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特表2023-508111多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメント不織マット、及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-28
(54)【発明の名称】多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメント不織マット、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/4209 20120101AFI20230220BHJP
   D04H 1/728 20120101ALI20230220BHJP
   D01F 9/08 20060101ALI20230220BHJP
【FI】
D04H1/4209
D04H1/728
D01F9/08 A
D01F9/08 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540320
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 IB2020062209
(87)【国際公開番号】W WO2021137087
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】62/955,266
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,ディヴィッド エム.
(72)【発明者】
【氏名】チウ,ウィリアム ブイ.
【テーマコード(参考)】
4L037
4L047
【Fターム(参考)】
4L037CS19
4L037FA01
4L037FA17
4L037PA41
4L037PF08
4L037UA07
4L037UA15
4L037UA17
4L037UA20
4L047AA03
4L047AA04
4L047AA28
4L047AB02
4L047AB08
4L047BA03
4L047BA04
4L047BA06
4L047BA12
4L047BA24
4L047BC07
4L047BC14
4L047CB03
4L047CB05
4L047CB06
4L047CC12
4L047CC14
(57)【要約】
不織物品は、凝集不織マットを形成する複数のエレクトロスピニング多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントを含む。マット中のアルミノシリケートセラミックフィラメントの各々は、約200nm~約1000nmの電子顕微鏡を用いて決定される平均直径を有し、アルミノシリケートセラミックフィラメントは、約15重量%~約80重量%の平均結晶性ムライト含有量を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凝集不織マットを形成する複数のエレクトロスピニング多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントを含む、不織物品であって、前記マット内の前記アルミノシリケートセラミックフィラメントの各々は、約200nm~約1000nmの電子顕微鏡を用いて決定される平均直径を有し、前記アルミノシリケートセラミックフィラメントは、約15重量%~約80重量%の平均結晶性ムライト含有量を有する、不織物品。
【請求項2】
前記アルミノシリケートセラミックフィラメントが、約50重量%~約80重量%の結晶性ムライトを含む、請求項1に記載の不織物品。
【請求項3】
前記不織マットが、
アルミナ繊維、シリカ繊維、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、アルミナ-五酸化リン繊維、アルミナ-ボリア-シリカ繊維、ジルコニア繊維、ジルコニア-アルミナ繊維、ジルコニア-シリカ繊維、及びそれらの混合物又は組み合わせからなる群から選択される繊維、及び
エアロゲル及びグラスバブルズ、並びにそれらの混合物又は組み合わせからなる群から選択される非繊維状材料、
のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項1又は2に記載の不織物品。
【請求項4】
前記複数の多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントが、重量基準で60:40~90:10の範囲のアルミナ対シリカ比を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の不織物品。
【請求項5】
前記複数の多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントが、重量基準で約76:24のアルミナ対シリカ比を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の不織物品。
【請求項6】
前記複数の多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントが、約73%~約80%のアルミナを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の不織物品。
【請求項7】
前記不織マットが、前記複数の多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントを一緒に結合するためのバインダーを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の不織物品。
【請求項8】
前記バインダーが、(メタ)アクリル(コ)ポリマー、ポリ(ビニル)アルコール、ポリ(ビニル)ピロリドン、ポリ(エチレンオキシド、ポリ(ビニル)アセテート、ポリオレフィン、ポリエステル、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項7に記載の不織物品。
【請求項9】
前記バインダーが、シリカ、アルミナ、ジルコニア、カオリン粘土、ベントナイト粘土、シリケート、雲母粒子、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項7に記載の不織物品。
【請求項10】
前記物品が、濾過物品、断熱物品、遮音物品、防火物品、ビークル構成要素のための取り付け用マット、ガスケット、触媒支持体、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の不織物品。
【請求項11】
捕集部表面とジェット供給オリフィスとの間に成立させた電場の存在下で、セラミックフィラメントを水性セラミック前駆体ゾルからエレクトロスピニングするための方法であって、
前記水性セラミック前駆体ゾルのジェット流を形成して、前記捕集部表面上にアルミノシリケートセラミックフィラメントを形成することであって、前記ゾルは、重量基準で60:40~90:10の範囲のアルミナ対シリカ比を有し、前記ゾルは、約1000cP未満の粘度及び約25%未満の固形分を有する、形成することと、
前記捕集部表面上に未加工不織ウェブとして前記フィラメントを捕集することと、
前記未加工不織ウェブを約15重量%~約80重量%の結晶性ムライトを含む少なくとも1つの多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントを含む凝集マットに変換するのに十分な温度及び時間で前記未加工不織ウェブを加熱することであって、前記凝集マット中の前記アルミノシリケートセラミックフィラメントの各々は、約200nm~約1000nmの電子顕微鏡を用いて決定される平均直径を有する、加熱することと、を含む、方法。
【請求項12】
前記水性セラミック前駆体ゾルが、アルミニウムクロロハイドレート、シリカ、ポリビニルアルコール(PVA)、アルコール、及び水を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記水性セラミック前駆体ゾルが、消泡剤を更に含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記アルミノシリケートセラミックフィラメントが、重量基準で約76:24のアルミナ対シリカ比を有する、請求項11~13のいずれか一項に記載の不織物品。
【請求項15】
前記水性セラミック前駆体ゾルが、アルミナの重量に対し約10重量%のPVAを含む、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントが、少なくとも70重量%のムライトを含む、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントが、約73%~約80%のアルミナを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記凝集マットの、ニードルパンチング、ステッチボンディング、水流交絡、バインダー含浸、及び裁断のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項11~17のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
不織ウェブを製造するためのプロセスは、概して、連続フィラメントスピニングプロセス又は不連続ファイバーブロープロセスとして特徴付けられる。
【0002】
本明細書でエレクトロスピニング系と称される1つの連続フィラメントスピニングプロセスでは、帯電ポリマー溶液が、例えば、ノズルのオリフィスなどの流体導入デバイスを通して供給される。帯電ポリマー溶液は、例えば、接地された捕集標的(通常、金属スクリーン、プレート、又は回転マンドレル)などの捕集部に向かって(ジェットとして)延伸される。ジェットの移動中、ポリマー溶液中の溶媒が徐々に蒸発し、帯電ポリマーフィラメントが接地された標的上に蓄積する。得られた製品は、50ナノメートル(nm)~10ミクロン(μm)の直径を有する小さなフィラメントから構成される不織繊維マットである。接地された捕集標的がノズル位置に対して回転する場合、特定のフィラメントの配向(平行な整列又はランダム)が得られ得る。
【発明の概要】
【0003】
一態様では、本開示は、凝集不織マットを形成する複数のエレクトロスピニング多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントを含む、不織物品を対象とする。マット中のアルミノシリケートセラミックフィラメントの各々は、約200nm~約1000nmの電子顕微鏡を用いて決定される平均直径を有し、アルミノシリケートセラミックフィラメントは、約15重量%~約80重量%の平均結晶性ムライト含有量を有する。
【0004】
別の態様では、本開示は、捕集部表面とジェット供給オリフィスとの間に成立させた電場の存在下で、セラミックフィラメントを水性セラミック前駆体ゾルからエレクトロスピニングする方法を対象とする。本方法は、水性セラミック前駆体ゾルのジェット流を形成して、捕集部表面上にアルミノシリケートセラミックフィラメントを形成することであって、ゾルは、重量基準で60:40~90:10の範囲のアルミナ対シリカ比を含み、ゾルは、約1000cP未満の粘度及び約25%未満の固形分を有する、形成することと、捕集部表面上に未加工不織ウェブとしてフィラメントを捕集することと、未加工不織ウェブを約15重量%~約80重量%の結晶性ムライトを有する少なくとも1つの多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントを含む凝集マットに変換するのに十分な温度及び時間で未加工不織ウェブを加熱することと、を含む。凝集マット中のアルミノシリケートセラミックフィラメントの各々は、約200nm~約1000nmの電子顕微鏡を用いて決定される平均直径を有する。
【0005】
これら及び他の予想外の結果及び利点は、以下の例示的実施形態の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
以下の本開示の様々な実施形態の詳細な記述を添付図面と併せて検討することで、本開示をより完全に理解し得る。
【0007】
図1】本開示の一実施形態により強化された取り付け用マットの断面図である。
【0008】
図2】本出願の実施例で使用されるエレクトロスピニング装置の実施形態の概略図である。
【0009】
図3】実施例1の不織マットのフィラメントの、5000倍での走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0010】
図4】実施例1の不織マットのフィラメントの、50,000倍での走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0011】
図5】実施例1の不織マットの折り畳み性及びそのセラミックフィラメントの柔軟性を示す一連の写真である。
【0012】
図6】実施例2の不織マットのフィラメントの、7500倍での走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0013】
図面では、同様の参照符号は同様の要素を示す。上記に特定した図面は、一定の縮尺で描かれないことがあり、本開示の様々な実施形態を説明しているが、「発明を実施するための形態」で指摘するように、他の実施形態もまた企図される。全ての場合において、本開示は、本明細書で開示される開示内容を、明示的な限定によってではなく、例示的な実施形態を表現することによって記載する。本開示の範囲及び趣旨に含まれる、数多くの他の改変及び実施形態を、当業者によって考案することができる点を理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の定義された用語の用語解説に関して、これらの定義は、特許請求の範囲又は本明細書の他の箇所において異なる定義が提供されていない限り、本出願全体について適用されるものとする。
【0015】
用語解説
ある特定の用語が、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して使用されており、これらの大部分については周知であるが、何らかの説明が必要とされる場合もある。以下を理解されたい:
【0016】
特定の層に関する「隣り合っている」という用語は、2つの層が互いに隣り同士(すなわち、隣接し)かつ直接接触しているか、又は互いと近接してはいるが直接接触はしていない(すなわち、これらの層同士の間に1つ以上の追加の層が介在している)位置において、別の層と接合している、又は別の層に取り付けられていることを意味する。
【0017】
開示されるコーティングされた物品における様々な要素の場所について、配向の用語、例えば「~の上に(atop)」、「~上に(on)」、「~の上方に(over)」、「~を覆う(covering)」、「最上部の(uppermost)」、「~の下にある(underlying)」などを使用することによって、水平に配置され、上を向いた基材に対する、要素の相対位置について言及する。しかしながら、別途指示のない限り、基材又は物品は、製造中又は製造後において何らかの特定の空間的向きを有するべきであるということが意図されるわけではない。
【0018】
用語「(コ)ポリマー」(単数又は複数)は、ホモポリマー及びコポリマー、並びに、例えば、共押出しにより、又は例えば、エステル交換反応を含む反応により、混和性配合物において形成され得るホモポリマー又はコポリマーを含む。用語「コポリマー」は、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、及び星形(例えば、樹枝状)コポリマーを含む。
【0019】
他の層に対する、ある層の位置を記載するために、「~によって分離された」という用語を使用することによって、その層が、他の2つの層の間に位置するが、必ずしもどちらかの層と近接したり、又は隣接したりしてはいないことについて言及する。
【0020】
数値又は形状への言及に関する用語「約」又は「おおよそ」は、数値又は特性若しくは特徴の±5パーセントを意味するが、明示的に、ちょうどの数値を含む。例えば、「約」1Pa・secの粘度とは、0.95~1.05Pa・secの粘度を指すが、1Pa・secちょうどの粘度も明示的に含む。同様に、「実質的に正方形」の外辺部とは、各横方向縁部が、他のいずれかの横方向縁部の長さの95%~105%の長さを有する4つの横方向縁部を有する幾何形状を記載することを意図するが、これはまた、各横方向縁部が正確に同じ長さを有する幾何形状を含むものとする。
【0021】
用語「ウェブ坪量」は、10cm×10cmのウェブ試料の重量から計算される。
【0022】
用語「ウェブ厚さ」は、10cm×10cmのウェブ試料で、5cm×12.5cmの寸法の試験器フット部を有する厚さ試験ゲージを用いて、150Paの適用圧力において測定される。
【0023】
用語「嵩密度」は、ウェブを構成するバルクセラミック材料の単位体積当たりの質量であり、文献から引用される。
【0024】
特性又は特徴に関する用語「実質的に」は、その特性又は特徴が、その特性又は特徴の反対のものが呈される程度よりも高い程度で呈されることを意味する。例えば、「実質的に」透明な基材は、それが透過しない(例えば、吸収する及び反射する)放射線よりも多くの放射線(例えば、可視光)を透過する基材を指す。この場合、その表面上に入射する可視光のうちの50%より多くを透過する基材は、実質的に透明であるが、その表面上に入射する可視光のうちの50%以下を透過する基材は、実質的に透明ではない。
【0025】
本明細書及び添付の実施形態において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に内容により明確な指示がない限り、複数の対象を含む。したがって、例えば「化合物(a compound)」を含有する微細フィラメントへの言及は、2つ以上の化合物の混合物を含む。本明細書及び添付の実施形態で使用する場合、用語「又は」は、その内容が明確に別段の規定をしない限り、一般に「及び/又は」を含めた意味で用いる。
【0026】
本明細書で使用する場合、末端値による数値範囲の列挙には、その範囲内に包含されるあらゆる数値が含まれる(例えば1~5には1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、及び5が含まれる)。
【0027】
別段の指示がない限り、本明細書及び実施形態で使用される量又は成分、特性の測定値などを表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解されるものとする。したがって、反対の指示がない限り、前述の明細書及び添付の実施形態のリストにおいて述べる数値パラメータは、本開示の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変化し得る。最低でも、各数値パラメータは少なくとも、報告される有効桁の数に照らして通常の丸め技法を適用することにより解釈されるべきであるが、このことは請求項記載の実施形態の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではない。
【0028】
本開示の例示的な実施形態は、本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく、様々な改変及び変更を行ってもよい。したがって、本開示の実施形態は、以下に記載の例示的な実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている限定及びそれらの任意の均等物により支配されるものであることは理解されたい。
【0029】
以下に、本開示の様々な例示的実施形態を、図面を具体的に参照しながら記載する。本開示の例示的実施形態には、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な改変及び変更を加えてもよい。したがって、本開示の実施形態は、以下に記載の例示的実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている限定及びそれらの任意の均等物により支配されるものであることは理解されたい。
【0030】
アルミナ-シリカフィラメントは、典型的には、低い結晶性ムライト(3Al-2SiO)含有量で製造される。フィラメントが、ムライトが結晶化する1200℃を超える温度で熱処理されると、不織布の強度及び柔軟性が大幅に低下し得る。この強度及び柔軟性の欠如は、フィラメントを高温で使用することを阻害し得るものであり、また、熱安定性、耐クリープ性、化学的安定性を含むムライトの好都合な特性の実現も阻害するものである。
【0031】
結晶性ムライト含有量が増加した多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメント、並びにフィラメントを組み込んだ不織ウェブ及びマットは、最大1300℃までの優れた耐熱性、優れた耐酸性、濾過用途で使用される場合の低い圧力降下、及び良好な柔軟性を有する。より小径のフィラメントは、更により大きな柔らかさ及び柔軟性、マット形態でのより低い熱伝導率、及び繊維強化複合材中の構造要素として使用される場合に、改善される可能性のある機械的特性を有し得る。不織マットに組み込まれると、小径及びより高いムライト含有量を有する多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントは、例えば、濾過、支持媒体、裏打ち媒体、断熱材、例えば電動ビークル(electrical vehicle)電池絶縁など、及び高温遮音を含む多種多様な潜在的な用途を有し得る。
【0032】
概して、本開示は、約200ナノメートル(nm)~約1000nmの平均直径及び約15重量%~約80重量%の平均結晶性ムライト(3Al-2SiO)含有量を有する柔軟性多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントを対象とする。フィラメントは、エレクトロスピニングプロセスを使用して経済的に製造され得る。約100μm未満の小径と高い結晶性ムライト含有量との組み合わせは、焼成されたセラミックフィラメントに、優れた耐熱性、並びに柔らかさ、柔軟性、耐久性、及び耐破断性をもたらし、いくつかの実施形態では、それは、改善された熱機械的特性(例えば、高温での耐熱クリープ性)も有し得る。
【0033】
複数の小径の高ムライト含有量フィラメントを捕集し、未加工不織ウェブに組み込むことができ、これを続いて焼成して、凝集セラミックマットを製造することができる。いくつかの例では、限定することを意図するものではないが、セラミックマットは、濾過、断熱、遮音、防火に、取り付け用マットとして、ガスケットとして、又は触媒支持体として使用することができ、繊維強化複合材に構造要素として組み込むこともできる。
【0034】
更なる態様では、本開示は、小径の高ムライト含有量フィラメントの不織ウェブを製造するエレクトロスピニング方法について記載する。この方法は、水中に分散されたシリカ粒子、及び少なくとも1つの加水分解性アルミニウム含有化合物を含み、少なくとも1つのジェット生成デバイス(例えば、ノズル内のオリフィス)を介して、少なくとも1つのオリフィスと捕集部との間に成立させた電場の存在下でジェット流を生成する。ジェット流は接地された捕集部に向けられ、捕集部上にセラミックフィラメントが形成される。フィラメントは、捕集部表面上に未加工不織ウェブを形成するようにランダムに配向されてもよく、又は捕集部上の所定の方向に沿って配向され、続いて未加工不織ウェブに成形されるか若しくは組み込まれてもよい。次いで、未加工不織ウェブを焼成して、約200nm~約1000nmの平均直径及び約15重量%~約80重量%の平均結晶性ムライト(3Al-2SiO)組成を有するフィラメントから構成される凝集セラミックマットを形成し得る。
【0035】
多結晶性アルミノシリケートセラミック不織物品
一態様では、本開示は、捕集及び交絡して凝集不織マットを形成し得る複数の多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントを含む、不織物品を対象とする。不織物品に組み込まれたアルミノシリケートセラミックフィラメントは、約200nm~約1000nm、又は約250nm~約500nm、又は約300nm~約400nmの電子顕微鏡を用いて測定される平均直径を有する。いくつかの実施形態では、フィラメントは、実質的に均一な直径を有し、このことは、この出願において、フィラメント直径の標準偏差が±20%、又は±15%、又は±10%であることを意味する。不織物品中のセラミックフィラメントは、少なくとも15重量%、又は少なくとも20重量%、又は少なくとも30重量%、又は少なくとも40重量%、又は少なくとも50重量%、又は少なくとも60重量%、又は少なくとも70重量%、又は少なくとも72重量%、又は少なくとも75重量%、又は少なくとも80重量%の平均結晶性ムライト(3Al-2SiO)含有量を有する。
【0036】
いくつかの例示的な実施形態では、限定することを意図するものではないが、セラミックフィラメントは、約70重量%~約90重量%のアルミナ、又は約73重量%~約80重量%のアルミナを含む。
【0037】
ここで図1を参照すると、本開示の実施形態による強化不織ウェブ又はマット10は、第1の主面12、第2の主面14、及び厚さ(すなわち、面12と14との間の距離)を有する。不織ウェブ又はマット10は、少なくとも第1の層16及び任意選択で第2の層18を有し、1つ以上の追加の層(図1には示されていない)を含み得る。各マット層16及び任意選択のマット層18は、約200nm~約1000nmの平均直径及び約15重量%~約80重量%の平均ムライト含有量を有する、実質的に連続的な多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメント20の少なくとも一部分を含み得る。
【0038】
いくつかの例示的な実施形態では、多結晶性アルミノシリケートセラミック繊維20は、他のフィラメント、繊維、又は非繊維充填剤と共に不織マット10に組み込まれ得る。したがって、特定の例示的な実施形態では、強化マット10は、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、アルミナ-五酸化リン繊維、アルミナ-ボリア-シリカ繊維、ジルコニア繊維、ジルコニア-アルミナ繊維、ジルコニア-シリカ繊維、及びそれらの混合物又は組み合わせから選択される他のフィラメント又は繊維を含み得る。いくつかの実施形態では、不織マット10は、任意選択で、エアロゲル又はグラス/セラミックバブルズなどの非繊維充填剤などを含み得る。
【0039】
更なる例示的な実施形態では、多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメント20は、他の任意選択の性能向上材料(例えば、膨張性材料又はインサート、非膨張性インサート、支持メッシュ、バインダーなど)と共に使用され得る。好適な任意選択の性能向上材料は、例えば、米国特許第3,001,571号及び同第3,916,057号(Hatchら)、同第4,305,992号、同第4,385,135号、同第5,254,416号(Langerら)、同第5,242,871号(Hashimotoら)、同第5,380,580号(Rogersら)、同第7,261,864(B2)号(Watanabe)、同第5,385,873号及び同第5,207,989号(MacNeil)、並びに国際公開第97/48889号(Sanockiら)に記載されている。
【0040】
特定の例示的な実施形態では、不織ウェブ又はマット10は、複数の多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントを一緒に結合するための任意選択のバインダーを更に含む。無機バインダー、有機バインダー、及びそれらの組み合わせを含む、多種多様な好適なバインダーが使用され得る。例えば、好適な有機バインダーは、(メタ)アクリル(コ)ポリマー、ポリ(ビニル)アルコール、ポリ(ビニル)ピロリドン、ポリ(エチレンオキシド、ポリ(ビニル)アセテート、ポリオレフィン、ポリエステル、及びそれらの組み合わせから選択される。他の実施形態では、無機バインダーは、シリカ、アルミナ、ジルコニア、カオリン粘土、ベントナイト粘土、シリケート、雲母粒子、及びそれらの組み合わせから選択され得る。いくつかの実施形態では、任意選択のバインダーは、シリコーン材料を実質的に含まない。
【0041】
本明細書に記載される約200nm~約1000nmの直径及び約15重量%~約80重量%の結晶性ムライト含有量を有する多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントは、不織マットに優れた柔軟性をもたらす。以下の実施例で詳細に論じられる一実施形態では、限定することを意図するものではないが、セラミックフィラメントから製造された概して正方形のバインダーを含まない不織マットを、それ自体で2回折り畳んでその元のサイズの約25%の物品を形成し、次いで、おもりの下でその非圧縮厚さの20%に圧縮した。不織マットは、実質的に無傷で未破断のまま、セラミックフィラメントに損傷を与えることなく、複数回折り畳み、広げ、圧縮することができた。
【0042】
繰り返しの曲げに持ちこたえるマットの能力はまた、ASTM D2176に記載されるような曲げ耐久性試験機を使用して決定され得る。
【0043】
多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメント
【0044】
前述の不織物品のいくつかの例示的な実施形態では、複数の多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントの各々は、約1μm~約10μmの未加工直径を示し、焼成時のフィラメントは、約200nm~約1000nm、又は約300nm~約900nm、又は約400nm~約700nmの電子顕微鏡によるフィラメント直径測定手順を使用して決定される平均直径、並びに約15重量%~約80重量%の結晶性ムライト含有量を有する。
【0045】
更なる例示的な実施形態では、多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントは、少なくとも3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、若しくは更には10mm、又はそれ以上の長さを有する。いくつかのそのような例示的な実施形態では、多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントの各々は実質的に連続的であり、これは、本出願において、フィラメントが、両端部又は終端点を有するが、それらの加工特性及び取り扱い性に関して連続フィラメントとして挙動することを意味する。実質的に連続的なフィラメントは、典型的には、25mm超、50mm超、75mm超、100mm超、250mm超、500mm超、750mm超、又は更により長い長さを有し、無限の長さ、又は10,000mm未満、7,500mm未満、5,000mm未満、2,500mm未満、1,000mm未満、又は更には900mm未満の長さを有し得る。したがって、特定の例示的な実施形態では、複数の多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントは、25mm~無限、又は約50mm~約10,000mm、又は約100mm~約7500mm、又は約250mm~約5000mm、又は更には約500mm~約2500mmの長さを有し得る。
【0046】
更なる例示的な実施形態では、フィラメントから形成された凝集マットのバルク密度は、0.05~0.3g/cm、0.06~0.25g/cm、又は更には0.07~0.2g/cmの範囲であり得る。
【0047】
いくつかの例示的な実施形態では、フィラメントから形成された不織ウェブ及び/又は凝集マットの厚さは、少なくとも0.01mm、0.1mm、1mm、2mm、5mm、10mm、20mm、若しくは更には50mm、又はそれ以上である。いくつかのそのような例示的な実施形態では、不織ウェブ及び/又は凝集マットの厚さは、最大100mm、90mm、80mm、70mm、若しくは更には60mm、又はそれ以下である。
【0048】
追加の例示的な実施形態では、フィラメントから形成された不織ウェブ及び/又は凝集マットの坪量は、少なくとも10g/m(gsm)、50gsm、60gsm、70gsm、80gsm、90gsm、100gsm、又は更にはより高い。いくつかのそのような例示的な実施形態では、坪量は、4,000gsm以下、3,000gsm以下、2,000gsm以下、1,000gsm以下、750gsm以下、500gsm以下、250gsm以下、又は更にはより低い。
【0049】
いくつかの例示的な実施形態では、多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントは、重量基準で60:40~90:10、又は重量基準で70:30~80:20、重量基準で73:27~78:22、又は更には重量基準で75:25~77:23の範囲のアルミナ対シリカ比を有する。
【0050】
多結晶性アルミノシリケートセラミック不織マットを含む物品
別の態様では、本開示は、エレクトロスピニングプロセスを使用して形成され、約200nm~約1000nmの平均直径及び約15重量%~約80重量%の平均結晶性ムライト含有量を有する、複数の多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントを有する、前述の不織アルミノシリケートセラミックウェブを含む物品について記載する。いくつかのそのような実施形態では、物品は、濾過物品、断熱物品、遮音物品、防火物品、取り付け用マット物品、ガスケット物品、触媒支持体物品、セラミック物品の構成要素、及びそれらの組み合わせから選択され得る。
【0051】
多結晶性セラミックフィラメント及び不織マットの製造方法
別の態様では、本開示は、焼成して少なくとも一部のフィラメントが約200nm~約1000nmの平均直径及び約15重量%~約80重量%の平均結晶性ムライト含有量を有する凝集マットを形成することができる、多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントを含む不織ウェブを製造するためのエレクトロスピニングプロセスについて記載する。
【0052】
概して、図2の例示的なエレクトロスピニング装置100の図に概略的に示されるように、フィラメントは、ダイ106内の少なくとも1つのオリフィス108を介してゾルリザーバ104に貯蔵された水性セラミック前駆体ゾル102を流すことによって製造される。水性セラミック前駆体ゾル102は、オリフィス108から出現して、フィラメント状ジェット110を形成する。オリフィス108とフィラメント状ジェット流110に概ね垂直に配向された回転可能な捕集ドラム112との間で、電位差が維持される。電位差により、フィラメント状ジェット110がドラム112の表面113上に捕集されてフィラメント114が形成される。表面113に向かうジェット110の移動中に、ジェットは、ホイッピング運動で動き、水性液体前駆体ゾル102中の溶媒は徐々に蒸発する。帯電フィラメント114は、接地されたドラム112上に蓄積し、フィラメント114上の電荷は、最終的に周囲環境に消散する。図2に概略的に示されるようにドラム112が回転する場合、いくつかの実施形態では、フィラメント114は、表面113上で規則正しい配向(例えば、図2に示されるような実質的に平行な整列)に捕集され得る。他の実施形態では、表面113は、平坦なプレート又はスクリーンであり得、フィラメント114は、ランダムな配置において、表面113上に捕集され得る。
【0053】
水性セラミック前駆体ゾル102は、水中に分散されたシリカ粒子を含む。好適なアルミナ及びシリカゾルは、例えば、国際公開第2018/93624(A1)号(DeRovere)に記載されている。水性セラミック前駆体ゾルは、加水分解性アルミニウム含有化合物を更に含み、それは、Alに対し化学量論量の3モル未満のアニオンを有し得、見掛けの式AlX(OH)3-n[式中、Xは、Cl-、NO-、又はCHCOOH-などのリガンドである]を有し、透明な水溶液を形成することができる。これらの溶液は、塩溶液中のアルミニウム金属の溶解、酸中の水酸化アルミニウムの溶解、アルコキシドの加水分解、及び酸性塩溶液の中和を含む、多数の方法を使用して形成され得る。いくつかの実施形態では、フィラメントを製造するために使用される可溶性アルミニウム化合物は、アルミニウム1モル当たり約0.5~約2モルのアニオンリガンドを含有する。特定の実施形態では、水性セラミック前駆体ゾルは、アルミニウムクロロハイドレート及び分散シリカ粒子を含む。
【0054】
任意選択で、水性セラミック前駆体ゾルは、水溶性(コ)ポリマー及び消泡剤のうちの少なくとも1つを更に含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、水溶性(コ)ポリマーは、組成物がオリフィスから出現してフィラメント状ジェットを形成するときに、組成物の伸縮性を改質し得る。任意の好適な水溶性(コ)ポリマーが使用され得る。しかし、ポリ(ビニル)アルコール(PVA)、ポリ(ビニル)アルコール-co-ポリ(ビニル)アセテートコポリマー、ポリ(ビニル)ピロリドン、ポリ(エチレンオキシド)、及びポリ(エチレンオキシド)-co-(プロピレンオキシド)コポリマーが特に好適であることが見出された。
【0056】
いくつかの例示的な実施形態では、水性セラミック前駆体ゾル102は、重量基準で60:40~90:10、又は重量基準で70:30~80:20、重量基準で73:27~78:22、又は更には重量基準で75:25~77:23の範囲のアルミナ対シリカ比を有する。
【0057】
水性セラミック前駆体ゾル102は、水性セラミック前駆体ゾルの表面張力を改質するための少なくとも1つの化合物を含み、これは、オリフィス108から出現するジェット110の形成を促進し得る。好適な表面張力改質剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコールなどのより揮発性のアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、いくつかの場合、限定することを意図するものではないが、アルコールは、水性セラミック前駆体ゾル中の水の表面張力を約72ダイン/cmから約30ダイン/cm未満に低下させ得、そのため、細長いフィラメント状ジェットの形成に寄与し得る。
【0058】
水性セラミック前駆体ゾルは、表面張力改質剤として、又は表面張力改質剤に加えて使用され得る、任意選択の消泡剤を更に含む。任意の好適な消泡剤が使用され得る。いくつかの実施形態では、中程度の加水分解(例えば、50~90%のポリ(ビニル)アセテート)ポリ(ビニル)アルコール-co-ポリ(ビニル)アセテートコポリマーが使用される場合、消泡剤は、1-オクタノールのような長鎖アルコール、及びEnterprise Specialty Products Inc.(Laurens,SC)から入手可能なFOAM-A-TACシリーズの発泡防止剤などのポリオールエステル、例えば、FOAM-A-TAC402、407、及び425に基づく。
【0059】
いくつかの場合では、エレクトロスピニングプロセス100で使用される水性セラミック前駆体102ゾルは、液体ジェット110がより容易に形成され得るように、他のフィラメント形成方法の場合よりも低い粘度を有する必要がある。粘度が高すぎる場合、液滴がオリフィス内で乾燥し得、繊維ジェット110は容易に形成され得ない。いくつかの実施形態では、限定することを意図するものではないが、水性セラミック前駆体ゾル102は、約1000センチポアズ(cP)未満、又は約500cP未満(1Pa・sec~約0.5Pa・sec)未満、又は約200cP未満(0.2Pa・sec)、又は約100cP(0.1Pa・sec)未満、又は約100~約200cP(0.1Pa・sec~0.2Pa・sec)の粘度を有する。
【0060】
いくつかの場合では、水性セラミック前駆体ゾル102の固形分を調整することにより、より小径の液体ジェット110の形成を促進し得、これは次いで、より小径のフィラメント114を形成する。様々な実施形態では、水性セラミック前駆体ゾル102は、約25%未満、又は約20%未満、又は約18%未満、又は約15%未満の固形分を有する必要がある。
【0061】
いくつかの実施形態では、限定することを意図するものではないが、水性セラミック前駆体ゾル102は、約2psi~約20psi(14Pa~138Pa)、又は約3psi~約15psi(14Pa~103Pa)、又は約5psi~約10psi(34Pa~69Pa)の圧力でダイ106に供給される。圧力が高くなると、オリフィス当たりのゾル流量が増加し、いくつかの実施形態では、圧力が高くなると、フィラメント直径も大きくなり得る。
【0062】
いくつかの例示的な方法では、ダイ106は、水性セラミック前駆体ゾル102の供給源104と流れが連通するマルチオリフィスダイ内に位置付けられた、実質的に円形のオリフィス108を有する複数の円錐ノズルを含む。
【0063】
様々な実施形態では、ドラム112上に捕集されたフィラメント114は、交絡して未加工不織ウェブ120を形成し得る、又は更に加工されて、未加工不織ウェブを形成し得る(図2には示されていない)。
【0064】
一実施形態(図2には示されていない)では、未加工不織ウェブ120は、不織ウェブをその中に約200nm~約1000nmの平均直径及び約15重量%~約80重量%の平均結晶性ムライトパーセントを有する多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントが組み込まれた凝集セラミックマットに変換するのに十分な温度及び時間で加熱(例えば、焼成)される。
【0065】
未加工フィラメントの焼成は、2つの別個のステップを含むと考えられ得る。第一のステップは、有機物が除去され、無機相が形成され始める、より低温の予備焼成(バーンアウト)セグメントである。第2のステップは、フィラメントが高密度になり、高温の結晶性相が形成される、高温結晶化及び焼結セグメントである。2つのセグメントは、別々に実施(例えば、予備焼成に続いて室温まで冷却した後焼結)してもよく、又は連続プロセスで逐次的に実施(例えば、予備焼成に続いて、材料を放冷することなく直ちに焼結)してもよい。
【0066】
ムライト(3Al-2SiO)は、アルミナ-シリカ相図における唯一の熱力学的に安定な結晶である。したがって、ムライトは、何らかの高温及び時間での熱処理の過程で、ゾル-ゲルアルミナ-シリカフィラメント中で結晶化する。いくつかの場合では、単相ゲルと呼ばれることが多い、アルミナ及びシリカがほぼ原子レベルで混合されているムライトは、比較的低い温度、典型的には約900℃~約1100℃で結晶化する。他の場合では、二相ゲルと呼ばれることが多い、典型的には10nm~1000nmであるアルミナ又はシリカの別個の粒子又は領域からなる場合は、結晶化温度はより高く、例えば、1200℃~1400℃、又は更にはより高い。二相ゲルの熱処理中、遷移アルミナ(例えば、ガンマ、イータ、シータ、デルタアルミナ)などの他の相は、中間温度、一般に600℃~1000℃、最も一般的には800℃~900℃で形成し得る。
【0067】
ゾルゲルセラミックフィラメントのムライトへの結晶化は、多くの場合、広範囲の温度、例えば1200℃~1400℃で起こる。言い換えれば、ムライト結晶の核形成速度及び成長速度は、速度論的に遅い。更に、ムライトの体積核形成速度は比較的遅く、フィラメント中のムライトの大きな、例えば0.2μm~0.5μm又は更に大きな結晶粒をもたらす。1μm未満の直径を有するエレクトロスピニングフィラメントでは、小結晶粒径、好ましくは0.25μm未満、より好ましくは0.2μm未満、又は更には0.1μm未満の直径を維持することが重要である。より大きな結晶粒を有するフィラメントは、より低い強度及び柔軟性を有し、様々な実施形態では、本開示のフィラメントは、0.5μm未満、又は0.3μm未満、又は0.1μm未満の結晶粒径を有し得る。
【0068】
フィラメントのムライトへの変換の程度を定量化するために、XRD粉末回折を使用し得、いくつかの場合では、変換の程度を決定することは、簡単なことではない。ムライトは、X線を回折させない、非晶質又は部分的に非晶質のアルミナ相とシリカ相との混合物から結晶化する。このため、フィラメント中に存在するムライト対他の相の比を比較することは、フィラメント中のムライトの体積分率の良好な尺度ではない。したがって、フィラメント中のムライト量の決定は、試験試料の例えば15°又は26°2θでのムライトXRDピークのサイズを1又は複数の参照試料と比較することによって行うことが最も良い。例として、1500℃で1時間燃焼したフィラメントは、ムライトに100%変換されると考えられ得、未知の試料中のピークのサイズは、1500℃の試料中の同じXRDピークのサイズと比較され得る。
【0069】
一実施形態(図2には示されていない)では、未加工不織ウェブ120は、不織ウェブをその中に約15重量%~約80重量%の平均ムライトパーセントを有する多結晶性アルミノシリケートセラミックフィラメントが組み込まれた凝集マットに変換するのに十分な温度及び時間で加熱(例えば、焼成)される。概して、未加工不織ウェブ120は、少なくとも1,000℃、1,250℃、1,500℃、又は更に高温の焼成温度に加熱される必要がある。より高い焼成温度は、より短い焼成時間をもたらし得、逆に、より長い焼成時間は、より低い焼成温度の使用を可能にし得る。概して、焼成時間は、少なくとも30分、1時間、2時間、4時間、5時間、7.5時間、10時間、又は更にはより長い必要がある。概して、焼成時間は、24時間未満、20時間未満、15時間未満、12時間未満、又は更には10時間未満である必要がある。好適な焼成炉(すなわち、キルン)は、当業者に周知であり、例えば、HED International,Inc.(Ringoes,NJ)によって製造された連続式キルンである。
【0070】
任意選択の加工ステップ
特定の任意選択の加工ステップが、本開示の様々な例示的な実施形態を実施する際に有利であると見出される場合がある。例えば、凝集セラミックマットは、ニードルパンチング、ステッチボンディング、水流交絡、バインダー含浸、及び別個の繊維への凝集マットの裁断のうちの少なくとも1つに供され得る。
【0071】
したがって、本発明で企図されている1つの例示的な実施形態では、凝集マットは、各々が約200nm~約1000nmの平均直径及び約15重量%~約80重量%の結晶性ムライト含有量を有する、複数の個別の多結晶性アルミノシリケートセラミック繊維を生成するように裁断され得る。次いで、得られた裁断繊維は、例えば、湿式積層又はエアレイのうちの少なくとも1つを使用して更に加工処理されて、個別のアルミノシリケートセラミック繊維を含む繊維セラミックマットを形成し得る。
【0072】
本明細書に記載の繊維状不織取り付け用マットの実施形態は、例えば、裁断された個々の繊維(例えば約2.5cm~約5cmの長さ)を、Laroche(Cours la ville,France)から入手可能なものなどのピンを備えたリッカーインロール、及び/又は例えばRando Machine Corp.(Macedon,N.Y)から商品名「RANDO WEBBER」で市販されている従来のウェブ形成機、繊維がワイヤスクリーン又はメッシュベルト(例えば、金属又はナイロンベルト)上に延伸される、ScanWeb Co.(Denmark)製の「DAN WEB」、に供給することによって製造され得る。「DAN WEB」型のウェブ形成機が使用される場合、繊維は、好ましくはハンマーミル、次いでブローアを使用して個別化される。マットの取り扱い容易性を促進するために、マットをスクリム上に形成又は配置し得る。
【0073】
本明細書に記載の繊維状不織取り付け用マットの実施形態はまた、例えば、従来の湿式形成又はテキスタイルカーディングを使用して作製され得る。湿式形成プロセスの場合、繊維の長さは、多くの場合、約0.5cm~約6cmである。
【0074】
いくつかの例示的な実施形態では、特に湿式形成プロセスの場合、バインダーが、マットの形成を促進するために有利に使用され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の不織マットは、マットの総重量に基づいて、10重量%以下(いくつかの実施形態では、4、3、2、1、0.75、0.5、0.25重量%以下、又は更には0.1重量%以下)のバインダーを含み、バインダーを含有しない場合もある。
【0075】
任意選択で、本明細書に記載の繊維不織取り付け用マットのいくつかの実施形態は、ニードルパンチされる(すなわち、例えば、とげ付きニードルによるマットの複数の完全又は部分的な(いくつかの実施形態では、完全な)貫入によってもたらされる繊維の物理的交絡がある)。不織マットは、従来のニードルパンチ装置(例えばDilo Gmbh(Germany)から商品名「DILO」で市販されているニードルパンチャ)を、例えばFoster Needle Company,Inc.(Manitowoc,WI)又はGroz-Beckert Group(Germany)から市販されているとげ付きニードルと共に使用することによってニードルパンチされて、ニードルパンチされた不織マットが得られ得る。
【0076】
繊維の交絡をもたらすニードルパンチは、典型的には、マットを圧縮することと、次いで、マットを通してとげ付き針のパンチングと引き抜きを行うことと、を伴う。前述のポリマー及び/又は二成分有機繊維がマット構造体に含まれる場合、ニードルパンチ中の繊維の物理的交絡絡の有効性は、概して改善される。改善された交絡は、引張強度を更に向上させ、不織マットの取り扱いを改善し得る。マットの面積当たりのニードルパンチの最適数は、特定の用途に応じて変動する。
【0077】
典型的には、不織マットは、約5~約60ニードルパンチ/cm(いくつかの実施形態では、約10~約20ニードルパンチ/cm)が得られるようにニードルパンチされる。任意選択で、本明細書に記載の取り付け用マットのいくつかの実施形態は、従来の技術を使用してステッチボンディングされる(例えば、不織マットのステッチボンディングの教示についての開示内容が参照により本明細書に援用される米国特許第4,181,514号(Lefkowitzら)を参照されたい)。典型的には、マットは、有機糸でステッチボンディングされる。有機又は無機シート材料の薄層が、ステッチボンディング中にマットの片側又は両側に配置されて、糸のマットを通じたカットを防止又は最小化し得る。ステッチング糸が使用中に分解しないことが望ましい場合、無機糸(例えば、セラミック又は金属(ステンレス鋼など))が使用され得る。ステッチの間隔は、通常、約3mm~約30mmであり、その結果、繊維は、マットの全領域の全体にわたって均一に圧縮される。
【0078】
本開示の作用を、以下の詳細な実施例に関して、更に記載する。これらの実施例は、様々な具体的な好ましい実施形態及び技術を更に示すために提供される。しかしながら、本開示の範囲内に留まりつつ、多くの変更及び改変を加えることができるということが理解されるべきである。
[実施例]
これらの実施例は、単に例証を目的としたものであり、添付の特許請求の範囲を過度に限定することを意図するものではない。本開示の幅広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるが、具体的な実施例において示される数値は、可能な限り正確に報告している。しかしながら、いずれの数値にも、それぞれの試験測定値において見出される標準偏差から必然的に生じる、特定の誤差が本質的に含まれる。最低でも、各数値パラメータは少なくとも、報告される有効桁の数に照らして通常の丸め技法を適用することにより解釈されるべきであるが、このことは特許請求の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではない。
【0079】
材料の概要
別段の記載がない限り、実施例及び本明細書のその他の箇所における全ての部、百分率、比などは、重量基準である。使用した溶媒及び他の試薬は、特に断りのない限り、Sigma-Aldrich Chemical Company(Milwaukee、WI)から入手することができる。加えて、表1は、以下の実施例で使用された全ての材料に関する、略称及び供給元を提示するものである。
【表1】
【0080】
試験方法
本開示の実施例のうちの一部の評価において、以下の試験方法が使用された。
【0081】
ムライト含有量測定手順:
粉末X線回折を使用して、ムライト含有量を測定した。粉末を、CuKα線を使用してRigaku MiniFlex600回折計(東京,日本)で分析した。実施例の材料のムライト含有量は、26°2θムライトの相対ピーク高さを測定し、フィラメントを1500℃に1時間焼成した後の同じピークと比較することによって決定した。フィラメントは、後者の条件でムライトに100%変換されると見なした。
【0082】
フィラメント直径測定手順:
セラミックフィラメントの直径は、走査型電子顕微鏡(Zeiss EVO MA,Carl Zeiss Microscopy USA,Thornwood,NY)を使用して決定した。
【0083】
試料は、SEMスタブに取り付けられたダブルスティックテープ上のセラミックフィラメントの代表的なサンプリング物を広げることによって調製し、1000倍を超える倍率で少なくとも40のセラミックフィラメントの直径を測定した。
【0084】
不織セラミックマットの画像も、Phenom World,Eindhoven,Netherlands製のPhenom Pure走査型電子顕微鏡を使用して、少なくとも900倍の倍率で撮像した。
【0085】
ゾル-ゲル前駆体
アルミニウムクロロハイドレート(ACH)、コロイダルシリカ、DI水、ポリビニルアルコール(PVA)、及びイソプロピルアルコールを一緒に混合し、真空下で蒸発させることによって濃縮した。上記の表1に記載されているように、ACH(DelPAC XG)は、USALCO,LLCから供給され、コロイダルシリカの供給源はNalco1034Aであり、PVAはSekisui Selvol523から供給された。セラミックの組成は、76重量%のアルミナ及び24重量%のシリカであり、10%のPVA(アルミナの重量に対して)を伴っていた。水性セラミック前駆体ゾルの粘度は、約100cP(0.1Pa・sec)~約200cP(0.2Pa・sec)であり、ゾルは、約18%の固形分を有していた。
【0086】
未加工フィラメント焼成方法:
未加工フィラメントの焼成は、2つの別個のステップを含むと考え得る。第一のステップは、有機物が除去され、無機相が形成され始める、より低温の予備焼成(バーンアウト)セグメントである。第2のステップは、フィラメントが高密度になり、高温の結晶性相が形成される、高温結晶化及び焼結セグメントである。2つのセグメントは、別々に実施(例えば、予備焼成に続いて室温まで冷却した後焼結)してもよく、又は連続プロセスで逐次的に実施(例えば、予備焼成に続いて、材料を放冷することなく直ちに焼結)してもよい。
【0087】
フィラメントウェブを連続ローラーキルンで焼成した。マットは、セラミックローラの平坦なアレイによってキルンを通って搬送された。ウェブは、織りNextelセラミックフィラメントベルトのセクションに置かれ、キルンを通って搬送された。
【0088】
ローラーキルンは、温度を、徐々にかつ着実に、室温から、部分的又は完全にフィラメントをムライトに結晶化するのに十分な、概して約1200℃~約1350℃の温度まで上昇させる一連の加熱ゾーンを有する。
【0089】
このプロセス中、ほとんどの有機成分及び塩素(Cl)は、250℃~600℃でフィラメントから揮発する。温度上昇速度は、例えば、揮発性物質が除去され、及びフィラメントがセラミックに変換され、収縮し、結晶化する際に、フィラメントが分解されるのを回避するように制御される。空気、蒸気、窒素、又は他のガスを200℃~700℃のキルンに導入することによって、揮発プロセスを制御することが望ましい場合がある。生成した揮発性物質を排出することも望ましい。いくつかの実施形態では、キルンはまた、CO及びHClなどの揮発性物質を除去するための排気ポートも備えている。排気ポートはまた、キルン内部に負圧を作り出して、有害な又は腐食性の揮発性物質がキルンから逃げるのを防止する。
【0090】
実施例1.
60gの濃ACH-シリカ-PVAゾルを、18gのDI HOで希釈し、混合し溶解した。36gのイソプロピルアルコールを、撹拌棒を用いてでゆっくりと約10分かけて5gずつ添加した。ACH-シリカゾルは、76%Al-24%SiOの組成を有し、アルミニウムクロロハイドレート(Locron,Inc.)、Nalco1034シリカゾル、及びポリビニルアルコール(Poval22-88の9重量%溶液、高分子量、中間加水分解レベル(88~89%)のポリビニルアルコール)から作製した。PVAの量は、Alに対して10重量%であった。希釈後、76:24ゾルの粘度は、約100cP(0.1Pa・sec)であった。
【0091】
ナノフィラメントを、Inovenso Inc.,Boston,MA製のNanospinner24を使用してエレクトロスピニングした。ゾルを、0.15mL/分で12個の真鍮シリンジノズル(0.8mmのオリフィスサイズ)にポンプ送液した。プロセス条件は、印加電圧25kV、及び150rpmで回転する捕集部ホイールまでの距離4.5インチ(11.4cm)であった。
【0092】
フィラメントを焼成して、連続キルンでフィラメントを形成し、蒸気及び空気を流しながら54分かけて1285℃に加熱した。フィラメントは柔軟性を維持し、触れると柔らかく感じられた。SEM顕微鏡検査により、フィラメントが1000nm(1μm)の直径であり、その長さの方に直径が均一であることを見出した。フィラメントは、何センチもの長さ、恐らく数十又は数百センチメートルの長さであり、いくつかのフィラメントは本質的に連続的であった。直径の相対標準偏差は20%であった。フィラメントに、ショット又は糸に通した玉の形態はなかった。フィラメント表面は比較的平滑であった。
【0093】
焼成後のフィラメントの結晶性ムライト含有量を、粉末XRDによって測定した。この試験では、ムライトXRDピーク強度を、1500℃に1時間加熱された参照ゾル-ゲルムライト試料と比較する。1500℃の試料は、より大きな結晶性粒を有するため、より強い回折ピークを有する。したがって、「%ムライト」は、ムライトの重量パーセント又は体積パーセントを表すものではない。約10~15重量%を超えるムライトを有するフィラメントは、実質的にムライトに変換されていると考えられる。
【0094】
1285℃に焼成した後のフィラメントのムライト含有量は、1500℃に1時間加熱された参照試料と比較して、XRDにより11%であった。1300℃に熱処理した後、%ムライトは59%に増加した。
【0095】
5000倍の倍率での不織マットのSEM画像を図3に示し、50,000倍の倍率でのマットのフィラメントのSEM画像を図4に示す。フィラメント直径を測定したところ、おおよそ740nmであった。
【0096】
1300℃に熱処理された坪量220g/mの不織マットのセクションを、四つ折りにし、1200グラム重でその未圧縮厚さの20%まで圧縮した。図5の一連の写真に示されるように、有機バインダーを含まない不織マットは、損傷なしに複数回、折り畳み、圧縮し、広げることができた。
【0097】
実施例2.
アルミナの重量に対し18重量%のセラミック固形分及び10重量%のポリビニルアルコールを含むゾルを、以下の材料:9gの濃ACH-シリカ-PVAゾル(76%Al-24%SiO、35%の固形分)、0.47gのHO、2.55gのエタノール、及び5gのイソプロパノール、を混合することによって作製した。
【0098】
単一のノズルを使用し、電圧を20kvとし、ゾルポンプ速度を0.01cc/分としたことを除いて、実施例1と同様にエレクトロスピニングを実施した。実施例1と同様に、フィラメントを1285℃に焼成した。
【0099】
これらのムライトナノフィラメントのSEM顕微鏡写真を図6に示す。フィラメント直径は250nmであり、各フィラメントの長さの方に均一であった。フィラメントは、柔軟性で強いものであり、平滑な表面を有した。
【0100】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、又は「ある実施形態」に対する言及は、「実施形態」という用語の前に、「例示的な」という用語が含まれているか否かに関わらず、その実施形態に関連して説明される具体的な特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の特定の例示的な実施形態のうちの少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して、様々な箇所における「1つ以上の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「一実施形態において」、又は「ある実施形態において」などの表現の出現は、必ずしも本開示の特定の例示的な実施形態のうちの同一の実施形態に言及するものとは限らない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1つ以上の実施形態では任意の好適な方法で組み合わされてもよい。
【0101】
本明細書ではいくつかの例示的な実施形態について詳細に記載してきたが、当業者には上述の内容を理解した上で、これらの実施形態の変更形態、変形形態、及び均等物を容易に想起できることが、理解されよう。したがって、本開示は、ここまで述べてきた例示的実施形態に、過度に限定されるものではないことを理解されたい。特に、本明細書で使用する場合、末端値による数値範囲の列挙は、その範囲内に包含されるあらゆる数値を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)ことが意図される。加えて、本明細書で使用される全ての数値は、用語「約」によって修飾されるものと想定される。
【0102】
更には、本明細書で参照される全ての刊行物及び特許は、個々の刊行物又は特許を参照により組み込むことが詳細かつ個別に指示されている場合と同じ程度に、それらの全容が参照により援用される。様々な例示的な実施形態について記載してきた。これらの実施形態及び他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】