(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-01
(54)【発明の名称】軽度外傷性脳損傷の処置
(51)【国際特許分類】
A61K 38/22 20060101AFI20230221BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230221BHJP
【FI】
A61K38/22
A61P25/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564096
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2022-08-19
(86)【国際出願番号】 US2020066703
(87)【国際公開番号】W WO2021133844
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522250002
【氏名又は名称】オクセイア・バイオファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Oxeia Biopharmaceuticals, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】バンサル,ビシャル
(72)【発明者】
【氏名】シャー,カルティ
(72)【発明者】
【氏名】ワイアンド,マイケル
【テーマコード(参考)】
4C084
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA19
4C084BA23
4C084BA31
4C084MA17
4C084MA41
4C084MA63
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA15
(57)【要約】
開示されるのは、持続性mTBIと診断された患者のmTBIの衰弱性症状の1以上を軽減する方法である。これらの方法は、持続性mTBIの診断後、連続複数日間にわたりグレリンまたはそのバリアントの有効量を投与することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
持続性軽度外傷性脳損傷(mTBI)と診断された患者におけるmTBIの1以上の症状を軽減する方法であって、患者に診断後、連続複数日間にわたりグレリンまたはそのバリアントの有効量を投与することを含む、方法。
【請求項2】
グレリン投与が患者の症状が無症候性となるまで継続される、請求項1の方法。
【請求項3】
グレリンまたはそのバリアントが医薬組成物として投与される、請求項1または2の方法。
【請求項4】
医薬組成物が注射に適する無菌水溶液である、請求項1~3の何れかの方法。
【請求項5】
医薬組成物が経皮パッチである、請求項4の方法。
【請求項6】
グレリンまたはそのバリアントの投与を、持続性mTBIの診断後少なくとも3日間維持する、請求項1~5の何れかの方法。
【請求項7】
グレリンまたはそのバリアントの投与を、持続性mTBIの診断後少なくとも5日間維持する、請求項1~6の何れかの方法。
【請求項8】
グレリンまたはそのバリアントの投与を、持続性mTBIの診断後少なくとも7日間維持する、請求項1~6の何れかの方法。
【請求項9】
グレリンまたはそのバリアントの単回用量のみを1日あたりに投与する、請求項1~8の何れかの方法。
【請求項10】
グレリンまたはバリアントを皮下注射により投与する、請求項1~9の何れかの方法。
【請求項11】
グレリン投与を、患者が通常の活動を再開できるまで続ける、請求項1~10の何れかの方法。
【請求項12】
グレリンの複数の単回用量組成物を含み、各組成物が処置スケジュールに従う投与のためにマークされ、ラベルされまたは他に識別される、グレリンの複数の単回用量組成物を含むキット・オブ・パーツ。
【請求項13】
グレリンまたはそのバリアントの各単回用量が初期の最初の用量から最後の用量にテーパリングされる、請求項12のキット・オブ・パーツ。
【請求項14】
グレリンの濃度またはそのバリアント、最後の用量のグレリン濃度が最初の用量の50%を超えないように、最初の用量から最後の用量に向けて減らされる、請求項13のキット・オブ・パーツ。
【請求項15】
脳損傷(mTBI)の1以上の症状を軽減する方法であって、
a. 損傷の少なくとも7日後損傷によるmTBIおよびmTBIの症状の1以上を有する患者を選択し;
b. グレリンまたはそのバリアントを一定期間患者に投与し、ここで、グレリンまたはそのバリアントが1日あたり約80μg/kgの用量で投与される
ことを含む、方法。
【請求項16】
グレリンまたはそのバリアントが1日あたり約40μg/kgを2回投与される、請求項15の方法。
【請求項17】
一定期間が約14日間までである、請求項15または16の方法。
【請求項18】
一定期間が約14日間である、請求項17の方法。
【請求項19】
患者を、mTBIの症状の1以上について定期的に評価する、請求項15~18の何れかの方法。
【請求項20】
患者をグレリンまたはそのバリアントの投与前にmTBIの症状の1以上について評価する、請求項15~19の何れかの方法。
【請求項21】
患者をグレリンまたはそのバリアントの投与の期間中にmTBIの症状の1以上について評価する、請求項15~20の何れかの方法。
【請求項22】
患者をmTBIの症状の1以上について、グレリンまたはそのバリアントの投与開始約3日、7日、10日、14日、20日および/または43日後に評価する、請求項15~21の何れかの方法。
【請求項23】
患者をPCSS、QOLIBRI、PGASおよび/またはBrainCheckの1以上を使用して評価する、請求項19~22の何れかの方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、例として、脳震盪および他のそのような神経障害を含む、持続性軽度外傷性脳損傷を処置する方法に関する。本方法は、有効量のグレリンまたはグレリンバリアントを含む組成物を用いる。本発明はまた複数回用量のグレリンまたはそのバリアントを含むキット・オブ・パーツに関する。
【背景技術】
【0002】
技術水準
一般に、脳震盪、「頭部強打」などを含む、軽度外傷性脳損傷(mTBI)は、脳の傷害をいい、その後、脳への長期損傷を引き起こし得る。それは、大部分頭部への直接接触により起こるが、間接損傷(例えば、むち打ち症または頭部の激しい揺さぶり)にも起因し得る。ある脳損傷を有する個体は、二次脳損傷のリスクが上がり、その後の損傷により影響されやすい。連続的mTBIによる損傷は、蓄積される(Cantu, R.C., Second-impact syndrome, Clinics in Sports Medicine, 17(I):37-44, 1998)。
【0003】
mTBIに起因する長期損傷は、精神運動緩徐化、能力の変動性を増加させる集中力欠如および注意想起および全体的実行機能不全などの認知および運動技能悪化ならびに睡眠機能障害および感情/行動変化を含む(Stuns, et al., ‘Adult Clinical Neuropsychology: Lessons from Studies of the Frontal Lobes’, Annual Review of Psychology, 53, 401-433 (2003))。mTBIの長期影響の一般的な例は、兵士、ボクサー、サッカー選手などに見られる。mTBIの発生から長い時間経った後、1以上の認知技術および/または運動技能の喪失による脳への蓄積的損傷が顕在化し始めた個体の文書で十分に記録された例がある。
【0004】
mTBIと他の脳障害の間の差異は、mTBIが根柢の疾患モダリティとは逆に、1以上の損傷により引き起こされることである。すなわち、脳への損傷は、根柢の病理に決して起因せず、むしろ損傷の結果である。
【0005】
mTBIの短期症状は、とりわけ、頭痛、明瞭さの喪失または混乱、集中困難、複視、視界不良、睡眠機能障害、感情/行動変化、感情爆発および記憶喪失を含む。ここに記載するのは、持続するまたはあまり解消されないmTBIを含むmTBIの処置の改善である。
【発明の概要】
【0006】
概要
mTBIの症状の多くは衰弱性であり、大部分は、損傷が起こった後数日から1週間で自然に解消する。しかしながら、いくつかの例で、症状の一部または全てが適切に解消されない。ここに記載するとおり、mTBIの発生1週間以内にこれら衰弱性症状の1以上が解消しない患者は、持続性mTBIを経験するとして分類され得る。これらは脳震盪後症候群(PCS)と容易に区別される。PCSは、損傷後数週間、数カ月または1年続く一連の症状に関する。持続性mTBIの場合、症状は患者がPCSを有するとして分類されるほど長くは持続しない。むしろ、持続性mTBIを有する患者は、そのmTBIの症状の解消ができるだけ早く促進されることを願う。
【0007】
グレリンまたはそのバリアントでのmTBIの処置は、例えば、引用により全体として本明細書に包含させる米国特許出願公開2017/0281732に記載される。例えば、グレリンは、損傷の発生後72時間以内に投与され得る。
【0008】
驚くべきことに、本発明により、グレリン処置が、最初の損傷数日~数週間後でさえ、持続性mTBIを有する対象におけるmTBIの症状の1以上を軽減することが判明した。本発明は、一部、持続性mTBIを有すると診断された患者のmTBIの衰弱性症状の1以上を軽減する方法に関する。特に、本発明は、持続性mTBIの診断後、1日または連続複数日にわたる、グレリンまたはそのバリアントの投与を含む。
【0009】
本発明はまた複数回用量のグレリンまたはそのバリアントでのmTBIの処置にも関する。すなわち、ある実施態様において、mTBI(急性、持続性および/またはPCS)を、1日2回以上、少なくとも1日、グレリンまたはそのバリアントを投与することにより、処置され得る。ある実施態様において、mTBI(急性、持続性および/またはPCS)は、少なくとも2日間、1日1回以上グレリンまたはそのバリアント投与することにより、処置され得る。
【0010】
ある実施態様において、グレリン投与を、患者の症状が解消されるまで続ける。ある実施態様において、グレリン投与を、患者が通常の活動を再開できるまで続ける。ある実施態様において、グレリン投与を、患者が通常の活動の再開を臨床医により許可されるまで続ける。「通常の活動」は、mTBIにより妨害されていたあらゆる活動であり得る。例えば、患者は、mTBIにより、ある作業をしないこと、職場、学校、運動活動または何らかのある活動に戻らないことを指示(例えば、医師により)されている可能性がある。あるいは、患者は、mTBIにより作業を実施できなかったかもしれないおよび/または作業が不快であるかまたは他の点で好ましくなかったかもしれない。
【0011】
ある実施態様において、持続性mTBIを有すると診断された患者のmTBIの衰弱性症状の1以上を軽減する方法であって、患者に持続性mTBIの診断後、連続複数日間にわたりグレリンまたはそのバリアントの有効量を投与することを含む、方法が提供される。方法は、持続性mTBIの症状の1以上を示す患者の選択または同定を含み得る。
【0012】
ある実施態様において、グレリンまたはバリアントの投与は、所望により処置中に外すことができる連続放出パッチまたは経皮デバイスの形態をとる。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントは、経口、例えば、舌下投与される。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントは注射により投与される。
【0013】
ある実施態様において、グレリン投与は、1回以上の投与の形態をとる。例えば、ある実施態様において、投与は、1~2日間の1回以上の投与であり得る。ある実施態様において、投与持続性mTBIの診断後、少なくとも3日間および好ましくは少なくとも5日間またはそれ以上、好ましくは少なくとも7日間の期間、1日あたり1回以上投与し得る。ある実施態様において、1日あたり1回投与のみが用いられ、投与は毎日間実施される。他の実施態様において、投与は、医薬充填シリンジの形態をとる。
【0014】
ある実施態様において、グレリンの複数の単回用量組成物を含み、各組成物が処置スケジュールに従う投与のためにマークされ、ラベルされまたは他に識別される、グレリンの複数の単回用量組成物を含むキット・オブ・パーツが提供される。ある実施態様において、グレリンの各単回用量組成物の濃度少なくとも3日間、好ましくは少なくとも5日間およびそれ以上、好ましくは少なくとも7日間の期間にわたり、初期用量から最終用量までテーパリングされる。ある実施態様において、グレリンの濃度は、最後の用量のグレリン濃度が初期用量の50%を超えないように、最初の用量から最後の用量に向けて減らされる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な記載
持続性軽度脳損傷を処置する方法ならびにキット・オブ・パーツが開示される。しかしながら、さらなる詳細を提供する前に、次の用語を定義する。定義されないならば、ここで使用する用語は、その一般に受け入れられている科学的意味を有する。
【0016】
ここで使用する用語は、特定の実施態様の記載のみを目的とし、限定を意図しない。ここで使用する単数表現は、文脈から明らかに他のことが示されない限り、複数形態も同様に含む。
【0017】
「所望の」または「所望により」は、その後に記載される事象または状況が生じても生じなくてもよく、この記載は、事象または状況が生じる場合および生じない場合を含む。
【0018】
用語「約」は、範囲を含む数値、例えば、温度、時間、量、濃度などの前に使用されるとき、(+)または(-)10%、5%、1%またはその間の何らかの下位範囲もしくは分数(subvalue)で変わり得る近似値を示す。好ましくは、用語「約」は、用量に関連して使用されるとき、用量が±10%で変わり得ることを示す。
【0019】
「含んで」または「含む」は、組成物および方法が記載する要素を含むが、その他を除外しないことを意味する。
【0020】
「から本質的になる」は、組成物および方法を定義するために使用されるとき、記載する目的のための、組み合わせ(comTBInation)に対する本質的に重要なあらゆるその他の要素を除外することを意味する。故に、ここに定義する要素から本質的になる組成物は、本発明の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響しない他の物質または工程を除外しない。
【0021】
「からなる」は、微量を超える他の成分および実質的方法工程の除外を意味する。これら移行句の各々により定義される実施態様は、本発明の範囲内である。
【0022】
用語「グレリン」は、3位のセリンにN-オクタノイル基を含む、28アミノ酸を含む、天然に存在するペプチドをいう。グレリンのアミノ酸配列は知られている。
【0023】
用語「グレリンバリアント」は、C末端アルキルエステル(-COOR)(ここで、RはC1-C6アルキル、C2-C6アルケニルまたはC2-C6アルキニルである);N末端アミド(R1C(O)NH-)(ここで、R1はC1-C6アルキル、C2-C6アルケニルまたはC2-C6アルキニルである);上に定義したC末端アルキルエステルおよびN末端アミドの組み合わせ(comTBInation);および/または米国特許出願公開2017/0281732(これは、引用により、そこで教示されている全組成物、製剤および方法を含み、その全体として本明細書に包含させる)に記載されるグレリンバリアントを含む、ペプチドをいう。
【0024】
用語「投与」は、グレリン(またはバリアント)を含む、有効量の組成物の患者への投薬をいい、ここで、投薬は単回投与、連続的または間欠的または合わせて単回用量をもたらす数個の分割用量であり得る。例えば、投薬は、1~2日間、3日間の短期または7日間以上、例えば10日間、12日間または14日間の長期であり得る処置過程を通して継続され得て、ここで、処置は、持続性mTBIの診断後に開始される。投与経路は、担当医により選択され、患者の年齢、体重および一般的健康ならびに状態の重症度などの因子に基づく。適当な経路は、非経腸、静脈内、経皮、膣、経鼻、舌下、肺などを含む。
【0025】
用語「無症候性」は、患者が持続性mTBIの衰弱性症状が残っていないことを報告することを意味する。ある軽度の症状は持続しているかもしれないが、単なる例としてかつ限定せず、衰弱性頭痛、複視、霧視、悪心、片頭痛および混乱などの衰弱性症状が軽快している。いくつかの例で、患者は、毎日のまたは通常の活動を、完全ではないにしても、大部分再開できる。
【0026】
用語「衰弱性」は、mTBIに関する限り、TBIの症状の1以上が、患者がいつものやり方で働けないようなものであることを意味する。
【0027】
用語「軽度外傷性脳臨床性、外傷性脳損傷は、意識消失(LOC)、グラスゴー・コーマ・スコア(GCS)および外傷後ストレス記憶喪失の期間を含む、TBI変数に基づく軽度、中程度または重度に等級付けされ得る(例えば、Levin et al., "The Galveston Orientation and Amnesia Test: a practical scale to assess cognition after head injury," J Nervous Mental Dis 167: 675-84 (1979); Holm et al.,” J. Neurotrauma task force on mild traumatic brain injury of the WHO Collaborating Centre. Summary of the WHO Collaborating Centre for Neurotrauma Task Force on Mild Traumatic Brain Injury," J Rehabil Med 37:137-41 (2005)参照)。例えば、脳損傷は、患者が13~15のGCSスコア、1日未満の外傷後記憶喪失および/または0~30分間のLOCを有するとき、軽度脳損傷として分類され得る。
【0028】
用語「持続性mTBI」(「あまり解消されないmTBI」と称されることもある)は、mTBIの症状の1以上が、初期損傷後数日間~数週間解消されず、患者が衰弱したままであることを意味する。ある実施態様において、mTBIの症状の1以上は、損傷後少なくとも7日間間持続する。しかしながら、持続性mTBIは、持続性mTBIよりはるかに長い症候性の期間(概して約30日間以上)を必要とする、PCSと混同されてはならない。
【0029】
方法
ここに記載する方法は、持続性mTBIを有するとして診断された患者を処置する。このような診断およびこのような患者の選択または同定は、mTBIの衰弱性症状が、PCSの診断なく、mTBIに起因する傷害後、例えば少なくとも3日間、4日間、5日間、6日間または7日間継続することに基づき得る。mTBIを有する多くの患者は、即時の医学的処置を求めず、そのmTBIの衰弱性症状が迅速に解消されないとき初めて求める。
【0030】
mTBI直後に処置された患者と異なり、持続性mTBIを有する患者は、脳の有害な事象の生物学的カスケードが衰えることなく持続することを可能としている。このような事象は、例えば、代謝異常、神経細胞損傷または活性酸素種(ROS)の過剰産生と関連する炎症による、脳における炎症を含む。本発明は、これらの衰えない有害な事象に対処しながら、患者の衰弱性症状を軽減する両方の必要性に対処する。
【0031】
ここに記載する方法は、さらに、mTBIを有する患者を、グレリンまたはそのバリアントで、複数用量(投与)および/または複数日間投与することにより、処置することに関する。ある実施態様において、mTBIは急性mTBIである。ある実施態様において、mTBIは持続性mTBIである。ある実施態様において、mTBIはPCSである。ある実施態様において、mTBIは急性mTBIではない。ある実施態様において、mTBIはPCSではない。
【0032】
ここに記載する方法において、グレリンまたはそのバリアントを、診断後1日処置としておよび/または連続複数日間にわたり連日グレリン投与として投与する。
【0033】
持続性mTBIについて、このような処置は、mTBIの少なくとも3日後に開始され得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントでの処置は、mTBIの少なくとも4日後に開始される。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントでの処置は、mTBIの少なくとも5日後に開始される。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントでの処置は、mTBIの少なくとも6日後に開始される。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントでの処置は、mTBIの少なくとも7日後に開始される。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントでの処置は、mTBIの少なくとも8日後に開始される。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントでの処置は、mTBIの少なくとも9日後に開始される。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントでの処置は、mTBIの少なくとも10日後に開始される。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントでの処置は、mTBIの少なくとも2週間後に開始される。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントでの処置は、mTBIの少なくとも4週間後に開始される。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントでの処置は、mTBIの約3日間~約30日後に開始される。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントでの処置は、mTBIの3日間以降~約30日後に開始される。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントでの処置は、mTBIの約4日間~約30日後に開始される。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントでの処置は、mTBIの約7日間~約30日後に開始される。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントでの処置は、mTBIの約7日間~約28日後に開始される。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントでの処置は、mTBIの約7日間~約21日後に開始される。日間数は、記載する範囲内(終点を含む)のあらゆる値または下位範囲であり得る。
【0034】
ある実施態様において、グレリンまたはグレリンを含む組成物が投与される。ある実施態様において、グレリンバリアントまたはグレリンバリアントを含む組成物が投与される。
【0035】
グレリンまたはバリアントは、1日または複数日間、単回投与または複数投与で投与され得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントは、少なくとも1日にわたり各日に投与され得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントは、少なくとも2日間にわたり各日に投与され得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントは、少なくとも3日間にわたり各日に投与され得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントは、少なくとも4日間にわたり各日に投与され得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントは、少なくとも5日間にわたり各日に投与され得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントは、少なくとも6日間にわたり各日に投与され得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントは、少なくとも7日間にわたり各日に投与され得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントは、少なくとも8日間にわたり各日に投与され得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントは、少なくとも9日間にわたり各日に投与され得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントは、少なくとも10日間にわたり各日に投与され得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントは、少なくとも11日間にわたり各日に投与され得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントは、少なくとも12日間にわたり各日に投与され得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントは、少なくとも13日間にわたり各日に投与され得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントは、少なくとも14日間にわたり各日に投与され得る。いくつかの例で、連日グレリンまたはバリアント投与は、14日間まで継続される。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントは、1~14日間にわたり連日投与され得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントを、14日間を超えて投与し得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントを、mTBI(または持続性mTBIまたはPCS)の症状の1以上が解消するまで投与し得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントを、1~14日間以上連続的に(例えば、経皮パッチを使用)投与し得る。
【0036】
ある実施態様において、グレリンまたはバリアントを、少なくとも1日1回投与し得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントを、少なくとも1日2回投与し得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントを、少なくとも1日3回投与し得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントを、少なくとも1日4回投与し得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントを、少なくとも1日5回投与し得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントを、1日1回投与し得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントを、1日2回投与し得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントを、1日3回投与し得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントを、1日4回投与し得る。ある実施態様において、グレリンまたはバリアントを、1日5回投与し得る。
【0037】
現在、急性mTBIを有する患者は、医師が、mTBIが緊急のリスクをもたらさないと決定したら、家に帰される。対照的に、例えば、初期損傷後数日、数週間または数カ月続く未解消の症状がある、持続性mTBIを有する患者は、示す症状に基づいて、処置される。ある実施態様において、持続性mTBIに対する処置、例えば、急性損傷より相当遅い時点であり、脳における根柢の有害な事象が衰えなくなってからの処置が提供される。これらの方法は、mTBIの衰弱性症状および脳の有害な状態の両方の軽減に取り組むために、1日または数日間にわたる連日グレリン投与を必要する投薬スケジュールを前提とし得る。
【0038】
ある実施態様において、持続性mTBIを有する患者が処置のために選択される。ある実施態様において、損傷後少なくとも3日間mTBIの症状(例えば、衰弱性症状)の1以上を有する患者が選択される。ある実施態様において、損傷後少なくとも4日間mTBIの症状(例えば、衰弱性症状)の1以上を有する患者が選択される。ある実施態様において、損傷後少なくとも5日間mTBIの症状(例えば、衰弱性症状)の1以上を有する患者が選択される。ある実施態様において、損傷後少なくとも6日間mTBIの症状(例えば、衰弱性症状)の1以上を有する患者が選択される。ある実施態様において、損傷後少なくとも7日間mTBIの症状(例えば、衰弱性症状)の1以上を有する患者が選択される。
【0039】
ある実施態様において、急性mTBIを有する患者が選択される。ある実施態様において、急性mTBI(例えば、損傷後、例えば、少なくとも3日間、少なくとも7日間)を有しない患者が選択される。ある実施態様において、PCSを有する患者が選択される。ある実施態様において、PCSを有するとして診断されていない患者が選択される。
【0040】
ある実施態様において、グレリンの複数の単回用量組成物を含み、各組成物が処置スケジュールに従う投与のために印をされ、標識されまたは他に同定される、グレリンの複数の単回用量組成物を含むキット・オブ・パーツが提供される。ある実施態様において、グレリンの各単回用量組成物の濃度は、処置期間を通して同じである。他の実施態様において、グレリンの濃度は、少なくとも1日、2日間または3日間、好ましくは少なくとも5日間およびそれ以上、好ましくは少なくとも7日間の期間にわたり、初期第一用量から最終用量まで減らされるまたはテーパリングされる。ある実施態様において、グレリンの濃度は、最後の用量のグレリン濃度が最初の用量の50%を超えないように、最初の用量から最後の用量に向けて減らされる。
【0041】
ある実施態様において、グレリン濃度は、処置期間中少なくとも2回変わる。グレリン濃度変化の例を表1に提供する。
【表1】
【0042】
ある実施態様において、mTBIは、1以上の診断デバイスまたはプロトコールを使用して診断される。ある実施態様において、ここに提供する方法を、1以上の回復プロトコールと共に使用する。例えば、脳損傷の可能性を、BTrackSTM System(balancetrackingsystems.com/; Balance Tracking Systems Inc.)を利用して、NFL Concussion Tool、「sports concussion assessment tool」(引用により本明細書に全体として包含させる“SCAT-2”; static.nfl.com/static/content/public/photo/2014/02/20/0ap2000000327062.pdf)またはNHL、NBA、FIFA、ラグビーリーグおよびラグビーユニオン、ボクシング機構などで使用される他の類似ツールを使用して診断および/またはモニターできる。例は、SCAT-3、ImPACT、ICD-10、nPITEST、急性脳震盪評価(「ACE」)、King-Devickなどを含む。他の診断または評価は、血清バイオマーカー(グリア線維性酸タンパク質(GFAP);例えば、引用により全体として本明細書に包含させるMannix et al., “Serum Biomarkers Predict Acute Symptom Burden in Children after Concussion: A Preliminary Study,” J Neurotrauma 31:1072-1075 (Jun. 1, 2014)参照)、放射線医学造影、自己申告、加速度計(例えば、ヘルメット内)などを使用できる。
【0043】
ある実施態様において、ここに記載するグレリンまたはバリアントを投与された対象は、投与前、途中および/または後に評価したとき、1以上の評価ツールで幾分かの改善を示し得る。当業者に認識されるとおり、あらゆる適当なツールが使用され得る。ある実施態様において、対象は、亜急性脳振盪の症状の数および/または重症度の改善を示し得る。ある実施態様において、対象は、脳震盪後症状スコア質問表(PCSS)(引用により全体として本明細書に包含させる、hawaiiconcussion.com/downloads/Post-Concussion-Symptom-Scale.pdfで入手可能)で改善を示す。PCSSは、症状負荷の全体的指標として使用され得る。処置前、途中および/または後のあらゆる時点での症状の数および重症度は、興味ある指標であり得る。
【0044】
ある実施態様において、対象は、クオリティ・オブ・ライフの改善を示す。ある実施態様において、対象は、脳損傷後クオリティ・オブ・ライフスケール(QOLIBRI)で改善を示す(引用により本明細書に全体として包含させるQolibri. Quality of Life Assessment for TBI. qolibrinet.comから入手可能)。QOLIBRIは、外傷性脳損傷後の個体の健康関連クオリティ・オブ・ライフ(HRQoL)を評価するために特に開発された37項目の質問票である。
【0045】
ある実施態様において、対象は、患者ステータス包括的評価(PGAS)で改善を示す。このツールは、「あなたの症状が今日の気分や働きに及ぼす影響について、どのように評価されますか?」との質問により、患者の症状の包括的評価を簡単に評価する、視覚的アナログスケール(VAS)である。
【0046】
ある実施態様において、対象は、認知機能の改善を示す。ある実施態様において、対象は、BrainCheckで改善を示す。引用により本明細書に全体として包含させるYang, S., et al., Diagnostic accuracy of tablet-based software for the detection of concussion. PLoS One, 2017. 12(7): p. e0179352参照。ある実施態様において、対象は、BrainCheckで測定される検査の1以上で改善を示す。BrainCheckは、軽度認知低下の診断を補助する有効なデジタル評価ツールである。本ツールは、認知、反応時間およびバランスを測定する、一連の7検査を測定する。BrainCheckは、FDAによるクラスII医療機器である。BrainCheck評価は、エビングハウス錯視を使用して静的および動的バランスを測定する協調バランス試験、一般的認知能力の数字符号置換検査、視覚的注意を測定するフランカー試験、反応時間を測定するストループ効果、視覚的注意およびタスク切り替えを測定するTrails A&Bおよび即時および遅延記憶を測定する想起試験を含む。全スコアリングアルゴリズムで、規範的年齢適合データセットと試験結果を比較する。
【0047】
ある実施態様において、対象は、評価の何れか1以上で、約10%を超える改善を示す。ある実施態様において、対象は、評価の何れか1以上で、約15%を超える改善を示す。ある実施態様において、対象は、評価の何れか1以上で、約20%を超える改善を示す。ある実施態様において、対象は、評価の何れか1以上で、約25%を超える改善を示す。ある実施態様において、対象は、評価の何れか1以上で、約30%を超える改善を示す。ある実施態様において、対象は、評価の何れか1以上で、約35%を超える改善を示す。ある実施態様において、対象は、評価の何れか1以上で、約40%を超える改善を示す。ある実施態様において、対象は、評価の何れか1以上で、約45%を超える改善を示す。ある実施態様において、対象は、評価の何れか1以上で、約50%を超える改善を示す。ある実施態様において、対象は、評価の何れか1以上で、約60%を超える改善を示す。ある実施態様において、対象は、評価の何れか1以上で、約70%を超える改善を示す。ある実施態様において、対象は、評価の何れか1以上で、約80%を超える改善を示す。ある実施態様において、対象は、評価の何れか1以上で、約90%を超える改善を示す。ある実施態様において、対象は、評価の何れか1以上で、約100%までの改善を示す。改善は、グレリンまたはバリアントの投与前、途中および/または後の任意の2時点間であり得る。
【0048】
医薬組成物
グレリンまたはそのバリアントを、ペプチドの送達に適する許容される投与方法の何れかにより、治療有効量で投与する。グレリンまたはそのバリアントの実際の量は、処置する症状の重症度、対象の年齢およびその他関連する健康状態、投与経路および形態および当業者に周知のその他因子などの多数の因子に依存する。
【0049】
グレリンまたはそのバリアントの有効量または治療有効量または用量は、患者における衰弱性症状の改善をもたらす量をいう。特定の投与量は、用いる剤形および/または利用する投与経路に依存して、一定範囲内で変わり得る。正確な製剤、投与経路、投与量および投与間隔は、対象の状態の特性の観点から、当分野で知られる方法により選択される。
【0050】
ある実施態様において、グレリンまたはそのバリアントの有効量は、1日あたり約10ng/kg~約10mg/kgの範囲である。ある実施態様において、グレリンまたはそのバリアントの有効量は、1日あたり約1μg/kg~約10mg/kgの範囲である。ある実施態様において、グレリンまたはそのバリアントの有効量は、1日あたり約1μg/kg~約1mg/kgの範囲である。ある実施態様において、グレリンまたはそのバリアントの有効量は、1日あたり約10μg/kg~約1mg/kgの範囲である。ある実施態様において、グレリンまたはそのバリアントの有効量は、1日あたり約20μg/kg~約1mg/kgの範囲である。ある実施態様において、グレリンまたはそのバリアントの有効量は、1日あたり約30μg/kg~約1mg/kgの範囲である。ある実施態様において、グレリンまたはそのバリアントの有効量は、1日あたり約40μg/kg~約1mg/kgの範囲である。ある実施態様において、グレリンまたはそのバリアントの有効量は、1日あたり約50μg/kg~約1mg/kgの範囲である。ある実施態様において、グレリンまたはそのバリアントの有効量は、1日あたり約60μg/kg~約1mg/kgの範囲である。ある実施態様において、グレリンまたはそのバリアントの有効量は、1日あたり約70μg/kg~約1mg/kgの範囲である。ある実施態様において、グレリンまたはそのバリアントの有効量は、1日あたり約80μg/kg~約1mg/kgの範囲である。ある実施態様において、グレリンまたはそのバリアントの有効量は、1日あたり約90μg/kg~約1mg/kgの範囲である。ある実施態様において、グレリンまたはそのバリアントの有効量は、1日あたり約100μg/kg~約1mg/kgの範囲である。ある実施態様において、グレリンまたはそのバリアントの有効量は、1日あたり約10μg/kg~約0.1mg/kgの範囲である。有効量は、記載する範囲内(終点を含む)のあらゆる値または下位範囲であり得る。
【0051】
本発明は、何らかの特定の組成物または医薬担体に、それらが変わり得るため、限定されない。一般に、グレリンまたはそのバリアントは、次の経路の何れかにより、医薬組成物として投与される:経口、全身(例えば、経皮、鼻腔内または坐薬)または非経腸(例えば、筋肉内、静脈内または皮下)投与。ある実施態様において、投与は、上記のとおり調節し得る投与レジメンを使用する非経腸である。他の医薬組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、半固体、粉末、持続性放出製剤、溶液、懸濁液、エリキシル、エアロゾルまたはあらゆる他の適切な組成物の形態をとり得る。
【0052】
本発明の化合物の医薬剤形は、例えば、慣用の混合、ふるい分け、溶解、融解、造粒、糖衣製造、打錠、懸濁、押出成形、噴霧乾燥、研和、乳化、(ナノ/マイクロ)カプセル封入、封入または凍結乾燥などの当分野で周知の方法の何れかにより製造され得る。上記のとおり、本発明の組成物は、活性分子の医薬用製剤への処理を促進する1以上の生理学的に許容される不活性成分を含み得る。
【0053】
先に記載されたとおり、ここに記載する方法において使用するある医薬組成物は、静脈内または筋肉内注射に適するような無菌、水性組成物である。ある実施態様において、このような組成物は、医師または患者が使用するために、シリンジに予め充填される。好ましくは、シリンジはコンテナに充填され、ある日に使用することについてラベル、マークまたはその他識別される。例えば、7日間処置レジメンにおいて、各シリンジの識別は、1日目用または2日目用などを示す。
【0054】
あるいは、医薬組成物は、ある日に送達される合計量が、上に提供する有効量であるような量で、グレリンまたはそのバリアントの連続放出を提供する経皮パッチの形態をとり得る。グレリンの血清半減期が約30分であることを考慮して、連続放出は、血清および脳における連続した存在を可能とする。
【0055】
経皮パッチによりグレリンを投与するとき、1個または複数個のパッチが使用され得る。好ましい実施態様において、各パッチが処置のある日に使用することが識別されている、複数個のパッチが使用される。各パッチは同じ用量のグレリンまたはそのバリアントを含んでよくまたは用量を、先に記載したとおりテーパリングしてよい。
【0056】
1個のパッチを使用するとき、パッチは、グレリンまたはそのバリアントを1日あたり同じ用量で提供するよう製剤化され得る。あるいは、パッチは、処置期間をとおしてグレリンまたはそのバリアントのテーパリングされた用量を提供するように製剤化され得る。
【0057】
ある実施態様において、本発明は、グレリンの複数の単回用量組成物を含み、各組成物が処置スケジュールに従う投与のために印をされ、標識されまたは他に同定される、グレリンの複数の単回用量組成物を含むキット・オブ・パーツを提供する。ある実施態様において、グレリンの各単回用量組成物の濃度は、少なくとも3日間、好ましくは少なくとも5日間およびそれ以上、好ましくは少なくとも7日間の期間、初期の最初の用量から最終用量にテーパリングされる。好ましい実施態様において、グレリンの濃度、最後の用量のグレリン濃度が最初の用量の50%を超えないように、最初の用量から最後の用量に向けて減らされる。
【実施例】
【0058】
次の実施例は、本発明がどのように使用され得るかを説明する。
【0059】
実施例1 - 持続性mTBIの処置
製剤を、活性成分として14mgのOXE-103およびスクロース(不活性成分)に相当する無菌凍結乾燥白色粉末またはケーキとして、ブチルゴム栓(フルオロ樹脂フィルムでラミネート加工)を備えた5mL透明、ホウケイ酸ガラスバイアルに入れる。適合するプラセボおよび希釈剤製品を使用する。
【0060】
OXE-103製剤、プラセボおよび希釈剤を、2℃~8℃(35.6°F~46.4°F)の冷蔵庫で保管する。SC投与用の再構成したOXE-103 14mg(5mL複数回用バイアル)は、10℃で14日間または25℃/1000Luxで保管したとき3日間安定である。再構成した製剤(およびプラセボ)を2℃~8℃(35.6°F~46.4°F)の冷蔵庫で保管する。
【0061】
グレリン(OXE-103)で亜急性脳震盪を処置するパイロット試験を実施する。処置群(OXE-103)を無作為化、二重盲検様式でプラセボ群と比較し、自己申告症状スコアリング、クオリティ・オブ・ライフ質問表、実行機能、記憶および処理速度を評価するコンピュータ化認知試験および加速度計ベースのバランススコアリングを使用して比較する。この試験の探索的な性質は、統計的に有意なアウトカムをもたらす検出力はないが、対象内および群間の傾向の検出を可能にし、神経認知機能の標準試験との比較を支持し、永続性脳震盪関連症状を有する人に関する今後の研究のためのサンプルサイズの推定をもたらす。
【0062】
この試験は、臨床的に高度に関連し、亜急性脳振盪の治療剤としてグレリンを初めて試験する。
【0063】
特定の目的:
2群の亜急性脳震盪における症状負荷の変化を調べる。最大50名の対象が登録されるが、各アームに試験を完了した損傷後≦28日間永続性脳震盪症状を有すると診断された20名の参加者がいるならば募集をやめる。患者を、プラセボ対OXE-103に1:1で無作為化する。脳震盪後症状スコア質問表(PCSS)を、症状負荷の全体的指標として使用する。各時点での症状の数および重症度も興味ある指標である。さらに、対象に、4つの最も煩わしい症状を特定し、ランク付けするよう依頼する。理論に拘束されないが、これらの最も煩わしい症状の変化は、クオリティ・オブ・ライフの改善と高度に相関すると仮設だてられる。2群の変化の目視による比較を行う。20%の変化は、臨床的に意義があると考えられる。この一次目的は、1日目と14日目の症状の変化を調べる。
【0064】
2群のクオリティ・オブ・ライフの変化を調べる。この目的は、二次客観的の一つを定義する。これを評価するため、脳損傷後クオリティ・オブ・ライフスケール(QOLIBRI)および患者ステータス包括的評価(PGAS)を適用する。20%の変化は、臨床的に意義があると考えられる。この目的の一次客観的は、1日目と14日目の症状の変化を評価する。
【0065】
症状負荷の変化とクオリティ・オブ・ライフの相関を調べる。これは探検的目的である。理論に拘束されないが、症状負荷の改善は、クオリティ・オブ・ライフ指標の改善と相関すると仮設だてられる。これは、4つの最も煩わしい症状の変化とクオリティ・オブ・ライフ指標の相関によりさらに証明され得る。この目的は、1日目と14日目の相関を調べる。
【0066】
種々の時点での症状負荷およびクオリティ・オブ・ライフの変化を調べる。これは、探検的目的である。データを21日目および45日目に集めて、後の時点での比較を可能とする。これを使用して、OXE-103投与後の時点でのこれら指標の変化を調べ得る。OXE-103の効果は持続し、それ故に、投与後の悪化は起きないはずであると仮説できる。データを14日目と21日目および45日目で比較する。
【0067】
2群間の認知能力の変化を調べる。この目的は、二次的客観的である。認知機能改善は、根柢の神経細胞機能の改善と相関する。認知機能を、特定の間隔で、デジタル評価ツールであるBrainCheckで評価する。このツールをiPadを通して適用し、治験担当者の監督下にクリニックでおよび対象により自宅で適用され得る。
【0068】
研究の利益/リスク
利益:
現在残っているのは脳振盪の初期処置である。後に処方できる治療剤(これらの開始時について一致はないが - 損傷後数週間~数カ月の範囲の傾向がある)は、理学的/前庭治療(しかしこれは時間がかかり最初に症状を誘発し得る)および投薬による症状の対症的処置を含む。これら薬物が純粋な対症療法としてではなく、根底にある神経代謝の変化を処置する可能性についての有効性は未知である。さらに、各投薬が、有害事象の可能性を伴う。症状の軽減、クオリティ・オブ・ライフの改善および潜在的に根柢の神経代謝機能不全の処置に有効である安全な処置の提供は革新的であり、脳震盪ケアの現在のパラダイムを変える。
【0069】
リスク:先の試験は、OXE-103が極めて安全であることを示す。この試験は、この臨床集団における安全性プロファイルの確認を補助する。グレリンの長期使用は食欲増進、体重増加および脂肪症に至り得る[16]。しかしながら、OXE-103の短期使用によりこのリスクを軽減し、薬物処置中、1週間間隔での体重測定をする。
【0070】
参入/除外:
対象は男女両方、年齢18~55歳で、頭部または体への直接的または間接的打撃、転倒またはむち打ち症に由来する脳震盪がある。損傷後28日以内に登録される。対象は、処置前の症状の安定性を確立するため7日間スクリーニングされる。対象は、試験完了前の自然的症状解消の予測される程度(数および重症度)を減らすために、無作為化時点(スクリーニング終了時)に≧20以上の症状重症度スコアを有する。スクリーニング中、1)2連続スクリーニング評価で症状重症度または症状の数の改善または2)症状重症度または症状の数の≧20%減少を示すならば、対象は除外される。
【0071】
mTBI以外の既存の神経性状態(認知障害を含む)を有する対象は除外される。TBI後ドネペジル(アリセプト)および/またはメマンチン(ナメンダ)で処置されている対象は除外される。
【0072】
現在のTBIに関連する同時の投薬、理学療法または他の処置を受けている対象は、1)スクリーニング期間中改善がないことに関連する編入基準を満たすならばおよび2)そのような処置が登録およびスクリーニングの少なくとも7日前に開始されていたならば、適格である。自己注射できない対象は除外される。最終的に試験対象参加は治験医の裁量である。
【0073】
試験法:
一般的試験デザイン:
ここに記載されるのは、40名の対象がプラセボコホートまたはOXE-103処置コホートに無作為化される、無作為、二重盲検式、プラセボ対照デザインである。RedCapデータベースを使用して、無作為化する。データベースを、治験薬局とのみランダム割付けを共有するよう設定する。全対象は損傷後28日以内に同意し、スクリーニング期間を始める。無作為化および試験処置開始前に7日間スクリーニング期間があり、症状負荷の安定性の評価を可能とする。このスクリーニング期間は、損傷後28日より遅く開始してはならない。1日目(スクリーニング期間の最後)から開始して、処置コホートは、SC1日2回OXE-103 40μg/kgを自己注射により受け、プラセボ群はプラセボ注射をSCで1日2回受ける。試験薬物およびプラセボを、治験薬局で保管し、分配する。対象は、OXE-103またはプラセボをあらかじめ充填された8日分のシリンジを受け取る。各コホートは、7日目来院時にOXE-103またはプラセボのシリンジの第2のセットを受け取る。いずれのコホートでも14日間処置期間中、OXE-103以外の治療を投与しない。14日間のプラセボまたはOXE-103処置完了後、14日目来院から開始して、必要に応じていずれのコホートでも他の投薬および治療を開始してよい。
【0074】
対象訓練
【0075】
対象に、OXE-103およびプラセボのSC自己投与の指示をする。対象は、自分自身で注射の訓練し、試験場所で試験薬物の最初の用量の自己投与による適格性を証明する必要がある。あるいは、対象が信頼できかつ熱心な家族を伴うならば、その同伴者が対象への試験薬物投与の訓練をし、試験場所で適格性を証明しなければならない。自己投与も家族による投与も可能でないならば、対象は参加に不適格である。対象は、パラメータに従い薬物/プラセボの保存を指示される。試験チームメンバーは、各登録対象の保存場所を文書化する。対象は、朝に食後最初の用量を注射するよう指示される。2回目の用量は、晩に同様に食後行う。
【0076】
募集:
【0077】
試験の参入/除外基準を満たす患者を同定し、試験への参加を奨励する。興味を持ったならば、試験チームメンバーが患者と面談し、試験の詳細を説明する。インフォームドコンセントが求められる;得たら、対象を試験リスクおよび他の除外基準についてスクリーニングする。
【0078】
除外:これはパイロット試験であり、この試験の削減を推定する根拠となる先のデータは存在しない。28日治験期間中に同意を撤回するまたは試験から撤退するまたは14日間の投薬に必要なプロトコールの完了に成功しないあらゆる試験参加者を、40名の対象がプロトコールを完了するよう置き換えてよい。
【0079】
目標期間:OXE-103での処置介入の目標期間は2週間である。スクリーニングおよびフォローアップ評価を含む試験の総関与は8週間である。
【0080】
アウトカムおよび試験ツール:
症状軽減(目的1):一次目標は、1日目および15日目のPCSSを使用する、OXE-103で処置した亜急性脳震盪における症状の数および/または重症度の変化を調べることである。21日目および44日目にもデータを集めて、可能であれば長期変化および潜在的持続効果を調べる(目的4)。
【0081】
対象はPCSSを次の時点で完了する[17]:同意署名時(スコア≧20でなければならない)(-7日目)、スクリーニング期間半ば(-3日目)、処置コホートへの割り当て前(スコア≧20でなければならない)(1日目)ならびに4日目、8日目、11日目、15日目、21日目および44日目。対象は、各評価時点について、1日の同じ時間に症状を記録するよう指示される。いずれの方向でも2時間猶予があり得る(例えば12PM±2時間)。PCSSを、RedCapサーベイにより記録する。PCSSは、0~6の範囲のリッカート型スケールを使用する22症状の自己申告評価であり、0は概説される症状で障害はなく、1~6の採点は、症状で軽度~重度障害を表す。PCSSの信頼性および妥当性は文書で十分に裏付けられている[18~20]。対象に、1日目に4つの最も煩わしい症状(4MBS)を採点することを依頼し、これらを別に回析した。特定の目的で記載したとおり、この試験の目的は、大型フェーズ2試験に使用でき、おそらく、フェーズ3登録治験のための中枢的エンドポイントに至る臨床エンドポイントをさらに微調整するデータの取得である。22症状PCSS評価を、認知、感情および身体ドメインにわたる脳震盪関連症状の完全なスペクトルをカバーするようデザインする。この点に関し、PCSSは、損傷後患者の回復の診断およびモニタリングに特に有用である。しかしながら、認知、感情および身体ドメインにわたる症状の数のため、いくつかの軽度症状の解消は、患者のウェルビーイングにほとんど臨床的影響なく、全体的症状スコアを変化させ得る。FDAから既に得ているIND前フィードバックは、脳震盪の有効治療は、患者の感じ方または機能に影響しなければならないと記されている。患者の知覚される4MBSの特定の解析を含むことにより、症状スコアを、また同様に試験に使用するクオリティ・オブ・ライフツールの改善と相関させることができる可能性がある。PCSSの完了に5分かかることが推定される。
【0082】
クオリティ・オブ・ライフ(目的2):二次的目標は、亜急性脳振盪の処置によるクオリティ・オブ・ライフの変化の試験である。理論に拘束されないが、OXE-103は1日目と15日目を比較したとき症状を軽減し、それ故に、1)脳損傷後クオリティ・オブ・ライフスケール(QOLIBRI)および2)PGASにより評価したクオリティ・オブ・ライフを改善すると仮設だてられる。
【0083】
QOLIBRIは、外傷性脳損傷後の個体の健康関連クオリティ・オブ・ライフ(HRQoL)を評価するために特に開発された37項目の質問票である[21]。これは、オンラインで完了するRedCapサーベイに組み込まれる。TBIについての疾患または状態特異的HRQoL質問票として開発されたため、一般的クオリティ・オブ・ライフツールより感受性であることが期待される。QOLIBRIは、TBI後の2000名を超える人が関与する2つの多言語試験における国際タスクフォースにより開発された。HRQoLのTBI特異的評価の使用は、TBIに典型的な理学的、心理的、日常生活および心理社会的変化の測定により、介入の効果を検出できる。QOLIBRIの20%増加/減少は改善を表すと判断される。
【0084】
さらに、PGASをこの試験に使用できる。本ツールは、「あなたの症状が今日の気分や働きに及ぼす影響について、どのように評価されますか?」との問診により、患者の症状の包括的評価を簡単に評価するための視覚的アナログスケール(VAS)である。患者は、RedCap内のスライダーツールを使用して、症状の影響を0~10(0が影響なしおよび10が最悪の影響である)で採点するよう指示される。PGASの20%増加/減少は改善を表すと判断される。
【0085】
QOL指標は、1日目、4日目、8日目、11日目、15日目、21日目および44日目に得る。これらの完了に15分かかることが推定される。
【0086】
認知試験(目的5):副次評価項目指標は、2群における認知機能の変化を要約することである。理論に拘束されないが、OXE-103の作用機序は、認知機能を改善させることが仮設だてられる。
【0087】
対象は、iPadでBrainCheckを使用して、コンピュータ化神経認知試験を完了する[22]。BrainCheckは、軽度認知低下の診断を補助する有効なデジタル評価ツールである。ツールは、認知、反応時間およびバランスを測定するための一連の7つの試験を測定する。BrainCheckは、FDAによるクラスII医療機器である。BrainCheck評価は、エビングハウス錯視を使用して静的および動的バランスを測定する協調バランス試験、一般的認知能力の数字符号置換検査、視覚的注意を測定するフランカー試験、反応時間を測定するストループ効果、視覚的注意およびタスク切り替えを測定するTrails A&Bおよび即時および遅延記憶を測定する想起試験を含む。全スコアリングアルゴリズムで、規範的年齢適合データセットと試験結果を比較する。これら試験全て、特別な技術を必要とせず、苦痛をもたらさないと予測される、簡単なビデオゲームである。一連の試験を完了するための総時間は、15分と推定される。BrainCheckは、クリニックで1日目、7日目、14日目および45日目に実施し;対象が自宅で3日目、10日目および21日目に実施する。iPadは、時間の代償として、全試験過程完了後、対象に与える。対象が試験を中止したならば、iPadを試験チームに返すよう、依頼する。
【0088】
電子PHIデータは、HIPAA適合サーバーに保存する。コンピューターは全てパスワードで保護する。サーバーアクセスは試験チームおよびIT代表に制限する。試験特異的データおよび試験に関連する連絡へのアクセスは、PIおよびPIのスタッフ、試験担当者、試験スポンサーからの代表者および適切な規制当局に限定する。研究データは、対象の診療記録に追加される。
【0089】
Amazonワークサーバー(AWS)は、AWSセキュリティーチームにより管理され、AWS情報セキュリティー最高責任者(CISO)により率いられる、確立された情報セキュリティー組織を有する。
【0090】
AWSは、米国公認会計士協会(AICPA)TSP Section 100の安全性、可用性(availability)および機密性の基準、安全性、可用性、処理(processing)、完全性(integrity),機密性(confidentiality)およびプライバシー(privacy)のTrustサービスの原則と規準を満たす。
【0091】
BrainCheckは、AWS HIPAA適合サービスを使用し、第三者の検証により、以下のことが証明される:
- AWSは、ISO 27002ガイダンスおよびISO 27001標準の補遺であるクラウド特異的情報セキュリティーコントロールのISO 27017導入ガイダンスに適合する。
- AWSは、ISO 27002ベストプラクティスガイダンスに従うセキュリティー管理ベストプラクティスおよび包括的セキュリティーコントロールの国際的に認められた標準であるISO 27001に適合する。
- AWSは、ISO 27002ガイダンスおよびISO 27001標準の補遺であるパブリッククラウドの個人を特定できる情報(PII)保護に適用可能なISO 27018コントロールの導入ガイダンスに適合する。
【0092】
アプリから転送される情報は、対象コード、調査回答および調査回答のタイムスタンプに限定される。場所データは転送されない。業者は、対象の再同定を試みることを許可されない。
【0093】
統計分析:
このパイロット試験は、プラセボ対OXE-103の2群で観察される変化を調べる。本試験が探索的であるため、分析は、記述的比較統計に焦点が絞られ、事前に指定された統計的に有意なプライマリーエンドポイントではない。データを使用して、出力計算およびさらなる臨床開発のための適当な臨床エンドポイントの定義が可能となる。ベースラインならびに試験1日目、4日目、8日目、11日目、15日目、21日目および44日目のデータを分析する。
【0094】
一次客観的は、脳震盪関連症状の数および重症度両者の20%軽減により定義される、臨床的に意義のある利益を経験する対象(応答者)の比率を決定するためである。脳震盪関連症状は、22個の症状のPCSSを使用して測定する。22個の症状各々の重症度は、7点リッカートスケール(Likert Scale)で患者により等級付けされる。このスケールは、脳振盪/mTBIを有する患者の評価に広く使用されている[18、19]。
【0095】
さらに、PCSSの全体的数および重症度に対する臨床的に軽度の症状の変化の影響を制御するため、データを、各対象について4MBSの変化に基づき分析する。このタイプの分析は、片頭痛の患者申告アウトカムの評価で用いられ、FDA指針書(Dodick et al. 2018, Migraine 2018 FDA)に記載される。
【0096】
OXE-103臨床開発に対するFDAからのFDAのIND前ガイダンスは、「アウトカム指標は、スコアの変化が、軽度TBIに特有の処置効果に由来する患者の感じ方または機能の意義のある改善を示すことを確実にするよう構築すべきである」とアドバイスされた。症状数/重症度の変化とクオリティ・オブ・ライフに対する効果を相関させるため、QOLIBRIおよびPGASを含む2種の評価ツールを使用する。これら評価での改善を、OXE-103での処置に応答した意義のある臨床的改善を評価するために応答者の定義と比較する。
【0097】
さらに、PCSSスケールでの患者申告アウトカムを、Class-II FDA承認デバイスであるBrainCheckを使用する、認知およびバランス/安定性の客観的デジタル指標と相関させる。
【0098】
病歴および試験結果をREDCapに登録する。
【0099】
対象のプライバシーおよび機密性を確実にするための計画
署名された同意書書式およびデータ書式を、試験チームメンバーが所有するアクセスが限定された指定のファイル棚に保管する。アウトカムデータを上記REDCapデータベースに入力し、アクセスを承認されたスタッフメンバーに限定する。全分析データは、HIPAAガイドラインに従い、スポンサーまたは科学雑誌などへの提出前、非特定化される。各参加者は、情報の経時的追跡を可能とするため、固有の試験番号が割り当てられる。個人を特定する情報を、試験番号が割り当てられたら初期データから除去し、その後のデータから、新規データが既存の試験番号と照合された除去される。参加者の身元および関連試験番号は、アクセス権限を有する試験チームメンバーのみがアクセス可能なVelosシステムに入力される。
【0100】
フォローアップ
患者は、試験完了後または試験から撤退後、標準治療を続け得る。
【表2】
【国際調査報告】