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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(54)【発明の名称】組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/496 20060101AFI20230222BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230222BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230222BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230222BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20230222BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230222BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20230222BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20230222BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20230222BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
A61K31/496
A61P43/00 121
A61P35/00
A61P35/02
A61P15/00
A61P11/00
A61P1/00
A61K31/519
A61K31/5377
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538226
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-16
(86)【国際出願番号】 US2020065406
(87)【国際公開番号】W WO2021127041
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/952,059
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518346476
【氏名又は名称】リキュリウム アイピー ホールディングス リミテッド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サマター,アフメド アブディ
(72)【発明者】
【氏名】イザディ,フーマン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ピーター キンファ
(72)【発明者】
【氏名】ピンチマン,ジョセフ ロバート
(72)【発明者】
【氏名】バンカー,ケビン デュアン
(72)【発明者】
【氏名】ドネイト,フェルナンド
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZA59
4C084ZA66
4C084ZA81
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086CB09
4C086CB14
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA81
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
(57)【要約】
本明細書では、癌などの疾病又は病態を治療するための化合物の組み合わせが開示される。疾病又は病態を治療するための化合物の組み合わせは、Bcl-2阻害剤とWEE1阻害剤、並びに、上記のいずれかの薬学的に許容される塩を含んでいてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾病又は病態を治療するための化合物の組み合わせの使用であって、
前記組み合わせは、有効量の化合物(A)、及び有効量の1つ以上の化合物(B)、又はそれらの薬学的に許容される塩を含み、
前記化合物(A)は以下の構造を有し、
【化1】

[式中、
は、水素、ハロゲン、置換又は非置換のC~Cアルキル、置換又は非置換のC~Cハロアルキル、置換又は非置換のC~Cシクロアルキル、置換又は非置換のC~Cアルコキシ、非置換のモノ-C~Cアルキルアミン、及び非置換のジ-C~Cアルキルアミンからなる群から選択され、
各Rは、ハロゲン、置換若しくは非置換のC~Cアルキル、置換若しくは非置換のC~Cハロアルキル、及び置換若しくは非置換のC~Cシクロアルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、
mが2若しくは3である場合、各Rは、ハロゲン、置換若しくは非置換のC~Cアルキル、置換若しくは非置換のC~Cハロアルキル、及び置換若しくは非置換のC~Cシクロアルキルからなる群から独立して選択され、又は2つのR基は、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって置換若しくは非置換のC~Cシクロアルキル若しくは置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクリルを形成し、
は、NO、S(O)R、SO、ハロゲン、シアノ、及び非置換のC~Cハロアルキルからなる群から選択され、
は、-X-(Alk-Rであり、
Alkは、非置換のC~Cアルキレン、並びにフルオロ、クロロ、非置換のC~Cアルキル、及び非置換のC~Cハロアルキルから独立して選択される1、2、若しくは3つの置換基で置換されたC~Cアルキレンから選択され、
は、置換又は非置換のC~Cアルキル、置換又は非置換のC~Cハロアルキル、及び置換又は非置換のC~Cシクロアルキルからなる群から選択され、
は、置換又は非置換のC~Cアルコキシ、置換又は非置換のC~C10シクロアルキル、置換又は非置換の3~10員ヘテロシクリル、ヒドロキシ、アミノ、置換又は非置換の一置換アミン基、置換又は非置換の二置換アミン基、置換又は非置換のN-カルバミル、置換又は非置換のC-アミド、及び置換又は非置換のN-アミドから選択され、
mは、0、1、2、又は3であり、
nは、0及び1からなる群から選択され、
は、-O-、-S-、及び-NH-からなる群から選択される]、
前記1つ以上の化合物(B)は、WEE1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩であり、
前記WEE1阻害剤は、
【化2】

NUV-569、IMP7068、Debio0123、
【化3】

又は上記のいずれかの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、使用。
【請求項2】
前記化合物(A)は、
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

又は上記のいずれかの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記WEE1阻害剤は、
【化12】

又はその薬学的に許容される塩である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記WEE1阻害剤は、NUV-569又はその薬学的に許容される塩である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項5】
前記WEE1阻害剤は、IMP7068又はその薬学的に許容される塩である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項6】
前記WEE1阻害剤は、Debio0123又はその薬学的に許容される塩である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項7】
前記WEE1阻害剤は、
【化13】

又はその薬学的に許容される塩である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項8】
前記WEE1阻害剤は、
【化14】

又はその薬学的に許容される塩である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項9】
前記疾病又は前記病態は、血液悪性腫瘍である、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記血液悪性腫瘍は、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、及び慢性骨髄性白血病(CML)である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記血液悪性腫瘍は、非ホジキンリンパ腫である、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
前記血液悪性腫瘍は、多発性骨髄腫及び芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍である、請求項9に記載の使用。
【請求項13】
前記疾病又は前記病態は、固形腫瘍である、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
前記疾病又は前記病態は、膀胱癌、脳癌、乳癌、頸癌、絨毛癌、頚後大脳癌、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胆嚢/胆管癌、頭頸部癌(口腔癌を含む)、肝細胞癌、肺癌、非小細胞癌、中皮腫、卵巣癌、骨肉腫、膵癌、陰茎癌、肛門癌、前立腺癌、精巣癌、小細胞癌、小細胞肺癌、胃癌、直腸癌、腎盂/尿管癌、皮膚癌、軟部肉腫、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮体癌、及び子宮頸癌からなる群から選択される、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
前記疾病又は前記病態は、乳癌である、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
前記疾病又は前記病態は、小細胞肺癌である、請求項14に記載の使用。
【請求項17】
前記疾病又は前記病態は、膵癌である、請求項14に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(任意の優先権出願を参照することによる組み込み)
例えば、本出願と共に提出される出願データシート又は請求において、外国又は国内優先権の主張が確認されるすべての出願が、37 CFR 1.57並びに規則4.18及び20.6に基づき、参照により本明細書に組み込まれ、これには、2019年12月20日に出願された米国仮出願第62/952,059号が含まれる。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、化学、生化学、及び医学の分野に関する。より具体的には、本明細書に開示されるのは、併用療法、及び本明細書に記載の併用療法を用いて疾病及び/又は病態を治療する方法である。
【背景技術】
【0003】
癌は、身体の他の部分に浸潤又は広がり得る異常な細胞増殖を伴う疾病の一群である。今日の癌治療には、手術、ホルモン療法、放射線、化学療法、免疫療法、標的治療、及びそれらの組み合わせが含まれる。生存率は、癌の種類によって、及び癌が診断されるステージによって変化する。2019年には、米国において約1,800万人が癌と診断され、606,880人が癌で亡くなると推定されている。したがって、有効な癌治療の必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/126122号
【特許文献2】国際公開第2008/133866号
【特許文献3】国際公開第2011/034743号
【特許文献4】国際公開第2019/138227号
【特許文献5】国際公開第2018/162932号
【特許文献6】国際公開第2018/011570号
【特許文献7】国際公開第2018/011569号
【特許文献8】国際公開第2015/092431号
【特許文献9】国際公開第2015/019037号
【特許文献10】国際公開第2014/167347号
【特許文献11】国際公開第2020/210375号
【特許文献12】国際公開第2020/210377号
【特許文献13】国際公開第2020/210380号
【特許文献14】国際公開第2020/210381号
【特許文献15】国際公開第2020/210383号
【特許文献16】国際公開第2019/011228号
【特許文献17】国際公開第2018/090939号
【特許文献18】国際公開第2020/221358号
【特許文献19】国際公開第2019/085933号
【特許文献20】欧州特許第3712150号明細書
【特許文献21】国際公開第2019/085933号
【特許文献22】国際公開第96/34867号
【特許文献23】国際公開第2019/139902号
【特許文献24】国際公開第2019/139900号
【特許文献25】国際公開第2019/139907号
【特許文献26】国際公開第2019/139899号
【特許文献27】国際公開第2019/139902号
【特許文献28】国際公開第2019/139900号
【特許文献29】国際公開第2019/139907号
【特許文献30】国際公開第2019/139899号
【発明の概要】
【0005】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、有効量の化合物(A)、又はその薬学的に許容される塩と、有効量の1つ以上の化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩と、を含み得る化合物の組み合わせに関する。
【0006】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、疾病又は病態を治療するための化合物の組み合わせの使用に関し、この組み合わせは、有効量の化合物(A)、又はその薬学的に許容される塩と、有効量の1つ以上の化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩と、を含む。本明細書に記載の他の実施形態は、疾病又は病態を治療するための薬剤の製造における化合物の組み合わせの使用に関し、この組み合わせは、有効量の化合物(A)、又はその薬学的に許容される塩と、有効量の1つ以上の化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩と、を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、疾病又は病態は、本明細書に記載する癌であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】WEE1阻害剤の例を提供する。
図2-1】化合物(A)の例を提供する。
図2-2】化合物(A)の例を提供する。
図2-3】化合物(A)の例を提供する。
図2-4】化合物(A)の例を提供する。
図3】DMS-53細胞株及びMV4-11細胞株に対する、化合物1及び化合物5aの単剤治療及び併用治療の阻害率を示す。
図4】MCF-7乳癌細胞に対する、化合物1及び化合物5aの単剤治療及び併用治療の阻害率を示す。
図5】ZR-75-1乳癌細胞に対する、化合物1及び化合物5aの単剤治療及び併用治療の阻害率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
定義
別段の定めがない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で参照されるすべての特許、出願、公開出願、及び他の出版物は、特に明記しない限り、参照によりそれらの全体が組み込まれる。本明細書のある用語に対して複数の定義が存在する場合、特に明記しない限り、この節にある定義が優先される。
【0010】
ある基が「任意に置換」されていると記載されるときはいつでも、その基は、非置換であってもよく、又は示された置換基のうちの1つ以上で置換されていてもよい。同様に、ある基が「非置換又は置換」であると記載されるとき、置換の場合は、置換基(複数可)が指示された置換基のうちの1つ以上から選択されてもよい。置換基が指示されていない場合、指示された「任意に置換された」又は「置換された」基が、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、シクロアルキル(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、ヘテロシクリル(アルキル)、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、シアノ、ハロ
ゲン、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、ニトロ、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、一置換アミン基、二置換アミン基、一置換アミン(アルキル)基、及び二置換アミン(アルキル)から個々に、かつ独立して選択された1つ以上の基(複数可)で置換されてもよいことを意味する。
【0011】
本明細書で使用される場合、「a」及び「b」が整数である「C~C」は、基における炭素原子の数を指す。示された基は、「a」~「b」個(a及びbを含む)の炭素原子を含有することができる。したがって、例えば、「C~Cアルキル」基は、1~4個の炭素を有するすべてのアルキル基、つまり、CH-、CHCH-、CHCHCH-、(CHCH-、CHCHCHCH-、CHCHCH(CH)-、及び(CHC-を指す。「a」及び「b」が指定されない場合、これらの定義に記載される最も広い範囲が想定されるものとする。
【0012】
2つの「R」基が「一緒になって」いると記載される場合、R基とR基が結合する原子とは、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、又は複素環を形成することができる。例えば、限定することなく、NR基のRとRが「一緒になって」いると示される場合、それらが互いに共有結合して環を形成することを意味する。
【0013】
【化1】
【0014】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、完全に飽和した脂肪族炭化水素基を指す。アルキル部分は、分枝鎖又は直鎖であってもよい。分枝鎖アルキル基の例としては、イソ-プロピル、sec-ブチル、t-ブチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。直鎖アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-へキシル、n-ヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、1~30個の炭素原子を有し得る(本明細書中に現れる場合は常に、「1~30」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「1~30個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大30個の炭素原子からなり得ることを意味するが、本定義は、数値範囲が指定されていない「アルキル」という用語の場合も包含する)。アルキル基はまた、1~12個の炭素原子を有する中間サイズのアルキルであってもよい。アルキル基はまた、1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。アルキル基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0015】
本明細書で使用される場合、「アルキレン」という用語は、二価の完全に飽和した直鎖脂肪族炭化水素基を指す。アルキレン基の例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、及びオクチレンが挙げられるが、これらに限定されない。アルキレン基は、
【0016】
【化2】
【0017】
続いて炭素原子数、続いて「」によって表されてもよい。例えば、
【0018】
【化3】
【0019】
はエチレンを表す。アルキレン基は、1~30個の炭素原子を有してもよい(本明細書中に現れる場合は常に、「1~30」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「1~30個の炭素原子」とは、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子などからなってよく、最大30個の炭素原子からなってもよいことを意味するが、この定義は、数値範囲が指定されていない用語「アルキレン」の出現時にも及ぶ)。アルキレン基はまた、1~12個の炭素原子を有する中間サイズのアルキルであってもよい。アルキレン基はまた、1~4個の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。アルキレン基は、置換されていても非置換であってもよい。例えば、低級アルキレン基は、C3~6一環式シクロアルキル基(例えば、
【0020】
【化4】
【0021】
)で、低級アルキレン基の1つ以上の水素を置き換えることによって、かつ/又は同じ炭素上の両方の水素を置換することによって置換され得る。
【0022】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニルなどが挙げられるが、これらに限定されない、炭素二重結合を含有する2~20個の炭素原子の一価直鎖又は分枝鎖基を指す。アルケニル基は、非置換であっても置換であってもよい。
【0023】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、1-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニルなどが挙げられるが、これらに限定されない、炭素三重結合を含有する2~20個の炭素原子の一価直鎖又は分枝鎖基を指す。アルキニル基は、非置換であっても置換であってもよい。
【0024】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、完全に飽和した(二重結合又は三重結合なし)単環式又は多環式(二環式など)炭化水素環系を指す。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合、架橋、又はスピロ様式で一緒に結合されてもよい。本明細書で使用される場合、「縮合」という用語は、2個の原子と1つの結合を共有する2つの環を指す。本明細書で使用される場合、「架橋シクロアルキル」という用語は、シクロアルキルが、非隣接原子を接続する1個以上の原子の連結を含有する、化合物を指す。本明細書で使用される場合、「スピロ」という用語は、1個の原子を共有する2つの環を指し、2つの環は、架橋によって結合されていない。シクロアルキル基は、環中に3~30個の原子、環中に3~20個の原子、環中に3~10個の原子、環中に3~8個の原子、又は環中に3~6個の原子を含有することができる。シクロアルキル基は、非置換であっても置換であってもよい。モノ-シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられるが、決してこれらに限定されない。縮合シクロアルキル基の例は、デカヒドロナフタレニル、ドデカヒドロ-1H-フェナレニル、及びテトラデカヒドロアントラセニルであり、架橋シクロアルキル基の例は、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、アダマンタニル、及びノルボルナニルであり、スピロシクロアルキル基の例としては、スピロ[3.3]ヘプタン及びスピロ[4.5]デカンが挙げられる。
【0025】
本明細書で使用される場合、「シクロアルケニル」は、少なくとも1つの環中に1つ以上の二重結合を含有する、単環式又は多環式(二環式など)炭化水素環系を指すが、2つ以上が存在する場合、二重結合は、すべての環全体にわたって完全に非局在化したπ電子系を形成することができない(そうでなければ、その基は、本明細書に定義される「アリール」である)。シクロアルケニル基は、環中に3~10個の原子、環中に3~8個の原子、又は環中に3~6個の原子を含有することができる。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合、架橋、又はスピロ様式で一緒に接続されてもよい。シクロアルケニル基は、非置換であっても置換であってもよい。
【0026】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、すべての環全体にわたって完全に非局在化したπ電子系を有する、炭素環式(すべてが炭素の)単環式又は多環式(二環式など)芳香環系(2つの炭素環が化学結合を共有する縮合環系を含む)を指す。アリール基中の炭素原子の数は異なり得る。例えば、アリール基は、C~C14アリール基、C~C10アリール基、又はCアリール基であってもよい。アリール基の例としては、ベンゼン、ナフタレン、及びアズレンが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0027】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、1個以上のヘテロ原子(例えば、1個、2個、又は3個のヘテロ原子)、つまり、窒素、酸素、及び硫黄が挙げられるが、これらに限定されない、炭素以外の元素を含有する、単環式又は多環式(二環式など)芳香環系(完全に非局在化したπ電子系を有する環系)を指す。ヘテロアリール基の環中の原子の数は異なり得る。例えば、ヘテロアリール基は、環(複数可)中に4~14個の原子、環(複数可)中に5~10個の原子、又は環(複数可)中に5~6個の原子を含有することができ、例えば、9個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;8個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;7個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;8個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;7個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;6個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;5個の炭素原子及び4個のヘテロ原子;5個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;4個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;4個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;又は2個の炭素原子及び3個のヘテロ原子などである。更に、「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つのアリール環及び少なくとも1つのヘテロアリール環、又は少なくとも2つのヘテロアリール環など、2つの環が少なくとも1つの化学結合を共有する、縮合環系を含む。ヘテロアリール環の例としては、フラン、フラザン、チオフェン、ベンゾチオフェン、フタラジン、ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、インドール、インダゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、プテリジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、及びトリアジンが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0028】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」又は「ヘテロアリシクリル」は、炭素原子と1~5個のヘテロ原子が一緒に前述の環系を構成する、3員、4員、5員、6員、7員、8員、9員、10員、最大18員の単環式、二環式、及び三環式環系を指す。複素環は、そのように位置している1つ以上の不飽和結合を任意選択的に含有し得るが、完全に非局在化したπ電子系は、すべての環全体にわたって発生しない。ヘテロ原子は、酸素、硫黄、及び窒素が挙げられるが、これらに限定されない、炭素以外の元素である。複素環は、ラクタム、ラクトン、環状イミド、環状チオイミド、及び環状カルバメートなどのオキソ系及びチオ系を含むように定義するために、1つ以上のカルボニル又はチオカルボ
ニル官能基を更に含有してもよい。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合、架橋、又はスピロ様式で一緒に結合されてもよい。本明細書で使用される場合、「縮合」という用語は、2個の原子と1つの結合を共有する2つの環を指す。本明細書で使用される場合、「架橋ヘテロシクリル」又は「架橋ヘテロアリシクリル」という用語は、ヘテロシクリル又はヘテロアリシクリルが非隣接原子を接続する1個以上の原子の連結を含有する、化合物を指す。本明細書で使用される場合、「スピロ」という用語は、1個の原子を共有する2つの環を指し、2つの環は、架橋によって結合されていない。ヘテロシクリル及びヘテロアリシクリル基は、環(複数可)中に3~30個の原子、環(複数可)中に3~20個の原子、環(複数可)中に3~10個の原子、環(複数可)中に3~8個の原子、又は環(複数可)中に3~6個の原子を含有することができる。例えば、5個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;4個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;4個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び2個のヘテロ原子;2個の炭素原子及び3個のヘテロ原子;1個の炭素原子及び4個のヘテロ原子;3個の炭素原子及び1個のヘテロ原子;又は2個の炭素原子及び1個のヘテロ原子などである。加えて、ヘテロ脂環式環中の任意の窒素は、四級化されてもよい。ヘテロシクリル又はヘテロ脂環式基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0029】
そのような「ヘテロシクリル」又は「ヘテロアリシクリル」基の例としては、1,3-ジオキシン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-ジオキソラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソラン、1,3-オキサチアン、1,4-オキサチイン、1,3-オキサチオラン、1,3-ジチオール、1,3-ジチオラン、1,4-オキサチアン、テトラヒドロ-1,4-チアジン、2H-1,2-オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、トリオキサン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、モルホリン、オキシラン、ピペリジンN-オキシド、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、アゼパン、ピロリドン、ピロリジオン、4-ピペリドン、ピラゾリン、ピラゾリジン、2-オキソピロリジン、テトラヒドロピラン、4H-ピラン、テトラヒドロチオピラン、チアモルホリン、チアモルホリンスルホキシド、チアモルホリンスルホン、及びそれらのベンゾ縮合類似体(例えば、ベンズイミダゾリジノン、テトラヒドロキノリン、及び/又は3,4-メチレンジオキシフェニル)が挙げられるが、これらに限定されない。スピロヘテロシクリル基の例としては、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.4]オクタン、及び2-アザスピロ[3.4]オクタンが挙げられる。
【0030】
本明細書で使用される場合、「アラルキル」及び「アリール(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として接続されるアリール基を指す。アラルキルの低級アルキレン及びアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。例としては、ベンジル、2-フェニルアルキル、3-フェニルアルキル、及びナフチルアルキルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアラルキル」及び「ヘテロアリール(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として接続されるヘテロアリール基を指す。ヘテロアラルキルの低級アルキレン及びヘテロアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。例としては、2-チエニルアルキル、3-チエニルアルキル、フリルアルキル、チエニルアルキル、ピロリルアルキル、ピリジルアルキル、イソオキサゾリルアルキル、及びイミダゾリルアルキル、並びにそれらのベンゾ縮合類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
「ヘテロアリシクリル(アルキル)」及び「ヘテロシクリル(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として接続される複素環式又はヘテロ脂環式基を指す。(ヘテロアリシクリル)アルキルの低級アルキレン及びヘテロシクリルは、置換されていても非置換であってもよい。例としては、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル(メチル)、ピペリジン-4-イル(エチル)、ピペリジン-4-イル(プロピル)、テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル(メチル)、及び1,3-チアジナン-4-イル(メチル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」は、式-ORを指し、式中、Rは、本明細書に定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)である。アルコキシの非限定的なリストは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシ、及びベンゾキシである。アルコキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0035】
本明細書で使用される場合、「アシル」は、カルボニル基を介して置換基として接続される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、及びヘテロシクリル(アルキル)を指す。例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ベンゾイル、及びアクリルが含まれる。アシルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0036】
「シアノ」基は、「-CN」基を指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン原子」又は「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素などの元素周期律表の第7列の放射安定性原子のうちのいずれか1つを意味する。
【0038】
「チオカルボニル」基は、「-C(=S)R」基を指し、式中、Rは、O-カルボキシに関して定義されるものと同じであってもよい。チオカルボニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0039】
「O-カルバミル」基は、「-OC(=O)N(R)」基を指し、式中、R及びRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。O-カルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0040】
「N-カルバミル」基は、「ROC(=O)N(R)-」基を指し、式中、R及びRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-カルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0041】
「O-チオカルバミル」基は、「-OC(=S)-N(R)」基を指し、式中、R及びRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル
、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。O-チオカルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0042】
「N-チオカルバミル」基は、「ROC(=S)N(R)-」基を指し、式中、R及びRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-チオカルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0043】
「C-アミド」基は、「-C(=O)N(R)」基を指し、式中、R及びRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。C-アミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0044】
「N-アミド」基は、「RC(=O)N(R)-」基を指し、式中、R及びRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-アミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0045】
「S-スルホンアミド」基は、「-SON(R)」基を指し、式中、R及びRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。S-スルホンアミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0046】
「N-スルホンアミド」基は、「RSON(R)-」基を指し、式中、R及びRは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-スルホンアミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0047】
「O-カルボキシ」基は、「RC(=O)O-」基を指し、式中、Rは、本明細書に定義される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。O-カルボキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0048】
「エステル」及び「C-カルボキシ」という用語は、「-C(=O)OR」基を指し、式中、Rは、O-カルボキシに関して定義されるものと同じであってもよい。エステル及びC-カルボキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0049】
「ニトロ」基は、「-NO」基を指す。
【0050】
「スルフェニル」基は、「-SR」基を指し、式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(ア
ルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。スルフェニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0051】
「スルフィニル」基は、「-S(=O)-R」基を指し、式中、Rは、スルフェニルに関して定義されるものと同じであってもよい。スルフィニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0052】
「スルホニル」基は、「SOR」基を指し、式中、Rは、スルフェニルに関して定義されるものと同じであってもよい。スルホニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0053】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」は、水素原子のうちの1つ以上がハロゲンによって置き変えられたアルキル基を指す(例えば、モノ-ハロアルキル、ジ-ハロアルキル、トリ-ハロアルキル、及びポリハロアルキル)。そのような基としては、クロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1-クロロ-2-フルオロメチル、2-フルオロイソブチル、及びペンタフルオロエチルが挙げられるが、これらに限定されない。ハロアルキルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0054】
本明細書で使用される場合、「ハロアルコキシ」は、水素原子のうちの1つ以上がハロゲンによって置き換えられたアルコキシ基を指す(例えば、モノ-ハロアルコキシ、ジ-ハロアルコキシ、及びトリ-ハロアルコキシ)。そのような基としては、クロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1-クロロ-2-フルオロメトキシ、及び2-フルオロイソブトキシが挙げられるが、これらに限定されない。ハロアルコキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0055】
本明細書で使用される場合、「アミノ」及び「非置換のアミノ」という用語は、-NH基を指す。
【0056】
「一置換アミン」基は、「-NHR」基を指し、式中、Rは、本明細書に定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。Rは、置換されていても非置換であってもよい。一置換アミン基としては、例えば、モノ-アルキルアミン基、モノ-C~Cアルキルアミン基、モノ-アリールアミン基、モノ-C~C10アリールアミン基などが挙げられ得る。一置換アミン基の例としては、-NH(メチル)、-NH(フェニル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
「二置換アミン」基は、「-NR」基を指し、式中、R及びRは独立して、本明細書に定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シクロアルキル(アルキル)、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。R及びRは、独立して、置換されていても非置換であってよい。二置換アミン基としては、例えば、ジ-アルキルアミン基、ジ-C~Cアルキルアミン基、ジ-アリールアミン基、ジ-C~C10アリールアミン基などが挙げられ得る。二置換アミン基の例としては、-N(メチル)、-N(フェニル)(メチル)、-N(エチル)(メチル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書で使用するとき、「一置換アミン(アルキル)」基は、本明細書で提供されるように、低級アルキレン基を介して置換基として連結される、一置換アミンを指す。一置換アミン(アルキル)は、置換又は非置換であってよい。一置換アミン(アルキル)基と
しては、例えば、モノ-アルキルアミン(アルキル)基、モノ-C~Cアルキルアミン(C~Cアルキル)基、モノ-アリールアミン(アルキル基)、モノ-C~C10アリールアミン(C~Cアルキル)基などが挙げられ得る。一置換アミン(アルキル)基の例として、-CHNH(メチル)、-CHNH(フェニル)、-CHCHNH(メチル)、-CHCHNH(フェニル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
本明細書で使用するとき、「二置換アミン(アルキル)」基は、本明細書で提供されるように、低級アルキレン基を介して置換基として連結される、二置換アミンを指す。二置換アミン(アルキル)は、置換又は非置換であってよい。二置換アミン基(アルキル)基としては、例えば、ジアルキルアミン(アルキル)基、ジ-C~Cアルキルアミン(C~Cアルキル)基、ジ-アリールアミン(アルキル)基、ジ-C~C10アリールアミン(C~Cアルキル)基などが挙げられ得る。二置換アミン(アルキル)基として、-CHN(メチル)、-CHN(フェニル)(メチル)、-NCH(エチル)(メチル)、-CHCHN(メチル)、-CHCHN(フェニル)(メチル)、-NCHCH(エチル)(メチル)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
置換基の数が指定されない場合(例えば、ハロアルキル)、1つ以上の置換基が存在してもよい。例えば、「ハロアルキル」は、同じ又は異なるハロゲンのうちの1つ以上を含んでもよい。別の例として、「C~Cアルコキシフェニル」は、1個、2個、又は3個の原子を含有する同じ又は異なるアルコキシ基のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0061】
本明細書で使用される場合、ラジカルは、ラジカルを含有する種が別の種に共有結合され得るような、単一の不対電子を有する種を示す。したがって、これに関して、ラジカルは必ずしもフリーラジカルではない。むしろ、ラジカルは、より大きい分子の特定の部分を示す。「ラジカル」という用語は、「基」という用語と互換的に使用され得る。
【0062】
「薬学的に許容される塩」という用語は、それが投与される生物に著しい刺激をもたらさず、かつ化合物の生物活性及び特性を無効にしない化合物の塩を指す。いくつかの実施形態では、塩は、化合物の酸付加塩である。薬学的塩は、化合物を無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸又は臭化水素酸)、硫酸、硝酸、及びリン酸(2,3-ジヒドロキシプロピルニ水素リン酸塩など)と反応させることによって得られ得る。薬学的塩はまた、化合物を有機酸、例えば、脂肪族若しくは芳香族カルボン酸若しくはスルホン酸、例えば、ギ酸、酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、サリチル酸、2-オキソペンタン二酸、又はナフタレンスルホン酸と反応させることによって得られ得る。薬学的塩はまた、化合物を塩基と反応させて、塩、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム、カリウム、又はリチウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム又はマグネシウム塩、炭酸塩の塩、重炭酸塩の塩、有機塩基の塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、C~Cアルキルアミン、シクロへキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、並びにアルギニン及びリシンなどのアミノ酸を有する塩を形成することによって得ることができる。当業者は、窒素ベースの基(例えば、NH)のプロトン化によって塩が形成される場合、窒素ベースの基が正電荷と会合し得(例えば、NHがNH になり得る)、正電荷が負の電荷を持つ対イオン(Clなど)によってバランスがとられ得ることを理解する。
【0063】
1つ以上のキラル中心を有する本明細書に記載の任意の化合物において、絶対立体化学が明示的に示されない場合、各中心が独立して、R配置若しくはS配置、又はこれらの混
合物であってもよいことが理解される。したがって、本明細書に提供される化合物は、鏡像異性的に純粋な、鏡像異性的に豊富な、ラセミ混合物、ジアステレオマー的に純粋な化合物、ジアステレオマー的に豊富な化合物、又は立体異性混合物であってもよい。加えて、E又はZと定義され得る幾何異性体を生成する1つ以上の二重結合を有する、本明細書に記載の任意の化合物において、各二重結合が独立して、E又はZ、これらの混合物であってもよいことが理解される。同様に、記載の任意の化合物において、すべての互変異性型もまた含まれるよう意図されることが理解される。
【0064】
本明細書に開示される化合物が充填されていない原子価を有する場合、その原子価が、水素又はその同位体、例えば、水素-1(プロチウム)及び水素-2(重水素)で充填されることを理解されたい。
【0065】
本明細書に記載の化合物が同位体で標識され得ることが理解される。重水素などの同位体での置換は、例えば、インビボ半減期の増加又は必要投与量の低減など、より大きい代謝安定性に起因するある特定の治療上の利点をもたらし得る。化合物構造中に表される各化学元素は、当該元素の任意の同位体を含んでもよい。例えば、化合物構造において、水素原子は、化合物中に存在すると明確に開示され得るか、又は理解され得る。水素原子が存在し得る化合物の任意の位置において、水素原子は、水素-1(プロチウム)及び水素-2(重水素)が挙げられるが、これらに限定されない、水素の任意の同位体であってもよい。したがって、本明細書における化合物に対する言及は、文脈が明確にそうでないと示さない限り、すべての可能な同位体形態を包含する。
【0066】
本明細書に記載の方法及び組み合わせが、結晶形態(多形体としても既知であり、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配置を含む)、非晶相、塩、溶媒和物、及び水和物を含むことが理解される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒を有する溶媒和形態で存在する。他の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、非溶媒和形態で存在する。溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量のいずれかの溶媒を含有し、水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒での結晶化プロセス中に形成されてもよい。溶媒が水である場合に水和物が形成されるか、又は溶媒がアルコールである場合にアルコラートが形成される。加えて、本明細書に提供される化合物は、非溶媒和並びに溶媒和形態で存在することができる。概して、溶媒和形態は、本明細書に提供される化合物及び方法の目的で、非溶媒和形態と同等であると見なされる。
【0067】
値の範囲が提供される場合、上限及び下限、並びにその範囲の上限と下限との間に介在する各値が、実施形態内に包含されることが理解される。
【0068】
本願で使用される用語及び語句並びにこれらの変化形、特に添付の特許請求の範囲にあるものは、特に明記しない限り、限定的ではなく非限定的であると解釈されるべきである。上記の例として、「含むこと」という用語は、「限定することなく含むこと」、「含むが、これらに限定されないこと」などを意味するよう解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「備えること」という用語は、「含むこと」、「含有すること」、又は「特徴とする」と同義語であり、包括的又は非限定的であり、追加の列挙されていない要素又は方法の工程を除外しない。「有すること」という用語は、「少なくとも有すること」と解釈されるべきである。「含む」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである。「例」という用語は、考察中の項目の徹底的又は限定的なリストではなく例示的な実例を提供するために使用される。「好ましくは」、「好ましい」、「所望の」、又は「望ましい」のような用語、並びに同様の意味の単語の使用は、ある特定の特徴がその構造又は機能にとって重大、本質的、又は重要でさえあるということを暗示するものとして理解されるべきではなく、むしろ単に特定の実施形態で利用されてもさ
れなくてもよい代替又は追加の特徴を強調することを目的とする。加えて、「備えること」という用語は、「少なくとも有すること」又は「少なくとも含むこと」という語句の同意語として解釈されるものとする。化合物、組成物、又はデバイスの文脈で使用される場合、「備えること」という用語は、化合物、組成物、又はデバイスが少なくとも列挙された特徴又は構成要素を含むが、追加の特徴又は構成要素も含んでもよいことを意味する。
【0069】
本明細書の実質的にいかなる複数形及び/又は単数形の用語の使用に関しても、当業者は、文脈及び/又は用途に応じて適切に、複数形から単数形、及び/又は単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の入れ替えは、明確にするために本明細書で明示的に記載され得る。不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、利益を得るためにこれらの手段の組み合わせを使用することができないということを示すものではない。請求項中のいかなる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0070】
化合物
本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、疾病又は病態を治療するための化合物の組み合わせの使用に関し、この組み合わせは、有効量の化合物(A)、又はその薬学的に許容される塩と、有効量の1つ以上の化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩と、を含んでよい。化合物(A)は、以下の構造を有し、
【0071】
【化5】
【0072】
[式中、Rは、水素、ハロゲン、置換又は非置換のC~Cアルキル、置換又は非置換のC~Cハロアルキル、置換又は非置換のC~Cシクロアルキル、置換又は非置換のC~Cアルコキシ、非置換のモノ-C~Cアルキルアミン及び非置換のジ-C~Cアルキルアミンから選択することができ、各Rは、独立して、ハロゲン、置換又は非置換のC~Cアルキル、置換又は非置換のC~Cハロアルキル、及び置換又は非置換のC~Cシクロアルキルから選択することができ、あるいは、mが2若しくは3である場合、各Rは、ハロゲン、置換若しくは非置換のC~Cアルキル、置換若しくは非置換のC~Cハロアルキル、及び置換若しくは非置換のC~Cシクロアルキルから独立して選択することができ、又は2つのR基は、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって、置換若しくは非置換のC~Cシクロアルキル、若しくは置換若しくは非置換の3~6員ヘテロシクリルを形成し、Rは、NO、S(O)R、SO、ハロゲン、シアノ、及び非置換のC~Cハロアルキルから選択することができ、Rは、-X-(Alk-Rであってもよく、Alkは、非置換のC~Cアルキレン、並びにフルオロ、クロロ、非置換のC~C
ルキル、及び非置換のC~Cハロアルキルから独立して選択される1、2、若しくは3つの置換基で置換されたC~Cアルキレンから選択することができ、Rは、置換又は非置換のC~Cアルキル、置換又は非置換のC~Cハロアルキル、及び置換又は非置換のC~Cシクロアルキルから選択することができ、Rは、置換又は非置換のC~Cアルコキシ、置換又は非置換のC~C10シクロアルキル、置換又は非置換の3~10員ヘテロシクリル、ヒドロキシ、アミノ、置換又は非置換の一置換アミン基、置換又は非置換の二置換アミン基、置換又は非置換のN-カルバミル、置換又は非置換のC-アミド、及び置換又は非置換のN-アミドから選択することができ、mは、0、1、2、又は3であってもよく、nは、0及び1から選択でき、Xは、-O-、-S-、及び-NH-から選択できる]、1つ以上の化合物(B)は、WEE1阻害剤、又はその薬学的に許容される塩であってもよく、WEE1阻害剤は、AZD 1775、NUV-569、IMP7068、Debio0123、SC0191及びPD-166285、又は上記のいずれかの薬学的に許容される塩から選択することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、Rは、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードなどのハロゲンであり得る。いくつかの実施形態では、Rはフルオロであってよい。いくつかの実施形態では、Rはクロロであってもよい。いくつかの実施形態では、Rは水素であってもよい。
【0074】
いくつかの実施形態では、Rは、置換又は非置換のC~Cアルキルであってよい。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、置換されたC~Cアルキルであってよい。他の実施形態では、Rは、非置換のC~Cアルキルであってよい。好適なC~Cアルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル(分枝鎖及び直鎖)、及びへキシル(分枝鎖及び直鎖)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Rは、非置換のメチル又は非置換のエチルであってよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、Rは、置換又は非置換のC~Cハロアルキル、例えば、置換又は非置換のモノ-ハロC~Cアルキル、置換又は非置換のジ-ハロC~Cアルキル、置換又は非置換のトリ-ハロC~Cアルキル、置換又は非置換のテトラ-ハロC~Cアルキル、又は置換又は非置換のペンタ-ハロC~Cアルキルであってよい。いくつかの実施形態では、Rは、非置換の-CHF、-CF、-CHCF、又は-CFCHであってよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、Rは、置換又は非置換の一環式又は二環式C~Cシクロアルキルであってよい。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、置換された一環式C~Cシクロアルキルであってよい。他の実施形態では、Rは、非置換の一環式C~Cシクロアルキルであってよい。好適な一環式又は二環式Cシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、[1.1.1]ビシクロペンチル、及びシクロへキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
いくつかの実施形態では、Rは、置換又は非置換のC~Cアルコキシであってよい。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、置換されたC~Cアルコキシであってよい。他の実施形態では、Rは、非置換のC~Cアルキルであってよい。好適なC~Cアルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ(分枝鎖及び直鎖)、及びヘキソキシ(分枝鎖及び直鎖)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、Rは、非置換のメトキシ又は非置換のエトキシであってよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、Rは、非置換のモノ-C~Cアルキルアミン、例えば
、メチルアミン、エチルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、イソブチルアミン、tert-ブチルアミン、ペンチルアミン(分枝鎖及び直鎖)、及びへキシルアミン(分枝鎖及び直鎖)であってよい。いくつかの実施形態では、Rは、メチルアミン又はエチルアミンであってよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、Rは、非置換のジ-C~Cアルキルアミンであってよい。いくつかの実施形態では、ジ-C~Cアルキルアミン中の各C~Cアルキルは、同じである。他の実施形態では、ジ-C~Cアルキルアミン中の各C~Cアルキルは、異なる。好適なジ-C~Cアルキルアミン基の例としては、ジ-メチルアミン、ジ-エチルアミン、(メチル)(エチル)アミン、(メチル)(イソプロピル)アミン、及び(エチル)(イソプロピル)アミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
いくつかの実施形態では、mは0であってよい。mが0である場合、当業者は、Rが結合している環が非置換であると認識する。いくつかの実施形態では、mは1であってよい。いくつかの実施形態では、mは2であってよい。いくつかの実施形態では、mは3であってよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、1つのRは、非置換のC~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル(分岐鎖及び直鎖)、及びへキシル(分岐鎖及び直鎖))であってよく、任意の他のRは、存在する場合、独立して、ハロゲン(例えば、フルオロ又はクロロ)、置換又は非置換のC~Cアルキル(本明細書に記載されるものなど)、置換又は非置換のC~Cハロアルキル(本明細書に記載されるものなど)、及び置換又は非置換の一環式又は二環式C~Cシクロアルキル(本明細書に記載されるものなど)から選択することができる。いくつかの実施形態では、各Rは、本明細書に記載されるものなどの、非置換のC~Cアルキルから独立して選択することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、mは2であってよく、各Rはジェム状であってよい。いくつかの実施形態では、mは2であってよく、各Rはビシナルであってよい。いくつかの実施形態では、mは2であってよく、各Rは、非置換のメチルであってよい。いくつかの実施形態では、mは2であってよく、各Rは、ジェム状の非置換のメチルであってよい。
【0083】
いくつかの実施形態では、2つのR基は、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって、置換又は非置換の一環式C~Cシクロアルキルを形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、2つのR基は、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって、本明細書に記載されるものなどの、置換された一環式C~Cシクロアルキルを形成することができる。他の実施形態では、2つのR基は、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって、本明細書に記載されるものなどの、非置換の一環式C~Cシクロアルキルを形成することができる。いくつかの実施形態では、2つのR基は、それらが結合している原子と一緒になって、非置換のシクロプロピルを形成することができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、2つのR基は、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって、置換又は非置換の一環式3~6員ヘテロシクリルを形成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、2つのR基は、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって、置換された一環式3~6員ヘテロシクリルを形成することができる。他の実施形態では、2つのR基は、それらが結合している原子(複数可)と一緒になって、非置換の一環式3~6員一環式ヘテロシクリルを形成することができる。いくつかの実施形態では、置換された一環式3~6員ヘテロシクリルは、1つ以上の窒素原子上で置
換され得る。好適な置換又は非置換の一環式3~6員ヘテロシクリル基の例としては、アジジリン(azidirine)、オキシラン、アゼチジン、オキセタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、イミダゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、及びジオキサンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
いくつかの実施形態では、RはNOであってよい。いくつかの実施形態では、Rは、シアノであってもよい。いくつかの実施形態では、Rはハロゲンであってよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、Rは、本明細書に記載されるものなどの、非置換のC~Cハロアルキルであってよい。いくつかの実施形態では、Rは、-CFであってよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、RはS(O)Rであってよい。いくつかの実施形態では、RはSOであってよい。いくつかの実施形態では、RはSOCFであってよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、Rは、置換又は非置換のC~Cアルキルであってよい。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、本明細書に記載されるものなどの、置換されたC~Cアルキルであってよい。他の実施形態では、Rは、本明細書に記載されるものなどの、非置換のC~Cアルキルであってよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、Rは、置換又は非置換の一環式又は二環式C~Cシクロアルキルであってよい。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、置換された一環式又は二環式C~Cシクロアルキルであってよい。他の実施形態では、Rは、非置換の一環式又は二環式C~Cシクロアルキルであってよい。好適な一環式又は二環式Cシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、[1.1.1]ビシクロペンチル、及びシクロへキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
いくつかの実施形態では、Rは、本明細書に記載されるものなどの、置換又は非置換のC~Cハロアルキルであってよい。いくつかの実施形態では、Rは-CFであってよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、Rは-X-(Alk-Rであってよい。いくつかの実施形態では、Xは-O-であってよい。いくつかの実施形態では、Xは-S-であってよい。いくつかの実施形態では、Xは-NH-であってよい。
【0092】
いくつかの実施形態では、Alkは、非置換の-(CH1~4-*であってよく、「*」は、Rへの結合点を表す。いくつかの実施形態では、Alkは、
【0093】
【化6】
【0094】
であってよい。
【0095】
いくつかの実施形態では、Alkは、置換された
【0096】
【化7】
【0097】
であってよく、「」は、Rへの結合点を表す。例えば、いくつかの実施形態では、Alkは、置換されたメチレン、置換されたエチレン、置換されたプロピレン、又は置換されたブチレンであってよい。いくつかの実施形態では、Alkは、一置換、二置換、又は三置換であってよい。いくつかの実施形態では、Alkは、本明細書に記載されるものなどの、ハロゲン(フルオロ又はクロロなど)又は非置換のC~Cアルキルで一置換されてよい。他の実施形態では、Alkは、本明細書に記載されるものなどの、非置換のC~Cハロアルキルで一置換されてよい。いくつかの実施形態では、Alkは、フルオロ又は非置換のメチルで一置換されてよい。いくつかの実施形態では、Alkは、本明細書に記載されるものなどの、1つのフルオロ及び1つの非置換のC~Cアルキルで二置換されてよい。他の実施形態では、Alkは、本明細書に記載されるものなどの、1つの非置換のC~Cハロアルキル、及び本明細書に記載されるものなどの、1つの非置換のC~Cアルキルで二置換されてよい。いくつかの実施形態では、Alkは、1つのフルオロ及び1つの非置換のメチルで二置換されてよい。いくつかの実施形態では、Alkは、本明細書に記載されるものなどの、2つの独立して選択された非置換のC~Cアルキル基で二置換されてよい。いくつかの実施形態では、Alkは、非置換のメチルで二置換されてよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、Alkは、
【0099】
【化8】
【0100】
から選択されてよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、nは0であってよい。nが0である場合、当業者は、Xが直接Rに接続されていると認識する。いくつかの実施形態では、nは1であってよい。
【0102】
いくつかの実施形態では、Rは、置換又は非置換の一置換アミン基であってよい。例えば、Rは、置換若しくは非置換のC~Cアルキル、置換若しくは非置換のC~Cアルケニル、置換若しくは非置換のC~Cアルキニル、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式C~Cシクロアルキル、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式C~C10アリール、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式5~10員ヘテロアリール、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式3~10員ヘテロシクリル、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式C~Cシクロアルキル(非置換のC~Cアルキル)、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式C~C10アリール(非置換のC~Cアルキル)、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式5~10員ヘテロアリール(非置換のC~Cアルキル)、又は置換若しくは非置換の一環式若しくは
二環式3~10員ヘテロシクリル(非置換のC~Cアルキル)で一置換されたアミノ基であってよい。好適な一置換アミン基の例としては、-NH(メチル)、-NH(イソプロピル)、-NH(シクロプロピル)、-NH(フェニル)、-NH(ベンジル)、及び-NH(ピリジン-3-イル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
いくつかの実施形態では、Rは、置換又は非置換の二置換アミン基であってよい。例えば、Rは、置換若しくは非置換のC~Cアルキル、置換若しくは非置換のC~Cアルケニル、置換若しくは非置換のC~Cアルキニル、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式C~Cシクロアルキル、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式C~C10アリール、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式5~10員ヘテロアリール、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式3~10員ヘテロシクリル、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式C~Cシクロアルキル(非置換のC~Cアルキル)、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式C~C10アリール(非置換のC~Cアルキル)、置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式5~10員ヘテロアリール(非置換のC~Cアルキル)、又は置換若しくは非置換の一環式若しくは二環式3~10員ヘテロシクリル(非置換のC~Cアルキル)から独立して選択された2つの置換基で置換されたアミノ基であってよい。いくつかの実施形態では、2つの置換基は、同じであってよい。他の実施形態では、2つの置換基は、異なってよい。好適な二置換アミン基の例としては、-N(メチル)、-N(エチル)、-N(イソプロピル)、-N(ベンジル)、-N(エチル)(メチル)、-N(イソプロピル)(メチル)、-N(エチル)(イソプロピル)、-N(フェニル)(メチル)、及び-N(ベンジル)(メチル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
いくつかの実施形態では、Rは、置換又は非置換のN-カルバミル、置換又は非置換のC-アミド、及び置換又は非置換のN-アミドから選択されてよい。
【0105】
いくつかの実施形態では、Rは、置換又は非置換のC~C10シクロアルキルであってよい。いくつかの実施形態では、Rは、置換又は非置換の一環式C~C10シクロアルキルであってよい。他の実施形態では、Rは、置換又は非置換の二環式C~C10シクロアルキル、例えば、架橋、縮合、又はスピロC~C10シクロアルキルであってよい。好適な置換又は非置換の一環式又は二環式C~C10シクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、スピロ[3.3]ヘプチル、スピロ[2.3]へキシル、スピロ[3.4]オクチル、スピロ[3.5]ノニル、スピロ[3.6]デシル、スピロ[2.4]ヘプチル、スピロ[4.4]ノニル、スピロ[4.5]デシル、スピロ[2.5]オクチル、スピロ[3.5]ノニル、ビシクロ[1.1.1]ペンチル、ビシクロ[2.1.1]へキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、デカヒドロナフタレニル、オクタヒドロ-1H-インデニル、オクタヒドロペンタレニル、ビシクロ[4.2.0]オクチル、ビシクロ[2.1.0]ペンチル、及びビシクロ[3.2.0]ヘプチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
いくつかの実施形態では、Rは、置換又は非置換のC~C10スピロシクロアルキルであってよい。いくつかの実施形態では、Rは、置換されたC~C10スピロシクロアルキルであってよい。他の実施形態では、Rは、非置換のC~C10スピロシクロアルキルであってよい。いくつかの実施形態では、Rは、置換又は非置換の-シクロプロピル-シクロブチルスピロアルキル、-シクロプロピル-シクロペンチルスピロアルキル、-シクロプロピル-シクロへキシルスピロアルキル、-シクロプロピル-シクロヘプチルスピロアルキル、-シクロプロピル-シクロオクチルスピロアルキル、-シクロブチル-シクロプロピルスピロアルキル、-シクロブチル-シクロブチルスピロアルキル、-シクロブチル-シクロペンチルスピロアルキル、-シクロブチル-シクロへキシルスピ
ロアルキル、-シクロブチル-シクロヘプチルスピロアルキル、-シクロペンチル-シクロプロピルスピロアルキル、-シクロペンチル-シクロブチルスピロアルキル、-シクロペンチル-シクロペンチルスピロアルキル、シクロペンチル-シクロへキシルスピロアルキル、-シクロへキシル-シクロプロピルスピロアルキル、-シクロへキシル-シクロブチルスピロアルキル、-シクロへキシル-シクロペンチルスピロアルキル、-シクロヘプチル-シクロプロピルスピロアルキル、-シクロヘプチル-シクロブチルスピロアルキル、又は-シクロオクチル-シクロプロピルスピロアルキルであってよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、Rは、置換又は非置換の3~10員ヘテロシクリルであってもよい。いくつかの実施形態では、Rは、置換された3~10員ヘテロシクリルであってもよい。いくつかの実施形態では、Rは、非置換の3~10員ヘテロシクリルであってもよい。いくつかの実施形態では、Rは、置換又は非置換の一環式3~10員ヘテロシクリルであってもよい。他の実施形態では、Rは、置換又は非置換の二環式5~10員ヘテロシクリル、例えば、縮合、架橋、又はスピロ5~10員ヘテロシクリルであってよい。好適な置換又は非置換の3~10員ヘテロシクリル基としては、アジリジン(azidirine)、オキシラン、アゼチジン、オキセタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、イミダゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ジオキサン、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2-アザスピロ[3.4]オクタン、6-オキサスピロ[3.4]オクタン、6-オキサ-2-アザスピロ[3.4]オクタン、7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン、7-オキサスピロ[3.5]ノナン、及び2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、置換又は非置換の一環式又は二環式3~10員ヘテロシクリルは、窒素原子を介して分子の残りの部分に接続することができる。他の実施形態では、置換又は非置換の一環式又は二環式3~10員ヘテロシクリルは、炭素原子を介して分子の残りの部分に接続することができる。いくつかの実施形態では、置換された一環式又は二環式3~10員ヘテロシクリルは、1個以上の窒素原子上で置換され得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、Rは、置換又は非置換の6~10員スピロヘテロシクリルであってよい。いくつかの実施形態では、Rは、置換された6~10員スピロヘテロシクリルであってよい。いくつかの実施形態では、Rは、非置換の6~10員スピロヘテロシクリルであってよい。いくつかの実施形態では、Rは、置換又は非置換のアザスピロヘキサン、アザスピロヘプタン、アザスピロオクタン、オキサスピロヘキサン、オキサスピロヘプタン、オキサスピロオクタン、ジアザスピロヘキサン、ジアザスピロヘプタン、ジアザスピロオクタン、ジオキサスピロヘキサン、ジオキサスピロヘプタン、ジオキサスピロオクタン、オキサ-アザスピロヘキサン、オキサ-アザスピロヘプタン、又はオキサ-アザスピロオクタンであってよい。好適な置換又は非置換の3~10員ヘテロシクリル基としては、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサスピロ[3.3]ヘプタン、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン、2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン、2-アザスピロ[3.4]オクタン、6-オキサスピロ[3.4]オクタン、6-オキサ-2-アザスピロ[3.4]オクタン、7-オキサ-2-アザスピロ[3.5]ノナン、7-オキサスピロ[3.5]ノナン、及び2-オキサ-8-アザスピロ[4.5]デカンが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、置換又は非置換の6~10員スピロヘテロシクリルは、窒素原子を介して分子の残りの部分に接続することができる。他の実施形態では、置換又は非置換の6~10員スピロヘテロシクリルは、炭素原子を介して分子の残りの部分に接続することができる。いくつかの実施形態では、置換された6~10員スピロヘテロシクリルは、1個以上の窒素原子上で置換され得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、Rは、ヒドロキシ又はアミノであってもよい。
【0110】
いくつかの実施形態では、Rは非置換であってよい。他の実施形態では、Rは置換されてもよい。いくつかの実施形態では、Rは、非置換のC~Cアルキル(本明細書に記載されるものなど)、非置換のC~Cアルコキシ(本明細書に記載されるものなど)、フルオロ、クロロ、ヒドロキシ、及び-SO-(非置換のC~Cアルキル)から独立して選択された1つ又は2つの置換基で置換されてよい。例えば、RのC~Cアルコキシ、C~C10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、一置換アミン基、二置換アミン基、N-カルバミル、C-アミド、及びN-アミド基は、前述の置換基のうちのいずれかから独立して選択された1つ又は2つの置換基で置換されてよい。
【0111】
いくつかの実施形態では、Rは、
【0112】
【化9】
【0113】
であってよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、Rは、
【0115】
【化10】
【0116】
であってよい。
【0117】
いくつかの実施形態では、Rは、
【0118】
【化11】
【0119】
であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、
【0120】
【化12】
【0121】
であってよい。いくつかの実施形態では、Rは、
【0122】
【化13】
【0123】
であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、
【0124】
【化14】
【0125】
であってよい。いくつかの実施形態では、Rは、
【0126】
【化15】
【0127】
であってよい。いくつかの実施形態では、Rは、
【0128】
【化16】
【0129】
であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、
【0130】
【化17】
【0131】
であってよい。いくつかの実施形態では、Rは、
【0132】
【化18】
【0133】
であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、Rは、
【0134】
【化19】
【0135】
例えば、
【0136】
【化20】
【0137】
であってよい。
【0138】
いくつかの実施形態では、化合物(A)、又はその薬学的に許容される塩は、式(AA)、式(BB)、式(CC)、及び式(DD)の化合物:
【0139】
【化21】
【0140】
又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩から選択されてよい。
【0141】
WEE1阻害剤の非限定的なリストは、本明細書に記載されており、図1に提供されるものを含む。追加のWEE1阻害剤は、それぞれが、WEE1阻害剤である化合物の開示の限定された目的のために参照により本明細書に組み込まれている、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10。特許文献11。特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22に提供されている。いくつかの実施形態では、WEE1阻害剤はAZD1775であってよい。いくつかの実施形態では、WEE1阻害剤は、NUV-569であってよい。いくつかの実施形態では、WEE1阻害剤は、IMP7068であってよい。いくつかの実施形態では、WEE1阻害剤は、Debio0123であってよい。いくつかの実施形態では、WEE1阻害剤は、SC0191であってよい。いくつかの実施形態では、WEE1阻害剤は、PD-166285であってよい。
【0142】
化合物(A)の例としては、
【0143】
【化22】
【0144】
【化23】
【0145】
【化24】
【0146】
【化25】
【0147】
【化26】
【0148】
【化27】
【0149】
【化28】
【0150】
【化29】
【0151】
又は上記のいずれかの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0152】
化合物(A)、並びにその薬学的に許容される塩は、本明細書、及び特許文献23、特許文献24、特許文献25、及び特許文献26に記載されるように調製することができ、当該文献はそれぞれその全体が参照により組み込まれている。特許文献27、特許文献28、特許文献29、及び特許文献30に記載されているように、化合物(A)はBcl-2阻害剤である。
【0153】
化合物(A)と化合物(B)(上記のいずれかの薬学的に許容される塩を含む)の組み合わせの実施形態を表1に提供する。表1の数字は、図1及び図2に提供される化合物を表す。例えば、表1において、1:4Aで表される組み合わせは、
【0154】
【化30】
【0155】
(上記のいずれかの薬学的に許容される塩を含む)の組み合わせに対応する。
【0156】
【表1】
【0157】
本明細書に記載の組み合わせにおける化合物の投与の順序は、様々であってよい。いくつかの実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩のいずれよりも先に投与されてよい。他の実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、少なくとも1つの化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩よりも先に投与されてよい。更に他の実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩と同時に投与されてもよい。更に他の実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、少なくとも1つの化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩の投与後に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩のいずれの投与よりも後に投与されてよい。
【0158】
本明細書に記載の化合物の組み合わせの使用について、いくつかの利点が存在し得る。例えば、本明細書に記載されるものなどの癌の治療では、複数の経路を同時に攻撃する化合物を組み合わせることは、組み合わせの各化合物を単剤療法で使用する場合と比較して、より効果的であり得る。
【0159】
いくつかの実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)と、1つ以上の化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩との、本明細書に記載の組み合わせにより、化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩などの本明細書に記載の化合物に起因し得る副作用の数及び/又は重症度を減少させることができる。
【0160】
本明細書に記載の化合物の組み合わせを使用することにより、相加効果、相乗効果又は強い相乗効果をもたらすことができる。本明細書に記載の化合物の組み合わせは、非拮抗性の効果をもたらし得る。
【0161】
いくつかの実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)と、1つ以上の化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩との、本明細書に記載の組み合わせは、相加効果をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)と、1つ以上の化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩との、本明細書に記載の組み合わせは、相乗効果をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)と、1つ以上の化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩との、本明細書に記載の組み合わせは、強い相乗効果をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)と、1つ以上の化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩との、本明細書に記載の組み合わせは、拮抗性ではない。
【0162】
本明細書で使用される場合、「拮抗性」という用語は、化合物の組み合わせの活性が、各化合物の活性を個別に(すなわち単一の化合物として)決定した場合の、組み合わせの各化合物の活性の和と比較して、より小さいことを意味する。本明細書で使用される場合、「相乗効果」という用語は、化合物の組み合わせの活性が、各化合物の活性を個別に決定した場合の、組み合わせの各化合物の個別の活性の和よりも大きいことを意味する。本明細書で使用される場合、「相加効果」という用語は、化合物の組み合わせの活性が、各化合物の活性を個別に決定した場合の、組み合わせの各化合物の個別の活性の和とほぼ等しいことを意味する。
【0163】
本明細書に記載の組み合わせを用いることにより達成し得る利点として、本明細書に開示される病態を治療する際に有効な化合物(複数可)の必要量を、各化合物が単剤療法として投与される場合と比較して低減できる可能性がある。例えば、本明細書に記載の組み合わせで使用される化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩の量は、単剤療法として投与される場合に疾病マーカー(例えば、腫瘍サイズ)の同等の減少を達成するために必要な化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩の量と比較して、より少なくなり得る。本明細書に記載の組み合わせを用いることにより達成し得る別の利点は、異なる作用機序を有する2つ以上の化合物の使用が、化合物が単剤療法として投与される場合と比較して、耐性の発達に対するより高い障壁を生じさせ得ることである。本明細書に記載の組み合わせを用いる更なる利点として、本明細書に記載の組み合わせの各化合物間にほとんど又は全く交差耐性がないこと、本明細書に記載の組み合わせの各化合物の排出(elimination)の経路が異なること、及び/又は本明細書に記載の組み合わせの各化合物間の重複毒性(overlapping toxicity)がほとんどないこと、を挙げることができる。
【0164】
医薬組成物
化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、医薬組成物中に含まれてもよい。同様に、化合物(B)(その薬学的に許容される塩を含む)は、医薬組成物中に含まれてもよい。
【0165】
「医薬組成物」という用語は、本明細書に開示の1つ以上の化合物及び/又は塩と、希
釈剤、担体、及び/又は賦形剤などの他の化学構成成分との混合物を指す。医薬組成物は、生物への化合物の投与を容易にする。医薬組成物はまた、化合物を、無機又は有機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、及びサリチル酸と反応させることによって得られ得る。医薬組成物は、一般に、意図される具体的な投与経路に合わせて調整される。
【0166】
本明細書で使用される場合、「担体」は、細胞又は組織への化合物の組み込みを促進する化合物を指す。例えば、限定することなく、ジメチルスルホキシド(dimethyl
sulfoxide、DMSO)は、対象の細胞又は組織への多くの有機化合物の取り込みを促進する、一般的に利用される担体である。
【0167】
本明細書で使用される場合、「希釈剤」は、明らかな薬理活性はないが、薬学的に必要又は望ましくあり得る、医薬組成物中の成分を指す。例えば、希釈剤は、製造及び/又は投与には質量が小さ過ぎる、効力のある薬物のかさ増しのために使用されてもよい。それはまた、注射、摂取、又は吸入によって投与される薬物を溶解させるための液体であってもよい。当該技術分野において一般的な希釈剤の形態は、限定するものではないが、ヒト血液のpH及び等張性を模したリン酸緩衝生理食塩水などの、緩衝水溶液である。
【0168】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」は、限定するものではないが、かさ、稠度、安定性、結合能力、潤滑、崩壊能力などを組成物に提供するために、医薬組成物に添加される、本質的に不活性の物質を指す。例えば、酸化防止剤及び金属キレート剤などの安定剤は、賦形剤である。一実施形態では、医薬組成物は、酸化防止剤及び/又は金属キレート剤を含む。「希釈剤」は、ある種の賦形剤である。
【0169】
いくつかの実施形態では、化合物(B)、並びにその薬学的に許容される塩は、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)を含む医薬組成物中に含まれてもよい。他の実施形態では、化合物(B)、並びにその薬学的に許容される塩は、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)を含む医薬組成物とは別個の医薬組成物で投与されてもよい。
【0170】
本明細書に記載の医薬組成物は、ヒト患者にそれ自体で、あるいはそれらが、併用療法におけるような他の活性成分、又は担体、希釈剤、賦形剤、若しくはそれらの組み合わせと混合される医薬組成物において、投与することができる。適切な製剤設計は、選択される投与経路による。本明細書に記載の化合物の製剤設計及び投与のための技術は、当業者に既知である。
【0171】
本明細書に開示の医薬組成物は、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、ドラジェ作製、水簸、乳化、封入、捕捉、又は錠剤化プロセスによって、それ自体が既知である様式で製造され得る。加えて、活性成分が、その意図した目的を達成するために有効な量で含有される。本明細書に開示の薬剤の組み合わせで使用される化合物の多くは、薬学的に適合する対イオンを有する塩として提供されてもよい。
【0172】
筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、くも膜下、直接心室内、腹腔内、鼻腔内、及び眼内注射を含む、経口、直腸、肺内、局所、エアロゾル、注射、注入、及び非経口送達が挙げられるが、これらに限定されない、化合物、塩、及び/又は組成物を投与する複数の技術が当該技術分野において存在する。いくつかの実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、経口的に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(B)並びにその薬学的に許容される塩と同じ投与経路によって、対象に提供されてもよい。他の実施形態では、化合物(A)(その薬学的に許容される塩を含む)は、化合物(B)並びにその薬学的に許容さ
れる塩とは異なる投与経路によって、対象に提供されてもよい。
【0173】
また、全身的な方法ではなく局所的な方法で、例えば、多くの場合、デポー製剤又は持続放出製剤として化合物を患部に直接注射又は埋め込むことによって化合物、塩、及び/又は組成物を投与してもよい。更に、標的化した薬物送達システムで、例えば、組織特異的抗体でコーティングされたリポソームで化合物を投与することができる。リポソームは、臓器に対して標的化され、かつ臓器により選択的に取り込まれる。例えば、呼吸器の疾病又は病態を標的とするための鼻腔内又は肺内送達が望ましくあってもよい。
【0174】
組成物は、所望される場合、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を含み得る、パック又はディスペンサデバイス中に提供されてもよい。パックは、例えば、ブリスタパックなどの金属又はプラスチック箔を含んでもよい。パック又はディスペンサデバイスには、投与に関する指示書が添付されていてもよい。パック又はディスペンサはまた、薬剤の製造、使用、又は販売を規制する行政機関によって規定された形式の、容器に関連する注意書きが添付されていてもよく、その注意書きは、ヒト又は動物投与のための薬物の形態の機関による承認を反映する。そのような注意書きは、例えば、処方薬に関し米国食品医薬品局によって承認されたラベル、又は承認された製品添付文書であってもよい。適合する薬学的担体中で製剤化される本明細書に記載の化合物及び/又は塩を含むことができる組成物はまた、示された病態の治療のために調製され、適切な容器内に配置され、かつラベル付けされてもよい。
【0175】
使用及び治療方法
本明細書で提供されるように、いくつかの実施形態では、有効量の化合物(A)、又はその薬学的に許容される塩と、有効量の1つ以上の化合物(B)、又はその薬学的に許容される塩と、を含む化合物の組み合わせを使用して、疾病又は病態を治療することができる。
【0176】
化合物、並びにそれらの薬学的に許容される塩の組み合わせによって治療することができる疾病又は病態の例としては、本明細書に記載されるものなどの悪性腫瘍、癌、及び症候群が挙げられる。いくつかの実施形態では、疾病又は病態は血液悪性腫瘍であってもよい。血液悪性腫瘍の例としては、白血病、リンパ腫、又は骨髄腫が含まれる。いくつかの実施形態では、血液悪性腫瘍は、難治性であり得る。いくつかの実施形態では、疾病又は病態は、急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia、AML)(サブタイプ含む、例えば、TP53野生型AML、TP53変異型AML、難治性AML、急性前骨髄球性白血病、急性好塩基球性白血病、及び治療関連AMLなどのサブタイプ)、慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia、CLL)(ヘアリーセル白血病及び小リンパ球性リンパ腫を含むが、これらに限定されない)、急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia、ALL)(B細胞、T細胞、及びETPに特異的なもの(specification)を含むが、これらに限定されない)、及び慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia、chronic myelogenous leukemia、CML)などの白血病であってもよいが、これらに限定されない。
【0177】
いくつかの実施形態では、疾病又は病態は骨髄異形成症候群であってもよい。いくつかの実施形態では、疾病又は病態は、真性多血症(polycythemia vera、PV)、骨髄線維症(myelofibrosis、MF)及び本態性血小板血症(essential thrombocythemia、ET)などの、骨髄増殖性疾患(myeloproliferative neoplasm、MPN)であってもよい。
【0178】
本明細書に記載されるように、本明細書に記載の化合物の組み合わせを使用して、リン
パ腫を治療及び/又は寛解することができる。リンパ腫の例としては、非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma、NHL)(マントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma、MCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma、DLBCL)、濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma、FL)、辺縁帯リンパ腫(marginal zone lymphoma、MZL)、末梢性T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、NKリンパ腫(NK lymphoma)、バーキットリンパ腫、及びワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むが、これらに限定されない)が挙げられるが、これに限定されない。また、化合物(その薬学的に許容される塩を含む)の組み合わせは、骨髄腫を治療するために使用することもできる。治療することができる骨髄腫の例としては、多発性骨髄腫(multiple myeloma、MM)(転座(11;14)及び非転座(11;14)を含むが、これらに限定されない)が挙げられるが、これに限定されない。本明細書に記載されるように、本明細書に記載の化合物の組み合わせを使用して、全身性肥満細胞症、及び芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍を治療及び/又は寛解することができる。
【0179】
本明細書に記載の疾病又は病態は、成人又は小児の対象に存在してよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるものなどの疾病又は病態に罹患している対象は、小児の対象であってもよい。いくつかの実施形態では、疾病又は病態は、小児血液悪性腫瘍、例えば、小児AML及び/又は小児ALLであってもよい。
【0180】
本明細書に記載の化合物の組み合わせを使用して、固形腫瘍を治療及び/又は寛解することができる。例えば、いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、ユーイング腫瘍及びウィルムス腫瘍(Wilms’ cancer)から選択されてもよい。本明細書に記載の化合物(その薬学的に許容される塩を含む)の組み合わせによって治療することができる固形腫瘍の更なる例としては、膀胱癌、脳癌、乳癌(ER+乳癌、及びトリプルネガティブ乳癌を含むが、これらに限定されない)、頸癌(cervical cancer)、絨毛癌、頚後大脳癌(cervicocerebral cancer)、結腸癌、子宮内膜癌、食道癌、胆嚢/胆管癌(gallbladder/bile duct cancer)、頭頸部癌(口腔癌を含む)、肝細胞癌、肺癌(非小細胞癌、及び小細胞肺癌を含む)、中皮腫、卵巣癌、骨肉腫、膵癌、陰茎癌(penis cancer)、肛門癌、前立腺癌、小細胞癌、胃癌、直腸癌、腎盂/尿管癌(renal pelvis/ureter cancer)、皮膚癌、軟部肉腫、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮体癌(uterus body cancer)、及び子宮頸癌(uterocervical cancer)がある。いくつかの実施形態では、疾病又は病態は、BCL-2タンパク質を発現する癌であってもよい。
【0181】
本明細書で使用される場合、「対象」とは、治療、観察、又は実験の対象である動物を指す。「動物」には、冷血及び温血の脊椎動物及び無脊椎動物、例えば、魚、甲殻類、爬虫類、及び特に、哺乳類が含まれる。「哺乳類」には、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、霊長類、例えば、サル、チンパンジー、及び類人猿、並びに特に、ヒトが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、対象はヒトであり得る。いくつかの実施形態では、対象は、小児及び/又は乳児、例えば、発熱した小児又は乳児であり得る。他の実施形態では、対象は、成人であり得る。
【0182】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、「治療」、「治療的」、及び「療法」という用語は、必ずしも疾病又は病態の完全な治癒又は消滅を意味するとは限らない。疾病又は病態の任意の望ましくない徴候又は症状の任意の程度の任意の緩和が、治療及び/又は療法と見なされ得る。更に、治療は、対象の健康又は外観についての
総合的な感覚を悪化させ得る行為を含み得る。
【0183】
「有効量」という用語は、示される生物学的又は医学的応答を誘発する、活性化合物又は薬剤の量を示すために使用される。例えば、有効量の化合物、塩又は組成物は、疾病又は病態の症状を予防、緩和、若しくは寛解するか、又は治療されている対象の生存を延長するために必要な量であってもよい。この応答は、組織、系、動物、又はヒトにおいて生じ得、治療される疾病又は病態の徴候又は症状の緩和を含む。有効量の決定は、本明細書に提供される開示を考慮して、十分当業者の能力の範囲内である。用量として必要とされる本明細書に開示される化合物の有効量は、投与経路、治療されているヒトを含む動物の種類、及び考慮中の特定の動物の身体特性によって決まる。用量は、所望の効果を達成するように合わせて調整され得るが、体重、食生活、併用投薬、及び医療分野の当業者が認識するであろう他の要因などの要因によって決まる。
【0184】
例えば、化合物又は放射線の有効量は、(a)癌によって引き起こされる1つ以上の症状の軽減、緩和、若しくは消失、(b)腫瘍サイズの低減、(c)腫瘍の除去、及び/又は(d)腫瘍の長期疾患安定化(成長停止)をもたらす量である。
【0185】
治療で使用するために必要とされる化合物、塩、及び/又は組成物の量は、選択された特定の化合物又は塩だけはなく、投与経路、治療されている疾病又は病態の性質及び/又は症状、並びに患者の年齢及び状態によっても変化し、最終的に、主治医又は臨床医の判断による。薬学的に許容される塩の投与の場合、投与量は、遊離塩基として計算され得る。当業者によって理解されるように、ある特定の状況において、特に進行性の疾病又は病態を効果的かつ積極的に治療するために、本明細書に記載の投与量範囲を超えるか、又ははるかに超えさえする量で、本明細書に開示の化合物を投与することが必要であり得る。
【0186】
当業者には容易に明らかになるように、投与される有用なインビボ投与量及び特定の投与方法は、年齢、体重、苦痛の重症度、及び治療される哺乳動物種、用いられる特定の化合物、並びにこれらの化合物が用いられる特定の用途に応じて異なる。有効な投与量レベル、つまり所望の結果を達成するために必要な投与量レベルの判定は、日常的な方法、例えば、ヒト臨床試験、インビボ研究、及びインビトロ研究を使用して、当業者によって達成され得る。例えば、化合物(A)及び/若しくは(B)、又は上記のいずれかの薬学的に許容される塩の有用な投与量は、それらのインビトロ活性、及び動物モデルにおけるインビボ活性を比較することによって判定されてもよい。そのような比較は、シスプラチン及び/又はゲムシタビン)などの確立された薬物との比較によって行われ得る。
【0187】
投与量及び間隔は、活性部分が調節作用又は最小有効濃度(minimal effective concentration、MEC)を維持するのに十分である血漿濃度を提供するように、個々に調節されてもよい。MECは、各化合物に関して異なるが、インビボ及び/又はインビトロデータから推定され得る。MECを達成するために必要な投与量は、個々の特性及び投与経路に依存する。しかしながら、血漿濃度を測定するためにはHPLCアッセイ又はバイオアッセイが使用され得る。投与間隔もまたMEC値を使用して判定され得る。組成物は、10~90%の期間、好ましくは30~90%、最も好ましくは50~90%にわたって、MECを超える血漿濃度を維持するレジメンを使用して投与されるべきである。局所投与又は選択的取り込みの場合、薬物の有効局所濃度は、血漿濃度に関係しない場合がある。
【0188】
毒性又は臓器機能不全により、投与の終了、中断、又は調節の方法及び時期について主治医が把握するであろうことに留意されたい。反対に、主治医は、臨床応答が適切ではない(毒性を除外する)場合、治療をより高いレベルに調節することも知っている。対象となる疾患の管理において投与される用量の大きさは、治療しようとする疾病又は病態の重
症度並びに投与経路によって変動する。疾病又は病態の重症度は、例えば、部分的には、標準的な予後評価方法によって評価されてもよい。更に、用量及び恐らく投薬回数はまた、個々の患者の年齢、体重、及び応答によっても変動する。上記で考察されるものに相当するプログラムが、獣医学で使用されてもよい。
【0189】
本明細書に開示の化合物、塩、及び組成物は、既知の方法を使用して有効性及び毒性に関して評価され得る。例えば、ある特定の化学部分を共有する特定の化合物又は化合物のサブセットについての毒性学は、哺乳動物、及び好ましくはヒト細胞株などの細胞株に対するインビトロ毒性を評価することによって確立され得る。そのような研究の結果は、多くの場合、哺乳動物、又は特にヒトなどの動物における毒性を予測する。代替的に、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、又はサルなどの動物モデルにおける特定の化合物の毒性は、既知の方法を使用して判定され得る。特定の化合物の有効性は、インビトロ方法、動物モデル、又はヒト臨床試験などのいくつかの認められている方法を使用して確立され得る。有効性を判定するためのモデルを選択する場合、当業者は、適切なモデル、用量、投与経路、及び/又はレジメンを選択するにあたり最先端の技術を指針とすることができる。
【実施例
【0190】
特許請求の範囲を決して限定するものではない、更なる実施形態が、以下の実施例において更に詳細に開示される。
【0191】
CTGアッセイ
細胞増殖は、CellTiter-Glo Luminescent Cell Viabilityアッセイを使用して測定した。このアッセイには、血清を添加した培地で培養された細胞への単一の試薬(CellTiter-Glo試薬)の直接の添加を含めた。DMS-53(ATCC(登録商標)、CRL-2062)、MV4-11(ATCC(登録商標)、CRL-9591)、MCF-7(ATCC(登録商標)、HTB-22)、及びZR-75-1(ATCC(登録商標)、CRL-1500)細胞を、ATCC(登録商標)推奨に従って培養し、ウェル当たり20,000個の細胞を播種した。
【0192】
評価した各化合物は、DMSO原液(10mM)として調製した。DMS-53細胞株及びMV4-11細胞株について、化合物1及び5aを、表2に示されているそれぞれのIC50濃度を使用して3回テストした。化合物1及び5aについては、10点段階希釈曲線(1:3希釈)、組み合わせて処理した場合は、10点段階希釈曲線(1:5希釈)を用いてMCF-7の組み合わせアッセイを2回実施した。最高化合物濃度は10μMとし、DMSOの最終濃度は0.1%とした。プレートを37℃、5%COで、72時間インキュベートしてから、室温で約30分間平衡化した。等量のCellTiter-Glo試薬(100μL)を各ウェルに添加した。プレートをオービタルシェーカーで2分間混合して細胞溶解を誘導し、次いで、室温で10分間インキュベートして、発光シグナルを安定化させた。CellTiter-Gloプロトコルに従ってSpectraMax M5eプレートリーダーを使用して、発光(RLU(相対発光量、relative
light unit))を記録した。阻害率は、以下の式を使用して計算した:%阻害=(RLU100/(細胞バックグラウンドのRLU))。各化合物のIC50を、非線形回帰分析によってGraphPad Prismを使用して計算した。図3図5及び表2~表4は、化合物1と化合物5aとの組み合わせ(明細書及び図面全体を通して、別名「化合物5A」とも呼ばれる)が、単剤治療と比較して併用効果を示したことを示している。このデータは、本明細書に記載のBcl-2阻害剤とWEE1阻害剤との組み合わせが、本明細書に記載の疾病又は病態を治療するために使用され得ることを実証している。
【0193】
【表2】
【0194】
【表3】
【0195】
【表4】
【0196】
その上、上文は、明確さと理解のために、図及び実施例としてある程度詳細に記述されているが、本開示の趣旨を逸脱することなく数多くの様々な修正がなされ得ることが、当業者によって理解される。したがって、本明細書に開示される形態は例示にすぎず、本開示の範囲を限定することは意図されていないが、それどころか本発明の真の範囲及び趣旨に沿ったすべての修正及び代替形態を包含することも明確に理解するべきである。
図1
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図3
図4
図5
【国際調査報告】