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特表2023-508109紫外線C放射線保護フィルム及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】紫外線C放射線保護フィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/28 20060101AFI20230220BHJP
   G02B 5/26 20060101ALI20230220BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20230220BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20230220BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
G02B5/28
G02B5/26
G02B5/22
B32B7/023
B32B27/30 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540318
(86)(22)【出願日】2020-12-26
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 IB2020062460
(87)【国際公開番号】W WO2021137125
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】62/954,768
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/199,057
(32)【優先日】2020-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】へブリンク,ティモシー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スウィートナム,シーン エム.
(72)【発明者】
【氏名】マキ,ステフェン ピー.
【テーマコード(参考)】
2H148
4F100
【Fターム(参考)】
2H148CA04
2H148CA09
2H148CA13
2H148CA17
2H148CA23
2H148CA27
2H148FA05
2H148FA07
2H148FA09
2H148FA18
2H148FA22
2H148FA24
2H148GA04
2H148GA05
2H148GA18
2H148GA24
2H148GA33
2H148GA60
2H148GA61
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4F100AK07D
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4F100AK18A
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4F100AK19B
4F100AK19C
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4F100JN18B
4F100JN18C
(57)【要約】
フルオロポリマーで作製された基材と、基材の主表面上に配置された多層光学フィルムと基材とは反対側の多層光学フィルムの主表面上に配置されたヒートシール可能な封止材層と、を含む、紫外線C(UV-C)放射線遮蔽フィルム。多層光学フィルムは、少なくとも複数の交互の第1及び第2の光学層で作製されており、少なくとも複数の交互の第1及び第2の光学層は、0°、30°、45°、60°、又は75°のうちの少なくとも1つの入射光角度で、少なくとも100ナノメートル~280ナノメートルの波長範囲内の少なくとも30ナノメートルの波長反射帯域幅にわたって入射紫外光の少なくとも30パーセントを合計で反射する。紫外線遮蔽フィルムは、衛星又は無人航空機の構成要素などの光起電力デバイスの主表面に適用することができる。UV-C放射線保護フィルムの製造方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロポリマーから構成された基材と、
少なくとも複数の交互の第1及び第2の光学層から構成された、前記基材の主表面上に配置された多層光学フィルムであって、前記少なくとも複数の交互の第1及び第2の光学層が、0°、30°、45°、60°、又は75°のうちの少なくとも1つの入射光角度で、少なくとも100ナノメートル~280ナノメートルの波長範囲内、又は任意選択的に少なくとも240nm~400nmの波長範囲内の少なくとも30ナノメートルの波長反射帯域幅にわたって、入射紫外光の少なくとも30パーセントを合計で反射する、多層光学フィルムと、
前記基材とは反対側の前記多層光学フィルムの主表面上に配置されたヒートシール可能な封止材層と、
を含む、紫外線遮蔽フィルム。
【請求項2】
前記フルオロポリマーが、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、ペルフルオロアルコキシアルカン、又はそれらの組み合わせを含む(コ)ポリマーである、請求項1に記載の紫外線遮蔽フィルム。
【請求項3】
前記ヒートシール可能な封止材層が、(コ)ポリマーを含む、請求項1又は2に記載の紫外線遮蔽フィルム。
【請求項4】
前記(コ)ポリマーが、オレフィン(コ)ポリマー、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、ウレタン(コ)ポリマー、フルオロポリマー、シリコーン(コ)ポリマー、又はそれらの組み合わせから選択されている、請求項3に記載の紫外線遮蔽フィルム。
【請求項5】
前記(コ)ポリマーが、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレンメチルアクリレート、ポリエチレンオクテン、ポリエチレンプロピレン、ポリエチレンブテン、ポリエチレン無水マレイン酸、ポリメチルペンテン、ポリイソブテン、ポリイソブチレン、ポリエチレンプロピレンジエン、環状オレフィンコポリマー、及びそれらのブレンドから選択されるオレフィン(コ)ポリマーである、請求項4に記載の紫外線遮蔽フィルム。
【請求項6】
前記(コ)ポリマーが、160℃未満の溶融温度を有する、請求項3~5のいずれか一項に記載の紫外線遮蔽フィルム。
【請求項7】
前記(コ)ポリマーが、架橋されている、請求項3~6のいずれか一項に記載の紫外線遮蔽フィルム。
【請求項8】
前記(コ)ポリマーが、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤、又はそれらの組み合わせを更に含む、請求項3~7のいずれか一項に記載の紫外線遮蔽フィルム。
【請求項9】
前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物、又はそれらの組み合わせから選択されている、請求項8に記載の紫外線遮蔽フィルム。
【請求項10】
前記少なくとも第1の光学層が、少なくとも1種のポリエチレン(コ)ポリマーを含み、前記第2の光学層が、テトラフルオロエチレン(コ)ポリマー、ヘキサフルオロプロピレン(コ)ポリマー、フッ化ビニリデン(コ)ポリマー、ヘキサフルオロプロピレン(コ)ポリマー、ペルフルオロアルコキシアルカン(コ)ポリマー、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種のフルオロポリマーを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の紫外線遮蔽フィルム。
【請求項11】
前記少なくとも1種のフルオロポリマーが、架橋されている、請求項10に記載の紫外線遮蔽フィルム。
【請求項12】
少なくとも前記複数の交互の第1及び第2の光学層を通る入射可視光透過率が、少なくとも400ナノメートル~750ナノメートルの波長範囲内の少なくとも30ナノメートルの波長反射帯域幅にわたって30パーセントを超える、請求項1~11のいずれか一項に記載の紫外線遮蔽フィルム。
【請求項13】
前記少なくとも第1の光学層が、酸窒化ジルコニウム、ハフニア、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、フッ化ランタン、又はフッ化ネオジムのうちの少なくとも1つを含み、前記第2の光学層が、シリカ、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、シリカアルミナ酸化物、又はアルミナドープシリカのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の紫外線遮蔽フィルム。
【請求項14】
前記少なくとも第1の光学層が、フッ化ポリビニリデン又はポリエチレンテトラフルオロエテンのうちの少なくとも1つを含み、前記第2の光学層が、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデンのコポリマーを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の紫外線遮蔽フィルム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の紫外線遮蔽フィルムが、光起電力デバイスの主表面に適用されており、任意選択的に、前記光起電力デバイスが、衛星又は無人航空機の構成要素である、紫外線遮蔽フィルム。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の光遮蔽フィルムの製造方法であって、
前記フルオロポリマーから構成された前記基材を準備することと、
前記基材の主表面上に配置された前記多層光学フィルムであって、任意選択的に、多層共押出ダイを使用して製造された、前記多層光学フィルムを準備することと、
前記多層光学フィルムを前記ヒートシール可能な封止材層で前記基材にヒートシールすることと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
長期間にわたって高高度で動作するデバイスのクラスがある。これらのデバイスのいくつかの例としては、キューブサット、超小型衛星、高高度長期航続時間無人航空機、及び高高度疑似衛星が挙げられる。これらのデバイスは、多くの場合、長期間にわたって空中に留まるために、発電用の光起電力アレイに依存する。光起電力アレイは、可動中の機械的及び化学的劣化からアレイを保護するために、可視光透過性フィルムによって覆うことができる。デバイスは、典型的には、20~2000kmの範囲の高度で動作し、薄い大気は、太陽光放射をほとんど吸収しない。したがって、高高度デバイスは、地球の地表条件で遭遇するAM1.5の太陽スペクトルに存在するよりも強いAM0の太陽スペクトル及び高い強度のUV-C放射線に曝される。
【発明の概要】
【0002】
UV-C放射線は、光起電力デバイスで使用されるポリマーシステムに大きな損傷を与える可能性があり、これらの高高度デバイスがUV-C放射線への長期曝露に耐えることができるポリマーラミネートを必要とすることを意味する。
【0003】
本発明者らは、地球大気上部及び宇宙空間に見られる高レベルのUV-Cに曝される光起電力モジュールの寿命を延ばすために特に有用な耐UV-Cフィルム及び接着剤封止材を発見した。具体的には、好ましくは150℃未満の融点を有するフルオロポリマー(コ)ポリマーは、UV-C安定ホットメルト接着剤封止材として有用であり、またUV-C安定性である、より高い融点のフルオロポリマー(コ)ポリマー基材と共押出する、又はフルオロポリマー(コ)ポリマー基材上にコーティングすることができる。いくつかの実施形態では、多層光学フィルムは、UV-C誘電体ミラーである。そのようないくつかの実施形態では、接着剤封止材は、好ましくは150℃を超える融点を有するフルオロポリマー(コ)ポリマー上にコーティングして、又はフルオロポリマー(コ)ポリマーと共押出して、より低いUV-C安定性であるが、より軽くかつ安価であるポリオレフィンコポリマーなどの接着剤封止材を保護することができる。シリコーン接着剤封止材もまた、本発明の有用な実施形態として企図される。
【0004】
したがって、一態様では、本開示は、フルオロポリマーから構成された基材と、少なくとも複数の交互の第1及び第2の光学層から構成された、基材の主表面上に配置された多層光学フィルムであって、少なくとも複数の交互の第1及び第2の光学層が、0°、30°、45°、60°、又は75°のうちの少なくとも1つの入射光角度で、少なくとも100ナノメートル~280ナノメートルの波長範囲内、又は任意選択的に少なくとも240nm~400nmの波長範囲内の少なくとも30ナノメートルの波長反射帯域幅にわたって、入射紫外光の少なくとも30パーセントを合計で反射する、多層光学フィルムと、基材とは反対側の多層光学フィルムの主表面上に配置されたヒートシール可能な封止材層と、を含む紫外線遮蔽フィルムを記載している。
【0005】
前述の実施形態のいずれかにおいて、フルオロポリマーは、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、ペルフルオロアルコキシアルカン、又はそれらの組み合わせを含む(コ)ポリマーである。そのようないくつかの実施形態では、ヒートシール可能な封止材層は、(コ)ポリマーを含む。前述の実施形態のいずれかにおいて、(コ)ポリマーは、オレフィン(コ)ポリマー、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、ウレタン(コ)ポリマー、フルオロポリマー、シリコーン(コ)ポリマー、又はそれらの組み合わせから選択されている。そのような特定の実施形態では、(コ)ポリマーは、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレンメチルアクリレート、ポリエチレンオクテン、ポリエチレンプロピレン、ポリエチレンブテン、ポリエチレン無水マレイン酸、ポリメチルペンテン、ポリイソブテン、ポリイソブチレン、ポリエチレンプロピレンジエン、環状オレフィンコポリマー、及びそれらのブレンドから選択されるオレフィン(コ)ポリマーである。
【0006】
前述の実施形態のいくつかでは、(コ)ポリマーは、110C~190Cの範囲の溶融温度を有する。他の例示的な実施形態では、(コ)ポリマーは、150℃未満の溶融温度を有する。そのような特定の実施形態では、(コ)ポリマーは、架橋されている。そのようないくつかの実施形態では、(コ)ポリマーは、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤、又はそれらの組み合わせを更に含む。そのような更なる実施形態では、紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物、又はそれらの組み合わせから選択されている。
【0007】
前述の実施形態のいずれかにおいて、少なくとも第1の光学層は、少なくとも1種のポリエチレン(コ)ポリマーを含み、第2の光学層は、テトラフルオロエチレン(コ)ポリマー、ヘキサフルオロプロピレン(コ)ポリマー、フッ化ビニリデン(コ)ポリマー、ヘキサフルオロプロピレン(コ)ポリマー、ペルフルオロアルコキシアルカン(コ)ポリマー、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種のフルオロポリマーを含む。そのようないくつかの実施形態では、少なくとも1種のフルオロポリマーは、架橋されている。
【0008】
前述の実施形態のいずれかにおいて、少なくとも複数の交互の第1及び第2の光学層を通る入射可視光透過率は、少なくとも400ナノメートル~750ナノメートルの波長範囲内の少なくとも30ナノメートルの波長反射帯域幅にわたって30パーセントを超える。
【0009】
前述の実施形態のいずれかにおいて、少なくとも第1の光学層は、酸窒化ジルコニウム、ハフニア、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、フッ化ランタン、又はフッ化ネオジムのうちの少なくとも1つを含み、第2の光学層は、シリカ、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、シリカアルミナ酸化物、又はアルミナドープシリカのうちの少なくとも1つを含む。
【0010】
前述の実施形態のいずれかにおいて、紫外線遮蔽フィルムは、光起電力デバイスの主表面に適用されている。そのようないくつかの実施形態では、光起電力デバイスは、衛星又は無人航空機の構成要素である。
【0011】
別の態様では、本開示は、先行する実施形態のいずれかに記載の紫外線遮蔽フィルムの製造方法を記載している。この方法は、フルオロポリマーから構成された基材を準備することと、基材の主表面上に配置された多層光学フィルムを準備することと、多層光学フィルムをヒートシール可能な封止材層で基材にヒートシールすることと、を含む。いくつかの現在好ましい実施形態では、多層光学フィルムは、多層共押出ダイを使用して製造されている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下の本開示の様々な実施形態の詳細な説明を添付図面と併せて検討することで、本開示をより完全に理解し得る。
【0013】
図1】本明細書に記載される例示的なアセンブリで使用される例示的な多層光学フィルムの概略断面図である。
【0014】
図2A】本明細書に記載の比較例1のコーティングされたフィルムについての時間に応じて測定された光吸光度対波長のスペクトルグラフである。
【0015】
図2B】本明細書に記載の比較例2のコーティングされたフィルムについての時間に応じて測定された光吸光度対波長のスペクトルグラフである。
【0016】
図3A】本明細書に記載の基材フィルム実施例1のUV-C保護フィルムについての時間に応じて測定された光吸光度対波長のスペクトルグラフである。
【0017】
図3B】本明細書に記載の基材フィルム実施例1のUV-C保護フィルムについての時間に応じて測定された光吸光度対波長の別のスペクトルグラフである。
【0018】
図3C】本明細書に記載の基材フィルム実施例2のUV-C保護フィルムについての時間に応じて測定された光吸光度対波長のスペクトルグラフである。
【0019】
図4】本明細書に記載の実施例1のUV-C保護ミラーフィルムについての測定された光反射率対波長のグラフである。
【0020】
図5】本明細書に記載の仮想例IのUV-C保護ミラーフィルムについてのモデル化された光反射率対波長のグラフである。
【0021】
図6】本明細書に記載の仮想例IIのUV-C保護ミラーフィルムについてのモデル化された光反射率対波長のグラフである。
【0022】
図7】本明細書に記載の実施例3の広帯域UV-C保護ミラーフィルムについての測定された光反射率対波長のグラフである。
【0023】
図8】本明細書に記載の実施例4の広帯域UV-C保護ミラーフィルムについての測定された光反射率対波長のグラフである。
【0024】
図面では、同様の参照符号は、同様の要素を示す。上記に特定した図面は、縮尺通りに描かれないことがあり、本開示の様々な実施形態を説明しているが、「発明を実施するための形態」で指摘するように、他の実施形態もまた企図される。全ての場合において、本開示は、本明細書で開示される開示内容を、明示的な限定によってではなく、例示的な実施形態を表現することによって説明する。本開示の範囲及び趣旨に含まれる、数多くの他の修正形態及び実施形態を、当業者によって考案することができる点を理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の定義された用語の用語解説に関して、これらの定義は、特許請求の範囲又は本明細書の他の箇所において異なる定義が提供されていない限り、本出願全体について適用されるものとする。
用語解説
【0026】
ある特定の用語が、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して使用されており、これらの大部分については周知であるが、何らかの説明が必要とされる場合もある。以下のとおりであると理解すべきである。
【0027】
用語「(コ)ポリマー」(単数又は複数)は、ホモポリマー及びコポリマー、並びに、例えば、共押出しにより、又は例えばエステル交換を含む反応により、混和性ブレンドにおいて形成され得るホモポリマー又はコポリマーを含む。用語「コポリマー」は、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、及び星形(例えば、樹枝状)コポリマーを含む。
【0028】
モノマー、オリゴマーに関する「(メタ)アルキル」又は「(メタ)アクリレート」という用語は、アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸との反応生成物として形成したビニル官能性アルキルエステルを意味する。
【0029】
本明細書で使用するとき、「グラフィックフィルム」は、少なくとも一部の可視光又は赤外光範囲を吸収し、少なくとも一部の可視範囲内の光の波長を反射し、反射された光が一部のグラフィックコンテンツを含む任意のフィルムである。グラフィックコンテンツは、パターン、画像、又は他の視覚的なインダイシア(indicia)を含んでもよい。グラフィックフィルムは、印刷されたフィルムであってもよく、又はグラフィックは、印刷以外の手段によって作成されていてもよい。例えば、グラフィックフィルムは、パターン化された穿孔状態の穿孔された反射フィルムであってもよい。グラフィックフィルムはまた、エンボス加工によって作製されていてもよい。いくつかの実施形態では、グラフィックフィルムは、部分的に透光性のグラフィックフィルムである。例示的なグラフィックフィルムは、3M Company(St.Paul,MN)から商品名「DINOC」で入手可能である。
【0030】
特定の層に関する「接近する」という用語は、2つの層が互いに隣り合い(すなわち、隣接し)かつ直接接触している、又は互いと近接してはいるが直接接触はしていない(すなわち、これらの層同士の間に1つ以上の追加的な層が介在している)いずれかの位置において、別の層と接合している、又は別の層に取り付けられていることを意味する。
【0031】
開示されるコーティングされた物品における様々な要素の場所について、向きについての用語、例えば「~の上に(atop)」、「~上に(on)」、「~の上方に(over)」、「~を覆う(covering)」、「最上部の(uppermost)」、「~の下にある(underlying)」などを使用することによって、水平に配置され、上を向いた基材に対する、要素の相対位置について言及する。しかしながら、別途指示のない限り、基材又は物品は、製造中又は製造後において何らかの特定の空間的向きを有するべきであるということが意図されるわけではない。
【0032】
本開示の物品の基材又は他の要素に対する、ある層の位置を説明するために、「オーバーコーティングされた」という用語を使用することによって、その層が、基材又は他の要素の上にあるが、必ずしも基材又は他の要素のいずれかと近接してはいないことについて言及する。
【0033】
他の層に対する、ある層の位置を説明するために、「~によって分離された」という用語を使用することによって、その層が、他の2つの層の間に位置するが、必ずしもどちらかの層と近接したり、又は隣接したりしてはいないことについて言及する。
【0034】
数値又は形状への言及に関する用語「約」又は「おおよそ」は、数値又は特性若しくは特徴の±5パーセントを意味するが、明示的に、真数値を含む。例えば、「約」1Pa・secの粘度とは、0.95~1.05Pa・secの粘度を指すが、1Pa・secちょうどの粘度も明示的に含む。同様に、「実質的に正方形」の外辺部とは、4つの横方向縁部を有する幾何形状を説明することを意図し、各横方向縁部が、他のいずれかの横方向縁部の長さの95%~105%の長さを有し、これはまた、各横方向縁部が正確に同じ長さを有する幾何形状を含むものとする。
【0035】
特性又は特徴に関する用語「実質的に」は、その特性又は特徴が、その特性又は特徴の反対が示す程度よりも高い程度で示されることを意味する。例えば、「実質的に」透明な基材は、基材が透過しない(例えば、吸収する及び反射する)放射線よりも多くの放射線(例えば、可視光)を透過する基材を指す。したがって、基材の表面上に入射する可視光のうちの50%より多くを透過する基材は、実質的に透明であるが、基材の表面上に入射する可視光のうちの50%以下を透過する基材は、実質的に透明ではない。
【0036】
本明細書及び添付の実施形態において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に内容により明確な指示がない限り、複数の対象を含む。したがって、例えば「化合物」を含有する微細繊維への言及は、2種以上の化合物の混合物を含む。本明細書及び添付の実施形態で使用する場合、用語「又は」は、その内容が明確に別段の規定をしない限り、一般に「及び/又は」を含めた意味で用いる。
【0037】
本明細書中で使用されるとき、端点による数値範囲の記述は、その範囲内に包含される数の全てを含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、及び5を含む)。
【0038】
別段の指示がない限り、本明細書及び実施形態で使用される量又は成分、特性の測定値などを表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解されるものとする。したがって、反対の指示がない限り、前述の明細書及び添付の実施形態のリストにおいて述べる数値パラメータは、本開示の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化し得る。最低でも、各数値パラメータは少なくとも、報告される有効桁の数に照らして通常の丸め技法を適用することにより解釈されるべきであるが、このことは請求項記載の実施形態の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではない。
【0039】
定義により、組成物中の全ての成分の総重量%は、100重量%に等しい。
【0040】
ここで本開示の様々な例示的な実施形態が記述される。本開示の例示的な実施形態は、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な修正及び変更を行ってもよい。したがって、本開示の実施形態は、以下に記載の例示的な実施形態に限定されるものではないが、特許請求の範囲に記載されている限定及びそれらの任意の均等物により支配されるものであることを理解すべきである。
UV-C保護ミラーフィルム
【0041】
例示的な一実施形態では、本開示は、フルオロポリマーから構成された基材と、少なくとも複数の交互の第1及び第2の光学層から構成された、基材の主表面上に配置された多層光学フィルムであって、少なくとも複数の交互の第1及び第2の光学層が、0°、30°、45°、60°、又は75°のうちの少なくとも1つの入射光角度で、少なくとも100ナノメートル~280ナノメートルの波長範囲内の少なくとも30ナノメートルの波長反射帯域幅にわたって、入射紫外光の少なくとも30パーセントを合計で反射する、多層光学フィルムと、基材とは反対側の多層光学フィルムの主表面上に配置されたヒートシール可能な封止材層と、を含む紫外線遮蔽フィルムを記載している。
【0042】
ここで図1を参照すると、例示的な紫外線遮蔽フィルム10は、フルオロポリマー基材11と、基材の主表面上に配置された多層光学フィルム20(例えば、UV-Cミラーフィルム)と、基材11とは反対側の多層光学フィルム20の主表面上に配置されたヒートシール可能な封止材層14と、を含む。多層光学フィルム20は、第1の光学層12A、12B、12N、及び第2の光学層13A、13B、13Nから構成されている。いくつかの例示的な実施形態では、好ましくはフルオロポリマー(コ)ポリマーから構成された任意選択の保護フィルム15は、多層光学フィルム20とは反対側のヒートシール可能な封止材層14の主表面上に配置されている。
【0043】
そのようないくつかの実施形態では、接着剤封止材は、好ましくは150℃を超える融点を有するフルオロポリマー(コ)ポリマー上にコーティングして、又はフルオロポリマー(コ)ポリマーと共押出して、より低いUV-C安定性であるがより軽くかつ安価であるポリオレフィンコポリマーなどの接着剤封止材を保護することができる。シリコーン接着剤封止材もまた、本発明の有用な実施形態として企図される。
フルオロポリマー基材
【0044】
前述の実施形態のいずれかにおいて、フルオロポリマー基材は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、ペルフルオロアルコキシアルカン、又はそれらの組み合わせを含む(コ)ポリマーから構成されている。好適なフルオロポリマー基材は、Nowofol Kunststoffprodukte GmbH KG(Siegsdorf,Germany)から商品名「NOWOFLON」で入手可能であり、そのうち、NOWOFLON THV815が現在のところ好ましい。
多層光学フィルム
【0045】
一般に、本明細書に記載の多層光学フィルムは、少なくとも3層(典型的には、合計で3~2000層の範囲又はそれ以上)を含む。本明細書に記載の多層光学フィルムは、少なくとも複数の交互の第1及び第2の光学層を含み、少なくとも複数の交互の第1及び第2の光学層が、0°、30°、45°、60°、又は75°のうちの少なくとも1つの入射光角度で、少なくとも100~280(いくつかの実施形態では、少なくとも180~280、又は更には200~280)nmの波長範囲内の少なくとも30ナノメートルの波長反射帯域幅にわたって入射紫外(UV)光(すなわち、100以上400nm未満の範囲の波長を有するあらゆる光)の少なくとも30(いくつかの実施形態では、少なくとも40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、又は更には少なくとも90)パーセントを合計で反射する。いくつかの実施形態では、多層光学フィルムは、222nm、254nm、265nm、又は275nmのうちの少なくとも1つで、90%を超える(いくつかの実施形態では、99%を超える)UV反射率(reflectivity)(反射率(Reflectance))を有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の多層光学フィルムは、20ナノメートル未満(いくつかの実施形態では、15ナノメートル未満、又は更には10ナノメートル未満)にわたり10~90パーセントの透過率の範囲のUV透過帯域端を有する。
光学層
【0047】
前述の実施形態のいずれかにおいて、少なくとも第1の光学層は、少なくとも1種のポリエチレン(コ)ポリマーを含み、第2の光学層は、テトラフルオロエチレン(コ)ポリマー、ヘキサフルオロプロピレン(コ)ポリマー、フッ化ビニリデン(コ)ポリマー、ヘキサフルオロプロピレン(コ)ポリマー、ペルフルオロアルコキシアルカン(コ)ポリマー、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1種のフルオロポリマーを含む。そのようないくつかの実施形態では、少なくとも1種のフルオロポリマーは、架橋されている。
【0048】
本明細書に記載の多層光学フィルムのいくつかの実施形態では、少なくとも第1の光学層12Aは、ポリマー材料(例えば、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)のうちの少なくとも1つ)を含み、第2の光学層13Aは、ポリマー材料(例えば、コポリマー(THV)、又はテトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、及びフッ化ビニリデン(VDF)由来のサブユニットを含むポリエチレンコポリマー、テトラフルオロエチレン(TFE)及びヘキサフルオロプロピレン(HFP)由来のサブユニットを含むコポリマー(FEP)、又はパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)のうちの少なくとも1つ)を含む。
【0049】
青色光を反射する光学層(例えば、第1及び第2の光学層)を作製するための例示的な材料としては、ポリマー(例えば、ポリエステル、(コ)ポリエステル、及び変性(コ)ポリエステル)が挙げられる。本明細書の文脈では、用語「ポリマー」は、ホモポリマー及びコポリマー、並びに、例えば、共押出しにより、又は例えばエステル交換を含む反応により、混和性ブレンドにおいて形成され得るポリマー又はコポリマーを含むと理解される。用語「ポリマー」及び「コポリマー」は、ランダム及びブロックコポリマーの双方を含む。
【0050】
本開示に従って構成された幾つかの例示的な多層光学フィルムにおける使用に好適なポリエステルは、一般に、ジカルボン酸エステルとグリコールのサブユニットを含み、カルボン酸モノマー分子とグリコールモノマー分子との反応によって生成され得る。各ジカルボン酸エステルモノマー分子は、2つ以上のカルボン酸又はエステル官能基を有し、各グリコールモノマー分子は、少なくとも2つのヒドロキシ官能基を有する。ジカルボン酸エステルモノマー分子は、全て同一であってもよいし、又は2つ以上の異なるタイプの分子であってもよい。グリコールモノマー分子についても同様である。用語「ポリエステル」には、グリコールモノマー分子と炭酸エステルとの反応に由来するポリカーボネートも含まれる。
【0051】
ポリエステル層のカルボン酸サブユニットを形成するのに使用する好適なジカルボン酸モノマー分子の例としては、2,6-ナフタレンジカルボン酸及びその異性体、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ノルボルネンジカルボン酸、ビシクロオクタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸及びその異性体、t-ブチルイソフタル酸、トリメリット酸、スルホン化イソフタル酸ナトリウム、4,4’-ビフェニルジカルボン酸及びその異性体、並びに、これら酸の低級アルキルエステル、例えば、メチル又はエチルエステルが挙げられる。用語「低級アルキル」は、この文脈では、C~C10の直鎖アルキル基又は分岐アルキル基を指す。
【0052】
ポリエステル層のグリコールサブユニットを形成するのに用いる好適なグリコールモノマー分子の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール及びその異性体、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリシクロデカンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール及びその異性体、ノルボルネンジオール、ビシクロオクタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、1,4-ベンゼンジメタノール及びその異性体、ビスフェノールA、1,8-ジヒドロキシビフェニル及びその異性体、並びに、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンが挙げられる。
【0053】
反射層に有用な別の例示的な複屈折ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート(PET)であり、これは、例えばテレフタル酸ジカルボン酸とエチレングリコールとの反応によって作製することができる。波長550nmの偏光入射光に対する複屈折ポリマーの屈折率は、偏光面が延伸方向と平行であるときに、約1.57から、約1.69まで高まる。分子の配向を高めることにより、PETの複屈折が高まる。分子の配向は、材料を延伸比が高くなるように延伸し、かつ他の延伸条件を固定して保持することにより、高めることができる。その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,744,561号(Condoら)及び同第6,449,093号(Hebrinkら)に記載されるようなPETのコポリマー(CoPET)が、比較的低温(典型的には250℃未満)の加工能力にとって特に有用であり、熱的安定性が低い第2のポリマーとの共押出適合性を高める。複屈折ポリマーとして好適な他の半結晶性ポリエステルとしては、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,449,093号(Hebrinkら)及び米国特許出願公開第2006/0084780号(Hebrinkら)に記載されるような、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びそのコポリマーが挙げられる。別の有用な複屈折ポリマーは、シンジオタクチックポリスチレン(sPS)である。
【0054】
第1の光学層はまた、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリプロピレンのコポリマー;ポリエチレンのコポリマー、環状オレフィンコポリマー、環状オレフィンブロックコポリマー、ポリウレタン、ポリスチレン、アイソタクチックポリスチレン、アタクチックポリスチレン、ポリスチレンのコポリマー(例えば、スチレンとアクリレートのコポリマー)、ポリカーボネート、ポリカーボネートのコポリマー、ポリカーボネートと(コ)ポリエステルの混和性ブレンド、又はポリ(メチルメタクリレート)若しくはポリ(フッ化ビニリデン)の混和性ブレンドのうちの少なくとも1つを含む等方性高屈折率層であり得る。
【0055】
第2の光学層はまた、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP);テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデン(THV)のコポリマー;テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、又はエチレンのコポリマーのうちの少なくとも1つなどのフッ素化コポリマー材料も含み得る。特に有用なのは、テトラフルオロエチレンと、少なくとも2つ又は更には少なくとも3つの追加の別々のコモノマーとの溶融加工可能なコポリマーである。
【0056】
上述のテトラフルオロエチレンと他のモノマーとの例示的な溶融加工可能なコポリマーとしては、Dyneon LLC(Oakdale,MN)製の商品名「Dyneon THV 221」、「Dyneon THV 230」、「Dyneon THV 2030」、「DYNEON THV 340GZ」、「Dyneon THV 500」、「Dyneon THV 610」、及び「Dyneon THV 815」;Daikin Industries,Ltd.(Osaka,Japan)製の「NEOFLON EFEP」;Asahi Glass Co.,Ltd.(Tokyo,Japan)製の「AFLAS」でテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフッ化ビニリデンのコポリマーとして入手可能なもの;並びにDyneon LLC(Oakdale,MN)製の商品名「Dyneon ET 6210A」及び「Dyneon ET 6235」;E.I.duPont de Nemours and Co.(Wilmington,DE)製の「TEFZEL ETFE」;及びAsahi Glass Co.,Ltd.(Tokyo,Japan)製の「Fluon ETFE」で入手可能なエチレンとテトラフルオロエチレンとのコポリマーが挙げられる。
【0057】
更に、第2ポリマーは、ポリエステル、ポリカーボネート、フルオロポリマー、ポリアクリレート、及びポリジメチルシロキサンのホモポリマー及びコポリマー、並びにそれらのブレンドから形成することができる。
【0058】
光学層、特に第2の層に用いる他の例示的なポリマーとしては、例えば、Ineos Acrylics,Inc.(Wilmington,DE)から商品名「CP71」及び「CP80」で入手可能なものなどの、ポリメチルメタクリレート(PMMA)と、PMMAよりもガラス転移温度が低いポリエチルメタクリレート(PEMA)とのホモポリマーが挙げられる。更なる有用なポリマーとしては、75重量%のメタクリル酸メチル(MMA)モノマー及び25重量%のアクリル酸エチル(EA)モノマーから作られたCoPMMAなどのPMMAのコポリマー(CoPMMA)(例えば、Ineos Acrylics,Inc.(London,England)から商品名「PERSPEX CP63」で、又はArkema Corp.(Philadelphia,PA)から商品名「ATOGLAS 510」で入手可能)、MMAコモノマーユニットとメタクリル酸n-ブチル(nBMA)コモノマーユニットとによって形成されたCoPMMA、又はPMMAとポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)とのブレンドが挙げられる。
【0059】
光学層に適した更なるポリマーとしては、例えば、Dow Elastomers,Inc.(Midland,MI)から商品名「ENGAGE 8200」で入手可能なポリ(エチレン-co-オクテン)(PE-PO)などのポリオレフィンコポリマー、及び、例えば、これもDow Elastomers,Inc.(Midland,MI)から商品名「ELVALOY 1125」で入手可能なポリエチレンメチルアクリレート;例えば、Atofina Petrochemicals,Inc.(Houston,TX)から商品名「Z9470」で入手可能なポリ(プロピレン-co-エチレン)(PPPE);及びアタクチックポリプロピレン(aPP)とアイソタクチックポリプロピレン(iPP)とのコポリマーが挙げられる。多層光学フィルムはまた、第2の層に官能化ポリオレフィンを含むことができる(例えば、線形低密度ポリエチレン-グラフト-無水マレイン酸(LLDPE-g-MA)であり、例えば、E.I.duPont de Nemours&Co.,Inc.(Wilmington,DE)から商品名「BYNEL 4105」で入手可能)。
【0060】
多層光学フィルムの作製に使用されるポリマーの組み合わせの選択は、例えば、反射される所望の帯域幅に依存する。第1の光学層ポリマーと第2の光学層ポリマーとの屈折率差が大きいほど、より大きい光学的パワーが作り出され、それにより反射帯域幅を大きくすることができる。あるいは、追加の層を用いて、より高い光学的パワーを提供することができる。複屈折層及び第2のポリマー層の例示的な組み合わせとしては、例えば、以下のものが挙げられる:PET/THV、PET/SPOX、PET/CoPMMA、CoPEN/PMMA、CoPEN/SPOX、sPS/SPOX、sPS/THV、CoPEN/THV、PET/PVDFとPMMAとのブレンド、PET/フルオロポリマー、sPS/フルオロエラストマー、及びCoPEN/フルオロポリマー。
【0061】
UV光を反射する光学層(例えば、第1及び第2の光学層)を作製するための例示的な材料の組み合わせとしては、PMMA(例えば、第1の光学層)/THV(例えば、第2の光学層)、PMMA(例えば、第1の光学層)/PVDFとPMMAとのブレンド(例えば、第2の光学層)、PC(ポリカーボネート)(例えば、第1の光学層))/PMMA(例えば、第2の光学層)、PC(ポリカーボネート)(例えば、第1の光学層)/PMMAとPVDFとのブレンド(例えば、第2の光学層)、コポリエチレン(例えば、ポリエチレンメチルアクリレート)(例えば、第1の光学層)/THV(例えば、第2の光学層)、PMMAとPVDFとのブレンド(例えば、第1の光学層)/PVDFとPMMAとのブレンド(例えば、第2の光学層)、及びPET(例えば、第1の光学層)/CoPMMA(例えば、第2の光学層)が挙げられる。
【0062】
いくつかの実施形態では、第1の光学層はフルオロポリマーであり、第2の光学層はフルオロポリマーである。このような実施形態に望ましい材料の例としては、ETFE/THV、PMMA/THV、PVDF/FEP、ETFE/FEP、PVDF/PFA、及びETFE/PFAが挙げられる。例示的な一実施形態では、300~400nmを反射する多層UV-C反射ミラーの場合は、例えば、Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「DYNEON THV 221 GRADE」又は「DYNEON THV 2030 GRADE」又は「DYNEON THV 815 GRADE」で入手可能なTHVを第2の光学層として、PMMAを第1の光学層として、共に使用する。別の例示的な実施形態では、例えば、Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「DYNEON THV 221 GRADE」又は「DYNEON THV 2030 GRADE」又は「DYNEON THV 815 GRADE」で入手可能なTHVを第2の光学層として、好ましくはDow Elastomers,Inc.(Midland,MI)から入手可能な「ELVALOY 1125」を第1の光学層として、組み合わせて使用する。
【0063】
UV光又は青色光を吸収する光学層を作製するための例示的な材料としては、COC、EVA、TPU、PC、PMMA、CoPMMA、シロキサンポリマー、フルオロポリマー、THV、PET、PVDF、又はPMMAとPVDFとのブレンドが挙げられる。
【0064】
UV吸収層(例えば、UV保護層)は、UV光反射光学層積層体を通過する可能性があるUV光(例えば、任意のUV光)を吸収することにより、UV光に起因する経時的な損傷/劣化から可視/IR反射光学層積層体を保護するのに役立つ。一般に、UV吸収層は、UV光に長時間耐えることができる、感圧性接着剤組成物を含む任意のポリマー組成物(即ち、ポリマー+添加物)を含んでもよい。
【0065】
LED UV光、特に280~400nmの紫外線は、プラスチックの劣化を引き起こすことがあり、ひいては、変色並びに光学特性及び機械的特性の劣化をもたらす。光酸化劣化の抑制は、長期の耐久性が必須である屋外用途にとって重要である。ポリエチレンテレフタレートによるUV光の吸収は、例えば、約360nmで開始し、320nm未満で著しく増加し、300nm未満では非常に顕著である。ポリエチレンナフタレートは、310~370nmの範囲のUV光を強く吸収し、吸収尾部は約410nmまで延び、吸収極大は、352nm及び337nmで生じる。鎖開裂は、酸素の存在下で発生し、主な光酸化生成物は、一酸化炭素、二酸化炭素、及びカルボン酸である。エステル基の直接光分解に加えて、酸化反応を考慮する必要があり、酸化反応も同様に過酸化物ラジカルを介して二酸化炭素を形成する。
【0066】
UV吸収層は、UV光の反射、UV光の吸収、UV光の散乱、又はこれらの組み合わせによって、多層光学フィルムを保護することができる。一般に、UV吸収層は、UV照射を反射する、散乱する、又は吸収する一方で、長期間のUV放射に耐えることができる任意のポリマー組成物を含んでもよい。このようなポリマーの例としては、PMMA、CoPMMA、シリコーン熱可塑性樹脂、フルオロポリマー、及びこれらのコポリマー、並びにこれらのブレンドが挙げられる。例示的なUV吸収層は、PMMAとPVDFとのブレンドを含む。
【0067】
本明細書に記載される多層光学フィルムのいくつかの実施形態では、少なくとも第1の光学層は、無機材料(例えば、酸窒化ジルコニウム、ハフニア、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化イットリウム、フッ化ランタン、又はフッ化ネオジムのうちの少なくとも1つ)を含み、第2の光学層は、無機材料(例えば、シリカ、フッ化アルミニウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、シリカアルミナ酸化物、又はアルミナドープシリカのうちの少なくとも1つ)を含む。例示的な材料は、例えば、Materion Corporation(Mayfield Heights,OH)及びUmicore Corporation(Brussels,Belgium)から入手可能である。
【0068】
前述の実施形態のいずれかにおいて、少なくとも複数の交互の第1及び第2の光学層を通る入射可視光透過率は、少なくとも400ナノメートル~750ナノメートルの波長範囲内の少なくとも30ナノメートルの波長反射帯域幅にわたって30パーセントを超える。
【0069】
前述の実施形態のいずれかにおいて、少なくとも第1の光学層は、チタニア、ジルコニア、酸窒化ジルコニウム、ハフニア、又はアルミナのうちの少なくとも1つを含み、第2の光学層は、シリカ、フッ化アルミニウム、又はフッ化マグネシウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0070】
前述の実施形態のいずれかにおいて、紫外線遮蔽フィルムは、光起電力デバイスの主表面に適用されている。そのようないくつかの実施形態では、光起電力デバイスは、衛星又は無人航空機の構成要素である。
ヒートシール可能な封止材層
【0071】
前述の実施形態のいずれかにおいて、ヒートシール可能な封止材層は、(コ)ポリマーを含む。前述の実施形態のいずれかにおいて、(コ)ポリマーは、オレフィン(コ)ポリマー、(メタ)アクリレート(コ)ポリマー、ウレタン(コ)ポリマー、フルオロポリマー、シリコーン(コ)ポリマー、又はそれらの組み合わせから選択されている。そのような特定の実施形態では、(コ)ポリマーは、低密度ポリエチレン、線形低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル、ポリエチレンメチルアクリレート、ポリエチレンオクテン、ポリエチレンプロピレン、ポリエチレンブテン、ポリエチレン無水マレイン酸、ポリメチルペンテン、ポリイソブテン、ポリイソブチレン、ポリエチレンプロピレンジエン、環状オレフィンコポリマー、及びそれらのブレンドから選択されるオレフィン(コ)ポリマーである。
【0072】
前述の実施形態のいくつかでは、(コ)ポリマーは、160℃未満の溶融温度を有する。そのような特定の実施形態では、(コ)ポリマーは、架橋されている。そのようないくつかの実施形態では、(コ)ポリマーは、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤、又はそれらの組み合わせを更に含む。そのような更なる実施形態では、紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0073】
1つの例示的なヒートシール可能なフルオロポリマー封止材材料は、THV221GZとしてDyneon LLC(Oakdale,MN)から入手可能である。別の例示的なヒートシール可能なフルオロポリマー封止材材料は、THV340GZとして3M Dyneon LLC(Oakdale,MN)から入手可能である。光起電力モジュール用の他の例示的なヒートシール可能な封止材はまた、特許出願の国際公開第2013066459(A1)号(Rasalら)及び同第2013066460(A1)号(Rasalら)に見出すことができ、それらの開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
ヒートシール可能な封止材層は、光電池へのラミネーション中又はラミネーション後に光開始剤又は熱開始剤で架橋することができる。例示的な光開始剤としては、ベンゾフォン、オルトメトキシベンゾフォン、パラエトキシベンゾフェノン、アセトフェノン、オルトメトキシアセトフェノン、ヘキサフェノン、ポリメチルビニルケトン、ポリビニルアリールケトン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-4(1-メチルビニル)プロパノン、及びArkema Sartomer(Exton,PA)から入手可能なEscacure KIP150などの2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オンが挙げられる。ヒートシール可能な封止材層は、X線照射、ガンマ線照射、紫外線電磁放射、及び電子ビーム照射を使用するなどの放射線による架橋で硬化させることができる。
【0075】
架橋はまた、過酸化物、アミン、シラン、及び硫黄含有化合物を含む熱化学架橋剤で促進することができる。例示的な有機過酸化物架橋剤としては、2,7-ジメチル-2,7-ジ(t-ブチルペルオキシ)オクタジイン-3,5、及び2,7-ジメチル-2,7-ジ(ペルオキシエチルカーボネート)オクタジイン-3,5が挙げられる。別の例示的な架橋剤は、Luperox 500RとしてElf Atochem North America(St.Louis,MO)から入手可能なジクミルペルオキシドである。
任意選択の添加剤
【0076】
例示的なヒートシール可能な封止材層は、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、及び酸化防止剤を含むことができる。ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、及びトリアジンUV吸収剤は、BASF U.S.A.(Florham Park,NJ)からTinuvin P、Tinuvin 326、Tinuvin 327、Tinuvin 360、Tinuvin 477、Tinuvin 479、Tinuvin 1577、及びTinuvin1600などの商品名Tinuvin及びChemisorbで入手可能である。好適なヒンダードアミン光安定剤はまた、BASFからTinuvin 123、Tinuvin 144、及びTinuvin 292として入手可能である。
【0077】
例示的な酸化防止剤はまた、BASF(Florham Park,NJ)から商品名Irganox、Irgafos、及びIrgastabで入手可能である。ポリオレフィンの例示的な酸化防止剤としては、Irganox 1010、Irganox 1076、及びIrgafos 168が挙げられる。追加のオレフィンポリマー安定剤は、SolvayからCYASORB THT460、CYASORB UV3529、CYNERGY 400、及びCYANOX 2777などの商品名CYTEC、CYASORB、CYANOX、及びCYNERGYで入手可能である。
【0078】
光学層をUV吸収性にするために様々な任意選択の添加物を光学層に配合してよい。このような添加物の例としては、紫外線吸収剤(単数又は複数)、ヒンダードアミン光安定剤(単数又は複数)、又は酸化防止剤(単数又は複数)のうちの少なくとも1つが挙げられる。
【0079】
特に望ましいUV吸収剤は、180nm~400nmの波長領域におけるUV光の少なくとも70%(いくつかの実施形態では、少なくとも80%、又は更には90%超)を吸収する、赤方偏移UV吸収剤(RUVA)である。典型的には、RUVAは、ポリマー中で高溶解性であり、高光吸収性であり、光耐久性であり、保護層を形成するための押出プロセスの200℃~300℃の温度範囲で熱安定性であれば望ましい。RUVAはまた、モノマーと共重合可能であり、UV硬化、ガンマ光線硬化、電子ビーム硬化、又は熱硬化プロセスによって保護コーティング層を形成することができる場合、非常に好適であり得る。
【0080】
RUVAは、典型的に、長波UV領域において強化されたスペクトル有効範囲を有し、ポリエステルの黄変を引き起こし得る長波長UV光を遮断することができる。典型的なUV保護層は、13マイクロメートル~380マイクロメートル(0.5mil~15mil)の範囲の厚さを有し、RUVA含有濃度は2~10重量%である)。最も効果的なRUVAの1つは、ベンゾトリアゾール化合物である、5-トリフルオロメチル-2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(BASF(Florham Park,NJ)から商品名「CGL-0139」で入手可能)である。
【0081】
他の例示的なベンゾトリアゾールとしては、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-α-クミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、5-クロロ-2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-2H-ベンゾチアゾール、5-クロロ-2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-α-クミル-5-tert-オクチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾールが挙げられる。更に例示的なRUVAとしては、2(-4,6-ジフェニル-1-3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキルオキシ-フェノールが挙げられる。
【0082】
他の例示的なUV吸収剤としては、BASF(Florham Park,NJ)から、商品名「TINUVIN 1577」、「TINUVIN 900」、「TINUVIN 1600」、及び「TINUVIN 777」で入手可能なものが挙げられる。追加の例示的なUV吸収剤は、例えば、Sukano Polymers Corporation(Dunkin,SC)から商品名「TA07-07 MB」でポリエステルマスターバッチとして入手可能である。
【0083】
ポリメチルメタクリレート用の例示的なUV吸収剤は、例えば、Sukano Polymers Corporation(Dunkin,SC)から商品名「TA11-10 MBO1」で入手可能なマスターバッチである。
【0084】
ポリカーボネート用の例示的なUV吸収剤は、Sukano Polymers Corporation製の商品名「TA28-09 MB01」のマスターバッチである。更に、UV吸収剤は、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)及び酸化防止剤と組み合わせて使用することができる。例示的なHALSとしては、BASFから商品名「CHIMASSORB 944」及び「TINUVIN 123」で入手可能なものが挙げられる。例示的な酸化防止剤としては、これもBASF(Florham Park,NJ)から入手可能な、商品名「IRGANOX 1010」及び「ULTRANOX 626」で入手されるものが挙げられる。
【0085】
他の添加物が、UV吸収層(例えば、UV保護層)に含まれてもよい。小粒子非顔料酸化亜鉛及び酸化チタンを、UV吸収層において遮断添加剤又は散乱添加剤として使用することもできる。例えば、ナノスケール粒子をポリマー又はコーティング基材中に分散させて、UV照射による劣化を最小限にすることができる。ナノスケール粒子は、有害なUV照射の散乱又は吸収のいずれかによって熱可塑性樹脂に対する損傷を低減すると同時に、可視光線に対して透過性である。
【0086】
その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,504,134号(Palmerら)には、直径約0.001~約0.2マイクロメートル(いくつかの実施形態では、約0.01マイクロメートル~約0.15マイクロメートル)の粒径の金属酸化物粒子の使用による、紫外線に起因するポリマー基材劣化の軽減について記載されている。
【0087】
その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,876,688号(Laundon)には、本発明での使用に充分適する塗料、コーティング、仕上げ材、プラスチック物品、化粧材などにUV遮断剤及び/又は散乱剤として配合された場合に透明であるのに十分な程度小さな微粉化酸化亜鉛の製造方法が記載されている。UV照射を減衰させることができる10nm~100nmの範囲の粒径を有する酸化亜鉛及び酸化チタンなどのこれら微粒子は、例えばKobo Products,Inc.(South Plainfield,NJ)から入手可能である。また、難燃剤を添加物としてUV保護層に配合してもよい。
【0088】
UV吸収剤、HALS、ナノスケール粒子、難燃剤、抗菌剤、湿潤剤、及び酸化防止剤をUV吸収層に添加することに加えて、UV吸収剤、HALS、ナノスケール粒子、難燃剤、及び酸化防止剤を多層光学層、並びに任意選択の耐久性トップコート層に添加することができる。
【0089】
また、蛍光分子及び光学的増白剤をUV吸収層、多層光学層、任意選択のハードコート層、又はこれらの組み合わせに添加してもよい。青色光吸収染料又は顔料は、例えば、Clariant Specialty Chemicals(Charlotte,NC)から商品名「PV FAST Yellow」で入手可能であり、スキン層又はトップコートに添加することができる。例示的な実施形態では、抗菌剤及び湿潤剤をスキン層に添加することができ、それらは空気に曝された表面に移動する。湿潤剤は、結露の曇りを防止するために必要となることがある。
【0090】
UV保護層15の所望の厚さは、典型的には、ランベルト・ベールの法則(Beers Law)によって計算される、具体的な波長における光学濃度目標に依存する。いくつかの実施形態では、UV保護層は、380nmで3.5、3.8、又は4を超える光学濃度、390nmで1.7を超える光学密度、及び400nmで0.5nmを超える光学濃度を有する。当業者であれば、意図される保護機能を提供するために、光学濃度は、典型的には、物品の長い寿命にわたってほぼ一定のままに保たれる必要があることを認識している。
【0091】
任意選択のUV保護層15及び任意の任意選択の添加物は、UV保護などの所望の保護機能を達成するように選択することができる。当業者であれば、UV保護層の記載された目的を達成するための複数の手段が存在することを認識している。例えば、特定のポリマーに容易に溶解する添加物を組成物に添加してもよい。
【0092】
特に重要なのは、ポリマー中の添加物の耐久性である。添加物は、劣化したりポリマーから移動したりするべきではない。更に、層の厚さは、所望の保護結果を達成するために変更されてもよい。例えば、より厚いUV保護層は、より低い濃度のUV吸収剤で同じUV吸光度レベルを可能にし、UV吸収剤の移動に対する駆動力が少ないことにより、より長いUV吸収剤の耐久性をもたらすであろう。
【0093】
物理的特性の変化を検知する1つのメカニズムは、ASTM G-155-05a(2005年10月)に記載された耐侯試験サイクルを使用し、D65光源を反射モードで作動させるものである。記載された試験では、物品にUV保護層が適用された際には、物品は、340nmで少なくとも18,700kJ/m2の曝露に耐えて、顕著なひび割れ、剥離、層剥離、又はヘイズが発生する前に、CIE L空間を使って得られるb値の上昇が5以下、4以下、3以下、又は2以下であることを、必要とする。
【0094】
例示的なUV-C保護層は、架橋フルオロポリマーである。フルオロポリマーは、電子ビーム照射で架橋されてもよい。架橋フルオロポリマー層は、その第1の表面において高い架橋密度及びその第2の表面においてより低い架橋を有する架橋密度勾配を有することができる。架橋密度勾配は、50kV~150kVの範囲の低電子ビーム電圧で達成することができる。
【0095】
別の例示的なUV-C保護層は、架橋シリコーンポリマーである。架橋シリコーンポリマーはまた、ナノシリカ粒子及びシルセスキオキサン粒子を含むことができる。ナノシリカ粒子を含む例示的な架橋シリコーンポリマーコーティングは、Ulta-Tech International,Inc.(Jacksonville,FL)から商品名「GENTOO」で入手可能である。
【0096】
その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,783,349号(Neavinら)に記載されているような一般的な加工技術を用いて、本明細書に記載の多層光学フィルムを作製することができる。
【0097】
本明細書に記載の例示的なUV-C多層光学フィルム及びUV-C遮蔽フィルムは、好ましくは可撓性である。可撓性UV-C多層光学フィルム及びUV-Cシールドは、目に見えるひび割れなく、直径が1m以下(いくつかの実施形態では、75cm、50cm、25cm、10cm、5cm以下、又は更に1cm以下)のロッドの周囲に巻き付けることができる。
UV-C保護ミラーフィルムの製造方法
【0098】
更なる例示的な実施形態では、本開示は、先行するUV-C保護ミラーフィルムの実施形態のいずれかによるUV-C保護(遮蔽)ミラーフィルムの製造方法を記載している。この方法は、フルオロポリマーから構成された基材を準備することと、基材の主表面上に配置された多層光学フィルムを準備することと、多層光学フィルムをヒートシール可能な封止材層で基材にヒートシールすることと、を含む。いくつかの現在好ましい実施形態では、多層光学フィルムは、多層共押出ダイを使用して製造されている。
【0099】
スペクトルが制御された多層光学フィルムの好適な製造方法としては、例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,783,349号(Neavinら)に記載されているような共押出されたポリマー層の層厚値を制御するための軸ロッドヒーターの使用、層厚さ測定ツール(例えば、原子間力顕微鏡(atomic force microscope;AFM)、透過電子顕微鏡、又は走査電子顕微鏡)からの製造中に時宜を得た層厚さプロファイルのフィードバック、所望の層厚さプロファイルを得るための光学モデリング、及び測定される層プロファイルと所望の層プロファイルとの間の差に基づく軸ロッド調節の繰り返しを挙げることができる。
【0100】
層厚さプロファイル制御の基本プロセスは、典型的には、目標の層厚さプロファイルと測定した層プロファイルの差に基づく軸ロッドゾーン電力設定の調整を含む。所定のフィードブロックゾーンにおける層厚値を調整するために必要とされる軸ロッド力の増加を、そのヒーターゾーン内で生じた、層の結果として生じたナノメートルの厚さ変化に従って入熱ワット単位で校正してもよい。例えば、スペクトルの細かい制御は、275層に対して24個の軸ロッドゾーンを使用して可能である。いったん校正されると、目標プロファイルと測定プロファイルが与えられれば、必要な電力調整を計算することができる。この手順は、2つのプロファイルが収束するまで繰り返される。
【0101】
特定の波長範囲にわたって少なくとも50パーセントの入射UV光を反射する、本明細書に記載の多層光学フィルムの層厚さプロファイル(層厚値)は、ほぼ線形のプロファイルとなるように調整することができ、第1の(最も薄い)光学層が、100nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さ(屈折率×物理的厚さ)を有するように調整され、280nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さになるように調整される最も厚い層を達成する。
【0102】
屈折率コントラストを有する無機誘電体材料からなる交互の薄層で構成された光学薄膜積層体設計を有する誘電体ミラーは、これに特に適している。最近数十年では、誘電体ミラーは、UVスペクトル領域、可視スペクトル領域、NIRスペクトル領域、及びIRスペクトル領域における用途に使用されている。対象となるスペクトル領域に応じて、その領域に適した特定の材料がある。また、これらの材料をコーティングするために、2つの形態の物理蒸着(PVD)、すなわち、蒸着又はスパッタリングのうちの1つが使用される。コーティングの蒸着は、コーティング材料(蒸着物)が蒸発する温度までコーティング材料を加熱することによる。これに続いて、基材上に蒸気を凝縮させる。蒸着誘電体ミラーコーティングの場合、電子ビーム蒸着プロセスが最も一般的に使用される。
【0103】
スパッタコーティングは、エネルギーガスイオンを使用して、材料(「標的」)表面に衝突させ、原子を飛び出させ、その原子が、次いで、近くの基材上に凝縮する。使用するコーティング方法及びその方法に使用する設定に応じて、薄膜コーティング速度及び構造-特性関係は、強く影響を受ける。理想的には、コーティング速度は、高密度、低応力、無空隙、非光学吸収コーティング層として特徴付けられる、許容可能なプロセススループット及びフィルム性能を可能にするのに十分に高くあるべきである。
【0104】
例示的な実施形態は、両方のPVD法によって、254nmでピーク反射率を有するように設計することができる。例えば、高屈折率材料としてHfO、低屈折率材料としてSiOを使用して、電子ビーム蒸着法で個別の基材をコーティングする。ミラー設計では、各材料の「1/4波長光学的厚さ」(qwot)の交互の層があり、例えば、それらの層は、13層の後、254nmでの反射率が99%を超えるまで、層毎にコーティングされる。この反射ピークの帯域幅は、約80nmである。4分の1波長光学厚さは、設計波長であり、ここでは254nmを4で割る、又は63.5nmである。高屈折率層(HfO)の物理的厚さは、254nmでの、HfOのqwotと屈折率(2.41)との商、又は30.00nmである。254nmで屈折率1.41の低屈折率層(MgF)の物理的厚さは、45.02nmである。次いで、HfOとSiOの交互の層で構成され、254nmでピーク反射率を有するように設計された薄膜積層体のコーティングを、層1のHfOを30.00nmでコーティングすることで開始する。
【0105】
電子ビーム蒸着では、ハース4個の蒸着源が使用される。各ハースは円錐形状であり、体積17cmのHfO塊が充填される。磁気的に偏向された高電圧電子ビームを、ビームのフィラメント電流を事前プログラムされた方法で徐々に増加させながら、材料表面にわたってラスタ走査する。
【0106】
事前プログラムされた工程が完了すると、HFO表面は、蒸着温度である、約2500℃に加熱され、供給源シャッタが開き、HfO蒸気流束が、供給源からコサイン状分布で出て、供給源の上方の基材材料上に凝縮する。コーティングの均一性を向上させるために、基材ホルダは蒸着中に回転する。所定のコーティング厚(30.00nm)に達すると、フィラメント電流が遮断され、シャッタが閉じて、HfO材料が冷却される。
【0107】
層2については、蒸着源は、その後、MgFの塊を含むハースまで回転され、同様の事前プログラムされた加熱プロセスが開始する。ここで、MgF表面温度は、供給源シャッタが開いたときに約950℃であり、所定のコーティング厚(45.02nm)に達すると、フィラメント電流が遮断され、シャッタが閉じて、HfO材料が冷却される。この段階的プロセスは、設計層の総数に達するまで、層毎に継続される。この光学設計では、合計層が3から13に増加するにつれて、結果として得られるピーク反射率は、それに応じて3層で40%から13層で99%超に増加する。
【0108】
別の例示的な実施形態では、高屈折率材料としてZrON、低屈折率材料としてSiOを使用して、UV透過性フィルムを連続的ロール・ツー・ロール(R2R)方式でコーティングすることができる。光学設計は薄膜積層体と同じタイプであり、2つの材料のqwot層が交互になっている。254nmで屈折率2.25を有するZrONについて、物理的厚さ目標は28.22nmであった。ここでは、アルミニウムドープシリコンスパッタターゲットからスパッタされた、屈折率1.49を有するSiOについて、目標厚さは42.62nmであった。
【0109】
層1のZrONは、アルゴン、酸素、及び窒素のガス混合物中の純粋なジルコニウムスパッタターゲットからDCスパッタされる。アルゴンが主要なスパッタリングガスであるのに対し、酸素と窒素のレベルは、透明性、低吸収率、高屈折率を実現するように設定されている。フィルムロールの輸送は、最初は所定の速度で開始し、スパッタ源の出力は、最大運転出力まで上昇し、続いて反応性ガスが導入された後、定常状態になる。コーティングするフィルムの長さに応じて、このプロセスは、全長に達するまで継続する。ここで、スパッタ源は、コーティングされているフィルムと直交し、かつそれよりも幅広いので、コーティング厚さの均一性は非常に高い。
【0110】
コーティングされたフィルムが所望の長さに達すると、反応性ガスをゼロに設定し、ターゲットをスパッタして、純粋なZr表面状態にする。次に、フィルム方向を反転させ、対のロータリーシリコン(アルミニウムドープ)スパッタターゲットに、アルゴンスパッタリング雰囲気中でAC周波数(40kHz)電力が印加される。定常状態に達すると、酸素反応性ガスが、透明性及び低屈折率をもたらすために導入される。第2の層は、層1がコーティングされた長さにわたって所定のプロセス設定及びライン速度でコーティングされる。この場合もやはり、これらのスパッタ源は、コーティングされているフィルムと直交し、かつそれよりも幅広いので、コーティング厚さの均一性は非常に高い。コーティングされたフィルムが所望の長さに達した後、反応性酸素を除去し、ターゲットをアルゴン中でスパッタし、純粋なシリコン(アルミニウムドープ)表面状態にする。ピーク反射率目標に応じて、層3~5、又は7、又は9、又は11、又は13が、この順序でコーティングされる。完了後、後処理のためにフィルムロールを取り外す。
【0111】
これらの無機コーティングの製造について、個別の部品をコーティングするには、電子ビームプロセスが最も適している。いくつかのチャンバでは、R2Rフィルムコーティングを実際に実施したが、層毎のコーティング順序はやはり必要となる。フィルムのR2Rスパッタリングの場合、1つ又はおそらくは2つのコーティングドラムの周囲に配置された複数の供給源を有するスパッタリングシステムを使用することが好都合である。ここで、13層の光学積層体設計の場合、高屈折率層と低屈折率層とを交互に順次コーティングする2つ又は更には単一のマシンパスプロセスが実行可能となる。いくつのマシンパスが必要となるかは、マシン設計、コスト、13個の連続する供給源の実用性などによって異なり得る。加えて、コーティング速度は、単一のフィルムライン速度に一致させる必要がある。
【0112】
前述の実施形態のいずれかにおいて、紫外線遮蔽フィルムは、光起電力デバイスの主表面に適用することができる。そのようないくつかの実施形態では、光起電力デバイスは、衛星又は無人航空機の構成要素である。
【0113】
前述の実施形態のいくつかでは、本明細書に記載の多層光学フィルムは、実施例に記載される「UV-C寿命試験」を使用して試験したときに、254nmの少なくとも151,108,800mJ/cmのUV-C光に曝された後には、UV-C光吸収が増加しない。
【実施例
【0114】
これらの実施例は、様々な具体的な好ましい実施形態及び技術を更に示すために提供される。しかしながら、本開示の範囲内に留まりつつ、多くの変更及び修正を加えることができるということが理解されるべきである。
UV-C寿命試験
【0115】
UV-C寿命は、Atlantic Ultraviolet Corporation(Hauppauge,NY)によって製造された118V RRD-30-8S殺菌器具を有するアルミニウム製の筐体を用いて判定した。器具には、8つの高出力インスタントスタート254nmUV-Cランプが含まれる。圧縮空気をランプの長さ全体にわたって124kPa(18psi)の圧力で流して、一定の温度を維持し、温度によるランプ出力強度の損失を最小限に抑えた。試験サンプルを、分光光度計(Shimadzu Instruments(Kyoto,Japan)から商品名「SHIMADZU 2550 UV-Vis」で入手)を使用して吸光度測定を行うために適切なサイズの窓を含むアルミニウムスライド上に装着した。
【0116】
連続露光を個別の時間間隔で行い、100時間毎に吸光度測定のために取り外し、露光チャンバに戻した。サンプルを、実験継続期間中、制御された、ランプからの高さ及びランプに沿った距離で、試験チャンバ内に配置した。UV放射計(OPSYTECH Corporation(Makati City,Philippines)から商品名「UVPAD」で入手)を、露光プロセス全体にわたって100時間毎にUV(具体的にはUV-C)照度及び線量データを収集するために、試験サンプルと並べてチャンバ内に配置した。
比較例1
【0117】
透明なウレタンコーティングを、UV-Cを吸収するためにジルコニアナノ粒子で作製した。UV-Cに曝されると、コーティングは、図2Aに示すように、222nmのUV-Cに168時間の曝露だけで劣化して黄色に変わり、参照番号30は、ゼロ時間のUV-C曝露後の未曝露コーティングの吸光度スペクトルを指し、参照番号31は、168時間の曝露後のコーティングの吸光度スペクトルを指す。
比較例2
【0118】
USI Group(Taiwan)から入手可能な商品名VIVIONで販売されているポリオレフィンコポリマーフィルムを、254nmのUV-C光に曝した。図2Bに示すように、254nmのUV-C光への168時間の曝露だけでの吸光度として示される光透過率の損失は有意であり、フィルムは、急速に劣化した。参照番号32は、ゼロ時間のUV-C曝露後の未曝露フィルムを指し、参照番号33は、168時間のUV-C曝露後のフィルムを指す。
比較例3
【0119】
フルオロポリマー(Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「THV815」及び「THV221」で入手可能)を、40mmの二軸押出機及びフラットフィルム押出ダイを用いて、21℃(70°F)に冷却されたフィルムキャスティングホイール上に共押出して、2mil(50マイクロメートル)厚の2層フルオロポリマーフィルムを形成した。100マイクロメートル厚のフルオロポリマー(「THV815」)フィルム。THV221フルオロポリマー側をアルミニウムシートに向けた状態で、フィルムをアルミニウムシートに140℃でヒートシールした。2層フルオロポリマーフィルムは、アルミニウムシートから剥離することができなかった。
基材フィルム実施例1
【0120】
Nowofol Kunststoffprodukte GmbHKG(Siegsdorf,Germany)から商品名「NOWOFLON THV815」で入手した4mil(100マイクロメートル)厚のTHV815フィルムを、UV-C寿命試験に従って、3264時間にわたって254nmのUV-C光に曝した。吸光度スペクトルは図3Aに示されており、参照番号34は、ゼロ時間のUV-C曝露後の未曝露フィルムを指し、参照番号35は、3264時間のUV-C曝露後のフィルムを指す。
【0121】
このフィルムの別の試料を、UV-C寿命試験に従って、672時間にわたって222nmでUV-C光に同様に曝した。吸光度スペクトルは図3Bに示されており、参照番号36は、ゼロ時間のUV-C曝露後の未曝露フィルムを指し、参照番号37は、672時間のUV-C曝露後のフィルムを指す。劣化又は光透過率の損失の兆候はない。THV815は、225℃の融点を有し、150℃に加熱された表面には粘着しない。
基材フィルム実施例2
【0122】
3M Company(St.Paul,MN)製の12mil(300マイクロメートル)厚のTHV221フィルムを、UV-C寿命試験に従って、3264時間にわたって254nmのUV-C光に曝した。吸光度スペクトルは図3Cに示されており、参照番号38は、ゼロ時間のUV-C曝露後の未曝露フィルムを指し、参照番号39は、3264時間のUV-C曝露後のフィルムを指す。劣化又は光透過率の損失の兆候はない。THV221は、130℃の融点を有し、140℃でヒートシールすることができる。
狭帯域UV-C保護ミラーフィルム
狭帯域UV-C保護ミラーフィルム実施例1
【0123】
多層UV-C保護ミラーフィルムを、HfOを含む第1の光学層とSiOを含む第2の光学層とを有する無機光学積層体を、100マイクロメートル(4mil)厚のフルオロポリマーフィルム基材(Nowofol Kunststoffprodukte GmbH KG(Siegsdorf,Germany)から商品名「NOWOFLON THV815」で入手)に蒸気コーティングすることによって作製した。より具体的には、HfOとSiOの13個の交互の層で構成され、254nmでピーク反射率を有するように設計された薄膜積層体を、以下の方法を使用して調製した。
【0124】
この方法を、電子ビーム蒸着を使用して、層1のHfOの30.00nmの層をコーティングすることによって開始した。電子ビーム蒸着では、ハース4個の蒸着源を使用した。各ハースは円錐形状であり、体積17cmのHfO塊を充填した。磁気的に偏向した高電圧電子ビームを、ビームのフィラメント電流を事前プログラムされた方法で徐々に増加させながら、材料表面にわたってラスタ走査した。
【0125】
事前プログラムされた工程が完了すると、HFO表面は、蒸着温度である、約2500℃に加熱され、供給源シャッタが開き、HfO蒸気流束が、供給源からコサイン状分布で出て、供給源の上方の基材材料上に凝縮した。コーティングの均一性を向上させるために、基材ホルダは蒸着中に回転した。所定のコーティング厚(30.00nm)に達すると、フィラメント電流が遮断され、シャッタが閉じて、HfO材料が冷却された。
【0126】
次に、コーティング層2を、コーティング層1上に直接蒸着させた。コーティング層2については、蒸着源は、その後、SiOの塊を含むハースまで回転され、同様の事前プログラムされた加熱プロセスが開始した。ここで、SiO表面温度は、供給源シャッタが開いたときに約950℃であり、所定のコーティング厚(45.02nm)に達すると、フィラメント電流が遮断され、シャッタが閉じて、HfO材料が冷却された。
【0127】
この段階的交互層プロセスを、13層の総数(HfOの7つの層及びSiOの6つの層)に到達するまで、層ごとに続けた。多層UV-C保護ミラーフィルムの反射率スペクトルを、分光光度計(Shimadzu(Kyoto,Japan)から商品名「SHIMADZU 2550 UV-VIS」で入手)を用いて測定した。結果として得られた反射率スペクトル50を図4に示す。
モデル化された仮想例I
【0128】
Journal of the Optical Society of America(Volume 62,Number 4,April 1972)及びJournal of Applied Physics(Volume 85,Number 6,March 1999)に記載されたBerreman法を使用して、ZrON高屈折率の第1の層及びSiO低屈折率の第2の層の14個の交互の光学層を有する多層光学フィルムの、垂直入射光角度(0°)での254nmのメジアン反射率目標について、図5に示される%反射率スペクトルを計算した。仮想UV-C反射多層光学フィルムについて、0°(スペクトル71)、10°(スペクトル72)、20°(スペクトル73)、30°(スペクトル74)、及び40°(スペクトル75)の入射光角度に対する%反射率スペクトルを計算した。
モデル化された仮想例II
【0129】
このUV-C光反射保護フィルムは、PVDF(フッ化ポリビニリデン)(Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「PVDF 6008」で入手可能)で作製された第1の光学層と、フルオロポリマー(Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「THV815GZ」で入手可能)を含む第2の光学層とを含む多層光学フィルムを含む。PVDF(「PVDF 6008」)とフルオロポリマー(「THV815GZ」)とを多層溶融マニホールドを通して共押出して、254層の光学積層体を形成することができる。
【0130】
このUV-C光反射保護フィルムの層厚さプロファイル(層厚値)は、ほぼ線形プロファイルになるように調整することができ、最も薄い層が、200nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さ(屈折率×物理的厚さ)を有するように調整され、反射が0°入射光角度(垂直)で測定される場合に300nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さになるように調整された最も厚い層を達成する。
【0131】
Journal of the Optical Society of America(Volume 62,Number 4,April 1972)及びJournal of Applied Physics(Volume 85,Number 6,March 1999)に記載されたBerreman法を使用して、合計254層(127個のPVDF高屈折率光学層及び127個のTVH815低屈折率層、各高屈折率層が低屈折率層と交互になる)を有し、垂直入射光角度(0°)での250nmのメジアン反射率目標を呈する多層光学フィルムについて、図6に示される%反射率スペクトルを計算した。
広帯域UV-C保護ミラーフィルム
広帯域UV-C+UV-B保護ミラーフィルム実施例2-ZrO:SiAl
【0132】
240~310nmの範囲にわたって反射する広帯域UV-C保護ミラーフィルムを、ZrOを含む第1の光学層とSiAlを含む第2の光学層とを有する無機光学積層体を、4mil(100マイクロメートル)厚のフルオロポリマーフィルム(Nowofol Kunststoffprodukte GmbH & Co.KG Kunststoffprodukte GmbH & Co.KG(Siegsdorf,Germany)から商品名「NOWOFLON THV 815」で入手)にスパッタコーティングすることによって作製した。
【0133】
高屈折率材料としてZrO、低屈折率材料としてSiAlを使用して、UV透過性フィルムを連続的ロール・ツー・ロール(R2R)方式でコーティングした。光学設計は、その2つの材料の1/4波長の厚さの層を交互にし、層厚さに勾配をつけて、240nmで反射を開始し、最終厚さで310nmが反射されるように勾配が終了するよう調整した。254nmで屈折率2.25を有するZrOについて、物理的厚さ目標は24.66nmであった。ここでは、アルミニウムドープシリコンスパッタターゲットからスパッタされた、屈折率1.49を有するSiAlについて、目標厚さは37.23nmであった。
【0134】
層1のZrOは、アルゴン、酸素、及び窒素のガス混合物中の純粋なジルコニウムスパッタターゲットからDCスパッタした。アルゴンが主要なスパッタリングガスであったのに対し、酸素と窒素のレベルは、透明性、低吸光度、及び高屈折率を達成するように設定した。フィルムロールの輸送は、最初は所定の速度で開始し、スパッタ源の出力は、最大運転出力まで上昇し、続いて反応性ガスが導入された後、定常状態になった。スパッタ源は、コーティング中のフィルムに直交し、かつそれよりも幅広かった。コーティングされたフィルムが所望の長さに達すると、反応性ガスをゼロに設定し、ターゲットをスパッタして、純粋なZr表面状態を得た。
【0135】
次に、フィルム方向を反転させ、対のロータリースパッタターゲットのシリコン(アルミニウムドープ)に、アルゴンスパッタリング雰囲気中でAC周波数(40kHz)電力を印加した。定常状態に達すると、酸素反応性ガスを、透明性及び低屈折率をもたらすために導入した。第2の層を、層1がコーティングされた長さにわたって所定のプロセス設定及びライン速度でコーティングした。スパッタ源は、コーティング中のフィルムに直交し、かつそれよりも幅広かった。
【0136】
コーティングされたフィルムが所望の長さに達した後、反応性酸素を除去し、ターゲットをアルゴン中でスパッタし、純粋なシリコン(アルミニウムドープ)表面状態を得た。この段階的プロセスを、合計9層に達するまで、層毎に継続した。結果として得られたピーク反射率は、分光光度計(Perkin Elmer Instruments(Waltham,MA)から商品名「LAMBDA 1050 UV-VIS」で入手)で測定したときに、254nmで95%であると測定され、フィルムは、222nmでUV-C光の80%を透過した。
広帯域UV-C+UV-B+UV-A保護ミラーフィルム実施例3(ZrO/SiAl
【0137】
240~310nmの範囲にわたって反射する広帯域UV-C保護ミラーフィルムを、ZrOを含む第1の光学層とSiAlを含む第2の光学層とを有する無機光学積層体を、4mil(100マイクロメートル)厚のフルオロポリマーフィルム(Nowofol Kunststoffprodukte GmbH KG(Siegsdorf,Germany)から商品名「NOWOFLON THV 815」で入手)にスパッタコーティングすることによって作製した。
【0138】
高屈折率材料としてZrO、低屈折率材料としてSiAlを使用して、UV透過性フィルムを連続的ロール・ツー・ロール(R2R)方式でコーティングした。光学設計は、その2つの材料の1/4波長の厚さの層を交互にし、層厚さに勾配をつけて、240nmで反射を開始し、最終厚さで310nmが反射されるように勾配が終了するように調整した。254nmで屈折率2.25を有するZrOについて、物理的厚さ目標は24.66nmであった。ここでは、アルミニウムドープシリコンスパッタターゲットからスパッタされた、屈折率1.49を有するSiAlxOyについて、目標厚さは37.23nmであった。
【0139】
層1のZrOは、アルゴン、酸素、及び窒素のガス混合物中の純粋なジルコニウムスパッタターゲットからDCスパッタした。アルゴンが主要なスパッタリングガスであったのに対し、酸素と窒素のレベルは、透明性、低吸光度、及び高屈折率を達成するように設定した。フィルムロールの輸送は、最初は所定の速度で開始し、スパッタ源の出力は、最大運転出力まで上昇し、続いて反応性ガスが導入された後、定常状態になった。スパッタ源は、コーティング中のフィルムに直交し、かつそれよりも幅広かった。コーティングされたフィルムが所望の長さに達すると、反応性ガスをゼロに設定し、ターゲットをスパッタして、純粋なZr表面状態を得た。
【0140】
次に、フィルム方向を反転させ、対のロータリースパッタターゲットのシリコン(アルミニウムドープ)に、アルゴンスパッタリング雰囲気中でAC周波数(40kHz)電力を印加した。定常状態に達すると、酸素反応性ガスを、透明性及び低屈折率をもたらすために導入した。第2の層を、層1がコーティングされた長さにわたって所定のプロセス設定及びライン速度でコーティングした。スパッタ源は、コーティング中のフィルムに直交し、かつそれよりも幅広かった。コーティングされたフィルムが所望の長さに達した後、反応性酸素を除去し、ターゲットをアルゴン中でスパッタし、純粋なシリコン(アルミニウムドープ)表面状態を得た。
【0141】
この段階的プロセスを、合計9層に達するまで、層毎に継続した。結果として得られるピーク反射率は、分光光度計(「LAMBDA 1050 UV-VIS」)を用いて測定したときに、254nmで95%であると測定された。
【0142】
310~360nmの範囲にわたって反射するUV-Bミラーフィルムを、PMMAで作製された第1の光学層(Altuglas International,Arkema Inc.(Bristol,PA)から商品名「PLEXIGLAS V044」で入手)をフルオロポリマー2で作製された第2の光学層(Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名DYNEON THV 221GZで入手)と共押出しすることによって作製した。PMMAとフルオロポリマー2とを多層ポリマー溶融マニホールドを通して共押出して、合計275層の光学層の積層体を形成した。
【0143】
この広帯域UV-Bミラーフィルムの層厚さプロファイル(層厚値)を、ほぼ線形プロファイルになるように調整して、第1の(最も薄い)光学層を、310nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さ(屈折率×物理的厚さ)を有するように調整し、360nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さになるように調整した最も厚い層を達成する。その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,783,349号(Neavinら)に教示される軸方向ロッド装置を使用して、改善されたスペクトル特性を原子間力顕微鏡技術で得られた層プロファイル情報と組み合わせて提供するように、このフィルムの層厚さプロファイルを調整した。
【0144】
加えて、これらの光学層に対して、PMMA(それぞれ厚さ100マイクロメートル)で作製された非光学保護スキン層を光学積層体の両側に共押出した。この多層共押出溶融流を、毎分5.4メートルで冷却ロール上にキャストし、厚さ約400マイクロメートルの多層キャストウェブを作製した。次いで、多層キャストウェブを120℃で約10秒間予熱し、機械(ダウンウェブ)方向及び横(クロスウェブ)方向のそれぞれにおいて3.0の延伸比で(フィルムを配向させるために)二軸延伸した。UV-B反射多層フィルムは、分光光度計(Perkin Elmerの「LAMBDA 1050 UV-VIS」)を用いて測定され、310nm~360nmの帯域幅にわたってUV-B光の95%を反射した。
【0145】
340~390nmの範囲にわたって反射するUV-Aミラーフィルムを、PMMAで作製された第1の光学層(Altuglas International,Arkema Inc.(Bristol,PA)から商品名「PLEXIGLAS V044」で入手)をフルオロポリマー2で作製された第2の光学層(Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「DYNEON THV 221GZ」で入手)と共押出しすることによって作製した。PMMAとフルオロポリマー2とを多層ポリマー溶融マニホールドを通して共押出して、275層の光学層の積層体を形成した。
【0146】
このUV-Bミラーフィルムの層厚さプロファイル(層厚値)を、ほぼ線形プロファイルになるように調整して、第1の(最も薄い)光学層を、340nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さ(屈折率×物理的厚さ)を有するように調整し、390nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さになるように調整した最も厚い層を達成した。その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,783,349号(Neavinら)に教示される軸方向ロッド装置を使用して、改善されたスペクトル特性を原子間力顕微鏡技術で得られた層プロファイル情報と組み合わせて提供するように、このフィルムの層厚さプロファイルを調整した。
【0147】
加えて、これらの光学層に対して、PMMA(それぞれ厚さ100マイクロメートル)で作製された非光学保護スキン層を光学積層体の両側に共押出した。この多層共押出溶融流を、毎分5.0メートルで冷却ロール上にキャストし、厚さ約435マイクロメートルの多層キャストウェブを作製した。次いで、多層キャストウェブを120℃で約10秒間予熱し、機械(ダウンウェブ)方向及び横(クロスウェブ)方向のそれぞれにおいて3.0の延伸比で(フィルムを配向させるために)二軸延伸した。UV-A反射多層フィルムは、分光光度計(Perkin Elmerの「LAMBDA 1050 UV-VIS」)を用いて測定され、340nm~390nmの帯域幅にわたってUV-A光の95%を反射した。
【0148】
240~310nmのUV-Cミラーフィルム、310~360nmのUV-Bミラーフィルム、及び340~390nmのUV-Aミラーフィルムを、130℃のオーブン内において5ポンド(2.27kg)の重量下で2時間ヒートラミネートした。ヒートラミネートされたUVミラーフィルム積層体の反射率スペクトルを、分光光度計(Perkin Elmerの「LAMBDA 1050 UV-VIS」)を用いて測定した。ラミネートされた広帯域UV-C保護ミラーフィルムは、図7の反射率スペクトルによって示されるように、240nm~390nmの波長範囲にわたって85%の平均%反射率を呈した。
広帯域UV-C+UV-B+UV-A保護ミラーフィルム実施例4(HfO:SiO/ZrO:SiAl
【0149】
215~280nmの範囲にわたって反射する広帯域UV-C保護ミラーフィルムを、HfOを含む第1の光学層とSiOを含む第2の光学層とを有する無機光学積層体を、100マイクロメートル(4mil)厚のフルオロポリマーフィルム(Nowofol Kunststoffprodukte GmbH KG(Siegsdorf,Germany)から商品名「NOWOFLON THV 815」で入手)に蒸気コーティングすることによって作製した。
【0150】
より具体的には、HfOとSiOの交互の層で構成され、254nmでピーク反射率を有するように設計された薄膜積層体を、層1のHfOを30.00nmでコーティングすることによって開始した。電子ビーム蒸着では、ハース4個の蒸着源を使用した。各ハースは円錐形状であり、体積17cmのHfO塊を充填した。磁気的に偏向した高電圧電子ビームを、ビームのフィラメント電流を事前プログラムされた方法で徐々に増加させながら、材料表面にわたってラスタ走査した。
【0151】
事前プログラムされた工程が完了すると、HfO表面は、蒸着温度である、約2500℃に加熱され、供給源シャッタが開き、HfO蒸気流束が、供給源からコサイン状分布で出て、供給源の上方の基材材料上に凝縮した。コーティングの均一性を向上させるために、基材ホルダは蒸着中に回転した。所定のコーティング厚(30.00nm)に達すると、フィラメント電流が遮断され、シャッタが閉じて、HfO材料が冷却された。
【0152】
層2については、蒸着源は、その後、SiOの塊を含むハースまで回転され、同様の事前プログラムされた加熱プロセスが開始した。ここで、SiO表面温度は、供給源シャッタが開いたときに約950℃であり、所定のコーティング厚(45.02nm)に達すると、フィラメント電流が遮断され、シャッタが閉じて、SiO材料が冷却された。
【0153】
この段階的プロセスを、合計13層に達するまで、層毎に継続した。結果として得られたピーク反射率を分光光度計(Shimadzu Corp.(Kyoto,Japan)から商品名「SHIMADZU UV-2550 UV-VIS」で入手)を用いて測定し、222nmで95%であることが分かった。
【0154】
次いで、215~280nmの範囲にわたって反射するUV-Cミラーフィルムを、130℃のオーブン内において5ポンド(2.27kg)の重量下で2時間、実施例3に記載のヒートラミネートされたUVミラーフィルム積層体にヒートラミネートした。ラミネートされた広帯域UV-C保護ミラーフィルムは、図8の反射率スペクトルによって示されるように、215nm~390nmの波長範囲にわたって85.6%の平均%反射率を呈した。
モデル化された仮想例III
【0155】
260~390nmの範囲にわたって反射する広帯域UV-C保護ミラーフィルムは、フルオロポリマー1で作製された第1の光学層(Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「DYNEON FLUOROPLASTIC PVDF 6008」で入手可能)をフルオロポリマー2で作製された第2の光学層(Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「DYNEON THV 221GZ」で入手可能)と共押出しすることによって作製することができる。
【0156】
フルオロポリマー1とフルオロポリマー2とを、多層ポリマー溶融マニホールドを通して共押出して、275層の光学層の積層体を形成する。この広帯域UV-Cミラーフィルムの層厚さプロファイル(層厚値)を、ほぼ線形プロファイルになるように調整して、第1の(最も薄い)光学層を、260nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さ(屈折率×物理的厚さ)を有するように調整し、390nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さになるように調整した最も厚い層を達成する。
【0157】
このフィルムの層厚さプロファイルは、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,783,349号(Neavinら)に教示される軸方向ロッド装置を使用して、改善されたスペクトル特性を原子間力顕微鏡技術で得られた層プロファイル情報と組み合わせて提供するように、調整される。
【0158】
加えて、これらの光学層に対して、フルオロポリマー1(それぞれ厚さ100マイクロメートル)で作製される非光学保護スキン層を光学積層体の両側に共押出した。この多層共押出溶融流は、毎分5.4メートルで冷却ロール上にキャストし、厚さ約400マイクロメートルの多層キャストウェブを作製する。
【0159】
次いで、多層キャストウェブを、120℃で約10秒間予熱し、機械(ダウンウェブ)方向及び横(クロスウェブ)方向のそれぞれにおいて3.0の延伸比で(フィルムを配向させるために)二軸延伸する。UV反射多層フィルムは、分光光度計(Perkin Elmerの「LAMBDA 1050 UV-VIS」)を用いて測定したときに、260nm~390nmの帯域幅にわたってUV光の95%を反射すると予想される。
【0160】
広帯域UV-Cミラーフィルムは、210~270nmの範囲にわたって反射し、かつHfOを含む第1の光学層とSiOを含む第2の光学層とを有する無機光学積層体を有するUV-Cフィルムを、上述した260~390nmのフルオロポリマーUVミラーフィルムに蒸気コーティングすることによって作製される。より具体的には、HfOとSiOの交互の層で構成され、240nmでピーク反射率を有するように設計された薄膜積層体を、層1のHfOを30.00nmでコーティングすることによって開始した。電子ビーム蒸着では、ハース4個の蒸着源が使用される。各ハースは円錐形状であり、体積17cmのHfO塊を充填した。
【0161】
磁気的に偏向した高電圧電子ビームを、ビームのフィラメント電流を事前プログラムされた方法で徐々に増加させながら、材料表面にわたってラスタ走査する。事前プログラムされた工程が完了すると、HfO表面は、蒸着温度である、約2500℃に加熱され、供給源シャッタが開き、HfO蒸気流束が、供給源からコサイン状分布で出て、供給源の上方の基材材料上に凝縮する。コーティングの均一性を向上させるために、基材ホルダは蒸着中に回転した。
【0162】
所定のコーティング厚(30.00nm)に達すると、フィラメント電流が遮断され、シャッタが閉じて、HfO材料が冷却され。層2については、蒸着源は、その後、SiOの塊を含むハースまで回転され、同様の事前プログラムされた加熱プロセスが開始する。ここで、SiO表面温度は、供給源シャッタが開いたときに約950℃であり、所定のコーティング厚(45.02nm)に達すると、フィラメント電流が遮断され、シャッタが閉じて、SiO材料が冷却される。
【0163】
この段階的プロセスを、合計13層に達するまで、層毎に継続する。結果として得られたピーク反射率は、分光光度計(Shimadzu Corp.(Kyoto,Japan)から商品名「SHIMADZU UV-2550 UV-VIS」で入手)を用いて測定され、210nm~390nmの帯域幅にわたってUV光の少なくとも90%を反映すると予想される。
モデル化された仮想例IV
【0164】
240~390nmの範囲にわたって反射する広帯域UV-C保護ミラーフィルムは、フルオロポリマー1で作製された第1の光学層(Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「DYNEON FLUOROPOLYMER PVDF 6008」で入手可能)をフルオロポリマー3で作製された第2の光学層(Dyneon LLC(Oakdale,MN)から商品名「DYNEON THV 815GZ」で入手可能)と共押出しすることによって作製することができる。
【0165】
フルオロポリマー1とフルオロポリマー3とを、多層ポリマー溶融マニホールドを通して共押出して、550層の光学層の積層体を形成する。このUV-Cミラーフィルムの層厚さプロファイル(層厚値)を、ほぼ線形プロファイルになるように調整して、第1の(最も薄い)光学層を、240nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さ(屈折率×物理的厚さ)を有するように調整し、390nmの光に対して約1/4波長の光学的厚さになるように調整した最も厚い層を達成する。
【0166】
このフィルムの層厚さプロファイルは、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,783,349号(Neavinら)に教示される軸方向ロッド装置を使用して、改善されたスペクトル特性を原子間力顕微鏡技術で得られた層プロファイル情報と組み合わせて提供するように、調整される。
【0167】
加えて、これらの光学層に対して、フルオロポリマー1(それぞれ厚さ100マイクロメートルの各々)で作製される非光学保護スキン層を光学積層体の両側に共押出する。この多層共押出溶融流は、毎分5.4メートルで冷却ロール上にキャストし、厚さ約400マイクロメートルの多層キャストウェブを作製する。次いで、多層キャストウェブを、120℃で約10秒間予熱し、機械(ダウンウェブ)方向及び横(クロスウェブ)方向のそれぞれにおいて3.0の延伸比で(フィルムを配向させるために)二軸延伸する。
【0168】
広帯域UV-C反射多層フィルムは、分光光度計(Perkin Elmerの「LAMBDA 1050 UV-VIS」)で測定したときに、240nm~390nmの波長帯域幅にわたってUV光の99%を反射し、かつ215nm~230nmの波長帯域幅にわたってUV光の80%超を透過すると予想される。
【0169】
図中の要素についての説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されると理解されたい。特定の実施形態が本明細書において図示および説明されているが、図示および記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様および/または等価の実施態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のいずれの適応例又は変形例も包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【0170】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、又は「ある実施形態」に対する言及は、「実施形態」という用語の前に、「例示的な」という用語が含まれているか否かに関わらず、その実施形態に関連して説明される具体的な特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の特定の例示的な実施形態のうちの少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して、様々な箇所における「1つ以上の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「一実施形態において」、又は「ある実施形態において」などの表現の出現は、必ずしも本開示の特定の例示的な実施形態のうちの同一の実施形態に言及するものとは限らない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わされてもよい。
【0171】
本明細書ではいくつかの例示的な実施形態について詳細に説明してきたが、当業者には上述の説明を理解した上で、これらの実施形態の修正形態、変形形態、及び均等物を容易に想起できることが、理解されよう。したがって、本開示は、ここまで説明してきた例示的な実施形態に、過度に限定されるものではないことを理解されたい。特に、本明細書で使用する場合、端点による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)ことが意図される。加えて、本明細書で使用される全ての数は、用語「約」によって修飾されるものと想定される。
【0172】
更には、本明細書で参照される全ての刊行物及び特許は、個々の刊行物又は特許を参照により組み込むことが詳細かつ個別に指示されている場合と同じ程度に、それらの全容が参照により組み込まれる。組み込まれている参照文献の部分と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の説明における情報
【0173】
様々な例示的な実施形態について説明してきた。これらの実施形態及び他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】