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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(54)【発明の名称】張力作動式拡張シート
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/05 20060101AFI20230222BHJP
【FI】
B65D81/05 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022538716
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-09
(86)【国際出願番号】 IB2020062065
(87)【国際公開番号】W WO2021130616
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】62/952,778
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/058,116
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】コリガン,トーマス アール.
(72)【発明者】
【氏名】フレミング,パトリック アール.
(72)【発明者】
【氏名】コスグロブ,ディラン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ランガー-アンダーソン,デロニー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,リサ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ニルマル,マノジ
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA25
3E066AA34
3E066BA06
3E066CA01
3E066CA03
3E066CA04
3E066CA09
3E066CA12
3E066DB02
3E066GA01
3E066KA01
3E066KA02
3E066KA06
3E066MA01
(57)【要約】
本開示は、概して、張力作動式拡張物品、フィルム、及びシートに関する。いくつかの実施形態では、これらの物品、フィルム、及び/又はシートは、緩衝フィルム及び/又は包装材料として使用される。本開示はまた、これらの張力作動式拡張物品、フィルム、及びシートの製造方法及び使用方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張材料であって、
軸方向及び横方向を有する平面を画定しているシートと、
前記シートを貫通している第1の複数のスリットであって、前記シートにわたって前記横方向に延びている第1の行を形成しており、前記第1の複数のスリットの各スリットが、第1の終端部から第2の終端部まで延びている、第1の複数のスリットと、
前記シートを貫通している第2の複数のスリットであって、前記シートにわたって前記横方向に延びている第2の行を形成しており、前記第2の複数のスリットの各スリットが、終端部間に延びている、第2の複数のスリットと、
を含み、
前記第1の複数のスリットの各スリットの前記第1の終端部を画定している第1の終端部セグメントが、前記第2の複数のスリットの第1のスリットの前記終端部同士を接続している第1の仮想線と交差している、
拡張材料。
【請求項2】
前記第1の複数のスリットの各スリットの前記第1の終端部が、前記第1の仮想線と整列している、請求項1及び3~20のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項3】
前記第1の複数のスリットの各スリットが、前記第1の仮想線を通って延びている、請求項1又は2及び4~20のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項4】
前記第1の複数のスリットの各スリットの前記第2の終端部を画定している第2の終端部セグメントが、前記第2の複数のスリットの第2のスリットの前記終端部同士を接続している第2の仮想線と交差している、請求項1~3及び5~20のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項5】
前記第1の複数のスリットの各スリットの前記第2の終端部が、前記第2の仮想線と整列している、請求項1~4及び6~20のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項6】
前記第1の複数のスリットの各スリットが、前記第2の仮想線を通って延びている、請求項1~5及び7~20のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項7】
前記第1の複数のスリットが、スリットの繰り返しパターンを含む、請求項1~6及び8~20のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項8】
前記第2の複数のスリットが、スリットの繰り返しパターンを含む、請求項1~7及び9~20のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項9】
前記第1の複数のスリットの各スリットが、第1の軸方向部分と第2の軸方向部分との間にある横方向部分を含み、前記第1の終端部が、前記第1の軸方向部分に沿っており、前記第2の終端部が、前記第2の軸方向部分に沿っている、請求項1~8及び10~20のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項10】
各横方向部分が、ジグザグパターンである、請求項9に記載の拡張材料。
【請求項11】
各横方向部分が、湾曲している、請求項9に記載の拡張材料。
【請求項12】
各横方向部分が、直線である、請求項9に記載の拡張材料。
【請求項13】
前記第1の複数のスリットの各スリットが、第3の終端部及び第4の終端部を含む、請求項1~12及び14~20のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項14】
前記第1の終端部が、前記軸方向の軸線に沿って前記第3の終端部と整列し、前記第2の終端部が、前記軸方向の軸線に沿って前記第4の終端部と整列している、請求項13に記載の拡張材料。
【請求項15】
前記第2の複数のスリットが、4つの終端部を有する、請求項13に記載の拡張材料。
【請求項16】
前記シートが、前記軸方向に交互になっている複数の第1の行及び第2の行を更に含む、請求項1~15及び17~20のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項17】
前記シートが、前記シートを貫通している第3の複数のスリットであって、前記シートにわたって前記横方向に延びている第3の行を形成しており、前記第3の複数のスリットの各スリットが、第1の終端部から第2の終端部まで延びている、第3の複数のスリットと、
前記シートを貫通している第4の複数のスリットであって、前記シートにわたって前記横方向に延びている第4の行を形成しており、前記第4の複数のスリットの各スリットが、終端部間に延びている、第4の複数のスリットと、
を更に含み、前記第3の複数のスリットの各スリットの前記第1の終端部を画定している第1の終端部セグメントが、前記第4の複数のスリットの第1のスリットの前記終端部同士を接続している第1の仮想線と交差している、
請求項1~16及び18~20のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項18】
前記シートが、前記軸方向における繰り返しパターンにおいて交互になっている複数の第1の行、第2の行、第3の行、及び第4の行を更に含む、請求項17に記載の拡張材料。
【請求項19】
前記第1の仮想線が、前記横方向に延びている、請求項1~18及び20のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項20】
前記第1の複数のスリットの各スリットが、前記第2の複数のスリットのいずれのスリットとも交差していない、請求項1~19のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項21】
プレテンション平面を画定しているプレテンション状態を有する拡張材料であって、複数のスリットを含む材料であって、前記材料の引張軸に沿って前記材料に閾値量の張力が加えられたときに、前記材料の複数の領域が前記プレテンション平面に対して少なくとも90°回転する、材料を含む、拡張材料。
【請求項22】
前記引張軸に沿って張力を加える前は、前記材料が、プレテンション状態において実質的に平面状である、請求項21に記載の拡張材料。
【請求項23】
前記複数のスリットのうちの少なくともいくつかのスリットが、一重スリット、マルチスリット、及び複合スリットのうちの少なくとも1つである、請求項21又は22に記載の拡張材料。
【請求項24】
前記少なくともいくつかのスリットが、フック、ループ、正弦波、方形波、三角波、及び交差スリットのうちの少なくとも1つを含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項25】
前記スリットパターンが、前記材料の前記軸方向縁部のうちの1つ以上を通って延びている、請求項21~24のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項26】
前記材料が、紙、段ボール紙、プラスチック、弾性材料、非弾性材料、ポリエステル、アクリル、ポリスルホン、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー、生分解性ポリマー、織布材料、不織布材料、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、請求項21~25のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項27】
前記材料が、紙であり、厚さが、約0.003インチ(0.076mm)~約0.010インチ(0.25mm)である、請求項21~26のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項28】
前記材料が、プラスチックであり、厚さが、約0.005インチ(0.13mm)~約0.125インチ(3.2mm)である、請求項21~27のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項29】
前記材料が、本明細書に記載の相互連結試験に合格している、請求項21~28のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項30】
前記スリットが、複数行に並べられており、前記行が、前記引張軸に対して略垂直である、請求項21~29のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項31】
各スリットが、横方向の長さを有し、前記複数のスリットの各スリットが、隣接する行において前記スリットの前記横方向の長さの75%以下だけ互いにオフセットされている、請求項21~30のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項32】
前記スリットが、スリットの複数の行に並べられており、前記スリットのそれぞれが、スリット形状及びスリット向きを有し、前記スリット形状又は前記スリット向きが、1行のスリット内で異なっている、請求項21~31のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項33】
前記スリットが、複数行に並べられており、前記スリットが、スリット形状及びスリット向きを有し、スリット形状又はスリット向きが、隣接する行で異なっている、請求項21~32のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項34】
前記材料が、約0.001インチ(0.025mm)~約5インチ(127mm)の厚さを有する、請求項21~33のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項35】
前記複数のスリットの前記各スリットが、約0.25インチ(6.35mm)~約3インチ(76.2mm)のスリット長を有する、請求項21~34のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項36】
前記複数のスリットの各スリットが、スリット長を有し、前記材料が、材料厚さを有し、スリット長の材料厚さに対する比が、約50~約1000である、請求項21~35のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項37】
拡張材料であって、
軸方向及び横方向を有する平面を画定しているシートと、
前記シートを貫通している複数のスリットであって、前記軸方向に延びている第1の複数のビームを画定している、複数のスリットと、を含み、
前記第1の複数のビームが、前記シートにわたって前記軸方向に延びている第1の列を形成しており、前記複数のスリットが、第1のスリットグループを含み、各スリットが、前記第1の複数のビームのビーム間に軸方向に配置された横方向部分を有する、
拡張材料。
【請求項38】
前記複数のスリットが、前記軸方向に延びている第2の複数のビームを画定しており、前記第2の複数のビームが、前記シートにわたって前記軸方向に延びている第2の列を形成し、かつ前記第1の複数のビームから前記横方向に間隔を空けており、前記複数のスリットが、第2のスリットグループを含み、各スリットが、前記第2の複数のビームのビーム間に軸方向に配置された横方向部分を有する請求項37及び39~47のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項39】
前記第1の複数のビーム及び前記第2の複数のビームが、前記軸方向及び横方向において互い違いになっている、請求項37又は38及び40~47のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項40】
前記第1の複数のビームの各ビームが、前記第2の複数のビームのうちの1つのビームの終端と横方向軸線に沿って整列された終端を有する、請求項37~39及び41~47のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項41】
前記第1の複数のビームの各ビームが、前記第2の複数のビームのうちの1つのビームの終端によって画定される軸線を通って延びている、請求項37~40及び42~47のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項42】
前記第1のスリットグループの各スリットが、前記第2の複数のビームを画定している軸方向部分を更に含む、請求項37~41及び43~47のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項43】
前記第2のスリットグループの各スリットが、前記第1の複数のビームを画定している軸方向部分を更に含む、請求項37~42及び44~47のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項44】
前記複数のスリットのうちの第1の複数のスリットを更に含み、前記第1の複数のスリットが、前記シートにわたって前記横方向に延びている第1の行を形成しており、前記第1の複数のビームの第1のビームが、前記第1の行内の隣接するスリット間にある材料を含む、請求項37~43及び45~47のいずれか一項に記載の拡張材料。
【請求項45】
前記第1の複数のスリットが、前記軸方向に延びている第3の複数のビームを画定しており、前記第3の複数のビームが、前記第1の行を形成しており、前記第3の複数のビームの各ビームが、前記第1の行内の隣接するスリット間にある材料を含む、請求項44に記載の拡張材料。
【請求項46】
前記複数のスリットのうちの第2の複数のスリットを更に含み、前記第2の複数のスリットが、前記シートにわたって前記横方向に延びている第2の行を形成しており、前記第2の複数のビームの第1のビームが、前記第2の行内の隣接するスリット間にある材料を含む、請求項45に記載の拡張材料。
【請求項47】
前記第2の複数のスリットが、前記軸方向に延びている第4の複数のビームを画定しており、前記第4の複数のビームが、前記第2の行を形成しており、前記第4の複数のビームの各ビームが、前記第2の行内の隣接するスリット間にある材料を含む、請求項46に記載の拡張材料。
【請求項48】
請求項1~47のいずれか一項に記載の複合パターンを形成することができるダイ。
【請求項49】
請求項1~47のいずれか一項に記載の拡張材料で形成された包装材料。
【請求項50】
前記拡張材料が、ロール構成で保存されている、請求項49に記載の包装材料。
【請求項51】
前記拡張材料が、1つ以上の個々のシートである、請求項49に記載の包装材料。
【請求項52】
エンベロープであって、前記エンベロープ内に配置された前記拡張材料を有する、エンベロープを更に含む、請求項51に記載の包装材料。
【請求項53】
請求項1~47のいずれか一項に記載の拡張材料のうちのいずれかの製造方法であって、押出成型、成形、レーザー切断、ウォータージェット加工、機械加工、ステレオリソグラフィ、レーザーアブレーション、フォトリソグラフィ、化学エッチング、回転ダイカット、スタンピング、又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つによって、前記材料に複合スリットパターンを形成することを含む、製造方法。
【請求項54】
請求項1~47のいずれか一項に記載の拡張材料のうちのいずれかの使用方法であって、引張軸に沿って前記拡張材料に張力を加えることにより、前記材料を拡張させることを含む、使用方法。
【請求項55】
前記張力を加えることにより、(1)前記スリットが開口部を形成する、及び(2)前記スリットに隣接する前記材料が波形を形成する、のうちの一方又は両方となる、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記張力が、手又は機械によって加えられる、請求項54又は55に記載の方法。
【請求項57】
前記引張軸に沿って前記拡張材料に張力を加えることにより、前記材料を二次元構造から三次元構造に変化させる、請求項54又は55に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、張力作動式拡張物品、フィルム、及びシートに関する。いくつかの実施形態では、これらの物品、フィルム、及び/又はシートは、緩衝フィルム及び/又は包装材料として使用される。本開示はまた、これらの張力作動式拡張物品、フィルム、及びシートの製造方法及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2016年には、消費者は、店舗よりもオンラインで多くの製品を購入した。(Consumers Are Now Doing Most of their Shopping Online,Fortune Magazine紙,2016年6月8日)。具体的には、消費者は、買い物の51%をオンラインで、49%を実店舗で行った。同上。消費者行動のこの変化の1つの結果が、一日に郵送及び配送されるパッケージ数の増加である。134億個(米国郵便公社によって約52億個、Fed Exによって約33億個、及びUPSによって約49億個)を超えるパッケージが、一年に世界中の家庭及び事業所に配送される。パッケージ以外の郵便物の配送は年々減少しているが、パッケージの配送は年率約8%で成長している。この成長により、米国郵便公社のビジネスの25%が、パッケージ配送となっている。(Washington Examiner紙、「For every Amazon package it delivers,the Postal Service loses $1.46」、2017年9月1日)。Amazonは、一日に約300万個のパッケージを発送し、Alibabaは、一日に約1200万個のパッケージを発送する。
【0003】
それは、事業所の発送パッケージだけではない。成長するメイカームーブメントは、Etsy(商標)のようなウェブサイトを通じて個人がハンドメイド製品を世界中に発送する機会を生み出す。更に、持続可能性に関する注目の高まりにより、多くの消費者は、中古製品を、ごみ処分場に投げ込むのではなく、eBay(商標)のようなサイトで再販売する。例えば、2500万人を超える人々が商品をeBay(商標)で販売し、1億7100万人を超える人々がこれらの商品を購入する。
【0004】
これらの商品を発送する個人及び事業所は、それらの物品を、発送対象製品、緩衝材、及び空気を含め、典型的には箱である発送容器に入れて発送することが多い。箱は多くの利点を有する。例えば、箱は、直立可能であり、軽量で、平坦にして保管され、再生利用可能であり、比較的低コストである。しかしながら、箱は標準サイズで提供され、発送対象品のサイズと一致しないことが多く、そのため、ユーザは、大量のフィラー又は緩衝材で箱を満たして、大き過ぎる箱の中で輸送中の品物が周囲に衝突して損傷しないように保護する必要がある。
【0005】
包装緩衝材は、輸送中の品物を保護する。輸送中及び荷積み/荷降ろし中の振動及び衝撃の影響は、緩衝材によって軽減され、製品の損傷の可能性を低減する。緩衝材は、多くの場合、発送容器の内側に配置され、そこで、緩衝材は、例えば、座屈して変形することによって、並びに/又は振動を減少させることによって、もしくは衝撃及び振動を輸送中の品物ではなく緩衝材に伝達することによって、エネルギーを吸収する。他の例では、包装材料は、箱内の発送対象品を動かないようにして所定の位置に固定するなど、緩衝以外の機能にも使用される。あるいは、包装材料は、例えば、発送対象品よりも著しく大きい箱が使用される場合などに、隙間を埋めるためにも使用される。
【0006】
いくつかの例示的な包装材料としては、プラスチック気泡ラップ(商標)、気泡フィルム、クッションラップ、エアピロー、細断紙、しわ紙、細断ポプラ、バーミキュライト、クレイドル、及び波形気泡フィルムが挙げられる。これらの包装材料の多くは、再生利用可能ではない。
【0007】
1つの例示的な包装材料を、図1A図1Cに示す。フィルム100は、一重スリットパターンの一種である「スキップスリットパターン」と呼ばれることが多い、複数の切り込み又はスリット110のパターンを含む紙シートで作製されている。フィルム100が張力作動される(切り込み又はスリット110に実質的に垂直である引張軸(T)に沿って引っ張られる)と、複数のビーム130が形成される。ビーム130は、隣接する、同軸のスリットの行の間にある領域である。スリット110によって形成されたビーム130は、集合的に、ある程度の上向き及び下向きに動く(例えば、図1B及び図1Cを参照)。この上向き及び下向きの移動により、図1Aの二次元物品(実質的に平坦なシート)が、張力作動されると、図1B及び図1Cの三次元物品になる。このフィルムが包装材料として使用されると、三次元構造が、二次元の平坦な構造と比較して、ある程度の緩衝作用をもたらす。
【0008】
フィルム100の切り込み又はスリットパターンは、図1Aに示され、米国特許第4,105,724号(Talbot)及び同第5,667,871号(Goodrichら)に記載される。このパターンは、複数の個々の直線状スリット110からなる複数の実質的に平行な行112を含む。所与の行112内にある個々の直線状スリット110のそれぞれは、直接隣接する、実質的に平行な行112内にある個々の直線状スリット110のそれぞれと位相がずれている。図1A図1Cの特定の構成では、隣接する行112は、垂直方向(図1Aに関して)間隔の2分の1だけ位相がずれている。このパターンは、スリット110及び行112からなるアレイを形成し、アレイは、アレイ全体にわたって規則的な繰り返しパターンを有する。直接隣接するスリット110の行112間には、材料からなるビーム130が形成されている。
【0009】
図2Aは、90°回転させた図1Aのフィルム100の切り込み又はスリットパターンを示す。各直線状スリット110は、第1の終端部114と第2の終端部116との間に延びている長さ(L)を有する。各直線状スリット110はまた、第1の終端部114と第2の終端部116との間の中間にある中点118を有する。中点118は、図2Aの各スリット110上に点によって示されている。平行かつ整列したスリット110の中点118同士は、互いに実質的に整列している。言い換えれば、個別の直線状スリット110の中点118は、引張軸(T)に沿って直接隣接するビーム130上の個別の直線状スリット110の中点118と実質的に整列している。このようなスリット110は、直接隣接するスリット行112内にはなく、代わりに、それらは、交互になっている行112上にある。更に、個々のスリット110の中点118は、引張軸(T)に沿って直接隣接するスリット(又は切り込み)110の終端部114と終端部116との間にある。スリット110の行112内の2つの直接隣接するスリット110の中心間の距離は、横方向間隔(H)として識別され、これは、図2Aに関しては、水平方向間隔である。ビーム130の厚さ、又は隣接する直線状スリット110からなる2つの隣接する行112間の距離は、軸方向間隔(V)として識別され、これは、図2Aに関しては、垂直方向間隔である。
【0010】
より具体的には、図2Aの実施形態では、スリット110Aの中点118Aは、スリット110Bの中点118Bと軸方向に(この図に関しては、垂直方向に)整列しており、これは、中点118A、118Bが、軸方向に延びている軸線と整列していることを意味する。スリット110Bは、スリット110Aが位置しているビーム130Aに直接隣接するビーム130B上にある。また、スリット110Aの中点118Aは、スリット110Cの終端部114Cとスリット110Dの終端部116Dとの間にある。スリット110C及び110Dは、軸方向においてスリット110Aに直接隣接している。図2Aはまた、横方向に隣接する中点118間の水平方向ピッチ(H)と、軸方向ピッチ(V)もしくはビーム130の高さと、スリット長(L)と、引張軸(T)を示し、張軸(T)に沿って張力が与えられ、ビーム130の上向き及び下向きの動きをもたらし得る。
【0011】
図2Bは、図2Aのスリットパターンを含む物品が引張軸Tに沿った張力により展開されたときに形成される一次張力線(例えば、最高引張応力経路を近似している線)を示している。図2Bは、最大引張応力が発生する一次張力線140を点線で示している。張力線とは、張力が引張軸Tに沿って材料に加えられたときに、最大荷重を伝達する、材料を通る仮想経路である。張力が引張軸Tに沿って加えられると、一次張力線140は、張力が加えられた軸とほぼ一直線になるように動き、パターンが形成された材料又はシートを歪ませる。一重スリットパターンを展開すると、一次張力線140に沿った張力がかかることにより、パターンの実質的に全ての領域が、いくらかの張力又は圧縮(引張応力又は圧縮応力)を受け、次いで、元の二次元フィルムの平面から面外へと座屈し、屈曲する。いくつかの実施形態では、フィルムが完全に展開されたとき、及び/又は張力が所望の程度加えられたとき、フィルムには、シートの元の平面に平行なままである領域は、実質的に存在しない。
【0012】
別の例示的な一重スリットパターンが、米国特許第8,613,993号(Kuchar)に開示されており、図3に示される。この一重スリットパターン300では、スリット310は、中心で曲がり、「チルダ」と呼ばれる形状を形成している。
【発明の概要】
【0013】
本開示の発明者らは、引張軸に沿って張力がかけられると、元のシートの平面に直交する位置に動く新規のスリットパターンを発明した。本開示は、展開又は張力作動されたときに、材料の一部分が、(プレテンション状態にある材料の元の平面に対して実質的に90°である、又は直交する)z軸まで回転する、様々な実施形態を説明している。更に、これらの実施形態のいくつかは、他のパターン化構造と比較して、垂直軸に加えられるより大きな負荷への曝露に、押しつぶされることなく耐えることができる。これは、輸送中のパッケージ及び他の用途などのために保護を向上又は強化することができることを意味する。
【0014】
これらのスリットパターンを使用して、張力作動式拡張物品を形成することができる。いくつかの実施形態では、物品は、輸送及び包装用途に使用することができる。しかしながら、物品及びパターンは、多くの他の使用又は用途にも使用することができる。したがって、本開示は、単に1つの例示的な使用又は用途である輸送又は包装材料の用途に限定されることを意味するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示は、本開示の様々な実施形態の以下の詳細な説明を、添付図面と併せて考慮することで、より完全に理解され得る。
【0016】
図1A図1B及び図1Cの包装材料を形成するために使用されるスリットパターンの上面線画である。
【0017】
図1B】先行技術の包装材料の上面図である。
【0018】
図1C図1Bの一部分の拡大図である。
【0019】
図2A】90度回転した、図1A及び図1Bの包装材料を形成するために使用されるスリットパターンの上面線画である。
【0020】
図2B図2Aに示されるスリットパターンの一次張力線を示す。
【0021】
図3】別の一重スリットパターンの先行技術の上面線画である。
【0022】
図4A】例示的な一重スリットパターンの概略上面図である。
【0023】
図4B】紙シートに形成され、引張軸に沿って張力がかけられた、図4Aに示されるパターンの斜視図である。
【0024】
図4C】引張軸に沿って張力がかけられたときの図4Bの物品の略上面図である。
【0025】
図4D図4Bに示される物品の立側面図である。
【0026】
図5A】例示的な一重スリットパターンの概略上面図である。
【0027】
図5B】紙シートに形成され、引張軸に沿って張力がかけられた、図5Aに示されるパターンの斜視図である。
【0028】
図5C】引張軸に沿って張力がかけられたときの図5Bの物品の略上面図である。
【0029】
図5D図4Bに示される物品の立側面図である。
【0030】
図6A】例示的な二重スリットパターンの概略上面図である。
【0031】
図6B】紙シートに形成され、引張軸に沿って張力がかけられた、図6Aの二重スリットパターンの略上面図である。
【0032】
図6C】紙シートに形成され、引張軸に沿って張力がかけられた、図6Aの二重スリットパターンの略側面図である。
【0033】
図7A】例示的な二重スリットパターンの概略上面図である。
【0034】
図7B】紙シートに形成され、引張軸に沿って張力がかけられた、図7Aに示されるパターンの斜視図である。
【0035】
図7C】紙シートに形成され、引張軸に沿って張力がかけられた、図7Aの二重スリットパターンの略上面図である。
【0036】
図7D】紙シートに形成され、引張軸に沿って張力がかけられた、図7Aの二重スリットパターンの略側面図である。
【0037】
図8A】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0038】
図8B】張力がかけられたときの図8Aの複合スリットパターンにおける一次張力線を示す。
【0039】
図8C】材料に張力がかけられたときの、図8Aのスリットパターンが形成された材料の動きを示す概略上面図である。
図8D】材料に張力がかけられたときの、図8Aのスリットパターンが形成された材料の動きを示す概略上面図である。
図8E】材料に張力がかけられたときの、図8Aのスリットパターンが形成された材料の動きを示す概略上面図である。
【0040】
図8F】材料に張力がかけられたときの、図8Aのスリットパターンが形成された材料の一部分の概略斜視側面図である。
【0041】
図8G】材料に張力がかけられたときの、図8Aのスリットパターンが形成された材料の概略斜視側面図である。
【0042】
図8H】紙シートに形成され、引張軸に沿って張力がかけられた、図8Aの複合スリットパターンである。図8Hは、略側面図であり、図8Iは、略上面図である。
図8I】紙シートに形成され、引張軸に沿って張力がかけられた、図8Aの複合スリットパターンである。図8Hは、略側面図であり、図8Iは、略上面図である。
【0043】
図8J図8Iに対応する正面図である。
【0044】
図9A】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0045】
図9B図9Aの複合スリットパターンが切り込まれ、引張軸に沿って張力を加えることによって展開された材料を示す。図9Bは、頂部斜視図であり、図9Cは、略上面図であり、図9Dは、約45度の角度での図である。
図9C図9Aの複合スリットパターンが切り込まれ、引張軸に沿って張力を加えることによって展開された材料を示す。図9Bは、頂部斜視図であり、図9Cは、略上面図であり、図9Dは、約45度の角度での図である。
図9D図9Aの複合スリットパターンが切り込まれ、引張軸に沿って張力を加えることによって展開された材料を示す。図9Bは、頂部斜視図であり、図9Cは、略上面図であり、図9Dは、約45度の角度での図である。
【0046】
図10A】例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。
【0047】
図10B】材料に切り込まれ、引張軸に沿って展開された図10Aのパターンを、それぞれ、引張軸と整列した軸方向から約45度の斜視図、略上面図、及び略側面図で示す。
図10C】材料に切り込まれ、引張軸に沿って展開された図10Aのパターンを、それぞれ、引張軸と整列した軸方向から約45度の斜視図、略上面図、及び略側面図で示す。
図10D】材料に切り込まれ、引張軸に沿って展開された図10Aのパターンを、それぞれ、引張軸と整列した軸方向から約45度の斜視図、略上面図、及び略側面図で示す。
【0048】
図11】実施例で説明される材料及び/又は物品を作製する際に使用される概略図である。
図12】実施例で説明される材料及び/又は物品を作製する際に使用される概略図である。
図13】実施例で説明される材料及び/又は物品を作製する際に使用される概略図である。
図14】実施例で説明される材料及び/又は物品を作製する際に使用される概略図である。
図15】実施例で説明される材料及び/又は物品を作製する際に使用される概略図である。
図16】実施例で説明される材料及び/又は物品を作製する際に使用される概略図である。
図17】実施例で説明される材料及び/又は物品を作製する際に使用される概略図である。
図18】実施例で説明される材料及び/又は物品を作製する際に使用される概略図である。
図19】実施例で説明される材料及び/又は物品を作製する際に使用される概略図である。
【0049】
図20A】それぞれ、例示的な複合スリットパターンの概略上面図及び斜め前方から見た概略図である。
図20B】それぞれ、例示的な複合スリットパターンの概略上面図及び斜め前方から見た概略図である。
【0050】
図20C】それぞれ、張力がかけられたときの、図8Aのスリットパターンが形成されたシートの一部分の、斜め前方から見た図、正面図、側面図、及び見下げ図である。
図20D】それぞれ、張力がかけられたときの、図8Aのスリットパターンが形成されたシートの一部分の、斜め前方から見た図、正面図、側面図、及び見下げ図である。
図20E】それぞれ、張力がかけられたときの、図8Aのスリットパターンが形成されたシートの一部分の、斜め前方から見た図、正面図、側面図、及び見下げ図である。
【0051】
図21】本明細書に開示される技術と整合性のある材料を作製するための例示的なシステムである。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下の発明を実施するための形態では、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照する場合があり、これらの図面には、いくつかの具体的な実施形態が例として示されている。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想定され、実施され得ることを理解されたい。
【0053】
本開示の様々な実施形態は、一重スリットパターン、及び一重スリットパターンを含む物品に関する。「スリット」は、本明細書において、少なくとも2つの終端部を有し、直線状又は湾曲状であり得る、少なくとも1つの線を形成している、物品を貫通している狭い切り込みとして定義される。本明細書に記載のスリットは別個であり、これは、個々のスリットが他のスリットと交差しないことを意味する。スリットは、一般に切り欠きではない。ここで、「切り欠き」とは、スリットがスリット自体と交差するときにシートから除去される、シートの表面領域として定義される。しかしながら、実際には、多くの形成技術では、シートの一部の表面領域が除去される結果となり、これは、本願の目的のための「切り欠き」とは見なされない。具体的には、多くの切断技術では、「カーフ」又はいくらかの物理的幅を有する切り込みが生成される。例えば、レーザーカッタは、シートの一部の表面領域を除去してスリットを作成し、ルータは、材料の一部の表面領域を切り取ってスリットを作成し、クラッシュカットでも、材料の縁部にいくらかの変形を作成し、材料の表面領域にわたって物理的な間隙を形成する。更に、成形技術では、スリットの対向する面の間に材料を必要とし、スリットにおいて間隙又はカーフを作成する。様々な実施形態では、スリットの間隙又はカーフは、材料の厚さ以下となる。例えば、0.007インチの厚さの紙に切り込まれたスリットパターンは、約0.007インチ以下の間隙を有するスリットを有し得る。しかしながら、スリットの幅は、材料の厚さの何倍にも増加させることができ、かつ本明細書に開示される技術と整合性があることが理解される。
【0054】
本明細書で使用される場合、「一重スリットパターン」という用語は、個々の行を形成している個々のスリットからなるパターンを指し、各行がシートにわたって横方向に延びており、これらの行は、シートの軸方向長さに沿って、個々の行からなる繰り返しパターンを形成しており、各行内のスリットのパターンは、直接隣接する行内のスリットのパターンとは異なる。例えば、1行内のスリットは、直接隣接する行のスリットと軸方向にオフセットされていてもよいし、又は位相がずれていてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のスリット、フラップ、及び/又は折り曲げ壁形状は、図1A及び図1Bの先行技術のスリット形状と比較して、材料又は物品の面外への動きを増幅する。
【0055】
図1A及び図1Bの先行技術のスリット/フラップ形状と比較して、材料のシートの平面から面外への材料の回転が強化されることで、有利には、相互連結特徴部が作り出される。材料が相互連結しているかどうかは、以下の試験方法によって判断することができる。
【0056】
36インチ(0.91m)の長さ及び7.5インチ(19cm)の幅の試料を得た。試料を、引き裂くことなく完全に展開し、次いで、外径(OD)3.15インチ(8cm)及び長さ23インチ(58.4cm)の滑らかなPVCパイプに直接隣接して配置し、巻いている間、試料が完全に展開されたままになるようにした。パイプの上を覆うように試料を巻き付けて、各後続の層が前の層の上を覆うように直接配置され、試料がパイプの(長さに沿った)中心に配置されるようにした。試料を、最低2回パイプの周りに巻き付けた。試料をパイプの周りに巻き付けた後、試料を放し、試料が開いていないか/解けていないかどうかを観察した。1分間の待機後、試料が展開していなければ/解けていなければ、試料を摺動させてパイプから外しテーブルトップなどの平滑な表面上においた。次いで、試料を後縁部で持ち上げて、試料が開いていないか/解けていないか、又はその形状を保持しているかを確認した。
【0057】
試料を解放してから1分以内に、試料をパイプから摺動して外したときに、又は後縁部で持ち上げたときに、試料が開いた/展開した場合、試料は「相互連結していない」と見なした。試料をパイプから摺動して外す間及び外した後、並びに後縁部で持ち上げたときに、試料がその管状の形状を保持していた場合、試料は相互連結している、と見なした。この試験を試料毎に10回繰り返した。
【0058】
材料シート400における一重スリットパターンの例示的な実施形態を図4Aに概略的に示す。材料400は、引張軸Tに平行な軸方向x(この図に関しては、垂直方向)と、軸方向xに直交する横方向y(この図に関しては、水平方向)とを有する平面を画定しているシートである。材料400は、プレテンション状態、すなわち、引張軸Tに沿って張力を加える前の状態において、x-y平面を画定している。図4Aの一重スリットパターンは、シートにわたって横方向yに延びている第1の複数のスリット410aを含む第1の行412aのセットを含み、ここで、第1の複数のスリット410aは、第1の形状及び位置を有する。第1の複数のスリット410aは、スリットの繰り返しパターンである。第1の行412aのセットは、シートの軸方向長さに沿って第2の行412bのセットと交互になっている。第2の行412bのセットのそれぞれは、シートにわたって横方向yに延びている第2の複数のスリット410bによって画定されている。第2の複数のスリット410bは、スリットの繰り返しパターンである。第2の行412bのセットは、同じスリット形状を有するスリットを含むが、それらのスリット410は、異なる位置に配置されている(この場合、反転しており、かつ軸方向にオフセットされている)。スリット410はそれぞれ、第1の終端部414、第2の終端部416、及び中間点418を含む。
【0059】
第1の複数のスリット410aの各スリットの第1の終端部414aは、第1の終端部セグメント421(本実施例では、第1の軸方向部分421)によって画定されている。第1の複数のスリット410aの各スリットの第1の終端部セグメント421は、第2の複数のスリット410bの第1のスリットの終端部414bと終端部416bとを接続している仮想線iと交差している。第1の複数のスリット410aの各スリットの第1の終端部414aは、軸方向及び横方向のそれぞれにおいて第2の複数のスリット410bの第1のスリットの終端部414bと終端部416bとの間にある。この特定の実施例では、第1の複数のスリット410aの各スリットの第1の終端部414aは、仮想線iと整列している。言い換えれば、第1の複数のスリット410aの各スリットの第1の終端部414aは、横方向yに延びている軸線(仮想線iと重なっている)に沿って、第2の複数のスリット410bの第1のスリットの終端部414b、416bと整列している。
【0060】
第1の複数のスリット410aの各スリットの第2の終端部416aは、第2の終端部セグメント423(本実施例では、第2の軸方向部分423)によって画定されている。第1の複数のスリット410aの各スリットの第2の終端部セグメント423は、第2の複数のスリット410bの第2のスリットの終端部414bと終端部416bとを接続している仮想線iと整列している。本実施例では、第1の複数のスリット410aの各スリットの第2の終端部416aは、軸方向及び横方向のそれぞれにおいて第2の複数のスリット410bの1つのスリットの終端部414bと終端部416bとの間にある。具体的には、第1の複数のスリット410aの各スリットの第2の終端部416aは、軸方向及び横方向のそれぞれにおいて第2の複数のスリット410bの1つのスリットの終端部414b、416bと整列している。様々な実施形態では、第2の複数のスリット410bの第1のスリット及び第2のスリットは、隣接するスリットである。
【0061】
複数の個々のスリット410は、引張軸Tに略垂直な行412を形成するように整列される。「略垂直」は、本明細書では、5度の誤差の範囲又は3度の誤差の範囲を含む角度として定義される。材料420は、概して軸方向に延びているビーム420を形成する、行412内の隣接するスリット410間に存在する。直接隣接するスリット410の行412間にある材料は、横方向ビーム430a及び折り曲げ壁領域430bを形成する。各軸方向ビーム420は、軸方向ビーム420と交差している各横方向ビーム430aを通って軸方向に延びている。スリット410は、(図1A及び図2Aのスリットパターンのスリット110のような)直線ではなく、代わりに、2つの概ね軸方向の部分421、423を含み、これらの部分421、423は、引張軸Tに略平行であり、かつ引張軸Tに略垂直な概ね横方向の部分425に接続されている。第1の終端部414は、第1の軸方向部分421に沿っており、第2の終端部416は、第2の軸方向部分423に沿っている。スリット410は、2つの概ね軸方向の部分421、423と概ね横方向の部分425との間に略垂直な交差角を有する略U字形状である。折り曲げ壁450は、スリット410の経路と、終端部414と終端部416との間の仮想線iと、によって概ね囲まれた領域である。本実施例では、軸方向部分421、423及び横方向部分425のそれぞれは、直線セグメントであるが、様々な実施形態では、そのような部分のうちの1つ以上は、曲線、ジグザグなどであり得る。
【0062】
スリット410が直接隣接する行同士において互いに対して反転する場合、これは、それらのスリットが、互いに整列して、1つのスリット410の1つ以上の終端部414、416が、直接隣接する行内の1つのスリット410の終端部414、416と横軸i(仮想線iと同一線上にある)に沿って整列する状態を作り出す。これらの特有のパターンは、特有のビーム幅、サイズ、及び形状を作り出す。直接隣接する行412a及び412b内のスリット410の終端部414、416は、引張軸Tに垂直な、仮想の、本質的に直線状の単一線に近似するように整列するため、ビームのサイズ及び形状は、本明細書で前述した実施形態とは異なる。概ね横方向の部分(引張軸に対して実質的に垂直である)間の連続した横方向領域が、第1のビーム430aを形成している。このビームは、横方向に整列した、直接隣接する行412aと412bとの2つのセットの間ごとに1つのみ生じている。横方向に整列した、直接隣接する行412a及び412bは、直接隣接する、横方向に整列した行内のスリット410の終端部414と終端部416との間に連続する横方向領域が存在しないように配置される。横方向に整列した終端部414、416を有するスリット410が延びている材料400の領域は、シートにわたって延びている複数の折り曲げ壁450を有する折り曲げ壁領域430bを画定し、横方向yに行を形成している。折り曲げ壁領域430bは、2つの略矩形領域431を有するとして更に説明することができ、矩形領域431は、それぞれ、(1)対向するスリット410の、引張軸Tに垂直な、直接隣接する概ね横方向の部分425と、(2)直接隣接する対向するスリット410の隣接する軸方向部分421及び423とによって、画定されている。軸方向に延びているビーム420を形成している材料は、単一行412内の隣接するスリット410間に存在する。領域433が、ビーム420に直接隣接しており、この領域433は、ビーム420と、概ね横方向の部分425とによって軸方向に画定され、2つの略矩形領域431によって、横方向に画定された、折り曲げ壁領域430b内の残りの材料である。
【0063】
シート400を通る複数のスリット410が、シートの軸方向長さにわたって列に配置された、軸方向に延びた複数のビーム420を画定している。材料の引張軸Tに平行な延長部を有することにより、軸方向に延びているビーム420は、引張軸Tに沿って材料のシート400に張力を加えると張力を伝達するように概ね構成されている。複数のビーム420のそれぞれは、略矩形の形状として本実施例に示されているが、様々な実施形態では、複数のビームのうちの一部又は全部が代替の形状を有することがある。いくつかの実施形態では、複数のビームのそれぞれが、不規則な形状を有する。
【0064】
複数のスリット410は、第1の列402aを形成している第1の複数の軸方向ビーム420aを形成している。軸方向xにおける各ビーム420b間には、複数のスリット410のうちの1つのスリットの横方向部分425がある。このような構成は、引張軸Tに沿って張力が加えられたときの材料400の軸方向の拡張を有利に可能にする。張力は、軸方向ビーム420を通して伝達され、隣接する軸方向ビーム420の間にある各スリット410の周りに伝達され、スリット410のそれぞれの軸方向拡張を引き起こす。
【0065】
様々な実施形態では、複数のスリットは、第1のスリットグループ440aを有し、各スリットが、第1の複数のビーム420aの各ビーム間に軸方向に存在している横方向部分425aを有する。複数のスリット410は、軸方向xに延びている第2の複数のビーム420bを画定している。第2の複数のビーム420bは、シート400にわたって軸方向xに延びている第2の列402bを形成している。第2の複数のビーム420bは、第1の複数のビーム420aから横方向yに間隔が空いている。軸方向xにおける各ビーム420b間には、複数のスリット410のうちの第2のスリットグループ440b内のスリットの横方向部分425がある。複数のスリット410は、第3の複数のビーム420c、第4の複数のビームなどを同様に画定することができる。
【0066】
本実施例では、第1の複数のビーム420aと第2の複数のビーム420bとは、軸方向及び横方向において互い違いになっている。しかしながら、第1の複数のビーム420aの各ビームは、第2の複数のビーム420bのうちの1つのビームの終端424bと横方向軸線iに沿って整列した終端424aを有する。ビームの「終端」とは、ビームを画定している隣接するスリットの終端部によって画定されているビームの端部である。いくつかの代替の実施形態では、第1の複数のビーム420aの各ビームは、第2の複数のビーム420bのうちの1つのビームの終端424bによって画定される軸線を通って延びている。本実施例では、第1のスリットグループ440a内の各スリットは、第2の複数のビーム420bのビームを画定している軸方向部分421(第2の軸方向部分423)を有する。複数のスリット410のうちの第2のスリットグループ440b内の各スリットは、第1の複数のビーム420aのビームを画定している軸方向部分423(第1の軸方向部分421)を有する。
【0067】
本実施例では、第1の複数のスリット410aは、第1の複数のビーム420aのビーム420a/cを形成している。具体的には、ビーム420a/cは、第1の行内の隣接するスリット間にある材料によって画定されている。実際には、第1の複数のスリット410aは、第1の行412aにわたって複数のビームを画定しており、これは、第3の複数のビーム420cと呼ぶことができる。第3の複数のビーム420cのそれぞれは、軸方向xに延びている。第3の複数のビーム420cの各ビームは、第1の行内の隣接するスリット410a間にある材料によって画定されている。
【0068】
また、本実施例では、第2の複数のスリット410bは、第2の複数のビーム420bのビーム420b/dを形成している。具体的には、ビーム420b/dは、第2の行412b内の隣接するスリット410b間にある材料によって画定されている。更に、第2の複数のスリットは、第2の行412bにわたって第4の複数のビーム420dを画定しており、ここで、ビームのそれぞれは、軸方向xに延びている。第4の複数のビーム420dの各ビームは、第2の行412b内の隣接するスリット410b間にある材料によって画定されている。
【0069】
この例示的な実施形態では、スリットは、2つの終端部を有する。直線状の仮想線が、これらの終端部間に延びており、これらの終端部同士を接続している。この実施形態では、第1のスリットの終端部間に延びており、それらの終端部同士を接続している直線状の仮想線は、直接隣接するスリットの終端部間に延びており、それらの終端部同士を接続している直線状の仮想線と、実質的に同一線上にある。この例示的な実施形態では、1行内のスリット終端部間に延びており、それらのスリット終端部同士を接続している全ての直線状の仮想線は、ほぼ同一直線上にある。
【0070】
当業者であれば、多くの変更が、依然として本開示の範囲内に該当しつつ、このパターンに加えられ得ることを認識するであろう。当業者は、形状及びスリットの長さが様々であってよいことを理解するであろう。あるいは、スリットの長さ、行のサイズ又は形状、及びビームのサイズ又は形状は、様々であってよい。更に、パターンは、2行、3行、4行などで交互にすることができる。あるいは、行のサイズ又は形状、及びビームのサイズ又は形状は、様々であってよい。更に、オフセット又は位相オフセットの程度は、図示されるものとは異なっていてもよい。更に、本明細書の実施例の多くは、軸方向部分が約90°の角度で横方向部分と交差して角部を形成しているスリットを描写及び説明している。しかしながら、様々な実施形態では、スリットの軸方向部分は、横方向部分と交差して、丸い角を形成してもよい。いくつかの他の実施形態では、例えば、スリットが半円を画定している場合、軸方向部分と横方向部分との間に明らかな移行はない。
【0071】
図4B図4Dは、紙のシートに形成され、引張軸Tに沿って張力がかけられた図4Aのパターンを示す。材料400が引張軸Tに沿って張力作動又は展開されると、材料400の一部分は、材料を、張力がかけられていない状態にある材料400の元の平面から面外へと動かす張力及び/又は圧縮を受ける。引張軸に沿って張力がかけられると、横方向ビーム430a及び折り曲げ壁領域430bに2つのことが起こる。横方向ビーム430aは、終端部414及び416を、プレテンション状態にある材料400の元の平面に平行な1つの平面内におおよそ維持しながら、波立つ形状に屈曲して、隣接するスリット間にあるビーム420を、同じ行内の隣接するビーム420に横方向yにおいて近付ける。折り曲げ壁領域430bは、回転して、アコーディオン状の形状に折れ曲がり、それにより、2つの略矩形領域431及び略矩形領域433の全てが、名目上平坦となり、全ての隣接する略矩形領域431と略矩形領域433との間に折り目を有し、全ての平坦な表面が、プレテンション状態にある材料400の元の平面に名目上直交する。行412内の隣接するスリット410間の軸方向ビーム420は、主に、引張軸Tと一直線上の張力を受けるため、この領域又は範囲は、第1のビーム430aと共に曲がる傾向がある。材料400内のこれらの動きは、図4Dに見られるように、2つの別個の領域、つまり、引張軸に直交する折り曲げられた壁領域430bと、プレテンション状態にある材料400の元の平面とを形成する。その他の領域は、横方向ビーム430aであり、これは、波立ち、図4Dに示すように、プレテンション状態にある材料400の元の平面に対してある角度で傾斜する。
【0072】
図4A図4Dの特定の実装のような実施形態は、独特の利点を有する。例えば、図4A図4Dは、展開又は張力作動されたときに、材料の一部分が(プレテンション状態にある材料400の元の平面に対して実質的に90°である、又は直交する)垂直軸まで回転する1セットの実施形態を例示している。更に、これらの実施形態のいくつかは、他の一重スリットパターン化構造と比較して、垂直軸に加えられるより大きな負荷への曝露に、押しつぶされることなく耐えることができる。これは、輸送中のパッケージ及び他の用途などのために保護を向上又は強化することができることを意味する。図4A図4Dに示される特定の実装のような一重スリットパターンの別の利点は、いくつかの実施形態において、構造体が(張力を加えることにより)一度その展開位置になると、張力が加えられなくなった後でも、構造体がその伸展した/張力がかけられた位置に実質的に留まることである。この特徴は、より安定した構造をもたらすことができる。これらの利点のうちのいくつかは、折り曲げられた壁の形状の強度が増加したことによる。折り曲げられた壁もしくはアコーディオン形状の壁、又は回転している/折り曲げられているビームは、展開された(張力又は力の適用によって展開された)物品における大きな断面二次モーメント(area moment of inertia)(面積モーメント又は断面二次モーメント(second moment of inertia)とも呼ばれる)を有し、ここで、断面二次モーメントは、元のシートの平面にある。断面二次モーメントは、折り目のない直線状の垂直壁と比較して、増加している。
【0073】
張力作動式材料400が物品の周りに巻き付けられる、又は張力作動式材料400自体に直接隣接して配置されると、アコーディオン状に折り曲げられた折り曲げ壁領域430b又は波形になった第1のビーム430aが、互いに、及び/又は開口部422と相互連結し、相互連結構造を作り出すことができる。相互連結は、上記に明記した相互連結試験に規定されているように測定することができる。
【0074】
材料500のシートにおける一重スリットパターンの別の例示的な実施形態を図5Aに概略的に示す。図5Aのパターンは、図4Aでは、スリットの終端部のうちの1つ以上が横方向軸線iに沿って直接隣接する行内のスリットの終端部と整列するように、直接隣接する行が互いに整列していることを除いて、図4A図4Dのパターンと類似しており、したがって、図4A図4Dの説明が概して本説明に適用される。対照的に、図5Aでは、隣接する行のスリットは、互いに入れ子になるか、又は重なり合っており、これは、ある行内のスリットの第1の終端部セグメントが、隣接する第2の行内の第1のスリットの終端部同士を接続している仮想線を通り越して延びていることを意味する。同様に、スリットの第2の終端部セグメントは、隣接する第2の行内の第2のスリットの終端部同士を接続している仮想線を通り越して延びている。この構成は、引張軸Tに沿って閾値量の張力が加えられると、材料のビームの幅、サイズ、及び形状に作用する。
【0075】
より具体的には、図5Aの一重スリットパターンは、第1の形状及び位置を有する第1の複数のスリット510aを含む第1の行512aのセットと、同じスリット形状を有するが、スリットが異なる位置に配置されている(この場合は、反転している)第2の複数のスリット510bを有する第2の行512bのセットと、を含む。第1の複数のスリット510aは、スリット510a間にある材料である第1の複数の軸方向ビーム520aを画定している。第2の複数のスリット510bは、スリット510b間に第2の複数の軸方向ビーム520bを画定している。第1の行512aのセット及び第2の行512bのセットの両方におけるスリット形状、一般的な構成、及び可能な代替例は、図4Aのものと同様であり、上記の説明がここでは繰り返される。
【0076】
しかしながら、本実施例では、第2の複数のスリット510bは、直接隣接する列内の別のスリット510と、具体的には、本実施例では第1の複数のスリット510aと、入れ子になっている、又は重なり合っている。第2の複数のスリット510bのスリットのそれぞれは、第1の複数のスリット510aのスリットの終端部同士を接続している第1の仮想線i1を通り越して延びている。同様に、第1の複数のスリット510aのスリットのそれぞれは、第2の複数のスリット510bのスリットの終端部同士を接続している第2の仮想線i2を通り越して延びている。更に、第1の複数のビーム520aの各ビーム520は、第2の複数のビーム520bのうちの1つのビームの終端524bによって画定されている横方向軸線(第2の仮想線i2と重なっている)を通って延びている終端524aを有する。同様に、第2の複数のビーム520bの各ビーム520は、第1の複数のビーム520aのうちの1つのビームの終端524aによって画定されている横方向軸線(第1の仮想線i1と重なっている)を通って延びている終端524bを有する。この入れ子又は重なり合いは、特有のビーム幅、サイズ、及び形状を作り出す状態を作り出す。
【0077】
直接隣接する行512a及び512b内のスリット510の終端部514、516が重なり合っており、単一の線(名目上横方向)が、重なり合った行512a及び512b内の全てのスリット510の全ての軸方向部分521及び523の一部分を通過するので、ビームのサイズ及び形状は、本明細書で前述した実施形態とは異なる。概ね横方向の部分(引張軸に対して実質的に垂直である)間の連続した横方向領域が、第1のビーム530aを形成している。このビームは、重なり合った行512aと512bとの2つのセットの間ごとに1つのみ生じている。重なり合った行512a及び512bは、直接隣接する重なり合った行内のスリット510の終端部514と終端部516との間に連続する横方向領域が存在しないように配置される。スリット512a及び512bの重なり合った行は、折り曲げ壁領域530bを含む。折り曲げ壁領域は、2つの略矩形領域531を有するとして更に説明することができ、この略矩形領域531は、折り曲げ壁領域530bの対向する側の隣接する概ね横方向の部分525によって軸方向に画定され、折り曲げ壁領域530bの対向する側の隣接する軸方向部分521及び523によって横方向に画定されている。軸方向ビーム520(例えば、軸方向ビーム520a及び520b)は、単一行512内の隣接するスリット510間に存在する。領域533が、ビーム520に直接隣接しており、この領域533は、ビーム520と、概ね横方向の部分525とによって軸方向に画定され、2つの隣接する略矩形領域531によって、より具体的には、隣接する軸方向部分521及び523の軸方向延長部によって、横方向に画定された、折り曲げ壁領域530b内の残りの材料である。
【0078】
上記の図4A図4Dの説明と同様に、本実施例では、軸方向ビーム520は、材料500のシートの軸方向の長さに延びている列に配置されている。軸方向ビーム520は、軸方向ビーム520と交差する各横方向ビーム530aからなる隣接する部分を通って軸方向に延びている。スリット510の横方向部分525は、一般に、列内の軸方向ビーム520が、スリットの横方向部分525によって互いに分離されるように、各列内のそれぞれの軸方向ビーム520の間に配置される。
【0079】
当業者であれば、多くの変更が、依然として本開示の範囲内に該当しつつ、このパターンに加えられ得ることを認識するであろう。当業者は、形状及びスリットの長さが様々であってよいことを理解するであろう。例えば、いくつかの実施形態では、形状は、図5Aに示すよりも、より丸い縁部を有するU字形状である。あるいは、スリットの長さ、行のサイズ又は形状、及びビームのサイズ又は形状は、様々であってよい。更に、パターンは、2行、3行、4行などで交互にすることができる。あるいは、行のサイズ又は形状、及びビームのサイズ又は形状は、様々であってよい。更に、オフセット又は位相オフセットの程度は、図示されるものとは異なっていてもよい。
【0080】
図5B図5Dは、紙のシートに形成され、引張軸Tに沿って張力がかけられた図5Aのパターンを示す。材料500が引張軸Tに沿って張力作動又は展開されると、材料500の一部分は、材料を、張力がかけられていない状態にある材料500の元の平面から面外へと動かす張力及び/又は圧縮を受ける。引張軸に沿って張力がかけられると、2つの異なるタイプのビーム530a及び530bに2つのことが起こる。第1のビーム530aは、終端部514及び516を、プレテンション状態にある材料500の元の平面に平行な1つの平面内におおよそ維持しながら、波立つ形状に屈曲して、隣接するスリット510間にある軸方向ビーム520を、同じ行内の隣接するビーム520に近付ける。折り曲げ壁領域530bは回転し、アコーディオン状の形状に折れ曲がり、それにより、略矩形領域531及び領域533の全てが、名目上平坦になり、2つの略矩形領域531と略矩形領域533との間に折り目を有し、プレテンション状態にある材料500の元の平面から少なくとも90度回転した単一の共通軸(平坦な状態では軸方向軸線であった)を有する。共通軸の回転はまた、それが全ての終端部514及び516が同じ平面内に引っ張られることによる追加の結果と見なされる場合にも、理解され、更には計算され得る。材料500におけるこれらの動きは、1連の2つの別個の折り曲げられたビームを形成し、これらのうちの1つが、図5Dに見られるように、引張軸及びプレテンション状態にある材料500の元の平面に少なくとも直交するように回転した。
【0081】
図5A図5Dの特定の実装のような実施形態は、独特の利点を有する。例えば、図5A図5Dは、展開又は張力作動されたときに、材料の一部分が、垂直軸までもしくは垂直軸を越えて、又はプレテンション状態にある材料500の元の平面に対して実質的に90°になる、もしくは直交するまで、回転する1セットの実施形態を例示している。更に、これらの実施形態のいくつかは、他の一重スリットパターン化構造と比較して、垂直軸に加えられるより大きな負荷への曝露に、押しつぶされることなく耐えることができる。これは、輸送中のパッケージ及び他の用途などのために保護を向上又は強化することができることを意味する。図5A図5Dに示される特定の実装のような一重スリットパターンの別の利点は、様々な実施形態において、構造体がその(張力を加えることによる)一度その展開位置になると、張力が加えられなくなった後でも、構造体がその展開した/伸展した/張力がかけられた位置に実質的に留まることである。この特徴は、より安定した構造をもたらすことができる。
【0082】
図5A図5Dの実装は、90度を超えて回転するため、折り目のうちのいくつかにおいて材料を塑性変形させやすい(又は折り目をつけやすい)追加の応力を生成し、これは、図4A図4Dの実装と比較して、張力が加えられなくなっても、構築物がその展開位置に留まる可能性を更に高くする。これらの利点のうちのいくつかは、折り曲げられた壁の形状の強度が増加したことによる。折り曲げられた壁もしくはアコーディオン形状の壁、又は回転している/折り曲げられているビームは、展開された(張力又は力の適用によって展開された)物品における大きな断面二次モーメント(area moment of inertia)(面積モーメント又は断面二次モーメント(second moment of inertia)とも呼ばれる)を有し、ここで、断面二次モーメントは、元のシートの平面にある。断面二次モーメントは、折り目のない直線状の垂直壁と比較して、増加している。
【0083】
張力作動式材料500が物品の周りに巻き付けられる、又は張力作動式材料500自体に直接隣接して配置されると、アコーディオン状に折り曲げられた折り曲げ壁領域530b又は波形になった第1のビーム530aが、互いに、及び/又は開口部522と相互連結し、相互連結構造を作り出すことができる。相互連結は、以下に記載した「相互連結試験方法」により測定可能である。
【0084】
追加の一重スリットパターンは、例えば、本譲受人に譲渡された米国特許出願第62/952,789号に示されており、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0085】
マルチスリットパターン
【0086】
本開示の様々な実施形態は、マルチスリットパターン、及びこれらのマルチスリットパターンを含む物品に関する。「マルチスリットパターン」という用語は、本明細書では、シートの横方向yにわたって第1の隣接する行のセットを形成している個々のスリットのパターンとして定義され、ここで、第1の隣接する行のセット内にある個々のスリットは、横方向yに整列している。マルチスリットパターンでは、第1の隣接する行のセットは、シートの軸方向長さに沿って少なくとも第2の行と共に繰り返しパターンを形成しており、ここで、第1の隣接する同一行のセット内にあるスリットは、第2の行内のスリットから横方向yにオフセットされている。「マルチスリットパターン」という用語は、二重スリットパターン、三重スリットパターン、四重スリットパターンなどを含む。二重スリットパターンとは、スリットが、シートの軸方向の長さに沿った行のパターンで繰り返される2つの同一の行のセットを形成していることであり、三重スリットパターンとは、スリットが、行のパターンで繰り返される3つの同一の行を形成していること、などである。整列したマルチスリットの終端部の実質的な整列とは、隣接する行内のスリットの2つの終端部間に仮想線を引いた場合に、整列軸(シートの平面内の行に垂直な軸)に対するその仮想線の角度が、+/-20度以下であることを意味する。いくつかの実施形態では、マルチスリットを形成する各スリットの長さは、最長又は最短スリットの全長の+/-20%以下だけ異なる。いくつかの実施形態では、スリットが直線状である場合、それらは互いに実質的に平行である。スリットが直線状ではないいくつかの実施形態では、整列したマルチスリットは全て、引張軸に対して+/-20度以内で実質的に平行に整列している。
【0087】
本明細書で使用される場合、「二重スリットパターン」という用語は、複数の個々のスリットからなるパターンを指す。複数のスリットの各スリットは、スリット自体を横切らない又はスリット自体と交差しない、単一の連続した切り込みによって形成することができる。このパターンは、スリットの複数の行を含み、第1の行内にある個々のスリットは、直接隣接する第2の行内にある個々のスリットと実質的に整列している。二重スリットは、第2の行内のスリットと実質的に整列した第1の行内のスリットから構成される。これら2つの実質的に整列したスリットは共に、二重スリットを形成する。
【0088】
二重スリットパターン、三重スリットパターン、四重スリットパターン、又はマルチスリットパターンは、引張軸に沿って張力がかけられると、一重のスリットパターンよりも大幅に多くの面外波形を作り出す。材料のこの面外波形は、多くの用途に対して大きな価値を有する。例えば、これらの面外波形領域は、面外材料又は面外ループを作り出し、この面外材料又は面外ループは、材料の一部分同士が互いに隣接して配置される、又は一緒に巻き付けられると、面外材料又は面外ループの他の領域と相互連結することができる。このように、マルチスリットパターンは、本質的に相互連結する、及び/又は相互連結特徴部を含む。張力作動されると、これらの特徴部及びパターンが相互連結し、材料を実質的に所定の位置に保持する。相互連結は、上記のように測定することができる。
【0089】
波形はまた、著しい塑性変形なく、ばねのような様式でエネルギーを吸収することができる構造を作り出す。二次元物品(例えば、紙など)に二重スリットパターンを切り込み、その物品に引張軸Tに沿って張力を加えると、二次元物品の一部分は、波立つ、又はz軸(二次元物品の元のプレテンション状態の平面に垂直な軸)へ動き、三次元物品の形成をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のスリット又は折り曲げ壁形状は、図1A図2Bの先行技術のスリットもしくはフラップの形状及び/又は向きと比較して、材料又は物品の面外への動きを増幅する。いくつかの実施形態では、二重スリットパターンが形成される材料は、実質的に非伸張性である。いくつかの実施形態では、二重スリットパターンは、中断及び変化することなく継続し、材料の少なくとも1つの縁部により途切れる。結果的に得られる材料及び/又は物品は、多種多様な利点を提供する。
【0090】
図6Aは、例示的な二重スリットパターンの概略図である。パターン600は、スリットの行612内に複数のスリット610を含む。各スリット610は、第1の終端部614と第2の終端部616との間に中点618を含む。スリット610の第1の行612a及びスリット610の第2の行612bはそれぞれ、互いに間隔が空いた複数のスリット610を含む。行612内の直接隣接するスリット610間にある空間は、行612内の隣接するスリット610間にある材料620と呼ぶことができる。直線状の仮想線が、終端部614と終端部616と間に延びており、終端部同士を接続している。この例示的な実施形態では、第1のスリットの終端部間に延びており、それらの終端部同士を接続している直線状の仮想線は、同じ行内の直接隣接する第2のスリットの終端部間に延びており、それらの終端部同士を接続している直線状の仮想線と、実質的に同一線上にある。この例示的な実施形態では、単一行内のスリット終端部間に延びており、それらのスリット終端部同士を接続している全ての直線状の仮想線は、ほぼ同一直線上にある。
【0091】
スリット610の行612a、612bは共に、横方向ビーム630を形成している。横方向ビーム630は、スリット610によって横方向に画定されている。オーバーラップビーム636は、各横方向ビーム630a、630bに直接隣接しており、この実施形態では、各横方向ビーム630a、630bの両側にある。オーバーラップビーム636は、非整列スリットによって画定されている。横方向ビーム630の縁部又は側部を形成する、直接隣接する各行612a、612b内のスリットは、実質的に平行になるように実質的に互いに整列しており、それらの終端部614、616は、その行の軸線に対して実質的に垂直にかつ互いに等距離になるように整列している。いくつかの実施形態では、整列したスリット同士は、実質的に同じスリット長及びピッチ(引張軸に対するピッチ)を有する。
【0092】
より具体的には、材料600は、スリット610a、610b、610c、610dを含む。スリット610a及び610bは共に、二重スリットを形成している。また、スリット610c及び610dは共に、別の二重スリットを形成している。スリット610a及び610bは、第1の横方向ビーム630aの一部分の側部又は縁部を形成している。スリット610b及び610cは、オーバーラップビーム636の一部分の側部又は縁部を形成し、スリット610c及び610dは、第2の横方向ビーム630bの一部分の側部又は縁部を形成している。横方向ビーム630aは、オーバーラップビーム636に直接隣接している。オーバーラップビーム636は、横方向ビーム630bに直接隣接している。スリット610a及び610bは、互いに実質的に整列している。スリット610c及び610dは、互いに実質的に整列している。スリット610b及び610cは、互いに整列していない。代わりに、スリット610b及び610cは、位相が離れている、又は互いに間隔が空いている。図6Aの実施形態では、スリット610は、引張軸Tに対して実質的に垂直である。
【0093】
2つの平行で実質的に整列したスリット610によって画定された横方向ビーム630の各セクションは、中点632を含み、この中点432は、(1)横方向ビーム630の側部を形成しているスリット610の第1の終端部614と第2の終端616との間の中点(横方向)、かつ、(2)横方向ビーム630の側部を形成している2つのスリット610の間の中点(軸方向)にある。横方向ビーム630aの第1のセクションの中点632aは、直接隣接する横方向ビーム630bの直接隣接するセクションの中点632bとは、位相がずれている。図6Aの実施形態では、横方向ビーム630aの第1のセクションの中点632aは、横方向ビーム630cの第1のセクションの中点632cと、軸方向に実質的に整列しており、この横方向ビーム630cは、横方向ビーム630aから2番目の直接隣接する横方向ビームである。
【0094】
図6Aはまた、図6Aの実施形態における、軸方向xに実質的に平行であり、かつ横方向yに実質的に垂直である引張軸(T)、及びスリットの行の方向を示している。引張軸(T)は、この軸に沿って張力が与えられ、パターン600が形成された材料を展開することができる軸であり、横方向ビーム630の上向き及び下向きの動き、及びオーバーラップビーム636の回転を生じさせる。
【0095】
図6B及び図6Cは、引張軸Tに沿って張力がかけられたときの図6Aのスリットパターンを含む材料を示す。材料600が引張軸Tに沿って張力作動又は展開されると、材料600の一部分は、材料600を、張力がかけられていない状態にある材料600の元の平面から面外へと動かす張力及び/又は圧縮を受ける。引張軸に沿って張力がかけられると、終端部614、616が、圧縮され、互いに向かって引き寄せられることにより、材料600のフラップ領域650が、プレテンション状態(図6A)にある材料600の水平面に対して上向きに動いて、又は座屈して、フラップ624を作り出す。横方向ビーム630の一部分は、プレテンション状態(図6A)にある材料600の元の平面から面外へと波立ち、引張軸に名目上平行に留まりながら、ループを形成する。行612内の隣接するスリット610間にある材料620は、プレテンション状態(図6A)にある材料600の元の平面に実質的に平行に留まる。オーバーラップビーム636は、元の材料又はシートの平面から面外へと座屈し、回転する。フラップ領域650の動きが、横方向ビーム630の波形と組み合わされて、開口部622を作り出す。
【0096】
当業者であれば、多くの変更が、依然として本開示の範囲内に該当しつつ、このパターン及び材料に加えられ得ることを認識するであろう。例えば、いくつかの実施形態では、マルチスリットパターンは、二重スリットパターンではなく、三重スリット、四重スリット、又は他のマルチスリットである。あるいは、スリットの長さ、スリットのサイズ、スリットの厚さ、スリットの形状、行のサイズもしくは形状、横方向ビームのサイズもしくは形状、及び/又はオーバーラップビームのサイズもしくは形状は、様々であってよい。更に、オフセット又は位相オフセットの程度は、図示されるものとは異なっていてもよい。スリット、行、又はビームのピッチは、様々であってよい。引張軸とスリットとの間の角度は、様々であってよい。これらの変更の多くは、展開パターンを変更する可能性がある。
【0097】
張力作動式材料600が物品の周りに巻き付けられる、又は張力作動式材料600自体に直接隣接して配置されると、横方向ビーム630及び/もしくはフラップ624が、互いに、及び/もしくは開口部622と相互連結し、相互連結構造を作り出す。相互連結は、上記に明記した相互連結試験に規定されているように測定することができる。
【0098】
材料シート700における別の二重スリットパターンの1つの例示的な実施形態を図7Aに概略的に示す。材料シート700は、軸方向x及び横方向yを画定しており、ここで、軸方向は、引張軸Tに平行である。図7Aのスリットパターンは、異なる行が、スリットを異なる位置に有し得ることを示している。この一般的な概念の実施例への実装を具体的に参照すると、図7Aの一重スリットパターンは、第1の形状及び位置のスリット710を含む第1の行712aのセットと、同じスリット形状を含むが、スリット710が異なる位置に配置され(この場合は、反転されている)、軸方向xにオフセットされている第2の行712bのセットと、を含む。第1の行712aのセット及び第2の行712bのセットの両方におけるスリット形状は、反転している以外は実質的に同じである。異なる位置に配置されることに加えて、図7Aのスリットは、隣接する行のスリット710の終端部同士が横軸に沿って整列するように入れ子になっている、又は1つの行のスリット710が、隣接する行のスリット710の終端部によって画定された軸を越えて延び、入れ子構成を作り出している。
【0099】
二重スリットパターンが、材料700に形成され、複数のスリット710を含み、各スリットは、第1の終端部714、第2の終端部716、及び中点718を含む。複数の個々のスリット710は、引張軸Tに略垂直な行712を形成するように整列される。軸方向ビーム720を形成している材料は、行712内の隣接するスリット710間に存在する。軸方向ビーム720は、隣接する横方向ビーム730a、730bを通って延びている。図7Aの例示的な実施形態では、スリット710は、(図6Aのスリットパターンのスリット610のような)別個の直線ではなく、代わりに、2つの概ね軸方向の部分721、723を含み、これらの部分は、引張軸Tに略平行であり、かつ引張軸Tに略垂直な概ね横方向の部分725に接続されている。この実施形態では、スリット710は、略U字形状であり、軸方向部分721、723と、概ね横方向の部分725との交点は、互いに略垂直である。
【0100】
シート700を通る複数のスリット710が、シートの軸方向長さに沿って列に配置された、軸方向に延びた複数のビーム720を画定している。複数のスリット710は、第1の列702aを形成している第1の複数の軸方向ビーム720aを形成している。複数のスリット710のうちの1つのスリットの横方向部分725は、ビーム720a間に軸方向に配置されている。前述の実施例とは異なり、この実施例では、各ビームは、スリット710の横方向部分725によって分離されていない。むしろ、第1の列702a内の各一連の2つのビーム720aは、その列内の対応するスリット710の一連の2つの横方向部分725と交互になっている。したがって、第1の列702aは、第1のスリットグループ740aを有し、各スリットが、第1の複数のビーム720aのビーム間に軸方向に存在している横方向部分725aを有する。
【0101】
複数のスリット710はまた、軸方向xに延びている第2の複数のビーム720bを画定している。第2の複数のビーム720bは、シート700にわたって軸方向xに延びている第2の列702bを形成している。第2の複数のビーム720bは、第1の複数のビーム720aから横方向yに間隔が空いている。軸方向xにおけるビーム720b間には、複数のスリット710のうちの第2のスリットグループ740b内のスリットの横方向部分725がある。第1の列702aと同様に、第2の列702bのこの例では、列702bの長さに沿って、スリットの2つの連続する横方向部分725と交互になっている一連の2つの連続するビーム720bがある。
【0102】
第1の複数のビーム720aと第2の複数のビーム720bとは、軸方向及び横方向において互い違いになっている。本実施例では、第1のスリットグループ740a内の各スリットは、第2の複数のビーム720bにおいてビームを画定している軸方向部分721(第1の軸方向部分721)を有する。複数のスリット710のうちの第2のスリットグループ740b内の各スリットは、第1の複数のビーム720aにおいてビームを画定している軸方向部分723(第2の軸方向部分723)を有する。第1の複数のビーム720aの各ビームは、第2の複数のビーム720bうちの1つのビームの終端部724bによって画定される軸(一例として、i1)と整列している。
【0103】
本実施形態では、材料シート700は、第1の列702a内の第1の複数のビーム720aと、第2の列702b内の第2の複数のビーム720bと、を画定している複数のスリット710を画定している。第1の列702a及び第2の列702bは、シートの幅にわたって横方向yに交互になっている。言い換えれば、第1の複数のビーム720a及び第2の複数のビーム720bは、材料シート700の横幅にわたってビームの繰り返しパターンを形成している。いくつかの実施形態では、複数のスリット710は、シートの幅にわたって第1の列702a及び第2の列702bと交互になる第3の列を画定する第3の複数のビームを同様に画定することができる。いくつかの実施形態では、複数のスリット710は、シートの幅にわたって第1の列702a、第2の列702b、及び第3の列と交互になる第4の列を画定する第4の複数のビームを同様に画定することができる。
【0104】
材料700は、第1のスリット710a、第2のスリット710b、第3のスリット710c、及び第4のスリット710dを含み、各スリットは、対応する第1の行712a、第2の行712b、第3の行712c、及び第4の行712dをそれぞれ形成している。各スリットの行は、材料シート700の幅にわたって横方向yに延びている。第1の行712a、第2の行712b、第3の行712c、及び第4の行712dは、材料シート700の軸方向の長さに沿って行の繰り返しパターンを形成している。本実施例では、第2のスリット710bは、第3のスリット710cと入れ子になっており、第1のスリット710aは、第4のスリット710dと入れ子になっている。したがって、第2の複数のスリット710bの各スリットの第1の終端部714を画定している第1の終端部セグメント(第1の軸方向部分721に対応している)は、第3の複数のスリット710cの1つのスリットの終端部714と終端部716とを接続している仮想線i1と交差している。より具体的には、第2の複数のスリット710bの各スリットの第1の終端部714は、第3の複数のスリット710cの1つのスリットの終端部714と終端部716とを接続している仮想線i1と整列している。同様に、第1の複数のスリット710aの各スリットの第1の終端部714を画定している第1の終端部セグメント(第1の軸方向部分721に対応している)は、第4の複数のスリット710dの1つのスリットの終端部714と終端部716とを接続している仮想線i2と交差している。具体的には、第1の複数のスリット710aの各スリットの第1の終端部714は、第4の複数のスリット710dの1つのスリットの終端部714、716を接続している仮想線i2と整列している。
【0105】
第1のスリット710a及び第2のスリット710bは、第1の横方向ビーム730aの一部分の横方向側部又は縁部を形成している。第1の横方向ビーム730aは、材料700の横方向の幅にわたって延びている。材料の幅にわたる第1の横方向ビーム730aの長さは、介在するスリットによって中断されない。第2のスリット710b及び第3のスリット710cは、折り曲げ壁領域736を形成している。第3のスリット710c及び第4のスリット710dは、第2の横方向ビーム730bの一部分の横方向側部又は縁部を形成している。横方向ビーム730aは、折り曲げ壁領域736に直接隣接している。折り曲げ壁領域736は、第2の横方向ビーム730bに直接隣接している。折り曲げ壁領域は、概ね、隣接するスリット710bとスリット710cとの間にある軸方向ビーム720を除外した、第2のスリット710b及び第3のスリット710bによって囲まれた全ての領域を含む。横方向ビーム730a及び730bは、折り曲げ壁領域736に直接隣接している。具体的には、折り曲げ壁領域736は、第1の横方向ビーム730aと第2の横方向ビーム730bとの間にある。スリット710a及び710bは、互いに実質的に整列している。スリット710c及び710dは、互いに実質的に整列している。スリット710b及び710cは、互いに整列していない。代わりに、スリット710b及び710cは、位相が離れている、又は互いに間隔が空いている。図7Aの実施形態では、スリット710は、引張軸Tに対して実質的に垂直である。
【0106】
スリット710が直接隣接する行同士において互いに対して反転する場合、これは、それらのスリットが、互いに整列する、又は互いを越え、1つのスリット710の1つ以上の終端部714、716が、直接隣接する行内の1つのスリット710の終端部714、716と横軸Tに沿って整列する状態を作り出す。これらの特有のパターンは、特有のビーム幅、サイズ、及び形状を作り出す。直接隣接する行712a及び712b内のスリット710の終端部714、716は、引張軸Tに垂直な、仮想の、本質的に直線状の単一線に近似するように横方向に整列するため、ビームのサイズ及び形状は、本明細書で前述した実施形態とは異なる。概ね横方向の部分725(引張軸Tに対して実質的に垂直である)間の連続した横方向領域が、横方向ビーム730を形成している。このビームは、横方向に整列した、直接隣接する行712aと712bとの2つのセットの間ごとに1つのみ生じている。横方向に整列した、直接隣接する行712a及び712bは、直接隣接する、横方向に整列した行内のスリット710の終端部714と終端部716との間に連続する横方向領域が存在しないように配置される。横方向に整列した終端部714、716を有するスリット710がその内部に延びている材料700の領域は、隣接するスリット710間にある軸方向ビーム720を除いて、折り曲げ壁領域736を構成する。折り曲げ壁領域736は、2つの略矩形領域731及び733を有するとして更に説明することができ、ここで、矩形領域731は、(1)引張軸に垂直な、直接隣接するスリット710の概ね横方向の部分725と、(2)直接隣接する対向するスリット710の隣接する軸方向部分721及び723とによって、画定されている。軸方向ビーム720は、単一行712内の隣接するスリット710間に存在する。領域733が、軸方向ビーム720に直接隣接しており、この領域733は、ビーム720と、概ね横方向の部分725とによって軸方向xに画定され、2つの略矩形領域731によって、より具体的には、隣接する軸方向部分721及び723の軸方向延長部によって、横方向yに画定された、折り曲げ壁領域736内の残りの材料である。
【0107】
この例示的な実施形態では、スリットは、2つの終端部を有する。直線状の仮想線が、これらの終端部間に延びており、これらの終端部同士を接続している。この実施形態では、第1のスリットの終端部間に延びており、それらの終端部同士を接続している直線状の仮想線は、直接隣接するスリットの終端部間に延びており、それらの終端部同士を接続している直線状の仮想線と、実質的に同一線上にある。この例示的な実施形態では、単一行内のスリット終端部間に延びており、それらのスリット終端部同士を接続している全ての直線状の仮想線は、ほぼ同一直線上にある。
【0108】
図7B図7Dは、引張軸Tに沿って張力がかけられたときの、図7Aのスリットパターンを含む材料を示す。材料700が引張軸Tに沿って張力作動又は展開されると、材料700の一部分は、材料を、張力がかけられていない状態にある材料700の元の平面から面外へと動かす張力及び/又は圧縮を受ける。引張軸に沿って張力がかけられると、横方向ビーム730は、終端部714及び716を、プレテンション状態にある材料700の元の平面に平行な1つの平面内におおよそ維持しながら、波立つ形状に屈曲して、隣接するスリット間にある軸方向ビーム720を、同じ行内の隣接するビーム720に近付ける。波形になった横方向ビーム730は、引張軸に平行であり、具体的には、プレテンション状態にある横方向ビーム730上で引張軸に平行に引かれた任意の線は、張力がかけられた状態においても依然として引張軸に実質的に平行になる。言い換えれば、それぞれの波形になったスリット面は、実質的に、引張軸に沿って延びた単一曲線である。折り曲げ壁領域736は、回転して、アコーディオン状の形状に折れ曲がり、それにより、2つの略矩形領域731及び略矩形領域733の全てが、名目上平坦となり、全ての隣接する略矩形領域731と略矩形領域733との間に折り目を有し、全ての平坦な表面が、プレテンション状態にある材料700の元の平面に名目上直交する。行712内の隣接するスリット710間の軸方向ビーム720は、主に、引張軸Tと一直線上の張力を受け、この張力は、同じ横方向ビーム730と隣り合う、隣接するビーム720によって平衡化されるので、この領域又は範囲は、プレテンション状態にある材料700の元の平面に対して平坦かつ平行に留まる傾向がある。材料700におけるこれらの動きは、2つの別個の折り曲げられたビームを形成し、つまり、図7Dに見られるように、1)引張軸に平行な波状になったビーム730と、2)プレテンション状態にある材料700の元の平面に直交する折り曲げられたビーム736と、を形成する。
【0109】
図7A図7Dの特定の実装のような実施形態は、独特の利点を有する。例えば、図7A図7Dは、展開又は張力作動されたときに、材料の一部分が(プレテンション状態にある材料700の元の平面に対して実質的に90°である、又は直交する)垂直軸まで回転する1セットの実施形態を例示している。更に、これらの実施形態のいくつかは、他のマルチスリットパターン構造と比較して、垂直軸に加えられるより大きな負荷への曝露に、押しつぶされることなく耐えることができる。これは、輸送中のパッケージ及び他の用途などのために保護を向上又は強化することができることを意味する。図7A図7Dに示される特定の実装のようなマルチスリットパターンの別の利点は、構造体が(張力を加えることにより)一度その展開位置になると、張力が加えられなくなった後でも、構造体がその伸展した/張力がかけられた位置に実質的に留まることである。この特徴は、より安定した構造をもたらすことができる。これらの利点のうちのいくつかは、折り曲げられた壁の形状の強度が増加したことによる。折り曲げられた壁もしくはアコーディオン形状の壁、又は回転している/折り曲げられているビームは、展開された(張力又は力の適用によって展開された)物品における大きな断面二次モーメント(area moment of inertia)(面積モーメント又は断面二次モーメント(second moment of inertia)とも呼ばれる)を有し、ここで、断面二次モーメントは、元のシートの平面にある。断面二次モーメントは、折り目のない直線状の垂直壁と比較して、増加している。
【0110】
当業者であれば、多くの変更が、依然として本開示の範囲内に該当しつつ、このパターン及び材料に加えられ得ることを認識するであろう。例えば、1列のスリットの終端部は、隣接する列のスリットの終端部と同一線上になる代わりに、隣接する列のスリットの終端部を越え、入れ子式又は重ね合せ式スリットパターンを作り出すことができる。いくつかの実施形態では、マルチスリットパターンは、二重スリットパターンではなく、三重スリット、四重スリット、又は他のマルチスリットである。あるいは、スリットの長さ、スリットのサイズ、スリットの厚さ、スリットの形状、行のサイズもしくは形状、横方向ビームのサイズもしくは形状、及び/又はオーバーラップビームのサイズもしくは形状は、様々であってよい。湾曲度及びスリットの長さは、様々であってよい。更に、オフセット又は位相オフセットの程度は、図示されるものとは異なっていてもよい。スリット、行、又はビームのピッチは、様々であってよい。更に、パターンは、2行、3行、4行などで交互にすることができる。引張軸とスリットとの間の角度は、様々であってよい。これらの変更の多くは、展開パターンを変更する可能性がある。
【0111】
張力作動式材料700が物品の周りに巻き付けられる、又は張力作動式材料700自体に直接隣接して配置されると、波形になったビーム730及び/もしくは折り曲げ壁領域736が、互いに、及び/もしくは開口部722と相互連結し、相互連結構造を作り出す。相互連結は、上記に明記した相互連結試験に規定されているように測定することができる。
【0112】
追加のマルチスリットパターンは、例えば、本譲受人に譲渡された米国特許出願第62/952,815号及び同第62/058,084号に示されており、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0113】
複合スリットパターン
【0114】
図8Aは、例示的な複合スリットパターン800の概略上面図である。「複合スリット」は、本明細書では、3つ以上の終端部を有するスリットとして定義され、これは、本明細書ではちょうど2つの終端部を有するスリットとして定義される「単純なスリット」とは対照的である。複合スリットパターンは、一重スリットパターン又はマルチスリットパターンと整合性を有し得る。この例では、パターン800は、スリット行812内に複数のスリット810を含む。各スリット810は、第1の軸方向部分821と、第1の軸方向部分821から間隔が空いており、第1の軸方向部分821に略平行である第2の軸方向部分823と、第1の軸方向部分821と第2の軸方向部分823とを接続している概ね横方向の部分825と、を含む。各スリット810は、4つの終端部、すなわち、第1の終端部814、第2の終端部815、第3の終端部816、及び第4の終端部817を含む。各スリット810は、中点818を有する。
【0115】
第1の終端部814及び第2の終端部815は、スリット810の第1の軸方向部分821の両側の終端部である。第3の終端部816及び第4の終端部817は、スリット810の第2の軸方向部分823の両側の終端部である。第1の終端部814は、軸方向x(本実施例では第1の軸方向部分821に平行である)の軸線に沿って第2の終端部815と整列されており、第3の終端部816は、軸方向(本実施例では第2の軸方向部分823に平行である)の軸線に沿って第4の終端部817と整列されている。第1の終端部814は、横方向yの軸線i1に沿って第3の終端部816と整列され、第2の終端部815は、横方向の軸線i2に沿って第4の終端部817と整列されている。行812a、812b内の直接隣接するスリット810間にある空間は、軸方向ビーム820と呼ぶことができる。張力がかけられると、行812a、812b内の隣接するスリット810間にある軸方向ビーム820は、非回転ビーム820になる(図8C図8E及び図8Gに見ることができる)。非回転ビーム820を除いた、概ね横方向の部分825によって画定された空間は、折り曲げ壁領域830a、830bを画定している。
【0116】
折り曲げ壁領域830a、830bは、2つの略矩形領域831及び833を有するとして更に説明することができ、ここで、矩形領域831は、(1)引張軸に垂直な、直接隣接する、スリット810の概ね横方向の部分825と、(2)直接隣接する対向するスリット810の隣接する軸方向部分821及び823とによって、画定されている。軸方向ビーム820は、単一行812a、812b内の隣接するスリット810間、より具体的には、隣接する軸方向部分821と軸方向部分823との間にある。領域833が、ビーム820に直接隣接しており、この領域833は、ビーム820と、概ね横方向の部分825とによって軸方向に画定され、2つの略矩形領域831によって、より具体的には、隣接する軸方向部分821及び823の軸方向延長部によって、横方向に画定された、折り曲げ領域830a、830b内の残りの材料である。隣接する行のスリット810同士は、互いに位相がオフセットされている。
【0117】
図8Aの実施形態では、引張軸Tは、軸方向xに実質的に平行であり、横方向yに実質的に垂直である。引張軸Tは、スリット810からなる行812a、812bの方向に略垂直である。引張軸Tは、この軸に沿って張力が与えられ、パターン800が形成された材料を展開することができる軸であり、材料の一部分の回転及び上下の動きを生じさせる。
【0118】
本実施例では、前述の実施例とは異なり、材料シートの幅にわたって横方向yに延びている横方向のビームは存在しない。むしろ、本実施例では、材料800のシートの軸方向の長さに沿って交互になっている、材料800の横方向の幅にわたって画定された折り曲げ壁領域830a、830bが存在する。いくつかの前述の実施例と同様に、本実施例では、材料シートのスリットのパターンは、材料800のシートの軸方向の長さに沿って交互になっている第1の行812a及び第2の行812bを画定している。材料のシートの複数のスリット810は、すでに説明したものと同様のビームの列及びビームの行を画定している。ただし、本実施例では、軸方向ビーム820のそれぞれは、第1の折り曲げ壁領域830aから隣接する第2の折り曲げ壁領域830bまで延びている。更に、軸方向ビーム820のそれぞれは、行内の隣接するスリットの終端部に対応する2つの終端部824a、824bを画定している。
【0119】
図8Bは、図8Aのスリットパターンを含む物品が引張軸Tに沿った張力により展開されたときに形成される一次張力線840(例えば、最高引張応力経路を近似している線)を示している。図8Bは、最大引張応力が発生する一次張力線840を点線で示している。張力線とは、張力が引張軸に沿って材料に加えられたときに、最大荷重を伝達する、材料を通る仮想経路である。張力が引張軸(T)に沿って加えられると、一次張力線840は、張力が加えられた軸とほぼ一直線になるように動き、シートを歪ませる。張力線840は、同じ行内の隣接するスリット間にある軸方向ビーム820に集束される。張力がかけられると、これらのビーム820は、非回転ビーム820になる。図8Aの実施形態では、これらのビーム820又は非回転ビーム820は、引張軸に略平行である。図8Aの実施形態では、これらのビーム820又は非回転ビーム820は、概ね軸方向である。張力が引張軸T(この実施形態では、非回転ビームに名目上平行な軸である)に沿って加えられると、張力(又はその張力によって引き起こされる応力の最大集中)は、全ての非回転ビーム820上にやや均一に、しかし点線で示されるように折り曲げ壁領域830a、830bのセクションにわたって、存在する。
【0120】
図8C図8Gは、張力が引張軸Tに沿って加えられると、図8Aのスリットパターンを含む材料が空間内でどのように動くかを示す概略上面図である。複合スリットパターンを展開すると、一次張力線840に沿った張力がかかることにより、パターンの実質的に全ての領域が、いくらかの張力又は圧縮(引張応力又は圧縮応力)を受け、それらの領域の一部が、元の二次元フィルムの平面から面外へと回転及び/又は屈曲する。折り曲げ壁領域830aと830bとを通って伝わる張力は、ビームを回転させると同時に折り曲げ、非回転ビーム820同士を互いに近付けて、引張軸Tとより整列させる。図8C図8Eでは、非回転ビーム820は、分割されており、力ベクトル(矢印)で接続されているものとして表されている。これは、別々の領域における力の相互作用を視覚化し、材料の動きを明確にするのに役立つ。力を受けている材料800は比較的薄いため、折り曲げ壁領域830a、830bは、張力が加えられたことに応じて、非回転ビーム820の基部において面外へと回転し、折り曲げられることになる。具体的には、図8Cは、折り曲げ壁領域830a、830bに力ベクトルが作用している非回転ビーム820を示す。この作用により、材料800は、図8Dに概略的に示される位置へと動き、その位置で、折り曲げ壁領域830a、830bは、図8Dに示される力ベクトルの結果として回転している。図8Eに示されるように、折り曲げ壁領域830a、830bはまた、図8C図8Eに示される力ベクトルに応じて折れ曲がる、又は屈曲する。折り曲げ又は屈曲の程度は、例えば、材料の剛性率、張力の大きさ、要素の寸法及びスケール、非回転ビームの幅、非回転ビーム間の距離などを含む多くの要因に応じて様々となる。
【0121】
図8Dは、図8Cの上面斜視図からの回転のみを示した折り曲げ壁領域830a、830bの上面概略図である。図8Eは、十分に張力をかけられ展開されたときの、回転及び屈曲した回転ビームの上面図を示す概略図である。上面図によれば、折り曲げ壁領域830a、830bは、一度回転すると、(x-y平面に直交する)Z軸の大きな圧縮力に抵抗することができるアコーディオン状に折れ曲がった垂直壁を形成する。折り曲げられた壁を座屈させるのに要するエネルギーは、この構造体が巻き付けられている物体への損傷を防止するために、この構造体によって吸収され得るエネルギーである。非回転ビーム820は、折り曲げ壁領域830a、830bを接続している。図8Aの複合スリットパターンは、非回転ビーム820同士を互い違いにさせ、これは、展開されたときの材料の強度に更に寄与する。非回転ビーム820及び折り曲げ壁領域830a、830bの動きは、開放領域822を作り出し、これは、図8G図8Jに見ることができる。
【0122】
図8Aに戻ると、略矩形領域833は、非回転ビーム820の幅又は横方向寸法に等しい、幅又は横方向寸法を有する。いくつかの実施形態では、この幅は、矩形領域831の幅又は横方向寸法と比較して小さいことが好ましい。矩形領域833の横方向の幅が矩形領域831の横方向の幅と比較して小さいと、矩形領域833は、展開されたときに実質的に折り目がつくことになり、図8Fの図面によって近似されるように、及び図8G及び8Hで見ることができるように、折り曲げ壁領域830の残りの部分から明確に独立して区別することはできない。具体的には、図8Iの材料の正面図(上面又は底面)では、開口部822の形状は、開口部822の形状が八角形であることを正面図でより明確に見ることができる図8Jのモデル図と比較して、略六角形であるように見える。矩形領域833が十分に幅広い場合、図8Jに示される回転/折り曲げビームの折り目には、別の平坦な垂直セクションが存在する。視覚的には、これによって六角形が八角形のように見える。
【0123】
図8H及び図8Iは、紙シートに形成され、引張軸に沿って張力がかけられた、図8Aの複合スリットパターンの写真からの線画である。図8Hは斜視側面図であり、図8Iは略上面図であり、図8J図8Iに対応する概略図である。
【0124】
図9Aは、概ね横方向の部分925がジグザグパターンであることを除いて、図8Aの複合スリットパターンと実質的に同じである例示的な複合スリットパターンである。ジグザグパターンは、材料900の相互連結機能を有利に改善することができる。これらの特徴部は、材料の別の層に隣接して置かれたとき、及び/又は品物の周りに巻き付けられたときの、材料の相互連結を向上させることができる。更に、これらの特徴部は、好都合には、材料の縁部を有利に軟化させることができる。図9Aでは、概ね横方向の部分925は波状又はv波形状を有する。波の「v」部分は、相互連結特徴部を増加させる。引張軸(T)は、軸方向xに対して実質的に平行であり、かつ横方向yに対して、及びスリットの行の方向に対して実質的に垂直である。引張軸Tは、この軸に沿って張力が与えられ、パターン900が形成された材料を展開することができる軸であり、材料の一部分の回転及び上下の動きを生じさせる。材料は、図9B図9Dに示されるように、図8A図8Iに関して上述したように実質的に展開する。物体の周りに巻き付けられた場合など、材料の複数の層が接触している場合、相互連結機構は、それらの層同士が、より強力に及び/又は様々に異なる方法で、互いに相互連結することを可能にする。
【0125】
材料2000のシートにおける更に別の複合スリットパターンが、図20A図20Bに示されており、この複合スリットパターンは、相互連結構造又は特徴部がやや異なる形状を有することを除いて、図9Aのパターンと同様である。スリットのそれぞれの横方向部分2025は、曲線を画定している。具体的には、行2012内のスリットの横方向部分2025は、概して、スリット2010のそれぞれの間の軸方向ビーム2020によって中断された、起伏のある波又は正弦波を画定している。図20C図20Eは、材料が引張軸における張力がかけられた後に拡張したときの、図20A~20Bの複合スリットパターンを有する材料のシートを示す。
【0126】
図10Aは、横方向スリット部分1025が振動波形の形態を併せて画定していることを除いて、図8Aの複合スリットパターンと実質的に同様である、材料シート1000における別の例示的な複合スリットパターンの概略上面図である。図10B図10Dは、紙のシートに形成されて、又は切り込まれてから、引張軸Tに沿って張力がかけられた図10Aの複合スリットパターンを示す。材料は、図8A図8Iに関して上述したように実質的に展開する。
【0127】
複数のスリット1010は、材料1000の軸方向の長さに沿って交互になっているスリット1012の行を画定している。各スリット1010は、第1の軸方向部分1021と、第1の軸方向部分1021から横方向yに間隔が空いている第2の軸方向部分1023とを有する。概ね横方向の部分1025は、第1の軸方向部分1021と第2の軸方向部分1023とを接続している。各スリット1010は、4つの終端部、すなわち、第1の終端部1014、第2の終端部1015、第3の終端部1016、及び第4の終端部1017を含む。各スリット1010は、中点1018を有する。
【0128】
第1の終端部1014及び第2の終端部1015は、スリット1010の第1の軸方向部分1021の両側の終端部である。第3の終端部1016及び第4の終端部1017は、スリット1010の第2の軸方向部分1023の両側の終端部である。第1の終端部1014は、軸方向に延びている軸線(軸方向部分1021と同一線上にある)に沿って第2の終端部1015と整列されており、第3の終端部1016は、軸方向の軸線(軸方向部分1023と同一線上にある)に沿って第4の終端部1017と整列されている。第1の終端部1014は、前に示した例と同様に、横方向yの軸線に沿って第3の終端部1016と整列されている。第2の終端部1015は、前に示した例とまた同様に、横方向の軸線に沿って第4の終端部1017と整列されている。行1012内の直接隣接するスリット1010間にある空間は、行1012内の隣接するスリット1010間にある軸方向ビーム1020と呼ぶことができる。張力がかけられたとき、行1012内の隣接するスリット1010間にあるビーム1020は、非回転ビーム1020である(図10B及び図10Dに見ることができる)。非回転ビーム1020を除いた概ね横方向の部分1025によって画定された空間は、折り曲げ壁領域1030a、1030bを画定している。
【0129】
前述の実施形態とは異なり、折り曲げ壁領域1030は、略矩形領域の組み合わせではない。むしろ、折り曲げ壁領域は、2つの領域の組み合わせであり、第1の領域1031は、概して、(1)直接隣接する、スリット1010の概ね湾曲した横方向部分1025と、(2)直接隣接する対向するスリット1010の隣接する軸方向部分1021及び1023と、によって画定されている。軸方向ビーム1020は、単一行1012内の隣接するスリット1010間、より具体的には、隣接する軸方向部分1021と軸方向部分1023との間にある。第2の領域1033が、ビーム1020に直接隣接しており、この領域1033は、ビーム1020の終端と、概ね横方向の部分1025とによって軸方向に画定された、折り曲げ壁領域1030内の残りの領域である。第2の領域1033は、隣接する軸方向部分1021及び1023の端部によって横方向に画定されている。直接隣接する、スリット1010の行1012同士は、横方向yに互いにオフセットされている。
【0130】
図10Aの実施形態では、引張軸Tは、軸方向xに実質的に平行であり、かつ横方向yに実質的に垂直である。引張軸は、スリット1010からなる行1012の方向に略垂直である。引張軸は、この軸に沿って張力が与えられ、パターン1000が形成された材料を展開することができる軸であり、材料の一部分の回転及び上下の動きを生じさせる。
【0131】
この実施例では、材料シートの幅にわたって横方向yに延びている横方向のビームは存在しない。むしろ、本実施例では、いくつかの前述の実施形態と同様に、材料1000のシートの軸方向の長さに沿って交互になっている、材料1000の横方向の幅にわたって画定された折り曲げ壁領域が存在する。
【0132】
追加の複合スリットパターンが、例えば、本譲受人に譲渡された米国特許出願第62/952,815号に示されており、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0133】
本明細書に図示又は記載される実施形態のいずれも、本明細書に図示又は記載される他の実施形態と組み合わせることができ、これは、本明細書に図示又は記載される任意の具体的な特徴、形状、構造、又は概念が、本明細書に図示又は記載される他の具体的な特徴、形状、構造、又は概念のいずれかと組み合わせることができることを含む。当業者であれば、依然として本開示の範囲内に該当しつつ、この複合スリットパターン、材料へのパターンの形成、及びそれらの材料の展開に多くの変更が加えられ得ることを認識するであろう。例えば、二重スリットパターンを示した実施形態において、パターンを、二重スリットパターンではなく、三重スリット、四重スリット、又は他のマルチスリットパターンとすることができる。あるいは、スリットの長さ、スリットのサイズ、スリットの厚さ、スリットの形状、行のサイズもしくは形状、横方向ビームのサイズもしくは形状、及び/又はオーバーラップビームのサイズもしくは形状は、様々であってよい。更に、オフセット又は位相オフセットの程度は、図示されるものとは異なっていてもよい。スリット、行、又はビームのピッチは、様々であってよい。引張軸とスリットとの間の角度は、様々であってよい。引張軸及び/又は材料の側部に対するパターンの整列は、様々に異なっていてもよい。これらの変更のうちのいくつかは、展開パターンを変更する可能性がある。
【0134】
本明細書に示されるスリットパターンの大半が、張力が加えられるとシートの元の平面に対して上向き又は下向きのいずれかに動く又は座屈するとして説明される領域を有する。上向きの動きと下向きの動きとの区別は、添付の図面と実質的に一致するように明確にするために使用される任意の説明である。試料は、全て裏返して、下向きの動きを上向きの動きに(及びその逆に)変えることが可能である。更に、試料のそれらの領域が反転する場所において、時折反転が発生し、以前の領域では上向きに動いていた同様の特徴部が今度は下向きに動くこと、またその逆も同様に、正常であり、かつ予想されることである。これらの反転は、単一のスリットのような小さい領域で、又は材料の大きな部分で発生する可能性がある。これらの反転は、ランダムで自然なものであり、材料、製造、及び加えられた力の自然なばらつきの結果である。反転のない材料の領域を製造するための努力を行ったが、試験した結果、全ての試料にこれらの自然なばらつきが存在し、性能には、反転の数又は位置による大きな影響はないと思われた。
【0135】
本明細書に示されるスリットパターンの全ては、引張軸に対して略垂直であるとして示されている。多くの実施形態では、このことは、優れた性能をもたらすことができるが、本明細書に図示又は記載されるスリットパターンのうちのいずれも引張軸に対してある角度で回転することが可能である。引張軸から45度未満の角度が好ましい。
【0136】
更に、本明細書に示されるスリットパターンの全ては、直接隣接するスリット間の横方向の間隔の約2分の1(又は横方向間隔の50%)だけ互いに位相がずれている単一のスリットを含む。しかしながら、パターンは、例えば、横方向の間隔の3分の1、横方向の間隔の4分の1、横方向の間隔の6分の1、横方向の間隔の8分の1などを含む任意の所望の量だけ位相がずれていてもよい。いくつかの実施形態では、位相オフセットは、1行内にある直接隣接するスリットの横方向の間隔の、1未満もしくは4分の3未満、又は2分の1未満である。いくつかの実施形態では、位相オフセットは、1行内にある直接隣接するスリットの横方向の間隔の50分の1超、又は20分の1超、又は10分の1超である。
【0137】
いくつかの実施形態では、最小位相オフセットは、交互になった行のスリットの終端部が、隣接する行のスリットの終端部を通る引張軸に平行な線と交差するようになっている。いくつかの実施形態では、最大位相オフセットは、材料の連続経路を作り出すことによって同様に制限される。引張軸に直交するスリットの幅が、全てのスリットで一定であり、値wを有し、引張軸に直交するスリット間の間隙が、一定であり、値gを有する場合、最小位相オフセット及び最大位相オフセットは次のようになる。
【数1】
【0138】
本開示はまた、本明細書に記載のスリットパターンのうちのいずれかを含む1つ以上の物品又は材料に関する。本明細書に記載されるスリットパターンが形成されることができるいくつかの例示的な材料としては、例えば、紙(厚紙、段ボール紙、コート紙又は非コート紙、クラフト紙、綿ボンド、リサイクル紙);プラスチック;織布及び不織布材料及び/又は布地;弾性材料(天然ゴム、合成ゴム、ニトリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、クロロプレン系ゴム、エチレンビニルアセテート、又はEVAゴムなどのゴムを含む);非弾性材料(ポリエチレン及びポリカーボネートを含む);ポリエステル;アクリル;及びポリスルホンが挙げられる。物品は、例えば、材料、シート、フィルム、又は任意の同様の構造体であり得る。
【0139】
本明細書で使用される場合、「紙」は、セルロース(具体的には、(天然もしくは人工の)セルロースの繊維)から作製された、又はそうでなければ、木材、トウモロコシ、草、米などの植物源のパルプから生成可能な、織布又は不織布のシート状の製品又は布(折り畳むことができ、様々な厚さであり得る)を指す。紙には、従来の製紙プロセス及び従来とは異なる製紙プロセスの両方から作製された製品、並びにシートに他のタイプの繊維、例えば強化繊維が埋め込まれている上記のタイプの材料が含まれる。紙は、シート上又は繊維自体上にコーティングを有してもよい。本開示の文脈内における「紙」である従来とは異なる製品の例としては、PAPTIC(Espoo、Finland)から商品名TRINGAで入手可能な材料、及び商品名SULAPACで入手可能な材料のシート形態が含まれる。
【0140】
使用することができる熱可塑性材料の例としては、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線形低密度ポリエチレン(LLDPE))、メタロセンポリエチレンなど、及びそれらの組み合わせ、ポリプロピレン(例えば、アタクチック及びシンジオタクチックポリプロピレン))、ポリアミド(例えば、ナイロン)、ポリウレタン、ポリアセタール(Delrinなど)、ポリアクリレート及びポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)など、及びポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル、など)、フッ素樹脂(3M Company(St.Paul,MN)製のTHVなど)、及びそれらの組み合わせ、のうちの1種類以上を挙げることができる。熱硬化性材料の例としては、ポリウレタン類、シリコーン類、エポキシ類、メラミン、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、及びそれらの組み合わせのうちの1種類以上を挙げることができる。生分解性ポリマーの例としては、ポリ乳酸(PLA)(本明細書で使用される場合、ポリ(乳酸)及びポリ(ラクチド)の両方を包含することを意図する)、ポリグリコール酸(PGA)(本明細書で使用される場合、ポリ(グリコール酸)とポリ(グリコリド)の両方を包含することを意図する)、ポリ(カプロラクトン)、ラクチドとグリコリドとのコポリマー、ポリ(コハク酸エチレン)、ポリヒドロキシブチレート、乳酸、グリコール酸、及びカプロラクトンのうちの2つ以上のコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリエステルウレタン、分解性脂肪族-芳香族コポリマー、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ヒドロキシブチレートとヒドロキシバレレートとのコポリマー、ポリ(エステルアミド)、及びそれらの組み合わせ、のうちの1種類以上を挙げることができる。
【0141】
一重スリットパターンが形成される材料は、任意の所望の厚さとすることができる。いくつかの実施形態では、材料は、約0.001インチ(0.025mm)~約5インチ(127mm)の厚さを有する。いくつかの実施形態では、材料は、約0.01インチ(0.25mm)~約2インチ(51mm)の厚さを有する。いくつかの実施形態では、材料は、約0.1インチ(2.5mm)~約1インチ(25.4mm)の厚さを有する。いくつかの実施形態では、厚さは、0.001インチ超、0.01インチ超、0.05インチ超、0.1インチ超、0.5インチ超、1インチ超、1.5インチ超、2インチ超、2.5インチ超、又は3インチ(76.2mm)超である。いくつかの実施形態では、厚さは、5インチ未満、4インチ未満、3インチ(76.2mm)未満、2インチ未満、1インチ未満、0.5インチ未満、0.25インチ(6.35mm)未満、又は0.1インチ未満である。
【0142】
材料が紙であるいくつかの実施形態では、厚さは、約0.003インチ(0.076mm)~約0.010インチ(0.25mm)である。材料がプラスチックであるいくつかの実施形態では、厚さは、約0.005インチ(0.13mm)~約0.125インチ(3.2mm)である。
【0143】
いくつかの実施形態では、スリット又は切り込みパターンは、シート、フィルム、又は材料の1つ以上の縁部、例えば材料の軸方向縁部などを通って延びている。いくつかの実施形態では、これにより、材料が無制限の長さであることが可能になり、特に非伸張性材料で作製される場合、張力によって展開されることも可能になる。縁部材料の量とは、一重スリットパターンを包囲しているが一重スリットパターンを含まない材料の面積である。いくつかの実施形態では、縁部材料量又はダウンウェブ境界は、長軸が、引張軸に平行で、かつ無限の長さである矩形の幅として定義することができ、スリットに重なること、又は接触することなく基材上に設けることができる。いくつかの実施形態では、縁部材料量は、0.010インチ(0.25mm)未満、又は0.001インチ(0.025mm)未満である。いくつかの実施形態では、ダウンウェブ境界の幅は、0.010インチ(0.25mm)未満、又は0.001インチ(0.025mm)未満である。いくつかの実施形態では、縁部材料の量は、基材の厚さの5倍未満である。いくつかの実施形態では、ダウンウェブ境界の幅は、基材の厚さの5倍未満である。
【0144】
クロスウェブスラブは、長軸が、引張軸に垂直で、かつ無限の長さであり、幅が、有限である矩形を有する矩形領域として定義することができ、スリット又は切り込みに重なること又は接触することなく基材上に設けることができる。いくつかの実施形態では、任意の幅のクロスウェブスラブが、パターンの一体部分として物品内に既に存在してもよい。いくつかの実施形態では、任意の幅のクロスウェブスラブを、有限の長さの物品の端部に追加して、物品を展開し易くしてもよい。いくつかの実施形態では、任意の幅のクロスウェブスラブを、連続的なパターンの入った物品に断続的に追加してもよい。
【0145】
いくつかの実施形態では、単一のスリットの最長間隔が空いた終端部間の距離(スリット長とも呼ぶ)は、長さ約0.25インチ(6.35mm)~長さ約3インチ(76.2mm)、約0.5インチ~約2インチ、又は約1インチ~約1.5インチである。いくつかの実施形態では、単一のスリットの終端部間の最長距離(スリット長とも呼ぶ)は、基材厚さの50倍~基材厚さの1000倍、又は基材厚さの100~500倍である。いくつかの実施形態では、スリット長は、基材厚さの1000倍未満、900倍未満、800倍未満、700倍未満、600倍未満、500倍未満、400倍未満、300倍未満、200倍未満、又は基材厚さの100倍未満である。いくつかの実施形態では、スリット長は、基材厚さの50倍超、100倍超、200倍超、300倍超、400倍超、500倍超、600倍超、700倍超、800倍超、又は基材厚さの900倍超である。
【0146】
本明細書に記載のスリットパターン及び物品は、いくつかの異なる方法で製造することができる。例えば、スリットパターンは、押出成形、成形、レーザー切断、ウォータージェット加工、機械加工、ステレオリソグラフィもしくは他の3D印刷技術、レーザーアブレーション、フォトリソグラフィ、化学エッチング、回転ダイカット、スタンピング、他の適切なネガティブもしくはポジティブ加工技術、又はそれらの組み合わせによって形成することができる。具体的には、図21を参照すると、紙又は他のシート材料30を、回転ダイ20及びアンビル10からなるニップ内に供給することができる。この例では、材料30は、中心コアを含んでも含まなくてもよい中心軸の周りに材料が巻かれたロール構成で保管される。回転ダイ20は、その上に、シート材料30に切り込むことが望ましいスリットパターンに対応する切り込み面22を有する。ダイ20は、所望の位置で材料30を貫通するように切り込んで、本明細書に記載のスリットパターンを形成する。同じプロセスを、平坦なダイ及び平坦なアンビルを用いて使用することができる。
【0147】
本開示の物品及び材料は、様々な方法で使用することができる。一実施形態では、二次元シート、材料、又は物品は、引張軸に沿って張力が加えられ、これにより、スリットが、本明細書に記載の開口部及び/又は折り曲げ壁を形成する、及び/又は動きをもたらす。いくつかの実施形態では、張力は、手又は機械によって加えられる。
【0148】
本開示は、初めは平坦なシートだが、力/張力が加えられると三次元構造に展開する物品について説明する。いくつかの実施形態では、このような構造は、エネルギー吸収構造を形成する。本明細書に記載のパターン、物品、及び構造は、多数の可能な用途を有し、それらのうちの少なくともいくつかは本明細書に記載されている。
【0149】
1つの例示的な用途は、輸送又は保管のために物体を保護することである。上記のように、既存の発送資材には、様々な欠点があり、例えば、使用前の保管時にスペースを占有し過ぎる(例えば、気泡ラップ、パッキングピーナッツ)ため、輸送コストが高くなる;製造するのに特別な機器を必要とする(例えば、膨張式エアバッグ);常に効果的であるとは限らない(例えば、しわ紙);及び/又は、広くリサイクル可能ではない(例えば、気泡ラップ、パッキングピーナッツ、膨脹式エアバッグ)ことが挙げられる。本明細書に記載の張力作動式拡張フィルム、シート、及び物品は、上記のいずれの欠点もなく、輸送中に物品を保護するために使用することができる。持続可能な材料から製造される場合、本明細書に記載の物品は、効果的かつ持続可能である。本明細書に記載される物品は、製造、発送、販売、及び保管時には平坦であり、ユーザが張力/力で作動させたときにのみ三次元になるため、これらの物品は、保管スペースを最大限に活用し、発送/搬送/包装コストを最小限に抑える上で、より効果的かつ効率的である。小売業者及びユーザは、比較的小さいスペースを使用して、元のサイズの10倍、20倍、30倍、又は40倍以上に拡張する製品を収容することができる。更に、本明細書に記載される物品は、使用が、簡単かつ非常に容易である。ユーザは、単にロールから製品を引き出す、又は製品の平坦なシートを取り出し、引張軸に沿って物品全体に張力を加えて(これは手又は機械で行うことができる)から、発送対象品の周りに製品を巻き付ける。多くの実施形態では、相互連結特徴部により、製品はそれ自体の別の層と相互連結することが可能になるため、テープは必要ない。
【0150】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のスリットパターンは、既存の提供物に勝る利点をもたらす包装材料及び/又は緩衝フィルムを作り出す。例えば、いくつかの実施形態では、本開示の包装材料及び/又は緩衝フィルムは、強化された緩衝能力又は製品保護を提供する。いくつかの実施形態では、本開示の包装材料及び/又は緩衝フィルムは、既存の提供物と比較して同様の又は強化された緩衝能力又は製品保護をもたらすが、既存の提供物よりも、再生利用可能である、及び/又はより持続可能である、もしくは環境に優しい。いくつかの実施形態では、本開示の包装材料及び/又は緩衝フィルムは、既存の提供物と比較して同様の又は強化された緩衝能力又は製品保護をもたらすが、拡張して、発送対象品の周りに巻き付けることができる。張力が加えられると形状を保持する構造が好まれる場合があるが、それは、多くの用途で、材料を所定の位置に保持するためのテープの必要性を排除することができるためである。
【0151】
以下の実施例は、本出願の範囲内の様々な実施形態のいくつかの例示的な構造及び構造化法について説明する。以下の実施例は、例示を目的としたものであり、本出願の範囲を限定することを目的としたものではない。
【実施例
【0152】
圧縮エネルギー試験:
【0153】
圧縮エネルギー試験を使用して、以下に記載の実施例又は比較例に従って調製された試料のエネルギー吸収能力を測定した。圧縮試験のために、所望のスリットパターンを含む、長さ36インチ(0.91m)及び幅7.5インチ(19cm)の試料を得た。試料の一端を、接着テープを使用してテーブルトップなどの平坦な表面上に固定した。次いで、試料を完全に展伸するまで延伸した。試料の完全な展伸は、試料が裂けることなく、材料の平面に対して、任意のフラップ領域及び/又は折り曲げ壁領域が面外へと最大限回転するように延伸可能な長さとして定義される。次いで、延伸された試料のテープ留めされていない端部を、幅6インチ(15.24cm)及び長さ8インチ(20.32cm)の矩形フレームの長辺のうちの1つに対して保持し、試料をフレームの周りにその長軸に沿って巻き付けた。試料の巻き付けは、試料の固定された端部に向かってフレームを前方にくるくると回転するように「移動する」(つまり、長軸を中心としてフレームを一度に180度回転させる)ことによって行った。フレームが固定された端部まで移動すると、試験試料の完全な展伸を維持しながら、材料のテープで留められた部分を注意深く取り外した。フレームを分解し、取り除いて、試験試料を形成した。本明細書に記載されるように調製された試験試料は、概ね、「ピロー」のような形状であった。
【0154】
圧縮エネルギー試験を、MTSロードフレーム[MTS Criterion Model C43 104E、Mechanical Testing Systems Corporation(Eden Prairie,MN)製]を使用して実施した。試験試料(「ピロー」)を、試料を保持するのに十分な大きさの底部プラテン上に置き、直径1.50インチ(3.81cm)のフットを使用して試料を上部から圧縮した。圧縮速度は1.0mm/秒であり、その力は最大1000lbs[4450N]であった。1秒当たり100データポイントの速度で各データポイントのタイムスタンプとともに、力対変位の情報を記録した。実施例/比較例ごとに2つの試料を試験した。実施例/比較例ごとに試料を破砕するために必要な平均圧縮エネルギー(すなわち、吸収された総エネルギーの平均)を、各試料の力対変位データを積分することによって計算し、2つの試料の平均を報告した。
【0155】
比較例1
【0156】
比較例1は、商品名「GEAMI WRAPPAK EX」でAmazon.comから入手した輸送包装材料であった。スリットパターンを含む茶色の紙部分を比較例1として使用した。「GEAMI WRAPPAK EX」は、Ranpak Corporation(Painesville、OH)によって製造されたと考えられる。比較例1のスリットパターンは、図1Aに示したものである。
【0157】
比較例2
【0158】
比較例2は、HexcelPack LLC.,[Botsford,CT]から商品名「HEXCELWRAP」で入手した輸送包装材料であった。
【0159】
比較例3~4及び実施例1
【0160】
比較例3~4及び実施例1の試料を、基材上にスリットパターンをレーザー切断することによって調製した。基材は、Boise Paper(Lake Forest,IL)から入手した白紙であった。この紙は、100%バージン繊維で作製されており、試験方法TAPPI T410 om-13に従って測定した場合の坪量が約82g/m、試験方法TAPPI T411 om-10に従って測定した場合の厚さが約0.0048インチ(0.12mm)、試験方法T414 om-12に従って測定した場合の引裂強度が、機械方向で約50g/プライ(ply)、横断方向で約60g/プライである。上記の参照試験方法は、Technical Association of the Pulp and Paper Industry(TAPPI)(Atlanta,GA)によって規定されている。このレーザー切断法は、高さzを0に設定して、80~100%の出力で切断するModel XLS 10.150Dレーザーカッタ(Universal Laser Systems,Inc.(Scottsdale,AZ)から入手)の使用を含んでいた。「アクリルの連続キャスト」のデフォルト設定を使用した。
【0161】
図11に示されるスリットパターンを使用して、比較例3を形成した。比較例3のスリットパターンは、比較例1のスリットパターンの複製であった。図12に示されるスリットパターンを使用して、比較例4を形成した。比較例4のスリットパターンは、米国特許第8,613,993号(David M.Kuchar)の図8Dに示されるスリットパターンである。図13に示されるスリットパターンを使用して、実施例1を形成した。
【0162】
実施例2~6
【0163】
実施例2~6の試料は、基材上にスリットパターンをレーザー切断することによって調製した。基材は、商品名「S-7051」で、Uline(Pleasant Prairie,WI)から入手した茶色の紙であった。その紙は、100%リサイクル紙で作製されており、試験方法TAPPI T410 om-13に従って測定した場合の坪量が約125g/m、試験方法TAPPI T411 om-10に従って測定した場合の厚さが約0.0075インチ(0.19mm)、試験方法T414 om-12に従って測定した場合の引裂強度が、機械方向で約100g/プライ、横断方向で約135g/プライである。このレーザー切断法は、高さzを0に設定して、80~100%の出力で切断するModel XL S10.150Dレーザーカッタ(Universal Laser Systems,Inc.(Scottsdale,AZ)から入手)の使用を含んでいた。「アクリルの連続キャスト」のデフォルト設定を使用した。
【0164】
図14に示されるスリットパターンを使用して、実施例2を形成した。図15に示されるスリットパターンを使用して、実施例3を形成した。図16に示されるスリットパターンを使用して、実施例4を形成した。図17に示されるスリットパターンを使用して、実施例5を形成した。図18に示されるスリットパターンを使用して、実施例6を形成した。
【0165】
実施例7
【0166】
実施例7の試料は、基材にスリットパターンを回転ダイカットすることによって調製した。基材は、実施例2~6において上述した茶色の紙であった。この回転ダイカット方法は、このスリットパターン専用に作製されたカスタムメイドの可撓性回転ダイの使用を含んでいた。ダイのブレード角度は74.00度で、シリンダーアンダーカットは0.0240インチ(0.61mm)であった。可撓性ダイを磁気シリンダに取り付け、フレーム内に保持し、紙を完全に切り込むのに十分な力でブランクダイに押し付けた。
【0167】
図19に示されるスリットパターンを使用して、実施例7を形成した。
【0168】
比較例1~4及び実施例1~7の試料を、上記で提供された圧縮エネルギー試験に従って試験した。比較例1~4及び実施例1~7のそれぞれの平均圧縮エネルギーを以下の表1に記載する。
【0169】
【表1】
【0170】
本文書において、用語「a」又は「an」は、特許文書において一般的であるように、任意の他の例、あるいは「少なくとも1つの(at least one)」又は「1つ以上の(one or more)」の使用と無関係に、1つ又は1つ以上を含むように用いられる。本文書において、用語「又は」は、非排他的な「又は」を指し、そのため、「A又はB」は、別途指示のない限り、「Aであるが、Bでない」、「Bであるが、Aでない」、及び「A及びB」を含む。本文書において、「含む(including)」及び「そこで(in which)」という用語は、対応する用語「備える/含む(comprising)」及び「そこで(wherein)」の平易な英語の同義語として使用される。また、添付の請求項において、用語「~を含む(including)」及び「~を備える(comprising)」はオープンエンドなものである。すなわち、請求項においてこのような用語の後に列挙された要素に加えて別の要素を含むシステム、装置、物品、組成物、調合物、又はプロセスは、依然として、その請求項の範囲内に含まれるとみなされる。更に、添付の請求項において、「第1の(first)」、「第2の(second)」、及び「第3の(third)」などの用語は、単に標示として使用され、対応する物体に数値的要件を課すことを意図していない。
【0171】
上記の説明は例示であることが意図されており、限定的であるとは意図されていない。例えば、上述の実施形態(又はそれらの1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて用いることができる。読者が技術的開示の本質を迅速に把握することを可能にするべく、米国特許法施行規則第1.72条(b)項に従うために要約書が提供されている。要約書は、請求項の範囲又は意味を解釈又は限定するために用いられることはないという了解の下で提示される。また、上述の発明を実施するための形態では、本開示を合理化するために様々な特徴が1つにまとめられている場合がある。これは、クレームされていない開示された特徴がいずれかの請求項に必須であることを意図するものと解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴に存し得る。それゆえ、添付の請求項は本明細書において実施例又は実施形態として発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は別個の実施形態として自立し、係る諸実施形態は様々な組み合わせ又は順列で互いに組み合わせることができることが企図されている。本発明の範囲は、添付の請求項を、係る請求項が主張する権利がある均等物の全範囲と併せて参照して決定することができる。
【0172】
端点による値範囲の記載は全て、その範囲内に含まれる全ての数を含むよう意図される(すなわち、1~10の範囲には、例えば、1、1.5、3.33、及び10が含まれる)。
【0173】
詳細な説明及び特許請求の範囲における、第1、第2、第3などの用語は、類似の要素同士を区別するために使用されるものであり、必ずしも順序又は時系列を説明するものとは限らない。そのように使用される用語は適切な状況下では互換的であること、及び本明細書に記載の本発明の実施形態は本明細書に記載又は例示したもの以外の順序で機能できるということを理解されたい。
【0174】
更に、詳細な説明及び特許請求の範囲における、上部、底部、上、下などの用語は、説明の目的で使用されるものであり、必ずしも相対的な位置を説明するものとは限らない。そのように使用される用語は適切な状況下では互換的であること、及び本明細書に記載の本発明の実施形態は本明細書に記載又は例示したもの以外の向きで機能できるということを理解されたい。
【0175】
当業者であれば、上述の実施形態及び実施態様の詳細には、それらの基礎をなす原理を逸脱することなく多くの変更が行われ得ることを理解するであろう。更に、本開示の趣旨及び範囲から逸脱しない、本開示に対する様々な改変及び変形が、当業者にとっては明らかであろう。したがって、本出願の範囲は、以下の特許請求の範囲及びその均等物によってのみ決定されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図20D
図20E
図21
【国際調査報告】