(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-01
(54)【発明の名称】ブレーキキャリパ本体とハブホルダとの界面における力検出装置によってブレーキングトルクを決定するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01B 7/16 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
G01B7/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538806
(86)(22)【出願日】2020-12-21
(85)【翻訳文提出日】2022-08-16
(86)【国際出願番号】 IB2020062288
(87)【国際公開番号】W WO2021130655
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】102019000025372
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ミラネージ,アンドレア
【テーマコード(参考)】
2F063
【Fターム(参考)】
2F063AA25
2F063BA09
2F063BC02
2F063DA02
2F063DA05
2F063EC00
(57)【要約】
ブレーキキャリパ10によってハブホルダ20に加えられるブレーキング力を、ブレーキング事象の際に、及びブレーキング事象に起因して検出するための装置1である。この装置は、締め付け力を加える締め付け手段60によって、ブレーキキャリパ10とハブホルダまたはブレーキキャリパサポート20との間の締め付けインターフェース(i、ii)に取り付けられるよう適合されている。装置1は、低摩擦本体2、キャリパ・ハブホルダ要素3、センサ要素4、及び電気インターフェース5から構成される。低摩擦本体2は、ワッシャまたは円盤状プレートの形状で、固定インターフェース(i、ii)において、ブレーキキャリパ10およびハブホルダ20に密着させるように適合される。キャリパ・ハブホルダ接続要素3は、低摩擦本体と接続されて一体となっており、検出装置1が取り付けられたときに、ブレーキキャリパ10とハブホルダ20の両方に機械的に接続されて、ブレーキング力が少なくとも部分的に放出される機械的接続を決定するように適合されている。キャリパ・ハブホルダ接続要素3は、キャリパ・ハブホルダ接続要素3に存在する歪み及び/又は応力が、キャリパ・ハブホルダ接続要素3に作用する全体の力に依存するように、変形しやすいものである。低摩擦本体2は、キャリパ・ハブホルダ接続要素3の変形及び/又はひずみがブレーキング事象から得られる前述の力を代表するように、検出装置1に対する締め付け力の影響を最小化するために、ブレーキング力から締め付け力を切り離すように構成されている。センサ要素4は、キャリパ・ハブホルダ接続要素3に接続され、キャリパ・ハブホルダ接続要素3に存在する歪みを検出し、検出された歪みを示すとともにブレーキング力を表す少なくとも一つの電気信号Sを発生するように構成される。電気インターフェース5は、少なくとも1つの生成された電気信号Sを伝導し利用可能にするために、前記センサ要素4に接続されている。ブレーキングトルクを決定するための対応する方法およびシステムも記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキング事象の際にブレーキング事象により、ブレーキキャリパ(10)によってハブホルダ又はブレーキキャリパサポート(20)に作用するブレーキング力を検出するための検出装置(1)であって、
前記検出装置(1)は、締付け力を及ぼす締付け手段(60)によって、ブレーキキャリパ(10)とハブホルダまたはブレーキキャリパサポート(20)の間に固定インターフェース(i、ii)に取り付けられるように構成されており、
前記検出装置(1)は、
ワッシャまたはプレートもしくはベアリングとして形成された低摩擦本体(2)と、
前記低摩擦本体(2)に接続されて前記低摩擦本体(2)に一体のキャリパ・ハブホルダ接続要素(3)であって、
前記キャリパ・ハブホルダ接続要素(3)は、前記検出装置(1)が前記固定インターフェース(i, ii)に設けられた状態で、前記ブレーキキャリパ(10)から前記ハブホルダまたは前記ブレーキキャリパサポート(20)に前記ブレーキング力が少なくとも部分的に放出される機械的接続をもたらすように、前記ブレーキキャリパ(10)と前記ハブホルダまたは前記ブレーキキャリパサポート(20)の両方に機械的に接続されるように構成され、
前記キャリパ・ハブホルダ接続要素(3)が変形しやすく、前記キャリパ・ハブホルダ接続要素(3)に局所的に存在する変形および/またはひずみが、前記キャリパ・ハブホルダ接続要素(3)に作用する力に依存し、
前記低摩擦本体(2)が、前記締め付け力を前記ブレーキング力から切り離し、前記検出装置(1)に対する前記締め付け力の影響を最小化するように構成され、前記キャリパ・ハブホルダ接続要素(3)に存在する前記変形および/または歪みが、前記キャリパ・ハブホルダ接続要素(3)によって前記ハブホルダまたは前記ブレーキキャリパサポート(20)に前記ブレーキキャリパ(10)によって及ぼされる前記ブレーキング力の代表値であり、
前記検出装置(1)はさらに、
前記キャリパ・ハブホルダ接続要素(3)に作動的に接続され、前記キャリパ・ハブホルダ接続要素(3)に存在する前記変形および/または歪みを検出し、検出された前記変形および/または歪みを示す少なくとも一つの電気信号(S)および前記ブレーキ力を代表する信号を発生するように構成された、少なくとも一つのセンサ要素(4)と、
前記センサ要素(4)に接続され、生成された前記少なくとも1つの電気信号(S)を伝導及び供給する電気インターフェース(5)を有する、検出装置(1)。
【請求項2】
前記低摩擦本体(2)は、滑り軸受または軸方向スラスト軸受を有する、請求項1に記載の検出装置(1)。
【請求項3】
前記低摩擦本体(2)は、低摩擦ポリマー材料の層を有する、請求項1に記載の検出装置(1)。
【請求項4】
前記低摩擦本体(2)は、低摩擦係数コーティングが施された、金属および/またはセラミックおよび/またはポリマー材料からなる要素を有する、請求項1に記載の検出装置(1)。
【請求項5】
前記キャリパ・ハブホルダ接続要素(3)は、ブッシング(32)と円盤状環状プレート(33)を有する、請求項のいずれかに記載の検出装置(1)。
【請求項6】
前記検出装置(1)の厚さを前記固定インターフェース(i、ii)の寸法的および/または機能的な必要性に適合させるように構成されたシミングワッシャ(7)をさらに備える、請求項5に記載の検出装置(1)。
【請求項7】
前記低摩擦本体が、前記キャリパ・ハブホルダ接続要素(3)の前記円盤状環状プレート(33)と前記シミングワッシャ(7)との間に接触して介在された低摩擦要素(2)を含み、
前記検出装置(1)が固定インターフェース(i、ii)に取り付けられた状態で、
前記円盤状環状プレート(33)は、ブレーキキャリパ(10)の表面と緊密に摩擦接触するように配置されるように適合され、
前記シミングワッシャ(7)は、ハブホルダまたはブレーキキャリパサポート(20)の表面と緊密に摩擦接触するように配置されるように適合されている、ことを特徴とする請求項1に記載の検出装置(1)。
【請求項8】
前記ブッシング(32)は、前記検出装置(1)が前記固定インターフェース(i、ii)に取り付けられた状態で、前記締め付け手段(60)の一部を収容するように構成された凹部(30)を含む、請求項5から7のいずれかに記載の検出装置(1)。
【請求項9】
前記ブッシング(3)は、それぞれの少なくとも1つのセンサ素子(3)を収容するように構成された少なくとも1つのハウジング(31)を備え、
前記ハウジング(31)は、高変形性ブッシング部分に対応するそれぞれの検出位置に配置されている、請求項5から8の一項に記載の検出装置(1)。
【請求項10】
前記ブッシング(3)は、前記検出装置(1)が固定インターフェース(i、ii)に取り付けられた状態で、前記ブレーキキャリパ(10)の側と前記ハブホルダ(20)の側の両方にわずかなクリアランスをもって結合されるように適合されている、請求項5から9の1項に記載の検出装置(1)。
【請求項11】
前記センサ要素(4)は、歪みセンサ(4)である、請求項1~10のいずれかに記載の検出装置(1)。
【請求項12】
前記歪みセンサ(4)は、機械的、光学的、音響的、空気圧的または電気的歪みゲージであるか、光ファイバー歪みセンサ、ピエゾ抵抗センサ、オンシリコン共振器センサ、または誘導トランスデューサである、請求項11に記載の検知デバイス(1)。
【請求項13】
前記キャリパ・ハブホルダ接続要素(3)と前記低摩擦本体(2)が単一の要素に統合されている、請求項1~12のいずれかに記載の検出装置(1)。
【請求項14】
前記低摩擦本体は、前記キャリパ・ハブホルダ接続要素(3)の円盤状基部(33)上に配置された摩擦防止コーティングを含む、請求項13に記載の検出装置(1)。
【請求項15】
一つのセンサ要素(4)のみを含む、請求項1~14のいずれかに記載の検出装置(1)。
【請求項16】
複数のセンサ要素(4)を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の検出装置(1)。
【請求項17】
3つのセンサ要素(4)を備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の検出装置(1)。
【請求項18】
ブレーキングキャリパ(10)とハブホルダまたは支持体(20)との間の少なくとも1つの固定インターフェース(i、ii)において行われる検出によって、車両用のブレーキングシステムの作動から生じるブレーキングトルクを決定するように構成された、ブレーキングトルク測定システムであって
前記ブレーキングトルク測定システムは、
前記ブレーキキャリパ(10)の前記ブレーキキャリパ本体(11)と前記ハブホルダまたはブレーキキャリパサポート(20)との間に、それぞれの少なくとも1つの固定インターフェース(i、ii)で押し付けられる、請求項1~17のいずれか1項に記載の少なくとも1つの検出装置(1;D1、D2)と、
前記ブレーキキャリパ(10)および前記ハブホルダまたはブレーキキャリパサポート(20)を締め付け、前記ブレーキキャリパ(10)の前記ブレーキキャリパ本体(11)と前記ハブホルダまたはブレーキキャリパサポート(20)との間で検出装置(1)を押すように構成された締め付け手段(60)と、
前記電気インターフェース(5)に動作可能に接続され、前記少なくとも1つの電気信号(S)を受信する電子処理手段とを備え、
前記電子処理手段は、前記検出装置に作用するブレーキング力を示す前記少なくとも1つの電気信号(S)に基づいて、前記ブレーキングトルクを決定するように構成されている、ブレーキングトルク測定システム。
【請求項19】
前記固定インターフェース(i、ii)に設けられている前記検出装置(D1、D2)を複数備え、
前記電子処理手段は、それぞれの前記検出装置(D1、D2)から来る複数の前記電気信号(S)に基づいて前記ブレーキングトルクを決定するように構成されていることを特徴とする、請求項18に記載のブレーキングトルク測定システム。
【請求項20】
第1のキャリパ本体部分と前記ハブホルダまたはブレーキキャリパサポートの第1の部分との間の第1の固定インターフェース(i)にある第1の検出装置(D1)と、
第2のキャリパ本体部分と前記ハブホルダまたはブレーキキャリパサポートの第2の部分との間の第2の固定インターフェース(ii)にある第2の検出装置(D2)とを有する、請求項19に記載のブレーキングトルク測定システム。
【請求項21】
前記電子処理手段は、前記少なくとも1つの電気信号(S)に基づいて、1つ以上のソフトウェアプログラムによって実行される1つ以上のアルゴリズムによって、前記ブレーキングトルクを計算するように構成された制御ユニットおよび/またはプロセッサを備える、請求項18~20のいずれかに記載のブレーキングトルク測定システム。
【請求項22】
締め付け手段(60)が少なくとも1つのねじ(61、62)を含み、
前記少なくとも1つのねじが、ねじの頭の下に配置された摩擦防止ねじ要素を含む、請求項18~21のいずれかに記載のブレーキングトルク測定システム。
【請求項23】
車両用ブレーキシステムのためのブレーキキャリパセンブリであって、
ブレーキキャリパ(10)と、
ハブホルダまたはブレーキキャリパサポート(20)と、
請求項1~17のいずれか1項に記載の少なくとも1つの検出装置(1)であって、前記少なくとも1つの検出装置(1)は、少なくとも1つの固定インターフェース(i、ii)において、前記ブレーキキャリパ(10)のブレーキキャリパ本体(11)と前記ハブホルダまたはブレーキキャリパサポート(20)との間に押し込まれている、検出装置(1)と、
前記ブレーキキャリパ(10)および前記ハブホルダまたはブレーキキャリパサポート(20)を締め付け、前記検出装置(1)を前記ブレーキキャリパ(10)のブレーキキャリパ本体(11)と前記ハブホルダまたはブレーキキャリパサポート(20)の間に押し込むように構成された締め付け手段(60)とを備え
前記ブレーキキャリパは、固定キャリパまたはフローティングキャリパである、ブレーキキャリパセンブリ。
【請求項24】
第1の固定ボルト(61)によって、第1の固定インターフェース(i)で、ブレーキキャリパ(10)のブレーキキャリパ本体(11)とハブホルダまたはブレーキキャリパサポート(20)の間に固定された第1の検出装置(D1)と、
第2の固定ボルト(62)によって、第2の固定インターフェース(ii)で、前記ブレーキキャリパ(10)のブレーキキャリパ本体(11)と前記ハブホルダまたはブレーキキャリパサポート(20)の間に固定された第2の検出装置(D2)とを備えた、請求項23に記載のブレーキキャリパアセンブリ。
【請求項25】
請求項23から24のいずれか一項に記載の複数のブレーキキャリパセンブリを含む、または、
請求項18から22までのいずれか一項に記載のブレーキングトルク測定システムを含む、車両用ブレーキングシステム。
【請求項26】
ブレーキキャリパ(10)とハブホルダまたはサポート(20)との間の少なくとも1つの固定インターフェース(i、ii)において実施される検出によって、車両用ブレーキシステムの作動から生じるブレーキングトルクを決定するための方法であって、
請求項1~17のいずれか1項に記載の少なくとも1つの検出装置(1;D1、D2)を、前記少なくとも1つの固定インターフェース(i、ii)に挿入し、前記検出装置(1)が、前記少なくとも1つの固定インターフェース(i、ii)において、前記ブレーキキャリパ(10)のブレーキキャリパ本体(11)と、前記ハブホルダまたはブレーキキャリパサポート(20)の間に固定および押し付けられるようにする挿入ステップと、
前記ブレーキキャリパ(10)によって前記ハブホルダまたはブレーキキャリパサポート(20)に及ぼされるブレーキング力を、ブレーキング事象の場合およびブレーキング事象による場合に、前記少なくとも1つの検出装置(1)によって検出し、検出した前記ブレーキング力を示す少なくとも1つの電気信号(S)を発生させる信号発生ステップと、
前記少なくとも1つの電気信号(S)を電子処理手段に送信する送信ステップと、
前記電子処理手段によって前記少なくとも1つの電気信号(S)を処理し、前記ブレーキングトルクを決定する処理ステップを含む、方法。
【請求項27】
前記挿入ステップが、複数の前記検出装置(D1、D2)を、それぞれの固定インターフェース(i、ii)にそれぞれ挿入することを含み、
前記処理ステップが、それぞれの前記検出装置(D1、D2)からのそれぞれの複数の電気信号(S)に基づいて前記ブレーキングトルクを決定することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記処理ステップが、前記少なくとも1つの電気信号(S)に基づいて、1つまたは複数のソフトウェアプログラムによって実行される1つまたは複数のアルゴリズムによって、前記電子処理手段によって前記ブレーキングトルクを計算する計算ステップを含み、
前記計算ステップは、前記電子処理手段によってアクセス可能なコンピュータ化されたモデルまたはルックアップテーブルによって表される前記ブレーキングトルクと前記ブレーキング力との間の所定の関係によって、前記ブレーキングトルクを計算し、
前記所定の関係は、少なくとも1つの前記検出装置(1)がそれぞれの前記固定インターフェースに配置され固定された後に実施される実験および/または特性評価および/または校正のステップを通じて決定される、請求項26または27のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキキャリパとそれぞれのハブホルダとの間の固定界面に取り付けられるように適合された、ブレーキング力を検出するための装置に関するものである。
【0002】
本発明はさらに、前記の装置およびその方法を使用するブレーキングトルク測定システムに関する。
【0003】
本発明はさらに、前述の装置の少なくとも1つを備えたブレーキキャリパセンブリに関する。
【背景技術】
【0004】
ブレーキシステム、例えば電子制御ディスクブレーキシステムを制御、監視および作動させるために、ブレーキ動作中にブレーキシステムのブレーキキャリパによって加えられるブレーキング力またはトルク値をリアルタイムで、できるだけ正確に知ることが非常に有用である。
【0005】
しかしながら、ブレーキシステムのブレーキキャリパによって加えられるブレーキング力及び/又はトルクを直接、正確かつ信頼できる方法で測定することは困難である。
【0006】
この点で、先行技術には、ブレーキングトルク及び/又は力、例えばブレーキキャリパの異なる点に作用する力、に密接に関連する量を参照する間接的な測定に基づいて、ブレーキングトルク及び/又は力を決定する傾向がある。
【0007】
他方、機能的な問題を引き起こすことなくブレーキシステムに容易に組み込むことができるように、できるだけ小型化されコンパクトなセンサ装置を使用する必要性をさらに考慮することが必要である。
【0008】
歪みセンサを用いてブレーキキャリパサポートと車両のハブとの間に作用する横方向(せん断)力を検出及び/又は測定することができる、いくつかの小型センサ装置が、この点に関して知られている。
【0009】
キャリパとハブホルダとの間に介在され、異なる力又は歪み又は応力センサ技術を利用する、様々なタイプのセンサが、文献において知られている。
【0010】
キャリパとハブホルダの間の界面で発生する摩擦力によって引き起こされる変形から、ブレーキングトルクに関する情報を提供する円筒形(すなわち、「ワッシャ型」)センサも知られている。これらの概念は、ねじの存在を無視することはできません。ねじは、ブレーキングによる接線応力を打ち消すために不可欠な摩擦力を発生させるために使用されるものです。
【0011】
しかしながら、このような装置によって得られる結果は、力を測定する2つの部品を固定するために使用されるねじの締め付けトルクによって大きく左右される。言い換えれば、結果は、ブレーキング力及び/又はトルクの推定精度に対して外乱となる軸力に大きく依存する。
【0012】
以上のことから、ブレーキング動作によりブレーキキャリパがハブホルダに排出する力をより正確に検出する装置を考案し、結果に対する締め付け力の影響を最小限に抑える必要性が強く感じられる。
【0013】
また、ブレーキキャリパ本体とブレーキキャリパ支持体、またはハブホルダとの間の界面で行われる測定によって、ブレーキングトルクおよび/または力をより正確に決定する装置および方法に対する必要性が強く感じられる。
【0014】
この用途のために、測定装置に対する追加の要件は、コンパクトさ、堅牢さ、取り付けの容易さ(例えば、ブレーキキャリパを固定するために既に提供されている固定システムを使用)、及び固定又は浮動キャリパディスクブレーキの文脈における使用の汎用性である。
【0015】
上述のように、上述の要件は、先行技術から現在利用可能な解決策では完全に満たされない。
【発明の概要】
【0016】
本発明の目的は、先行技術を参照して上述した欠点を少なくとも部分的に解決し、考慮される技術分野において特に感じられる前述のニーズに対応することができるブレーキング力検出装置を提供することである。
【0017】
これらおよび他の目的は、請求項1による検出装置によって達成される。
【0018】
そのような方法のいくつかの有利な実施形態は、従属請求項2~17の主題である。
【0019】
本発明のさらなる目的は、車両ブレーキングシステムの実施に起因するブレーキングトルクを決定するように構成され、前記装置を採用した、対応するブレーキングトルク測定システムを提供することである。
【0020】
この目的は、請求項18に記載のプロセスによって達成される。
【0021】
そのようなシステムのいくつかの有利な実施形態は、従属請求項19~22の主題である。
【0022】
本発明は、前述の検出装置の少なくとも1つを備える車両ブレーキシステム用のブレーキキャリパセンブリを提供することをさらなる目的とする。
【0023】
これらおよび他の目的は、請求項23に記載の装置によって達成される。
【0024】
このようなブレーキキャリパセンブリの有利な実施形態は、従属請求項24に記載の対象である。
【0025】
本発明のさらなる目的は、複数のブレーキキャリパセンブリを含む車両ブレーキシステムを提供することである。
【0026】
これらの目的および他の目的は、請求項25に記載のブレーキシステムによって達成される。
【0027】
最後に、本発明の目的は、ブレーキキャリパとそれぞれのハブホルダまたはサポート20との間の少なくとも1つの固定インターフェースで実施される検出によって、車両用ブレーキシステムの作動から生じるブレーキングトルクを決定するように構成された、ブレーキングトルクを測定するための方法を提供することである。
【0028】
これらの目的および他の目的は、請求項26に記載の方法によって達成される。
【0029】
このようなシステムのいくつかの有利な実施形態は、従属請求項27~28の主題である。
【0030】
本発明による装置、システム、および方法のさらなる特徴および利点は、添付の図を参照して非限定的な例として与えられる、その好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるブレーキング力検出装置の透視図である。
【
図2】
図2は、本発明による装置のさらなる実施形態の透視図である。
【
図3】
図3は、装置のさらなる実施形態の分解図を示す透視図である。
【
図4】
図4は、装置のさらなる実施形態の分解図を示す透視図である。
【
図5】
図5は、装置のさらなる実施形態の分解図を示す透視図である。
【
図6】
図6は、
図1~5のうちの1つによる装置を本発明によるブレーキキャリパセンブリに挿入するそれぞれの態様を示す図である。
【
図7】
図7は、
図1~5のうちの1つによる装置を本発明によるブレーキキャリパセンブリに挿入するそれぞれの態様を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
ブレーキキャリパ10によってハブホルダまたはブレーキキャリパサポート20上に加えられた、ブレーキング事象に際して、およびブレーキング事象に起因するブレーキング力を検出するための検出装置1が、
図1~7を参照して記載されている。
【0033】
このような検出装置1は、締め付け力を加える締め付け手段60によって、ブレーキキャリパ10とハブホルダまたはブレーキキャリパサポート20との間の固定または締め付けインターフェース(i、ii)に取り付けられるように適合される。
【0034】
装置1は、低摩擦本体2と、キャリパ・ハブホルダ接続要素3と、さらに、少なくとも1つのセンサ要素4と、電気インターフェース5とからなる。
【0035】
低摩擦体2は、ワッシャまたはプレートまたはベアリングの形状である。
【0036】
キャリパ・ハブホルダ接続要素3は、前述の低摩擦体に接続され、それと一体となっている。
【0037】
さらに、キャリパ・ハブホルダ接続要素3は、検出装置1が固定インターフェース(i、ii)に取り付けられているときに、ブレーキキャリパ10とハブホルダまたはブレーキキャリパサポート20の両方と機械的に接続されて、前述のブレーキング力が、ブレーキキャリパ10からハブホルダまたはブレーキキャリパサポート20に少なくとも部分的に排出される機械的接続となるよう適合されている。
【0038】
キャリパ・ハブホルダ接続要素3は、キャリパ・ハブホルダ接続要素3に局所的に存在する変形および/または歪みが、キャリパ・ハブホルダ接続要素3に作用する全体力に依存するように、変形しやすいものである。
【0039】
前述の低摩擦本体2は、(締め付け手段、例えばネジによって生じる)締め付け力をブレーキング力から切り離し、検出装置1に対する締め付け力の影響を最小化するように構成されているので、キャリパ・ハブホルダ接続要素3に存在する前述の変形および/または歪みは、ブレーキキャリパ10によってハブホルダまたはブレーキキャリパサポート20に加えられたブレーキング事象から派生するブレーキング力をキャリパ・ハブホルダ接続要素3によって代表するものである。
【0040】
少なくとも1つのセンサ要素4は、キャリパ・ハブホルダ接続要素3に動作可能に接続され、キャリパ・ハブホルダ接続要素3に存在する変形及び/又は歪みを検出し、検出した変形及び/又は歪みを示し、ブレーキング力を代表する少なくとも1つの電気信号Sを発生するように構成される。
【0041】
電気インターフェース5は、前記少なくとも1つの生成された電気信号Sを伝導し利用可能にするために、前記センサ要素4に接続される。
【0042】
本装置の実装オプションによれば、前記低摩擦体2は、ベアリングからなる。
【0043】
特定の実装オプションによれば、そのような軸受は、滑り軸受である。
【0044】
別の実施態様によれば、そのような軸受は、軸方向のスラスト軸受、ボール軸受またはローラー軸受である。
【0045】
本装置の別の実装オプションによれば、前述の低摩擦体2は、低摩擦高分子材料の層または低摩擦係数を有する材料によって形成された別の摩擦防止要素からなる。
【0046】
別の実施態様によれば、低摩擦体2は、低摩擦係数コーティングが施された、金属および/またはセラミックおよび/またはポリマー材料からなる要素から構成される。
【0047】
様々な可能な実施例によれば、低摩擦体2は、実質的に円盤状またはワッシャ状のプレートからなる。
【0048】
本装置の別の実装オプションによれば、前述の低摩擦体2は、低摩擦材料でコーティングされた金属ワッシャからなる。
【0049】
様々な可能な実施例によれば、ワッシャは、鋼またはアルミニウムまたはチタンまたは鋳鉄で作られている。
【0050】
様々な可能な実施例によれば、摩擦防止コーティングは、一般に、DLC(Diamond-Like-Carbon)、TiN、PTFE、WC、TiCN、CrN、ZrN、PLC、CL、または他の摩擦防止材料から作られる。
【0051】
摩擦防止要素の機能は、キャリパとハブホルダとの間の物理的接続が界面摩擦力から可能な限り自由であることを保証することであることに留意されたい。
【0052】
言い換えれば、低摩擦要素の目的は、キャリパ固定ねじの締め付けから生じる負荷(又は力)を、ブレーキングトルクから生じる負荷(又は力)から切り離すことである。このようにして、キャリパは、トルク下で接線方向に自由に動くことができ、それによって、検出素子またはセンサ素子4が収容されているキャリパハブ接続要素3に負荷がかかる。
【0053】
したがって、この場合、ブレーキキャリパ10は、通常の必要な締め付け手段(例えば、ねじ)または接続要素またはブッシング3によって、ハブホルダ20(または、ブレーキキャリパ支持体20)に接続される。
【0054】
この締結方法において、締め付け手段、例えばネジは、キャリパに軸方向の並進拘束のみを発生させる機能を有し、キャリパ・ハブホルダ接続要素3は、キャリパハブ接触面および回転面を通過する平面内の並進拘束を発生させることが仕事であることは注目すべき点である。
【0055】
特に、これにより、所望であれば、ねじのサイズを小さくすることが可能になり、その機能は、上述のように、ブレーキング動作中に発生する力を打ち消すのに必要なキャリパ・ハブホルダ接触面上の摩擦力の(軸方向荷重による)発生からもはや構成されない。
【0056】
このようにして、キャリパ・ハブホルダ接続要素3は、ブレーキング力、すなわち、ハブホルダ20に伝達されるブレーキングトルクによる荷重を少なくとも部分的に、または、全体的に、伝達する。言い換えれば、このようなキャリパ・ハブホルダ接続要素3は、「荷重要素」または「担体要素」とも呼ばれることがある。
【0057】
検出装置1の実施形態(特に
図3~5に示す実施オプションで説明)によれば、キャリパ・ハブホルダ接続要素3は、ブッシング32と円盤状の環状プレート33とから構成される。
【0058】
図3及び4に示す実施例では、環状円盤状プレートは、キャリパ・ハブホルダ接続要素3の一端、装置を取り付けたときに、ブレーキキャリパと接触することを意図した装置1の端部に位置する円盤状のクラウンベース又はフランジである。
【0059】
図5に示す例では、環状円板は、両端部以外の口部に配置されている。
【0060】
実施形態(
図1~5、特に、より詳細には、
図3~5に示す)によれば、検出装置1は、検出装置1の厚さを固定インターフェース(i、ii)の寸法及び/又は機能要件に適合させるように構成されたシミングワッシャ7を更に備える。
【0061】
その場合、前述のシミングワッシャ7は、摩擦防止要素を保護する追加機能を果たすことができる。例えば、摩擦防止要素がアルミニウム表面に載っているベアリングによって作られる場合、シミングワッシャ7は、ベアリングローラーが載っているアルミニウム表面がエッチングされることを防止する。
【0062】
この装置の実施形態(
図1~5、特に、より詳細には、
図3~5に示す)によれば、前述の低摩擦体は、キャリパ・ハブホルダ接続要素3の円板状環状プレート33とシミングワッシャ7との間に接触して介在する低摩擦要素2からなる。
【0063】
円盤状環状プレート33は、検出装置1が固定インターフェース(i、ii)に取り付けられるとき、ブレーキキャリパ10の表面と密接に摩擦接触して配置されるように適合され、シミングワッシャ7は、ハブホルダ又はブレーキキャリパサポート20の表面と密接に摩擦接触して配置されるように適合される。
【0064】
キャリパ・ハブホルダ接続要素3とシミングワッシャ7との間の摩擦が低いほど、センサ要素に到達するブレーキング力の割合が高くなることは注目に値する。言い換えれば、摩擦係数が低下するにつれて、測定システムの効率は上昇する。
【0065】
実装オプションによれば、ブッシング32は、ハブホルダ20に挿入されるように適合されたスチールブッシングである。
【0066】
実装オプションによれば、前述のブッシング32は、検出装置1が固定インターフェース(i、ii)に取り付けられるとき、前述の締め付け手段60の一部を収容するように構成された凹部30を備える。
【0067】
実装オプションによれば、ブッシング32は、検出装置1が固定インターフェース(i、ii)に取り付けられているときに、それぞれのねじの円筒形ねじによって横断されるように適合された管状通路を画定する。
【0068】
実装オプションによれば、前述のブッシング32は、それぞれの少なくとも1つのセンサ素子3を収容するように構成された少なくとも1つのハウジング31を含んでいる。このようなハウジング31は、高度に変形可能なブッシング部分に対応するそれぞれの検出位置に配置される。
【0069】
実際、使用中のブッシング3によって保証される接続は、一定の負荷の大きなゾーンによって特徴付けられ、これによって、感知素子を設置しなければならない領域を容易に特定することができる。
【0070】
ハウジング31、およびそれぞれのセンサエレメント4のサイズと位置は、センサエレメント4がその機能を最適化するような応力、すなわち、測定精度を損なうには低すぎず、過負荷状態でセンサ自体を損傷するには高すぎないバイアスにさらされるように、試験と実験によって決定される。
【0071】
実装オプションによれば、ブッシング32は、ブレーキキャリパとハブホルダの両方に密着して取り付けられるように適合され、その結果、クリアランスのないカップリングが実現される。
【0072】
この場合、ブレーキキャリパは、ブレーキ事象中に発生する荷重を受けると、そのような荷重を直接接触によってブッシングに伝え、ブッシングは、今度は、そのような荷重を直接接触によってハブホルダに伝える。後者の接触により、センサ素子4が配置されたブッシングが局所的に変形する。
【0073】
実装オプションによれば、前述のブッシング3は、検出装置1が固定インターフェース(i、ii)に取り付けられるとき、ブレーキキャリパ10の側とハブホルダ20の側の両方でわずかなクリアランスをもって結合されるよう適合される。
【0074】
前述のクリアランスは、組み立てを容易にするためのものである。
【0075】
残りの部分については、機能的な観点から、動作は、クリアランスがない場合について既に説明したものと同様である。ブレーキキャリパがブレーキング事象中に発生する荷重を受けると、それはブッシングに「寄りかかり」、それに荷重を伝え、ブッシングは、今度は、ハブホルダに「寄りかかり」、それに荷重を変える。後者の接触は、センサ素子4が配置されたブッシングを局所的に変形させる。
【0076】
ブッシングの異なる部分において、異なる変形および/または結果として異なるひずみが存在する可能性があり、それはしたがって局所的であるが、しかし、すべてが何らかの形で印加荷重に依存し、その結果、ブレーキングトルクに依存することは、注目に値する。
【0077】
ブッシング32は、予見可能な応力レベルに対して、経験されるひずみが弾性範囲に留まり、したがって永久的でないように設計されていることは注目に値する。
【0078】
有利には、センサ素子4は、力又は負荷の影響が高い変形を引き起こす部分に対応する検出位置に配置される。
【0079】
装置1の実施形態によれば、前述のセンサ素子4は、変形センサまたは歪みセンサ4である。
【0080】
この場合であっても、それ自体既知の関係、または特定のブッシングについて実験的に得られる関係に従って、変形から歪みへトレースバックすることが可能である。
【0081】
実装オプションによれば、歪みセンサ4は、歪みゲージ、例えば、それ自体既知のロゼットまたは一方向性歪みゲージである。
【0082】
他の可能な実装オプションによれば、前述のセンサ素子4は、機械的または光学的または音響的または空気圧的または電気的な歪みゲージである。
【0083】
様々な特定の実装例によれば、センサ素子4は、光ファイバー歪みセンサ、またはピエゾ抵抗センサ、またはシリコン上の共振器センサ、または誘導型トランスデューサである。
【0084】
他の実装オプションによれば、センサ素子4は、それ自体既知の、歪み又は変形を読み取り/検出することができる任意のタイプのセンサで構成されてもよい。
【0085】
他の実装オプションによれば、センサ要素4は、力センサからなる。
【0086】
装置の実施形態によれば、キャリパ・ハブホルダ接続要素3と低摩擦体2とは、単一の要素に統合されている。
【0087】
実施態様によれば、低摩擦体は、キャリパ・ハブホルダ接続要素3の円盤状基部33上に配置された抗摩擦コーティングからなる。
【0088】
実施態様(例えば、第14図及び第5図に示す)によれば、検出装置1は、単一のセンサ素子4からなる。
【0089】
実施形態によれば、検出装置1は、複数のセンサ素子4から構成される。
【0090】
別の実施形態(例えば、
図2及び
図3に示す)によれば、検出装置1は、3つのセンサ素子4から構成される。
【0091】
例えば、各ブッシングは、120°で取り付けられた3つの歪みゲージを有してもよい。
【0092】
再び
図1~7を参照して、ブレーキキャリパ10とそれぞれのハブホルダまたはサポート20との間の少なくとも1つの固定インターフェース(i、ii)で行われる検出によって、車両用のブレーキシステムの作動から生じるブレーキングトルクを決定するように構成された、ブレーキングトルク測定システムを説明する。
【0093】
ブレーキングトルク測定システムは、ブレーキキャリパ10のブレーキキャリパ本体11とハブホルダまたはブレーキキャリパサポート20との間に、それぞれの少なくとも1つの固定インターフェース(i、ii)で押し付けられた、上述の実施形態のいずれかによる少なくとも1つの検出装置1(
図3および4ではD1またはD2としても示されている)を備える。このような配置は、
図6及び
図7に示されている。
【0094】
ブレーキングトルク測定システムは、ブレーキキャリパ10とハブホルダまたはブレーキキャリパサポート20とを締め付け、検出装置1をブレーキキャリパ10のブレーキキャリパ本体11とハブホルダまたはブレーキキャリパサポート20との間に押し込むように構成された締め付け手段60を更に備える。
【0095】
ブレーキングトルク測定システムは、前述の電気的インターフェース5に作動的に接続され、前述の少なくとも1つの電気信号Sを受信する電子処理手段をさらに備える。
【0096】
前記電子処理手段は、それぞれの検出装置に作用するブレーキング力を代表する前記少なくとも1つの電気信号Sに基づいて、ブレーキングトルクを決定するように構成されている。
【0097】
実施形態によれば、ブレーキングトルク測定システムは、それぞれの固定インターフェース(i、ii)において、複数の検出装置D1、D2を備える。
【0098】
その場合、電子処理手段は、それぞれの検出装置D1,D2からのそれぞれの複数の電気信号Sに基づいてブレーキングトルクを決定するように構成される。
【0099】
図3および
図4に示される実施態様によれば、ブレーキトルク測定システムは、第1のキャリパ本体部分とハブホルダまたはブレーキキャリパサポートの第1の部分との間の第1の固定インターフェース(i)に第1の検出装置D1を備え、さらに、第2のキャリパ本体部分とハブホルダまたはブレーキキャリパサポートの第2の部分との間の第2の固定インターフェース(ii)に第2の検出装置D2を備えて構成される。
【0100】
ブレーキングトルク測定システムの一実施形態によれば、前記電子処理手段は、前記少なくとも1つの電気信号Sに基づいて、1つ以上のソフトウェアプログラムによって実行される1つ以上のアルゴリズムによって、ブレーキングトルクを計算するように構成された制御ユニット及び/又はプロセッサからなる。
【0101】
実施態様によれば、システムは複数の検出装置を備え、電子処理手段は、それぞれの複数の電気信号Sに基づいて、1つまたは複数のソフトウェアプログラムによって実行される1つまたは複数のアルゴリズムによって、ブレーキングトルクを計算する。
【0102】
システムの様々な実装オプションによれば、電子処理手段(「取得システム」とも定義可能)は、本発明による方法を例示する以下に説明するアルゴリズム及び/又は手順によって、検出された変形及び/又は検出された歪み及び/又は検出された力を代表する電気信号Sに基づいて、ブレーキングトルクを決定するように構成される。
【0103】
一つ以上のソフトウェアプログラムによって実行されるアルゴリズムを通じて、複数の検出装置の使用および/または各装置に対する複数のセンサ素子の使用は、有利には、車両の動作条件(例えば前進/後退ギア)を識別することを可能にする。
【0104】
ブレーキングトルク測定システムの一実施形態によれば、締め付け手段60は、ねじ頭の下方に配置されたねじ反摩擦要素を含む少なくとも1つのねじ61、62を含む。
【0105】
このようにして、ブレーキングトルクによる、ねじのアンダーヘッドによって伝達される力も相殺され、ブレーキングトルクによって発生した全ての力が、接続部品3を通り、センサ要素4を通って、読み取られ、トルクの読みに変換される。
【0106】
次に、
図6および
図7を参照して、ブレーキキャリパ10と、ブレーキキャリパ・ハブホルダまたはサポート20と、先に例示した実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つの検出装置1と、ブレーキキャリパ10およびブレーキキャリパ・ハブホルダまたはサポート20を締め付けるとともに、検出装置1をブレーキキャリパ10のブレーキキャリパ本体11とブレーキキャリパ・ハブホルダまたはサポート20との間に押し付けるよう構成した締付手段60とから構成した車両ブレーキシステム用ブレーキキャリパセンブリが記載されている。
【0107】
少なくとも1つの検出装置1は、それぞれの少なくとも1つの固定インターフェース(i、ii)において、ブレーキキャリパ10のブレーキキャリパ本体11とハブホルダ又はブレーキキャリパサポート20との間で押圧される。
【0108】
実施形態によれば、ブレーキキャリパセンブリは、第1の固定ボルト61によって、第1の固定インターフェースiにおいて、ブレーキキャリパ10のブレーキキャリパ本体11と、ハブホルダまたはブレーキキャリパサポート20との間に固定された第1の検出装置D1を備え、第2の固定ボルト62によって、第2の固定インターフェースiiにおいて、ブレーキキャリパ10のブレーキキャリパ本体11とハブホルダまたはブレーキキャリパサポート20との間に固定された第2の検出装置D2をさらに備えて構成されている。
【0109】
異なる可能な実装オプションによれば、ブレーキキャリパは、固定式または浮動式のディスクブレーキキャリパ、または半径方向および軸方向の接続を有するキャリパ、またはモノブロックまたは浮動式キャリパである。
【0110】
本発明は、車両用ブレーキシステムであって、上述した実施形態のいずれか1つに係る複数のブレーキキャリパセンブリを備えることを特徴とする。
【0111】
本発明は、さらに、上述した実施形態のいずれか1つに係るブレーキングトルク測定システムを備える、車両用ブレーキングシステムを要旨とする。
【0112】
以下、ブレーキキャリパ10とそれぞれのハブホルダまたは支持体20との間の少なくとも1つの固定インターフェース(i、ii)において実施される検出によって、車両用のブレーキングシステムの作動から生じるブレーキングトルクを決定する方法が説明される。
【0113】
この方法は、まず、上述の実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つの検出装置1(
図6及び7におけるD1、D2)を、検出装置1がブレーキキャリパ10のブレーキキャリパ本体11とハブホルダ又はブレーキキャリパサポート20との間に固定されて押し付けられるように、それぞれの少なくとも1つの固定インターフェースにおいて挿入するステップを含む。
【0114】
次に、本方法は、ブレーキキャリパ10によってハブホルダまたはブレーキキャリパサポート20上に加えられたブレーキング力を、ブレーキング事象に際して、前述の少なくとも1つの検出装置1のそれぞれによって検出することと、検出されたブレーキング力を代表するそれぞれの少なくとも1つの電気信号Sを生成することとを提供する。
【0115】
この方法は、前述の少なくとも1つの電気信号Sを電子処理手段(または取得手段)に伝送するステップと、電子処理手段によって、前述の少なくとも1つの電気信号Sを処理して、ブレーキングトルクを決定するステップとをさらに含む。
【0116】
本方法の一実施形態によれば、挿入するステップは、複数の検出装置D1、D2を、それぞれの固定インターフェースi、iiにそれぞれ挿入することを含む。
【0117】
この場合、処理するステップは、それぞれの検出装置D1,D2からの複数の電気信号Sにそれぞれ基づいてブレーキングトルクを決定することからなる。
【0118】
この方法の実施形態によれば、処理のステップは、1つまたは複数のソフトウェアプログラムによって実行される1つまたは複数のアルゴリズムによって、電子処理手段によって、前述した少なくとも1つの電気信号Sに基づいてブレーキングトルクを計算することからなる。
【0119】
実施態様によれば、前記計算するステップは、電子処理手段によってアクセスすることができるコンピュータ化されたモデルまたはルックアップテーブルによって表されるブレーキングトルクとブレーキング力との間の所定の関係によってブレーキングトルクを計算することからなる。
【0120】
例えば、前述の所定の関係は、少なくとも1つの検出装置1がそれぞれの固定インターフェースに配置され固定された後に実施される実験および/または特性評価および/または較正のステップを通して決定される。
【0121】
別の実施態様によれば、計算するステップは、ブレーキングトルクと、担体要素に接触して配置されたそれぞれの位置において少なくとも1つの歪み及び/又は応力センサ4によって検出された変形及び/又は歪みとの間の所定の非線形関係によってブレーキングトルクを計算することを含んでいる。
【0122】
そのような所定の非線形関係は、例えば、電子処理手段によってアクセスできるように記憶されたコンピュータ化されたモデルまたはルックアップテーブルによって表される。
【0123】
前述の所定の関係は、少なくとも1つの検出装置1がそれぞれの固定インターフェースに配置され固定された後に実施される実験および/または特性評価および/または較正のステップによって決定される。
【0124】
実装オプションによれば、本方法は、負荷のかかった接続要素(またはブッシング)の変形を検出することと、変形に基づいて歪み応力を計算することとを含む。変形からひずみへの経過は、それ自体で知られているか、または実験的に得られた関係に従って、取得器具、すなわち電子処理手段によって容易に得ることができる。
【0125】
実施形態によれば、本方法は、複数のセンサ要素を備える検出装置を含むブレーキングトルク測定システムを試験するステップと、次に最も応力のかかるセンサ要素を特定するステップと、最後にそれぞれの位置を最も適した位置として特定するステップとをさらに含む。そのような場合、本方法は、次に、試験により特定された前記最も適した位置に、検出装置内に1つのセンサ素子のみを設置することを提供する。
【0126】
以下、本発明による方法の動作原理のいくつかの更なる詳細が提供される。
【0127】
ブレーキングトルクにより、キャリパ・ハブホルダ接続要素に(すなわち、キャリア要素に)荷重(例えば、剪断荷重)が発生する。
【0128】
負荷」という用語は、ブレーキング中に摩擦現象によって発生し、ブレーキキャリパに(パッド-キャリパ界面を通じて)伝達され、最終的に機械的接続キャリパブロック-ハブホルダを通じてハブホルダに放出される力を意味する。
【0129】
発生した力は接線方向だけでなく、接線方向と半径方向の両方の成分を有することができることは注目に値する。
【0130】
これに関して、本方法の実施形態によれば(及び装置の対応する実施形態によれば)、センサ素子は、力の結果と整列するように配置される。
【0131】
言い換えれば、ブレーキングから生じる力は、ブレーキキャリパに伝達される。ブレーキキャリパは、それをブッシングに伝達する。ブッシングは、その力をハブホルダに伝える。ハブホルダに荷重を伝達する際、ブッシングは、検出素子が配置された位置(複数ある場合は、検出素子が配置された位置)で、局所的に変形をする。
【0132】
この例では、検出素子は、ブレーキキャリパがハブホルダに加える力を表す変形を検出し(摩擦防止素子が固定素子によって生じる力の影響を最小化し理想的に打ち消すという事実によって)、それは、順に、ブレーキングトルクを表す(既知のまたは実験的に導出可能な関係に従って)。
【0133】
最後に、取得システムに構成される電子処理手段によって、変形はひずみに変換され、これも最後に、ブレーキングトルクを表す。
【0134】
上述した本発明によるシステムは、適切にモデル化され、大きさが決定されている。測定精度の理論的レベルも検証され、中/高トルク値に対して許容範囲内に留まっていることが証明された。低いブレーキングトルクにおける挙動は、その後、実験的に検証された。
【0135】
次に,このシステムを構築し,圧力とブレーキングトルクの既知の値を用いて手動操作の接線ベンチで試験した。
【0136】
本発明の目的は、その機能的及び構造的特徴により、上記に示した方法及びシステムによって完全に達成されることは、注目に値する。
【0137】
上記に示された検出装置は、ブレーキキャリパとハブホルダとの間の締結界面に作用する力を、ブレーキング事象によって生じるブレーキングトルクに直接依存して、良好な精度で検出することが可能である。
【0138】
実際、その構造的及び機能的特性のおかげで、そのような検出装置は、それに局所的に作用する力によって与えられる変形又は歪みの測定を、軸方向の締め付け力から実質的に免れ、独立したものにする。
【0139】
なぜなら、摩擦防止要素の存在によって、キャリパ固定ねじの締め付けから生じる荷重を、ブレーキングトルクによって与えられる荷重から切り離すことが可能になるからである。
【0140】
言い換えれば、本発明の検出装置の概念は、キャリパとハブホルダとの間の物理的接続を利用するものであり、同じ装置内に構成されたキャリア要素(本発明の説明の下を参照)を介してなされ、界面摩擦力から自らを解放するものである。
【0141】
同時に、上述の検出装置は、「ワッシャ検出装置」の利点を保持しており、実際、既に設けられている締め付け手段を用いて、ブレーキキャリパとブレーキキャリパブラケット又はハブホルダとの間に有利にかつ容易に挿入することが可能である。
【0142】
同様の利点は、前述の装置を使用する、ブレーキングトルクを測定するシステム及び方法を特徴づける。
【0143】
実際、ブレーキングトルク測定システム及び方法は、より正確で信頼できるブレーキングトルクの結果を達成する。
【0144】
この結果は、そのようなシステム及び方法が、量間の既知の決定論的関係の連鎖(固定界面に存在する力に依存するブレーキングトルク、これは順に、装置によって検出される変形及び/又は歪みに依存する)に基づいているという事実によって達成され、ここで、物理的に検出される量、すなわち、ブレーキキャリパによってハブホルダに加えられる力のみに実質的に依存し、締め付け力から実質的に独立しており、ブレーキキャリパによってハブホルダに加えられる力がブレーキングトルクを正確に代表し、一方、ブレーキングトルクに依存しない締め付け力は、測定に妨害を引き起こすが、ここでは回避されている(一方、偶然ではなく、先行技術で提案された解決策に見出されている)。
【0145】
当業者は、上述した実施形態に対して多くの変更および適応を行うことができ、または、添付の請求項の範囲から離れることなく、偶発的なニーズを満たすために、機能的に同等である他の要素で置き換えることができる。一つの可能な実施形態に属するものとして上述した全ての特徴は、他の記載された実施形態から独立して実施することができる。
【国際調査報告】