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特表2023-508168オレフィン-アクリレートジブロックコポリマーを調製するための方法
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  • 特表-オレフィン-アクリレートジブロックコポリマーを調製するための方法 図1A
  • 特表-オレフィン-アクリレートジブロックコポリマーを調製するための方法 図1B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-01
(54)【発明の名称】オレフィン-アクリレートジブロックコポリマーを調製するための方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/30 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
C08F8/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538888
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 US2020065768
(87)【国際公開番号】W WO2021138076
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】62/954,973
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】アウヨン、イヴリン
(72)【発明者】
【氏名】クラソフスキー、アルカジー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ストゥーベルト、ブライアン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス、アナ ヴイ.
(72)【発明者】
【氏名】ホウ、チエンポー
(72)【発明者】
【氏名】カミンズ、クラーク エイチ.
【テーマコード(参考)】
4J100
【Fターム(参考)】
4J100AL03P
4J100BA02H
4J100BA27H
4J100BC43H
4J100CA01
4J100FA03
4J100HA61
4J100HC42
(57)【要約】
本開示は、オレフィン-アクリレートジブロックコポリマーを調製するための方法に関し、この方法は、以下:a)アクリレートモノマー及びニトロキシド開始剤を含むニトロキシド媒介重合(NMP)材料を組み合わせることによってNMPを実施し、それによって、ニトロキシド高分子開始剤を形成することと、b)アルファ置換アクリレート及びニトロキシド高分子開始剤を含むエンドキャッピング反応材料を組み合わせ、それによって、オレフィン-アクリレートジブロックコポリマーを形成することと、を含む。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン-アクリレートジブロックコポリマーを調製するための方法であって、以下:
a)アクリレートモノマー及びニトロキシド開始剤を含むニトロキシド媒介重合(NMP)材料を組み合わせることによってNMPを実施し、それによって、ニトロキシド高分子開始剤を形成することと、
b)アルファ置換アクリレート及び前記ニトロキシド高分子開始剤を含むエンドキャッピング反応材料を組み合わせ、それによって、前記オレフィン-アクリレートジブロックコポリマーを形成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記アルファ置換アクリレートが、式(II)を有し、
【化1】
前記アクリレートモノマーが、式(III)を有し、
【化2】
前記ニトロキシド開始剤が、式(IV)を有し、
【化3】
前記ニトロキシド高分子開始剤が、式(V)を有し、
【化4】
前記オレフィン-アクリレートジブロックコポリマーが、式(VI)を有し、
【化5】
各R1が、独立して、C1~C30ヒドロカルビル基であり;
各Rが、独立して、C1~C26ヒドロカルビル基又はポリオレフィニル基であり;
各Zが、独立して、少なくとも1つの炭素原子を有する基を表し、並びにZに由来するフリーラジカルZが、フリーラジカル重合によって式(III)の前記アクリレートモノマーの重合を開始することができ、かつラジカル官能基が炭素原子に存在するようなものであり;
各R16、R15、R12、及びR11が、式(IV)の前記化合物の前記O-Z結合の立体障害及び弱化をもたらすのに充分な鎖長である、同じ又は異なる直鎖又は分岐状の置換又は非置換アルキル基を表し;
各R14及びR13が、同じ若しくは異なる直鎖若しくは分岐状置換アルキル基を表すか、又はR14CNCR13が、別の飽和若しくは芳香環と縮合し得る環状構造の一部であってもよく、前記環状構造又は芳香環が、任意選択的に置換されており;並びに、
nは、2~500である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各Rが、独立して、C1~C26ヒドロカルビル基である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
各Rが、独立して、ポリオレフィニル基である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記ポリオレフィニル基が、エチレン系ポリメリル基である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ポリオレフィニル基が、プロピレン系ポリメリル基である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって定義することができ、R-Hが、365g/mol超の数平均分子量を有する、請求項4~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
工程a)及び工程b)の各々が、100℃~150℃の温度で実施される、実施形態1~7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年12月30日に出願された米国特許出願第62/954,941号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示は、アクリレートモノマーのニトロキシド媒介重合(nitroxide-mediated polymerization:NMP)を用いてオレフィン-アクリレートジブロックコポリマーを合成して、その後、アルファ置換アクリレートモノマー(アルファ-(アルキル)アクリレートモノマー又はアルファ(ポリメリル)アクリレートモノマーなど)でエンドキャッピングされる官能化ポリアクリレートを調製する方法を対象とする。本方法中、当該技術分野で周知の標準NMP法を用いた反応に適したアルファ置換アクリレートモノマーは、オレフィン-アクリレートジブロックコポリマーを製造するために、NMPによって生成されたポリアクリレートのエンドキャッピングモノマーとして採用される。この方法は本出願の開示までは実現されない。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、オレフィン-アクリレートジブロックコポリマーを調製するための方法を対象とし、本方法は、以下:
a)アクリレートモノマー及びニトロキシド開始剤を含むニトロキシド媒介重合(NMP)材料を組み合わせることによってNMPを実施し、それによって、ニトロキシド高分子開始剤を形成することと、
b)アルファ置換アクリレート及びニトロキシド高分子開始剤を含むエンドキャッピング反応材料を組み合わせ、それによって、オレフィン-アクリレートジブロックコポリマーを形成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1A図1A及び図1Bは、それぞれ、実施例1の1H NMR及び13C NMRスペクトルを提供する。
図1B図1A及び図1Bは、それぞれ、実施例1の1H NMR及び13C NMRスペクトルを提供する。
【発明を実施するための形態】
【0005】
定義
本明細書における元素周期表への全ての言及は、CRC Press,Inc.によって2003年に出版及び著作権化された元素周期表を指すものとする。また、族(複数可)へのいずれの参照も、族を番号付けするためのIUPACシステムを用いてその元素周期表に反映された族(複数可)に対するものとする。
【0006】
反対のことが記載されないか、文脈から示唆されないか、又は当該技術分野で慣習的でない限り、全ての部及びパーセントは、重量に基づく。
【0007】
米国特許実務の目的のため、本明細書で参照される任意の特許、特許出願、又は刊行物の内容は、特に当該技術分野における合成技法、定義(本明細書に提供される任意の定義と矛盾しない程度において)、及び一般的な知識に関して、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる(又は、それらの同等の米国版が、参照によってそのように組み込まれる)。
【0008】
本明細書に開示されている数値範囲は、下限値及び上限値を含む、下限値から上限値の全ての値を含む。明示的な値を含む範囲(例えば、1、又は2、又は3~5、又は6、又は7まで)の場合、任意の2つの明示的な値の間のあらゆる下位範囲(例えば、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6、など)が含まれる。本明細書に開示される数値範囲は、任意の2つの明示的な値の間の分数を更に含む。
【0009】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、及びそれらの派生語は、任意の追加の構成成分、工程、又は手順の存在を、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず除外することを意図しない。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除外し、任意の続く記述の範囲から任意の他の構成成分、工程、又は手順を除外する。「からなる(consisting of)」という用語は、具体的に記述又は列挙されていない任意の構成要素、工程、又は手順を除外する。「又は」という用語は、別途記載がない限り、列挙された項目を個々に、及び任意の組合せで指す。
【0010】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビル基」などの用語は、脂肪族、芳香族、非環式、環式、多環式、分岐、非分岐、飽和、及び不飽和化合物を含む、完全に水素及び炭素で構成される化合物を指す。
「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビル基」、「アルキル」、「アルキル基」、「アリール」、「アリール基」などの用語は、全ての構造異性体又は立体異性体を含む、全ての可能な異性体を含むことを意図する。
【0011】
「環式」という用語は、ポリマー又は化合物中の一連の原子を指し、そのような一連の原子が、1つ以上の環を含む。したがって、「環式ヒドロカルビル基」という用語は、1つ以上の環を含有するヒドロカルビル基を指す。本明細書で使用される場合、「環式ヒドロカルビル基」は、1つ以上の環に加えて、非環式(線状又は分岐状)部分を含有し得る。
【0012】
「ポリマー」という用語は、モノマーのセットを反応させる(すなわち、重合させる)ことによって調製された材料を指し、このセットは、均一な(すなわち、1種のみ)モノマーのセット又は不均一な(すなわち、2種以上)モノマーのセットである。本明細書で使用されるポリマーという用語は、均一なモノマーのセットから調製されたポリマーを指す「ホモポリマー」という用語、及び以下に定義される「インターポリマー」という用語を含む。
【0013】
「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。この用語は、「コポリマー」、すなわち、2つの異なる種類のモノマーから調製されたポリマー及び3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されたポリマー、例えば、ターポリマー、テトラポリマーなどの両方を含む。この用語はまた、ランダム、ブロック、均一、不均一などのインターポリマーの全ての形態を包含する。
【0014】
「ポリオレフィン」は、モノマーとしてのオレフィンの重合から製造されるポリマーであり、オレフィンモノマーは、少なくとも1つの二重結合を有する炭素及び水素の線状、分岐状、又は環式化合物である。したがって、本明細書で使用される場合、「ポリオレフィン」という用語は、「エチレン系ポリマー」、「プロピレン系ポリマー」、「エチレンホモポリマー」、「プロピレンホモポリマー」、「エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」、「エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー」、「エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマー」、「ブロック複合体」、「特定のブロック複合体」、「結晶質ブロック複合体」、「プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」、及び「プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマー」という用語を含み、これらを網羅する。
【0015】
「エチレン系ポリマー」は、ポリマーの重量に基づいて、過半量の重合エチレンを含有し、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーの重合単位を更に含有し得る、ポリマーである。「エチレン系インターポリマー」は、インターポリマーの重量に基づいて、過半量の重合形態のエチレンを含有し、少なくとも1つのコモノマーの重合単位を更に含有する、インターポリマーである。「エチレンホモポリマー」は、エチレンから誘導された繰り返し単位を含むが、残留量の他の成分を含むポリマーである。
【0016】
本明細書で使用される場合、「エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語は、過半重量パーセントのエチレン(インターポリマーの重量に基づく)、及びアルファ-オレフィンである少なくとも1つのコモノマーを重合形態で含むポリマーを指す。エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、ランダム又はブロックインターポリマーであり得る。「エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー」及び「エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマー」という用語は、「エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語によって網羅される。
【0017】
本明細書で使用される場合、「エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー」という用語は、過半重量パーセントのエチレン(コポリマーの重量に基づいて)、及びアルファ-オレフィンであるコモノマーを重合形態で含むコポリマーを指し、エチレン及びアルファ-オレフィンは唯一の2つのモノマー種類である。エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、ランダム又はブロックコポリマーであり得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、「エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマー」又は「オレフィンブロックコポリマー」という用語は、エチレン及び1つ以上の共重合性アルファ-オレフィンコモノマーを重合形態で含むインターポリマーを指し、2つ以上(好ましくは3つ以上)の重合モノマー単位の複数のブロック又はセグメント、化学的又は物理的特性が異なるブロック又はセグメントを特徴とする。具体的には、この用語は、線状方式で連結した2つ以上(好ましくは3つ以上)の化学的に異なる領域又はセグメント(「ブロック」と称される)を含むポリマー、すなわち、ペンダント又はグラフト化された様式ではなく、重合した官能基に関して端と端とが連結(共有結合)している化学的に区別された単位を含むポリマーを指す。ブロックは、そこに組み込まれるコモノマーの量若しくは種類、密度、結晶化度の量、結晶化度の種類(例えば、ポリエチレン対ポリプロピレン)、そのような組成のポリマーに起因する結晶のサイズ、立体規則性の種類若しくは程度(アイソタクチック若しくはシンジオタクチック)、領域規則性若しくは領域不規則性、長鎖分岐若しくは超分岐を含む分岐の量、均一性、及び/又は任意の他の化学的若しくは物理的特性において異なる。ブロックコポリマーは、例えば、触媒系と組み合わせたシャトリング剤の使用効果に基づいて、ポリマー分子量分布(PDI又はMw/Mn)及びブロック長分布の両方において独特の分布を持つことを特徴とする。本開示のオレフィンブロックコポリマーの非限定的な例、及びこれを調製する方法は、米国特許番号第7,858,706号(B2)、8,198,374号(B2)、8,318,864号(B2)、8,609,779号(B2)、8,710,143号(B2)、8,785,551号(B2)及び9,243,090号(B2)に開示されており、その全体が参照として全て本明細書に組み入れられる。
【0019】
「ブロック複合体」(「block composite:BC」)という用語は、3つのポリマー構成成分:(i)エチレン系ポリマー(ethylene-based polymer:EP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、10mol%~90mol%のエチレン含有量を有するエチレン系ポリマー(EP)(ソフトコポリマー)と、(ii)アルファ-オレフィン系ポリマー(alpha-olefin-based polymer:AOP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90mol%を超えるアルファ-オレフィン含有量を有するアルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)(ハードコポリマー)と、(iii)エチレンブロック(ethylene block:EB)及びアルファ-オレフィンブロック(alpha-olefin block:AOB)を有するブロックコポリマー(ジブロックコポリマー)と、を含むポリマーを指し、ここで、ブロックコポリマーのエチレンブロックは、ブロック複合体の構成成分(i)のEPと同じ組成であり、ブロックコポリマーのアルファ-オレフィンブロックは、ブロック複合体の構成成分(ii)のAOPと同じ組成である。加えて、ブロック複合体中のEPの量とAOPの量との間の組成分配は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分配と本質的に同じであろう。本開示のブロック複合体の非限定的な例、並びにそれを調製するための方法は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,686,087号及び同第8,716,400号に開示されている。
【0020】
「特定のブロック複合体」(「specified block composite:SBC」)という用語は、3つのポリマー構成成分:(i)エチレン系ポリマー(EP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、78mol%~90mol%のエチレン含有量を有するエチレン系ポリマー(EP)(ソフトコポリマー)と、(ii)アルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、61mol%~90moi-l%のアルファ-オレフィン含有量を有するアルファ-オレフィン系ポリマー(AOP)(ハードコポリマー)と、(iii)エチレンブロック(ethylene block:EB)及びアルファ-オレフィンブロック(alpha-olefin block:AOB)を有するブロックコポリマー(ジブロックコポリマー)と、を含むポリマーを指し、ここで、ブロックコポリマーのエチレンブロックは、特定のブロック複合体の構成成分(i)のEPと同じ組成であり、ブロックコポリマーのアルファ-オレフィンブロックは、特定のブロック複合体の構成成分(ii)のAOPと同じ組成である。加えて、特定のブロック複合体中のEPの量とAOPの量との間の組成分配は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分配と本質的に同じであろう。本開示の特定のブロック複合体の非限定的な例、並びにそれを調製するための方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO2017/044547に開示されている。
【0021】
「結晶質ブロック複合体」(「crystalline block composite:CBC」)という用語は、3つのポリマー構成成分:結晶質エチレン系ポリマー(crystalline ethylene based polymer:CEP)中の重合モノマー単位の総モル数に基づいて、90mol%を超えるエチレン含有量を有する結晶質エチレン系ポリマー(CEP)と、(ii)結晶質アルファ-オレフィン系ポリマー(crystalline alpha-olefin based polymer:CAOP)であって、結晶質アルファ-オレフィン系コポリマー(crystalline alpha-olefin based copolymer:CAOP)中の重合モノマー単位の総モルに基づいて、90mol%超のアルファ-オレフィン含有量を有する、CAOPと、(iii)結晶質エチレンブロック(CEB)と結晶質アルファ-オレフィンブロック(CAOB)とを含むブロックコポリマーと、を含有するポリマーを指し、ここで、ブロックコポリマーのCEBは、結晶質ブロック複合体の成分(i)のCEPと同じ組成であり、ブロックコポリマーのCAOBは、結晶質ブロック複合体の構成成分(ii)のCAOPと同じ組成である。加えて、結晶質ブロック複合体中のCEPの量とCAOPの量との間の組成分配は、ブロックコポリマー中の対応するブロック間の組成分配と本質的に同じであろう。本開示の結晶質ブロック複合体の非限定的な例、並びにそれを調製するための方法は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,822,598(B2)号及び国際公開第2016/01028961(A1)号に開示されている。
【0022】
「プロピレン系ポリマー」は、ポリマーの重量に基づいて、過半量の重合プロピレンを含有し、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーの重合単位を更に含有し得る、ポリマーである。「プロピレン系インターポリマー」は、インターポリマーの重量に基づいて、過半量の重合形態のプロピレンを含有し、少なくとも1つのコモノマーの重合単位を更に含有する、インターポリマーである。「プロピレンホモポリマー」は、プロピレンから誘導された繰り返し単位を含むが、残留量の他の成分を含むポリマーである。
【0023】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語は、過半重量パーセントのプロピレン(インターポリマーの重量に基づく)、及びアルファ-オレフィン(ここで、エチレンはアルファ-オレフィンと見なされる)である少なくとも1つのコモノマーを重合形態で含むポリマーを指す。プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、ランダム又はブロックインターポリマーであり得る。「プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」という用語は、「プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマー」という用語を含む。
【0024】
本明細書で使用される場合、「プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマー」という用語は、過半重量パーセントのプロピレン(コポリマーの重量に基づいて)、及びアルファ-オレフィンであるコモノマーを重合形態で含むコポリマーを指し、プロピレン及びアルファ-オレフィンは唯一の2つのモノマー種類である。プロピレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、ランダム又はブロックコポリマーであり得る。
【0025】
用語「ポリメリル」、「ポリメリル基」などの用語は、1つの水素を欠くポリマーを指す。
【0026】
用語「ポリオレフィニル」、「ポリオレフィニル基」などの用語は、1つの水素を欠くポリオレフィンを指す。
【0027】
窒素媒介重合(NMP)
本開示の方法の工程a)は、ニトロキシド媒介重合を介して官能化ポリアクリレートを形成することを対象とする。具体的には、本方法の工程a)は、アクリレートモノマー及びニトロキシド開始剤を含むNMP材料を組み合わせることによってニトロキシド媒介重合(NMP)を実施し、それによって、ニトロキシド高分子開始剤を形成することを対象とする。工程a)のためのNMP重合に好適な技術としては、例えば、「J.Am.Chem.Soc」、第121巻第3904~3920頁(1999年)及び米国特許第4,581,429号に記載されている技術を挙げることができ、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
ある特定の実施形態では、工程a)のアクリレートモノマーは、式(III)を有し、
【化1】
式中、R1は、C1~C30ヒドロカルビル基である。
【0029】
ある特定の実施形態では、R1は、線状、分岐状、又は環式であり得るC1~C30ヒドロカルビル基である。更なる実施形態では、R1は、線状、分岐状、又は環式であり得るC1~C30アルキル基である。例えば、R1は、1~30個の炭素原子、又は1~20個の炭素原子、又は1~10個の炭素原子、又は1~8個の炭素原子を含む線状、分岐、又は環式アルキル基であり得る。
【0030】
ある特定の実施形態では、ニトロキシド開始剤は、式(IV)を有し:
【化2】
Zは、少なくとも1つの炭素原子を有する基を表し、並びにZに由来するフリーラジカルZは、フリーラジカル重合によって式(III)のアクリレートモノマーの重合を開始することができ、かつラジカル官能基が炭素原子に存在するようなものであり;
R16、R15、R12、及びR11は、式(IV)の化合物のO-Z結合の立体障害及び弱化をもたらすのに充分な鎖長である、同じ又は異なる直鎖又は分岐状の置換又は非置換アルキル基を表し;並びに、
R14及びR13は、同じ若しくは異なる直鎖若しくは分岐状置換アルキル基を表すか、又はR14CNCR13は、別の飽和若しくは芳香環と縮合し得る環状構造の一部であってもよく、環状構造又は芳香環は、任意選択的に置換されている。
【0031】
式(IV)のニトロキシド開始剤の例としては、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,581,429号に開示されているものが含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
ある特定の実施形態では、工程a)で形成されたニトロキシド高分子開始剤は、式(V)を有し:
【化3】
Zは、少なくとも1つの炭素原子を有する基を表し、並びにZに由来するフリーラジカルZは、フリーラジカル重合によって式(III)のアクリレートモノマーの重合を開始することができ、かつラジカル官能基が炭素原子に存在するようなものであり;
R16、R15、R12、及びR11は、式(IV)の化合物のO-Z結合の立体障害及び弱化をもたらすのに充分な鎖長である、同じ又は異なる直鎖又は分岐状の置換又は非置換アルキル基を表し;
R14及びR13は、同じ若しくは異なる直鎖若しくは分岐状置換アルキル基を表すか、又はR14CNCR13は、別の飽和若しくは芳香環と縮合し得る環状構造の一部であってもよく、環状構造又は芳香環は、任意選択的に置換されており;
R1は、C1~C30ヒドロカルビル基であり;並びに、
nは、2~500である。
【0033】
式(V)のニトロキシド高分子開始剤のR1は、式(III)のアクリレートモノマーのR1と同じである(かつ、式(III)のアクリレートモノマーの任意の実施形態であってもよい)。
【0034】
ある特定の実施形態では、本方法の工程a)は、ニートな状態で実施されてもよい。更なる実施形態では、本方法の工程a)におけるNMP材料は、炭化水素溶媒などの溶媒を更に含む。
【0035】
ある特定の実施形態では、本方法の工程a)は、活性ニトロキシドラジカルを生成するのに充分高い温度で実施される。例えば、限定するものではないが、本方法の工程a)は、100~150℃の温度で実施されてもよい。
【0036】
エンドキャッピング
本方法の工程b)は、アルファ-(アルキル)アクリレート又はアルファ-(ポリメリル)アクリレートなどのアルファ置換アクリレートを用いた官能化ポリアクリレートをエンドキャッピングして、オレフィン-アクリレートジブロックコポリマーを形成することを対象とする。具体的には、本方法の工程b)は、式(V)のアルファ置換アクリレート及びニトロキシド高分子開始剤を含むエンドキャッピング反応材料を組み合わせ、それによって、オレフィン-アクリレートジブロックコポリマーを形成することを対象とする。
【0037】
ある特定の実施形態では、アルファ置換アクリレートは、式(II)を有し:
【化4】
式中、Rは、C1~C26ヒドロカルビル基又はポリオレフィニル基であり;並びに、
R1は、C1~C30ヒドロカルビル基である。
【0038】
R1は、上記の任意の実施形態であってもよい。
【0039】
ある特定の実施形態では、Rは、C1~C26ヒドロカルビル基である。RがC1~C26ヒドロカルビル基である実施形態では、Rは、線状、分岐、又は環式であり得るC1~C26アルキル基であり得る。例えば、Rは、1~26個の炭素原子、又は1~10個の炭素原子、又は1~8個の炭素原子を含む線状、分岐、又は環式アルキル基であり得る。
【0040】
更なる実施形態では、Rは、ポリオレフィニル基である。ある特定の実施形態では、Rは、R-Hの特性によって定義され得るポリオレフィニル基であり、R-Hは、365g/mol超の数平均分子量を有する。更なる実施形態では、Rは、R-Hの特性によって定義され得るポリオレフィニル基であり、R-Hは、365g/mol~10,000,000g/mol超、又は365g/mol~5,000,000g/mol超、又は365g/mol~1,000,000g/mol超、又は365g/mol~750,000g/mol超、又は365g/mol~500,000g/mol超、又は365g/mol~250,000g/mol超の数平均分子量を有する。
【0041】
更なる実施形態では、Rは、R-Hの特性によって定義され得るポリオレフィニル基であり、R-Hは、0.850~0.965g/cc、又は0.860~0.950g/cc、又は0.865~0.925g/ccの密度を有する。
【0042】
更なる実施形態では、Rは、R-Hの特性によって定義され得るポリオレフィニル基であり、R-Hは、0.01~2,000g/10分、又は0.01~1,500g/10分、又は0.1~1,000g/10分、又は0.1~500g/10分、又は0.1~100g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0043】
更なる実施形態では、Rは、R-Hの特性によって定義され得るポリオレフィニル基であり、R-Hは、1~10、又は1~7、又は1~5、又は2~4の数平均分子量分布(Mw/Mn又はPDI)を有する。
【0044】
ある特定の実施形態では、Rは、エチレンから誘導された単位を含むエチレンホモポリメリル基である。
【0045】
ある特定の実施形態では、Rは、エチレン及び少なくとも1つのC3~C30アルファ-オレフィンに由来する単位を含む、エチレン/アルファ-オレフィンインターポリメル基である。C3~C30アルファ-オレフィンは、例えば、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、又は1-オクタデセンであってもよい。
【0046】
ある特定の実施形態では、Rは、エチレン及びC3~C30アルファ-オレフィンに由来する単位を含む、エチレン/アルファ-オレフィンコポリメル基である。C3~C30アルファ-オレフィンは、例えば、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、又は1-オクタデセンであってもよい。
【0047】
ある特定の実施形態では、Rは、本明細書で定義されるようなエチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリマー又はオレフィンブロックコポリメル基である。
【0048】
更なる実施形態では、Rは、本明細書で定義されるブロック複合体、特定のブロック複合体、又は結晶質ブロック複合体のポリメリル基である。
【0049】
ある特定の実施形態では、Rは、プロピレンから誘導された単位を含むプロピレンホモポリメリル基である。
【0050】
ある特定の実施形態では、Rは、エチレン又はC3~C30アルファ-オレフィンであるプロピレン及び少なくとも1つのコモノマーに由来する単位を含む、プロピレン/アルファ-オレフィンインターポリマー基である。C3~C30アルファ-オレフィンは、例えば、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、又は1-オクタデセンであってもよい。
【0051】
ある特定の実施形態では、Rは、エチレン又はC3~C30アルファ-オレフィンであるプロピレン及びコモノマーに由来する単位を含む、プロピレン/アルファ-オレフィンコポリメリル基である。C3~C30アルファ-オレフィンは、例えば、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、又は1-オクタデセンであってもよい。
【0052】
式(II)のアルファ置換アクリレートは、任意の方法によって調製され得る。式(II)のアルファ置換アクリレートを調製するための非限定的な方法は、同時係属中の米国仮特許出願第62/954,941号及び同第62/954,956号に開示されている方法である。例えば、式(II)のアルファ置換アクリレートは、アルファ-(ハロメチル)アクリレートを含む材料と、式RZn又はRA1(式中、Rは本明細書で定義されるとおりである)の有機金属化合物とを組み合わせることによって、調製され得る。このような非限定的な方法では、求核置換反応が起こり、これによって、ハロゲンは、式RZn又はRA1の有機金属化合物のRで置き換えられる脱離基である。
【0053】
ある特定の実施形態では、本方法の得られたオレフィン-アクリレートジブロックコポリマーは、式(VI)を有する。
【化5】
【0054】
明らかに、Z、R、R1、R11~R16の各々、及び式(VI)のオレフィン-アクリレートジブロックコポリマーのnは、本方法の工程a)及び工程b)に関連して上で定義したとおりである。
【0055】
ある特定の実施形態では、本方法の工程b)は、ニートな状態で実施されてもよい。更なる実施形態では、本方法の工程b)におけるエンドキャッピング反応材料は、炭化水素溶媒などの溶媒を更に含む。
【0056】
ある特定の実施形態では、本方法の工程b)は、活性ニトロキシドラジカルを生成するのに充分高い温度で実施される。例えば、限定するものではないが、本方法の工程(c)は、100~150℃の温度で実施されてもよい。
【0057】
本方法は、記載され得るが以下のスキームに限定されず、「制御ラジカル重合」は、上記のようなニトロキシド媒介重合を指す。
【化6】
【0058】
本開示の特定の実施形態には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
1.オレフィン-アクリレートジブロックコポリマーを調製するための方法であって、以下:
a)アクリレートモノマー及びニトロキシド開始剤を含むニトロキシド媒介重合(NMP)材料を組み合わせることによってNMPを実施し、それによって、ニトロキシド高分子開始剤を形成することと、
b)アルファ置換アクリレート及びニトロキシド高分子開始剤を含むエンドキャッピング反応材料を組み合わせ、それによって、オレフィン-アクリレートジブロックコポリマーを形成することと、
を含む、方法。
2.
アルファ置換アクリレートが、式(II)を有し、
【化7】
アクリレートモノマーが、式(III)を有し、
【化8】
ニトロキシド開始剤が、式(IV)を有し、
【化9】
ニトロキシド高分子開始剤が、式(V)を有し、
【化10】
オレフィン-アクリレートジブロックコポリマーが、式(VI)を有し、
【化11】
各R1が、独立して、C1~C30ヒドロカルビル基であり;
各Rが、独立して、C1~C26ヒドロカルビル基又はポリオレフィニル基であり;
各Zが、独立して、少なくとも1つの炭素原子を有する基を表し、並びにZに由来するフリーラジカルZが、フリーラジカル重合によって式(III)のアクリレートモノマーの重合を開始することができ、かつラジカル官能基が炭素原子に存在するようなものであり;
各R16、R15、R12、及びR11が、式(IV)の化合物のO-Z結合の立体障害及び弱化をもたらすのに充分な鎖長である、同じ又は異なる直鎖又は分岐状の置換又は非置換アルキル基を表し;
各R14及びR13が、同じ若しくは異なる直鎖若しくは分岐状置換アルキル基を表すか、又はR14CNCR13が、別の飽和若しくは芳香環と縮合し得る環状構造の一部であってもよく、環状構造又は芳香環が、任意選択的に置換されており;並びに、
nは、2~500である、実施形態1に記載の方法。
3.各R1が、独立して、C1~C30、又はC1~C10、又はC1~C8、線状、分岐、若しくは環式であるアルキル基である、実施形態1~2のいずれか一項に記載の方法。
4.各Rが、独立して、C1~C26ヒドロカルビル基である、実施形態1~3のいずれか一項に記載の方法。
5.各Rが、独立して、線状、分岐、又は環式であるC1~C30、又はC1~C10、又はC1~C8アルキル基である、実施形態4に記載の方法。
6.各Rが、独立して、ポリオレフィニル基である、実施形態1~3のいずれか一項に記載の方法。
7.ポリオレフィニル基が、エチレン系ポリメリル基である、実施形態6に記載の方法。
8.ポリオレフィニル基が、エチレンから誘導された単位を含むエチレンホモポリメリル基である、実施形態7に記載の方法。
9.ポリオレフィニル基が、エチレン及びC3~C30アルファ-オレフィンから誘導された単位を含むエチレン/アルファ-オレフィンインターポリメル基である、実施形態7に記載の方法。
10.ポリオレフィニル基が、エチレン及びC3~C30アルファ-オレフィンから誘導された単位を含むエチレン/アルファ-オレフィンコポリメル基である、実施形態7に記載の方法。
11.C3~C30アルファ-オレフィンが、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される、実施形態9又は10に記載の方法。
12.ポリオレフィニル基が、エチレン/アルファ-オレフィンマルチブロックインターポリメリル基である、実施形態7に記載の方法。
13.ポリオレフィニル基が、ブロック複合体、特定のブロック複合体、及び結晶質ブロック複合体のポリメリル基からなる群から選択される、実施形態6に記載の方法。
14.ポリオレフィニル基が、プロピレン系ポリメリル基である、実施形態6に記載の方法。
15.ポリオレフィニル基が、プロピレンから誘導された単位を含むプロピレンホモポリメリル基である、実施形態14に記載の方法。
16.ポリオレフィニル基が、プロピレン及びエチレン又はC4~C30アルファ-オレフィンのいずれかから誘導された単位を含むプロピレン/アルファ-オレフィンインターポリメリル基である、実施形態14に記載の方法。
17.ポリオレフィニル基が、プロピレン及びエチレン又はC4~C30アルファ-オレフィンのいずれかから誘導された単位を含むプロピレン/アルファ-オレフィンコポリメリル基である、実施形態14に記載の方法。
18.C4~C30アルファ-オレフィンが、1-ブテン、1-ヘキセン、及び1-オクテンからなる群から選択される、実施形態16又は17に記載の方法。
19.ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって定義することができ、R-Hが、365g/mol超の数平均分子量を有する、実施形態6~18のいずれか一項に記載の方法。
20.ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって定義することができ、R-Hが、365g/mol~10,000,000g/mol超、又は365g/mol~5,000,000g/mol超、又は365g/mol~1,000,000g/mol超、又は365g/mol~750,000g/mol超、又は365g/mol~500,000g/mol超、又は365g/mol~250,000g/mol超の数平均分子量を有する、実施形態6~19のいずれか一項に記載の方法。
21.ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって定義することができ、R-Hが、0.850~0.965g/cc、又は0.860~0.950g/cc、又は0.865~0.925g/ccの密度を有する、実施形態6~20のいずれか一項に記載の方法。
22.ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって定義することができ、R-Hが、0.01~2,000g/10分、又は0.01~1,500g/10分、又は0.1~1,000g/10分、又は0.1~500g/10分、又は0.1~100g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、実施形態6~21のいずれか一項に記載の方法。
23.ポリオレフィニル基が、R-Hの特性によって定義することができ、R-Hが、1~10、又は1~7、又は1~5、又は2~4の数平均分子量分布(Mw/Mn)を有する、実施形態6~22のいずれか一項に記載の方法。
24.工程a)及び工程b)の各々が、100℃~150℃の温度で実施される、実施形態1~23のいずれか一項に記載の方法。
26.アルファ置換アクリレートが、アルファ-(ハロメチル)アクリレートを含む出発材料と、式RZn又はR3A1の有機金属化合物とを合わせることを含む方法によって調製され、式中、アルファ-(ハロメチル)アクリレートは、式(I)を有し:
式中、
【化12】
Xが、ハロゲンである、
実施形態1~25のいずれか一項に記載の方法。
【0059】
試験方法
密度:
密度は、ASTM D-792の方法Bに従って測定する。
メルトインデックス
【0060】
メルトインデックス(I)は、参照により全体が本明細書に組み込まれるASTM D-1238に準拠して、190℃/2.16kgの条件下で測定し、10分当たりに溶出されるグラム数で報告する。
GPC
【0061】
以下に従ってGPCを介して、試料ポリマーのそれらの特性について試験した。
【0062】
PolymerChar Inc(Valencia、スペイン)からの赤外線濃度検出器(IR-5)からなる高温ゲル浸透クロマトグラフィーシステム(GPC IR)が、分子量(MW)及び分子量分布(MWD)の決定に使用された。担体溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)であった。オートサンプラーコンパートメントは160℃で操作され、カラムコンパートメントが150℃で操作された。使用したカラムは、4つのPolymer Laboratories Mixed A LS、20ミクロンカラムであった。クロマトグラフィー溶媒(TCB)及び試料調製溶媒は、250ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及び窒素を散布した同じ溶媒源からであった。試料は、TCB中で2mg/mLの濃度で調製された。160℃で2時間、ポリマー試料を穏やかに振とうさせた。注入量は200μLで、流量は1.0mL/分であった。
【0063】
GPCカラムセットの較正は、21の狭い分子量分布のポリスチレン標準物を用いて実施した。標準物の分子量は、580~8,400,000g/molの範囲であり、個々の分子量は少なくとも一桁の間隔で、6つの「カクテル」混合物に配置した。
【0064】
実施例を実行する前に、21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を実行することによって、GPCカラムセットを較正した。標準物質の分子量(Mw)は、1モル当たり580-8,400,000グラム(g/mol)の範囲であり、標準は6つの「カクテル」混合物に含有された。各標準混合物は、個々の分子量間で少なくとも一桁の間隔を有した。標準混合物は、Polymer Laboratories(シュロップシャー、UK)から購入した。ポリスチレン標準物質を、1,000,000g/mol以上の分子量について50mLの溶媒中0.025グラム、及び1,000,000g/mol未満の分子量について50mLの溶媒中0.05グラムで調製した。ポリスチレン標準を、30分間優しくかき混ぜながら、80℃で溶解した。狭い標準混合物を最初に、かつ分解を最小限に抑えるために最高分子量(Mw)構成成分を減少させる順序で実行した。ポリスチレン標準ピーク分子量は、Mark-Houwink定数を用いてポリエチレンMwに変換された。定数を得たら、溶出カラムの関数としてのポリエチレン分子量及びポリエチレン固有粘度に関する2つの線形基準通常較正を構築するために2つの値を使用した。
【0065】
ポリスチレン標準ピーク分子量を、以下の式を使用してポリエチレン分子量に変換した(Williams and Ward,J.Polym.Sci,Polym.Let.、第6巻第621頁(1968年)に記載):
【数1】
【0066】
ここで、Bの値は1.0であり、Aの実験的に決定された値は約0.41である。
【0067】
三次多項式が使用され、方程式(1)から得られたそれぞれのポリエチレン等価較正点を、それらの観察されたポリスチレン標準の溶出堆積に適合させた。
【0068】
数平均、重量平均、及びz平均分子量は、以下の式に従って計算した:
【数2】
【0069】
式中、Wfは、i番目の構成成分の重量分率であり、Mは、i番目の構成成分の分子量である。
【0070】
MWDは、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比として表した。
【0071】
正確なA値は、方程式(3)を使用して計算されたMw及び対応する保持堆積多項式が、標準線状ポリエチレンホモポリマー参照物の既知のMw値120,000g/molに一致するまで、方程式(1)のA値を調整することにより決定された。
【0072】
GPCシステムは、搭載型示差屈折率検出器(RI)を装備した、Waters(Milford、Mass.)150℃高温クロマトグラフ(他の好適な高温GPC機器としては、Polymer Laboratories(Shropshire、UK)モデル210及びモデル220が挙げられる)から成る。追加の検出器には、Polymer ChAR(Valencia、スペイン)、Precision Detectors(Amherst、Mass.)2角レーザー光散乱検出器モデル2040、及びViscotek(Houston、Tex.)150R 4-キャピラリー溶液粘度計からIR4赤外線検出器を挙げることができた。最後の2つの独立した検出器と、少なくとも1つの最初の検出器と、を有するGPCは、時に「3D-GPC」と称されるが、用語「GPC」単独では一般に従来のGPCを指す。試料に応じて、光散乱検出器の15度又は90度のいずれかが計算のために使用された。
【0073】
データ収集は、Viscotek TriSEC software,Version 3及び4-channel Viscotek Data Manager DM400を用いて実施した。このシステムには、Polymer Laboratories(シュロップシャー、UK)製のオンライン溶媒脱気機器も備わっていた。4つの長さ30cmのShodex HT803 13ミクロンカラム又は4つの20ミクロンの混合細孔サイズパッキングの30cmのPolymer Labカラムなどの好適な高温GPC(MixA LS、Polymer Lab)カラムを使用することができた。試料のカルーセルコンパートメントを140℃で操作し、カラムコンパートメントは150℃で操作した。試料は、50ミリリットルの溶媒中0.1グラムのポリマーの濃度で調製された。クロマトグラフ溶媒及び試料調製溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する。両方の溶媒に窒素を散布した。ポリエチレン試料を160℃で4時間(4h)優しく撹拌した。注入量は200マイクロリットル(μL)であった。GPCを通る流量を、1ml/分に設定した。
【0074】
NMR(13C及びH):
NMR分析は、クロロホルム又はベンゼンなどの標準NMR溶媒を用いて室温にて実施し、データをVarian 500MHz分光計で取得した。
【0075】
拡散NMR:実験は2048スキャン及び15秒の繰り返し時間を採用した。スペクトルは90ppmを中心とし、240ppmの帯域幅を覆った。自己拡散係数(D)は、二重刺激エコーを備えたパルス場勾配NMRを用いて1H及び13C検出された拡散によって測定されて、熱対流による任意のアーチファクトを軽減した。一般に、本方法は、磁場の空間変動、すなわち磁場勾配(g)を利用して、明確に定義された時間間隔の間に分子アンサンブルの空間位置を物理的に標識し、それによって、NMRピーク強度を各分子の自己拡散(D)に結合させた。[4]Dは、Stejskal-Tanner方程式を用いて定量化され(式1)、I及びI0が勾配を有する/有しないNMRシグナル強度を表し、γは核の磁気回転比であり、gは勾配強度であり、δは勾配パルス持続時間であり、Δは拡散時間である。同じ分子からのピークが同じDをもたらす必要があることを念頭に置いて、そのような方法は、スペクトル分解能を摂動することなく、各ピークに関連するDによるNMRピークの固有の分離を可能にする。この方法は、本質的にまた、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)の類似体と見なすこともでき、すなわち大分子は早期に遅延/溶出するか、又はその逆である。したがって、測定は、ポリマー骨格がD末端対D骨格を比較することによって特定の末端基によってキャップされているかどうかを明らかにするための明示的な分子間情報を提供する。
【数3】
【0076】
GCMS:
電子衝撃イオン化(EI)を用いたタンデムガスクロマトグラフィー/低分解能質量分析は、Agilent Technologies 5975不活性XL質量選択検出器及びAgilent Technologies Capillaryカラム(HP1MS、15m×0.25mm、0.25ミクロン)を装備したAgilent Technologies 6890Nシリーズガスクロマトグラフ上で70eVにて、以下に関して実施される:
プログラムされた方法:
50℃で0.5分間のオーブン平衡化時間
次いで、200℃まで25℃/分、及び5分間保持
実行時間11分
【実施例
【0077】
以下の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を説明することを意図しており、本特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものとして解釈してはならない。
【0078】
特に明記しない限り、全ての材料及び試薬は、例えば、SigmaAldrichから市販されている。
【0079】
実施例1
【化13】
実施例1の反応は、不活性窒素雰囲気グローブボックス下において、例示的かつ非限定的な上記の反応スキーム下で実施した。Isopar(商標)E(1.76mmol)中の0.30Mジオクチルジン溶液5.88mLを、20mLバイアルに添加した。溶液を60℃に加熱した。0.500gのメチル2-(クロロメチル)アクリレート(3.72mmol、2当量)を熱いジオクチルジン溶液に滴加した。ゆっくりとした添加の過程で、溶液は淡褐色から透明になり、可視白色沈殿物で濁った。数分後、沈殿物は、バイアルの底部に粘着性の黄色の残留物として定着した。60℃で48時間後、83mgのヘキサメチルベンゼン(0.511mmol)をNMR内部標準として添加した。NMR変換率は62.6%と計算された。NMR分析を図1A及び図1Bに示す。反応アリコートのGC-MSは、所望の生成物の形成を示した(より低い保持時間ピークはIsopar(商標)Eに対応する)。反応物を水でクエンチした。Zn塩を除去するための精製及び内部標準を、ヘキサン混合物中2%酢酸エチルで溶出するカラムクロマトグラフィーによって行った。405mgの生成物を単離した(51%)。
実施例2
【化14】
【0080】
反応は、「J.Am.Chem.Soc.」、第121巻3904~3920(1999年)に記載されているNMP手順を用いて窒素雰囲気グローブボックス中で行った。t-ブチルアクリレートをアルミナカートリッジに通して阻害剤を除去した。ユニバーサル開始剤2,2,5-トリメチル-4-フェニル-3-アザヘキサン-3-ニトロオキシド(0.150g、0.461mmol)、対応するニトロキシド(0.005g、0.023mmol、0.05当量)、及びt-ブチルアクリレート(3.4mL、23.424mmol、50.8当量)を、撹拌棒を備えた20mLバイアルに添加した。初期試料を除去した。反応物を125℃に加熱して重合を開始した。NMRが50%のモノマー変換率(16時間)を示した後、バイアルを液体窒素に迅速に浸漬することによって重合をクエンチした。反応混合物をTHF中に溶解し、水/MeOH(v:v/1:4)中に沈殿させて、白色固体としてポリ(t-ブチルアクリレート)を得た。GPC(エンドキャッピング前):Mw=5462、Mn=4650、及びPDI=1.18。
【0081】
エンドキャッピングでは、ポリマーをグローブボックスに戻し、およそ3mLのトルエン中に溶解した。トルエン溶液を、バイアルからキャップを外して10分間撹拌することにより、ポリマーを脱気した。エンドキャップを加えた後、反応物を125℃まで加熱した。96時間後、反応は、ビニル領域におけるプロトンの消失、及び4.20ppmでのメチンプロトンの対応する消失に基づいて完了したようだった。バイアルをヒートブロックから取り出し、20mLのTHF中に再溶解した。溶液をアルミナプラグに通し、ポリマーをrotovap上で溶媒を除去し、クロロベンゼンで数回洗浄して残留トルエン及びTHFを除去し、70℃で一晩真空乾燥することによって、ポリマーを回収した。GPC(エンドキャッピング後):Mw=6228、Mn=4736、及びPDI=内部標準1.32。
図1A
図1B
【国際調査報告】