(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(54)【発明の名称】モジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム
(51)【国際特許分類】
C12M 3/00 20060101AFI20230222BHJP
【FI】
C12M3/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537384
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-08-16
(86)【国際出願番号】 US2020065607
(87)【国際公開番号】W WO2021127175
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516334709
【氏名又は名称】ザ・セカント・グループ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【氏名又は名称】松田 豊治
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】ギン,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエーレ,ピーター・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ジェレミー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ウェーバー,アマンダ・ケイ
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029AA27
4B029BB11
4B029CC01
4B029CC02
4B029CC10
4B029DA10
4B029DG08
(57)【要約】
モジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムは、複数のモジュール式フロースルーカートリッジを含む。各モジュール式フロースルーカートリッジは、生物学的媒体の通過流のためのポートを有するカートリッジハウジングおよびカートリッジが生物学的媒体の通過流の際にバイオリアクタープロセスの少なくとも1つの所定の機能を実施することを可能にするカートリッジハウジング中に予め装填された所定の内容物を含む。モジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムは、複数のモジュール式フロースルーカートリッジをポートによって流体接続する少なくとも1つのインターロックコネクターも含む。モジュール式フロースルーカートリッジは、カートリッジハウジング中に予め装填された多孔性テキスタイルの列を含む。プロセスは、バイオリアクタープロセスを組み合わせで実施するために複数のモジュール式フロースルーカートリッジを選択することを含む。プロセスは、モジュール式フロースルーカートリッジを流体シーケンスで流体接続してモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムを形成することも含む。流体シーケンスを通して生物学的媒体を流すことは、バイオリアクタープロセスを実施する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムであって:
複数のモジュール式フロースルーカートリッジ、ここで、各モジュール式フロースルーカートリッジは:
生物学的媒体の通過流のための第1ポートおよび第2ポートを有するカートリッジハウジングと;
該カートリッジが該生物学的媒体の通過流の際に該バイオリアクタープロセスの少なくとも1つの所定の機能を実施することを可能にする該カートリッジハウジング中に予め装填された所定の内容物と
を含む;ならびに
該複数のモジュール式フロースルーカートリッジを該第1ポートおよび該第2ポートによって流体接続する少なくとも1つのインターロックコネクター;
を含むモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムであって、該所定の内容物が、多孔性テキスタイルの列を含むモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムであって、該多孔性テキスタイルの列が、該第1ポートおよび該第2ポートの位置に基づく該生物学的媒体の流れに対して垂直に配向されるモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム。
【請求項4】
請求項2に記載のモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムであって、該多孔性テキスタイルの列が、該第1ポートおよび該第2ポートの位置に基づいて該生物学的媒体の流れに対して平行に配向されるモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム。
【請求項5】
請求項2に記載のモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムであって、該多孔性テキスタイルが、生物学的細胞に関して接着性であるモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム。
【請求項6】
請求項2に記載のモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムであって、該多孔性テキスタイルが、抗体で修飾されているモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムであって、該所定の内容物が、多孔性フィルターを含むモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムであって、該所定の内容物が、ポリマー性微粒子またはナノ粒子を含むモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム。
【請求項9】
モジュール式フロースルーカートリッジであって、以下:
生物学的媒体の通過流のための第1ポートおよび第2ポートを有するカートリッジハウジングと;
該カートリッジハウジング中に予め装填された多孔性テキスタイルの列と
を含み、該第1ポートおよび該第2ポートが、第2モジュール式フロースルーカートリッジの第1ポートおよび第2ポートに流体的に連結するようにモジュール式に構成されているモジュール式フロースルーカートリッジ。
【請求項10】
請求項9に記載のモジュール式フロースルーカートリッジであって、該多孔性テキスタイルの列が、該第1ポートおよび該第2ポートの位置に基づいて該生物学的媒体の流れに対して垂直に配向されるモジュール式フロースルーカートリッジ。
【請求項11】
請求項9に記載のモジュール式フロースルーカートリッジであって、該多孔性テキスタイルの列が、該第1ポートおよび該第2ポートの位置に基づく該生物学的媒体の流れに対して平行に配向されるモジュール式フロースルーカートリッジ。
【請求項12】
請求項8に記載のモジュール式フロースルーカートリッジであって、該多孔性テキスタイルが、生物学的細胞に関して接着性であるモジュール式フロースルーカートリッジ。
【請求項13】
請求項9に記載のモジュール式フロースルーカートリッジであって、該多孔性テキスタイルが、生物製剤を捕獲するための抗体で修飾されているモジュール式フロースルーカートリッジ。
【請求項14】
請求項9に記載のモジュール式フロースルーカートリッジであって、さらに該第1ポートにおいて多孔性フィルターを含むモジュール式フロースルーカートリッジ。
【請求項15】
請求項9に記載のモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムであって、さらに該カートリッジハウジング中に予め装填された多孔性フィルターを含むモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム。
【請求項16】
モジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムを構築するプロセスであって、該プロセスが:
複数のモジュール式フロースルーカートリッジを選択して組み合わせでバイオリアクタープロセスを実施する工程、ここで、各モジュール式フロースルーカートリッジは、生物学的媒体の通過流のための第1ポートおよび第2ポートを有するカートリッジハウジングならびに該カートリッジが該生物学的媒体の通過流の際に該バイオリアクタープロセスの少なくとも1つの所定の機能を実施することを可能にする該カートリッジハウジング中に予め装填された所定の内容物を含み;ならびに
該複数のモジュール式フロースルーカートリッジを該第1ポートおよび該第2ポートによって流体シーケンスで流体接続して該モジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムを形成する工程;
を含み、該流体シーケンスを通して該生物学的媒体を流すことが該バイオリアクタープロセスを実施するプロセス。
【請求項17】
請求項16に記載のプロセスであって、該少なくとも1つの所定の機能が、上流処理、下流処理、細胞拡張、細胞キャリヤーの収容、生物製剤収集、細胞収集、療法的送達、代謝産物感知、核酸収集、デバイス試験、センサー細胞、細胞凍結保存、細胞療法、療法的試験、生物製剤選択、生物製剤精製およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるプロセス。
【請求項18】
請求項16に記載のプロセスであって、該流体接続が、該複数のモジュール式フロースルーカートリッジを直列に流体接続することを含むプロセス。
【請求項19】
請求項16に記載のプロセスであって、該流体接続が、該複数のモジュール式フロースルーカートリッジの少なくとも2つを並列に流体接続することを含むプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001] 本出願は、2019年12月17日に出願された米国仮出願第62/949,086号に対する優先権およびその利益を主張し、それは、参照によりそのまま本明細書に援用される。
【0002】
[0002] 本開示は、一般にバイオリアクターシステムに向けられている。より具体的には、本開示は、1以上のフロースルーカートリッジを使用するモジュール式バイオリアクターシステムに向けられている。
【背景技術】
【0003】
[0003] 細胞の拡張または生物製剤の生産のための多くの従来のバイオプロセシングリアクターは、大規模システムであり、ここで、生産プロセスへのあらゆる変更は、高い資源コストと関係し、労働集約的であり、そして生物集団または細胞集団の収率における潜在的なプロセス向上を試験およびモニターするための広範囲に渡る時間要求を有する。
【0004】
[0004] 従来の細胞培養には実質的な限界がある。生物学的生産プロセスは従来しばしば大規模バイオリアクターにおいて行われるため、プロセスに対する改善を正当化するのは、高い開発および実施コストのために困難である。細胞または基質に関する新しい処理は、現在商業的生産プロセス条件に適合しない条件での小規模試験を必要とする。例えば、新しいタイプのマイクロキャリヤーは、最初に小規模で、例えば小型150mLスピナーフラスコで試験され得るが、それらの最終的な実施は、完全に異なる流体力学およびリアクター構成を有する例えば50Lバイオリアクターのようなより大規模なシステムにおいてであると考えられ、それは、より大きな規模への非効率的なプロセス移行につながり、多くの時間および費用を浪費し、生産コストを押し上げる。
【0005】
[0005] 他のバイオプロセシングシステム、例えば同種細胞療法または自己細胞療法を含むポイントオブケアシステムは、小規模で実行され、自動化する、カスタマイズする、または単回使用に適合させることが困難であるかまたは費用がかかる開放系または閉鎖系で有り得る。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 個々のカートリッジの相互接続性および機能に基づいてバイオリアクタープロセスを可能にするようにカスタマイズすることができるスケーラブルなモジュール式カートリッジシステムを有することは、望ましいであろう。
【0007】
[0007] 一態様において、モジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムは、複数のモジュール式フロースルーカートリッジを含む。各モジュール式フロースルーカートリッジは、生物学的媒体の通過流のための第1ポートおよび第2ポートを有するカートリッジハウジングならびにカートリッジが生物学的媒体の通過流の際にバイオリアクターのプロセスの少なくとも1つの所定の機能を実施することを可能にするカートリッジハウジング中に予め装填された所定の内容物を含む。モジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムは、複数のモジュール式フロースルーカートリッジを第1ポートおよび第2ポートによって流体接続する少なくとも1つのインターロックコネクターも含む。
【0008】
[0008] 別の態様において、モジュール式フロースルーカートリッジは、生物学的媒体の通過流のための第1ポートおよび第2ポートを有するカートリッジハウジングとカートリッジハウジング中に予め装填された多孔性テキスタイルの列とを含む。第1ポートおよび第2ポートは、第2モジュール式フロースルーカートリッジの第1ポートおよび第2ポートに流体的に連結するようにモジュール式に構成される。
【0009】
[0009] さらに別の態様において、モジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムを構築するプロセスは、複数のモジュール式フロースルーカートリッジを選択して組み合わせでバイオリアクタープロセスを実施することを含む。各モジュール式フロースルーカートリッジは、生物学的媒体の通過流のための第1ポートおよび第2ポートを有するカートリッジハウジングと、カートリッジが生物学的媒体の通過流の際にバイオリアクタープロセスの少なくとも1つの所定の機能を実施することを可能にするカートリッジハウジング中に予め装填された所定の内容物と、を含む。プロセスは、複数のモジュール式フロースルーカートリッジを第1ポートおよび第2ポートによって流体シーケンスで流体接続してモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムを形成することも含む。流体シーケンスを通して生物学的媒体を流すことは、バイオリアクタープロセスを実施する。
【0010】
[0010] 本発明の様々な特徴および利点は、例として本発明の原理を図説する添付の図面と合わせて、以下のより詳細な説明から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[0011]
図1は、本開示の一態様における2カートリッジシステムの概略側面図を示す。
【
図2】[0012]
図2は、本開示の一態様におけるテキスタイル層に平行な流れを有するカートリッジの概略側面図を示す。
【
図3】[0013]
図3は、本開示の一態様におけるカートリッジの概略的な直列配置を示す。
【
図4】[0014]
図4は、本開示の一態様におけるカートリッジの概略的な並列配置を示す。
【
図5】[0015]
図5は、本開示の一態様における分離カートリッジシステムを概略的に示す。
【
図6】[0016]
図6は、本開示の一態様における微粒子を有するカートリッジを概略的に示す。
【
図7A】[0017]
図7Aは、マイクロスフィアへの暴露前のJurkatおよびチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞の混合物の全ての事象のフローサイトメトリーデータを示す。
【
図7B】[0018]
図7Bは、
図7Aの混合物の細胞のフローサイトメトリーデータを示す。
【
図7C】[0019]
図7Cは、マイクロスフィアへの暴露後のJurkatおよびCHO細胞の混合物の上清の全ての事象のフローサイトメトリーデータを示す。
【
図7D】[0020]
図7Dは、
図7Cの混合物の細胞のフローサイトメトリーデータを示す。
【0012】
[0021] 可能な限り、同じ参照番号は、図面全体を通して同じ部品を表すために使用されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0022] 例示的な態様は、モジュール式フロースルーカートリッジシステムの構築を可能にする。例示的な態様において、システムは、モジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムである。
【0014】
[0023] モジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムは、複数のフロースルーカートリッジで構成されており、各カートリッジは、それがバイオリアクタープロセスの少なくとも1つの所定の機能を実施することを可能にする内容物が予め装填されたカートリッジハウジングを含む。各カートリッジハウジングは、少なくとも第1ポートおよび第2ポートを含み、フロースルー機能性のために一方は入口ポートの役目を果たし、他方は出口ポートの役目を果たす。ある態様において、各カートリッジは、モジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムによって実施されるプロセス全体の1つの所定の機能を実施する。各カートリッジは、好ましくは使用後に滅菌または洗浄が必要とされないように単回使用であり、最初の使用の前に滅菌され、最初の使用の後に処分される。
【0015】
[0024] 例示的な態様において、モジュール性は、各カートリッジの各ポートがモジュール式フロースルーカートリッジシステム中のそれぞれの他のカートリッジの各ポートに取り付け可能であることを含む。カートリッジのモジュール式配列設計は、例えば上流カートリッジがフィーダー細胞によって産生される有益なサイトカインを受け取る下流の細胞型から物理的に分離されているフィーダー細胞株を収容する構成のような独特のバイオリアクター構成を可能にする。
【0016】
[0025] スケーラブルなモジュール式システムを有することによって、例示的な態様は、生物製剤の生産効率を向上させる開発コストを引き下げる。カートリッジの低下した開発コストおよびモジュール的な性質は、他の方法では小規模なカスタムバッチプロセスにおいて生産するには費用がかかりすぎるであろう患者特異的ワクチン、療法薬、細胞療法および遺伝子療法を生産するための成功要因としても作用する。同様に、カートリッジシステムの低下した開発コストおよびカスタマイズ可能性は、バイオ医薬品業界企業がバイオ医薬品業界による資源投資の価値があると見なされるために十分な潜在的市場規模を現在有していないより稀な苦悩に関して生物製剤市場を追求するのを助け得る。
【0017】
[0026] さらに、カートリッジのモジュール性はカートリッジおよびシステム全体の両方が配置される方法ならびにカートリッジが操作される方法およびそれらの内容物が回収される方法においてさらなる柔軟性を与えることは、理解されるであろう。
【0018】
[0027] カートリッジは、例えばx-y-z空間における3×3×1グリッドのような2D平面フットプリントパターン中に、または例えばx-y-z空間における3x3x3グリッドのような3D容積測定フットプリントパターン中に配置されることができる。ある態様において、カートリッジは、細胞回路を生成するように配置される。
【0019】
[0028] モジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムにおけるカートリッジの予め装填された内容物およびカートリッジの位置は、カートリッジが実施する機能を定める。例示的な態様において、フロースルーカートリッジは、少なくとも1つの多孔性テキスタイルを収容する。特定の生物製剤を収集するように改変されたテキスタイルを収容する別々のカートリッジが、最初に単一の流路において1種類以上の異なる産生された生物学的因子を分離するために順番に使用されることができる。
【0020】
[0029] 多孔性テキスタイルは、所与の容積測定フットプリントにおいて接着細胞培養のための高い表面積を提供し、それは、商業規模の生物製剤生産に使用される細胞濃度と直接相関する小さいカートリッジ内の密度への細胞拡張を可能にする。
【0021】
[0030] さらに、テキスタイルの多孔性は、例えば接着細胞での潅流のためにより大きいか、またはカートリッジ内での懸濁細胞の培養を可能にするためにより小さい値まで低減されるかのどちらかであるように、特定の適用に関して調整されることができる。
【0022】
[0031] ある態様において、テキスタイルは、カートリッジ内に係留され、テキスタイル層の間に間隔を置いて複数の層へと積み重ねられる。一連の多孔性テキスタイルが、接着細胞の培養における使用のために密閉されたカートリッジ内に置かれる。次いで、1個以上のそのようなカートリッジが、媒体が接着細胞を収容する多孔性テキスタイル構造を通して潅流されるように、順番に置かれる。
【0023】
[0032] 多孔性テキスタイルは、織物構造、不織物構造、編物構造、編組構造のいずれかまたはそれらの組み合わせならびにカートリッジ内部の他の形態のテキスタイルの代わりにまたはそれと組み合わせて使用されることができる電界紡糸メッシュを含むことができる。テキスタイル材料は、典型的には合成ポリマー、例えば(例としてのみ)ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリプロピレン(PP)およびそれらのブレンドで構成されるが、それらに限定されない。ある態様において、材料は、コラーゲン、フィブリン、アルギネート、ヒアルロン酸、他の多糖類、絹、セルロース、ゼラチンおよびそれらのブレンドを含み得るがそれらに限定されない生物由来のポリマーで構成される。さらに他の態様において、材料は、細胞を分極させるために電位が印加されることができるように導電性ポリマーで構成される。
【0024】
[0033] 所与のカートリッジサイズに関して、カートリッジ内のテキスタイルの数およびそれらの間隔は、特定の適用のための単位当たりの最大細胞担持容量に関して調整するために変動させられることができる。
【0025】
[0034] ある態様において、ポケット織り(pocket weave)構造が、多孔性テキスタイルに使用される。例えば、カートリッジの内壁に沿って配置されたポケット織り構造は、テキスタイルポケット内に細胞を捕捉または収容することができる。カートリッジのコア全体にわたって配置されたポケット織り構造も、細胞を捕捉または収容するために使用されることができる。カートリッジ内のポケット織り構造は、経時的に培地中に放出されるフィーダー材料を収容するために使用されることもできる。ポケット織り内のそのフィーダー材料は、細胞代謝産物、アミノ酸、有効医薬成分放出デバイス、pHバランス試薬、細胞を負に刺激するように設計された細胞アンタゴニストまたはこれらおよび/もしくは他のフィーダー材料の組み合わせで構成され得る。
【0026】
[0035] ある態様において、カートリッジは、層ごとに意図的に変動させられた多孔度を有する多層テキスタイル構造を収容する。
[0036] カートリッジ内の多孔性テキスタイルは、コーティングされることができる。ある態様において、テキスタイルは、細胞インテグリン結合モチーフ、例えば以下のアミノ酸配列を含有する細胞インテグリン結合モチーフでコーティングされる:アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)、イソロイシン-リジン-バリン-アラニン-バリン(IKVAV)、チロシン-イソロイシン-グリシン-セリン-アルギニン(YIGSR)等。他の態様において、カートリッジテキスタイルは、ポリ(グリセロールセバケート)(PGS)ベースの組成物でコーティングされ、それは、アミノ酸、有効医薬成分(API)、他の可溶性細胞サイトカインまたはそれらの組み合わせを含有するPGS組成物でのコーティングを含む。PGSベースの組成物は、例えばポリ(グリセロールセバケート)ウレタン(PGSU)またはポリ(グリセロールセバケート)アクリレート(PGSA)のようなあらゆる形態のPGSポリマーまたはコポリマーを含むことができる。ある態様において、PGSは、PGS表面に繋がれたシグナル伝達タンパク質を有する。
【0027】
[0037] 多孔性テキスタイルに加えて、またはその代わりに、各カートリッジは、カートリッジによって提供される機能を補助するために他の予め装填された内容物を有し得る。特定のカートリッジは、特定のカートリッジが提供することを意図されている特定の機能に応じて、1以上の特定の特徴または内容物を有することができる。ある態様において、カートリッジは、マイクロスフィア細胞キャリヤー、非球状細胞キャリヤーまたは両方を収容する。カートリッジは、生物製剤および/もしくは細胞を捕捉するように、かつ/または代謝産物、サイトカイン、タンパク質、生物製剤、細胞および/もしくはAPIを放出するように改変されたマイクロスフィアを収容することもできる。
【0028】
[0038] ある態様において、カートリッジの入口および/または出口領域は、多孔性フィルター材料の多孔性フィルターを収容する。適切な多孔性フィルターは、微粒子、例えばビーズ、微小粒子、マイクロスフィア、マクロスフィア、ナノスフィア、ナノ粒子もしくは不規則な形状の粉末様の材料;多孔性の織物、もしくは不織物テキスタイル;相互接続された細孔を有するスポンジ様材料;統合されたフロースルーチャンネルを有する固体材料;またはヒドロゲル材料を含むことができるが、それらに限定されない。適切な多孔性フィルター材料は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、PVDF、PET、PLGA、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、PLA、PGA、PCL、ポリスチレン類、ポリエチレン類もしくはPGSのような合成ポリマー;生物由来の材料、例えばコラーゲン、セルロースもしくはアルギネート;または多孔性金属を含むことができるが、それらに限定されない。フィルター材料に関する構築の材料の選択は、細胞の接着または非接着に関して選択されることができ、それは、そのためにカートリッジが利用され、処理が使用されている最終的な適用に依存し得ることは、理解されるであろう。
【0029】
[0039] 多孔性フィルターの孔径は、多孔性フィルターで保持されるべき、または多孔性フィルターを通過すべき材料の大きさに基づいて選択されることができる。例えば、孔径は、マイクロスフィアをトリプシン処理された細胞から、異なる大きさの細胞凝集体を互いから、異なる大きさのマイクロスフィアを互いから、マイクロスフィアを生物製剤から、細胞を生物製剤から分離するように選択されることができる。異なるマイクロスフィアまたは細胞凝集体の分離のための適切な孔径は、直径約50μm~約150μm、約150μm~約250μm、約250μm~約350μm、約350μm~約450μm、約450μm~約550μm、約550μm~約750μm、約750μm~約1000μm、約1000μm~約1500μm、約1500μm~約2000μmもしくは2000μmより大きい範囲またはそれらの間のあらゆる値、範囲もしくは部分範囲を含み得るが、それらに限定されない。凝集体またはマイクロスフィアからの細胞の分離に関する適切な孔径は、直径約10μm~約20μm、約10μm~約30μm、約10μm~約40μm、約10μm~約50μm、約10μm~約100μmまたはそれらの間のあらゆる値、範囲もしくは部分範囲を含み得るが、それらに限定されない。細胞、凝集体またはマイクロスフィアからの生物製剤の分離のための適切な孔径は、約1nm~約100nm、約1nm~約250nm、約1nm~約500nm、約1nm~約1000nm、約1nm~約5000nm、約1nm~約10,000nm、約1nm~約100,000nm直径またはそれらの間のあらゆる値、範囲もしくは部分範囲を含み得るが、それらに限定されない。
【0030】
[0040] ある態様において、カートリッジは、PGSでコーティングされることができる自由に浮動するテキスタイルディスクを収容する。
[0041] ある態様において、カートリッジは、細胞回路を通る媒体再循環の間に細胞老廃物または阻害性サイトカインを捕捉する官能性と繋がれたテキスタイルを収容する。ある態様において、カートリッジは、M0、M1またはM2表現型のいずれかに向かってマクロファージを分極させるためのシグナル伝達分子を収容する。
【0031】
[0042] ある態様において、カートリッジは、カートリッジ内で不凍剤として作用してその後の細胞カートリッジの凍結および貯蔵または輸送の間の氷晶形成を低減するために、培地中に可溶性PGS分子を含有する。従来の細胞不凍製品は、典型的にはそれらが細胞の解凍の際に迅速に除去されない場合細胞に損傷を与えるが、PGSは、その分解構成要素のため、解凍後に媒体から除去されなくてよい。
【0032】
[0043] ある態様において、カートリッジは、多孔性固定床足場材料を収容する。
[0044] ある態様において、カートリッジは、細胞がその上で成長する分解性テキスタイル層を収容する。分解性テキスタイル層は、カートリッジから個々に取り外されて患者に移植されることができる個別の取り外し可能なディスクに固定されている。
【0033】
[0045] ある態様において、カートリッジは、導電率の変化に基づいてテキスタイル上の細胞被覆率の変化を決定するための生分解性回路でコーティングされたテキスタイル足場を収容する。ある態様において、生分解性回路は、PGSで構成されている。
【0034】
[0046] ある態様において、カートリッジは、感知素子の役目を果たすことができる導電性テキスタイルを収容する。
[0047] ある態様において、カートリッジは、感知素子の役目を果たすことができる圧電テキスタイルを収容する。
【0035】
[0048] ある態様において、カートリッジは、例えば神経、筋肉細胞または心臓細胞のような電気刺激に応答する細胞型および組織型のためのプライミング構成要素としての導電性テキスタイルを収容する。
【0036】
[0049] ある態様において、カートリッジは、複数のテキスタイル材料組成物をを有する多層テキスタイル構造を収容する。
[0050] ある態様において、カートリッジは、接着細胞の足場、細胞もしくは生物製剤隔離マトリックスまたは制御放出マトリックスとして作用し得る微粒子を収容する。ある態様において、微粒子は、マイクロスフィア、マイクロビーズ、不規則な形状の小麦粉様粒子またはそれらの組み合わせである。
【0037】
[0051] ある態様において、カートリッジは、例えばバーコード、クイックレスポンス(QR)コードまたは無線周波数識別(RFID)コードのような走査可能なコードで標識される。走査可能なコードは、例えば自動化されたシステムにおいてカートリッジのタイプまたはカートリッジの内容物を同定することができる。
【0038】
[0052] カートリッジは、カートリッジ固有の微小環境をモニターするために個々のセンサーを収容するように構築されることもできることは、理解されるであろう。
[0053] ある態様において、カートリッジは、例えば血管移植片のような試験のための医療デバイスを収容する。
【0039】
[0054] ある態様において、カートリッジは、器官構造の作製のためのバイオリアクターの役目を果たすことができる。
[0055] ある態様において、カートリッジは、細胞コロニー形成および増殖を可能にする器官の鋳型となる(organ-templated)足場を装填されて疾患組織または損傷組織を置き換えるための移植可能なデバイスを作り出す。
【0040】
[0056] 一度カートリッジが選択され、所定の配置で接続されて所定のモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムを形成すると、次いで媒体の流れが、第1カートリッジと追加の細胞型または上流の細胞によって産生される生物製剤を捕捉するための改変されたテキスタイル表面を収容する1つ以上の下流の第2カートリッジの間のインターロックを通って開始する。
【0041】
[0057]
図1を参照すると、2カートリッジシステム10は、テキスタイル細胞培養カートリッジである上流カートリッジ12および生物製剤収集カートリッジである下流カートリッジ14を含む。上流カートリッジ12は、インターロックコネクタ16によって下流カートリッジ14に流体接続されて媒体18の流れが、上流カートリッジ12中へ入り、インターロック・コネクタ16を通り、下流カートリッジ14中へ入ることを可能にする。上流カートリッジ12は、細胞培養テキスタイル22の列の上に付着した細胞20を収容し、ここで、細胞培養テキスタイル22は、多孔性テキスタイル織布である。下流カートリッジ14は、生物製剤収集テキスタイル24の列を収容する。テキスタイル22、24は、媒体18の一般的な流れの方向に対して垂直に配向されている。接着細胞20は、生物製剤26を産生し、それは、媒体18によって輸送され、下流カートリッジ14において生物製剤収集テキスタイル24上で収集される。生物製剤収集テキスタイル24は、標的生物製剤26を捕獲する(scavenge)ために抗体で修飾された高表面積テキスタイル表面を有する。一度生物製剤26で飽和すると、下流カートリッジは、新しい生物製剤収集カートリッジで置き換えられ、捕捉された生物製剤26が、取り出された下流カートリッジ14から回収され、次いで精製される。
【0042】
[0058] ある態様において、テキスタイル層は、媒体の流れが直交潅流ではなくテキスタイル表面に対して接線方向であるようにカートリッジ中で配向される。
図2を参照すると、接線流カートリッジ30は、テキスタイル細胞培養カートリッジである。接線流カートリッジ30は、細胞培養テキスタイル22の列上に付着した細胞20を収容する。細胞培養テキスタイル22は、媒体18の流れの一般的な方向に平行に配向される。接着細胞20は、生物製剤26を産生し、それは、媒体18によって接線流カートリッジ30の外へ輸送される。
【0043】
[0059] 複数のカートリッジが採用される場合、直列タイプおよび/または並列タイプ細胞回路が、2つの回路タイプのいくつかの組み合わせを含むバリエーションを含め、利用されることができる。
【0044】
[0060]
図3を参照すると、細胞培養カートリッジ12は、第1生物製剤収集カートリッジ14および第2生物製剤収集カートリッジ15と直列に上流に配置されている。細胞培養カートリッジ12は、第1インターロックコネクタ16によって第1生物製剤収集カートリッジ14に流体接続され、第1生物製剤収集カートリッジ14は、第2インターロックコネクタ17によって第2生物製剤収集カートリッジ15に流体接続されて媒体18の流れは、細胞培養カートリッジ12中へ入り、第1インターロックコネクタ16を通り、第1生物製剤収集カートリッジ14中へ入り、第2インターロックコネクタ17を通り、そして第2生物製剤収集カートリッジ15中へ入ることを可能にする。第1生物製剤収集カートリッジ14および第2生物製剤収集カートリッジ15は、同じ生物製剤または異なる生物製剤を収集することができる。
【0045】
[0061]
図4を参照すると、第1細胞培養カートリッジ12、第2細胞培養カートリッジ12および第3細胞培養カートリッジ12が、生物製剤収集カートリッジ14の上流に並列に配置されている。細胞培養カートリッジ12は、3つの第1インターロックコネクタ16によって組み合わせジョイント40に流体接続される。組み合わせジョイント40は、媒体18の流れを組み合わせ、第2インターロックコネクタ17によって生物製剤収集カートリッジ14に流体接続される。培地18の流れは、細胞培養カートリッジ12中へ入り、第1インターロックコネクタ16を通り、組み合わせジョイント40中へ入り、第2インターロックコネクタ17を通り、そして生物製剤収集カートリッジ14中へと進む。細胞培養カートリッジ12は、全て同じであることができ、または異なることもできる。
【0046】
[0062] 他の態様において、カートリッジは、大きさに基づいて分離するように選択および配置されることができる。
図5を参照すると、第1カートリッジ50は、異なる大きさの細胞集塊52を収容する。細胞集塊52は、下流の第1フィルター54が第1カートリッジ50中に細胞集塊52を保持した状態で、最初に媒体18の流れで洗浄されることができる。次いで、第1カートリッジ50は、媒体18が流れる際に集塊の直径に基づいて細胞集塊52を収集および分離するためにそれぞれ前の上流分離カートリッジと比較して減少したテキスタイル孔径を有するテキスタイルフィルター70、72、74、76をそれぞれ有する一連の分離カートリッジ60、62、64、66に逆流配向で接続される。
【0047】
[0063]
図6を参照すると、カートリッジ30は、微粒子80が予め装填されている。カートリッジ30は、微粒子80上に付着した細胞20も収容する。接着細胞20は、生物製剤26を産生し、それは、媒体18の流れによってカートリッジ30を出て輸送される。
【0048】
[0064] 統合されたモジュール式カートリッジシステムを適所に配置すると、小規模カートリッジ構成は硬質プラスチック格納容器または軟質プラスチック袋のどちらであることもできるカートリッジのより大規模なバージョンへと直接規模を変更されることができるため、学術的および臨床的発見を広範な展開のための商業生産に変換することがはるかに容易になる。
【0049】
[0065] ある態様において、カートリッジは、典型的には自動化を容易にするためにプラスチックの硬い外殻を有するが、代わりに軟質プラスチック格納容器が使用されることもできる。外殻のための例示的な材料は、ポリカーボネート類(PC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレンコポリマー類(ABS)、ポリウレタン類(PU)、高密度もしくは低密度ポリエチレン(LDPE、HDPE)、ポリ塩化ビニル(PVC)、PVDF、ポリスルホン類(PSU)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ウレタン熱可塑性エラストマー類(TPU)、PET、ポリアミド類またはそれらのブレンドを含み得るが、それらに限定されない。ある態様において、カートリッジは、ステンレス鋼のような金属で、またはセラミックで構成された硬質の殻で構築されることができる。他の態様において、カートリッジは、可塑化PVC、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリエチレンコポリマー類(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、それらのブレンドまたは積層体であることができるが、それらに限定されないポリマーで構成される軟質の殻を有する。
【0050】
[0066] モジュール式カートリッジバイオリアクターシステムは、既存の潅流システムおよび制御装置ユニットとインターフェース接続されるように構築されることができる。カートリッジユニットは、クランプ機序により接続されることができ、既存の従来のシステムで使用される管類およびコネクタの大きさと適合することができる。
【0051】
[0067] ある態様において、カートリッジおよび細胞回路は、モジュール式生物学的隔離システム内に収容される。加えて、カートリッジは、1/16インチ(1.6mm)、1/8インチ(3.2mm)、1/4インチ(6.4mm)もしくはより大きい大きさを含むがそれらに限定されない所定の大きさを有するルアーコネクタと適合性であるインターロック領域を含むことができ、かつ/またはそれは、迅速解放機序を収容するカートリッジ間のインターロックを利用する。ある態様において、カートリッジの入口および出口は、ルアーロックシステムと適合性であり、弁が、例えば流れをそらす、逆止弁で逆流を防止する、またはセンサー測定を行う等のユーザーニーズのために、カートリッジ間のインターロック領域中に配置されることができる。カートリッジ間のコネクタ領域は、カートリッジの交換の間の細胞回路の連続的な作動を可能にするためにバイパス流路およびフローリダイレクト(flow redirects)を収容することができる。
【0052】
[0068] カートリッジは、細胞回路中に配置され、媒体は、システムを通して潅流される。ある態様において、潅流は、栄養素および産生された生物製剤の循環のためのポンプによって、カートリッジが垂直に配置されることで重力によって、導電性ポリマーによって提供されるような生体電流によって、引っ張り負圧によって、またはそれらの組み合わせによって提供される。
【0053】
[0069] 中央制御装置は、pH、代謝産物レベル、産物の量の測定または老廃物のクリアランスを含むがそれらに限定されない媒体特性を調整することができる。細胞回路は、媒体が再循環される閉じたループシステムまたは媒体が再循環されず代わりに下流のコレクター中に直接供給される開いたループシステムのどちらかで作動させられることができる。細胞回路間の操作は、手動で、または自動化されたロボットシステムによって実施されることができる。
【0054】
[0070] カートリッジバイオリアクターシステムは、モジュール式システム中の他のカートリッジに接続されている潅流可能な多孔性テキスタイルメッシュ上でより少ない数の細胞を利用することによって、生産プロセス変化の迅速で小規模な試験を可能にし、処理パラメータの試験および産生された生物製剤の収集に関する高度な柔軟性を使用者に提供する。小規模システムは、試験のために使用されることができ、次いで同じ潅流動力学および生物製剤収集の方法を収容するより大規模なシステムに直接変換されることができる。
【0055】
[0071] 従って、例示的な態様は、例えば37℃のインキュベータに適合し、ラボオンチップ設計のような微小流体システムに基づく現在の技術よりも大きいバイオリアクターシステムにより容易に変換可能であるモジュール式ミニバイオリアクターシステムを有効に提供する。例示的な態様のモジュール式の性質は、カスタマイズ可能な細胞回路を使用者に提供することによって、プロセス変更に関するカスタマイズ可能性を低減されたコストで大きく向上させる。カートリッジのモジュール式の性質のために、複数のバイオプロセシングパラダイムが、例えば細胞回路内の潅流バイオリアクター、固定床バイオリアクター、懸濁キャリヤーバイオリアクター、接着細胞、懸濁細胞およびローラーボトルのような同じ基本的なカートリッジ設計を使用して試験されることができる。
【0056】
[0072] 従来のシステムとは異なり、例示的な態様に従うカートリッジ構成のモジュール式の性質は、例えば成長、生物製剤収集、細胞捕捉または除去のような機能または実験に基づくカートリッジを用いて例えば上流の細胞をトリプシン処理しそれらを下流のカートリッジで収集するような下流の処理を調整することを可能にする。従って、例示的な態様は、システムモジュールの適応性を促進することによって、モジュール式ビルディングブロックセットを介した細胞培養および生物製剤生産を可能にし、エンドユーザーが異なるカートリッジをカスタム構成で合わせることを可能にする。このタイプの機能性は、例えば学術的またはベンチトップレベルにおけるような実験法に特に有用である。
【0057】
[0073] 例示的な態様のカートリッジベースのシステムは、大規模な細胞および生物製剤生産と関係する自動化されたシステムと高度に適合性であり、それは、カートリッジが学術的生産からスタートアップから大規模生産にまで及ぶ広い範囲のシナリオで使用されることを可能にする。
【0058】
[0074] カートリッジの利点の中には、個々のカートリッジ構築およびそれらの内部のテキスタイルおよび/または微粒子の特定の配置が様々な機能のために設計され得ることがある。個々のカートリッジによって実施され得る機能の適切な広いカテゴリーは、上流処理、下流処理、細胞拡張、例えばディスク、マイクロキャリヤーもしくは繊維のような細胞キャリヤーの収容、生物製剤収集、細胞収集、療法的送達、代謝産物感知、核酸収集、デバイス試験、センサー細胞、細胞凍結保存、細胞療法、療法的試験、生物製剤選択または生物製剤精製を含み得るが、それらに限定されない。
【0059】
[0075] ある例示的な態様において、これらの機能および他の機能は、カートリッジの構成によって達成される。多孔性テキスタイルは、接着性であることも非接着性であることもできる。例えば、ある態様において、高い表面積を有する大きな孔のテキスタイルが、カートリッジにおける接着細胞の培養のために使用され、一方で非接着性の小さな孔のテキスタイルが、カートリッジ内に細胞または細胞凝集体の懸濁液を収容するために使用される。抗体は、下流カートリッジ内のテキスタイルおよび/または微粒子の表面に繋がれて培地が通過する際に正または負の選択を提供し得る。例えば、これらの抗体は、特定の細胞型を捕捉することができ、または産生された生物製剤を捕獲することができる。
【0060】
[0076] カートリッジは、様々な方法で細胞回収のために操作されることができる。ある態様において、細胞を収容するカートリッジは、細胞カートリッジによる産生された生物製剤の捕捉を回避するために、増殖が増大するにつれて回路から外して物理的に交換されて新しい細胞カートリッジにより置き換えられる。カートリッジは、細胞凝集体を脱落させるためにカートリッジの長軸に沿って回転させられることができる。ある態様において、細胞を収容するカートリッジは、逆の流れの下で細胞を取り外すために一次細胞回路から取り外されて逆の構成(入口および出口のスイッチ配向)で二次細胞回路に配置される。ある態様において、超音波処理が、カートリッジ内の足場から接着細胞を剥がすためにトリプシン処理と合わせて使用される。他の態様において、下流カートリッジは、生物製剤を分離および精製するためのクロマトグラフィーカラムとして設計される。
【0061】
[0077] ある態様において、カートリッジは、ローラーシステム上に配置され、様々な規模で伝統的なローラーボトル培養を模倣するために媒体で部分的に満たされる。例えば、迅速に沈降するのに十分な密度のマイクロスフィアを収容するカートリッジが、タンブルベースの培養システムのためにローラーシステム上に置かれるか、または培地に近い密度のマイクロスフィアを収容するカートリッジが、懸濁培養システムのためにローラーシステム上に配置される。
【0062】
[0078] 例示的な態様において、モジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムは、収容された細胞のインビボ条件を模擬する特徴を提供するように設計される。適切な模擬する特徴は、細胞外マトリックス材料、バイオシグナル伝達分子、細胞接着促進剤、足場、拍動流、電気刺激、電磁放射、振動またはそれらの組み合わせを含み得るが、それらに限定されない。
【0063】
[0079] 足場の内容、センサーデータ、細胞のタイプおよび源、保管条件、輸送条件、製品使用期限、製造日またはセンサーデータを含むことができるがそれらに限定されないカートリッジ製品データは、電子的に、例えばデータベース中またはブロックチェーン上に保管されることができ、カートリッジが細胞回路から取り外される時点でカートリッジに添付されるQRコード(登録商標)に埋め込まれることもできる。
【0064】
[0080] 例示的な態様は、細胞療法を提供するためのバイオリアクターを提供し、それは、細胞選択、細胞活性化、細胞トランスフェクションおよび/または細胞形質導入、細胞培養ならびに学術的な研究室のベンチスケール設定から大規模な自動化された商業生産にまで及ぶ生物製剤生産を含み得る。ある態様において、カートリッジベースのシステムは、細胞が規模にわたって同じ条件に曝されるように、直接規模を変更することができる。例えば、小さなベンチトップシステムは、プロセス変化を試験するために20mLのカートリッジ容量を有し得る。一度変化が確認されると、プロセスは、アスペクト比または媒体潅流動力学を含むがそれらに限定されない同じバイオリアクター特徴を維持しながら、より大きな容量、例えば2L以上を有するより大規模なカートリッジに直接移され得る。例示的な態様に従うカートリッジバイオリアクターシステムの柔軟性は、例えばスタートアップのような小規模な運用として新しい革新を駆動するために使用されることができ、または学術研究機関は、次いで小規模運用もしくはより効率的なポイントオブケアもしくはカスタム患者ソリューションもしくはカスタマイズ可能性から利点を実現するあらゆる様々な他の適用のためにそれらの技術を獲得する会社によってより高い生産規模で直接適用され得るプロセスを開発することができる。
【0065】
[0081] 例示的な態様は、例えばキメラ抗原受容体(CAR)T細胞の生成および収集のような免疫療法のための1種類以上の生物製剤を提供する。そのような態様において、カートリッジは、例えば選択、活性化、トランスフェクションまたは形質導入のようなCAR-T細胞の生成および収集の異なる工程を実施する。ある態様において、これらの機能は、官能化されたポリマー性微粒子、ポリマー性ナノ粒子および/またはテキスタイル構造によって実施または提供される。キャッチアンドリリースカートリッジは、生成されたCAR-T細胞の大きさおよび収集に基づいて、官能化されたポリマー性マイクロビーズの移動および分離を提供することができる。ある態様において、ポリマー性微粒子は、PGSベースである。ある態様において、テキスタイル構造は、PGSでコーティングされている。
【0066】
[0082] 例示的な態様は、ポリマー性ビーズの多官能化に基づく細胞模倣物を提供する。そのような態様において、カートリッジは、マイクロビーズの大きさおよび/または表面官能性に基づいて、ポリマー性微粒子の化学修飾および分離の異なる工程を実施する。ある態様において、ポリマー性微粒子は、PGSベースである。
【0067】
[0083] 本発明は、バイオリアクターのような生物学的システムに関して主に記載されてきたが、本発明の原理は、例えば水濾過システム、微粒子ふるい分け、化学反応器または冶金を含む他の適用における使用のために適用され得ることは、理解されるであろう。
【実施例】
【0068】
[0084] 本発明は、以下の実施例の文脈においてさらに記載され、それは、限定ではなく例証として示されている。
[0085] 細胞分離を、212μm~300μmの抗分化抗原群4(抗CD4)PGSUマイクロスフィアを用いて、JurkatおよびCHO細胞の混合物で実証した。Jurkat細胞は、それらの細胞膜にCD4タンパク質を有し、一方でCHO細胞は有していない。従って、Jurkat細胞は、表面に取り付けられたCD4抗体を有するPGSUマイクロスフィアに選択的に結合する。
【0069】
[0086] ほぼ等しい割合のJurkatおよびCHO細胞を一緒に混合し、抗CD4 PGSUマイクロスフィアへの暴露の前後に分析した。Jurkat細胞を、37℃で30分間、蛍光生細胞染色として典型的に使用される色素カルセインAMの1μM溶液中で標識した。一度染色したら、Jurkat細胞をハンクス緩衝生理食塩水溶液(HBSS)で2回、洗浄1回あたり5分間洗浄した。蛍光標識したJurkat細胞を、約100万細胞/mLの濃度に希釈した。CHO細胞を、蛍光染色工程なしでそれぞれHBSSで5分間2回洗浄し、次いで約100万細胞/mLの濃度に希釈した。等量の標識されたJurkat細胞を、非標識CHO細胞と混合して1mLあたり各タイプの細胞約500,000個の最終混合濃度を得た。
図7Aは、細胞混合物のさらなる処理前の全ての事象のフローサイトメトリーデータを示す。
図7Bは、細胞混合物のさらなる処理の前の細胞のみのフローサイトメトリーデータを示す。Jurkat細胞は、上の囲みにあり、CHO細胞は、下の囲みにある。
【0070】
[0087] Jurkat細胞選択を実施するため、500μLのJurkat/CHO細胞混合物を約100μLの抗CD4 PGSUマイクロスフィアに添加した。細胞およびマイクロスフィアを穏やかなピペッティングで短時間混合し、次いで細胞をマイクロスフィアに5分間結合させ、5分間のインキュベーションの間1分ごとに時々穏やかに振盪した。5分間のインキュベーション後、マイクロスフィアを約45秒間沈降させ、その時点で細胞を含有する上清を収集し、フローサイトメーターで分析して相対的細胞集団を決定した。フローサイトメーターのデータは、抗CD4 PGSUマイクロスフィアへの暴露後のCHO細胞に対するJurkat細胞の相対集団の減少を示し、これは、それらが細胞混合物から優先的に選択されたことを示している。
図7Cは、マイクロスフィアへの暴露後の上清に関する全ての事象のフローサイトメトリーデータを示す。
図7Dは、マイクロスフィアへの暴露後の上清に関する細胞のフローサイトメトリーデータを示す。Jurkat細胞は、上の囲みにあり、CHO細胞は、下の囲みにある。表1は、抗CD4 PGSUマイクロスフィアへのJurkat細胞の優先的結合に基づくマイクロスフィアでの分離後のJurkat細胞の相対的減少を示す。
【0071】
【0072】
[0088] 本発明は、1以上の例示的な態様を参照して記載されてきたが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更がなされることができ、その要素の代わりに均等物が使用されることができることは、当業者には理解されるであろう。加えて、多くの修正が、本発明の教示に対してその本質的な範囲から逸脱することなく特定の状況または材料を適合させるためになされることができる。従って、本発明は本発明を実施するために企図される最良の方式として開示される特定の態様に限定されるのではなく、本発明は添付された特許請求の範囲内に入る全ての態様を含むであろうことが、意図されている。加えて、詳細な記載において同定される全ての数値は、あたかも正確な値および近似値が両方とも明確に同定されるかのように解釈されるものとする。
【符号の説明】
【0073】
10 2カートリッジシステム
12 上流カートリッジ
14 下流カートリッジ
15 第2生物製剤収集カートリッジ
16 インターロックコネクタ
17 第2インターロックコネクタ
18 媒体
20 細胞
22 細胞培養テキスタイル
24 生物製剤収集テキスタイル
26 生物製剤
30 接線流カートリッジ
40 組み合わせジョイント
52 細胞集塊
50 第1カートリッジ
52 細胞集塊
54 第1フィルター
60 分離カートリッジ
62 分離カートリッジ
64 分離カートリッジ
66 分離カートリッジ
70 テキスタイルフィルター
72 テキスタイルフィルター
74 テキスタイルフィルター
76 テキスタイルフィルター
80 微粒子
【手続補正書】
【提出日】2022-08-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式フロースルーカートリッジ
バイオプロセシングシステムであって:
複数のモジュール式フロースルーカートリッジ、ここで、各モジュール式フロースルーカートリッジは:
生物学的媒体の通過流のための第1ポートおよび第2ポートを有するカートリッジハウジングと;
該カートリッジが該生物学的媒体の通過流の際に少なくとも1つの所定の
バイオプロセシング機能を実施することを可能にする該カートリッジハウジング中に予め装填された所定の内容物と
を含む;ならびに
該複数のモジュール式フロースルーカートリッジを該第1ポートおよび該第2ポートによって流体接続する少なくとも1つのインターロックコネクター;
を含むモジュール式フロースルーカートリッジ
バイオプロセシングシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のモジュール式フロースルーカートリッジ
バイオプロセシングシステムであって、該所定の内容物が、多孔性テキスタイルの列を含むモジュール式フロースルーカートリッジ
バイオプロセシングシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のモジュール式フロースルーカートリッジ
バイオプロセシングシステムであって、該多孔性テキスタイルの列が、該第1ポートおよび該第2ポートの位置に基づく該生物学的媒体の流れに対して垂直に配向されるモジュール式フロースルーカートリッジ
バイオプロセシングシステム。
【請求項4】
請求項2に記載のモジュール式フロースルーカートリッジ
バイオプロセシングシステムであって、該多孔性テキスタイルの列が、該第1ポートおよび該第2ポートの位置に基づいて該生物学的媒体の流れに対して平行に配向されるモジュール式フロースルーカートリッジ
バイオプロセシングシステム。
【請求項5】
請求項2に記載のモジュール式フロースルーカートリッジ
バイオプロセシングシステムであって、該多孔性テキスタイルが、生物学的細胞に関して接着性であるモジュール式フロースルーカートリッジ
バイオプロセシングシステム。
【請求項6】
請求項2に記載のモジュール式フロースルーカートリッジ
バイオプロセシングシステムであって、該多孔性テキスタイルが、抗体で修飾されているモジュール式フロースルーカートリッジ
バイオプロセシングシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のモジュール式フロースルーカートリッジ
バイオプロセシングシステムであって、該所定の内容物が、多孔性フィルターを含むモジュール式フロースルーカートリッジ
バイオプロセシングシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のモジュール式フロースルーカートリッジ
バイオプロセシングシステムであって、該所定の内容物が、ポリマー性微粒子またはナノ粒子を含むモジュール式フロースルーカートリッジ
バイオプロセシングシステム。
【請求項9】
モジュール式フロースルーカートリッジであって、以下:
生物学的媒体の通過流のための第1ポートおよび第2ポートを有するカートリッジハウジングと;
該カートリッジハウジング中に予め装填された多孔性テキスタイルの列と
を含み、該第1ポートおよび該第2ポートが、第2モジュール式フロースルーカートリッジの第1ポートおよび第2ポートに流体的に連結するようにモジュール式に構成されているモジュール式フロースルーカートリッジ。
【請求項10】
請求項9に記載のモジュール式フロースルーカートリッジであって、該多孔性テキスタイルの列が、該第1ポートおよび該第2ポートの位置に基づいて該生物学的媒体の流れに対して垂直に配向されるモジュール式フロースルーカートリッジ。
【請求項11】
請求項9に記載のモジュール式フロースルーカートリッジであって、該多孔性テキスタイルの列が、該第1ポートおよび該第2ポートの位置に基づく該生物学的媒体の流れに対して平行に配向されるモジュール式フロースルーカートリッジ。
【請求項12】
請求項8に記載のモジュール式フロースルーカートリッジであって、該多孔性テキスタイルが、生物学的細胞に関して接着性であるモジュール式フロースルーカートリッジ。
【請求項13】
請求項9に記載のモジュール式フロースルーカートリッジであって、該多孔性テキスタイルが、生物製剤を捕獲するための抗体で修飾されているモジュール式フロースルーカートリッジ。
【請求項14】
請求項9に記載のモジュール式フロースルーカートリッジであって、さらに該第1ポートにおいて多孔性フィルターを含むモジュール式フロースルーカートリッジ。
【請求項15】
請求項9に記載のモジュール式フロースルーカートリッ
ジであって、さらに該カートリッジハウジング中に予め装填された多孔性フィルターを含むモジュール式フロースルーカートリッ
ジ。
【請求項16】
モジュール式フロースルーカートリッジ
バイオプロセシングシステムを構築するプロセスであって、該プロセスが:
複数のモジュール式フロースルーカートリッジを選択して組み合わせで
バイオプロセスを実施する工程、ここで、各モジュール式フロースルーカートリッジは、生物学的媒体の通過流のための第1ポートおよび第2ポートを有するカートリッジハウジングならびに該カートリッジが該生物学的媒体の通過流の際
に少なくとも1つの所定の
バイオプロセシング機能を実施することを可能にする該カートリッジハウジング中に予め装填された所定の内容物を含み;ならびに
該複数のモジュール式フロースルーカートリッジを該第1ポートおよび該第2ポートによって流体シーケンスで流体接続して該モジュール式フロースルーカートリッジ
バイオプロセシングシステムを形成する工程;
を含み、該流体シーケンスを通して該生物学的媒体を流すことが該
バイオプロセスを実施するプロセス。
【請求項17】
請求項16に記載のプロセスであって、該少なくとも1つの所定の
バイオプロセシング機能が、上流処理、下流処理、細胞拡張、細胞キャリヤーの収容、生物製剤収集、細胞収集、療法的送達、代謝産物感知、核酸収集、デバイス試験、センサー細胞、細胞凍結保存、細胞療法、療法的試験、生物製剤選択、生物製剤精製およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるプロセス。
【請求項18】
請求項16に記載のプロセスであって、該流体接続が、該複数のモジュール式フロースルーカートリッジを直列に流体接続することを含むプロセス。
【請求項19】
請求項16に記載のプロセスであって、該流体接続が、該複数のモジュール式フロースルーカートリッジの少なくとも2つを並列に流体接続することを含むプロセス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
[0088]本発明は、1以上の例示的な態様を参照して記載されてきたが、本発明の範囲 から逸脱することなく様々な変更がなされることができ、その要素の代わりに均等物が使用されることができることは、当業者には理解されるであろう。加えて、多くの修正が、本発明の教示に対してその本質的な範囲から逸脱することなく特定の状況または材料を適合させるためになされることができる。従って、本発明は本発明を実施するために企図される最良の方式として開示される特定の態様に限定されるのではなく、本発明は添付された特許請求の範囲内に入る全ての態様を含むであろうことが、意図されている。加えて、詳細な記載において同定される全ての数値は、あたかも正確な値および近似値が両方とも明確に同定されるかのように解釈されるものとする。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1] モジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムであって:
複数のモジュール式フロースルーカートリッジ、ここで、各モジュール式フロースルーカートリッジは:
生物学的媒体の通過流のための第1ポートおよび第2ポートを有するカートリッジハウジングと;
該カートリッジが該生物学的媒体の通過流の際に該バイオリアクタープロセスの少なくとも1つの所定の機能を実施することを可能にする該カートリッジハウジング中に予め装填された所定の内容物と
を含む;ならびに
該複数のモジュール式フロースルーカートリッジを該第1ポートおよび該第2ポートによって流体接続する少なくとも1つのインターロックコネクター;
を含むモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム。
[2] [1]に記載のモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムであって、該所定の内容物が、多孔性テキスタイルの列を含むモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム。
[3] [2]に記載のモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムであって、該多孔性テキスタイルの列が、該第1ポートおよび該第2ポートの位置に基づく該生物学的媒体の流れに対して垂直に配向されるモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム。
[4] [2]に記載のモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムであって、該多孔性テキスタイルの列が、該第1ポートおよび該第2ポートの位置に基づいて該生物学的媒体の流れに対して平行に配向されるモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム。
[5] [2]に記載のモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムであって、該多孔性テキスタイルが、生物学的細胞に関して接着性であるモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム。
[6] [2]に記載のモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムであって、該多孔性テキスタイルが、抗体で修飾されているモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム。
[7] [1]に記載のモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムであって、該所定の内容物が、多孔性フィルターを含むモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム。
[8] [1]に記載のモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムであって、該所定の内容物が、ポリマー性微粒子またはナノ粒子を含むモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム。
[9] モジュール式フロースルーカートリッジであって、以下:
生物学的媒体の通過流のための第1ポートおよび第2ポートを有するカートリッジハウジングと;
該カートリッジハウジング中に予め装填された多孔性テキスタイルの列と
を含み、該第1ポートおよび該第2ポートが、第2モジュール式フロースルーカートリッジの第1ポートおよび第2ポートに流体的に連結するようにモジュール式に構成されているモジュール式フロースルーカートリッジ。
[10] [9]に記載のモジュール式フロースルーカートリッジであって、該多孔性テキスタイルの列が、該第1ポートおよび該第2ポートの位置に基づいて該生物学的媒体の流れに対して垂直に配向されるモジュール式フロースルーカートリッジ。
[11] [9]に記載のモジュール式フロースルーカートリッジであって、該多孔性テキスタイルの列が、該第1ポートおよび該第2ポートの位置に基づく該生物学的媒体の流れに対して平行に配向されるモジュール式フロースルーカートリッジ。
[12] [8]に記載のモジュール式フロースルーカートリッジであって、該多孔性テキスタイルが、生物学的細胞に関して接着性であるモジュール式フロースルーカートリッジ。
[13] [9]に記載のモジュール式フロースルーカートリッジであって、該多孔性テキスタイルが、生物製剤を捕獲するための抗体で修飾されているモジュール式フロースルーカートリッジ。
[14] [9]に記載のモジュール式フロースルーカートリッジであって、さらに該第1ポートにおいて多孔性フィルターを含むモジュール式フロースルーカートリッジ。
[15] [9]に記載のモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムであって、さらに該カートリッジハウジング中に予め装填された多孔性フィルターを含むモジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステム。
[16] モジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムを構築するプロセスであって、該プロセスが:
複数のモジュール式フロースルーカートリッジを選択して組み合わせでバイオリアクタープロセスを実施する工程、ここで、各モジュール式フロースルーカートリッジは、生物学的媒体の通過流のための第1ポートおよび第2ポートを有するカートリッジハウジングならびに該カートリッジが該生物学的媒体の通過流の際に該バイオリアクタープロセスの少なくとも1つの所定の機能を実施することを可能にする該カートリッジハウジング中に予め装填された所定の内容物を含み;ならびに
該複数のモジュール式フロースルーカートリッジを該第1ポートおよび該第2ポートによって流体シーケンスで流体接続して該モジュール式フロースルーカートリッジバイオリアクターシステムを形成する工程;
を含み、該流体シーケンスを通して該生物学的媒体を流すことが該バイオリアクタープロセスを実施するプロセス。
[17] [16]に記載のプロセスであって、該少なくとも1つの所定の機能が、上流処理、下流処理、細胞拡張、細胞キャリヤーの収容、生物製剤収集、細胞収集、療法的送達、代謝産物感知、核酸収集、デバイス試験、センサー細胞、細胞凍結保存、細胞療法、療法的試験、生物製剤選択、生物製剤精製およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるプロセス。
[18] [16]に記載のプロセスであって、該流体接続が、該複数のモジュール式フロースルーカートリッジを直列に流体接続することを含むプロセス。
[19] [16]に記載のプロセスであって、該流体接続が、該複数のモジュール式フロースルーカートリッジの少なくとも2つを並列に流体接続することを含むプロセス。
【国際調査報告】