(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(54)【発明の名称】製剤カートリッジ用バルブシステム
(51)【国際特許分類】
B65D 83/28 20060101AFI20230222BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20230222BHJP
B05C 17/10 20060101ALI20230222BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20230222BHJP
A45D 19/00 20060101ALI20230222BHJP
F16K 17/14 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
B65D83/28 100
B05C11/10
B05C17/10
B05C5/00 101
A45D19/00 B
F16K17/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539076
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(85)【翻訳文提出日】2022-07-04
(86)【国際出願番号】 US2020066904
(87)【国際公開番号】W WO2021133949
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595100370
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジー
(72)【発明者】
【氏名】コトラーチク, ギャレット
(72)【発明者】
【氏名】クレサ, ラリー
(72)【発明者】
【氏名】フライジ, ダナ
(72)【発明者】
【氏名】レヴィ, デイミエン
(72)【発明者】
【氏名】シンクレア, ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ハフ, リチャード クレイグ., ザ セカンド
【テーマコード(参考)】
3B040
3E014
3H059
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
3B040AE09
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC03
3E014PC07
3E014PC12
3E014PD12
3E014PE09
3E014PE25
3H059AA13
3H059EE02
4F041AB01
4F041BA13
4F041BA32
4F041BA35
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4F042AB00
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4F042CB08
4F042CB12
4F042CB27
4F042FA23
4F042FA30
4F042FA39
4F042FA45
(57)【要約】
バルブシステムは、バルブ本体と、バルブキャップと、バルブプラグを備え、バルブ本体とバルブキャップの間のバルブプラグが半径方向および軸方向に圧縮され、中心孔がバルブ本体とバルブキャップを完全に貫き、バルブプラグを部分的に通って延在している。バルブシステムは、ヘアカラー製剤を含むことができるパケットに溶着される。次いで、1つまたは複数のパケットを、ディスペンシングデバイスと互換性のあるカートリッジ内に用いる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブシステムであって、
バルブ本体、
バルブキャップ、および
バルブプラグを備え、
前記バルブ本体と前記バルブキャップの間の前記バルブプラグが半径方向および軸方向に圧縮され、
中心孔が前記バルブ本体および前記バルブキャップを完全に貫き、前記バルブプラグを部分的に通って延在している、システム。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブシステムであって、
前記バルブプラグがシリコーンまたはシリコーンコポリマーエラストマーである、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のバルブシステムであって、
前記バルブプラグの表面の外側にコーティングを有する、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のバルブシステムであって、
前記バルブプラグが、外径の異なる2つ以上のセクションを備える、システム。
【請求項5】
請求項4に記載のバルブシステムであって、
前記外径の異なる2つ以上のセクションの間に円錐状セクションを備える、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のバルブシステムであって、
前記バルブ本体が、前記バルブ本体の円周上に複数のフィンを備える、システム。
【請求項7】
請求項6に記載のバルブシステムであって、
前記バルブ本体は、前記バルブキャップを前記バルブ本体に固定する第1のかえしおよび第2のかえしを有するフランジを備える、システム。
【請求項8】
請求項7に記載のバルブシステムであって、
前記バルブキャップが、前記第1のかえしおよび前記第2のかえしと係合するスロットを有する複数のフランジを備える、システム。
【請求項9】
請求項6に記載のバルブシステムであって、
前記フランジが楕円形である、システム。
【請求項10】
請求項1に記載のバルブシステムであって、
前記バルブ本体が孔を有するディスクを備え、
前記バルブプラグが前記ディスク上に支持されている、システム。
【請求項11】
パケットであって、
請求項1のバルブシステムを溶着で固定するために共に溶着された1つまたは複数のシート、および
前記パケット内のヘアカラー製剤を備える、パケット。
【請求項12】
カートリッジであって、
外側ハウジング、および
前記バルブシステムを介して前記外側ハウジングに固定された請求項11に記載のパケットを備える、カートリッジ。
【請求項13】
請求項12に記載のカートリッジであって、
第1のパケットおよび第2のパケットを備え、
前記第1のパケットがヘアカラー製剤を含み、
前記第2のパケットが顕色剤を含む、カートリッジ。
【請求項14】
パケットの製造方法であって、
前記パケットを備えるシートの間にバルブ本体を溶着することによって前記バルブ本体を組み立てるステップ、
前記パケットに製剤を充填するステップ、
前記バルブ本体内にバルブプラグを配置するステップ、および
前記バルブプラグを半径方向および軸方向に圧縮しながら、前記バルブ本体にバルブキャップを固定するステップを含み、
中心孔が前記バルブ本体および前記バルブキャップを完全に貫き、前記バルブプラグを部分的に通って延在し、前記パケットを密封する、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記パケットは、ヘアカラー製剤またはヘアカラー顕色剤が充填されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本出願は、2019年12月26日に出願された米国仮出願第62/953,689号の利益を主張するものであり、この内容は、該仮出願を参照することによりこの全体が本明細書に援用される。
【発明の概要】
【0003】
複数回使用しても漏れない製剤カートリッジ用のバルブシステムを開示する。バルブシステムを備える製剤カートリッジは、カートリッジから1つまたは複数の製剤を汲み出す電子デバイスと互換性があり、電子デバイスに挿入することができる。電子ディスペンシングデバイスは、1つまたは複数の製品を吐出するために、1つまたは複数の製剤カートリッジを含むことができる。吐出できる製品には、染料などのヘアケア製品、ローションやクリームなどのスキンケア製品などが含まれるが、これらに限定されない。
【0004】
一実施形態では、バルブは、バルブ本体とバルブキャップの間で圧縮されたシリコーンバルブプラグを含む。
【0005】
一実施形態では、シリコーンバルブプラグが、がシリコーンもしくはシリコーンコポリマーエラストマーまたはこれらの誘導体から選択される。
【0006】
一実施形態では、シリコーンバルブプラグは、適切な圧力量で適切な流量とできるように寸法決めされたスリットを有する。
【0007】
一実施形態において、シリコーンバルブプラグは、コーティングを有する。
【0008】
一実施形態では、バルブシステムは、製造時から消費者の使用時までの間に製剤が漏れないように提供される。
【0009】
一実施形態では、バルブシステムは、カートリッジがデバイスに係合されると、ディスペンシングデバイス内で適切に機能する(カートリッジが挿入されても漏れない)ように提供される。
【0010】
一実施形態では、バルブシステムは、カートリッジから製剤が適切に流れられるようになるために設けられている。
【0011】
一実施形態では、バルブシステムは、カートリッジがデバイスから外れたときに漏れないように設けられている。
【0012】
本概要は、以下の「発明を実施するための形態」でさらに記載される概念の選択を簡略化して紹介するために提供される。本概要は、クレームされた主題の主要な特徴を特定することを意図したものではなく、また、クレームされた主題の範囲を決定する際の補助として使用することを意図したものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の上述の態様および付随する利点の多くは、添付の図面と併せ、以下の発明を実施するための形態を参照することにより、同様のことがよりよく理解できるようになるにつれて、より容易に理解されるであろう。
【0014】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係るディスペンシングデバイスおよび製剤カートリッジの図である。
【0015】
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態に係るディスペンシングデバイスおよび製剤カートリッジの図である。
【0016】
【
図3A】
図3Aは、本開示の一実施形態に係る、
図1および
図2の製剤カートリッジと共に使用するためのパケットの図である。
【0017】
【
図3B】
図3Bは、本開示の一実施形態に係る、
図1および
図2の製剤カートリッジと共に使用するためのパケットの図である。
【0018】
【
図3C】
図3Cは、本開示の一実施形態に係る、
図1および
図2の製剤カートリッジと共に使用するためのパケットの図である。
【0019】
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態に係る、組み立てられたバルブシステムの図である。
【0020】
【
図5】
図5は、本開示の実施形態に係る、
図3A、3B、および3Cのパケット内に使用するための
図4のバルブシステムの構成要素を示す分解立体図である。
【0021】
【0022】
【
図7】
図7は、
図4のバルブシステムのバルブキャップの断面図である。
【0023】
【
図8】
図8は、
図4のバルブシステムのバルブプラグの断面図である。
【0024】
【
図9】
図9は、
図4のバルブシステムのバルブ本体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1および
図2は、ディスペンシングデバイス100および製剤カートリッジ200の一実施形態の図を示す。本開示のバルブシステムを、
図1のディスペンシングデバイス100および製剤カートリッジ200の文脈で説明するが、バルブシステムは、ディスペンシングデバイス100および製剤カートリッジ200のみに限定されないアプリケーションを有する。
【0026】
一実施形態において、ディスペンシングデバイス100は、充電式電池もしくは非充電式電池または家庭用交流電流によって電力を供給することができる手持ち式の電気製品である。一実施形態において、ディスペンシングデバイス100は、ヘアカラー製剤などのヘアトリートメント製品を塗布するように構成される。一実施形態において、ディスペンシングデバイス100がヘアカラー製剤を吐出するように構成されている場合、ディスペンシングデバイス100は、製剤ディスペンシング毛102に隣接する複数の可撓性毛104を含むことができる。一実施形態において、毛(bristles)104の第1の列および第2の列は、製剤ディスペンシング毛102の右側および左側に、製剤ディスペンシング毛102の列に沿ってそれぞれ設けられる。一実施形態において、毛102および104は、軟質プラスチックまたは軟質エラストマーから作製される。一実施形態において、製剤ディスペンシング毛102は、製剤が毛の中を通って移動可能となるための中心孔を有する。一実施形態において、マッサージ毛104は、遠位端にボールチップを備える。毛104の各列は、製剤ディスペンシング毛102の側面に沿った一列の毛104を備える。さらに、各毛104は、単数であり、同じ根元から延びる2つ以上の毛104を有しない。毛104は、どちらの列においても単数で並んでおり、同じ列で隣接する毛104は等間隔で配置されている。毛104の右列と左列は、毛の配置、毛の間隔、および毛の高さが一致し得る。製剤ディスペンシング毛102を、隣接するマッサージ毛104の間隔の間に配置することができる。毛102および104の高さは均一とできるが、均一である必要はない。一列に並ぶマッサージ毛104および製剤ディスペンシング毛102の数は、3~10個、または3~6個、または3~4個などの少ない数である。
【0027】
一実施形態において、製剤カートリッジ200は、ディスペンシングデバイス100に挿入可能である。この目的のために、ディスペンシングデバイス100の端部106は、製剤カートリッジ200の大部分がディスペンシングデバイス100内に収容されるように、製剤カートリッジ200を挿入することが可能となる開口部を有する。製剤カートリッジ200は、可撓性アーム上のランプ(ramp)のような戻り止めによって、ディスペンシングデバイス100内の位置にロックされる。反対に、戻り止めを押し下げることによって、製剤カートリッジ200をディスペンシングデバイス100から解放することができる。
【0028】
通常、1つまたは複数の制御ボタン108は、ディスペンシングデバイス100上に位置付けられることになる。一実施形態において、ディスペンシングデバイス100の外側ハウジングを、意図されるアプリケーションに応じて、プラスチック、金属、または組み合わせなどの硬質材料から作製することができる。一実施形態において、充電式電池または非充電式電池などの電源、およびモータを、ディスペンシングデバイス100内に収容することができる。一実施形態では、モータは、ポンプを駆動して製剤を吐出する。同様に、一実施形態において、製剤カートリッジ200の外側ハウジングを、アプリケーションに応じて、硬質プラスチック、金属、または組み合わせから作製することができる。一実施形態において、製剤カートリッジ200は、使い捨て可能に製造される。一実施形態において、製剤カートリッジ200のハウジングは使い捨てではないが、ハウジングに収容される製剤パケットは使い捨て可能である。
【0029】
一実施形態において、製剤カートリッジ200の外側ハウジングは、規則的な形状または不規則的な形状を含む任意の幾何学的形態を有することができる。一実施形態において、製剤カートリッジ200は、円形、三角形、正方形、長方形、多角形、規則的な形状もしくは不規則的な状など、および他の対称的な形状および非対称的な形状、またはこれらの組み合わせを含む実質的に任意の幾何学的形状の断面を有する。一実施形態では、製剤カートリッジ200は、長さの大部分(すなわち、ディスペンシングデバイス100に挿入される部分)について半円形状部分204で半円形の断面を有し、外側の残った部分について円筒形状部分202で円形の断面を有している。円筒形状部分202は、ディスペンシングデバイス100の形状のために円形にされる。
【0030】
図示の実施形態では、製剤カートリッジ200は、第1部分である円筒形状部分202と第2部分である半円形状部分204とを有するハウジングを備える。半円形状部分204はディスペンシングデバイス100に挿入可能である。一方、円筒形状部分202は大部分が外側に残り、ディスペンシングデバイス100の延長として機能する。
【0031】
一実施形態では、製剤カートリッジ200がディスペンシングデバイス100に挿入されると、電気接点が作られる。一実施形態において、電気接点によって、製剤カートリッジ200内の電子機器を、ディスペンシングデバイス上のボタン108を介して操作することが可能になる。一実施形態において、ディスペンシングデバイス100が、製剤カートリッジ200との電気接点が作られたことを感知すると、モータを作動させることが可能になる。
【0032】
図3A、
図3B、
図3Cは、本開示の一実施形態に係るパケット300の図である。1つまたは複数のパケット300は、
図1および
図2に示すように、製剤カートリッジ200に収容される。各パケット300は、アプリケーションに応じて異なる製剤を備えることができる。例えば、ヘアカラー製剤の場合、カラー製剤と顕色剤とを別々のパケット300内に含むことができる。一実施形態において、顕色剤には、少なくとも過酸化水素または他の酸化剤が含まれる。一実施形態において、パケット300は、製剤カートリッジ200の半円形状部分204内に適合するように寸法決めされた概ね長方形の形状を有する。パケット300を可撓性シート材料から作製することができる。可撓性シート材料は、パケットの中に入れられることが意図される製剤に対して不浸透性および/または耐薬品性または不活性である。一実施形態では、パケット300は、パケットに不浸透性、耐薬品性、および溶着性(weldability)を与えるために、複数のプライシートで作製される。例えば、金属化されたシートおよび箔は、パケット300に不浸透性を与えることができる。一実施形態では、熱溶着可能な材料によって、パケットを形成する縁に沿って、2つの同様のシートまたは二重のシートに対する溶着が可能となる。溶着可能な材料によって、バルブシステムの周囲の熱溶着シールが可能になる。
【0033】
一実施形態では、バルブシステム400は、パケット300の寸法の短い側面の1つの面に沿ってパケット300に取り付けられる。
【0034】
バルブシステムは、
図4、5、6、7、8、および9に示されている。一実施形態において、バルブシステム400は、バルブ本体402と、バルブキャップ404と、バルブプラグ406とを含む。一実施形態において、エラストマー性バルブプラグ406は、シリコーンを含むエラストマーである。一実施形態において、バルブプラグ406は、コーティングされている。一実施形態において、バルブ本体402は、モノリシックな材料片から作製される。一実施形態において、バルブプラグ406は、モノリシックな材料片から作製される。一実施形態において、バルブキャップ404は、モノリシックな材料片から作製される。
【0035】
一実施形態において、バルブ本体402およびバルブキャップ404は、ポリエチレンまたはポリエチレンのコポリマーなどの半硬質非エラストマー性プラスチックのような同様の材料から作製される。一実施形態において、バルブ本体402は、中央円筒セクション408を有し、中央円筒セクション408は全体的にこの中を貫き延在する中央孔を有する。中央円筒セクション408は、中央円筒セクション408の孔よりも小さい孔460を有する底部ディスク410を有している。したがって、バルブプラグ406は、底部ディスク410に載ることによって中央円筒セクション408の内側に支持され、底部ディスク410の孔460によって、製剤がバルブシステムを通過することができるようになる(
図9参照)。
【0036】
一実施形態において、バルブ本体402は、中央円筒セクション408の中心軸に対して半径方向および垂直に延びるフランジ412を有する。フランジ412は、中央円筒セクション408の上部外周の周囲に延在している。フランジ412は、バルブ本体402の円形の開口部と比較して、長軸と短軸とを有する楕円形で画定され得る外周を有する。
【0037】
フランジ412の上面は、1つまたは複数のコネクタまたは戻り止めを支持する。一実施形態において、第1の1組のかえし414、416は、フランジ412上の片側に、フランジ412に対して垂直に設けられ、第2の1組のかえし418、420は、第1の1組のかえしに対して反対側に、フランジ412に対して垂直に設けられる。かえし414、416、418、420は、フランジ412から離れる方向に向けられ、かえしまたはランプ傾斜は、半径方向に外側に傾いている。かえし414、416、418、420は、かえしセクションおよびステムセクションを含むことを意味する。一実施形態では、各組の1つのかえし414および418は、楕円の長軸を中心として位置し、各組の2つ目のかえし416、420(中心から外れたかえし)は、楕円の長軸を中心とするかえし414、416に対して反時計回りの方向に配置されている。かえし414、416および418、420の組は、互いに正対して配置され、バルブ本体402の開口部の隣に並置される。かえし414、416、および418、420の各組は、バルブ本体402の開口部の周りの円周の約4分の1未満を占め、これによって、円周に隣接する2つの対向する空間が残される。以下に説明するように、かえしの各組における1つのかえし(中心から外れたかえし)は、充填ステップの後に折れるように設計されており、もう1つの組の残ったかえしは、バルブキャップ404を固定するために使用される。一実施形態では、かえし414および418などの単一のかえしが、フランジ412の各側に配置される。
【0038】
フランジ412の下のバルブ本体402は、フランジ412と平行に、フランジ412の下に配置された薄く細長い帯のような複数のフィン422を有する。フィン422は、バルブ本体402の外側に対して垂直である。フィン422は、バルブ本体402の円周の周りに配置されている。フィン422は、隣接するフィンから間隔をあけて配置されている。フィン422がウイング424、426に接合される際に先細りになるように、中実の薄い材料のウイング424、426は、フランジ412の両側の長軸の各端から、フランジ412の下側から、半径方向に、下方に延びている(
図9)。したがって、長軸の両側のフィン422の端部は、ウイング424、426に接合されることによって固定化され、フィン422の端部が曲がって漏洩箇所に発展することを防ぐ。フィン422は、パケット300を密封するためのものである。
【0039】
一実施形態では、第1のスティフナーロッド428および第2のスティフナーロッド430は、ディスク410の底面に垂直に接合される。第1のスティフナーロッド428および第2のスティフナーロッド430は、フランジ412の長軸とインラインで配置されるが、バルブ本体402の反対側で配置される。第1のスティフナーロッド428および第2のスティフナーロッド430は、パケット300内に配置することができる長さを有し、さらなる剛性を与えるために、バルブ本体402とは反対側の端部で互いに接合されることができる。第1のスティフナーロッド428および第2のスティフナーロッド430は、十字形の断面形状または剛性を付加する任意の形状を有することができる。フィン422がパケット300の短い側面の方向で2つのシート間に熱溶着され、フランジ412がパケット300の短辺のすぐ上に突出し、スティフナーロッド428、430がパケット300内にあるように、バルブ本体402は、パケット300上に配置される。
【0040】
一実施形態では、バルブプラグ406を、シリコーンまたはこのコポリマーもしくはこれらの誘導体から作製する。バルブプラグ406の材料は、エラストマーである。一実施形態において、バルブプラグ406の外面および周囲はコーティングされている。一実施形態において、バルブプラグ406の一端は、貫通し、製剤を吐出できるように構成されている。
【0041】
図8を参照すると、一実施形態において、バルブプラグ406は、外径が異なる4つのセクションを有する円筒形状を有する。最大の外径セクションは中心軸の一端にあり、最小の外径は中心軸の反対側の端にある。最大の外径セクション432は、中心軸に沿って最小限の距離だけ延びている。最大の外径セクション432は、通常、外側に突出するリングであり、バルブ本体402の内側にある円形溝内でアンカーとして機能する。
【0042】
バルブプラグ406の2番目に大きい外径セクション434は、最大の外径セクション432の後に並置される。2番目に大きい外径セクション434は、バルブ本体402中に配置されたときに、フランジ412の上端からほんの少し上に出るように、かつ圧縮されることなく、バルブプラグ406の中心軸に沿って十分に延在している(
図3A)。後で説明するように、バルブプラグ406は、バルブ本体402とバルブキャップ404との間で軸方向に圧縮される。
【0043】
バルブプラグ406の3番目に大きい外径セクション436は、2番目に大きい外径セクション434の後に、鋭利に画定された段差466または肩部を経て並置される。
【0044】
4番目に大きい外径セクション438、すなわち、バルブプラグ406の最小の外径セクションは、3番目に大きい外径セクション436の後に、徐々に小さくなる円錐状セクション440を経て並置される。3番目に大きい外径セクション436と4番目に大きい外径セクション438との間の円錐状移行セクション440によって、半径方向の圧縮を通じてバルブプラグ406とバルブキャップ404との間の密封性を向上させることができる。
【0045】
バルブプラグ406は、少なくとも、最大の外径セクション432、2番目に大きい外径セクション434、および3番目に大きい外径セクション436を貫いて延在する予め形成された中央孔456を有する。しかし、中央孔456は、4番目に大きい外径セクション438の全てを貫いては延在していない。したがって、バルブプラグ406は、4番目に大きい外径セクション438の端で密封され、最初は漏れを防ぐためのシールとして機能する。本明細書で説明するように、バルブプラグ406中にスリットまたは開口部を設けて、所望のときに製剤の通過が可能になるようにするが、使用しないときには漏れを防止する。例えば、ディスペンシングデバイス100は、4番目に大きい外径セクション438を突き刺すための中空針を有することができ、スリットまたは開口部は、カートリッジ200がディスペンシングデバイス100に挿入されるときに作製される。カートリッジ200をディスペンシングデバイス100から引き抜くと、スリットまたは開口部はこれ自体を再び閉じることができる。
【0046】
一実施形態において、最大の外径セクション432におけるバルブプラグ406の中心軸に垂直な底面は、中心孔よりも直径が大きい溝458を有することができるので、最大の外径セクション432においてバルブプラグ406とバルブ本体402との間でより良い密封性を達成することができる(
図8)。
【0047】
図7を参照すると、バルブキャップ404は、全体的にこの中を貫いて延在する中央孔を有し、概ね円筒形の外形形状を有している。バルブキャップ404は、バルブキャップ404の長さ全体にわたって延在する中央孔を有する。バルブキャップ404は、バルブ本体402上にカチッと嵌まり(snap)、この過程でバルブプラグ406をバルブキャップ404とバルブ本体402の間で圧縮するように構成されている。
【0048】
バルブプラグ406は、最大の外径セクション432がバルブ本体402のディスク410に載るようにバルブ本体402内に配置される。したがって、バルブキャップ404の中央孔は、バルブプラグ406の外径セクションと一致するような内径セクションを有している。すなわち、バルブキャップ404の中央孔は、462で、4番目に大きい外径セクション438よりもわずかに小さい内径を有し、続いて、4番目に大きい外径セクション438と3番目に大きい外径セクション436との間の円錐状移行セクション440に一致する内径464を有する。2番目に大きい外径セクション434はバルブ本体402内に存在し得るので、バルブキャップ404は2番目に大きい外径セクション434と一致する内径を有しない。バルブプラグ406の円錐状セクション440は、バルブキャップ404の対応する直径464に接しており、通常、バルブプラグ406がバルブキャップ404にさらに挿入されるのを防止するためのストップとして作用する。バルブキャップ404の内径は、バルブプラグ406の外径寸法よりわずかに小さくして、バルブキャップ404とバルブプラグ406の間、およびバルブプラグ406とバルブ本体402の間の、半径方向と軸方向の両方で圧縮シールをもたらすことができる。
【0049】
バルブプラグ406と反対側にあるバルブキャップ404の内径468は、製剤ディスペンシング毛102につながる、ディスペンシングデバイス100上のコネクタを受け入れるように構成されている。
【0050】
バルブキャップ404は、バルブ本体402に面する開口部の周囲に対向して配置された2つのドッグ442、444(
図6)を有し、各ドッグはバルブキャップ404の中心軸に対して垂直に延びている。ドッグ442、444は、ドッグ442、444をロックするねじり動作によって、ランプの高い側の後ろに、組み立てられたバルブシステムを備えるパケット300をカートリッジ200のハウジングに取り付けるためのものである。
【0051】
バルブキャップ404は、中央部から半径方向に延びる第1のフランジ446および第2のフランジ448を有するが、円周の一部分のみである。第2のフランジ448は、第1のフランジ446に対して正反対に配置される。第1のフランジ446および第2のフランジ448は、バルブキャップ404の外周に、ドッグ442、444を備える端部から、その長さの1/3~1/4程度のところで配置される。第1のフランジ446および第2のフランジ448は、ドッグ442、444に対して、ドッグ442、444が占めていない円周を占めるように、始点及び終点を有するが、異なる高さにある(
図6)。ドッグ442、444の上側と、フランジ446、448の下側との間の高低差または空間差は、通常、カートリッジ200の上部のハウジングの厚さと一致する。バルブキャップ404は、パケット300をカートリッジ200に取り付ける際に使用される。
【0052】
第1のフランジ446および第2のフランジ448はそれぞれスロット450、452を有する。通常、スロット450、452は、円周に延在するが、スロットが位置するそれぞれのフランジによって全体的に囲われる。各スロット450、452は、半径方向寸法に幅広である幅広スロットセクション470(例としてスロット450を使用)を有し、幅狭スロットセクション472の隣に並置されている(幅狭とは半径方向寸法に幅が狭いことを意味する)。各スロットセクションの円周方向の長さは、幅広スロットセクションおよび幅狭スロットセクションがかえし414、416、418、420のうちの1つを受け入れるように設計されているので、バルブ本体402のかえし414、416、418、420のうちの1つのかえしが占める円周と一致し得る。幅広スロットセクション470で始まるランプを有する半径方向のかえし454は、各フランジ446、448において半径方向に内側へ幅狭スロットセクション472に向かって傾いている。かえし414、416、418、420の1つを幅広スロットセクション470に垂直に通し、次に、バルブ本体402のかえしが、半径方向のかえし454を過ぎて幅狭スロットセクション472内にカチッと嵌まるように、バルブキャップ404をねじる。幅狭スロットセクション472の半径方向の幅は、ちょうどかえしのステムを受け入れるのに十分な大きさとできるが、ランプを受け入れることはできない。したがって、かえし414、416、418、420のうちの1つは、フランジ446、448のうちの1つに載ることによって垂直に固定され、半径方向のかえし454によって半径方向にも固定される。バルブ本体402およびバルブキャップ404がポリエチレンなどの半硬質プラスチックから作製される場合、かえしの永久的な変形をほとんど伴わずに、反対方向にねじることによってバルブキャップ404をバルブ本体402から外すことが可能である。
【0053】
図3Aを参照すると、パケット300を作製するには、まず、バルブ本体402をパケット300の短辺に溶着して、フィン422がパケット300の2つのシートの間に溶着され、フランジ412がパケット300の縁より上に突出するようにする。次いで、バルブ本体402に充填スパウトを取り付け、所定量の製剤を注入する。充填機は、中心から外れたかえし416、420の一方を使用して、充填スパウトをパケット300に接続することができる。次いで、液体製剤の注入が完了したら、中心から外れたかえし416、420を折って、充填機をパケット300から切り離すことができる。さらに、中心から外れたかえし416、420を折ると、バルブ本体402をバルブプラグ406およびバルブキャップ404と組み立てることができる。一実施形態では、フランジ446と448は、単一のかえしを収容することができる幅広スロットセクション470と幅狭スロットセクション472を有する。
【0054】
図3Bを参照すると、バルブプラグ406は、最大の外径セクション432がバルブ本体402に面するか、最小かつ4番目の外径セクション438がバルブキャップ404に面するかのどちらかの状態でバルブ本体402内に配置される。かえし416と420が折られた状態で、残りの2つの中心のかえし414、418を、フランジ446、448の幅広スロットセクション470内に垂直にぴったり嵌め込むことができる。次いで、バルブキャップ404をバルブ本体402上でねじり、かえし414、418をフランジ446、448の幅狭スロットセクション472にカチッと嵌め、したがって、バルブプラグ406をバルブ本体402とバルブキャップ404との間で圧縮して漏れ防止シールを生成する(
図3C)。組み立てられたバルブシステムは、今や、バルブ本体402を完全に貫き、バルブプラグ406の一部を通り、およびバルブキャップ404を完全に貫く中央孔開口部を有する。一実施形態では、バルブシステムは、バルブプラグ406の最小の第4の外径セクション438によって製剤が吐出することを防止する。次に、ドッグ442、444がカートリッジ200のハウジングの下にあり、一方、フランジ446、448がカートリッジ200のハウジングの上にあるように、パケット300を配置することによって、パケット300をカートリッジ200に組み立てる準備ができる。このように、パケット300をカートリッジ200に固定する。
【0055】
カートリッジ200をディスペンシングデバイスに挿入すると、中空針または平らな中空針がバルブプラグ406を突き刺し、パケット300から製剤を取り出し可能にできる。
【0056】
例示的実施形態を図示して説明してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、例示的実施形態に様々な変更が可能であることを理解されたい。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パケットであって、
バルブシステム、および
前記パケット内のヘアカラー製剤を備え、
前記バルブシステムは、
バルブ本体、
バルブキャップ、および
バルブプラグを備え、
前記バルブ本体と前記バルブキャップの間の前記バルブプラグが半径方向および軸方向に圧縮され、
中心孔が前記バルブ本体および前記バルブキャップを完全に貫き、前記バルブプラグを部分的に通って延在して
おり、
1つまたは複数のシートを共に溶着して前記バルブシステムを溶着で固定することを特徴とする、パケット。
【請求項2】
請求項1に記載の
パケットであって、
前記バルブプラグがシリコーンまたはシリコーンコポリマーエラストマーである、
パケット。
【請求項3】
請求項1に記載の
パケットであって、
前記バルブプラグの表面の外側にコーティングを有する、
パケット。
【請求項4】
請求項1に記載の
パケットであって、
前記バルブプラグが、外径の異なる2つ以上のセクションを備える、
パケット。
【請求項5】
請求項4に記載の
パケットであって、
前記外径の異なる2つ以上のセクションの間に円錐状セクションを備える、
パケット。
【請求項6】
請求項1に記載の
パケットであって、
前記バルブ本体が、前記バルブ本体の円周上に複数のフィンを備える、
パケット。
【請求項7】
請求項6に記載の
パケットであって、
前記バルブ本体は、前記バルブキャップを前記バルブ本体に固定する第1のかえしおよび第2のかえしを有するフランジを備える、
パケット。
【請求項8】
請求項7に記載の
パケットであって、
前記バルブキャップが、前記第1のかえしおよび前記第2のかえしと係合するスロットを有する複数のフランジを備える、
パケット。
【請求項9】
請求項
7に記載の
パケットであって、
前記フランジが楕円形である、
パケット。
【請求項10】
請求項1に記載の
パケットであって、
前記バルブ本体が孔を有するディスクを備え、
前記バルブプラグが前記ディスク上に支持されている、
パケット。
【請求項11】
カートリッジであって、
外側ハウジング、および
前記バルブシステムを介して前記外側ハウジングに固定された請求項
1に記載のパケットを備える、カートリッジ。
【請求項12】
請求項
11に記載のカートリッジであって、
第1のパケットおよび第2のパケットを備え、
前記第1のパケットがヘアカラー製剤を含み、
前記第2のパケットが顕色剤を含む、カートリッジ。
【請求項13】
パケットの製造方法であって、
前記パケットを備えるシートの間にバルブ本体を溶着することによって前記バルブ本体を組み立てるステップ、
前記パケットに製剤を充填するステップ、
前記バルブ本体内にバルブプラグを配置するステップ、および
前記バルブプラグを半径方向および軸方向に圧縮しながら、前記バルブ本体にバルブキャップを固定するステップを含み、
中心孔が前記バルブ本体および前記バルブキャップを完全に貫き、前記バルブプラグを部分的に通って延在し、前記パケットを密封する、方法。
【請求項14】
請求項
13に記載の方法であって、
前記パケットは、ヘアカラー製剤またはヘアカラー顕色剤が充填されている、方法。
【国際調査報告】