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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(54)【発明の名称】ガス状物質回収システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/047 20060101AFI20230222BHJP
   B01J 20/10 20060101ALI20230222BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20230222BHJP
   B01J 20/22 20060101ALI20230222BHJP
   F25J 1/00 20060101ALI20230222BHJP
   F25J 3/00 20060101ALI20230222BHJP
   B64B 1/50 20060101ALI20230222BHJP
   B64B 1/42 20060101ALI20230222BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20230222BHJP
   B64D 3/00 20060101ALI20230222BHJP
   B64F 3/00 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
B01D53/047
B01J20/10 A
B01J20/18 A
B01J20/22 A
F25J1/00 A
F25J3/00
B64B1/50
B64B1/42
B64C39/02
B64D3/00
B64F3/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022538382
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-06-28
(86)【国際出願番号】 IL2020051301
(87)【国際公開番号】W WO2021124332
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/952,248
(32)【優先日】2019-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522246245
【氏名又は名称】ハイ ホープス ラボ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】オレン,エラン
【テーマコード(参考)】
4D012
4D047
4G066
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA02
4D012CA03
4D012CB11
4D012CD07
4D012CD10
4D012CE01
4D012CE03
4D012CF10
4D012CG01
4D012CG02
4D012CH02
4D047AA08
4D047AB00
4D047CA02
4G066AA22B
4G066AA61B
4G066AB24B
4G066CA35
4G066DA04
4G066DA05
4G066GA14
4G066GA16
(57)【要約】
大気から直接ガス状物質を回収するように構成されている空中ユニットを備え、かつ、当該ガス状物質を、気候変動緩和および回収ガスのさらなる使用を目的として非空中ユニットにさらなる処理のために移行するように構成されている貯留手段をさらに備えるガス状物質回収システムおよび方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス状物質回収システムであって、
(i)空気中にあるように構成されている少なくとも1つの空中ユニットと、
(ii)少なくとも1つの非空中ユニットと、
(iii)前記空中ユニットによって支持されるように構成されている少なくとも1つのガス分離手段と、
(iv)前記空中ユニットによって支持されるように構成されている貯留手段と、
(v)前記システムの動作を制御するように構成されているコントローラと、
(vi)前記システムの動作を有効にするように構成されているエネルギー源とを備え、
前記少なくとも1つのガス分離手段は、少なくとも1つの指定ガス状物質を空気から分離するように構成されており、
前記少なくとも1つの分離ガス状物質は、前記貯留手段内に貯留されるように構成されており、
前記空中ユニットは、前記貯留されている分離ガス状物質を前記非空中ユニットに移行するように構成されている、前記システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのガス分離手段が、前記空中ユニットが高度範囲5~15kmで空気中にあるとき、動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ガス分離手段が、少なくとも1つの圧力増大装置を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ガス分離手段が、ガス分離手順を利用するように構成されている化学触媒を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記化学触媒が、二酸化炭素の吸着剤に基づく、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ガス分離手段が、ガス分離手順を利用するように構成されている生物学的酵素を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記空中ユニットが、高高度気球である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記空中ユニットが、前記非空中ユニットに繋留されるように構成されている、請求項1または0のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記空中ユニットが、さらに自動操舵手段を備える、請求項1または7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記空中ユニットが、航空車両に据え付けられるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記空中ユニットが、前記航空車両の推進手段に組み込まれる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記貯留手段が、少なくとも1つの圧縮ガス容器である、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも1つの圧縮ガス容器が、前記空中ユニットから外され前記非空中ユニットに到達するように構成されている、請求項0に記載のシステム。
【請求項14】
前記非空中ユニットが、前記少なくとも1つの圧縮ガス容器を回収するように構成されている指定着陸領域を備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1つの圧縮ガス容器が、前記少なくとも1つの圧縮ガス容器を前記空中ユニットから前記非空中ユニットに案内するように構成されている案内手段を備える、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記非空中ユニットが、前記空中ユニットによって回収された前記貯留されている指定ガス状物質を利用するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記非空中ユニットが、地上に位置するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記非空中ユニットが、水上に位置するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記非空中ユニットが、さらにドッキング領域を備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記非空中ユニットが、船舶上に位置するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記コントローラが、さらに、前記空中ユニットを制御するためにナビゲーションコマンドを生成するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記ガス分離手段が、さらに、中を流れる気圧を、環境大気圧を6~10バール上回るまで増大させるように構成されている空気圧縮機を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記指定ガス状物質が、二酸化炭素である、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記空気中空中ユニットが、前記指定ガス状物質を液化または固化するために高高度における低温を活用するように構成されている、請求項1または2のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記空気中空中ユニットによって支持される前記少なくとも1つのガス分離手段が、ガス分離を目的として流入気流圧を利用するために高高度の風を活用するように構成されている、請求項1または2のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記圧縮空気内に貯留されている前記潜在的なエネルギーが、さらに、前記ガス状物質回収システムによって利用され得る、請求項3または22のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記空中ユニットが、温度範囲-100°から-10°および圧力範囲0.2から10バールでの相転移プロセスを用いることによって二酸化炭素を回収するように構成されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項28】
前記エネルギー源が、太陽エネルギーに基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項29】
前記エネルギー源が、風力エネルギーに基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項30】
前記エネルギー源が、事前に蓄えられた動力貯蔵器である、請求項1に記載のシステム。
【請求項31】
前記エネルギー源が、有線接続を用いることによって前記空中ユニットに動力を供給するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項32】
ガス状物質回収システムを用いてガス状物質を回収する方法であって、
(i)空気中空中ユニットによって支持される少なくとも1つのガス分離手段を用いて空気から少なくとも1つの指定ガス状物質を分離するステップと、
(ii)前記少なくとも1つの分離ガス状物質を、前記空気中空中ユニットによって支持される貯留手段内に貯留するステップと、
(iii)前記貯留されている分離ガス状物質を非空中ユニットに移行するステップとを備える、前記方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つのガス分離手段が、前記空中ユニットが高度範囲5~15kmの空気中にあるとき、動作可能である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記空中ユニットが、高高度気球である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記貯留手段が、前記空中ユニットから外され前記非空中ユニットに到達するように構成されている、請求項0に記載の方法。
【請求項36】
前記非空中ユニットが、前記少なくとも1つの貯留手段を回収するように構成されている指定着陸領域を備える、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記貯留手段が、前記貯留手段を前記空中ユニットから前記非空中ユニットに案内するように構成されている案内手段を備える、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記ガス分離手段が、さらに、中を流れる空気圧を、環境大気圧を6~10バール上回るまで増大させるように構成されている空気圧縮機を備える、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記空気中空中ユニットが、前記指定ガス状物質を液化または固化するために高高度での低温を活用するように構成されている、請求項32または33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記指定ガス状物質が、二酸化炭素である、請求項32に記載の方法。
【請求項41】
前記空中ユニットが、温度範囲-100°から-10°および圧力範囲0.2から10バールでの相転移プロセスを用いることによって二酸化炭素を回収するように構成されている、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記空気中空中ユニットによって支持される前記少なくとも1つのガス分離手段が、ガス分離を目的として流入気流圧を利用するために高高度の風を活用するように構成されている、請求項32または33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記圧縮空気内に貯留されている前記潜在的なエネルギーが、さらに、前記ガス状物質回収システムによって利用され得る、請求項38に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス状物質回収の分野に関し、より詳細には、以下に限定されるものではないが、気候変動緩和および回収ガスのさらなる使用を目的とし大気から直接二酸化炭素を回収することに関する。
【背景技術】
【0002】
気候変動は、長年、地球環境および人間の幸福に非常に大きな潜在的影響を与える世界的懸念である。化石燃料の燃焼および森林破壊などの人的活動、併せて、加速する永久凍土の解凍などの派生的現象により、地球大気における温室ガス量が増加し、、地球規模の気候変動がもたらされる。結果として、気候変動の影響を軽減するために、多くの概念がテストされ実装された。
【0003】
現在の地球大気における二酸化炭素濃度は、411百万分率(ppm)である。この量は、世界経済の複数の分散セクターにおける継続的な排出により、1年当たり2ppmを越えて増加する。2015年にUNFCCCによって導き出され大部分の国によって署名されたパリ協定によれば、人類は、破滅的結末を回避するために、平均温度の上昇を、産業革命以前のレベルと比較して2℃より「十分に低く」制限しなければならない。当該潜在的に破滅的な2℃の上昇の制限を回避しようと試みるかつその方法を予測するため、モデルは、残余の炭素割当を考慮して変動するが、一般に430ppmを下回ったままでいることを目的とする。一方、1ppmはおおよそ数十億トンのCO2に換算されるので450ppmは高確率な不可逆効果への近似的な遷移を示し、このことは、温室ガスを、大気から1年当たり何百億程度除去する必要性を表す。
【0004】
多様な二酸化炭素回収方法が当該技術分野において記載されている。そのうち、スクラバは、発電所、産業施設または産業車両の排ガスに見られるような高濃度の二酸化炭素流に実装されるように構成されている。燃焼排ガスから炭素を回収するそうした方法は炭素排出の継続的増加に何らかの軽減をもたらし得るが、それらは適用性において制限され、分散している源からの炭素排出には対処することはできず、地球大気の一部として既に循環している高濃度の二酸化炭素にも対処することはできない。
【0005】
異なるタイプの化学プロセスを用いて地球大気から直接二酸化炭素を回収することが、いくつかの公報によって開示されており、例えば、特許出願公開番号US20170106330A1およびUS20170028347A1は、後に高純度二酸化炭素流の液体または超臨界液体への圧縮を可能とする水酸化ナトリウムを用いる静止地上システムによって行われる二酸化炭素の回収を開示する。二酸化炭素の化学的かつ物理的回収および処理の他の手段は、例えば、特許出願公報番号WO2016185387A1、AU2008239727B2およびUS20140061540A1に開示されている。特許公報番号US4963165AおよびUS8702847B2もまた、二酸化炭素の回収、分離、凝縮およびリサイクルについて開示している。
【0006】
特許出願公報番号US20170106330A1は、空気から分子、原子、および/またはイオンを分離かつ貯留するシステムであって、環境大気から分離された分子、原子、および/またはイオンを受けるように構成されている少なくとも1つの収集タンクを備えるシステムを開示する。システムは、さらに、分離した分子、原子、および/またはイオンを貯留する少なくとも1つの貯留タンクと、少なくとも1つの出口とを備え、空気収集手段は、ガスタワーまたはガス気球であり得る。
【0007】
特許出願公報番号US20110146488Aは、流れを空気中円筒炭素複合材キャニスタ、または所望の高周波電磁波場内で負イオン化を有する種を回収、隔絶、そして放出する能力を有する「大気二酸化炭素軽減」(ATCOM)キャニスタ内に導くことによって流入空気流からかなりの量の二酸化炭素分子を回収かつ隔絶することを開示する。空気流は、抵抗が付加されたインペラを有する渦形室を通り、その後流入流速度が空気体積を圧縮するフリーフローチャンバ内へ移動し、CO2分子の濃度の浸透圧均等分布を可能とするので、ATCOMキャニスタへの初期の気流は、具体的な流速まで速度低下される。
【0008】
上述の技術分野の状態から、当業者は、様々な試みおよび開発が行われているが、一般に、これらの努力は、価格、軽減(回収された二酸化炭素の1トン当たりの炭素排出に関して)、および適用性の点から市場要件を満たしてはいないことを認識し得る。
【0009】
上記の公報のいずれも、単独でも組み合わせても、空中ユニットおよび非空中ユニットを備え、貯留された分離ガス状物質を、空中ユニットから非空中ユニットへさらなる処理または貯留のために移行するように構成されているガス状物質回収システムを教示していない。
【0010】
ガス状物質を大気から直接、経済的、拡張可能、かつ適用可能に回収するシステムおよび方法を提供する必要がある。
【0011】
圧縮ガス状物質で充填された貯留手段を非空中ユニットによるさらなる処理のために外し、かくして単一の空気中ミッションで、二酸化炭素の塊などのガス状物質をより多く回収しそれによって定期保守および地上時間間隔を減らすことを可能とすることによりガス状物質の収集効率を高めるように構成されているシステムおよび方法を提供するさらなる必要性がある。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、大気から直接ガス状物質を回収するシステムおよび方法を提供するものであり、任意の他の利用可能なシステムおよび方法に対して経済的かつ高度に拡張可能である。
【0013】
当該システムおよび方法は、さらに、二酸化炭素などのガス状物質を液化または固化することによって、大気混合物を形成している他のガスから分離させるために低温かつ相対的に低い圧力でのガスの相転移を可能にする高高度で見られる気候条件を用いることを含み得る。
【0014】
当該システムおよび方法は、さらに、CO2などの大量の高高度ガス状物質を回収するように構成されている高高度気球などの高高度プラットフォーム/車両を利用することを含み得、当該高高度CO2濃度は、典型的な強風および結果として生じる移流により希釈されない傾向がある。
【0015】
当該システムおよび方法は、さらに、貯留されている分離ガス状物質を、空中ユニットから非空中ユニットにさらなる処理または貯留のために移行することを含み得る。
【0016】
当該システムおよび方法は、さらに、単一の空気中ミッションで、二酸化炭素の塊などのガス状物質をより多く回収しそれによって定期保守および地上時間間隔を減らすことを可能とすることによりガス状物質の収集効率を高めることを含み得る。
【0017】
以下の実施形態およびその態様は、例示的かつ事例的であることを意味し範囲を限定していないシステム、デバイス、および方法と併せて記載かつ例示される。様々な実施形態では、上述の問題の1つ以上が軽減または除去されており、他の実施形態は、他の利点または向上を対象としている。
【0018】
一態様によれば、空気中にあるように構成されている少なくとも1つの空中ユニットと、少なくとも1つの非空中ユニットと、空中ユニットによって支持されるように構成されている少なくとも1つのガス分離手段と、空中ユニットによって支持されるように構成されている貯留手段と、システムの動作を制御するように構成されているコントローラと、システムの動作を有効にするように構成されているエネルギー源とを備え、少なくとも1つのガス分離手段は、少なくとも1つの指定ガス状物質を空気から分離させるように構成されており、少なくとも1つの分離ガス状物質は、貯留手段内に貯留されるように構成されており、空中ユニットは、貯留されている分離ガス状物質を非空中ユニットに移行するように構成されている、ガス状物質回収システムが提供されている。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのガス分離手段は、空中ユニットが高度範囲5~15kmにおける空気中にあるとき、動作可能である。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、ガス分離手段は、少なくとも1つの圧力増大装置を備える。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、ガス分離手段は、二酸化炭素の吸着剤に基づき得かつガス分離手順を利用するように構成され得る化学触媒を備える。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、ガス分離手段は、ガス分離手順を利用するように構成されている生物学的酵素を備える。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、空中ユニットは、高高度気球である。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、空中ユニットは、非空中ユニットに繋留されるように構成されている。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、空中ユニットは、さらに、自動操舵手段を備える。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、空中ユニットは、航空機に推進手段へと据え付けられ/組み込まれるように構成されている。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、貯留手段は、空中ユニットから外され非空中ユニットに到達するように構成され得る少なくとも1つの圧縮ガス容器である。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、非空中ユニットは、少なくとも1つの圧縮ガス容器を回収するように構成されている指定着地領域を備える。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの圧縮ガス容器は、少なくとも1つの圧縮ガス容器を空中ユニットから非空中ユニットに案内するように構成されている案内手段を備える。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、非空中ユニットは、空中ユニットによって回収された貯留されている指定ガス状物質を利用するように構成されている。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、非空中ユニットは、地上、水上または船舶上に位置するように構成されており、水上に位置するように構成されている非空中ユニットは、さらにドッキング領域を備え得る。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、コントローラは、さらに、空中ユニットを制御するためにナビゲーションコマンドを生成するように構成されている。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、ガス分離手段は、さらに、中を流れる空気圧を、環境大気圧を6~10バール上回るまで増大させるように構成されている空気圧縮機を備える。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、指定ガス状物質は、二酸化炭素である。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、空気中空中ユニットは、指定ガス状物質を液化または固化するために、高高度での低温を活用するように構成されている。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、空気中空中ユニットによって支持される少なくとも1つのガス分離手段は、ガス分離を目的として流入気流圧を利用するために高高度の風を活用するように構成されている。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、圧縮空気内に貯留さている潜在的なエネルギーは、さらに、ガス状物質回収システムによって利用され得る。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、空中ユニットは、温度範囲-100°から-10°かつ圧力範囲0.2~10バールにおける相転移プロセスを用いることによって二酸化炭素を回収するように構成されている。
【0039】
いくつかの実施形態によれば、エネルギー源は、太陽エネルギー/風力エネルギー/事前に蓄えられた動力貯蔵器に基づくかまたは有線接続を用いることによって空中ユニットに動力を供給するように構成されている。
【0040】
第2の態様によれば、ガス状物質回収システムを用いてガス状物質を回収する方法であって、空気中空中ユニットによって支持される少なくとも1つのガス分離手段を用いて、少なくとも1つの指定ガス状物質を空気から分離するステップと、少なくとも1つの分離されたガス状物質を、空気中空中ユニットによって支持される貯留手段内に貯留するステップと、貯留された分離ガス状物質を非空中ユニットに移行するステップとを備える、方法が提供される。
【0041】
発明のいくつかの実施形態は、添付の図を参照して本明細書中に記載されている。図と併せて記載により、当業者に、いくつかの実施形態をどのように実施し得るかが明らかになる。図は、例示的な説明目的であり、発明の基本的な理解に必要とされる以上に実施形態の構造的詳細を詳細に示そうとはしていない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】発明のいくつかの実施形態による、ガス状物質回収システムの空中ユニットおよび非空中ユニットの概略透視図である。
図2】発明のいくつかの実施形態による、ガス状物質回収システムの非空中ユニットの概略透視図である。
図3】発明のいくつかの実施形態による、ガス状物質回収システムの空中ユニットを形成する可能なモジュールを示すブロック図である。
図4A】様々な温度におけるCO2の典型的な相図である。
図4B】様々な高度における環境大気のサンプルされたCO2濃度を表現するコンボチャートである。
図5】CO2の液化または固化に影響を与える様々な温度および圧力を示す線グラフである。
図6A】CO2へ高い親和性を有する炭素回収のための吸着剤の吸収能を示す線グラフである。
図6B】CO2へ高い親和性を有する炭素回収のための吸着剤の吸収能を示す線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下の発明を実施するための形態では、発明の完全な理解をもたらすために多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本発明はこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることが当業者によって理解されるだろう。他の例では、よく知られている方法、手順、および構成要素、モジュール、ユニットおよび/または回路は、発明を妨げないように詳細が記載されていない。一実施形態に関して記載されたいくつかの特徴または要素は、他の実施形態に関して記載された特徴または要素と組み合わされ得る。明瞭さのために、同一のまたは同様の特徴または要素の説明は繰り返されない場合がある。
【0044】
発明の実施形態はこの関連で限定されるものではないが、例えば「制御する」「処理する」「算出する」「計算する」「判定する」「確立する」「分析する」「チェックする」「設定する」「受信する」などといった用語を利用しての説明は、コントローラ、コンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、または、コンピュータのレジスタおよび/またはメモリ内の物理(例えば電子)量として表されるデータをコンピュータのレジスタおよび/またはメモリまたは動作および/またはプロセスを実行するための命令を格納し得る他の情報非一時的格納媒体内の物理量として同様に表される他のデータへと処理かつ/または変換する他の電子コンピューティングデバイスの動作(複数可)および/またはプロセス(複数可)を指す場合がある。
【0045】
明確な特段の記載がない限り、本明細書中に記載された方法の実施形態は、特定の順序または順番に制約されるものではない。さらに、記載された方法の実施形態またはその要素のいくつかは、同時に、または同じ時点で、または同時に起こり得または実行され得る。
【0046】
本明細書中で用いられる用語「コントローラ」は、中央処理装置(CPU)またはマイクロプロセッサが与えられ得かついくつかの入力/出力(I/O)ポートが与えられ得る任意のタイプのコンピューティングプラットフォームまたは構成要素、例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、タブレット、モバイル携帯電話、コントローラチップ、SoC、またはクライドコンピューティングシステムなどの汎用目的コンピュータを指す。
【0047】
本明細書中で用いられる用語「炭素回収のための吸着剤」は、窒素および酸素などの他の大気ガスと比較するとCO2により高い親和性を有する任意の材料、より具体的には、多種多様なカチオンを収容することができメソ多孔質シリカ、ゼオライト、金属有機構造体を含み得る様々な典型的には多孔質の固相材料を指し、これらの材料は、大量の空気から選択的にCO2を除去する可能性を有する。
【0048】
本明細書中で用いられる用語「金属有機構造体(MOF)」は、低熱容量を有し1D、2D、または3D構造を形成する有機配位子に配位された金属イオンまたはクラスタから構成される多孔性化合物の分類を指す。それらの小さな細孔径および高い空隙比により、MOFは、CO2を回収する吸着剤として使用するための見込みある潜在的な材料と考えられ、今日広く用いられている従来のアミン溶媒ベースの方法と比較して効率的な代替を提供し得る。CO2は、ファンデルワールス相互作用または化学吸着によって引き起こされる物理吸着または共有結合形成によって引き起こされる化学吸着のいずれかを通して、MOF表面と結合し得る。MOFがCO2で飽和すると、CO2は、温度スイングまたは圧力スイングのいずれかを通してMOFから除去される(再生として知られるプロセス)。温度スイング再生において、MOFは、CO2が脱離するまで加熱される。圧力スイングにおいて、圧力は、CO2が脱離するまで低減される。
【0049】
本明細書中で用いられる用語「ZIF」は、ゼオライトと位相的に同形の金属有機構造体(MOF)の分類を指し、ZIF-8という名前の特定のMOFは、水素と二酸化炭素の混合物に対する非常に高い分離係数および窒素に対する二酸化炭素の相対的に高い特異性を有する。ZIF-8はまた、比較的安定しているMOF、したがって広い範囲の温度および圧力に対して応用可能であるとしても知られている。ZIFは、イミダゾレートリンカーによって接続されゼオライト様トポロジを有する4面体配位の遷移金属イオン(例えば、Fe、Co、Cu、Zn)から構成される。
【0050】
本明細書中で用いられる用語「逆転層」は、大気中の相、または高度の観点からの領域としての相を指し、温度の低下が止まり、高度にともなってさらに上昇する傾向がある。熱逆転は複数の状況で起こり得るが、対流圏界面と称されることもある対流圏の上部における垂直温度勾配が逆転する高度として逆転層を指すことが一般的である。
【0051】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、大気へと外されるように構成され少なくとも1つの、圧縮機などのガス分離手段を備える軽量空中ユニットを備えるガス状物質回収システムを開示する。いくつかの実施形態によれば、当該空中ユニットは、高高度気球であり得、さらに制御ナビゲーションおよび操舵構成要素を備え得る。いくつかの実施形態によれば、当該空中ユニットは、大量の二酸化炭素などのガス状物質を回収するようにかつそれを、安全に捉えられ得る指定された非空中ユニットまで下方に向けて発射するように構成されている。いくつかの実施形態によれば、空中ユニットは、単一の空気中ミッションで二酸化炭素の塊をより多く回収することによって定常保守および地上時間間隔を減らすことを可能とするために、大量の回収された二酸化炭素を発射するように構成されている高高度気球であり得る。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、環境大気からの二酸化炭素などのガス状物質の分離は、複数の技術および方法、例えば、冷却器、冷蔵室、冷凍室、ヒートポンプ、圧力ポンプ、圧縮機、膜、化学手段または触媒を用いた分離、生物学的酵素による分離などを用いて行うことができる。そのような技術および方法は、CO2が環境大気から回収されるレートを高めるために用いられる。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、ガス状物質回収システムは、低い大気温度および周囲の大気を循環させる強風を用いるように構成されている。ガス状物質回収システムは、さらに、流入空気流における二酸化炭素の希釈を防ぐように構成されている。なぜなら、空気密度は、高い対流圏および下部成層圏でより低いが、二酸化炭素の容積濃度は著しく低いわけではなく、海面で見られるレベルとほぼ同じであるからだ。したがって、上記の炭素回収方法を海面より上の高高度で利用することは適用可能である。
【0054】
いくつかの実施形態によれば、ガス状物質回収システムは、気候変動緩和およびガス状物質の再利用を目的として、ガス状物質を大気から直接収集するように構成されている(収集される好ましいガスは二酸化炭素であり得る)。いくつかの実施形態によれば、システムは、-100℃から-10℃の範囲などの低温かつ0.2バールから10バール間などの増大された圧力範囲での二酸化炭素の相転移に基づき得る。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、過度のエネルギー入力を必要とせず、危険なまたは乏しいリソースを用いることなく、完全に拡張可能に、環境大気から直接莫大な量のCO2を除去するために、圧縮機を備えた高高度車両を使用することが示唆される。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、二酸化炭素が気流から分離されると、それらは、様々なニーズまたは制約にしたがって、さらに貯留または利用することができる。例えば、分離された二酸化炭素は、液化/固化され、高圧容器などの貯留手段に保存され得る。当該容器は、複合炭素繊維、アルミニウム、ポリマーなどといった任意の既知の材料で作製することができる。
【0057】
ガス状物質回収システム10の空中ユニット100および非空中ユニット200を概略的に示す図1をここで参照する。示すように、ガス状物質回収システム10は、2つの主なユニット、空中ユニット100および非空中ユニット200を備え得る。空中ユニット100は、例えば、高度5~15kmといった高高度に浮かぶように構成されている高高度気球または任意の他の航空車両であり得、これらの高度における標準温度は、一般におおよそ-50℃であり、空気密度は、海面で見られる空気密度の約10~30%である。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、空中ユニット100として動作する高高度気球は、ヘリウム、水素ガス、温風または空中揚力を提供するのに用いられる任意の他の既知の物質で充填され得る。いくつかの実施形態によれば、空中ユニット100は、非空中ユニット200に繋留されてもよくまたはされなくてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、空中ユニット100は、任意の既知の航空車両または航空プラットフォーム、例えば、動力飛行航空機(内燃機関、ジェット推進、太陽光発電または電力のいずれかによる)、滑空航空機(凧、グライダーなどといった)、または軽航空機(飛行船、気球などといった)であり得る。いくつかの実施形態によれば、空中ユニット100は、既存の航空機に実装され得、例えば、空中ユニット100は、市販の航空車両に据え付けられ得、その機体、翼またはエンジンの任意のセクション上に搭載または共に実装される。航空車両上に据え付けられた空中ユニット100は、さらに、既存のシステムに依存し得、例えば、航空機のエンジン内蔵圧縮機を、組み込まれたガス分離手段102(以下に開示)の代替として用い得る。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、ガス分離手段102は、空中ユニット100によって支持されかつ高流量での周囲の空気を環境大気圧力を約5~10バール上回る圧力まで圧縮するように構成されている圧縮機、ポンプ、または任意の既知の圧力増大デバイスを備え得る。いくつかの実施形態によればかつ上述のように、ガス分離手段102による環境大気からの二酸化炭素の分離は、冷蔵、ヒートポンピング、複数のポンプ/圧縮機、膜分離、触媒などの化学手段を用いる分離、生物学的酵素による分離などといった様々な技術および/または方法を用いることによって達成することができる。そのような技術および方法は、環境大気から炭素が回収されるレートを高め、CO2回収のために必要とされるエネルギーを低減させるなどのために用いられ得る。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、そして、強風は概して高高度で大量に存在するので、空中ユニット100が動作するように設計されている当該高高度の強風によって生じた高い動圧は、分離手段102に流入する気流からCO2を分離する目的で活用され得る。例えば、空中ユニット100上に位置するガス分離手段102は、流入気流をフィルタリングし窒素または他のガスの濃度に対して高いCO2濃度を有するフィルタリングされた空気を生成するために、様々なタイプの膜を用い得る。当該高いCO2濃度は、環境気流におけるCO2濃度に対して桁違い(×10)に高くあり得、したがって、当該ガス状物質分離のための風の利用は、流入気流を圧縮する必要性を低減することによって当該プロセスの効率を有意義に高め得る。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、空中ユニット100のガス分離手段102は高高度で動作するように構成されているので、地上高度で環境大気を圧縮するのに一般に用いられるエネルギーの大部分は、一般に不必要である。いくつかの実施形態によれば、圧縮空気はそのCO2から分離された後、その潜在的な貯蔵エネルギーを用いることによってさらに利用され得る。例えば、圧縮空気内に貯留された潜在的なエネルギーは、直接用いられてさらなる気流を圧縮し得または間接的に用いられて様々な電気/機械システムに動力を供給し得、かくして、さらなるエネルギー/重量のセーブにつながる。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、二酸化炭素の回収効率を上げるために、空中ユニット100は、複数のガス分離手段102を並行して利用し得、例えば、ガス分離手段102は、効率的な圧縮およびガス状物質の分離を提供するために直列に/いくつかの段階で整列されている複数の圧縮機であり得る。
【0064】
いくつかの実施形態によれば、指定物質は、CO2回収またはCO2分離のために用いられ得、分離に利用可能なCO2量を増大させるためにガス分離手段102内に実装され得る。当該物質は、例えば、MOF、ZIF、または炭素回収のための任意の他の既知の吸着剤であり得、薄膜形状で配置され得、ALD、CVD、PVD、斜め堆積法などといったナノ堆積技術などの様々な化学プロセスによって生成され得る。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つの貯留手段106、例えば圧縮ガスタンク(複数可)は、CO2などの分離されたガス状物質を、圧縮空気流からの抽出後、液体、固体または気体状で貯留するように構成されている。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、空中ユニット100によるCO2抽出効率を最大化し、かつ、限定されたリソースおよび制約下でガス状物質の最大収集を可能にするために、そして、空中ユニット100が着陸する必要があるまでの空気中時間をより長くすることを可能にするために、ガス状物質回収システム10は、指定された非空中ユニット(複数可)上または予め決められた地上/水上の位置上にさらなる利用のために安全に着陸するように設計された満杯のガスタンクを外すように構成され得る。
【0067】
いくつかの実施形態によれば、ガス状物質回収システム10は、さらに、圧縮ガスタンクであり得る少なくとも1つの貯留手段106を制御しながら外すことを可能とするように構成されている指定された機構(図示せず)を備える。例えば、制御外し手段は、貯留タンク106を、ガス状物質での充填後、航空車両から余分な重量をなくすために接続解除するように構成され得る。いくつかの実施形態によれば、貯留手段106は、外され、安全に捉えられ収集され得る予め指定された非空中ユニットまで下方に落下するように構成されている。
【0068】
いくつかの実施形態によれば、貯留手段106は、前述の指定された外し機構を用いて空中ユニット100から発射される/外されるように、または代替として、案内にしたがって落下するように構成されている自由落下タンク(複数可)であり得る。貯留手段106は、軌道補正能力または任意の他の既知の操舵/ナビゲーション手段を提供するために、パラシュート、滑空翼、プロペラ、ガス噴射器またはジェット推進機の利用を含み得る。
【0069】
いくつかの実施形態によれば、コントローラ104は、さらに、ガス状物質回収システム10の全般動作制御をもたらすように構成されている。いくつかの実施形態によれば、コントローラ104は、空中ユニット100上に、あるいは非空中ユニット200上に配置されてもよく、または、その他の場所、例えば、リモートサーバ上あるいはクラウドコンピューティングプラットフォームの一部として位置してもよい。いくつかの実施形態によれば、コントローラ104は、空中ユニット100にナビゲーション制御を提供するように構成されており、当該ナビゲーション制御は、自動でまたはガス状物質回収システム10の動作をモニタリングしているユーザによって手動で実行され得る。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、空中ユニット100は、さらに、空中ユニット100の制御された空中展開を提供するように構成されている任意の既知の推進構成要素であり得る推進/操舵手段(図示せず)を備え得る。いくつかの実施形態によれば、コントローラ104は、ジェット推進機、ロケット推進、フラップ、任意の種類のプロペラ、または任意の他の既知の推進手段であり得る推進/操舵手段を制御し得る。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、ガス状物質回収システム10は、さらに、空中ユニット100と非空中ユニット200の間に信頼できる高速な通信路を提供するように構成されている通信手段(図示せず)を備える。例えば、コントローラ104によって制御され得る通信システムは、様々なニーズまたは制約にしたがって空中ユニットにナビゲーションコマンドを提供し得、自動でまたはガス状物質回収システム10の動作をモニタリングしているユーザによって手動で動作され得る。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、ガス状物質回収システム10は、さらに、動力貯蔵器/バッテリー、水素貯蔵器(上昇目的で同時に用いられ得る)、ソーラーパネル/塗料/シート、風力タービン(周囲の強風を利用するため)、原子力発電機、熱電素子と併せた火力原子力源などであり得るエネルギー源108を備える。いくつかの実施形態によれば、地上、非空中ユニット200、または別の航空車両に接続された繋留ワイヤは、空中ユニット100の動作に必要とされるエネルギーを提供し得る。いくつかの実施形態によれば、動力をガス状物質回収システム10に提供するのに用いられるエネルギー源は、二酸化炭素抽出という主目的と相反しないように、カーボンニュートラルまたはそれに近いように構成されている。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、空中ユニット100は、一定のあるいは一定に近いエネルギー利用可能性を提供する能力を有するまたは空中ユニット100にガス状物質回収条件の向上をもたらす能力を有する相対的な位置に展開されるように構成され得る。このことは、異なる風向または太陽放射条件を利用するために、空中ユニット100の高度/位置を適応的に変えることによって達成することができる。いくつかの実施形態によれば、空中ユニット100の相対的な展開を変えるために、推進および/またはナビゲーションおよび操舵手段が、先に開示したように用いられ得る。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、ガス状物質回収システム10の最終生産物は、農業、食品産業、研究、合成近傍排出ニュートラル燃料製造などといった用途において貯蔵または再利用のいずれかのためを意図した高純度二酸化炭素であり得る。
【0075】
ガス状物質回収システム10(先に開示した)の非空中ユニット200を概略的に示す図2をここで参照する。示すように、任意の種類の回収プラットフォーム(トランポリンなど)であり得る指定着陸領域202は、高速の大きな塊の落下物に対して安全な領域を提供するように構成されている。高速落下物貯留手段106は、着陸領域202上に着陸し得、任意の機構、ロボットまたは手動手段(図示せず)によってさらに収集される。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、非空中ユニット200は、空中ユニット100に対する保守要件および/または少なくとも1つの貯留手段106の、ガス状物質が装填され着陸領域202によって回収された後の処理のいずれかを提供するように構成されている指定設備204を含み得る。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、非空中ユニット200は、地上にまたは水上に浮いているプラットフォーム上に位置してもよく、代替として、非空中ユニット200は、任意の種類の船舶または地上車などの動いているプラットフォーム上に位置してもよい。いくつかの実施形態によれば、貯留手段106が着陸領域202によって回収され貯留手段106が指定設備204に受け渡された後、化学および/または機械のいずれかであり得る産業手順が、収集されたガス状物質をさらなる貯留または使用のために利用し得る。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、非空中ユニット200は、さらに、回収されたガス状物質を別の場所に移行するのを可能にするために、船舶または地上車のいずれか向けに構成されているドッキング領域206を備え得る。
【0079】
空中ユニット100を形成する可能なモジュールを開示するブロック図を示す図3をここで参照する。示すように、エネルギーモジュール300は、バッテリー、水素ベース燃料電池、ソーラーパネル/塗料/シート、風力タービン、原子力発電機、または温室ガスを排出しないあるいは低減されたレベルの温室ガスを生成する任意の他の動力源などの動力貯蔵器であり得る。
【0080】
いくつかの実施形態によれば、制御モジュール302は、さらに、ガス状物質回収システム10の全般動作制御を提供するように構成され、空中ユニット100上、非空中ユニット200上(図示せず)上に位置するコントローラを備え得、または他の場所、例えばリモートサーバ上もしくはクラウドコンピューティングプラットフォームの一部として位置してもよい。いくつかの実施形態によれば、制御モジュール302は、空中ユニット100を制御するために、ナビゲーション/操舵コマンドを生成するように構成されており、当該ナビゲーション/操舵制御は、自動でまたはガス状物質回収システム10の動作をモニタリングしているユーザによって手動で実行され得る。いくつかの実施形態によれば、制御モジュール302は、様々なパラメータおよびガス状物質回収システム10のアクティビティの一部である動作をモニタリングするように構成されている。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、ガス分離モジュール304は、環境大気からの二酸化炭素などのガス状物質の分離を可能にするように構成されている。これは、単一/複数のポンプまたは圧縮機(または任意の既知の圧力増大デバイス)、膜、化学手段または触媒を用いる分離、生物学的酵素による分離などといった複数の技術および方法を用いて行われ得る。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、ガス状物質貯留モジュール306は、二酸化炭素などの液化された/固化されたまたは高加圧されたガス状物質を少なくとも1つの高圧容器(先に開示した貯留手段106)に貯留するように構成されており、当該容器は、前述の指定された外し機構を用いて空中ユニット100から発射/外されるように、または代替として、案内されたように落下するように構成されている自由落下容器であり得る。いくつかの実施形態によれば、当該高圧容器は、軌道補正能力を提供するために、パラシュート、滑空翼、プロペラ、ガス噴射器、ジェット推進機、または任意の他の既知の操舵/ナビゲーション手段の利用を含み得る。
【0083】
いくつかの実施形態によれば、ナビゲーションモジュール308は、ナビゲーション能力を空中ユニット100に提供するように構成され、空中ユニット100の正確な位置、高さおよび相対的な位置を判定するために、GPS、高度/速度センサなどといった指定されたナビゲーション構成要素を備え得る。ナビゲーションモジュール308は、さらに、空中ユニット100の動作を変わりゆく天候条件に適合させるために、特定の位置および高度における風況に関するデータベースを活用し得る。いくつかの実施形態によれば、ナビゲーションモジュール308は、分離したモジュールであってもよく、制御モジュール302内に組み込まれてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、推進モジュール310は、空中ユニット100を所望の位置/高度に推進するように構成されており、空中ユニット100の推進は、ジェット推進機、ロケット推進、フラップ、任意の種類のプロペラ、または任意の他の既知の推進手段を用いて実行され得る。
【0085】
相対的に低い温度および相対的に高い圧力での二酸化炭素の相転移を表す相図を示す図4Aをここで参照する。
【0086】
いくつかの実施形態によれば、約-55℃の温度でガスを液化するために、必要とされる圧力は、約6atmである。当該の相対的に高い液化圧力により、高高度で行われるガス液化は、炭素回収手順に課題を示し得る。示すように、二酸化炭素の分離は、液化または固化によって行うことができる。いくつかの実施形態によれば、約-56℃の三重点温度を下回る任意のポイントに到達し、十分に高い圧力を有すると、二酸化炭素の固化が起こるだろう。逆に、例えば6~10バールの圧力を加えることによって、三重点を上回る温度で圧力を増大させると、二酸化炭素の液化が起こるだろう。
【0087】
いくつかの実施形態によれば、二酸化炭素の液化/固化を可能にする限度内での温度および圧力の任意の組み合わせは、ガス状物質回収システム10の動作中に用いられ得る。
【0088】
いくつかの実施形態によれば、高高度では空気密度は海面での環境大気の約三分の一であるので、流入空気圧を当該高高度での典型的圧力(0.2~0.8バール)から増大させて二酸化炭素の固化/液化を可能にする範囲に到達させるために、少なくとも一段階の圧縮が用いられ得る。圧力の必要とされる増大は、当該典型的な転移圧力6~10バールに達するために、全圧縮段階の最後で3対50の割合で乗じられ得る。
【0089】
いくつかの実施形態によれば、当該圧力レベルに達し、適切な温度(約-55℃)になると、処理された流入空気内に含まれるCO2の液化が起こる可能性がある。代替として、流入空気を十分に高い圧力にさらしながら温度を40℃~70℃さらに下げると、主に、流入空気内に含まれるCO2の固化が起こるだろう。
【0090】
いくつかの実施形態によれば、圧力または温度の変化は、単一の圧縮/分離段階中にまたは複数段階中に行われ得る。いくつかの実施形態によれば、上記で開示された二酸化炭素回収のプロセスの一部として複数の圧縮/分離段階を用いると、エネルギー効率の一部を表す冷却の性能係数は高くなり得る。
【0091】
様々な高度(9~10km)および様々な温度での環境大気におけるサンプルされたCO2濃度を表すコンボチャートを示す図4Bをここで参照する。示すように、CO2の体積濃度は、高高度でほぼ同じままである。すなわち、海面における411と比較して、400ppmをわずかに下回っている。このことは、強風が一定の気流を提供しCO2の希釈を妨げることによるものであり得る。
【0092】
いくつかの実施形態によれば、空中ユニット100が位置するように構成されている高高度は、CO2相転移に到達するのに少ないエネルギー消費の使用を可能とする低温ならびに液化または固化のいずれかによりCO2相転移を達成するために所望の圧力に到達するのに必要とされるエネルギー消費を増大させる低い全体圧力のトレードオフを表す。上述のように、様々な高度における環境大気内のCO2濃度は、ほぼ同じままであり、CO2分離プロセスの効率を大きく変化させることはない。
【0093】
いくつかの実施形態によれば、かつ、先に示すように、高高度における空中ユニット100上に位置する分離手段102に入ってくる流入空気を圧力6~10バールに到達するように圧縮すると、流入空気からCO2が分離され、貯留手段106の内部に液体/固体形状で貯留される。温度範囲が約-50℃かつ圧力がおおよそ0.25バールである高高度において、標準条件のガスモル体積濃度(1モル当たり22.4リットル)を考えると、ガスモル体積濃度は、1モル当たり約70リットルである(22.4L/モル、温度補正の(223℃/273℃)と圧力補正の(101.3KPa/26.5KPa)で乗じられた結果、70L/モルとなる)。
【0094】
いくつかの実施形態によれば、400ppm濃度のCO2でかつ44g/モルのモル質量下で、1モル(または44グラム)を得るのに702500(2500は400ppmの逆数)リットルを圧縮する必要がある。上記によれば、1トンのCO2を生成するために、約400万立方メートルの環境大気を圧縮する必要がある。
【0095】
最近、簡単で安価な圧縮機は、毎分数立方フィートまたは毎秒数リットルで測定された流量に達する。それによれば、一日当たりあるレベルのメートルトンに達するために、いくつかの圧縮機を並行して用いることが必要とされる。
【0096】
いくつかの実施形態によれば、大容量、例えば一日未満で400万m3の流量に達するために、特定の直径を有するオリフィスを通って典型的な高高度の風100km/hで移動している空気を圧縮することが可能である。
【0097】
いくつかの実施形態によれば、気候変動への全面的な解決策を導入するために、かつ、各空中ユニット100が一日当たり回収されたおおよそ1メートルトンのCO2に対処可能であると仮定すると、仮定上のガス状物質回収システム10は、2018年において大気中へと導入された余分なCO2全部を回収するために5400万個の空中ユニット100から構成される必要があるだろう。各空中ユニット100が10万ドルの年間価格を有することを考えると、年間の世界のCO2排出回収に対する完全な解決策には、おおよそ5兆ドルのコストがかかるだろう。この試算は、任意の他の代替案に比べてとても低いわけではないが、気候変動に関連する予期される経済的損失よりも有意義に低い。参考までに、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、炭素排出の増加傾向を逆転させCO2を100億トン低下させるのに、13兆ドル必要であると述べた。2倍より大きなコストをかけて結果は半分に満たないことを意味している。
【0098】
標準US大気データに基づくCO2の相転移に影響を与える温度差を表す線グラフを示す図5をここで参照する。より具体的には、線グラフは、増大した高度およびより低い/より高い圧力に関連する温度の低下による、回収されたCO2の相転移の開始に影響を与える温度差を表す。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、逆転層(図示せず、典型的には海面から11~13キロ上の高度であるが、赤道領域または極地ではこれらの数を越えて潜在的に変動する)では、必要とされる温度差は、3つの線全てに沿って低下するので、逆転層は、高高度ガス分離を行うための理想的な高度を表す。いくつかの実施形態によれば、当該逆転層における環境温度は約-50℃であり、環境圧力は約0.3バールである。このことは、CO2を固化することによって分離するのに、CO2の凝固点が0.3バールにおいて約-90℃であることを示す図4に示すように、約40℃の低下が必要とされることを意味する。
【0100】
いくつかの実施形態によれば、かつ、ガス分離プロセスに対する理想的な高さは逆転層またはその近傍にあるという仮定の一部として、考慮に入れられ得るいくつかの追加パラメータが在る。当該逆転層で見られる環境大気の圧力の増大により、物理的かつ化学的分離手順を用いるガス状物質分離の様々な方法が可能となり得る。例えば、金属有機構造体MOF、ゼオライトまたは他の指定物質などの分子篩の使用には、逆転層またはその近傍で発生しているより高い圧力からのガス分離効率の点で利益があり得る。
【0101】
いくつかの実施形態によれば、標準US大気データによるガス分離手順を行うための所与の高度で必要とされる温度差が開示されている。
【0102】
いくつかの実施形態によれば、空気をCO2凝固温度まで冷却するまたは空気を液体/固体形状にまで圧縮することのいずれかの試算計算が以下のように提供される。流入空気をガス状物質回収システム10の動作の一部として冷却することは、十分なCO2質量と共に低い空気温度を必要とする。例えば、mco2=100Kgを環境大気温度よりも約40°K低く冷却するには、Mtot・Cair*(40°K)が必要であろう。Cairは約0.71KJ/KGであり、かくして、エネルギーコストは、7・10KJ、すなわち1日12時間を超える期間において160KWである。さらに、昇華エンタルピー(潜熱)は、約590KJ/Kgであり、相転移にさらに1.5KWが必要であることを意味するが、これは、全必要冷却エネルギーと比べて取るに足らないものと考えられ得る。
【0103】
熱力学の第2法則によれば、冷却効率は制限される。したがって、特定の質量の空気から約160KWの熱を除去するために、かつ、
【数1】
(凝固温度-90℃または183°K、および開始温度-50℃または223°Kで、より低い温度をTcとしてより高い温度をThとして方程式に入力)という性能の理想係数の元で、示唆される計算は、熱除去に用いられるワットごとに、最大温度差で冷却している単一段階によって冷却空気から約4.5Wを除去し得、複数の冷却段階は、温度差の減少にしたがって当該冷却プロセスの効率を高めるだろう。平均の複数段階の冷却が約2Wの動力を必要とすると仮定すると、結果的に、約80KWのエネルギーが必要とされる。
【0104】
いくつかの実施形態によれば、上述の動力要件は、空中ユニット100の表面積を利用することによって達成され得る。例えば、市販のプラスティックに基づく太陽エネルギーフィルムの技術を用いると、100Wp/m2の動力生成密度が、動力生成の所与の瞬間で利用可能な約10メートルの半径および約200m2の表面積を有する空中ユニット100によって達成され得る。太陽エネルギーフィルムで被覆される当該表面積は、非常に高いCOP(性能係数)でかろうじて十分なエネルギーを表す約40KWの動力を生成し得る。
【0105】
いくつかの実施形態によれば、空中ユニット100によって処理された空気は、CO2の凝固温度まで冷却され得、回収されたCO2は貯留手段106に貯留され得る。CO2は、その温度を、周囲の空気圧に依って-80℃から-100℃の範囲まで低下させることによって凝固され得る。空中ユニット100が動作するように構成されている高高度での環境温度はおおよそ-50℃なので、空中ユニット100の潜在的な冷却構成要素は、一般にカルノー効率約3.5から約6.4で動作し得る[COP<Tc/(Th-Tc)、空気圧がより低く結果として生じる相転移が-100℃であるとき(かくして、°K単位で数をCOPの方程式に、より低い温度を173°Kかつより高い温度を223°Kとして入力)、結果として生じるCOPは、-173/(223―173)=3.46であり、空気圧がより高く結果として生じる必要温度が-80°または193°Kであるとき、-193/(223-193)=6.43である]。
【0106】
いくつかの実施形態によれば、空気冷却手順の一部として生成され得る昇華潜熱を克服するために、1グラムのCO2当たり少なくとも200Jを付与する必要があり、これは、毎秒1グラムの割合に対し、生成された潜熱を克服するために200Wの熱を除去する必要があることを意味する。上記によれば、CO2凝固量(1KWの動力入力として)の上限は、他の全ての動力ニーズを無視すると、毎秒17.5g(12時間の期間において756Kg)である。合理的な仮定としてこのおおよその効率の20%を失くすと、1KWの動力入力が、毎秒当たり約3グラムのCO2の相転移を可能とするのに十分であることが分かる。
【0107】
いくつかの実施形態によれば、とりわけ金属有機構造体(MOF)を含む、CO2への高い親和性を有する物質を用いるさらなる回収技術が、空中ユニット100の動作の一部として用いられ得る。そのような技術を用いると、CO2がその上で核をなす傾向が増大し、必要な冷却される空気体積がより少なくなる。
【0108】
発明のいくつかの実施形態によるCO2への高親和性を有する炭素回収のための吸着剤の吸収能を表す線グラフを示す図6Aおよび6Bをここで参照する。示すように、図6Aは、様々な圧力に対するゼオライトにおけるCO2の吸着能および吸収動力学を示す。図6Bは、様々な温度および圧力における特定のMOF化合物(ZIF-8)のCO2の吸収特性を表す。図6Aおよび6Bに表される結果は、上述の材料を用いると、温度を下げる効果は、前述の物質のCO2の吸収効率に関して、圧力の可変値よりも顕著であることを示唆する。言い換えれば、CO2を吸収する前述の物質能力は、先に開示したように、温度が逆転層の平均温度まで降下したときに劇的に増大する。
【0109】
いくつかの実施形態によれば、他の物質を用いることによってかつ他の状況では、特定の分離ガスを吸着かつ脱着するのに必要な様々な圧力スイングがより有名であり得る。そのようなケースかつ他のケースでは、空中ユニット100を、より高い環境温度およびより高い空気圧であるより低い高度に展開すると、または代替的に、空中ユニット100を、一般に同様の温度ではあるがより低い空気圧のより高い高度に展開すると、空中ユニット100によって実行されるガス分離プロセスの吸収効率に重大な影響を有し得る。したがって、いくつかの用途および実施形態において、ガス分離プロセスは、約-10℃くらいの高さの環境温度かつ海面の約5km上の典型的な高度で実行され得る。代替として、いくつかの実施形態によれば、約15kmというより高い高度で、圧力は約0.2バールまで降下し得、それでもなお、ガス分離プロセスを可能とし、脱着プロセスの一部としての圧力低減に必要とされるエネルギーを減少させる利益がある。
【0110】
本発明は具体的な実施形態を参照して記載されたが、この記載は、限定的な意味で解釈されることを意味するものではない。開示された実施形態の様々な変形、ならびに発明の代替実施形態は、発明の記載を参照した当業者に明らかとなろう。したがって、添付された特許請求の範囲は発明の範囲内に在るそのような変形を網羅するであろうと考えられる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】