(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-01
(54)【発明の名称】IGE調節因子として有用なテトラヒドロベンゾ-キノリンスルホンアミド誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 221/06 20060101AFI20230221BHJP
C07D 403/04 20060101ALI20230221BHJP
A61K 31/473 20060101ALI20230221BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230221BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230221BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20230221BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230221BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230221BHJP
C07D 403/14 20060101ALI20230221BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
C07D221/06 CSP
C07D403/04
A61K31/473
A61P11/00
A61P17/00
A61P11/02
A61P37/08
A61P35/00
C07D403/14
C07D413/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538776
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2020087688
(87)【国際公開番号】W WO2021130260
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】514232085
【氏名又は名称】ユーシービー バイオファルマ エスアールエル
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノーマン、ティモシー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】スガンタン、セルヴァラトナム
(72)【発明者】
【氏名】ヘール、ジャグ ポール
(72)【発明者】
【氏名】ユースフ、ゼシャン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB01
4C063BB02
4C063CC22
4C063CC25
4C063CC41
4C063CC47
4C063CC58
4C063DD12
4C063DD17
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC30
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA34
4C086ZA59
4C086ZB13
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、式(I)のテトラヒドロベンゾ-イソキノリンスルホンアミド誘導体、
【化1】
それらを調製するプロセス、それらを含有する医薬組成物、及びIgEによって引き起こされる障害(アレルギー応答、非アレルギー性肥満細胞応答又は特定の自己免疫応答等)、特にIgEとFcεRI受容体との相互作用によって引き起こされる障害の治療におけるそれらの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩であって、
【化1】
式中、
R1、R2が互いに独立して、以下の、
水素;又は
NHC(O)NH-C1-6-アルキル;又は
NHSO
2-C1-6-アルキル;又は
1つ若しくは複数のR1
aで任意選択的に置換されているNHC(O)NH-ヘテロアリール;又は
アミノ;C1-6-アルキル;C(O)O-C1-6-アルキル;ニトリル;1つ又は複数のR1
aで任意選択的に置換されているヘテロアリール;NH-C1-6-アルキル;NH-C1-6-ヘテロシクロアルキル;NH-C3-9-シクロアルキル;1つ若しくは複数のR1
aで任意選択的に置換されているNH-ヘテロアリールから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換されているヘテロアリール;又は
C1-6-アルキル;C1-6-ヒドロキシアルキル;C3-9-ヒドロキシヘテロシクロアルキル、1つ若しくは複数のR1
aで任意選択的に置換されているヘテロアリールから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換されているNH-ヘテロアリール;又は
NHC(O)-C1-6-アルキル;又は
1つ若しくは複数のR1
aで任意選択的に置換されているNHC(O)-ヘテロアリール
から選択される基を表し、
R1
aが、以下の、
ハロゲン;ニトリル;C1-6-アルキル;C1-6-ハロアルキル;C1-6-アルコキシ;C1-6-ハロアルコキシ;C(O)O-C1-6-アルキル;C(O)OH
から選択される基を表し、
R3が、以下の、
R3
aの中から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されているC1-6-アルキル;
1つ又は複数のR3
aで任意選択的に置換されているC1-3-アルカンジイル-C3-6-シクロアルキル;
1つ又は複数のR3
aで任意選択的に置換されているC1-3-アルカンジイル-C3-6-ヘテロシクロアルキル;
1つ又は複数のR3
aで任意選択的に置換されているC3-6-ヘテロシクロアルキル;
1つ又は複数のR3
aで任意選択的に置換されているC3-6-シクロアルキル
から選択される基を表し、
R3
aが、水素;ハロゲン;C1-2-アルキル;ヒドロキシ;C1-2-アルコキシから選択される基を表し、
R4が、以下の、
1つ若しくは複数のR4
a基で任意選択的に置換されているC3-6-シクロアルキル;又は1つ若しくは複数のR4
a基で任意選択的に置換されているC1-6-アルカンジイル-C3-6-シクロアルキル;又は1つ若しくは複数のR4
a基で任意選択的に置換されているC1-6-アルカンジイル-C3-6-ヘテロシクロアルキル
から選択される基を表し、
R4
aがヒドロキシ;ハロゲン;C1-2-アルキルから選択される基を表す、
上記式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R1、R2が互いに独立して、以下のもの、
水素;又は
C1-6-アルキル;1つ若しくは複数のR1
aで任意選択的に置換されているヘテロアリールから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換されているNH-ヘテロアリール;又は
アミノ;C(O)O-C1-6-アルキル;ニトリル;1つ又は複数のR1
aで任意選択的に置換されているヘテロアリール;NH-C1-6-アルキル;NH-C3-9-ヘテロシクロアルキル;NH-C3-9-シクロアルキル;1つ若しくは複数のR1
aで任意選択的に置換されているNH-ヘテロアリールの中から選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換されているヘテロアリール
から選択される基を表す、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R1が水素とは異なる場合、R2が水素であり、
R2が水素とは異なる場合、R1が水素である、
請求項1~2のいずれかに記載の化合物。
【請求項4】
R3が、フッ素原子で任意選択的に置換されているC1-6-アルキルを表す、
請求項1~3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
R4がシクロプロピルを表す、
請求項1~4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
以下のもの、
3-シクロプロピル-N-(2-メチルプロピル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド;
1-[3-シクロプロピル-5-(2-メチルプロピルスルファモイル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-7-イル]-3-エチル尿素;
1-[3-シクロプロピル-5-(2-メチルプロピルスルファモイル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-10-イル]-3-エチル尿素;
3-シクロプロピル-7-(メタンスルホンアミド)-N-(2-メチルプロピル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド;
3-シクロプロピル-10-(メタンスルホンアミド)-N-(2-メチルプロピル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド;
3-シクロプロピル-N-(2-フルオロ-2-メチルプロピル)-7-[[6-(2-メチルテトラゾール-5-イル)ピリジン-3-イル]アミノ]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド;
3-シクロプロピル-7-[3-[(2,5-ジメチルピラゾール-3-イル)アミノ]-1,2,4-トリアゾール-4-イル]-N-(2-フルオロ-2-メチルプロピル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド;
3-シクロプロピル-N-(2-フルオロ-2-メチルプロピル)-10-[[6-(2-メチルテトラゾール-5-イル)ピリジン-3-イル]アミノ]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド;
エチル5-アミノ-1-[3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-2-メチルプロピル)スルファモイル]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-7-イル]イミダゾール-4-カルボキシラート;
3-シクロプロピル-N-(2-フルオロ-2-メチルプロピル)-7-[[5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリジン-3-イル]アミノ]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド;
1-[3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-2-メチルプロピル)スルファモイル]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-7-イル]-3-(2,5-ジメチルピラゾール-3-イル)尿素;
エチル1-[3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-2-メチルプロピル)スルファモイル]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-7-イル]イミダゾール-4-カルボキシラート
から選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項8】
治療に使用するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
IgEによって引き起こされる障害を治療又は予防するための方法に使用するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
アレルギー、非アレルギー性肥満細胞応答、1型過敏症、蕁麻疹、又はよく知られている副鼻腔炎を治療又は予防するための方法に使用するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
喘息における気道収縮、湿疹における局所炎症、アレルギー性鼻炎における粘液分泌増加、蕁麻疹、又は血管透過性増加の治療又は予防するための方法に使用するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(「チャーグ・ストラウス症候群」としても知られる)、アスピリン増悪性呼吸器疾患、又は皮膚T細胞リンパ腫を治療又は予防するための方法に使用するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
請求項1~6に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される担体とともに含む医薬組成物。
【請求項14】
医薬品を製造するための、請求項1~6のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項15】
IgEによって引き起こされる障害を治療及び/又は予防するための医薬品を製造するための、請求項1~6のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項16】
アレルギー、非アレルギー性肥満細胞応答、1型過敏症、蕁麻疹又はよく知られている副鼻腔炎を治療及び/又は予防するための医薬品を製造するための、請求項1~6のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項17】
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩を治療有効量で患者に投与することを含む、アレルギー、非アレルギー性肥満細胞応答、1型過敏症、蕁麻疹、よく知られている副鼻腔炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(「チャーグ・ストラウス症候群」としても知られる)、アスピリン増悪性呼吸器疾患又は皮膚T細胞リンパ腫を治療又は予防するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)のテトラヒドロベンゾ-イソキノリンスルホンアミド誘導体、それらを調製するプロセス、それらを含有する医薬組成物、及びIgEによって引き起こされる障害(アレルギー応答、非アレルギー性肥満細胞応答又は特定の自己免疫応答等)、特にIgEとFcεRI受容体との相互作用によって引き起こされる障害の治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
IgE(免疫グロブリンE)は免疫グロブリンファミリのメンバであり、喘息、食物アレルギー、1型過敏症及びよく知られている副鼻腔炎等のアレルギー反応を媒介する。
【0003】
IgEはB細胞によって分泌され、B細胞の表面上に発現される。B細胞によって合成されたIgEは、短い膜結合領域によって成熟IgE配列に連結された膜貫通ドメインによってB細胞膜に固定される。IgEはまた、低親和性IgE受容体(FcεRII)に対するそのFc領域を介してB細胞(及び単球、好酸球及び血小板)に結合する。哺乳動物がアレルゲンに曝露されると、アレルゲンに結合するIgEを合成するB細胞がクローン増幅される。このIgEは次に、B細胞によって循環に放出され、そこでB細胞によって(FcεRIIを介して)結合され、肥満細胞及び好塩基球の表面に見られるいわゆる高親和性受容体(FcεRI)を介して肥満細胞及び好塩基球によって結合される。それにより、そのような肥満細胞及び好塩基球はアレルゲンに対して感作される。アレルゲンへの次の曝露は、これらの細胞上のFcεRIを架橋し、したがってヒスタミン及び臨床的過敏症及びアナフィラキシーの原因となる他の因子の放出を活性化する。
【0004】
現在、アレルギー性疾患、蕁麻疹及び喘息は、通常、以下の薬物、(1)炎症性メディエーターヒスタミン及びロイコトリエンに拮抗する抗ヒスタミン剤及び抗ロイコトリエン、(2)広範囲の炎症機序を抑制する局所又は全身(経口又は注射可能)コルチコステロイド又は免疫抑制剤、(3)喘息における狭窄気道の平滑筋を弛緩させる短時間又は長時間作用性気管支拡張剤、又は(4)FcεRIにおけるIgE結合によって通常誘発される肥満細胞の脱顆粒を阻害する肥満細胞安定剤、(5)FcεRIにおけるIgEの結合を予防する生物製剤のうちの1つ又は複数で治療される。FcεRIへのIgE結合を調節するペプチドの使用も試みられている。一例として、国際公開第96/01643号が、即時型アレルギー応答を治療するための4~50個のアミノからなるペプチドを記載している。
【0005】
しかし、IgEによって引き起こされる障害、特にIgEとFcεRI受容体との相互作用によって引き起こされる障害の治療又は予防において治療的有用性を有する化合物を同定することが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩がこの目的のために使用され得ることが見出されている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩を提供する。
【化1】
R1、R2は互いに独立して、以下の中から選択される基を表す。
【0008】
水素;又はNHC(O)NH-C1-6-アルキル;又はNHSO2-C1-6-アルキル;又は1つ若しくは複数のR1aで任意選択的に置換されているNHC(O)NH-ヘテロアリール;又はアミノ;C1-6-アルキル;C(O)O-C1-6-アルキル;ニトリル;1つ又は複数のR1aで任意選択的に置換されているヘテロアリール;NH-C1-6-アルキル;NH-C1-6-ヘテロシクロアルキル;NH-C3-9-シクロアルキル;1つ若しくは複数のR1aで任意選択的に置換されているNH-ヘテロアリールから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換されているヘテロアリール;又はC1-6-アルキル;C1-6-ヒドロキシアルキル;C3-9-ヒドロキシヘテロシクロアルキル、1つ若しくは複数のR1aで任意選択的に置換されているヘテロアリールから選択される1つ若しくは複数の基で任意選択的に置換されているNH-ヘテロアリール;又はNHC(O)-C1-6-アルキル;又は1つ若しくは複数のR1aで任意選択的に置換されているNHC(O)-ヘテロアリール。
R1aは、以下から選択される基を表す。
ハロゲン;ニトリル;C1-6-アルキル;C1-6-ハロアルキル;C1-6-アルコキシ;C1-6-ハロアルコキシ;C(O)O-C1-6-アルキル;C(O)OH。
R3は、以下から選択される基を表す。
R3aの中から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されているよいC1-6-アルキル;
1つ又は複数のR3aで任意選択的に置換されているC1-3-アルカンジイル-C3-6-シクロアルキル;
1つ又は複数のR3aで任意選択的に置換されているC1-3-アルカンジイル-C3-6-ヘテロシクロアルキル;
1つ又は複数のR3aで任意選択的に置換されているC3-6-ヘテロシクロアルキル;
1つ又は複数のR3aで任意選択的に置換されているC3-6-シクロアルキル。
R3aは、水素;ハロゲン;C1-2-アルキル;ヒドロキシ;C1-2-アルコキシから選択される基を表す。
R4は、以下から選択される基を表す。
1つ又は複数のR4a基で任意選択的に置換されているC3-6-シクロアルキル;又は1つ若しくは複数のR4a基で任意選択的に置換されているC1-6-アルカンジイル-C3-6-シクロアルキル;又は1つ若しくは複数のR4a基で任意選択的に置換されているC1-6-アルカンジイル-C3-6-ヘテロシクロアルキル。
R4aはヒドロキシ;ハロゲン;C1-2-アルキルから選択される基を表す。
【0009】
本発明による「薬学的に許容される塩」という用語は、式(I)の化合物と薬学的に許容される酸又は塩基との塩、特に酸付加塩を包含する。塩基として遊離形態で生じる式(I)の化合物の酸付加塩形態は、遊離塩基を、無機酸、例えば塩酸又は臭化水素酸等のハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等、あるいは有機酸、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、パモ酸等の適切な酸で処理することによって得ることができる。
【0010】
本発明はまた、式(I)の化合物のエナンチオマー及びジアステレオマー形態等の全ての立体異性体形態又はその混合物(ラセミ体等の立体異性体の全ての可能な混合物を含む)に関する。本発明に関して、1つ又は複数の化合物への言及は、特定の異性体形態が具体的に言及されない限り、その可能な異性体形態及びそれらの混合物のそれぞれにおけるその化合物を包含することが意図される。
【0011】
式(I)の化合物の一部は、互変異性形態で存在してもよい。上記の式に明示的に示されていないが、そのような形態は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0012】
式(I)又は本明細書に示される式に存在する個々の原子はそれぞれ、実際には、その天然に存在する同位体のいずれかの形態で存在してもよく、最も豊富な同位体(複数可)が好ましいことを理解されたい。したがって、例として、式(I)又は本明細書に示される式に存在する個々の水素原子はそれぞれ、1H、2H(重水素)又は3H(トリチウム)原子、好ましくは1Hとして存在し得る。同様に、例として、式(I)又は本明細書に示される式に存在する個々の炭素原子はそれぞれ、12C、13C又は14C原子、好ましくは12Cとして存在し得る。
【0013】
本発明は、その範囲内に上記式(I)の化合物の溶媒和物を含む。そのような溶媒和物は、一般的な有機溶媒又は水を用いて形成され得る。
【0014】
本発明はまた、その範囲内に上記式(I)の化合物の共結晶を含む。「共結晶」という技術用語は、中性分子構成要素が明確な化学量論比で結晶性化合物内に存在する状況を説明するために使用される。薬学的共結晶の調製は、薬学的活性成分の結晶形態に修飾を行うことを可能にし、これにより、意図された生物学的活性を損なうことなく、その物理化学的特性を変化させることができる(Pharmaceutical Salts and Co-crystals,ed.J.Wouters&L.Quere,RSC Publishing,2012を参照されたい)。
【0015】
本発明による化合物は、異なる多形体形態で存在し得る。上記の式に明示的に示されていないが、そのような形態は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0016】
本発明はまた、その範囲内に上記式(I)の化合物のプロドラッグを含む。「プロドラッグ」という用語は、インビボで本発明の化合物又はその塩に代謝される化合物を意味する。ラット、マウス、サル又はヒト等の哺乳動物にプロドラッグを投与し、例えば血液又は尿中で化合物又はその塩を同定することによって、プロドラッグを同定することができる。
【0017】
本発明の枠内において、
Ct-zは、t~z個の炭素原子を有し得る炭素鎖、例えば1~7個の炭素原子を有し得るC1-7炭素鎖を表し、
アルキルは、飽和、直鎖又は分岐の脂肪族基であり、例えば、C1-6-アルキル基は、直鎖又は分岐の1~6個の炭素原子の炭素鎖を表し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tertブチル、ペンチル、ヘキシルである。アルキルは、1つ又は複数の水素原子が重水素原子2Hで置き換えられた重水素化基を包含する。
【0018】
アルカンジイルは、-CH2-CH2-等の一般式CnH2nの二価の直鎖又は分岐飽和炭化水素基である。
アルキルアミノは、アミノラジカル上で置換された1つ又は複数のアルキル基を指す。アルキルアミノの例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、tertブチルアミノ、ジメチルアミノに言及することができ、
ヒドロキシは-OH基であり、
ヒドロキシアルキルは、1つ又は複数の水素原子がヒドロキシ基で置換されたアルキル基であり、
ハロアルキルは、1つ又は複数の水素原子がハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、
アルコキシは、-O-アルキル基であり、
ハロアルコキシは、1つ又は複数の水素原子がハロゲン原子で置換されたアルコキシ基であり、
ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子であり、
シクロアルキルは、芳香族ではなく二重結合を含むことができ、基中に3~14個の原子、好ましくは3~9個の原子を含む単環式又は二環式脂肪族基を指す。シクロアルキルの例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、スピロ-ウンデカニル、スピロ[2.2]ペンタニルに言及することができる。
ヘテロシクロアルキルは、芳香族ではなく二重結合を含み得る、基中に3個~14個の原子、好ましくは3個~10個の原子を含み、1つ又は複数の炭素原子は窒素、酸素、硫黄の中から選択される原子で置き換えられている、単環式又は二環式飽和基を指す。ヘテロシクロアルキルの例として、アジリジニル、ピロリジニル、ピペリジル、オキセタン、オキサ-スピロ-ウンデカニルに言及することができる。
ヒドロキシヘテロシクロアルキルは、1つ又は複数の水素原子がヒドロキシ基で置換されたヘテロシクロアルキル基である。
ヘテロアリールは、5~14個、好ましくは5~10個の原子を含む単環式又は二環式基を指し、基中の少なくとも1つの環は芳香族であり、基中の少なくとも1つの原子は、窒素、酸素、硫黄の中から選択される。ヘテロアリール基の例として、トリアゾリル、フラニル、ピロリル、クロマニル、イソキノリニルに言及することができる。
【0019】
一実施形態によれば、本発明の化合物は、式(I)の化合物から選択され、
R1が水素とは異なる場合、R2は水素であり、
R2が水素とは異なる場合、R1は水素であり、
他の置換基は、本明細書において上及び下に定義される通りである。
【0020】
一実施形態によれば、本発明の化合物は、式(I)の化合物から選択され、
式中、R3は、以下から選択される基を表す。
R3aの中から選択される1つ又は複数の基で任意選択的に置換されているC1-6-アルキル;
1つ又は複数のR3aで任意選択的に置換されているC1-3-アルカンジイル-C3-6-シクロアルキル;
1つ又は複数のR3aで任意選択的に置換されているC1-3-アルカンジイル-C3-6-ヘテロシクロアルキル;
1つ又は複数のR3aで任意選択的に置換されているC3-6-ヘテロシクロアルキル;
1つ又は複数のR3aで任意選択的に置換されているC3-6-シクロアルキル。
R3aは、水素ハロゲン;C1-2-アルキル;ヒドロキシ;C1-2-アルコキシから選択される基を表す。
他の置換基は、本明細書において上及び下に定義される通りである。
【0021】
一実施形態によれば、本発明の化合物は、式(I)の化合物から選択され、
式中、R4は、
1つ又は複数のR4a基で任意選択的に置換されているC3-6-シクロアルキル;又は1つ又は複数のR4a基で任意選択的に置換されているC1-6-アルカンジイル-C3-6-シクロアルキル;又は1つ又は複数のR4a基で任意選択的に置換されているC1-6-アルカンジイル-C3-6-ヘテロシクロアルキルから選択される基を表し、
R4aはヒドロキシ;ハロゲン;C1-2-アルキルから選択される基を表し、
他の置換基は、本明細書において上及び下に定義される通りである。
【0022】
一実施形態によれば、本発明の化合物は、式(I)の化合物から選択され、
式中、R4はシクロプロピルを表し、
他の置換基は、本明細書において上及び下に定義される通りである。
【0023】
本発明の別の実施形態は、検出可能な量の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物若しくは共結晶を、薬学的に許容される希釈剤又は担体と組み合わせて含む医薬組成物に関する。
【0024】
更に別の実施形態では、本発明は、医薬品として使用するための、特にアレルギー、1型過敏症、よく知られている副鼻腔炎、蕁麻疹又は関連症状、例えば喘息における気道収縮、湿疹における局所炎症、アレルギー性鼻炎における粘液分泌増加、又は血管透過性の増加を含むIgEによって引き起こされる障害を治療又は予防する方法に使用するための、式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物又は共結晶に関する。
【0025】
更なる実施形態では、本発明は、治療有効量の式(I)の化合物の投与を含む、アレルギー、1型過敏症、よく知られている副鼻腔炎、蕁麻疹又は関連症状を、治療又は予防する方法に関する。
【0026】
一実施形態によれば、本発明の化合物は、以下の中から選択される。
3-シクロプロピル-N-(2-メチルプロピル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド;
1-[3-シクロプロピル-5-(2-メチルプロピルスルファモイル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-7-イル]-3-エチル尿素;
1-[3-シクロプロピル-5-(2-メチルプロピルスルファモイル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-10-イル]-3-エチル尿素;
3-シクロプロピル-7-(メタンスルホンアミド)-N-(2-メチルプロピル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド;
3-シクロプロピル-10-(メタンスルホンアミド)-N-(2-メチルプロピル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド;
3-シクロプロピル-N-(2-フルオロ-2-メチルプロピル)-7-[[6-(2-メチルテトラゾール-5-イル)ピリジン-3-イル]アミノ]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド;
3-シクロプロピル-7-[3-[(2,5-ジメチルピラゾール-3-イル)アミノ]-1,2,4-トリアゾール-4-イル]-N-(2-フルオロ-2-メチルプロピル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド;
3-シクロプロピル-N-(2-フルオロ-2-メチルプロピル)-10-[[6-(2-メチルテトラゾール-5-イル)ピリジン-3-イル]アミノ]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド;
エチル5-アミノ-1-[3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-2-メチルプロピル)スルファモイル]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-7-イル]イミダゾール-4-カルボキシラート;
3-シクロプロピル-N-(2-フルオロ-2-メチルプロピル)-7-[[5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリジン-3-イル]アミノ]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド;
1-[3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-2-メチルプロピル)スルファモイル]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-7-イル]-3-(2,5-ジメチルピラゾール-3-イル)尿素;
エチル1-[3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-2-メチルプロピル)スルファモイル]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-7-イル]イミダゾール-4-カルボキシラート。
【0027】
以下の例は、式(I)によって網羅される化合物がどのように合成され得るかを示す。それらは例示目的のためにのみ提供されており、いかなる方法によっても、本発明を限定するものとして意図されておらず、そのように解釈されるべきでもない。当業者であれば、本発明の趣旨又は範囲を超えることなく、以下の例の日常的な変形及び修正を行うことができることを理解するであろう。
【実施例】
【0028】
以下の例は、式Iによって網羅される化合物がどのように合成され得るかを示す。それらは例示目的のためにのみ提供されており、いかなる方法によっても、本発明を限定するものとして意図されておらず、そのように解釈されるべきでもない。当業者であれば、本発明の趣旨又は範囲を超えることなく、以下の例の日常的な変形及び修正を行うことができることを理解するであろう。
【0029】
略語
DCM ジクロロメタン
THF テトラヒドロフラン
EtOAc 酢酸エチル
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
M 質量又はモル
ブライン 飽和塩化ナトリウム溶液
HPLC 高速液体クロマトグラフィ
LCMS 液体クロマトグラフィ質量分析
DIPEA N,N-ジ-イソ-プロピルエチルアミン
RT 保持時間
DMF N,N’-ジメチルホルムアミド
sat. 飽和
aq. 水溶液
tBuXPhos Pd G3 [(2-ジ-tert-ブチルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピル-1,1’-ビフェニル)-2-(2’-アミノ-1,1’ビフェニル)]メタンスルホン酸パラジウム(II)
IPA イソプロピルアルコール
conc. 濃縮
SCX Biotage(登録商標)ISOLUTE(登録商標)SCX-2プロピルスルホン酸官能化シリカ
TEA トリエチルアミン
AcOH 酢酸
AIBN 2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)
Bedford触媒 クロロ(η2-P,C-トリス(2,4-ジ-tertブチルフェニル)ホスファイト)(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム(II)
NBS N-ブロモスクシンイミド
min 分
【0030】
LCMS法
方法1:
X-Bridge C18 Waters 2.1x20mm、2.5μmカラム
カラム温度 40℃
移動相A: 水中10mMギ酸アンモニウム+0.1%ギ酸
移動相B: アセトニトリル+5%水+0.1%ギ酸
勾配プログラム: 流量1mL/分
時間 A% B%
0.00 95.00 5.00
1.50 5.00 95.00
2.25 5.00 95.00
2.50 95.00 5.00
【0031】
方法2:
移動相A: 水中0.1%ギ酸
移動相B: アセトニトリル中0.1%ギ酸
Phenomenex、Kinetex-XB C18、2.1mmx100mm、1.7μmカラム
流量: 0.6mL/分
カラム温度 40℃
注入量: 1μL
勾配: 時間(分): %A %B
0.00 95 5
5.30 0 100
5.80 0 100
5.82 95 5
7.00 95 5
UV215nM、PDAスペクトル200~400nm、工程:1nm
MSD Scan Positive 150-850
【0032】
方法3:
X-Bridge C18 Waters 2.1x20mm、2.5μMカラム
カラム温度 40℃
移動相A: 水中10mMギ酸アンモニウム+0.1%ギ酸
移動相B: アセトニトリル+5%水+0.1%ギ酸
勾配プログラム: 流量1mL/分
時間 A% B%
0.00 95.00 5.00
4.00 5.00 95.00
5.00 5.00 95.00
5.10 95.00 5.00
【0033】
方法4:
固定相: X-Bridge C18 Waters 2.1x20mm、2.5μMカラム
移動相A: 水中10mMギ酸アンモニウム+0.1%アンモニア溶液
移動相B: アセトニトリル+5%水+0.1%アンモニア溶液
流量: 1mL/分
勾配プログラム: 時間 A% B%
0.00 95.00 5.00
1.50 5.00 95.00
2.25 5.00 95.00
2.50 95.00 5.00
【0034】
方法5:
システム: Waters Classic Acquity-QDa、Acquity PDA
固定相: Waters Acquity UPLC BEH、C18、2.1x50mm、1.7μm
移動相A: 水中10mMギ酸アンモニウム+0.1%アンモニア溶液
移動相B: アセトニトリル+5%水+0.1%アンモニア溶液
流量: 0.7mL/分
温度: 40℃
勾配プログラム: 時間 A% B%
0.00 98.00 2.00
4.00 5.00 95.00
5.00 5.00 95.00
5.10 98.00 2.00
【0035】
方法6:
固定相: X-Bridge C18 Waters 2.1x20mm、2.5μMカラム
移動相A: 水中10mMギ酸アンモニウム+0.1%ギ酸
移動相B: アセトニトリル+5%水+0.1%ギ酸
流量: ポンプ1:1mL/分、ポンプ2:0.5mL/分
勾配プログラム: ポンプ1: ポンプ2:
時間 A% B% 時間 A% B%
0.00 95.10 4.90 0.10 5.00 95.00
4.00 5.00 95.00 1.00 5.00 95.00
5.00 5.00 95.00 1.10 95.00 5.00
5.10 95.10 4.90
【0036】
方法7:
固定相: X-Bridge C18 Waters 2.1x20mm、2.5μMカラム
移動相A: 水中10mMギ酸アンモニウム+0.1%アンモニア溶液
移動相B: アセトニトリル+5%水+0.1%アンモニア溶液
流量: 1mL/分
勾配プログラム: 時間 A% B%
0.00 95.00 5.00
4.00 5.00 95.00
5.00 5.00 95.00
5.10 95.00 5.00
【0037】
方法8:
固定相: X-Bridge C18 Waters 2.1x20mm、2.5μMカラム
移動相A: 水中10mMギ酸アンモニウム+0.1%アンモニア溶液
移動相B: アセトニトリル+5%水+0.1%アンモニア溶液
流量: ポンプ1:1mL/分、ポンプ2:0.5mL/分
勾配プログラム: ポンプ1: ポンプ2:
時間 A% B% 時間 A% B%
0.00 95.10 4.90 0.10 5.00 95.00
4.00 5.00 95.00 1.00 5.00 95.00
5.00 5.00 95.00 1.10 95.00 5.00
5.10 95.10 4.90
【0038】
方法9:
固定相: X-Bridge C18 Waters 2.1x20mm、2.5μMカラム
移動相A: 水中10mMギ酸アンモニウム+0.1%アンモニア溶液
移動相B: アセトニトリル+5%水+0.1%アンモニア溶液
流量: 1mL/分
勾配プログラム: 時間 A% B%
0.00 95.00 5.00
1.50 5.00 95.00
2.25 5.00 95.00
2.50 95.00 5.00
【0039】
中間体
中間体1
【化2】
2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロシクロペンタ[a]ナフタレン-1-オン
1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン(5.17mL、37.8mmol)を、AlCl
3(10.6g、79.4mmol)及びプロパ-2-エノイルクロリド(3.4mL、41.6mmol)のDCM(300mL)中懸濁液に-78℃でゆっくり添加した。その後、混合物を一晩室温に加温した。溶液を氷上で慎重に加水分解し、有機相を分離した。水溶液相をDCMで2回抽出し、合わせた有機画分を炭酸カリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、粗残渣を、ヘプタン中0%~20%のEtOAcの勾配で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製して、表題化合物(1.01g、収率12%)を得た。LCMS[M+H]
+187、RT1.89分(方法1)。
【0040】
中間体2
【化3】
2-ヒドロキシイミノ-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[a]ナフタレン-1-オン
中間体1(1.0g、5.36mmol)のエーテル(13mL)中溶液に、最初に飽和エタノール性HCl(0.22mL)、次いで亜硝酸エチルの15%エタノール性溶液(4.81mL、7.62mmol)を0℃で滴下で添加した。0℃で30分後、沈殿した生成物を濾過によって回収し、エーテルで洗浄し、乾燥させて、粗表題化合物(1.15g、収率74%)を得、これを更に精製することなく次の段階に使用した。LCMS[M+H]
+216、RT1.77分(方法1)。
【0041】
中間体3
【化4】
1,3-ジクロロ-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン
中間体2(0.86g、3.99mmol)のPOCl
3(24mL)中懸濁液に、PCl
5(940mg、4.51mmol)を0℃で添加した。次いで、溶液が飽和するまで気体HClを導入し、反応物を60℃で4時間撹拌した。次いで、再びPCl
5(316mg)を添加し、撹拌を80℃で2時間続けた。溶媒を真空下で除去し、残渣を水の添加によってゆっくり加水分解して、沈殿を得、これを濾過によって回収した。回収した固体を水で洗浄し、乾燥させて、粗表題化合物(1g、収率84%)を得、これを更に精製することなく次の段階に使用した。LCMS[M+H]
+252、RT2.50分(方法1)。
【0042】
中間体4
【化5】
3-クロロ-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン
中間体3(0.88g、3.52mmol)、赤色リン(261mg、8.45mmol)のAcOH(4mL)中溶液及びHI(57%)(1.59mL、12.1mmol)の混合物を8時間還流した。高温反応混合物を濾過し、蒸発させ、残渣を水に溶解し、濃NH
4OH水溶液の添加によって塩基性化した。沈殿物を濾過によって回収し、DCMに溶解し、ブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、蒸発させた。得られた粗残渣を、ヘプタン中8%~40%のEtOAcの勾配で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製して、表題化合物(600mg、収率74%)を得た。LCMS[M+H]
+218、RT2.03分(方法1)。
【0043】
中間体5
【化6】
3-クロロ-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホニルクロリド
中間体4(15.0g、68.9mmol)及びクロロスルホン酸(55mL、819mmol)の混合物を密閉管中80℃で3時間15分間加熱した。次いで、反応混合物をDCM(400mL)で希釈し、0℃のH
2O(400mL)に注いだ。相を分離し、水相をDCM(4x100mL)で抽出し、有機物を合わせ、乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、真空中で濃縮して、粗表題化合物(21.8g、定量的と仮定)を得、これを更に精製することなく次の工程に利用した。LCMS[M+H]
+353(
iBuNH
2でクエンチ)、RT1.33分(方法4)。
【0044】
中間体6
【化7】
3-クロロ-N-(2-フルオロ-2-メチル-プロピル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド
0℃の中間体5(21.8g、68.9mmol)のDCM(250mL)中撹拌溶液に、2-フルオロ-2-メチルプロパン-1-アミンHCl(9.85g、77.2mmol)、引き続いてDIPEA(30mL、172mmol)を添加した。次いで、反応物を室温で15時間撹拌した。混合物をH
2O(200mL)、ブライン(200mL)で希釈し、相を分離した。水相をDCM(2x50mL)で抽出し、合わせた有機物をH
2O(150mL)、次いでブライン(150mL)で抽出し、乾燥させ、真空中で濃縮した。得られた固体をEtOAc:イソ-ヘキサン=8:2の混合物(100mL)でトリチュレートして、表題化合物(19.7g、収率73%)を得た。濾液を真空下で濃縮し、イソ-ヘキサン中0~50%のEtOAcで溶出するカラムクロマトグラフィによって精製して、表題化合物の第2の収穫物(3.7g、収率12%)を得た。LCMS[M+H]
+371、RT1.23分(方法4)。
【0045】
中間体7&8
【化8】
tert-ブチルN-[3-クロロ-5-[(2-フルオロ-2-メチル-プロピル)スルファモイル]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-10-イル]カルバマート(7)
tert-ブチルN-[3-クロロ-5-[(2-フルオロ-2-メチル-プロピル)スルファモイル]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-7-イル]カルバマート(8)
50℃の中間体6(9.10g、24.5mmol)のEtOAc(235mL)中溶液に、NBS(4.85g、27.2mmol)及び2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)(400mg、2.44mmol)を添加した。反応混合物をN
2下で90℃に2.5時間加熱した。混合物を真空中で濃縮し、残渣をTHF(200mL)に溶解し、NH
3ガスで10分間パージし、次いで、密閉容器内で70℃で11時間加熱した。次いで、混合物を真空中で濃縮し、氷浴中でDCM(200mL)に懸濁し、次いで、これに、二炭酸ジ-tert-ブチル(7.9g、35mmol)のDCM(30mL)中溶液、続いてTEA(9mL、64.6mmol)を添加した。4時間後、更なるジ-tert-ブチルジカルボナート(1.0g、4.4mmol)を添加し、反応物を3日間撹拌した。次いで、反応混合物をブライン(200mL)、飽和NaHCO
3(200mL)で希釈し、相を分離した。水層をDCM(3x50mL)で抽出し、合わせた有機物を乾燥させ、真空中で濃縮した。イソ-ヘキサン中0~20%のEtOAcで溶出するカラムクロマトグラフィによって精製して、表題化合物を得た。
【0046】
中間体7(2.35g、収率19%);LCMS[M+H]+486、RT1.28(方法4)。
【0047】
中間体8(3.53g、収率27%);LCMS[M+H]+486、RT1.23(方法4)。
【0048】
中間体9
【化9】
tert-ブチルN-[3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-2-メチル-プロピル)スルファモイル]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-7-イル]カルバマート
トルエン(70mL)、1,4-ジオキサン(40mL)及びH
2O(3.5mL)の混合物中の中間体8(3.52g、6.52mmol)の懸濁液に、シクロプロピルボロン酸(1.87g、21.8mmol)及び三塩基性リン酸カリウム(3.95g、18.2mmol)を添加した。混合物をN
2で5分間パージした後、酢酸パラジウム(II)(90mg、0.40mmol)及びトリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート(400mg、1.05mmol)を添加した。得られたオレンジ色の混合物をN
2で5分間パージし、次いで、120℃で11時間加熱し、その後、更に酢酸パラジウム(II)(90mg、0.40mmol)及びトリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート(400mg、1.05mmol)を添加し、混合物を更に5分間N
2でパージし、次いで、120℃で3日間加熱した。反応混合物を真空中で濃縮し、残渣をEtOAc(数mLのIPAを含有する400mL)に溶解した。水(150mL)及びブライン(200mL)を添加し、相を分離した。水相をEtOAc(100mL)で抽出し、合わせた有機層を乾燥させ、真空中で濃縮し、Et
2O(150mL)でトリチュレートして、表題化合物(2.20g、収率69%)を得た。LCMS[M+H]
+492、RT1.25分(方法4)。
【0049】
中間体10
【化10】
7-アミノ-3-シクロプロピル-N-(2-フルオロ-2-メチル-プロピル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド
塩酸(ジオキサン中4N、6mL)を中間体9(500mg、0.98mmol)に添加し、続いてMeOH(2mL)を添加し、得られた溶液を室温で1.5時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、MeOH中7NのNH
3で溶出する10g SCXカートリッジを通過させ、次いで、Et
2O(20mL)でトリチュレートして、表題化合物(356mg、収率93%)を得た。LCMS[M+H]
+392、RT1.32分(方法9)。
【0050】
中間体11
【化11】
tert-ブチルN-[3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-2-メチル-プロピル)スルファモイル]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-10-イル]カルバマート
トルエン(50mL)、1,4-ジオキサン(20mL)及びH
2O(3mL)の混合物中の中間体7(2.35g、4.84mmol)の懸濁液に、シクロプロピルボロン酸(1.2g、14mmol)及び三塩基性リン酸カリウム(2.6g、12mmol)を添加した。混合物をN
2で5分間パージした後、酢酸パラジウム(II)(55mg、0.24mmol)及びトリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート(270mg、0.71mmol)を添加した。得られたオレンジ色の混合物をN
2で5分間パージし、次いで、120℃で9時間加熱し、その後、更に酢酸パラジウム(II)(55mg、0.24mmol)及びトリシクロヘキシルホスホニウムテトラフルオロボラート(270mg、0.71mmol)を添加し、混合物を更に5分間N
2でパージし、次いで、120℃で8時間加熱した。反応混合物を真空中で濃縮し、EtOAc(400mL)に溶解し、ブライン(150mL)で洗浄した。相を分離し、水相をEtOAc(2x100mL)で抽出した。合わせた有機物を乾燥させ、真空中で濃縮し、Et
2O(100mL)でトリチュレートして、表題化合物(1.96g、収率82%)を得た。LCMS[M+H]
+492、RT1.29分(方法4)。
【0051】
中間体12
【化12】
10-アミノ-3-シクロプロピル-N-(2-フルオロ-2-メチル-プロピル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド
塩酸(ジオキサン中4N、6mL)を中間体11(500mg、1.00mmol)に添加し、続いてMeOH(2mL)を添加し、溶液を室温で1時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、MeOH中7NのNH
3で溶出するSCXカートリッジを通過させ、次いで、Et
2O(10mL)でトリチュレートして、表題化合物(307mg、収率75%)を得た。LCMS[M+H]
+392、RT0.97分(方法4)。
【0052】
中間体13
【化13】
3-クロロ-N-イソブチル-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド
中間体5(475mg、1.50mmol)のDCM(20mL)中溶液に、2-メチルプロパン-1-アミン(0.74mL、7.51mmol)を滴下で添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物をDCM(50mL)で希釈し、水で洗浄した。有機層をMgSO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。次いで残渣を、ヘプタン中12%~60%のEtOAcの勾配で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製して、表題化合物(497mg、収率92%)を得た。LCMS[M+H]
+353、RT3.97分(方法2)。
【0053】
中間体14&15
【化14】
7-ブロモ-3-クロロ-N-イソブチル-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド(14)
10-ブロモ-3-クロロ-N-イソブチル-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド(15)
中間体13(150mg、0.42mmol)をEtOAc(15mL)に溶解し、NBS(75.6mg、0.42mmol)、続いてAIBN(6.98mg、0.043mmol)を添加した。不均一混合物を90℃に3時間加熱した。反応混合物をEtOAcで希釈し、Na
2S
2O
3、水及びブラインで洗浄した。有機層をMgSO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗残渣を、ヘプタン中0%~50%のEtOAcの勾配で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製して、表題化合物(145mg、収率56%)を71%純度の位置異性体の混合物として得た。LCMS[M+H]
+431/433、RT3.33分(方法3)[注:両方の位置異性体は同じRTで共溶出した]。
【0054】
中間体16&17
【化15】
7-アミノ-3-クロロ-N-イソブチル-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド(16)
10-アミノ-3-クロロ-N-イソブチル-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド(17)
中間体14及び15の混合物(71%、145mg、0.24mmol)をMeOH(2mL)中アンモニア7Nに溶解し、室温で16時間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、DCM、続いて水を添加した。有機層を分離し、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。粗残渣を、最初にヘプタン中5%~100%のEtOAcの勾配で溶出して非臭素付加出発物質を除去し、次いでDCM中0%~10%のMeOHの勾配で溶出するカラムクロマトグラフィによって精製して、表題化合物(84mg、収率94%)を位置異性体の混合物として得た。LCMS[M+H]
+368、RT2.09及び2.14分(方法3)。
【0055】
中間体18&19
【化16】
1-[3-クロロ-5-(イソブチルスルファモイル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-7-イル]-3-エチル-尿素(18)
1-[3-クロロ-5-(イソブチルスルファモイル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-10-イル]-3-エチル-尿素(19)
イソシアナトエタン(19.8μL、0.25mmol)を、DCM(4mL)中の中間体16及び17(84mg、0.22mmol)の混合物に添加した。溶液を室温で5時間撹拌した後、沈殿物が現れた。MeOH(5mL)を添加した。次いで、溶媒を除去し、粗生成物を酸性逆相HPLCによって精製して、表題化合物を得た。
【0056】
中間体18(37mg、収率70%)。LCMS[M+H]+439、RT2.63分(方法3)。
【0057】
中間体19(24mg、収率44%)。LCMS[M+H]+439、RT2.70分(方法3)。
【0058】
中間体20&21
【化17】
3-クロロ-N-イソブチル-7-(メタンスルホンアミド)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド(20)
3-クロロ-N-イソブチル-10-(メタンスルホンアミド)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド(21)
DIPEA(103.4μL、0.58mmol)、続いてメタンスルホニルクロリド(23μL、0.29mmol)を、DCM(4mL)中の中間体16及び17(120mg、0.29mmol)の混合物に添加した。反応混合物を室温で4時間撹拌した。次いで、反応混合物をDCM及び水で希釈した。有機層を分離し、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。逆相HPLC(酸性条件)による精製によって、表題化合物を得た。
【0059】
中間体20(65mg、収率98%)。LCMS[M+H]+446、RT2.68分(方法3)。
【0060】
中間体21(31mg、収率43%)。LCMS[M+H]+446、RT2.74分(方法3)。
【0061】
中間体22
【化18】
1-[3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-2-メチル-プロピル)スルファモイル]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-7-イル]-3-(2,5-ジメチルピラゾール-3-イル)チオ尿素
5-イソチオシアナト-1,3-ジメチル-ピラゾール(25mg、0.16mmol)を装入した容器に、中間体10(50mg、0.13mmol)のDCM(1mL)及びTHF(2mL)中懸濁液を添加した。得られた反応混合物を室温で3日間撹拌した後、濾過して、表題化合物(56mg、収率76%)を得た。LCMS[M+H]
+545、RT1.11分(方法4)。
【0062】
例1
【化19】
3-シクロプロピル-N-(2-メチルプロピル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド
中間体13(100mg、0.28mmol)及びシクロプロピルボロン酸(48.6mg、0.56mmol)の混合物を窒素をスパージしたジオキサン(5mL)に溶解した。次いで、K
2CO
3(0.42mL、0.85mmol)の水溶液2Mを添加し、続いてBedford触媒(30.2mg、0.028mmol)を添加した。反応混合物をN
2存在下、100℃で16時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮してジオキサンを除去した。残留溶液をDCM(20mL)で希釈し、有機層を水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。逆相HPLC(塩基性条件)による精製によって、表題化合物(41mg、収率40%)を得た。
【数1】
【0063】
例2
【化20】
1-[3-シクロプロピル-5-(2-メチルプロピルスルファモイル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-7-イル]-3-エチル尿素
中間体16(35mg、0.08mmol)及びシクロプロピルボロン酸(13.7mg、0.15mmol)の混合物を窒素をスパージしたジオキサン(2mL)に溶解した。次いで、K
2CO
3(119.6μL、0.23mmol)の水溶液2Mを添加し、続いてBedford触媒(8.5mg、0.008mmol)を添加した。混合物をN
2存在下、マイクロ波中120℃で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、ジオキサンを除去した。残留溶液をDCM(15mL)で希釈し、有機層を水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。逆相HPLC(酸性条件)による精製によって、表題化合物(4mg、収率11%)を得た。
【数2】
【0064】
例3
【化21】
1-[3-シクロプロピル-5-(2-メチルプロピルスルファモイル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-10-イル]-3-エチル尿素
中間体17(20mg、0.046mmol)及びシクロプロピルボロン酸(7.8mg、0.091mmol)の混合物を窒素をスパージしたジオキサン(2mL)に溶解した。K
2CO
3(68.3μL、0.23mmol)の水溶液2Mを添加し、続いてBedford触媒(4.8mg、0.005mmol)を添加した。混合物を窒素存在下、マイクロ波中120℃で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、ジオキサンを除去した。残留溶液をDCM(15mL)で希釈し、有機層を水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。逆相HPLC(酸性条件)による精製によって、表題化合物(6mg、収率30%)を得た。
【数3】
【0065】
例4
【化22】
3-シクロプロピル-7-(メタンスルホンアミド)-N-(2-メチルプロピル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド
中間体16(63mg、0.14mmol)及びシクロプロピルボロン酸(24.2mg、0.28mmol)の混合物を窒素をスパージしたジオキサン(3mL)に溶解した。K
2CO
3(0.21mL、0.42mmol)の水溶液2Mを添加し、続いてBedford触媒(15.1mg、0.014mmol)を添加した。反応混合物を減圧下で濃縮して、ジオキサンを除去した。残留溶液をDCM(20mL)で希釈し、有機層を水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。逆相HPLC(酸性条件)による精製によって、表題化合物(27mg、収率41%)を得た。
【数4】
【0066】
例5
【化23】
3-シクロプロピル-10-(メタンスルホンアミド)-N-(2-メチルプロピル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド
中間体17(30mg、0.067mmol)及びシクロプロピルボロン酸(11.56mg、0.13mmol)の混合物を窒素をスパージしたジオキサン(2mL)に溶解した。K
2CO
3(0.10mL、0.20mmol)の水溶液2Mを添加し、続いてBedford触媒(7.1mg、0.007mmol)を添加した。混合物を窒素存在下、マイクロ波中120℃で2時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して、ジオキサンを除去した。残留溶液をDCM(15mL)で希釈し、有機層を水で洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。逆相HPLC(酸性条件)による精製によって、表題化合物(10mg、収率33%)を得た。
【数5】
【0067】
例6
【化24】
3-シクロプロピル-N-(2-フルオロ-2-メチルプロピル)-7-[[6-(2-メチルテトラゾール-5-イル)ピリジン-3-イル]アミノ]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド
室温の中間体10(30mg、0.08mmol)の無水1,4-ジオキサン(2.5mL)中撹拌懸濁液に、5-ブロモ-2-(2-メチルテトラゾール-5-イル)ピリジン(37mg、0.15mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(22mg、0.23mmol)及びtBuXPhos Pd G3(9mg、0.01mmol)を添加した。得られた混合物をN
2で10分間パージした。更に15分後、反応混合物をセライトを通して濾過し、真空中で濃縮した。EtOAc中0~20%のMeOHで溶出するカラムクロマトグラフィ、続いて塩基性逆相カラムクロマトグラフィによって精製して、表題化合物(20mg、収率44%)を得た。
【数6】
【0068】
例7
【化25】
3-シクロプロピル-7-[3-[(2,5-ジメチルピラゾール-3-イル)アミノ]-1,2,4-トリアゾール-4-イル]-N-(2-フルオロ-2-メチルプロピル)-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド
中間体22(55mg、0.10mmol)のDMF(1mL)中溶液に、ギ酸ヒドラジド(18mg、0.30mmol)及び塩化第二水銀(52mg、0.19mmol)を添加した。次いで、TEA(40μL、0.29mmol)を添加し、反応混合物を80℃で4時間加熱した。次いで、反応混合物をセライト(20mLのMeCN洗液)を通して濾過し、真空中で濃縮した。カラムクロマトグラフィによって精製して、表題化合物(10mg、収率19%)を得た。
【数7】
【0069】
例8
【化26】
3-シクロプロピル-N-(2-フルオロ-2-メチルプロピル)-10-[[6-(2-メチルテトラゾール-5-イル)ピリジン-3-イル]アミノ]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド
中間体12(30mg、0.08mmol)及び同等の化学量論の試薬を使用して例6と同じ方法で合成した。EtOAc中0~20%のMeOHで溶出するカラムクロマトグラフィ、続いて逆相カラムクロマトグラフィ(塩基性条件)によって精製して、表題化合物(6mg、収率14%)を得た。
【数8】
【0070】
例9
【化27】
エチル5-アミノ-1-[3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-2-メチルプロピル)スルファモイル]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-7-イル]イミダゾール-4-カルボキシラート
エチル2-アミノ-2-シアノアセタート(15mg、0.07mmol、純度64%)のMeCN(1mL)中溶液に、トリエチルオルトホルマート(13μL、0.08mmol)を添加した。得られた溶液を90℃で1時間加熱した後、室温まで冷却した。次いで、中間体10(20mg、0.05mmol)を添加し、1時間後、反応混合物を真空中で濃縮し、逆相カラムクロマトグラフィ(酸性条件)によって精製して、表題化合物(9mg、収率31%)を得た。
【数9】
【0071】
例10
【化28】
3-シクロプロピル-N-(2-フルオロ-2-メチルプロピル)-7-[[5-(3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピリジン-3-イル]アミノ]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-5-スルホンアミド
中間体10(25mg、0.06mmol)及び同等の化学量論の試薬を使用し、100℃で6時間加熱して、例6と同じ方法で合成した。カラムクロマトグラフィによって精製して、表題化合物(3mg、収率8%)を得た。
【数10】
【0072】
例11
【化29】
1-[3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-2-メチルプロピル)スルファモイル]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-7-イル]-3-(2,5-ジメチルピラゾール-3-イル)尿素
1,3-ジメチル-1H-ピラゾール-5-アミン(8mg、0.07mmol)のMeCN(1mL)中撹拌溶液に、TEA(20μL、0.14mmol)及び1,1’-カルボニルジイミダゾール(11mg、0.07mmol)を添加した。1時間後、中間体10(25mg、0.07mmol)を添加した。更に12時間後、反応混合物をブライン(20mL)で希釈し、DCM(3x20mL)で抽出し、合わせた有機物を乾燥させ、真空中で濃縮した。EtOAc中0~30%のMeOHで溶出するカラムクロマトグラフィ、続いて逆相カラムクロマトグラフィ(酸性条件)によって精製して、表題化合物(3mg、収率9%)を得た。
【数11】
【0073】
例12
【化30】
エチル1-[3-シクロプロピル-5-[(2-フルオロ-2-メチルプロピル)スルファモイル]-7,8,9,10-テトラヒドロベンゾ[h]イソキノリン-7-イル]イミダゾール-4-カルボキシラート
エチル(Z)-3-(ジメチルアミノ)-2-イソシアノ-プロパ-2-エノアート*(10mg、0.06mmol)の1-ブタノール(1mL)中撹拌溶液に中間体10(20mg、0.05mmol)を添加し、得られた混合物を150℃で9時間加熱した。次いで、真空中で混合物を濃縮し、EtOAc中0~20%のMeOHで溶出するカラムクロマトグラフィ、続いて逆相カラムクロマトグラフィ(塩基性条件)によって精製して、表題化合物(4mg、収率15%)を得た。
【数12】
*国際公開第2007/42545号(A1、2007)の手順に従って合成した。
【0074】
インビトロ生化学アッセイ:
IgE-Tb試薬の調製のためのプロトコル
100mMのNaHCO3、pH9.5中172μMの86nmolのIgE-Fc(N265Q、N371Q)(Young et al.,1995)を1mgのLanthaScreen(商標)アミン反応性Tbキレート(ThermoFisherカタログ番号PV3583)に添加し、20℃で16時間インキュベートした。次いで、材料をリン酸緩衝生理食塩水(137mMのNaCl、2.7mMのKCl、10mMのNa2HPO4、1.8mMのK2HPO4、pH7.4)に緩衝液交換し、材料を定量し、280nm及び343nmにおける吸収を測定することによってTbコンジュゲーションの程度を決定した。
【0075】
コンジュゲート材料の完全性を、S200 HR 10x300カラム(GE Healthcare)における分析サイズ排除クロマトグラフィによって決定した。典型的なコンジュゲーション比は4:1=Tb:IgE-Fcであった。
Young RJ.,Owens,RJ.,MacKay GA.,Chan CMW.,Shi J.,Hide M.,Francis DM.,Henry AJ.,Sutton BJ.,and Gould HJ(1995)Protein Engineering 8:193-199を参照されたい。
【0076】
sFcεR1α-Y131A-AF488試薬の調製プロトコル
100mMのNaOAc、pH5.5中400μMの400nmolのFcεR1α(Y131A変異体)(Cook et al.,1997)を、1mMの最終濃度の過ヨウ素酸ナトリウム(100mMのNaOAc、pH5.5中)と22℃で60分間反応させた。40μLのエタンジオールを添加し、22℃で60分間インキュベートして酸化をクエンチした。タンパク質をコンジュゲーション緩衝液(50mMのNaHCO3、150mMのNaCl、pH9.5)に緩衝液交換し、750μMに濃縮した。
【0077】
175nmolのタンパク質を1mgのAlexa Fluor(商標)488ヒドラジド(Invitrogen)に添加し、22℃で16時間インキュベートした。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(コンジュゲーション緩衝液中100mM)を最終濃度1mMまで添加し、氷上で60分間インキュベートした。タンパク質をリン酸緩衝生理食塩水(137mMのNaCl、2.7mMのKCl、10mMのNa2HPO4、1.8mMのK2HPO4、pH7.4)に緩衝液交換し、材料を定量し、280nm及び495nmにおける吸収を測定することによってAlexa Fluor(商標)488コンジュゲーションの程度を決定した。
【0078】
コンジュゲート材料の完全性を、S200 HR 10x300カラム(GE Healthcare)における分析サイズ排除クロマトグラフィによって決定した。典型的なコンジュゲーション比は、2:1のAlexa Fluor(商標)488:sFcεR1αであった。
Cook JPD.,Henry AJ.,McDonnell JM.,Owens RJ.,Sutton BJ.,and Gould HJ(1997)Biochemistry 36:15579-15588を参照されたい。
【0079】
目的は、インビトロ蛍光共鳴エネルギー移動(Fluorescence Resonance Energy Transfer:FRET)アッセイを使用して、受容体へのIgE-Tbの結合及び化合物によるその阻害を測定することであった。
【0080】
試薬
使用したFRET試薬は、テルビウム(FRETドナー)で標識したIgE、及びAlexa Fluor(商標)488(FRETアクセプタ)で標識したY131A変異を有する可溶性IgE受容体FcεRIαであった。標識されていないFcεRIαもまた、バックグラウンドコントロールを生成するために使用した。アッセイ緩衝液は、20mMのTris pH7.2、150mMのNaCl及び0.002%Tween、1%DMSOからなっていた。
【0081】
アッセイ反応
アッセイは以下に従って行った:各アッセイ反応は、384ウェル半容量プレートで25μlの容量で行った。最終アッセイ濃度(FAC)のx50の濃度でDMSO中10点化合物段階希釈(3倍)を生成した。次いで、アッセイ緩衝液で10倍希釈するIgE-Tbによって化合物溶液を調製した。アッセイのために、5μlの希釈化合物を10μlに添加し、続いて10μlのFcεRIα-Y131A-AF488を添加した。FRET試薬FACは、5nMのIgE-Tb、25nMのFcεRIα-Y131A-AF488であった。通常、アッセイにおける化合物のトップFACは10μMであった。最終DMSO濃度は2%であった。最小シグナル(MIN)は、5μlの1μMの非標識FcεRIα(FAC=200nM)をFRET試薬に添加することによって測定した。最大FRETシグナル(MAX)は、FRET試薬を含むが化合物を含まないウェルで測定した。
【0082】
アッセイを室温で2時間インキュベートし、光及び蒸発から保護し、穏やかに撹拌した。
【0083】
FRET測定
各ウェルのFRETの測定は、Envisionプレートリーダ(Perkin Elmer)を使用して、330nmで励起し、495/520nmで発光を測定することによって行った。FRET比は以下のように計算した。
520における発光/495x1000における発光
【0084】
データ分析にはFRET比を使用した。
【0085】
データ分析
Z’は以下のように計算した(σ=標準偏差、μ=平均):
1-((3xσMAX)+(3xσMIN))/(μMAX-μMIN)
【0086】
0.5を超えるZ’は、良好なアッセイとみなされた。
【0087】
バックグラウンドシグナル(MIN)を全てのウェルから差し引いた。バックグラウンド減算値を使用して、各試験ウェル中の化合物による阻害百分率を以下のように計算した。
100-試験ウェルFRET比/MAX FRET比x100
【0088】
阻害百分率を化合物濃度に対してプロットした。各化合物のIC50値を、XLFIT5ソフトウェアパッケージを使用して4パラメータロジスティックフィットモデルを使用して決定した。
【0089】
結果は以下の通りである。
本発明の化合物は、19.8nM~5098nMの範囲のIC50値を示す。
【0090】
以下の表は、各例のIC50値の範囲を示す。
【表1】
【国際調査報告】