(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-01
(54)【発明の名称】放熱構造を有するバルク音響共振器及び製造プロセス
(51)【国際特許分類】
H03H 9/17 20060101AFI20230221BHJP
H03H 3/02 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
H03H9/17 F
H03H3/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549270
(86)(22)【出願日】2020-08-12
(85)【翻訳文提出日】2022-08-16
(86)【国際出願番号】 CN2020108710
(87)【国際公開番号】W WO2021169187
(87)【国際公開日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】202010125577.0
(32)【優先日】2020-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520296211
【氏名又は名称】見聞録(浙江)半導体有限公司
【氏名又は名称原語表記】JWL (ZHEJIANG) SEMICONDUCTOR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1219-23, BUILDING 3, 1366 HONGFENG ROAD, SOUTH TAIHU NEW AREA, HUZHOU, ZHEJIANG 313000, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】李 林萍
(72)【発明者】
【氏名】盛 ▲荊▼浩
(72)【発明者】
【氏名】江 舟
【テーマコード(参考)】
5J108
【Fターム(参考)】
5J108AA03
5J108BB08
5J108CC04
5J108EE03
5J108HH06
5J108KK01
5J108KK02
5J108MM08
5J108MM11
5J108MM14
(57)【要約】
放熱構造を有するバルク音響共振器及び製造プロセスであって、基板(101)と、基板(101)に形成されて表面に絶縁層(201)が設けられている金属放熱層(301)と、絶縁層(201)に形成された共振機能層(401)と、を含み、金属放熱層(301)及び絶縁層(201)は基板(101)にキャビティ(501)を囲んで形成し、共振機能層(401)における底部電極層(402)はキャビティ(501)を覆う。キャビティ(501)の周囲に金属放熱層(301)及び金属柱(701)が設けられているので、デバイスは使用過程において、適時に熱を放散し、デバイスの耐用年数を向上させることができる。該バルク音響共振器は構造的に、金属放熱層(301)と、底部電極層(402)及び頂部電極層(404)とが容量を形成することをできるだけ回避し、共振器の寄生容量を低減し、共振器の性能を効果的に向上させる。また、該デバイスはさらに、電磁シールド構造を有してもよく、共振器の寄生容量を低減する前提を基にとし、デバイスに使用過程において良好な放熱性及び耐電磁シールド効果を有させ、デバイスに正常、安定に動作させると同時に、良好な信頼性を有させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に形成され表面に絶縁層が設けられている金属放熱層と、前記絶縁層に形成された共振機能層と、を含み、前記金属放熱層及び前記絶縁層は前記基板にキャビティを囲んで形成し、前記共振機能層における底部電極層は前記キャビティを覆う、ことを特徴とする放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項2】
前記底部電極層のエッジが、前記キャビティの側辺に形成された前記絶縁層の上に掛け渡される、ことを特徴とする請求項1に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項3】
前記共振機能層はさらに、前記底部電極層に順次積層された圧電層及び頂部電極層を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項4】
前記頂部電極層は、前記共振機能層の有効共振領域から周辺の共振器まで延在する接続部を含み、前記金属放熱層は前記接続部の下方に完全に分布していない、ことを特徴とする請求項3に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項5】
前記接続部と前記圧電層の下方のギャップには犠牲材料層が設けられており、前記犠牲材料層の上面と前記絶縁層の上面とが面一であり、前記圧電層は前記犠牲材料層、前記絶縁層、及び前記底部電極層の上面に設けられる、ことを特徴とする請求項4に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項6】
前記有効共振領域、前記接続部の以外の領域における前記圧電層に金属柱が設けられており、前記金属柱は前記圧電層、前記絶縁層を通って前記金属放熱層まで延在する、ことを特徴とする請求項4に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項7】
前記基板に粘着層が設けられている、ことを特徴とする請求項1~6のいずれかの1項に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項8】
前記粘着層に金属シールド層が設けられている、ことを特徴とする請求項7に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項9】
前記金属放熱層の材料は、Ag、Cu、Au、Al、Mo、W、Zn、Ni、Fe、及びSnのうちの1種または多種の材料からなる複合の多層金属層材料を含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれかの1項に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項10】
前記絶縁層の材料は、AlN、Si、及びSiNのうちの1種または多種の材料が複合してなるものを含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれかの1項に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項11】
前記金属柱の材料は、Ag、Cu、Au、Al、Mo、W、Zn、Ni、Fe、またはSnを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項12】
放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスであって、
S1、基板に金属放熱層を製造するとともに、第1キャビティを形成するように前記金属放熱層をエッチングするステップと、
S2、前記基板と前記金属放熱層に絶縁層を製造して、絶縁層により前記第1キャビティに第2キャビティを形成するステップと、
S3、前記第2キャビティを犠牲材料で充填するステップと、
S4、前記犠牲材料と前記絶縁層に共振機能層を順次製造して、前記共振機能層の底部電極層が前記第2キャビティを覆うようにするステップと、を含む、ことを特徴とする製造プロセス。
【請求項13】
前記S1は具体的に、前記第1キャビティを有する前記金属放熱層を、スパッタリング、フォトリソグラフィー、及びエッチングプロセス、または蒸着及び剥離プロセス、またはメッキプロセスにより、前記基板に製造することを含む、ことを特徴とする請求項12に記載の製造プロセス。
【請求項14】
前記共振機能層は、順次積層された前記底部電極層、圧電層、及び頂部電極層を含み、前記頂部電極層は、前記有効共振領域から周辺の共振器まで延在する接続部を含み、前記金属放熱層は前記接続部の下方に完全に分布していない、ことを特徴とする請求項12に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項15】
前記S3は、前記接続部と前記圧電層の下方のギャップを犠牲材料で充填するとともに、前記犠牲材料と前記絶縁層の上面を平坦に保つように化学機械研磨を行うステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項14に記載の製造プロセス。
【請求項16】
前記底部電極層のエッジが、前記第2キャビティの側辺に形成された前記絶縁層の上に掛け渡される、ことを特徴とする請求項12に記載の製造プロセス。
【請求項17】
S5:前記共振機能層の有効共振領域、前記接続部の以外の領域における前記圧電層に、前記圧電層及び前記絶縁層を通って前記金属放熱層に達する孔を製造するステップと、
S6:前記孔中に金属柱を製造するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項14に記載の製造プロセス。
【請求項18】
ステップS6の後に、前記第2キャビティ内の犠牲材料を除去するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項17に記載の製造プロセス。
【請求項19】
前記S1の前に、前記基板に粘着層を製造するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項12~18のいずれかの1項に記載の製造プロセス。
【請求項20】
前記S1の前に、前記粘着層に金属シールド層を製造するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項19に記載の製造プロセス。
【請求項21】
前記金属放熱層の材料は、Ag、Cu、Au、Al、Mo、W、Zn、Ni、Fe、及びSnのうちの1種または多種の材料からなる複合の多層金属層材料を含む、ことを特徴とする請求項12~18のいずれかの1項に記載の製造プロセス。
【請求項22】
前記絶縁層の材料は、AlN、Si、及びSiNのうちの1種または多種の材料が複合してなるものを含む、ことを特徴とする請求項12~18のいずれかの1項に記載の製造プロセス。
【請求項23】
前記金属柱の材料は、Ag、Cu、Au、Al、Mo、W、Zn、Ni、Fe、またはSnを含む、ことを特徴とする請求項17に記載の製造プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は通信デバイスという分野に関し、主に放熱構造を有するバルク音響共振器及び製造プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁スペクトルがますます混雑し、無線通信デバイスのバンド、機能が増加するにつれて、無線通信が使用する電磁スペクトルは500MHzから5GHz以上に高速に増やし、性能が高く、コストが低く、消費電力が低く、体積が小さい無線周波数フロントエンドモジュールに対する要求もますます増やしている。フィルタは無線周波数フロントエンドモジュールの1つであり、主に複数の共振器によってトポロジーネットワーク構造を介して接続されてなり、信号の送受信を改善することができる。Fbar(Thin film bulk acoustic resonator)はバルク音響共振器であり、Fbarからなるフィルタは、体積が小さく、集積能力が強く、高周波動作時に高品質要素Qを保証し、電力負荷能力が強い等の利点を有するため、無線周波数フロントエンドのコアデバイスとする。
【0003】
Fbarの基本構造は、上下電極と、上下電極間に挟まれた圧電層と、である。圧電層は、電気エネルギーと力学的エネルギーとの変換を実現できる。Fbarの上下電極に電界を印加する場合、圧電層は力学的エネルギーを発生し、力学的エネルギーは音波の形で存在する。Fbarの基本構造、基板及び材料選択特性により、Fbarは良好な放熱性を有しない。なお、電磁波のますますの混雑、及び無線周波数端末製品の内部素子の相互電磁障害は、デバイスの使用効果に影響を与えることにある。
【0004】
従来技術では、バルク音響共振器のキャビティは一般的に、基板または支持層にエッチングして形成され、基板または支持層の材料については通常、SiまたはSi3N4が使用され、よって、放熱効果を有しなく、信頼性にも影響を与えることになり、よって、本発明は、放熱性がよく、電磁障害をシールド可能なバルク音響共振器を設計することを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記記載された、バルク音響共振器が放熱効果及び電磁シールド効果を具備していない等の課題について、本出願は、上記存在する課題を解決するために、放熱構造を有するバルク音響共振器及び製造プロセスを提出する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本出願は、基板と、基板に形成され表面に絶縁層が設けられている金属放熱層と、絶縁層に形成された共振機能層と、を含み、金属放熱層及び絶縁層は基板にキャビティを囲んで形成し、共振機能層における底部電極層はキャビティを覆う、放熱構造を有するバルク音響共振器を提出する。金属放熱層の存在により、デバイスに放熱効果を有させることができる。
【0007】
いくつかの実施例では、底部電極層のエッジが、キャビティの側辺に形成された絶縁層の上に掛け渡される。よって、底部電極層は金属放熱層の上方に設けられることがなく、容量を形成してデバイス性能に影響を与えることがなく、寄生効果を減少する。
【0008】
いくつかの実施例では、共振機能層はさらに、底部電極層に順次積層された圧電層及び頂部電極層を含む。底部電極層、圧電層、及び頂部電極層はキャビティの上方に有効共振領域を形成し、共振機能層は電気エネルギーを力学的エネルギーに変換し、音波の形で共振効果を発生させる。
【0009】
いくつかの実施例では、頂部電極層は、共振機能層の有効共振領域から周辺の共振器まで延在する接続部を含み、金属放熱層は接続部の下方に完全に分布していない。頂部電極層の下方に、金属放熱層の存在をできるだけ回避することにより、容量を形成しにくくなり、デバイス性能に影響を与えることがない。
【0010】
いくつかの実施例では、接続部、圧電層の下方のギャップには犠牲材料層が設けられており、犠牲材料層の上面と絶縁層の上面とが面一であり、圧電層は犠牲材料層、絶縁層、及び底部電極層の上面に設けられる。よって、圧電層が比較的に平坦な表面を有することを保証し、応力の影響を低減し、デバイスの共振性能を向上させることができ、犠牲材料層は媒体充填の作用を奏する。
【0011】
いくつかの実施例では、有効共振領域、接続部の以外の領域における圧電層に金属柱が設けられており、金属柱は圧電層、絶縁層を通って金属放熱層まで延在する。金属柱は、熱を外界に引き出し、放熱効果を向上させるためのものであり、金属柱が有効共振領域外に設けられることは、デバイスの性能に影響を与えることがない。
【0012】
いくつかの実施例では、基板に粘着層が設けられていることをさらに含む。粘着層は、金属シールド層の粘着性の増加作用を奏することができ、電磁シールド効果を奏することもできる。
【0013】
いくつかの実施例では、粘着層に金属シールド層が設けられている。金属シールド層は金属放熱層、金属柱と導通するので、電磁シールド構造を形成して外部の干渉、及び外部に対する内部の干渉をシールドすることができる。
【0014】
いくつかの実施例では、金属放熱層の材料は、Ag、Cu、Au、Al、Mo、W、Zn、Ni、Fe、及びSnのうちの1種または多種の材料からなる複合の多層金属層材料を含む。金属放熱層について選択された材料は、高い熱伝導率を有するとともに、上部膜層の支持作用を奏することができる。
【0015】
いくつかの実施例では、絶縁層の材料は、AlN、Si、及びSiNのうちの1種または多種の材料が複合してなるものを含む。絶縁層材料の熱伝導率も比較的に高く、底部電極層と金属放熱層とを隔離することができ、それに、金属放熱層の保護作用を奏し、デバイスの耐用年数及び信頼性を向上させることができる。
【0016】
いくつかの実施例では、金属柱の材料は、Ag、Cu、Au、Al、Mo、W、Zn、Ni、Fe、またはSnを含む。金属柱の材料は同じく、良好な熱伝導効果を備える必要がある。
【0017】
第2の態様では、本出願はさらに、
S1、基板に金属放熱層を製造するとともに、第1キャビティを形成するように金属放熱層をエッチングするステップと、
S2、基板、金属放熱層に絶縁層を製造し、絶縁層により第1キャビティに第2キャビティを形成するステップと、
S3、第2キャビティを犠牲材料で充填するステップと、
S4、犠牲材料、絶縁層に共振機能層を順次製造し、共振機能層の底部電極層が第2キャビティを覆うようにするステップと、を含む、放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスを提出する。
【0018】
金属放熱層は、デバイスの熱を伝達し、デバイスに良好な放熱効果を有させることができる。
【0019】
いくつかの実施例では、S1は具体的に、第1キャビティを有する金属放熱層を、スパッタリング、フォトリソグラフィー、及びエッチングプロセス、または蒸着及び剥離プロセス、またはメッキプロセスにより、基板に製造することを含む。上記製造プロセスは簡単であり、技術の成熟度が高い。
【0020】
いくつかの実施例では、共振機能層は、順次積層された底部電極層、圧電層、及び頂部電極層を含み、頂部電極層は、有効共振領域から周辺の共振器まで延在する接続部を含み、金属放熱層は接続部の下方に完全に分布していない。頂部電極層の下方に、金属放熱層の存在をできるだけ回避することにより、容量を形成しにくくなり、デバイス性能に影響を与えることがない。
【0021】
いくつかの実施例では、S3は、接続部と絶縁層との間のギャップを犠牲材料で充填するとともに、犠牲材料、絶縁層の上面を平坦に保つように化学機械研磨を行うステップをさらに含む。よって、圧電層が比較的に平坦な表面を有することを保証し、応力の影響を低減し、デバイスの共振性能を向上させることができ、ここでの犠牲材料は媒体充填の作用を奏する。
【0022】
いくつかの実施例では、底部電極層のエッジが、第1キャビティの側辺に形成された絶縁層の上方に掛け渡される。よって、底部電極層は金属放熱層の上方に設けられることがなく、容量を形成してデバイス性能に影響を与えることがなく、寄生効果を減少する。
【0023】
いくつかの実施例では、
S5:共振機能層の有効共振領域、接続部の以外の領域における圧電層に、圧電層、絶縁層を通って金属放熱層に達する孔を製造するステップと、
S6:孔中に金属柱を製造するステップと、をさらに含む。
【0024】
金属柱は有効共振領域、接続部の以外の領域に製造され、デバイスの性能に影響を与えることがなく、それに、金属放熱層における熱を放散することができる。
【0025】
いくつかの実施例では、ステップS6の後に、第2キャビティ内の犠牲材料を除去するステップをさらに含む。第2キャビティ内の犠牲材料が除去された後、第2キャビティが解放され、共振機能を有するデバイスが形成されることができる。
【0026】
いくつかの実施例では、S1の前に、基板に粘着層を製造するステップをさらに含む。粘着層は、金属シールド層の粘着性の増加作用を奏することができ、電磁シールド効果を奏することもできる。
【0027】
いくつかの実施例では、S1の前に、粘着層に金属シールド層を製造するステップをさらに含む。金属シールド層は金属放熱層、金属柱と導通するので、電磁シールド構造を形成して外部の干渉、及び外部に対する内部の干渉をシールドすることができる。
【0028】
いくつかの実施例では、金属放熱層の材料は、Ag、Cu、Au、Al、Mo、W、Zn、Ni、Fe、及びSnのうちの1種または多種の材料からなる複合の多層金属層材料を含む。金属放熱層について選択された材料は、高い熱伝導率を有するとともに、上部膜層の支持作用を奏することができる。
【0029】
いくつかの実施例では、絶縁層の材料は、AlN、Si、及びSiNのうちの1種または多種の材料が複合してなるものを含む。絶縁層材料の熱伝導率も比較的に高く、底部電極層と金属放熱層とを隔離することができ、それに、金属放熱層の保護作用を奏し、デバイスの耐用年数及び信頼性を向上させることができる。
【0030】
いくつかの実施例では、金属柱の材料は、Ag、Cu、Au、Al、Mo、W、Zn、Ni、Fe、またはSnを含む。金属柱の材料は同じく、良好な熱伝導効果を備える必要がある。
【0031】
本出願は、放熱構造を有するバルク音響共振器及び製造プロセスを提出し、該バルク音響共振器は、基板と、基板に形成され表面に絶縁層が設けられている金属放熱層と、絶縁層に形成された共振機能層と、を含み、金属放熱層及び絶縁層は基板にキャビティを囲んで形成し、共振機能層における底部電極層はキャビティを覆う。キャビティの周囲に金属放熱層が設けられているので、デバイスは使用過程において、適時に熱を放散し、デバイスの耐用年数を向上させることができる。本出願のバルク音響共振器は構造的に、金属放熱層と、底部電極層及び頂部電極層とが容量を形成することをできるだけ回避し、共振器の寄生容量を低減し、共振器の性能を効果的に向上させる。また、該デバイスはさらに、電磁シールド構造を有してもよく、共振器の寄生容量を低減する前提を基にとし、デバイスに使用過程において良好な放熱性及び耐電磁シールド効果を有させ、デバイスに正常、安定に動作させると同時に、良好な信頼性を有させる。
【0032】
実施例へのさらなる理解を提供するように図面が含まれ、それに、図面は本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する。図面は、実施例を図示し、記述とともに本発明の原理を解釈するために用いられる。他の実施例、及び実施例の多くの予想利点は、以下の詳細な記述を引用することによってよりよく理解されるようになるから、容易に認識されることになる。図面の素子は、必ずしも互いに比例するとは限らない。同様な符号は、対応する類似部材を指す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の実施例による、放熱構造を有するバルク音響共振器の断面図を示す。
【
図2】本発明の実施例による、放熱構造を有するバルク音響共振器の平面図を示す。
【
図3】本発明の別の実施例による、放熱構造を有するバルク音響共振器の断面図を示す。
【
図4】本発明の実施例による、放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスのフローチャートを示す。
【
図5a】本発明の実施例による、放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスでバルク音響共振器が製造される構造模式図を示す。
【
図5b】本発明の実施例による、放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスでバルク音響共振器が製造される構造模式図を示す。
【
図5c】本発明の実施例による、放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスでバルク音響共振器が製造される構造模式図を示す。
【
図5d】本発明の実施例による、放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスでバルク音響共振器が製造される構造模式図を示す。
【
図5e】本発明の実施例による、放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスでバルク音響共振器が製造される構造模式図を示す。
【
図5f】本発明の実施例による、放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスでバルク音響共振器が製造される構造模式図を示す。
【
図5g】本発明の実施例による、放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスでバルク音響共振器が製造される構造模式図を示す。
【
図5h】本発明の実施例による、放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスでバルク音響共振器が製造される構造模式図を示す。
【
図5i】本発明の実施例による、放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスでバルク音響共振器が製造される構造模式図を示す。
【
図5j】本発明の実施例による、放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスでバルク音響共振器が製造される構造模式図を示す。
【
図6】本発明の実施例による、放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスのステップS5~S6のフローチャートを示す。
【
図7a】本発明の別の実施例の、放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスでバルク音響共振器が製造される構造模式図を示す。
【
図7b】本発明の別の実施例の、放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスでバルク音響共振器が製造される構造模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面及び実施例を結合して本出願をさらに詳しく説明する。理解するように、ここで記述される具体的な実施例は、関連発明に対する限定ではなく、該発明を解釈するためのものだけである。また、さらに説明しようとするのは、記述の便宜上、図面には、関連発明に係る部分だけが示される。図面における部材のサイズ及び大きさが比例するものではなく、明確に示す原因のために、ある部材の大きさを強調表示する可能性があることに留意すべきである。
【0035】
説明しようとするのは、衝突しない場合、本出願における実施例、及び実施例における特徴を互いに組み合わせることができる。以下、図面を参照して実施例を結合して本出願を詳しく説明する。
【0036】
本発明は、放熱構造を有するバルク音響共振器を提出し、
図1に示すように、該バルク音響共振器は、基板101と、基板101に形成されて表面に絶縁層201が設けられている金属放熱層301と、絶縁層201に形成された共振機能層401と、を含む。絶縁層201は金属放熱層301の表面を覆うことにより、共振機能層401と金属放熱層301とを隔離することができ、金属放熱層301を保護し、金属放熱層301が腐食されることを回避し、デバイスの耐用年数及び信頼性を向上させることもできる。具体的な実施例では、絶縁層201は基板101及び金属放熱層301の表面を覆ってもよいし、金属放熱層301の表面のみを被覆してもよい。金属放熱層301及び絶縁層201は基板101にキャビティ501を囲んで形成し、キャビティ501の周囲に金属放熱層301が存在するので、デバイスの熱を容易に伝導する。好ましい実施例では、金属放熱層301の材料は、Ag、Cu、Au、Al、Mo、W、Zn、Ni、Fe、及びSnのうちの1種または多種の材料からなる複合の多層金属層材料を含む。金属放熱層301の材料は高い熱伝導率及び硬さを有し、上部膜層を支持することができる。絶縁層201の材料は、AlN、Si、及びSiNのうちの1種または多種の材料が複合してなるものを含み、絶縁層201の材料としては、熱伝導率が比較的に高いAlNが好ましい。基板101の材料はSi/Glass/サファイア(Sapphire)/スピネル等を含む。
【0037】
具体的な実施例では、底部電極層402のエッジが、キャビティ501の側辺に形成された絶縁層201の上方に掛け渡される。金属放熱層301及び絶縁層201は基板101にキャビティ501を囲んで形成し、また、金属放熱層301は絶縁層201で覆われるので、キャビティ501も絶縁層201上に形成される。底部電極層402は絶縁層201の上方に掛け渡されてキャビティ501を覆う。底部電極層402のエッジが、キャビティ501の側辺に形成された絶縁層201の上方に掛け渡され、基板101での底部電極層402の投影領域がキャビティ501の側辺の絶縁層201の領域を超えてはならない。従って、底部電極層402と金属放熱層301との間に容量を形成することにならず、寄生効果を効果的に減少することができ、デバイス性能に影響を与えることがない。
【0038】
具体的な実施例では、共振機能層401はさらに、底部電極層402に順次積層された圧電層403及び頂部電極層404を含む。共振機能層401は電気エネルギーを力学的エネルギーに変換し、力学的エネルギーは音波の形で伝搬して共振効果を発生させる。底部電極層402、圧電層403、及び頂部電極層404はいずれもキャビティ501の上方を覆うとともに、有効共振領域を形成する。具体的な実施例では、頂部電極層404は、共振機能層401の有効共振領域から周辺の共振器まで延在する接続部4041を含み、金属放熱層301は接続部4041の下方に完全に分布していない。
図2に示すように、
図1は
図2におけるA-A位置の断面図であり、110、120は接続された2つの共振器であり、4041は共振器間の相互接続または配線領域であり、100は共振器外部の領域である。頂部電極層404の接続部4041の、有効共振領域と接続する下方に、支持作用を奏する一部の金属放熱層301が存在し、該一部の金属放熱層301は底部電極層402を支持し、絶縁層201とともにキャビティ501を形成する。頂部電極層404の下方に、金属放熱層301の存在をできるだけ低減するので、容量を形成しにくく、デバイス性能に影響を与えることがない。頂部電極層404の接続部4041の下方には金属放熱層301が欠如するので、頂部電極層404の接続部4041の下方の圧電層403に応力変化が現れることにもなり、デバイスの共振性能に容易に影響を与える。好ましい実施例では、接続部4041、圧電層403の下方のギャップには犠牲材料層601が設けられている。ある状況では、犠牲材料層601は絶縁層201の上方に形成されてもよく、これにより、犠牲材料層601の上面と絶縁層201の上面とを面一にさせるから、圧電層403が犠牲材料層601、絶縁層201、及び底部電極層402に設けられることによって、比較的に平坦な圧電層403が得られる。もう1つの状況では、犠牲材料層601は絶縁層201の下方に形成されてもよく、この場合、圧電層403は、平坦な表面を有する絶縁層201、底部電極層402上に形成される。よって、圧電層403が比較的に平坦な表面を有することを保証し、膜層の応力変化がデバイスの共振性能に対する影響を減少することができ、共振器の共振性能を効果的に向上させることができる。この2つの状況では、犠牲材料層601は媒体充填の作用を奏することで、圧電層403が比較的に平坦な表面を有することを保証する。
【0039】
具体的な実施例では、有効共振領域、接続部4041の以外の領域の圧電層403に金属柱701が設けられており、金属柱701は圧電層403、絶縁層201を通って金属放熱層301まで延在する。金属柱701が有効共振領域、接続部4041の以外の領域に設けられることによって、デバイスの性能に影響を与えることがなく、金属柱701は主に、金属放熱層301に接続され、金属放熱層301が集められた熱を外界に引き出し、放熱効果を向上させるためのものである。好ましい実施例では、金属柱701の材料は、Ag、Cu、Au、Al、Mo、W、Zn、Ni、Fe、またはSnを含む。金属柱701の材料は同じく、良好な熱伝導効果を備える必要があるこそ、熱を伝導することができる。
【0040】
具体的な実施例では、
図3に示すように、バルク音響共振器はさらに、基板101に粘着層801が設けられていることを含む。粘着層801に金属シールド層901が設けられている。よって、金属シールド層901の上面に金属放熱層301を製造し、金属シールド層901は金属放熱層301、金属柱701と導通し、金属柱701を接地すれば、金属シールド層901と金属放熱層301、金属柱701との間に電磁シールド構造を形成することができ、外部の電磁障害源、及び外部に対する内部の電磁障害をシールドし、バルク音響共振器に電磁シールド効果を有させる。粘着層801が基板101に設けられることによって、金属シールド層901の粘着性の増加作用を奏することができ、電磁シールド効果を奏することもできる。好ましくは、粘着層801の材料については、TiまたはTiWを選択でき、金属シールド層901の材料については、Cu等の金属を選択できる。
【0041】
本出願はさらに、放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスを提出し、
図4に示すように、
S1、基板に金属放熱層を製造するとともに、第1キャビティを形成するように金属放熱層をエッチングするステップと、
S2、基板、金属放熱層に絶縁層を製造し、絶縁層が第1キャビティに第2キャビティを形成するステップと、
S3、第2キャビティを犠牲材料で充填するステップと、
S4、犠牲材料、絶縁層に共振機能層を順次製造し、共振機能層の底部電極層が第2キャビティを覆うステップと、を含む。
【0042】
具体的な実施例では、
図5a~5jは、放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスの構造模式図を示す。
図5aに示すように、S1は具体的に、第1キャビティ511を有する金属放熱層311を、スパッタリング、フォトリソグラフィー、及びエッチングプロセス、または蒸着及び剥離プロセス、またはメッキプロセスにより、基板111に製造することを含む。金属放熱層311は基板111に第1キャビティ511を囲んで形成し、第1キャビティ511の周囲に金属放熱層311が存在するので、デバイスの熱を容易に伝導する。好ましい実施例では、基板111の材料はSi/Glass/サファイア(Sapphire)/スピネル等を含む。金属放熱層311の材料は、Ag、Cu、Au、Al、Mo、W、Zn、Ni、Fe、及びSnのうちの1種または多種の材料からなる複合の多層金属層材料を含む。金属放熱層311の材料は高い熱伝導率及び硬さを有し、上部膜層を支持することができる。
【0043】
これを基礎とし、
図5bに示すように、PECVDまたはスパッタリングプロセスにより、基板111及び金属放熱層311に絶縁層211を堆積する。絶縁層211は金属放熱層311の表面を覆うことにより、共振機能層411と金属放熱層311とを隔離することができ、金属放熱層311を保護し、金属放熱層311が腐食されることを回避し、デバイスの耐用年数及び信頼性を向上させることもできる。絶縁層211の材料は、AlN、Si、及びSiNのうちの1種または多種の材料が複合してなるものを含み、絶縁層211の材料としては、熱伝導率が比較的に高いAlNが好ましい。
【0044】
具体的な実施例では、共振機能層411は、順次積層された底部電極層412、圧電層413、及び頂部電極層414を含み、頂部電極層414は、有効共振領域から周辺の共振器まで延在する接続部4141を含む。
図5cに示すように、PECVDプロセスにより絶縁層211に犠牲材料611を堆積し、S3は、接続部4141、圧電層413の下方のギャップを犠牲材料611で充填することをさらに含む。
図5dに示すように、犠牲材料611を研磨することで犠牲材料611の上面と絶縁層211の上面とを面一にさせ、好ましくは、CMP(化学機械研磨)プロセスにより犠牲材料611、絶縁層211の上面を研磨する。最後に、犠牲材料611、絶縁層211の上面が平坦に保つように保証する。よって、圧電層413が比較的に平坦な表面を有することを保証し、応力の影響を低減し、デバイスの共振性能を向上させることができる。犠牲材料611は第2キャビティ512内で犠牲材料の作用を奏し、第2キャビティ512外で媒体充填の作用を奏する。
【0045】
具体的な実施例では、
図5eに示すように、第2キャビティ512を覆う底部電極層412を、スパッタリング、フォトリソグラフィー、及びエッチングプロセスにより、犠牲材料611、絶縁層211に製造し、底部電極層412のエッジが、第2キャビティ512の側辺に形成された絶縁層211上に掛け渡される。金属放熱層311は基板111に第1キャビティ511を囲んで形成し、また、金属放熱層311は絶縁層211に覆われるので、第1キャビティ511にも絶縁層211が形成されているから、絶縁層211の上に第2キャビティ512が形成される。底部電極層412は絶縁層211の上に掛け渡されて第2キャビティ512を覆う。底部電極層412のエッジが、第1キャビティ511の側辺に形成された絶縁層211の上に掛け渡され、基板111での底部電極層412の投影領域が第1キャビティ511の範囲を超えてはならない。従って、底部電極層412と金属放熱層311との間に容量を形成することにならず、寄生効果を効果的に減少することができ、デバイス性能に影響を与えることがない。
図5fに示すように、圧電層413を、スパッタリング、フォトリソグラフィー、及びエッチングプロセスにより、底部電極層412の上に製造する。それに、
図5gに示すように、頂部電極層414を、スパッタリング、フォトリソグラフィー、及びエッチングプロセスにより圧電層413の上方に製造する。底部電極層412、頂部電極層414の材料はMoを含み、圧電層413の材料はAlNを含む。
【0046】
好ましい実施例では、頂部電極層414は、有効共振領域から周辺の共振器まで延在する接続部4141を含む。金属放熱層311は接続部4141の下方に完全に分布していない。頂部電極層414の接続部4141と有効共振領域とが接続する部位の下方に、支持作用を奏する一部の金属放熱層311が存在し、該一部の金属放熱層311は底部電極層412を支持し、絶縁層211とともに第2キャビティ512を形成する。頂部電極層414と金属放熱層311との間に容量を容易に形成し、デバイス性能に影響を与えることになるから、頂部電極層414の下方に、金属放熱層311の存在をできるだけ低減する。
【0047】
具体的な実施例では、
図6に示すように、
S5:共振機能層の有効共振領域、接続部の以外の領域の圧電層に、圧電層、絶縁層を通って金属放熱層に達する孔を製造するステップと、
S6:孔中に金属柱を製造するステップと、をさらに含む。
【0048】
好ましい実施例では、
図5h、5iに示すように、金属柱711をフォトリソグラフィー、エッチング、スパッタリング(またはメッキ)プロセスにより製造する。まず、圧電層413、絶縁層211を通って金属放熱層311に達する孔712をエッチングする。そして、孔712中に金属柱711を製造する。金属柱711は、有効共振領域、頂部電極層414の接続部4141の以外の領域に製造され、デバイスの性能に影響を与えることがなく、金属放熱層311における熱を伝導することができる。
【0049】
具体的な実施例では、
図5jに示すように、ステップS6の後に、第2キャビティ512内の犠牲材料611を除去するステップをさらに含む。第2キャビティ512内の犠牲材料611が除去された後、完全な第2キャビティ512の構造が形成される。
【0050】
具体的な実施例では、
図7aに示すように、S1の前に、基板111に粘着層811を製造するステップをさらに含む。粘着層811は、金属シールド層911の粘着性の増加作用を奏することができ、電磁シールド効果を奏することもできる。バルク音響共振器はさらに、粘着層811に設けられた金属シールド層911を含む。他のステップがいずれも同じである場合、最後に、
図7bに示すようなバルク音響共振器が得られる。よって、金属シールド層911の上面に金属放熱層311を製造し、金属シールド層911は金属放熱層311、金属柱711と導通しており、金属柱711を接地すれば、金属シールド層911と金属放熱層311、金属柱711との間に電磁シールド構造を形成することができ、外部の電磁障害源、及び外部に対する内部の電磁障害をシールドし、バルク音響共振器に電磁シールド効果を有させる。粘着層811が基板111に設けられることは、金属シールド層911の粘着性の増加作用を奏することができ、電磁シールド効果を奏することもできる。好ましくは、粘着層811の材料については、TiまたはTiWを選択でき、金属シールド層911の材料については、Cu等の金属を選択できる。よって、最後に製造し得たバルク音響共振器は、良好な放熱効果を有するとともに、優れた電磁シールド効果も有する。
【0051】
本出願の実施例には、放熱構造を有するバルク音響共振器及び製造プロセスが開示され、該バルク音響共振器は、基板と、基板に形成されて表面に絶縁層が設けられている金属放熱層と、絶縁層に形成された共振機能層と、を含み、金属放熱層及び絶縁層は基板にキャビティを囲んで形成し、共振機能層における底部電極層はキャビティを覆う。キャビティの周囲に金属放熱層が設けられているので、デバイスは使用過程において、適時に熱を放散し、デバイスの耐用年数を向上させることができる。本出願の実施例のバルク音響共振器は構造的に、金属放熱層と、底部電極層及び頂部電極層とが容量を形成することをできるだけ回避し、共振器の寄生容量を低減し、共振器の性能を効果的に向上させる。また、該デバイスはさらに、電磁シールド構造を有してもよく、共振器の寄生容量を低減する前提を基にとし、デバイスに使用過程において良好な放熱性及び耐電磁シールド効果を有させ、デバイスに正常、安定に動作させると同時に、良好な信頼性を有させる。
【0052】
以上は、本出願の具体的な実施形態を記述したが、本出願の保護範囲はこれに限定されず、本技術的分野に熟知するいずれの当業者は本出願に開示された技術範囲内に、変化または差し替えを容易に想到することができ、いずれも本出願の保護範囲内に含まれるべきである。従って、本出願の保護範囲は、請求項の保護範囲を基準とすべきである。
【0053】
本出願の記述において、理解されるものとするように、用語である「上」、「下」、「内」、「外」等が指示する方位または位置関係が図面に基づいて示される方位または位置関係であり、示される装置または素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構造、操作されることを指示または示唆することがなく、本出願を便利に記述して記述を簡単化するためだけであり、よって、本出願への限制と理解されることができない。言葉遣いである「含む」は、請求項に挙げられない素子またはステップの存在を排除しない。素子の前の言葉遣いである「1」または「1つ」は、複数のこのような素子の存在を排除しない。互いに異なる従属請求項にある措置が記載されるとの簡単な事実は、これらの措置の組み合わせが改善に適用されることができないことを表明しない。請求項におけるいずれの参照符号は、範囲の制限と解釈されるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に形成され表面に絶縁層が設けられている金属放熱層と、前記絶縁層に形成された共振機能層と、を含み、前記金属放熱層及び前記絶縁層は前記基板にキャビティを囲んで形成し、
前記絶縁層は前記キャビティの側壁を構成しており、前記共振機能層における底部電極層は前記キャビティを覆う、ことを特徴とする放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項2】
前記底部電極層のエッジが、前記キャビティの側辺に形成された前記絶縁層の上に掛け渡される、ことを特徴とする請求項1に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項3】
前記共振機能層はさらに、前記底部電極層に順次積層された圧電層及び頂部電極層を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項4】
前記頂部電極層は、前記共振機能層の有効共振領域から周辺の共振器まで延在する接続部を含み、前記金属放熱層は前記接続部の下方に完全に分布していない、ことを特徴とする請求項3に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項5】
前記接続部と前記圧電層の下方のギャップには犠牲材料層が設けられており、前記犠牲材料層の上面と前記絶縁層の上面とが面一であり、前記圧電層は前記犠牲材料層、前記絶縁層、及び前記底部電極層の上面に設けられる、ことを特徴とする請求項4に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項6】
前記有効共振領域、前記接続部の以外の領域における前記圧電層に金属柱が設けられており、前記金属柱は前記圧電層、前記絶縁層を通って前記金属放熱層まで延在する、ことを特徴とする請求項4に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項7】
前記基板に粘着層が設けられている、ことを特徴とする請求項1~6のいずれかの1項に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項8】
前記粘着層に金属シールド層が設けられている、ことを特徴とする請求項7に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項9】
前記金属放熱層の材料は、Ag、Cu、Au、Al、Mo、W、Zn、Ni、Fe、及びSnのうちの1種または多種の材料からなる複合の多層金属層材料を含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれかの1項に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項10】
前記絶縁層の材料は、AlN、Si、及びSiNのうちの1種または多種の材料が複合してなるものを含む、ことを特徴とする請求項1~6のいずれかの1項に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項11】
前記金属柱の材料は、Ag、Cu、Au、Al、Mo、W、Zn、Ni、Fe、またはSnを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器。
【請求項12】
放熱構造を有するバルク音響共振器の製造プロセスであって、
S1、基板に金属放熱層を製造するとともに、第1キャビティを形成するように前記金属放熱層をエッチングするステップと、
S2、前記基板と前記金属放熱層に絶縁層を製造して、絶縁層により前記第1キャビティに第2キャビティを形成するステップと、
S3、前記第2キャビティを犠牲材料で充填するステップと、
S4、前記犠牲材料と前記絶縁層に共振機能層を順次製造して、前記共振機能層の底部電極層が前記第2キャビティを覆うようにするステップと、を含む、ことを特徴とする製造プロセス。
【請求項13】
前記S1は具体的に、前記第1キャビティを有する前記金属放熱層を、スパッタリング、フォトリソグラフィー、及びエッチングプロセス、または蒸着及び剥離プロセス、またはメッキプロセスにより、前記基板に製造することを含む、ことを特徴とする請求項12に記載の製造プロセス。
【請求項14】
前記共振機能層は、順次積層された前記底部電極層、圧電層、及び頂部電極層を含み、前記頂部電極層は、前記
共振機能層の有効共振領域から周辺の共振器まで延在する接続部を含み、前記金属放熱層は前記接続部の下方に完全に分布していない、ことを特徴とする請求項12に記載の放熱構造を有するバルク音響共振器
の製造プロセス。
【請求項15】
前記S3は、前記接続部と前記圧電層の下方のギャップを犠牲材料で充填するとともに、前記犠牲材料と前記絶縁層の上面を平坦に保つように化学機械研磨を行うステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項14に記載の製造プロセス。
【請求項16】
前記底部電極層のエッジが、前記第2キャビティの側辺に形成された前記絶縁層の上に掛け渡される、ことを特徴とする請求項12に記載の製造プロセス。
【請求項17】
S5:前記共振機能層の有効共振領域、前記接続部の以外の領域における前記圧電層に、前記圧電層及び前記絶縁層を通って前記金属放熱層に達する孔を製造するステップと、
S6:前記孔中に金属柱を製造するステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項14に記載の製造プロセス。
【請求項18】
ステップS6の後に、前記第2キャビティ内の犠牲材料を除去するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項17に記載の製造プロセス。
【請求項19】
前記S1の前に、前記基板に粘着層を製造するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項12~18のいずれかの1項に記載の製造プロセス。
【請求項20】
前記S1の前に、前記粘着層に金属シールド層を製造するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項19に記載の製造プロセス。
【請求項21】
前記金属放熱層の材料は、Ag、Cu、Au、Al、Mo、W、Zn、Ni、Fe、及びSnのうちの1種または多種の材料からなる複合の多層金属層材料を含む、ことを特徴とする請求項12~18のいずれかの1項に記載の製造プロセス。
【請求項22】
前記絶縁層の材料は、AlN、Si、及びSiNのうちの1種または多種の材料が複合してなるものを含む、ことを特徴とする請求項12~18のいずれかの1項に記載の製造プロセス。
【請求項23】
前記金属柱の材料は、Ag、Cu、Au、Al、Mo、W、Zn、Ni、Fe、またはSnを含む、ことを特徴とする請求項17に記載の製造プロセス。
【国際調査報告】