(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-01
(54)【発明の名称】ケラチン繊維をコンディショニングするための組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/31 20060101AFI20230221BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20230221BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20230221BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20230221BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20230221BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20230221BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
A61K8/31
A61Q5/12
A61K8/41
A61K8/67
A61K8/49
A61K8/37
A61K8/891
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539231
(86)(22)【出願日】2019-12-25
(85)【翻訳文提出日】2022-08-23
(86)【国際出願番号】 CN2019128199
(87)【国際公開番号】W WO2021128045
(87)【国際公開日】2021-07-01
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】イ・ファン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA032
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC471
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD621
4C083AD622
4C083BB11
4C083BB24
4C083BB46
4C083BB47
4C083CC33
4C083DD23
4C083DD28
4C083DD30
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE29
(57)【要約】
本発明は、ケラチン繊維をコンディショニングするための組成物であって、
a)少なくとも1種の親油性染料、
b)少なくとも1種の親油性UV遮蔽剤、
c)少なくとも1種の親油性フェノール系抗酸化剤、及び
d)少なくとも1種の油
を含む、組成物に関する。
本発明はまた、ケラチン繊維をケアするための美容方法であって、少なくとも本発明による組成物を前記ケラチン繊維上へ適用する工程を含む、方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン繊維をコンディショニングするための組成物であって、
a)少なくとも1種の親油性染料、
b)少なくとも1種の親油性UV遮蔽剤、
c)少なくとも1種の親油性フェノール系抗酸化剤、及び
d)少なくとも1種の油
を含む、組成物。
【請求項2】
前記親油性染料が、DCレッド17、DCレッド21、DCレッド27、DCグリーン6、DCイエロー11、DCバイオレット2、DCオレンジ5、及びスダンレッド、スダンブラウン、キノリンイエロー、アナトー、クルクミン、カロテン、キサントフィル、親油性緑色色素及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記親油性染料が、前記組成物の総質量に対して、0.001質量%~1質量%、好ましくは0.002質量%~0.5質量%、より好ましくは0.002質量%~0.1質量%の範囲の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記親油性UV遮蔽剤が、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、p-アミノ安息香酸エチル、ジヒドロキシプロピルp-アミノ安息香酸エチル、ジメチルp-アミノ安息香酸エチルヘキシル、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、メトキシケイ皮酸イソプロピル、メトキシケイ皮酸イソアミル、シノキセート、メチルケイ皮酸ジイソプロピル、オクトクリレン、エトクリレン、ベンゾフェノン-1、ベンゾフェノン-2、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-6、ベンゾフェノン-8、ベンゾフェノン-12、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、3-ベンジリデンカンファー、4-メチルベンジリデンカンファー、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、ドロメトリゾールトリシロキサン、ブメトリゾール、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、アントラニル酸メンチル、エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート、ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロネート、1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、オクチル5-N,N-ジエチルアミノ-2-フェニルスルホニル-2,4-ペンタジエノエート、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記親油性UV遮蔽剤が、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、オクトクリレン、サリチル酸エチルヘキシル、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、ドロメトリゾールトリシロキサン、ブメトリゾール、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記親油性UV遮蔽剤が、前記組成物の総質量に対して、0.01質量%~1質量%、好ましくは0.02質量%~0.6質量%、より好ましくは0.03質量%~0.3質量%の範囲の量で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記フェノール系抗酸化剤が、テトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロケイ皮酸ペンタエリスリチル、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、モノ-又はジ-又はトリ-(α-メチルベンジル)フェノール、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、トリス[N-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)]イソシアヌレート、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、ブチリデン-1,1ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナト]メタン、トリエチレングリコールビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナミド)、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-キシリル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-tert-ブチル-6-(3'-tert-ブチル-5'-メチル-2'-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート、4,6-ビス[(オクチルチオ)メチル]-o-クレゾール、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート及び1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記親油性フェノール系抗酸化剤が、前記組成物の総質量に対して、0.001質量%~0.1質量%、好ましくは0.002質量%~0.08質量%、より好ましくは0.003質量%~0.05質量%の範囲の量で存在する、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記油が、分枝状の炭化水素、トリグリセリド、任意選択でジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、これらの混合物から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記油が、前記組成物の総質量に対して、95質量%~99質量%、好ましくは96質量%~98.5質量%、より好ましくは96.5質量%~98質量%の範囲の量で存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
無水である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
シリコーン樹脂セグメント及び流体シリコーンセグメントを含有する少なくとも1種のコポリマーを更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記シリコーン樹脂が、前記組成物の質量に対して、0.5質量%~8質量%、好ましくは0.8質量%~6質量%、より好ましくは1質量%~4質量%の範囲の量で存在する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物の総質量に対して、
a)D&Cバイオレット2(C.I. 60725)、β-カロテン(C.I. 75130)、グリーン6(C.I. 61565)、アスタキサンチン、及びこれらの混合物から選択される0.002質量%~0.1質量%の少なくとも1種の親油性染料;
b)ブメトリゾール、ドロメトリゾールトリシロキサン、これらの混合物から選択される0.03質量%~0.3質量%の少なくとも1種の親油性UV遮蔽剤;
c)テトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロケイ皮酸ペンタエリスリチル、N,N'-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナミド)、及びこれらの混合物から選択される0.003質量%~0.05質量%の少なくとも1種の親油性フェノール系抗酸化剤;並びに
d)8~16個の炭素原子を含有する分枝状アルカン油、トリグリセリド、任意選択でジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の油
を含む、請求項1に記載のケラチン繊維をコンディショニングするための組成物。
【請求項15】
ケラチン繊維をコンディショニングするための美容方法であって、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物を前記ケラチン繊維上へ適用する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケラチン繊維、特に毛髪等のヒトケラチン繊維をコンディショニングするための組成物に関する。本発明はまた、ケラチン繊維をコンディショニングするための美容方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪は、光、気候等の外気中の作用因子の作用によって、並びに/又は、ブラッシング、髪梳き、染色、脱色、パーマネントウェーブ、及び/若しくは縮毛矯正等の機械的若しくは化学的な処置の作用によって損傷及び脆化することが一般的である。
【0003】
毛髪の自然色を変化させる多くの製品が入手可能である。毛髪の色味を変更する方法は、毛髪に対して人工的な色味を堆積させる工程(これにより、毛髪に対して異なった色相若しくは色味がもたらされる)、又は毛髪の色味を、例えば、ダークブラウンシェードからミディアムブラウン若しくはライトブラウンシェードへとリフトする工程のいずれかを要し得る。毛色は、パーマネントヘアカラー、セミパーマネントヘアカラー、又はヘアマニキュア製品を使用して変化させることができる。
【0004】
多くの消費者は、永久的な色の変化を望み、したがってパーマネント染料を含有する製品を使用する。従来のパーマネントヘアカラー製品は、初期中間体又はカップラーとしても知られる、酸化染料前駆体を含む染料組成物である。これらの酸化染料前駆体は、無色又はわずかに着色された化合物であり、酸化生成物と組み合わされると、酸化縮合のプロセスにより、着色された複合体を生成する。酸化生成物は通常、酸化剤として過酸化水素等の過酸化物を使用する。そのようなパーマネントヘアカラー製品は、アンモニア又はモノエタノールアミン(MEA)等のアルカリ剤も含有し、毛幹を膨張させることで、酸化縮合プロセスが完了する前に、酸化染料の小分子をキューティクル及び皮質に浸透させることができる。その後、酸化反応から生じた、更に大きい着色された複合体は、毛髪繊維の内側に閉じ込められ、それにより、毛髪の色味を持続的に変更する。新たに、着色された毛髪は通常、持続的に、明るく強烈な、光沢のある、濃い外観を有する。
【0005】
しかしながら、わずか数週間で、又は場合によっては更に短期間で、洗浄又は環境条件への曝露により色落ちが開始する。例えば、鮮やかな濃いブラウンカラーは濁った鈍色になり、美しいブロンドの色相はけばけばしくなり、明るく強烈なレッドは、さほど明るく強烈に見えなくなり、結果として、ゴールド、オレンジ又はブラウンの色調は、特に脆弱な部分、より具体的には枝毛の分かれた部分につながる末端部で、消費者に望ましくなくなる。
【0006】
カラー修整効果をもたらすための染料を含む、毛髪をコンディショニングするための組成物の配合が試みられてきた。
【0007】
しかしながら、染料を含有するヘアケア組成物は、それらが光及び/又は昇温によって不安定になる傾向があるという問題を有する。
【0008】
したがって、カラー修整効果をもたらすことができ、所定の期間にわたって光及び/又は昇温下で安定性の組成物を開発する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】US5624663
【特許文献2】EP0832642
【特許文献3】EP1027883
【特許文献4】EP1300137
【特許文献5】DE10162844
【特許文献6】WO93/04665
【特許文献7】DE19855649
【特許文献8】EP0967200
【特許文献9】DE19746654
【特許文献10】DE19755649
【特許文献11】EP-A-1008586
【特許文献12】EP1133980
【特許文献13】EP133981
【特許文献14】WO04/006878
【特許文献15】WO05/058269
【特許文献16】WO06/032741
【特許文献17】FR2957249
【特許文献18】FR2957250
【特許文献19】WO03/026596
【特許文献20】WO2004/073626
【特許文献21】WO2007/051505
【特許文献22】WO2007/051506
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968)、Academic Press
【非特許文献2】Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics
【非特許文献3】「Silicone Pressure Sensitive Adhesive」、Sobieski and Tangney、Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology(D, Satas Ed.)、Von Nostrand Reinhold、New York
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、ケラチン繊維、特に毛髪等のヒトケラチン繊維にカラー修整効果をもたらすことができ、所定の期間にわたって光及び/又は昇温下で安定性の組成物を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、第1の態様によれば、本発明は、ケラチン繊維をコンディショニングするための組成物であって、
a)少なくとも1種の親油性染料、
b)少なくとも1種の親油性UV遮蔽剤、
c)少なくとも1種の親油性フェノール系抗酸化剤、及び
d)少なくとも1種の油
を含む、組成物を提供する。
【0013】
第2の態様によれば、本発明は、ケラチン繊維をコンディショニングするための美容方法であって、上述の組成物をケラチン繊維に適用する工程を含む、美容方法を提供する。
【0014】
本発明者らは、a)少なくとも1種の親油性染料、b)少なくとも1種の親油性UV遮蔽剤、及びc)少なくとも1種の親油性抗酸化剤を含むことで、組成物が、ケラチン繊維にカラー修整効果をもたらすことができ、少なくとも24時間の間、光及び/又は50℃の昇温下で安定性であることを発見した。
【0015】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の説明及び実施例を読むことにより、より明らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書中で使用される場合、別段の指示がない限り、値の範囲の限界値は、特に「~と~との間」及び「~から~まで」という表現において、その範囲内に含まれる。
【0017】
本明細書中で使用される場合、「含む(comprising)」という用語は、全ての特定的に言及される特徴部に加えて、任意選択の、追加の、不特定の特徴部を包含するものと解釈されたい。
【0018】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」という用語の使用はまた、特定的に言及される特徴部以外の特徴部が存在しない(すなわち「~からなる」)実施形態を開示している。
【0019】
別段の規定がない限り、本明細書中で使用される全ての専門及び科学用語は、本発明に分野に属する当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。本記載中の用語の定義が本発明の分野に属する当業者が通常理解するものと矛盾する場合、本明細書中に記載される定義を適用するものとする。
【0020】
別段の指定がない限り、本記載及び特許請求の範囲で使用される成分等の量を表す全ての数値は、「約」という用語によって修飾されると理解されるものとする。これに応じて、そうでないと指示がない限り、本明細書中に記載の数値及びパラメータは、必要に応じて得られた所望の性能に応じて変化できる適当な値である。
【0021】
本明細書中で使用される場合、本記載において使用される「少なくとも1つ」という表現は、「1つ又は複数」という表現と同等であり、書き換えてもよい。
【0022】
本明細書中で使用される場合、「ケラチン繊維」という用語は、動物ケラチン繊維及びヒトケラチン繊維(毛髪等)を含む。
【0023】
「カラー修整効果をもたらす」とは、組成物を使用して、特に毛髪の先端のくすみ及び黄変に耐え、毛髪の色に光沢を与え、均一にできることを意味する。
【0024】
本発明の第1の態様によれば、ケラチン繊維をコンディショニングするための組成物は:
a)少なくとも1種の親油性染料、
b)少なくとも1種の親油性UV遮蔽剤、
c)少なくとも1種の親油性フェノール系抗酸化剤、及び
d)少なくとも1種の油
を含む。
【0025】
親油性染料
本発明の第1の態様によれば、組成物は、少なくとも1種の親油性染料を含む。
【0026】
好ましくは、親油性染料は、天然又は合成親油性染料から選択される。
【0027】
好ましい実施形態によれば、親油性染料は、DCレッド17、DCレッド21、DCレッド27、DCグリーン6、DCイエロー11、DCバイオレット2、DCオレンジ5、及びスダンレッド、スダンブラウン、キノリンイエロー、アナトー、クルクミン、カロテン、キサントフィル、親油性緑色色素及びこれらの混合物から選択される。
【0028】
カロテンの中でも、特に、α-カロテン、β-カロテン、リコピンを挙げることができる。
【0029】
カロテンの中でも、β-カロテン、より具体的には(CI 40800、CI 75130、Food Orange 5又はナチュラルイエロー26)が使用される。β-カロテン分子は、交互単結合及び二重結合を有する8個のイソプレン単位からなる鎖であり、以下の式を有する:
【0030】
【0031】
β-カロテンは、一部の果実及び野菜:トウガラシ、ニンジン、ホウレンソウ、レタス、トマト、サツマイモ、ブロッコリー、カンタループメロン、カボチャ、アンズに含まれる。β-カロテンは、抽出、合成又はバイオテクノロジー法のいずれかによって入手することができる。天然β-カロテンは、主にレッドパーム油及びアルファルファに、またニンジン油に由来する。
【0032】
特定の好ましい形態によれば、β-カロテンは、油中の分散体の形態、例えばLCW Sensient Cosmetic Technologiesより商標名409185 CAROTENE-DISPERSION NATURAL 30% L-OS E-160Aで販売されている製品等のヒマワリ油中の30%のβ-カロテン分散体又はDSM Nutritional Products, Inc.社より商標名30% Beta Carotene FS (液状懸濁液)で販売されている製品等のトウモロコシ油中の30%の分散体で使用される。
【0033】
キサントフィルの中では、特に以下を挙げることができる:
アスタキサンチン
アンテラキサンチン
シトラナキサンチン
クリプトキサンチン
カンタキサンチン
ジアトモキサンチン(diatomoxanthine)
フラボキサンチン
フコキサンチン
ルテイン
ロドキサンチン
ルビキサンチン
シフォナキサンチン
ビオラキサンチン
ゼアキサンチン
【0034】
キサントフィルの中では、より具体的には次式のアスタキサンチンが使用される:
【0035】
【0036】
アスタキサンチンは通常、藻類のヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)から抽出される。これは、テルペンのファミリーに属し、植物化学物質の一部である。これは、甲殻類の動物(カニ、エビ、ロブスター、ザリガニ、ロブスター)、サケ、タイ中、及び一部の鳥類の羽の中に存在する。これは、β-カロテンからの一連のヒドロキシル化及び酸化の最終段階として考えることができる。
【0037】
特に好ましい形態によれば、アスタキサンチンは、油中の分散体の形態、例えばカプリル/カプリントリグリセリド混合物中のEuphausia Superbaのアスタキサンチンの5%分散体、例えばITANO REFRIGERATED FOOD社より商品名ASTAX-Sで販売されている製品、又はFUJI COLORより商標名ASTA TROL-Xで販売されている製品若しくはCYANOTECH社よりOLEORESINで販売されている製品のような海藻ヘマトコッカス・プルビアリスから抽出されるカプリル/カプリントリグリセリド混合物中の4.5~7%アスタキサンチン分散体の形態で使用される。
【0038】
また、ヘマトコッカス・プルビアリス藻類から抽出されるカプリル/カプリントリグリセリド混合物中のアスタキサンチン分散体、例えばAthena Co LTD社製のAM Asta-SODの商品;Oryza Oil & Fat Chemical Co社製のAstaxanthin-5C及びAstaxanthin-PC1の各商品を挙げることも可能である。
【0039】
「緑色色素」とは、波長400~500nm並びに波長600~700nmの光放射線を吸収できる任意の化粧用又は皮膚科用染料を意味する。
【0040】
本発明に従って使用できる親油性緑色色素の中でも、次式のキニザリン(Ceres Green BB、D & C Green No. 6、CI 61565、1.4-ジ-p-トルイドアントラキノン、Green No. 202、キニザリングリーンSS):
【0041】
【0042】
例えば、LCW - Sensient Cosmetic Technologies社より商標名D&C Green 6 K 7016で販売されている製品を挙げることができる。
【0043】
親油性緑色色素の中では、好ましくは、クロロフィルも挙げることができる。クロロフィルは、二価陽イオンの複合体のような4つの環状ピロール環とフィトール等の長鎖アルコールとからなる。クロロフィルには、化学構造によって区別できるいくつかの形態がある。クロロフィルは、全ての植物に存在し、クロロフィルbは、高等植物及び緑藻類に含まれる。他の2つの変形体、クロロフィルc及びdは、それぞれ、褐藻類及び一部のシアノバクテリアに存在する。クロロフィル中に存在する二価陽イオンは、一般に、ナトリウム若しくはカリウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土塁金属、マグネシウム並びに銅及び鉄等の遷移金属又はこれらの混合物から選択される。
【0044】
銅複合体の形態、より具体的にはヒマワリ油又はブドウ種油等の油中の分散体の形態のクロロフィル、例えばLCW - Sensient Cosmetic Technologies社より販売されている商品CHLOROPHYLLE LIPOSOLUBLE W 7208、503509 COPPER CHLOROPHYLL 15% L - OS及びCHLOROPHYLLE LIPOSOLUBLE W 7208を使用することが好ましい。
【0045】
特に好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、D&Cバイオレット2(C.I. 60725)、β-カロテン(C.I. 75130)、グリーン6(C.I. 61565)、アスタキサンチン、及びこれらの混合物から選択される親油性染料を含む。
【0046】
有利には、親油性染料は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~1質量%、好ましくは0.002質量%~0.5質量%、より好ましくは0.002質量%~0.1質量%の範囲の量で存在する。
【0047】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、β-カロテン(C.I. 75130)及びD&Cバイオレット2(C.I. 60725)の混合物を、組成物の総質量に対して、好ましくは0.001質量%~0.1質量%を占める総含有量で含む。
【0048】
別の特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、アスタキサンチン及びD&Cバイオレット2(C.I. 60725)の混合物を、組成物の総質量に対して、好ましくは0.001質量%~0.1質量%を占める総含有量で含む。
【0049】
別の特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、グリーン6(C.I. 61565)、アスタキサンチン及びD&Cバイオレット2(C.I. 60725)の混合物を、組成物の総質量に対して、好ましくは0.001質量%~0.1質量%を占める総含有量で含む。
【0050】
親油性UV遮蔽剤
本発明の第1の態様によれば、組成物は、少なくとも1種の親油性UV遮蔽剤を含む。
【0051】
用語「親油性UV遮蔽剤」は、290から400nmの間の紫外線を遮蔽することができ、分子形態で溶解できるか、巨視的に均質な相が得られるように脂肪相に分散することができる有機分子を意味する。用語「有機分子」は、その構造中に1個又は複数の炭素原子を含む任意の分子を意味する。そのため、本発明で使用される親油性UV遮蔽剤は、UV-A及び/又はUV-B領域において活性であることができる。
【0052】
親油性UV遮蔽剤は、固体であっても液体であってもよい。用語「固体」及び「液体」は、それぞれ、1気圧下の2°Cで固体及び液体を意味する。
【0053】
親油性UV遮蔽剤は、特に、ケイ皮酸誘導体;アントラニレート;サリチル酸誘導体;ジベンゾイルメタン誘導体、カンファー誘導体;ベンゾフェノン誘導体;β,β-ジフェニルアクリレート誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;ベンザルマロネート誘導体、特に特許US5624663に挙げられているもの;イミダゾリン;p-アミノ安息香酸(PABA)誘導体;特許出願EP0832642、EP1027883、EP1300137、及びDE10162844に記載されているベンゾオキサゾール誘導体;遮蔽ポリマー及び遮蔽シリコーン、例えば特に特許出願WO93/04665に記載されているもの;α-アルキルスチレン系ダイマー、例えば特許出願DE19855649に記載されているもの;4,4-ジアリールブタジエン、例えば特許出願EP0967200、DE19746654、DE19755649、EP-A-1008586、EP1133980、及びEP133981に記載されているもの;メロシアニン誘導体、例えば特許出願WO04/006878、WO05/058269、WO06/032741、FR2957249、及びFR2957250に記載されているもの;並びにこれらの混合物から選択され得る。
【0054】
親油性UV遮蔽剤の例として挙げることができるのは、以下にそれらのINCI名で示されるものである:
ジベンゾイルメタン誘導体:
DSM Nutritional Products社によりParsol 1789という商標名で販売されているブチルメトキシジベンゾイルメタン又はアボベンゾン、
パラアミノ安息香酸誘導体:
エチルPABA、
エチルジヒドロキシプロピルPABA、
特にISP社によりEscalol 507という名称で販売されているエチルヘキシルジメチルPABA、
サリチル酸誘導体:
Rona/EM Industries社によりEusolex HMSという名称で販売されているホモサレート、
Symrise社によりNeo Heliopan OSという名称で販売されているサリチル酸エチルヘキシル、
ケイ皮酸誘導体:
特にDSM Nutritional Products社によりParsol MCXという商標名で販売されているメトキシケイ皮酸エチルヘキシル、
メトキシケイ皮酸イソプロピル、
Symrise社によりNeo Heliopan E 1000という商標名で販売されているメトキシケイ皮酸イソアミル、
シノキセート、
メチルケイ皮酸ジイソプロピル、
β,β-ジフェニルアクリレート誘導体:
特にBASF社によりUvinul N539という商標名で販売されているオクトクリレン、
特にBASF社によりUvinul N35という商標名で販売されているエトクリレン、
ベンゾフェノン誘導体:
BASF社によりUvinul 400という商標名で販売されているベンゾフェノン-1、
BASF社によりUvinul D50という商標名で販売されているベンゾフェノン-2、
BASF社によりUvinul M40という商標名で販売されているベンゾフェノン-3又はオキシベンゾン、
Norquay社によりHelisorb 11という商標名で販売されているベンゾフェノン-6、
American Cyanamid社によりSpectra-Sorb UV-24という商標名で販売されているベンゾフェノン-8、
ベンゾフェノン-12、
BASF社により、Uvinul A+という商標名で、又はメトキシケイ皮酸オクチルとの混合物の形態にてUvinul A+Bという商標名で販売されているn-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、
ベンジリデンカンファー誘導体:
Chimex社によりMexoryl SDという名称で製造されている3-ベンジリデンカンファー、
Merck社によりEusolex 6300という名称で販売されている4-メチルベンジリデンカンファー、
Chimex社によりMexoryl SWという名称で製造されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、
フェニルベンゾトリアゾール誘導体:
Rhodia Chimie社によりSilatrizoleという名称で販売されているドロメトリゾールトリシロキサン、
Ciba-Geigy社によりTinoguard ASという名称で販売されているブメトリゾール、
アントラニル酸誘導体:
Symrise社によりNeo Heliopan MAという商標名で販売されているアントラニル酸メンチル、
イミダゾリン誘導体:
エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート、
ベンザルマロネート誘導体:
ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロネート、
ベンザルマロネート官能基を含有するポリオルガノシロキサン、例としてはDSM社によりParsol SLXという商標名で販売されているポリシリコーン-15、
4,4-ジアリールブタジエン誘導体:
1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、
親油性メロシアニン誘導体:
オクチル5-N,N-ジエチルアミノ-2-フェニルスルホニル-2,4-ペンタジエノエート、
並びにそれらの混合物。
好ましい親油性UV遮蔽剤は、以下から選ばれてもよい:
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、
サリチル酸エチルヘキシル、
ホモサレート、
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
オクトクリレン、
ベンゾフェノン-3、
n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、
4-メチルベンジリデンカンファー、
エチルヘキシルトリアゾン、
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
ドロメトリゾールトリシロキサン、
ブメトリゾール、
ポリシリコーン-15、
1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、及び
これらの混合物。
【0055】
より好ましい親油性UV遮蔽剤は、以下から選ばれてもよい:
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、
オクトクリレン、
サリチル酸エチルヘキシル、
n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、
エチルヘキシルトリアゾン、
ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、
ドロメトリゾールトリシロキサン、
ブメトリゾール、及び
これらの混合物。
【0056】
好ましい実施形態において、本発明による組成物は、親油性UV遮蔽剤として、ブメトリゾール及び/又はドロメトリゾールトリシロキサンを含む。
【0057】
有利には、親油性UV遮蔽剤は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~1質量%、好ましくは0.02質量%~0.6質量%、より好ましくは0.03質量%~0.3質量%の範囲の量で存在する。
【0058】
親油性フェノール系抗酸化剤
本発明の第1の態様によれば、組成物は、少なくとも1種の親油性フェノール系抗酸化剤を含む。
【0059】
親油性フェノール系抗酸化剤は、n-ブタノールと水との間のフェノール系抗酸化剤の分配係数が、>1、より好ましくは>10、更により好ましくは>100であることを意味する。
【0060】
フェノール系抗酸化剤として挙げることができるのは、分子内にヒンダードフェノール構造又はセミヒンダードフェノール構造を有するフェノール系抗酸化剤である。こうした化合物の特定の例として、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸で、これは、INCI名が、テトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロケイ皮酸ペンタエリスリチルであり、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、モノ-又はジ-又はトリ-(α-メチルベンジル)フェノール、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4'-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、トリス[N-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)]イソシアヌレート、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、ブチリデン-1,1ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナト]メタン、トリエチレングリコールビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、3,9-ビス{2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2-チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナミド)、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5-トリス[(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-キシリル)メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン、2,4-ビス(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-tert-ブチル-6-(3'-tert-ブチル-5'-メチル-2'-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2-[1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル]-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート、4,6-ビス[(オクチルチオ)メチル]-o-クレゾール、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート及び1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を挙げることができる。
【0061】
好ましくは、親油性フェノール系抗酸化剤は、テトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロケイ皮酸ペンタエリスリチル、N,N'-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナミド)、及びこれらの混合物から選択される。
【0062】
有利には、親油性フェノール系抗酸化剤は、組成物の総質量に対して、0.001質量%~0.1質量%、好ましくは0.002質量%~0.08質量%、より好ましくは0.003質量%~0.05質量%の範囲の量で存在する。
【0063】
油
本発明の第1の態様によれば、組成物は、少なくとも1種の油を含む。
【0064】
ここでは、「油」は、大気圧(760mmHg)下、室内温度(25℃)において、液体又はペースト(非固体)の形態の脂肪化合物又は脂肪物質を意味する。油としては、化粧品中で一般に使用されているものを、単独で又はそれらを組み合わせて使用することができる。これらの油は揮発性であっても不揮発性であってもよく、好ましくは不揮発性である。
【0065】
油は、炭化水素油、シリコーン油等の非極性油、植物油若しくは動物油、及びエステル油若しくはエーテル油等の極性油、又はこれらの混合物であってもよい。
【0066】
油は、植物又は動物由来の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油及び脂肪アルコールからなる群から選択されうる。
【0067】
植物油の例として、例えば、アマニ油、ツバキ油、マカダミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、ベニバナ油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0068】
合成油の例として、アルカン油、例えば、イソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0069】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の直鎖状又は分枝状C1~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとの液状エステルであり、これらのエステルの合計炭素原子数は10以上である。
【0070】
好ましくは、一価アルコールのエステルの場合、本発明のエステルが誘導されるアルコール及び酸のうち、少なくとも1種は分枝状である。
【0071】
一酸と一価アルコールとのモノエステルの中でも、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル、及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0072】
C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、並びにモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸と、非糖C4~C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた、使用することができる。
【0073】
特に挙げることができるのは以下:セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールである。
【0074】
エステル油として、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。用語「糖」は、アルデヒド又はケトン官能基を含む又は含まない、いくつかのアルコール官能基を含有する、酸素を有する炭化水素系化合物であって、少なくとも4個の炭素原子を含む化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖とすることができる。
【0075】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はショ糖)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、特にアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてはメチルグルコースがある。
【0076】
脂肪酸の糖エステルは、先に記載した糖と、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステル混合物を含む群から、特に選択することができる。これらの化合物は、不飽和である場合、1から3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0077】
この変形によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びポリエステル、並びにこれらの混合物から選択することもできる。
【0078】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル及びアラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、例えばとりわけ、オレオパルミチン酸、オレオステアリン酸、及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってもよい。
【0079】
より具体的には、モノエステル及びジエステル、特にスクロース、グルコース又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0080】
挙げることができる例は、ジオレイン酸メチルグルコースである、Amerchol社により名称Glucate(登録商標)DOで販売されている製品である。
【0081】
好ましいエステル油の例として、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0082】
人工トリグリセリドの例として挙げることができるのは、例えば、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルである。
【0083】
シリコーン油の例として、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等、環状オルガノポリシロキサン、例えば、シクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0084】
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、とりわけ、液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1つのアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンから選択される。
【0085】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてよい。本発明に従って使用することができる有機変性シリコーンは、上に定義したシリコーン油であり、構造中に、炭化水素系基を介して結合されている1つ又は複数の有機官能基を含む。
【0086】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968)、Academic Pressにおいて、より詳細に定義されている。これらは、揮発性であっても、不揮発性であってもよい。
【0087】
それらが揮発性である場合、シリコーンは、より具体的には、沸点が60℃から260℃の間であるものから選ばれ、更により具体的には以下から選ばれる:
(i)3~7個、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にUnion Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標) 7207で販売されている、又はRhodia社により名称Silbione(登録商標) 70045 V2で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社により名称Volatile Silicone(登録商標) 7158で販売されており、Rhodia社によりSilbione(登録商標) 70045 V5で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社により名称Silsoft 1217で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにこれらの混合物である。次式のジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサンのようなタイプのシクロコポリマー、例えば、Union Carbide社により販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109を挙げることもできる。
【0088】
【0089】
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサンとテトラトリメチルシリルペンタエリスリトールとの混合物(50/50)、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンとオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンとの混合物を挙げることもできる。
(ii)2~9個のケイ素原子を含有し、25℃において5×10-6m2/s以下の粘度を有する、直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にToray Silicone社により名称SH 200で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。この部類に属するシリコーンは、Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27~32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsに公表されている論文にも記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445付録Cに従って25℃で測定されている。
【0090】
また、不揮発性ポリジアルキルシロキサンを使用してもよい。これらの不揮発性シリコーンは、より具体的にはポリジアルキルシロキサンから選択され、その中では、主としてトリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる。
【0091】
これらのポリジアルキルシロキサンの中で、以下の市販製品を非限定的に挙げることができる:
- Rhodia社により販売されているSilbione(登録商標)油の47及び70 047シリーズ又はMirasil(登録商標)油、例えば70 047 V 500 000油;
- Rhodia社により販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油;
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば60000mm2/sの粘度を有するDC200;
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油及びGeneral Electric社製のSFシリーズの特定の油(SF 96、SF 18)。
【0092】
ジメチコノール(CTFA)の名称で知られる、ジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油も挙げることができる。
【0093】
アリール基を含有するシリコーンの中でも、ポリジアリールシロキサン、とりわけ、ポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサンがある。挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品がある:
- Rhodia社製のSilbione(登録商標)油の70 641シリーズ;
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70 633及び763シリーズの油;
- Dow Corning社製の油であるDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid;
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20;
- General Electric社製のSFシリーズの特定の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250及びSF 1265。
【0094】
有機変性液状シリコーンは、とりわけ、ポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有してもよい。そのため、信越化学工業株式会社によって提案されているシリコーンKF-6017、及びUnion Carbide社製の油Silwet(登録商標)L722及びL77を挙げることができる。
【0095】
炭化水素油は、以下から選択することができる:
- 直鎖状又は分枝状、任意選択で環状のC6~C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてはイソヘキサデカン、イソドデカン及びイソデカンがある;並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン及び水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、及びスクアラン。
【0096】
炭化水素油の好ましい例として、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクアラン、鉱油(例えば流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水素化ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0097】
脂肪アルコールにおける用語「脂肪」は、比較的大きい数の炭素原子を包含することを意味する。そのため、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールが、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和であっても、不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖状であっても、分枝状であってもよい。
【0098】
脂肪アルコールは、構造R-OH(式中、Rは、4から40個の炭素原子、好ましくは6から30個の炭素原子、より好ましくは12から20個の炭素原子を含有する、飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選択される)を有し得る。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12~C20アルキル基及びC12~C20アルケニル基から選択されうる。Rは、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換されていてもよく、非置換であってもよい。
【0099】
脂肪アルコールの例として、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0100】
脂肪アルコールが飽和脂肪アルコールであることが好ましい。
【0101】
したがって、脂肪アルコールは、直鎖状又は分枝状で、飽和又は不飽和のC6~C30アルコール、好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C6~C30アルコール、より好ましくは直鎖状又は分枝状の、飽和C12~C20アルコールから選択することができる。
【0102】
「飽和脂肪アルコール」という用語は、ここでは、長鎖の脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪アルコールが、任意の直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の飽和C6~C30脂肪アルコールの中でも、直鎖状又は分枝状の飽和C12~C20脂肪アルコールが、好ましくは使用され得る。任意の直鎖状又は分枝状の飽和C16~C20脂肪アルコールが、より好ましく使用されうる。分枝状C16~C20脂肪アルコールが、更により好ましく使用されうる。
【0103】
飽和脂肪アルコールの例として挙げることができるのは、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びそれらの混合物である。一実施形態では、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はそれらの混合物が、飽和脂肪アルコールとして使用されうる。
【0104】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物中で使用される脂肪アルコールは、好ましくは、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール及びそれらの混合物から選択される。
【0105】
油は、極性油から、より好ましくはエステル油から選択されることが好ましい。換言すれば、油は、少なくとも1種の極性油、より好ましくは少なくとも1種のエステル油を含むことが好ましい。
【0106】
好ましい実施形態において、油は、ケラチン繊維に清潔な感触を与えるように、すなわち油状のべたついた脂っぽい感触を与えないように、8~16個の炭素原子、更により良好には10~16個の炭素原子を含有する分枝状アルカン油、例えばイソドデカン、トリグリセリド、任意選択でジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、及びこれらの混合物から選択される。
【0107】
好ましい実施形態において、本発明による組成物中の油は、50質量%~70質量%の8~16個の炭素原子を含有する分枝状アルカン油、10質量%~40質量%のトリグリセリド、5質量%~35質量%の任意選択でジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサンを含む。
【0108】
有利には、油は、組成物の総質量に対して、95質量%~99質量%、好ましくは96質量%~98.5質量%、より好ましくは96.5質量%~98質量%の範囲の量で存在する。
【0109】
本発明による組成物は無水であることが好ましい。
【0110】
「無水」という用語は、本明細書では、本発明による組成物がごく少量の水しか含有できない、好ましくは水を含有しないことを意味する。そのため、水の量は、組成物の総質量に対して2質量%以下、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1質量%であってもよい。本発明による化粧用組成物が水を含有しないことが、特に好ましい。
【0111】
シリコーン樹脂セグメント及び流体シリコーンセグメントを含有するコポリマー
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、シリコーン樹脂セグメント及び流体シリコーンセグメントを含有する少なくとも1種のコポリマー(本出願において「シリコーンコポリマー」とも呼ばれる)を更に含む。
【0112】
シリコーンコポリマーは、シリコーン樹脂と流体シリコーンとの間の反応から生じる。これらのコポリマーは、毛髪及び爪への様々な美容用途並びに皮膚への医薬用途で、特許出願WO03/026596、WO2004/073626、WO2007/051505、及びWO2007/051506に記載されている。
【0113】
そのようなコポリマーは、例えば、「Silicone Pressure Sensitive Adhesive」、Sobieski and Tangney、Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology(D, Satas Ed.)、Von Nostrand Reinhold、New Yorkにも記載されている。
【0114】
シリコーン樹脂セグメント
本発明の実施形態の1つによれば、コポリマーのシリコーン樹脂セグメントは、MQ型シリコーン樹脂である。該MQ型シリコーン樹脂の例としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる: (i)式[(R1)3SiO1/2]x(SiO4/2)y(MQ単位)のアルキルシロキシシリケート[式中、x及びyは、50~80の範囲の整数であり、R1基は、1~10個の炭素原子を含有する炭化水素系基、フェニル基、フェニルアルキル基又はヒドロキシル基を表し、好ましくは1~8個の炭素原子を含有するアルキル基、好ましくはメチル基である];並びに(ii)フェニルアルキルのアルキルが上に定義したとおりである、フェニルアルキルシロキシシリケート樹脂、例えばフェニルプロピルジメチルシロキシシリケート。
【0115】
該MQ型シリコーン樹脂の例としては、General Electric社によってSR1000の参照名で、Wacker社によってTMS 803の参照名で、又は信越化学工業株式会社によってKF-7312J、又はDow Corning社によってDC749若しくはDC593の名称で販売されているものも挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
該MQ型シリコーン樹脂の例としては、MQシロキシシリケート単位、例えばフェニルプロピルジメチルシロキシシリケートのようなフェニルアルキルシロキシシリケート樹脂(General Electric社により販売されているSilshine 151)が更に挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
流体シリコーンセグメント
本発明の一実施形態によれば、本発明によるコポリマーの流体シリコーンセグメントは、OH末端官能基を有する。
【0118】
好ましくは、流体シリコーンセグメントは、25℃で100~100,000cStの粘度(ASTMD-445法を用いたBrookfield粘度計により決定した)を有し、OH末端官能基を有するジオルガノポリシロキサンであって、その置換基が、独立して、メチル、エチル、プロピル及びビニル基から選択される、ジオルガノポリシロキサンである。ジオルガノポリシロキサンは、好ましくは、直鎖状ポリマーである。ジオルガノポリシロキサンの例は、非限定的には、ポリジメチルシロキサン、エチルメチルポリシロキサン、ジメチルシロキサンとメチルビニルシロキサンとのコポリマー、及び該OH末端基を含有するポリマー又はコポリマーの混合物であってもよい。好ましいジオルガノポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサンである。
【0119】
例えば、本発明によるコポリマーは、以下の混合物を加熱することによって調製することができる:
- SiO2単位とR3(SiO)1/2単位の縮合生成物であり、式中の各R基が、独立して、メチル、エチル、プロピル及びビニル基から選択され、シリコーン樹脂のSiO2官能基とR3(SiO)1/2官能基との間の比が0.6~0.9の範囲である、45質量%~75質量%のシリコーン樹脂;
- 25℃で100~100,000cStの粘度(ASTMD-445法を用いたBrookfield粘度計により決定した)を有し、OH末端官能基を有する流体ジオルガノポリシロキサンであって、その置換基が、独立して、メチル、エチル、プロピル及びビニル基から選択される、25質量%~55質量%の流体ジオルガノポリシロキサン;並びに
- 好ましくは第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、上記アミンのカルボン酸塩及び第4級アンモニウム塩から選択される、好ましくは有機脂肪族アミン化合物である、0.001%~5%の好適な触媒。
【0120】
混合物を、結果として得られるシリコーンコポリマーの粘着性が得られるまで、80℃~160℃の温度まで加熱する。
【0121】
コポリマー中には、シリコーン樹脂及び流体シリコーンの百分率の合計が100に等しくなる場合、(シリコーンの総質量に対して)45%~75%の含有量のシリコーン樹脂が存在し、25%~55%の含有量の流体シリコーンが存在する。好ましくは、シリコーン樹脂及び流体シリコーンの百分率の合計が100に等しくなる場合、(シリコーンの総質量に対して)55%~65%の含有量のシリコーン樹脂が存在し、35%~45%の含有量の流体シリコーンが存在する。
【0122】
本発明による好ましいコポリマーは、Dow Cornng社により参照名Bio-PSA(登録商標)及びDOWSIL(商標)で販売されている。とりわけ、Bio-PSA(登録商標)のグレード7-4400、7-4405、7-4500及び7-4600、並びにDOWSIL(商標)のFC-5001、CM Resin Gum、FC-5002、IDD Resin Gum及びFC-5004 DM Resin Gumを挙げることができる。
【0123】
有利には、シリコーン樹脂セグメント及び流体シリコーンセグメントを含有するコポリマーは、組成物の質量に対して、0.5質量%~8質量%、好ましくは0.8質量%~6質量%、より好ましくは1質量%~4質量%の範囲の量で存在する。
【0124】
シリコーン樹脂セグメント及び流体シリコーンセグメントを含有するコポリマーを添加することによって、本発明の組成物は、ケラチン繊維をより処理しやすくできることを発見した。
【0125】
本明細書中で用いられる場合、「処理しやすい」という用語は、毛髪が整えられ、毛髪のカールが規則的で維持されることを意味する。
【0126】
追加の成分
本発明による組成物は、有利には化粧用組成物である。
【0127】
本発明による組成物は、化粧用組成物において他で以前から知られている、有効量の他の成分、例えば、様々な一般的なアジュバント、ビタミン又はプロビタミン、例えばパンテノール、乳白剤、香料、植物抽出物、陽イオン性ポリマー等を含むこともできる。
【0128】
好ましい実施形態によれば、本発明は、ケラチン繊維をコンディショニングするための組成物であって、組成物の総質量に対して、
a)D&Cバイオレット2(C.I. 60725)、β-カロテン(C.I. 75130)、グリーン6(C.I. 61565)、アスタキサンチン、及びこれらの混合物から選択される0.002質量%~0.1質量%の少なくとも1種の親油性染料;
b)ブメトリゾール、ドロメトリゾールトリシロキサン、これらの混合物から選択される0.03質量%~0.3質量%の少なくとも1種の親油性UV遮蔽剤;
c)テトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロケイ皮酸ペンタエリスリチル、N,N'-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナミド)、及びこれらの混合物から選択される0.003質量%~0.05質量%の少なくとも1種の親油性フェノール系抗酸化剤;並びに
d)8~16個の炭素原子を含有する分枝状アルカン油、トリグリセリド、任意選択でジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の油
を含む、組成物を提供する。
【0129】
好ましい実施形態による組成物が、光及び/又は50℃の昇温下で少なくとも24時間、安定性であり、ケラチン繊維にカラー修整効果をもたらすことができ、ケラチン繊維に清潔な感触を与えることが発見された。
【0130】
調製及び使用
本発明による組成物は、必須成分としての成分a)からd)、並びに上記で説明した任意選択の成分を混合して調製することができる。
【0131】
上記の必須及び任意選択の成分を混合する方法及び手段は、限定されない。任意の従来の方法及び手段が、上記の必須成分と任意選択の成分とを混合して本発明による組成物を調製するために使用されうる。
【0132】
本発明の組成物は、均一であることができる。
【0133】
本発明による組成物は、コンディショナー、リーブオン製品、例えば、リーブオンオイルとすることができる。
【0134】
組成物の使用は、濡れた又は乾燥した毛髪で行うことができる。
【0135】
本発明の第2の態様によれば、ケラチン繊維をコンディショニングするための美容方法は、上述の組成物をケラチン物質に適用する工程を含む。
【0136】
以下の実施例は、本発明を例示するために記載されるものであり、その範囲に限定すると解釈すべきではない。
【実施例】
【0137】
(実施例1)
リーブオンオイルの配合
本発明の配合によるリーブオンオイル(Inv.)1~2及び対照配合(comp.)1~3を調製した(含有量は、別段の指定がない限り、各リーブオンオイルの総質量に対する活性物質の質量百分率で表される):
【0138】
【0139】
本発明の配合1のリーブオンオイルは、シリコーンコポリマーを更に含む、本発明によるコンディショナーである。
【0140】
本発明の配合2のリーブオンオイルは、本発明によるコンディショナーである。
【0141】
Comp.1のリーブオンオイルは、親油性フェノール系抗酸化剤の代わりにカルノシンを含む。
【0142】
Comp.2のリーブオンオイルは、UV遮蔽剤を一切含まない。
【0143】
Comp.3のリーブオンオイルは、抗酸化剤を一切含まない。
【0144】
上に列挙したリーブオンオイルは、全成分を均一に冷間混合することによって調製した。
【0145】
(実施例2)
リーブオンオイルの評価
UV光及び昇温下の安定性を、実施例1で調製したリーブオンオイルで評価した。
【0146】
試験するリーブオンオイルを2つの条件に並行して曝露した。24時間のUV光でUV安定性を試験し、2週間の50°Cのオーブンにより温度安定性を試験した。
【0147】
色の任意の変化は、試験したリーブオンオイルが安定性でないことを示す。色の不変は、リーブオンオイルが安定性であることを示す。
【0148】
リーブオンオイルが、UV光及び昇温下で安定性である場合、結果は安定性である。
【0149】
リーブオンオイルが、UV光及び昇温下で安定性でない場合、結果は不安定である。
【0150】
各リーブオンオイルについての結果を、以下の表にまとめた。
【0151】
【0152】
上の表から、本発明によるリーブオンオイル(Inv.1及びInv.2)が、光及び昇温下で安定性だったことを確認できる。
【0153】
消費者試験を通して、本発明の配合1及び2のリーブオンオイルが、毛髪にカラー修整効果をもたらすことができ、毛髪に清潔な感触を与えることも発見された。
【0154】
加えて、本発明の配合1のコンディショナーは、毛髪をより処理しやすくする。
【国際調査報告】