(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(54)【発明の名称】制御装置を用いて削岩ユニットのドリルビットを交換する方法、削岩ユニット用制御装置、削岩ユニット及び削岩リグ
(51)【国際特許分類】
E21B 19/16 20060101AFI20230222BHJP
【FI】
E21B19/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538153
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(85)【翻訳文提出日】2022-08-22
(86)【国際出願番号】 SE2020051120
(87)【国際公開番号】W WO2021126038
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398056193
【氏名又は名称】エピロック ロック ドリルス アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100194113
【氏名又は名称】八木田 智
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン,アンデシュ
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129BA05
2D129BA09
2D129DA21
2D129EC31
2D129GA02
(57)【要約】
本発明は、削岩ユニット(8)において、第一ネジ接続部(40)によって少なくとも一つのドリルロッド(7)に連結されるように構成されたドリルビット(3)を交換するために制御装置(100)によって実行される方法に関し、前記削岩ユニット(8)は、少なくとも一つのドリルロッド(7)及びドリルビット(3)を軸線方向に供給するための第一送り出し装置(42)と、少なくとも一つのドリルロッド(7)及びドリルビット(3)の回転運動を生成するように構成された回転装置(44)と、少なくとも一つのドリルロッド(7)及びドリルビット(3)に衝撃パルスを与える衝撃装置(46)と、少なくとも一つのドリルロッド(7)のドリルビット(3)を交換するためのドリルビット交換装置(1)とを備え、該方法が、ドリルビット(3)の交換に関する情報を受信するステップ(s101)と、ドリルビット(3)と少なくとも一つのドリルロッド(7)との間の第一ネジ接続部(40)を緩めるために、形成されたドリルボア(50)の底部(48)に対してドリルビット(3)を打ち込むよう衝撃装置(46)を制御するステップ(s102)と、少なくとも一つのドリルロッド(7)及びドリルビット(3)をドリルボア(50)から引き出すよう第一送り出し装置(42)を制御するステップ(s103)と、少なくとも一つのドリルロッド(7)からドリルビット(3)を取り外すよう回転装置(44)を制御するステップ(s104)と、ドリルビット(3)を交換するようドリルビット交換装置(1)を制御するステップ(s105)と、第一ネジ接続部(40)によって少なくとも一つのドリルロッド(7)をドリルビット(3)に取り付けるよう回転装置(44)を制御するステップ(s106)とを有する。本発明は、また、制御装置(100)、削岩ユニット(8)及び削岩リグ(5)にも関する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
削岩ユニット(8)において、第一ネジ接続部(40)によって少なくとも一つのドリルロッド(7)に連結されるように構成されたドリルビット(3)を交換するために制御装置(100)によって実行される方法であって、
前記削岩ユニット(8)が、
少なくとも一つのドリルロッド(7)及びドリルビット(3)を軸線方向に供給するための第一送り出し装置(42)と、
少なくとも一つのドリルロッド(7)及びドリルビット(3)の回転運動を生成するように構成された回転装置(44)と、
少なくとも一つのドリルロッド(7)及びドリルビット(3)に衝撃パルスを与える衝撃装置(46)と、
少なくとも一つのドリルロッド(7)のドリルビット(3)を交換するためのドリルビット交換装置(1)と
を備え、
該方法が、
ドリルビット(3)の交換に関する情報を受信するステップ(s101)と、
ドリルビット(3)と少なくとも一つのドリルロッド(7)との間の第一ネジ接続部(40)を緩めるために、形成されたドリルボア(50)の底部(48)に対してドリルビット(3)を打ち込むよう衝撃装置(46)を制御するステップ(s102)と、
少なくとも一つのドリルロッド(7)及びドリルビット(3)をドリルボア(50)から引き出すよう第一送り出し装置(42)を制御するステップ(s103)と、
少なくとも一つのドリルロッド(7)からドリルビット(3)を取り外すよう回転装置(44)を制御するステップ(s104)と、
ドリルビット(3)を交換するようドリルビット交換装置(1)を制御するステップ(s105)と、
第一ネジ接続部(40)によって少なくとも一つのドリルロッド(7)をドリルビット(3)に取り付けるよう回転装置(44)を制御するステップ(s106)と
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
ドリルビット(3)を交換するようドリルビット交換装置(1)を制御するステップ(s105)の後であって、第一ネジ接続部(40)によって少なくとも一つのドリルロッド(7)をドリルビット(3)に取り付けるよう回転装置(44)を制御するステップ(s106)前に、
該方法が、さらに、
支持装置(9)がドリルビット(3)に接する位置まで前記支持装置を移動させるよう、削岩ユニット(8)の第二送り出し装置(52)を制御するステップ(s107)を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも一つのドリルロッド(7)及びドリルビット(3)をドリルボア(50)から引き出すよう第一送り出し装置(42)を制御するステップ(s103)の後であって、少なくとも一つのドリルロッド(7)からドリルビット(3)を取り外すよう回転装置(44)を制御するステップ(s104)する前に、
該方法が、さらに、
回転装置(44)に接続された、少なくとも一つのドリルロッド(7)を把持するためのロッドハンドリングシステム(56)の把持要素(54)を制御するステップ(s108)と、
少なくとも一つのドリルロッド(7)と回転装置(44)との間の第二ネジ接続部(58)を締め付けるよう回転装置(44)を制御するステップ(s109)と
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ドリルビット(3)の変更に関する情報を受信するステップ(s101)が、ドリルビット(3)の掘削状態に基づいている
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
ドリルビット(3)を交換するようドリルビット交換装置(1)を制御するステップ(s105)が、
把持アーム(21)によってドリルビット(3)をドリル中心軸線(15)からドリルビット収容装置(13)に移動させ、その後、ドリルビット収容装置(13)から新しいドリルビット(3)を取り出してドリル中心軸線(15)に移動させるステップを含む
ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
コンピュータプログラム(P)であって、該コンピュータプログラムがコンピュータ(100;500)によって実行されると、コンピュータ(100;500)に請求項1~5の何れか一項に記載の方法を実行させる命令を有する
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項7】
コンピュータ可読媒体であって、コンピュータ(100;500)によって実行された時に、コンピュータ(100;500)に請求項1~5の何れか一項に記載の方法を実行させる命令を含む
ことを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【請求項8】
削岩ユニット(8)の制御装置(100)であって、
前記削岩ユニット(8)が、
第一ネジ接続部(40)によって少なくとも一つのドリルロッド(7)に接続されるように構成されたドリルビット(3)と、
少なくとも一つのドリルロッド(7)及びドリルビット(3)を軸線方向に供給するための第一送り出し装置(42)と、
少なくとも一つのドリルロッド(7)及びドリルビット(3)の回転運動を生成するように構成された回転装置(44)と、
少なくとも一つのドリルロッド(7)及びドリルビット(3)に衝撃パルスを与える衝撃装置(46)と、
少なくとも一つのドリルロッド(7)のドリルビット(3)を交換するためのドリルビット交換装置(1)と
を備え、
該制御装置(100)が、
ドリルビット(3)の交換に関する情報を受信し、
ドリルビット(3)と少なくとも一つのドリルロッド(7)との間の第一ネジ接続部(40)を緩めるために、形成されたドリルボア(50)の底部(48)に対してドリルビット(3)を打ち込むよう衝撃装置(46)を制御し、
少なくとも一つのドリルロッド(7)及びドリルビット(3)をドリルボア(50)から引き出すよう第一送り出し装置(42)を制御し、
少なくとも一つのドリルロッド(7)からドリルビット(3)を取り外すよう回転装置(44)を制御し、
ドリルビット(3)を交換するようドリルビット交換装置(1)を制御し、かつ、
第一ネジ接続部(40)によって少なくとも一つのドリルロッド(7)をドリルビット(3)に取り付けるよう回転装置(44)を制御する
ように構成されていることを特徴とする制御装置。
【請求項9】
制御装置(100)が、支持装置(9)がドリルビット(3)に接する位置まで支持装置(9)を移動させるよう削岩ユニット(8)の第二送り出し装置(52)を制御するように構成されている
ことを特徴とする請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
制御装置(100)が、
回転装置(44)に接続された、少なくとも一つのドリルロッド(7)を把持するようにロッドハンドリングシステムの把持要素を制御し、かつ、
少なくとも一つのドリルロッド(7)と回転装置(44)との間の第二ネジ式接続部(58)を締め付けるよう回転装置(44)を制御する
よう構成されている
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の制御装置。
【請求項11】
ドリルビット(3)の変更に関する受信した情報が、ドリルビット(3)の掘削状態に基づいている
ことを特徴とする請求項8~10の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
ドリルビット(3)を交換するドリルビット交換装置が、把持アーム(21)によってドリルビット(3)をドリル中心軸線(15)からドリルビット収容装置(13)に移動し、その後ドリルビット収容装置(13)から新しいドリルビット(3)を取り出してドリル中心軸線(15)に移動するよう制御される
ことを特徴とする請求項8~11の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項13】
削岩ユニット(8)であって、
第一ネジ接続部(40)により少なくとも一つのドリルロッド(7)に接続されるように構成されたドリルビット(3)と、
少なくとも一つのドリルロッド(7)及びドリルビット(3)を軸線方向に供給する第一送り出し装置(42)と、
少なくとも一つのドリルロッド(7)及びドリルビット(3)の回転運動を発生させるように構成された回転装置(44)と、
少なくとも一つのドリルロッド(7)及びドリルビット(3)に衝撃パルスを与えるための衝撃装置(46)と、
少なくとも一つのドリルロッド(7)のドリルビット(3)を交換するためのドリルビット交換装置(1)と
を備え、
該削岩ユニット(8)が、請求項8~12の何れか一項に記載の制御装置(100)を少なくとも一つ備えている
ことを特徴とする削岩ユニット。
【請求項14】
ドリルビット交換装置(1)が、
ドリルビット(3)用のドリルビット収容装置(13)、及び
ドリルビット収容装置(13)とドリル中心軸線(15)の間でドリルビット(3)を移動するための把持アーム(21)
を備えていることを特徴とする請求項13に記載の削岩ユニット(8)。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の削岩ユニット(8)を備えた削岩リグ(5)。
【請求項16】
削岩リグ(5)が、垂直掘削又は垂直線に対して約0°~約95°の範囲内の角度方向の掘削をするよう構成されている
ことを特徴とする請求項15に記載の削岩リグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置を用いて削岩ユニットのドリルビットを交換する方法、削岩ユニットの制御装置、削岩ユニット及び削岩リグに関する。本発明は、さらに、コンピュータプログラム及びコンピュータ読取可能媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
岩石タイプの材料を掘削する場合、概して、特別な種類の削岩リグが使用される。削岩リグには様々な種類があるが、垂直方向又は垂直に近い方向で実行される作業には、DTH(ダウンザホール)削岩リグ及びトップハンマ削岩リグの二つが一般的に使用される。削岩は、硬い材料で行われるので、このような作業には特殊なドリルビットが使用される。このようなドリルビットは重いことが多く、また、使用時に油で汚れてしまうことがあり、さらに、使用後に、材料の鋭い破片及び/又は削りくずが付き、それらが、このようなドリルビットを操作する作業者を気付付ける可能性がある。しかし、ドリルビットは、交換及び/又は再研磨という形でメンテナンスをする必要があるため、このようなドリルビットは、時々、削岩リグに脱着する必要がある。
【0003】
DTH削岩リグは、一般的に、ドリルビットを削岩リグに取り付けるためのスプライン連結部を備える一方で、トップハンマ削岩リグは、一般的に、ネジ式連結部を代わりに使用する。ドリルビット交換システムは公知であり、前記システムは、削岩リグ用に全自動又は半自動交換プロセスを提供し得る。また、ドリルビット交換システムは、DTH削岩リグと、トップハンマ削岩リグとでは、設計が異なる。
【発明の概要】
【0004】
上述した特性及びドリルビットの取り扱いを取り巻く状況のために、そのような取り外し及び取り付け作業は、重く、不便であり、時には人身事故の原因となる。したがって、そのようなドリルビットを交換し、取り扱うための改良された方法が必要とされている。また、自動的又は少なくとも半自動的に削岩ユニットに対してドリルビットの交換作業を行うように構成された改良型制御装置を開発する必要性が存在する。また、そのような制御装置を備えた削岩ユニット、そのような削岩ユニットを備えた削岩リグ、その方法を実行するためのコンピュータプログラム及びコンピュータ可読媒体を開発する必要性もある。また、自律的に制御され得る削岩ユニット及び削岩リグを開発する必要もある。
【0005】
従って、本発明の目的は、ドリルビットを交換し、取り扱うための改良された方法を提供することにある。更なる目的は、削岩ユニットに対して、ドリルビットの交換作業を自動的又は少なくとも半自動的に行うように構成された改良された制御装置を開発することにある。追加の目的はそれぞれ、そのような制御装置を備えた削岩ユニット、そのような削岩ユニットを備えた削岩リグ、その方法を実行するためのコンピュータプログラム及びコンピュータ可読媒体を開発することにある。さらに、自律的に制御され得る削岩ユニット及び削岩リグを開発することを目的とする。
【0006】
これらの目的は、添付の特許請求の範囲に従った、削岩ユニットにおいてドリルビットを変更するための制御装置によって実行される方法、削岩ユニットの制御装置、削岩ユニット、削岩リグ、コンピュータプログラム及びコンピュータ可読媒体によって達成される。本発明の一態様によれば、削岩ユニットにおいてドリルビットを交換するために制御装置によって実行される方法が提供される。ドリルビットは、第一ネジ接続部によって少なくとも一つのドリルロッドに接続されるように構成されている。
前記削岩ユニットは、
少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットを軸線方向に供給するための第一送り出し装置と、
少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットの回転運動を生成するように構成された回転装置と、
少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットに衝撃パルスを与える衝撃装置と、
少なくとも一つのドリルロッドのドリルビットを交換するためのドリルビット交換装置と
を備えており、
前記方法は、
ドリルビットの交換に関する情報を受信するステップと、
ドリルビットと少なくとも一つのドリルロッドとの間の第一ネジ接続部を緩めるために、形成されたドリルボアの底部に対してドリルビットを打ち込むよう衝撃装置を制御するステップと、
少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットをドリルボアから引き出すよう第一送り出し装置を制御するステップと、
少なくとも一つのドリルロッドからドリルビットを取り外すよう回転装置を制御するステップと、
ドリルビットを交換するようドリルビット交換装置を制御するステップと、
第一ネジ接続部によって少なくとも一つのドリルロッドをドリルビットに取り付けるよう回転装置を制御するステップと
を有する。
【0007】
これは、制御装置からの指示によって、ドリルビット交換装置を用いてドリルビットを交換するために、第一送り出し装置、回転装置、及び衝撃装置を制御し得るという利点を有する。制御装置からの指示は、センサから受信した情報及び経験データから受信した情報に基づき得る。制御装置は、削岩リグ及び削岩リグに接続されたドリルビットの動作データに基づいて、ドリルビットの交換を開始するように構成され得る。従って、動作データに基づいてそのような作業の必要性が検出されると、掘削作業の間に自動的にドリルビットの交換作業が開始され得る。動作データは、掘削に費やした時間、前回のメンテナンス以降の掘削に費やした時間、交換が必要になるまでの予想残り時間、掘削したメーター、前回のメンテナンス以降の掘削したメーター、又はその他のデータの何れか一つ又は組み合わせからなるデータであり得る。従って、制御装置は、現在のドリルビットの状態が、今後の掘削作業において掘削できる状態ではないと判断した場合、ドリルビットの交換作業を開始し得る。その結果、互いに連続する複数の掘削作業が、安全、迅速かつ効率的に行われ得る。従って、ドリルビットを交換し、取り扱うための改良された方法を提供する目的が達成される。
【0008】
本発明の一態様によれば、コンピュータプログラムは、該プログラムがコンピュータによって実行されると、コンピュータに前記方法を実行させる命令を含む。また、コンピュータ可読媒体は、コンピュータによって実行されると、コンピュータに前記方法を実行させる命令を含む。これは、該方法が予めプログラムされたソフトウェアで構成され、該方法を利用するのに適した削岩ユニットに実装され得るという利点を有する。
【0009】
本発明の一態様によれば、削岩ユニットの制御装置が提供される。
前記削岩ユニットは、
第一ネジ接続部によって少なくとも一つのドリルロッドに接続されるように構成されたドリルビットと、
少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットを軸線方向に供給するための第一送り出し装置と、
少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットの回転運動を生成するように構成された回転装置と、
少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットに衝撃パルスを与える衝撃装置と、
少なくとも一つのドリルロッドのドリルビットを交換するためのドリルビット交換装置と
を備えており、
前記制御装置は、
ドリルビットの交換に関する情報を受信し、
ドリルビットと少なくとも一つのドリルロッドとの間の第一ネジ接続部を緩めるために、形成されたドリルボアの底部に対してドリルビットを打ち込むよう衝撃装置を制御し、
少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットをドリルボアから引き出すよう第一送り出し装置を制御し、
少なくとも一つのドリルロッドからドリルビットを取り外すよう回転装置を制御し、
ドリルビットを交換するようドリルビット交換装置を制御し、かつ、
第一ネジ接続部によって少なくとも一つのドリルロッドをドリルビットに取り付けるよう回転装置を制御する
よう構成されている。
【0010】
これにより、削岩ユニットに対するドリルビットの交換作業を自動的に行うことができるという利点がある。第一送り出し装置、回転装置、衝撃装置及びドリルビット交換装置は、制御装置によって制御され、安全な方法でドリルビットを自動的に交換することができる。重く、鋭利で、及び/又は持ち運びに不便なドリルビットは、制御装置からの指示によって完全に処理され得る。ドリルビットの交換作業は、制御装置によって行われ、センサから受信した情報及び経験データから受信した情報に基づき得る。制御装置は、削岩リグ及び削岩リグに接続されたドリルビットの動作データに基づいて、ドリルビットの交換を開始するように構成され得る。従って、ドリルビットの交換作業は、動作データに基づいてそのような作業の必要性が検出されると、掘削作業の間に自動的に開始され得る。
【0011】
本発明の一態様によれば、本明細書に開示されている制御装置を少なくとも一つ備えた削岩ユニットが提供される。削岩ユニットは、第一送り出し装置、回転装置、衝撃装置及びドリルビット交換装置を備え、これらが制御装置によって制御され、ドリルビットを自動的に交換するように構成される。これは、自動的に実行されるドリルビットの交換作業を実現するために、削岩ユニットを削岩リグに配置することができるという利点を有する。
【0012】
本発明の一態様によれば、本明細書に開示された削岩ユニットを備えた削岩リグが提供される。典型的な削岩に対する要求に応じて、様々なタイプの掘削リグが使用され得る。一態様によれば、削岩リグは、垂直掘削又は垂直線に対して約0°~約95°の範囲の角度方向への掘削を行うように構成され得る。このような削岩リグは、削岩リグにドリルビットを取り付けるためにネジ接続部を利用するトップハンマ削岩リグであり得る。
【0013】
本発明の更なる目的、利点及び新規な特徴は、以下の詳細な説明から当業者に明らかになり、また、本発明を実施することによっても明らかになるであろう。本発明の実施形態を以下に説明するが、記載した特定の構成に限定されるものではないことに留意されたい。本明細書の教示にアクセスできる専門家は、本発明の範囲内である他の分野での更なる応用、改良及び組み込みを認識するであろう。
本発明並びにそのさらなる目的及び利点をより完全に理解するために、以下に記載される詳細な説明は、添付の図面と共に読まれるべきである。図面では、同じ参照表記が様々な図において同様の構成要件を示すために使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】一実施例による削岩ユニットの概略側面図である。
【
図3】一実施例によるドリルビット交換装置の斜視図である。
【
図4】一実施例によるドリルビット交換装置の把持アームの概略斜視図である。
【
図5】一実施例による方法のフローチャートである。
【
図6】一実施例による方法のフローチャートである。
【
図7】一実施例による制御装置、即ち、コンピュータを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図示実施例を参照する詳細な説明は、上記で詳細に説明した特定の特徴の組み合わせから成る実施例とみなされる。従って、本明細書に記載されていない実施例に他の特徴を組み合わせることによって、追加の実施例が達成され得ることは理解される。図面は、実施例として捉えられるものであり、相互に排他的な組み合わせではない。また、全ての図面は概略的に描かれているものであり、簡単化のために機械類の汎用部品や同様の部品は示されていないことに留意されたい。
【0016】
本発明の一態様によれば、制御装置を用いて、削岩ユニットにおいてドリルビットを交換する方法が提供される。ドリルビットは、第一ネジ接続部によって少なくとも一本のドリルロッドに接続されるように構成されている。
削岩ユニットは、
・少なくとも一本のドリルロッド及びドリルビットを軸線方向に送り出す第一送り出し装置と、
・少なくとも一本のドリルロッド及びドリルビットの回転運動を発生させるように構成された回転装置と、
・少なくとも一本のドリルロッド及びドリルビットに衝撃パルスを提供する衝撃装置と、
少なくとも一本のドリルロッドのドリルビットを交換するためのドリルビット交換装置と
を有し、
該方法は、
・ドリルビットの交換に関する情報を受信し、
・ドリルビットと少なくとも一つのドリルロッドとの間の第一ねじ接続部を緩めるために、形成されたドリル孔の底面に対してドリルビットを打ち付けるように衝撃装置を制御し、
・少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットをドリル孔から外に動かすように第一送り出し装置を制御し、
・少なくとも一つのドリルロッドからドリルビットを取り外すよう回転装置を制御し、
・ドリルビットを交換するようにドリルビット交換装置を制御し、かつ、
・第一ネジ接続部によって、少なくとも一つのドリルロッドをドリルビットに取り付けるよう回転装置を制御する。
【0017】
制御装置は、削岩ユニット上に配置してもよく、削岩ユニットに対して距離を置いて配置してもよい。制御装置は、削岩ユニット上又は削岩ユニットに接続された構成要素に設けられたセンサに接続され得る。このようなセンサは、削岩ユニット又は削岩ユニットに接続された構成要素の作動又は特性を検出し得る。制御装置は、経験データが保存され得るメモリを有し得る。
【0018】
ドリルビットは、硬質材料における削岩用に適合される。ドリルビットは、実行すべき穿孔作業に適合した形状に設計され、提供され得る。このようなドリルビットは、しばしば重く、また、使用後に材料の鋭い破片及び/又は削りくずが付く場合がある。ドリルビットには、ねじ部が設けられ、このねじ部は、第一ネジ接続部を形成するドリルロッド上の対応するねじ部に接続されるように適合されている。
【0019】
削岩ユニットは、細長いフレーム又はビームを有し得、前記ビーム上に、第一送り出し装置、回転装置、及び衝撃装置が配置されている。削岩ユニットは、ブームを用いて車両に配置され、かつ、接続され得、それにより、削岩ユニットが、車両及び穿孔すべき岩に対して様々な位置に配置され得る。削岩ユニット、ブーム、及び車両は、共に削岩リグを形成する。掘削ユニットは、完全に垂直であるか、又はある程度垂直から逸脱した垂直掘削をするよう構成され得る。従って、削岩ユニットは、本発明の範囲から逸脱することなく、垂直線に対して約0°~約95°の範囲の角度方向で、傾けて掘削することができる場合がある。このように、削岩リグにおいて、垂直線に対して約0°~約95°の範囲で垂直掘削又は角度を付けた掘削をするよう構成された削岩ユニットは、トップハンマ型削岩リグとして構成され得る。
【0020】
また、削岩ユニットには、ドリルビットの自動交換を補助するドリルビット交換装置が設けられ得る。ドリルビット交換装置は、ドリルビット収容装置を有し得、前記ドリルビット収容装置は、削岩ユニットのドリル中心軸線に隣接して平行に配置され、複数のドリルビットを収容し、その中に設けられた収容位置と交換位置との間でドリルビットを移動するように構成されている。ドリルビット収納装置は、円筒ドラム形状を有し得、ドリルビット収納装置内の内部位置間の移動は、このような円筒ドラム形状の収容装置の回転によって、又はその内部部材の回転によって行われ得る。ドリルビット収容装置が、本明細書の開示の範囲から逸脱することなく、他の設計を有し得ることは勿論である。
【0021】
また、削岩ユニットには、ドリルロッド用の把持要素を備えたロッドハンドリングシステムが設けられ得る。ロッドハンドリングシステムは、ドリルロッドのマガジンを備えている。ドリルロッドは、ドリルロッドでボアストリングを組み立てるためのボーリング作業中に、把持要素によってマガジンから取り出され、岩の中をより深く掘削することを可能にする。ドリルビットを交換する際には、ドリルロッドは互いから分解され、順次、把持要素によってマガジンに戻される。
【0022】
第一送り出し装置は、掘削作業中及びドリルビットの交換中の両方において、ドリルロッド及びドリルビットを軸方向に送り出すように構成されている。第一送り出し装置は、油圧又は空気圧アクチュエータを用いて、ドリル中心軸線方向に、かつ、削岩ユニットに対して軸線方向に駆動され得る。
【0023】
ドリルロッド及びドリルビットの回転運動を生成するように構成された回転装置は、第一油圧又は空気圧式装置によって駆動され得る。少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットに衝撃パルスを与えるための衝撃装置は、第二油圧又は空気圧式装置によって駆動され得る。衝撃パルスは、ドリル中心軸線の方向でドリルロッドに与えられ、衝撃パルスは、ドリルロッドからドリルビットに伝達される。
【0024】
ドリルビットの変更に関する情報を受け取るステップを経て、制御装置は、動作データが格納されているメモリから情報を受信し得る。代替的に又は組み合わせて、制御装置は、動作データを提供する、装置から情報を受信してもよい。動作データは、掘削に費やした時間、前回のメンテナンス以降に掘削に費やした時間、交換が必要となるまでの予想残り時間、掘削したメートル、前回のメンテナンス以降に掘削したメートル、又はその他のデータの何れか一つ又は組み合わせからなるデータであり得る。
【0025】
ドリルビットと少なくとも一つのドリルロッドとの間の第一ネジ接続を緩めるために、形成されたドリルボアの底部に対してドリルビットを打ち込む衝撃装置を制御するステップを経て、制御装置は、衝撃装置と通信し、衝撃装置を制御するための信号を送信する。ドリルビットを打ち込む時間、頻度、及び打ち込む力は、岩石の種類及び使用されるドリルビットの種類に応じて制御され得る。
【0026】
少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットをドリルボアから引き出すための第一送り出し装置を制御するステップを経て、制御装置は、第一送り出し装置と通信し、第一送り出し装置を制御するための信号を送信する。第一送り装置の送り速度及び送り距離は、岩石中のドリルボアの深さに応じて制御され得る。
【0027】
少なくとも一つのドリルロッドからドリルビットを取り外すために回転装置を制御するステップを経て、制御装置は、回転装置と通信し、回転装置を制御するための信号を送信する。回転装置の回転速度及びトルクは、第一ネジ接続部の状態に応じて制御され得る。
【0028】
ドリルビットを交換するためにドリルビット交換装置を制御するステップを経て、制御装置は、ドリルビット交換装置と通信し、ドリルビット交換装置を制御するための信号を送信する。従って、制御装置は、ドリルビット交換装置に設けられたドリルビット収容装置及び把持アームを制御し得る。
【0029】
第一ネジ接続によって少なくとも一つのドリルロッドをドリルビットに取り付けるために回転装置を制御するステップを経て、制御装置は、回転装置と通信し、回転装置を制御するための信号を送信する。回転装置の回転速度及びトルクは、ドリルロッド、ドリルビットの種類及び/又はドリルロッドとドリルビットとの間の第一ネジ接続の種類に応じて制御され得る。
【0030】
削岩ユニットにおけるドリルビットの自動的又は少なくとも半自動的な交換のための、高速で効率的な方法が提供される。この方法は、潜在的に有害なドリルビット及びその潜在的な追加連結部材を、手作業を必要とせずに取り扱うことができ、その結果、前記方法が実行される場合、掘削現場における安全性及び人的安全性の向上を提供することができる。実現されるべきこととして、本明細書に開示した方法は、本開示によるドリルビット交換装置の様々なオプション機能と相まって、さらなる利点を提供し得る。一態様によれば、ドリルビットを交換するためにドリルビット交換装置を制御した後で、かつ、第一ネジ接続によって少なくとも一つのドリルロッドをドリルビットに取り付けるために回転装置を制御する前に、該方法は、支持装置がドリルビットに接する位置に支持装置を移動するために削岩ユニットの第二送り出し装置を制御するステップを更に備える。
【0031】
このステップにおいて、制御装置は、第二送り出し装置と通信し、第二送り出し装置を制御するための信号を送信する。第二送り出し装置の供給速度及び供給距離は、ドリルビットの種類に応じて制御され得る。第二送り出し装置は、油圧又は空気圧式アクチュエータによって、ドリルの中心軸線方向に、かつ、削岩ユニットに対して軸線方向に駆動され得る。支持装置は、ドリルビット又はドリルロッドを支持及び/又は保持/把持するために配置された削岩ユニットの下部支持装置であり得る。従って、ドリルビットは支持装置によって支持され得、その結果、ドリルビットは支持装置に載るか、又は、支持装置と接する。代わりに、支持装置は、支持装置がドリルビットを把持し得る位置に移動され得る。ドリルビットが支持装置によって支持され得る場合、支持装置は、把持手段によって保持されたときにドリルビットを下から支持するように、ドリルビットの下に配置されることが好ましい。支持装置がドリルビットを下から支持する位置に、支持装置を移動させると、異なる設計を有する広範囲のドリルビットを削岩ユニット内で交換することができるという利点がある。ドリルビットの種類及び設計は、削岩リグの種類に非常に依存し得るので、把持手段は、追加の下部支持なしではドリルビットを保持できない場合があり、従って、支持装置によって提供される場合がある。従って、把持手段と支持装置のこのような同期した動きによって、ドリルビットの交換は、その使用率を高め、様々な種類の削岩ユニットに使用することができる。ドリルユニットの支持装置は、ドリル中心軸線の周りに円周方向に配置され、ドリル中心軸線に沿った別々の位置にある、二つの油圧制御式把持装置から構成され得る。把持装置を互いに近い位置に移動させることで、ドリルビットの下に支持体が提供される。支持装置は、制御装置に接続され得る。
【0032】
一態様によれば、少なくとも一つのドリルロッドとドリルビットをドリルボアから引き出すために第一送り出し装置を制御した後で、かつ、少なくとも一つのドリルロッドからドリルビットを取り外すために回転装置を制御する前に、該方法は、回転装置に接続されている少なくとも一つのドリルロッドを把持するためのロッドハンドリングシステムのグリップ要素を制御するステップと、少なくとも一つのドリルロッドと回転装置の間の第二ネジ接続部を締めるために回転装置を制御するステップとを、さらに、有する。
【0033】
このステップにおいて、制御装置は、ロッドハンドリングシステムの把持要素及び回転装置と通信し、従って、ロッドハンドリングシステムの把持要素及び回転装置を制御するための信号を送信する。ドリルビットと少なくとも一つのドリルロッドとの間の第一ネジ接続を緩めるために、形成されたドリルボアの底に対してドリルビットを打ち込むステップの間、ドリルロッドと回転装置との間の第二ネジ接続も緩められ得る。ロッドハンドリングシステムのマガジンから及びマガジンへドリルロッドを移動する把持要素は、少なくとも一つのドリルロッドと回転装置との間の第二ネジ接続を締めるために、回転装置に接続されたドリルロッドをしっかりと把持するように制御され得る。その後、回転装置は、第二ネジ接続を締め付けるように制御され得る。
【0034】
一態様によれば、ドリルビットの変更に関する情報を受信することは、ドリルビットの穿孔状態に基づいている。
【0035】
このステップを経て、制御装置は、センサ又は類似の検出器要素から情報を受信し得る。例えば、センサ又は類似の検出器要素は、ドリルビットの状態を決定するために、回転装置からのトルクの差又は特性及び/又は衝撃装置からの特性を検出し得る。
【0036】
一態様によれば、ドリルビットを交換するためにドリルビット交換装置を制御するステップは、把持アームによってドリルビットをドリル中心軸線からドリルビット収容装置に移動させ、その後、ドリルビット収容装置から新しいドリルビットを取り出してドリル中心軸線に移動させることを含む。
【0037】
ドリルビット収容装置は、ドリルビットを保持するための多数の収容位置を有し得る。各収容位置で一つのドリルビットを保持し得、保持されるドリルビットは、すぐに使用できるドリルビットであっても、以前のドリル作業で使用されたドリルビットであってもよい。交換位置は、ドリルビットが取り出され又は配置され得る収容装置内の単一の位置であり得、収容装置の内部運動は、交換位置において特定のドリルビットを保持するための所望のスロットを配置するために使用され得る。ドリルビット交換装置は、ドリルビットを選択的に把持するように構成された把持手段を備えた把持アームをさらに有し得、前記把持アームは、交換位置と削岩ユニットのドリル中心軸線との間で、把持手段を移動させるように配置される。把持アーム及び把持手段は油圧で制御され得、油圧制御において、両者の移動及び把持は、高い精度で発揮され得、前記機能に大きな力を加え得る。さらに、把持アームは、ドリルビット収容装置内の単一の位置に移動すればよいので、把持アームの移動は、把持アーム及びその設計の複雑さを低減する回動動作によって実行され得る。また、本発明は、コンピュータプログラムに関し、該コンピュータプログラムは、プログラムをコンピュータで実行する時にコンピュータに上述した方法を実行させる命令を含む。本発明はさらに、コンピュータ読取可能媒体に関し、該媒体は、コンピュータで実行する時に、コンピュータに上述した方法を実行させる命令を含む。該方法は、予めプログラムされたソフトウェアで構成され得、該ソフトウェアは、該方法を利用するのに適した削岩ユニットに実装され得る。前記予めプログラムされたソフトウェアは、制御装置に記憶され得る。代替的に、又は組み合わせて、前記ソフトウェアは、制御装置から離れた場所にあるメモリ又はコンピュータに記憶され得る。
【0038】
さらにまた、本発明は、削岩ユニットの制御装置に関し、前記削岩ユニットは、
第一ネジ接続によって少なくとも一つのドリルロッドに接続されるように構成されるドリルビットと、
少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットを軸線方向に送り出す第一送り出し装置と、
少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットの回転運動を生成するように構成された回転装置と、
少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットに対して衝撃パルスを与えるための衝撃装置と、
少なくとも一つのドリルロッドのドリルビットを交換するためのドリル交換装置と
を備え、
該制御装置は、
ドリルビットの交換に関する情報を受信し、
ドリルビットと少なくとも一つのドリルロッドとの間の第一ネジ接続を緩めるために、形成されたドリルボアの底部に対してドリルビットを打ち込むように衝撃装置を制御し、
少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットをドリルボアから引き出すように第一送り出し装置を制御し、
少なくとも一つのドリルロッドからドリルビットを取り外すように回転装置を制御し、
ドリルビットを交換するようにドリルビット交換装置を制御し、かつ、
第一ネジ接続により少なくとも一つのドリルロッドをドリルビットに取付けるように回転装置を制御する
よう構成されている。
【0039】
これは、削岩ユニットに対するドリルビットの交換作業を自動的に行うことができるという利点を有する。第一送り出し装置、回転装置、衝撃装置及びドリルビット交換装置は、安全な方法でドリルビットを自動的に交換するように制御装置によって制御される。重く、鋭く、及び/又は持ち運びに不便なドリルビットは、制御装置からの指示によって完全に処理され得る。ドリルビット交換操作は、制御装置によって実行され、かつ、それは、センサから受信した情報及び経験データから受信した情報に基づき得る。制御装置は、削岩リグ及び削岩リグに接続されたドリルビットの動作データに基づいて、ドリルビットの交換を開始するように構成され得る。従って、ドリルビットの交換動作は、自動的に開始され得る。
【0040】
制御装置によって実行される本発明に係る方法の態様について説明したすべての実施例は、本発明に係る削岩ユニット、掘岩リグ、及び制御装置の態様にも適用され得る。即ち、制御装置は、上述した様々な実施例による方法のステップのうちの何れか一つを実行するように構成され得る。従って、以下の態様によれば、制御装置は、上述した対応する実施例に従って、ステップを実行するように構成され得る。
【0041】
従って、一態様によれば、制御装置は、支持装置を、それがドリルビットに接する位置まで移動させるように削岩ユニットの第二送り出し装置を制御するように構成され得る。別の態様によれば、制御装置は、回転装置に接続された少なくとも一つのドリルロッドを把持するようにロッドハンドリングシステムの把持要素を制御するよう構成され得、また、少なくとも一つのドリルロッドと回転装置との間の第二ネジ接続を締め付けるよう回転装置を制御するよう構成され得る。さらに別の態様によれば、ドリルビットの交換に関する受信情報は、ドリルビットの穿孔状態に基づくものである。さらに別の態様によれば、ドリルビットを交換するためのドリルビット交換装置は、把持アームを用いてドリルビットをドリル中心軸線からドリルビット収容装置に移動させ、その後、ドリルビット収容装置から新しいドリルビットを取り出してドリル中心軸線に移動させるよう制御される。
【0042】
制御装置は、別個の実体として実装されてもよいし、2つ以上の物理的な実体に分散されてもよい。制御装置は、一つ又は複数のコンピュータで構成され得る。従って、制御装置は、プロセッサ及びメモリを備えた制御装置によって実装又は実現され得、前記メモリは、プロセッサによって実行されると制御装置に本明細書に開示した方法を実行させる命令を含む。
【0043】
さらに、本発明は、削岩ユニットに関し、
該削岩ユニットは、
第一ネジ接続によって少なくとも一つのドリルロッドに接続されるように構成されるドリルビットと、
少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットを軸線方向に送り出す第一送り出し装置と、
少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットの回転運動を生成するように構成される回転装置と、
少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットに衝撃パルスを与えるための衝撃装置と、
少なくとも一つのドリルロッドにおけるドリルビットを交換するためのドリルビット交換装置と
を備え、
該削岩ユニットは、本明細書に開示したような少なくとも一つの制御装置を備えている。
【0044】
削岩ユニットは、第一送り出し装置、回転装置及び衝撃装置が配置される細長いフレーム又はビームを有し得る。削岩ユニットは、ブームによって車両に配置され、かつ、車両に接続され得、それにより、削岩ユニットを車両及び掘削すべき岩石に対して様々な位置に配置することができるようにされている。削岩ユニット、ブーム及び車両は、共に削岩リグを形成する。掘削ユニットは、垂直掘削のために構成され得、それは、完全に垂直であるか、又はある程度垂直から外れている。従って、掘削ユニットは、本明細書の範囲から逸脱することなく、垂直線に対して約0°~約95°の範囲の角度方向で、傾けて掘削することができる場合がある。このように垂直方向に掘削するか、又は、垂直線に対して約0°~約95°の範囲の角度方向で掘削するように構成された削岩ユニットは、削岩リグにおいて、トップハンマ削岩リグとして構成され得る。
【0045】
制御装置は、削岩ユニット上に配置してもよいし、又は、削岩ユニットに対して距離を置いて配置してもよい。制御装置は、削岩ユニット上又は削岩ユニットに接続された構成要素に配置されたセンサに接続され得る。このようなセンサは、削岩ユニット又は削岩ユニットに接続された構成要素の動作又は特性を検出し得る。制御装置は、経験データが記憶され得るメモリを有し得る。
【0046】
掘削ユニットには、ドリルビットの自動交換を補助するドリルビット交換装置が設けられ得る。ドリルビット交換装置は、削岩ユニットのドリル中心軸線に隣接して平行に配置され、複数のドリルビットを保持し、ドリルビットをそこに構成される収容位置と交換位置との間で移動させるように配置されたドリルビット収容装置を有し得る。ドリルビット収容装置は、円筒ドラム形状を有し得、ドリルビット収容装置内の内部位置間の移動は、このような円筒ドラム形状の収容装置の回転によって、又はその内部部品の回転によって実行され得る。ドリルビット収容装置は、本明細書の開示の範囲から逸脱することなく、他の設計を有していてもよいことは勿論である。
【0047】
また、削岩ユニットには、ドリルロッドのための把持要素を備えたロッドハンドリングシステムが設けられ得る。ロッドハンドリングシステムは、ドリルロッドのマガジンを有する。ドリルロッドは、ドリルロッドでボアストリングを組み立てるために穿孔作業中に、把持要素によってマガジンから取り出され、従って、岩石をより深く掘削することを可能にする。ドリルビットを交換する際には、ドリルロッドは互いに分解され、順次、把持要素によってマガジンに戻される。
【0048】
第一送り出し装置は、削岩作業中及びドリルビットの交換時の両方において、ドリルロッド及びドリルビットを軸線方向に送り出すように構成されている。第一送り出し装置は、油圧又は空気圧アクチュエータによって、削岩ユニットに対して、かつ、ドリル中心軸線の軸方向に対して駆動され得る。
【0049】
ドリルロッド及びドリルビットの回転運動を発生させるように構成された回転装置は、第一油圧式又は空気圧式装置によって駆動され得る。少なくとも一つのドリルロッド及びドリルビットに衝撃パルスを与えるための衝撃装置は、第二油圧式又は空気圧式装置によって駆動され得る。衝撃パルスは、ドリル中心軸線の方向でドリルロッドに与えられ、衝撃パルスは、ドリルロッドからドリルビットに伝達される。
【0050】
一態様によれば、ドリルビット交換装置は、ドリルビット用のドリルビット収容装置、及びドリルビット収容装置とドリル中心軸線との間でドリルビットを移動させるための把持アームを備えている。
【0051】
ドリルビット収容装置は、ドリルビット収容装置の幾つかの位置に配置されたドリルビットを監視するように配置された、少なくとも一つのドリルビットセンサを有し得る。従って、制御装置には、現在の穿孔作業だけでなく、後の時点で実行される穿孔作業に関する情報も提供され得る。ドリルビット収容装置が複数のドリルビットを収容することができるので、制御装置は、迅速かつ容易に、装置内に存在するドリルビットの数を監視することができ、削岩作業の計画がより迅速かつ効率的になる。また、オペレータは、制御装置から、装置内に幾つのドリルビットが存在するかという情報を受け取ることができる。
【0052】
制御装置は、さらに、その動作データに基づいてドリルビットの動作状態を決定し、ドリルビット交換が必要なときに信号をユーザインターフェースに提供するように配置されてもよい。従って、制御装置は、複数のドリルビットの連続的な監視を補助し得、システム内の各ドリルビットの使用を最大化するように利用され得る。制御装置は、掘削作業において削岩に使用されている時の当該ドリルビットのさらなる使用に関連する入力動作データに基づいて、ドリルビットの動作状態を推定し得る。動作状態は、制御装置によって決定され、今後のドリルビット交換動作の必要性に先立って、オペレータに提供され得る。
【0053】
ドリルビット収容装置は、保護ハウジングを有し得る。前記ハウジングは、交換位置に配置された少なくとも第一ドアを有し得、前記第一ドアは、実行されるドリルビット交換操作に応じて選択的に開閉されるように配置され得る。これにより、ドリルビット収容装置内に収容されているドリルビットが、掘削現場において一般的である埃、汚れ、油又は破片等から保護されることになる。このような方法で保護されている収容されたドリルビットは、当該ドリルビットの寿命を長くし、掘削作業で使用するためにドリルビットをドリルビット収容装置から引き出すときに良好な形状及び状態であることを保証する。
【0054】
ハウジングの第一ドアは、把持アームに結合され、第一ドアは、把持アームの動きに応じて自動的に開閉するように構成され得る。これにより、第一ドアの動作は、把持アームと連動して完全に自動で行われ得るので、動作が簡素化される。一般に第一ドアは、ドリルビット交換動作が実行されているときにのみ開くべきであるので、前記第一ドアの開閉は、このように信頼性が高く効率的な方法で、動作中の把持アームの動作によって同期され制御され得る。
【0055】
さらに、本発明は、本明細書に開示した削岩ユニットを備える削岩リグに関する。
【0056】
削岩リグは、本明細書に開示されるような削岩ユニットを備えている。さらに、削岩リグは、車両のような掘削プラットフォームを有し得る。削岩ユニットを車両に接続することにより、掘削リグは、掘削作業の間に様々な場所及び様々な位置に容易に移動することができるようになる。削岩ユニットは、ブームによって車両に配置され、かつ、車両に接続され得、それにより、削岩ユニットは、車両及び掘削される岩石に対して様々な位置に配置され得るようになる。
【0057】
一態様によれば、削岩リグは、垂直掘削、又は、垂直線に対して約0°~約95°の範囲の角度方向で掘削するように構成される。
【0058】
削岩リグは、交換可能な複数のドリルロッドを備え、ドリルビットは、端部ドリルロッドの端部セクションに配置され得る。ドリルビットは、ネジ接続によって端部セクションに取り付けられ得る。削岩リグは、垂直掘削用に構成され得る。しかし、削岩リグは、垂直方向の掘削から逸脱した方向で掘削するように構成されてもよい。このような削岩リグは、垂直線に対して約0°~約95°の範囲の角度方向に掘削するように構成され得る。
【0059】
掘削リグは、トップハンマ削岩リグであり得る。これは、本発明によるドリルビットの少なくとも半自動交換のためのドリルビット交換装置を有する、一般的に使用される削岩リグを提供することができるという利点を有する。従って、一般的に使用されるトップハンマ削岩リグに、当該削岩リグのドリルビットを交換するための信頼性が高く安全なシステムが設けられ得る。従って、効率的で信頼性の高い削岩リグが提供され、それに配置されたシステムによって、手動でドリルビットを交換する必要性がないために、安全で便利な作業環境が提供される。
【0060】
次に、本発明を添付の図を参照してさらに説明する。
【0061】
図1は、一実施例による削岩リグ5の斜視図である。削岩リグ5は、細長いフレーム、即ち、ビーム2を有し得る削岩ユニット8を備えている。削岩ユニット8は、ブーム4によって車両6上に配置され、かつ、車両6に接続され得、削岩ユニット8が、車両6に対して及び掘削すべき岩石に対して様々な位置に配置され得るようにされ得る。削岩ユニット8、ブーム4、及び車両6は、一緒に削岩リグ5を形成する。削岩リグ5は、垂直掘削用に構成されており、これは、完全に垂直であるか、又はある程度垂直から逸脱していると認識されることになる。従って、削岩リグ5は、本明細書の開示の範囲から逸脱することなく、垂直線に対して約0°~約95°の範囲で、角度方向に傾けて掘削することが可能であり得る。削岩リグ5は、削岩リグ5の削岩ユニット8内でドリルストリングを形成するように配置された、交換可能な複数のドリルロッド7(
図2参照)を有し得る。各ドリルロッド7は、掘削されるドリルボア50(
図2)がより深くなるにつれて追加のドリルロッド7を接続するオプションを提供するネジ部を有する。そして、ドリルビット3は、端部のドリルロッド7の端部セクションに配置され、前記ドリルビット3は、第一ネジ接続部40によって端部セクションに取り付けられ得る。
【0062】
削岩リグ5は、さらに、下部支持装置のような支持装置9を有し得、前記支持装置9は、削岩ユニット8の下部に配置され、ドリルビット3又はドリルロッド7を支持及び/又は保持/把持するように配置され、メンテナンス及び/又は組立/分解又はそのような部品のために利用され得る。さらに、支持装置9は、ドリルロッド7をガイドし得る。
【0063】
図1に示す削岩リグ5は、さらに、ドリルビット3を自動的に又は少なくとも半自動的に交換するためのドリルビット交換装置1を有し得る。前記ドリルビット交換装置1は、地面レベルに近い位置に配置され、削岩ユニット8のドリル中心軸線15と平行に配置されている。ドリル中心軸線15という用語は、削岩リグ5によって掘削されるドリルボア50(
図2)における中心線として認識され得る。従って、ドリルビット交換装置1は、使用時にドリル中心軸線15の配列に従うように配置される。削岩ユニット8がある角度に傾けられている場合、ドリルビット交換装置1及びその受入部材もまた、ドリル中心軸線15及び削岩ユニット8と共に傾けられ得る。
【0064】
図2は、一実施例による削岩ユニット8の側面図を模式的に示している。ドリルビット3は、第一ネジ接続部40によってドリルロッド7に接続されるように構成されている。第一送り出し装置42を備える削岩ユニット8は、少なくとも一つのドリルロッド7とドリルビット3とを軸線方向に送り出すように構成されている。回転装置44は、少なくとも一つのドリルロッド7及びドリルビット3の回転運動を発生させるように構成されている。衝撃装置46は、少なくとも一つのドリルロッド7及びドリルビット3に衝撃パルスを与えるように構成されている。ドリルビット交換装置1は、ドリルロッド7上のドリルビット3を交換するために、削岩ユニット8上に配置されている。回転装置44及び衝撃装置46は、第一送り出し装置42上に配置されている。回転装置44及び衝撃装置46は、第一送り出し装置42によって変位するように構成されている。第一送り出し装置42は、細長いフレーム又はビーム2上に配置されている。第一送り出し装置42は、掘削作業中及びドリルビット3の交換中の両方において、ドリルロッド7及びドリルビット3を軸線方向に送るように構成されている。第一送り出し装置42は、油圧又は空気圧アクチュエータ10によって、削岩ユニット8に対して、ドリル中心軸線15の方向に軸線方向に駆動され得る。制御装置100は、第一送り出し装置42、回転装置44、衝撃装置46、及びドリルビット交換装置1に接続されている。制御装置100は、削岩ユニット8上又は削岩ユニット8に接続された構成要素に配置されたセンサ11に接続され得る。制御装置100は、動作データが記憶されたメモリ12から情報を受信し得る。
【0065】
制御装置100は、ドリルビット3の交換に関する情報を受信するように構成され、
ドリルビット3と少なくとも一つのドリルロッド7との間の第一ネジ接続40を緩めるために、形成されたドリルボア50の底部48に対してドリルビット3を打ち込むための衝撃装置46を制御し、
ドリルボア50から少なくとも一つのドリルロッド7及びドリルビット3を引き出すように第一送り出し装置42を制御し、
少なくとも一つのドリルロッド7からドリルビット3を取り外すように回転装置44を制御し、
ドリルビット3を交換するようにドリルビット交換装置を制御し、
第一ネジ接続部40によって少なくとも一つのドリルロッド7をドリルビット3に取り付けるように回転装置44を制御する。
【0066】
さらに、制御装置100は、支持装置9を、支持装置9がドリルビット3に当接する位置まで移動させるように第二送り出し装置52を制御するように構成されている。第二送り出し装置52は、油圧又は空気圧アクチュエータによって、ドリル中心軸線15の方向に、削岩ユニット8に対して軸線方向に駆動され得る。制御装置100は、第二送り出し装置52に接続されている。支持装置9は、制御装置100に接続されている。また、制御装置100は、回転装置44に接続されている少なくとも一つのドリルロッド7を把持するためのロッドハンドリングシステム56の把持要素54を制御し、かつ、少なくとも一つのドリルロッド7と回転装置44との間の第二ネジ接続部58を締めるために回転装置44を制御するよう構成されている。ロッドハンドリングシステム56は、ドリルロッド7のマガジン60を有する。制御装置100は、ロッドハンドリングシステム56に接続されている。ドリルビット3を交換するためのドリルビット交換装置1は、把持アーム21によってドリルビット3をドリル中心軸線15からドリルビット収容装置13に移動し、その後、ドリルビット収容装置13から新しいドリルビット3を取り出してドリル中心軸線15に移動することによって制御される。
【0067】
図3は、一実施例によるドリルビット交換装置1の斜視図であり、図面には、ドリルビット交換装置1が配設される削岩ユニット8の一部も示されている。削岩ユニット8は、
図1及び
図2等に示すような削岩ユニット8であり得、削岩ユニット8は、垂直方向の掘削又は垂直線に対して約0°~約95°の範囲の角度方向の掘削を行うように構成され得る。削岩ユニット8は、交換可能な複数のドリルロッド7のマガジン60を有し得る。削岩ユニット8は、下部支持装置9をさらに備え得る。さらに、削岩ユニット8は、ドリルロッド7のネジ接続部16(
図2)を緩めるように構成された、追加の支持要素14を有し得る。削岩ユニット8の追加の支持要素14は、ドリル中心軸線15の周りに円周方向に配置され、ドリル中心軸線15に沿った別々の位置にある、二つの油圧制御式把持装置27を有し得る。
【0068】
ドリルビット収容装置13を備えたドリルビット交換装置1は、削岩ユニット8のドリル中心軸線15に隣接して平行に配置され、複数のドリルビット3を保持し、かつ、収容位置17とその中に構成される交換位置19の間でドリルビット3を移動させるように構成され得る。ドリルビット収容装置13は、円筒ドラム形状を有していてもよく、ドリルビット収容装置13内の内部位置17及び19間の移動は、このような円筒形状収容装置13の回転によって、又はその内部部品の回転によって実行され得る。各収容位置17は、一つのドリルビット3を保持し得、このドリルビット3は、すぐに使用できるドリルビット3であっても、以前の掘削作業で使用されたドリルビット3であってもよい。交換位置19は、そこからドリルビット3が取り出され又は位置決めされ得る収容装置13内の単一の位置であり得、収容装置13の内部動作は、交換位置19に特定のドリルビット3を保持するための所望のスロットを配置するために使用され得る。ドリルビット交換装置1の把持アーム21は、さらに、ドリルビット3を選択的に把持するように構成された把持手段23を有し得る。把持アーム21は、把持手段23を、交換位置19と削岩ユニット8のドリル中心軸線15との間で移動させるように配置されている。
図3に示すように、把持アーム21及び把持手段23は油圧制御され得、それにより両者の移動及び把持が高精度に発揮され、前記機能に大きな力を与え得る。さらに、把持アーム21は、ドリルビット収容装置13内の単一の位置19に移動するだけでよいので、把持アーム21の移動は、把持アーム21とその設計の複雑さを低減する回動動作によって実行され得る。
【0069】
さらに、把持手段23は、把持手段23の動作状態及びドリルビット3に向かって加えられた圧力を監視するように配置されたセンサ11(
図2)を有し得る。このようなセンサ11は、把持手段23の把持動作を制御する油圧シリンダの内圧が、把持手段23が対象物に係合するときに直接的に相関するので、把持手段23の油圧機器内又は油圧機器に容易に配置することができる。従って、センサ11を利用することにより、把持手段23が対象物(ドリルビットなど)に対して、当該対象物の大きさに関わらず常に同じ把持力を与えることを保証するために使用され得る。
【0070】
さらに、把持アーム21は、把持アーム21の動きを監視するように配置されたセンサ11を有し得る。前記センサ11は、把持手段23のためのセンサ11と同様に、把持アーム21を制御するための油圧機器内又は油圧機器に配置されたセンサ11であり得る。本発明の範囲から逸脱することなく、赤外線センサ等の他のタイプのセンサ11を用いてもよいことは勿論である。把持アーム21の動きを監視することによって、このような監視が、任意の時点における把持アーム21の位置、従って、把持手段23の位置に関する位置情報を得るためにも利用され得ることに留意されたい。それによって、把持アーム21の移動及び位置決め、並びにその偏差は、高い精度及び信頼性で監視され得る。例えば、把持アーム21がドリル中心軸線15からドリルビット3を移動させている時に、何らかの理由でドリルビット3がその意図した経路で動けなくなった場合、油圧装置の内圧が予想外の時点で上昇することになり、センサ11がドリルビット交換装置1に予期せぬ事態を警告し得る。
【0071】
ドリルビット交換装置1は、センサ11及び削岩ユニット8からの入力を受信し、削岩ユニット8の把持アーム21、把持手段23、ドリルビット収容装置13、及び追加支持要素14の移動を制御するように配置された制御ユニット100(
図2)に接続されている。制御ユニット100は、ドリルビット交換装置1内に配置されてもよいし、例えば削岩リグ5のオペレータキャビン内などの遠隔地に配置されてもよい。制御ユニット100は、既知の技術に従って、ワイヤによって、又は無線インターフェースによって、センサ11、ドリルビット交換装置1、及び削岩ユニット8に接続され得る。
【0072】
制御ユニット100をドリルビット交換装置1及びその部品だけでなく、削岩ユニット8及びその部品にも接続することによって、制御ユニット100は、削岩ユニット8及びドリルビット交換装置1を相互作用及び協働させることができ、これによりドリルビット交換装置1によって実行される操作をより効率的にすることができる。さらに、制御ユニット100が、削岩ユニット8の追加支持要素14のような機械類を管理して制御することができるので、ドリルビット交換装置1自体にはそれほど複雑な機械類は必要なく、ドリルビット交換装置1の製造コストを低下させることができる。
【0073】
さらに、ドリルビット収容装置13は、ドリルビット収容装置13の位置17、19に位置するドリルビット3を監視するように配置された、少なくとも一つのドリルビットセンサ11を有し得る。このような少なくとも一つのセンサ11は、光学センサ又は圧力センサ又は同様のセンサであり得、ドリルビット3が一つの特定の位置17、19に位置しているか否かを監視し、また、複数のセンサ11を設ける場合には、ドリルビット3が複数の位置17、19に位置するか否かを監視する。また、このようなセンサ11は、収容装置13内の位置決めを監視するためだけでなく、収容装置13内に位置決めされたドリルビット3を分析し評価するために配置される、より複雑なセンサ装置であってもよい。前記センサ装置は、ドリルビット3の表面を走査し、それを十分に機能するドリルビット3の所定の表面と比較してもよく、その場合、制御ユニット100は、削岩ユニット8のオペレータに、収容装置13内に位置決めされたドリルビット3の状態に関する情報を提供し得る。それによって、不具合のあるドリルビット3が発見され、削岩ユニット8の動作可能時間をより長くするために交換され得る。
【0074】
制御装置100は、削岩ユニット8及び削岩ユニット8に接続されたドリルビット3の動作データに基づいて、ドリルビット3の自動的又は少なくとも半自動的な交換を開始するように構成され得る。かかる動作データは、掘削に費やした時間、前回のメンテナンス以降に掘削に費やした時間、交換が必要となるまでの予想残り時間、掘削したメーター、前回のメンテナンス以降に掘削したメーター、又はその他の何れか一つ又はその組み合わせからなるデータであり得る。このような動作データは、削岩ユニット8、ドリルビット交換装置1に配置された各ドリルビット3、又はその両方に関するものであり得る。このような動作データを考慮することによって、また、利用可能な掘削計画を採ることによって、制御ユニット100は、現在のドリルビット3が次に掘削されるボア50全体に対して動作可能ではないと判断した場合、ドリルボア50(
図2)の掘削中に自動的にドリルビット交換操作を開始し得る。それにより、複数のボア50を含む掘削計画において、掘削すべきボア50の間でドリルビット3の検査が不要となるため、多くの無駄な時間を削減することができる。
【0075】
制御ユニット100は、さらに、ドリルビット3の動作データに基づいてドリルビット3の動作状態を決定し、ドリルビット交換が必要な場合に信号をインターフェースに提供するように構成され得る。特定のドリルビット3について、以前に掘削に費やした時間やどのような種類の材料で掘削したか等、特定の動作データが予め分かっており、かつ、当該ドリルビット3がボアの掘削に使用する場合、制御ユニットは、次に、当該ドリルビット3の動作条件を提供及び更新するように、当該動作データを監視及び更新し得る。例えばドリルビット3がある種の材料で一定の時間掘削できると推定される場合、制御ユニット100は、当該ドリルビット3の動作時間を追加し、その使用状況を経時的に監視し得る。その後、そのような動作データは、メモリに収容され、ドリルビット交換装置1内の特定のドリルビット3ごとに追跡され得、その場合、ドリルビット収容装置13のその収容位置17に位置決めされたドリルビット3は、それらの個々の動作状態に関して監視され得る。このような情報は、その後、利用可能な全てのドリルビット3の動作条件を表示するように、ユーザインターフェースなどに送信され得、その場合、削岩リグ5のオペレータは、将来の掘削作業をより良く計画するために前記情報を使用し得る。また、制御ユニット100は、提供された掘削計画と組み合わせて掘削作業を計画してもよく、当該ドリルビット3の動作状態が適切であるとみなされるボアを掘削する時に、適切なドリルビット3が交換位置19に移動される。制御ユニット100がこのような方法で掘削作業を計画し、ドリルビット交換作業を自動的に開始することを可能にすることによって、多くの時間が節約され、ドリルビット3がそれらの組み合わせられた最大能力まで使用され得る。
【0076】
図4は、一実施例によるドリルビット交換装置1の把持アームの斜視図を模式的に示している。ドリルビット交換装置1の把持アーム21は、ドリルビット3を選択的に把持するように構成された把持手段23を有する。把持アーム21は、
図4において、削岩ユニット8のドリル中心軸線15に移動され、支持装置9の上方にある。前記支持装置9は、ドリルビット3又はドリルロッド7を支持及び/又は保持/把持するように配置された削岩ユニット8の下部支持装置であり得る。従って、ドリルビット3は、ドリルビット3が支持装置9上に載るように、又は支持装置9に接するように、支持装置9によって支持され得る。代わりに、支持装置9は、支持装置9がドリルビット3を把持することができる位置に移動される。ドリルビット3が支持装置9によって支持され得る場合、支持装置9は、把持手段23によって保持されたときにドリルビット3を下から支持するように、ドリルビット3の下方に配置されることが好ましい。支持装置9がドリルビット3を下から支持するように支持装置9を移動させることには、様々な設計を有する広範囲のドリルビット3を削岩ユニット8内で交換することができるという利点がある。ドリルビット3の種類や設計は、削岩リグ5の種類に依存し得るので、支持装置9なしでは把持手段23がドリルビット3を保持できない場合があり、そのため、支持装置9が設けられ得る。このような把持手段23と支持装置9の動きによって、ドリルビット3の交換は、その使用量を増やし、様々な種類の削岩リグ8に使用することができる。
【0077】
図5は、一実施例による方法のフローチャートである。この方法は、制御装置100によって、削岩ユニット8におけるドリルビットを交換するために実行される。従って、この方法は、
図1~
図4に開示された削岩ユニット8におけるドリルビット3の交換制御に関するものである。
削岩ユニット8は、
少なくとも一つのドリルロッド7及びドリルビット3を軸線方向に送るための第一送り出し装置42と、
少なくとも一つのドリルロッド7及びドリルビット3の回転運動を生成するように構成されている回転装置44と、
少なくとも一つのドリルロッド7及びドリルビット3に対して衝撃パルスを与えるための衝撃装置46と、
少なくとも一つのドリルロッド7上のドリルビット3の交換のためのドリル交換装置1と
を備えている。
【0078】
該方法は、
ドリルビット3の交換に関する情報を受信するステップs101と、
ドリルビット3と少なくとも一つのドリルロッド7との間の第一ネジ接続40を緩めるために、形成されたドリルボア50の底部48に対してドリルビット3を打ち込むように衝撃装置46を制御するステップs102と、
ドリルボア50から少なくとも一つのドリルロッド7及びドリルビット3を引き出すように第一送り出し装置42を制御するステップs103と、
少なくとも一つのドリルロッド7からドリルビット3を取り外すように回転装置44を制御するステップs104と、
ドリルビット3を交換するようドリルビット交換装置1を制御するステップs105と、
第一ネジ接続部40によって少なくとも一つのドリルロッド7をドリルビット3に取り付けるように回転装置44を制御するステップs106と
を有する。
【0079】
図6は、一実施例による方法のフローチャートである。
該方法は、削岩ユニット8内のドリルビット3を交換するための、制御装置100によって実行される。従って、該方法は、
図1~
図4に開示された削岩ユニット8におけるドリルビット3の交換制御に関するものである。
該方法は、
ドリルビット3の交換に関する情報を受信するステップs101と、
ドリルビット3と少なくとも一つのドリルロッド7との間の第一ネジ接続40を緩めるために、形成されたドリルボア50の底部48に対してドリルビット3を打ち込むように衝撃装置46を制御するステップs102と、
ドリルボア50から少なくとも一つのドリルロッド7及びドリルビット3を引き出すように第一送り出し装置42を制御するステップs103と、
少なくとも一つのドリルロッド7からドリルビット3を取り外すように回転装置44を制御するステップs104と、
ドリルビット3を交換するようドリルビット交換装置1を制御するステップs105と、
第一ネジ接続部40によって少なくとも一つのドリルロッド7をドリルビット3に取り付けるよう回転装置44を制御するステップs106と
を有する。
【0080】
ドリルビット3を交換するようドリルビット交換装置1を制御するステップs105の後であって、第一ネジ接続部40によって少なくとも一つのドリルロッド7をドリルビット3に取り付けるよう回転装置44を制御するステップs106の前に、該方法はさらに、支持装置9がドリルビット3に接する位置に支持装置9を移動するよう削岩ユニット8の第二送り出し装置52を制御するステップs107を有する。
【0081】
少なくとも一つのドリルロッド7及びドリルビット3をドリルボア50から引き出すように第一送り出し装置42を制御するステップs103の後であって、少なくとも一つのドリルロッド7からドリルビット3を取り外すよう回転装置44を制御するステップs104の前に、該方法は、回転装置44に連結された少なくとも一つのドリルロッド7を把持するようにロッドハンドリングシステム56の把持要素54を制御するステップs108と、少なくとも一つのドリルロッド7及び回転装置44間の第二ネジ接続58を締め付けるよう回転装置44を制御するステップs109とをさらに有する。
【0082】
図7は、装置500の一態様の斜視図である。
図2及び
図3を参照して説明した制御装置100は、この態様において、装置500を有し得る。装置500は、不揮発性メモリ520と、データ処理装置510と、読み書きメモリ550とを備えている。不揮発性メモリ520は、装置500の機能を制御するためのコンピュータプログラム、例えばオペレーティングシステムが収容されている第一メモリ要素530を有する。装置500は、さらに、バスコントローラ、シリアル通信ポート、I/O手段、A/D変換器、日時入力及び送信ユニット、イベントカウンタ並びに割り込みコントローラ(不図示)を備えている。また、不揮発性メモリ520は、第二メモリ要素540を有する。
【0083】
削岩リグ5を制御するためのルーチンを有するコンピュータプログラムPが提供される。プログラムPは、メモリ560及び/又は読み書きメモリ550に実行可能な形態で、又は圧縮された形態で記憶され得る。
【0084】
データ処理装置510がある機能を実行すると説明されている場合、それは、データ処理装置510が、メモリ560に収容されているプログラムのある部分、又は、読み書きメモリ550に収容されているプログラムのある部分を作用させることを意味する。
【0085】
データ処理装置510は、データバス515を介して、データポート599と通信することができる。不揮発性メモリ520は、データバス512を介してデータ処理装置510と通信するためのものである。分離型メモリ560は、データバス511を介してデータ処理装置510と通信するためのものである。読み書きメモリ550は、データバス514を介してデータ処理装置510と通信するように適合されている。
【0086】
データがデータポート599で受信されると、それらは第二メモリ要素540に一時的に記憶される。受信した入力データが一時的に記憶されると、データ処理装置510は、上述したように、コード実行を実現するために準備される。
【0087】
本明細書に記載された方法の一部は、メモリ560又は読み書きメモリ550に記憶されたプログラムを実行するデータ処理装置510を用いて、装置500によって実現され得る。装置500がプログラムを実行すると、本明細書で説明する方法が実行される。
【0088】
前述した実施形態の説明は、例示的及び説明的な目的のために提供されたものである。前述の説明は、網羅的なものであり、説明したバリエーションに実施形態を限定することを意図するものではない。多くの変更及び変形が、当業者には明らかに明らかである。実施形態は、原理及び実際の応用を最もよく説明し、それによって当業者が、その様々な実施形態の観点から、及びその意図する使用に適用可能な様々な改良を伴って本発明を理解できるように、選択及び説明されている。上述した構成要素及び特徴は、本発明の枠組みの中で、様々な実施形態間で組み合わされることができる。
【国際調査報告】