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特表2023-508193ケラチン繊維をコンディショニングするための組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-01
(54)【発明の名称】ケラチン繊維をコンディショニングするための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/891 20060101AFI20230221BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 8/33 20060101ALI20230221BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20230221BHJP
   A61K 8/892 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
A61K8/891
A61K8/37
A61K8/33
A61Q5/12
A61K8/892
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539229
(86)(22)【出願日】2019-12-25
(85)【翻訳文提出日】2022-08-22
(86)【国際出願番号】 CN2019128218
(87)【国際公開番号】W WO2021128055
(87)【国際公開日】2021-07-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジュンリアン・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】イ・ファン
(72)【発明者】
【氏名】シャオイン・ジョウ
(72)【発明者】
【氏名】ジェシカ・ユアン
(72)【発明者】
【氏名】アミット・ジャヤスワル
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC342
4C083AC421
4C083AC422
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD162
4C083BB11
4C083CC33
4C083DD23
4C083DD28
4C083DD30
4C083EE06
4C083EE28
(57)【要約】
本発明は、ケラチン繊維をコンディショニングするための組成物であって、油性相にa)少なくとも1種のシリコーン樹脂、b)少なくとも1種のトリグリセリド、及びc)少なくとも1種のジアルキルエーテルを含む、組成物に関する。本発明はまた、ケラチン繊維をケアするための美容方法であって、前記組成物を該ケラチン繊維に塗布する工程を少なくとも含む、美容方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維をコンディショニングするための組成物であって、油性相に
a)少なくとも1種のシリコーン樹脂、
b)少なくとも1種のトリグリセリド、及び
c)少なくとも1種のジアルキルエーテル
を含む、組成物。
【請求項2】
無水である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
シリコーン樹脂がMQタイプシリコーン樹脂から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
シリコーン樹脂が、シロキシシリケート樹脂、好ましくはトリメチルシロキシシリケート樹脂である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
シリコーン樹脂が、組成物の質量に対して、0.5質量%~10質量%、好ましくは0.8質量%~5質量%、より好ましくは1質量%~4質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
トリグリセリドが以下の式(I):
CH2(OOCR1)CH(OOCR2)CH2(OOCR3) (I)
(式中、R1、R2及びR3は、独立して、C6~C30アルキル及びC6~C30アルケニルから選ばれる)
を有し、好ましくは、トリグリセリドがカプリン酸/カプリン酸トリグリセリドである、
請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
トリグリセリドが、組成物の総質量に対して、10質量%~40質量%、より好ましくは15質量%~30質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ジアルキルエーテルが、以下の式(II):
R4-O-R5 (II)
(式中、
R4及びR5は、同一であっても異なってもよく、直鎖状又は分枝状のC6~C25アルキル基又はアルケニル基を示す)
を有し、好ましくは、ジアルキルエーテルがジオクチルエーテルである、
請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ジアルキルエーテルが、組成物の総質量に対して、5質量%~30質量%、より好ましくは8質量%~18質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
8~16個の炭素原子を含む分枝状アルカン油、ジメチルシラノール末端基を任意選択で含むポリジメチルシロキサン、及びこれらの混合物から選択される追加の油を更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
50質量%~60質量%の、8~16個の炭素原子を含む分枝状アルカン油と、10質量%~20質量%の、ジメチルシラノール末端基を任意選択で含むポリジメチルシロキサンとを更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
リーブオン油である、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ケラチン繊維をコンディショニングするための組成物であって、組成物の総質量に対して、
a)1質量%~4質量%の、少なくとも1種のMQタイプシリコーン樹脂、
b)15質量%~30質量%の、以下の式(I):
CH2(OOCR1)CH(OOCR2)CH2(OOCR3) (I)
(式中、R1、R2及びR3は、独立して、C6~C10アルキル及びC6~C10アルケニルから選ばれる)
を有するものから選択される少なくとも1種のトリグリセリド、
c)8質量%~18質量%の、以下の式(II):
R4-O-R5 (II)
(式中、R4及びR5は、同一であっても異なってもよく、直鎖状又は分枝状のC6~C12アルキル基又はアルケニル基を示す)
を有するものから選択される少なくとも1種のジアルキルエーテル、並びに
d)50質量%~60質量%の、8~16個の炭素原子を含む少なくとも1種の分枝状アルカン油
を含む、組成物。
【請求項14】
ケラチン繊維をコンディショニングするための美容方法であって、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物を前記ケラチン繊維に塗布する工程を含む、美容方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維をコンディショニングするための組成物に関する。本発明はまた、ケラチン繊維をコンディショニングするための美容方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン基質、例えば、毛髪、皮膚、爪、及び唇等のケラチン繊維の外観及び/又は状態は、外因性要因と、加齢等の内因性要因との両方による影響をしばしば受ける。特に、ケラチン基質が環境条件に、例えば、高湿度若しくは低湿度、又は太陽からの紫外線照射に曝露された場合、これらの基質は、望ましい特性の多くを失うことがあり、損傷することさえある。ケラチン繊維、とりわけ毛髪は、太陽、例えば洗浄剤、漂白、縮毛矯正(relaxing)、染色及びパーマネントウェ-ブからの化学的損傷、例えば毛髪用ドライヤー又はカーラーからの熱、並びに例えばブラッシング又は身だしなみ活動からの機械的ストレス又は摩耗等、過酷な外因性条件に絶えず曝露される。加えて、いずれのタイプの毛髪も、加齢によって、並びに/又は自然のべとつき、汗、頭皮からの皮膚細胞の剥落、汚れ、垢、及び極端な湿度条件等の要因に起因して、質及び/又は量が経時的に減少しうる。
【0003】
上に記載した要因は、細い毛髪を生じ、且つ/又は毛髪の視覚的外観及び感触を損なうことがあり、こしのなさ(lank body)及び体積の減少をもたらすことがある。例えば、毛髪が乾燥して光沢若しくは色を失うことがあり、又は縮毛となって低湿度及び高湿度条件下では扱いづらくなることがある。低湿度条件下では、毛髪が乾燥することがあり、乾燥した毛髪は光沢が少なく、より脆い傾向にある。反対に、高湿度条件下では、毛髪が水を吸収する傾向にあり、形状を損なって扱いづらくなり、魅力の低下を招くことがある。更に、ブラッシング及び熱の適用等の毛髪への物理的ストレスに起因して、毛髪が望ましい特質を失うことがある。以上のように、これらの要因は一般に、毛髪の表面の保護物質(キューティクル)に影響を及ぼすこと、又は毛髪の繊維を内部的に(皮質)変質させることのいずれかによって、ケラチン繊維への損傷をもたらす。
【0004】
したがって、毛髪コンディショニングの便益を提供する製品を有することは、非常に望ましい。
【0005】
毛髪ケア特性を毛髪に与えるために、シャンプー又はリンスをした後の毛髪に使用することができる、毛髪コンディショナー又は毛髪マスク(masque/mask)製品を用いることは一般的である。伝統的なコンディショナー及びマスクは、コンディショニング、平滑化、軟化、及び視覚的滑らかさを毛髪に提供し、これらは一般にリンスオフ製品である。
【0006】
しかしながら、いくつかの成分は、例えばすすぎ又は洗浄によって、容易に毛髪から除去されうる。したがって、このような製品から毛髪への美容上の便益はいずれも、一般に、毛髪をすすぐ又は洗浄すると、減少する又は除去される。
【0007】
したがって、毛髪コンディショニングの便益を効果的に提供し、毛髪に軽く清浄な感触を与える、毛髪をコンディショニングするための組成物を開発することが、依然として必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第2676182号
【特許文献2】米国特許第3627851号
【特許文献3】米国特許第3772247号
【特許文献4】米国特許第5248739号
【特許文献5】米国特許第5082706号
【特許文献6】米国特許第5319040号
【特許文献7】米国特許第5302685号
【特許文献8】米国特許第4935484号
【特許文献9】米国特許第5817302号
【特許文献10】米国特許第5246694号
【特許文献11】米国特許第5110890号
【特許文献12】国際特許出願第2005/075542号
【特許文献13】ドイツ特許第4127230号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、第15巻、John Wiley and Sons社、New York、(1989年)、265~270頁
【非特許文献2】CTFA Cosmetic Ingredient Handbook
【非特許文献3】Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968年)、Academic Press社
【非特許文献4】Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、毛髪コンディショニングの便益を効果的に提供し、毛髪に軽く清浄な感触を与える、毛髪をコンディショニングするための組成物を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、第1の態様によれば、本発明は、ケラチン繊維をコンディショニングするための組成物であって、油性相に
a)少なくとも1種のシリコーン樹脂、
b)少なくとも1種のトリグリセリド、及び
c)少なくとも1種のジアルキルエーテル
を含む、組成物を提供する。
【0012】
第2の態様によれば、本発明は、ケラチン繊維をコンディショニングするための美容方法であって、上に記載した組成物をケラチン繊維に塗布することを含む、美容方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明者らは、a)少なくとも1種のシリコーン樹脂、b)少なくとも1種のトリグリセリド、及びc)少なくとも1種のジアルキルエーテルの組合せによって、組成物が、ケラチン繊維コンディショニングの便益を効果的に提供し、ケラチン繊維に軽く清浄な感触を与えることを見出した。
【0014】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の説明及び実施例を読むことにより、より明らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において使用する場合、別段の指示がない限り、値の範囲の境界は、特に「…から…の間」及び「…から…まで」という表現において、その範囲内に含まれる。
【0016】
本明細書において使用する場合、「含む(comprising)」という用語は、すべての具体的に言及される特徴部に加えて、任意選択の、追加の、不特定の特徴部を包含するものと解釈されたい。
【0017】
本明細書において使用する場合、「含む(comprising)」という用語の使用はまた、具体的に言及される特徴部以外の特徴部が存在しない(すなわち「~からなる」)実施形態を開示している。
【0018】
別段定義されない限り、本明細書において使用するすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと、同じ意味を有する。本記載における用語の定義が、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解される意味と相反する場合、本明細書に記載する定義が適用されるものとする。
【0019】
別段の定めがない限り、本記載及び特許請求の範囲において使用する成分の量等を表すすべての数値は、「約」という用語によって修飾されているものと理解されたい。したがって、反対の指示がない限り、本明細書に記載する数値及びパラメータは概算値であり、必要な場合に得られる望ましい性能に従って、変更することができる。
【0020】
本明細書において使用する場合、本記載において使用する「少なくとも1つ」という表現は、「1つ又は複数」という表現と同等であり、これで代替してもよい。
【0021】
本明細書において使用する場合、「ケラチン繊維」という用語は、動物性ケラチン繊維と、毛髪等のヒトのケラチン繊維とを含む。
【0022】
本発明の第1の態様によれば、ケラチン繊維をコンディショニングするための組成物は、油性相に
a)少なくとも1種のシリコーン樹脂、
b)少なくとも1種のトリグリセリド、及び
c)少なくとも1種のジアルキルエーテル
を含む。
【0023】
シリコーン樹脂
第1の態様によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種のシリコーン樹脂を含む。
【0024】
より一般には、「樹脂」という用語は、その構造が三次元である化合物を意味する。したがって、本発明では、ポリジメチルシロキサンはシリコーン樹脂ではない。
【0025】
シリコーン樹脂(シロキサン樹脂としても知られている)の命名法は、「MDTQ」の名称で知られており、樹脂は、それが含む様々なシロキサンモノマー単位に応じて記述され、「MDTQ」という文字のそれぞれは、単位のタイプを特徴付ける。
【0026】
Mという文字は、式R1R2R3SiO1/2の単官能性単位を表し、ケイ素原子は、この単位を含むポリマー中で1個の酸素原子のみに結合されている。
【0027】
Dという文字は二官能性単位R1R2SiO2/2を意味し、ここで、ケイ素原子は、2個の酸素原子に結合されている。
【0028】
Tという文字は、式R1SiO3/2の三官能性単位を表す。
【0029】
このような樹脂は、例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、第15巻、John Wiley and Sons社、New York、(1989年)、265~270頁、並びに米国特許第2676182号、同第3627851号、同第3772247号、同第5248739号又は同第5082706号、同第5319040号、同第5302685号及び同第4935484号に記載されている。
【0030】
先に定義した単位M、D及びTにおいて、Ri、つまりR1、R2及びR3は、同一であっても異なってもよく、1~10個の炭素原子を含む炭化水素系基(とりわけアルキル)、フェニル基、フェニルアルキル基、又はそうでなければヒドロキシル基を表す。
【0031】
最後に、Qという文字は、四官能性単位SiO4/2を意味し、ここで、ケイ素原子は4個の酸素原子に結合され、酸素原子はそれ自体、ポリマーの残りに結合されている。
【0032】
相異なる特性を有する様々なシリコーン樹脂を、これらの異なる単位から得ることができ、これらのポリマーの特性は、モノマー(又は単位)のタイプ、Ri基の性質及び数、ポリマー鎖の長さ、分枝度、並びに側鎖のサイズに応じて変動する。
【0033】
本発明による組成物に使用することができるシリコーン樹脂としては、例えば、MQタイプ、Tタイプ、又はMQTタイプのシリコーン樹脂を使用することができる。
【0034】
MQ樹脂:
MQタイプのシリコーン樹脂の例としては、式[(R1)3SiO1/2]x(SiO4/2)y(MQ単位)(式中、x及びyは50~80の範囲内の整数であり、R1基は、先に定義した基を表し、好ましくは、1~8個の炭素原子を含むアルキル基、又はヒドロキシル基、好ましくはメチル基である)のアルキルシロキシシリケートを挙げることができる。
【0035】
トリメチルシロキシシリケートタイプのMQタイプの固体シリコーン樹脂の例としては、Momentive Performance Materials社によりSR1000の参照名で、Dow Corning社によりMQ 1600の参照名で、又はWacker社によりBelsil TMS 803の参照名で販売されているものを挙げることができる。
【0036】
MQシロキシシリケート単位を含むシリコーン樹脂としては、フェニルアルキルシロキシシリケート樹脂、例えばフェニルプロピルジメチルシロキシシリケート(Momentive Performance Materials社により販売されているSilshine 151)も挙げることができる。このような樹脂の調製は、とりわけ、米国特許第5817302号に記載されている。
【0037】
T樹脂:
挙げることができるタイプTのシリコーン樹脂の例には、式(RSiO3/2)x(単位T)(式中、xは100超であり、R基は、1~10個の炭素原子を含むアルキル基である)のポリシルセスキオキサンであって、場合によりSi-OH末端基も含む、ポリシルセスキオキサンが含まれる。
【0038】
ポリメチルシルセスキオキサンも挙げることができ、これは、メチル基のいずれも別の基で置換されていないポリシルセスキオキサンである。このようなポリメチルシルセスキオキサンは、例えば、米国特許第5246694号に記載されている。
【0039】
好ましく使用することができるポリメチルシルセスキオキサン樹脂は、Rがメチル基を表すもの、例としては、
- Wacker社によりResin MKの参照名で販売されているもの、例えばBelsil PMS MK、すなわち、CO3SiO3/2繰り返し単位(単位T)を含むポリマーであり、最大1質量%の(CH3)2SiO2/2単位(単位D)も含んでもよく、約10000g/molの平均分子量を有するもの、又は
- 信越化学工業株式会社により、KR-220Lの参照名で販売されている、式CH3SiO3/2の単位Tから構成され、Si-OH(シラノール)末端基を含むもの、KR-242Aの参照名で販売されている、98%の単位T及び2%未満のジメチル単位Dを含み、Si-OH末端基を含むもの、又はそうでなければKR-251の参照名で販売されている、88%の単位T及び12%未満のジメチル単位Dを含み、Si-OH末端基を含むもの、
- Dow Corning社により、Dow Corning 670 Fluid、Dow Corning 680 Fluidの参照名で販売されている、それぞれ、シクロペンタシロキサン中及びイソドデカン中の混合物であるもの
である。
【0040】
MQT樹脂:
とりわけ知られているMQT単位を含む樹脂は、米国特許第5110890号に言及されているものである。
【0041】
MQTタイプの樹脂の好ましい形態は、MQT-プロピル(MQTprとしても知られる)樹脂である。本発明による組成物に使用することができるこのような樹脂は、とりわけ、その内容が参照によって本明細書に組み込まれる、国際特許出願第2005/075542号に記載され、調製されている樹脂である。
【0042】
MQ-T-プロピル樹脂は、好ましくは、以下の単位:
(i) (R13SiO1/2)a
(ii) (R22SiO2/2)b
(iii) (R3SiO3/2)c及び
(iv) (SiO4/2)d
(式中、
- R1、R2及びR3は、独立して、1~10個の炭素原子を含む炭化水素系基(とりわけアルキル)、フェニル基、フェニルアルキル基又はヒドロキシル基、好ましくは1~8個の炭素原子を含むアルキル基、又はフェニル基を表し、
- a、b、c及びdはモル分率であり、
- aは0.05から0.5の間であり、
- bはゼロから0.3の間であり、
- cはゼロよりも大きく、
- dは0.05から0.6の間であり、
- a+b+c+d=1であり、
- 但し、シロキサン樹脂のR3基の40mol%超が、プロピル基である)
を含む。
【0043】
好ましくは、シロキサン樹脂は、以下の単位:
(i) (R13SiO1/2)a
(iii) (R3SiO3/2)c及び
(iv) (SiO4/2)d
(式中、
- R1及びR3は、独立して、1~8個の炭素原子を含むアルキル基を表し、R1は好ましくはメチル基であり、R3は好ましくはプロピル基であり、
- aは、0.05から0.5の間、好ましくは0.15から0.4の間であり、
- cは、ゼロよりも大きく、好ましくは0.15から0.4の間であり、
- dは、0.05から0.6の間、好ましくは0.2から0.6の間、或いは0.2から0.55の間であり、
a+b+c+d=1であり、a、b、c及びdは、モル分率であり、
- 但し、シロキサン樹脂のR3基の40mol%超が、プロピル基である)
を含む。
【0044】
本発明に従って使用することができるシロキサン樹脂は、
A) 少なくとも80mol%の単位(R13SiO1/2)a及び単位(SiO4/2)dを含むMQ樹脂と、
(式中、
- R1は、1~8個の炭素原子を含むアルキル基、アリール基、カルビノール基又はアミノ基を表し、
- a及びdはゼロよりも大きく、
- 比a/dは、0.5から1.5の間である)
B) 少なくとも80mol%の単位(R3SiO3/2)cを含むT-プロピル樹脂と
(式中、
- R3は、1~8個の炭素原子を含むアルキル基、アリール基、カルビノール基又はアミノ基を表し、
- cはゼロよりも大きく、
- 但し、R3基の少なくとも40mol%が、プロピル基である)
の反応を含む方法によって得ることができ、
- ここで、質量比A/Bは95/5から15/85の間であり、好ましくは、質量比A/Bは30/70である。
【0045】
有利には、質量比A/Bは95/5から15/85の間である。好ましくは、比A/Bは70/30以下である。これらの好ましい比では、心地よい付着物をもたらすことが判明している。好ましくは、本発明による組成物は、シリコーン樹脂として、先に記載したMQタイプの少なくとも1種の樹脂を含む。
【0046】
特に、シリコーン樹脂は、シロキシシリケート樹脂、好ましくはトリメチルシロキシシリケート樹脂である。
【0047】
シリコーン樹脂は、粉末形態、溶媒に溶解させた形態、液体中で移送される形態、又は水に乳化した形態で使用することができる。後者の場合、シリコーン樹脂は、好ましくは、移送される形態、有利には溶媒に溶解させ、次いで乳化する形態であることに留意するべきである。好ましくは、シリコーン樹脂は、溶媒中で移送される形態、又は水に乳化した形態で使用する。
【0048】
溶媒中で移送されるシリコーン樹脂に関しては、該溶媒は通常、揮発性又は不揮発性の、無極性炭化水素系油及びシリコーン油、好ましくは揮発性油から選択される。
【0049】
とりわけ挙げることができる揮発性炭化水素系油には、アルカン、好ましくは8~16個の炭素原子の分枝状アルカン、とりわけ、C8~C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られる)、イソドデカン、イソデカン及びイソヘキサデカン等が含まれる。
【0050】
挙げることができる揮発性シリコーン油には、直鎖状又は環状シリコーン油、例えば、3~7個のケイ素原子を含む直鎖状又は環状ポリジメチルシロキサン(PDMS)が含まれる。
【0051】
挙げることができるこのような油の例には、オクチルトリメチコン、ヘキシルトリメチコン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルトリメチコン、ポリジメチルシロキサン、例えば、Dow Corning社によりDC 200の参照名で、又は信越化学工業株式会社からKF 96 Aの参照名で販売されているものが、単独で又は混合物として、含まれる。
【0052】
溶媒中で移送される形態であるシリコーン樹脂、とりわけMQタイプのものの中でも、とりわけ、Kobo社により販売されている、Koboguard(登録商標) MQ65TMF(トリメチルシロキシシリケートとメチルトリメチコンとの混合物);信越化学工業株式会社により販売されている、KF-7312J(シクロペンタシロキサン中の混合物)、KF-7312K、KF-7312L(ジメチコン中の混合物)、KF-7312T(トリメチコン中の混合物)、X-21-5249(シクロペンタシロキサン中の混合物)、X-21-5249L(ジメチコン中の混合物)、X-21-5250、X-21-5250L(それぞれ、シクロペンタシロキサン及びジメチコン中の混合物)、X-21-5595、X-21-5616(イソドデカン中の混合物)、KF-9021、KF-9021L(それぞれ、シクロペンタシロキサン中及びジメチコン中の混合物);Momentive Performance Materials製のSilsoft 74、Silshine 151(イソドデカン中の混合物);Dow Corning社製のXiameter RSN-0749 Resin、Dow Corning 749 Fluid(シクロペンタシロキサン中の混合物)、Dow Corning 593 Fluid(ジメチコン中の混合物)を挙げることができる。
【0053】
水中のエマルションの形態であるシリコーン樹脂に関しては、例えば、信越化学工業株式会社により販売されている、KM-9717(低粘度シリコーンを含む、アニオン性界面活性剤の存在下のエマルション)、X-52-8005(低粘度シリコーンを含む、非イオン性界面活性剤の存在下のエマルション)を挙げることができる。
【0054】
好ましい実施形態では、シリコーン樹脂はMQタイプシリコーン樹脂から選択される。
【0055】
存在する場合、シリコーン樹脂は、組成物の質量に対して、0.5質量%~10質量%、好ましくは0.8質量%~5質量%、より好ましくは1質量%~4質量%の範囲内の量で存在する。
【0056】
トリグリセリド
第1の態様によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種のトリグリセリドを含む。
【0057】
好ましくは、トリグリセリドは、以下の式(I):
CH2(OOCR1)CH(OOCR2)CH2(OOCR3) (I)
(式中、R1、R2及びR3は、独立して、C6~C30アルキル及びC6~C30アルケニルから選ばれる)
を有する。
【0058】
好ましくは、式(I)において、R1、R2及びR3は、独立して、C6~C24アルキル及びC6~C24アルケニル、好ましくはC6~C20アルキル及びC6~C20アルケニル、より好ましくはC6~C14アルキル及びC6~C14アルケニル、より好ましくはC6~C12アルキル及びC6~C12アルケニル、最も好ましくはC6~C10アルキル及びC6~C10アルケニルから選ばれ、該アルキル又はアルケニルは、直鎖状又は分枝状である。
【0059】
式(I)において、R1、R2及びR3は異なってもよく、R1、R2及びR3の2つ又はすべてが同じであってもよい。
【0060】
式(I)によるトリグリセリドの例は、CTFA Cosmetic Ingredient Handbookにおいて与えられる。
【0061】
式(I)による好ましいトリグリセリドは、長さがC6~C24、好ましくはC6~C20、より好ましくはC6~C18の範囲内の、直鎖状又は分枝状で、飽和又は不飽和の炭素鎖のカルボン酸と、グリセロールとから得られる。
【0062】
より好ましくは、式(I)によるトリグリセリドは、6~14個の炭素原子、より好ましくは6~12個の炭素原子、特に6~10個の炭素原子を含む脂肪酸のトリグリセリド、例えば、ヘプタン酸、2-エチルヘキサン酸、オクタン酸、カプリル酸、カプリン酸、又はこれらの混合物のトリグリセリドから選ばれる。
【0063】
一実施形態では、式(I)によるトリグリセリドは合成トリグリセリドである。
【0064】
別の実施形態では、式(I)によるトリグリセリドは植物起源のものである。例えば、式(I)によるトリグリセリドを含む植物性油、又は植物性油から得た式(I)によるトリグリセリドを使用することができる。
【0065】
式(I)による植物由来トリグリセリドが特に好ましく、式(I)によるトリグリセリドの供給源として好ましい材料の具体例としては、ピーナッツ油、ゴマ油、アボカド油、ココナッツ油、カカオバター油、アーモンド油、ベニバナ油、コーン油、綿実油、オリーブ油、ホホバ油、パーム油、ダイズ油、コムギ胚種油、亜麻仁油、ヒマワリ種子油が挙げられる。
【0066】
アブラナ油、例えば、AARHUSKARL SHAMN社によりLipex Preactの商標名で販売されているものを挙げることができる。
【0067】
好ましくは、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearineries Dubois社により販売されているもの、又はMiglyol(登録商標) 810、812及び818の名称で販売されているもの、ホホバ油、並びにシアバター油を挙げることができる。Wilmar社によりWilfare Ster MCTの名称で販売されている、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドのINCI名を有する製品も挙げることができる。
【0068】
有利には、トリグリセリドは、本発明の組成物中に、組成物の総質量に対して、10質量%~40質量%、より好ましくは15質量%~30質量%の範囲内の量で存在する。
【0069】
ジアルキルエーテル
第1の態様によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種のジアルキルエーテルを含む。
【0070】
好ましくは、ジアルキルエーテルは、以下の式(II):
R4-O-R5 (II)
(式中、
R4及びR5は、同一であっても異なってもよく、直鎖状又は分枝状のC6~C25アルキル基又はアルケニル基を示す)
を有する。
【0071】
好ましくは、式(II)のエーテルは、同一であっても異なってもよいR4及びR5基が、直鎖状又は分枝状のC6~C12アルキル又はアルケニル基を示す化合物から選ばれる。
【0072】
より特定的には、本発明によれば、R4基とR5基とは同一である。
【0073】
本発明の特定の一実施形態に従って、好ましいジアルキルエーテルは、ジ-n-ヘキシルエーテル、ジ-n-ヘプチルエーテル、ジ-n-オクチルエーテル、ジ-n-ノニルエーテル、ジ-n-デシルエーテル、ジ-イソデシルエーテル、ジ-n-ドデシルエーテル、ジ-n-テトラデシルエーテル、ジ-n-ヘキサデシルエーテル、ジ-n-オクタデシルエーテル、又はこれらの混合物から選ばれる。
【0074】
R4及びR5は、優先的にはC8基を示す。
【0075】
これらの化合物は、ドイツ特許出願第4127230号に記載されている方法によって調製することができる。
【0076】
最も好ましくは、式(II)のエーテルは、ジ-n-オクチルエーテル(INCI名:ジカプリリルエーテル)である。このような製品は市販されており、例えばCognis(BASF)社によりCetiol OEの名称、又はEcogreen Oleochemicals社によりRofetan OEの名称で販売されているものがある。
【0077】
有利には、ジアルキルエーテルは、本発明の組成物中に、組成物の総質量に対して、5質量%~30質量%、より好ましくは8質量%~18質量%の範囲内の量で存在する。
【0078】
油性相
本発明の第1の態様によれば、組成物は油性相を含む。
【0079】
油性相は、上で言及したトリグリセリド及びジアルキルエーテルとは異なる、追加の油を含んでもよい。
【0080】
ここでは、「油」とは、大気圧(760mmHg)下、室内温度(25℃)において、液体又はペースト(非固体)の形態の脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油として、化粧品に一般に使用されるものを、単独で又はそれらを組み合わせて使用することができる。これらの油は揮発性であっても不揮発性であってもよく、好ましくは不揮発性である。
【0081】
油は、炭化水素油、又はシリコーン油等であってもよい。
【0082】
炭化水素油の例として、アルカン油、例えば、イソドデカン及びイソヘキサデカン、並びに上で言及したトリグリセリドとは異なるエステル油を挙げることができる。
【0083】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液体エステルであり、これらのエステルの炭素原子の総数は10以上である。
【0084】
好ましくは、一価アルコールのエステルの場合、本発明のエステルが誘導されるアルコール及び酸のうち、少なくとも1種は分枝状である。
【0085】
一酸と一価アルコールとのモノエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル、及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0086】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、並びにモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた、使用することができる。
【0087】
とりわけ、以下を挙げることができる:セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコール。
【0088】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。「糖」という用語は、いくつかのアルコール官能基を含み、アルデヒド又はケトン官能基を有し又は有せず、且つ少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素を保持する炭化水素系化合物を意味することを想起されたい。これらの糖は、単糖、オリゴ糖、又は多糖であってもよい。
【0089】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、及びラクトース、並びにこれらの誘導体、とりわけメチル誘導体等のアルキル誘導体、例としてはメチルグルコースが含まれる。
【0090】
脂肪酸の糖エステルは、とりわけ、先に記載した糖と、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から選択することができる。これらの化合物は、不飽和である場合、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有しうる。
【0091】
この変形によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択することもできる。
【0092】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えばとりわけ、オレオパルミチン酸、オレオステアリン酸、及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってもよい。
【0093】
より詳細には、モノエステル及びジエステル、とりわけスクロース、グルコース、又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0094】
挙げることができる例は、Amerchol社によりGlucate(登録商標) DOの名称で販売されている製品であり、これはジオレイン酸メチルグルコースである。
【0095】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0096】
シリコーン油の例として、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、及びメチルハイドロジェンポリシロキサン等、環状オルガノポリシロキサン、例えば、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン等、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0097】
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、とりわけ、液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンから選択される。
【0098】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてもよい。本発明に従って使用することができる有機変性シリコーンは、上に定義したシリコーン油であり、構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1つ又は複数の有機官能基を含む。
【0099】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968年)、Academic Press社において、より詳細に定義されている。オルガノポリシロキサンは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0100】
揮発性である場合、シリコーンは、より特定的には、60℃から260℃の間の沸点を有するものから選択され、よりいっそう特定的には以下から選択される:
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にUnion Carbide社によりVolatile Silicone(登録商標) 7207の名称で販売されている、又はRhodia社によりSilbione(登録商標) 70045 V2の名称で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社によりVolatile Silicone(登録商標) 7158の名称、Rhodia社によりSilbione(登録商標) 70045 V5の名称で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社によりSilsoft 1217の名称で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。次式のジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等のタイプのシクロコポリマー、例えば、Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標) FZ 3109を挙げることもできる。
【0101】
【化1】
【0102】
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物を挙げることもできる;
(ii)2~9個のケイ素原子を含み、25℃において5×10-6m2/s以下の粘度を有する、直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社によりSH 200の名称で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。このカテゴリーに属するシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsにおいて発表された記事にも記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445附属書Cに従って、25℃において測定される。
【0103】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンを使用してもよい。これらの不揮発性シリコーンは、より特定的にはポリジアルキルシロキサンから選択され、その中でも、トリメチルシリル末端基を含むポリジメチルシロキサンを主として挙げることができる。
【0104】
これらのポリジアルキルシロキサンの中でも、以下の市販製品を非限定的に挙げることができる:
- Rhodia社により販売されている、Silbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ、又はMirasil(登録商標)油、例としては70 047 V 500 000油;
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば60 000mm2/sの粘度を有するDC200;
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油、及びGeneral Electric社製のSFシリーズのある特定の油(SF 96、SF 18)。
【0105】
ジメチコノール(CTFA)の名称で知られる、ジメチルシラノール末端基を含むポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油を挙げることもできる。
【0106】
アリール基を含むシリコーンの中でも、ポリジアリールシロキサン、とりわけ、ポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサンがある。挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品が含まれる:
- Rhodia社製のSilbione(登録商標)油の70 641シリーズ、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標) 70 633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製の油であるDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20、
- General Electric社製のSFシリーズのある特定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0107】
有機変性液体シリコーンは、とりわけ、ポリエチレンオキシ基及び/又はポリプロピレンオキシ基を含んでいてもよい。したがって、信越化学工業株式会社により提案されているシリコーンKF-6017、並びにUnion Carbide社製の油であるSilwet(登録商標) L722及びL77を挙げることができる。
【0108】
炭化水素油は、以下から選択することができる:
- 直鎖状又は分枝状の、任意選択で環状の、C6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン、及びイソデカンが含まれる。並びに
- 16個超の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、流動石油ゼリー、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、及びスクアラン。
【0109】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖又は分枝状の炭化水素、例えば、イソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、及びナフタレン類等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0110】
脂肪族アルコールにおける「脂肪族」という用語は、比較的多数の炭素原子を包むことを意味する。したがって、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールが、脂肪族アルコールの範囲内に包含される。脂肪族アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪族アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
【0111】
脂肪族アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4~40個の炭素原子、好ましくは6~30個の炭素原子、より好ましくは12~20個の炭素原子を含む、飽和及び不飽和で、直鎖状及び分枝状の基から選択される)を有しうる。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選択されうる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基によって置換されていても、されていなくてもよい。
【0112】
脂肪族アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0113】
脂肪族アルコールは、飽和脂肪族アルコールであることが好ましい。
【0114】
したがって、脂肪族アルコールは、直鎖又は分枝状の飽和又は不飽和C6~C30アルコール、好ましくは直鎖又は分枝状の飽和C6~C30アルコール、より好ましくは直鎖又は分枝状の飽和C12~C20アルコールから選択することができる。
【0115】
「飽和脂肪族アルコール」という用語は、ここでは、長鎖の脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪族アルコールは、任意の直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪族アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪族アルコールの中でも、直鎖状又は分枝状の飽和C12~C20脂肪族アルコールが、好ましく使用されうる。任意の直鎖状又は分枝状の飽和C16~C20脂肪族アルコールが、より好ましく使用されうる。分枝状C16~C20脂肪族アルコールが、いっそうより好ましく使用されうる。
【0116】
飽和脂肪族アルコールの例として、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はこれらの混合物を、飽和脂肪族アルコールとして使用することができる。
【0117】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物に使用される脂肪族アルコールは、好ましくは、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びこれらの混合物から選択される。
【0118】
追加の油は、アルカン油、シリコーン油、及びこれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0119】
好ましい実施形態では、追加の油は、8~16個の炭素原子、なおも良好には10~16個の炭素原子を含む分枝状アルカン油、例えば、イソドデカン、ジメチルシラノール末端基を任意選択で含むポリジメチルシロキサン、例えば、ジメチコン、ジメチコノール、及びこれらの混合物から選択される。
【0120】
好ましい実施形態では、本発明による組成物は、50質量%~60質量%の、8~16個の炭素原子を含む分枝状アルカン油を含む。
【0121】
好ましい実施形態では、本発明による組成物は、50質量%~60質量%の、8~16個の炭素原子を含む分枝状アルカン油と、10質量%~20質量%の、ジメチルシラノール末端基を任意選択で含むポリジメチルシロキサンとを含む。
【0122】
有利には、上で言及したトリグリセリド及びジアルキルエーテルを含む油の総量は、組成物の総質量に対して、90質量%~99質量%、好ましくは96質量%~98質量%の範囲内である。
【0123】
本発明の組成物は、無水であることが好ましい。
【0124】
「無水」という用語は、ここでは、本発明の組成物が少量にのみ水を含有してもよく、好ましくは水を含有しないことを意味する。したがって、水の量は、組成物の総質量に対して、2質量%以下、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1質量%以下であってもよい。本発明による化粧用組成物は、水を含有しないことが特に好ましい。
【0125】
追加の成分
本発明による組成物は、有利には化粧用組成物である。
【0126】
本発明による組成物はまた、化粧用組成物において他の場合にこれまでに公知である、有効量の他の成分、例えば、様々な一般的な補助剤、ビタミン又はプロビタミン、例としてはパンテノール、乳白剤、香料、植物抽出物、増粘剤、及びカチオン性ポリマー等を含んでもよい。
【0127】
好ましい実施形態によれば、本発明は、ケラチン繊維をコンディショニングするための組成物であって、組成物の総質量に対して、
a)1質量%~4質量%の、少なくとも1種のMQタイプシリコーン樹脂、
b)15質量%~30質量%の、以下の式(I):
CH2(OOCR1)CH(OOCR2)CH2(OOCR3) (I)
(式中、R1、R2及びR3は、独立して、C6~C10アルキル及びC6~C10アルケニルから選ばれる)
を有するものから選択される少なくとも1種のトリグリセリド、
c)8質量%~18質量%の、以下の式(II):
R4-O-R5 (II)
(式中、
R4及びR5は、同一であっても異なってもよく、直鎖状又は分枝状のC6~C12アルキル基又はアルケニル基を示す)
を有するものから選択される少なくとも1種のジアルキルエーテル、並びに
d)50質量%~60質量%の、8~16個の炭素原子を含む少なくとも1種の分枝状アルカン油
を含む、組成物を提供する。
【0128】
調製及び使用
本発明の組成物は、必須成分としての成分(a)~(d)、及び上で説明した任意選択の成分を混合することによって、調製することができる。
【0129】
上記の必須成分及び任意選択の成分を混合する方法及び手段は、限定されない。任意の従来の方法及び手段を、上記の必須成分及び任意選択の成分を混合して本発明による組成物を調製するために、使用することができる。
【0130】
本発明の組成物は、均一にすることができる。
【0131】
本発明による組成物は、コンディショナー、リーブオン製品、例えばリーブオン油とすることができる。
【0132】
組成物の使用は、湿った又は乾燥した毛髪に対して行うことができる。
【0133】
本発明の第2の態様によれば、ケラチン繊維をコンディショニングするための美容方法であって、上に記載した組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、美容方法。
【0134】
以下の実施例は、本発明の説明のために与えられ、その範囲を限定するものとして解釈されないものとする。
【実施例
【0135】
(実施例1)
リーブオン油の配合
本発明の配合物(Inv.)1及び比較用配合物(comp.)1~3によるリーブオン油を調製した(含有量は、別段の指示がない限り、各リーブオン油の総質量に関する、活性材料の質量百分率として表す)。
【0136】
【表1】
【0137】
比較用配合物1のリーブオン油は、いかなるジアルキルエーテルも含まない。
【0138】
比較用配合物2のリーブオン油は、いかなるジアルキルエーテルも含まない。
【0139】
比較用配合物3のリーブオン油は、いかなるシリコーン樹脂も含まない。
【0140】
上に列挙したリーブオン油は、すべての成分を一緒に、一様に常温混合することによって調製した。
【0141】
(実施例2)
リーブオン油の評価
実施例1において調製したリーブオン油によって処置した毛髪のコンディショニング効果、軽く清浄な感触を、次のように評価及び採点した。
【0142】
非常に損傷した毛髪(過去12ヶ月に4回以上カラー、直毛化/カラー、又はパーマウェーブによる処置をした毛髪)を有する6人の志願者を募集した。10~12gのシャンプーを知覚の専門家が全頭に塗布した後、毛髪を2つの部分に分け、各部分に、試験するリーブオン油と市販のリーブオン油(Loreal Extraordinary Oil)とを別々に、知覚の専門家が塗布した。手順が終了すると、知覚の専門家が毛髪の状態を評価し、しかるべく得点を与えた。
【0143】
5 - 市販のリーブオン油と比較して、訓練を受けた専門家が1~2回触れた後、気付くのに少なくとも十分に大きな差で良好な性能
4 - 市販のリーブオン油と比較して、訓練を受けた専門家が3回以上触れた後、直接比較によって判定される良好な性能
3 - 市販のリーブオン油と同様の性能
2 - 市販のリーブオン油と比較して、訓練を受けた専門家が3回以上触れた後、直接比較によって判定される不良な性能
1 - 市販のリーブオン油と比較して、訓練を受けた専門家が1~2回触れた後、気付くのに少なくとも十分に大きな差で不良な性能
【0144】
コンディショニングの便益
毛髪の均整の程度、並びに妨げられる感覚及び抵抗を伴わずに、毛髪を指が容易に滑ることの観点から、コンディショニングの便益を評価した。
【0145】
軽く清浄な感触
毛髪上の付着物及び残留物の強度を観察した。毛髪上の付着物及び残留物がより多いことは、より軽く清浄でないことを示す。
【0146】
各組成物についての結果を、次の表にまとめた。
【0147】
【表2】
【0148】
上の表から、本発明によるリーブオン油(Inv.1)は効率的に、毛髪コンディショニングの便益を提供し、毛髪に軽く清浄な感触を与えることがわかる。
【国際調査報告】