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特表2023-508208傾斜視野角を与える内部カメラを備えたトロカール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-01
(54)【発明の名称】傾斜視野角を与える内部カメラを備えたトロカール
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539701
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(85)【翻訳文提出日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 IB2020061943
(87)【国際公開番号】W WO2021137077
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】16/729,434
(32)【優先日】2019-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アルガウィ・イェフダ
(72)【発明者】
【氏名】ゴバリ・アサフ
(72)【発明者】
【氏名】シットニツキー・イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】アルトマン・アンドレス・クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】アティアス・ギリ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF45
(57)【要約】
患者の臓器に挿入するためのトロカールは、遠位開口部を有するカニューレと、カニューレの内側のチャネルと、カメラを含む光学アセンブリと、を含む。光学アセンブリは、チャネルの遠位端に配置され、カニューレの長手方向軸に対して傾斜した視野(FOV)による遠位開口部のカメラ画像を与えるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の臓器内に挿入するためのトロカールであって、
遠位開口部を有するカニューレと、
前記カニューレの内側のチャネルと、
前記チャネルの遠位端に配置され、前記カニューレの長手方向軸に対して傾斜した視野(FOV)による前記遠位開口部のカメラ画像を与えるように構成された、カメラを含む光学アセンブリと、を含む、トロカール。
【請求項2】
前記光学アセンブリが、ユーザーによる調節に応じて、前記FOVの傾斜角を修正するように構成されている、請求項1に記載のトロカール。
【請求項3】
前記光学アセンブリが、前記カメラの視野方向を偏向させることによって、前記FOVの前記傾斜角を修正するように構成された傾斜可能なミラーを含む、請求項2に記載のトロカール。
【請求項4】
前記傾斜可能なミラーが、MEMSミラーである、請求項3に記載のトロカール。
【請求項5】
前記光学アセンブリが、前記カメラの視野方向を偏向させるように前記カメラが取り付けられた傾斜可能な要素を含む、請求項2に記載のトロカール。
【請求項6】
前記傾斜可能な要素が、MEMS要素である、請求項5に記載のトロカール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には、侵襲的医療器具に関し、詳細にはカメラを組み込んだ侵襲的医療器具に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の臓器の画像誘導プローブ探索のための技術が、特許文献においてこれまでに提案されている。例えば、米国特許出願公開第2015/0272694号は、複数のカメラが組み込まれた外科用装置について記載している。複数のカメラの各々のビューを互いに合成して合成画像を与えることができる。一体型カメラを含む外科用器具を、外科用装置と組み合わせて使用することができる。外科用器具と統合されたカメラによって生成された画像を、外科用装置に統合された複数のカメラによって生成された合成画像に関連付けることができる。カメラ及び/又は外科用器具の位置及び向きを追跡することができ、外科用器具を合成画像上で透明にレンダリングすることができる。
【0003】
別の例として、米国特許第5,188,093号は、カメラアセンブリと、カメラアセンブリの遠位端に回転可能に取り付けられた使い捨てスコープアセンブリと、を有する手持ち式携帯型関節鏡について記載している。光ファイバ画像ガイド及び複数の光学照明ファイバを含むプローブがスコープアセンブリに回転可能に取り付けられており、本体の内部構造を撮像するために体内に挿入可能である。照明ファイバは、スコープアセンブリを通って延在し、画像化される身体の内部構造を照明するための石英ハロゲンランプと光通信可能に接続される。プローブが挿入された身体の照明された内部構造から光を集めるため、GRINロッドが画像ガイドの遠位端に取り付けられている。画像ガイドは、GRINロッドの軸がカメラアセンブリの軸からオフセットするようにその遠位端の近くで曲げられており、GRINロッドを有する画像ガイドを支持するスコープアセンブリが回転させられる際の関節鏡の視野を向上させる。集束光学系は、画像ガイドと光通信可能にカメラアセンブリに取り付けられている。これらの集束光学系は、画像ガイドからの画像を集束させるためにカメラアセンブリ内で軸方向に移動可能である。集束光学系を通過する光は、カメラアセンブリに同様に取り付けられたカメラヘッドに入射する。
【0004】
米国特許出願公開第2006/0232664号は、シミュレートされた解剖学的構造が配置された訓練体積を規定するハウジングを含むビデオ内視鏡手術訓練システムについて記載している。外科用器具を、訓練体積内に挿入して解剖学的構造にアクセスすることができる。解剖学的構造をディスプレイに画像表示するためにデジタルビデオカメラがハウジング内に配置されている。デジタルビデオカメラの位置は、ブラケットに対するビデオカメラの位置を選択的に変更することを可能とするカメラブラケットによって訓練体積内に支持され、それによって、ビデオカメラによって実現される視野角を変化させる。一実施形態では、カメラブラケットはブームに連結されるが、その近位端はハウジングの外側に延在しており、ユーザーによるブームの近位端の調節によってデジタルビデオカメラの更なる位置決めが可能となっている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、患者の臓器に挿入するためのトロカールであって、遠位開口部を有するカニューレと、カニューレの内側のチャネルと、カメラを含む光学アセンブリと、を含む、トロカールを提供する。光学アセンブリは、チャネルの遠位端に配置され、カニューレの長手方向軸に対して傾斜した視野(FOV)による遠位開口部のカメラ画像を与えるように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態では、光学アセンブリは、ユーザーによる調節に応じて、FOVの傾斜角を修正するように構成されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、光学アセンブリは、カメラの視野方向を偏向させることによって、FOVの傾斜角を修正するように構成された傾斜可能なミラーを含む。
【0008】
一実施形態では、傾斜可能なミラーは、MEMSミラーである。
【0009】
別の実施形態では、光学アセンブリは、カメラの視野方向を偏向させるようにカメラが取り付けられた傾斜可能な要素を含む。更に別の実施形態では、傾斜可能な要素は、MEMS要素である。
【0010】
更に、本発明の別の実施形態によれば、遠位開口部を有するカニューレと、カニューレの内側のチャネルと、を含むトロカールを患者の臓器に挿入することを含む方法が提供される。チャネルの遠位端に配置されたカメラを含む光学アセンブリを使用して、カニューレの長手方向軸に対して傾斜した視野(FOV)による遠位開口部のカメラ画像が取得される。
【0011】
本発明は、図面とともに、その実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態による、カメラ及び傾斜可能なミラーを含むトロカールを含む外科装置を使用した脳手術の概略描図である。
図2】本発明の一実施形態による、図1の脳手術に適用されるトロカールの概略描図である。
図3】本発明の一実施形態による、図2のトロカールのカメラからの視覚画像を取得するための方法及びアルゴリズムを概略的に示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概論
特定の侵襲的医療処置では、患者の脳などの器官に医療用プローブを視覚的に誘導する手段が必要とされる。特定の侵襲的処置では、医療用プローブ又は他の器具を患者の身体に挿入するために、貫通ポータルとして機能するトロカールが最初に入口位置に配置される。トロカールは、プローブのポータルであることに加えて、カニューレを構成し、灌注を行うため、また体液及び他の流体を排出するために使用することができる。更に、トロカールは、標的組織へのプローブの視覚的誘導を支援するためのカメラを備えていてもよい。
【0014】
例えば、脳手術では、頭蓋骨に形成された穴から脳内に挿入されたプローブの遠位端を誘導することが必要とされる場合がある。このような手術では、カメラを備えたトロカールを挿入することにより、医師が標的脳組織の画像を取得することを可能とし、トロカールを介して治療プローブを進め、例えば、感染又は出血した脳組織などの標的脳組織を治療するために視覚的に誘導することができる。
【0015】
しかしながら、このカメラは比較的視野が狭く、取得された画像は、例えば、医療プローブの遠位縁部、又は血液若しくは他の物質によって見えにくい画像を示すといったように方向がずれている場合がある。
【0016】
以下に記載する本発明の実施形態は、カメラを含む光学アセンブリが内部のカニューレの壁に取り付けられたトロカールを提供するものである。アセンブリは、カニューレの長手方向軸に対して傾斜した視野(FOV)を有するカニューレの遠位開口部のカメラ画像を与えるように構成されている。傾斜角は、標的組織及び/又は治療プローブなどのはっきりとした画像を与えるためのものである。
【0017】
いくつかの実施形態では、カメラのFOVは、カニューレの長手方向軸に対して一定の角度で、例えば、10°又は他の適当な値の傾斜角で傾斜している。他の実施形態では、カメラFOVの傾斜角は、カニューレの遠位開口部の中心に向かう方向を含む一定範囲の方向にわたって調節可能である。このため、一実施形態では、カメラの光路上の傾斜可能なミラーを目標角度に傾斜させることによって視線方向を偏向させる。ミラーは、MEMSミラー又は別の種類の可動ミラーとすることができる。
【0018】
しかしながら、他の種類の可動光学系、屈折若しくは回折によって方向を偏向させることができる電気光学的手段、又は傾斜式カメラマウントを使用してカメラ自体を傾斜させる(これにより、傾斜可能なミラー若しくは他の種類の可動光学系、又は電気光学効果などの更なる要素又は機能の必要がなくなる)ことを含む、他の解決策を用いてカメラの視野を調節することもできる。
【0019】
開示される技術は、傾斜した、また、いくつかの実施形態においては、方向調節可能な(すなわち、傾斜可能な)トロカールのカメラの視野を用いて視覚画像の取得を最適化することにより、低侵襲的医療処置の結果を改善することができる。
【0020】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、カメラ48及び傾斜可能なミラー50を含むトロカール38を含んだ外科装置28を使用した脳手術の概略描図である。本明細書に記載のトロカール38は、傾斜可能な視野(FOV)を有するカメラを有するトロカールの一例である。傾斜可能なミラー以外の他の傾斜機構について以下に更に述べる。開示される技術は調節可能な傾斜FOVに限定されるものではなく、代替的な実施形態では、カメラFOVが固定角度で傾斜しているトロカールが提供される点に留意されたい。
【0021】
いくつかの実施形態では、外科装置28を含む脳診断及び治療システム20は、患者22の脳組織の感染症を治療するなどの脳手術を行うように構成されている。示される実施形態では、医師24がプローブ39を患者22の頭部41に挿入して(挿入部は示さず)脳組織にアクセスできるようにトロカール38を使用して頭蓋骨を貫通することができる。その後、トロカールが取り付けられたカメラ48を使用してプローブ39を動作させることができる。
【0022】
示される実施形態では、ケーブル32は、トロカール38の近位端から入り、その遠位端においてカメラ48及び傾斜可能なミラー50に電気的に配線されている。制御ハンドル60により、医師がミラー50の傾斜角を調節してカメラ48の視野角を調節できるようになっている。医師は、制御ノブ66を使用して調節することができる。
【0023】
制御ハンドル60は、医師24がカメラ48で画像を撮像し、その画像を参照医療画像と位置合わせする処置を行うことを支援するコマンドボタンなどの更なる制御要素を更に含むことができる。
【0024】
システム20は、脳内のセンサ45の位置を追跡するように構成された磁気位置追跡システムを含んでいる。磁気位置追跡システムは、フレーム46に固定された磁場発生器44を含む位置特定パッド40を更に含んでいる。図1に示される例示的な構成では、パッド40は、5個の磁場発生器44を含んでいるが、それに代えて他の任意の適当な数の発生器44を含んでもよい。パッド40は、各発生器44が頭部41の外部の固定された既知の位置に配置されるように、患者22の頭部41の下に置かれた枕(図示せず)を更に含んでいる。トロカール38のカニューレの壁に取り付けられた位置センサ45(図2に示す)が、電場発生器44によって発生された外部磁場を検知することに応じて位置信号を発生することで、プロセッサ34がセンサ45の位置を推定し、それによりトロカール38の遠位端の位置を推定することが可能である。
【0025】
この位置検知の方法は、様々な医療用途において、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,CA)により製造されるCARTO(商標)システムにおいて実施されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際公開第WO96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に詳細に説明されているが、これらの先行出願を、恰もその全体が記載されているものと同様にしてそれらの全容にわたって本明細書に援用するものである。
【0026】
いくつかの実施形態では、システム20は、メモリ49と、ケーブル37を介して適当な信号によって磁場発生器44を駆動して頭部41の周囲の空間内の規定の作業体積内に磁場を発生するように構成された駆動回路42と、を含むコンソール33を含む。
【0027】
プロセッサ34は、カメラ48からの画像を受信するとともにシステム20の他の構成要素を制御するための適当なフロントエンド回路及びインターフェース回路を備えた汎用コンピュータを典型的に含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、プロセッサ34は、カメラ48によって生成された画像を、MRI画像などの医療画像と位置合わせするように構成されている。プロセッサ34は、位置センサ45を使用して推定されるカニューレの遠位端の位置を更に位置合わせすることができる。プロセッサ34は、磁気位置追跡システムの座標系内及び/又は基準医療画像の座標系内でカメラ画像と参照医療画像とを位置合わせするように構成されている。
【0029】
いくつかの実施形態では、システム20は、カメラ48によって撮影された画像55を示すビデオディスプレイ52を含む。示されている画像では、治療プローブ39の遠位端が脳組織に係合している状態を見ることができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、プロセッサ34は、頭部41の二次元(2D)スライスを示す参照MRI画像などの1つ以上の解剖学的画像をインタフェース(図示せず)を介して受信するように構成されている。プロセッサ34は、MRI画像から1つ以上のスライスを選択し、これを画像55のようなリアルタイムカメラ画像と位置合わせして画像35のような合成画像を生成し、選択された合成スライスをユーザーディスプレイ36上で医師24に対して表示するように構成されている。図1の例では、合成画像35は、患者22の前脳組織の冠状断面図を示している。
【0031】
コンソール33は、コンソールの操作を制御するためのキーボード及びマウスなどの入力装置と、プロセッサ34から受信したデータ(例えば、画像)を表示し、かつ/又は、入力装置を用いてユーザー(例えば、医師24)によって挿入された入力を表示するように構成されたユーザーディスプレイ36と、を更に含む。
【0032】
図1は、簡潔性及び明瞭性のために、本開示の技術に関する要素のみを示す。システム20は、開示される技術には直接的な関連がなく、したがって図1及び対応する説明から意図的に省略されている追加的又は代替的なモジュール及び要素を典型的に含む。
【0033】
プロセッサ34は、システムによって使用される機能を実行するように、かつソフトウェアによって処理されるか、又は別様に使用されるデータをメモリ49に格納するようにプログラムされ得る。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態でプロセッサにダウンロードされてもよく、又は光学的、磁気的、若しくは電子的メモリ媒体など、非一時的な有形媒体上に提供されてもよい。上記に代えて、プロセッサ34の機能の一部又はすべてを、専用の又はプログラム可能なデジタルハードウェア要素によって実行することもできる。特に、プロセッサ34は、以下に更に記載されるように、開示される各工程をプロセッサ34が行うことを可能とする、図3に含まれる本明細書に開示される専用のアルゴリズムを実行する。
【0034】
調節可能な角度の視野を与える内部カメラを備えたトロカール
図2は、本発明の一実施形態による、図1の脳手術に適用されるトロカール38の概略描図である。図に見られるように、トロカール38は、カニューレ69の内側のチャネル70、カメラ48、及びチャネル70の遠位縁部に取り付けられた傾斜可能なミラー50を含んでいる。更に、チャネル70は、カメラを配線するためのケーブル32、ミラー、及び位置センサ45を収容している。必要な配線を制御ハンドル60へと配設(61)することができ、配線はそこから図1のケーブル32を介してコンソールへと配設される。
【0035】
カニューレ69の遠位端の拡大図(100)は、カメラ48がカニューレ69の遠位開口部78の遠位視線方向を有するように取り付けられている様子を示す。図に見られるように、カメラ48の視線方向は、カニューレ69の遠位開口部78の中心に向かう方向を含む、範囲θの方向角度(例えば、100°)をカバーする、最小角度(例えば、傾斜)方向82と最大角度方向84との間で調節することができる。
【0036】
典型的に、カメラの視線方向を調節するには、医師は、外部制御ハンドル60のノブ(図示せず)を使用する。例えば、ノブの回転は、(カメラケーブル32を介して)傾斜可能なミラー50に信号を送信して視野角を変更する。医師は、いずれかの方向にノブを回転させることにより、ミラー50を傾斜させてディスプレイ52上で最も良い画像55を得ることができる。
【0037】
挿入図102に見られる一実施形態では、傾斜可能なミラー50は、ミラーによって受信された制御電圧に従ってカメラ48の固定視線方向51を偏向させるMEMSミラーである。しかしながら、他の種類の可動ミラー又は光学系を含む他の解決策を使用して、又はカメラ48自体を傾斜可能なマウントに取り付けることによって(それにより、傾斜可能なミラー又は他の種類の可動光学系の必要がなくなる)、カメラ48の視野を調節することができる。
【0038】
図2のトロカール38の構成は、概念を明確にするために一例として示したものにすぎない。他の実施形態では、プローブ39などの医療器具を標的の脳位置に挿入するために、トロカール38内の追加のポートなどの追加の要素が含まれてもよい。
【0039】
図3は、本発明の一実施形態による、図2のトロカール38のカメラ48からの視覚画像を参照医療画像と位置合わせするための方法及びアルゴリズムを概略的に示したフローチャートである。このプロセスは、トロカール配置ステップ110で、医師24がトロカール38を配置して脳にアクセスすることで始まる。
【0040】
次に、画像撮像ステップ112において、医師24は、カメラ48によって標的脳組織の画像を撮像する。典型的には、そのような第1の画像は、可能な最も良い画像とはならない。
【0041】
画像調節ステップ114において、医師24は、傾斜可能なミラー50の角度を調節して標的脳組織のより良い画像を撮像する。次に、トロカール調節ステップ116において、医師24は、新たな角度視線を用いて、例えば、感染組織などの標的脳組織への最良のアクセスを得るためにトロカール38のアラインメントを調節する。
【0042】
次いで、プローブ挿入ステップ118において、医師24は、治療プローブ39を挿入して標的組織を治療する。治療中、治療ガイドステップ120において、カメラ48からの視野を調節することによって(ミラー50の傾斜角を調節することによって)視覚的ガイダンス(120)が与えられる。
【0043】
図3に示されている例示的なフローチャートは、単に概念を分かりやすくする目的で選択されたものである。代替的な実施形態では、医師24は、更なる監視ステップ(例えば、蛍光透視法)を用いて、処置の結果の成功を検証すること、及び/又はカメラ48の視野をクリアにするための灌注を適用することなどの追加のステップを行うことができる。
【0044】
本明細書に記載される実施形態は、主に脳手術に関するものであるが、本明細書に記載される方法及びシステムは、腹部又は胸部に位置するような他の臓器に医療装置を誘導する必要がある他の用途において、適宜変更を加えて使用することもできる。
【0045】
したがって、上述の実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、上記に具体的に示し、かつ説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。参照により本特許出願に組み込まれる文献は、これらの組み込まれた文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾する様式で定義される程度まで、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の不可欠な部分と見なすものとする。
【0046】
〔実施の態様〕
(1) 患者の臓器内に挿入するためのトロカールであって、
遠位開口部を有するカニューレと、
前記カニューレの内側のチャネルと、
前記チャネルの遠位端に配置され、前記カニューレの長手方向軸に対して傾斜した視野(FOV)による前記遠位開口部のカメラ画像を与えるように構成された、カメラを含む光学アセンブリと、を含む、トロカール。
(2) 前記光学アセンブリが、ユーザーによる調節に応じて、前記FOVの傾斜角を修正するように構成されている、実施態様1に記載のトロカール。
(3) 前記光学アセンブリが、前記カメラの視野方向を偏向させることによって、前記FOVの前記傾斜角を修正するように構成された傾斜可能なミラーを含む、実施態様2に記載のトロカール。
(4) 前記傾斜可能なミラーが、MEMSミラーである、実施態様3に記載のトロカール。
(5) 前記光学アセンブリが、前記カメラの視野方向を偏向させるように前記カメラが取り付けられた傾斜可能な要素を含む、実施態様2に記載のトロカール。
【0047】
(6) 前記傾斜可能な要素が、MEMS要素である、実施態様5に記載のトロカール。
(7) 遠位開口部を有するカニューレと、前記カニューレの内側のチャネルと、を含むトロカールを患者の臓器内に挿入することと、
前記チャネルの遠位端に配置されたカメラを含む光学アセンブリを使用して、前記カニューレの長手方向軸に対して傾斜した視野(FOV)による前記遠位開口部のカメラ画像を取得することと、を含む、方法。
(8) ユーザーによる調節に応じて前記FOVの傾斜角を修正することを含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記傾斜角を修正することが、前記カメラの視野方向を偏向するように構成された傾斜可能なミラーを傾斜させることを含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記傾斜可能なミラーが、MEMSミラーである、実施態様9に記載の方法。
【0048】
(11) 前記傾斜角を修正することが、前記カメラの視野方向を偏向させるように前記カメラが取り付けられた傾斜可能な要素を傾斜させることを含む、実施態様8に記載の方法。
(12) 前記傾斜可能な要素が、MEMS要素である、実施態様11に記載の方法。
図1
図2
図3
【国際調査報告】