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特表2023-508215可動カメラ及び内蔵位置センサを有するトロカール
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  • 特表-可動カメラ及び内蔵位置センサを有するトロカール 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-01
(54)【発明の名称】可動カメラ及び内蔵位置センサを有するトロカール
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20230221BHJP
【FI】
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539712
(86)(22)【出願日】2020-12-06
(85)【翻訳文提出日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 IB2020061560
(87)【国際公開番号】W WO2021137055
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】16/729,435
(32)【優先日】2019-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アルガウィ・イェフダ
(72)【発明者】
【氏名】ゴバリ・アサフ
(72)【発明者】
【氏名】シットニツキー・イリヤ
(72)【発明者】
【氏名】カツィール・スタニスラフ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF56
4C160MM32
4C160MM33
4C160NN04
4C160NN12
(57)【要約】
患者の臓器に挿入するためのトロカールは、長手方向軸を有するニューレと、カニューレ内に取り付けられたカメラと、カメラに結合され、カニューレの長手方向軸に沿って移動し、かつカメラをカニューレに沿って移動させるように構成された可動要素と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の臓器に挿入するためのトロカールであって、
長手方向軸を有するカニューレと、
前記カニューレ内に取り付けられたカメラと、
前記カメラに結合され、前記カニューレの前記長手方向軸に沿って移動し、かつ前記カメラを前記カニューレに沿って移動させるように構成された可動要素と、を含む、トロカール。
【請求項2】
前記可動要素は、カニューレの内壁に形成された前記長手方向軸に平行なチャネル内でスライドするように構成され、前記可動要素の遠位端は、前記カメラに結合されている、請求項1に記載のトロカール。
【請求項3】
前記可動要素の近位端に結合されたスライド制御ハンドルを含み、前記スライド制御ハンドルは、回転して、回転することによって前記可動要素及び前記カメラを移動させるように構成された回転可能なカメラ位置制御ノブを含む、請求項2に記載のトロカール。
【請求項4】
前記カニューレの遠位端の内壁に取り付けられ、前記臓器における前記遠位端の位置を示す信号を生成するように構成された、位置センサを含む、請求項1に記載のトロカール。
【請求項5】
前記位置センサは磁気位置センサである、請求項4に記載のトロカール。
【請求項6】
前記カメラは、前記カニューレの遠位開口部を捕捉する視線方向を有するように、前記長手方向軸に対して傾斜している、請求項1に記載のトロカール。
【請求項7】
装置であって、
患者の臓器に挿入するためのトロカールであって、
長手方向軸を有するカニューレと、
前記カニューレ内に取り付けられたカメラと、
前記カメラに結合され、前記カニューレの前記長手方向軸に沿って移動し、かつ前記カメラを前記カニューレに沿って移動させるように構成された、可動要素とを含む、トロカールと、
前記可動要素の近位端に結合され、前記可動要素及び前記カメラを移動させるように構成されたスライド制御ハンドルと、を含む、装置。
【請求項8】
前記可動要素は、カニューレの内壁に形成された前記長手方向軸に平行なチャネル内でスライドするように構成され、前記可動要素の遠位端は、前記カメラに結合され、前記スライド制御ハンドルは、回転して、回転することによって前記可動要素をスライドさせるように構成された回転可能なカメラ位置制御ノブを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
システムであって、
患者の臓器に挿入するためのトロカールであって、
長手方向軸を有するカニューレと、
前記カニューレ内に取り付けられたカメラと、
前記カメラに結合され、前記カニューレの前記長手方向軸に沿って移動し、かつ前記カメラを前記カニューレに沿って移動させるように構成された、可動要素と、
前記カニューレの遠位端の内壁に取り付けられ、前記臓器における前記遠位端の位置を示す信号を生成するように構成された、位置センサと、を含む、トロカールと、
前記位置センサによって生成された前記信号を使用して、前記臓器における前記トロカールの前記遠位端の前記位置を推定するように構成されたプロセッサと、を含む、システム。
【請求項10】
前記プロセッサは更に、
前記推定された位置に基づいて、前記カメラによって取得された画像を参照医用画像に位置合わせし、
互いに位置合わせされた前記カメラによって取得された前記画像及び前記参照医用画像をユーザーに提示するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記位置センサは磁気位置センサである、請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、侵襲性医療ツールに関し、特にカメラを組み込んだ侵襲性医療ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の臓器の画像誘導プロービングのための技術は、以前に特許文献において提案されていた。例えば、米国特許出願公開第2011/0160535号には、腹腔鏡処置を含む内視鏡処置で使用するための使い捨てアクセスポートが記載されている。アクセスポートは、外部制御ボックスと通信する埋め込みカメラを有するカニューレを含む。手術中、トロカールをアクセスポートと組み合わせて、解剖学的部位へのアクセスポートの挿入を容易にする。挿入前に、カメラをカニューレの内部に押し込み、挿入中にカメラはそこに留まる。アクセスポートを挿入した後、トロカールを取り外して、手術器具が解剖学的部位にアクセスできるようにする。トロカールの取り外し中に、トロカールの一部がカメラをカニューレから押し出し、それによって解剖学的部位を可視化することができる。カメラは、ポートに固定して又は調整可能に取り付けることができる。トロカール上にカメラを取り付けることもできる。トロカールは、解剖学的部位を明確に観察することを容易にするために、灌注及び吸引チャネルを含んでもよい。
【0003】
別の例として、米国特許出願公開第2013/0282041号には、近位端及び遠位端を有する管状本体と、遠位端に設けられた開口部と、管状本体の遠位端の外壁に配置された少なくとも1つの撮像装置と、を含む、観察用トロカールアセンブリが記載されており、少なくとも1つの撮像装置は、非活性化位置にあるとき、管状本体の遠位端の外壁に隣接しており、また、少なくとも1つの撮像装置は、活性化位置にあるとき、非活性化位置にあるときよりも管状本体の遠位端の外壁から更に離れて延びている。開示された撮像装置は、患者の体内に配置されると操作可能であり、したがって、撮像能力を向上させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一実施形態は、患者の臓器に挿入するためのトロカールを提供し、トロカールは、長手方向軸を有するニューレと、カニューレ内に取り付けられたカメラと、カメラに結合され、カニューレの長手方向軸に沿って移動し、かつカメラをカニューレに沿って移動させるように構成された、可動要素と、を含む。
【0005】
一部の実施形態では、可動要素は、カニューレの内壁に形成された長手方向軸に平行なチャネル内でスライドするように構成され、可動要素の遠位端は、カメラに結合されている。
【0006】
一部の実施形態では、トロカールは、可動要素の近位端に結合されたスライド制御ハンドルを更に含み、スライド制御ハンドルは、回転して、回転することによって可動要素及びカメラを移動させるように構成された回転可能なカメラ位置制御ノブを含む。
【0007】
他の実施形態では、トロカールは、カニューレの遠位端の内壁に取り付けられ、臓器における遠位端の位置を示す信号を生成するように構成された、位置センサを更に含む。
【0008】
一実施形態では、位置センサは磁気位置センサである。別の実施形態では、カメラは、カニューレの遠位開口部を捕捉する視線方向を有するように、長手方向軸に対して傾斜している。
【0009】
本発明の別の実施形態によれば、トロカール及びスライド制御ハンドルを含む装置が更に提供される。トロカールは、患者の臓器に挿入するように構成され、また、長手方向軸を有するニューレと、カニューレ内に取り付けられたカメラと、カメラに結合され、カニューレの長手方向軸に沿って移動し、かつカメラをカニューレに沿って移動させるように構成された、可動要素と、を含む。スライド制御ハンドルは、可動要素の近位端に結合され、可動要素及びカメラを移動させるように構成されている。
【0010】
一部の実施形態では、可動要素は、カニューレの内壁に形成された長手方向軸に平行なチャネル内でスライドするように構成され、可動要素の遠位端は、カメラに結合され、スライド制御ハンドルは、回転して、回転することによって可動要素をスライドさせるように構成された回転可能なカメラ位置制御ノブを含む。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、トロカール及びプロセッサを含むシステムが更に提供される。トロカールは、患者の臓器に挿入するように構成され、また、長手方向軸を有するニューレと、カニューレ内に取り付けられたカメラと、カメラに結合され、カニューレの長手方向軸に沿って移動し、かつカメラをカニューレに沿って移動させるように構成された、可動要素と、カニューレの遠位端の内壁に取り付けられ、臓器における遠位端の位置を示す信号を生成するように構成された、位置センサと、を含む。プロセッサは、位置センサによって生成された信号を使用して、臓器におけるトロカールの遠位端の位置を推定するように構成されている。
【0012】
一部の実施形態では、プロセッサは、推定された位置に基づいて、カメラによって取得された画像を参照医用画像に位置合わせし、互いに位置合わせされたカメラによって取得された画像及び参照医用画像をユーザーに提示するように更に構成されている。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、トロカールを患者の臓器に挿入することを含む方法が更に提供され、トロカールは、長手方向軸を有するカニューレと、カニューレ内に取り付けられたカメラと、カメラに結合され、カニューレの長手方向軸に沿って移動し、かつカメラをカニューレに沿って移動させるように構成された、可動要素と、を含む。スライド制御ハンドルは、可動要素の近位端に結合され、可動要素及びカメラを移動させるように構成されている。可動要素及びカメラは、可動要素の近位端に結合されたスライド制御ハンドルを使用して移動される。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、トロカールを患者の臓器に挿入することを含む方法が更に提供され、トロカールは、長手方向軸を有するカニューレと、カニューレ内に取り付けられたカメラと、カメラに結合され、カニューレの長手方向軸に沿って移動し、かつカメラをカニューレに沿って移動させるように構成された、可動要素と、カメラの視野を遮ることなくカニューレの遠位端の内壁に取り付けられ、臓器における遠位端の位置を示す信号を生成するように構成された位置センサと、を含む。位置センサによって生成された信号を使用することで、臓器におけるトロカールの遠位端の位置が推定される。
【0015】
本発明は、図面と併せて、その実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態による、スライド可能なカメラ及び位置センサを含むトロカールを含む外科用装置を使用する脳処置の概略図である。
図2】本発明の一実施形態による、図1の脳処置において適用されるトロカールの概略図である。
図3】本発明の一実施形態による、図1のスライド可能なカメラから最良の視覚画像を得て、その画像を参照医用画像に位置合わせするための方法及びアルゴリズムを概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
概要
一部の侵襲的医療処置では、医療用プローブを患者の脳などの臓器に視覚的に誘導する方法が必要である。一部の侵襲的処置では、医療用プローブ又は他のツールを患者の体内に挿入するために、貫通ポータルとして機能するトロカールが最初に入口位置に配置される。プローブ用のポータルであることに加えて、トロカールは、灌注並びに体液及び他の流体の排出に使用され得るカニューレを含む。更に、トロカールには、プローブを標的組織に視覚的にナビゲートするのを支援するカメラが装備されてもよい。
【0018】
例えば、脳処置では、頭蓋骨に開けられた穴を介して脳に挿入されたプローブの遠位端をナビゲートする必要がある場合がある。この処置では、カメラを有するトロカールを挿入して、医師が標的脳組織の画像を取得できるようにすることができるが、治療用プローブをトロカールを介して前進させ、視覚的に誘導して、標的脳組織、例えば感染した脳組織又は出血している脳組織を治療する。
【0019】
しかしながら、トロカールのカメラがトロカール内であまりにも遠位に位置している場合、取得された画像は血液又は他の物質によって不明瞭になり、カメラがトロカール内であまりにも近位に位置している場合、取得された画像は低品質であり、所望のビューではなくトロカールの壁を表示する可能性がある。
【0020】
以下に記載される本発明の実施形態は、カニューレの壁の内部に取り付けられた可動カメラと、カニューレの長手方向軸に平行に(即ち、近位位置と遠位位置との間の範囲にわたって)カメラを、カメラが標的組織及び/又は治療用プローブなどの最良の視界を提供できるカニューレ内の位置に移動させる移動機構と、を有するトロカールを提供する。
【0021】
一部の実施形態では、カメラのスライド運動は、カニューレ内のチャネルを使用して提供され、このチャネル内でカメラは、カメラが結合されているチャネル内の可動要素を使用してスライドすることができる。一部の実施形態では、可動要素は、カメラが取り付けられているスライドアダプタを介してカメラに結合されている可撓性チューブである。可撓性チューブは、カメラ配線を更に含む。以下、「カメラ制御ガイド」とも呼ばれる可撓性チューブは、カメラを、制御ガイドをスライドさせるように構成された外部制御装置に接続する。外部制御装置には、典型的には、可動要素の近位端に結合されたスライド制御ハンドルが取り付けられており、スライド制御ハンドルは、回転することによって可動要素及びカメラを回転させるように構成された回転可能なカメラ位置制御ノブを含む。例えば、トロカールが挿入された後、医師は、カメラ位置制御ノブを回転させて可動要素をそのチャネルに沿ってスライドさせることができ、これにより、カメラは上記のようにスライドする。したがって、医師は、カメラが遮られないようにカメラを配置することができ、良好な画像を提供することができる。
【0022】
他の実施形態では、弾性要素(例えば、ばね)、ピストン、又は形状記憶ベースの機械的要素など、他のタイプの可動要素を使用してカメラを移動させることができる。更に別の実施形態では、例えば、カニューレ内に取り付けられたレール上を移動するためにカメラに結合された電気モータを使用して移動を実現することができる。同様に、スライダボタン又は電気スイッチのような他の種類の外部制御装置を実現することができる。
【0023】
一部の実施形態では、位置センサは、カニューレの遠位端においてトロカールのカニューレの内壁にしっかりと取り付けられている。センサからの位置データを提供するセンサ配線は、センサからカメラ制御ガイドを経由してプロセッサに走り、プロセッサは、トロカール遠位端の位置データを医師に提供して、例えば、可動(例えば、スライド可能)カメラからキャプチャされた画像を参照医用画像(例えば、MRI画像)に位置合わせする。
【0024】
トロカールの位置調整可能(即ち、可動)カメラを使用して視覚画像取得を最適化することにより、開示された技術は、低侵襲性医療処置の転帰を改善することができる。
【0025】
システムの説明
図1は、本発明の一実施形態による、スライド可能なカメラ48及び位置センサ50を含むトロカール38を含む外科用装置28を使用する脳処置の概略図である。一部の実施形態では、外科用装置28を含む脳診断及び治療システム20は、患者22の脳組織からの感染症を治療するなどの脳処置を実施するように構成されている。図示の実施形態では、トロカール38を使用して頭蓋骨を貫通させ、それにより、医師24は、プローブ39を患者22の頭部41に挿入して脳組織にアクセスすることができる。続いて、トロカールに取り付けられたスライド可能なカメラ48及び磁気位置センサ50を使用してプローブ39を操作してもよい。典型的には、治療用プローブ39は、第2の医師(図示せず)によって操作されてもよい。
【0026】
図示の実施形態では、スライド制御ハンドル60は、カメラ制御ガイド58(即ち、可動要素58)を移動させるためにスライド制御装置上に配置された回転可能なカメラ位置制御ノブ66を含む。ガイド58は、トロカール38の近位端に入り、その遠位端でカメラ48に結合される。図2で更に説明するように、ノブ66を回転させることにより、医師24は、トロカール38内でカメラ48をスライドさせて、スライド可能なカメラ48の位置を調整して、最良の視界を得ることができる。
【0027】
スライド制御ハンドル60は、センサ50への配線を更に含んでもよく、また、カメラ48から画像をキャプチャし、その画像を参照医用画像に位置合わせするためのコマンドボタンなど、医師24が処置を実施するのを支援する追加の制御要素を含んでもよい。
【0028】
システム20は、脳内のセンサ50の位置を追跡するように構成された磁気位置追跡システムを含む。磁気位置追跡システムは、フレーム46に固定された磁場発生器44を含む位置パッド40を含む。図1に示される例示的な構成では、パッド40は、5つの磁場発生器44を含むが、代替的に、任意の他の適切な数の発生器44を含むことができる。パッド40は、発生器44が頭部41の外部の固定された既知の位置に配置されるように、患者22の頭部41の下に配置された枕(図示せず)を更に含む。位置センサは、磁場発生器44によって生成された外部磁場を感知することに応答して位置信号を生成し、それによって、プロセッサ34がセンサ50の位置、したがって患者22の頭部内のトロカール38の遠位端の位置を推定することを可能にする。
【0029】
この位置検出技術は、様々な医療用途、例えば、Biosense Webster Inc.(Irvine,CA)によって製造されたCARTO(商標)システムに実装され、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に詳細に記載されており、これらの先行出願は、本明細書に完全に記載されているかのように参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0030】
一部の実施形態では、システム20は、メモリ49を含むコンソール33と、頭部41の周囲の空間における所定の作業体積内に磁場を発生させるように、ケーブル37を介して適切な信号で磁場発生器44を駆動するように構成されたドライバ回路42とを含む。
【0031】
プロセッサ34は、典型的には、ケーブル32を介してカメラ48からの画像及び位置センサ50からの信号を受信し、本明細書に記載されるシステム20の他の構成要素を制御するための適切なフロントエンド及びインターフェース回路を有する汎用コンピュータである。
【0032】
一部の実施形態では、プロセッサ34は、カメラ48によって生成された画像を、MRI画像などの医用画像に位置合わせするように構成されている。プロセッサ34は更に、位置センサ50を使用して推定された遠位端の位置を位置合わせすることができる。プロセッサ34は、位置センサ50を使用してトロカール38の遠位端の位置を推定することによって視覚画像を位置合わせすることができる。プロセッサ34は、磁気位置追跡システムの座標系及び/又は参照医用画像の座標系においてカメラ画像と参照医用画像を位置合わせするように構成されている。
【0033】
一部の実施形態では、システム20は、スライド可能なカメラ48によって撮影された画像55を表示するビデオディスプレイ52を含む。図示の画像では、治療用プローブ39の遠位端が脳組織に係合しているのが見える。
【0034】
一部の実施形態では、プロセッサ34は、インターフェース(図示せず)を介して、頭部41の2次元(2D)スライスを描写する参照MRI画像などの1つ以上の解剖学的画像を受信するように構成されている。プロセッサ34は、MRI画像から1つ以上のスライスを選択し、それを画像55などのリアルタイムカメラ画像に位置合わせして、画像35などの結合画像を生成し、そして選択された結合スライスをユーザーディスプレイ36上で医師24に表示するように構成されている。図1の例では、結合画像35は、患者22の前脳組織の断面冠状図を示す。
【0035】
コンソール33は、コンソールの動作を制御するためのキーボード及びマウスなどの入力装置と、プロセッサ34から受信したデータ(例えば、画像)を表示するように、及び/又は入力装置を使用してユーザーによって(例えば、医師24によって)挿入された入力を表示するように構成されたユーザーディスプレイ36と、を更に含む。
【0036】
図1は、簡潔性及び明確性のために、開示された技術に関連する要素のみを示す。システム20は、典型的には、開示された技術に直接関連しない追加又は代替のモジュール及び要素を含み、したがって、それらは、図1及び対応する説明から意図的に省略されている。代替の実施形態では、回転可能なノブの代わりにハンドル60上のスライダボタンを使用するなど、カメラを移動させることが可能である。
【0037】
プロセッサ34は、システムによって使用される機能を実行し、ソフトウェアによって処理又は他の方法で使用されるデータをメモリ49に記憶するようにソフトウェアでプログラムされてもよい。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形式でプロセッサにダウンロードされてもよく、又は光、磁気若しくは電子メモリ媒体などの非一時的な有形媒体上で提供されてもよい。あるいは、プロセッサ34の機能の一部又はすべては、専用又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素によって実行されてもよい。特に、プロセッサ34は、図3に含まれている本明細書に開示されるような専用アルゴリズムを実行するが、これは、以下で更に説明するように、プロセッサ34が開示されたステップを実行することを可能にする。
【0038】
スライド可能なカメラ及び内蔵位置センサを有するトロカール
図2は、本発明の一実施形態による、図1の脳処置において適用されるトロカール38の概略図である。見られるように、トロカール38は、カニューレ69内のチャネル70を含むが、このチャネルは、カメラ制御ガイド58をスライドさせるためのトラックを提供する。カメラ48は、例えば、カメラが取り付けられているスライドアダプタ77を介してガイド58に結合され、その結果、カメラは、カニューレ69内で遠位(例えば、下)又は近位(例えば、上)にスライドすることができる。
【0039】
カメラ制御ガイド58を遠位にスライドさせるために、医師は、外部制御ハンドル60上の制御ノブ66を第1の方向に回転させる。ノブ66の回転により、カメラ制御ガイド58が前方に移動するが、これは、(例えば、可撓性ガイド58をほぼ直角に回転させることによって)カニューレ69内のカメラ48の遠位運動に変換される。ノブ66をもう一方の方向に回転させることにより、医師は、カメラ制御ガイド58を後方に引っ張るが、これは、カニューレ69のカメラ48の近位運動に変換される。
【0040】
更に見られるように、磁気センサ50はカニューレ69の内壁に固定され、その配線59は、カメラ48の配線と共に制御ハンドル60にルーティングされ(61)、そこから配線は図1のケーブル32を介してコンソールにルーティングされる。
【0041】
カニューレ69の遠位端のズームイン(100)は、カメラ48が、カニューレ69の遠位開口部78の中心を指す中心遠位視線方向を有するように傾斜した構成で取り付けられていることを示す。同時に、センサ50は、カニューレ壁に取り付けるのに十分に薄く、したがってカメラ48の視野79を遮らない。
【0042】
図2のトロカール38の構成は、概念を明確にするために例として示されている。他の実施形態では、医療ツールを標的脳位置に挿入するためのトロカール38内の追加ポートのような追加要素が含まれてもよい。
【0043】
図3は、本発明の一実施形態による、図1のスライド可能なカメラ48から最良の視覚画像を得て、その画像を参照医用画像に位置合わせするための方法及びアルゴリズムを概略的に示すフローチャートである。このプロセスは、トロカール配置ステップ80において、医師24がトロカール38を配置して脳にアクセスすることから始まる。
【0044】
次に、医師24は、トロカール位置追跡ステップ82において、システム20を操作して、センサ50からの信号を使用して、トロカール38の遠位端の脳内の位置を磁気的に追跡する。次に、医師24は、カメラ位置調整ステップ84において、制御ノブ66を回転させることによって装置28を操作し、カメラ48をスライドさせて、標的脳組織の最良の視界(例えば、ディスプレイ52上)を得る。画像キャプチャステップ86において、医師24は、カメラ48によって画像をキャプチャして、参照医用画像に位置合わせする。
【0045】
画像位置合わせステップ88において、(センサ50を使用して)トロカール38の遠位端の追跡された位置に基づいて、プロセッサ34は、(カメラ48によって)キャプチャされた画像を、MRIスキャンなどからメモリ49に記憶されたそれぞれの参照医用画像に位置合わせして結合画像35を生成する。一実施形態では、プロセッサ34は、例えば、治療が脳組織を除去する場合、位置合わせされた画像に基づいて参照医用画像を補正するように更に構成されている。別の実施形態では、プロセッサは、例えば、参照画像が撮影されてからの腫瘍増殖のためにカメラ48によって検出される、より大きな腫瘍サイズが原因で、視覚画像と参照画像との間で検出された不一致をユーザーに警告するように更に構成されている。
【0046】
次に、トロカール調整ステップ90において、結合画像35を使用して、医師24は、例えば、感染組織などの標的脳組織への最良のアクセスを可能にするために、トロカール38の位置合わせを調整する。次に、医師24は、プローブ挿入ステップ92において、治療用プローブ39を挿入する。最後に、治療ステップ94において、医師24は、プローブ39を使用して、スライド可能なカメラ48によって提供される視覚誘導の下で標的組織を治療するが、当該カメラの位置は、標的組織に対するプローブ39の最良の視界を得るために、医師24によってノブ66を使用して調整される。
【0047】
図3に示されている例示的なフローチャートは、単に概念を明確にするために選択されたものである。代替の実施形態では、医師24は、処置の成功した結果を検証するために追加の監視ステップ(例えば、蛍光透視)を使用するなどの追加のステップを実行し、及び/又はスライド可能なカメラ48の視界を明瞭にするために灌注を適用することができる。
【0048】
本明細書に記載の実施形態は、主に脳処置に対処するが、本明細書に記載の方法及びシステムはまた、腹部又は胸部に位置するような他の臓器で医療機器を誘導することを必要とする他の用途でも使用することができる。
【0049】
したがって、上記の実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、上記で特に示され、説明されたものに限定されないことが理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、上記の様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形及び修正を含む。参照により本特許出願に組み込まれる文献は、本出願の不可欠な部分と見なされるべきであり、ただし、これらの組み込まれた文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗黙的になされた定義と矛盾する方法で定義されている限り、本明細書における定義のみを考慮すべきである。
【0050】
〔実施の態様〕
(1) 患者の臓器に挿入するためのトロカールであって、
長手方向軸を有するカニューレと、
前記カニューレ内に取り付けられたカメラと、
前記カメラに結合され、前記カニューレの前記長手方向軸に沿って移動し、かつ前記カメラを前記カニューレに沿って移動させるように構成された可動要素と、を含む、トロカール。
(2) 前記可動要素は、カニューレの内壁に形成された前記長手方向軸に平行なチャネル内でスライドするように構成され、前記可動要素の遠位端は、前記カメラに結合されている、実施態様1に記載のトロカール。
(3) 前記可動要素の近位端に結合されたスライド制御ハンドルを含み、前記スライド制御ハンドルは、回転して、回転することによって前記可動要素及び前記カメラを移動させるように構成された回転可能なカメラ位置制御ノブを含む、実施態様2に記載のトロカール。
(4) 前記カニューレの遠位端の内壁に取り付けられ、前記臓器における前記遠位端の位置を示す信号を生成するように構成された、位置センサを含む、実施態様1に記載のトロカール。
(5) 前記位置センサは磁気位置センサである、実施態様4に記載のトロカール。
【0051】
(6) 前記カメラは、前記カニューレの遠位開口部を捕捉する視線方向を有するように、前記長手方向軸に対して傾斜している、実施態様1に記載のトロカール。
(7) 装置であって、
患者の臓器に挿入するためのトロカールであって、
長手方向軸を有するカニューレと、
前記カニューレ内に取り付けられたカメラと、
前記カメラに結合され、前記カニューレの前記長手方向軸に沿って移動し、かつ前記カメラを前記カニューレに沿って移動させるように構成された、可動要素とを含む、トロカールと、
前記可動要素の近位端に結合され、前記可動要素及び前記カメラを移動させるように構成されたスライド制御ハンドルと、を含む、装置。
(8) 前記可動要素は、カニューレの内壁に形成された前記長手方向軸に平行なチャネル内でスライドするように構成され、前記可動要素の遠位端は、前記カメラに結合され、前記スライド制御ハンドルは、回転して、回転することによって前記可動要素をスライドさせるように構成された回転可能なカメラ位置制御ノブを含む、実施態様7に記載の装置。
(9) システムであって、
患者の臓器に挿入するためのトロカールであって、
長手方向軸を有するカニューレと、
前記カニューレ内に取り付けられたカメラと、
前記カメラに結合され、前記カニューレの前記長手方向軸に沿って移動し、かつ前記カメラを前記カニューレに沿って移動させるように構成された、可動要素と、
前記カニューレの遠位端の内壁に取り付けられ、前記臓器における前記遠位端の位置を示す信号を生成するように構成された、位置センサと、を含む、トロカールと、
前記位置センサによって生成された前記信号を使用して、前記臓器における前記トロカールの前記遠位端の前記位置を推定するように構成されたプロセッサと、を含む、システム。
(10) 前記プロセッサは更に、
前記推定された位置に基づいて、前記カメラによって取得された画像を参照医用画像に位置合わせし、
互いに位置合わせされた前記カメラによって取得された前記画像及び前記参照医用画像をユーザーに提示するように構成されている、実施態様9に記載のシステム。
【0052】
(11) 前記位置センサは磁気位置センサである、実施態様9に記載のシステム。
(12) 方法であって、
トロカールを患者の臓器に挿入することであって、前記トロカールは、
長手方向軸を有するカニューレと、
前記カニューレ内に取り付けられたカメラと、
前記カメラに結合され、前記カニューレの前記長手方向軸に沿って移動し、かつ前記カメラを前記カニューレに沿って移動させるように構成された、可動要素と、を含む、ことと、
前記可動要素の近位端に結合されたスライド制御ハンドルを使用して、前記可動要素及び前記カメラを移動させることと、を含む、方法。
(13) 前記可動要素を移動させることは、前記スライド制御ハンドルに結合されたカメラ位置制御ノブを回転させて、前記可動要素を、カニューレの内壁に形成された前記長手方向軸に平行なチャネル内でスライドさせることを含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 方法であって、
トロカールを患者の臓器に挿入することであって、前記トロカールは、
長手方向軸を有するカニューレと、
前記カニューレ内に取り付けられたカメラと、
前記カメラに結合され、前記カニューレの前記長手方向軸に沿って移動し、かつ前記カメラを前記カニューレに沿って移動させるように構成された、可動要素と、
前記カメラの視野を遮ることなく前記カニューレの遠位端の内壁に取り付けられ、前記臓器における前記遠位端の位置を示す信号を生成するように構成された位置センサと、を含む、ことと、
前記位置センサによって生成された前記信号を使用して、前記臓器における前記トロカールの前記遠位端の前記位置を推定することと、を含む、方法。
(15) 前記推定された位置に基づいて、前記カメラによって取得された画像を参照医用画像に位置合わせすることと、
互いに位置合わせされた前記カメラによって取得された前記画像及び前記参照医用画像をユーザーに提示することと、を含む、実施態様14に記載の方法。
【0053】
(16) 前記位置センサは磁気位置センサである、実施態様14に記載の方法。
図1
図2
図3
【国際調査報告】