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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(54)【発明の名称】収束エアロゾル発生器
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/05 20200101AFI20230222BHJP
   A24F 40/10 20200101ALI20230222BHJP
【FI】
A24F40/05
A24F40/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022538438
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2022-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2020087670
(87)【国際公開番号】W WO2021130248
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】19219369.6
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ディットマン レアンデル
(72)【発明者】
【氏名】エメット ロバート
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA12
4B162AB14
4B162AB23
4B162AC17
4B162AC27
(57)【要約】
エアロゾル発生装置(200)用のエアロゾル発生器(100)が提供され、エアロゾル発生器(100)は、表面音響波アトマイザ(102)および供給要素(104)を備える。表面音響波アトマイザ(102)は、霧化領域(116)を画定する活性表面(110)を備える基体(106)と、基体(106)の活性表面(110)上に音響波面を画定するための表面音響波を発生させるために基体(106)の活性表面(110)上に位置付けられた少なくとも1つの変換器(108)と、備える。供給要素(104)は、霧化領域(116)内の液体エアロゾル形成基体が、活性表面(110)、液体エアロゾル形成基体、および雰囲気の間の界面を画定するように、霧化領域(116)に液体エアロゾル形成基体を供給するように配置されている。少なくとも1つの変換器(108)および供給要素(104)が、界面における音響波面の形状が、界面の少なくとも一部の形状に対応するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置用のエアロゾル発生器であって、前記エアロゾル発生器が、
表面音響波アトマイザであって、
霧化領域を画定する活性表面を含む基体と、
前記基体の前記活性表面上に音響波面を画定するための表面音響波を発生させるための前記基体の前記活性表面上に位置付けられた少なくとも1つの変換器と、を備える、表面音響波アトマイザと、
前記霧化領域内の液体エアロゾル形成基体が、前記活性表面、前記液体エアロゾル形成基体、および雰囲気の間の界面を画定するように、前記霧化領域に液体エアロゾル形成基体を供給するように配置された供給要素と、を備え、
前記少なくとも1つの変換器および前記供給要素が、前記界面における前記音響波面の形状が、前記界面の少なくとも一部の形状に対応するように構成されている、エアロゾル発生器。
【請求項2】
前記少なくとも1つの変換器が、交互配置された電極のアレイを含む櫛形変換器を備え、連続して交互配置された電極間の間隔が、前記活性表面を横切る方向で変化する、請求項1に記載のエアロゾル発生器。
【請求項3】
前記交互配置された電極の各々が、楕円形状を有し、前記交互配置された電極が、前記活性表面上に同心に配置されている、請求項2に記載のエアロゾル発生器。
【請求項4】
前記霧化領域が、同心の交互配置された電極の前記アレイの中心に位置付けられている、請求項3に記載のエアロゾル発生器。
【請求項5】
櫛形変換器が、前記同心の交互配置された電極の長軸に沿って延在する第1の方向、および前記同心の交互配置された電極の短軸に沿って延在する第2の方向を画定し、前記連続して交互配置された電極間の間隔が、前記第2の方向よりも前記第1の方向で大きい、請求項3または4に記載のエアロゾル発生器。
【請求項6】
前記交互配置された電極のアレイが、第1の方向に延在する第1の対称線、および第2の方向に延在する第2の対称線を含む対称形状を有し、前記第1の方向が、前記第2の方向に直交する、請求項2に記載のエアロゾル発生器。
【請求項7】
前記少なくとも1つの変換器が、交互配置された電極の第1のアレイを備える第1の櫛形変換器と、交互配置された電極の第2のアレイを備える第2の櫛形変換器と、を備え、前記交互配置された電極の第1のアレイの連続電極間の間隔が、前記交互配置された電極の第2のアレイの連続電極間の間隔とは異なる、請求項1に記載のエアロゾル発生器。
【請求項8】
前記第1の櫛形変換器が、前記霧化領域に向かって前記活性表面に沿って第1の方向に表面音響波を発生させるように構成されており、前記第2の櫛形変換器が、前記霧化領域に向かって前記活性表面に沿って第2の方向に表面音響波を発生させるように構成されており、前記第1の方向が、前記第2の方向とは異なる、請求項7に記載のエアロゾル発生器。
【請求項9】
前記第1の櫛形変換器および前記第2の櫛形変換器の各々が、平面表面音響波を発生させるように構成されている、請求項8に記載のエアロゾル発生器。
【請求項10】
前記第1の方向が、前記第2の方向に直交する、請求項8または9に記載のエアロゾル発生器。
【請求項11】
前記少なくとも1つの変換器が、交互配置された電極のアレイを備える櫛形変換器を備え、前記交互配置された電極の各々が、円形形状を有し、前記交互配置された電極が、前記活性表面上に同心に配置され、前記霧化領域が、同心の交互配置された電極の前記アレイの前記中心に位置付けられ、前記供給要素が、前記基体の前記活性表面内に開口部を備え、前記霧化領域内に位置付けられ、前記開口部が、楕円形状を有する、請求項1に記載のエアロゾル発生器。
【請求項12】
前記楕円形開口部が、前記開口部の前記長軸に沿って延在する第1の方向と、前記開口部の前記短軸に沿って延在する第2の方向と、を画定する、請求項11に記載のエアロゾル発生器。
【請求項13】
エアロゾル発生装置用のエアロゾル発生器であって、前記エアロゾル発生器が、
表面音響波アトマイザであって、
霧化領域を画定する活性表面を含む基体と、
前記霧化領域に向かって前記活性表面に沿って第1の方向に表面音響波を発生させるための前記基体の前記活性表面上に位置付けられた第1の変換器と、
前記霧化領域に向かって前記活性表面に沿って第2の方向に表面音響波を発生させるための前記基体の前記活性表面上に位置付けられた第2の変換器であって、前記第1の方向が、前記第2の方向とは異なる、第2の変換器と、を備える、表面音響波アトマイザと、
液体エアロゾル形成基体を前記霧化領域に供給するように配置された供給要素と、
第1の駆動信号を前記第1の変換器に、および第2の駆動信号を前記第2の変換器に提供するように構成されたコントローラであって、前記第1の駆動信号が、前記第2の駆動信号とは異なる、コントローラと、を備える、エアロゾル発生器。
【請求項14】
前記第1の駆動信号の電力が、前記第2の駆動信号の電力とは異なる、請求項13に記載のエアロゾル発生器。
【請求項15】
前記基体が、前記第1の方向に第1の電気機械的結合係数、および前記第2の方向に第2の電気機械的結合係数を有し、前記第1の電気機械的結合係数が、前記第2の電気機械的結合係数よりも大きく、前記第1の駆動信号の前記電力が、前記第2の駆動信号の前記電力よりも小さい、請求項14に記載のエアロゾル発生器。
【請求項16】
前記第2の電気機械的結合係数に対する前記第1の電気機械的結合係数の比が、前記第1の駆動信号の前記電力に対する前記第2の駆動信号の前記電力の比と同じである、請求項15に記載のエアロゾル発生器。
【請求項17】
前記第1の方向が、前記第2の方向に直交する、請求項13~16のいずれか一項に記載のエアロゾル発生器。
【請求項18】
前記基体が、結晶性材料を含み、前記活性表面が、前記結晶性材料の格子平面によって画定され、前記第1の方向および前記第2の方向の各々が、前記格子平面の格子ベクトルと整列されている、請求項5、6、10、12、または13に記載のエアロゾル発生器。
【請求項19】
エアロゾル発生装置用のエアロゾル発生器であって、前記エアロゾル発生器が、
表面音響波アトマイザであって、
霧化領域を画定する活性表面を含む基体と、
前記基体の前記活性表面上に表面音響波を発生させるための前記基体の前記活性表面上に位置付けられた変換器と、を備え、
前記変換器の少なくとも一部分の下にある前記基体の前記活性表面の一部分が、表面処理を備える、表面音響波アトマイザと、
液体エアロゾル形成基体を前記霧化領域に供給するように配置された供給要素と、を備える、エアロゾル発生器。
【請求項20】
前記表面処理が、プロトン交換処理を含む、請求項19に記載のエアロゾル発生器。
【請求項21】
前記基体が、ニオブ酸リチウムを含み、前記プロトン交換処理が、前記表面処理を含む前記活性表面の前記部分における水素イオンとのリチウムイオンの置換を含む、請求項20に記載のエアロゾル発生器。
【請求項22】
エアロゾル発生装置であって、
請求項1~21のいずれか一項に記載のエアロゾル発生器と、
前記少なくとも1つの変換器を制御するためのコントローラと、
電源と、
液体エアロゾル形成基体を受容するための液体貯蔵部分であって、前記供給要素が、前記液体貯蔵部分から前記霧化領域に液体エアロゾル形成基体を供給するように配置されている、液体貯蔵部分と、を備える、エアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置用のエアロゾル発生器に関し、エアロゾル発生器は、表面音響波アトマイザ、および成形された音響波面を発生させるように構成された供給要素を備える。本開示はまた、エアロゾル発生装置用のエアロゾル発生器に関し、エアロゾル発生器は、異なる駆動信号によって駆動される第1および第2の変換器を備える。
【0002】
エアロゾル形成基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生システムは、当技術分野で公知である。典型的には、そのようなエアロゾル発生システムでは、エアロゾルは、エアロゾル発生装置のエアロゾル発生器からエアロゾル形成基体へのエネルギーの伝達によって発生する。例えば、公知のエアロゾル発生装置は、液体エアロゾル形成基体を加熱および気化するように配置されたヒータを備える。
【0003】
電気加熱によって液体エアロゾル形成基体を気化させる代替例は、表面音響波を使用する霧化である。しかしながら、表面音響波を発生させるために使用される圧電材料における不均一性は、表面音響波からの液体エアロゾル形成基体へのエネルギーの効率的な伝達を低減または防止し得る。
【0004】
表面音響波を使用して液体エアロゾル形成基体の効率的な霧化を容易にするエアロゾル発生装置用のエアロゾル発生器を提供することが望ましい。
【0005】
本開示の第1の態様によると、エアロゾル発生装置用のエアロゾル発生器が提供され、エアロゾル発生器は、表面音響波アトマイザおよび供給要素を備える。表面音響波アトマイザは、霧化領域を画定する活性表面を備える基体と、基体の活性表面上に音響波面を画定するための表面音響波を発生させるために基体の活性表面上に位置付けられた少なくとも1つの変換器と、備える。供給要素は、霧化領域内の液体エアロゾル形成基体が、活性表面、液体エアロゾル形成基体、および雰囲気の間の界面を画定するように、霧化領域に液体エアロゾル形成基体を供給するように配置されている。少なくとも1つの変換器および供給要素が、界面における音響波面の形状が、界面の少なくとも一部の形状に対応するように構成されている。
【0006】
「表面音響波」という用語は、本明細書では、レイリー波、ラム波、およびラブ波を含むように使用される。
【0007】
有利には、本開示の第1の態様によるエアロゾル発生器は、液体エアロゾル形成基体、表面音響波アトマイザ基体の活性表面、および雰囲気の間の界面のうちの少なくとも一部の形状に対応する形状を有する音響波面を提供する。有利には、音響波面の形状を、界面のうちの少なくとも一部の形状と合致させることは、表面音響波から液体エアロゾル形成基体へのエネルギーの伝達を改善または増加させ得る。
【0008】
好ましくは、少なくとも1つの変換器は、交互配置された電極のアレイを含む櫛形変換器を含む。
【0009】
変換器の連続して交互配置された電極間の間隔は、基体の活性表面を横切る方向で変化し得る。本発明者らは、基体の活性表面を横切る表面音響波速度における異方性が、変換器の形状とは異なる形状を有する音響波面を結果的にもたらし得ることを認識した。有利には、変換器の連続して交互配置された電極間の間隔を、基体の活性表面を横切る方向で変化させることは、所望の形状を有する音響波面を生成し得る。
【0010】
交互配置された電極のアレイは、第1の方向に延在する第1の対称線、および第2の方向に延在する第2の対称線を含む、対称形状を有し得る。第1の方向は、第2の方向に直交し得る。
【0011】
交互配置された電極の各々は、楕円形状を有し得る。好ましくは、交互配置された電極は、基体の活性表面上に同心に配置される。好ましくは、霧化領域は、同心の交互配置された電極のアレイの中心に位置付けられる。
【0012】
好ましくは、櫛形変換器が、同心の交互配置された電極の長軸に沿って延在する第1の方向、および同心の交互配置された電極の短軸に沿って延在する第2の方向を画定し、連続して交互配置された電極間の間隔が、第2の方向よりも第1の方向で大きい。有利には、第1の方向における連続して交互配置された電極間のより大きい間隔は、櫛形変換器による実質的に円形の音響波面の発生を容易にし得る。
【0013】
基体は、結晶性材料を含んでもよい。好ましくは、基体の活性表面は、結晶性材料の格子平面によって画定される。好ましくは、第1の方向および第2の方向の各々は、格子平面の格子ベクトルと整列される。有利には、櫛形変換器の第1および第2の方向を、格子平面の格子ベクトルと整列させることは、櫛形変換器による実質的に円形の音響波面の発生をさらに容易にし得る。
【0014】
好ましくは、供給要素は、基体の活性表面に開口部を備える。好ましくは、開口部は、霧化領域内に位置付けられる。好ましくは、開口部は、実質的に円形形状を有する。
【0015】
少なくとも1つの変換器は、第1の櫛形変換器および第2の櫛形変換器を含み得る。好ましくは、第1の櫛形変換器は、交互配置された電極の第1のアレイを含む。好ましくは、第2の櫛形変換器は、交互配置された電極の第2のアレイを含む。好ましくは、交互配置された電極の第1のアレイの連続電極間の間隔は、交互配置された電極の第2のアレイの連続電極間の間隔とは異なる。
【0016】
使用中、第1の櫛形変換器は、第1の音響波を発生させ得、第2の櫛形変換器は、第2の音響波を発生させ得、第1および第2の音響波は、合成された音響波面を画定する。本発明者らは、基体の活性表面を横切る表面音響波速度における異方性が、基体の活性表面上に配置された変換器の形状とは異なる形状を有する音響波面を結果的にもたらし得ることを認識した。有利には、第1の電極間隔を有する第1の櫛形変換器、および第1の電極間隔とは異なる第2の電極間隔を有する第2の櫛形変換器を提供することは、所望の形状を有する合成された音響波面を生成し得る。
【0017】
好ましくは、第1の櫛形変換器は、霧化領域に向かって活性表面に沿って第1の方向に表面音響波を発生させるように構成されている。好ましくは、第2の櫛形変換器は、霧化領域に向かって活性表面に沿って第2の方向に表面音響波を発生させるように構成されている。好ましくは、第1の方向は、第2の方向とは異なる。
【0018】
第1の櫛形変換器および第2の櫛形変換器は、各々、平面表面音響波を発生させるように構成され得る。
【0019】
好ましくは、第1の方向は、第2の方向に直交する。
【0020】
基体は、結晶性材料を含んでもよい。好ましくは、基体の活性表面は、結晶性材料の格子平面によって画定される。好ましくは、第1の方向および第2の方向の各々は、格子平面の格子ベクトルと整列される。有利には、第1および第2の櫛形変換器によって画定される第1および第2の方向を、格子平面の格子ベクトルと整列させることは、所望の形状を有する合成された音響波面の発生を容易にし得る。所望の形状は、対称形状であってもよい。
【0021】
好ましくは、供給要素は、基体の活性表面に開口部を備える。好ましくは、開口部は、霧化領域内に位置付けられる。開口部は、実質的に長方形形状を有してもよい。開口部は、実質的に正方形形状を有してもよい。
【0022】
好ましくは、少なくとも1つの変換器は、交互配置された電極のアレイを含む櫛形変換器を含む。
【0023】
交互配置された電極の各々は、円形形状を有し得る。好ましくは、交互配置された電極は、基体の活性表面上に同心に配置される。好ましくは、霧化領域は、同心の交互配置された電極のアレイの中心に位置付けられる。好ましくは、供給要素は、基体の活性表面に開口部を備える。好ましくは、開口部は、霧化領域内に位置付けられる。好ましくは、開口部は、楕円形状を有する。
【0024】
本発明者らは、基体の活性表面を横切る表面音響波速度における異方性が、変換器の形状とは異なる形状を有する音響波面を結果的にもたらし得ることを認識した。特に、同心に配置された円形の交互配置された電極のアレイを含む櫛形変換器について、音響波面は、非円形形状を有し得る。例えば、音響波面は、楕円形状を有し得る。有利には、開口部の楕円形状は、櫛形変換器によって発生した音響波面の形状に実質的に対応し得る。
【0025】
好ましくは、楕円形開口部が、開口部の長軸に沿って延在する第1の方向と、開口部の短軸に沿って延在する第2の方向と、を画定する。
【0026】
基体は、結晶性材料を含んでもよい。好ましくは、基体の活性表面は、結晶性材料の格子平面によって画定される。好ましくは、第1の方向および第2の方向の各々は、格子平面の格子ベクトルと整列される。有利には、楕円形開口部の第1および第2の方向を、格子平面の格子ベクトルと整列させることは、櫛形変換器によって発生した音響波面の形状に対する楕円形開口部の形状の合致を容易にし得る。
【0027】
エアロゾル発生器は、コントローラを備え得る。好ましくは、コントローラは、少なくとも1つの変換器に駆動信号を提供して、基体の活性表面上に表面音響波を発生させるように構成される。
【0028】
供給要素は、入口と出口との間に基体を通って延在するチャネルを備え得る。好ましくは、入口は、基体の不活性表面上に位置付けられる。好ましくは、出口は、基体の活性表面上に位置付けられる。好ましくは、出口は、霧化領域内に位置付けられる。供給要素が基体の活性面に開口部を備える実施形態では、好ましくは、出口は、開口部である。
【0029】
供給要素は、霧化領域への液体エアロゾル形成基体の流れを制御するように配置された流れ制御要素を含み得る。供給要素がチャネルを備える実施形態では、好ましくは、流れ制御要素は、チャネル内への液体エアロゾル形成基体の流れを制御するように配置される。
【0030】
流れ制御要素は、少なくとも1つの不活性要素を含み得る。少なくとも1つの不活性要素は、毛細管および毛細管芯のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0031】
流れ制御要素は、少なくとも1つの活性要素を含み得る。少なくとも1つの活性要素は、マイクロポンプ、シリンジポンプ、ピストンポンプ、および電気浸透ポンプのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0032】
エアロゾル発生器がコントローラを備える実施形態では、好ましくは、コントローラは、流れ制御要素に流れ信号を提供して、霧化領域への液体エアロゾル形成基体の流れを可能にするように構成される。好ましくは、コントローラは、制御要素に停止信号を提供して、液体エアロゾル形成基体の流れを無効化するように構成される。好ましくは、コントローラは、コントローラが流れ信号を流れ制御要素に提供するときのみ、少なくとも変換器上に駆動信号を提供するように構成される。
【0033】
表面音響波アトマイザは、少なくとも1つの反射器を備え得る。好ましくは、少なくとも1つの反射器は、基体の活性表面上に位置付けられる。好ましくは、少なくとも1つの反射器は、少なくとも1つの変換器によって発生した表面音響波を反射するように配置される。好ましくは、少なくとも1つの反射器は、少なくとも1つの変換器によって発生した表面音響波を霧化領域に向かって反射するように配置される。有利には、霧化領域に向かって表面音響波を反射するように配置された反射器は、表面音響波アトマイザの効率を増大または最大化し得る。
【0034】
少なくとも1つの反射器は、1つ以上の電極を備え得る。
【0035】
少なくとも1つの反射器は、基体の活性表面上に位置付けられた金属の1つ以上の部分を備え得る。金属の各部分は、直線形状を有してもよい。金属の各部分は、曲線形状を有してもよい。少なくとも1つの反射器は、金属の複数の部分を備え得る。金属の複数の部分は、基体の活性表面上にパターンで配置され得る。好ましくは、金属の各部分は、少なくとも1つの反射器を形成する金属の隣接する部分に実質的に平行である。
【0036】
基体の一部分は、少なくとも1つの反射器の少なくとも一部を形成し得る。基体は、少なくとも1つの突出部を画定し得、少なくとも1つの突出部は、少なくとも1つの反射器の少なくとも一部を形成する。基体は、少なくとも1つの凹部を画定し得、少なくとも1つの凹部は、少なくとも1つの反射器の少なくとも一部を形成する。
【0037】
表面音響波アトマイザは、少なくとも1つの吸収器を備え得る。好ましくは、少なくとも1つの吸収器は、基体の活性表面上に位置付けられる。好ましくは、少なくとも1つの吸収器は、少なくとも1つの変換器によって発生した表面音響波を吸収するように配置される。
【0038】
少なくとも1つの吸収器は、低密度、低音速、および高粘度のうちの少なくとも1つを有する材料を含み得る。少なくとも1つの吸収器は、ポリジメチルシロキサンを含み得る。
【0039】
基体の一部分は、少なくとも1つの吸収器の少なくとも一部を形成し得る。基体は、少なくとも1つの突出部を画定し得、少なくとも1つの突出部は、少なくとも1つの吸収器の少なくとも一部を形成する。基体は、少なくとも1つの凹部を画定し得、少なくとも1つの凹部は、少なくとも1つの吸収器の少なくとも一部を形成する。
【0040】
基体は、基体材料から形成される。基体は、圧電材料であってもよい。基体材料は、単結晶材料を含んでもよい。基体材料は、多結晶材料を含んでもよい。基体材料は、石英、セラミック、チタン酸バリウム(BaTiO3)、およびニオブ酸リチウム(LiNbO3)のうちの少なくとも1つを含み得る。セラミックは、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)を含んでもよい。セラミックは、Ni、Bi、La、Nd、またはNbイオンなどのドーピング材料を含んでもよい。基体材料は、偏光されてもよい。基体材料は、偏光されなくてもよい。基体材料は、偏光および非偏光材料の両方を含み得る。
【0041】
基体は、表面処理を含んでもよい。表面処理は、基体の活性表面に適用されてもよい。基体は、コーティングを含んでもよい。コーティングは、疎水性材料を含んでもよい。コーティングは、親水性材料を含んでもよい。コーティングは、疎油性材料を含んでもよい。コーティングは、親油性材料を含んでもよい。
【0042】
本開示の第2の態様によると、エアロゾル発生装置用のエアロゾル発生器が提供され、エアロゾル発生器は、表面音響波アトマイザおよび供給要素を備える。表面音響波アトマイザは、霧化領域を画定する活性表面を備える基体と、基体の活性表面上に音響波面を画定するための表面音響波を発生させるために基体の活性表面上に位置付けられた少なくとも1つの変換器と、備える。供給要素は、霧化領域内の液体エアロゾル形成基体が、活性表面、液体エアロゾル形成基体、および雰囲気の間の界面を画定するように、霧化領域に液体エアロゾル形成基体を供給するように配置されている。少なくとも1つの変換器が、交互配置された電極のアレイを含む櫛形変換器を備え、連続して交互配置された電極間の間隔が、活性表面を横切る方向で変化する。
【0043】
本開示の第2の態様によるエアロゾル発生器は、本開示の第1の態様に関連して説明された任意選択のまたは好ましい特徴のうちのいずれかを備え得る。
【0044】
本開示の第3の態様によると、エアロゾル発生装置用のエアロゾル発生器が提供され、エアロゾル発生器は、表面音響波アトマイザおよび供給要素を備える。表面音響波アトマイザは、霧化領域を画定する活性表面を備える基体と、基体の活性表面上に音響波面を画定するための表面音響波を発生させるために基体の活性表面上に位置付けられた少なくとも1つの変換器と、備える。供給要素は、霧化領域内の液体エアロゾル形成基体が、活性表面、液体エアロゾル形成基体、および雰囲気の間の界面を画定するように、霧化領域に液体エアロゾル形成基体を供給するように配置されている。少なくとも1つの変換器は、交互配置された電極の第1のアレイを備える第1の櫛形変換器と、交互配置された電極の第2のアレイを備える第2の櫛形変換器と、を含む。交互配置された電極の第1のアレイの連続電極間の間隔は、交互配置された電極の第2のアレイの連続電極間の間隔とは異なる。
【0045】
本開示の第3の態様によるエアロゾル発生器は、本開示の第1の態様に関連して説明された任意選択のまたは好ましい特徴のうちのいずれかを備え得る。
【0046】
本開示の第4の態様によると、エアロゾル発生装置用のエアロゾル発生器が提供され、エアロゾル発生器は、表面音響波アトマイザおよび供給要素を備える。表面音響波アトマイザは、霧化領域を画定する活性表面を備える基体と、基体の活性表面上に音響波面を画定するための表面音響波を発生させるために基体の活性表面上に位置付けられた少なくとも1つの変換器と、備える。供給要素は、霧化領域内の液体エアロゾル形成基体が、活性表面、液体エアロゾル形成基体、および雰囲気の間の界面を画定するように、霧化領域に液体エアロゾル形成基体を供給するように配置されている。少なくとも1つの変換器は、交互配置された電極のアレイを備える櫛形変換器を備え、交互配置された電極の各々は、円形形状を有し、交互配置された電極は、活性表面上に同心に配置される。霧化領域は、同心の交互配置された電極のアレイの中心に位置付けられる。供給要素は、基体の活性表面内に開口部を備え、かつ霧化領域内に位置付けられ、開口部は、楕円形状を有する。
【0047】
本開示の第4の態様によるエアロゾル発生器は、本開示の第1の態様に関連して説明された任意選択のまたは好ましい特徴のうちのいずれかを備え得る。
【0048】
本開示の第5の態様によると、エアロゾル発生装置用のエアロゾル発生器が提供され、エアロゾル発生器は、表面音響波アトマイザ、供給要素、およびコントローラを備える。表面音響波アトマイザは、霧化領域を画定する活性表面を備える基体と、第1の変換器と、第2の変換器と、を備える。第1の変換器は、霧化領域に向かって活性表面に沿って第1の方向に表面音響波を発生させるための基体の活性表面上に位置付けられている。第2の変換器は、霧化領域に向かって活性表面に沿って第2の方向に表面音響波を発生させるための基体の活性表面上に位置付けられており、第1の方向が、第2の方向とは異なる。供給要素は、液体エアロゾル形成基体を霧化領域に供給するように配置されている。コントローラは、第1の駆動信号を第1の変換器に、および第2の駆動信号を第2の変換器に提供するように構成されており、第1の駆動信号が、第2の駆動信号とは異なる。
【0049】
本発明者らは、基体の活性表面にわたる電気機械的結合係数の異方性が、異なる振幅を有する活性表面にわたって異なる方向に移動する表面音響波を結果的にもたらし得ることを認識した。有利には、本開示の第5の態様によるエアロゾル発生器は、第1および第2の変換器を駆動して、基体の活性表面にわたって異なる第1および第2の方向に表面音響波を発生させるように構成されたコントローラを備え、第1および第2の変換器は、異なる駆動信号によって駆動される。有利には、異なる駆動信号は、第1および第2の方向の間の電気機械的結合係数における異方性を補償し得る。有利には、異なる駆動信号を使用して、電気機械的結合係数における異方性を補償することは、実質的に同じ振幅を有する第1および第2の方向の表面音響波を結果的にもたらし得る。有利には、第1の方向および第2の方向で同じ振幅を有する表面音響波は、霧化領域における液体エアロゾル形成基体のエアロゾル化を改善または最適化し得る。
【0050】
好ましくは、第1の駆動信号の電力は、第2の駆動信号の電力とは異なる。
【0051】
基体は、第1の方向に第1の電気機械的結合係数、および第2の方向に第2の電気機械的結合係数を有し得、第1の電気機械的結合係数が、第2の電気機械的結合係数よりも大きい。好ましくは、第1の駆動信号の電力は、第2の駆動信号の電力よりも小さい。好ましくは、第2の電気機械的結合係数に対する第1の電気機械的結合係数の比が、第1の駆動信号の電力に対する第2の駆動信号の電力の比と同じである。
【0052】
第1の方向は、第2の方向に直交し得る。
【0053】
基体は、結晶性材料を含んでもよい。好ましくは、基体の活性表面は、結晶性材料の格子平面によって画定される。好ましくは、第1の方向および第2の方向の各々は、格子平面の格子ベクトルと整列される。有利には、第1および第2の方向を、格子平面の格子ベクトルと整列させることは、第1の方向における実質的に一定の第1の電気機械的結合係数、および第2の方向における実質的に一定の第2の電気機械的結合係数を提供し得る。
【0054】
第1の変換器および第2の変換器の各々は、複数の電極を備える櫛形変換器を含み得る。好ましくは、複数の電極は、互いに実質的に平行である。好ましくは、櫛形変換器は、電極の第1のアレイと、電極の第1のアレイと交互配置された電極の第2のアレイと、を備える。好ましくは、電極の第1のアレイは、電極の第2のアレイと実質的に平行である。
【0055】
第1の変換器および第2の変換器の各々は、実質的に直線状の波面を有する表面音響波を発生させるように構成され得る。変換器が複数の電極を備える櫛形変換器である実施形態では、各電極は、実質的に直線状であってもよい。
【0056】
第1の変換器および第2の変換器の各々は、曲線状の波面を有する表面音響波を発生させるように構成され得る。変換器が複数の電極を備える櫛形変換器である実施形態では、各電極は、実質的に曲線状であってもよい。変換器は、凸状の波面を有する表面音響波を発生させるように構成され得る。好ましくは、変換器は、凹状の波面を有する表面音響波を発生させるように構成され得る。有利には、凹状の波面は、焦点合わせ効果を提供し得る。言い換えると、凹状の波面は、発生した表面音響波を、変換器よりも小さい霧化領域に向かって焦点合わせし得る。有利には、発生した表面音響波を焦点合わせすることは、エネルギーが霧化領域内の液体エアロゾル形成基体に送達される速度を増加させ得る。
【0057】
供給要素は、入口と出口との間に基体を通って延在するチャネルを備え得る。好ましくは、入口は、基体の不活性表面上に位置付けられる。好ましくは、出口は、基体の活性表面上に位置付けられる。好ましくは、出口は、霧化領域内に位置付けられる。
【0058】
供給要素は、霧化領域への液体エアロゾル形成基体の流れを制御するように配置された流れ制御要素を含み得る。供給要素がチャネルを備える実施形態では、好ましくは、流れ制御要素は、チャネル内への液体エアロゾル形成基体の流れを制御するように配置される。
【0059】
流れ制御要素は、少なくとも1つの不活性要素を含み得る。少なくとも1つの不活性要素は、毛細管および毛細管芯のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0060】
流れ制御要素は、少なくとも1つの活性要素を含み得る。少なくとも1つの活性要素は、マイクロポンプ、シリンジポンプ、ピストンポンプ、および電気浸透ポンプのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0061】
好ましくは、コントローラは、流れ制御要素に流れ信号を提供して、霧化領域への液体エアロゾル形成基体の流れを可能にするように構成される。好ましくは、コントローラは、制御要素に停止信号を提供して、液体エアロゾル形成基体の流れを無効化するように構成される。好ましくは、コントローラは、コントローラが流れ信号を流れ制御要素に提供するときのみ、第1および第2の駆動信号を第1および第2の変換器に提供するように構成される。
【0062】
表面音響波アトマイザは、少なくとも1つの反射器を備え得る。好ましくは、少なくとも1つの反射器は、基体の活性表面上に位置付けられる。好ましくは、少なくとも1つの反射器は、第1および第2の変換器のうちの少なくとも1つによって発生した表面音響波を反射するように配置される。好ましくは、少なくとも1つの反射器は、第1および第2の変換器のうちの少なくとも1つによって発生した表面音響波を霧化領域に向かって反射するように配置される。有利には、霧化領域に向かって表面音響波を反射するように配置された反射器は、表面音響波アトマイザの効率を増大または最大化し得る。
【0063】
少なくとも1つの反射器は、1つ以上の電極を備え得る。
【0064】
少なくとも1つの反射器は、基体の活性表面上に位置付けられた金属の1つ以上の部分を備え得る。金属の各部分は、直線形状を有してもよい。金属の各部分は、曲線形状を有してもよい。少なくとも1つの反射器は、金属の複数の部分を含み得る。金属の複数の部分は、基体の活性表面上にパターンで配置され得る。好ましくは、金属の各部分は、少なくとも1つの反射器を形成する金属の隣接する部分に実質的に平行である。
【0065】
基体の一部分は、少なくとも1つの反射器の少なくとも一部を形成し得る。基体は、少なくとも1つの突出部を画定し得、少なくとも1つの突出部は、少なくとも1つの反射器の少なくとも一部を形成する。基体は、少なくとも1つの凹部を画定し得、少なくとも1つの凹部は、少なくとも1つの反射器の少なくとも一部を形成する。
【0066】
表面音響波アトマイザは、少なくとも1つの吸収器を備え得る。好ましくは、少なくとも1つの吸収器は、基体の活性表面上に位置付けられる。好ましくは、少なくとも1つの吸収器は、第1および第2の変換器のうちの少なくとも1つによって発生した表面音響波を吸収するように配置される。
【0067】
少なくとも1つの吸収器は、低密度、低音速、および高粘度のうちの少なくとも1つを有する材料を含み得る。少なくとも1つの吸収器は、ポリジメチルシロキサンを含み得る。
【0068】
基体の一部分は、少なくとも1つの吸収器の少なくとも一部を形成し得る。基体は、少なくとも1つの突出部を画定し得、少なくとも1つの突出部は、少なくとも1つの吸収器の少なくとも一部を形成する。基体は、少なくとも1つの凹部を画定し得、少なくとも1つの凹部は、少なくとも1つの吸収器の少なくとも一部を形成する。
【0069】
基体は、基体材料から形成される。基体は、圧電材料であってもよい。基体材料は、単結晶材料を含んでもよい。基体材料は、多結晶材料を含んでもよい。基体材料は、石英、セラミック、チタン酸バリウム(BaTiO3)、およびニオブ酸リチウム(LiNbO3)のうちの少なくとも1つを含み得る。セラミックは、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)を含んでもよい。セラミックは、Ni、Bi、La、Nd、またはNbイオンなどのドーピング材料を含んでもよい。基体材料は、偏光されてもよい。基体材料は、偏光されなくてもよい。基体材料は、偏光および非偏光材料の両方を含み得る。
【0070】
基体は、表面処理を含んでもよい。表面処理は、基体の活性表面に適用されてもよい。基体は、コーティングを含んでもよい。コーティングは、疎水性材料を含んでもよい。コーティングは、親水性材料を含んでもよい。コーティングは、疎油性材料を含んでもよい。コーティングは、親油性材料を含んでもよい。
【0071】
本開示の第6の態様によると、エアロゾル発生装置用のエアロゾル発生器が提供され、エアロゾル発生器は、表面音響波アトマイザおよび供給要素を備える。表面音響波アトマイザは、霧化領域を画定する活性表面を備える基体と、基体の活性表面上に表面音響波を発生させるために基体の活性表面上に位置付けられた変換器と、備える。変換器の少なくとも一部分の下にある基体の活性表面の一部分が、表面処理を備える。供給要素は、液体エアロゾル形成基体を霧化領域に供給するように配置されている。
【0072】
本発明者らは、基体の活性表面にわたる電気機械的結合係数の異方性が、異なる振幅を有する活性表面にわたって異なる方向に移動する表面音響波を結果的にもたらし得ることを認識した。有利には、本開示の第6の態様によるエアロゾル発生器の基体の表面処理は、電気機械的結合係数における異方性を少なくとも部分的に補償し得る。言い換えると、基体の表面処理は、基体の活性表面の少なくとも一部分にわたって、実質的に等方性の電気機械的結合係数を模擬するか、または提供し得る。
【0073】
基体は、基体材料から形成される。基体は、圧電材料であってもよい。基体材料は、単結晶材料を含んでもよい。基体材料は、多結晶材料を含んでもよい。基体材料は、石英、セラミック、チタン酸バリウム(BaTiO3)、およびニオブ酸リチウム(LiNbO3)のうちの少なくとも1つを含み得る。セラミックは、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)を含んでもよい。セラミックは、Ni、Bi、La、Nd、またはNbイオンなどのドーピング材料を含んでもよい。基体材料は、偏光されてもよい。基体材料は、偏光されなくてもよい。基体材料は、偏光および非偏光材料の両方を含み得る。
【0074】
好ましくは、表面処理は、プロトン交換処理を含む。基体が、ニオブ酸リチウムを含み得、プロトン交換処理が、表面処理を含む活性表面の部分における水素イオンとのリチウムイオンの置換を含む。
【0075】
表面音響波アトマイザは、基体の活性表面の少なくとも一部分上にコーティングを含み得る。コーティングは、疎水性材料を含んでもよい。コーティングは、親水性材料を含んでもよい。コーティングは、疎油性材料を含んでもよい。コーティングは、親油性材料を含んでもよい。
【0076】
エアロゾル発生器は、コントローラを備え得る。好ましくは、コントローラは、変換器に駆動信号を提供して、基体の活性表面上に表面音響波を発生させるように構成される。
【0077】
変換器は、複数の電極を備える櫛形変換器を含み得る。好ましくは、複数の電極は、互いに実質的に平行である。好ましくは、櫛形変換器は、電極の第1のアレイと、電極の第1のアレイと交互配置された電極の第2のアレイと、を備える。好ましくは、電極の第1のアレイは、電極の第2のアレイと実質的に平行である。
【0078】
変換器は、実質的に直線状の波面を有する表面音響波を発生させるように構成され得る。変換器が複数の電極を備える櫛形変換器である実施形態では、各電極は、実質的に直線状であってもよい。
【0079】
変換器は、曲線状の波面を有する表面音響波を発生させるように構成され得る。変換器が複数の電極を備える櫛形変換器である実施形態では、各電極は、実質的に曲線状であってもよい。変換器は、凸状の波面を有する表面音響波を発生させるように構成され得る。好ましくは、変換器は、凹状の波面を有する表面音響波を発生させるように構成され得る。有利には、凹状の波面は、焦点合わせ効果を提供し得る。言い換えると、凹状の波面は、発生した表面音響波を、変換器よりも小さい霧化領域に向かって焦点合わせし得る。有利には、発生した表面音響波を焦点合わせすることは、エネルギーが霧化領域内の液体エアロゾル形成基体に送達される速度を増加させ得る。
【0080】
供給要素は、入口と出口との間に基体を通って延在するチャネルを備え得る。好ましくは、入口は、基体の不活性表面上に位置付けられる。好ましくは、出口は、基体の活性表面上に位置付けられる。好ましくは、出口は、霧化領域内に位置付けられる。
【0081】
供給要素は、霧化領域への液体エアロゾル形成基体の流れを制御するように配置された流れ制御要素を含み得る。供給要素がチャネルを備える実施形態では、好ましくは、流れ制御要素は、チャネル内への液体エアロゾル形成基体の流れを制御するように配置される。
【0082】
流れ制御要素は、少なくとも1つの不活性要素を含み得る。少なくとも1つの不活性要素は、毛細管および毛細管芯のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0083】
流れ制御要素は、少なくとも1つの活性要素を含み得る。少なくとも1つの活性要素は、マイクロポンプ、シリンジポンプ、ピストンポンプ、および電気浸透ポンプのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0084】
エアロゾル発生器がコントローラを備える実施形態では、好ましくは、コントローラは、流れ制御要素に流れ信号を提供して、霧化領域への液体エアロゾル形成基体の流れを可能にするように構成される。好ましくは、コントローラは、制御要素に停止信号を提供して、液体エアロゾル形成基体の流れを無効化するように構成される。好ましくは、コントローラは、コントローラが流れ信号を流れ制御要素に提供するときのみ、変換器上に駆動信号を提供するように構成される。
【0085】
表面音響波アトマイザは、少なくとも1つの反射器を備え得る。好ましくは、少なくとも1つの反射器は、基体の活性表面上に位置付けられる。好ましくは、少なくとも1つの反射器は、変換器によって発生した表面音響波を反射するように配置される。好ましくは、少なくとも1つの反射器は、変換器によって発生した表面音響波を霧化領域に向かって反射するように配置される。有利には、霧化領域に向かって表面音響波を反射するように配置された反射器は、表面音響波アトマイザの効率を増大または最大化し得る。
【0086】
少なくとも1つの反射器は、1つ以上の電極を備え得る。
【0087】
少なくとも1つの反射器は、基体の活性表面上に位置付けられた金属の1つ以上の部分を備え得る。金属の各部分は、直線形状を有してもよい。金属の各部分は、曲線形状を有してもよい。少なくとも1つの反射器は、金属の複数の部分を含み得る。金属の複数の部分は、基体の活性表面上にパターンで配置され得る。好ましくは、金属の各部分は、少なくとも1つの反射器を形成する金属の隣接する部分に実質的に平行である。
【0088】
基体の一部分は、少なくとも1つの反射器の少なくとも一部を形成し得る。基体は、少なくとも1つの突出部を画定し得、少なくとも1つの突出部は、少なくとも1つの反射器の少なくとも一部を形成する。基体は、少なくとも1つの凹部を画定し得、少なくとも1つの凹部は、少なくとも1つの反射器の少なくとも一部を形成する。
【0089】
表面音響波アトマイザは、少なくとも1つの吸収器を備え得る。好ましくは、少なくとも1つの吸収器は、基体の活性表面上に位置付けられる。好ましくは、少なくとも1つの吸収器は、変換器によって発生した表面音響波を吸収するように配置される。
【0090】
少なくとも1つの吸収器は、低密度、低音速、および高粘度のうちの少なくとも1つを有する材料を含み得る。少なくとも1つの吸収器は、ポリジメチルシロキサンを含み得る。
【0091】
基体の一部分は、少なくとも1つの吸収器の少なくとも一部を形成し得る。基体は、少なくとも1つの突出部を画定し得、少なくとも1つの突出部は、少なくとも1つの吸収器の少なくとも一部を形成する。基体は、少なくとも1つの凹部を画定し得、少なくとも1つの凹部は、少なくとも1つの吸収器の少なくとも一部を形成する。
【0092】
本開示の第7の態様によると、エアロゾル発生装置が提供される。エアロゾル発生装置は、本明細書に説明される実施形態のうちのいずれかによる、本開示の第1~第6の態様のいずれかによるエアロゾル発生器を備える。エアロゾル発生装置はまた、少なくとも1つの変換器、電源、および液体貯蔵部分を制御するためのコントローラも備える。液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体を受容するためのものであり、供給要素が、液体貯蔵部分から霧化領域に液体エアロゾル形成基体を供給するように配置されている。
【0093】
液体貯蔵部分は、再使用可能であってもよい。言い換えると、液体貯蔵部分は、液体貯蔵部分に液体エアロゾル形成基体を補充するために、ユーザによって再充填可能であってもよい。液体貯蔵部分は、液体エアロゾル形成基体を液体貯蔵部分内に挿入するための再充填開口を備え得る。液体貯蔵部分は、再充填開口と液体貯蔵部分との間に再充填弁を備え得る。有利には、再充填弁は、液体エアロゾル形成基体が、再充填開口を通って液体貯蔵部分内に流れることを可能にし得る。有利には、再充填弁は、液体エアロゾル形成基体が、液体貯蔵部分から再充填開口を通って流出することを防止し得る。
【0094】
液体貯蔵部分は、交換可能であってもよい。液体貯蔵部分は、エアロゾル発生装置から取り外し可能であってもよい。エアロゾル発生装置は、カートリッジを備え得、カートリッジは、エアロゾル発生装置から取り外し可能であり、カートリッジは、液体貯蔵部分を備える。
【0095】
エアロゾル発生装置は、液体貯蔵部分内に収容された液体エアロゾル形成基体を備え得る。
【0096】
液体エアロゾル形成基体は、ニコチンを含んでもよい。ニコチンを含有する液体エアロゾル形成基体は、ニコチン塩マトリクスであってもよい。液体エアロゾル形成基体は、植物由来材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、たばこを含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、非たばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、均質化した植物由来材料を含んでもよい。
【0097】
液体エアロゾル形成基体は、少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に、高密度かつ安定したエアロゾルの形成を容易にする、任意の適切な公知の化合物または化合物の混合物である。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。エアロゾル形成体は、多価アルコールまたはその混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンなど)であってもよい。液体エアロゾル形成基体は、その他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。
【0098】
液体エアロゾル形成基体は、水を含んでもよい。
【0099】
液体エアロゾル形成基体は、ニコチンおよび少なくとも1つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンを含んでもよい。エアロゾル形成体は、プロピレングリコールを含んでもよい。エアロゾル形成体は、グリセリンおよびプロピレングリコールの両方を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は、約0.1パーセント~約10パーセントのニコチン濃度を有してもよい。
【0100】
コントローラは、電源および各変換器に接続された電気回路を備え得る。電気回路は、マイクロプロセッサを備え得る。マイクロコントローラは、プログラマブルマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または特定用途向け集積チップ(ASIC)もしくは制御を提供することができる他の電子回路であってもよい。電気回路は、さらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路は、電源から各変換器への電力の供給を調節するように構成され得る。コントローラは、エアロゾル発生装置の起動後に、各変換器に連続的に電力を供給するように構成され得る。コントローラは、各変換器に断続的に電力を供給するように構成され得る。コントローラは、各変換器にパフ毎に電力を供給するように構成され得る。
【0101】
好ましくは、コントローラおよび電源は、各変換器に交流電圧を提供するように構成される。好ましくは、交流電圧は、無線周波数交流電圧である。好ましくは、交流電圧は、少なくとも約20メガヘルツの周波数を有する。好ましくは、交流電圧は、約20メガヘルツ~約100メガヘルツ、より好ましくは、約20メガヘルツ~約80メガヘルツの周波数を有する。有利には、これらの範囲内の交流電圧は、所望の速度のエアロゾル発生および所望の液滴サイズのうちの少なくとも1つを提供し得る。
【0102】
電源は、任意の好適なタイプの電源であってもよい。電源は、DC電源であってもよい。一部の好ましい実施形態では、電源は、リチウムイオン電池などの電池である。電源は、コンデンサーなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合がある。電源は、装置の一回以上の使用のために十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は従来の紙巻たばこ1本を喫煙するのにかかる典型的な時間に対応する約6分間、または6分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の実施例において、電源は所定の装置の使用回数、または不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。一実施形態では、電源は、約2.5ボルト~約4.5ボルトの範囲のDC供給電圧、および約1アンペア~約10アンペアの範囲のDC供給電流(約2.5ワット~約45ワットの範囲のDC電源に対応)を有するDC電源である。
【0103】
エアロゾル発生装置は、有利には、DC/ACインバータを備えてもよく、これは、クラスC、クラスDまたはクラスEの電力増幅器を含み得る。DC/ACインバータは、電源と少なくとも1つの変換器との間に配置されてもよい。
【0104】
エアロゾル発生装置は、電源とDC/ACコンバータとの間にDC/DCコンバータをさらに備えてもよい。
【0105】
エアロゾル発生装置は、装置ハウジングを備えてもよい。装置ハウジングは、細長くてもよい。装置ハウジングは、任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。好適な材料の例としては、金属、合金、プラスチック、もしくはこれらの材料のうちの1つ以上を含有する複合材料、または食品もしくは医薬品用途に好適な熱可塑性樹脂、例えばポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、およびポリエチレンが挙げられる。材料は、軽量、かつ脆くないことが好ましい。
【0106】
装置ハウジングは、空気吸込み口を画定し得る。空気吸込み口は、周囲空気が装置ハウジング内に入ることを可能にするように構成されてもよい。空気吸込み口は、エアロゾル発生器の霧化領域と流体連通し得る。装置は、任意の好適な数の空気吸込み口を含み得る。装置は、複数の空気吸込み口を含んでもよい。
【0107】
装置は、空気出口を含んでもよい。空気出口は、ユーザへの送達のために、空気が装置ハウジングから出ることを可能にするように構成され得る。空気出口は、エアロゾル発生器の霧化領域と流体連通し得る。エアロゾル発生装置は、マウスピースを備えてもよい。マウスピースは、空気出口を含み得る。装置は、任意の好適な数の空気出口を含み得る。装置は、複数の空気出口を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
例としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明を説明する。
図1】本開示の第1の実施形態によるエアロゾル発生器の上面図を示す。
図2】線1-1に沿って切断された図1のエアロゾル発生器の断面図を示す。
図3図1のエアロゾル発生器を備えるエアロゾル発生装置の断面図を示す。
図4】本開示の第2の実施形態によるエアロゾル発生器の上面図を示す。
図5】本開示の第3の実施形態によるエアロゾル発生器の上面図を示す。
図6】本開示の第4の実施形態によるエアロゾル発生器の上面図を示す。
図7】本開示の第5の実施形態によるエアロゾル発生器の上面図を示す。
【0109】
図1および図2は、本開示の第1の実施形態によるエアロゾル発生器100を示す。エアロゾル発生器100は、表面音響波アトマイザ102と、表面音響波アトマイザ102に液体エアロゾル形成基体を供給するための供給要素104と、を備える。
【0110】
表面音響波アトマイザ102は、圧電材料のシートを含む基体106と、基体106の活性表面110上に配置された変換器108と、を備える。変換器108は、交互配置された電極112のアレイを含む櫛形変換器である。交互配置された電極112の各々が、楕円形状を有し、交互配置された電極112が、基体106の活性表面110上に同心に配置されている。使用中、変換器108は、基体106の活性表面110上に表面音響波を発生させる。交互配置された電極112のアレイの同心楕円形状は、基体106の活性表面110上の霧化領域116に向かって焦点合わせされた音響波面を有する表面音響波を発生させる。
【0111】
供給要素104は、基体106の不活性表面122における入口120と基体106の活性表面110の出口124との間に基体106を通って延在するチャネル118を含む。出口124は、霧化領域116内に位置付けられる。出口124は、実質的に円形形状を有する。供給要素104はまた、マイクロポンプを含む流れ制御要素130を含む。使用中、液体エアロゾル形成基体は、変換器108によって発生した表面音響波によって霧化される霧化領域116に、チャネル118を通して流れ制御要素130によって供給される。
【0112】
エアロゾル発生器100はまた、変換器108および流れ制御要素130を制御するように配置されたコントローラ132を備える。図1に示される実施形態では、コントローラ132は、表面音響波アトマイザ102の基体106上に位置付けられるが、当業者は、コントローラ132が表面音響波アトマイザ102とは別個に提供され得ることを理解するであろう。
【0113】
コントローラ132は、変換器108に駆動信号を提供して、基体106の活性表面110上に表面音響波を発生させるように構成される。コントローラ132はまた、流れ信号および停止信号を流れ制御要素130に提供して、チャネル118を通して、および霧化領域116内への液体エアロゾル形成基体の流れを開始および停止するように構成される。コントローラ132は、流れ制御要素130が液体エアロゾル形成基体を霧化領域116に供給しているときのみ、駆動信号を変換器108に提供するように構成される。
【0114】
変換器108は、楕円形状の交互配置された電極112の長軸に沿って延在する第1の方向140を画定する。変換器108はまた、楕円形状の交互配置された電極112の短軸に沿って延在する第2の方向142を画定する。交互配置された電極112の楕円形状は、連続して交互配置された電極112間の間隔が、第2の方向142よりも第1の方向140に大きいようなものである。
【0115】
基体106を形成する圧電材料は、結晶性材料を含み、基体106の活性表面110は、結晶性材料の格子平面によって画定される。変換器108は、変換器108によって画定される第1の方向および第2の方向の各々が格子平面の格子ベクトルと整列されるように、基体106の活性表面110上に配置される。交互配置された電極112の楕円形状、第1の方向140における連続して交互配置された電極112間のより大きい間隔、ならびに基体106の活性表面110を画定する格子平面の格子ベクトルとの第1および第2の方向140、142の位置合わせの組み合わせは、活性表面110にわたる表面音響波の波速度における異方性を補償する。それゆえに、使用中、変換器108は、供給要素104の霧化領域116および実質的に円形の出口124上に収束する実質的に円形の音響波面を有する表面音響波を発生させる。
【0116】
図3は、図1および図2のエアロゾル発生器100を備えるエアロゾル発生装置200の断面図を示す。エアロゾル発生装置200はまた、液体エアロゾル形成基体204を収容する液体貯蔵部分202を備える。エアロゾル発生器100の流れ制御要素130は、液体エアロゾル形成基体204を液体貯蔵部分202からエアロゾル発生器100の入口120に供給するように配置される。
【0117】
エアロゾル発生装置200はまた、コントローラ132、変換器108、および流れ制御要素130に電力を供給するための再充電可能バッテリを含む電源208を備える。
【0118】
エアロゾル発生装置200はまた、エアロゾル発生器100、液体貯蔵部分202、および電源208が収容される、ハウジング212を備える。ハウジング212は、空気吸込み口214、マウスピース216、および空気出口218を画定する。使用中、ユーザは、マウスピース216を吸って、空気吸込み口214から空気出口218までハウジング212を通って空気を吸い込む。エアロゾル発生器100によって発生したエアロゾルは、ユーザへの送達のためにハウジング212を通る空気流に混入される。
【0119】
図4は、本開示の第2の実施形態によるエアロゾル発生器300を示す。エアロゾル発生器300は、表面音響波アトマイザ302と、表面音響波アトマイザ302に液体エアロゾル形成基体を供給するための供給要素304と、を備える。
【0120】
表面音響波アトマイザ302は、圧電材料のシートを含む基体306と、基体306の活性表面310上に配置された第1の変換器308と、基体306の活性表面310上に配置された第2の変換器309と、を備える。
【0121】
第1の変換器308は、交互配置された電極312の第1のアレイを含む櫛形変換器である。交互配置された電極312の各々は、直線形状を有し、交互配置された電極312は、基体306の活性表面310上で互いに平行に配置される。使用中、第1の変換器308は、基体306の活性表面310上に実質的に平面音響波を発生させ、基体306の活性表面310上の霧化領域316に向けられる。
【0122】
第2の変換器309は、交互配置された電極313の第2のアレイを含む櫛形変換器である。交互配置された電極313の各々は、直線形状を有し、交互配置された電極313は、基体306の活性表面310上で互いに平行に配置される。使用中、第2の変換器309は、基体306の活性表面310上に実質的に平面音響波を発生させ、基体306の活性表面310上の霧化領域316に向けられる。
【0123】
供給要素304は、図1を参照して説明された供給要素104と同様である。供給要素304は、基体306の不活性表面における入口と基体306の活性表面310の出口324との間に基体306を通って延在するチャネル318を含む。出口324は、霧化領域316内に位置付けられる。出口324は、実質的に正方形形状を有する。供給要素304はまた、マイクロポンプを含む流れ制御要素を含む。使用中、液体エアロゾル形成基体は、第1および第2の変換器308、309によって発生した表面音響波によって霧化される霧化領域316に、チャネル318を通して流れ制御要素によって供給される。
【0124】
エアロゾル発生器300はまた、第1および第2の変換器308、309、ならびに流れ制御要素を制御するように配置されたコントローラ332を備える。図4に示される実施形態では、コントローラ332は、表面音響波アトマイザ302の基体306上に位置付けられるが、当業者は、コントローラ332が表面音響波アトマイザ302とは別個に提供され得ることを理解するであろう。
【0125】
コントローラ332は、第1および第2の変換器308、309に第1および第2の駆動信号を提供して、基体306の活性表面310上に表面音響波を発生させるように構成される。コントローラ332はまた、流れ信号および停止信号を流れ制御要素に提供して、チャネル318を通して、および霧化領域316内への液体エアロゾル形成基体の流れを開始および停止するように構成される。コントローラ332は、流れ制御要素が液体エアロゾル形成基体を霧化領域316に供給しているときのみ、第1および第2の駆動信号を第1および第2の変換器308、309に提供するように構成される。
【0126】
第1の変換器308は、基体306の活性表面310上に配置されて、第1の方向340に表面音響波を発生させる。第2の変換器309は、基体306の活性表面310上に配置されて、第2の方向342に表面音響波を発生させる。第1の変換器308の連続して交互配置された電極312の間の第1の方向340の間隔は、第2の変換器309の連続して交互配置された電極313の間の第2の方向342の間隔よりも大きい。
【0127】
基体306を形成する圧電材料は、結晶性材料を含み、基体306の活性表面310は、結晶性材料の格子平面によって画定される。第1および第2の変換器308、309は、第1および第2の変換器308、309によって画定された第1の方向および第2の方向の各々が格子平面の格子ベクトルと整列されるように、基体306の活性表面310上に配置される。第1の方向340における連続して交互配置された電極312間のより大きい間隔、ならびに基体306の活性表面310を画定する格子平面の格子ベクトルとの第1および第2の方向340、342の位置合わせの組み合わせは、活性表面310にわたる表面音響波の波速度における異方性を補償する。したがって、使用中、第1の変換器308によって発生した表面音響波は、第2の変換器309によって発生した表面音響波と同時に、霧化領域316に到達し得る。
【0128】
図5は、本開示の第3の実施形態によるエアロゾル発生器400を示す。エアロゾル発生器400は、表面音響波アトマイザ402と、表面音響波アトマイザ402に液体エアロゾル形成基体を供給するための供給要素404と、を備える。
【0129】
表面音響波アトマイザ402は、圧電材料のシートを含む基体406と、基体406の活性表面410上に配置された変換器408と、を備える。変換器408は、交互配置された電極412のアレイを含む櫛形変換器である。交互配置された電極412の各々が、実質的に円形形状を有し、交互配置された電極412が、基体406の活性表面410上に同心に配置されている。使用中、変換器408は、基体406の活性表面410上に表面音響波を発生させる。交互配置された電極412のアレイの同心円形形状は、基体406の活性表面410上の霧化領域416に向かって焦点合わせされた音響波面を有する表面音響波を発生させる。
【0130】
供給要素404は、図1を参照して説明された供給要素104と同様である。供給要素404は、基体406の不活性表面における入口と基体406の活性表面410の出口424との間に基体406を通って延在するチャネル418を含む。出口424は、霧化領域416内に位置付けられる。出口424は、楕円形状を有する。供給要素404はまた、マイクロポンプを含む流れ制御要素を含む。使用中、液体エアロゾル形成基体は、変換器408によって発生した表面音響波によって霧化される霧化領域416に、チャネル418を通して流れ制御要素によって供給される。
【0131】
エアロゾル発生器400はまた、変換器408および流れ制御要素を制御するように配置されたコントローラ432を備える。図4に示される実施形態では、コントローラ432は、表面音響波アトマイザ402の基体406上に位置付けられるが、当業者は、コントローラ432が表面音響波アトマイザ402とは別個に提供され得ることを理解するであろう。
【0132】
コントローラ432は、変換器408に駆動信号を提供して、基体406の活性表面410上に表面音響波を発生させるように構成される。コントローラ432はまた、流れ信号および停止信号を流れ制御要素に提供して、チャネル418を通して、および霧化領域416内への液体エアロゾル形成基体の流れを開始および停止するように構成される。コントローラ432は、流れ制御要素が液体エアロゾル形成基体を霧化領域416に供給しているときのみ、駆動信号を変換器408に提供するように構成される。
【0133】
楕円形状の出口424は、楕円形状の出口424の短軸に沿って延在する第1の方向440を画定する。楕円形状の出口424はまた、楕円形状の出口424の長軸に沿って延在する第2の方向442を画定する。
【0134】
基体406を形成する圧電材料は、結晶性材料を含み、基体406の活性表面410は、結晶性材料の格子平面によって画定される。楕円形状の出口424は、楕円形状の出口424によって画定される第1の方向および第2の方向の各々が格子平面の格子ベクトルと整列されるように、基体406の活性表面410上に配置される。変換器408の交互配置された電極412は、各々、実質的に円形形状を有するが、基体の活性表面410にわたる表面音響波の波速度の異方性は、楕円形の音響波面を有する変換器408によって発生した表面音響波を結果的にもたらす。出口424の楕円形状、ならびに基体406の活性表面410を画定する格子平面の格子ベクトルとの第1および第2の方向440、442の位置合わせの組み合わせは、活性表面410にわたる表面音響波の波速度における異方性を補償する。それゆえに、使用中、変換器408は、供給要素404の霧化領域416および楕円形状の出口424上に収束する楕円形の音響波面を有する表面音響波を発生させる。
【0135】
図6は、本開示の第4の実施形態によるエアロゾル発生器500を示す。エアロゾル発生器500は、表面音響波アトマイザ502と、表面音響波アトマイザ502に液体エアロゾル形成基体を供給するための供給要素504と、を備える。
【0136】
表面音響波アトマイザ502は、圧電材料のシートを含む基体506と、基体506の活性表面510上に各々配置された、第1の変換器508、第2の変換器509、第3の変換器511、および第4の変換器517と、を備える。
【0137】
第1の変換器508、第2の変換器509、第3の変換器511、および第4の変換器517の各々は、交互配置された電極512のアレイを備える櫛形変換器である。交互配置された電極512の各々は、直線形状を有し、交互配置された電極512は、基体506の活性表面510上で互いに平行に配置される。使用中、第1の変換器508、第2の変換器509、第3の変換器511、および第4の変換器517の各々は、基体506の活性表面510上に実質的に平面音響波を発生させ、基体506の活性表面510上の霧化領域516に向けられる。
【0138】
供給要素504は、図1を参照して説明された供給要素104と同様である。供給要素504は、基体506の不活性表面における入口と基体506の活性表面510の出口524との間に基体506を通って延在するチャネル518を含む。出口524は、霧化領域516内に位置付けられる。出口524は、実質的に正方形形状を有する。供給要素504はまた、マイクロポンプを含む流れ制御要素を備える。使用中、液体エアロゾル形成基体は、第1および第2の変換器508、509によって発生した表面音響波によって霧化される霧化領域516に、チャネル518を通して流れ制御要素によって供給される。
【0139】
エアロゾル発生器500はまた、第1、第2、第3、および第4の変換器508、509、511、517、ならびに流れ制御要素を制御するように配置されたコントローラ532を備える。図6に示される実施形態では、コントローラ532は、表面音響波アトマイザ502の基体506上に位置付けられるが、当業者は、コントローラ532が表面音響波アトマイザ502とは別個に提供され得ることを理解するであろう。
【0140】
コントローラ532は、変換器508に第1の駆動信号550を提供して、基体506の活性表面510上で第1の方向540に表面音響波を発生させるように構成される。
【0141】
コントローラ532は、第2の変換器509に第2の駆動信号552を提供して、基体506の活性表面510上で第2の方向542に表面音響波を発生させるように構成される。
【0142】
コントローラ532は、第3の変換器511に第3の駆動信号554を提供して、基体506の活性表面510上で第3の方向544に表面音響波を発生させるように構成される。
【0143】
コントローラ532は、第4の変換器517に第4の駆動信号556を提供して、基体506の活性表面510上で第4の方向546に表面音響波を発生させるように構成される。
【0144】
コントローラ532はまた、流れ信号および停止信号を流れ制御要素に提供して、チャネル518を通して、および霧化領域516内への液体エアロゾル形成基体の流れを開始および停止するように構成される。コントローラ532は、流れ制御要素が液体エアロゾル形成基体を霧化領域516に供給しているときのみ、第1、第2、第3、および第4の駆動信号550、552、554、556を第1、第2、第3、および第4の変換器508、509、511、517に提供するように構成される。
【0145】
コントローラ532は、第1、第2、第3、および第4の駆動信号550、552、554、556の各々の電力が互いに異なっているように構成される。
【0146】
基体506を形成する圧電材料は、結晶性材料を含み、基体506の活性表面510は、結晶性材料の格子平面によって画定される。第1、第2、第3、および第4の変換器508、509、511、517は、第1、第2、第3、および第4の方向540、542、544、546の各々が格子平面の格子ベクトルと整列されるように、基体506の活性表面510上に配置される。第1、第2、第3、および第4の駆動信号550、552、554、556の異なる電力、ならびに基体506の活性表面510を画定する格子平面の格子ベクトルとの第1および第2の方向540、542の位置合わせの組み合わせは、活性表面510にわたる電気機械的結合係数における異方性を補償する。それゆえに、使用中、第1、第2、第3、および第4の変換器508、509、511、517の各々によって発生した表面音響波は、同じ振幅を有する。
【0147】
図7は、本開示の第5の実施形態によるエアロゾル発生器600を示す。エアロゾル発生器600は、表面音響波アトマイザ602および供給要素504を備える。
【0148】
エアロゾル発生器600の供給要素504は、図6を参照して説明された供給要素504と同一であり、同様の参照番号は、同様の部品を指定するために使用される。
【0149】
表面音響波アトマイザ602は、図6を参照して説明される表面音響波アトマイザ502と同様であり、同様の参照番号は、同様の部品指定するために使用される。表面音響波アトマイザ602は、第1、第2、第3、および第4の変換器508、509、511、517の下にある基体506の活性表面510の一部分の表面処理660の追加によって、表面音響波アトマイザ502とは異なる。表面処理660は、プロトン交換処理を含み、表面処理660が適用されるエリアで実質的に等方性の電気機械的結合係数を基体506の活性表面510に提供する。それゆえに、コントローラ632は、共通駆動信号650を第1、第2、第3、および第4の変換器508、509、511、517の各々に提供するように構成される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】