(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】ウチデロンの経口固形製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/427 20060101AFI20230220BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230220BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230220BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230220BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230220BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230220BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20230220BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20230220BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20230220BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20230220BHJP
A61K 9/50 20060101ALI20230220BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
A61K31/427
A61K9/20
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/34
A61K47/20
A61K47/14
A61K47/44
A61K9/50
A61K47/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539043
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(85)【翻訳文提出日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 CN2021116194
(87)【国際公開番号】W WO2022048592
(87)【国際公開日】2022-03-10
(31)【優先権主張番号】202010910072.5
(32)【優先日】2020-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522239258
【氏名又は名称】北京華昊中天生物医薬股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522239269
【氏名又は名称】成都華昊中天薬業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】唐莉
(72)【発明者】
【氏名】張川
(72)【発明者】
【氏名】邱栄国
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA61
4C076BB01
4C076DD09F
4C076DD38
4C076DD43
4C076DD47
4C076DD55
4C076DD67
4C076EE06
4C076EE13
4C076EE16
4C076EE23
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE33
4C076EE49
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC82
4C086GA13
(57)【要約】
本発明は、経口投与に適している、4,8-ジヒドロキシ-5,5,7,9,13-ペンタメチル-16-[1-メチル-2-(2-メチル-チアゾール-4-イル)-ビニル]-ヘキサデカン含酸素複素環-13-エン-2,6-ケトンラクトン(ウチデロン)を活性成分とする経口製剤を提供する。前記製剤は、錠剤やカプセル剤などの固形製剤であり、前記薬物の剤形は、良好な安定性、体外での溶出の挙動及びバイオアベイラビリティを有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分としてウチデロン、その薬学的に許容される塩、溶媒和物又はエステルを含み、医薬用アジュバントをさらに含むことを特徴とする経口固形製剤。
【請求項2】
前記医薬用アジュバントは、親水性の医薬用アジュバント、徐放性医薬用アジュバント及び任意の界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の経口固形製剤。
【請求項3】
前記活性成分と医薬用アジュバントとの重量百分比は、1:1~1:30であることを特徴とする請求項1又は2に記載の経口固形製剤。
【請求項4】
前記活性成分と医薬用アジュバントとの重量百分比は、1:5~1:20であることを特徴とする請求項3に記載の経口固形製剤。
【請求項5】
前記親水性の医薬用アジュバントは、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、乳糖、ショ糖、ポロキサマー、ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種であり、前記徐放性医薬用アジュバントは、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタクリル酸・酢酸エステル共重合物、酢酸セルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸樹脂、フタル酸ポリビニルアルコールエステル、フタル酸セルロースエステル及びヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートから選ばれる少なくとも1種であり、前記界面活性剤は、ポリソルベート、ポリオキシエチレンヒマシ油、ドデシル硫酸ナトリウム、コール酸塩、脂肪酸グリセリド、ソルビタン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル及びポロキサマーから選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
【請求項6】
前記親水性の医薬用アジュバントは、低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン及びポロキサマーから選ばれる少なくとも1種であり、前記徐放性医薬用アジュバントは、高粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、高粘度ポリエチレングリコール、エチルセルロース及び酢酸セルロースから選ばれる少なくとも1種であり、前記界面活性剤は、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリソルベート及びポロキサマーから選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項5に記載の経口固形製剤。
【請求項7】
前記経口製剤は、マイクロカプセル剤又は錠剤であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
【請求項8】
前記マイクロカプセル剤又は錠剤は、マイクロペレットの重量又は錠剤の重量の2%~10%(w/w)の活性成分を含むことを特徴とする請求項7に記載の経口固形製剤。
【請求項9】
前記マイクロカプセル剤1粒あたりのマイクロペレットに5~30mgのウチデロンを含み、1錠あたりに5~20mgのウチデロンを含むことを特徴とする請求項8に記載の経口固形製剤。
【請求項10】
前記マイクロカプセル剤又は錠剤は、マイクロペレットの重量又は錠剤の重量の30%~70%(w/w)の医薬用アジュバント及び20%~60%(w/w)のペレットコアをさらに含むことを特徴とする請求項8又は9に記載の経口固形製剤。
【請求項11】
マイクロカプセル剤である経口固形製剤であって、ウチデロンを活性成分とし、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び高粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロースを医薬用アジュバントとすることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
【請求項12】
前記マイクロカプセル剤は、ショ糖をペレットコアとすることを特徴とする請求項11に記載の経口固形製剤。
【請求項13】
活性成分であるウチデロンは、アモルファス形態又は分子形態として存在することを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、医薬分野に関し、特にウチデロンの経口固形製剤及びその調製方法、並びに用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ウチデロンは、エポチロン系誘導体であり、マクロライド系化合物であり、遺伝子修飾後の粘液細菌であるソランジウム・セルロサム(Sorangium cellulosum)から産生される二次代謝物である。研究の結果から明らかなように、エポチロン系抗生物質は、パクリタキセルと同じ薬理学的作用機序を有し、チューブリンの脱重合を抑制することで抗腫瘍作用を発揮する。ウチデロンの化学名は、4,8-ジヒドロキシ-5,5,7,9,13-ペンタメチル-16-[1-メチル-2-(2-メチル-チアゾール-4-イル)-ビニル]-ヘキサデカン含酸素複素環-13-エン-2,6-ケトンラクトンであり、その化学構造式は、以下の通りである。
ウチデロン注射液(登録商標:UTD1
TM)は、規格5 mL:50 mgであり、1.5時間程度かけて点滴静脈注射し、用量30~40mg/m
2/日とし、1日1回、5日間連続投与し、21日を1つの治療期間とする。患者の疾患が進展したり毒性が耐えられなくなるまで投与する。ウチデロン注射液は、注射用生理食塩水で希釈(ウチデロンの最終濃度が0.2mg/mL~0.5mg/mLである)して使用する必要があり、末期の乳癌、肺癌、胃癌、肝癌などの固形腫瘍患者の治療に用いられる。
【0003】
ウチデロンは、エタノール、メタノール、酢酸エチル、トリクロロメタンに溶けやすいが水に溶けにくく、水への飽和溶解度が、1μg/mL未満であるもので、適切なバイオアベイラビリティを持つ経口製剤への開発が困難である。現在、市販されているエポチロン系抗腫瘍薬、例えばウチデロン注射液、イキサベピロン注射液などは、いずれもエタノール、ポリオキシエチレンヒマシ油などの非水溶媒を溶媒として使用し、臨床に使用する前、塩化ナトリウム注射液で希釈した後、点滴静脈注射により投与する。ポリオキシエチレンヒマシ油は、強い感作性物質であるので、静脈内投与前に抗アレルギー剤を投与する必要があり、これにより、臨床的使用におけるこのような薬のコンプライアンスを低下させ、患者の不良反応を増加させ、その臨床的な適用範囲が制限される。
【0004】
エポチロン系化合物の経口固形製剤は稀であり、静脈注射により投与される製剤を組み合わせて経口投与に用いることが多く、例えば特許CN 101112373が挙げられる。エポチロン系化合物は、溶液状態で開環して分解しやすく、体内で溶解度が低くて結晶が析出するので、溶液型経口製剤のエポチロン系化合物の製剤は、通常、安定性が悪く、経口投与による刺激性が高く、バイオアベイラビリティが低いなどの欠点が存在し、薬学的な実現可能性がほとんどないので、高いバイオアベイラビリティ及び高い薬物安定性を有する経口製剤を開発することは、業界内の共通認識である。
【発明の概要】
【0005】
上記の問題を解決するために、本願は、ウチデロンを活性成分とする経口製剤及びその調製方法を提供する。本願の経口製剤は、高いバイオアベイラビリティを持つとともに良好な物理的及び化学的安定性を有することにより、このような活性成分の経口投与を可能にするとともに、投与コンプライアンスを向上させ、ポリオキシエチレンヒマシ油の注射投与による強いアレルギー反応を解消する。
【0006】
本願に係る経口製剤は、ウチデロンの溶解度を効果的に高めるとともに、ウチデロンの体内及び体外の安定性を解決し、製剤のバイオアベイラビリティを大幅に向上させ、工業的な生産拡大に適した製剤の調製プロセスを提供する。
【0007】
本願に係るウチデロン経口製剤は、カプセル剤、錠剤又は顆粒剤などの固形製剤、例えばマイクロカプセル剤として調制することができる。本願の経口固形製剤の溶出率及びバイオアベイラビリティのデータによって、良好なバイオアベイラビリティを有することが示される。
【0008】
一態様によれば、本願は、経口投与に適した、エポチロン系活性成分、例えばウチデロンを含む経口固形製剤を提供する。
【0009】
通常、難溶性薬物は、APIの粒子径を小さくしたり、親水性担体材料で固体分散体を調製したり、界面活性剤を加えたりするなどの製剤方法により薬物の溶解度を向上させることにより、薬物のバイオアベイラビリティを向上させることができる。ウチデロンの水溶性が特に悪いので、薬物の粒子径を小さくしたり薬学的に許容される範囲内の界面活性剤を加えたりするなどの単一の方法により理想的な薬物溶出効果を得ることは困難である。このため、物理的及び化学的安定性を有し且つウチデロンの溶解度及び経口バイオアベイラビリティを高める経口製剤を得ることは非常に挑戦的で創造的である。
【0010】
本願に係るウチデロンを含む経口固形製剤は、原薬(即ち、活性成分:ウチデロン又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又はエステル)及び医薬用アジュバントを含む。前記経口製剤は、1)ウチデロン、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又はエステル、2)少なくとも1つの親水性の医薬用アジュバント、3)少なくとも1つの徐放性医薬用アジュバント、及び4)任意の少なくとも1つの界面活性剤成分を含む。
【0011】
本願は、ウチデロンだけでなく、ウチデロンと同類な他のエポチロン誘導体にも適用すべきである。
【0012】
一部の実施形態によれば、本願に係る経口固形製剤は、例えばマイクロカプセル剤であり、1)ウチデロン、又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物又はエステル、2)少なくとも1つの親水性の医薬用アジュバント、3)少なくとも1つの徐放性医薬用アジュバント、及び4)少なくとも1つの界面活性剤成分であるアジュバントを含む。
【0013】
本願に係る経口製剤において、ウチデロンと医薬用アジュバントとの割合は、1:1~1:30の範囲であり、好ましくは1:5~1:20である。
【0014】
本願に係るマイクロカプセル剤におけるマイクロペレットは、ペレットコアと、ペレットコアにコーティングされた医薬組成物コーティング層又は/及び薬物コーティング層とを含む。前記ペレットコアは、例えば粒子径100~1000μmの円形又は楕円形の医薬用アジュバントであってもよい。錠剤及びペレットコアに用いられる骨格材は、ペレットコア材と通称され、例えばショ糖、デンプン、乳糖、微晶セルロース、マンニトール及び生分解性ポリマーなどであってもよい。
【0015】
前記マイクロカプセル剤又は錠剤は、約2%~10%(w/w)のウチデロンと、約30%~70%(w/w)の医薬用アジュバントと、約20%~60%(w/w)のペレットコア材とを含み、上記の重量%が、マイクロペレット又は錠剤の総重量に基づいて算出されたものである。好ましくは、1カプセル当たりに5~30mgのウチデロンを含むマイクロペレットを充填することができ、1錠当たりに約5~20mgのウチデロンを含むことができる。
【0016】
本願に係る経口製剤は、マイクロペレットを調製する場合に使用されるペレットコアは、ショ糖、デンプン、微晶セルロース製ペレットコア又は他の薬学的に許容されるペレットコアから選ばれ、ショ糖製ペレットコアが好ましい。ペレットコアの直径は、0.2mm~1.5mmであり、好ましくは0.4mm~1.0mmである。薬物コーティングを含むマイクロペレットの粒子径は、0.5~1.5mmである。
【0017】
本願に係る経口製剤(例えばマイクロカプセル剤)における親水性の医薬用アジュバントは、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マンニトール、乳糖、ショ糖、ポロキサマー、ポリビニルアルコールなどから選ばれる1種又は複数種の混合物であり、例えば、低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポロキサマーが挙げられる。
【0018】
本願に係る経口製剤(例えばマイクロカプセル剤)における徐放性医薬用アジュバントは、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、メタクリル酸・酢酸エステル共重合物、酢酸セルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸樹脂、フタル酸ポリビニルアルコールエステル、フタル酸セルロースエステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどから選ばれる1種又は複数種の混合物であり、例えば高粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース、高粘度ポリエチレングリコール、エチルセルロース、酢酸セルロースが挙げられる。
【0019】
本願に係る経口製剤(例えばマイクロカプセル剤)における界面活性剤であるアジュバントは、ポリソルベート、ポリオキシエチレンヒマシ油、ドデシル硫酸ナトリウム、コール酸塩、脂肪酸グリセリド、ソルビタン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル、ポロキサマーなどから選ばれる1種又は複数種の混合物であり、最も好ましくは、ポリオキシエチレンヒマシ油であり、好ましくは、ポリソルベート、ポロキサマーである。
【0020】
一実施形態によれば、本願に提供される経口固形製剤、例えばマイクロカプセル剤は、ウチデロンを活性成分とし、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばE50)、高粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばK100)を医薬用アジュバントとし、ペレットコアは、ショ糖である。
【0021】
他の態様によれば、本願は、経口製剤を調製する方法を提供する。例えば、ウチデロンを含むマイクロカプセル剤を調製する方法は、以下の通りである。ウチデロン及び対応するアジュバントを溶媒で溶解した後、コーティングプロセスによりウチデロンをペレットコアにコーティングしてマイクロペレットを調製し、最後にカプセルに封入してカプセル剤を調製するか、又は錠剤にプレス加工する。この調製方法により、ウチデロン薬物が悪い水溶性によって溶出しにくく、そして、固体分散体技術により調製された製剤が体外や体内で再結晶しやすいなどの欠陥による、薬物のバイオアベイラビリティが悪いという問題を解決する。同時に、本願に係る経口製剤は、製剤プロセスの安定性を確保するために原薬の粒子径や結晶型を厳しく制御する必要がなくなり、生産過程において発塵性が低く、完全閉鎖系製造が可能であるので、職業性の危害を低減できるなどの利点を有し、得られたウチデロン経口固形製剤におけるウチデロンは、アモルファス又は分子形態として存在する。
【0022】
上記のウチデロン経口製剤及びその調製プロセスは、少なくとも以下の特徴を有する。
【0023】
1)経口製剤において、少なくとも1種の親水性の医薬用アジュバント成分を含むことにより、薬物の溶解度を高める。
2)経口製剤において徐放性機能を持つ医薬用アジュバントを含むことにより、親水性の医薬用アジュバントを用いて調製された固体分散体中の薬物の放出速度を抑制し、これにより、体内での薬物の過飽和濃度を下げ、体内での薬物の再結晶の進行を抑制することができる。
3)経口製剤において1種以上の界面活性成分を含むことにより、体内及び体外での薬物の再結晶の進行をさらに抑制するとともに、マイクロペレットの調製プロセスで一定の可塑化作用を発揮し、マイクロペレット製品の靭性を向上させることができる。
4)調製プロセスの過程において、まず、ウチデロンを有機溶剤又は有機溶剤の混合物又は有機溶剤と水の混合物に溶解する必要がある。
5)調製プロセスの過程において、有機溶剤又は有機溶剤の混合物又は有機溶剤と水の混合物に溶解するウチデロンを、親水性の医薬用アジュバント及び/又は徐放性医薬用アジュバント及び/又は界面活性剤などの医薬用アジュバントと共乾燥させ、高い溶解度を有する固体分散体を調製するか、又は高い溶解度及び徐放特性を同時に有するマイクロペレットを調製する必要がある。
【0024】
上記の有機溶剤は、エタノール、メタノール、酢酸エチル、アセトン、ジクロロメタン、トリクロロメタンなどの薬学的に許容される有機溶剤から選ばれ、例えば、エタノール、メタノール、酢酸エチル、又はアセトン、又は任意の割合で上記の2種又は2種以上の溶媒を混合した混合物である。
【0025】
上記の共乾燥調製プロセスは、主に、流動床コーティングプロセス、噴霧乾燥プロセス、減圧真空乾燥プロセス及び加熱乾燥、凍結乾燥などの乾燥プロセスである。
【0026】
本願に係る経口製剤は、ヒト患者(又は動物)に適用され、軟カプセル剤及び硬カプセル剤、錠剤、顆粒剤、多顆粒剤又はマイクロぺレット剤、例えばマイクロカプセル剤などの固形製剤を含む。
【0027】
市販の単位剤形に応じた、1日用量及び頻度で投与することができ、半単位、単一単位又はそれ以上の単位剤形を投与することにより、本願の経口製剤の1日用量を得ることができる。
【0028】
他の態様によれば、本願は、ヒト又は動物の癌の治療に用いられる。本明細書に記載されるように、癌とは、様々な癌を指し、ここで、前記腫瘍は、固形腫瘍、特に乳癌、肺腫瘍、消化管腫瘍、リンパ腫、前立腺癌、脳癌、婦人科腫瘍、肝癌、頭頸部腫瘍などであり、例えば乳癌、肺癌、肝癌、卵巣癌、結腸癌及び胃癌が挙げられる。
【0029】
用語の定義
医薬用アジュバントとは、医薬品の調製や処方の調合に使用される賦形剤及び付加剤であり、活性成分以外の、安全性の面で合理的に評価され且つ製剤に含まれる物質を指す。
【0030】
ペレットコアは、骨格型マイクロペレットを製造するために必要な離型性母粒子である。
【0031】
親水性の医薬用アジュバントとは、水に対して大きな親和性を持ち、水分子を吸引可能であるか又は水に溶けやすい医薬用アジュバントを指す。
【0032】
徐放性医薬用アジュバントは、薬物を徐々に放出させて薬物の作用時間を延ばすことができる材料、例えば、薬物を担持して徐々に放出させるマイクロカプセルを調製するためのものを指す。
【0033】
低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロースとは、粘度<80mPa.Sであるヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばE5、E3、E15、E50、K3などのタイプのヒドロキシプロピルメチルセルロースを指す。
【0034】
高粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロースとは、粘度≧80 mPa.Sであるヒドロキシプロピルメチルセルロース、例えばK100LV、K100M、K100LVP、K4M、E4M、E4MP、K100MPなどのタイプのヒドロキシプロピルメチルセルロースを指す。
【0035】
高粘度ポリエチレングリコールとは、分子量>1000であるポリエチレングリコール、例えばPEG1000、PEG2000、PEG4000、PEG8000などのタイプのポリエチレングリコールを指す。
【0036】
本願は、以下のような利点を有する。
【0037】
1.本願に係る経口製剤のバイオアベイラビリティが高く、さらには55%以上に達することができる。
2.本願に係る調製プロセスは、通常の経口固形製剤の調製プロセスのように原薬の粒子径及び結晶型を厳しく制御する必要はない。活性成分を溶解しやすい有機溶剤に溶解した後、コーティングプロセスにより医薬用ブランクのマイクロペレットコアにスプレー塗布し、乾燥後に得られたマイクロペレット中のウチデロンは、アモルファス及び分子形態としてマイクロペレット又は粉末に存在し、且つ一定の安定性を持つ。
3.本願に係る経口製剤の調製プロセスは、一体化された成形プロセスを使用することができ、プロセス調製の過程において、基本的に密閉式の操作を行うことにより、細胞毒性化合物による職業性曝露危害を効果的に回避することができる。
4.本願に係る経口製剤は、調製において製品の合計収率が90%以上に達し、通常の経口固形製剤材料の合計収率よりはるかに高い。
5.本願に係る経口固形製剤中の活性成分であるウチデロンは、結晶形態ではなく、アモルファス又は分子形態として存在する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図5A】実施例5-Aの経口製剤の溶出曲線である。
【
図5B】実施例5-Bの経口製剤の溶出曲線である。
【
図6】ウチデロン注射液の血中薬物濃度-時間曲線下面積である。
【
図7】実施例1のウチデロンのカプセル剤の血中薬物濃度-時間曲線下面積である。
【
図8】ウチデロン注射液の血中薬物濃度-時間曲線下面積である。
【
図9】実施例5-Aのウチデロンのカプセル剤の血中薬物濃度-時間曲線下面積である。
【
図10】結晶形態のウチデロンのX線回折パターンである。
【
図11】アモルファス形態のウチデロンのX線回折パターンである。
【
図12】実施例5-Aで調製されたウチデロンのカプセル剤に使用される医薬用アジュバント(非活性成分)のX線回折パターンである。
【
図13A】実施例5-Aで調製されたウチデロンのカプセル剤(室温で保存する)中の内容物のX線回折パターンである。
【
図13B】実施例5-Aで調製されたウチデロンのカプセル剤(室温で保存する)中の内容物のHPLCパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、具体的な実施例を併せて本願をさらに説明するが、本願は、下記の実施例に限定されるものではない。当業者にとって、本願の原理を逸脱することなく、適切な最適化及び修正を行うこともでき、これらの改良及び修飾も本発明の保護範囲内にある。
【0040】
材料:
以下の実施例の製剤処方に使用されるウチデロンは、成都華昊中天薬業社から製造されたものであり、すべてのアジュバントの実施基準は、中国で承認されるもの又は中国薬局方2020版であり、ここで、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油は、BASF社(中国)から製造され、ヒドロキシプロピルメチルセルロースE50は、ローム・アンド・ハース社から製造され、ヒドロキシプロピルメチルセルロースK100は、ローム・アンド・ハース社から製造され、ペレットコア(ショ糖)は、上海カラコンコーティング技術社から製造され、ヒドロキシプロピルメチルセルロース中空カプセルは、蘇州カプセル社から製造される。ただし、以下の実施例の経口固形製剤に用いられるアジュバントは、製造メーカにより限定されるものではない。
【0041】
実施例1:ウチデロン経口固形製剤の処方
処方量のウチデロン、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリビニルピロリドンK30をビーカーに入れて処方量の無水エタノールで溶解させた。処方量の精製水を加え、均一に混合した。又は、処方量のヒドロキシプロピルメチルセルロースE5を処方量の精製水に加えながら撹拌して溶解させ、無水エタノール溶液にヒドロキシプロピルメチルセルロースE5の水溶液を徐々に加え、約1時間撹拌を継続して十分に混合した。多機能型の造粒コーティング装置に処方量のペレットコアを加え、コーティングを施し、コーティング終了後、十分に乾燥し、材料を取り出し、得られたマイクロペレットをカプセルに充填した。1カプセル当たり10~30mgのウチデロンを充填することができる。
【0042】
溶出率試験:
測定サンプルは、20mgのウチデロンを含むカプセル剤である。『中国薬局方』2020版付録0931溶出率及び放出率測定法に記載の第1法に準じて測定し、回転バスケットに試験用カプセル剤を加え、回転速度を100回転/分とし、溶出媒体を900mLのpH6.8リン酸塩緩衝液とした。高速液体クロマトグラフ法により放出率を測定し、カラムは、C18カラムであり、移動相は、アセトニトリル-水=(65:35)であり、カラム温度は、30℃であり、検出波長は、250nmである。溶出曲線を
図1に示す。
【0043】
親水性担体材料を固体分散体の担体としてウチデロンと固体分散体を調製した後、薬物の溶解性は著しく向上したが、溶解後の薬物は、体内で再結晶現象を起こしやすいので、薬物のバイオアベイラビリティが低減される。本実施例のビーグル犬内のバイオアベイラビリティは、29%である。
【0044】
実施例2
ウチデロン経口固形製剤の処方
処方量のウチデロン、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油をビーカーに入れて、処方量の無水エタノールで溶解させた。処方量のヒドロキシプロピルメチルセルロースE5を処方量の精製水に加えながら撹拌して溶解させ、ヒドロキシプロピルメチルセルロースE5水溶液を無水エタノール溶液に徐々に加え、約1時間撹拌を継続して十分に均一に混合した。多機能型の造粒コーティング装置に処方量のペレットコアを加え、コーティングを施し、コーティング終了後、十分に乾燥し、薬物含有マイクロペレットを取り出した。
【0045】
11gのエチルセルロース、1.5gのポリエチレングリコール400をビーカーに入れて175mLの無水エタノールで溶解させた後、水を加えて250mLまで希釈し、放出制御型コーティング溶液を得た。薬物含有マイクロペレットを流動床に置いて、放出制御型コーティング溶液を施し、コーティング後の重量は、約4%増加し、コーティング終了後、40℃で2時間以上老化してウチデロン徐放性マイクロペレットを得て、ウチデロン徐放性マイクロペレットをカプセルに充填した。
【0046】
溶出率試験:
測定サンプルは、20mgのウチデロンを含むカプセル剤である。『中国薬局方』2020版付録0931溶出率及び放出率測定法に記載の第1法に準じて測定し、回転バスケットに試験用カプセル剤を加え、回転速度を100回転/分とし、溶出媒体を900mLのpH6.8リン酸塩緩衝液とした。高速液体クロマトグラフ法により放出率を測定し、カラムは、C18カラムであり、移動相は、アセトニトリル-水=(65:35)であり、カラム温度は、30℃であり、検出波長は、250nmである。溶出曲線を
図2に示す。
【0047】
実施例3
ウチデロン経口固形製剤の処方
処方量のウチデロン、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油をビーカーに入れて、処方量の無水エタノールで溶解させた。処方量のヒドロキシプロピルメチルセルロースE50、K100を処方量の精製水に加えながら撹拌して溶解させ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を無水エタノール溶液に徐々に加え、約1時間撹拌を継続して十分に均一に混合した。多機能型の造粒コーティング装置に処方量のペレットコアを加え、コーティングを施し、コーティング終了後、十分に乾燥し、材料を取り出し、得られたマイクロペレットをカプセルに充填した。
【0048】
溶出率試験:
測定サンプルは、20mgのウチデロンを含むカプセル剤である。『中国薬局方』2020版付録0931溶出率及び放出率測定法に記載の第1法に準じて測定し、回転バスケットに試験用カプセル剤を加え、回転速度を100回転/分とし、溶出媒体を900mLのpH6.8リン酸塩緩衝液とした。高速液体クロマトグラフ法により放出率を測定し、カラムは、C18カラムであり、移動相は、アセトニトリル-水=(65:35)であり、カラム温度は、30℃であり、検出波長は、250nmである。溶出曲線を
図2に示す。
【0049】
実施例4
ウチデロン経口固形製剤の処方
処方量のウチデロン、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、エチルセルロースをビーカーに入れて処方量の無水エタノールで溶解させた。処方量のヒドロキシプロピルメチルセルロースE50を処方量の精製水に加えながら撹拌して溶解させ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液を無水エタノール溶液に徐々に加え、約1時間撹拌を継続して十分に均一に混合した。多機能型の造粒コーティング装置にペレットコアを加え、コーティングを施し、コーティング終了後、十分に乾燥し、材料を取り出し、得られたマイクロペレットをカプセルに充填した。
【0050】
溶出率試験:
測定サンプルは、20mgのウチデロンを含むカプセル剤である。『中国薬局方』2020版付録0931溶出率及び放出率測定法に記載の第1法に準じて測定し、回転バスケットに試験用カプセル剤を加え、回転速度を100回転/分とし、溶出媒体を900mLのpH6.8リン酸塩緩衝液とした。高速液体クロマトグラフ法により放出率を測定し、カラムは、C18カラムであり、移動相は、アセトニトリル-水=(65:35)であり、カラム温度は、30℃であり、検出波長は、250nmである。溶出曲線を
図4に示す。
【0051】
【0052】
処方量のウチデロン、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油をビーカーに入れて処方量の無水エタノールで溶解させた。処方量のヒドロキシプロピルメチルセルロースE50、K100を処方量の精製水に加えながら撹拌して溶解させ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を無水エタノール溶液に徐々に加え、約1時間撹拌を継続して十分に均一に混合した。多機能型の造粒コーティング装置に処方量のペレットコアを加え、コーティングを施し、コーティング終了後、十分に乾燥し、材料を取り出し、得られたマイクロペレットをカプセルに充填してウチデロンのカプセル剤を得た。
【0053】
溶出率試験:
測定サンプルは、20mgのウチデロンを含むカプセル剤である。『中国薬局方』2020版付録0931溶出率及び放出率測定法に記載の第1法に準じて測定し、回転バスケットに試験用カプセル剤を加え、回転速度を100回転/分とし、溶出媒体は、それぞれ900mLのpH6.8リン酸塩緩衝液、0.1mol/L塩酸、精製水及びpH4.5酢酸塩緩衝液である。高速液体クロマトグラフ法により放出率を測定し、カラムは、C18カラムであり、移動相は、アセトニトリル-水=(65:35)であり、カラム温度は、30℃であり、検出波長は、250nmである。溶出曲線を
図5Aに示す。得られたサンプルの体外溶出特徴は、所期の目的を達成し、異なる条件下で、30分で約57%溶出し、60分で約99%溶出し、突然の放出、不完全な放出の現象はない。
【0054】
実施例5-B
本実施例のマイクロカプセル剤の調製方法及び溶出率の検出方法は、実施例5-Aと同じである。
溶出曲線を
図5Bに示し、複数ロットで調制したカプセルの各ロットの放出均一性は良好である(
図5Bに示すように)。
【0055】
実施例6
ウチデロン経口固形製剤の処方;
処方量のウチデロン、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油をビーカーに入れて処方量の無水エタノールで溶解させた。処方量のヒドロキシプロピルメチルセルロースE50、K100を処方量の精製水に加えながら撹拌して溶解させ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース水溶液を無水エタノール溶液に徐々に加え、約1時間撹拌を継続して十分に均一に混合した。多機能型の造粒コーティング装置に処方量のペレットコアを加え、コーティングを施し、コーティング終了後、十分に乾燥し、材料を取り出し、薬物含有マイクロペレットを得た。薬物含有マイクロペレットと処方量のポリビニルピロリドンK30、乳糖、タルクとを均一に混合し、打錠し、ウチデロン錠剤を得た。
【0056】
実施例7
ウチデロン経口固形製剤の処方
処方量のウチデロン、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリビニルピロリドンK30をビーカーに入れて処方量の無水エタノールで溶解させ、均一に混合し、薬液を得た。この薬液を多機能型の造粒コーティング装置で噴霧乾燥した後、ウチデロン固体分散体を得た。このウチデロン固体分散体と処方量の乳糖、ヒドロキシプロピルメチルセルロースK100M及びタルクとを乾式法で造粒した後、打錠し、ウチデロン錠剤を得た。
【0057】
実施例8
ウチデロン経口固形製剤の処方
処方量のウチデロン、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、吐温80、ポリエチレングリコール6000をビーカーに入れて処方量の無水エタノールで溶解させ、さらに処方量の精製水を加え、均一に混合し、多機能型の造粒コーティング装置に処方量のペレットコアを加え、コーティングを施し、コーティング終了後、十分に乾燥し、材料を取り出し、得られたマイクロペレットをカプセルに充填した。
【0058】
実施例9
ウチデロン経口固形製剤の処方
処方量のウチデロン、ポロキサマー407、ポリエチレングリコール8000をビーカーに入れて処方量の無水エタノールで溶解させ、さらに処方量の精製水を加え、均一に混合し、多機能型の造粒コーティング装置に処方量のペレットコアを加えてコーティングを施し、コーティング終了後、十分に乾燥し、材料を取り出し、得られたマイクロペレットをカプセルに充填した。
【0059】
実施例10
ウチデロン経口固形製剤の処方
処方量のウチデロン、ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール6000をビーカーに入れて処方量の無水エタノールで溶解させ、均一に混合し、多機能型の造粒コーティング装置で噴霧乾燥して、ウチデロン固体分散体を得た。
造粒機により、ウチデロン固体分散体と、処方量の乳糖、シリカ、ポリビニルピロリドンK90とを乾式法で造粒した後、打錠し、ウチデロン錠剤を得た。
【0060】
実施例11
ウチデロン経口固形製剤の処方
処方量のウチデロン、ポロキサマー407、ポリエチレングリコール4000をビーカーに入れて処方量の無水エタノールで溶解させた後、均一に混合し、多機能型の造粒コーティング装置で噴霧乾燥して、ウチデロン固体分散体を得た。
造粒機により、ウチデロン固体分散体及び処方量の乳糖、シリカ、ベヘン酸グリセリル、ポリビニルピロリドンを乾式法で造粒した後、打錠し、ウチデロン錠剤を得た。
【0061】
実施例12
ウチデロン経口固形製剤の処方
処方量のウチデロン、ポリソルベート、酢酸セルロースをビーカーに入れて処方量の無水エタノールで溶解させた。処方量の乳糖を処方量の精製水に加えながら撹拌して溶解させ、精製水溶液を無水エタノール溶液に徐々に加え、約1時間撹拌を継続して十分に均一に混合した。多機能型の造粒コーティング装置に処方量のペレットコアを加え、コーティングを施し、コーティング終了後、十分に乾燥し、材料を取り出し、得られたマイクロペレットをカプセルに充填してウチデロンのカプセル剤を得た。
【0062】
実施例13:バイオアベイラビリティ試験
1.実施例1で調製されたウチデロンのカプセル剤のバイオアベイラビリティ
試験方法:
4匹のビーグル犬を2群に分け、そのうちの1群は、1回目の試験において、ビーグル犬1匹につき、ウチデロンマイクロペレットを1mg/kgで経口投与し、他の群は、1回目の試験において、ビーグル犬1匹につき、ウチデロン注射液を1mg/kgで点滴静脈注射した。投与前、投与後0.5h、1h、1.5h、2h、2.5h、3h、4h、6h、8h、12h及び24hなどの時間帯で静脈から採血した。遠心により血漿を分離した後、LC-MS/MS法で血漿中のウチデロン濃度を測定した。試験結果を
図6に示す。
【0063】
ウチデロン注射液及びウチデロンのカプセル剤(実施例1)の薬物動態学的データを以下の表に示す。
【0064】
実施例1の経口製剤の相対的バイオアベイラビリティの平均値は、29%程度に達することができる。
【0065】
同じ実験方法により測定したところ、実施例2、3、4で調製されたウチデロン製剤の相対的バイオアベイラビリティの平均値は、30~50%である。
【0066】
2.実施例5及び6で調製されたウチデロン製剤によるバイオアベイラビリティ試験
試験方法:
6匹のビーグル犬を3匹ずつ2群に分け、第1群では、ビーグル犬1匹につき、実施例5-Aのウチデロンのカプセル剤を1.5mg/kgで経口投与し、他の群では、ウチデロン注射液を参照として、ビーグル犬1匹につき、ウチデロン1mg/kgを点滴静脈注射した。投与前、及び投与後から0.5h、1h、1.5h、2h、2.5h、3h、4h、6h、8h、12h、24hなどの時間帯で静脈から採血した。遠心により血漿を分離した後、LC-MS/MS法で血漿中のウチデロン濃度を測定した。注射液の試験結果を
図8に示す。カプセル剤の実験結果を
図9に示す。
【0067】
ウチデロン注射液及びウチデロンのカプセル剤(実施例1)の薬物動態学的データを以下の表3に示す。
ウチデロンのカプセル剤を単回経口投与する場合、相対的バイオアベイラビリティは、53.1%~103.8%であり、相対的バイオアベイラビリティの平均値は、78.5%である。
【0068】
実施例5-Aと同様の実験方法により測定したところ、実施例6で調製されたウチデロン錠剤の相対的バイオアベイラビリティの平均値は、55%以上に達することができる。
【0069】
実施例14:安定性
40℃、75%RHの加速試験条件下で、ウチデロンのカプセル剤(実施例1、5)を1ヶ月保存した後の関連物質の検出結果から、製品中の分解不純物がICH Q3に規定される範囲内であり、本発明のウチデロン経口製剤が良好な安定性を有することが示された。
【0070】
40℃、75%RHの加速試験条件下で、ウチデロンのカプセル剤(実施例1、5)を1ヶ月保存した後の製剤製品をX線回折により検出したところ、ウチデロンのカプセル剤中のウチデロンがアモルファス形態又は分子形態として存在することが示された。
【0071】
実施例15:アモルファス物質としてのウチデロンの調製
方法1:
ウチデロン1gを5mLのジクロロメタン若しくはトリクロロメタン、又はジクロロメタン、トリクロロメタン、酢酸エチルのうちのいずれか2種又は3種の混合溶媒に溶解し、30℃~80℃、-0.05Mpaで、減圧乾燥して、アモルファス物質としてのウチデロンを得た。
【0072】
方法2:
ウチデロン1gを5mLのジクロロメタン若しくはトリクロロメタン、又はジクロロメタン、トリクロロメタン、酢酸エチルのうちのいずれか2種又は3種の混合溶媒に溶解し、流動床で噴霧乾燥を行い、材料及び送風温度≧30℃とし、アモルファス物質としてのウチデロンを得た。
【0073】
方法3:
ウチデロン1gを10mLのメタノール又はエタノール溶媒に溶解し、ロータリーエバポレーターにより減圧蒸発・乾燥させて、アモルファス物質としてのウチデロンを得た。
【0074】
アモルファス物質としてのウチデロンのX線回折パターンを
図11に示す。
【0075】
本願の実施例のプロセス技術により得られたカプセル剤中のウチデロンは、アモルファス形態又は分子形態として存在する。
【国際調査報告】