(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】リチウムイオン電池、特に高出力電池の製造方法、及びその方法により得られた電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20230220BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20230220BHJP
H01M 10/0569 20100101ALI20230220BHJP
H01M 50/54 20210101ALI20230220BHJP
H01M 50/103 20210101ALI20230220BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/052
H01M10/0569
H01M50/54
H01M50/103
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538937
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(85)【翻訳文提出日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 IB2020062399
(87)【国際公開番号】W WO2021130697
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2020-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514110783
【氏名又は名称】アイ テン
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ギャバン,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ケイルフルク,イアン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA04
5H011AA09
5H011CC02
5H011CC05
5H011CC10
5H011KK02
5H029AJ06
5H029AJ14
5H029AM02
5H029AM07
5H029BJ12
5H029CJ03
5H029CJ04
5H029DJ05
5H029DJ14
5H029EJ01
5H029HJ02
5H029HJ03
5H029HJ04
5H029HJ12
5H029HJ14
5H043AA03
5H043AA12
5H043AA19
5H043BA19
5H043CA13
5H043EA36
5H043HA04E
5H043HA05E
5H043HA32E
5H043JA02E
5H043JA03E
5H043KA11E
5H043LA01E
5H043LA02E
5H043LA21E
(57)【要約】
本発明は、耐用年数を改善する単一のアノード及びカソード導電手段を含む新規の高出力電池構造に関する。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交互に配置された少なくとも1つのアノード(3)及び少なくとも1つのカソード(1)を含む電池(100)であって、
前記電池は、少なくとも1つのアノード接続領域と該アノード接続領域に対して横方向の反対側に設けられた少なくとも1つのカソード接続領域を含む側辺(101、102)と、長手方向辺(103、104)とを含み、
前記アノード(3)は、
集電基材と、
少なくとも1つのアノード層と、
任意に、電解質材料の層又は電解質に含浸されたセパレータの層とを含み、
前記カソード(1)は、
集電基材と、
少なくとも1つのカソード層と、
任意に、電解質材料の層又は電解質に含浸されたセパレータの層とを含み、
前記電池は、前記少なくとも1つのアノード層、前記少なくとも1つの電解質材料の層又は電解質に含浸されたセパレータの層、及び前記少なくとも1つのカソード層によって連続的に形成された単位スタックを含み、
前記アノードのそれぞれ及び前記カソードのそれぞれは、電極材料、電解質及び集電基材が無い空き領域(113、133)により第2の主要部(112、132)から分離された第1の主要部(111、131)を含み、前記空き領域は前記電池の対向する前記長手方向辺(103、104)を接続し、
前記アノードのそれぞれ及び前記カソードのそれぞれは、上方から見て、前記第1の主要部に形成された少なくとも1つの第1のスルーホール(51、53)及び前記第2の主要部に形成された少なくとも1つの第2のスルーホール(52、54)を含み、前記カソードの前記第1の主要部に形成された前記第1のスルーホール(51)のそれぞれは、前記アノードの前記第2の主要部に形成された前記第2のスルーホール(54)のそれぞれに連続するように延びており、互いに連続して延びるこれらのスルーホール(51、54)は前記電池の一端から他端までを通る第1の通路(61)を形成し、前記アノードの前記第1の主要部に形成された前記第1のスルーホール(53)のそれぞれは、前記カソードの前記第2の主要部に形成された前記第2のスルーホール(52)のそれぞれに連続するように延びており、互いに連続して延びるこれらのスルーホール(53、52)は前記電池の一端から他端までを通る第2の通路(63)を形成し、
前記電池は、前記第1の通路(61)に設けられた少なくとも1つのカソード導電手段(71、71’、71’’)、及び前記第2の通路(63)に設けられた少なくとも1つのアノード導電手段(73、73’、73’’)をさらに含み、前記アノード導電手段(73、73’、73’’)は、前記少なくとも1つのアノード接続領域に向かって流れる前記電池の電流の少なくとも一部を収集でき、前記カソード導電手段(73、73’、73’’)は、前記少なくとも1つのカソード接続領域に向かって流れる前記電池の電流の少なくとも一部を収集できることを特徴とする電池。
【請求項2】
前記通路のそれぞれは、対向する前記側辺(101、102)から距離を空けて延びている、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記通路(61)のそれぞれと前記対向する側辺との間の最も短い距離(D
59/D
56)は、0.04mm~1.95mmである、請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記通路のそれぞれは前記側辺(401、402)に直接に形成され、前記カソード導電手段又は前記アノード導電手段は前記側辺と面一に形成され且つ半円筒形状を有する、請求項1に記載の電池。
【請求項5】
前記アノード導電手段及び前記カソード導電手段は、互いに依存することなく、
導電材料からなるバー、
締り嵌め金属ロッド、
導電性シース材料に囲まれた金属ロッド、
のうちから選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の電池。
【請求項6】
前記バー又は前記金属ロッドの2つの対向する端部には、締付ヘッドが設けられている、請求項5に記載の電池。
【請求項7】
少なくとも部分的に導電からなる電気接続支持体と、
電気接続パスを形成する前記電気接続支持体の異なる2つの領域を互いに絶縁させる絶縁手段と、をさらに含み、
前記カソード導電手段は第1の電気接続パスと電気的に接触され、前記アノード導電手段は第2の電気接続パスと電気的に接触される、請求項1~6のいずれか1項に記載の電池。
【請求項8】
前記電気接続支持体は、単一層型であり、特に金属グリッド又はシリコン中間層である、請求項7に記載の電池。
【請求項9】
前記電気接続支持体は、上下方向に配置された複数層を含み、特にプリント回路基板型である、請求項7に記載の電池。
【請求項10】
前記空き領域の横方向寸法又は幅(L
113)は、0.01mm~0.5mmである、請求項1~9のいずれか1項に記載の電池。
【請求項11】
前記第2の主要部の横方向寸法又は幅(L
112)は、0.05mm~2mmである、請求項1~10のいずれか1項に記載の電池。
【請求項12】
前記空き領域に対向する前記カソード及び前記アノードのそれぞれの前記第2の主要部の自由面(112’、132’)は、前記アノード及び前記カソードのそれぞれの前記第1の主要部の自由面(131’、111’)と面一である、請求項1~11のいずれか1項に記載の電池。
【請求項13】
前記電池の6面のうちの4面を覆い且つ他の2面を部分的に覆う封止システムを含み、前記他の2面は、対向し、前記少なくとも1つのアノード接続領域及び前記少なくとも1つのカソード接続領域を含む前記電池の前記第1の通路(61)及び前記第2の通路(63)に対して実質的に垂直である、請求項1~12のいずれか1項に記載の電池。
【請求項14】
前記封止システムは、
パリレン、パリレンF、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン、ポリアミド、ゾルゲルシリカ、有機シリカ及び/又はそれらの混合物から好ましくは選択され、前記電池に堆積された少なくとも1つの第1のカバー層と、
原子層堆積、PECVD、HDPCVD又はICP CVDにより前記少なくとも1つの第1のカバー層に堆積された絶縁材料からなる少なくとも1つの第2のカバー層とを含み、
前記少なくとも1つの第1のカバー層及び前記少なくとも1つの第2のカバー層の連続はz回繰り返され、zは1以上である、請求項13に記載の電池。
【請求項15】
前記封止システムは、前記アノード箔及び前記カソード箔のスタックの外縁に堆積された、非常に低いWVTR、好ましくは10
-5g/m
2.d未満のWVTRを有する少なくとも1つの第1のカバー層を含み、
前記第1のカバー層は、z’回繰り返され、z’は1以上である、請求項13に記載の電池。
【請求項16】
前記少なくとも1つの第1のカバー層は、
セラミック材料であって、好ましくは酸化物、窒化物、酸窒化物、Si
xN
y、SiO
2、SiON、アモルファスシリコン若しくはSiCから選択されるセラミック材料、及び/又は、
低融点ガラスであって、好ましくは600℃未満の融点を有する低融点ガラス、より好ましくはSiO
2-B
2O
3、Bi
2O
3-B
2O
3、ZnO-Bi
2O
3-B
2O
3、TeO
2-V
2O
5及びPbO-SiO
2から選択される低融点ガラスを含む、請求項15に記載の電池。
【請求項17】
少なくとも前記アノード接続領域(75、75’)及び前記カソード接続領域(76、76’)を覆う終端システムを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の電池。
【請求項18】
前記終端システムは、
導電ポリマー、好ましくは銀充填樹脂の第1の層と、
前記終端システムの前記第1の層に堆積されたニッケルの第2の層と、
前記終端システムの前記第2の層に堆積された錫の第3の層とを含む、請求項17に記載の電池。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の電池の製造方法であって、
a)前記アノード箔及び前記カソード箔のスタック(I)を供給するステップであって、前記スタックは、それぞれ複数の電池のアノード層を形成することが意図される第1の箔又はアノード箔と、それぞれ複数の電池のカソード層を形成することが意図される第2の箔又はカソード箔とを含み、前記アノード箔のそれぞれはアノードが無い少なくとも1つの溝又は領域(34)を含み、前記カソード箔のそれぞれはカソードが無い少なくとも1つの溝又は領域(14)を含み、前記溝のそれぞれは電極材料、電解質及び集電基材が無い前記空き領域の少なくとも一部を区切る、ステップと、
b)前記アノード箔及び前記カソード箔の前記スタックを熱処理する及び/又は機械的プレス処理するステップと、
c)前記アノードのそれぞれ及び前記カソードのそれぞれにおいて、前記第1の主要部に少なくとも1つの第1のスルーホール(51、53)を形成し、前記第2の主要部に少なくとも1つの第2のスルーホール(52、54)を形成するステップであって、
前記カソードの前記第1の主要部に形成された第1のスルーホール(51)は前記アノードの前記第2の主要部に形成された前記第2のスルーホール(54)に連続して延び、これらのホール(51、54)は互いに連続して延び、前記電池の一端から他端まで通る第1の通路(61)を形成し、
前記アノードの前記第1の主要部に形成された第1のスルーホール(53)は前記カソードの前記第2の主要部に形成された前記第2のスルーホール(52)に連続して延び、これらのホール(53、52)は互いに連続して延び、前記電池の一端から他端まで通る第2の通路(63)を形成し、該ステップc)は前記アノード及びカソードにおいて前記ステップa)の前に又は前記ステップb)の後に行われる、ステップと、
d)前記第1の通路(61)にカソード導電手段(71、71’、71’’)を導入し、前記第2の通路(63)にアノード導電手段(73、73’、73’’)を導入するステップであって、それらの導電手段のそれぞれは前記電池の電流の少なくとも一部を収集できる、ステップと、
e)所定の電池を分離するための切断(D
n、D’
n)を形成するステップとを含む、方法。
【請求項20】
請求項2又は3に記載の電池を製造する方法であり、前記通路は前記側辺から距離を空けて形成されている、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項4に記載の電池を製造する方法であり、少なくとも1つのミシン目が前記切断のそれぞれの進路に沿って形成され、前記ミシン目のそれぞれは前記通路のそれぞれの少なくとも一部を区切る、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記アノードの前記溝及び前記カソードの前記溝のそれぞれは、前記電池の前記長手方向辺(103、104)を区切ることを意図する少なくとも部分的に重なり合う2つの長手方向部(16、36)と、前記2つの長手方向部に接続する側方部(18、38)とを含み、前記アノードの前記溝における側方部(38)及び前記カソードの前記溝における側方部(18)は互いにオフセットし、第1の切断が前記アノードの前記溝の前記側方部と前記長手方向部の端面との間に延び、第2の切断が前記カソードの前記溝の前記側方部と前記長手方向部の端面との間に延びる、請求項19~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記溝のそれぞれは、全体としてH字形状を有し、前記長手方向部が前記H字形状の垂直な主要凹部を形成し、前記側方部が前記H字形状のチャネルを形成する、請求項19~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記アノードの前記溝及び前記カソードの前記溝のそれぞれは、I字形状に延びており、前記アノードの前記溝は互いの上部で重なり合い、前記カソードの前記溝は互いの上部で重なり合い、前記アノードの前記溝は複数の中間領域を画定するために前記カソードの前記溝に対してオフセットされ、前記切断は前記中間領域に形成されている、請求項19~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
ステップb)の後、又は切断されたスタックを生成するステップe)の後に、前記切断されたスタックを液体電解質等のリチウムイオンを含む相又はリチウム塩を含みイオン液体に含浸するステップf)を含む、請求項19~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
ステップe)の後又はステップf)の後に、前記切断されたスタックを、
好ましくはパリレン、パリレンF、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン、ポリアミド、ゾルゲルシリカ、有機シリカ及び/又はそれらの混合物から好ましくは選択され、前記電池に設けられた少なくとも1つの第1のカバー層、並びに、
前記少なくとも1つのカバー層上に、原子層堆積、PECVD、HDPCVD又はICP CVDにより設けられた絶縁材料からなる少なくとも1つの第2のカバー層、を堆積することにより封止するステップを含み、
前記少なくとも1つの第1のカバー層及び少なくとも1つの第2のカバー層の連続はz回繰り返され、zは1以上である、請求項19~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
2つの前記切断(D
n、D’
n)は、少なくともアノード及びカソードの大部分を通る、特にアノード及びカソードの全てを通るように形成されている、請求項19~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
主要部(2002)及び請求項1~18のいずれか1項に記載の電池を含む電気エネルギー消費装置(2000)であって、前記電池は、前記電気エネルギー消費装置に電気エネルギーを供給でき、前記電池の電気接続支持体は前記主要部に固定されている、電気エネルギー消費装置。
【請求項29】
電池の製造方法であって、
前記電池は、互いに交互に配置された少なくとも1つのアノード(3)及び少なくとも1つのカソード(1)を含み、前記電池(100)は、長手方向辺(103、104)及び側辺(101、102)を含み、
前記アノード(3)は、
集電基材、
少なくとも1つのアノード層と、
任意に、電解質材料又は電解質に含浸されたセパレータの層とを含み、
前記カソード(1)は、
集電基材、
少なくとも1つのカソード層と、
任意に、電解質材料又は電解質に含浸されたセパレータの層とを含み、
前記電池は、前記少なくとも1つのアノード層と、少なくとも1つの前記電解質材料又は電解質に含浸されたセパレータの層と、前記少なくとも1つのカソード層とにより連続的に形成された単位スタックを含み、
前記アノード(3)のそれぞれは、前記電池の第1の側辺の付近に配置されたアノード接続領域を含み、前記カソード(1)のそれぞれは、前記電池の前記第1の側辺の反対側の第2の側辺に配置されたカソード接続領域を含み、
前記アノードのそれぞれ及び前記カソードのそれぞれは、電極材料、電解質及び集電基材がない空き領域(113、133)により第2の主要部(112、132)から分離された第1の主要部(111、131)を含み、前記空き領域は前記電池の対向する長手方向辺(103、104)に接続し、
前記製造方法は、
a)交互の箔のスタック(I)を供給するステップであって、前記スタックは複数の電池のアノード層を形成することを意図とする第1の箔又はアノード箔と、複数の電池のカソード層を形成することを意図する第2の箔又はカソード箔とを含み、前記アノード箔のそれぞれは少なくとも1つの溝又はアノードが無い領域(34)を含み、前記カソード箔のそれぞれは少なくとも1つの溝又はカソードが無い領域(14)を含み、前記溝のそれぞれは電極材料、電解質及び集電基材が無い領域の少なくとも一部を区切るステップと、
b)前記交互の箔のスタックに熱処理及び/又は機械的プレスをするステップと、
c)少なくとも部分的に前記溝の内側に延びる2つの切断(D
n、D’
n)を形成するステップであって、第1の切断は前記アノードの前記溝の側方部と長手方向部に対向する端部との間で延び、第2の切断は前記カソードの前記溝の側方部と長手方向部に対向する端部との間で延びるステップと、を含み、
前記切断が切断ツールを用いて容易に形成できるように、少なくとも1つのミシン目が各切断の進路に沿って形成されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン電池の製造に関し、特に高出力リチウムイオン電池の製造に関する。さらに、この方法により得られた電池に関し、それは長寿命を与える新規の構成を有する。
【背景技術】
【0002】
全固体電池又は液体電解質が充填された電池等の高エネルギー密度及び高出力密度を有する二次電池の生産量を増大するために、電解質層により事前にコーティングされたアノード及びカソード箔を交互に重ね合わせることにより、複数の電池の同時製造が達成され得る。
【0003】
国際公開第2016/001584号(I-TEN)には、電解質層で覆われた電極層に連続的に覆われた導電基材を含む箔について記載されており、これらの箔は、堆積前に又は後に、パターンで特にU字形状に切断される。これらの箔は、複数の単位セルのスタックを形成するために交互に積み重ねられる。アノード及びカソードの切断パターンは、カソード及びアノード層のスタックが側方にオフセットされるように、「ヘッドトゥテイル」構造で配置される。この書面は、積み重ねステップ後に共形の厚い層の封止システムを開示し、典型的に、スタック上の、及びスタック内に存在する利用可能な空洞内のポリマー層であり、約10μmの厚さである。これは、第一に切断面における構造の剛性を保証し、第二に空気から電池セルを保護する。スタックが生成されて、剛構造に封止されると、単位電池を得るために切断面に沿って切断され、電池のカソードとアノードとの接続が切断面のそれぞれで露出される。これらの切断がなされると、封止システムが破られて電池の不浸透性シールの破壊が生じる。これらのカソード及びアノードの接続が明らかである場合は、終端(すなわち電気接点)も追加されることが知られている。
【0004】
この従来技術は、ここで
図12を参照してより詳細に説明され、
図12は国際公開第2016/001584号に記載されたリチウムイオン電池の構造を示す。電池200は、複数のアノード230及び複数のカソード210を含み、それらはそれぞれ交互に配置される。アノード及びカソードのそれぞれは、アノード又はカソードの活性材料のそれぞれの層を含み、それらはアノード層又はカソード層とそれぞれ呼ばれる。さらに、
図12には示さないが、電解質材料が互いに対向する2つの活性層を分離するように、電解質材料の層がアノードとカソードとの間に挟まれている。それらを構成する種々の層の厚みは、通常は15μmを超えず、多くの場合は2μm~8μmである。電池は、第1の側辺に上下に配置されたアノード接続部230’を有する。さらに、反対側の側辺202に上下に配置されたカソード接続210’が設けられている。アノード230及びカソード210のスタックは、側方にオフセットされている。カソード接続部210’がアノードの自由面230’’から突出するように、カソード接続部210’は配置されている。同様に、反対側の縁201において、カソードの自由面210’’が、アノード接続部230’が続いて配置されているアノードの自由面から後退されている。
【0005】
しかしながら、この周知の解決策は特定の欠点を有する。より具体的には電極の配置、特に複数層電池における電極の縁の近接及び切断の綺麗さに依存して、リーク電流が、典型的に潜行性の短絡の形成で終端に現れ得る。電池の周囲及びカソード及びアノード接続付近の封止システムの使用にも拘わらず、それは電池の特性を低減する。さらに、電池における封止システムの不十分な堆積が時折観察され、特に電池の縁における電極の側方のオフセットにより形成された領域で電池の縁において観察される。
【0006】
さらに、アノード及びカソードのそれぞれの終端が、隣接するアノード及びカソード層のそれぞれから後退しているため、大きな切断が必要となる。従って、そのような切断は、絶縁材料で満たされなければならない。それの大きな寸法により、この切断が電池自体を生産するのに有利な材料の実質的な損失を引き起こす。さらに、スタック内に存在する利用可能な空洞において、厚い絶縁体層の適用を必要とする。切断の際に、厚い層として設けられた封止システムが剥離されやすい傾向があるため、厚い絶縁体は、全体の電池封止システムを弱くし得る。従って、従来の構造は、技術的及び経済的欠点の両方を有する。
【0007】
最後に、多くの適用において、出力の損失を引き起こす電池の抵抗は、低減されなければならない。従来の非常に高出力の電池において、接続要素の抵抗は、電池の抵抗に非常に寄与し、上記の他の問題のいくつかを解決できるとしても接続要素の抵抗の増大の影響を有する電池構造は許容され得ない。これに関して、接続要素と、該接続要素に接触されることが意図される電池の導電表面との接続は接触抵抗を有し、それは最小化されなければならない。この接続は、単純に接着結合によりなされ得る。これを上述の
図12で説明するために、金属箔は、電池の封止と、これらの縁を露出する側方の切断との後に、アノード230’及びカソード210’の縁に接着結合され得る。良好な接続は低い電気的抵抗を有し、それは電池の寿命の間、劣化してはいけない。
【0008】
しかしながら、終端に金属箔を接着結合するのによく用いられる導電性接着剤は、特にグラファイトを含む接着剤の場合、通常、高い接触抵抗を有する。これに対して、優れた導電特性は、金属ナノ粒子又は炭化物若しくは窒化物ナノ粒子を含むインクを用いて得られることが知られている。しかし、これらのインクが導電性ナノ粒子の焼結を引き起こすのに十分な温度で熱処理を受ける場合、この低抵抗性のみが達成される。一般に、約400℃の温度が不完全な焼結を引き起こすが、そのような温度は液体電解質を含む電池にとって極めて高い温度である。
【0009】
さらに、焼結されたインクの密度は、水蒸気に対して不浸透性となるのに十分な高さではなく(この浸透性は、水蒸気透過度(以下、WVTRという)により表される)、この場合、例えば、Novacentrixによるナノ銅インクであるMetalonの透過性である。従って、電池の導電性表面と接続要素との間の電気的接触の質を改善するため、また、接触抵抗の低減及びこの電気的接触の耐久性の改善の両方の真の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来の欠点のいくつかを少なくとも部分的に克服することを目的とする。
【0011】
特に、本発明は、高エネルギー密度及び高出力密度を有する二次電池の生産量を増大すること、並びに低コストでより効率が高い封止を生成することを目的とする。
【0012】
特に、本発明は、短絡のリスクを低減する方法を提示すること、また低い自己放電率を有する電池を製造できるようにすることを目的とする。
【0013】
特に、本発明は、非常に長寿命の電池を単純で、信頼性が高く、速い手法で製造できる方法を提示することを目的とする。
【0014】
さらに、本発明は、そのような方法を提示することを目的とし、それらは従来に用いられていたものよりも高品質の切断ステップを用いる。
【0015】
さらに、本発明は、そのような方法を提示することを目的とし、それらは、封止段階及び封止自体を増強し、それは最終電池の生産の際に行われる。
【0016】
さらに、本発明は、材料の損失をより少なくする電池の製造方法を提示することを目的とする。
【0017】
いずれの場合においても、これらの問題の解決は、電池の抵抗を増大してはならず、可能であればそれを低減しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的の少なくとも1つは、以下に説明するような本発明に係る対象の少なくとも1つによって達成される。本発明により提示されるそれぞれの対象は、電池、その製造方法、エネルギー消費装置、及び他の実施形態に係る電池に関し、これらの対象は添付する特許請求の範囲に提示されている。
【0019】
本発明は、第1の対象として少なくとも1つのアノード(3)及び少なくとも1つのカソード(1)を含む電池(100)が提供され、該電池(100)は、少なくとも1つのアノード接続領域と、該アノード接続領域に対して側方において反対側の少なくとも1つのカソード接続領域とを含む側辺(101、102)、及び長手方向辺(103、104)を含み、
前記電池が、少なくとも1つのアノード層、少なくとも1つの電解質材料の層又は電解質に含浸されたセパレータの層、及び少なくとも1つのカソード層により連続的に形成された単位スタックを含むように、前記アノード(3)は、
-集電基材、
-少なくとも1つのアノード層、及び、
-任意に電解質材料の層又は電解質に含浸されたセパレータの層、を含み、
前記カソード(1)は、
-集電基材、
-少なくとも1つのカソード層、及び、
-任意に電解質材料の層又は電解質に含浸されたセパレータの層、を含み、
-前記アノード及び前記カソードのそれぞれは、第1の主要部(111、131)と、電極材料を含まないスペーサ(113、133)により前記第1の主要部から分離された第2の主要部(112、132)と、電解質と、集電材料とを含み、前記空き領域は前記電池の互いに対向する前記長手方向辺(103、104)を接続し、
-前記アノード及び前記カソードのそれぞれは、上方から見て、前記第1の主要部に形成された少なくとも1つの第1のスルーホール(51、53)と、前記第2の主要部に形成された少なくとも1つの第2のスルーホール(52、54)とを含み、
前記カソードの前記第1の主要部に形成された前記第1のスルーホール(51)のそれぞれは前記アノードの前記第2の主要部に形成された前記第2のスルーホール(54)のそれぞれに連続して延び、これらのホール(51、54)が互いに連続するように延びて前記電池の一端から他端まで通過する第1の通路(61)を形成し、
前記アノードの前記第1の主要部に形成された前記第1のスルーホール(53)のそれぞれは前記カソードの前記第2の主要部に形成された前記第2のスルーホール(52)のそれぞれに連続して延び、これらのホール(53、52)が互いに連続するように延びて前記電池の一端から他端まで通過する第2の通路(63)を形成し、
-前記電池は、さらに、前記第1の通路(61)に設けられる少なくとも1つのカソード導電手段(71、71’、71’’)と、前記第2の通路(63)に設けられる少なくとも1つのアノード導電手段(73、73’、73’’)とを含み、前記アノード導電手段(73、73’、73’’)は、少なくとも1つアノード接続領域に向かう電池電流フローの少なくとも一部を収集でき、前記カソード導電手段(71、71’、71’’)は、少なくとも1つのカソード接続領域に向かう電池電流フローの少なくとも一部を収集できることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る電池の他の特徴によると、それらは、別々に採用されてもよく、又は技術的に互換性がある特徴によってもよく、
-前記通路のそれぞれは、対向する側辺(101、102)から離間して延びており、
-前記通路のそれぞれと前記対向する側辺との間の最も短い距離(D59/D56)は、0.44mm~1.95mmであり、
-前記通路のそれぞれは、前記側辺(401、402)に直接に形成され、前記カソード又はアノード導電手段のそれぞれは、前記側辺に対して面一であり、特に半円筒状の形状を有し、
-前記アノード導電手段及び前記カソード導電手段は、互いに依存せずに以下から選択され、
・導電性材料からなるバー、
・締り嵌め金属ロッド、
・導電性シース材料に囲まれた金属ロッド、
-前記バー又は前記金属ロッドの2つの端部に締付ヘッドが設けられ、
-前記電池は、さらに、
・少なくとも部分的に導電性材料からなる導電支持体、
・前記導電支持体においてそれぞれ導電パスを形成する2つの離間した領域を互いに絶縁できる絶縁手段、を含み
・前記カソード導電手段は第1の導電パスと電気的に接触され、前記アノード導電手段は第2の導電パスと電気的に接触され、
-前記導電支持体は、単一層型であり、特に金属グリッド又はシリコン中間層であり、
-前記導電支持体は、交互に配置された複数の層を含み、該導電支持体は特にプリント回路基板型であり、
-前記空き領域の横断寸法又は幅(L113)は0.01mm~0.5mmであり、
-前記第2の主要部の横断寸法又は幅(L112)は0.05mm~2mmであり、
-前記空き領域の反対側のカソード(112’)及びアノード(132’)のそれぞれの前記第2の主要部の自由面は、アノード(131’)及びカソード(111’)のそれぞれの前記第1の主要部の自由面と面一であり、
-それは、前記電池の6面のうちの4つをコーティングし、他の2面を部分的にコーティングする封止システムを含み、それら他の2面は対向しており、少なくとも1つのアノード接続領域及び少なくとも1つのカソード接続領域を含む電池の第1及び第2の通路(61、63)に対して実質的に垂直であり、
-封止システムは、
・パリレン、パリレンF、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン、ポリアミド、ゾルゲルシリカ、有機シリカ及び/又はそれらの混合物から好ましくは選択され、前記電池に設けられた少なくとも1つの第1のカバー層、
・絶縁材料からなり、前記少なくとも1つのカバー層上に、原子層堆積、PECVD、HDPCVD又はICP CVDにより設けられた少なくとも1つの第2のカバー層、を含み、
・前記少なくとも1つの第1のカバー層及び前記少なくとも1つの第2のカバー層の配列はz回繰り返されてもよく、zは1以上であり、
-前記封止システムは、
・極めて低いWVTRを有し、好ましくは10-5g/m2.d未満のWVTRを有し、アノード及びカソード箔のスタックの外周部に設けられた少なくとも1つ第1のカバー層を含み、前記第1のカバー層はz’回繰り返されてもよく、z’は1以上であり、
-少なくとも前記第1のカバー層は、
・好ましくは酸化物、窒化物、酸窒化物、SixNy、SiO2、SiON、アモルファスシリコン若しくはSiCから選択されるセラミック材料、及び/又は、
・好ましくは600℃未満の融点を有する低融点ガラス、より好ましくはSiO2-B2O3、Bi2O3-B2O3、ZnO-Bi2O3-B2O3、TeO2-V2O5及びPbO-SiO2から選択される低融点ガラスを含み、
-それは、少なくともアノード接続領域(75、75’)及び少なくともカソード接続領域(76、76’)をカバーする端末システムを含み、
-前記端末システムは、
・導電ポリマー、好ましくは銀充填レジンの第1の層、
・前記端末システムの前記第1の層に設けられたニッケルの第2の層、及び、
・前記端末システムの前記第2の層に設けられた錫の第3の層を連続的に含む。
【0021】
また、本発明は、上記電池の製造方法に関し、該製造方法は、
a)交互の箔のスタック(I)を供給するステップであって、該箔は、それぞれ複数の電池のアノード層を形成することを意図する第1の箔又はアノード箔と、それぞれ複数の電池のカソード層を形成することを意図する第2の箔又はカソード箔とを含み、核アノード箔は少なくとも1つの溝又はアノードが無い領域を含み、核カソード箔は少なくとも1の溝又はカソードが無い領域を含み、各溝は、電極材料、電解質及び集電基材の空き領域の少なくとも一部を区切っているステップと、
b)先に供給された交互の箔のスタックを熱処理及び/又は機械的にプレスするステップと、
c)各アノード及び各カソードにおいて、第1の主要部に少なくとも1つの第1のスルーホール(51、53)を形成し、第2の主要部に少なくとも1つの第2のスルーホール(52、54)を形成するステップと、
-前記カソードの前記第1の主要部に形成された前記第1のスルーホール(51)は、前記アノードの前記第2の主要部に形成された前記第2のスルーホール(54)に連続して延び、これらのホール(51、54)が連続して延びて前記電池の一端から他端まで通過する第1の通路(61)を形成し、
-前記アノードの前記第1の主要部に形成された前記第1のスルーホール(53)は、前記カソードの前記第2の主要部に形成された前記第2のスルーホール(52)に連続して延び、これらのホール(53、52)が連続して延びて前記電池の一端から他端まで通過する第2の通路(63)を形成し、ステップc)は前記アノード及びカソード箔においてステップa)の前に又はステップb)の後に行われてもよく、
d)前記第1のスルーホール(61)内にカソード導電手段(71、71’、71’’)を挿入し、前記第2のスルーホール(63)内にアノード導電手段(73、73’、73’’)を挿入するステップであって、これらの導電手段のそれぞれは、前記電池の電流の少なくとも一部を収集できるステップと、
e)所定の電池を分離するための切断(Dn、D’n)を形成するステップと、を含む。
【0022】
本発明に係るプロセスの他の特徴によると、それらは、別々に採用されてもよく、又は技術的に互換性がある特徴によってもよく、
-前記通路は、前記側辺から離間して形成されており、
-少なくとも1つのミシン目が各切断のパスに沿って形成されており、各ミシン目は各通路の少なくとも一部を区切り、
-前記アノード溝及びカソード溝のそれぞれは、前記電池の長手方向辺(103、104)を区切るための少なくとも部分的に重なった2つの長手方向部(16、36)と、前記2つの長手方向部を接続する側方部(18、38)とを含み、前記アノード溝(38)の側方部及び前記カソード溝(18)の側方部は互いにオフセットしており、第1の切断は前記アノード溝の側方部と前記長手方向部に対向する端部との間で延び、前記第2の切断は前記カソード溝の側方部と前記長手方向部に対向する端部との間で延び、
-各溝は、全体的にH字形状を有し、長手方向部はHの垂直な主要凹部を形成し、側方部はHのチャネルを形成し、
-前記アノード及びカソード溝のそれぞれは、特にI字形状に延ばされ、前記アノード溝は互いの上部で重なり合い、前記カソード溝は互いの上部で重なり合い、前記アノード溝は複数の中間領域を画定するために前記カソード溝に対してオフセットされ、前記切断は前記中間領域に形成され、
-それは、ステップb)又は切断スタックを生成するステップe)の後に、前記切断スタックを液体電解質等のリチウムイオンを含む相又はリチウム塩を含みイオン液体に含浸するステップf)を含み、
-それは、ステップe)の後又はステップf)の後に、切断スタックを以下のものを堆積することにより封止することを含み、
・好ましくはパリレン、パリレンF、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン、ポリアミド、ゾルゲルシリカ、有機シリカ及び/又はそれらの混合物から好ましくは選択され、前記電池に設けられた少なくとも1つの第1のカバー層、並びに、
・前記少なくとも1つのカバー層上に、原子層堆積、PECVD、HDPCVD又はICP CVDにより設けられた絶縁材料からなる少なくとも1つの第2のカバー層、
少なくとも1つの第1のカバー層及び少なくとも1つの第2のカバー層の配列はz回繰り返されてもよく、zは1以上であり、
-2つの切断(Dn、D’n)は、少なくともアノード及びカソードの大部分を通る、特にアノード及びカソードの全てを通るように形成される。
【0023】
また、本発明は、主要部(2002)及び前記電池を含む電気エネルギー消費装置を対象として含み、前記電池は、前記電気エネルギー消費装置に電気エネルギーを供給でき、前記電池の電気接続支持体は前記主要部に固定される。
【0024】
最後に、本発明は、電池を製造する方法の目的を有し、該電池は、互いに交互に配置された少なくとも1つのアノード(3)及び少なくとも1つのカソード(1)を含み、前記電池(100)は、長手方向辺(103、104)及び側辺(101、102)を含み、
前記アノード(3)は、
-集電基材、
-少なくとも1つのアノード層、及び、
-任意に、電解質材料又は電解質に含浸されたセパレータの層を含み、
前記カソード(1)は、
-集電基材、
-少なくとも1つのカソード層、及び、
-任意に、電解質材料又は電解質に含浸されたセパレータの層を含み、
前記電池は、少なくとも1つのアノード層と、少なくとも1つの電解質材料又は電解質に含浸されたセパレータの層と、少なくとも1つのカソード層とにより連続的に形成された単位スタックを含み、
各アノード(3)は、前記電池の第1の側辺の付近に配置されたアノード接続領域を含み、各カソード(1)は、前記電池の前記第1の側辺の反対側の第2の側辺に配置されたカソード接続領域を含み、
各アノード及び各カソードは、電極材料、電解質及び集電基材がない領域(113、133)によりそれぞれ第2の主要部(112、132)から分離されたそれぞれ第1の主要部(111、131)を含み、前記空き領域は前記電池の長手方向辺(103、104)の反対側で接続し、
前記製造方法は、
a)交互の箔のスタック(I)を供給するステップであって、このスタックは複数の電池のアノード層を形成することを目的とする第1の箔又はアノード箔と、複数の電池のカソード層を形成することを目的とする第2の箔又はカソード箔とを含み、各アノード箔は少なくとも1つの溝又はアノードが無い領域(34)を含み、各カソード箔は少なくとも1つの溝又はカソードが無い領域(14)を含み、各溝は電極材料、電解質及び集電基材が無い領域の少なくとも1部を区切るステップと、
b)先に供給された交互の箔のスタックに熱処理及び/又は機械的プレスをするステップと、
c)少なくとも部分的に前記溝の内側に延びる2つの切断(Dn、D’n)を形成するステップであって、前記第1の切断は前記アノード溝の側方部と長手方向部に対向する端部との間で延び、前記第2の切断は前記カソード溝の側方部と長手方向部に対向する端部との間で延びるステップと、を含み、
この切断が切断ツールを用いて容易に形成できるように、少なくとも1つのミシン目が各切断のパスに沿って形成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
非限定的例として提示される添付する図面は、本発明の種々の態様及び実施形態を示す。
図12は従来の電池を示す。
【
図1】
図1は、本発明に係る電池の製造方法に従ってスタックを形成することを意図されたアノード及びカソード箔の斜視図である。
【
図3】
図3は、隣接する箔に形成されたH字形状の溝、並びに隣接する箔に形成された第1及び第2通路を示す拡大正面図である。
【
図4】
図4は、隣接する箔に形成されたH字形状の溝、並びに隣接する箔に形成されたこれら第1及び第2通路を示す拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、上記図におけるスタックで形成された溝において実施された切断ステップを示す俯瞰図である。
【
図6】
図6は、H字形状の溝に沿って形成された切断を示す拡大俯瞰図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すVII-VII線における断面図である。
【
図8】
図8は、
図6に示すVIII-VIII戦における断面図である。
【
図9】
図9は、特に上記図に示された方法に従って得られ得る本発明に係る電池を示す俯瞰図である。
【
図10】
図10は、特に上記図に示される方法に従って得られ得る本発明に係る電池の
図6に示すX-X戦における断面図である。
【
図11】
図11は、特に上記図に示される方法に従って得られ得る本発明に係る電池を示す斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2の代替的実施形態に係るアノード箔又はカソード箔に形成された異なるH字形状の溝で行われた切断ステップを示し、本発明の第2の代替的実施形態に係るこのアノード又はカソードに形成された第1及び第2の通路を示す俯瞰図である。
【
図14】
図14は、本発明の第2の代替的実施形態に係るH字形状の溝に沿って形成された切断の拡大俯瞰図である。
【
図15】
図15は、特に本発明の第2の代替的実施形態に従って得られ得る本発明に係る電池を示す斜視図である。
【
図16】
図16は、
図16A、16B及び16Cを含む。これらの
図16A、16B及び16Cは、特に上記図に示される方法に従って得られ得る本発明に係る電池の
図15に示すXVI-XVI線における断面図であり、この電池に形成された第1及び第2の通路は該電池のセル同士の間に電気的接続を形成するために導電手段で満たされる。
【
図17】
図17は、特に上記図に示される方法により得られ得る本発明に係る電池の断面図であり、この電池は、電池のセルと封止システムとの間に電気的接続を形成するための導電手段を含む。
【
図18】
図18は、本発明の代替的実施形態に係る電池の製造方法を示す
図5に類似の視野の図である。
【
図21】
図21は、
図20における電池を示す
図20に類似の視野の断面図であり、その電池は、エネルギー消費装置に統合されている一方で、封止及び導電性支持体をさらに含む。
【
図22】
図22は、アノード箔及びカソード箔の他の実施形態を示す
図1に類似の視野の斜視図である。
【
図25】
図25は、本発明の代替的実施形態に係る導電性支持体を含む電池を示す
図21に類似の視野の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る方法は、交互の箔のスタックIが生成されるステップを最初に含み、これらの箔は、以下場合によって「アノード箔」及び「カソード箔」を意味する。以下により詳細に見られるように、各アノード箔は複数の電池のアノードを形成することを目的とし、各カソード箔は複数の電池のカソードを形成することを目的とする。
図1に示される例は、5つのカソード箔1及び5つのアノード箔3を示す。実際には、このスタックは、より多い数の箔によって形成され、通常、10~1000である。有利な一実施形態において、これらの箔の全ては、それらの4つの端部に穿孔2を有し、これらの穿孔2が重ね合わせられたとき、これらのカソードの全て及びアノードの全ては、以下により詳細に説明されるように明確に配置される(
図1及び2を参照)。箔の4つの端部のこれらの穿孔2は、それらを積み重ねる際に箔を整列するための位置決めマークとなる。
【0027】
箔の4つの端部におけるこれらの穿孔2は、特に製造後にアノード及びカソード箔に、又は電解質層によりコーティングされた若しくはセパレータによりコーティングされたアノード箔及び/若しくはカソード箔に適切な手段により形成され、この電解質層又はこのセパレータは、反対の極性の2つの箔の間、すなわちアノード箔とカソード箔の間に挟まれ得る。
【0028】
周知の型であり得るアノード又はカソード箔のそれぞれの物理学的-化学的構造は、本発明の範囲内ではなく、単に簡便な説明のためである。各アノード箔3は、アノード材料の活性層でコーティングされたアノード集電基材を含み、以下アノード層を意味する。各アノード箔1は、カソード材料の活性層でコーティングされたカソード集電基材を含み、以下カソード層を意味する。これらの活性層のそれぞれは固体であってもよく、より具体的に、高密性又は多孔性を有する。さらに、2つの隣接する箔の間、すなわち反対の極性の2つの活性層の間における電気的接触を防止するために、電解質層又は液体電解質で満たされたセパレータ(
図1に図示せず)は、これらの2つの箔の少なくとも1つに、すなわち、反対の極性の活性層に接触された活性層で予めコーティングされたこれらの集電基材の少なくとも1つの活性層に配置される。本発明を説明する図面において図示されない電解質層又は液体電解質で満たされたセパレータは、反対の極性の2つの箔の間、すなわちアノード箔とカソード箔との間に挟まれている。より具体的に、電解質層又はセパレータは、アノード層及び/又はカソード層に配置されてもよく、電解質層又はセパレータは、それらを含むアノード箔3及び/又はカソード箔1の必須部分を形成する。
【0029】
電池の単位セルは、少なくとも1つのアノード集電基材、少なくとも1つのアノード層、少なくとも1つの電解質材料の層又は電解質で満たされたセパレータ、少なくとも1つのカソード層、及び少なくとも1つのカソード集電基材を連続的に含む。集電基材は、金属片であってもよい。
【0030】
有利には、アノード又はカソード集電基材の2面は、アノード層又はカソード層でコーティングされ、任意にアノード層又はカソード層に配置された電解質又はセパレータ層でコーティングされる。そのような場合において、アノード又はカソード集電基材は、2つの隣接する単位セルにおける集電体として作用し得る。電池におけるこれら基材の使用は、高エネルギー密度及び高出力密度を有する二次電池の生産量を増大する。
【0031】
カソード箔1のうちの1つの機械的構造がここで説明され、他のカソード箔も同一の構造を有することは理解される。さらに、以下で見られるように、アノード箔3は、カソード箔1と極めて類似の構造を有する。
【0032】
図2に示されるように、カソード箔1は四辺形状であり、実質的に正方形状である。それはいわゆる穿孔された中央域10の範囲を定め、以下で説明するようなH字形状の溝が形成される。これらのH字形状の溝の配置に関して、いわゆる箔の垂直方向YYが定義され、それはこれらのHの垂直方向に対応し、いわゆる箔の水平方向XXはYY方向に対して垂直である。中央域10は、連続した、すなわち溝が無い垂直フレーム12により縁取られている。このフレームの機能は、特に、各箔の容易な取り扱いを保証することである。
【0033】
H字形状の溝は、上下に配置されたL
1~L
yの行に分布され、互いに隣接して配置されたR
1~R
x列に分布される。非限定的な例として、表面実装部品型(以下SMDという)のマイクロ電池の製造の範囲内で用いられるアノード及びカソード箔は100mm×100mmのウェハであってもよい。通常、これら箔の行の数は10~500であり、列の数は10~500である。所望の電池容量の機能として、それらの寸法は変わってもよく、従って、アノード及びカソード箔ごとの行及び列の数は調節され得る。用いられるアノード及びカソード箔の寸法は、必要に従って変更され得る。
図2に示すように、2つの隣接する行は、材料20のブリッジにより分離され、H
20で示されたその高さは0.05mm~5mmである。これらのアノード及びカソード箔の材料のブリッジ及び片は、容易に取り扱われるためにそれらに十分な機械的構成を与える。
【0034】
溝14は貫通しており、すなわちそれらは箔の上面と底面のそれぞれを開口する。溝14は、化学的エッチング、電鋳、レーザ切断、微穿孔又はプレス加工によって、アノード及びカソード材料の堆積の前に、基材に直接にそれ自体周知の方法で生成され得る。これらの溝は、例えばレーザ切断、フェムト秒レーザ切断、微穿孔若しくはプレス加工によるそれ自体周知の方法で、アノード若しくはカソード材料でコーティングされた基材、又は、電解質層若しくはセパレータでコーティングされたアノード若しくはカソード箔にも生成され得る。カソードの全てに形成された溝14は、特に
図3に示されるように重ね合わせられる。
【0035】
H字形状の溝14の1つはここで説明するように、カソード箔で形成される切断の全てで同一であることが理解される。溝14は、2つの垂直且つ並行の主要凹部16により形成され、それらは、好ましくは2つの垂直な主要凹部16に垂直である水平チャネル18によりその上部が接続されている。以下の提示が与えられる:
・H14は全体の溝の高さであり、それは通常0.25mm~10mmである;
・L14はその幅であり、それは通常0.25mm~10mmである;
・L16は各主要凹部の幅であり、それは通常0.02mm~5mmである;
・H18は各チャネルの高さであり、それは通常0.01mm~0.5mmである;
・D18は主要凹部の上部とチャネルの上部との間の高さの差であり、それは通常0.05mm~2mmである。
【0036】
さらに、
図10に示されるように、少なくとも第1のスルーホール51は第1の主要部に形成され、第2のスルーホール52は第2の主要部に形成される。
【0037】
スルーホール51/52/53/54も貫通されており、すなわち、それらは箔の上面と底面のそれぞれを開口する。これらのスルーホールは、複数の電池のアノード層を形成することを目的とする第1の箔又はアノード箔、及び複数の電池のカソード層を形成することを目的とする第2の箔又はカソード箔のそれぞれを含む交互の積み重ねの前又は後に、アノード及び/又はカソード箔に直接にそれ自体周知の方法で形成され得る。スルーホールは、化学的エッチング、電鋳、レーザ切断、微穿孔又はプレス加工により形成され得る。
【0038】
カソードの全てで形成された第1のスルーホール51及び第2のスルーホール52は、
図3に示すように重ね合わせられる。スルーホール53及び54は
図10に示される。
【0039】
各アノードは、さらに溝14があるのと同じ数で設けられる溝34の異なる行および列を備えている。特に
図4に示すように、各溝34の構造は、各溝14の構造に実質的に類似しており、すなわちこの溝34は、チャネル38により接続された2つの垂直な主要凹部36を含む。垂直な主要凹部36の寸法は、垂直な主要凹部16の寸法と同一であり、同様に、チャネル38の寸法はチャネル18の寸法に類似する。
【0040】
上方から見た場合、垂直の主要凹部36は、垂直の主要凹部16に重なる。溝14と溝34との間の差異は、チャネル38が底部に設けられていることのみである。特に
図3に示すように、チャネル18及び38は、上方から見た場合に、XHで示されるHの中線において互いに対称である。
【0041】
さらに、特に
図3に示すように、少なくとも第1のスルーホール53は第1の主要部に形成され、第2のスルーホール54は第2の主要部に形成されている。
【0042】
有利には、カソードの第1の主要部に形成された第1のスルーホール51は、アノードの第2の主要部に形成された第2のスルーホール54に連続して延びており、これらのホール51/54は互いに連続して延びており、電池の端部から端部までを通る第1の通路61を形成する。さらに、アノードの第1の主要部に形成された第1のスルーホール53は、アノードの第2の主要部に形成された第2のスルーホール52に連続して延びており、これらのホール53/52は互いに連続して延びており、電池の端部から端部までを通る第2の通路63を形成する。
【0043】
有利には、第2のスルーホール52/54は、スタックの機械的強度を維持しながら短絡のリスクを防止するために、溝のチャネル18及び38から特定の距離を空けて形成される。有利には、この距離はアノード及びカソード箔の性質、特に用いられる集電基材の性質、その厚さ及びその強度に応じて選択される。スタックにおけるこれらのスルーホールの存在は、スタックの機械的強度を弱めてはならない。スルーホールの寸法は、必要に応じて変更され得る。
【0044】
有利には、第1及び第2のスルーホール53/52/51/54は、電池の側辺101及び102から特定の距離を空けて形成され、それらは以下に詳細に説明するように材料56/57/58/59の結合の範囲を区切る。有利には、第2のスルーホール52/54のそれぞれは、電池における空き領域113/133のそれぞれから特定の距離で第2の主要部112/132のそれぞれに形成され、それらは図示しない材料の第2の帯域の範囲を区切る。上記スタックがその全体の機械的安定性を保証するステップを受けることが想定される。それ自体は周知であるこれらのステップは、特に異なる層にホットプレスすることを含む。以下で見られるように、このスタックは、個々の電池の形成を可能とし、その数は行Yの数及び列Xの数の積と同一である。
【0045】
この目的のために、
図5に3つの行L
n-1~L
n+1及び3つの列R
n-1~R
n+1が示されている。本発明において、2つの切断D
n及びD’
nは、溝の行ごとに形成されている。貫通して形成された、すなわちスタックの全体の高さを通って延びる各切断は、それ自体周知の方法で形成される。非限定的な例は、特に立方体状の切断、切断機による切断又はレーザ切断といった切断を含む。
【0046】
特に
図5における溝のうちの1つの拡大図の
図6に示すように、各切断は、チャネルとHに対向する端部との間に形成される。該切断の厚さは無視されることが想定される。これらの条件下で、
図6を参照して非限定的な例の形態で以下が注意されるべきである:
・切断D
nと水平チャネル18の対面との距離D
20は0.05mm~2mmであり、この距離D
20がD
18以下であることが理解される;
・切断D’
nと水平チャネル38の対面との距離D
40は0.05mm~2mmであり、この距離D
40がD
38以下であることが理解される。
【0047】
図5を参照して、各最終電池が上部及び底部の2つの切断で区切られ、左右がHにおける垂直の主要凹部の内面で区切られる。この
図5において、切断線Dn及びD’nに沿って切断されると、電池100には陰影が付けられ、電池を形成しないスタックにおける箔の領域40はドットで示され、溝の部分は白のままである。さらに、
図5は電池の端部から端部までを通る第1及び第2の通路61/63を示し、それらの通路は、電池の上面及び底面の両方から突出する導電手段で実質的に満たされている。これらの第1及び第2の通路61/63は、スタックを形成するカソード箔及びアノード箔に実質的に垂直であることが好ましい。
【0048】
図7及び
図8は、並行する切断線における断面図である。切断面VII-VIIは、Hの垂直な主要凹部を通って延び、切断面VIII-VIIIは材料を通過する。
図7は、
図5にも示される領域40を示し、それは、材料の切れ端に対応し、特にアノード材料43及びカソード材料41の切れ端に対応する。
図8は、切断が、電池100の各カソード1、各アノード3、電極材料、電解質及び/又は集電基材113、133の空き領域により第2の主要部112、132から分離された第1の主要部111、131を有するように、アノード及びカソードの両方を通って、すなわちH字形状の溝のチャネルからD
20の距離で形成されることを示す。これは、従来と比較して切断の質を改善し、電池の側辺における短絡を防止する本発明の特に有利な特徴である。
【0049】
国際公開第2016/001584号は、大気から電池セルを保護するために封止システムで封止された、側方にオフセットされて交互に積み重ねられたアノード及びカソード箔により形成された複数の単位セルのスタックについて記載している(
図12を参照)。裸のカソード及びアノード接続を含む単位電池を得るためのこれらの封止されたスタックの切断は、電極の交互の連続物及び封止システムを通過する切断面に沿って行われる。従来の電池の電極と封止システムとの間の密度の差異によって、この切断面に沿った切断は、切断面付近で封止システムの剥離が生じて、短絡が生じるリスクを生じる。従来において、封止の際に、封止層はU字形状の切断を受ける箔のスタックの間隙を満たす。これらの間隙に挿入されるこの封止層は厚く、スタックにほとんど付着せず、後の切断の際に封止システムが剥離するリスクを生じる。
【0050】
本発明によると、カソード及びアノード箔の交互の重なりの結果として切断付近におけるホットプレスされたH字形状の機械的構造が極めて強いため、H字形状の切断を受ける箔の使用によってこのリスクは除去される。H字形状の切断を受ける箔の使用と共にそのような強い構造の使用は、切断の際の欠陥の数を低減でき、切断速度を向上でき、電池の生産量を改善することができる。
【0051】
本発明によると、D’n及びDnの切断は、類似の密度のアノード及びカソードを通って形成され、より高い質のきれいな切断を誘導する。さらに、電極材料、電解質及び/又は集電基材の空き領域の存在は、短絡のリスクを防止する。
【0052】
ここで
図9~
図11を参照すると、それらは本発明に係る電池のうちの1つ100を示す。この電池の長手方向及び側方の中線は、それぞれX100及びY100で示される。この電池の側辺は符号101及び102で示され、この電池の長手方向辺は符号103及び104で示される。さらに、各カソードは符号110で示され、各アノードは符号130で示される。これらのアノードの数と同一であるこれらのカソードの数は、上記スタックにおけるカソード箔及びアノード箔の数に対応する。
【0053】
図9に示すように、すなわち上方から見た場合、カソードの空き領域は重なり合う。さらに、同一の上方からの視野によると、アノードにおける空き領域は重なり合う。また、この同一の上方からの視野によると、カソード及びアノードにおける空き領域は整列されておらず、すなわち、それらは互いに重なり合わない。これは特に例として
図10に示される。
【0054】
空き領域113は、
図9に上辺及び底辺として示される電池の対向する長手方向辺に接続する。この空き領域は、各アノード及びカソードにおいて、第2の主要部から第1の主要部を分離して電池の対向する長手方向辺の間に延びている。
【0055】
各カソード110は、第1の側辺101に配置された第1の主要部111、第2の主要部112、並びに電極材料、電解質及び/又は集電基材113の空き領域を含む。後者は、上記溝14のチャネル18の幅に対応する幅を有し、長手方向辺103及び104の間に延びている。同様に、各アノード130は、側辺101の反対の側辺102に配置された第1の主要部131及び第2の主要部132を含む。第1の主要部131及び第2の主要部132は、電極材料、電解質及び/又は集電基材の空き領域133により分離され、長手方向辺103及び104に接続し、長手方向辺103及び104の間に延びる。2つの空き領域113及び133は、中線Y100において互いに対称である。
【0056】
各空き領域113の幅L
113は、上記図で記載された溝に属するチャネル18の幅に対応する。さらに、各第2の主要部112の幅L
112は、
図6又は
図8に関連して説明されるように距離D
20に対応する。
【0057】
図13は、本発明のさらなる代替的実施形態を示す。この
図13において、いくつかの機械的要素は、第1の実施形態を示す
図1~
図11における機械的要素に類似し、それらには1000を追加した同一符号を与える。
【0058】
この第2の代替的実施形態は、H字形状の溝1014が互いに上下に配置された行L
1~L
y、及び互いに隣接して配置された列R
1~R
x内に分布されることが、第1の代替的実施形態と実質的に異なる。この態様において、列R
nに配置された溝における少なくとも1つの垂直の主要凹部1016は、列R
n-1及び/又はR
n+1に配置された隣接する溝の垂直の主要凹部1016の少なくとも1つに対して整列される。そのような場合において、2つの隣接する列は、材料の片により分離されない。
図13に示すように、2つの隣接する行は、材料1020のブリッジにより分離され、その高さはH
1020で示され、それは0.05mm~5mmである。材料のこれらのブリッジは、アノード及びカソード箔に対して、それらが容易に取り扱われるのに十分な機械的強度を与える。
【0059】
この本発明の第2の代替的実施形態において、H字形状の溝1014は、第1の代替的実施形態の溝と同一であることが好ましい。溝1014は、2つの並行する垂直な主要凹部1016により形成されることが好ましく、それらは好ましくは2つの垂直な主要凹部1016に垂直な水平チャネル1018によりそれらの上部で接続されている。
【0060】
各カソードでは、溝1014の異なる行及び列が設けられる。各アノードではさらに、溝1014があるのと同じ数で設けられる溝1034の異なる行および列が設けられる。
【0061】
各溝1034の構造は、各溝1014の構造と実質的に類似しており、すなわち、この溝1034は、チャネル1038により接続された2つの垂直な主要凹部1036を含む。垂直な主要凹部1036の寸法は垂直な主要凹部1016の寸法と同一であり、同様に、チャネル1038の寸法はチャネル1018の寸法と同様である。
【0062】
上方から見た場合、垂直な主要凹部1036は、垂直な主要凹部1016に重なる。溝1014と溝1034との間の差異は、チャネル1038が底部に設けられていることのみである。特に
図14に示すように、上方から見た場合、チャネル1018及び1038は、XH’で示されるHの中線において互いに対称である。
【0063】
上記のアノード及びカソード箔のスタックは、その全体の機械的安定性を保証するステップを受けることが想定される。それ自体は周知であるこれらのステップは、特に、異なる層をホットプレスすることを含む。以下で見られるように、このスタックは、個々の電池の形成を可能とし、その数は行Yの数及び列Xの数の積と同一である。
【0064】
この目的のために、
図14において、3つの行L
n-1~L
n+1及び3つの列R
n-1~R
n+1が示されている。本発明によると、2つの切断Dn及びD’nは、溝の行ごとに形成される。貫通の様式で形成された、すなわちスタックの全体高さを通って延びる各切断は、それ自体周知の方法で形成される。非限定的な例は、特に立方体状の切断、切断機による切断又はレーザ切断といった切断を含む。
【0065】
各切断は、それぞれのチャネルとHに対向する端部との間で形成される。該切断の厚さは無視されることが想定される。
図15に示すように、切断は、電池1100の各カソード1110及び各アノード1130、電極材料、電解質及び/又は集電基材1113、1133の空き領域により第2の主要部1112、1132から分離された第1の主要部1111、1131を有するように、アノード及びカソードの両方を通って、すなわちH字形状の溝のチャネルから距離D
1020で形成される。これは、従来と比較して切断の質を改善し、電池の側辺における短絡を防止する本発明の特に有利な特徴である。各最終電池1100は、上部及び底部の2つの切断で区切られ、左右がHにおける垂直の主要凹部の内面で区切られる。この
図13において、切断線Dn及びD’nに沿って切断されると、電池1100には陰影が付けられ、電池を形成しないスタックにおける箔の領域1040はドットで示され、溝の部分は白のままである。
【0066】
本発明によると、D’n及びDnの切断は、類似の密度のアノード及びカソードを通って形成され、より高い質のきれいな切断を誘導する。さらに、電極材料、電解質及び/又は集電基材の空き領域の存在は、短絡のリスクを防止する。
【0067】
図15に示すように、各カソード1110は、第1の主要部1111、第1の側辺1101に配置された第2の主要部1112、並びに電極材料、電解質及び/又は集電基材の空き領域1113を含む。後者は、その幅が上記溝1014のチャネルの幅に対応し、長手方向辺の間で延びる。同様に、各アノード1130は、第1の主要部1131、及び辺1101の反対の側辺1102に配置された第2の主要部1132を含む。第1の主要部1131及び第2の主要部1132は、電極材料、電解質及び/又は集電基材の空き領域の空き領域により分離され、長手方向辺に接続し、すなわち長手方向辺1103及び1104の間で延びている。2つの空き領域1113及び1133は、中線Y100において互いに対称である。
【0068】
各空き領域1113の幅L1113は、上記図に記載された溝に属するチャネル1018の幅に対応する。さらに、各第2の主要部1112の幅L1112は、上記のように距離D1020に対応する。
【0069】
本発明の第2の代替的実施形態により得られる電池1100は、本発明の第1の代替的実施形態により得られる電池と比較して、溝1014の配置が異なるが、全てにおいて同一である。
【0070】
本発明の第3の実施形態において、図示しないが、H字形状の溝14/1014は、互いに上記に配置された行L1~Ly内に分布されてもよく、互いに隣接して配置された列R1~Rx内に分布されてもよい。このように、同一のアノード及び/又はカソード箔において、H字形状の溝14/1014は、それらの箔を容易に取り扱えるように、及びスタックについて単位電池の最大数を有利に規定できるように十分な機械的強度を維持するような形態で、アノード及び/又はカソード箔に本発明の第1及び第2の代替的実施形態に従って配置される。
【0071】
本発明の第3の代替的実施形態によって得られる電池1100は、アノード及び/又はカソード箔における溝14/1014の配置が異なるが、本発明の第1及び/又は第2の代替的実施形態によって得られる電池に対して全てにおいて同一である。
【0072】
図11と
図12との比較は、本発明の利点を強調する。より具体的に、電池の実質的に全体の容積は、有益な材料、すなわち電池100の電気化学的特徴に寄与する材料により占められている。より具体的に、2つの非常に小さい空き領域133/1133のみが、有益な材料としてみなすことはできない。これに関して、
図10を参照して、第2のカソード主要部の自由面112’がアノードの第1の主要部の自由面131’と面一であり、第2のアノード主要部の自由面132’がカソードの第1主要部の自由面111’と面一であることが見られる。言い換えると、電極材料を含む本発明に係る電池の反対の側辺は、後退領域の存在により不連続である
図12に示される従来のものと比較して実質的に連続している。
【0073】
「第2の主要部の自由面」は、第1の主要部の反対側である第2の主要部に属する面に対応する。「第1の主要部の自由面」は、第2の主要部の反対側である第1の主要部に属する面に対応する。
【0074】
図10を参照して、以下のことを留意すべきである:
-カソードの第1の主要部に形成された第1のスルーホール51は、アノードの第2の主要部に形成された第2のスルーホール54の連続で延びており、ホール51/54は、互いに連続して延びており、電池の端から端まで通過する第1の通路61を形成し、
-アノードの第1の主要部に形成された第1のスルーホール53は、カソードの第2の主要部に形成された第2のスルーホール52の連続で延びており、これらのホール53/52は互いに連続して延びており、電池の端から端まで通過する第2の通路63を形成する。
【0075】
有利には、第2のスルーホール52は、短絡のリスクを防止するために、(溝14のチャネル18に対応する)空き領域113から所定の距離D57でカソードの第2の主要部に形成されている。同様に、第2のスルーホール54は、短絡のリスクを防止するために、(溝34のチャネル38に対応する)空き領域133から所定の距離D59でアノードの第2の主要部に形成される。
【0076】
有利には、第1及び第2のスルーホール53/52/51/54は、電池の側辺101及び102から所定の距離で形成され、材料56/57/58/59の帯域の範囲を区切る。
【0077】
以下の意味が提供される:
・D56は、材料56の帯域の幅であり、それは本発明に係る電池100の自由面111’とカソードの第1の主要部に形成された第1のスルーホール51の反対の面との間の距離に対応し、この距離D56は0.04mm~1.95mmであり、この距離D56は距離D59と実質的に同一であり、第2のアノード主要部の幅未満である;
・D57は、材料57の帯域の幅であり、それは、本発明に係る電池100の自由面112’とカソードの第1の主要部に形成された第2のスルーホール52の反対の面との間の距離に対応し、この距離D57は0.04mm~1.95mmであり、この距離D57は距離D58と実質的に同一であり、第2のカソード主要部の幅未満である;
・D58は、材料58の帯域の幅であり、それは、本発明に係る電池100の自由面131’とアノードの第1の主要部に形成された第1のスルーホール53の反対の面との間の距離に対応し、この距離D58は0.04mm~1.95mmであり、この距離D58は距離D57と実質的に同一である;
・D59は、材料59の帯域の幅であり、それは、本発明に係る電池100の自由面132’とアノードの第2の主要部に形成された第2のスルーホール52の反対の面との間の距離に対応し、この距離D59は0.04mm~1.95mmであり、この距離D59は距離D56と実質的に同一である。
【0078】
本発明に係る電池に形成された第1及び第2の通路61/63は、
図16A、16B及び16Cに示すような電池のセル間で電気的接続を形成するための導電手段で満たされている。これらの導電手段は、電池の上面及び底面から突出する。
【0079】
導電手段は、導電材料から得られ得る。有利には、これらの導電手段のWVTRは極めて低く、これらの導電手段は不浸透性である。それらは、スタックの電気的接続領域に密接に接触する。
【0080】
例として、導電手段は、以下の様であり得る:
・溶融状態で導入された又は通路内で適切な手段により導入された導電性ガラス又は金属等の導電材料からなるバーであって、凝固した際にこの材料は前記バーを形成し、2つの対向する端部は
図16Aに示すように、締付ヘッドが画定されていることが好ましい;
・締り嵌め金属ロッドであって、2つの対向する端部は
図16Bに示すように、締付ヘッドが画定されていることが好ましい;
・導電性シース材料に囲まれた金属ロッドであって、シースは溶融状態で導入された又は通路内で適切な手段により導入された導電性ガラス又は金属から得られ、凝固した際にこの材料は前記導電性シース材料に囲まれた金属ロッドを形成し、2つの対向する端部は
図16Cに示すように、締付ヘッドが画定されていることが好ましい。
【0081】
導電手段のこれらの締付ヘッドのそれぞれ又は対向する端部のそれぞれの上部は、電池が少なくとも1つのアノード接続領域75/75’又は少なくとも1つのカソード接続領域76/76’を含むように、電気的接続領域、すなわち本発明に係る電池のアノード接続領域75/75’又はカソード接続領域76/76’を画定し得る。
【0082】
導電ガラスの導電性は、金、ニッケル、クロム、ニッケル-クロム合金、タングステン、モリブデン、グラファイト、炭化物又は窒化物の粒子をガラスに加えることにより得られ得る。
【0083】
これらの電気的接続は、不浸透性であり、低い水蒸気透過度(WVTR、透湿度とも呼ばれる)を有する。これは、特に用いられる材料及びそれらが製造される方法に依存する。水蒸気透過度又は透湿度は、米国特許第7624621号明細書の対象である方法、及びThin Solid Films 6+550 (2014) 85-89で公開されたA. Mortier等による「Structural properties of ultraviolet cured polysilazane gas barrier layers on polymer substrates」の方法を用いて測定され得る。WVTRが低いほど、封止システムの不浸透性が向上する。
【0084】
「第2の主要部の自由面」は、第1の主要部の反対側の第2の主要部に属する面に対応する。
【0085】
「第1の主要部の自由面」は、第2の主要部の反対側の第1の主要部に属する面に対応する。
【0086】
さらに、電池のアノード層のそれぞれ及びカソード層のそれぞれにおける空き領域の存在は、これらの空き領域が電気的絶縁体として作用するため、封止システム、すなわち電池内でパリレン等の絶縁材料を用いる必要性を排除する。これは、封止等の電池の製造における最終ステップを容易にする。従来のように及び
図12に示すように、電池内で後退領域210’’、230’’を隔離する、すなわち、封止システムにより従来の構造においてギャップを満たす、及びヘッドトゥテイルで配置され、短絡を防ぐための封止システムに対しオフセットされるU字形状の切断に存在する領域を満たすことの必要性はもはやない。H字形状の切断を含む箔の使用ともに本発明に係る剛構造の使用は、従来と比較して、封止を容易にし、封止の厚さを低減する。従来よりも薄く且つ強い層を有する複数層型の封止システムが考慮され得る。
【0087】
有利には、アノード及びカソード箔を積み重ねるステップの後、得られたスタックは熱処理及び/又は機械的プレスにより組み立てられる。
【0088】
有利には、アノード及びカソード箔を積み重ねるステップの後、電池を組み立てるように熱処理が50℃~500℃の温度、好ましくは350℃未満で行われる、及び/又は組み立てられるためのアノード及びカソード箔のスタックの機械的プレスが10~100MPaの圧力、好ましくは20~50MPaの圧力で行われる。特定の一実施形態において、その積み重ね及び熱処理ステップの後、第1の通路61及び第2の通路63は、有利には上述のように生成され、カソード導電手段71、71’、71’’は第1の通路61内に導入され、アノード導電手段73、73’、73’’は第2の通路63内に導入され、これらの導電手段のそれぞれは電池の電流の少なくとも一部を収集できる。
【0089】
いずれかの場合において、これらのアノード及びカソード導電手段は、積み重ねられたアノード及びカソード箔構造の対向する面から突出し、これらの導電手段は、
図16A、16B及び16Cに示すようにスタックの全体の体積から突出する。
【0090】
アノード及びカソード導電手段を含むアノード及びカソード箔のスタックは、単位電池を得るために、切断線D’n及びDnに沿って適切な手段によって切断される。
【0091】
液体電解質に含浸された電池の場合において、液体電解質による電池の含浸は、溶媒を含む若しくは含まず、リチウム塩を含むイオン液体及び/又はイオン液体の混合液等のリチウムイオンを保持する相により、有利にはイオン性導電手段を生成する後に行われ、このリチウムイオンを保持する相は毛細管現象により電池に浸透する。含浸は、それ自体周知の技術を用いて行われ得る。
【0092】
導電手段が形成された後、又は液体電解質に含浸された電池の場合において電池がリチウムイオンキャリア相で含浸された後、スタックは、有利には電池セルを大気から保護するための封止システムを設けることにより封止される。封止システムは、バリア層としてその機能を果たすために、高温に耐えることができ且つ大気に不浸透性であるように化学的に安定でなければならない。有利には、本発明に係るアノード及びカソード箔のスタックは、以下を含む封止システムの連続、好ましくはz回の連続でカバーされ得る:
-アノード及びカソード箔のスタックに設けられたパリレン、パリレンF、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン、ポリアミド及び/又はそれらの混合物から好ましくは選択された第1のカバー層、
-前記第1のカバー層の上に、原子層堆積(ALD)、プラズマ化学気相成長(PECVD)、高密度プラズマ化学気相成長(HDPCVD)又は誘導結合プラズマ化学気相成長(ICP CVD)により設けられた電気的絶縁材料により形成された少なくとも1つの第2のカバー層。
【0093】
この連続は、z回繰り返されてもよく、zは1以上である。この複数層配列は、バリア効果を有する。封止システムの配列がより多く繰り返されるほどに、このバリア効果がより大きくなり得る。設けられた薄層の数が増えるほど、それは増大する。
【0094】
通常、第1のカバー層は、例えばシリコン、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミド又はポリパラキシレン(パリレンとしてよく知られている)といったポリマーで形成される。この第1のカバー層は、電池の敏感な要素を周囲環境から保護する。さらにこの第1の層は、スタックの表面における多孔性を封鎖し、封止システムの後の層のための均一な粘着層を形成する。有利には、この層は、電池の6面をカバーし、電池を完全に囲う。前記第1のカバー層の厚さは、好ましくは0.5μm~50μmである。
【0095】
有利には、第1のカバー層は、パリレンC、パリレンD、パリレンN(CAS 1633-22-3)、パリレンF、又はパリレンC、D、N及び/若しくはFの混合物から形成され得る。パリレン(ポリパラキシリレン又はポリ(p-キシリレン)とも呼ばれる)は、誘電性で透明な、熱力学的安定性が高い半結晶性材料であり、溶媒に対して優れた耐性があり、非常に低い浸透性を有する。また、パリレンは、電池をその外部環境から保護するためのバリア特性を有する。電池の保護は、第1のカバー層がパリレンFから形成される場合に増強される。有利には、この第1のカバー層は、表面上に化学気相成長(CVD)により堆積された気体のモノマーの凝集から得られ、それは、スタックの接近可能な表面の全てを等角で、薄く且つ均一にカバーする。有利には、この第1のカバー層は硬く、柔軟な表面と考えられることはできない。この第1のカバー層は、(水蒸気透過度に関して)十分に不浸透性ではないので、絶縁材料からなる、好ましくは低い水蒸気透過度を有する少なくとも1つの第2のカバー層が第1のカバー層上に堆積されるべきである。
【0096】
第2のカバー層は、電気的絶縁材料により形成され、好ましくは無機材料により形成される。有利には、それは、先に第1のカバー層でカバーされたスタックの接近可能な表面の全てを等角にカバーできるようにするために、原子層堆積(ALD)により堆積される。ALDにより堆積された層は機械的に非常に脆く、それらの保護的役割を果たすために硬い支持面を必要とする。柔軟な面上における脆い層の堆積は、この保護層における完全性の欠失を引き起こしてクラックの形成を引き起こし得る。さらに、ALDにより堆積された層の成長は、基材の性質により影響される。異なる化学的性質の領域を有する基材上にALDにより堆積された層は、不均質な成長がなされ、この保護層の完全性を失うことを引き起こし得る。
【0097】
ALD堆積技術は、完全に不浸透性で等角な形態で、高い粗さを有する面をカバーするのに特に適する。それらは、等角で穴等の欠陥が無い層(「ピンホールが無い層」とも呼ばれる)の生成を可能とし、非常に良好なバリア性を示す。それらのWVTRは極めて低い。有利には、第2のカバー層は、プラズマ化学気相成長(PECVD)、又はHDPCVD若しくはICP CVD型の化学気相成長によって堆積され得る。この第2のカバー層は、好ましくは10nm~10μmの厚さを有する。有利には、第2のカバー層の厚さは、ガスに対する不透過性の所望のレベル、すなわち所望のWVTRに応じて選択され、特にALD、PECVD、HDPCVD及びIPC CVDから選択される用いられる堆積技術に依存する。第2のカバー層は、例えばAl2O3若しくはTa2O5型の酸化物、窒化物、リン酸塩、酸窒化物又はシロキサンの形態であるセラミック材料、ガラス材料又はガラス-セラミック材料からなり得る。
【0098】
第1のカバー層上に、ALD、PECVD、HDPCVD又はICP CVDにより堆積されたこの第2のカバー層は、第1に、構造を不浸透性にすること、すなわち物体内部への水の移動を防止することを可能とし、第2に、パリレンFからなることが好ましい第1のカバー層を大気、特に空気及び湿気から保護し、その劣化を防止するために、熱曝露から保護することを可能とする。この第2のカバー層は、封止された電池の寿命を改善する。
【0099】
封止システムのこの配列、好ましくはz配列におけるアノード及びカソード箔のスタックを封止することは、封止システムのWVTRを可能な限り低減させることができ、すなわち、スタック及び最終電池の不透過性を増大させ得る。
【0100】
従って、封止システムのこの配列、好ましくはz配列で封止されたアノード及びカソード箔のスタックは、封止されたスタックを機械的に保護するため、及び任意に美的外観を与えるために、最終カバー層でコーティングされ得る。この最終カバー層は、電池を保護し、寿命を改善する。有利には、この最終カバー層は、高温に耐えるように選択され、その後の使用中に電池を保護するのに十分な機械的強度を有する。有利には、この最終カバー層の厚さは、1μm~50μmである。理想的には、この最終カバー層の厚さは、約10~15μmであり、そのような厚さの範囲は機械的損傷から電池を保護できる。
【0101】
この最終カバー層は、好ましくはエポキシ樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン、シリコン、ゾル-ゲルシリカ又は有機シリカ系を有する。有利には、この最終カバー層は、ディップコーティングにより堆積される。
【0102】
代替的に、本発明に係る電池セル、又はアノード及びカソード箔のスタックを大気から保護するための封止システムは、非常に低いWVTR、好ましくは10-5g/m2.d未満を有する第1の代替的カバー層を含む配列、好ましくはz’配列により形成され得る。この配列は、z’回繰り返されてもよく、zは1以上である。それはバリア効果を有し、それはz’の値が増大するほどに増大する。アノード及びカソード箔のスタックを封止システムの配列で好ましくはZ’配列で封止することは、封止システムのWVTRを可能な限り低減でき、すなわち封止システムの不浸透性を増大させることができ、スタックの不浸透性を増大でき、最終的に電池の不浸透性を増大できる。
【0103】
前記第1の代替的カバー層の厚さは、0.5μm~50μmであることが好ましい。
【0104】
この代替的カバー層は、アノード及びカソード箔のスタックの外縁に堆積されたセラミック材料及び/又は低融点ガラス、好ましくは600℃未満の融点を有するガラスにより形成され得る。この層に用いられるセラミック及び/又はガラス材料は、有利には以下から選択される:
-低融点ガラス(通常600℃未満)、好ましくはSiO2-B2O3、Bi2O3-B2O3、ZnO-Bi2O3-B2O3、TeO2-V2O5、PbO-SiO2、
-酸化物、窒化物、酸窒化物、SixNy、SiO2、SiON、アモルファスシリコン又はSi。
【0105】
これらのガラスは、モールディング又はディップコーティングにより堆積される。
【0106】
有利には、セラミック材料は、PECVDにより、好ましくはHDPCVD又はICP CVDにより低温で堆積され、これらの方法は良好な不浸透性を有する層を堆積することができる。
【0107】
有利には、代替的封止システムは、封止のWVTRを低減するために、すなわちスタックの不浸透性を増大するために、異なる性質のZ’代替的カバー層を含み得る。例として、封止システムは、セラミック材料で構成された第1の層、該第1の層上に堆積された低融点ガラスで構成された第2の層、及びその逆で構成することを含み得る。
【0108】
ガラスフィルムにおける封止は、酸化物、リン酸化塩、ホウ酸塩及び/又は低融点ガラスの前駆体を含むインクを堆積し、その後に焼成することにより得られ得る。
【0109】
その結果、硬く且つ不浸透性の封止が実現し、特に封止システムと接触部材との界面で水蒸気が通過することを防ぐ。
【0110】
電池セルの不浸透性が封止システムを介して確保された後、電気的接続が、研磨を含む任意の手段によって電池の導電手段の端部で露出される。
【0111】
端部(電気的接触)は、カソード又はアノード接続が明らかな部分(絶縁電解質で追われていない部分)に加えられる。これらの接触領域は、電流を集めるために電池のスタックの反対側に配置されることが好ましい。接続は、当業者に周知の技術を用いて、好ましくは導電性エポキシ樹脂及び/又は溶融錫浴に浸漬することによりめっきされる。
【0112】
端部は、例えば錫の単一金属層、又は複数層の形態でなり得る。好ましくは、端部は、アノード及びカソードの接続付近で、銀充填樹脂等の導電ポリマーの第1の層、該第1の層上に堆積されたニッケルの第2の層、及び該第2の層上に堆積された錫の第3の層を連続的に含む層の第1のスタックにより構成される。ニッケル及び錫の層は、電気めっき技術により堆積され得る。
【0113】
この3層の複合体において、ニッケルの層は、溶接組立ステップの際にポリマー層を保護し、錫の層は、電池インターフェイスの溶接性を確保する。
【0114】
端部は、電池の上面及び底面に正極性及び負極性電気的接続を可能とする。これらの端部は、異なる電池要素間での並列の電気的接続を可能とする。カソード接続は、電池の一側に突出することが好ましく、アノード接続は他側で利用可能であることが好ましい。
【0115】
図18~
図20は、上述の第1の実施形態に対する電池100の代替的実施形態を示す。
図18~
図20において、いくつかの機械的要素は第1の実施形態の機械的要素に類似し、それらは同一の符号に300を加えた符号が与えられる。
【0116】
符号400が与えられた
図18~
図20に示す代替的実施形態に係る最終電池は、特に導電部材が同一の位置に設けられていないことが電池100とは異なる。
図5に類似する
図18は、H字形状の溝334の配置を示し、それは61及び63等の通路に関連しない。より具体的に、ミシン目361及び363は、アノード及びカソード箔に形成される。各H字形状の溝において、ミシン目361はHの凹部316、336間に第1の行362を形成する。さらに、他のミシン目363は、同一の凹部316、336間に第2の行364を形成する。
【0117】
示された例において、各行362及び364は、3つのミシン目によりそれぞれ形成される。代替的に、これらのミシン目は異なる数が設けられてもよく、その数は特にコンポーネントの幅に依存する。単一のミシン目(穴)が設けられてもよく、逆に3つよりもかなり多い多数のミシン目が設けられてもよい。
【0118】
ミシン目の各行は、切断線D361及びD363のそれぞれに沿って、それらの切断線がそれらを通過するように配置されている。有利には、各切断線は異なるミシン目を通過し、これらのミシン目の中心を横切る。示された例において、各ミシン目は、直径が通常50μm~5mmの円形状を有する。結果として、各切断線は、通過する異なるミシン目の直径を形成する。最後に、各ミシン目の縁と凹部又は溝のチャネルのいずれかの反対側の壁との間の距離は、箔が意図せずに引き裂かれるのを防ぐように、当業者によって選択され得る。
【0119】
製造の際に、異なるミシン目の内容積は適切な導電材料で充填される。例としては、樹脂、ポリマー又は導電ガラスを含む。従って、切断D361及びD363は、最終電池を示す
図19及び
図20に示すように、導電部材371及び373を作製する。導電部材371は、まずミシン目361内に導入される導電材料から形成され、導電部材373は、ミシン目363の導電材料から形成される。
【0120】
異なる箔はミシン目361、363の中心を通って切断されるため、各導電部材371、373は、実質的に半円筒形状を有し、その直径はミシン目の直径に対応する。この導電部材は、第1の実施形態を参照して与えられた意味において通路に受容される。この第1の実施形態とは反対に、この通路は、上記導電部材の形状に対応するため、円筒形状でなく半円筒形状である。
【0121】
特に
図19に見られるように、各側辺401、402はそれぞれ導電部材371、373により形成された導電領域と、所謂開口スタック領域とが形成されている。符号375及び377が与えられた後者は、電解質によって容易に含浸可能である。
図18~
図20に示された実施形態では、導電部材が反対側の側辺から距離を空けて配置されている第1の実施形態とは対照的に、各導電部材はそれぞれの側辺401及び402と面一上にあることに留意されるべきである。
【0122】
図18~
図20に示すこの実施形態には特定の利点がある。より具体的に、各導電部材は、箔が切断されるのと同時に形成される。これを踏まえ、これらの導電部材を作製可能にするミシン目は、切断作業を容易にすることができる。さらに、導電部材を形成する材料は、イオン液体で充填する前に固められる。
【0123】
各導電部材は、一方では電池の側辺401、402に水平に、他方では電池の上面405及び底面406に垂直に開口していることに留意されるべきである。これにより、発生した電流の回収の面で大きな利便性が得られる。より具体的には、側辺のみ、上面及び底面のみ、又はこれらの側辺及びこれらの反対の面の両方のいずれかで、電流が収集され得る。
【0124】
特に
図21に示すように、電池の下に設けられた支持体を介して電流が回収され得る。概して平坦であるこの支持体500は、300μm未満、好ましくは100μm未満の厚さを有する。有利には、この支持体は導電材料、典型的には金属材料からなる。特に、これらの材料は、それらの溶接性を改善するために、金、ニッケル及び錫の薄層でコーティングされ得るので、アルミニウム、銅又はステンレス鋼が選択される。支持体の前面は、符号510が与えられ、アノード及びカソード層に対向し、反対側の後面は符号520が与えられる。
【0125】
この支持体は穿孔されており、すなわちそれは、中央ベースプレート550と2つの対向する横方向ストリップ560及び570とを区切る領域530及び540を有する。支持体の異なる領域550、560及び570は、互いに電気的に絶縁されている。この目的のために、領域530及び540は、適切な非導電材料で充填されている。
【0126】
さらに、横方向ストリップ560及び570は、互いに電気的に絶縁された領域を形成し、それらは上記導電部材371及び373に接続される。この目的のために、有利には、各導電部材が導電性接着剤からなるバッファー562、572の導入によりそれぞれの横方向ストリップに固定される。
【0127】
この実施形態は、上記封止システム80の材料に類似する適切な材料からなる封止システム380を提供する。本質的な不浸透性の基準を保証するために、電池の正常な動作に悪影響を及ぼす可能性がある部品がアノード及びカソードの単位スタックにアクセスできないことを保証しなければならない。言い換えると、本発明によると、その有害な部品の潜在的な「入口」を防ぐことが含まれる。
【0128】
この目的のために、まず封止システム380は、電池の側辺、すなわち導電部材371及び373並びに開口スタック領域375及び377を覆う。また、それは、有利には、支持体500における空き領域530及び540に占められている。また、それは、アノード及びカソードの単位スタックの底面と支持体の反対側の面との間の中間領域にも充填される。この封止は、通常10μm以下の薄い層で行われるため、封止材料は特に種々の表面で見られ、それらが並ぶ傾向がある。この封止材料による電池の異なる領域の充填をより良く視覚化するために、符号380が
図21において複数回提供されている。
【0129】
最後に、本発明の有利な一実施形態によると、電池は全体として符号390で示される補強システムをさらに備えていることが分かる。この補強システムは、支持体500とは反対側の封止システム380の全体を覆う。さらに、有利には、この補強材料は、一方では空き領域530及び540の全て又は一部を占め、他方では支持体とアノード及びカソード箔との間の中間領域を占める。これらの異なる領域において、この補強材料は、封止材料に密接に結合される。この密接な混合物は、上記のように、封止材料がほとんどこれらの表面に存在するため、少なくとも表面に見られ得る。上記材料の存在は、不浸透性のみならず機械適合性の面でも所望の機能を最適化することを保証する。
【0130】
この補強システム390は、この特定の機械適合性機能を与えることができる材料からなり得る。このような観点から、樹脂として、例えば単純なポリマー又は無機フィラーが充填されたポリマーが選択され得る。ポリマーマトリクスは、例えばエポキシ、アクリレート又はフッ素化ポリマーのファミリーであってもよく、フィラーは粒子、フレーク又はガラス繊維によって形成されてもよい。
【0131】
有利には、この補強システム390は、追加の水分バリア機能を提供し得る。そのため、低融点ガラスを選択することで、機械的強度を確保し、さらに防湿性を提供できる。このガラスは、例えばSiO2-B2O3、Bi2O3-B2O3、ZnO-Bi2O3-B2O3、TeO2-V2O5又はPbO-SiO2ファミリーとすることができる。
【0132】
有利には、封止システムの厚さは、非常に小さく、特に50μm未満であり、好ましくは20μmである。通常、補強システムは封止システムよりもかなり厚い。例として、補強システムの厚さは、50μm~250μmであり、典型的には約100μmである。追加の補強システムの存在は、追加の利点、すなわち機械的及び化学的保護機能をもたらし、任意に追加のガスバリア機能と組み合わせられる。
【0133】
動作時において、従来通り、アノード3及びカソード1で電気エネルギーが発生される。このエネルギーは、導電部材371、373を介して、支持体500の導電領域560、570に伝達される。これらの導電領域は互いに絶縁されているため、短絡のリスクは無い。電気エネルギーは、領域560及び570から適切な型のエネルギー消費装置に導かれる。
【0134】
図21においてエネルギー消費装置が図示され、それは符号2000で示される。それは、支持体の底面が載る主要部2002と、エネルギー消費装置2004と、支持体50の底面とこの素子2004とを接続する電気接続部2006とを含む。その制御は、適切な手段、特に装置2000に属する図示しない構成要素によって提供され得る。代替的に、この制御機能は、上記支持体500に搭載された構成要素により提供され得る。
【0135】
非限定的な例として、そのようなエネルギー消費装置は、増幅型の電子回路、クロック型の電子回路(リアルタイムクロック(RTC)コンポーネント等)、揮発性メモリ型の電子回路、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)型の電子回路、マイクロプロセッサ型の電子回路、ウォッチドッグタイマー型の電子回路、液晶ディスプレイ型の構成要素、LED(発光ダイオード)型の構成要素、電圧調整器型の電子回路(低ドロップアウト調整器回路(LDO)等)、又はCPU(中央処理装置)型の電子構成要素であってもよい。
【0136】
代替的実施形態について
図25を参照して説明する。導電支持体750は複数層型であり、単一層型である上記支持体50とは逆である。さらに、この支持体750は中実型であり、穿孔型である上記の金属グリッドとは逆である。この図に示すように、支持体750は、例えばポリマー材料からなる層により形成されている。これらの層は、1つずつ下に延びており、その主な平面は、アノード及びカソードのスタックを形成する層の平面と実質的に並行である。この支持体の構造はプリント回路基板(PCB)の構造に類似する。
【0137】
図25は、上から下に向かって、電池のスタックが堆積される層756を示す。エポキシ樹脂等のポリマー材料から主になる層756には、2つのインサート757が設けられている。これらは、導電材料、特に金属材料からなり、電池のアノード及びカソードの接触部とそれぞれ協働するように設計されている。これらのインサート757は、層756のエポキシ樹脂のおかげで互いに絶縁されていることに留意されるべきである。
【0138】
また、層756の直下には、エポキシ樹脂等のポリマー材料からなる層758が設けられている。この層758には、導電材料からなる2つのインサート759が設けられており、これは、第1のインサート757と電気的に接触されている。層756と同様に、これらのインサート759は互いに絶縁されている。
【0139】
中央層760が存在し、それは、上記層756及び758と顕著に異なる。より具体的に、この層760は、典型的には、上記インサート757及び759を形成する材料に類似する導電材料からなる。この層は、2つの環状インサート761を備え、それらは絶縁材料、特に上記のようなエポキシ樹脂からなる。これらのインサート761は、その中空中央部に導電材料からなるディスク762を受け、これらは隣接する導電インサート759に接触するように配置される。これらの導電ディスク762はリング761を介して互いに絶縁されていることに留意されるべきである。
【0140】
最後に、
図25において底部層764及び766が存在し、これらはそれぞれ上記層758及び756と同一である。層764は、ディスク762と接触する2つのインサート765を備え、底部層766は、上記インサート765と接触する2つのインサート767を備える。異なる導電インサート757、759、762、765及び767は、符号753、754により示される導電パスを規定し、それは支持体705の対向する端面を電気的に接続する。これらのパスは、層756、758、764及び766、又はディスク761によって互いに絶縁されている。この実施形態において、補強システムは、第1の実施形態の補強システム80と異なるものとすることができる。保護膜780は、特にラミネーションステップによって堆積させてもよい。そのようなバリア特性を有するフィルムは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)に無機多層膜を組み込んだものからなり、そのような適切な製品は、ウルトラバリアフィルム510又はウルトラバリアソーラーフィルム510-Fという名称で3M社から市販されている。
【0141】
さらに、
図25は、エネルギー消費装置2000における支持体705、スタック702、導電パッド730及び740、封止707並びにフィルム708の統合を示す。第1の実施形態と同様に、スタック702で発生したエネルギーは、接触部材730及び740を介して上部インサート757に伝達される。その後、このエネルギーは、上記接続パス753、754に沿ってエネルギー消費装置2000に伝送される。
【0142】
その最も一般的な構造において、多層支持体は、上記導電パス753、754に類似する導電パスを規定する一方が他方の下にある2つの別々の層のみからなり得る。この特定の実施形態は、符号750で示されるような多層基板が非常に小さい厚さ、有利には100μm未満の厚さを有するため、特定の利点を有する。さらに、このような支持体は、本明細書の冒頭で「ブレス」と呼ばれる電池の寸法のわずかな変化に対応できるように一定の柔軟性を有する。この支持体は、柔軟な電子回路への組み込みを考慮して、特に満足される曲げ強度を有していることが特徴である。
【0143】
図示しないが、更なる代替的実施形態によると、
図18~
図20の代替的実施形態が
図13及び
図14の代替的実施形態と組み合わせられ得る。そのような場合において、ミシン目は、溝1014に属する隣接する各凹部1016の対の間に形成される。更なる代替的実施形態によると、第1の実施形態の電池100は
図23に示す支持体500に配置され得る。
【0144】
【0145】
図22及び23に示すように、各アノード箔601及びカソード箔602は、それぞれ符号614及び634で示される溝又は空領域を有し、それらは細長く、典型的にはI字形状である。
図23を参照すると、これらの溝は、上下に配置されたこの図では水平である線L1~Lnに分布され、また、互いに隣接して配置されたこの図では垂直である線R1~Rmに分布される。隣接する行は、材料650の水平ブリッジにより分離され、隣接する列は、材料660の垂直ブリッジにより分離されている。通常、これらの異なる材料のブリッジの幅は、0.05mm~5mmである。これらの異なる材料のブリッジは、それぞれの箔に十分な機械的剛性を与え、容易に取り扱うことができるようにされている。
【0146】
図23に示すように、上方から見ると、異なるカソード溝614が整列しており、すなわち互いに重なり合っている。同様に、異なるアノード溝634も整列される。これに対し、アノード及びカソード溝は、互いにオフセットされており、整列していない。従って、これらの溝は、複数の中間領域635を形成し、これに沿ってミシン目661が形成される。これらは、典型的には、
図18~
図20におけるミシン目361及び363と同様の形状及びサイズである。
図18~
図20に示す実施形態と同様に、ミシン目661は、導電部材371又は373を形成するのに適する材料を受ける。
【0147】
上記の場合と同様に、箔601及び602により形成されたスタックは、その全体的な安定性を確保するための操作が行われたことが想定される。そして、
図22に示すDXのように、一対のプレ切断と呼ばれるものが形成される。より具体的には、
図23は、これらの切断を複数示している。それぞれの切断DX1、DX2又はDX3の対は、隣接する行から電池の所定の行を絶縁する。この目的のために、これらの切断は、各I字形状の溝の対向する長手方向の両端付近、すなわち
図23における上端及び下端付近にそれぞれ形成される。一行中の電池の数は、特に
図22に示す行数に対応する。
【0148】
そして、いわゆる主切断が、所定の行に属する各電池を隣接する電池から分離するためにさらに形成される。この目的のために、
図24に示すように、これらの主切断DYは、ミシン目661を通って上記中間領域に形成される。先の実施形態と同様に、好ましくは、各切断は、これらのミシン目の中央を通って延びる。
【0149】
これらの切断DYが形成された後、異なる電池が互いに分離される。さらに、各切断は、それぞれの電池に属する2つの導電部材を区切ることが可能である。
図4において、隣接する3つの電池400、400’及び400’’に属する導電部材が参照される。導電部材373’及び371は、第1の切断DYにより互いに絶縁され、導電部材373及び371’’は、隣接する切断DY’により互いに絶縁されている。
【0150】
図示しない更なる代替的実施形態によると、ミシン目が空けられることも可能である。この可能性は、切断操作を改善させる点で特定の利点がある。より具体的に、ミシン目の存在により、この切断操作を速くすることができる。さらに、切断ツールの発熱を有利に抑制することができる。
【0151】
本発明によると、電池は、上記のような封止システム、アノード及びカソード導電手段、並びに終端部の技術的に適合する任意の組み合わせを含み得る。
【0152】
本発明に係る電池は、リチウムイオンマイクロ電池、リチウムイオンミニ電池、又は高出力リチウムイオン電池とすることができる。特に、それは、約1mAh以下の容量を有するように(一般に「マイクロ電池」として知られている)、約1mAh~約1Ahの出力を有するように(一般に「ミニ電池」として知られている)、又は約1Ahを超える容量を有するように(一般に「高出力電池」として知られている)設計され、寸法が決定され得る。一般に、マイクロ電池は、マイクロエレクトロニクスの製造方法と互換性があるように設計される。
【0153】
これら3つの出力範囲の電池はそれぞれ以下のように生産され得る:
-「固相」タイプの層で生産され、すなわち、液相又はペースト相に含浸されていない(該液相又はペースト相は電解質として作用することができるリチウムイオン導電媒体であり得る)、
-又は、液相又はペースト相に含浸されたメソ多孔性「固相」タイプの層で生成され、典型的にリチウムイオン導電媒体であり、それは、そこから出ない限り自然に層に浸透し、層は擬固体とみなされ得る、
-又は、含浸された多孔層で生産される(すなわち、液相又はペースト相で含浸され得る開放孔のネットワークを有する層であり、これらの層に濡れ性を与える)。
【国際調査報告】