の活物質は、空気、特に気相中の水に対して非常に敏感である。可動リチウムイオンは微量の水と自発的に反応してLiOHを形成し、その結果、電池のカレンダー劣化を引き起こす。リチウムイオン伝導性電解質及び挿入材料はすべて、水分に対して非反応性である。例えば、Li4Ti5O12は大気や微量の水と接触しても劣化しない。これに対し、Li4+xTi5O12(x>0)の形でリチウムを充填した途端、挿入されたリチウムの余剰分(x)は大気に敏感で、微量の水と自発的に反応してLiOHを形成してしまう。そのため、反応したリチウムは電気を蓄えることができなくなり、電池の容量が低下してしまう。
【0005】
リチウムイオン電池の活物質が空気や水に曝されるのを防ぎ、このような経年劣化を防ぐには、カプセル化システムで保護する必要がある。薄膜電池用の数多くのカプセル化システムが文献に記載されている。
【0006】
米国特許出願公開第2002/0071989号明細書には、アルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、窒化ケイ素(Si3N4)、炭化ケイ素(SiC)、酸化タンタル(Ta2O5)及び非晶質炭素から選択された誘電材料の第1層と、誘電材料の第2層と、第2層に配置され且つ電池全体を覆う不浸透性シール層との積層体を含む固体薄膜電池用のカプセル化システムが記載されている。
【0007】
米国特許第5561004号明細書には、薄膜リチウムイオン電池を保護するための複数のシステムが記載されている。最初に提案されたシステムは、電池の活性成分に蒸着されたアルミニウム膜で覆われたパリレン層を含む。ただし、空気や水蒸気の拡散を防ぐこのシステムでは、約1ヶ月間しか効果が無い。2番目に提案されたシステムは、パリレン(厚さ500nm)と金属(厚さ約50nm)の交互の層を含む。この文献には、電池が大気中の成分によって劣化する速度を抑えるために、これらの電池を紫外線硬化型(UV硬化型)エポキシコーティングで再度コーティングすることが好ましいと述べられている。
【0008】
また、本出願人が出願した仏国特許出願公開第3068830号明細書を参照すると、電気化学装置の典型的な配置が記載されている。この文献に記載されているように、このような装置は、単位スタックを含み、その各セルは、各アノード及びカソードの集電基板と、各アノード及びカソード層と、電解質材料又は電解質を含浸したセパレータの少なくとも1層とを含む。このスタックの対向する側面には、アノード及びカソードの接点がそれぞれ設けられている。
【0009】
最後に、国際公開第2016/025067号を参照すると、開口部が形成された基板上にスタックが静止している電池が記載されている。これらは、各アノード及びカソードに接続された導電性部材を受け入れることができる。ポリマー層と外側不浸透性シール層は、基板の反対側に設けられている。この文献は、主に不浸透性の観点から、満足のいく解決策を提供していない。より具体的には、外層は、その所望のバリア機能を満足に調達していない。さらに、このシール層は外側に位置しているため、壊れやすく、劣化しやすい。したがって、この文献は、機械的剛性の観点から満足のいく教示も提供していない。
【0010】
従来技術によれば、ほとんどのリチウムイオン電池は、電池セルの周りに囲まれた金属化ポリマー箔(「パウチ」と呼ばれる)でカプセル化され、コネクタタブで熱シールされている。これらのパッケージは比較的柔軟であり、電池の正と負の接続部は、したがって、電池の周りのパッケージを封止するために使用された熱シールされたポリマーに埋め込まれている。しかし、電池を熱シールするために使用されたポリマーは大気中のガスに対して比較的透過性があるため、このポリマー箔間の溶接部は大気中のガスに対して完全に不浸透性ではない。この透過性は、温度が高くなるにつれて高くなり、経年変化を加速させることが分かっている。
【0011】
しかし、これらの溶接部の大気に曝される表面積は非常に小さいままであり、パッケージの残りの部分は、これらのポリマー箔間に挟まれたアルミ箔によって形成されている。一般に、2枚のアルミ箔は、これら各アルミ箔の欠陥を構成する穴の存在による影響を最小限に抑えるために組み合わされる。各ストリップの2つの欠陥が整列する可能性は大幅に減少する。
【0012】
これらのパッケージ技術により、10Ahの電池で10×20cm2の表面積の場合、通常の使用条件下で約10~15年のカレンダー寿命が保証される。電池が高温に曝された場合、この寿命は5年未満に短縮され得、多くの用途において不十分となる。同様の技術は、コンデンサ及び能動部品など、他の電子部品にも応用され得る。
【0013】
その結果、空気、湿気及び温度の影響から部品を保護する薄膜電池及びその他の電子部品をカプセル化するためのシステム及び方法が必要とされている。特に、薄膜リチウムイオン電池を気相中の空気や水から保護し、電池が充放電サイクルに曝されたときの劣化から保護するためのカプセル化システム及び方法が必要とされている。カプセル化システムは、不浸透性で気密封止される必要があり、部品又は電池を完全に包囲して覆う必要があり、電池セルの寸法のわずかな変化(「呼吸」)に対応できる柔軟性を備える必要があり、また、クリープ短絡を防ぐために反対極性の電極の端部を電気的に分離する必要がある。
【0014】
本発明の1つの目的は、従来技術の上述の欠点を少なくとも部分的に克服することである。
【0015】
本発明は、従来技術の上述の欠点のいくつかを少なくとも部分的に克服することを目的とする。
【0016】
特に、高エネルギー密度で高出力密度の二次電池の生産量を増やし、より効率の高いカプセル化を低コストで製造することを目的としている。
【0017】
さらに、O2やH2Oなどのガスに対して特に優れた保護を提供しながら、エネルギー消費装置に容易に組み込み得る電池式電気化学装置を提案することを目的としている。
【0018】
特に、短絡のリスクを低減し、自己放電率の低い電池を製造する方法を提案することを目的としている。
【0019】
特に、超長寿命の電池を簡単、確実且つ迅速に製造する方法を提案することを目的としている。
【0020】
さらに、従来技術よりも高品質な切断工程を使用するような方法を提案することを目的としている。
【0021】
さらに、最終的な電池の製造過程で行われるカプセル化段階やカプセル化そのものを強化するような方法を提案することを目的としている。
【0022】
さらに、材料のロスが少ない電池の製造方法を提案することも目的としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
上記目的の少なくとも1つは、添付の特許請求の範囲に記載の電池式電気化学装置、その製造方法、及びその電気化学装置を備える電気エネルギー消費装置によって達成される。
【0024】
本発明の第1の目的は、
-少なくとも1つの単位セルによって形成されたいわゆる単位スタック(2)であって、各単位セルが少なくとも1つのアノード集電基板、少なくとも1つのアノード層、電解質材料又は電解質を含浸させたセパレータの少なくとも1つの層、少なくとも1つのカソード層及び少なくとも1つのカソード集電基板を順次含み、6つの面、すなわち、アノード、電解質材料及びカソード層と概ね平行に互いに対向する2つのいわゆる前面(21、22)並びに対になって互いに対向する、特に対になって互いに平行な4つのいわゆる側面(23~26)を画定する単位スタック(2)と、
-アノード接点手段(30)と、
-カソード接点手段(40)と、
-前記単位スタックを保護可能な不浸透性シール手段(7)とを含み、
-少なくとも一部が導電性材料で作られ、前記単位スタックの第1前面(12)の近くに設けられた電気接続支持体(5)と、
-前記電気接続支持体(5)の2つの離れた領域(56、57)を互いに絶縁可能な電気絶縁手段(53、54)とをさらに含み、
前記アノード接点手段(30)は、前記単位スタックの第1側面(23)が前記電気接続支持体(5)に電気的に接続されることを可能にし、
前記カソード接点手段(40)は、前記単位スタックの前記第1側面の反対側の第2側面(24)が前記電気接続支持体(5)に電気的に接続されることを可能にすることを特徴とする電池式電気化学装置である。
【0025】
この装置の他の特徴によると、単独で、又は技術的に互換性のある特徴に従って取得されてもよい。
-前記不浸透性シール手段は、カプセル化システム(7)を含み、
-前記カプセル化システム(7)は、前記単位スタックの他の前面(11)、前記アノード接点手段、前記カソード接点手段及び少なくとも部分的に前記電気接続支持体(5)の前記単位スタックに面している面(51)を覆い、
-前記カプセル化システムは、前記単位スタックの反対側の前面並びに前記アノード及びカソード接点手段によって覆われていない前記単位スタックの側面を覆い、
-前記カプセル化システムは、任意で、前記電気絶縁手段(53、54)の全部又は一部、及び前記単位スタックの前記第1前面から前記支持体を分離する中間空間をさらに占有し、
-前記不浸透性シール手段は、前記アノード接点手段及び/又は前記カソード接点手段を含み、
-前記不浸透性シール手段は、一方では、前記単位スタックの2つの第1側面を覆う接点手段と、他方では、前記単位スタックの他の2つの側面及び前記単位スタックの2つの前面を覆うカプセル化システムとを含み、
-前記電気接続支持体(5)の反対側の前記カプセル化システムを覆う、機械的補強システム(8)をさらに含み、
-前記電気接続支持体は、単層タイプであり、特に金属グリッド又はシリコン中間層であり、
-前記電気絶縁手段は、単層タイプの前記電気接続支持体に作られた1つ以上の自由空間を含み、前記1つ以上の自由空間は、空にする又は電気絶縁材料で充填することができ、前記電気接続支持体の離れた接続領域は、前記1つ以上の自由空間の両側に配置され、
-前記電気接続支持体は、単一の自由空間を含み、その両側に前記離れた接続領域が設けられ、
-前記電気接続支持体は、2つの自由空間を含み、その間に前記電気接続支持体の中央ベースプレートが設けられ、
-前記電気接続支持体は、多層タイプであり、上下に配置された複数の層を含み、特にプリント回路基板タイプであり、
-前記多層支持体の各層は、少なくとも1つの導電性ゾーン及び少なくとも1つの絶縁ゾーンを含み、異なる層の前記導電性ゾーンは、前記アノード及びカソード接点手段をそれぞれ前記支持体の前記積層体と反対側の面に接続可能な電気接続経路を形成し、前記絶縁ゾーンは前記電気絶縁手段を形成し、
-前記カプセル化システムは、
ALD、PECVD又はHDPCVDの中から選択される技術によって堆積された、5μm未満、好ましくは2μm未満の総厚みを有する緻密な無機膜、
5μm未満、好ましくは2μm未満の総厚みを有する連続した無機膜、又は、
20μm未満、好ましくは10μm未満の総厚みを有する連続した有機及び無機膜の中から選択され、
-前記機械的補強システムは、
単純なポリマー又は好ましくはエポキシ若しくはアクリレートポリマーであるポリマーマトリックスを有するポリマーからなり得る樹脂及び粒子、フレーク又はガラス繊維からなり得る鉱物フィラーと、
好ましくは、SiO2-B2O3ガラス、Bi2O3-B2O3ガラス、ZnO-Bi2O3-B2O3ガラス、TeO2-V2O5ガラス及びPbO-SiO2ガラスによって形成されるグループから選択される低融点ガラスと、
圧延によって製造されたフィルムとの中から選択され、
-前記単位スタックの前面のうちの1つ(21)を前記電気接続支持体(5)に堅固に接続可能な堅固な接続手段(6)をさらに含み、
-前記堅固な接続手段は、非導電性接着剤(6)の層を含み、
-前記アノード又はカソード電気接点手段は、導電性接着剤を含み、
-前記アノード又はカソード電気接点手段は、金属箔を含む。
【0026】
また、本発明は、上記のような電池式電気化学装置の製造方法に関するものであり、前記製造方法は、
-前記電気接続支持体(5)を前記単位スタックの前記第1前面(12)の近くに配置する工程と、
-前記電気接続支持体(5)の前記2つの離れた領域(56、57)を互いに絶縁する工程と、
-前記単位スタックの前記第1側面(23)を前記電気接続支持体(5)に電気的に接続する工程と、
-前記単位スタックの前記第1側面の反対側の前記第2側面(24)を前記電気接続支持体(5)に電気的に接続する工程と、
-前記不浸透性シール手段をコーティングする工程とを含む。
【0027】
この装置の他の特徴によると、単独で、又は技術的に互換性のある特徴に従って取得されてもよい。
-前記不浸透性シール手段は、前記電気接続支持体が前記単位スタックの前記第1前面の近くに配置された後にコーティングされ、
-前記不浸透性シール手段の少なくとも一部は、前記電気接続支持体が前記単位スタックの前記第1前面の近くに配置される前にコーティングされ、
-前記不浸透性シール手段の少なくとも1つの第1層は、前記電気接続支持体が前記単位スタックの前記第1前面の近くに配置される前にコーティングされ、前記不浸透性シール手段の少なくとも1つの第2層は、前記電気接続支持体が前記第1前面の近くに配置された後にコーティングされ、
-さらに、
複数の前記電気接続支持体(5)を形成することを目的ととしたフレーム(105)を供給する工程と、
前記フレームを複数の単位スタックの前記第1前面の近くに配置する工程であって、前記複数の単位スタックが複数の行及び/又は複数の列に配置されている工程と、
複数の電気化学装置を形成するために、前記複数の単位スタックの縦方向及び/又は横方向に少なくとも1つの切れ目、特に複数の切れ目を入れる工程とを含む。
【0028】
最後に、本発明は、上記のような本体(1002)と、電気化学装置(1)とを含む電気エネルギー消費装置(1000)を対象とし、前記電気化学装置は、前記電気エネルギー消費装置に電気エネルギーを供給することができ、前記電気化学デバイスの前記電気接続支持体(5)は、前記本体に固定されている。
【0029】
本発明は、非限定的な例のみの形で提供される添付図面を参照しながら、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1実施形態による電気化学装置を形成する電池を示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示す本発明による電池を製造するために使用されるフレームを示す俯瞰図である。
【
図3】本発明による電池の製造方法における第1工程を示す俯瞰図である。
【
図4】本発明による電池の製造方法における第2工程を示す俯瞰図である。
【
図5】本発明による電池の製造方法における第3工程を示す俯瞰図である。
【
図6】本発明による電池の製造方法における第4工程を示す俯瞰図である。
【
図7】本発明による電池の製造方法における第5工程を示す俯瞰図である。
【
図8】本発明による電池の製造方法における第6工程を示す俯瞰図である。
【
図9】本明細書の第1工程の終了時に設置された、電池の異なる構成要素を示す縦断面図である。
【
図10】本明細書における第2工程の終了時に設置された、電池の異なる構成要素を示す縦断面図である。
【
図11】本明細書における第3工程の終了時に設置された、電池の異なる構成要素を示す縦断面図である。
【
図12】本明細書における第4工程の終了時に設置された、電池の異なる構成要素を示す縦断面図である。
【
図13】本明細書における第5工程の終了時に設置された、電池の異なる構成要素を示す縦断面図である。
【
図14】本発明の第1実施形態に対する代替実施形態を形成する電池を製造するための支持フレームを示す、
図2と同様の俯瞰図である。
【
図15】
図14に示すフレームから得られ得る、本発明による電池を示す縦断面図である。
【
図16】本発明の第1実施形態に対する別の代替実施形態による電気化学装置を製造するための支持フレームを示す、
図2と同様の俯瞰図である。
【
図17】
図16に示すフレームからから得られ得る、本発明による電気化学装置を示す縦断面図である。
【
図18】本発明による電気化学装置のエネルギー消費装置への統合を示す斜視図である。
【
図19】
図10で説明した方法の工程を実施する代替的な方法を示す縦断面図である。
【
図20】
図11で説明した方法の工程を実施する代替的な方法を示す縦断面図である。
【
図21】本発明の電気化学装置を製造するための方法の追加の工程を示す、
図20と同様の縦断面図である。
【
図22】本発明によるカプセル化システムの代替実施形態を拡大して示す、
図1と同様の前面図である。
【
図23】本発明による複数の電気化学装置の同時製造に使用される積層された層を示す透視図である。
【
図24】
図23に示す積層された層の代替実施形態を示す透視図である。
【
図25】本発明の第2実施形態による導電性支持体を最も単純な構造で示す断面図である。
【
図26】
図25に示す第2実施形態に対する代替実施形態による電気化学装置に属する、エンリッチ構造の導電性支持体の異なる構成要素を示す透視図である。
【
図27】
図26に示す導電性支持体を備える電気化学装置を組み込んだエネルギー消費装置を示す断面図である。
【
図28】第2実施形態による導電性支持体の別の代替実施形態を示す透視図である。
【
図29】第2実施形態による導電性支持体のさらに別の代替的な実施形態を示す、
図28と同様の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の説明から分かるように、本発明による電気化学装置は、本質的に、単位スタックと、電気接続支持体と、アノード及びカソード接点手段と、特に前述のスタックを保護することを目的とした不浸透性シール手段とを備えている。この説明は、前述の支持体の構造に関して、本発明の2つの主要な実施形態と、これらの主要な実施形態に対する異なる代替実施形態とに言及するものである。
【0032】
図1は、本発明の第1主実施形態に対する第1代替実施形態による電気化学装置を示し、これは、全体として参照符号1で示される電池である。この電池は、まず、少なくとも1つの、通常、複数の単位セルによって形成されたスタック2を含む。これらの単位セルの各々は、少なくとも1つのアノード集電基板、少なくとも1つのアノード層、電解質材料又は電解質を含浸させたセパレータの少なくとも1つの層、少なくとも1つのカソード層、及び少なくとも1つのカソード集電基板を順次含む。
【0033】
このスタックは、それ自体既知のタイプのものであり、したがって、本明細書では詳細に説明しない。通常、このスタックは、本明細書中に記載されるように、10~100個の単位セルを含む。このスタック2は、全体として平行六面体であり、6つの面を有する。慣習により、上記の異なる層に対して実質的に平行である、対向するいわゆる前面又は端面は、まず参照符号21及び22で示される。いわゆる前部前面は参照符号21で示され、以下に見られるように、支持体が固定されることを可能にする、いわゆる後部前面は、参照符号22で示される。スタック2はまた、4つの側面23~26を画定し、これらは対になって平行かつ互いに対向している。
【0034】
本発明による電池1は、全体として参照符号5で参照される支持体をさらに含む。この支持体5は、概して平面であり、通常、300μm未満、好ましくは100μm未満の厚さを有する。この支持体は、有利には、導電性材料、通常、金属材料、特にアルミニウム、銅、又はステンレス鋼でできており、金、ニッケル及びスズの薄層によってその溶接性を改善するためにコーティングされ得る。支持体の前面にはそれぞれ参照符号51が付与され、スタック2に面し、反対側の後面には参照符号52が付与される。
【0035】
この支持体は有孔である、すなわち、中央ベースプレート55と2つの対向する横方向のストリップ56及び57とを区切る空間53及び54を有する。したがって、この支持体の異なる領域55、56及び57は、互いに電気的に絶縁されている。特に、以下に見られるように、横方向のストリップ56及び57は、互いに電気的に絶縁され、電池に属する接点部材に接続され得る領域を形成する。示されている例では、電気絶縁は、以下に見られるように、補強材で充填された空の空間53及び54を提供することによって達成される。又は、これらの空間は、例えばポリマー、セラミック又はガラスなどの非導電性性材料で充填され得る。
【0036】
示されている例では、支持体とスタックは、層6によって互いに接続されている。後者は、通常、非導電性接着剤、特にエポキシ又はアクリレートタイプによって形成される。又は、支持体とスタックは、溶接(図示せず)によって互いにしっかりと固定され得る。この層6の厚さは、通常、5~100μmの間で構成され、特に約50μmに等しい。支持体5の主平面によれば、この層は、前述の空間53及び54を少なくとも部分的に覆い、以下に詳細に説明するように、アノード及びカソード接点部材を互いに絶縁する。
【0037】
支持体5は、上記のスタック2に電気的に接続されているという点で、追加の電気接続機能を提供する。示されている例では、この電気接続は、パッド30及び40によって調達され、それぞれアノード及びカソード接点部材を形成している。これらのパッド30及び40は、適切な導電性材料、特に、例えば、グラファイト接着剤、金属ナノ粒子(Au、Cu、Alなど)で充填された接着剤などの導電性接着剤でできている。金属フィラーは、アノードとカソードで異なり得る(通常、カソードの場合はAl、アノードの場合はCu)。このような場合、これらのパッドは、初期の電気接続機能を提供するだけでなく、スタックと支持体の間に強固な機械的接続を生成する追加機能も提供する。
【0038】
又は、これらのパッド30及び40は、溶接などの導電性接着剤とは異なる材料で作られ得る。示されている例では、これらのパッドは三角形の形状で図式的に示され、その厚さは支持体の方向に増加している。それにもかかわらず、代わりに、これらのパッドは、異なる形状、特に一定の厚さを有し得る。
【0039】
本発明による電池は、全体として参照符号7で参照されるカプセル化システムをさらに備える。このカプセル化システム7は、最初に、スタックの前部前面を覆う中央ゾーン70を含む。この中央ゾーンは、電気接続パッド30及び40を覆う中間領域又はフランジ71及び72によって両側に有利に延長される。最後に、これらの中間領域は、やはり有利には、支持体5の前部前面の一部を覆う端部又はリップ73及び74によってそれ自体が延長される。
【0040】
図1は、上記のように、電池の縦断面を示している。図示されていない断面図から、カプセル化システムは、接点部材20、30を備えていないスタックの側面15及び16を覆う。このカプセル化システムは、この断面図によれば、支持体の前部前面の少なくとも一部をさらに覆う。
【0041】
このカプセル化システム7は、不浸透性シール機能を提供する任意の材料で作られ得る。本発明の目的のために、この機能は、好ましくは10-5g/m2・d未満の水蒸気透過率(「WVTR」)を有する任意のカプセル化システムによって提供される。例えば、以下のものが堆積させられ得る。
-ALD、PECVD、HDPCVDによる、厚さ5μm未満、好ましくは2μm未満の緻密な無機膜。無機膜は、SiO2、Si3N4、SiC、アモルファスSi又はAl2O3で成膜され得る。
-総厚み5μm未満、好ましくは2μm未満の連続した無機膜。無機膜は、SiO2、Si3N4、SiC、アモルファスSi又はAl2O3を任意の乾式又は湿式技術(PECVD、PVD、ALD、スプレーコーティング+UV変換、ゾルゲルなど)で成膜され得る。
-厚さ20μm未満、好ましくは10μm未満の連続した有機及び無機膜。無機膜は、SiO2、Si3N4、SiC又はアモルファスSiを乾式又は湿式技術(PECVD、PVD、ALD、スプレーコーティング+UV変換、ゾルゲルなど)成膜され得る。有機膜は、ポリマー(PVDF、パリレン、アクリレートなど)であり得る。
【0042】
最後に、本発明による電池は、全体として参照符号8で参照される補強システムをさらに備える。この補強システムは、支持体5と反対側のカプセル化システム7全体を覆っている。さらに、支持体5の少なくとも一部、有利には、示されている例のように、支持体5の前面全体を覆っている。
【0043】
本質的な不浸透性基準を保証するためには、電池の正しい動作に潜在的に有害な構成要素が、アノード及びカソードの単位スタックにアクセスし得ないことが保証されなければならない。言い換えれば、本発明によれば、これは、その有害な構成要素のための潜在的な「ゲートウェイ」を防止することを含む。この目的のために、封止材7は、有利には、支持体5内の自由空間53、54も占有する。補強材8はまた、封止材に密接に連結されることによって、これらの自由空間を有利に満たすことに留意されたい。
図1では、参照符号7、8及び53、54は、これらの様々な材料による充填を視覚化するために、これらの自由空間に対応する同じゾーンに配置されている。
【0044】
この補強システム8は、この機械的補強機能を提供する任意の材料で作られ得る。このことを念頭に置いて、例えば樹脂を選択し得、これは単純なポリマー又は無機フィラーで充填されたポリマーからなり得る。ポリマーマトリックスは、例えばエポキシ、アクリレート又はフッ素化ポリマー群からなり得、フィラーは、粒子、フレーク又はガラス繊維によって形成され得る。有利なことに、この補強システム8は、追加の水分バリア機能を提供し得る。このことを念頭に置いて、例えば、低融点ガラスを選択して、機械的強度を確保し、追加の水分バリアを提供し得る。このガラスは、例えば、SiO2-B2O3、Bi2O3-B2O3、ZnO-Bi2O3-B2O3、TeO2-V2O5又はPbO-SiO2群からなり得る。
【0045】
本明細書で示すように、カプセル化システム7の厚さは、有利には非常に薄く、特に20μm未満、好ましくは10μmに等しい。通常、補強システム8は、カプセル化システム7よりもはるかに厚い。
図1を参照すると、スタックの前面を覆うこの補強システムの最小の厚さは、参照符号E8で示される。有利には、この厚さE8は、20~250μm、通常、約100μmに等しい厚さで構成される。
【0046】
図1に示すように、本発明による電池1は、概して平行六面体の形状である。スタック2との類推により、その前面及び後面は参照符号11及び12で示され、その異なる側面は参照符号13~16で示される。非限定的な例として、電池の厚さE1は、例えば、0.5~2.5mmの間で構成され、一方、その横方向の寸法L1、l1は、例えば、1~4mmの間で構成される。
【0047】
動作時、従来の方法では、電気エネルギーは、単位スタックでの電気化学的変換によって生成される。このエネルギーは、接点部材を介して、支持体50の導電性領域55及び56に伝達される。これらの導電性領域は互いに絶縁されているため、短絡のリスクはない。この電気エネルギーは、次に、領域56及び57から任意の適切なタイプのエネルギー消費装置に向けられる。
図18では、このエネルギー消費装置は、図式的に表され、参照符号1000で示される。これは、本体1002を含み、その上に支持体の下面が載っている。この本体1002と支持体5との間の相互固定は、任意の適切な手段によって達成される。
【0048】
装置1000は、エネルギー消費要素1004と、支持体5の領域56、57をこの要素1004に電気的に接続する接続線1006、1007とをさらに備える。その制御は、
図16を参照して以下に説明する実施形態による電池自体の構成要素、及び/又は装置1000に属する図示しない構成要素によって提供され得る。非限定的な例として、このようなエネルギー消費装置は、増幅器タイプの電子回路、クロックタイプの電子回路(リアルタイムクロック(RTC)部品など)、揮発性メモリタイプの電子回路、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)タイプの電子回路、マイクロプロセッサタイプの電子回路、ウォッチドッグタイマータイプの電子回路、液晶ディスプレイタイプの部品、LED(発光ダイオード)タイプの部品、電圧レギュレータタイプの電子回路(低ドロップアウトレギュレータ回路(LDO)など)、又はCPU(中央処理装置)タイプの電子部品とし得る。
【0049】
次に、
図2~
図13を参照して、上記の
図6で説明した電池1を製造するための方法の異なる工程を説明する。この方法を実施するために、有利には支持フレーム104が使用され、これは複数の支持体4を形成することを目的としている。
図2に大きく示されているこのフレーム104は、周縁150を有するとともに、複数のプリフォーム151を有し、その各々が、1つの各々の電池を製造することを可能にする。図示の例では、3つの行と4つの列に分割された12個の互いに同一のプリフォームが表示され得る。代わりに、そのようなプリフォームの異なる数のフレームも使用され得る。
【0050】
各プリフォームは、ベースプレート55を形成することを目的とした中央領域155と、ストリップ56及び57をそれぞれ形成することを目的とした2つの横方向のブロック156及び157とを含む。領域とブロックは、空間53及び54を形成するための溝153及び154によって互いに分離されている。異なるプリフォームは、それぞれ異なる水平ロッド158及び垂直ロッド159によって、互いに対して及び周辺エッジに対して固定されている。
【0051】
図3及び
図9に示されている第1工程では、層6を形成することを目的とした各領域155上に、用量106の非導電性接着剤が堆積される。次に、パッド30及び40を形成することを目的とした導電性接着剤のそれぞれの用量130及び140が、各横方向のブロック156、157に堆積される。この第2工程は、
図4及び
図10に示される。
図5及び
図11に示す第3工程では、異なるスタック2が異なる用量106、130及び140上に配置されている。これらのスタックは、領域145及びブロック146、147に関連して、ベースプレート45及び最終ストリップ46、47に対して採用しなければならない正確な位置に配置される。
【0052】
図6及び
図12に示す第4工程では、材料107を堆積させて、異なるカプセル化システム7を形成する。次に、
図7及び13に示す第5工程では、異なる補強システム8を形成するために材料108が堆積される。最後に、
図8に示すように、複数の電池の異なる構成要素が配置されたフレーム140に切断が行われる。異なる切断線は点線で示され、一方では、電池の縦方向の寸法における切断のための基準Dが与えられ、他方では、その横方向の寸法における切断のための基準D’が与えられている。フレームの2つの寸法において、特定のゾーンRとR’は廃棄されることを意図されていることに留意されたい。
【0053】
図14及び
図15は、上述で説明した本発明の第1実施形態に対する代替実施形態を示す。
図14及び
図15では、
図1~
図13に示されたものと同様の機械的要素には、200ずつ増加した同じ参照符号が付与されている。
図15に示す電池201は、特にその接続支持体205の構造により、先の図面の電池1とは異なっている。より正確には、この支持体205は、先の図面における55のような中央ベースプレートを有していない。したがって、この支持体は、2つの横方向のストリップ256及び257を含み、これらは、その互いの絶縁を保証する空間253によって分離されている。
【0054】
その結果、この電池201は、非導電性接着剤層6も欠落している。これらの条件下で、カプセル化システム207は、有利には、スタック202の後面も覆う。さらに、補強システムは、この後面の全部又は一部も占める。本明細書で述べたように、封止材及び補強材は、前述の空間253において部分的に密接に混合される傾向がある。
【0055】
図15と同様の複数の電池の作成を可能にする支持フレーム305は、
図14で見ることができる。このフレーム305は、それが含むプリフォーム351が中央領域を有しない点でフレーム105と異なる。横方向のストリップ256及び257の最終形成を可能にするブロックは、参照符号356及び357で示されており、これらのブロック356及び357を分離する溝は、参照符号353で示されてきた。電池201の製造方法は、電池1を参照して本明細書で上述した方法と大まかに類似している。主な違いは、この方法には非導電性接着剤を堆積させる工程が含まれていないという事実にある。
【0056】
スタック、接点部材及び支持体の一部を覆うカプセル化システムの存在により、電池に十分な不浸透性がもたらされる。さらに、追加の補強システムの存在は、さらなる利点をもたらす。したがって、この補強システムは、追加のガスバリア機能をオプションで組み合わせて、機械的及び化学的保護機能を提供する。
【0057】
図16及び
図17は、本発明の第1実施形態による電気化学装置の追加の代替実施形態を示す図である。
図16及び
図17では、
図1~
図13に示されたものと同様の機械要素には、400ずつ増加した同じ参照符号が付与されている。
図17に見える電気化学装置401は、特に、追加の電子部品を含むという点で、本明細書の電池1及び201と異なる。参照符号409で示される後者は、任意の適切なタイプのものである。例えば、それは、LDO(「低ドロップアウトレギュレータ」)タイプの部品とし得る。それ自体が既知の方法で、この部品の機能は、電池の電位を調整することである。
【0058】
図示しない代替実施形態によれば、本発明による電気化学装置は、複数の追加の電子部品を含み得る。通常、複雑な電子機能を備えたミニ回路の製造が想定され得る。このような観点から、RTC(「リアルタイムクロック」)モジュール又は環境発電モジュールが使用され得る。また、上記の
図18に示される電池を制御することができ、エネルギー消費装置を統合した電子部品も提供され得る。
【0059】
構造的に、スタック402は、導電性接着剤層430及び440を介して、支持体の横方向のストリップ456及びベースプレート457上に載っている。このストリップは、空間453によってこのベースプレートから電気的に分離されている。さらに、LDO構成要素は、追加の導電性接着剤層492、493を介して、一方では前述の領域457上に、他方では支持体の横方向のストリップ490上に載っている。この領域とこのストリップ490は、空間491によって互いに絶縁されている。
【0060】
図17の電気化学装置401と同様の複数の電気化学装置を製造することを可能にする支持フレーム505を
図16に示す。このフレーム505は、特に、中央ベースプレート557と、2つのブロック556及び590とを有する点で、フレーム105と大まかに類似している。電気化学装置401の製造方法は、電池1の製造に関連して本明細書で上述した方法と大まかに類似している。主な相違点は、まず第一に、電気化学装置400の製造が、ある用量の非導電性接着剤の堆積を伴わないという事実にある。さらに、この装置401の製造は、異なる層430、440、492、493を形成することを目的とした複数の用量の導電性接着剤の堆積を伴う。
【0061】
図示しない代替実施形態によれば、本発明による電池は、参照符号8を付与されるような補強システムがないように提供され得る。この代替実施形態は、特に、高い機械的強度を有するカプセル化システム7の場合に適用され得る。補強システムのないこのような電池は、そのままエンドユーザーに提供され得る。したがって、後者は、電池をそのまま使用するか、又は必要に応じてこの電池を補強システムで覆うかを選択し得る。
【0062】
図22に示される追加の代替実施形態によれば、カプセル化システム7は、
図1に示すものよりも小さい寸法を有するように提供されている。そのような場合、フランジ71は、この不浸透性シール機能を確実にするために、支持体5の反対側の表面と直接接触する。
【0063】
上記の方法では、カプセル化されていないスタック2が導電性支持体5上に配置され、このスタックがカプセル化システムで、次に補強システムで連続的にコーティングされる。又は、既にカプセル化されているスタックを支持体上に配置し得る。したがって、このカプセル化されたスタックをそのままにするか、又は当該スタックを「再カプセル化」することが可能である。
【0064】
図19を参照すると、既にカプセル化された、すなわち最上層70及び最下層71からなる封止材7で覆われたスタック2が、図式的に示されている。このカプセル化は、箔の前面及び後面にそれぞれ位置する目に見えない横方向の層をさらに含む(後者の層については、点線の参照符号72を参照されたい)。さらに、スタックの他の2つの面は、接点部材30、40によって覆われている。
【0065】
まず、
図19のカプセル化されたスタックが備える接点部材30、40を構成する材料は、上記の基準に従って不浸透性シール機能を提供することが可能であることが仮定される。このような材料は、例えば、導電性ガラスであり、場合によっては金属粉末を充填したものであり、例えば、Koartan社から4101 Viafill Gold Conductor Pasteという名称で販売されている製品を使用し得る。
【0066】
このような場合、
図19及び
図20に示すように、スタック2、封止材7及び接点部材30、40によって形成されるアセンブリは、追加のカプセル化なしで支持体5上に配置され得る。この点で、このアセンブリ2、7、30、40は、カプセル化と接点部材の性質のおかげで、完全に不浸透性であることに留意されたい。このようにして、スタック2は、潜在的に有害な気体の侵入から保護される。
【0067】
図19及び
図20は、電気的導通を確保しながら接点部材を支持体に固定するために用いられる導電性接着剤パッド31、41が示されている。非導電性接着剤の層6も示されており、これは前述のパッド31、41の間に挟まれる。
図19は、
図4及び
図10と同じ方法の工程を示し、一方、
図20は、
図5及び
図11と同じ方法の工程を示すことに留意されたい。図示されていない1つの可能性は、
図8に示されたものと同様の周辺補強システムを続いて堆積させることを提供する。
【0068】
ここで、上記アセンブリ2、7、30、40が不浸透性でないことが仮定される。これは、通常、接点部材30及び40が、本発明の範囲内で理解されるように、不浸透性でない材料で作られている場合に生じる。このような場合、
図19及び
図20を参照して上記で説明したものと同じ工程が繰り返される。次に、
図21に示すように、いわゆる追加のカプセル化層7’が堆積される。
【0069】
第1実施形態の説明で示したように、本発明は完全な不浸透性を保証する。この不浸透性が
図21の接点部材30、40によって提供され得ない場合、この層7’は有害な成分のゲートウェイを形成し得るすべてのゾーンを占めなければならない。この目的のために、この層は、最初に電池の上部と側面の周囲に配置される。さらに、この追加の封止材は、封止層71と支持体5との間の中間空間、及び自由空間52及び53も占有する。
【0070】
この占有は、
図21で参照符号7’を用いて何度か示されている。カプセル化が行われると、
図21には示されていないが、電池は補強システムによって覆われ得る。このような場合、特に
図15を参照して説明したように、これらの補強材及び封止材は、密接に混合することが可能である。
【0071】
有利には、それ自体が既知であるように、上記で説明したような複数の単位スタックは、同時に製造され得る。これは、本発明による電池を製造するための方法全体の効率を高める。特に、カソード及びアノード層又は箔が交互に連続して形成される、大きな寸法を有するスタックが製造され得る。
【0072】
各アノード又はカソード箔の物理化学的構造は、例えば本出願人が出願した仏国特許発明第3091036号明細書で知られているタイプのものであるが、本発明の範囲には含まれないので、簡単にのみ説明する。各アノード又はカソード箔は、各アノード活性層又はカソード活性層を含む。これらの各活性層は、固体であり得、すなわち、それらは緻密又は多孔性の性質を有し得る。さらに、2つの隣接する箔間の電気的接触を防止するために、電解質層又は液体電解質を含浸させたセパレータが、これら2つの箔の少なくとも一方に、反対側の箔に接触して配置される。本発明を説明する図面には示されていないが、電解質層又は液体電解質を含浸させたセパレータは、反対の極性の2つの箔、すなわち、アノード箔とカソード箔との間に挟まれている。
【0073】
これらの層は、異なる最終電池間の分離を可能にする、いわゆる空白ゾーンを定義するようにくぼんでいる。本発明の範囲内では、これらの空白ゾーンに異なる形状が割り当てられ得る。本出願人が仏国特許発明第3091036号明細書で既に提案しているように、これらの空白ゾーンはH型にし得る。添付の
図23は、アノード箔又は層1101とカソード箔又は層1102との間のスタック1100を示す。この図面に示すように、これらの異なる箔に切り込みを入れて、前記H型のアノード1103及びカソード1104の空白ゾーンを形成している。
【0074】
又は、これらのフリーゾーンは、I型であり得る。添付の
図24は、アノード箔又は層1201とカソード箔又は層1202との間のスタック1200を示す。
図24に示すように、これらの異なる箔に切り込みを入れて、前記I字型のアノード1203及びカソード1204の空白ゾーンを形成する。
【0075】
好ましくは、異なる単位スタックの製造が完了すると、所定の電池の各アノード及び各カソードは、任意の電極材料、電解質及び/又は電流伝導性基材のない空間によってそれぞれの二次体から分離された、それぞれの一次体を含む。図示しない追加の代替実施形態によれば、空白ゾーンは、その形状がH又はI型とは異なる、例えばU型であるように提供され得る。それにもかかわらず、H又はI型が好ましい。
【0076】
単位スタックが本明細書で上述したような層を用いて同時に製造される場合、各単位スタックは、任意にカプセル化層で覆われ得、それ自体は、任意に補強層で覆われ得る。異なる切断がなされると、カプセル化層は、複数のカプセル化システムを製造することを可能にし、一方、補強層は、複数の補強システムを製造することを可能にする。特に補強層の存在により、鋸で切断する際に異なる要素の完全性を維持することができる。しかし、レーザー切断の場合、この補強層は不要となり得る。
【0077】
上記の説明から分かるように、本発明の第1の主実施形態は、単層支持体である導電性支持体の使用を伴う。一例として、この単層支持体は、金属グリッドのような穴あきタイプであり得る。
【0078】
次に、第2の主実施形態に対する4つの代替実施形態が、
図25以降を参照して説明されるが、この場合、導電性支持体は、多層支持体である。この多層支持体は、特に本明細書で説明した金属グリッドが穴あきタイプであるのとは対照的に、固体タイプである。
図25以降では、
図1~
図13と同様の機械要素に、それぞれ600、700、800、900で増した同じ参照符号が割り当てられている。
【0079】
図25は、まず、最も基本的な構造の多層支持体605を示す。この支持体は、例えば、ポリマー材料で作られた2つの別々の層656及び658によって形成されている。これらの各層の主平面は、スタックを形成する異なる層の平面と実質的に平行である。したがって、この支持体の構造は、プリント回路基板(PCB)の構造に類似している。
【0080】
各層656、658は少なくとも1つの金属インサートを統合し、すなわち最上層656は2つの別個のインサート657を統合し、一方、最下層658は2つの他の別個のインサート659を統合している。これらのインサートは、電気接続経路653及び654を形成するために、対で互いに接触して配置される。
図25に図解的に示されているように、各電気接続路653、654は、それぞれの接点部材を、
図25に示されていないエネルギー消費装置上に配置される支持体605の底面と接続するためのものである。
【0081】
図26及び
図27は、この第2の主実施形態の一部を形成する有利な代替実施形態を示す。まず、
図26に示すように、支持体705は、上下に配置された複数の層によって形成されており、この例示的な実施形態では、そのうちの5つが示されている。
【0082】
図面は、上から下に、電池スタックが堆積される層756を示す。この層756は、主にエポキシ樹脂などのポリマー材料でできており、2つのインサート757を備えている。これらは、導電性材料、特に金属材料で作られており、電池のアノード接点及びカソード接点とそれぞれ協働するように設計されている。これらのインサート757は、層756のエポキシ樹脂のおかげで、互いに絶縁されていることに留意されたい。
【0083】
層756の直下には、同じくエポキシ樹脂などのポリマー材料からなる層758がある。この層758は、導電性材料からなる2つのインサート759を備えており、これらは、第1インサート757と電気的に接触させられる。層756と同様に、これらのインサート759は、互いに絶縁されている。
【0084】
次いで、上述で説明した層756及び758とは大きく異なる中央層760が存在する。より具体的には、この層760は、ガラス又は無機層で作られ得るバリア材料で作られており、通常、上述で説明したインサート757及び759を形成するものと同様である。この層は、絶縁材料、特に上述で説明したようなエポキシ樹脂で作られた2つのリング状のインサート761を備えている。これらのインサート761は、その中空中央部に、隣接する導電性インサート759と接触するように配置された導電性材料からなるディスク762を受け入れる。これらの導電性ディスク762は、リング761を介して互いに絶縁されていることに留意されたい。
【0085】
最後に、
図26及び
図27の最下層764及び766が存在し、これらはそれぞれ、上述で説明した層758及び756と同じである。層764は、ディスク762と接触する、2つのインサート765を備え、一方、最下層766は、前述のインサート765と接触する、2つのインサート767を備えている。
【0086】
図27でより特に示すように、異なる導電性インサート757、759、762、765及び767は、参照符号753、754が与えられた導電性経路を画定している。層756、758、764、及び766又はディスク761によって互いに絶縁されているこれらの導電性経路は、支持体705の反対側の前面が電気的に接続されることを可能にする。支持体705が供給されると、それは単位スタック702の底面に対して配置され、次に、
図2~
図12を参照して上述で説明したものと同様の工程が実行される。
【0087】
図27は、接点パッド730、740及び封止材707を示す。この第2実施形態では、補強システムは、第1実施形態の補強システム8と異なり得る。保護フィルム708は、特に、ラミネーション工程によって堆積させられ得る。バリア特性を有するこのようなフィルムは、例えば、無機多層を組み込んだポリエチレンテレフタレート(PET)で作られており、このような適切な製品は、Ultra Barrier Film 510又はUltra Barrier Solar Films 510-Fという名称で会社3Mから商業的に入手することが可能である。
【0088】
図27はさらに、エネルギー消費装置1000上で、支持体705、スタック702、導電性パッド730及び740、封止材707及びフィルム708を統合した状態を示している。第1実施形態と同様に、スタック702で発生したエネルギーは、接点部材730及び740を介して、上部インサート757に伝達される。そして、このエネルギーは、上述で説明した接続経路753、754に沿って、エネルギー消費装置1000に伝達される。
【0089】
図28及び29は、この第2実施形態に対する他の2つの代替実施形態を示す。
図26及び
図27に示される代替実施形態と同様に、
図28及び
図29の代替実施形態も、大部分が導電性材料でできている中央層860、960を統合する。導電層860は、長方形の形状である2つの中空インサート861を備え、その各々が中央の金属インサート862を受け入れる。対照的に、導電層960は、インサート961の材料963のブリッジによって互いに絶縁された2つの金属インサート962を収容する単一の中空インサート961を備えている。
【0090】
しかし、これらの
図28及び29に示される支持体805及び905は、そのような5つの層ではなく、3つの層によって形成されているという点で前述の支持体705とは異なる。より具体的には、それらは、中央層860、960の両側に配置された2つの絶縁層、856、956及び866、966のみを含む。これらの2つの代替実施形態では、
図25~
図27に示される前述の代替実施形態のように、支持体の反対側の前面を接続する導電性経路853、953及び854、954が存在する。
【0091】
図25~
図29を参照して示される本発明の第2実施形態は、特定の利点を有する。より具体的には、605~905などの多層支持体は、非常に薄い厚さを有し、有利には100μm未満である。さらに、そのような支持体は、一定の柔軟性を有するので、本明細書の冒頭で「呼吸」と呼ばれる電池の寸法のわずかな変化に対応し得る。
【0092】
第1実施形態と同様に、この第2実施形態に適合する複数の電池、特に
図26及び
図27の電池701が同時に製造され得る。この目的のために、大型の多層フレームを使用して、複数の行及び複数の列の支持体705を形成し得る。したがって、接点部材730、740及びカプセル化システム707の複数のスタック702は、このフレームに適用される。複数のフィルム708を形成するために、補強フレームも圧延によって堆積される。最後に、
図14を参照して説明したのと同様に、各個別の電池の縦方向と横方向の両方の寸法に切り込みを入れる。
【0093】
第1実施形態と同様に、スタック702などのこの第2実施形態のスタックは、異なる代替実施形態によれば、支持体705などのその導電性支持体上に配置され得る。上述で説明したように、この非コーティングスタックは、まず、支持体上に配置され得、その後、封止膜及び任意に補強膜が適用され得る。不浸透性の方法で既にコーティングされたこのスタックは、追加の操作を行うことなくその支持体上に配置され得る。この可能性は、
図19及び
図20に開示されたものと比較される。最後に、コーティングされたスタックは、支持体上に配置され、さらにカプセル化が行われ得る。この可能性は、
図21に開示されたものと比較される。
【0094】
追加の、特に有利な代替実施形態によれば、直列又は並列に接続された複数の電池を同じ支持体上に配置し得る。したがって、これらの電池は、一般的なカプセル化システムの下に配置される。電池を並列に組み合わせることは既に知られているが、従来技術によれば、電池の総厚さは、切断の可能性によって工業的に制限される。本発明によれば、より薄い2つの電池を切断し、それらを同じカプセル化システムの中で互いに接続することによって、電池の容量を増加させ得る。これは、2つの別々のカプセル化システムを製造するよりも低コストである。
【0095】
同様に、特定の電子回路は、単位セルによって供給される電圧よりも高い動作電圧を必要とする。本発明によれば、2つ以上の電池を同じカプセル化システム下で直列に接続し得る。
【0096】
別の実施形態によれば、マイクロバッテリーとスーパーキャパシタ及び/又は並列に接続されたキャパシタとを同一のカプセル化システム下で組み合わせ得る。好ましくは、このような組み合わせでは、キャパシタ及び/又はスーパーキャパシタの動作電圧は、電池の最大電圧よりも高い。2つの構成要素が並列に取り付けられているため、マイクロバッテリーはキャパシタを充電し、これにより、電流需要が最大のときに電池の電流供給を補助し得る。このマイクロバッテリーは、好ましくは、充電可能である。
【0097】
別の実施形態によれば、並列に取り付けられる構成要素は、異なる化学組成、異なる電圧の2つのマイクロバッテリーとし得る。これらのマイクロバッテリーはいずれも充電可能であるが、一次電池と二次電池との組み合わせ、例えば、大容量の一次電池と小型で高出力の二次電池を組み合わせることも可能である。
【0098】
本発明による電池は、リチウムイオンマイクロバッテリー、リチウムイオンミニバッテリー又は高出力リチウムイオン電池とし得る。特に、
-約1mAh以下の電力(一般に「マイクロバッテリー」と呼ばれる)、
-又は、約1mAhを超え約1Ahまでの電力(一般に「ミニバッテリー」と呼ばれる)、
-又は、1Ahを超える電力(一般に「高出力電池」と呼ばれる)を有するように設計され、寸法決めされ得る。
【0099】
通常、マイクロバッテリーは、マイクロエレクトロニクスの製造方法と互換性があるように設計されている。
【0100】
これらの3つの出力範囲のそれぞれの電池は、
-「固体」タイプの層、すなわち、含浸された液相又はペースト相を含まないもの(前記液体又はペースト相は、電解質として機能することができるリチウムイオン導電媒体であり得る)、
-又は、液相又はペースト相、通常、リチウムイオン導電媒体が含浸されたメソポーラス「固体」タイプの層であって、自発的に層に浸透してそこからもはや出現しないため、層は準固体と見なされ得る層、
-又は、含浸多孔質層(すなわち、液相又はペースト相を含浸させ得る開気孔のネットワークを備えた層で、これらの層に湿潤特性を与える)で製造され得る。
【国際調査報告】