(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(54)【発明の名称】フロントローディング可能な流体移送アセンブリ並びに関連する医療用流体移送システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20230222BHJP
【FI】
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538183
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 US2020052707
(87)【国際公開番号】W WO2021126336
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522243668
【氏名又は名称】クリアポイント ニューロ, インク.
【氏名又は名称原語表記】CLEARPOINT NEURO, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ダリー,マクウェル,ジェラッド
(72)【発明者】
【氏名】ピフェリ,ピーター,ジー.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF43
4C160FF45
4C160FF47
4C160FF60
(57)【要約】
対象へ又は対象から流体を移送する装置が、カニューレアセンブリと結合された又は結合可能なプランジャアセンブリを含み、それによって、スタイレットがある距離だけ後退して真空を発生させ、流路を画定するのと同時に、標的流体がカニューレアセンブリの遠位端内に「フロントローディング」されることが可能になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用プランジャアセンブリであって、
対向する近位端及び遠位端を含むスタイレットと、
前記スタイレットと結合された内部シールを含むルアーコネクタと、
前記ルアーコネクタと結合されて、前記スタイレットの前記遠位端より上方まで延びる支持ボディと、
を含み、
前記支持ボディは、前記スタイレットのサブ長さ部分を密閉し、
前記スタイレットは、第1の位置と第2の位置との間で、支持ボディに対して相対的に、長手方向に動くことが可能であり、前記スタイレットの前記近位端は、前記第1の位置にあるときには、前記第2の位置にあるときよりも前記ルアーコネクタに近い、
プランジャアセンブリ。
【請求項2】
プランジャを更に含み、前記プランジャは、前記スタイレットと結合された、又は前記スタイレットによって画定された、第1のセグメントと、断面サイズが前記第1のセグメントより大きい、第2のセグメントと、を含み、前記第2のセグメントは外側プランジャフランジに連なり、前記支持ボディは、前記第1のセグメントと、前記第2のセグメントの少なくとも一部分と、を密閉し、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントは、前記支持ボディに対して相対的に、長手方向に動くことが可能であり、前記プランジャが第1の位置にあるときには、前記スタイレットは前記第1の位置にあり、前記スタイレットの前記第2のセグメントは、前記スタイレットが前記第2の位置にあるときよりも前記ルアーコネクタに近づいている、請求項1に記載のプランジャアセンブリ。
【請求項3】
前記スタイレットは、前記支持ボディの外側の長さが6インチから10フィートの範囲にある、請求項1に記載のプランジャアセンブリ。
【請求項4】
前記スタイレットは、MRI適合材料を含み、最大外径が約0.005~0.020インチの範囲にある、請求項1に記載のプランジャアセンブリ。
【請求項5】
前記スタイレットはニチノールを含む、請求項4に記載のプランジャアセンブリ。
【請求項6】
前記スタイレットは溶融石英を含む、請求項4に記載のプランジャアセンブリ。
【請求項7】
駆動ねじを更に含み、前記駆動ねじは、少なくとも一部が前記支持ボディ内にあり、前記スタイレットの前記近位端と結合されている、請求項1に記載のプランジャアセンブリ。
【請求項8】
カラーを更に含み、前記カラーは前記支持ボディ及び前記駆動ねじと結合され、前記カラーは、前記スタイレットを平行移動させる為に、時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能である、請求項7に記載のプランジャアセンブリ。
【請求項9】
支持チューブを更に含み、前記支持チューブは、前記支持ボディの内側にあり、前記シールより上方で前記ルアーコネクタと結合されており、前記スタイレットは、前記支持チューブの内側で後退及び延伸する為に前記支持チューブに摺動可能に結合されており、一方、前記支持ボディは、前記スタイレットと連動して、前記支持チューブの外壁の周囲を摺動可能に後退及び延伸する、請求項2に記載のプランジャアセンブリ。
【請求項10】
ルアーコネクタを有する近位端を含み、長手方向反対側の遠位端を有し、前記遠位端を通り抜けて延びる開放チャネルを有するカニューレアセンブリと、
前記カニューレアセンブリと結合されたプランジャアセンブリであって、前記プランジャアセンブリはスタイレットを含み、前記スタイレットは、前記カニューレアセンブリの前記開放チャネル内を延びて、前記スタイレットの遠位端を前記カニューレアセンブリの前記遠位端の近傍に位置決めし、前記開放チャネルと前記スタイレットは連係して流体チャネルを画定し、前記流体チャネルは、前記カニューレアセンブリの前記遠位端から延び、任意選択で長さが約1~30cmの範囲にある、前記プランジャアセンブリと、
を含む体内流体移送システム。
【請求項11】
前記スタイレットが、流体取り入れ準備完了位置又は注射完了位置に対応する第1の位置にあるときに、前記スタイレットの前記遠位端は前記カニューレアセンブリの前記遠位端と面一まで、又は前記カニューレアセンブリの前記遠位端の外まで延びる、請求項10に記載の体内流体移送システム。
【請求項12】
患者にディスペンスされる流体が、前記流体チャネル内の、前記カニューレアセンブリの前記遠位端と前記カニューレアセンブリの中間部分との間の場所に保持される、請求項10に記載の体内流体移送システム。
【請求項13】
前記プランジャアセンブリは更に、前記スタイレットの近傍にある内部シールを含むルアーコネクタであって、前記プランジャアセンブリの前記ルアーコネクタは前記カニューレアセンブリの前記ルアーコネクタに取り付けられる、前記ルアーコネクタと、
前記プランジャアセンブリの前記ルアーコネクタと結合されて、前記スタイレットの前記遠位端より上方まで延びる支持ボディと、
を含む、
請求項6に記載の体内流体移送システム。
【請求項14】
プランジャを更に含み、前記プランジャは、前記スタイレットと結合された、又は前記スタイレットによって画定された、第1のセグメントと、断面サイズが前記第1のセグメントより大きい、第2のセグメントと、を含み、前記第2のセグメントは外側プランジャフランジに連なり、前記支持ボディは、前記第1のセグメントと、前記第2のセグメントの少なくとも一部分と、を密閉し、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントは、前記支持ボディに対して相対的に、長手方向に動くことが可能であり、前記プランジャが第1の位置にあるときには、第2の位置にあるときよりも、前記第2のセグメントは前記ルアーコネクタに近づいている、請求項13に記載の体内流体移送システム。
【請求項15】
駆動ねじを更に含み、前記駆動ねじは、少なくとも一部が前記支持ボディ内にあり、前記スタイレットの前記近位端と結合されている、請求項14に記載の体内流体移送アセンブリ。
【請求項16】
カラーを更に含み、前記カラーは前記支持ボディ及び前記駆動ねじと結合され、前記カラーは、前記スタイレットを平行移動させる為に、時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能である、請求項15に記載の体内流体移送アセンブリ。
【請求項17】
支持チューブを更に含み、前記支持チューブは、前記支持ボディの内側にあり、前記シールより上方で前記ルアーコネクタと結合されており、前記スタイレットは、前記支持チューブの内側で後退及び延伸する為に前記支持チューブに摺動可能に結合されており、一方、前記支持ボディは、前記スタイレットと連動して、前記支持チューブの外壁の周囲を摺動可能に後退及び延伸する、請求項13に記載の体内流体移送アセンブリ。
【請求項18】
前記スタイレットは、前記支持ボディの外側の長さが6インチから10フィートの範囲にある、請求項13に記載の体内流体移送システム。
【請求項19】
前記スタイレットは、MRI適合材料を含み、最大外径が約0.005~0.020インチの範囲にある、請求項13に記載の体内流体移送システム。
【請求項20】
前記スタイレットはニチノールを含む、請求項13に記載の体内流体移送システム。
【請求項21】
前記スタイレットは溶融石英を含む、請求項13に記載の体内流体移送システム。
【請求項22】
対象内へ又は対象から流体を移送する方法であって、
ルアーコネクタをその近位端に有し、長手方向の反対側に遠位端を有するカニューレアセンブリを用意するステップと、
前記カニューレアセンブリと結合可能な又は結合されたプランジャアセンブリを用意するステップであって、前記プランジャアセンブリは、前記近位端から、前記カニューレアセンブリの前記遠位端に近接する位置又は前記遠位端と面一の位置又は前記遠位端より遠くの位置まで延びるスタイレットを含む、前記プランジャアセンブリを用意する前記ステップと、
前記スタイレットを前記カニューレアセンブリの前記遠位端から後退させることによって真空を発生させるステップと、
前記スタイレット及び前記カニューレアセンブリによって発生した前記真空に対する応答として、前記カニューレアセンブリの前記遠位端内に標的流体を取り入れるステップと、
を含む方法。
【請求項23】
前記プランジャアセンブリが結合されていて、前記流体を保持している前記カニューレアセンブリを、手術ナビゲーションシステムの軌道ガイド内に配置することによって、前記プランジャアセンブリの近位端部分が前記軌道ガイドより上方にあり、前記カニューレアセンブリ及び前記スタイレットの前記遠位端が患者の体内にあって前記流体を前記患者内へ移送するステップを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記流体は幹細胞を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記移送するステップに備えて前記流体を脳内標的部位に送達するステップを更に含む、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によってその内容が、本明細書において完全な形で引用されているかのように本明細書に組み込まれている、2019年12月19日に出願された米国特許仮出願第62/950,521号、及び2020年9月9日に出願された米国特許仮出願第63/076,008号の利益及び優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、全般的には医療用の装置及びシステムに関し、より具体的には、物質を生体内に送達すること及び/又は生体内の物質を抜去することの為の装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
治療や診断の様々な処置において、患者の処方部位に(例えば、送達装置を使用して体内標的に)物質を送達(例えば注入)したり、そこから物質を吸引したりすることが必要である。物質の送達又は除去は、患者内の標的部位に対して正確に、且つ必要以上の外傷を患者に与えることなく行うことが重要又は非常に重要であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の技術における課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
当然のことながら、この「発明の概要」は幾つかの概念を簡略化された形で紹介する為に設けており、これらの概念の更なる説明は後述の「発明を実施するための形態」で行う。この「発明の概要」は、本開示の重要な特徴又は不可欠な特徴を明らかにすることを意図するものではなく、本発明の範囲を限定することを意図するものでもない。
【0006】
本発明の実施形態は、対象へ又は対象から流体を移送する、フロントローディング可能な流体移送アセンブリを対象とする。
【0007】
本発明の実施形態は、外科用プランジャアセンブリを対象とし、これは、対向する近位端及び遠位端を含むスタイレットと、スタイレットと結合された内部シールを含むルアーコネクタと、ルアーコネクタと結合されて、スタイレットの遠位端より上方まで延びる支持ボディと、を含む。支持ボディは、スタイレットのサブ長さ部分を密閉し、スタイレットは、第1の位置と第2の位置との間で、支持ボディに対して相対的に、長手方向に動くことが可能である。スタイレットの近位端は、第1の位置にあるときには、第2の位置にあるときよりもルアーコネクタに近い。
【0008】
プランジャアセンブリは更に、プランジャを含み、プランジャは、スタイレットと結合された、又はスタイレットによって画定された、第1のセグメントと、断面サイズが第1のセグメントより大きい、第2のセグメントと、を含む。第2のセグメントは外側プランジャフランジに連なりうる。支持ボディは、第1のセグメントと、第2のセグメントの少なくとも一部分と、を密閉してよく、第1のセグメント及び第2のセグメントは、支持ボディに対して相対的に、長手方向に動くことが可能であってよい。プランジャが第1の位置にあるときには、スタイレットは第1の位置にあり、スタイレットの第2のセグメントは、スタイレットが第2の位置にあるときよりもルアーコネクタに近づいている。
【0009】
プランジャアセンブリは更に、駆動ねじを含んでよく、駆動ねじは、少なくとも一部が支持ボディ内にあり、スタイレットの近位端と結合されている。
【0010】
プランジャアセンブリは更に、カラーを含んでよく、カラーは支持ボディ及び駆動ねじと結合されている。カラーは、スタイレットを平行移動させる為に、時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能であってよい。
【0011】
プランジャアセンブリは更に、支持チューブを含んでよく、支持チューブは、支持ボディの内側にあり、シールより上方でルアーコネクタと結合されている。スタイレットは、支持チューブの内側で後退及び延伸する為に支持チューブに摺動可能に結合されてよく、一方、支持ボディは、スタイレットと連動して、支持チューブの外壁の周囲を摺動可能に後退及び延伸する。
【0012】
本発明の実施形態は外科用プランジャアセンブリを対象とし、これは、対向する近位端及び遠位端を有するスタイレットと、スタイレットの近位端の近傍にある内部シールを有するルアーコネクタと、ルアーコネクタと結合されて、スタイレットの遠位端より上方まで延びる支持ボディと、スタイレットと結合された、又はスタイレットによって画定された、第1のセグメントと、断面サイズが第1のセグメントより大きい、第2のセグメントと、を有するプランジャと、を含む。第2のセグメントは外側プランジャフランジに連なる。支持ボディは、第1のセグメントと、第2のセグメントの少なくとも一部分と、を密閉し、第1のセグメント及び第2のセグメントは、支持ボディに対して相対的に、長手方向に動くことが可能である。プランジャが第1の位置にあるときには、第2の位置にあるときよりも、第2のセグメントはルアーコネクタに近づいている。
【0013】
スタイレットは、第1及び第2の位置の一方又は両方において、支持ボディの外側の長さが6インチから10フィートの範囲にあってよい。
【0014】
スタイレットは、プランジャが第1及び第2の位置のそれぞれにあるときに、支持ボディの外側の長さが6インチから10フィートの範囲にあってよい。
【0015】
スタイレットは、MRI適合材料で形成されてよく、最大外径が約0.005~0.020インチの範囲にあってよい。
【0016】
スタイレットは、ニチノールで形成されてよい。
【0017】
スタイレットは、溶融石英で形成されてよい。
【0018】
別の実施形態は体内流体移送システムを対象とし、これは、ルアーコネクタを有する近位端を有し、長手方向反対側の遠位端を有し、遠位端を通り抜けて延びる開放チャネルを有するカニューレアセンブリと、カニューレアセンブリと結合されたプランジャアセンブリと、を含む。プランジャアセンブリはスタイレットを有してよく、スタイレットは、カニューレアセンブリの開放チャネル内を延びて、スタイレットの遠位端をカニューレアセンブリの遠位端の近傍に位置決めする。開放チャネルとスタイレットは連係して流体チャネルを画定し、流体チャネルは、カニューレアセンブリの遠位端から延び、任意選択で長さが約1~30cmの範囲にある。
【0019】
プランジャが、流体取り入れ準備完了位置又は注射完了位置に対応する第1の位置にあるときに、スタイレットの遠位端はカニューレアセンブリの遠位端と面一まで、又はカニューレアセンブリの遠位端の外まで延びてよい。
【0020】
患者にディスペンスされる流体が、流体チャネル内の、カニューレアセンブリの遠位端とカニューレアセンブリの中間部分との間の場所に保持されてよい。
【0021】
プランジャアセンブリは更に、スタイレットの近傍にある内部シールを有するルアーコネクタを含んでよい。プランジャアセンブリのルアーコネクタが、カニューレアセンブリのルアーコネクタに取り付けられてよい。プランジャアセンブリは更に、プランジャアセンブリのルアーコネクタと結合されて、スタイレットの遠位端より上方まで延びる支持ボディと、スタイレットと結合された、又はスタイレットによって画定された、第1のセグメントと、断面サイズが第1のセグメントより大きい、第2のセグメントと、を有するプランジャと、を含んでよい。第2のセグメントは外側プランジャフランジに連なりうる。支持ボディは、第1のセグメントと、第2のセグメントの少なくとも一部分と、を密閉してよく、第1のセグメント及び第2のセグメントは、支持ボディに対して相対的に、長手方向に動くことが可能であってよい。プランジャが第1の位置にあるときには、第2の位置にあるときよりも、第2のセグメントはルアーコネクタに近づいてよい。
【0022】
体内流体移送アセンブリは更に、駆動ねじを含んでよく、駆動ねじは、少なくとも一部が支持ボディ内にあり、スタイレットの近位端と結合されている。
【0023】
体内流体移送アセンブリは更に、カラーを含んでよく、カラーは支持ボディ及び駆動ねじと結合されている。カラーは、スタイレットを平行移動させる為に、時計回り方向及び反時計回り方向に回転可能であってよい。
【0024】
体内流体移送アセンブリは更に、支持チューブを含んでよく、支持チューブは、支持ボディの内側にあり、シールより上方でルアーコネクタと結合されている。スタイレットは、支持チューブの内側で後退及び延伸する為に支持チューブに摺動可能に結合されてよく、一方、支持ボディは、スタイレットと連動して、支持チューブの外壁の周囲を摺動可能に後退及び延伸する。
【0025】
スタイレットは、プランジャが第1及び第2の位置のそれぞれにあるときに、支持ボディの外側の長さが6インチから10フィートの範囲にあってよい。
【0026】
スタイレットは、MRI適合材料で形成されてよく、最大外径が約0.005~0.020インチの範囲にあってよい。
【0027】
スタイレットは、ニチノールで形成されてよい。
【0028】
スタイレットは、溶融石英で形成されてよい。
【0029】
別の実施形態は、対象内へ又は対象から流体を移送する方法を対象とする。本方法は、ルアーコネクタをその近位端に有し、長手方向の反対側に遠位端を有するカニューレアセンブリを用意するステップと、カニューレアセンブリと結合可能な又は結合されたプランジャアセンブリを用意するステップと、を含む。プランジャアセンブリは、近位端から、カニューレアセンブリの遠位端に近接する位置又は遠位端と面一の位置又は遠位端より遠くの位置まで延びるスタイレットを有する。本方法は更に、スタイレットをカニューレアセンブリの遠位端から後退させることによって真空を発生させるステップと、スタイレット及びカニューレアセンブリによって発生した真空に対する応答として、カニューレアセンブリの遠位端内に標的流体を取り入れるステップと、を含む。
【0030】
本方法は更に、プランジャアセンブリが結合されていて、流体を保持しているカニューレアセンブリを、手術ナビゲーションシステムの軌道ガイド内に配置することによって、プランジャアセンブリの近位端部分が軌道ガイドより上方にあり、カニューレアセンブリ及びスタイレットの遠位端が患者の体内にあって流体を患者内へ移送するステップを含んでよい。
【0031】
流体は幹細胞を含んでよい。
【0032】
本方法は更に、上記移送するステップに備えて流体を脳内標的部位に送達するステップを含んでよい。
【0033】
なお、一実施形態に関して説明した本発明の態様が、具体的には説明しなかった別の実施形態に組み込まれてもよい。即ち、全ての実施形態及び/又は任意の実施形態の特徴が、任意の様式及び/又は組み合わせの形で組み合わされてよい。出願人は、任意の出願当初の請求項を変更すること又は相応に任意の新規の請求項を提出することの権利を留保する。これには、当初はそのように特許請求されていなかった他の任意の請求項の任意の特徴に従属するように且つ/又はこれを組み込むように任意の出願当初の請求項を補正することが可能になる権利が含まれる。以下では本発明のこれら及び他の目的及び/又は態様を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の実施形態によるカニューレアセンブリの一例の上面斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態によるプランジャアセンブリの一例の上面図である。
【
図3】本発明の実施形態による流体移送アセンブリを形成している、
図1及び2に示したプランジャアセンブリ及びカニューレアセンブリの組立図である。
【
図4】
図3に示した組立済み構成要素の近位端部分の部分拡大図である。
【
図5A】第1のアセンブリ構成における、
図1に示したカニューレアセンブリの近位端部分と、
図2に示したプランジャアセンブリの遠位端と、の側面斜視図である。
【
図5B】
図5Aに示したカニューレアセンブリの近位端部分を、
図5Aから更に組み立てられた状態で示されたプランジャアセンブリとともに示す。
【
図6A】本発明の実施形態による、
図1のカニューレアセンブリのルアーコネクタが
図2のプランジャアセンブリのルアーコネクタに取り付けられて、
図5Bに示した構成から更に挿入された後の様子を示す。
【
図6B】
図3に示した組立済み装置の遠位端の、大きく拡大した端部の斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態による、
図3に示した組立済み装置の近位端部分の側面斜視図であって、プランジャが、組立済み装置の遠位端において流体を取り入れる為の作動位置にある図である。
【
図8】本発明の実施形態による、
図7に示した組立済み装置の近位端部分の側面斜視図であって、プランジャが、組立済み装置の遠位端において流体をディスペンス/注射する為の第2の作動位置にある図である。
【
図9A】
図7の位置にあるときの組立済み装置を示す遠位端拡大斜視図である。
【
図9B】
図8の位置にあるときの組立済み装置を示す遠位端拡大斜視図である。
【
図10A】本発明の実施形態によるプランジャアセンブリの別の例の近位端の部分拡大斜視図である。
【
図10B】本発明の実施形態による、
図10Aに示したプランジャアセンブリの中の支持配管とプランジャワイヤとの内部接合を示す部分断面図である。
【
図10C】本発明の実施形態による、
図10Aに示したプランジャアセンブリの部分断面図である。
【
図11】本発明の実施形態によるプランジャアセンブリの別の実施形態の部分拡大斜視図である。
【
図12】
図11に示したプランジャアセンブリの近位端部分のセグメントの大きく拡大した断面図である。
【
図13】本発明の実施形態による、画像誘導手術ナビゲーションシステムにおいて動作可能な医療用体内流体移送システムの概略図である。
【
図14】本発明の実施形態による、体内配置の為に軌道ガイドで保持されている、
図3に示したカニューレ及びプランジャのアセンブリの一例の拡大部分断面図である。
【
図15】本発明の実施形態に従って実施可能な例示的アクションのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下では添付図面を参照しながら本発明をより詳細に説明する。添付図面では本発明の幾つかの実施形態を示す。しかしながら、本発明は、多様な形態で実施されてよく、本明細書において説明されている実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分なものであり、完結したものであるように、且つ、本発明の範囲を当業者に完全に伝達するものであるように提供されている。
【0036】
類似の参照符号は、全体を通して類似の要素を指す。図面では、分かりやすくする為に特定の線、層、構成要素、要素、又はフィーチャの太さが誇張されている場合がある。本明細書及び/又は図面では、「図(FIG.)」及び「図(Fig.)」という用語を、「図(Figure)」という語と区別なく使用する。
【0037】
本明細書で使用する術語は、特定の実施形態を記述することのみを目的としており、本発明の限定を意図するものではない。本明細書では、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上明らかに矛盾する場合を除き、複数形も同様に包含するものとする。更に、当然のことながら、「含む(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」という語は、本明細書で使用された際には、述べられた特徴、手順、操作、要素、及び/又は構成要素の存在を明記するものであり、1つ以上の他の特徴、手順、操作、要素、構成要素、及び/又はこれらの集まりの存在又は追加を排除するものではない。本明細書では、「及び/又は(and/or)」という用語は、関連付けられて列挙されたアイテムのうちの1つ以上のアイテムのあらゆる組み合わせを包含する。
【0038】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるあらゆる用語(技術用語及び科学用語を含む)の意味は、本発明が帰属する当該技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じである。更に当然のことながら、語句、例えば、一般的に利用されている辞書において定義されている語句は、本明細書及び関連技術分野の文脈におけるそれらの語句の意味と整合性がある意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書において明示的にそのように定義されない限り、理想化された意味又は過度に形式的な意味として解釈されるべきではない。よく知られている機能や構造については、簡潔さ及び/又は明確さの為に、詳細には説明していない場合がある。
【0039】
当然のことながら、ある要素が別の要素に「接している」、「取り付けられている」、「接続されている」、「結合されている」、「接触している」等のように言及された場合、その要素は、直接その別の要素に接しているか、接続されているか、結合されているか、接触していてよく、或いは、介在要素が存在してもよい。これに対し、ある要素が別の要素に、例えば、「直接接している」、「直接取り付けられている」、「直接接続されている」、「直接結合されている」、「直接接触している」と言及された場合、介在要素は存在しない。又、当業者であれば理解されるように、ある構造又は特徴が別の特徴に「隣接して(adjacent)」配置されていて、その構造又は特徴が言及された場合、その言及は、隣接する特徴と部分的に重なり合うか、隣接する特徴の下層となる部分を有してよい。
【0040】
「下に(under)」、「下方に(below)」、「下方の(lower)」、「上方の(over)」、「上方の(upper)」等のような空間的に相対的な語句は、本明細書では、図面に示されるような、1つの要素又は特徴と別の要素又は特徴との関係を説明する場合に説明を簡単にする為に使用されてよい。当然のことながら、この空間的に相対的な語句は、使用時又は操作時の器具の、図面で描かれる向きに加えて、それ以外の向きも包含するものとする。例えば、図面内の器具が反転された場合、別の要素又は特徴の「下に(under)」又は「真下に(beneath)」あると記載された要素は、その別の要素又は特徴の「上に(over)」方向づけられることになる。従って、例えば、「下に(under)」という語句は、「上に(over)」及び「下に(under)」の両方の向きを包含しうる。本装置は、他の方向づけ(90度回転又は他の方向づけ)が行われてよく、それに応じて、本明細書で使用された空間的に相対的な記述子が解釈されてよい。同様に、「上方に(upwardly)」、「下方に(downwardly)」、「垂直方向の(vertical)」、「水平方向の(horizontal)」等の用語は、本明細書では、特に断らない限り、説明のみを目的として使用される。
【0041】
「約(about)」という語句は、値又は数値に関して本明細書で使用された場合には、その値又は数値が±20%ばらつく可能性があることを意味する。
【0042】
「一体構造(monolithic)」という用語は、構成要素(例えば、内部毛細管又は針)が1つの均質材料から成形されていることを意味する。
【0043】
「MRI可視(MRI visible)」という用語は、装置がMRI画像において直接であれ間接であれ可視であることを意味する。可視であることは、装置に近接するMRI信号のSN比が大きくなること(装置は、局所組織から信号を集めるMRI受信アンテナとして動作しうる)、及び/又は装置がMRI信号自体を(例えば、適切なハイドロベースコーティング、及び/又は流体(典型的には水溶液)で満たされたチャネル又は内腔によって)実際に発生させることによって示されてよい。
【0044】
「MRI適合(MRI compatible)」という用語は、装置が、MRI環境下で使用しても安全であり、且つ/又は、MRI環境下でもMR信号アーチファクトを発生させることなく意図されたとおりに動作することが可能であり、従って、磁場の高磁界強度領域内に置かれる場合には、典型的には、高磁場環境下での存在及び/又は動作に適する非強磁性MRI適合材料で作られていることを意味する。
【0045】
「高磁場(high-magnetic field)」という用語は、約0.5T(テスラ)を上回り、典型的には1.0Tを上回り、より典型的には約1.5~10Tである磁界強度を意味する。
【0046】
「近リアルタイム(near real time)」という用語は、低待ち時間及び高フレームレートの両方を意味する。待ち時間は、一般に、イベントが発生してからそのイベントが表示されるまでの時間(総処理時間)として測定される。トラッキングの場合、フレームレートは、約100fpsから画像フレームレートまでの範囲をとりうる。幾つかの実施形態では、トラッキングは画像フレームレートで更新される。近「リアルタイム」画像化の場合、フレームレートは、典型的には約1~20fpsであり、幾つかの実施形態では約3~7fpsである。「近リアルタイム」と見なされる為に必要な低待ち時間は、一般に、約1秒以下である。幾つかの実施形態では、情報をトラッキングする為の待ち時間は約0.01秒であり、画像データがインタリーブされる場合には、典型的には、約0.25~0.5秒である。従って、トラッキングに関しては、既知の体内装置の、位置、方位、及び/又は形態を伴う可視化は、約1~100fpsの低待ち時間で更新されることが可能である。画像化に関しては、近リアルタイムMR画像データを使用する可視化は、典型的には約0.01ミリ秒から約1秒未満の低待ち時間で、且つ典型的には約1~20fpsのフレームレートで提示可能である。同時に、本システムは、トラッキング信号データ及び画像信号データを使用して、近リアルタイムの可視化において解剖学的構造及び1つ以上の体内装置を動的に提示することが可能である。幾つかの実施形態では、MR画像データが取得され、結果として、体内装置(例えばスタイレット)及び近リアルタイムMR画像を有する可視化が生成される間に、トラッキング信号データが取得され、関連付けられた空間座標が決定される。
【0047】
「無菌(sterile)」という用語は、本明細書では、装置、キット、及び/又はパッケージングが米国連邦医薬品局(U.S./Federal Drug Administration)及び/又は他の内科外科清浄度規制ガイドラインを満たすか上回っており、典型的には生細菌又は他の微生物を含まないことを意味する。
【0048】
本発明の実施形態は、任意の適切な画像化モダリティ(典型的にはMRI)を使用する、且つ/又はMRIスキャナ又はMRI介入スイートにおける、診断又は介入の様々な装置及び/又は療法とともに、対象物の任意の所望の内部部位に対して利用可能である。但し、CT又は他の画像化モダリティも使用されてよい。対象物は任意の対象物であってよく、対象動物及び/又は対象者に(例えば、動物実験、及び/又は獣医の処置又はヒトの治療に)特に適するものであってよい。幾つかの実施形態では、脊椎に治療を送達する。幾つかの実施形態では、交感神経鎖の所望部位を処置又は刺激する治療を送達する。脳、神経系、又は脊髄の内側又は外側での他の用途として、生理学的症状の治療、化学療法、複製治療薬を含む薬剤の為の幹細胞置換、遺伝子治療、又は薬剤送達がある。幾つかの実施形態は、腫瘍の治療に使用されてよい。
【0049】
「物質(substance)」という用語は、本明細書では、症状の治療又は診断促進の為の液体を意味し、体内の部位特異的領域(例えば、神経学的領域)、神経、又は他の標的部位等に対するバイオン、幹細胞、又は他の標的細胞を包含してよい。幾つかの実施形態では、心臓が鼓動している間に(即ち、患者を人工心肺につないで心臓の鼓動を止めることを必要とせずに)、幹細胞及び/又は他の再構築細胞又は再構築生成物が、最小侵襲MRI誘導処置によって脊椎、脳、又は心組織(例えば心臓壁)の中に送達されてよい。既知の刺激治療及び/又は標的体内部位の例が、参照によってその内容が、本明細書において完全な形で引用されているかのように本明細書に組み込まれている、米国特許第6,708,064号、同第6,438,423号、同第6,356,786号、同第6,526,318号、同第6,405,079号、同第6,167,311号、同第6539,263号、同第6,609,030号、及び同第6,050,992号に記載されている。
【0050】
「流体(fluid)」という用語は、対象から抜去される流体に関しては、対象中の軟組織、異物、生体物質(細胞物質及び細胞液を含む)を意味する。
【0051】
「注入(infusion)」という用語及びその派生語は、物質(単一物質でも混合物でもよい)の送達を、物質が標的部位の周囲に注入されることが可能なように比較的ゆっくり行うことを意味する。従って、「注入物(infusate)」という用語は、そのように送達された物質を意味する。
【0052】
「半硬質(semi-rigid)」という用語は、装置が、曲げ力がかかっていないときに自己支持固定形状(典型的にはまっすぐな管形状又は円筒形状)を有するだけの剛性を有しながら、軌道ガイド(例えば、
図4の1250tを参照)への挿入又はそこからの抜去の間にかかる力に応じて壊れることなく曲がるか偏向し、その後、力がかからなくなると元の自己支持形状に戻ることが可能であるだけの可撓性を有することを意味する。
【0053】
「可撓(flexible)」という用語は、装置が、支持なしに固定形状を有するほどの剛性を持たず、例えば、丸めたり巻いたり折り曲げたりすることが可能であることを意味する。
【0054】
対象は任意の対象であってよく、対象動物及び/又は対象者に(例えば、動物実験、及び/又は獣医の処置又はヒトの治療に)特に適するものであってよい。
【0055】
幾つかの実施形態では、標的体内部位(例えば脳)から流体を吸引する。例えば、標的構造から流体を吸引することによって標的構造を減量させることが可能である。構造を減量させることによって、周囲にかかる圧力を軽減することが可能である。これは、外科的切除より低侵襲に実施できる点で望ましいものでありうる。参照によってその内容が、本明細書において完全な形で引用されているかのように本明細書に組み込まれている米国特許出願第16/217,222号を参照されたい。
【0056】
本明細書の実施形態は、脊椎に治療を送達することが可能である。
【0057】
本発明の実施形態では、交感神経鎖の所望部位を処置又は刺激する治療を送達することが可能である。脳、神経系、又は脊髄の内側又は外側での他の用途として、生理学的症状の治療、化学療法、複製治療薬を含む薬剤の為の幹細胞置換、遺伝子治療、又は薬剤送達がある。幾つかの実施形態は、腫瘍が1つ以上ある患者の治療に使用されてよい。
【0058】
以下では図面を参照しながら本発明の実施形態をより詳細に説明していく。
図1は、一例示的カニューレアセンブリ10を示す。カニューレアセンブリ10は、体内流体を移送するように構成されている。
図2は、一例示的プランジャアセンブリ100を示す。
図3は、カニューレアセンブリ10にプランジャアセンブリ100が結合されて移送アセンブリ200が画定されている様子を示す。組み立て後、プランジャアセンブリ100は、カニューレアセンブリ10を完全に貫通して延びる。プランジャアセンブリ100の遠位端100dは、カニューレアセンブリ10の遠位端10dに近接してよく、例えば、遠位端10dに対して約1mmの距離だけ内側にあってよく、且つ/又は遠位端10dと面一であってよく、且つ/又は遠位端10dより外に延びてよく、プランジャアセンブリ100の近位端100pは、カニューレアセンブリ10の近位端10pより先まで延びている。プランジャアセンブリ100の遠位端100dは、ロード準備完了位置及び/又はディスペンス完了位置においては、カニューレアセンブリの遠位端10dより、短い距離(例えば1mm未満、典型的には例えば約0~0.5mmの範囲の距離)だけ先まで延びるように構成されてよい。カニューレアセンブリ10の近位端10pは、ルアーコネクタ11を含んでよい。
【0059】
幾つかの実施形態では、プランジャアセンブリ100は、カニューレアセンブリ10と連携して、組立済み装置200が「フロントローディング」されることを可能にするように構成されている。カニューレアセンブリ10をフロントローディングする目的は、標的流体を送達装置内にロードする際に「デッドスペース」を最小限に抑えること及び/又は全く発生させないことである。「デッドスペース」という用語は、送達(例えば注入)の完了後に望ましくない量の薬剤がカニューレのシリンジ又は内腔に残っている状態を意味する。この状態は、送達用標的薬剤の供給量が限られている場合(幹細胞を含む場合等)、及び/又は、患者から取得された細胞試料が非常に小さい場合には特に望ましくない可能性がある。
【0060】
図2~4を参照すると、図示のように、プランジャアセンブリ100は支持ボディ106を含み、支持ボディ106は、任意選択で円筒形状(又は他の形状、例えば多角形状又は三角形状)であってよく、その遠位端にルアーハブ105を含む。プランジャアセンブリ100は又、反対側の近位端にプランジャ支持フランジ108を含んでよい。
【0061】
プランジャアセンブリ100は又、プランジャフランジ110を含んでよく、プランジャフランジ110はプランジャアセンブリ100の近位端100pを画定する。
【0062】
又、図示のように、プランジャアセンブリ100は長いスタイレット101を含む。長いスタイレット101は細長であり、その(長手方向の)長さLは支持ボディ106の長さより長い。典型的には、プランジャカニューレアセンブリ100は、カニューレアセンブリ10の全体長さLより長くてよい全体長さLにわたって延び、例えば、約1~10フィートの範囲で延び、これには約1.5フィート、約2フィート、約2.5フィート、約3フィート、約3.5フィート、約4フィート、約4.5フィート、約5フィート、約5.5フィート、約6フィート、約6.5フィート、約7フィート、約7.5フィート、約8フィート、約8.5フィート、約9フィート、約9.5フィート、及び約10フィートが含まれる。プランジャアセンブリ100は、十分に長ければ、MRIスキャナ1220の磁石1350のボア1350b(
図13)の外側からアクチュエート可能であり、それによって、画像誘導外科処置中の効率的な送達が可能になる。
【0063】
スタイレット101は、個々のカニューレアセンブリ10の任意の標的内径に適合するように構成されてよい。プランジャアセンブリ100は、
図2及び
図3に示すように、直線的な形態から湾曲した形態へと形状が変化することが可能であるほどの可撓性を有してよい。
【0064】
カニューレアセンブリ10は、内径が約0.008~0.021インチの範囲にあってよく、これは、特定の注入用途に特に好適でありうる。
【0065】
操作者がプランジャ102を引くと、スタイレット101も同様に後退して真空が発生し、この真空は、薬剤等の流体をカニューレアセンブリ10の遠位端10dからスタイレット101の周囲のカニューレアセンブリ10内に吸い出す/吸引する。典型的には、「フロントローディングされた」薬剤は、カニューレ10の遠位端10dから、プランジャ102のストローク距離に対応する距離だけ、且つ/又は、約1~30cmの範囲又は約5~15cmの範囲の距離だけ上流にある。この距離は、例えば、約1cm、約2cm、約3cm、約4cm、約5cm、約6cm、約7cm、約8cm、約9cm、約10cm、約11cm、約12cm、約13cm、約14cm、約15cm、約16cm、約17cm、約18cm、約19cm、約20cm、約21cm、約22cm、約23cm、約24cm、約25cm、約26cm、約27cm、約28cm、約29cm、約30cmであってよい。ストローク移動距離は、ルアーコネクタ11及び/又はルアーハブ105及び/又は支持ボディ106より下方にあり、より典型的には、カニューレアセンブリ10の遠位端10dからカニューレアセンブリ10の中間位置10mまでの間である。
【0066】
プランジャ102がカニューレアセンブリ10の遠位端10dに向かって前進すると、スタイレット101が流体(例えば薬剤)をカニューレアセンブリ10から標的位置(例えば脳又は心臓)内へ押し出す。
【0067】
図5A、5B、6A、及び6Bを参照すると、カニューレアセンブリ10へのプランジャアセンブリ100の接続は、カニューレアセンブリ10の近位端10pにスタイレット101を挿入し、スタイレット101をカニューレアセンブリ10の遠位端10dまで通して/押して前進させ、シリンジのように、ルアーコネクタ11(
図6A)においてプランジャアセンブリ100をカニューレアセンブリ10に結合(典型的にはロック)することによって行われてよい。完全に取り付けられると、プランジャアセンブリ100の遠位端100dは、カニューレ10の遠位端10dにあってよく、幾つかの特定実施形態では、約0~0.5mm(
図6B)の範囲の距離だけ突出してよい。
【0068】
図7は、取り入れ準備完了構成のプランジャ/カニューレアセンブリ200を示しており、プランジャフランジ110は支持ボディフランジ108に近接しており、プランジャ102の第1のセグメント102aの、支持ボディ106内にある長さが、
図8に示した位置の場合より短く、第2のセグメント102bは、
図7、9Aの取り入れ準備完了構成では、
図8、9Bに示した後退及びロード済みの位置の場合よりシール103及びルアーハブ105の近くにある(
図8、9Bではスタイレット101はカニューレアセンブリの遠位端10dから後退している)。
【0069】
図8に示した構成では、アセンブリ200は、軌道ガイド1250t(
図14)等の定位固定誘導システムに通して挿入されてよく、プランジャフランジ110は患者に対して相対的に上下に動くようにアクセス可能であり、流体Fは、アセンブリ200を使用して患者に送達される又は患者から取得される。
【0070】
プランジャアセンブリ100は、カニューレアセンブリ10に組み付けられるキットとして用意されてよい。
【0071】
プランジャアセンブリ100は、カニューレアセンブリ10と一緒のパッケージ、又はカニューレアセンブリ10とは別のパッケージに入れられる独立した部品として用意されてよい。
【0072】
薬剤は、プランジャアセンブリ10及び/又はカニューレアセンブリ100とは別に用意されてよく、典型的には送達前に現場でロードされる。
【0073】
幾つかの実施形態では、MRI条件付き使用(磁石が磁界を発生させているMRIスキャナ室の周囲での使用は安全であるがMRIスキャン実施中は挿入不可)の場合、スタイレット101はニチノールワイヤを含んでよい。幾つかの実施形態では、MRI安全使用(スキャン中であってもMRIスキャナ室内での使用は安全)の場合、スタイレット101は溶融石英を含んでよい。
【0074】
幾つかの実施形態では、CT又は他の画像化モダリティの場合に他の材料が使用されてよく、好ましくは、生体適合性且つ標的の薬剤又は流体に対して不活性である材料が使用されてよい。
【0075】
スタイレット101は、プランジャ102を画定するか、プランジャ102に取り付けられる。プランジャ102とスタイレット101は、カニューレアセンブリ10に対して、且つ/又はプランジャアセンブリ100に取り付けられたルアーハブ105に対して相対的に、(一体として/連動して)長手方向に延伸及び後退することが可能である。
【0076】
ルアーハブ105に内部シール103があってよい。内部シール103は、スタイレット101のうちの、プランジャのセグメント102wを画定しているセグメントの周囲の流体密封シールを画定してよい。プランジャのうちの、スタイレット101によって画定されたセグメントは、小径ワイヤ102wであってよい。
【0077】
幾つかの実施形態では、スタイレット101のうちの、少なくとも、カニューレアセンブリ10の遠位及び中間(体内)部分にある細長セグメントが固体であってよく(固体コアを有してよく)、その外径が約0.005~0.020インチの範囲にあってよい。
【0078】
プランジャ102は、第1のセグメント102aと、これと連なる、長手方向に延びる第2のセグメント102bと、を含んでよい。第2のセグメント102bは、支持ボディ106内で、断面サイズが第1のセグメント102aより大きくてよい。第2のセグメント102bは、支持ボディ106と摺動可能にぴったり係合してよいが、支持ボディ106に対して流体密封される必要はない。支持ボディ106は、座屈を防ぐ為に、アクチュエーション中は、セグメント102a、102bの少なくとも一部を含むプランジャ102を支持するように構成されてよい。
【0079】
遠位端100dがカニューレアセンブリの遠位端10dの外側にある完全延伸位置にあるとき(
図7、9A)、並びに流体のロード/取り入れの為に後退位置にあるとき(
図8、9B)には、少なくとも、第1のセグメント102aの一部と第2のセグメント102bの一部とが支持ボディ106内にあってよい。従って、第2のセグメント102bは、支持ボディ106に対して長手方向に移動することが可能であるが、内部シール103及び/又はルアーハブ105より下方まで移動することはない(
図7)。最大延伸作動位置と最大後退作動位置(例えば、組立完了位置(
図7)に対して相対的な、流体の取り入れ/ロードを行う位置)との間のストローク距離「d」は、組立済み装置200(
図3、7、8)の流路10fにロードされる流体の所望量に応じて、約1~30cmの範囲又は約5~15cmの範囲の距離であってよい。流路10fは、スタイレットとカニューレアセンブリとによって画定される環状セグメントを有してよい。このストローク距離は、例えば、約1cm、約2cm、約3cm、約4cm、約5cm、約6cm、約7cm、約8cm、約9cm、約10cm、約11cm、約12cm、約13cm、約14cm、約15cm、約16cm、約17cm、約18cm、約19cm、約20cm、約21cm、約22cm、約23cm、約24cm、約25cm、約26cm、約27cm、約28cm、約29cm、約30cmであってよい。
【0080】
スタイレット101の遠位端は、プランジャ102の近位端と1:1で移動することが可能であり、流体を1:1の比率でカニューレ10に取り入れることが可能であり、例えば、プランジャが1cm移動することで、1cmの距離だけ流体を取り入れることが可能である。
【0081】
スタイレット101及びカニューレアセンブリ10のサイズ及び構成は、真空を発生させ、その真空を利用して流体を取り入れてカニューレアセンブリ10にフロントローディングするように決められてよい。所望の真空を発生させる為のカニューレ10の内径とスタイレット101の外径との差は、例えば、約0.0005~0.10インチの範囲にあってよい。
【0082】
カニューレアセンブリ10は、連続長さの内側チューブ10tを含んでよく、少なくともその長さの大部分にわたって内径が一定であってよい。幾つかの実施形態では、内側チューブは、遠位端10dからコネクタ11まで延びる、材料(典型的にはPEEK又は溶融石英ガラス)が切れ目なく続く一片であってよい。
【0083】
図1を参照すると、スタイレット101は、内側チューブ10tとともに流路10f(
図9A)を画定してよい。流路10fは、外径が約0.005~0.020インチの範囲にあってよく、又は約100~750μmの範囲にあってよく(例えば、約200μmであってよく)、又は約0.20~0.05mmの範囲にあってよい(例えば、約0.20mm又は約0.053mmであってよい)。
【0084】
内側チューブ10tは、溶融石英ガラス又はPEEK又は他の材料を含んでよい。スタイレット101及び内側チューブ10tは、流路内腔(
図9A)内のいかなる標的流体とも化学的相互作用を引き起こさないように、完全でなくとも実質的に不活性且つ無菌であってよい。
【0085】
図1、6B、9Bを参照すると、カニューレアセンブリ10は外側チューブ12を含んでよく、外側チューブ12は、内側チューブ10tの外壁の内部表面と隙間なく配置されることにより、逆流を防ぐ且つ/又は両者間の流れを防ぐ耐流体界面を実現することが可能である。
【0086】
図10Aを参照すると、プランジャアセンブリ100は、支持ボディ106上に深さ/距離の目盛りが付けられてよい。支持フランジ108は又、長側面108lに短側面108sがつながった外周108pを有するフランジ108を含んでよい。短側面108sは、指把持面を画定してよい。少なくとも一方の長側面108に、つまみねじ等のロック部材118が設けられてよい。短側面108sは弧状であってよく、一方、長側面は平坦であってよい。短側面108sは、リッジ108rを含んでよい。ロック部材118は、支持ボディ106の内側でプランジャ102の第2のセグメント102bの外面102sに直接結合されるように構成されてよい。
図10B及び10Cによれば、プランジャ102の第2のセグメント102bはスリーブ102sを含んでよく、スリーブ102sは、長手方向に延びるチャネル102cを有する。チャネル102cは、スタイレット101の近位端部分101pより上方まで延びてよい。スタイレット101の近位端部分101pは、チャネル102cに固着されてよく、それによって、スリーブ102s(プランジャワイヤ外側ボディ)とスタイレット101は連動して摺動する。
【0087】
図10B及び10Cによれば、プランジャアセンブリ100は支持チューブ1101を更に含んでよく、支持チューブ1101は、ルアーハブ105のシール103とプランジャフランジ110との間にあり、スタイレット101の一部をすっぽり包む。支持チューブ1101は遠位端部分1101dを有してよく、遠位端部分1101dは、ルアーハブ105の、内側に延びるネック105の中にあり、スリーブ102のチャネル102cと軸方向に並んでいる。
【0088】
図10Cに示すように、支持チューブ1101の近位端部分1101pは、末端が支持フランジ108の外側端部に近接してよい。支持チューブ1101は、スリーブ102sの内側にあってよく、末端がスタイレット101の近位端部分101pに達していなくてよい。スタイレット101の近位端部分101pは、プランジャフランジ110の下方のチャネル102cの内側で、接着剤1112でプランジャフランジ110に固着されてよい。
【0089】
スタイレット101は、支持チューブ1101の内側を長手方向に摺動するように構成されてよく、スリーブ102は、支持チューブ1101の外側を長手方向に摺動してよい。支持チューブ1101は、支持ボディ106の内側で固定された構成を有してよい。支持チューブ1101をプランジャアセンブリ100内の固定位置に固定する為に、支持チューブ1101の少なくとも一方の端部部分が(例えば接着剤1113で)支持チューブ106に固着されてよい(図では間接的に支持チューブ106とつながっている)。
【0090】
次に
図11及び12を参照すると、プランジャアセンブリの別の実施形態100’が示されている。この実施形態では、スタイレット101を平行移動させる為に、プランジャ102の代わりに駆動ねじ220が使用されてよく、これにより、プランジャフランジを使用する手動プランジャ操作よりも高い精度が得られる。スタイレット101は、シール103を有するルアーハブ105より上方の、支持ボディ106の内側で駆動ねじ220につながれてよい。プランジャアセンブリ100’は、ねじ220に固着されたカラー210を含んでよい。カラー210を回転させることによって駆動ねじ220を平行移動させることが可能であり、それによって、スタイレット101が後退又は延伸する。
【0091】
カラー210を完全に一回転させることにより、スタイレット101を規定の距離だけ平行移動させることが可能であり、例えば、約0.1~2mmの範囲の距離だけ平行移動させることが可能である。幾つかの実施形態では、カラー210を一回転させると、スタイレット101が長手方向に約1mm移動(後退又は延伸)するように構成されてよい。
【0092】
スタイレット101は、駆動ねじ220に固着されてよい。スタイレットの近位端部分101pは、ねじ220のチャネル内に延びてよい。スタイレット101の近位端部分101pは、ねじ220に接着されてよい。
【0093】
カラー210は、支持ボディ106に固定されてよい。支持ボディ106内に止めねじ240が設けられてよい。止めねじ240は、カラー210の内側で駆動ねじ220が回転しないようにすることが可能である。
【0094】
ダウエルピン230がカラー210の内部溝230gと係合してよく、これは、カラー210を支持ボディ106に組み付けられたままにすること、及び/又は駆動ねじ220が回転しないようにすることの為である。カラー210は内側ねじ山212を有してよく、これは駆動ねじ220のねじ山221と噛み合う。
【0095】
駆動ねじ220の近位端部分220pがカラー210の外に延びてよい。ねじ山212は、カラー210の内側の、カラー210のサブ長さにわたって延びてよい。
【0096】
図示していないが、上述の支持チューブ1101は、駆動ねじ220の下方の、支持ボディ106内に設けられてよい。
【0097】
図14を参照すると、アセンブリ200は、ベース又はフレーム(例えば、患者に固定可能な、又は患者の上方にある保持器に固定可能な定位固定フレーム)で保持可能な軌道ガイド1250tの管状支持物260を貫通して延びてよい。遠位端10dを標的部位Aに置いて物質Fを抜去又は送達する為に、ロック170を使用して、アセンブリ200を管状支持物260内の所望の位置に固定することが可能である。患者計画及びエントリプロトコル及びフレーム及び軌道ガイドの説明については、例えば、参照によってその内容が、本明細書において完全な形で引用されているかのように本明細書に組み込まれている、米国特許第8,315,689号、同第8,175,677号、及び同第8,374,677号、並びに米国特許出願公開第2010/0198052号(整理番号12/694,865)を参照されたい。
【0098】
図13は、MRI誘導介入システム500を示しており、これは、MRIスキャナ1220と、少なくとも1つの回路1230cを有する臨床医ワークステーション1230と、少なくとも1つのディスプレイ1232と、MRI適合軌道ガイド1250tと、流体移送アセンブリ200と、を有する。システム500は、MRI画像データと少なくとも1つの外科用器具(例えば、管状カニューレ20及び/又は軌道ガイド1250t)のあらかじめ定義されたデータとを使用して標的解剖学的空間の近リアルタイム又はリアルタイムの可視化をレンダリング又は生成して、画像データをセグメント化し、レンダリングされた可視化の中の軌道ガイド1250t及びカニューレ20を、患者に対して解剖学的に位置合わせされた3D空間(MRI実施形態の場合はMRI外科的空間)に正しい方位及び位置で配置するように構成されてよい。軌道ガイド1250t及びカニューレ20は、トラッキング構成要素、監視構成要素、及び/又は他の介入構成要素を含んでよく、又はこれらと連係してよい。
【0099】
軌道ガイド1250tは、アセンブリ200を患者内の所望位置に正確に位置決めする為に、X-Yの調節、及び/又はピッチ及びロールの調節のうちの1つ以上を行うように構成されてよい。適切な軌道ガイドの例の更なる説明については、参照によってその内容が、本明細書において完全な形で引用されているかのように本明細書に組み込まれている米国特許第8,374,677号を参照されたい。但し、注意として、他の軌道ガイド構成も使用されてよく、本発明の実施形態は、本明細書に記載の軌道ガイドの例に限定されない。
【0100】
幾つかの実施形態によれば、本システムは、定義されたワークフローステップ及びインタラクティブな可視化による、ほぼ自動化又は半自動化された、比較的使いやすいMRI誘導システムを提供するように構成されている。特定の実施形態では、本システムは、標的箇所及び入口箇所を見つけるステップと、標的に向かうカニューレの、計画された軌道への位置合わせを誘導するステップと、カニューレアセンブリ200の挿入を監視するステップと、配置の修正が必要な場合に(X-Y)位置を調節するステップと、を別々に有するワークフローを定義及び提示する。特定のMRスキャンが行われているステップの間に、回路又はコンピュータモジュールは、コンソールから入力すべきスキャン平面の中心及び角度のデータを表示してよい。ワークステーション/回路は、MRスキャナと受動的又は能動的に通信してよい。本システムは又、機能性患者データ(例えば、ファイバトラック、fMRI等)を使用して、標的外科部位及び/又はアクセス経路の計画又は精緻化を支援するように構成されてよい。
【0101】
システム500は又、本システムとMRIスキャナ1220及びフィルタ等との連係を可能にするデカップリング/チューニング回路を含んでよい。例えば、参照によってその内容が、本明細書において完全な形で引用されているかのように本明細書に組み込まれている米国特許第6,701,176号及び同第6,904,307号、並びに米国特許出願公開第2003/0050557号を参照されたい。
【0102】
アセンブリ200は、所望の治療物質(例えば、抗原、遺伝子治療、化学療法、又は幹細胞、又は他の治療タイプの治療物質)を流動的に導入、注入、及び/又は注射するように構成されてよい。
【0103】
幾つかの実施形態では、体内流体移送アセンブリ200は、薬物治療を脳に送達するように構成されている。薬剤治療は、流体チャネル/流路10f(
図6B)を通って標的部位又は領域A(
図14)に送達される物質Fを含んでよく、創薬、動物又はヒトの臨床試験、及び/又は認可された医療処置の為の任意の適切な所望の物質であってよい。幾つかの実施形態によれば、物質Fは液体又はスラリーである。腫瘍の場合には、物質は化学療法の(細胞毒性の)流体であってよい。幾つかの実施形態では、物質は、ワクチン又は他の薬剤(例えば、樹状細胞等の抗原提示細胞)として働く特定タイプの有利な細胞を含んでよい。樹状細胞は、1つ以上の抗原により、且つ/又は1つ以上の抗原をエンコードするRNAによりパルスされてよい。抗原の例として、腫瘍特異的抗原又は病原体特異的抗原がある。腫瘍特異的抗原の例として、腎細胞腫瘍、黒色腫、白血病、骨髄腫、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、肺がん、及び膀胱がん等の腫瘍からの抗原があり、これらに限定されない。病原体特異的抗原の例として、HIV又はHCVに対して特異的な抗原があり、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、物質Fは、放射性シード等の放射性物質を含んでよい。本発明の実施形態に従って標的部位に送達される物質Fは、次の表1にリストした以下の薬剤(それらの任意の組み合わせを含む)を含んでよいが、それらに限定されない。
【表1a】
【表1b】
【表1c】
【表1d】
【表1e】
【表1f】
【0104】
幾つかの実施形態によれば、体内流体移送システム200は、約1~3μL/分の範囲の注入レートで患者に送達される注入液送達システムとして構成されてよい。
【0105】
外科用カニューレアセンブリ200(又は他の任意の外科用(例えば、送達)カニューレ)の挿入は、外科用カニューレアセンブリ200によってできた、患者組織の隙間を参照することによって近リアルタイムでトラッキングされ、MR画像に反映されてよい。幾つかの実施形態では、1つ以上のMRI可視基準マーカが、外科用管状カニューレ10上に設けられ、MRスキャン及び処理され、UI上に表示されてよい。幾つかの実施形態では、外科用カニューレアセンブリ200の各構成要素がそれ自体、MRI可視材料で成形され、MRスキャン及び処理され、UI上に表示されてよい。
【0106】
幾つかの実施形態によれば、外科用カニューレ/プランジャアセンブリ200は、MRI処置中に局所組織のMRI信号を拾い上げるように構成された埋め込み式体内MRIアンテナ(図示せず)を含んでよい。MRIアンテナは、外科用カニューレの遠位端部分にあるように構成されてよい。幾つかの実施形態では、アンテナは、焦点距離又は信号受信距離が約1~5cmであり、典型的には、局所組織からMRI信号を受信する為の視距離が約1~2.5cmであるように構成されている。MRIアンテナは、同軸アンテナ及び/又は3軸アンテナを含むものとして形成されてよい。しかしながら、他のアンテナ構成も使用されてよく、例えば、ホイップアンテナ、コイルアンテナ、ループレスアンテナ、及び/又はループアンテナも使用されてよい。例えば、参照によってその内容が、本明細書において完全な形で引用されているかのように本明細書に組み込まれている米国特許第5,699,801号、同第5,928,145号、同第6,263,229号、同第6,606,513号、同第6,628,980号、同第6,284,971号、同第6,675,033号、及び同第6,701,176号を参照されたい。又、参照によってその内容が、本明細書において完全な形で引用されているかのように本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2003/0050557号、同第2004/0046557号、及び同第2003/0028095号も参照されたい。
【0107】
本装置については、例示的に、患者に物質を送達する送達装置及び方法として説明してきたが、本発明の幾つかの実施形態によれば、本装置は、患者から物質(例えば、髄液、心液、又は神経液)を抜去及び/又は吸引する為に使用されてよい。従って、当然のことながら、本明細書に開示の装置及び方法は、物質を患者内に移送すること、及び/又は物質を患者から移送することに使用されてよい。
【0108】
本明細書では主にMRI誘導の挿入及び注入の処置に関して本装置を説明してきたが、幾つかの実施形態では、本装置は、MRI誘導を伴わない処置で使用されてよく、例えば、他の画像化モダリティ(例えば、CT画像化システムであり、これに限定されない)を使用する処置で使用されてよく、その場合は画像誘導手術ナビゲーションが必要になる。
【0109】
カニューレ/プランジャアセンブリ200については、軌道ガイド1250tに結合された外科用アセンブリ200により説明してきたが、他のタイプの軌道ガイド又は定位固定フレームが使用されてもよく、定位固定フレーム又は軌道ガイドが使用されなくてもよい。
【0110】
図15は、本発明の実施形態に従って実施可能な例示的アクションのフローチャートである。ルアーコネクタをその近位端に有し、長手方向の反対側に遠位端を有するカニューレアセンブリが用意される(ブロック600)。カニューレアセンブリに結合可能な又は結合されたプランジャアセンブリが用意される。プランジャアセンブリは、近位端から、カニューレアセンブリの遠位端に近接する位置又は遠位端と面一の位置又は遠位端より遠くの位置まで延びるスタイレットを含む(ブロック610)。標的流体が、カニューレアセンブリの遠位端の、スタイレットの周囲の、スタイレットとカニューレアセンブリとによって作成/画定された流体チャネル/流路に取り入れられる(ブロック620)。カニューレアセンブリとプランジャアセンブリは連係して、流体を遠位端部分及びその上流(但し、典型的にはプランジャルアーハブより下方)に取り入れさせる真空を発生させることが可能である。
【0111】
プランジャアセンブリは、少なくとも一部が支持ボディの内側にあって、スタイレットと結合されている駆動ねじと、駆動ねじと回転可能に結合されて、スタイレットを後退又は延伸させるように構成されたカラーと、を含んでよい(ブロック617)。
【0112】
プランジャアセンブリが結合されていて、流体を保持しているカニューレアセンブリが、手術ナビゲーションシステムの軌道ガイド内に配置されてよく、それによって、プランジャフランジは軌道ガイドより上方にあり、カニューレアセンブリ及びスタイレットの遠位端は患者に体内にある(ブロック622)。
【0113】
流体は、プランジャをカニューレアセンブリの遠位端に向かって押して、取り入れられていた流体をディスペンスすることによって標的脳内位置に送達されてよい(ブロック624)。
【0114】
プランジャアセンブリは、ユーザがプランジャを押したり引いたりして流体を取り入れたりディスペンスしたりすることを可能にするプランジャフランジを含む(ブロック625)。
【0115】
プランジャアセンブリは、(少なくとも送達/ディスペンス動作の間に)カニューレアセンブリの近位端及び遠位端から(同時に)延伸するように構成されている(ブロック611)。
【0116】
プランジャアセンブリのルアーコネクタが、カニューレアセンブリのルアーコネクタに接続されてよい(ブロック613)。
【0117】
プランジャアセンブリは、ルアーコネクタにおいて内部シールを含み、スタイレットは、支持ボディの内側でプランジャセグメント又は駆動ねじと結合する(ブロック614)。
【0118】
プランジャセグメントは、第1の断面サイズの第1のセグメントと、より大きな断面サイズの第2のセグメントと、を有してよく、任意選択で、第1のセグメントはスタイレットであり、第2のセグメントは、スタイレットに固着されたスリーブによって画定されてよい(ブロック615)。
【0119】
流体は幹細胞を含む(ブロック627)。
【0120】
上述は本発明の例示的説明であり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。本発明の2、3の例示的実施形態を説明してきたが、当業者であれば容易に理解されるように、本発明の教示及び有利点から実質的に逸脱しない限り、それらの例示的実施形態において様々な修正が可能である。従って、そのような修正は全て、特許請求項において定義されている本発明の範囲に含まれるものとする。本発明は以下の特許請求項によって定義され、特許請求項の等価物はこれに包含されるものとする。
【国際調査報告】