(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(54)【発明の名称】組み合わせ
(51)【国際特許分類】
A61K 31/496 20060101AFI20230222BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20230222BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230222BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230222BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20230222BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230222BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230222BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20230222BHJP
A61K 31/138 20060101ALI20230222BHJP
A61K 31/566 20060101ALI20230222BHJP
A61K 31/585 20060101ALI20230222BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
A61K31/496
A61K31/437
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K31/5377
A61P35/00
A61P35/02
A61P15/00
A61K31/138
A61K31/566
A61K31/585
A61P35/04
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538212
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-16
(86)【国際出願番号】 US2020065398
(87)【国際公開番号】W WO2021127036
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518346476
【氏名又は名称】リキュリウム アイピー ホールディングス リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サマター,アフメド アブディ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジアリ
(72)【発明者】
【氏名】マ,ジアンフィ
(72)【発明者】
【氏名】イザディ,フーマン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ピーター キンファ
(72)【発明者】
【氏名】ヘグデ,サイー ガジャナン
(72)【発明者】
【氏名】ピンチマン,ジョセフ ロバート
(72)【発明者】
【氏名】バンカー,ケビン デュアン
(72)【発明者】
【氏名】ドネイト,フェルナンド
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C084AA22
4C084NA14
4C084ZA81
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC20
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC07
4C086BC31
4C086CB05
4C086DA09
4C086DA13
4C086GA04
4C086GA07
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA23
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206NA14
4C206ZA81
4C206ZB26
4C206ZB27
4C206ZC75
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、がんなどの疾患又は状態を治療するための化合物の組み合わせである。疾患又は状態を治療するための化合物の組み合わせは、SERD阻害剤及びBcl-2阻害剤を、前述のいずれかの薬学的に許容される塩と共に含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患又は状態を治療するための化合物の組み合わせの使用であって、前記組み合わせは、有効量の化合物(A)又はその薬学的に許容される塩と、有効量の化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上と、を含み、
前記化合物(A)は、以下の構造を有し、
【化1】
前記化合物(B)のうちの1つ以上は、以下の構造を有し、
【化2】
式中、
R
1aは、水素、ハロゲン、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル、置換又は非置換のC
1~C
6ハロアルキル、置換又は非置換のC
3~C
6シクロアルキル、置換又は非置換のC
1~C
6アルコキシ、非置換のモノ-C
1~C
6アルキルアミン、及び非置換のジ-C
1~C
6アルキルアミンからなる群から選択され、
各R
2aは、ハロゲン、置換若しくは非置換のC
1~C
6アルキル、置換若しくは非置換のC
1~C
6ハロアルキル、及び置換若しくは非置換のC
3~C
6シクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、
m-aが2若しくは3である場合、各R
2aは、ハロゲン、置換若しくは非置換のC
1~C
6アルキル、置換若しくは非置換のC
1~C
6ハロアルキル、及び置換若しくは非置換のC
3~C
6シクロアルキルからなる群から独立して選択され、若しくは2つのR
2a基は、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって置換若しくは非置換のC
3~C
6シクロアルキル若しくは置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクリルを形成し、
R
4aは、NO
2、S(O)R
6a、SO
2R
6a、ハロゲン、シアノ、及び非置換C
1~C
6ハロアルキルからなる群から選択され、
R
5aは、-X
1a-(Alk
1a)
n-a-R
7aであり、
Alk
1aは、非置換のC
1~C
4アルキレン、並びにフルオロ、クロロ、非置換のC
1~C
3アルキル、及び非置換のC
1~C
3ハロアルキルから独立して選択される1、2、若しくは3つの置換基で置換されたC
1~C
4アルキレンから選択され、
R
6aは、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル、置換又は非置換のC
1~C
6ハロアルキル、及び置換又は非置換のC
3~C
6シクロアルキルからなる群から選択され、
R
7aは、置換又は非置換のC
1~C
6アルコキシ、置換又は非置換のC
3~C
10シクロアルキル、置換又は非置換の3~10員ヘテロシクリル、ヒドロキシ、アミノ、置換又は非置換の一置換アミン基、置換又は非置換の二置換アミン基、置換又は非置換のN-カルバミル、置換又は非置換のC-アミド、及び置換又は非置換のN-アミドから選択され、
m-aは、0、1、2、又は3であり、
n-aは、0及び1からなる群から選択され、
X
1aは、-O-、-S-、及び-NH-からなる群から選択される、使用。
【請求項2】
疾患又は状態を治療するための化合物の組み合わせの使用であって、前記組み合わせは、有効量の化合物(C)と、有効量の化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上と、を含み、
前記化合物(C)は、以下の構造を有し、
【化3】
式中、
式中、X
1、Y
1、及びZ
1は、それぞれ独立して、C又はNであり、
第1に、X
1、Y
1、及びZ
1の少なくとも1つが、Nであることを条件とし、
第2に、X
1、Y
1、及びZ
1の各々が、非荷電であることを条件とし、
第3に、点線のうちの2つが二重結合を示すことを条件とし、
第4に、X
1、Y
1、及びZ
1の価数が、それぞれ独立して、H及びR
12から選択される置換基への付着によって満たされ得ることを条件とし、
X
2は、Oであり、
A
1は、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルからなる群から選択され、
R
1は、任意に置換されたC
1~6アルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたシクロアルキル(C
1~6アルキル)、任意に置換されたシクロアルケニル(C
1~6アルキル)、任意に置換されたアリール(C
1~6アルキル)、任意に置換されたヘテロアリール(C
1~6アルキル
)、及び任意に置換されたヘテロシクリル(C
1~6アルキル)からなる群から選択され、
R
2及びR
3は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、任意に置換されたC
1~6アルキル、及び任意に置換されたC
1~6ハロアルキルからなる群から選択されるか、又は、R
2及びR
3は、R
2及びR
3が付着する炭素と一緒に、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルケニル、若しくは任意に置換されたヘテロシクリルを形成し、
R
4及びR
5は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、任意に置換されたC
1~6アルキル、及び任意に置換されたC
1~6ハロアルキルからなる群から選択されるか、又は、R
4及びR
5は、R
4及びR
5が付着する炭素と一緒に、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルケニル、若しくは任意に置換されたヘテロシクリルを形成し、
R
6、R
7、R
8、及びR
9は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたハロアルキル、任意に置換された一置換アミン、及び任意に置換された二置換アミンからなる群から選択され、
R
10は、水素、ハロゲン、任意に置換されたアルキル、又は任意に置換されたシクロアルキルであり、
R
11は、水素であり、
R
12は、水素、ハロゲン、任意に置換されたC
1~3アルキル、任意に置換されたC
1~3ハロアルキル、又は任意に置換されたC
1~3アルコキシであり、
前記化合物(B)のうちの1つ以上は、以下の構造を有し、
【化4】
式中、
R
1aは、水素、ハロゲン、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル、置換又は非置換のC
1~C
6ハロアルキル、置換又は非置換のC
3~C
6シクロアルキル、置換又は非置換のC
1~C
6アルコキシ、非置換のモノ-C
1~C
6アルキルアミン、及び非置換のジ-C
1~C
6アルキルアミンからなる群から選択され、
各R
2aは、ハロゲン、置換若しくは非置換のC
1~C
6アルキル、置換若しくは非置換のC
1~C
6ハロアルキル、及び置換若しくは非置換のC
3~C
6シクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、
m-aが2若しくは3である場合、各R
2aは、ハロゲン、置換若しくは非置換のC
1~C
6アルキル、置換若しくは非置換のC
1~C
6ハロアルキル、及び置換若しくは非置換のC
3~C
6シクロアルキルからなる群から独立して選択され、若しくは2つのR
2a
基は、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって置換若しくは非置換のC
3~C
6シクロアルキル若しくは置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクリルを形成し、
R
4aは、NO
2、S(O)R
6a、SO
2R
6a、ハロゲン、シアノ、及び非置換C
1~C
6ハロアルキルからなる群から選択され、
R
5aは、-X
1a-(Alk
1a)
n-a-R
7aであり、
Alk
1aは、非置換のC
1~C
4アルキレン、並びにフルオロ、クロロ、非置換のC
1~C
3アルキル、及び非置換のC
1~C
3ハロアルキルから独立して選択される1、2、若しくは3つの置換基で置換されたC
1~C
4アルキレンから選択され、
R
6aは、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル、置換又は非置換のC
1~C
6ハロアルキル、及び置換又は非置換のC
3~C
6シクロアルキルからなる群から選択され、
R
7aは、置換又は非置換のC
1~C
6アルコキシ、置換又は非置換のC
3~C
10シクロアルキル、置換又は非置換の3~10員ヘテロシクリル、ヒドロキシ、アミノ、置換又は非置換の一置換アミン基、置換又は非置換の二置換アミン基、置換又は非置換のN-カルバミル、置換又は非置換のC-アミド、及び置換又は非置換のN-アミドから選択され、
m-aは、0、1、2、又は3であり、
n-aは、0及び1からなる群から選択され、
X
1aは、-O-、-S-、及び-NH-からなる群から選択され、
ただし、前記化合物(C)は、
【化5】
又はその薬学的に許容される塩であり得ない、使用。
【請求項3】
前記化合物(C)が、
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記化合物(B)が、
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記疾患又は状態が、乳がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮がん、膣がん、外陰がん、膀胱がん、脳がん、骨髄がん、大腸がん、食道がん、肝細胞がん、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞又はB細胞由来のリンパ系悪性腫瘍、黒色腫、骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、頭部及び頸部がん(口腔がんを含む)、非小細胞肺がん、慢性リンパ性白血病、骨髄腫、前立腺がん、小細胞肺がん、脾臓がん、真性多血症、甲状腺がん、子宮内膜がん、胃がん、胆嚢がん、胆管がん、精巣がん、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング腫瘍、及びウィルムス腫瘍からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
前記疾患又は状態が、乳がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮がん、膣がん、及び外陰がんからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
前記疾患又は状態が乳がんである、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
前記乳がんが、いかなる点変異ER変異も含まない、請求項5~7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記疾患又は状態が、エストロゲン受容体α(ERα)をコードするエストロゲン受容体1(ESR1)内に少なくとも1つの点変異を有する乳がんであり、前記変異は、K303R、D538G、Y537S、E380Q、Y537C、Y537N、A283V、A546D、A546T、A58T、A593D、A65V、C530L、D411H、E279V、E471D、E471V、E523Q、E542G、F461V、F97L、G145D、G160D、G274R、G344D、G420D、G442R、G557R、H524L、K252N、K481N、K531E、L370F、L453F、L466Q、L497R、L536H、L536P、L536Q、L536R、L540Q、L549P、M388L、M396V、M421V、M437I、M522I、N156T、N532K、N69K、P147Q、P222S、P535H、R233G、R477Q、R503W、R555H、S282C、S329Y、S338G、S432L、S463P、S47T、S576L、V392I、V418E、V478L、V533M、V534E、Y537D及びY537Hからなる群から選択される、請求項5~7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記乳がんが、ER陽性乳がんである、請求項5~9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記乳がんが、ER陽性/HER2陰性乳がんである、請求項5~9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記乳がんが、局所乳がんである、請求項5~11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
前記乳がんが、転移性乳がんである、請求項5~11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
前記乳がんが、再発性乳がんである、請求項5~13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
前記乳がんが、内分泌療法で以前に治療されている、請求項5~14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
前記治療が、選択的ER調節剤(SERM)であった、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記選択的ER調節剤が、タモキシフェン、ラルキシフェン、オスペミフェン、バゼドキシフェン、トレミフェン、及びラソフォキシフェン、又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記治療が、選択的ER分解剤(SERD)であった、請求項15に記載の使用。
【請求項19】
前記選択的ER分解剤が、フルベストラント、(E)-3-[3,5-ジフルオロ-4-[(1R,3R)-2-(2-フルオロ-2-メチルプロピル)-3-メチル-1,3,4,9-テトラヒドロピリド[3,4-b]インドール-1-イル]フェニル]プロパ-2-エン酸(AZD9496)、(R)-6-(2-(エチル(4-(2-(エチルアミノ)エチル)ベンジル)アミノ)-4-メトキシフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-オール(elacestrant、RAD1901)、(E)-3-(4-((E)-2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-(1H-インダゾール-5-イル)ブタ-1-エン-1-イル)フェニル)アクリル酸(Brilanestrant、ARN-810、GDC-0810)、(E)-3-(4-((2-(2-(1,1-ジフルオロエチル)-4-フルオロフェニル)-6-ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン-3-イル)オキシ)フェニル)アクリル酸(LSZ102)、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-((5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エナミド(H3B-6545)、(E)-3-(4-((2-(4-フルオロ-2,6-ジメチルベンゾイル)-6-ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン-3-イル)オキシ)フェニル)アクリル酸(rintodestrant、G1T48)、D-0502、SHR9549、ARV-471、3-((1R,3R)-1-(2,6-ジフルオロ-4-((1-(3-フルオロプロピル)アゼチジン-3-イル)アミノ)フェニル)-3-メチル-1,3,4,9-テトラヒドロ-2H-ピリド[3,4-b]インドール-2-イル)-2,2-ジフルオロプロパン-1-オール(giredestrant、GDC-9545)、(S)-8-(2,4-ジクロロフェニル)-9-(4-((1-(3-フルオロプロピル)ピロリジン-3-イル)オキシ)フェニル)-6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[7]アヌレン-3-カルボン酸(SAR439859)、N-[1-(3-フルオロプロピル)アゼチジン-3-イル]-6-[(6S,8R)-8-メチル-7-(2,2,2-トリフルオロエチル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-ピラゾロ[4,3-f]イソキノリン-6-イル]ピリジン-3-アミン(AZD9833)、OP-1250、及びLY3484356、又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請
求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記治療が、アロマターゼ阻害剤であった、請求項15に記載の使用。
【請求項21】
前記アロマターゼ阻害剤が、ステロイド性アロマターゼ阻害剤である、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
前記ステロイド性アロマターゼ阻害剤が、エキセメスタン及びテストラクトン、又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記アロマターゼ阻害剤が、非ステロイド性アロマターゼ阻害剤である、請求項20に記載の使用。
【請求項24】
前記ステロイド性アロマターゼ阻害剤が、anastazole及びletrazole、又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
前記乳がんが、以前に治療されたことがない、請求項5~13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
前記乳がんが、女性において存在している、請求項5~25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項27】
前記対象が、閉経前の女性である、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記対象が、閉経期前後の女性である、請求項26に記載の使用。
【請求項29】
前記対象が、閉経期の女性である、請求項26に記載の使用。
【請求項30】
前記乳がんが、閉経後の女性に存在している、請求項26に記載の使用。
【請求項31】
前記乳がんが、男性において存在している、請求項5~25のいずれか一項に記載の使用。
【請求項32】
前記乳がんが、15pg/mL超~350pg/mLの範囲の血清エストラジオール濃度を有する対象において存在している、請求項5~31のいずれか一項に記載の使用。
【請求項33】
前記乳がんが、15pg/mL以下の血清エストラジオール濃度を有する対象において存在している、請求項5~31のいずれか一項に記載の使用。
【請求項34】
前記乳がんが、10pg/mL以下の血清エストラジオール濃度を有する対象において存在している、請求項5~31のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
任意の優先権出願を参照することによる組み込み
例えば、本出願と共に提出される出願データシート又は請求において、2019年12月20日に出願された米国仮出願第62/952,056号、2020年4月3日に出願された同第63/004,978号、及び2020年4月14日に出願された同願第63/009,916号を含む、外国又は国内の優先権の主張が確認される任意の、そして、全ての出願が、37 CFR 1.57並びに規則4.18及び20.6に基づき、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、化学、生化学、及び医学の分野に関する。より具体的には、本明細書に開示されるのは、併用療法、並びに、本明細書に記載の併用療法を用いて疾患及び/又は状態を治療する方法である。
【背景技術】
【0003】
がんは、身体の他の部分に侵入又は拡散する可能性がある異常な細胞増殖を伴う疾患のファミリーである。今日のがん治療には、手術、ホルモン療法、放射線、化学療法、免疫療法、標的療法、及びそれらの組み合わせが含まれる。生存率は、がんの種類によって、及びがんが診断されるステージによって変化する。2019年には、米国において約180万人ががんと診断され、推定606,880人ががんで死亡している。したがって、有効ながん治療の必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、有効量の化合物(A)又はその薬学的に許容される塩、及び有効量の化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を含み得る、化合物の組み合わせに関する。
【0005】
本明細書に記載の他の実施形態は、有効量の化合物(C)又はその薬学的に許容される塩、及び有効量の化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を含み得る、化合物の組み合わせに関する。
【0006】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、疾患又は状態を治療するための化合物の組み合わせの使用に関し、組み合わせは、有効量の化合物(A)又はその薬学的に許容される塩、及び有効量の化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を含む。本明細書に記載の他の実施形態は、疾患又は状態を治療するための薬剤の製造における化合物の組み合わせの使用に関し、組み合わせは、有効量の化合物(A)又はその薬学的に許容される塩、及び有効量の化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を含む。
【0007】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、疾患又は状態を治療するための化合物の組み合わせの使用に関し、組み合わせは、有効量の化合物(C)又はその薬学的に許容される塩、及び有効量の化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を含む。本明細書に記載の他の実施形態は、疾患又は状態を治療するための薬剤の製造における化合物の組み合わせの使用に関し、組み合わせは、有効量の化合物(C)又はその薬学的に許容される塩、及び有効量の化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、疾患又は状態は本明細書に記載のがんであってよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】MCF-7マウスモデルにおける化合物(A)及び化合物5の単剤療法及び併用療法に応答した腫瘍体積を示す。
【
図3】MCF-7マウスモデルにおける化合物(A)及び化合物5の単剤療法及び併用療法に応答した腫瘍体積を示す。
【
図4】MCF-7マウスモデルにおける化合物(A)及び化合物6の単剤療法及び併用療法に応答した腫瘍体積を示す。
【0010】
化合物(A)、及びその薬学的に許容される塩の定義
別段の定めがない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で参照されるすべての特許、出願、公開出願、及び他の出版物は、特に明記しない限り、参照によりそれらの全体が組み込まれる。本明細書のある用語に対して複数の定義が存在する場合、特に明記しない限り、この節にある定義が優先される。
【0011】
ある基が「任意に置換」されていると記載されるときはいつでも、その基は、非置換であってもよく、又は示された置換基のうちの1つ以上で置換されていてもよい。同様に、ある基が「非置換又は置換」であると記載されるとき、置換の場合は、置換基(複数可)が指示された置換基のうちの1つ以上から選択されてもよい。置換基が指示されていない場合、指示された「任意に置換された」又は「置換された」基が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、シクロアルキル(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、ヘテロシクリル(アルキル)、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、シアノ、ハロゲン、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、ニトロ、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、一置換アミノ基、及び二置換アミノ基から個々に、かつ独立して選択された1つ以上の基で置換されてもよいことを意味する。
【0012】
本明細書で使用される場合、「a」及び「b」が整数である「Ca~Cb」は、基における炭素原子の数を指す。示された基は、「a」~「b」個(a及びbを含む)の炭素原子を含有することができる。したがって、例えば、「C1~C4アルキル」基は、1~4個の炭素を有するすべてのアルキル基、つまり、CH3-、CH3CH2-、CH3CH2CH2-、(CH3)2CH-、CH3CH2CH2CH2-、CH3CH2CH(CH3)-、及び(CH3)3C-を指す。「a」及び「b」が指定されない場合、これらの定義に記載される最も広い範囲が想定されるものとする。
【0013】
2つの「R」基が「一緒になって」いると記載される場合、R基とR基が結合する原子とは、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環を形成することができる。例えば、限定することなく、NRaRb基のRaとRbが「一緒になって」いると示される場合、それらが互いに共有結合して環を形成することを意味する。
【0014】
【0015】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、完全に飽和した脂肪族炭化水素基を指す。アルキル部分は、分枝鎖又は直鎖であってもよい。分枝鎖アルキル基の例としては、イソ-プロピル、sec-ブチル、t-ブチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。直鎖アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-へキシル、n-ヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、1~30個の炭素原子を有し得る(本明細書中に現れる場合は常に、「1~30」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「1~30個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大30個の炭素原子からなり得ることを意味するが、本定義は、数値範囲が指定されていない「アルキル」という用語の場合も包含する)。アルキル基はまた、1~12個の炭素原子を有する中間サイズのアルキルであってもよい。アルキル基はまた、1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。アルキル基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0016】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない、炭素二重結合を含有する2~20個の炭素原子の一価直鎖又は分枝鎖基を指す。アルケニル基は、非置換であっても置換であってもよい。
【0017】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、1-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニルなどが挙げられるが、これらに限定されない、炭素三重結合を含有する2~20個の炭素原子の一価直鎖又は分枝鎖基を指す。アルキニル基は、非置換であっても置換であってもよい。
【0018】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、完全に飽和した(二重結合又は三重結合なし)単環式又は多環式炭化水素環系を指す。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合、架橋、又はスピロ様式で一緒に結合されてもよい。本明細書で使用される場合、「縮合」という用語は、2個の原子と1つの結合を共有する2つの環を指す。本明細書で使用される場合、「架橋シクロアルキル」という用語は、シクロアルキルが、非隣接原子を接続する1個以上の原子の連結を含有する、化合物を指す。本明細書で使用される場合、「スピロ」という用語は、1個の原子を共有する2つの環を指し、2つの環は、架橋によって結合されていない。シクロアルキル基は、環中に3~30個の原子、環中に3~20個の原子、環中に3~10個の原子、環中に3~8個の原子、又は環中に3~6個の原子を含有することができる。シクロアルキル基は、非置換であっても置換であってもよい。典型的なモノ-シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられるが、決してこれらに限定されない。縮合シクロアルキル基の例は、デカヒドロナフタレニル、ドデカヒドロ-1H-フェナレニル、及びテトラデカヒドロアントラセニルであり、架橋シクロアルキル基の例は、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、アダマンタニル、及びノルボルナニルであり、スピロシクロアルキル基の例としては、スピロ[3.3]ヘプタン及びスピロ[4.5]デカンが挙げられる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「シクロアルケニル」は、少なくとも1つの環中に1つ以上の二重結合を含有する、単環式又は多環式炭化水素環系を指すが、2つ以上が存在する
場合、二重結合は、すべての環全体にわたって完全に非局在化したπ電子系を形成することができない(そうでなければ、その基は、本明細書に定義される「アリール」である)。シクロアルケニル基は、環中に3~10個の原子又は環中に3~8個の原子を含有することができる。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合、架橋、又はスピロ様式で一緒に接続されてもよい。シクロアルケニル基は、非置換であっても置換であってもよい。
【0020】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキニル」は、少なくとも1つの環中に1つ以上の三重結合を含有する、単環式又は多環式炭化水素環系を指す。2つ以上の三重結合が存在する場合、三重結合は、全ての環全体にわたって完全に非局在化したπ電子系を形成することができない。シクロアルキニル基は、環(複数可)中に6~10個の原子又は環(複数可)中に6~8個の原子を含有することができる。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合、架橋、又はスピロ様式で一緒に結合されてもよい。シクロアルキニル基は、非置換又は置換であってもよい。
【0021】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、すべての環全体にわたって完全に非局在化したπ電子系を有する、炭素環式(すべてが炭素の)単環式又は多環式芳香環系(2つの炭素環が化学結合を共有する縮合環系を含む)を指す。アリール基中の炭素原子の数は異なり得る。例えば、アリール基は、C6~C14アリール基、C6~C10アリール基、又はC6アリール基であってもよい。アリール基の例としては、ベンゼン、ナフタレン、及びアズレンが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0022】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、1個以上のヘテロ原子(例えば、1個、2個、又は3個のヘテロ原子)、つまり、窒素、酸素、及び硫黄が挙げられるが、これらに限定されない、炭素以外の元素を含有する、単環式又は多環式芳香環系(完全に非局在化したπ電子系を有する環系)を指す。ヘテロアリール基の環中の原子の数は異なり得る。例えば、ヘテロアリール基は、環中に4~14個の原子、環中に5~10個の原子、又は環中に5~6個の原子を含有することができる。更に、「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つのアリール環及び少なくとも1つのヘテロアリール環、又は少なくとも2つのヘテロアリール環など、2つの環が少なくとも1つの化学結合を共有する、縮合環系を含む。ヘテロアリール環の例としては、フラン、フラザン、チオフェン、ベンゾチオフェン、フタラジン、ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、インドール、インダゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、プテリジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、及びトリアジンが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0023】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」又は「ヘテロアリシクリル」は、炭素原子と1~5個のヘテロ原子が一緒に前述の環系を構成する、3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員、最大18員の単環式、二環式、及び三環式環系を指す。複素環は、そのように位置している1つ以上の不飽和結合を任意選択的に含有し得るが、完全に非局在化したπ電子系は、すべての環全体にわたって発生しない。ヘテロ原子は、酸素、硫黄、及び窒素が挙げられるが、これらに限定されない、炭素以外の元素である。複素環は、ラクタム、ラクトン、環状イミド、環状チオイミド、及び環状カルバメートなどのオキソ系及びチオ系を含むように定義するために、1つ以上のカルボニル又はチオカルボニル官能基を更に含有してもよい。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合、架橋、又はスピロ様式で一緒に結合されてもよい。本明細書で使用される場合、「縮合」という用語は、2個の原子と1つの結合を共有する2つの環を指す。本明細書で使用される場合、「架橋ヘテロシクリル」又は「架橋ヘテロアリシクリル」という用語は、ヘテロシクリル又はヘテロアリシクリルが非隣接原子を接続する1個以上の原子の連結を含有する、化合物を指す。本明細書で使用される場合、「スピロ」という用語は、1個の原子を共有する2つの環を指し、2つの環は、架橋によって結合されていない。ヘテロシクリル及びヘテロアリシクリル基は、環(複数可)中に3~30個の原子、環(複数可)中に3~20個の原子、環(複数可)中に3~10個の原子、環(複数可)中に3~8個の原子、又は環(複数可)中に3~6個の原子を含有することができる。加えて、ヘテロ脂環式環中の任意の窒素は、四級化されてもよい。ヘテロシクリル又はヘテロ脂環式基は、置換されていても非置換であってもよい。そのような「ヘテロシクリル」又は「ヘテロアリシクリル」基の例としては、1,3-ジオキシン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-ジオキソラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソラン、1,3-オキサチアン、1,4-オキサチイン、1,3-オキサチオラン、1,3-ジチオール、1,3-ジチオラン、1,4-オキサチアン、テトラヒドロ-1,4-チアジン、2H-1,2-オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、トリオキサン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、モルホリン、オキシラン、ピペリジンN-オキシド、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ピロリドン、ピロリジオン、4-ピペリドン、ピラゾリン、ピラゾリジン、2-オキソピロリジン、テトラヒドロピラン、4H-ピラン、テトラヒドロチオピラン、チアモルホリン、チアモルホリンスルホキシド、チアモルホリンスルホン、及びそれらのベンゾ縮合類似体(例えば、ベンズイミダゾリジノン、テトラヒドロキノリン、及び/又は3,4-メチレンジオキシフェニル)が挙げられるが、これらに限定されない。スピロヘテロシクリル基の例としては、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.4]オクタン、及び2-アザスピロ[3.4]オクタンが挙げられる。
【0024】
本明細書で使用される場合、「アラルキル」及び「アリール(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として接続されるアリール基を指す。アラルキルの低級アルキレン及びアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。例としては、ベンジル、2-フェニルアルキル、3-フェニルアルキル、及びナフチルアルキルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアラルキル」及び「ヘテロアリール(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として接続されるヘテロアリール基を指す。ヘテロアラルキルの低級アルキレン及びヘテロアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。例としては、2-チエニルアルキル、3-チエニルアルキル、フリルアルキル、チエニルアルキル、ピロリルアルキル、ピリジルアルキル、イソオキサゾリルアルキル、及びイミダゾリルアルキル、並びにそれらのベンゾ縮合類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
「ヘテロアリシクリル(アルキル)」及び「ヘテロシクリル(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として接続される複素環式又はヘテロ脂環式基を指す。(ヘテロアリシクリル)アルキルの低級アルキレン及びヘテロシクリルは、置換されていても非置換であってもよい。例としては、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル(メチル)、ピペリジン-4-イル(エチル)、ピペリジン-4-イル(プロピル)、テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル(メチル)、及び1,3-チアジナン-4-イル(メチル)
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書で使用される場合、「低級アルキレン基」は、直鎖-CH2-連結基であり、それらの末端炭素原子を介して分子断片を接続するように結合を形成する。例としては、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン(-CH2CH2CH2-)、及びブチレン(-CH2CH2CH2CH2-)が挙げられるが、これらに限定されない。低級アルキレン基は、シクロアルキル基(例えば、
【0028】
【化2】
)で、低級アルキレン基の1つ以上の水素を置き換えることによって、かつ/又は同じ炭素上の両方の水素を置換することによって置換され得る。
【0029】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」は、式-ORを指し、式中、Rは、本明細書に定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)である。アルコキシの非限定的なリストは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシ、及びベンゾキシである。アルコキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0031】
本明細書で使用される場合、「アシル」は、カルボニル基を介して置換基として接続される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、及びヘテロシクリル(アルキル)を指す。例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ベンゾイル、及びアクリルが含まれる。アシルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0032】
「シアノ」基は、「-CN」基を指す。
【0033】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン原子」又は「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素などの元素周期律表の第7列の放射安定性原子のうちのいずれか1つを意味する。
【0034】
「チオカルボニル」基は、「-C(=S)R」基を指し、式中、Rは、O-カルボキシに関して定義されるものと同じであってもよい。チオカルボニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0035】
「O-カルバミル」基は、「-OC(=O)N(RARB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。O-カルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0036】
「N-カルバミル」基は、「ROC(=O)N(RA)-」基を指し、式中、R及びR
Aは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-カルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0037】
「O-チオカルバミル」基は、「-OC(=S)-N(RARB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。O-チオカルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0038】
「N-チオカルバミル」基は、「ROC(=S)N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-チオカルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0039】
「C-アミド」基は、「-C(=O)N(RARB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。C-アミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0040】
「N-アミド」基は、「RC(=O)N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-アミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0041】
「S-スルホンアミド」基は、「-SO2N(RARB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。S-スルホンアミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0042】
「N-スルホンアミド」基は、「RSO2N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-スルホンアミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0043】
「O-カルボキシ」基は、「RC(=O)O-」基を指し、式中、Rは、本明細書に定義される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。O-カルボキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0044】
「エステル」及び「C-カルボキシ」という用語は、「-C(=O)OR」基を指し、式中、Rは、O-カルボキシに関して定義されるものと同じであってもよい。エステル及
びC-カルボキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0045】
「ニトロ」基は、「-NO2」基を指す。
【0046】
「スルフェニル」基は、「-SR」基を指し、式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。スルフェニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0047】
「スルフィニル」基は、「-S(=O)-R」基を指し、式中、Rは、スルフェニルに関して定義されるものと同じであってもよい。スルフィニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0048】
「スルホニル」基は、「SO2R」基を指し、式中、Rは、スルフェニルに関して定義されるものと同じであってもよい。スルホニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0049】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」は、水素原子のうちの1つ以上がハロゲンによって置き変えられたアルキル基を指す(例えば、モノ-ハロアルキル、ジ-ハロアルキル、及びトリ-ハロアルキル)。そのような基としては、クロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1-クロロ-2-フルオロメチル、及び2-フルオロイソブチルが挙げられるが、これらに限定されない。ハロアルキルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0050】
本明細書で使用される場合、「ハロアルコキシ」は、水素原子のうちの1つ以上がハロゲンによって置き換えられたアルコキシ基を指す(例えば、モノ-ハロアルコキシ、ジ-ハロアルコキシ、及びトリ-ハロアルコキシ)。そのような基としては、クロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1-クロロ-2-フルオロメトキシ、及び2-フルオロイソブトキシが挙げられるが、これらに限定されない。ハロアルコキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0051】
本明細書で使用される場合、「アミノ」という用語は、-NH2基を指す。
【0052】
「一置換アミノ」基は、「-NHR」基を指し、式中、Rは、本明細書に定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。一置換アミノは、置換されていても非置換であってもよい。一置換アミノ基の例としては、-NH(メチル)、-NH(フェニル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
「二置換アミノ」基は、「-NRARB」基を指し、式中、RA及びRBは独立して、本明細書に定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。二置換アミノは、置換されていても非置換であってもよい。二置換アミノ基の例としては、-N(メチル)2、-N(フェニル)(メチル)、-N(エチル)(メチル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
置換基の数が指定されない場合(例えば、ハロアルキル)、1つ以上の置換基が存在し
てもよい。例えば、「ハロアルキル」は、同じ又は異なるハロゲンのうちの1つ以上を含んでもよい。別の例として、「C1~C3アルコキシフェニル」は、1個、2個、又は3個の原子を含有する同じ又は異なるアルコキシ基のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0055】
本明細書で使用される場合、ラジカルは、ラジカルを含有する種が別の種に共有結合され得るような、単一の不対電子を有する種を示す。したがって、これに関して、ラジカルは必ずしもフリーラジカルではない。むしろ、ラジカルは、より大きい分子の特定の部分を示す。「ラジカル」という用語は、「基」という用語と互換的に使用され得る。
【0056】
本明細書で使用される場合、化学基又は単位がアスタリスク(*)を含む場合、そのアスタリスクは、その基又は単位の別の構造への付着点を示す。
【0057】
本明細書で使用される場合、「連結基」は、2つ以上の他の基に接続するための複数の開放原子価を有するものとして示される化学基である。例えば、一般式-(CH2)n-(式中、nは、1~10の範囲内である)の低級アルキレン基は、それらの末端炭素原子を介して分子断片を接続するものとして本明細書の別の箇所に記載される連結基の例である。連結基の他の例としては、-(CH2)nO-、-(CH2)nNH-、-(CH2)nN(C1~C6アルキル)-、及び-(CH2)nS-が挙げられ、式中、各nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10である。当業者は、nが-(CH2)nO-などのいくつかの連結基に関して0であり得、その場合、連結基が単純に-O-であることを認識するであろう。当業者はまた、本明細書における非対称の連結基に対する言及が、その基の全ての配向に対する言及として理解されることを認識するであろう(特に明記しない限り)。例えば、本明細書における-(CH2)nO-に対する言及は、-(CH2)nO-及び-O-(CH2)n-の両方に対する言及として理解されることになる。
【0058】
「薬学的に許容される塩」という用語は、それが投与される生物に著しい刺激をもたらさず、かつ化合物の生物活性及び特性を無効にしない化合物の塩を指す。いくつかの実施形態では、塩は、化合物の酸付加塩である。薬学的塩は、化合物を無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸又は臭化水素酸)、硫酸、硝酸、及びリン酸(2,3-ジヒドロキシプロピルニ水素リン酸塩など)と反応させることによって得られ得る。薬学的塩はまた、化合物を有機酸、例えば、脂肪族若しくは芳香族カルボン酸若しくはスルホン酸、例えば、ギ酸、酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、サリチル酸、2-オキソペンタン二酸、又はナフタレンスルホン酸と反応させることによって得られ得る。薬学的塩はまた、化合物を塩基と反応させて、塩、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、又はリチウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム又はマグネシウム塩、炭酸塩の塩、重炭酸塩の塩、有機塩基の塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、C1~C7アルキルアミン、シクロへキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、並びにアルギニン及びリシンなどのアミノ酸を有する塩を形成することによって得ることができる。式(A)及び/又は(B)の化合物に関して、当業者は、窒素ベースの基(例えば、NH2)のプロトン化によって塩が形成される場合、窒素ベースの基が正電荷と会合し得(例えば、NH2がNH3
+になり得る)、正電荷が負の電荷を持つ対イオン(Cl-など)によってバランスがとられ得ることを理解する。
【0059】
1つ以上のキラル中心を有する本明細書に記載の任意の化合物において、絶対立体化学が明示的に示されない場合、各中心が独立して、R配置若しくはS配置、又はこれらの混合物であってもよいことが理解される。したがって、本明細書に提供される化合物は、鏡
像異性的に純粋な、鏡像異性的富化した、ラセミ混合物、ジアステレオマー的に純粋な化合物、ジアステレオマー的富化した化合物、又は立体異性混合物であってもよい。加えて、E又はZと定義され得る幾何異性体を生成する1つ以上の二重結合を有する、本明細書に記載の任意の化合物において、各二重結合が独立して、E又はZ、これらの混合物であってもよいことが理解される。同様に、記載の任意の化合物において、すべての互変異性型もまた含まれるよう意図されることが理解される。
【0060】
本明細書に開示される化合物が充填されていない原子価を有する場合、その原子価が、水素又はその同位体、例えば、水素-1(プロチウム)及び水素-2(重水素)で充填されることを理解されたい。
【0061】
本明細書に記載の化合物が同位体で標識され得ることが理解される。重水素などの同位体での置換は、例えば、インビボ半減期の増加又は必要投与量の低減など、より大きい代謝安定性に起因するある特定の治療上の利点をもたらし得る。化合物構造中に表される各化学元素は、当該元素の任意の同位体を含んでもよい。例えば、化合物構造において、水素原子は、化合物中に存在すると明確に開示され得るか、又は理解され得る。水素原子が存在し得る化合物の任意の位置において、水素原子は、水素-1(プロチウム)及び水素-2(重水素)が挙げられるが、これらに限定されない、水素の任意の同位体であってもよい。したがって、本明細書における化合物に対する言及は、文脈が明確にそうでないと示さない限り、すべての可能な同位体形態を包含する。
【0062】
本明細書に記載の方法及び組み合わせが、結晶形態(多形体としても既知であり、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む)、非晶相、塩、溶媒和物、及び水和物を含むことが理解される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、水、エタノールなどの製薬的に許容される溶媒を有する溶媒和形態で存在する。他の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、非溶媒和形態で存在する。溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量のいずれかの溶媒を含有し、水、エタノールなどの製薬的に許容される溶媒での結晶化プロセス中に形成されてもよい。溶媒が水である場合に水和物が形成されるか、又は溶媒がアルコールである場合にアルコラートが形成される。加えて、本明細書に提供される化合物は、非溶媒和並びに溶媒和形態で存在することができる。概して、溶媒和形態は、本明細書に提供される化合物及び方法の目的で、非溶媒和形態と同等であると見なされる。
【0063】
値の範囲が提供される場合、上限及び下限、並びにその範囲の上限と下限との間に介在する各値が、実施形態内に包含されることが理解される。
【0064】
本願で使用される用語及び語句並びにこれらの変化形、特に添付の特許請求の範囲にあるものは、特に明記しない限り、限定的ではなく非限定的であると解釈されるべきである。上記の例として、「含むこと」という用語は、「限定することなく含むこと」、「含むが、これらに限定されないこと」などを意味するよう解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「備えること」という用語は、「含むこと」、「含有すること」、又は「特徴とする」と同義語であり、包括的又は非限定的であり、追加の列挙されていない要素又は方法の工程を除外しない。「有すること」という用語は、「少なくとも有すること」と解釈されるべきである。「含む」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである。「例」という用語は、考察中の項目の徹底的又は限定的なリストではなく例示的な実例を提供するために使用される。「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」、又は「望ましい」のような用語、並びに同様の意味の単語の使用は、ある特定の特徴がその構造又は機能にとって重大、本質的、又は重要でさえあるということを暗示するものとして理解されるべきではなく、むしろ単に特定の実施形態で利用されてもされなくてもよい代替又は追加の特徴を強調することを目的とする。加えて、「備えること」という用語は、「少なくとも有すること」又は「少なくとも含むこと」という語句の同意語として解釈されるものとする。プロセスの文脈で使用される場合、「備えること」という用語は、プロセスが少なくとも列挙された工程を含むが、追加の工程を含んでもよいことを意味する。化合物、組成物、又はデバイスの文脈で使用される場合、「備えること」という用語は、化合物、組成物、又はデバイスが少なくとも列挙された特徴又は構成要素を含むが、追加の特徴又は構成要素も含んでもよいことを意味する。
【0065】
本明細書の実質的にいかなる複数形及び/又は単数形の用語の使用に関しても、当業者は、文脈及び/又は用途に応じて適切に、複数形から単数形、及び/又は単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の入れ替えは、明確にするために本明細書で明示的に記載され得る。不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、利益を得るためにこれらの手段の組み合わせを使用することができないということを示すものではない。請求項中のいかなる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0066】
化合物(A)
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、疾患又は状態を治療するための化合物の組み合わせの使用に関し、組み合わせは、有効量の化合物(A)又はその薬学的に許容される塩、及び有効量の化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を含んでよく、化合物(A)は、以下の構造を有する。
【0067】
【0068】
化合物(A)は、塩であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、化合物(A)は、硫酸水素塩であってよい。当業者は、化合物(A)の水素化硫酸塩が、1分子の硫酸水素に対して1分子の化合物(A)を有することを理解する。他の実施形態では、化合物(A)は、硫酸塩であってよい。当業者は、化合物(A)の硫酸塩が、1分子の硫酸塩に対して2分子の化合物(A)を有することを理解する。更に、当業者であれば、化合物(A)の硫酸水素塩及び硫酸塩において、化合物(A)の窒素がプロトン化され得ることを理解する。
【0069】
いくつかの実施形態では、化合物(A)は、化合物(A)の硫酸水素塩と、化合物(A)の硫酸塩を含み得る、化合物(A)の薬学的に許容される塩形態であってよい。例として、化合物(A)の薬学的に許容される塩形態は、化合物(A)の硫酸水素塩と、化合物(A)の硫酸塩から本質的になる、化合物(A)の薬学的に許容される塩形態であってよい。化合物(A)の例示的な塩形態としては、形態A及び形態Cが挙げられる。いくつかの実施形態では、化合物(A)、又はその薬学的に許容される塩は、形態Aであってよい。いくつかの実施形態では、化合物(A)、又はその薬学的に許容される塩は、形態Cであってよい。いくつかの実施形態では、化合物(A)、又はその薬学的に許容される塩は、形態A及び形態Cを含み得る。化合物(A)の形態A及び形態Cに関する追加の詳細は、2020年11月2日に出願された国際出願PCT/US2020/058526号に提供され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0070】
本明細書に開示される他の実施形態は、疾患又は状態を治療するための化合物の組み合わせの使用に関し、組み合わせは、有効量の化合物(C)又はその薬学的に許容される塩、及び有効量の化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を含んでよく、化合物(C)は、以下の構造を有し、
【0071】
【化4】
式中、X
1、Y
1、及びZ
1は、それぞれ独立して、C又はNであってよく、第1に、X
1、Y
1、及びZ
1の少なくとも1つが、Nであることを条件とし、第2に、X
1、Y
1、及びZ
1の各々が、非荷電であることを条件とし、第3に、点線のうちの2つが二重結合を示すことを条件とし、第4に、X
1、Y
1、及びZ
1の価数が、それぞれ独立して、H及びR
12から選択される置換基への付着によって満たされ得ることを条件とし、X
2は、Oであってよく、A
1は、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、及び任意に置換されたヘテロシクリルから選択されてよく、R
1は、任意に置換されたC
1~6アルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルケニル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたヘテロアリール、任意に置換されたヘテロシクリル、任意に置換されたシクロアルキル(C
1~6アルキル)、任意に置換されたシクロアルケニル(C
1~6アルキル)、任意に置換されたアリール(C
1~6アルキル)、任意に置換されたヘテロアリール(C
1~6アルキル)、及び任意に置換されたヘテロシクリル(C
1~6アルキル)から選択されてよく、R
2及びR
3は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、任意に置換されたC
1~6アルキル、及び任意に置換されたC
1~6ハロアルキルから選択されてよく、又はR
2及びR
3は、R
2及びR
3が付着する炭素と一緒に、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルケニル、若しくは任意に置換されたヘテロシクリルを形成してよく、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、任意に置換されたC
1~6アルキル、及び任意に置換されたC
1~6ハロアルキルから選択されてよく、又はR
4及びR
5は、R
4及びR
5が付着する炭素と一緒に、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルケニル、若しくは任意に置換されたヘテロシクリルを形成してよく、R
6、R
7、R
8及びR
9は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルコキシ、任意に置換されたハロアルキル、任意に置換された一置換アミン、及び任意に置換された二置換アミンから選択されてよく、R
10は、水素、ハロゲン、任意に置換されたアルキル、又は任意に置換されたシクロアルキルであってよく、R
11は、Hであってよく、R
12は、水素、ハロゲン、任意に置換されたCに置換されたC
1~3アルキル、任意に置換されたC
1~3ハロアルキル、又は任意に置換されたC
1~3アルコキシであってよく、ただし、化合物(C)は、
【0072】
【化5】
又はその薬学的に許容される塩であり得ない。
【0073】
いくつかの実施形態では、化合物(C)、又はその薬学的に許容される塩について、X1が、NH、Y1及びZ1が、各々C、A1が、フェニル、2-フルオロフェニル、又は2,6-ジフルオロフェニル、R2及びR3が、各々メチル、又は、R2及びR3のうち一方が水素で、R2及びR3のうち他方がメチル、並びに、R4、R5、R6、R7、R8、R9及びR10が、各々水素であるとき、R1は、2-ヒドロキシエチル、2-メチルプロピル、2-フルオロ-2-メチルプロピル、3-フルオロ-2-メチルプロピル、3-ヒドロキシ-2-メチルプロピル、又は2-フルオロ-3-ヒドロキシ-2-メチルプロピルであり得ない。他の実施形態では、化合物(C)、又はその薬学的に許容される塩について、R10が水素、R11が水素、X1がNH、Y1及びZ1が各々C、A1が、任意に置換されたフェニル、R2及びR3のうち一方が、水素又は任意に置換されたC1~6アルキルで、R2及びR3のうち他方が、任意に置換されたC1~6アルキルであるとき、R1は、ハロゲン及びヒドロキシからなる群から選択される1つ以上の置換基で置換された置換C1~6アルキルであり得ない。
【0074】
いくつかの実施形態では、A1は、任意に置換されたアリールであってよい。例えば、A1は、任意に置換されたフェニルであってよい。したがって、A1は、置換フェニル又は非置換フェニルであってよい。他の実施形態では、A1は、任意に置換されたシクロアルケニル、例えば、任意に置換されたビシクロペンチルであってよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、R1は、任意に置換されたC1~6アルキル、任意に置換されたシクロアルキル(C1~6アルキル)、任意に置換されたヘテロシクリル、及び任意に置換されたヘテロシクリル(C1~6アルキル)から選択されてよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、R1は、置換シクロアルキルであってよい。いくつかの実施形態では、R1は、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロアルキル、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、置換アルコキシ、置換一置換アミン、及び置換二置換アミンから選択される、1つ以上の置換基で置換された置換シクロアルキルであってよい。いくつかの実施形態では、R1は、非置換シクロブチル、非置換ジフルオロシクロブチル、非置換シクロペンチル、及び非置換ビシクロペンチルから選択される、任意に置換されたシクロアルキルであってよい。いくつかの実施形態では、R1は、非置換シクロプロピルメチル、非置換ビシクロペンチルメチル、非置換フルオロシクロプロピルメチル、非置換フルオロシクロブチルメチル、非置換メトキシシクロプロピルメチル、及び非置換トリフルオロメチルシクロプロピルメチルから選択される、任意に置換されたシクロアルキル(C1~6アルキル)であってよい。更に他の実施形態では、R1は、非置換テトラヒドロピラニル、非置換テトラヒドロフラニル、及び非置換オキセタニルから選択される、任意に置換されたヘテロシクリルであってよい。更に他の実施形態では、R1は、非置換オキセタニルメチル及び非置換フルオロオキセタニルメチルから選択され得る、任意に置換されたヘテロシクリル(C1~6アルキル)である。
【0077】
いくつかの実施形態では、R1は、置換アルキルであってよい。いくつかの実施形態では、R1は、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、置換アルコキシ、置換一置換アミン、及び置換二置換アミンから選択される、1つ以上の置換基で置換された置換アルキルであってよい。例えば、R1は、ハロアルキルである置換アルキルであってよい。いくつかの実施形態では、R1は、C4アルキル、フルオロ(C4アルキル)、及びトリフルオロ(C2アルキル)から選択される、任意に置換されたC1~6アルキルであってよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、任意に置換されたC1~6アルキル、及び任意に置換されたC1~6ハロアルキルから選択されてよい。他の実施形態では、R2及びR3は、R2及びR3が付着する炭素と一緒に、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルケニル、又は任意に置換されたヘテロシクリルを形成し得る。いくつかの実施形態では、R2は、水素、メチル、フルオロメチル、及びジフルオロメチルから選択されてよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、R4及びR5は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、任意に置換されたC1~6アルキル、及び任意に置換されたC1~6ハロアルキルから選択されてよい。他の実施形態では、R4及びR5は、R4及びR5が付着する炭素と一緒に、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたシクロアルケニル、又は任意に置換されたヘテロシクリルを形成し得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、R7は、ハロゲン、ヒドロキシ、及び非置換アルコキシから選択されてよい。例えば、いくつかの実施形態では、R7は、フルオロ及びメトキシから選択されてよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、R12は、水素であってよい。他の実施形態では、R12は、非水素であってよい。
【0082】
化合物(C)の例として、以下が挙げられる:
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【化10】
又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩。
【0088】
化合物(A)及び化合物(C)は、前述のいずれかの薬学的に許容される塩と共に、本明細書及び、その全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2017/172957号に記載されているように調製することができる。国際公開第2017/172957号に記載されているように、化合物(A)は、エストロゲン受容体α(ERα)阻害薬である。
【0089】
化合物(B)、及びその薬学的に許容される塩の定義
別段の定めがない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で参照されるすべての特許、出願、公開出願、及び他の出版物は、特に明記しない限り、参照によりそれらの全体が組み込まれる。本明細書のある用語に対して複数の定義が存在する場合、特に明記しない限り、この節にある定義が優先される。
【0090】
ある基が「任意に置換」されていると記載されるときはいつでも、その基は、非置換であってもよく、又は示された置換基のうちの1つ以上で置換されていてもよい。同様に、ある基が「非置換又は置換」であると記載されるとき、置換の場合は、置換基(複数可)が指示された置換基のうちの1つ以上から選択されてもよい。置換基が指示されていない場合、指示された「任意に置換された」又は「置換された」基が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、シクロアルキル(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、ヘテロシクリル(アルキル)、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、シアノ、ハロゲン、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、ニトロ、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、一置換アミン基、二置換アミン基、一置換アミン(アルキル)基、及び二置換アミン(アルキル)から個々に、かつ独立して選択された1つ以上の基(複数可)で置換されてもよいことを意味する。
【0091】
本明細書で使用される場合、「a」及び「b」が整数である「Ca~Cb」は、基における炭素原子の数を指す。示された基は、「a」~「b」個(a及びbを含む)の炭素原子を含有することができる。したがって、例えば、「C1~C4アルキル」基は、1~4個の炭素を有するすべてのアルキル基、つまり、CH3-、CH3CH2-、CH3CH2CH2-、(CH3)2CH-、CH3CH2CH2CH2-、CH3CH2CH(CH3)-、及び(CH3)3C-を指す。「a」及び「b」が指定されない場合、これらの定義に記載される最も広い範囲が想定されるものとする。
【0092】
2つの「R」基が「一緒になって」いると記載される場合、R基とR基が結合する原子とは、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環を形成することができる。例えば、限定することなく、NRaRb基のRaとRbが「一緒になって」いると示される場合、それらが互いに共有結合して環を形成することを意味する。
【0093】
【0094】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、完全に飽和した脂肪族炭化水
素基を指す。アルキル部分は、分枝鎖又は直鎖であってもよい。分枝鎖アルキル基の例としては、イソ-プロピル、sec-ブチル、t-ブチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。直鎖アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-へキシル、n-ヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、1~30個の炭素原子を有し得る(本明細書中に現れる場合は常に、「1~30」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「1~30個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大30個の炭素原子からなり得ることを意味するが、本定義は、数値範囲が指定されていない「アルキル」という用語の場合も包含する)。アルキル基はまた、1~12個の炭素原子を有する中間サイズのアルキルであってもよい。アルキル基はまた、1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。アルキル基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0095】
本明細書で使用される場合、「アルキレン」という用語は、二価の完全に飽和した直鎖脂肪族炭化水素基を指す。アルキレン基の例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、及びオクチレンが挙げられるが、これらに限定されない。アルキレン基は、
【0096】
【化12】
、続いて炭素原子数、続いて「
*」によって表されてもよい。例えば、
【0097】
【化13】
はエチレンを表す。アルキレン基は、1~30個の炭素原子を有してもよい(本明細書中に現れる場合は常に、「1~30」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「1~30個の炭素原子」とは、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などからなってよく、最大30個の炭素原子からなってもよいことを意味するが、この定義は、数値範囲が指定されていない用語「アルキレン」の出現時にも及ぶ)。アルキレン基はまた、1~12個の炭素原子を有する中間サイズのアルキルであってもよい。アルキレン基はまた、1~4個の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。アルキレン基は、置換されていても非置換であってもよい。例えば、低級アルキレン基は、C
3~6一環式シクロアルキル基(例えば、
【0098】
【化14】
)で、低級アルキレン基の1つ以上の水素を置き換えることによって、かつ/又は同じ炭素上の両方の水素を置換することによって置換され得る。
【0099】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない、炭素二重結合を含有する2~20個の炭素原子の一価直鎖又は分枝鎖基を指す。アルケニル基は、非置換であっても置換であってもよい。
【0100】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、1-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニルなどが挙げられるが、これらに限定されない、炭素三重結合を含有する2~20個の炭素原子の一価直鎖又は分枝鎖基を指す。アルキニル基は、非置換であっても置換であってもよい。
【0101】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、完全に飽和した(二重結合又は三重結合なし)単環式又は多環式(二環式など)炭化水素環系を指す。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合、架橋、又はスピロ様式で一緒に結合されてもよい。本明細書で使用される場合、「縮合」という用語は、2個の原子と1つの結合を共有する2つの環を指す。本明細書で使用される場合、「架橋シクロアルキル」という用語は、シクロアルキルが、非隣接原子を接続する1個以上の原子の連結を含有する、化合物を指す。本明細書で使用される場合、「スピロ」という用語は、1個の原子を共有する2つの環を指し、2つの環は、架橋によって結合されていない。シクロアルキル基は、環中に3~30個の原子、環中に3~20個の原子、環中に3~10個の原子、環中に3~8個の原子、又は環中に3~6個の原子を含有することができる。シクロアルキル基は、非置換であっても置換であってもよい。モノ-シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられるが、決してこれらに限定されない。縮合シクロアルキル基の例は、デカヒドロナフタレニル、ドデカヒドロ-1H-フェナレニル、及びテトラデカヒドロアントラセニルであり、架橋シクロアルキル基の例は、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、アダマンタニル、及びノルボルナニルであり、スピロシクロアルキル基の例としては、スピロ[3.3]ヘプタン及びスピロ[4.5]デカンが挙げられる。
【0102】
本明細書で使用される場合、「シクロアルケニル」は、少なくとも1つの環中に1つ以上の二重結合を含有する、単環式又は多環式(二環式など)炭化水素環系を指すが、2つ以上が存在する場合、二重結合は、すべての環全体にわたって完全に非局在化したπ電子系を形成することができない(そうでなければ、その基は、本明細書に定義される「アリール」である)。シクロアルケニル基は、環中に3~10個の原子、環中に3~8個の原子、又は環中に3~6個の原子を含有することができる。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合、架橋、又はスピロ様式で一緒に接続されてもよい。シクロアルケニル基は、非置換であっても置換であってもよい。
【0103】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、全ての環全体にわたって完全に非局在化したπ電子系を有する、炭素環式(全てが炭素の)単環式又は多環式(二環式など)芳香環系(2つの炭素環が化学結合を共有する縮合環系を含む)を指す。アリール基中の炭素原子の数は異なり得る。例えば、アリール基は、C6~C14アリール基、C6~C10アリール基、又はC6アリール基であってもよい。アリール基の例としては、ベンゼン、ナフタレン、及びアズレンが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0104】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、1個以上のヘテロ原子(例えば、1個、2個、又は3個のヘテロ原子)、つまり、窒素、酸素、及び硫黄が挙げられるが、これらに限定されない、炭素以外の元素を含有する、単環式又は多環式(二環式など)芳香環系(完全に非局在化したπ電子系を有する環系)を指す。ヘテロアリール基の環中の原子の数は異なり得る。例えば、ヘテロアリール基は、環(複数可)中に4~14個の原子、環(複数可)中に5~10個の原子、又は環(複数可)中に5~6個の原子を含有することができ、例えば、9個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;8個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;7個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;8個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;7個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;6個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;5個の炭素原子及び4個のヘテロ原子;5個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;4個の炭素
原子及び2個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;4個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;又は2個の炭素原子及び3個のヘテロ原子などである。更に、「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つのアリール環及び少なくとも1つのヘテロアリール環、又は少なくとも2つのヘテロアリール環など、2つの環が少なくとも1つの化学結合を共有する、縮合環系を含む。ヘテロアリール環の例としては、フラン、フラザン、チオフェン、ベンゾチオフェン、フタラジン、ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、インドール、インダゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、プテリジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、及びトリアジンが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0105】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」又は「ヘテロアリシクリル」は、炭素原子と1~5個のヘテロ原子が一緒に前述の環系を構成する、3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員、最大18員の単環式、二環式、及び三環式環系を指す。複素環は、そのように位置している1つ以上の不飽和結合を任意選択的に含有し得るが、完全に非局在化したπ電子系は、すべての環全体にわたって発生しない。ヘテロ原子は、酸素、硫黄、及び窒素が挙げられるが、これらに限定されない、炭素以外の元素である。複素環は、ラクタム、ラクトン、環状イミド、環状チオイミド、及び環状カルバメートなどのオキソ系及びチオ系を含むように定義するために、1つ以上のカルボニル又はチオカルボニル官能基を更に含有してもよい。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合、架橋、又はスピロ様式で一緒に結合されてもよい。本明細書で使用される場合、「縮合」という用語は、2個の原子と1つの結合を共有する2つの環を指す。本明細書で使用される場合、「架橋ヘテロシクリル」又は「架橋ヘテロアリシクリル」という用語は、ヘテロシクリル又はヘテロアリシクリルが非隣接原子を接続する1個以上の原子の連結を含有する、化合物を指す。本明細書で使用される場合、「スピロ」という用語は、1個の原子を共有する2つの環を指し、2つの環は、架橋によって結合されていない。ヘテロシクリル及びヘテロアリシクリル基は、環(複数可)中に3~30個の原子、環(複数可)中に3~20個の原子、環(複数可)中に3~10個の原子、環(複数可)中に3~8個の原子、又は環(複数可)中に3~6個の原子を含有することができる。例えば、5個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;4個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;4個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;2個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;1個の炭素原子及び4個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;又は2個の炭素原子及び1個のヘテロ原子などである。加えて、ヘテロ脂環式環中の任意の窒素は、四級化されてもよい。ヘテロシクリル又はヘテロ脂環式基は、置換されていても非置換であってもよい。そのような「ヘテロシクリル」又は「ヘテロアリシクリル」基の例としては、1,3-ジオキシン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-ジオキソラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソラン、1,3-オキサチアン、1,4-オキサチイン、1,3-オキサチオラン、1,3-ジチオール、1,3-ジチオラン、1,4-オキサチアン、テトラヒドロ-1,4-チアジン、2H-1,2-オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、トリオキサン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、モルホリン、オキシラン、ピペリジンN-オキシド、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ピロリドン、ピロリジオン、4-ピペリドン、ピラゾリン、ピラゾリジン、2-オキソピロリジン、テトラヒドロピラン、4H-ピラン、テトラヒドロチオピラン、チアモルホリン、チアモルホリンスルホキシド、チアモルホリンスルホン、及びそれらのベンゾ縮合類似体(例えば、ベンズイミダゾリジノン、テトラヒドロキノリン、及び/又は3,4-メチレンジオキシフェニル)が挙げられるが、これらに限定されない。スピロヘテロシクリル基の例としては、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.4]オクタン、及び2-アザスピロ[3.4]オクタンが挙げられる。
【0106】
本明細書で使用される場合、「アラルキル」及び「アリール(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として接続されるアリール基を指す。アラルキルの低級アルキレン及びアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。例としては、ベンジル、2-フェニルアルキル、3-フェニルアルキル、及びナフチルアルキルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0107】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアラルキル」及び「ヘテロアリール(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として接続されるヘテロアリール基を指す。ヘテロアラルキルの低級アルキレン及びヘテロアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。例としては、2-チエニルアルキル、3-チエニルアルキル、フリルアルキル、チエニルアルキル、ピロリルアルキル、ピリジルアルキル、イソオキサゾリルアルキル、及びイミダゾリルアルキル、並びにそれらのベンゾ縮合類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
「ヘテロアリシクリル(アルキル)」及び「ヘテロシクリル(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として接続される複素環式又はヘテロ脂環式基を指す。(ヘテロアリシクリル)アルキルの低級アルキレン及びヘテロシクリルは、置換されていても非置換であってもよい。例としては、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル(メチル)、ピペリジン-4-イル(エチル)、ピペリジン-4-イル(プロピル)、テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル(メチル)、及び1,3-チアジナン-4-イル(メチル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を指す。
【0110】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」は、式-ORを指し、式中、Rは、本明細書に定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)である。アルコキシの非限定的なリストは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシ、及びベンゾキシである。アルコキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0111】
本明細書で使用される場合、「アシル」は、カルボニル基を介して置換基として接続される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、及びヘテロシクリル(アルキル)を指す。例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ベンゾイル、及びアクリルが含まれる。アシルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0112】
「シアノ」基は、「-CN」基を指す。
【0113】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン原子」又は「ハロゲン」という用語は、フッ素
、塩素、臭素、及びヨウ素などの元素周期律表の第7列の放射安定性原子のうちのいずれか1つを意味する。
【0114】
「チオカルボニル」基は、「-C(=S)R」基を指し、式中、Rは、O-カルボキシに関して定義されるものと同じであってもよい。チオカルボニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0115】
「O-カルバミル」基は、「-OC(=O)N(RARB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。O-カルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0116】
「N-カルバミル」基は、「ROC(=O)N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-カルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0117】
「O-チオカルバミル」基は、「-OC(=S)-N(RARB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。O-チオカルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0118】
「N-チオカルバミル」基は、「ROC(=S)N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-チオカルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0119】
「C-アミド」基は、「-C(=O)N(RARB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。C-アミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0120】
「N-アミド」基は、「RC(=O)N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-アミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0121】
「S-スルホンアミド」基は、「-SO2N(RARB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。S-スルホンアミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0122】
「N-スルホンアミド」基は、「RSO2N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-スルホンアミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0123】
「O-カルボキシ」基は、「RC(=O)O-」基を指し、式中、Rは、本明細書に定義される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。O-カルボキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0124】
「エステル」及び「C-カルボキシ」という用語は、「-C(=O)OR」基を指し、式中、Rは、O-カルボキシに関して定義されるものと同じであってもよい。エステル及びC-カルボキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0125】
「ニトロ」基は、「-NO2」基を指す。
【0126】
「スルフェニル」基は、「-SR」基を指し、式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。スルフェニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0127】
「スルフィニル」基は、「-S(=O)-R」基を指し、式中、Rは、スルフェニルに関して定義されるものと同じであってもよい。スルフィニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0128】
「スルホニル」基は、「SO2R」基を指し、式中、Rは、スルフェニルに関して定義されるものと同じであってもよい。スルホニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0129】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」は、水素原子のうちの1つ以上がハロゲンによって置き変えられたアルキル基を指す(例えば、モノ-ハロアルキル、ジ-ハロアルキル、トリ-ハロアルキル、及びポリハロアルキル)。そのような基としては、クロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1-クロロ-2-フルオロメチル、2-フルオロイソブチル、及びペンタフルオロエチルが挙げられるが、これらに限定されない。ハロアルキルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0130】
本明細書で使用される場合、「ハロアルコキシ」は、水素原子のうちの1つ以上がハロゲンによって置き換えられたアルコキシ基を指す(例えば、モノ-ハロアルコキシ、ジ-ハロアルコキシ、及びトリ-ハロアルコキシ)。そのような基としては、クロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1-クロロ-2-フルオロメトキシ、及び2-フルオロイソブトキシが挙げられるが、これらに限定されない。ハロアルコキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0131】
本明細書で使用される場合、「アミノ」及び「非置換のアミノ」という用語は、-NH2基を指す。
【0132】
「一置換アミン」基は、「-NHRA」基を指し、式中、RAは、本明細書に定義され
るアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。RAは、置換されていても非置換であってもよい。一置換アミン基としては、例えば、モノ-アルキルアミン基、モノ-C1~C6アルキルアミン基、モノ-アリールアミン基、モノ-C6~C10アリールアミン基などが挙げられ得る。一置換アミン基の例としては、-NH(メチル)、-NH(フェニル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
「二置換アミン」基は、「-NRARB」基を指し、式中、RA及びRBは独立して、本明細書に定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。RA及びRBは、独立して、置換されていても非置換であってよい。二置換アミン基としては、例えば、ジ-アルキルアミン基、ジ-C1~C6アルキルアミン基、ジ-アリールアミン基、ジ-C6~C10アリールアミン基などが挙げられ得る。二置換アミン基の例としては、-N(メチル)2、-N(フェニル)(メチル)、-N(エチル)(メチル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
本明細書で使用するとき、「一置換アミン(アルキル)」基は、本明細書で提供されるように、低級アルキレン基を介して置換基として連結される、一置換アミンを指す。一置換アミン(アルキル)は、置換又は非置換であってよい。一置換アミン(アルキル)基としては、例えば、モノ-アルキルアミン(アルキル)基、モノ-C1~C6アルキルアミン(C1~C6アルキル)基、モノ-アリールアミン(アルキル基)、モノ-C6~C10アリールアミン(C1~C6アルキル)基などが挙げられ得る。一置換アミン(アルキル)基の例として、-CH2NH(メチル)、-CH2NH(フェニル)、-CH2CH2NH(メチル)、-CH2CH2NH(フェニル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
本明細書で使用するとき、「二置換アミン(アルキル)」基は、本明細書で提供されるように、低級アルキレン基を介して置換基として連結される、二置換アミンを指す。二置換アミン(アルキル)は、置換又は非置換であってよい。二置換アミン基(アルキル)基としては、例えば、ジアルキルアミン(アルキル)基、ジ-C1~C6アルキルアミン(C1~C6アルキル)基、ジ-アリールアミン(アルキル)基、ジ-C6~C10アリールアミン(C1~C6アルキル)基などが挙げられ得る。二置換アミン(アルキル)基として、-CH2N(メチル)2、-CH2N(フェニル)(メチル)、-NCH2(エチル)(メチル)、-CH2CH2N(メチル)2、-CH2CH2N(フェニル)(メチル)、-NCH2CH2(エチル)(メチル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0136】
置換基の数が指定されない場合(例えば、ハロアルキル)、1つ以上の置換基が存在してもよい。例えば、「ハロアルキル」は、同じ又は異なるハロゲンのうちの1つ以上を含んでもよい。別の例として、「C1~C3アルコキシフェニル」は、1個、2個、又は3個の原子を含有する同じ又は異なるアルコキシ基のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0137】
本明細書で使用される場合、ラジカルは、ラジカルを含有する種が別の種に共有結合され得るような、単一の不対電子を有する種を示す。したがって、これに関して、ラジカルは必ずしもフリーラジカルではない。むしろ、ラジカルは、より大きい分子の特定の部分を示す。「ラジカル」という用語は、「基」という用語と互換的に使用され得る。
【0138】
「薬学的に許容される塩」という用語は、それが投与される生物に著しい刺激をもたら
さず、かつ化合物の生物活性及び特性を無効にしない化合物の塩を指す。いくつかの実施形態では、塩は、化合物の酸付加塩である。薬学的塩は、化合物を無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸又は臭化水素酸)、硫酸、硝酸、及びリン酸(2,3-ジヒドロキシプロピルニ水素リン酸塩など)と反応させることによって得られ得る。薬学的塩はまた、化合物を有機酸、例えば、脂肪族若しくは芳香族カルボン酸若しくはスルホン酸、例えば、ギ酸、酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、サリチル酸、2-オキソペンタン二酸、又はナフタレンスルホン酸と反応させることによって得られ得る。薬学的塩はまた、化合物を塩基と反応させて、塩、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、又はリチウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム又はマグネシウム塩、炭酸塩の塩、重炭酸塩の塩、有機塩基の塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、C1~C7アルキルアミン、シクロへキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、並びにアルギニン及びリシンなどのアミノ酸を有する塩を形成することによって得ることができる。当業者は、窒素ベースの基(例えば、NH2)のプロトン化によって塩が形成される場合、窒素ベースの基が正電荷と会合し得(例えば、NH2がNH3
+になり得る)、正電荷が負の電荷を持つ対イオン(Cl-など)によってバランスがとられ得ることを理解する。
【0139】
1つ以上のキラル中心を有する本明細書に記載の任意の化合物において、絶対立体化学が明示的に示されない場合、各中心が独立して、R配置若しくはS配置、又はこれらの混合物であってもよいことが理解される。したがって、本明細書に提供される化合物は、鏡像異性的に純粋な、鏡像異性的富化した、ラセミ混合物、ジアステレオマー的に純粋な化合物、ジアステレオマー的富化した化合物、又は立体異性混合物であってもよい。加えて、E又はZと定義され得る幾何異性体を生成する1つ以上の二重結合を有する、本明細書に記載の任意の化合物において、各二重結合が独立して、E又はZ、これらの混合物であってもよいことが理解される。同様に、記載の任意の化合物において、すべての互変異性型もまた含まれるよう意図されることが理解される。
【0140】
本明細書に開示される化合物が充填されていない原子価を有する場合、その原子価が、水素又はその同位体、例えば、水素-1(プロチウム)及び水素-2(重水素)で充填されることを理解されたい。
【0141】
本明細書に記載の化合物が同位体で標識され得ることが理解される。重水素などの同位体での置換は、例えば、インビボ半減期の増加又は必要投与量の低減など、より大きい代謝安定性に起因するある特定の治療上の利点をもたらし得る。化合物構造中に表される各化学元素は、当該元素の任意の同位体を含んでもよい。例えば、化合物構造において、水素原子は、化合物中に存在すると明確に開示され得るか、又は理解され得る。水素原子が存在し得る化合物の任意の位置において、水素原子は、水素-1(プロチウム)及び水素-2(重水素)が挙げられるが、これらに限定されない、水素の任意の同位体であってもよい。したがって、本明細書における化合物に対する言及は、文脈が明確にそうでないと示さない限り、すべての可能な同位体形態を包含する。
【0142】
本明細書に記載の方法及び組み合わせが、結晶形態(多形体としても既知であり、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む)、非晶相、塩、溶媒和物、及び水和物を含むことが理解される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒を有する溶媒和形態で存在する。他の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、非溶媒和形態で存在する。溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量のいずれかの溶媒を含有し、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒での結晶化プロセス中に形成されてもよい。溶媒が水である場合に水和物が形成されるか、又は溶媒がアルコールである場合にアルコラートが形成される。加えて、本明細書に提供される化合物は、非溶媒和並びに溶媒和形態で存在することができる。概して、溶媒和形態は、本明細書に提供される化合物及び方法の目的で、非溶媒和形態と同等であると見なされる。
【0143】
値の範囲が提供される場合、上限及び下限、並びにその範囲の上限と下限との間に介在する各値が、実施形態内に包含されることが理解される。
【0144】
本願で使用される用語及び語句並びにこれらの変化形、特に添付の特許請求の範囲にあるものは、特に明記しない限り、限定的ではなく非限定的であると解釈されるべきである。上記の例として、「含むこと」という用語は、「限定することなく含むこと」、「含むが、これらに限定されないこと」などを意味するよう解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「備えること」という用語は、「含むこと」、「含有すること」、又は「特徴とする」と同義語であり、包括的又は非限定的であり、追加の列挙されていない要素又は方法の工程を除外しない。「有すること」という用語は、「少なくとも有すること」と解釈されるべきである。「含む」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである。「例」という用語は、考察中の項目の徹底的又は限定的なリストではなく例示的な実例を提供するために使用される。「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」、又は「望ましい」のような用語、並びに同様の意味の単語の使用は、ある特定の特徴がその構造又は機能にとって重大、本質的、又は重要でさえあるということを暗示するものとして理解されるべきではなく、むしろ単に特定の実施形態で利用されてもされなくてもよい代替又は追加の特徴を強調することを目的とする。加えて、「備えること」という用語は、「少なくとも有すること」又は「少なくとも含むこと」という語句の同意語として解釈されるものとする。化合物、組成物、又はデバイスの文脈で使用される場合、「備えること」という用語は、化合物、組成物、又はデバイスが少なくとも列挙された特徴又は構成要素を含むが、追加の特徴又は構成要素も含んでもよいことを意味する。
【0145】
本明細書の実質的にいかなる複数形及び/又は単数形の用語の使用に関しても、当業者は、文脈及び/又は用途に応じて適切に、複数形から単数形、及び/又は単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の入れ替えは、明確にするために本明細書で明示的に記載され得る。不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、利益を得るためにこれらの手段の組み合わせを使用することができないということを示すものではない。請求項中のいかなる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0146】
化合物(B)
本明細書に記載されるように、本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、疾患又は状態を治療するための化合物の組み合わせの使用に関し、組み合わせは、有効量の化合物(A)又はその薬学的に許容される塩(本明細書に記載される)、及び有効量の化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を含んでよく、化合物(B)は、以下の構造を有し、
【0147】
【化15】
式中、R
1aは、水素、ハロゲン、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル、置換又は非置換のC
1~C
6ハロアルキル、置換又は非置換のC
3~C
6シクロアルキル、置換又は非置換のC
1~C
6アルコキシ、非置換のモノ-C
1~C
6アルキルアミン及び非置換のジ-C
1~C
6アルキルアミンから選択することができ、各R
2aは、独立して、ハロゲン、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル、置換又は非置換のC
1~C
6ハロアルキル、及び置換又は非置換のC
3~C
6シクロアルキルから選択することができ、又は、m-aが2若しくは3である場合、各R
2aは、ハロゲン、置換若しくは非置換のC
1~C
6アルキル、置換若しくは非置換のC
1~C
6ハロアルキル、及び置換若しくは非置換のC
3~C
6シクロアルキルから独立して選択することができ、又は2つのR
2a基は、それらが結合している原子と一緒になって、置換若しくは非置換のC
3~C
6シクロアルキル、若しくは置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクリルを形成することができ、R
4aは、NO
2、S(O)R
6a、SO
2R
6a、ハロゲン、シアノ、及び非置換のC
1~C
6ハロアルキルから選択することができ、R
5aは、-X
1a-(Alk
1a)
n-a-R
7aであってよく、Alk
1aは、非置換のC
1~C
4アルキレン、並びにフルオロ、クロロ、非置換のC
1~C
3アルキル、及び非置換のC
1~C
3ハロアルキルから独立して選択される1、2、若しくは3つの置換基で置換されたC
1~C
4アルキレンから選択することができ、R
6aは、置換又は非置換のC
1~C
6アルキル、置換又は非置換のC
1~C
6ハロアルキル、及び置換又は非置換のC
3~C
6シクロアルキルから選択することができ、R
7aは、置換又は非置換のC
1~C
6アルコキシ、置換又は非置換のC
3~C
10シクロアルキル、置換又は非置換の3~10員ヘテロシクリル、ヒドロキシ、アミノ、置換又は非置換の一置換アミン基、置換又は非置換の二置換アミン基、置換又は非置換のN-カルバミル、置換又は非置換のC-アミド、及び置換又は非置換のN-アミドから選択することができ、m-aは、0、1、2又は3であってよく、n-aは、0及び1から選択することができ、X
1aは、-O-、-S-、及び-NH-から選択することができる。
【0148】
いくつかの実施形態では、R1aは、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードなどのハロゲンであり得る。いくつかの実施形態では、R1aは、フルオロであってよい。いくつかの実施形態では、R1aは、クロロであってよい。いくつかの実施形態では、R1aは、水素であってよい。
【0149】
いくつかの実施形態では、R1aは、置換又は非置換のC1~C6アルキルであってよい。例えば、いくつかの実施形態では、R1aは、置換されたC1~C6アルキルであっ
てよい。他の実施形態では、R1aは、非置換のC1~C6アルキルであってよい。好適なC1~C6アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル(分枝鎖及び直鎖)、及びへキシル(分枝鎖及び直鎖)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、R1aは、非置換のメチル又は非置換のエチルであってよい。
【0150】
いくつかの実施形態では、R1aは、置換又は非置換のC1~C6ハロアルキル、例えば、置換又は非置換のモノ-ハロC1~C6アルキル、置換又は非置換のジ-ハロC1~C6アルキル、置換又は非置換のトリ-ハロC1~C6アルキル、置換又は非置換のテトラ-ハロC1~C6アルキル、又は置換又は非置換のペンタ-ハロC1~C6アルキルであってよい。いくつかの実施形態では、R1aは、非置換の-CHF2、-CF3、-CH2CF3、又は-CF2CH3であってよい。
【0151】
いくつかの実施形態では、R1aは、置換又は非置換の一環式又は二環式C3~C6シクロアルキルであってよい。例えば、いくつかの実施形態では、R1aは、置換された一環式C3~C6シクロアルキルであってよい。他の実施形態では、R1aは、非置換の一環式C3~C6シクロアルキルであってよい。好適な一環式又は二環式C3~6シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、[1.1.1]ビシクロペンチル、及びシクロへキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0152】
いくつかの実施形態では、R1aは、置換又は非置換のC1~C6アルコキシであってよい。例えば、いくつかの実施形態では、R1aは、置換されたC1~C6アルコキシであってよい。他の実施形態では、R1aは、非置換のC1~C6アルコキシであってよい。好適なC1~C6アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ(分枝鎖及び直鎖)、及びヘキソキシ(分枝鎖及び直鎖)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、R1aは、非置換のメトキシ又は非置換のエトキシであってよい。
【0153】
いくつかの実施形態では、R1aは、非置換のモノ-C1~C6アルキルアミン、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、tert-ブチルアミン、ペンチルアミン(分枝鎖及び直鎖)、及びへキシルアミン(分枝鎖及び直鎖)であってよい。いくつかの実施形態では、R1aは、メチルアミン又はエチルアミンであってよい。
【0154】
いくつかの実施形態では、R1aは、非置換のジ-C1~C6アルキルアミンであってよい。いくつかの実施形態では、ジ-C1~C6アルキルアミン中の各C1~C6アルキルは、同じである。他の実施形態では、ジ-C1~C6アルキルアミン中の各C1~C6アルキルは、異なる。好適なジ-C1~C6アルキルアミン基の例としては、ジ-メチルアミン、ジ-エチルアミン、(メチル)(エチル)アミン、(メチル)(イソプロピル)アミン、及び(エチル)(イソプロピル)アミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0155】
いくつかの実施形態では、m-aは、0であってよい。m-aが0である場合、当業者は、R2aが結合している環が非置換であると認識する。いくつかの実施形態では、m-aは、1であってよい。いくつかの実施形態では、m-aは、2であってよい。いくつかの実施形態では、m-aは、3であってよい。
【0156】
いくつかの実施形態では、1つのR2aは、非置換のC1~C6アルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチ
ル、ペンチル(分岐鎖及び直鎖)、及びへキシル(分岐鎖及び直鎖))であってよく、任意の他のR2aは、存在する場合、独立して、ハロゲン(例えば、フルオロ又はクロロ)、置換又は非置換のC1~C6アルキル(本明細書に記載されるものなど)、置換又は非置換のC1~C6ハロアルキル(本明細書に記載されるものなど)、及び置換又は非置換の一環式又は二環式C3~C6シクロアルキル(本明細書に記載されるものなど)から選択することができる。いくつかの実施形態では、各R2aは、本明細書に記載されるものなどの、非置換のC1~C6アルキルから独立して選択することができる。
【0157】
いくつかの実施形態では、m-aは2であってよく、各R2aはジェミナルであってよい。いくつかの実施形態では、m-aは2であってよく、各R2aはビシナルであってよい。いくつかの実施形態では、m-aは2であってよく、各R2aは、非置換のメチルであってよい。いくつかの実施形態では、m-aは2であってよく、各R2aは、ジェミナルの非置換のメチルであってよい。
【0158】
いくつかの実施形態では、2つのR2a基は、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって、置換又は非置換の一環式C3~C6シクロアルキルを形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、2つのR2a基は、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって、本明細書に記載されるものなどの、置換された一環式C3~C6シクロアルキルを形成することができる。他の実施形態では、2つのR2a基は、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって、本明細書に記載されるものなどの、非置換の一環式C3~C6シクロアルキルを形成することができる。いくつかの実施形態では、2つのR2a基は、それらが結合している原子と一緒になって、非置換のシクロプロピルを形成することができる。
【0159】
いくつかの実施形態では、2つのR2a基は、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって、置換又は非置換の一環式3~6員ヘテロシクリルを形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、2つのR2a基は、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって、置換された一環式3~6員ヘテロシクリルを形成することができる。他の実施形態では、2つのR2a基は、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって、非置換の一環式3~6員一環式ヘテロシクリルを形成することができる。いくつかの実施形態では、置換された一環式3~6員ヘテロシクリルは、1つ以上の窒素原子上で置換され得る。好適な置換又は非置換の一環式3~6員ヘテロシクリル基の例としては、アジジリン(azidirine)、オキシラン、アゼチジン、オキセタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、イミダゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、及びジオキサンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
いくつかの実施形態では、R4aは、NO2であってよい。いくつかの実施形態では、R4aは、シアノであってもよい。いくつかの実施形態では、R4aは、ハロゲンであってよい。
【0161】
いくつかの実施形態では、R4aは、本明細書に記載されるものなどの、非置換のC1~C6ハロアルキルであってよい。いくつかの実施形態では、R4aは、-CF3であってよい。
【0162】
いくつかの実施形態では、R4aは、S(O)R6であってよい。いくつかの実施形態では、R4aは、SO2R6aであってよい。いくつかの実施形態では、R4aは、SO2CF3であってよい。
【0163】
いくつかの実施形態では、R6aは、置換又は非置換のC1~C6アルキルであってよ
い。例えば、いくつかの実施形態では、R6aは、本明細書に記載されるものなどの、置換されたC1~C6アルキルであってよい。他の実施形態では、R6aは、本明細書に記載されるものなどの、非置換のC1~C6アルキルであってよい。
【0164】
いくつかの実施形態では、R6aは、置換又は非置換の一環式又は二環式C3~C6シクロアルキルであってよい。例えば、いくつかの実施形態では、R6aは、置換された一環式又は二環式C3~C6シクロアルキルであってよい。他の実施形態では、R6aは、非置換の一環式又は二環式C3~C6シクロアルキルであってよい。好適な一環式又は二環式C3~6シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、[1.1.1]ビシクロペンチル、及びシクロへキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0165】
いくつかの実施形態では、R6aは、本明細書に記載されるものなどの、置換又は非置換のC1~C6ハロアルキルであってよい。いくつかの実施形態では、R6aは、-CF3であってよい。
【0166】
いくつかの実施形態ではR5aは、-X1a-(Alk1a)n-a-R7aであってよい。いくつかの実施形態では、X1aは、-O-であってよい。いくつかの実施形態では、X1aは、-S-であってよい。いくつかの実施形態では、X1aは、-NH-であってよい。
【0167】
いくつかの実施形態では、Alk1aは、非置換の-(CH2)1~4-*であってよく、「*」は、R7aへの結合点を表す。いくつかの実施形態では、Alk1aは、
【0168】
【0169】
いくつかの実施形態では、Alk1aは、置換された
【0170】
【化17】
であってよく、「
*」は、R
7aへの結合点を表す。例えば、いくつかの実施形態では、Alk
1aは、置換されたメチレン、置換されたエチレン、置換されたプロピレン、又は置換されたブチレンであってよい。いくつかの実施形態では、Alk
1aは、一置換、二置換、又は三置換であってよい。いくつかの実施形態では、Alk
1aは、本明細書に記載されるものなどの、ハロゲン(フルオロ又はクロロなど)又は非置換のC
1~C
3アルキルで一置換されてよい。他の実施形態では、Alk
1aは、本明細書に記載されるものなどの、非置換のC
1~C
3ハロアルキルで一置換されてよい。いくつかの実施形態では、Alk
1aは、フルオロ又は非置換のメチルで一置換されてよい。いくつかの実施形態では、Alk
1aは、本明細書に記載されるものなどの、1つのフルオロ及び1つの非置換のC
1~C
3アルキルで二置換されてよい。他の実施形態では、Alk
1aは、本明細書に記載されるものなどの、1つの非置換のC
1~C
3ハロアルキル、及び本明細書に記載されるものなどの、1つの非置換のC
1~C
3アルキルで二置換されてよい。いくつかの実施形態では、Alk
1aは、1つのフルオロ及び1つの非置換のメチルで二置換されてよい。いくつかの実施形態では、Alk
1aは、本明細書に記載されるものなどの、2つの独立して選択された非置換のC
1~C
3アルキル基で二置換されてよい。いくつかの実施形態では、Alk
1aは、非置換のメチルで二置換されてよい。
【0171】
いくつかの実施形態では、Alk1aは、
【0172】
【0173】
いくつかの実施形態では、n-aは、0であってよい。nが0である場合、当業者は、X1aが直接R7aに接続されていると認識する。いくつかの実施形態では、n-aは、1であってよい。
【0174】
いくつかの実施形態では、R7aは、置換又は非置換の一置換アミン基であってよい。例えば、R7aは、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式C3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式C6~C10アリール、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式5~10員ヘテロアリール、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式3~10員ヘテロシクリル、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式C3~C6シクロアルキル(非置換のC1~C6アルキル)、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式C6~C10アリール(非置換のC1~C6アルキル)、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式5~10員ヘテロアリール(非置換のC1~C6アルキル)、又は置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式3~10員ヘテロシクリル(非置換のC1~C6アルキル)で一置換されたアミノ基であってよい。好適な一置換アミン基の例としては、-NH(メチル)、-NH(イソプロピル)、-NH(シクロプロピル)、-NH(フェニル)、-NH(ベンジル)、及び-NH(ピリジン-3-イル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
いくつかの実施形態では、R7aは、置換又は非置換の二置換アミン基であってよい。例えば、R7aは、置換若しくは非置換のC1~C6アルキル、置換若しくは非置換のC2~C6アルケニル、置換若しくは非置換のC2~C6アルキニル、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式C3~C6シクロアルキル、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式C6~C10アリール、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式5~10員ヘテロアリール、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式3~10員ヘテロシクリル、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式C3~C6シクロアルキル(非置換のC1~C6アルキル)、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式C6~C10アリール(非置換のC1~C6アルキル)、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式5~10員ヘテロアリール(非置換のC1~C6アルキル)、又は置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式3~10員ヘテロシクリル(非置換のC1~C6アルキル)から独立して選択された2つの置換基で置換されたアミノ基であってよい。いくつかの実施形態では、2つ
の置換基は、同じであってよい。他の実施形態では、2つの置換基は、異なってよい。好適な二置換アミン基の例としては、-N(メチル)2、-N(エチル)2、-N(イソプロピル)2、-N(ベンジル)2、-N(エチル)(メチル)、-N(イソプロピル)(メチル)、-N(エチル)(イソプロピル)、-N(フェニル)(メチル)、及び-N(ベンジル)(メチル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0176】
いくつかの実施形態では、R7aは、置換又は非置換のN-カルバミル、置換又は非置換のC-アミド、及び置換又は非置換のN-アミドから選択されてよい。
【0177】
いくつかの実施形態では、R7aは、置換又は非置換のC3~C10シクロアルキルであってよい。いくつかの実施形態では、R7aは、置換又は非置換の一環式C3~C10シクロアルキルであってよい。他の実施形態では、R7aは、置換又は非置換の二環式C3~C10シクロアルキル、例えば、架橋、縮合、又はスピロC3~C10シクロアルキルであってよい。好適な置換又は非置換の一環式又は二環式C3~C10シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、スピロ[3.3]ヘプチル、スピロ[2.3]へキシル、スピロ[3.4]オクチル、スピロ[3.5]ノニル、スピロ[3.6]デシル、スピロ[2.4]ヘプチル、スピロ[4.4]ノニル、スピロ[4.5]デシル、スピロ[2.5]オクチル、スピロ[3.5]ノニル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.1.1]へキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、デカヒドロナフタレニル、オクタヒドロ-1H-インデニル、オクタヒドロペンタレニル、ビシクロ[4.2.0]オクチル、ビシクロ[2.1.0]ペンチル、及びビシクロ[3.2.0]ヘプチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0178】
いくつかの実施形態では、R7aは、置換又は非置換のC6~C10スピロシクロアルキルであってよい。いくつかの実施形態では、R7aは、置換されたC6~C10スピロシクロアルキルであってよい。他の実施形態では、R7aは、非置換のC6~C10スピロシクロアルキルであってよい。いくつかの実施形態では、R7は、置換又は非置換の-シクロプロピル-シクロブチルスピロアルキル、-シクロプロピル-シクロペンチルスピロアルキル、-シクロプロピル-シクロヘキシルスピロアルキル、-シクロプロピル-シクロヘプチルスピロアルキル、-シクロプロピル-シクロオクチルスピロアルキル、-シクロブチル-シクロプロピルスピロアルキル、-シクロブチル-シクロブチルスピロアルキル、-シクロブチル-シクロペンチルスピロアルキル、-シクロブチル-シクロヘキシルスピロアルキル、-シクロブチル-シクロヘプチルスピロアルキル、-シクロペンチル-シクロプロピルスピロアルキル、-シクロペンチル-シクロブチルスピロアルキル、-シクロペンチル-シクロペンチルスピロアルキル、シクロペンチル-シクロヘキシルスピロアルキル、-シクロヘキシル-シクロプロピルスピロアルキル、-シクロヘキシル-シクロブチルスピロアルキル、-シクロヘキシル-シクロペンチルスピロアルキル、-シクロヘプチル-シクロプロピルスピロアルキル、-シクロヘプチル-シクロブチルスピロアルキル、又は-シクロオクチル-シクロプロピルスピロアルキルであってよい。
【0179】
いくつかの実施形態では、R7aは、置換又は非置換の3~10員ヘテロシクリルであってもよい。いくつかの実施形態では、R7aは、置換された3~10員ヘテロシクリルであってもよい。いくつかの実施形態では、R7aは、非置換の3~10員ヘテロシクリルであってもよい。いくつかの実施形態では、R7aは、置換又は非置換の一環式3~10員ヘテロシクリルであってもよい。他の実施形態では、R7aは、置換又は非置換の二環式5~10員ヘテロシクリル、例えば、縮合、架橋、又はスピロ5~10員ヘテロシクリルであってよい。好適な置換又は非置換の3~10員ヘテロシクリル基としては、アジリジン(azidirine)、オキシラン、アゼチジン、オキセタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、イミダゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ジオキサン、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2-アザスピロ[3.4]オクタン、6-オキサスピロ[3.4]オクタン、6-オキサ-2-アザスピロ[3.4]オクタン、7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン、7-オキサスピロ[3.5]ノナン、及び2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、置換又は非置換の一環式又は二環式3~10員ヘテロシクリルは、窒素原子を介して分子の残りの部分に接続することができる。他の実施形態では、置換又は非置換の一環式又は二環式3~10員ヘテロシクリルは、炭素原子を介して分子の残りの部分に接続することができる。いくつかの実施形態では、置換された一環式又は二環式3~10員ヘテロシクリルは、1個以上の窒素原子上で置換され得る。
【0180】
いくつかの実施形態では、R7aは、置換又は非置換の6~10員スピロヘテロシクリルであってよい。いくつかの実施形態では、R7aは、置換された6~10員スピロヘテロシクリルであってよい。いくつかの実施形態では、R7aは、非置換の6~10員スピロヘテロシクリルであってよい。いくつかの実施形態では、R7aは、置換又は非置換のアザスピロヘキサン、アザスピロヘプタン、アザスピロオクタン、オキサスピロヘキサン、オキサスピロヘプタン、オキサスピロオクタン、ジアザスピロヘキサン、ジアザスピロヘプタン、ジアザスピロオクタン、ジオキサスピロヘキサン、ジオキサスピロヘプタン、ジオキサスピロオクタン、オキサ-アザスピロヘキサン、オキサ-アザスピロヘプタン、又はオキサ-アザスピロオクタンであってよい。好適な置換又は非置換の3~10員ヘテロシクリル基としては、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2-アザスピロ[3.4]オクタン、6-オキサスピロ[3.4]オクタン、6-オキサ-2-アザスピロ[3.4]オクタン、7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン、7-オキサスピロ[3.5]ノナン、及び2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、置換又は非置換の6~10員スピロヘテロシクリルは、窒素原子を介して分子の残りの部分に接続することができる。他の実施形態では、置換又は非置換の6~10員スピロヘテロシクリルは、炭素原子を介して分子の残りの部分に接続することができる。いくつかの実施形態では、置換された6~10員スピロヘテロシクリルは、1個以上の窒素原子上で置換され得る。
【0181】
いくつかの実施形態では、R7aは、ヒドロキシ又はアミノであってもよい。
【0182】
いくつかの実施形態では、R7aは、非置換であってよい。他の実施形態では、R7は置換されてもよい。いくつかの実施形態では、R7aは、非置換のC1~C6アルキル(本明細書に記載されるものなど)、非置換のC1~C6アルコキシ(本明細書に記載されるものなど)、フルオロ、クロロ、ヒドロキシ、及び-SO2-(非置換のC1~C6アルキル)から独立して選択された1つ又は2つの置換基で置換されてよい。例えば、R7aのC1~C6アルコキシ、C3~C10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、一置換アミン基、二置換アミン基、N-カルバミル、C-アミド、及びN-アミド基は、前述の置換基のうちのいずれかから独立して選択された1つ又は2つの置換基で置換されてよい。
【0183】
いくつかの実施形態では、R7aは、
【0184】
【0185】
いくつかの実施形態では、R7aは、
【0186】
【0187】
いくつかの実施形態では、R7aは、
【0188】
【化21】
であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、R
7aは、
【0189】
【化22】
であってよい。いくつかの実施形態では、R
7aは、
【0190】
【化23】
であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、R
7aは、
【0191】
【化24】
であってよい。いくつかの実施形態では、R
7aは、
【0192】
【化25】
であってよい。いくつかの実施形態では、R
7aは、
【0193】
【化26】
であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、R
7は、
【0194】
【化27】
であってよい。いくつかの実施形態では、R
7aは、
【0195】
【化28】
であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、R
7は、
【0196】
【0197】
【0198】
いくつかの実施形態では、化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩は、式(AA)、式(BB)、式(CC)、及び式(DD)の化合物:
【0199】
【化31】
又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩から選択されてよい。
【0200】
化合物(B)のBcl-2阻害剤の非限定的なリストは、本明細書に記載されており、
図1に提供されるものを含む。
【0201】
化合物(B)の例として、以下が挙げられる:
【0202】
【0203】
【0204】
【0205】
【0206】
【0207】
【0208】
【0209】
【0210】
【0211】
【化41】
又は上記のいずれかの薬学的に許容される塩。
【0212】
化合物(B)は、その薬学的に許容される塩と共に、本明細書及び、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2019/139902号、同第2019/139900号、同第2019/139907号、及び同第2019/139899号に記載されているように調製することができる。国際公開第2019/139902号、同第第2019/139900号、同第2019/139907、及び同第2019/139899号に記載されているように、化合物(B)は、Bcl-2阻害剤である。
【0213】
その薬学的に許容される塩及び塩形態(形態A及び/若しくは形態Cなど)を含む化合物(A)と、その薬学的に許容される塩を含む化合物(B)の組み合わせの実施形態を、表1に提供する。表1において、「A」は、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)を表し、数字は、その薬学的に許容される塩を含む
図1に提供される化合物を表す。例えば、表1において、1:Aで表される組み合わせは、
【0214】
【化42】
と、上記のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を含む化合物(A)の組み合わせに対応する。
【0215】
【0216】
本明細書に記載の組み合わせにおける化合物の投与の順序は、変化し得る。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)、並びに/又は、その薬学的に許容される塩を含む化合物(C)は、全ての化合物(B)又はその薬学的に許容される塩の前に投与することができる。他の実施形態では、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)、並びに/又は、その薬学的に許容される塩を含む化合物(C)は、少なくとも1回の化合物(B)又はその薬学的に許容される塩の前に投与することができる。更に他の実施形態では、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)、並びに/又は、その薬学的に許容される塩を含む化合物(C)は、全ての化合物(B)又はその薬学的に許容される塩と同時に投与することができる。なお更に他の実施形態では、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)、並びに/又は、その薬学的に許容される塩を含む化合物(C)は、少なくとも1回の化合物(B)又はその薬学的に許容される塩の投与に続いて投与することができる。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)、並びに/又は、その薬学的に許容される塩を含む化合物(C)は、全ての化合物(B)又はその薬学的に許容される塩の投与に続いて投与することができる。
【0217】
本明細書に記載の化合物の組み合わせの使用について、いくつかの利点が存在し得る。例えば、複数の経路を同時に攻撃する化合物を組み合わせることは、組み合わせの化合物が単剤療法として使用される場合と比較して、本明細書に記載されるものなどのがんの治療においてより効果的であり得る。
【0218】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)と、化合物(B)又はそれらの薬学的に許容される塩のうちの1つ以上の組み合わせは、本明細書に記載される、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩などの化合物に起因し得る副作用の数及び/又は重症度を減少させることができる。他の実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩を含む化合物(C)と、化合物(B)又はそれらの薬学的に許容される塩のうちの1つ以上の組み合わせは、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩に起因し得る副作用の数及び/又は重症度を減少させることができる。
【0219】
本明細書に記載の化合物の組み合わせを使用すると、相加、相乗、又は強力な相乗効果をもたらすことができる。本明細書に記載の化合物の組み合わせは、拮抗的ではない効果をもたらし得る。
【0220】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)と、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上の組み合わせは、相加効果をもたらし得る。他の実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩を含む化合物(C)と、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上の組み合わせは、相加効果をもたらし得る。
【0221】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)と、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上
の組み合わせは、相乗効果をもたらし得る。他の実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩を含む化合物(C)と、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上の組み合わせは、相乗効果をもたらし得る。
【0222】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)と、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上の組み合わせは、強い相乗効果をもたらし得る。他の実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩を含む化合物(C)と、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上の組み合わせは、強い相乗効果をもたらし得る。
【0223】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)と、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上の組み合わせは、拮抗的ではない。他の実施形態では、本明細書に記載される、その薬学的に許容される塩を含む化合物(C)と、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上の組み合わせは、拮抗的ではない。
【0224】
本明細書で使用するとき、用語「拮抗的」は、化合物を組み合わせた場合の活性が、各化合物の活性を個々に(すなわち、単一の化合物として)測定した場合のその組み合わせの各化合物の活性の総和と比較してより低いことを意味する。本明細書で使用するとき、用語「相乗効果」は、化合物を組み合わせた場合の活性が、各化合物の活性を個々に測定した場合のその組み合わせの各化合物の個々の活性の総和より高いことを意味する。本明細書で使用するとき、用語「相加効果」は、化合物を組み合わせた場合の活性が、各化合物の活性を個々に測定した場合のその組み合わせの各化合物の個々の活性の総和にほぼ等しいことを意味する。
【0225】
本明細書に記載の組み合わせを利用する潜在的な利点は、各化合物が単剤療法として投与される場合と比較して、本明細書に開示される疾患状態を治療するのに有効な化合物の必要量の低減であり得る。例えば、本明細書に記載の組み合わせで使用される化合物(B)又はその薬学的に許容される塩の量は、単剤療法として投与される場合、疾患マーカー(例えば、腫瘍サイズ)の同じ減少を達成するために必要な化合物(B)又はその薬学的に許容される塩の量と比較して、より少ない場合がある。本明細書に記載される組み合わせを利用する別の潜在的な利点は、異なる作用機序を有する2つ以上の化合物の使用が、化合物が単剤療法として投与される場合と比較して、耐性の発生に対してより高い障害となり得ることである。本明細書に記載の組み合わせを利用する追加の利点として、本明細書に記載の組み合わせの化合物間にほとんど若しくは全く交差耐性がないこと、本明細書に記載の組み合わせの化合物の排泄経路が異なること、及び/又は、本明細書に記載の組み合わせの化合物間に重複する毒性がほとんど若しくは全くないことが挙げられ得る。
【0226】
医薬組成物
その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)は、医薬組成物中に提供され得る。その薬学的に許容される塩を含む化合物(B)は、医薬組成物中に提供され得る。同様に、その薬学的に許容される塩を含む化合物(C)は、医薬組成物に提供され得る。
【0227】
「医薬組成物」という用語は、本明細書に開示される1つ以上の化合物及び/又は塩と、希釈剤、担体、及び/又は賦形剤などの他の化学構成成分との混合物を指す。医薬組成物は、生物への化合物の投与を容易にする。医薬組成物はまた、化合物を、無機又は有機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、及びサリチル酸と反応させることによって得られ得る。医薬組成物は、一般に、意図される具体的な投与経路に合わせて調整される。
【0228】
本明細書で使用される場合、「担体」は、細胞又は組織への化合物の組み込みを促進する化合物を指す。例えば、限定することなく、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)は、対象の細胞又は組織への多くの有機化合物の取り込みを促進する、一般的に利用される担体である。
【0229】
本明細書で使用される場合、「希釈剤」は、明らかな薬理活性はないが、薬学的に必要又は望ましくあり得る、医薬組成物中の成分を指す。例えば、希釈剤は、製造及び/又は投与には質量が小さ過ぎる、効力のある薬物のかさ増しのために使用されてもよい。それはまた、注射、摂取、又は吸入によって投与される薬物を溶解させるための液体であってもよい。当該技術分野において一般的な希釈剤の形態は、限定するものではないが、ヒト血液のpH及び等張性を模したリン酸緩衝生理食塩水などの、緩衝水溶液である。
【0230】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」は、限定するものではないが、かさ、稠度、安定性、結合能力、潤滑、崩壊能力などを組成物に提供するために、医薬組成物に添加される、本質的に不活性の物質を指す。例えば、酸化防止剤及び金属キレート剤などの安定剤は、賦形剤である。一実施形態では、医薬組成物は、酸化防止剤及び/又は金属キレート剤を含む。「希釈剤」は、ある種の賦形剤である。
【0231】
いくつかの実施形態では、化合物(B)は、その薬学的に許容される塩と共に、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)、並びに/又は、その薬学的に許容される塩を含む化合物(C)を含む医薬組成物中に提供され得る。他の実施形態では、化合物(B)は、その薬学的に許容される塩と共に、その薬学的に許容される塩及びその塩形態を含む化合物(A)を含む医薬組成物とは別の医薬組成物で投与することができる。更に他の実施形態では、化合物(B)は、その薬学的に許容される塩と共に、その薬学的に許容される塩を含む化合物(C)を含む医薬組成物とは別の医薬組成物で投与することができる。
【0232】
本明細書に記載の医薬組成物は、ヒト患者にそれ自体で、あるいはそれらが、併用療法におけるような他の活性成分、又は担体、希釈剤、賦形剤、若しくはそれらの組み合わせと混合される医薬組成物において、投与することができる。適切な製剤設計は、選択される投与経路による。本明細書に記載の化合物の製剤設計及び投与のための技術は、当業者に既知である。
【0233】
本明細書に開示の医薬組成物は、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、ドラジェ作製、水簸、乳化、封入、捕捉、又は錠剤化プロセスによって、それ自体が既知である様式で製造され得る。加えて、活性成分が、その意図した目的を達成するために有効な量で含有される。本明細書に開示の薬剤の組み合わせで使用される化合物の多くは、薬学的に適合する対イオンを有する塩として提供されてもよい。
【0234】
筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、くも膜下、直接心室内、腹腔内、鼻腔内、及び眼内注射を含む、経口、直腸、肺内、局所、エアロゾル、注射、注入、及び非経口送達が挙げられるが、これらに限定されない、化合物、塩、及び/又は組成物を投与する複数の技術が当該技術分野において存在する。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)は、経口投与することができる。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容される塩を含む化合物(C)は、経口投与することができる。いくつかの実施形態では、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)は、その薬学的に許容される塩を伴う化合物(B)と同じ投与経路によって、対象に提供され得る。他の実施形態では、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)は、その薬学的に許容される塩を伴う化合物(B)と異なる投与経路によって、対象に提供され得る。更に他の実施形態では、その薬学的に許容される塩を含む化合物(C)は、その薬学的に許容される塩を伴う化合物(B)と同じ投与経路によって、対象に提供され得る。なお更に他の実施形態では、その薬学的に許容される塩を含む化合物(C)は、その薬学的に許容される塩を伴う化合物(B)と異なる投与経路によって、対象に提供され得る。
【0235】
また、全身的な方法ではなく局所的な方法で、例えば、多くの場合、デポー製剤又は持続放出製剤として化合物を患部に直接注射又は埋め込むことによって化合物、塩、及び/又は組成物を投与してもよい。更に、標的化した薬物送達システムで、例えば、組織特異的抗体でコーティングされたリポソームで化合物を投与することができる。リポソームは、臓器に対して標的化され、かつ臓器により選択的に取り込まれる。例えば、呼吸器の疾病又は病態を標的とするための鼻腔内又は肺内送達が望ましくあってもよい。
【0236】
組成物は、所望される場合、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を含み得る、パック又はディスペンサデバイス中に提供されてもよい。パックは、例えば、ブリスタパックなどの金属又はプラスチック箔を含んでもよい。パック又はディスペンサデバイスには、投与に関する指示書が添付されていてもよい。パック又はディスペンサはまた、薬剤の製造、使用、又は販売を規制する行政機関によって規定された形式の、容器に関連する注意書きが添付されていてもよく、その注意書きは、ヒト又は動物投与のための薬物の形態の機関による承認を反映する。そのような注意書きは、例えば、処方薬に関し米国食品医薬品局によって承認されたラベル、又は承認された製品添付文書であってもよい。適合する薬学的担体中で製剤化される本明細書に記載の化合物及び/又は塩を含むことができる組成物はまた、示された病態の治療のために調製され、適切な容器内に配置され、かつラベル付けされてもよい。
【0237】
使用及び治療方法
本明細書で提供されるように、いくつかの実施形態では、有効量の、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)、及び、有効量の、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を含む化合物の組み合わせを使用して、疾患又は状態を治療することができる。いくつかの実施形態では、有効量の、その薬学的に許容される塩を含む化合物(C)、及び、有効量の、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を含む化合物の組み合わせを使用して、疾患又は状態を治療することができる。
【0238】
いくつかの実施形態では、疾患又は状態は、乳がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮がん、膣がん、外陰がん、膀胱がん、脳がん、骨髄がん、大腸がん、食道がん、肝細胞がん、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞又はB細胞由来のリンパ系悪性腫瘍、黒色腫、骨髄性白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、頭部及び頸部がん(口腔がんを含む)、非小細胞肺がん、慢性リンパ性白血病、骨髄腫、前立腺がん、小細胞肺がん、脾臓がん、真性多血症、甲状腺がん、子宮内膜がん、胃がん、胆嚢がん、胆管がん、精巣がん、神経芽細胞腫、骨肉腫、ユーイング腫瘍、及びウィルムス腫瘍から選択されてよい。他の実施形態では、疾患又は状態は、乳がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮がん、膣がん、及び外陰がんから選択することができる。
【0239】
本明細書で使用される場合、「対象」とは、治療、観察、又は実験の対象である動物を指す。「動物」には、冷血及び温血の脊椎動物及び無脊椎動物、例えば、魚、甲殻類、爬虫類、及び特に、哺乳類が含まれる。「哺乳類」には、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、霊長類、例えば、サル、チンパンジー、及び類人猿、並びに特に、ヒトが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、対象はヒトであり得る。いくつかの実施形態では、対象は、小児及び/又は乳児、例えば、発熱した小児又は乳児であり得る。他の実施形態では、対象は、成人であり得る。
【0240】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、「治療」、「治療的」、及び「療法」という用語は、必ずしも疾病又は病態の完全な治癒又は消滅を意味するとは限らない。疾病又は病態の任意の望ましくない徴候又は症状の任意の程度の任意の緩和が、治療及び/又は療法と見なされ得る。更に、治療は、対象の健康又は外観についての総合的な感覚を悪化させ得る行為を含み得る。
【0241】
「有効量」という用語は、示される生物学的又は医学的応答を誘発する、活性化合物又は薬剤の量を示すために使用される。例えば、有効量の化合物、塩又は組成物は、疾患又は病態の症状を予防、緩和、若しくは改善するか、又は治療される対象の生存を延長するために必要な量であってよい。この応答は、組織、系、動物、又はヒトにおいて生じ得、治療される疾病又は病態の徴候又は症状の緩和を含む。有効量の決定は、本明細書に提供される開示を考慮して、十分当業者の能力の範囲内である。用量として必要とされる本明細書に開示される化合物の有効量は、投与経路、治療されているヒトを含む動物の種類、及び考慮中の特定の動物の身体特性によって決まる。用量は、所望の効果を達成するように合わせて調整され得るが、体重、食生活、併用投薬、及び医療分野の当業者が認識するであろう他の要因などの要因によって決まる。
【0242】
例えば、化合物又は放射線の有効量は、(a)がんによって引き起こされる1つ以上の症状の軽減、緩和、若しくは消失、(b)腫瘍サイズの低減、(c)腫瘍の除去、及び/又は(d)腫瘍の長期疾患安定化(成長停止)をもたらす量である。
【0243】
様々なタイプの乳がんが知られている。いくつかの実施形態では、乳がんはER陽性乳がんであってもよい。いくつかの実施形態では、乳がんは、ER陽性、HER2陰性乳がんであってもよい。いくつかの実施形態では、乳がんは、局所乳がんであり得る(本明細書で使用される場合、「局所」乳がんは、がんが身体の他の領域に広がっていないことを意味する)。いくつかの実施形態では、がんは転移性乳がんであってもよい。対象は、以前に治療されたことのない乳がんを有してもよい。
【0244】
いくつかの場合では、乳がん治療に続いて、対象は、乳がんが再燃する(relapse)又はぶり返すことがある。本明細書で使用される場合、「再燃」及び「ぶり返し」という用語は、当業者によって理解されるように、それらの通常の意味で使用される。それ故、乳がんは再発性乳がんであってもよい。いくつかの実施形態では、対象は、乳がんの以前の治療後に再燃している。例えば、対象は、本明細書に記載されるものなどのSERM、SERD及び/又はアロマターゼ阻害薬で1つ以上の治療を受けた後に再燃している。
【0245】
ESR1内で、いくつかのアミノ酸変異が特定されている。ESR1の変異は、耐性の役割を果たすときに提案されている。選択的ER調節剤(SERM)、選択的ER分解剤(SERD)、及びアロマターゼ阻害剤を含む、エストロゲン受容体を阻害するためのいくつかの療法が存在する。前述のがん療法から生じ得る1つの問題は、がん療法に対する耐性の発生である。内分泌療法などのがん療法に対する取得耐性は、タモキシフェン及び他の内分泌療法で治療された女性のほぼ3分の1で見つかっている。Alluri et
al.,「Estrogen receptor mutations and their role in breast cancer progression」Breast Cancer Research(2014)16:494を参照されたい。研究者らは、内分泌療法などのがん療法に対する耐性の取得の理由の1つとして、エストロゲン受容体における変異があるとみている。したがって、がんがESR1内に1つ以上の変異を有する乳がんを治療することができる化合物が必要とされている。
【0246】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、それを必要とする対象の乳がんを治療す
るための薬剤の製造における、有効量の、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)と、有効量の、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を含む、化合物の組み合わせの使用に関し、乳がんは、エストロゲン受容体α(ERα)をコードするエストロゲン受容体1(ESR1)内に少なくとも1つの点変異を有する。本明細書に関する他の実施形態は、それを必要とする対象の乳がんを治療するための、有効量の、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)と、有効量の、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を含む、化合物の組み合わせの使用に関し、乳がんは、エストロゲン受容体α(ERα)をコードするエストロゲン受容体1(ESR1)内に少なくとも1つの点変異を有する。本明細書に開示される更に他の実施形態は、有効量の、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)と、有効量の、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を含む、化合物の組み合わせで、それを必要とする対象の乳がんを治療する方法に関し、乳がんは、エストロゲン受容体α(ERα)をコードするエストロゲン受容体1(ESR1)内に少なくとも1つの点変異を有する。
【0247】
いくつかの実施形態では、変異は、ESR1のリガンド結合ドメイン(LBD)にあり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の変異は、A593、S576、G557、R555、L549、A546、E542、L540、D538、Y537、L536、P535、V534、V533、N532、K531、C530、H524、E523、M522、R503、L497、K481、V478、R477、E471、S463、F461、S432、G420、V418、D411、L466、S463、L453、G442、M437、M421、M396、V392、M388、E380、G344、S338、L370、S329、K303、A283、S282、E279、G274、K252、R233、P222、G160、N156、P147、G145、F97、N69、A65、A58及びS47から選択されたアミノ酸であり得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の変異は、D538、Y537、L536、P535、V534、S463、V392、及びE380から選択されるアミノ酸にあってもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の変異は、D538及びY537から選択されるアミノ酸にあってもよい。
【0248】
いくつかの実施形態では、1つ以上の変異は、K303R、D538G、Y537S、E380Q、Y537C、Y537N、A283V、A546D、A546T、A58T、A593D、A65V、C530L、D411H、E279V、E471D、E471V、E523Q、E542G、F461V、F97L、G145D、G160D、G274R、G344D、G420D、G442R、G557R、H524L、K252N、K481N、K531E、L370F、L453F、L466Q、L497R、L536H、L536P、L536Q、L536R、L540Q、L549P、M388L、M396V、M421V、M437I、M522I、N156T、N532K、N69K、P147Q、P222S、P535H、R233G、R477Q、R503W、R555H、S282C、S329Y、S338G、S432L、S463P、S47T、S576L、V392I、V418E、V478L、V533M、V534E、Y537D及びY537Hから選択され得る。
【0249】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、それを必要とする対象の乳がんを治療するための薬剤の製造における、有効量の、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)と、有効量の、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を含む、化合物の組み合わせの使用に関し、乳がんは、少なくとも1つの点変異(例えば、エストロゲン受容体α(ERα)をコードするエストロゲン受容体1(ESR1)内の点変異)を含まない。本明細書に関する他の実施形態は、それを必要とする対象の乳がんを治療するための、有効量の、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)と、有効量の、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を含む、化合物の組み合わせの使用に関し、乳がんは、エストロゲン受容体α(ERα)をコードするエストロゲン受容体1(ESR1)内の点変異などの少なくとも1つの点変異を含まない。本明細書に開示される更に他の実施形態は、有効量の、その薬学的に許容される塩及び塩形態を含む化合物(A)と、有効量の、化合物(B)又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を含む、化合物の組み合わせで、それを必要とする対象の乳がんを治療する方法に関し、乳がんは、エストロゲン受容体α(ERα)をコードするエストロゲン受容体1(ESR1)内の少なくとも1つの点変異(例えば、エストロゲン受容体α(ERα)をコードするエストロゲン受容体1(ESR1)内の点変異)を含まない。
【0250】
本明細書で提供されるように、いくつかの研究は、ER陽性乳がんにおける耐性の潜在的な原因が、内分泌療法によるESR1における取得された変異に起因することを示している。いくつかの実施形態では、対象は、1つ以上の選択的ER調節薬で以前に治療されていた。例えば、対象は、タモキシフェン、ラロキシフェン、オスペミフェン、バゼドキシフェン、トレミフェン、及びラソフォキシフェン、又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩から選択された1つ以上の選択されたER調節薬で以前に治療されていた。いくつかの実施形態では、対象は、フルベストラント、(E)-3-[3,5-ジフルオロ-4-[(1R,3R)-2-(2-フルオロ-2-メチルプロピル)-3-メチル-1,3,4,9-テトラヒドロピリド[3,4-b]インドール-1-イル]フェニル]プロパ-2-エン酸(AZD9496)、(R)-6-(2-(エチル(4-(2-(エチルアミノ)エチル)ベンジル)アミノ)-4-メトキシフェニル)-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-オール(elacestrant、RAD1901)、(E)-3-(4-((E)-2-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)-1-(1H-インダゾール-5-イル)ブタ-1-エン-1-イル)フェニル)アクリル酸(Brilanestrant、ARN-810、GDC-0810)、(E)-3-(4-((2-(2-(1,1-ジフルオロエチル)-4-フルオロフェニル)-6-ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン-3-イル)オキシ)フェニル)アクリル酸(LSZ102)、(E)-N,N-ジメチル-4-((2-((5-((Z)-4,4,4-トリフルオロ-1-(3-フルオロ-1H-インダゾール-5-イル)-2-フェニルブタ-1-エン-1-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)エチル)アミノ)ブタ-2-エナミド(H3B-6545)、(E)-3-(4-((2-(4-フルオロ-2,6-ジメチルベンゾイル)-6-ヒドロキシベンゾ[b]チオフェン-3-イル)オキシ)フェニル)アクリル酸(rintodestrant、G1T48)、D-0502、SHR9549、ARV-471、3-((1R,3R)-1-(2,6-ジフルオロ-4-((1-(3-フルオロプロピル)アゼチジン-3-イル)アミノ)フェニル)-3-メチル-1,3,4,9-テトラヒドロ-2H-ピリド[3,4-b]インドール-2-イル)-2,2-ジフルオロプロパン-1-オール(giredestrant、GDC-9545)、(S)-8-(2,4-ジクロロフェニル)-9-(4-((1-(3-フルオロプロピル)ピロリジン-3-イル)オキシ)フェニル)-6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[7]アヌレン-3-カルボン酸(SAR439859)、N-[1-(3-フルオロプロピル)アゼチジン-3-イル]-6-[(6S,8R)-8-メチル-7-(2,2,2-トリフルオロエチル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-3H-ピラゾロ[4,3-f]イソキノリン-6-イル]ピリジン-3-アミン(AZD9833)、OP-1250、及びLY3484356、又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩などの1つ以上の選択的ER分解剤で以前に治療されていた。いくつかの実施形態では、対象は、1つ以上のアロマターゼ阻害薬で以前に治療されていた。アロマターゼ阻害薬は、ステロイド性アロマターゼ阻害薬又は非ステロイド性アロマターゼ阻害薬であってもよい。例えば、1つ以上のアロマターゼ阻害薬は、(エキセメスタン(ステロイド)アロマターゼ阻害薬)、テストラクトン(ステロイド性アロマターゼ阻害薬)、anastazole(非ステロイド性アロマターゼ阻害薬)、及びletrazole(非ステロイド性アロマターゼ阻害薬)(前述のいずれかの薬学的に許容される塩を含む)から選択してよい。
【0251】
いくつかの実施形態では、対象に乳がんが存在してもよく、対象は女性であってもよい。女性が中年に近づくと、女性は閉経の段階になり得る。いくつかの実施形態では、対象は閉経前の女性であってもよい。他の実施形態では、対象は、閉経周辺期の女性であってもよい。更に他の実施形態では、対象は、閉経期の女性であってもよい。更に他の実施形態では、対象は、閉経後の女性であってもよい。他の実施形態では、対象に乳がんが存在してもよく、対象は男性であってもよい。対象の血清エストラジオール濃度は変化してもよい。いくつかの実施形態では、対象の血清エストラジオール濃度(E2)は、15pg/mL超~350pg/mLの範囲内であってもよい。他の実施形態では、対象の血清エストラジオール濃度(E2)は、15pg/mL以下であってもよい。
【0252】
他の実施形態では、対象の血清エストラジオール濃度(E2)は、10pg/mL以下であってもよい。
【0253】
治療で使用するために必要とされる化合物、塩、及び/又は組成物の量は、選択された特定の化合物又は塩だけはなく、投与経路、治療されている疾患又は病態の性質及び/又は症状、並びに患者の年齢及び状態によっても変化し、最終的に、主治医又は臨床医の判断による。薬学的に許容される塩の投与の場合、投与量は、遊離塩基として計算され得る。当業者によって理解されるように、ある特定の状況において、特に進行性の疾病又は病態を効果的かつ積極的に治療するために、本明細書に記載の投与量範囲を超えるか、又ははるかに超えさえする量で、本明細書に開示の化合物を投与することが必要であり得る。
【0254】
当業者には容易に明らかになるように、投与される有用なインビボ投与量及び特定の投与方法は、年齢、体重、苦痛の重症度、及び治療される哺乳動物種、用いられる特定の化合物、並びにこれらの化合物が用いられる特定の用途に応じて異なる。有効な投与量レベル、つまり所望の結果を達成するために必要な投与量レベルの判定は、日常的な方法、例えば、ヒト臨床試験、インビボ研究、及びインビトロ研究を使用して、当業者によって達成され得る。例えば、化合物(A)、(B)及び/若しくは(C)、又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩の有用な投与量は、動物モデルにおけるそれらのインビトロ活性及びインビボ活性を比較することによって判定され得る。そのような比較は、シスプラチン及び/又はゲムシタビン)などの確立された薬物との比較によって行われ得る。
【0255】
投与量及び間隔は、活性部分が調節作用又は最小有効濃度(minimal effective concentration、MEC)を維持するのに十分である血漿濃度を提供するように、個々に調節されてもよい。MECは、各化合物に関して異なるが、インビボ及び/又はインビトロデータから推定され得る。MECを達成するために必要な投与量は、個々の特性及び投与経路に依存する。しかしながら、血漿濃度を測定するためにはHPLCアッセイ又はバイオアッセイが使用され得る。投与間隔もまたMEC値を使用して判定され得る。組成物は、10~90%の期間、好ましくは30~90%、最も好ましくは50~90%にわたって、MECを超える血漿濃度を維持するレジメンを使用して投与されるべきである。局所投与又は選択的取り込みの場合、薬物の有効局所濃度は、血漿濃度に関係しない場合がある。
【0256】
毒性又は臓器機能不全により、投与の終了、中断、又は調節の方法及び時期について主治医が把握するであろうことに留意されたい。反対に、主治医は、臨床応答が適切ではない(毒性を除外する)場合、治療をより高いレベルに調節することも知っている。対象となる疾患の管理において投与される用量の大きさは、治療しようとする疾病又は病態の重症度並びに投与経路によって変動する。疾病又は病態の重症度は、例えば、部分的には、標準的な予後評価方法によって評価されてもよい。更に、用量及び恐らく投薬回数はまた、個々の患者の年齢、体重、及び応答によっても変動する。上記で考察されるものに相当するプログラムが、獣医学で使用されてもよい。
【0257】
本明細書に開示の化合物、塩、及び組成物は、既知の方法を使用して有効性及び毒性に関して評価され得る。例えば、ある特定の化学部分を共有する特定の化合物又は化合物のサブセットについての毒性学は、哺乳動物、及び好ましくはヒト細胞株などの細胞株に対するインビトロ毒性を評価することによって確立され得る。そのような研究の結果は、多くの場合、哺乳動物、又は特にヒトなどの動物における毒性を予測する。代替的に、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、又はサルなどの動物モデルにおける特定の化合物の毒性は、既知の方法を使用して判定され得る。特定の化合物の有効性は、インビトロ方法、動物モデル、又はヒト臨床試験などのいくつかの認められている方法を使用して確立され得る。有効性を判定するためのモデルを選択する場合、当業者は、適切なモデル、用量、投与経路、及び/又はレジメンを選択するにあたり最先端の技術を指針とすることができる。
【実施例】
【0258】
特許請求の範囲を決して限定するものではない、更なる実施形態が、以下の実施例において更に詳細に開示される。
【0259】
異種移植腫瘍モデル
実施例1:MCF-7細胞を、空気中5%のCO
2雰囲気下、37℃にて、15%加熱不活性化ウシ胎児血清を添加したDMEM培地中増殖させた。BALB/cヌードマウスの第2右乳房脂肪体に、200μLの血清を含まないDMEM Matrigel混合液(1:1比)中の生存腫瘍細胞95%の単一細胞懸濁液(1.5×10
7)を皮下移植した。腫瘍が約172mm
3達したとき、動物をそれぞれ10例の処置群にランダムに分け、単剤処置と同じ量のビヒクル、10mg/kgの化合物A(あるいは、本明細書及び図において「化合物(A)」と称される)、200mg/kgの化合物5、及び化合物A 10mg/kg)と化合物5(200mg/kg)の組み合わせを、21日間毎日経口投与した。更に、安息香酸エストラジオール注射剤を、全ての処置群に皮下投与(40μg/20μL、週2回)した。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の兆候の代理として週に2回秤量した。腫瘍増殖阻害(TGI)は、次式:TGI=(1-(Td-T0)/(Cd-C0))×100%を使用して計算した。Td及びCdは、処置動物及び対照動物の平均腫瘍体積であり、T0及びC0は、試験開始時の処置動物及び対照動物の平均腫瘍体積である。腫瘍退縮は、個々の腫瘍体積(TV)減少(初期TVと比較した最終TV)として定義された。腫瘍退縮率は、式:(1-(Td/T0))×100%を使用して計算した。
図2及び表2は、化合物Aと化合物5の組み合わせが、各化合物単独よりも腫瘍サイズの縮小により効果的であることを示している。単剤として、又は化合物5と組み合わせた化合物Aは、それぞれ81%、及び106%のTGI値を有する有意な抗腫瘍活性をもたらした。化合物5は、25%のTGIを有するわずかな抗腫瘍活性を示した。
【0260】
【0261】
実施例2:MCF-7細胞を、空気中5%のCO
2雰囲気下、37℃にて、15%加熱不活性化ウシ胎児血清を添加したDMEM培地中増殖させた。BALB/cヌードマウス
の第2右乳房脂肪体に、200μLの血清を含まないDMEM Matrigel混合液(1:1比)中の生存腫瘍細胞95%の単一細胞懸濁液(1.5×10
7)を皮下移植した。腫瘍が約226mm
3達したとき、動物をそれぞれ8例の処置群にランダムに分け、単剤処置と同じ量のビヒクル、5mg/kgの化合物A、200mg/kgの化合物5、及び化合物A(5mg/kg)と化合物5(200mg/kg)の組み合わせを、24日間毎日経口投与した。更に、安息香酸エストラジオール注射剤を、全ての処置群に皮下投与(40μg/20μL、週2回)した。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の兆候の代理として週に2回秤量した。TGI及び腫瘍退縮値は、実施例1に提供される式を使用して計算した。
図3では、1番上の線(丸で示す)はビヒクルのデータを表し、上からの2番目の線(丸で示す)は、化合物5(200mg/kg)のデータを表す。
図3及び表3は、化合物Aと化合物5の組み合わせが、各化合物単独よりも腫瘍サイズの縮小により効果的であることを示している。単剤として、又は化合物5と組み合わせた化合物Aは、それぞれ108%、及び143%のTGI値を有する有意な抗腫瘍活性をもたらした。化合物5は、46%のTGIを有するわずかな抗腫瘍活性を示した。
【0262】
【0263】
実施例3:MCF-7細胞を、空気中5%のCO
2雰囲気下、37℃にて、15%加熱不活性化ウシ胎児血清を添加したDMEM培地中増殖させた。BALB/cヌードマウスの第2右乳房脂肪体に、200μLの血清を含まないDMEM Matrigel混合液(1:1比)中の生存腫瘍細胞95%の単一細胞懸濁液(1.5×10
7)を皮下移植した。腫瘍が約143mm
3達したとき、動物をそれぞれ10例の処置群にランダムに分け、単剤処置と同じ量のビヒクル、10mg/kgの化合物A、50mg/kgの化合物6、及び化合物A(10mg/kg)と化合物6(50mg/kg)の組み合わせを、28日間毎日経口投与した。更に、安息香酸エストラジオール注射剤を、全ての処置群に皮下投与(40μg/20μL、週2回)した。腫瘍体積を週に2回評価して、腫瘍体積を経時的に計算し、マウスを毒性の兆候の代理として週に2回秤量した。TGI及び腫瘍退縮値は、実施例1に提供される式を使用して計算した。
図4及び表4は、化合物Aと化合物6の組み合わせが、各化合物単独よりも腫瘍サイズの縮小により効果的であることを示している。単剤として、又は化合物6と組み合わせた化合物Aは、それぞれ120%、及び135%のTGI値を有する有意な抗腫瘍活性をもたらした。化合物6は、18%のTGIを有するわずかな抗腫瘍活性を示した。
【0264】
【0265】
本明細書で提供されるデータは、本明細書に記載のSERD阻害剤とBcl-2阻害剤との組み合わせが、本明細書に記載の疾患又は状態を治療するために使用できることを実証する。
【0266】
その上、上文は、明確さと理解のために、図及び実施例としてある程度詳細に記述されているが、本開示の趣旨を逸脱することなく数多くの様々な修正がなされ得ることが、当業者によって理解される。したがって、本明細書に開示される形態は例示にすぎず、本開示の範囲を限定することは意図されていないが、それどころか本発明の真の範囲及び趣旨に沿った全ての修正及び代替形態を包含することも明確に理解するべきである。
【国際調査報告】