(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(54)【発明の名称】ポリビニルアルコールフィルムと、カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物とを含む水溶性単位用量物品
(51)【国際特許分類】
C11D 3/37 20060101AFI20230222BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20230222BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20230222BHJP
C11D 1/22 20060101ALI20230222BHJP
C11D 1/29 20060101ALI20230222BHJP
C11D 1/83 20060101ALI20230222BHJP
C11D 1/94 20060101ALI20230222BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20230222BHJP
D06L 1/12 20060101ALI20230222BHJP
B65D 65/46 20060101ALI20230222BHJP
B65D 30/22 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
C11D3/37
C11D17/04 ZBP
C11D17/08
C11D1/22
C11D1/29
C11D1/83
C11D1/94
C11D3/50
D06L1/12
B65D65/46
B65D30/22 F
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539144
(86)(22)【出願日】2021-06-18
(85)【翻訳文提出日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 US2021037983
(87)【国際公開番号】W WO2021257932
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】デポート、カレル・ヨゼフ・マリア
(72)【発明者】
【氏名】ウォルラヴェンス、ワウテル
(72)【発明者】
【氏名】ヴォロント、セドリック・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】フライター、クリスティン・リン
(72)【発明者】
【氏名】シヴィク、マーク・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】グッド、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ギャニオン、マイケル・ディー
(72)【発明者】
【氏名】バークハート、ブランドン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ルー、ヘレン
(72)【発明者】
【氏名】チウ、ウェイミング
【テーマコード(参考)】
3E064
3E086
4H003
【Fターム(参考)】
3E064AA09
3E064BA40
3E064BC20
3E064EA14
3E064FA04
3E064HT05
3E086AB01
3E086AD01
3E086BA04
3E086BA15
3E086BB72
3E086CA35
3E086CA40
4H003AB03
4H003AB19
4H003AB31
4H003AC08
4H003AC13
4H003AE02
4H003BA12
4H003BA18
4H003DA01
4H003DC02
4H003EA12
4H003EA19
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB05
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB09
4H003EB14
4H003EB24
4H003EB28
4H003EB34
4H003EC01
4H003EC02
4H003ED02
4H003FA09
4H003FA16
4H003FA19
4H003FA26
4H003FA28
(57)【要約】
ポリビニルアルコールフィルムとカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物とを含有する水溶性単位用量物品、当該水溶性単位用量物品を作製する方法、及び当該水溶性単位用量物品を使用する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性フィルムと液体洗濯処理組成物とを含む水溶性単位用量物品であって、
前記水溶性フィルムが、ポリビニルアルコールを含み、内部区画を作成するように成形され、前記液体洗濯処理組成物が、前記内部区画内に収容され、
前記液体洗濯処理組成物が、カチオン変性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む、水溶性単位用量物品。
【請求項2】
前記カチオン変性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、少なくとも1つの正帯電有機基で置換されたカチオン変性ポリα-1,6-グルカンを含み、前記ポリα-1,6-グルカンがグルコースモノマー単位の骨格を含み、前記グルコースモノマー単位の少なくとも65%がα-1,6-グリコシド結合を介して結合しており、
前記カチオン変性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が、約0.001~約3、好ましくは0.01~1.5、より好ましくは0.01~1.0、更により好ましくは0.01~0.8、最も好ましくは0.03~0.7、又は0.04~0.6、又は0.05~0.5の置換度を有し、以下のi~iv:
i)少なくとも5、好ましくは5~6000、より好ましくは50~5000、又は100~4000、又は250~3000、又は500~2000、又は750~1500、又は1000~1400、又は1100~1300の重量平均重合度;
ii)1000~500,000ダルトン、好ましくは10,000~400,000ダルトン、又は40,000~300,000ダルトン、又は80,000~約300,000ダルトン、又は約100,000~250,000ダルトン、又は150,000~250,000ダルトン、又は180,000~225,000ダルトン、又は180,000~200,000ダルトンの重量平均分子量;
iii)前記少なくとも1つの正帯電有機基での置換前に決定される、900~450,000ダルトン、好ましくは10,000~350,000ダルトン、又は50,000~350,000ダルトン、又は90,000~300,000ダルトン、又は125,000~250,000ダルトン、又は150,000~200,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリα-1,6-グルカンから誘導される;
iv)これらの混合物;
のうちの少なくとも1つを特徴とする、請求項1に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項3】
前記骨格グルコースモノマー単位の少なくとも3%、又は少なくとも5%、好ましくは5%~35%、より好ましくは5%~30%、より好ましくは5%~30%、より好ましくは5%~25%、更により好ましくは5%~20%が、α-1,2及び/又はα-1,3-グリコシド結合を介した分岐を有する、請求項1に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項4】
前記正帯電有機基が置換アンモニウム基、好ましくは第四級アンモニウム基を含み、より好ましくは前記第四級アンモニウム基が少なくとも1つのC
1~C
18アルキル基を含み、更により好ましくは前記第四級アンモニウム基が少なくとも1つのC
1~C
4アルキル基を含み、最も好ましくは前記第四級アンモニウム基が2つのC
1~C
4アルキル基又は更には3つのC
1~C
4アルキル基を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項5】
前記第四級アンモニウム基が、少なくとも1つのC
10~C
16アルキル基を含み、好ましくは、前記第四級アンモニウム基が、少なくとも1つのC
10~C
16アルキル基と2つのC
1~C
4アルキル基を含む、請求項4に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項6】
前記第四級アンモニウム基が、トリメチルアンモニウム基を含む、請求項3又は4に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項7】
前記正帯電有機基が第四級アンモニウムヒドロキシアルキル基を含み、好ましくは、前記第四級アンモニウムヒドロキシアルキル基が第四級アンモニウムヒドロキシメチル基、四級アンモニウムヒドロキシエチル基、四級アンモニウムヒドロキシプロピル基、又はこれらの混合物を含み、より好ましくは、前記第四級アンモニウムヒドロキシアルキル基がトリメチルアンモニウムヒドロキシアルキル基、最も好ましくは、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項8】
前記カチオン変性ポリα-1,6-グルカンがグルコースモノマー単位の骨格を含み、前記グルコースモノマー単位の少なくとも70%、又は少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%がポリα-1,6-グリコシド結合を介して結合されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項9】
前記処理組成物が、前記処理組成物の0.01重量%~10重量%、又は0.1重量%~5重量%、又は0.3重量%~3重量%、又は0.5重量%~2.0重量%の前記カチオン変性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項10】
前記水溶性フィルムが、ポリビニルアルコールホモポリマー又はポリビニルアルコールコポリマー、好ましくは、ポリビニルアルコールホモポリマー及び/又はアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーのブレンドを含み、より好ましくは、スルホン化及びカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、特に、カルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコールホモポリマーとカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項11】
前記液体洗濯処理組成物が非石鹸界面活性剤を含み、好ましくは、前記液体処理組成物が、前記液体洗濯処理組成物の20重量%~60重量%、好ましくは25重量%~55重量%、より好ましくは30重量%~50重量%の前記非石鹸界面活性剤を含み、好ましくは、前記非石鹸界面活性剤が、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物から、好ましくはアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物から、最も好ましくはアニオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤から選択され、前記非石鹸アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との重量比が、1:1~20:1、1.5:1~17.5:1、2:1~15:1、又は2.5:1~13:1である、請求項1~10のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項12】
前記非石鹸アニオン性界面活性剤が、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート、アルコキシル化アルキルサルフェート、又はこれらの混合物から選択され、好ましくは、前記非石鹸アニオン性界面活性剤が、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート及びアルコキシル化アルキルサルフェートを含み、直鎖状アルキルベンゼンスルホネートとアルコキシル化アルキルサルフェートとの重量比が、1:2~9:1、好ましくは1:1~7:1、より好ましくは1:1~5:1、最も好ましくは1:1~4:1である、請求項11に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項13】
前記液体洗濯処理組成物が、香料原料を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項14】
前記液体洗濯処理組成物が、水の前記液体洗濯洗剤組成物の1重量%~20重量%、好ましくは5重量%~15重量%の水を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の水溶性単位用量物品を水中で200~3000倍に希釈して洗浄液を作製する工程と、洗浄される布地を前記洗浄液と接触させる工程とを含む、布地を洗浄するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリビニルアルコールフィルムとカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物とを含有する水溶性単位用量物品、当該水溶性単位用量物品を作製する方法、及び当該水溶性単位用量物品を使用する方法。
【背景技術】
【0002】
水溶性単位用量物品は、洗濯プロセスに利便性及び容易さを提供するので、消費者に好まれている。理論に束縛されるものではないが、水溶性単位用量物品は、水溶性フィルムと、単位用量物品内の1つ以上の区画を伴い得る用量単位に小分けされた洗濯処理組成物とを含む。
【0003】
そのような水溶性単位用量物品は、布地の洗浄及び布地の向上の両方の洗濯処理の利点を提供することが望まれている。布地の向上には、布地形状保持、布地柔軟化、及び布地鮮度などの利点が含まれる。布地の鮮度は、香料及び香料送達技術の使用によって提供される。
【0004】
欧州特許第2399979(A)号は、ポリビニルアルコール系水溶性フィルムとカチオン性多糖類ポリマーとを含む水溶性単位用量物品を開示している。実施例において、布地形状保持及び布地柔軟化効果の両方を提供することが国際公開第2004069979号から既知であるカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースが例示されている。
【0005】
しかしながら、そのような水溶性単位用量物品で観察される問題は、ポリビニルアルコールフィルム及びカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースの両方が布地に対する鮮度効果に悪影響を及ぼすことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第2399979(A)号
【特許文献2】国際公開第2004069979号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、当該技術分野において、布地形状保持及び布地柔軟化の利点を提供し、ポリビニルアルコール水溶性フィルムとカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースとを含む水溶性単位用量物品に対して、布地鮮度の悪影響を少なくとも部分的に軽減するポリビニルアルコールフィルムを含む水溶性単位用量物品が必要とされている。
【0008】
驚くべきことに、本発明がこの問題を克服することが発見された。理論に拘束されることを望むものではないが、驚くべきことに、ポリビニルアルコール水溶性フィルムとカチオン変性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物とを含む水溶性単位用量物品は、ポリビニルアルコール水溶性フィルムとカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースとを含む水溶性単位用量物品に対して、布地の鮮度の利点を向上させつつ、優れた布地形状保持及び布地柔軟化を提供することが発見された。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、水溶性フィルムと液体洗濯処理組成物とを含む水溶性単位用量物品であって、水溶性フィルムが、ポリビニルアルコールを含み、内部区画を作成するように成形され、液体洗濯処理組成物が、内部区画内に収容され、液体洗濯処理組成物が、カチオン変性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む、水溶性単位用量物品に関する。
【0010】
本発明の第2の態様は、本発明による水溶性単位用量物品を水中で200~3000倍に希釈して洗浄液を作製する工程と、洗浄される布地を当該洗浄液と接触させる工程とを含む、布地を洗浄するための方法である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
水溶性単位用量物品
本発明の第1の態様は、水溶性フィルムと液体洗濯処理組成物とを含む水溶性単位用量物品である。水溶性フィルムと液体洗濯処理組成物について、以下により詳細に説明する。
【0013】
水溶性単位用量物品は、水溶性フィルムによって取り囲まれた少なくとも1つの内部区画を単位用量物品が含むように成形された、水溶性フィルムを含む。単位用量物品は、内部区画を画定するように互いに封止された、第1の水溶性フィルムと、第2の水溶性フィルムとを含んでよい。水溶性単位用量物品は、保管中に洗濯処理組成物が区画から漏れ出さないように構成される。しかし、水溶性単位用量物品を水に加えると、水溶性フィルムが溶解して、内部区画の内容物が洗浄液中に放出される。
【0014】
区画は、液体洗濯処理組成物を保持する単位用量物品内の閉じた内部空間を意味すると理解されたい。製造中、第1の水溶性フィルムは、液体洗濯処理組成物が添加される開口区画を含むように成形され得る。次に、区画の開口部を閉じる向きで、第1のフィルムを第2の水溶性フィルムで覆う。次いで、第1及び第2のフィルムは、封止領域に沿って共に封止される。
【0015】
単位用量物品は、1つより多い区画、更には少なくとも2つの区画、又は更には少なくとも3つの区画、又は更には少なくとも4つの区画を含んでいてもよい。区画は、重ね合わせる配向で、すなわち、一方が他方の上に位置するように配置されてよい。このような配向では、単位用量物品は、上部、中間部に少なくとも1つ、及び下部に、少なくとも3つのフィルムを含む。あるいは、区画は、隣り合った配向で、すなわち、一方が他方に隣接する配向で位置してよい。区画は、「タイヤ及びリム」配置で配向されていてもよく、すなわち、第1の区画は、第2の区画に隣接して位置付けられるが、第1の区画は、第2の区画を少なくとも部分的に取り囲むが、第2の区画を完全には包囲していない。あるいは、1つの区画が、別の区画内に完全に封入されてもよい。
【0016】
単位用量物品が少なくとも2つの区画を含む場合、区画の一方が他方の区画より小さくてもよい。単位用量物品が少なくとも3つの区画を含む場合、区画のうちの2つが第3の区画より小さくてもよく、好ましくは、小さい方の区画が大きい方の区画上に重ね合わせられている。重ね合わせられた区画は、好ましくは、隣り合って配向される。
【0017】
単位用量物品が少なくとも4つの区画を含む場合、区画のうちの3つが第4の区画より小さくてもよく、好ましくは、小さい方の区画が大きい方の区画上に重ね合わせられている。重ね合わせられた区画は、好ましくは、隣り合って配向される。
【0018】
多区画配向では、本発明による洗剤組成物が区画の少なくとも1つ内に含まれてもよい。例えば、洗剤組成物は、1つの区画だけに含まれていてもよく、又は2つの区画、若しくは更には3つの区画、若しくは更には全ての区画に含まれていてもよい。
【0019】
各区画は、同一の組成物又は異なる組成物を含んでもよい。異なる組成物は全て同一形態であってもよく、又は異なる形態であってもよい。
【0020】
水溶性単位用量物品は、少なくとも2つの内部区画を含んでもよく、液体洗濯洗剤組成物がこの区画のうちの少なくとも1つの中に含まれ、好ましくは、単位用量物品は少なくとも3つ又は更には4つの区画を含み、液体洗濯処理組成物がこれらの区画のうちの少なくとも1つの中に含まれる。
【0021】
好ましくは、水溶性単位用量物品は、0ppm~20ppm、好ましくは0ppm~15ppm、より好ましくは0ppm~10ppm、更により好ましくは0ppm~5ppm、更により好ましくは0ppm~1ppm、更により好ましくは0ppb~100ppb、最も好ましくは0ppbのジオキサンを含む。当業者であれば、ジオキサンを判定するための既知の技術を認識するであろう。
【0022】
図1は、本発明による水溶性単位用量物品(1)を開示する。水溶性単位用量物品(1)は、第1の水溶性フィルム(2)と第2の水溶性フィルム(3)とを含み、これらは、封止領域(4)で共に封止されている。洗濯処理組成物(5)は、水溶性単位用量物品(1)内に含まれる。
【0023】
驚くべきことに、ポリビニルアルコール水溶性フィルムとカチオン変性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物とを含む水溶性単位用量物品は、ポリビニルアルコール水溶性フィルムとカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースとを含む水溶性単位用量物品に対して、布地の鮮度の利点を向上させつつ、優れた布地形状保持及び布地柔軟化を提供することが発見された。理論に拘束されることを望むものではないが、布地ケアの利点は、アニオン性界面活性剤と一緒に希釈するとコアセルベート相を形成するカチオン変性ポリグルカンを介して促進されると考えられる。コアセルベーションの程度は、分子量、カチオン性置換度、及び疎水修飾度を含むがこれらに限定されない、適用される分子修飾に依存する。
【0024】
改善された布地鮮度の利点を発揮しつつ、優れた布地形状保持及び布地柔軟性を提供することに加えて、驚くべきことに、カチオン変性ポリグルカンは、フィルムの適合性に悪影響を及ぼすことなく、水溶性単位用量物品内のより高い水レベルを可能にすることが発見された。理論に拘束されることを望まないが、カチオン変性ポリグルカンポリマーは、密閉された液体洗剤組成物内の遊離水の量を制御するのに役立つと考えられる。
【0025】
水溶性フィルム
本発明の水溶性フィルムは、水溶性又は水分散性である。水溶性フィルムは、好ましくは、20~150マイクロメートル、好ましくは35~125マイクロメートル、更により好ましくは50~110マイクロメートル、最も好ましくは約76マイクロメートルの厚さを有する。
【0026】
好ましくは、最大孔径が20マイクロメートルのガラスフィルタの使用後に、本明細書に記載の方法によって測定したとき、フィルムの水溶性は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%である。
【0027】
予め秤量した3Lのビーカーに、5グラム±0.1グラムのフィルム材料を添加し、2L±5mLの蒸留水を添加する。これを、600rpmに設定した磁気撹拌器(Lablineモデル番号1250)又は等価物、及び5cmの磁気撹拌器で、30℃で30分間にわたり激しく撹拌する。次いで、混合物を、上記で定義した孔径(最大20マイクロメートル)の折り畳まれた定性焼結ガラスフィルタにより濾過する。任意の従来の方法によって、回収した濾液から水を乾燥させ、残った材料の重量を求める(これが溶解画分又は分散画分である)。次いで、溶解度又は分散率を計算することができる。
【0028】
水溶性フィルム材料は、当該技術分野において公知の、例えば、ポリマー材料の注型成形、吹込成形、押出成形又は吹込押出成形によって得ることができる。
【0029】
水溶性フィルムは、ポリビニルアルコールを含む。ポリビニルアルコールは、水溶性フィルムの50重量%~95重量%、好ましくは55重量%~90重量%、より好ましくは60重量%~80重量%存在し得る。好ましくは、水溶性フィルムは、ポリビニルアルコールホモポリマー又はポリビニルアルコールコポリマー、好ましくは、ポリビニルアルコールホモポリマー及び/又はアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーのブレンドを含み、好ましくは、スルホン化及びカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、特にカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコールホモポリマーとカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーのブレンドを含む。理論に束縛されるものではないが、用語「ホモポリマー」は、一般に、1種類のモノマー繰り返し単位を有するポリマー(例えば、単一のモノマー繰り返し単位からなる、又は本質的になるポリマー鎖)を含む。特にポリビニルアルコールの場合、「ホモポリマー」という用語は、加水分解度(the degree of hydrolysis)に応じて、ある分布のビニルアルコールモノマー単位及び任意にビニルアセテートモノマー単位を有するコポリマー(例えば、ビニルアルコールモノマー単位及びビニルアセテートモノマー単位からなる、又はこれらから本質的になるポリマー鎖)を更に包含する。加水分解が100%である限定的な場合では、ポリビニルアルコールホモポリマーは、ビニルアルコール単位のみを有する純粋なホモポリマーを含んでもよい。理論に束縛されるものではないが、用語「コポリマー」は、一般に、2種類以上のモノマー繰り返し単位を有するポリマー(例えば、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーなどであるかどうかにかかわらず、2つ以上の異なるモノマー繰り返し単位からなる、又は本質的になるポリマー鎖)を含む。特にポリビニルアルコールの場合、「コポリマー」(又は「ポリビニルアルコールコポリマー」)という用語は、加水分解度に応じて、ビニルアルコールモノマー単位及びビニルアセテートモノマー単位の分布、並びに少なくとも1つの他のタイプのモノマー繰り返し単位を有するコポリマー(例えば、ビニルアルコールモノマー単位、ビニルアセテートモノマー単位、及び1つ以上の他のモノマー単位、例えばアニオン性モノマー単位からなる、又は本質的になるター(又はそれ以上)ポリマー鎖)を更に含む。加水分解が100%である限定的な場合では、ポリビニルアルコールコポリマーは、ビニルアルコール単位及び1つ以上の他のモノマー単位を有するコポリマーを含んでもよいが、ビニルアセテート単位を含まない。理論に拘束されることを望むものではないが、「アニオン性コポリマー」という用語は、アニオン性部分を含むアニオン性モノマー単位を有するコポリマーを含む。アニオン性ポリビニルアルコールポリマーに使用できるアニオン性モノマー単位の一般的な分類は、モノカルボン酸ビニルモノマー、そのエステル及び無水物、重合可能な二重結合を有するジカルボン酸モノマー、そのエステル及び無水物、ビニルスルホン酸モノマー、並びに上記のいずれかのアルカリ金属塩、に対応するビニル重合単位を含む。好適なアニオン性モノマー単位の例としては、ビニルアニオン性モノマーに対応するビニル重合単位が挙げられ、当該ビニルアニオン性モノマーとしては、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-スルホエチルアクリレート(2-sufoethyl acrylate)、上記のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又は他のアルカリ金属塩)、上記のエステル(例えば、メチル、エチル、又は他のC1~C4若しくはC6アルキルエステル)、及びこれらの組み合わせ(例えば、複数の種類のアニオン性モノマー、又は同じアニオン性モノマーの同等の形態)が挙げられる。アニオン性モノマーは、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(例えば、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、そのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)、及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上であってよい。好ましくは、第1アニオン性モノマー単位のアニオン性部分は、スルホネート、カルボキシレート、又はこれらの混合物、より好ましくはカルボキシレート、最も好ましくはアクリレート、メタクリレート、マレエート、又はこれらの混合物から選択される。好ましくは、アニオン性モノマー単位は、アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー中に、1モル%~10モル%、好ましくは2モル%~5モル%の範囲の平均量で存在する。好ましくは、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコールの場合の個々のポリビニルアルコールポリマーは、4mPa.s~30mPa.s、好ましくは10mPa.s~25mPa.sの範囲の平均粘度(μ1)を有し、20℃の脱塩水中の4%ポリビニルアルコールポリマー溶液として測定される。ポリマーの粘度は、British Standard EN ISO15023-2:2006 Annex E Brookfield Test methodに記載されるように、ULアダプタを備えたBrookfield LV型粘度計を使用して、新たに製造した溶液を測定することにより決定される。4%ポリビニルアルコール水溶液の20℃における粘度を指定することが国際的な慣行である。水溶性ポリマー水溶液(ポリビニルアルコール又はその他)の粘度は、同じポリマーの重量平均分子量と相関し、多くの場合、粘度は、重量平均分子量の代用として用いられることは、当該技術分野において周知である。したがって、ポリビニルアルコールの重量平均分子量は、30,000~175,000、又は30,000~100,000、又は55,000~80,000の範囲であり得る。好ましくは、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコールブレンドの場合、個々ポリビニルアルコールポリマーは、75%~99%、好ましくは80%~95%、最も好ましくは85%~95%の範囲の平均加水分解度を有する。加水分解度を測定する好適な試験方法は、標準法であるJIS K6726に準拠するものである。
【0030】
最も好ましくは、ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールホモポリマーとカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドであり、ホモポリマー及びアニオン性コポリマーは、90/10~10/90、好ましくは80/20~20/80、より好ましくは70/30~50/50の相対重量比で存在する。
【0031】
好ましくは、水溶性フィルムは、非水性可塑剤を含む。好ましくは、非水性可塑剤は、ポリオール、糖アルコール、及びこれらの混合物から選択される。好適なポリオールとしては、グリセロール、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、400MW以下のポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン及びポリエーテルポリオール、又はこれらの混合物からなる群から選択されるポリオールが挙げられる。好適な糖アルコールとしては、イソマルト、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、アドニトール、ズルシトール、ペンタエリスリトール、及びマンニトール、又はこれらの混合物からなる群から選択される糖アルコールが挙げられる。より好ましくは、非水性可塑剤は、グリセロール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、又はこれらの混合物から選択され、最も好ましくは、グリセロール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ジプロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択される。1つの特に好適な可塑剤系は、グリセロール、ソルビトール、及びトリメチロールプロパンの、ブレンドを含む。別の特に好適な可塑剤系は、グリセリン、ジプロピレングリコール、及びソルビトールの、ブレンドを含む。好ましくは、フィルムは、フィルムの5重量%~50重量%、好ましくは10重量%~40重量%、より好ましくは20重量%~30重量%の非水性可塑剤を含む。
【0032】
好ましくは、水溶性フィルムは、界面活性剤を含む。好ましくは、水溶性フィルムは、水溶性フィルムの0.1重量%~2.5重量%、好ましくは1重量%~2重量%の界面活性剤を含む。好適な界面活性剤としては、非イオン性、カチオン性、アニオン性及び双極性の部類を挙げることができる。好適な界面活性剤としては、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第3級アセチレングリコール及びアルカノールアミド(非イオン性物質)、ポリオキシエチレン化アミン、第四級アンモニウム塩、及び四級化されたポリオキシエチレン化アミン(カチオン性物質)、及びアミンオキシド、N-アルキルベタイン及びスルホベタイン(双極性物質)が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な界面活性剤としては、ジオクチルナトリウムスルホサクシネート、グリセロールとプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のラクチルエステル(lactylic ester)、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、レシチン、グリセロールとプロピレングリコールのアセチル化脂肪酸エステル、及び脂肪酸のアセチル化エステル、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
好ましくは、本発明による水溶性フィルムは、潤滑剤/剥離剤を含む。好適な潤滑剤/離型剤としては、脂肪酸類及びこれらの塩類、脂肪族アルコール類、脂肪酸エステル類、脂肪族アミン類、脂肪族アミンアセテート類及び脂肪酸アミド類が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい潤滑剤/剥離剤は、脂肪酸、脂肪酸塩、及び脂肪族アミンアセテートであり、水溶性フィルム中の潤滑剤/剥離剤の量は、水溶性フィルムの0.02重量%~1.5重量%、好ましくは0.1重量%~1重量%の範囲である。
【0034】
好ましくは、水溶性フィルムは、充填剤、展延剤、粘着防止剤、粘着性除去剤、又はこれらの混合物を含む。好適な充填剤、増量剤、ブロッキング防止剤、粘着性除去剤、又はこれらの混合物としては、デンプン、変性デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク及び雲母が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい材料は、デンプン、変性デンプン及びシリカである。好ましくは、水溶性フィルム中の充填剤、展延剤、粘着防止剤、粘着性除去剤、又はこれらの混合物の量は、当該水溶性フィルムの0.1重量%~25重量%、好ましくは1重量%~10重量%、より好ましくは2重量%~8重量%、最も好ましくは3重量%~5重量%の範囲である。デンプンの非存在下では、好適な充填剤、展延剤、粘着防止剤、粘着性除去剤、又はこれらの混合物の1つの好ましい範囲は、当該水溶性フィルムの0.1重量%~1重量%、好ましくは4重量%、より好ましくは6重量%、更により好ましくは1重量%~4重量%、最も好ましくは1重量%~2.5重量%である。
【0035】
好ましくは、本発明による水溶性フィルムは、カールフィッシャー滴定によって測定したとき、当該水溶性フィルムの少なくとも4重量%、より好ましくは4重量%~15重量%、更により好ましくは5重量%~10重量%の範囲の残留水分含量を有する。
【0036】
好ましいフィルムは、冷水、すなわち、加熱されていない蒸留水中で良好な溶解を示すものである。好ましくは、そのようなフィルムは、24℃の温度で、更により好ましくは10℃で良好な溶解を呈する。良好な溶解とは、上述の最大孔径が20マイクロメートルのガラスフィルタの使用後に、本明細書に記載の方法によって測定したとき、フィルムが、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%の水溶性を示すことを意味する。
【0037】
好ましいフィルムには、Monosolによって商品参照番号M8630、M8900、M8779、M8310として供給されているものがある。
【0038】
フィルムは、不透明、透明又は半透明であってもよい。フィルムは、印刷された領域を含んでもよい。印刷区域は、フレキソ印刷又はインクジェット印刷などの標準的な技術を使用して得ることができる。好ましくは、印刷領域に使用されるインクは、0ppm~20ppm、好ましくは0ppm~15ppm、より好ましくは0ppm~10ppm、更により好ましくは0ppm~5ppm、更により好ましくは0ppm~1ppm、更により好ましくは0ppb~100ppb、最も好ましくは0ppbのジオキサンを含む。当業者であれば、インク配合物内のジオキサンレベルを判定するための既知の方法及び技術を認識するであろう。
【0039】
フィルムは、嫌悪剤、例えば苦味剤を含んでもよい。好適な苦味剤としては、ナリンギン、スクロースオクタアセテート、塩酸キニーネ、デナトニウムベンゾエート、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。任意の好適な濃度の嫌悪剤をフィルムに使用してもよい。好適な濃度としては、1~5000ppm、又は更には100~2500ppm、又は更には250~2000rpmが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
好ましくは、水溶性フィルム、又は水溶性単位用量物品、又はその両方は、潤滑剤でコーティングされ、好ましくは、潤滑剤は、タルク、酸化亜鉛、シリカ、シロキサン、ゼオライト、ケイ酸、アルミナ、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、変性デンプン、粘土、カオリン、石膏、シクロデキストリン、又はこれらの混合物から選択される。
【0041】
好ましくは、水溶性フィルム及びその各個々の成分は、独立して、0ppm~20ppm、好ましくは0ppm~15ppm、より好ましくは0ppm~10ppm、更により好ましくは0ppm~5ppm、更により好ましくは0ppm~1ppm、更により好ましくは0ppb~100ppb、最も好ましくは0ppbのジオキサンを含む。当業者であれば、水溶性フィルム及びその成分内のジオキサンレベルを決定するための既知の方法及び技術を認識するであろう。
【0042】
液体洗濯処理組成物
本発明は、液体洗濯処理組成物に関する。「液体洗濯処理組成物」という用語は、布地を濡らし、処理することが可能な液体を含む、任意の洗濯処理組成物を指し、限定するものではないが、液体、ゲル、ペースト、分散液などが挙げられる。液体組成物は、好適に細分された形態の固体又は気体を含み得るが、液体組成物は、錠剤又は顆粒などの、全体として非流動性である形態を除外する。
【0043】
液体洗濯処理組成物は、カチオン変性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を以下でより詳細に説明する。
【0044】
好ましくは、本発明による液体洗濯処理組成物、又はその中の任意の成分は、それぞれ独立して、0ppm~20ppm、好ましくは0ppm~15ppm、より好ましくは0ppm~10ppm、更により好ましくは0ppm~5ppm、更により好ましくは0ppm~1ppm、更により好ましくは0ppm~100ppb、最も好ましくは0ppmのジオキサンを含む。当業者であれば、液体洗剤組成物内のジオキサンレベルを判定するための既知の方法及び技術を認識するであろう。
【0045】
好ましくは、液体洗濯処理組成物は、当該液体洗濯洗剤組成物の1重量%~20重量%、好ましくは5重量%~15重量%の水を含む。
【0046】
好ましくは、液体洗濯処理組成物は、非石鹸界面活性剤を含み、非石鹸界面活性剤は、好ましくは、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物を含み、好ましくは、液体処理組成物は、液体洗濯処理組成物の20重量%~60重量%、好ましくは25重量%~55重量%、より好ましくは30重量%~50重量%の非石鹸界面活性剤を含む。
【0047】
好ましくは、非石鹸界面活性剤は、非石鹸アニオン性界面活性剤を含む。好ましくは、洗濯処理組成物は、当該洗濯処理組成物の10重量%~50重量%、15重量%~45重量%、又は20重量%~40重量%、又は30重量%~40重量%の非石鹸アニオン性界面活性剤を含む。
【0048】
好ましくは、非石鹸アニオン性界面活性剤は、直鎖状アルキルベンゼンスルホネートを含む。好ましくは、直鎖状アルキルベンゼンスルホネートは、C10~C16のアルキルベンゼンスルホネート、C11~C14アルキルベンゼンスルホン酸塩、又はこれらの混合物を含む。好ましくは、アルキルベンゼンスルホネートは、アミン中和アルキルベンゼンスルホネート、アルカリ金属中和アルキルベンゼンスルホネート、又はこれらの混合物である。アミンは、好ましくは、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、又はこれらの混合物から選択され得る。アルカリ金属は、好ましくは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、又はこれらの混合物から選択され得る。好ましくは、液体洗濯処理組成物は、当該液体洗濯処理組成物の5重量%~40重量%、好ましくは10重量%~35重量%、より好ましくは15重量%~30重量%の直鎖状アルキルベンゼンスルホネートアニオン性界面活性剤を含む。
【0049】
好ましくは、非石鹸アニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含み、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェート、アルコキシル化アルキルサルフェート、又はこれらの混合物から選択される。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、第一級又は第二級アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、又はこれらの混合物、好ましくは第一級アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤であり得る。好ましくは、アルコキシル化アルキルサルフェートは、エトキシル化アルキルサルフェート、プロポキシル化アルキルサルフェート、混合エトキシル化/プロポキシル化アルキルサルフェート、又はこれらの混合物、より好ましくはエトキシル化アルキルサルフェートを含む。好ましくは、エトキシル化アルキルサルフェートは、0.1~5、好ましくは0.5~3の平均エトキシル化度を有する。好ましくは、エトキシル化アルキルサルフェートは、8~18、より好ましくは10~16、最も好ましくは12~15の平均アルキル鎖長を有する。好ましくは、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルキル鎖は、直鎖、分岐鎖、又はこれらの混合物であってよい。好ましくは、分岐アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、分岐第一級アルキルサルフェート、分岐第二級アルキルサルフェート、又はこれらの混合物、好ましくは分岐第一級アルキルサルフェートであり、分岐は、好ましくは2位にあるか、あるいはアルキル鎖の更に下方に存在し得るか、又は分岐がアルキル鎖上に広がる多分岐であり得る。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量平均重合度は、0%~100%、好ましくは0%~95%、より好ましくは0%~60%、最も好ましくは0%~20%であり得る。あるいは、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の重量平均重合度は、70%~100%、好ましくは80%~90%であり得る。好ましくは、アルキル鎖は、天然由来材料、合成由来材料、又はこれらの混合物から選択される。好ましくは、合成由来材料は、オキソ合成材料、チーグラー合成材料、ゲルベ合成材料、フィッシャー・トロプシュ合成材料、イソ-アルキル合成材料、又はこれらの混合物、好ましくはオキソ合成材料を含む。好ましくは、液体洗濯洗剤組成物は、当該液体洗濯処理組成物の1重量%~35重量%、好ましくは3重量%~30重量%、より好ましくは6重量%~20重量%のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む。
【0050】
好ましくは、非石鹸アニオン性界面活性剤は、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート及びアルコキシル化アルキルサルフェートを含み、直鎖状アルキルベンゼンスルホネートとアルコキシル化アルキルサルフェートとの重量比は、1:2~9:1、好ましくは1:1~7:1、より好ましくは1:1~5:1、最も好ましくは1:1~4:1である。理論に拘束されることを望むものではないが、これらのアニオン性界面活性剤比は、広範囲の汚れにわたって優れた汚れ除去及び洗浄を提供する利点を提供する。
【0051】
好ましくは、非石鹸界面活性剤は、非イオン性界面活性剤を含み、非イオン性界面活性剤は、好ましくは、アルコキシル化アルコールを含み、アルコキシル化アルコールは、合成アルコール、天然アルコール、又はこれらの混合物に由来する。アルコキシル化アルコールは、第一級アルコキシル化アルコール、第二級アルコキシル化アルコール、又はこれらの混合物、好ましくは第一級アルコキシル化アルコールであり得る。好ましくは、アルコキシル化アルコールは、エトキシル化アルコール、プロポキシル化アルコール、混合エトキシル化/プロポキシル化アルコール、又はこれらの混合物、より好ましくはエトキシル化アルコールを含む。あるいは、アルコキシル化アルコールはまた、ブトキシ基などの高級アルコキシ基を含み得る。混合アルコキシ基の場合、アルコキシ基は、ランダムに配列され得、又はブロックで存在し得、好ましくはブロックで存在する。例えば、混合エトキシ(EO)/プロポキシ(PO)基は、EO/POブロック、PO/EOブロック、EO/PO/EOブロック、又はPO/EO/POブロックで配列され得る。好ましくは、エトキシル化アルコールは、0.1~20、好ましくは5~15、最も好ましくは6~10の平均エトキシル化度を有する。プロポキシル化が存在する場合、好ましくは、平均プロポキシル化度は、0.1~25、より好ましくは2~20、最も好ましくは5~10である。好ましくは、アルコキシル化、好ましくはエトキシル化されたアルコールは、8~18、より好ましくは10~16、最も好ましくは12~15の平均アルキル鎖長を有する。好ましくは、アルコキシル化アルコールのアルキル鎖は、直鎖状、分岐鎖状、又はこれらの混合物であり、分岐状アルコキシル化アルコールは、分岐状第一級アルコキシル化アルコール、分岐状第二級アルコキシル化アルコール、又はこれらの混合物、好ましくは分岐状第一級アルコキシル化アルコールである。好ましくは、アルコキシル化アルコールの重量平均重合度は、0%~100%、好ましくは0%~95%、より好ましくは0%~60%、最も好ましくは0%~20%である。分岐は、2-アルキル位置にあってもよく、あるいはアルキル鎖の更に下方にあってもよく、又はアルキル鎖上に広がる個々の分岐を有する多分岐であってもよい。好ましくは、合成由来材料は、オキソ合成材料、チーグラー合成材料、ゲルベ合成材料、フィッシャー・トロプシュ合成材料、イソ-アルキル分岐状材料、又はこれらの混合物、好ましくはオキソ合成材料を含む。好ましくは、液体洗濯洗剤組成物は、液体洗濯洗剤組成物の0.5重量%~20重量%、好ましくは1重量%~15重量%、より好ましくは3重量%~12重量%の非イオン性界面活性剤を含み、好ましくは、非イオン性界面活性剤はアルコキシル化アルコールから成る。理論に拘束されることを望まないが、非イオン性界面活性剤、特にアルコキシル化アルコール非イオン性界面活性剤は、優れた身体汚れ洗浄及び汚れ懸濁の利点を提供する。好ましくは、洗濯処理組成物は、当該液体洗濯処理組成物の0.01重量%~10重量%、0.01重量%~8重量%、0.1重量%~6重量%、又は0.15重量%~5重量%の非イオン性界面活性剤を含む。
【0052】
好ましくは、非石鹸アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との重量比は、1:1~20:1、1.5:1~17.5:1、2:1~15:1、又は2.5:1~13:1である。
【0053】
好ましくは、液体洗濯処理組成物は、好ましくは脂肪酸、より好ましくは中和脂肪酸石鹸を含む。好ましくは、液体洗濯処理組成物は、液体処理組成物の1.5重量%~20重量%、より好ましくは2重量%~15重量%、更により好ましくは3重量%~10重量%、又は最も好ましくは4重量%~8重量%の脂肪酸を含む。好ましくは、脂肪酸は、分子鎖状又は直鎖状で、アルコキシル化又は非アルコキシル化であり、好ましくは、パーム核脂肪酸、ココヤシ脂肪酸、菜種脂肪酸、中和パーム核脂肪酸、中和ココヤシ脂肪酸、中和菜種脂肪酸、又はこれらの混合物、最も好ましくは中和パーム核脂肪酸から選択される。好ましくは、脂肪酸石鹸は、アルカリ金属、アミン、又はこれらの混合物で中和される。好ましくは、アミンは、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、又はこれらの混合物から選択され、アルカリ金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、又はこれらの混合物から選択される。理論に拘束されることを望むものではないが、脂肪酸、好ましくは中和脂肪酸は、アニオン性非石鹸界面活性剤を沈殿物から保護する利点を提供する。更に、これらは、布地に対する粘土汚れの除去及び身体汚れの洗浄の利点を提供する。
【0054】
好ましくは、液体洗濯処理組成物は、香料原料を含む。香料原料は、約250℃より低い沸点(B.P.)と約3より低いClogPとを有する香料原料、約250℃より高いB.P.と約3より高いClogPとを有する香料原料、約250℃より高いB.P.と約3より低いClogPとを有する香料原料、約250℃より低いB.P.と約3より高いClogPとを有する香料原料、及びこれらの混合物からなる群から選択される香料原料を含んでもよい。約250℃より低い沸点B.P.と約3より低いClogPとを有する香料原料は、象限I香料原料として知られる。Quadrant1香料原料は、香料組成物の30%未満に限定されることが好ましい。約250℃より高いB.P.と約3より高いClogPとを有する香料原料は、象限IV香料原料として知られ、約250℃より高いB.P.と約3より低いClogPとを有する香料原料は、象限II香料原料として知られ、約250℃より低いB.P.と約3より高いClogPとを有する香料原料は、象限III香料原料として知られる。
【0055】
好ましい香料原料の分類としては、ケトン及びアルデヒドが挙げられる。当業者は、適切な香料原料の調整方法を知っているであろう。
【0056】
好ましくは、液体洗濯処理組成物は、1つ以上の補助剤成分を含み、補助剤成分は、両親媒性グラフトポリマー、エトキシル化ポリエチレンイミン、両親媒性アルコキシル化ポリアルキレンイミン、エチレンオキシド(EO)-プロピレンオキシド(PO)-エチレンオキシド(EO)トリブロックコポリマー、双性イオンポリアミン、ポリエステルテレフタレート、有機溶媒、審美性染料、色相染料、商品名Acusolで市販されているものなどの乳白剤、FWA49、FWA15、及びFWA36を含む光沢剤、PVNO、PVP、及びPVPVI色素移動阻害剤を含む色素移動阻害剤、クエン酸を含むビルダー、キレート剤、酵素、香料カプセル、防腐剤、亜硫酸カリウム又は重亜硫酸カリウム塩などの亜硫酸塩、及びブランド名Raloxで市販されているものを含む酸化防止剤、BASF社から入手可能なTinosan HP100などの4.4’-ジクロロ2-ヒドロキシジフェニルエーテルを含む抗菌剤及び抗ウイルス剤、安息香酸ベンジルなどの抗ダニ活性物質、硬化ヒマシ油を含む構造化剤、シリコーン系消泡剤、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムなどの無機電解質、並びに関連する硫酸ナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウム塩を含む電解質、並びに炭酸塩、重炭酸塩、カルボン酸塩、例えばギ酸塩、クエン酸塩、及び酢酸塩などの有機電解質。水酸化ナトリウム、塩化水素、及びモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンを含むアルカノールアミン、又はこれらの混合物を含むpH調整剤から選択される。好ましくは、有機溶媒は、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、及びこれらの混合物を含むアルコール、糖アルコール、グリコール、グリコールエーテル、及びこれらの混合物を含むポリオール、好ましくは、ポリエチレングリコール、特に、PEG200及びPEG400、ジエチレングリコール、グリセロール、1,2-プロパンジオール、ジポリプロピレングリコール及びトリポリプロピレングリコールを含むポリプロピレングリコールなどの低分子量ポリエチレングリコール、及びPPG400、ソルビトール、又はこれらの混合物などの低分子量ポリプロピレングリコールから選択される。好ましくは、キレート剤は、EDDS、HEDP、GLDA、DTPA、DTPMP、DETA、又はこれらの混合物から選択される。好ましくは、酵素は、プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、リパーゼ、キシログルカナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ヌクレアーゼ酵素、又はこれらの混合物から選択される。
【0057】
好ましくは、液体洗濯処理組成物は、6~10、6.5~8.9、又は7~8のpHを有し、液体洗濯処理組成物のpHは、20℃で脱塩水中の10%生成物濃度として測定される。
【0058】
液体洗濯処理組成物は、ニュートン性であっても、非ニュートン性であってもよい。好ましくは、液体洗濯処理組成物は、非ニュートン性である。理論に束縛されることを望むものではないが、非ニュートン液体は、ニュートン液体とは異なる特性を有し、より具体的には、非ニュートン液体の粘度は、剪断速度に依存せず、一方、ニュートン液体は、塗布される剪断速度にかかわらず一定の粘度を有する。非ニュートン液体の剪断塗布時の粘度の低下は、液体洗剤の溶解を更に促進すると考えられる。本明細書に記載される液体洗濯処理組成物は、配合された成分及び組成物の目的などの要因に応じて、任意の好適な粘度を有し得る。
【0059】
カチオン変性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物
液体洗濯処理組成物は、カチオン変性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む。好ましくは、カチオン変性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、少なくとも1つの正帯電有機基で置換されたポリα-1,6-グルカンを含み、ポリα-1,6-グルカンは、グルコースモノマー単位の骨格を含み、ここでグルコースモノマー単位の少なくとも65%がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約0.001~約3の置換度を有し、以下のi-ivのうちの少なくとも1つを特徴とする、
i)少なくとも5の重量平均重合度、
ii)約1000~約500,000ダルトンの重量平均分子量、
iii)少なくとも1つの正帯電有機基での置換前に決定される、約900~約450、000ダルトンの重量平均分子量を有するポリα-1、6-グルカンから誘導される、
iv)これらの混合物。
【0060】
本明細書で使用される場合、「多糖」という用語は、グリコシド結合によって共に結合した単糖単位の長鎖からなるポリマー炭水化物分子を意味し、加水分解により、構成単糖又はオリゴ糖が得られる。
【0061】
本明細書で使用される場合、「多糖誘導体」という用語は、グルコースモノマー単位のヒドロキシル基の少なくともいくつかが1つ以上のエーテル基で置き換えられている化学修飾多糖類を意味する。本明細書で使用される場合、「多糖誘導体」という用語は、「ポリα-1,6-グルカンエーテル」及び「ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物」と互換的に使用される。
【0062】
「疎水性」という用語は、非極性であり、水に対してほとんど又は全く親和性を有しておらず、水をはじく傾向があるない分子又は置換基を指す。
【0063】
「親水性」という用語は、極性であり、極性溶媒、特に水、又は他の極性基と相互作用する親和性を有する分子又は置換基を指す。親水性分子又は置換基は、水を引き寄せる傾向がある。
【0064】
ポリα-1,6-グルカン又はポリα-1,6-グルカンエーテルの「分子量」は、統計的に平均化された分子量分布、すなわち、数平均分子量(Mn)又は重量平均分子量(Mw)として表すことができ、これらの両方は、一般に、ダルトン(Da)の単位、すなわち、グラム/モルで示される。あるいは、分子量は、DPw(重量平均重合度)、又はDPn(数平均重合度)として表すこともできる。高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、又はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、及びゲル濾過クロマトグラフィー(GFC)などの技術から、これらの分子量を計算するための様々な手段が当該技術分野において既知である。
【0065】
本明細書で使用するとき、「重量平均分子量」又は「Mw」は、
Mw=ΣNiMi
2/ΣNiMiとして計算され、式中、Miは個々の鎖iの分子量であり、Niは、その分子量の鎖の数である。SECを使用することに加えて、重量平均分子量は、静的光散乱、質量分析、特にMALDI-TOF(マトリックス支援レーザ脱離/イオン化飛行時間)、小角X線又は中性子散乱、超遠心分離などの他の技術によって決定することができる。
【0066】
本明細書で使用するとき、「数平均分子量」又は「Mn」は、サンプル中の全てのポリマー鎖の統計的平均分子量を指す。数平均分子量は、Mn=ΣNiMi/ΣNiとして計算され、式中、Miは、鎖の分子量であり、Niは、その分子量の鎖の数である。SECを使用することに加えて、ポリマーの数平均分子量は、蒸気圧浸透圧測定、又はプロトンNMR、FTIR、又はUV-visなどの分光法による又は末端基決定などの様々な束一的方法によって決定することができる。
【0067】
本明細書で使用される場合、数平均重合度(DPn)及び重量平均重合度(DPw)は、1つのモノマー単位M1のモル質量で除算することによって、対応する平均分子量Mw又はMnから計算される。非置換グルカンポリマーの場合、M1=162である。置換グルカンポリマーの場合、M1=162+Mf×DoSであり、式中、Mfは、置換基のモル質量であり、DoSは、その置換基に対する置換度(1グルコース単位当たりの置換基の平均数)である。
【0068】
本明細書で言及されるようなグルコース炭素位置1、2、3、4、5、及び6は、当該技術分野で既知であり、構造Iに示される。
【0069】
【0070】
用語「グリコシド結合」及び「グリコシド連結」は、本明細書では互換的に使用され、炭水化物(糖)分子を別の炭水化物などの別の基に結合させる共有結合の種類を指す。本明細書で使用するとき、用語「α-1,6-グルコシド結合」は、隣接するα-D-グルコース環における炭素1及び6を介してα-D-グルコース分子を互いに結合させる共有結合を指す。本明細書で使用するとき、用語「α-1,3-グルコシド結合」は、隣接するα-D-グルコース環における炭素1及び3を介してα-D-グルコース分子を互いに結合させる共有結合を指す。本明細書で使用するとき、用語「α-1,2-グルコシド結合」は、隣接するα-D-グルコース環における炭素1及び2を介してα-D-グルコース分子を互いに結合させる共有結合を指す。本明細書で使用するとき、用語「α-1,4-グルコシド結合」は、隣接するα-D-グルコース環における炭素1及び4を介してα-D-グルコース分子を互いに結合させる共有結合を指す。本明細書では、「α-D-グルコース」は、「グルコース」と称される。
【0071】
グルカン、デキストラン、置換グルカン、又は置換デキストランのグリコシド結合プロファイルは、当該技術分野において既知の任意の方法を用いて求めることができる。例えば、結合プロファイルは、核磁気共鳴(NMR)分光法(例えば、13C NMR又は1H NMR)を使用する方法を使用して求めることができる。使用できるこれら及び他の方法は、Food Carbohydrates:Chemistry,Physical Properties,and Applications(S.W.Cui,Ed.,Chapter 3,S.W.Cui,Structural Analysis of Polysaccharides,Taylor & Francis Group LLC,Boca Raton,FL,2005)に開示されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
多糖又は多糖誘導体の構造、分子量、及び置換度は、NMR分光法及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)などの当該技術分野において既知の様々な生理化学的分析を使用して確認することができる。
【0073】
本明細書で使用するとき、用語「アルキル基」は、不飽和を含有しない直鎖、分岐鎖、アラルキル(ベンジルなど)、又は環状(「シクロアルキル」)炭化水素基を指す。本明細書で使用するとき、用語「アルキル基」は、置換アルキル、例えば、少なくとも1つのヒドロキシアルキル基又はジヒドロキシアルキル基で置換されたアルキル基、並びに炭化水素鎖内に酸素、硫黄、及び/又は窒素などの1つ以上のヘテロ原子を含有するアルキル基を包含する。
【0074】
本明細書で使用するとき、用語「アリール」は、単一の環(例えば、フェニル)、複数の環(例えば、ビフェニル)、又は少なくとも1つが芳香族である複数の縮合環(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、ナフチル、アンスリル、又はフェナントリル)を有する芳香族炭素環基を意味し、これは、任意選択で、アルキル基で一置換、二置換、又は三置換される。アリールはまた、ヘテロアリールが、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する5員、6員、又は7員の芳香環系として定義されるヘテロアリール基も意味する。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、フラニル、イミダゾール、キノリニル、イソキノリニル、チアゾリル、及びチエニルが挙げられ、これらは任意選択で、アルキル基で置換され得る。
【0075】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、少なくとも1つの正帯電有機基で置換されたポリα-1,6-グルカンを含み、ポリα-1,6-グルカンは、グルコースモノマー単位の骨格を含み、グルコースモノマー単位の少なくとも65%は、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、(a)少なくとも5の重量平均重合度、(b)約1000~約500,000ダルトンの重量平均分子量、及び/又は(c)少なくとも1つの正帯電有機基での置換前に決定される、約900~約450,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリα-1,6-グルカンから誘導されること、を特徴とし得る。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約0.001~約3.0の置換度を特徴とし得る。任意選択で、骨格グルコースモノマー単位の少なくとも3%、好ましくは約5%~約50%、より好ましくは約5%~約35%は、α-1,2及び/又はα-1,3-グリコシド結合を介した分岐を有する。これらの化合物、基、及び特性について、以下により詳細に記載する。
【0076】
本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、少なくとも1つの正帯電有機基で置換されたポリα-1,6-グルカンを含み、有機基又は複数の有機基が、独立して、ポリα-1,6-グルカン多糖骨格及び/又は存在する場合は任意の分岐にエーテル(-O-)結合を介して結合される。少なくとも1つの正帯電有機基は、グルカンの骨格上のグルコースモノマーの2、3、及び/又は4個のグルコース炭素位置(複数可)において、及び/又は存在する場合、分岐上のグルコースモノマーの1、2、3、4、若しくは6個のグルコース炭素位置(複数可)において、ポリα-1,6-グルカンを誘導体化することができる。非置換位置では、ヒドロキシル基がグルコースモノマー中に存在する。
【0077】
本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、1つ以上の正帯電有機基の存在に起因して「カチオン性」エーテル化合物と呼ばれる。「正帯電有機基」、「正帯電イオン性基」、及び「カチオン性基」という用語は、本明細書では互換的に使用される。正帯電基は、カチオン(正帯電イオン)を含む。正帯電基の例には、置換アンモニウム基、カルボカチオン基、及びアシルカチオン基が含まれる。
【0078】
本明細書に開示されるカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含む水溶性ポリα-1,6-グルカンを含み、グルコースモノマー単位の少なくとも65%がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、任意選択で、骨格グルコースモノマー単位の少なくとも5%がα-1,2及び/又はα-1,3-グリコシド結合を介した分岐を有する。ポリα-1,6-グルカンは、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物が非置換及び置換α-D-グルコース環を含むように、多糖骨格及び/又は存在し得る任意の分岐上の正帯電有機基で置換されている。ポリα-1,6-グルカンは、正帯電有機基でランダムに置換され得る。本明細書で使用するとき、用語「ランダムに置換された」は、ランダムに置換された多糖におけるグルコース環上の置換基が非反復的に又はランダムに存在することを意味する。すなわち、置換グルコース環上の置換は、多糖における第2の置換グルコース環上の置換と同一であっても異なっていてもよく(すなわち、多糖におけるグルコース環の異なる原子上の置換基は同一であっても異なっていてもよい)、その結果、ポリマー上の置換全体がパターンを有しなくなる。更に、置換グルコース環は、多糖内にランダムに存在し得る(すなわち、多糖内に置換及び非置換のグルコース環のパターンは存在しない)。
【0079】
ポリα-1,6-グルカンを誘導体化するために使用される反応条件及び特定の置換基に応じて、ポリマー骨格のグルコースモノマーは、存在する場合、α-1,2及び/又はα-1,3結合を介した分岐を含む、任意の分岐のグルコースモノマーに対して不均一に置換され得る。存在する場合、α-1,2及び/又はα-1,3結合を介した分岐を含む分岐のグルコースモノマーは、ポリマー骨格のグルコースモノマーに対して不均一に置換され得る。反応条件及び使用される特定の置換基に応じて、ポリα-1,6-グルカンの置換は、ブロックで起こり得る。
【0080】
ポリα-1,6-グルカンを誘導体化するために使用される反応条件及び特定の置換基に応じて、特定のグルコース炭素位置のヒドロキシル基は、不均一に置換され得ることが可能である。例えば、分岐単位の炭素位置6のヒドロキシルは、他の炭素位置のヒドロキシルよりも置換され得る。炭素位置2、3、又は4のヒドロキシルは、他の炭素位置でのヒドロキシルよりも更に置換され得る。
【0081】
本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、正帯電有機基を含み、水中での溶解性に起因して対象となり、置換基及び置換度の適切な選択によって変化させることができる。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む組成物は、洗濯、洗浄、食品、化粧品、工業、フィルム、及び紙の製造を含む広範囲の用途において有用であり得る。水中で0.1重量パーセント(重量%)超の溶解度を有するポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、洗浄、洗剤、化粧品、食品、セメント、フィルム、及び紙製造におけるレオロジー調整剤、エマルジョン安定剤、及び分散剤として有用であり得、生成物は主に水ベースの配合物中にあり、光学的透明性が望まれる。水中で0.1重量%未満の溶解度を有するポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、洗浄、洗剤、化粧品、食品、セメント、フィルム、及び紙製造におけるレオロジー調整剤、エマルジョン安定剤、及び分散剤として有用であり得、製品は、ポリα-1,6-グルカン誘導体を可溶化又は分散させるために有機溶媒を含有する配合物中にある。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約0.001~約1.5のDoS、及び25℃の脱イオン水において0.1重量%以上の溶解度を有し得る。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約0.05~約1.5のDoS、及び25℃でのpH7の水において0.1重量%未満の溶解度を有し得る。25℃の脱イオン水において、少なくとも0.1%、又は少なくとも1%、又は少なくとも10%、又は少なくとも25%、又は少なくとも50%、又は少なくとも75%、又は少なくとも90重量%の溶解度を有するポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、加工の容易さ及び/又は水性最終使用条件における溶解度の増加に起因して、布地ケア組成物又は食器ケア組成物での使用に好ましい場合がある。
【0082】
本明細書に開示されるカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、有効量、例えば、製品又は最終用途に対する以下の物理的特性:増粘、凍結/解凍安定性、潤滑性、湿気の保持及び放出、テクスチャ、稠度、形状保持、乳化、結合、懸濁液、分散、及び/又はゲル化のうちの1つ以上の所望の程度を提供する量で含まれ得る。有効量はまた、組成物の所望の最終用途における処理の利点、例えば、堆積の利点、鮮度の利点、柔軟性、又は他の調整効果、色の利点、汚れ除去効果、白さ又は灰色化防止の利点を提供するように選択され得る。
【0083】
好ましくは、処理組成物は、処理組成物の0.01重量%~10重量%、又は0.1重量%~5重量%、又は0.3重量%~3重量%、又は0.5重量%~2.0重量%のポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む。
【0084】
本開示のポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、置換ポリα-1,6-グルカンを含み、典型的には、ポリα-1,6-グルカン出発材料から作製される。用語「ポリα-1,6-グルカン」及び「デキストラン」は、本明細書において互換的に使用される。デキストランは、周期的に側鎖(分岐)がα-1,3-結合(Ioan et al.,Macromolecules 33:5730-5739)又α-1,2-結合によって直鎖に結合している、α-1,6-結合グルコースモノマーの鎖を一般的に含む複雑な分岐αグルカンのファミリーを表す。デキストランの生成は、典型的には、スクロースを細菌(例えば、乳酸菌又は連鎖球菌種)で発酵させることによって行われ、スクロースは、デキストラン重合のためのグルコース源として機能する(Naessens et al.、J.Chem.Technol.Biotechnol.80:845~860;Sarwat et al.、Int.J.Biol.Sci.4:379~386;Onilude et al.、Int.Food Res.J.20:1645~1651)。ポリα-1,6-グルカンは、いずれも参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/183714号及び同第2017/091533号に記載されているように、GTF1729、GTF1428、GTF5604、GTF6831、GTF8845、GTF0088、及びGTF8117など(であるが、これらに限定されない)のグルコシルトランスフェラーゼを使用して調製することができる。
【0085】
カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、当該グルコースモノマー単位の40%以上、例えば、当該グルコースモノマー単位の40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、90%、又は95%以上が、α-1,6-グリコソジン結合を介して結合している。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の骨格は、α-1,2、α-1,3、及び/又はα-1,4グリコシド結合を介して結合された、グルコースモノマー単位の少なくとも3%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%を含み得る。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、当該グルコースモノマー単位の少なくとも65%が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、当該グルコースモノマー単位の少なくとも70%が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、当該グルコースモノマー単位の少なくとも80%が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、当該グルコースモノマー単位の少なくとも90%が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、当該グルコースモノマー単位の少なくとも95%が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、当該グルコースモノマー単位の少なくとも99.5%が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、主に直鎖状であり得る。
【0086】
デキストラン「長鎖」は、「実質的に(又は大部分が)α-1,6-グルコシド結合」を含み得、これは、いくつかの態様では、少なくとも約98.0%のα-1,6-グルコシド結合を有し得ることを意味する。本明細書におけるデキストランは、いくつかの態様では、「分岐構造」(分岐した構造)を含み得る。この構造では、恐らく反復的に、長鎖が他の長鎖から分岐している(例えば、長鎖は、別の長鎖からの分岐であってよく、これ自体も別の長鎖からの分岐であってよいなど)と考えられる。この構造中の長鎖は、「類似の長さ」であり得ると考えられ、これは、分岐構造中の全ての長鎖の少なくとも70%の長さ(例えば、DP/重合度によって測定された)が、分岐構造の全ての長鎖の平均長さプラスマイナス30%以内であることを意味する。
【0087】
デキストランは、多糖骨格から分岐する「短鎖」を更に含み得、分岐は、典型的には、1~3グルコースモノマー長であり、デキストランポリマーの全てのグルコースモノマーの約10%未満を構成する。このような短鎖は、典型的には、α-1,2-、α-1,3-、及び/又はα-1,4-グルコシド結合を含む(いくつかの態様では、長鎖中に低い割合のこのような非α-1,6結合が存在し得ることが理解される)。α-1,2-分岐又はα-1,3-分岐の量は、試験方法に開示されるように、NMR法によって決定することができる。
【0088】
デキストランは、α-1,2分岐又はα-1,3分岐で修飾される前に酵素的に生成され得る。特定の実施形態では、デキストランは、全て参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2015/183714号又は同第2017/091533号、又は米国特許出願公開第2018/0282385号に開示されるようなデキストランスクラーゼ及び/又は方法を用いて合成することができる。これらの参考文献において、GTF8117、GTF6831、又はGTF5604として特定されるデキストランスクラーゼ(又はこれらの特定のデキストランスクラーゼのいずれかと少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるアミノ酸配列を含む任意のデキストランスクラーゼ)を所望に応じて使用することができる。そのような酵素的に生成されたデキストランは、直鎖状(すなわち、100% α-1,6結合)及び水溶性である。
【0089】
分岐しているポリ-1,6-グルカンは、国際公開第2015/183714号及び同第2017/091533号の手順に従って酵素的に生成することができ、この場合、例えば、「gtfJ18T1」又は「GTF9905」などのα-1,2-分岐酵素を、デキストランポリマー(多糖)の生成中又は生成後に添加することができる。α-1,2-分岐を生成することが知られている任意の他の酵素を添加してもよい。例えば、α-1,3-分岐を有するポリ-1,6-グルカンは、参照により本明細書に組み込むVuillemin et al..(2016、J.Biol Chem.291:7687-7702)又は米国特許出願第62/871,796号に開示されるように調製することができる。ポリα-1,6-グルカン又はその誘導体の分岐度は、50%、40%、30%、20%、10%、又は5%以下(又は5%~50%の任意の値)の短分岐、例えば、α-1,2-分岐、1,3-分岐、又はα-1,2-分岐とα-1,3-分岐の両方を有する。ポリα-1,6-グルカン出発物質中の分岐度は、分岐ポリα-1,6-グルカンのエーテル化によって形成される分岐ポリα-1,6-グルカンエーテル中に維持される。α-1,2-分岐又はα-1,3-分岐の量は、以下の試験方法に開示されるように、NMR法によって決定することができる。
【0090】
理論に拘束されることを望むものではないが、分岐は、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の溶解度を増加させることができると考えられ、これにより、より便利な加工性及び/又は輸送につながり得る。分岐度の制限は、最終的な処理組成物における性能の改善をもたらし得るとも考えられる。
【0091】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、50%未満のα-1,2-分岐度を有し得る。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、少なくとも5%のα-1,2-分岐度を有し得る。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約50%は、α-1,2又はα-1,3グリコシド結合を介した分岐を有し得る。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約35%は、α-1,2又はα-1,3グリコシド結合を介した分岐を有し得る。
【0092】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の少なくとも約3%、好ましくは少なくとも約5%は、α-1,2-又はα-1,3-グリコシド結合を介した分岐を有し得る。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、当該グルコースモノマー単位の65%以上が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の65%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の少なくとも3%、好ましくは少なくとも5%、好ましくは約5%~約30%、より好ましくは約5%~約25%、更により好ましくは約5%~約20%が、α-1,2又はα-1,3-グリコシド結合を介した分岐を有する。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の65%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の少なくとも5%がα-1,2結合を介した分岐を有する。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の65%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の少なくとも5%がα-1,3結合を介した分岐を有する。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の65%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の約5%~約50%がα-1,2又はα-1,3グリコシド結合を介した分岐を有する。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の70%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の約5%~約35%がα-1,2又はα-1,3グリコシド結合を介した分岐を有する。
【0093】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、当該グルコースモノマー単位の90%以上が、α-1,6-グリコシド結合を介して結合している。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の90%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の少なくとも5%がα-1,2又はα-1,3グリコシド結合を介した分岐を有する。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の90%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の少なくとも5%がα-1,2グリコシド結合を介した分岐を有する。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の90%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の少なくとも5%がα-1,3結合を介した分岐を有する。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の90%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の約5%~約50%がα-1,2又はα-1,3グリコシド結合を介した分岐を有する。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、グルコースモノマー単位の骨格を含んでもよく、グルコースモノマー単位の90%以上がα-1,6-グリコシド結合を介して結合され、グルコースモノマー単位の約5%~約35%がα-1,2又はα-1,3グリコシド結合を介した分岐を有する。
【0094】
本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカン及びポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、5~6000の範囲の数平均重合度(DPn)を有することができる。DPnは、5~100、又は5~500、又は5~1000、又は5~1500、又は5~2000、又は5~2500、又は5~3000、又は5~4000、又は5~5000、又は5~6000の範囲であり得る。DPnは、50~500、又は50~1000、又は50~1500、又は50~2000、又は50~3000、又は50~4000、又は50~5000、又は50~6000の範囲であり得る。
【0095】
本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカン及びポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、少なくとも5の範囲内の重量平均重合度(DPw)を有することができる。DPwは、5~6000、又は50~5000、又は100~4000、又は250~3000、又は500~2000、又は750~1500、又は1000~1400、又は1100~1300の範囲であり得る。DPwは、400~6000、又は400~5000、又は400~4000、又は400~3000、又は400~2000、又は400~1500の範囲であり得る。
【0096】
本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約1000~約500,000ダルトン、又は約10,000~約400,000ダルトン、又は約40,000~約300,000ダルトン、又は約80,000~約300,000ダルトン、又は約100,000~約250,000ダルトン、又は約150,000~約250,000ダルトン、又は約180,000~約225,000ダルトン、又は約180,000~約200,000ダルトンの重量平均分子量を有することができる。異なるサイズのポリマーが、異なる用途及び/又は意図された利点に好ましい場合がある。
【0097】
本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、少なくとも1つの正帯電有機基での置換前に決定される、約900~約450,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリα-1,6-グルカンから誘導され得る。本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約5000~約400,000ダルトン、又は約10,000~約350,000ダルトン、又は約50,000~約350,000ダルトン、又は約90,000~約300,000ダルトン、又は約125,000~約250,000ダルトン、又は約150,000~約200,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリα-1,6-グルカンから誘導され得る。異なる用途にとっては、又は意図される置換度に応じて、異なるサイズの供給原料又は骨格ポリマーが好ましい場合がある。
【0098】
本明細書で使用される「置換度」(DoS)は、骨格内、及び存在し得る任意のα-1,2又はα-1,3分岐内にモノマー単位を含み、カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の各モノマー単位(グルコース)で置換されたヒドロキシル基の平均数を指す。ポリα-1,6-グルカンポリマー又はカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物のグルコースモノマー単位には最大3個のヒドロキシル基が存在するため、全体の置換度は3以下であり得る。本明細書に開示されるカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約0.001~約3.0の置換度を有するため、多糖上の置換基は水素のみではあり得ないことが当業者には理解されるであろう。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の置換度は、特定の置換基に関して、又は全体的な置換度、すなわち本明細書で定義されるエーテル化合物の各異なる置換基のDoSの合計に関して記載することができる。本明細書で使用される場合、置換度が特定の置換基又は置換基に関して記載されていない場合、カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の全体的な置換度を意味する。置換度は、カチオン性の置換度、更には正味のカチオン性の置換度であり得る。標的DoSは、目的の特定の用途におけるカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む組成物の所望の溶解度及び性能を提供するように選択することができる。
【0099】
本明細書に開示されるカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約0.001~約3の範囲の正帯電有機基に対してDoSを有し得る。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテルは、約0.01~約1.5のDoSを有し得る。ポリα-1,6-グルカンエーテルは、約0.01~約0.7のDoSを有し得る。ポリα-1,6-グルカンエーテルは、約0.01~約0.4のDoSを有し得る。ポリα-1,6-グルカンエーテルは、約0.01~約0.2のDoSを有し得る。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物のDoSは、少なくとも約0.001、0.005、0.1、0.15、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、又は3.0であり得る。DoSは、約0.01~約1.5、好ましくは約0.01~約1.0、より好ましくは約0.01~約0.8、より好ましくは約0.03~約0.7、又は約0.04~約0.6、又は約0.05~約0.5であり得る。洗浄用途(例えば、洗浄サイクルで使用される洗濯洗剤)における性能上の理由から、DoSは、約0.01~約0.5、又は約0.01~約0.25、又は約0.01~約0.2、又は約0.03~約0.15、又は約0.04~約0.12であることが好ましい場合がある。すすぎ用途(例えば、すすぎサイクルで使用される液体布地向上剤)における性能上の理由から、好ましくは、DoSは、約0.01~約1、又は約0.03~約0.8、又は約0.04~約0.7、又は約0.05~約0.6、又は約0.2~約0.8、又は約0.2~約0.6、又は約0.3~約0.6、又は約0.4~約0.6であり得る。ポリα-1,6-グルカンのDoSは、0.01~約0.6、より好ましくは0.02~約0.5であり得る。
【0100】
本開示のカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、カチオン電荷密度を特徴とし得る。カチオン電荷密度は、化合物1グラムあたりの電荷のミリ当量(meq/mol)として表すことができ、試験方法の項に提供される方法に従って判定され得る。本開示のカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、約0.05~約12meq/g、又は約0.1~約8meq/g、又は約0.1~約4meq/g、又は約0.1~約3meq/g、又は約0.1~約2.6meq/gのカチオン電荷密度(又は「CCD」)を特徴とし得る。
【0101】
正帯電有機基は、別の原子又は官能基で置換された1つ以上の水素を有する1つ以上の炭素の鎖を含み、置換のうちの1つ以上は、正帯電基である。本明細書で使用される「鎖」という用語は、炭素原子の直鎖状、分岐状、及び環状配置、並びにこれらの組み合わせを包含する。
【0102】
ポリα-1,6-グルカン誘導体は、多糖類骨格及び/又は任意の分岐の1つ以上上で少なくとも1つの正帯電有機基で置換されたポリα-1,6-グルカンを含む。置換が骨格に含有されるグルコースモノマー上で行われる場合、多糖は、2、3、及び/又は4個のグルコース炭素位置で、非誘導体化(非置換)ポリα-1,6-グルカン中に元々存在するヒドロキシル基の代わりに、エーテル(-O-)結合を介して多糖類に結合される、本明細書で定義されるような有機基で誘導体化される。置換が分岐に含まれるグルコースモノマー上で行われる場合、多糖は、1、2、3、4、又は6個のグルコース炭素位置で、エーテル(-O-)結合を介して多糖類に結合される、本明細書で定義されるような正帯電有機基で誘導体化される。
【0103】
本明細書に開示されるポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、本明細書において、下部構造-CG-O-CRを含むことによって、本明細書においてグルカン「エーテル」と呼ばれ、「-CG-」は、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物のグルコースモノマー単位の炭素を表し、「-CR-」は正帯電有機基に含まれる。カチオン性ポリα-1,6-グルカンモノエーテルは、1種類の正帯電有機基を含有する。カチオン性ポリα-1,6-グルカン混合エーテルは、2種類以上の正帯電有機基を含有する。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の混合物も使用することができる。
【0104】
本明細書に開示される処理組成物は、本明細書に開示される1つ以上のカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含む、又は本質的にそれからなることができる。処理組成物は、1つのポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含み得る。処理組成物は、2つ以上のポリα-1、6-グルカンエーテル化合物を含み得る、例えば、正帯電有機基が異なる。
【0105】
処理組成物は、本明細書に開示されるような1つ以上のカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を含み得、未反応/非置換である残留反応物であり得る、非置換及び/又は非カチオン性ポリα-1,6-グルカン化合物を更に含み得る、又は加水分解され得る。典型的には、低レベルは、処理組成物中の置換及び/又は化学的安定性に関する反応の完全性を示し得るため、低レベルの非置換/非カチオン性ポリα-1,6-グルカン化合物が好ましい。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物と非置換/非カチオン性ポリα-1,6-グルカン化合物との重量比は、95:5以上、好ましくは98:2以上、より好ましくは99:1以上であり得る。
【0106】
本明細書で使用される「正帯電有機基」は、別の原子又は官能基で置換された1つ以上の水素を有する1つ以上の炭素の鎖を指し、置換のうちの1つ以上は、正帯電基である。正帯電基は、典型的には、炭素鎖の末端炭素原子に連結している。正帯電有機基は、1つ以上の正荷電基を含み、カチオン(正帯電イオン)を含むため、正味の正電荷を有するとみなされる。「正電荷」である有機基又は化合物は、典型的には、電子よりも多くのプロトンを有し、他の正帯電物質から反発するが、負に帯電した物質に引き付けられる。正帯電基の例には、置換アンモニウム基が含まれる。正帯電有機基は、例えば、1つ以上のヒドロキシル基、酸素原子(ケトン基を形成する)、アルキル基、及び/又は少なくとも1つの追加の正荷電基を有する更なる置換を有し得る。
【0107】
正帯電有機基は、置換アンモニウム基を含み得、これは、構造IIで表すことができる。
【0108】
【0109】
構造IIにおいて、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、又はC6~C24のアリール基を表し得る。構造IIに示される炭素原子(C)は、正帯電有機基の炭素鎖の一部である。炭素原子は、ポリα-1,6-グルカンのグルコースモノマーに直接エーテル結合しているか、又はポリα-1,6-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合された2つ以上の炭素原子の鎖の一部である。構造IIに示される炭素原子は、-CH2-、-CH-(Hはヒドロキシ基などの別の基で置換されている)、又は-C-(両Hは置換されている)であり得る。
【0110】
R2、R3、及び/又はR4がアルキル基を表す場合、アルキル基は、C1~C30アルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘンイコシル、デコシル、トリコシル、テトラコシル、C25、C26、C27、C28、C29、又はC30基であり得る。アルキル基は、C1~C24アルキル基、又はC1~C18、又はC6~C20アルキル基、又はC10~C16アルキル基、又はC1~C4アルキル基であり得る。正帯電有機基が、2つ以上のアルキル基を有する置換アンモニウム基を含む場合、各アルキル基は、他と同じであってもよく、又は異なっていてもよい。
【0111】
R2、R3、及び/又はR4がアリール基を表す場合、アリール基は、任意選択でアルキル置換基で置換されているC6~C24アリール基であり得る。アリール基は、任意選択でアルキル置換基で置換されているC12~C24アリール基、又は任意選択でアルキル置換基で置換されているC6~C18アリール基であり得る。
【0112】
置換アンモニウム基は、構造IIにおけるR2、R3、及びR4の組成に応じて、「第一級アンモニウム基」、「第二級アンモニウム基」、「第三級アンモニウム基」、又は「第四級アンモニウム」基であり得る。第一級アンモニウム基は、構造IIで表されるアンモニウム基であり、式中、R2、R3、及びR4は、それぞれ、水素原子である(すなわち、-C-NH3
+)。
【0113】
第二級アンモニウム基は、構造IIで表されるアンモニウム基であり、式中、R2及びR3はそれぞれ、水素原子であり、R4は、C1~C30アルキル基又はC6~C24アリール基である。「第二級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物」は、モノアルキルアンモニウム基を有する正帯電有機基を含む。第二級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、モノアルキルアンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル、例えば、モノメチル-、モノエチル-、モノプロピル-、モノブチル-、モノペンチル-、モノヘキシル-、モノヘプチル-、モノオクチル-、モノノニル-、モノデシル-、モノウンデシル-、モノドデシル-、モノトリデシル-、モノテトラデシル-、モノペンタデシル-、モノヘキサデシル-、モノヘプタデシル-、又はモノオクタデシル-アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテルとして略記され得る。これらのポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、メチル、エチル、プロピル-、ブチル-、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル-、オクチル-、ノニル、デシル-、ウンデシル-、ドデシル-、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル-、ヘキサデシル-、ヘプタデシル-、又はオクタデシル-アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物とも称され得る。オクタデシルアンモニウム基はモノアルキルアンモニウム基の例であり、R2及びR3のそれぞれが、水素原子であり、R4は、オクタデシル基である。この命名法における「第二級」によって暗示される第2のメンバー(すなわち、R1)は、ポリα-1,6-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合された正帯電有機基の1つ以上の炭素の鎖であることが理解されるであろう。
【0114】
第三級アンモニウム基は、構造IIで表されるアンモニウム基であり、R2は、水素原子であり、R3及びR4は、それぞれ独立して、C1~C24アルキル基、又はC6~C24のアリール基である。アルキル基は、同じであってもよく、異なっていてもよい。「第三級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物」は、ジアルキルアンモニウム基を有する正帯電有機基を含む。第三級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、ジアルキルアンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル、例えば、ジメチル-、ジエチル-、ジプロピル-、ジブチル-、ジペンチル-、ジヘキシル-、ジヘプチル-、ジオクチル-、ジノニル-、ジデシル-、ジウンデシル-、ジドデシル-、ジトリデシル-、ジテトラデシル、ジペンタデシル、ジヘキサデシル-、ジヘプタデシル、又はジオクタデシル-アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテルとして略記され得る。ジドデシルアンモニウム基は、ジアルキルアンモニウム基の一例であり、式中、R2は水素原子であり、R3及びR4はそれぞれドデシル基である。この命名法における「第三級」によって暗示される第3のメンバー(すなわち、R1)は、ポリα-1,6-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合された正帯電有機基の1つ以上の炭素の鎖であることが理解されるであろう。
【0115】
第四級アンモニウム基は、構造IIで表されるアンモニウム基であり、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立してC1~C30アルキル基又はC6~C24アリール基である(すなわち、R2、R3、及びR4のいずれも水素原子ではない)。
【0116】
第四級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、トリアルキルアンモニウム基を含んでもよく、R2、R3、及びR4はそれぞれ、独立してC1~C30アルキル基である。アルキル基は全て同じであってもよく、又は2つのアルキル基は同じであってもよく、他のものとは異なるものであってもよく、又は3つのアルキル基全てが互いに異なっていてもよい。第四級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、トリアルキルアンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル、例えば、トリメチル-、トリエチル-、トリプロピル-、トリブチル-、トリペンチル、トリヘキシル-、トリヘプチル-、トリオクチル、トリノニル-、トリデシル-、トリウンデシル-、トリドデシル-、トリトリデシル-、トリテトラデシル-、トリペンダデシル-、トリヘキサデシル-、トリヘプタデシル-、又はトリオクタデシル-アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテルとして略記することができる。この命名法における「第四級」によって暗示される第4のメンバー(すなわち、R1)は、ポリα-1,6-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合された正帯電有機基の1つ以上の炭素の鎖であることが理解されるであろう。トリメチルアンモニウム基は、トリアルキルアンモニウム基の一例であり、R2、R3、及びR4はそれぞれメチル基である。
【0117】
置換アンモニウム基を含む正帯電有機基は構造IIにより表され、R2、R3、及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、又はフェニル基若しくはナフチル基などのアリール基、又はベンジル基などのアラルキル基、又はシクロヘキシル若しくはシクロペンチルなどのシクロアルキル基を表す。R2、R3、及びR4のそれぞれは、アミノ基又はヒドロキシル基を更に含み得る。
【0118】
正帯電有機基の置換アンモニウム基は、α-1,6-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合している1つ以上の炭素の鎖上の置換基である。炭素鎖は、1~30個の炭素原子を含有し得る。炭素鎖は、直鎖状であってもよい。直鎖状の炭素鎖としては、例えば、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2(CH2)2CH2-、-CH2(CH2)3CH2-、-CH2(CH2)4CH2-、-CH2(CH2)5CH2-、-CH2(CH2)6CH2-、-CH2(CH2)7CH2-、-CH2(CH2)8CH2-、-CH2(CH2)9CH2-、-CH2(CH2)10CH2-が挙げられる。所望に応じて、より長い炭素鎖を使用することもできる。炭素鎖は分岐していてもよく、これは、炭素鎖が1つ以上のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、又はブチル基で置換されていることを意味する。置換点は、炭素鎖に沿ったどこでもよい。分岐した炭素鎖の例には、-CH(CH3)CH2-、-CH(CH3)CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-、-CH(CH2CH3)CH2-、-CH(CH2CH3)CH2CH2-、-CH2CH(CH2CH3)CH2-、-CH(CH2CH2CH3)CH2-、-CH(CH2CH2CH3)CH2CH2-、及び-CH2CH(CH2CH2CH3)CH2-が含まれる。所望に応じて、より長い分岐炭素鎖を使用することもできる。正帯電基が置換アンモニウム基である場合、鎖中の第1の炭素原子は、ポリα-1,6-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合し、これらの実施例のそれぞれにおける鎖の最後の炭素原子は、構造IIのCで表される。
【0119】
1つ以上の炭素の鎖は、1つ以上のヒドロキシル基で更に置換され得る。ヒドロキシル基との1つ以上の置換を有する炭素鎖の例としては、ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル、ヒドロキシペンチル、ヒドロキシヘキシル、ヒドロキシヘプチル、ヒドロキシオクチル)基、及びジヒドロキシアルキル(例えば、ジヒドロキシエチル、ジヒドロキシプロピル、ジヒドロキシブチル、ジヒドロキシペンチル、ジヒドロキシヘキシル、ジヒドロキシヘプチル、ジヒドロキシオクチル)基が挙げられる。ヒドロキシアルキル及びジヒドロキシアルキル(ジオール)炭素鎖の例としては、-CH(OH)-、-CH(OH)CH2-、-C(OH)2CH2-、-CH2CH(OH)CH2-、-CH(OH)CH2CH2-、-CH(OH)CH(OH)CH2-、-CH2CH2CH(OH)CH2-、-CH2CH(OH)CH2CH2-、-CH(OH)CH2CH2CH2-、-CH2CH(OH)CH(OH)CH2-、-CH(OH)CH(OH)CH2CH2-及び-CH(OH)CH2CH(OH)CH2-が挙げられる。これらの実施例の各々において、鎖の第1の炭素原子は、ポリα-1,6-グルカンのグルコースモノマーにエーテル結合し、鎖の最後の炭素原子は、正帯電基に結合している。正帯電基が置換アンモニウム基である場合、これらの実施例の各々における鎖の最後の炭素原子は、構造IIのCで表される。
【0120】
第四級アンモニウムポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の例は、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルポリα-1,6-グルカンである。このエーテル化合物の正帯電有機基は、以下の構造によって表すことができる。
【0121】
【化3】
式中、R
2、R
3、及びR
4はそれぞれ、メチル基である。上記の構造は、第四級アンモニウムヒドロキシプロピル基の例である。
【0122】
正帯電有機基の炭素鎖が、正帯電基による置換に加えて置換を有する場合、そのような追加の置換は、1つ以上のヒドロキシル基、酸素原子(それによってアルデヒド又はケトン基を形成する)、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)、及び/又は追加の正帯電基であり得る。正帯電基は、典型的には、炭素鎖の末端炭素原子に連結している。正帯電基はまた、1つ以上のイミダゾリン環を含むことができる。
【0123】
本明細書に開示されるカチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、塩であり得る。正帯電有機基の対イオンは、酢酸塩、ホウ酸塩、臭素酸塩、臭化物、炭酸塩、塩素酸塩、塩化物、亜塩素酸塩、リン酸二水素、フッ化物、炭酸水素塩、リン酸水素、硫酸水素塩、硫化水素、亜硫酸水素塩、水酸化物、次亜塩素酸塩、ヨウ素酸塩、ヨウ化物、硝酸塩、亜硝酸塩、シュウ酸塩、酸化物、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、リン酸塩、リン化物、亜リン酸塩、ケイ酸塩、スズ酸塩、亜スズ酸塩、硫酸塩、硫化物、硫酸塩、酒石酸塩、又はチオシアアン酸アニオン、好ましくは、塩化物を含む任意の好適なアニオンであり得る。水溶液において、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、カチオン性形態である。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の正帯電有機基は、水溶液中に存在し得る塩アニオンと相互作用することができる。
【0124】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、正帯電有機基を含み得、正帯電有機基は、置換アンモニウム基を含む。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、正帯電有機基は、置換アンモニウム基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、置換アンモニウム基は、置換アンモニウム基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、置換アンモニウム基は、トリメチルアンモニウム基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約35%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、置換アンモニウム基は、トリメチルアンモニウム基を含み得る。
【0125】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、正帯電有機基を含み得、正帯電有機基は、トリメチルアンモニウムヒドロキシアルキル基を含む。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、正帯電有機基は、トリメチルアンモニウムヒドロキシアルキル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、正帯電有機基は、トリメチルアンモニウムヒドロキシアルキル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、トリメチルアンモニウムヒドロキシアルキル基は、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、トリメチルアンモニウムヒドロキシアルキル基は、トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピル基を含み得る。
【0126】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、正帯電有機基を含み得、正帯電有機基は、第四級アンモニウム基を含む置換アンモニウム基を含む。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有してもよく、第四級アンモニウム基は、少なくとも1つのC1~C18アルキル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得るが、第四級アンモニウム基は、少なくとも1つのC1~C18アルキル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有してもよく、第四級アンモニウム基は、少なくとも1つのC1~C4アルキル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有してもよく、第四級アンモニウム基は、少なくとも1つのC1~C4アルキル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有してもよく、第四級アンモニウム基は、少なくとも1つのC10~C16アルキル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有してもよく、第四級アンモニウム基は、少なくとも1つのC10~C16アルキル基を含み得る。
【0127】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、1つのC10~C16アルキル基を含む第四級アンモニウム基を含んでもよく、第四級アンモニウム基は、2つのメチル基を更に含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有してもよく、第四級アンモニウム基は、1つのC10~C16アルキル基を含み、2つのメチル基を更に含む。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有してもよく、第四級アンモニウム基は、1つのC10~C16アルキル基を含み、2つのメチル基を更に含む。
【0128】
エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、第四級アンモニウム基は、1つのC10アルキル基及び2つのメチル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、第四級アンモニウム基は、1つのC10アルキル基及び2つのメチル基を含み得る。
【0129】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、正帯電有機基を含み得、正帯電有機基は、第四級アンモニウムヒドロキシアルキル基を含む。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、正帯電有機基は、第四級アンモニウムヒドロキシアルキル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、正帯電有機基は、第四級アンモニウムヒドロキシアルキル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、第四級アンモニウムヒドロキシアルキル基は、第四級アンモニウムヒドロキシメチル基、第四級アンモニウムヒドロキシエチル基、又は第四級ヒドロキシプロピル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、第四級アンモニウムヒドロキシアルキル基は、第四級アンモニウムヒドロキシメチル基、第四級アンモニウムヒドロキシエチル基、又は第四級ヒドロキシプロピル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、第四級アンモニウムヒドロキシアルキル基は、第四級アンモニウムヒドロキシメチル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、第四級アンモニウムヒドロキシアルキル基は、第四級アンモニウムヒドロキシメチル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、第四級アンモニウムヒドロキシアルキル基は、第四級アンモニウムヒドロキシエチル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、第四級アンモニウムヒドロキシアルキル基は、第四級アンモニウムヒドロキシエチル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約0.5%~約50%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、第四級アンモニウムヒドロキシアルキル基は、第四級アンモニウムヒドロキシプロピル基を含み得る。エーテル化合物の骨格グルコースモノマー単位の約5%~約30%は、α-1,2グリコシド結合を介した分岐を有し得、第四級アンモニウムヒドロキシアルキル基は、第四級アンモニウムヒドロキシプロピル基を含み得る。
【0130】
トリメチルアンモニウム基、置換アンモニウム基、又は第四級アンモニウム基などの正帯電有機基を含有するポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2016/0311935号に開示されているものと同様の方法を使用して調製することができる。米国特許出願公開第2016/0311935号は、正帯電有機基を含み、最大約3.0の置換度を有するポリα-1,3-グルカンエーテル化合物、並びにそのようなエーテル化合物を生成する方法を開示している。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテルは、アルカリ条件下でポリα-1,6-グルカンと、正帯電有機基を含む少なくとも1つのエーテル化剤とを接触させることによって調製され得る。例えば、アルカリ条件は、ポリα-1,6-グルカンと溶媒及び1つ以上のアルカリ水酸化物とを接触させて、溶液又は混合物を提供し、次いで少なくとも1つのエーテル化剤を添加することによって調製され得る。別の例として、少なくとも1つのエーテル化剤をポリα-1,6-グルカン及び溶媒と接触させ、次いでアルカリ水酸化物を添加することができる。ポリα-1,6-グルカン、エーテル化剤、及びアルカリ水酸化物の混合物は、周囲温度に維持することができる、又は任意選択で、使用されるエーテル化剤及び/又は溶媒に応じて、例えば、約25℃~約200℃の温度まで加熱することができる。ポリα-1,6-グルカンエーテルを生成するための反応時間は、反応温度に対応して変更され、温度が低いほど必要な反応時間が長くなり、温度が高いほど必要な反応時間が短くなる。
【0131】
典型的には、溶媒は水を含む。任意選択で、追加の溶媒を、アルカリ溶液、例えば、イソプロパノール、アセトン、ジオキサン、及びトルエンなどのアルコールに添加することができる。あるいは、リチウムクロリド(LiCl)/N,N-ジメチル-アセトアミド(DMAc)、SO2/ジエチルアミン(DEA)/ジメチルスルホキシド(DMSO)、LiCl/1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(DMI)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)/N2O4、DMSO/テトラブチルアンモニウムフルオリド三水和物(TBAF)、N-メチルモルホリン-N-オキシド(NMMO)、Ni(トレン)(OH)2[トレンチ-トリス(2-アミノエチル)アミン]水溶液及びLiClO4・3H2Oの溶融物、NaOH/尿素水溶液、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、ギ酸及びイオン液体などの溶媒を使用することができる。
【0132】
エーテル化剤は、ポリα-1,6-グルカンを正帯電有機基でエーテル化することができるものであり得、正帯電有機基の炭素鎖のみが正帯電基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換アンモニウム基)での置換を有する。そのようなエーテル化剤の例としては、ジアルキルサルフェート、アルキルカーボネート、アルキルハロゲン化物(例えば、アルキルクロリド)、ヨードアルカン、アルキルトリフレート(アルキルトリフルオロメタンスルホネート)及びアルキルフルオロスルホネートが挙げられ、これらのエーテル化剤のそれぞれのアルキル基(複数可)は、正帯電基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換アンモニウム基)での1つ以上の置換を有する。そのようなエーテル化剤の他の例としては、ジメチルサルフェート、ジメチルカーボネート、メチルクロリド、ヨードメタン、メチルトリフレート、及びメチルフルオロスルホネートが挙げられ、これらの各エーテル化剤のメチル基(複数可)は、正帯電基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換アンモニウム基)での置換を有する。そのようなエーテル化剤の他の例としては、ジエチルサルフェート、ジエチルカーボネート、塩化エチル、ヨードエタン、エチルトリフレート及びエチルフルオロスルホネートが挙げられ、これらのエーテル化剤のそれぞれのエチル基(複数可)は、正帯電基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換アンモニウム基)での置換を有する。そのようなエーテル化剤の他の例としては、ジプロピルサルフェート、ジプロピルカーボネート、プロピルクロリド、ヨードプロパン、プロピルトリフレート、及びプロピルフルオロスルホネートが挙げられ、これらのエーテル化剤のそれぞれのプロピル基(複数可)は、正帯電基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換アンモニウム基)での1つ以上の置換を有する。そのようなエーテル化剤の他の例としては、ジブチルサルフェート、ジブチルカーボネート、塩化ブチル、ヨードブタン、及びブチルトリフレートが挙げられ、これらのエーテル化剤のそれぞれのブチル基(複数可)は、正帯電基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換アンモニウム基)での1つ以上の置換を有する。エーテル化剤の他の例としては、イミダゾリン環含有化合物のハロゲン化物が挙げられる。
【0133】
エーテル化剤は、正帯電有機基でポリα-1,6-グルカンをエーテル化することができるものであり得、正帯電有機基の炭素鎖は、正帯電基、例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換アンモニウム基での置換に加えて、例えばヒドロキシル基での置換を有する。そのようなエーテル化剤の例としては、ヒドロキシアルキルハライド(例えば、ヒドロキシアルキルクロリド)、例えば、ハロゲン化ヒドロキシプロピル及びヒドロキシブチルハライドが挙げられ、これらのエーテル化剤のそれぞれの末端炭素は、正帯電基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換アンモニウム基)での置換を有し、一例は、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-トリメチルアンモニウムである。正帯電有機基を含むエーテル化剤の追加の例としては、2、3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルドデシルジメチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルココアルキルジメチルアンモニウムクロリド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルステアリルジメチルアンモニウムクロリド、及びイミダゾリン環含有化合物のハロゲン化物などの第四級アンモニウム化合物が挙げられる。そのようなエーテル化剤の他の例としては、プロピレンオキシド(例えば、1,2-プロピレンオキシド)及びブチレンオキシド(例えば、1,2-ブチレンオキシド;2、3-ブチレンオキシド)が挙げられ、これらのエーテル化剤のそれぞれの末端炭素は、正帯電基(例えば、トリメチルアンモニウムなどの置換アンモニウム基)での置換を有する。
【0134】
2つ以上の異なる正帯電有機基を含むポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を生成する場合、それに応じて、2つ以上の異なるエーテル化剤が使用される。本明細書に開示されるエーテル化剤のいずれかを組み合わせて、2つ以上の異なる正帯電有機基を有するポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を生成し得る。そのような2つ以上のエーテル化剤は、同時に反応に使用され得るか、又は反応において順次使用され得る。順次使用される場合、各添加間に温度処理(例えば、加熱)ステップのいずれかを任意選択で使用し得る。エーテル化剤の順次導入を使用して、各正帯電有機基の所望のDoSを制御し得る。一般に、エーテル生成物中に形成される有機基が、添加される別の有機基のDoSと比較してより高いDoSで所望される場合、特定のエーテル化剤が最初に使用される。
【0135】
アルカリ条件下での反応においてポリα-1,6-グルカンと接触させるエーテル化剤の量は、エーテル化合物中に望ましい置換度に基づいて選択することができる。ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物中の各モノマー単位上のエーテル置換基の量は、核磁気共鳴(NMR)分光法を使用して決定することができる。一般に、エーテル化剤は、ポリグルカン1モル当たり少なくとも約0.05モルの量で使用することができる。使用することができるエーテル化剤の量に上限はない場合がある。
【0136】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を生成するための反応は、任意選択で、Parr反応器、オートクレーブ、シェーカチューブ、又は当該技術分野で周知の任意の他の圧力容器などの圧力容器内で実施され得る。任意選択で、ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、加熱の有無にかかわらず、不活性雰囲気下で調製することができる。本明細書で使用される場合、「不活性雰囲気」という用語は、窒素、アルゴン、又はヘリウムなどの非反応性ガス雰囲気を指す。
【0137】
ポリα-1,6-グルカン、溶媒、アルカリ水酸化物、及びエーテル化試薬をポリα-1,6-グルカンエーテル化合物を生成するのに十分な反応時間、接触させた後、反応混合物は、任意選択で、固体から液体を除去することを可能にする当該技術分野で既知の任意の手段によって濾過することができる。
【0138】
エーテル化に続いて、1つ以上の酸を任意選択で反応混合物に添加して、pHを、実質的に酸性でも実質的に酸性でもない中性pH範囲、例えば、所望に応じて約6~8、又は約6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8、又は8.0まで低下させ得る。この目的に有用な様々な酸には、硫酸、酢酸、塩酸、硝酸、任意の鉱物(無機)酸、任意の有機酸、又はこれらの酸の任意の組み合わせが含まれる。
【0139】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、任意選択で、化合物を容易に溶解しない液体で1回以上洗浄することができる。例えば、ポリα-1,6-グルカンエーテルは、その中のエーテル化合物の溶解度に応じて(溶解度の欠如が洗浄にとって望ましい)、水、アルコール、イソプロパノール、アセトン、芳香族、又はこれらの任意の組み合わせで洗浄することができる。一般に、アルコールなどの有機溶媒を含む溶媒が洗浄に好ましい。ポリα-1,6-グルカンエーテル生成物は、例えば、メタノール又はエタノールを含有する水溶液で1回以上洗浄することができる。例えば、70~95重量%のエタノールを使用して、生成物を洗浄することができる。別の実施形態では、ポリα-1,6-グルカンエーテル生成物は、メタノール:アセトン(例えば、60:40)溶液で洗浄することができる。
【0140】
ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、任意選択で膜濾過によって精製することができる。
【0141】
上記の方法を使用して生成されたポリα-1,6-グルカンエーテルは単離することができる。この工程は、漏斗、遠心分離機、プレスフィルタ、又は固体からの液体の除去を可能にする当該技術分野で既知の任意の他の方法又は機器を使用して、中和及び/又は洗浄ステップの前又は後に実行することができる。単離されたポリα-1,6-グルカンエーテル生成物は、真空乾燥、空気乾燥、又は凍結乾燥などの当該技術分野で既知の任意の方法を使用して乾燥され得る。
【0142】
上記エーテル化反応のいずれも、更なる修飾のために出発材料としてポリα-1,6-グルカンエーテル生成物を使用して繰り返すことができる。このアプローチは、正帯電有機基のDoSを増加させる、及び/又は1つ以上の異なる正帯電有機基をエーテル生成物に添加するのに好適であり得る。また、このアプローチは、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)及び/又はヒドロキシアルキル基(例えば、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチル)などの正帯電していない1つ以上の有機基を添加するのに好適であり得る。上記エーテル化剤のいずれも、正帯電基で置換されていないが、この目的のために使用することができる。
【0143】
上記のように、持続可能/再生可能な原料材料から得られる材料が望ましい場合が多い。同様に、生分解性材料も好ましい場合がある。例えば、生分解性カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、環境フットプリントの観点から非生分解性材料よりも好ましい。材料の生分解性は、例えば、本明細書の以下の生分解性試験方法のセクションに開示されているように、当該技術分野で既知の方法によって評価することができる。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、以下の生分解性試験方法(すなわち、二酸化炭素発生試験方法-OECDガイドライン301B)によって決定されるように、試験期間の90日目での、少なくとも10%の生分解性を特徴とし得る。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、生分解性試験方法によって決定されるように、試験期間の90日目での、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、又は80%、又は5%~80%の任意の値である生分解性を特徴とし得る。カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、以下の生分解性試験方法によって決定されるように、試験期間の60日目での、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、若しくは60%、又は5%~60%の任意の値の生分解性を特徴とし得る。理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書に記載の材料の生分解性プロファイルは、材料の置換度、分子量、分岐度、及び/又は溶解度によって影響され得ると考えられる。例えば、比較的低い置換度(例えば、低いカチオン電荷密度)及び/又は増加した溶解度は、より高い生分解度に関連すると考えられる。
【0144】
水溶性単位用量物品は、多区画単位用量物品であり、カチオン性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物は、任意の区画、又は区画の任意の組み合わせ、又は更には各区画内に含まれ得る。
【0145】
製造方法
当業者であれば、水溶性単位用量物品、液体洗濯処理組成物、及びこれらの成分を作製するための既知の方法及び技術を認識するであろう。
【0146】
使用方法
本発明の更なる態様は、本発明による水溶性単位用量物品を水中で200~3000倍に希釈して洗浄液を作製する工程と、洗浄される布地を当該洗浄液と接触させる工程とを含む、布地を洗浄するための方法である。好ましくは、洗浄液は、5L~75L、好ましくは7L~40L、より好ましくは10L~20Lの水を含む。好ましくは、洗浄液は、約5℃~約90℃、好ましくは約10℃~約60℃、より好ましくは約12℃~約45℃、最も好ましくは約15℃~約40℃の温度とする。好ましくは、洗浄液中での布地の洗浄は、完了までに5分~50分、好ましくは5分~40分、より好ましくは5分~30分、更により好ましくは5分~20分、最も好ましくは6分~18分かかる。好ましくは、洗浄液は、1kg~20kg、好ましくは3kg~15kg、最も好ましくは5~10kgの布地を含む。洗浄液は、好ましくは0gpg~40gpgで変化する任意の硬度の水を含み得る。
【0147】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【実施例】
【0148】
水溶性単位用量液体洗濯製剤への本発明によるカチオン変性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の単回可変添加の影響は、布地ケアの利点の提供、並びにカチオン性ヒドロキシエチルセルロース及びポリビニルアルコールの存在下で典型的に観察される鮮度の劣化を軽減する可能性に関して評価した。性能影響は、本明細書に記載の試験方法に従って評価した。
【0149】
実施例1:布地鮮度の影響
可溶性単位用量洗濯配合物における使用に好適な、液体洗濯洗剤ベース(組成:表1を参照)への本発明によるカチオン変性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物及びカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースの単回可変添加が布地鮮度に及ぼす影響を、本明細書に記載の試験方法に従って水溶性ポリビニルアルコールフィルムの存在及び非存在下の両方で評価した。
【0150】
試験方法:
試験布の処理:
布地を処理する方法は、Miele Honeycomb Care W1724などの市販の洗濯機、又は標準的な機械設定(40℃での綿短サイクル、1:38の長い総サイクル)を用いる同様の機械の使用と、それに続く一定温度/湿度の室内(70°F/50%rH)で24時間乾燥とを含む。分析前に、布地を複数サイクル(3)で処理する。機械中の布地組成物は、合計5.5ポンドのポリエステル、ポリコットン、及び綿の混合物を含む試験布及び標準バラストからなる。各処理サイクル内で、ポリマー及び洗剤処理は、布地の前に、指定レベル(26.65gの洗剤ベース、1gのPVAフィルム、洗浄液中の10~20ppmのポリマー)で機械のドラムに送達される。洗浄サイクル後、布地を1回以上のすすぎサイクルにさらす。
【0151】
鮮度の評価
測定可能な属性の違いを見出すためのASTM(E1958)によって推奨される試験設計の1つは、訓練された記述式分析パネルを用いている。香料強度を格付けする14人の検証された外部(非従業員)記述分析パネリストは、典型的な0~100スケール(高い方がより良好)を使用して乾燥布地の香料強度に関して布地を格付けする方法について訓練を受けた。格付けのプロトコルは、摩擦前(布の異なる部分の香りをかぐ)及び摩擦後(布地を一緒に5回擦り、1回香りをかぐ)であった。全てのサンプルを盲検の3桁コードで標識し、提示順序をランダム化した。3つの複製を試験し、試験格付けを平均化した。
【0152】
出発物質:
・表1は、第1の液体洗濯ベース洗剤組成物について説明する。
・DuPont社製のカチオン変性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物(MW185M、カチオン置換度0.07%、分岐度5%)。
・Dow社製のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、ポリクオタニウム10(MW300-500M、低カチオン電荷密度、例えば1%未満の窒素)
・水溶性フィルム:MonoSol社製のポリビニルアルコールホモポリマー/アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーブレンド
【0153】
【0154】
試験結果:
表2は、本発明の範囲外のポリマー無しカチオン性ヒドロキシエチルセルロース比較ポリマーと、本発明によるカチオン性ポリグルカンを含む実施例とに関して、ポリビニルアルコール添加の絶対摩擦前及び後摩擦の香りエキスパートによる格付け並びに単回可変鮮度損失影響をまとめたものである。データが明瞭に示すように、本発明によるカチオン性ポリグルカンは、サンプルを含むポリマー無しカチオン性ヒドロキシエチルセルロースで観察されたポリビニルアルコールによる鮮度の悪影響を部分的に軽減する(相対的PVA影響値)。更に、水溶性単位用量物品に固有の、サンプルを含むポリビニルアルコールフィルムの中で、明瞭な布地鮮度性能の譲歩が観察されるカチオン性ヒドロキシエチルセルロース(比較例3)の単回可変添加とは対照的に、カチオン性ポリグルカン(本発明の実施例1)のポリマー無し基準(比較例1)への単回可変添加は、布地の鮮度性能に悪影響を及ぼさない。
【0155】
【0156】
実施例2.可溶性単位用量洗剤配合物における布地保持性能
可溶性単位用量洗濯配合物における使用に好適な、液体洗濯洗剤ベース(組成:表3を参照)への本発明によるカチオン変性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物及びカチオン変性ヒドロキシエチルセルロースの単回可変添加が布地保持に及ぼす影響を、本明細書に記載の試験方法に従って評価した。
【0157】
試験布の処理:
布地を処理する方法は、Miele Honeycomb Care W1724などの市販の洗濯機、又は標準的な機械設定(40℃での綿短サイクル、1:38の長い総サイクル)を用いる同様の機械の使用と、それに続く一定温度/湿度の室内(70°F/50%rH)で24時間乾燥とを含む。分析前に、布地を複数サイクル(3)で処理する。機械中の布地組成物は、合計5.5ポンドのポリエステル、ポリコットン、及び綿の混合物を含む試験布及び標準バラストからなる。各処理サイクル内で、ポリマー及び洗剤処理は、布地の前に、指定レベル(26.65gの洗剤ベース、1gのPVAフィルム、洗浄液中の38ppmのポリマー)で機械のドラムに送達される。洗浄サイクル後、布地を1回以上のすすぎサイクルにさらす。
【0158】
セカント係数インストロン法
セカント係数は、インストロンモデル5565(米国マサチューセッツ州ノーウッドのInstron Corp.)などの引張及び圧縮試験機器を使用して測定される。この機器は、次の設定を選択することによって、布地に応じて構成される:モードはTensile Extensionである;波形形状はTriangle;最大ひずみは、479サンフォライズドでは10%及び7422編物では35%であり、速度は、479サンフォライズドでは0.83mm/秒及び7422編物では2.5mm/秒であり、サイクル数は4であり、保持時間は、サイクル間15秒である。
1.ハサミを使用して、各見本の片側全体のかがった縁部を縦方向に切り取り、均等な縁部が得られるまで布地に応力をかけずに糸を慎重に取り外す。
2.布プレス型を配置し、幅1インチ、少なくとも長さ4インチのストリップを均一な縁部に平行に切断し、縦方向に長手に切断する。
3.処理あたり3個の別個の布見本から織られた試験布479サンフォライズド100%綿又は編まれた試験布7422 50:50ポリコットンの3つのストリップを切断する。分析前に、布地を一定温度(70°F)及び湿度(50%RH)の室内で少なくとも6時間調湿する。
4.引張試験装置の2.54cm把持部内に布ストリップの上部、次いで下部を固定し、2.54cmのギャップを設定し、サンプルへの少量の力(0.0.05N~0.2N)を加える。
5.保持サイクル中、サンプルの下部固定を解放し、再固定し、サンプル上に0.05N~0.2Nの力を加え、同じ力を再度加えることによって弛みを取り除く。
6.サンプルについて4回のヒステリシスサイクルが完了すると、セカント係数がメガパスカル(MPa)で報告される。最終結果は、所与の生地タイプにおける所与の処理のための全ての試験ストリップからの個々のサイクル4の弾性率結果の平均である。報告されるセカント係数は、各布タイプの最大ひずみで計算される。
【0159】
出発物質:
・表3は、第2の液体洗濯ベース洗剤組成物について説明する。
・DuPont社製のカチオン変性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物:表4を参照。
・Dow社製のカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、ポリクオタニウム10(MW300-500M、低カチオン電荷密度、例えば1%未満の窒素)
・水溶性フィルム:MonoSol社製のポリビニルアルコールホモポリマー/アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーブレンド
【0160】
【0161】
試験結果:
表4は、無ポリマー基準製品と、本発明によるカチオン性ポリグルカンポリマーを単回可変に含む洗浄剤組成物とについて、本明細書に記載の試験方法に従って測定された得られた断面弾性率をまとめたものである。データが明瞭に示すように、本発明によるカチオン性ポリグルカンの単回可変添加がセカント係数の低下をもたらし、試験されたカチオン変性ヒドロキシエチルセルロース(3.5のインストロンセカント係数)と合わせて、改善された布地保持効果を示す。以下に列挙されるポリマー1~3では、カチオン性基は、3つのメチル基(すなわち、トリメチルアンモニウムクワット)で置換された第四級アンモニウム基である。カチオン性基は、ヒドロキシプロピル基によってエーテル基(したがってグルカン骨格)に結合されるが、それに応じて任意の好適なアルキル基又は他のヒドロキシアルキル基を使用して結合することができる。
【0162】
【0163】
要約すると、本発明によるカチオン性ポリグルカンポリマーの水溶性単位用量液体洗剤組成物への単回可変添加は、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース及びポリビニルアルコール水溶性フィルム技術などの代替カチオン性ポリマー生地ケア技術に関して観察されるような鮮度への悪影響を軽減しながら、改善された布地ケアの利点をもたらす。
【0164】
実施例3.異なる可溶性単位用量洗剤配合物における布地保持性能
可溶性単位用量洗濯配合物における使用に好適な、液体洗濯洗剤ベース(組成:表3を参照)への本発明によるカチオン変性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物の単回可変添加が布地保持に及ぼす影響を、本明細書に記載の試験方法に従って評価した。
【0165】
試験布の処理:
布地を処理する方法は、Miele Honeycomb Care W1724などの市販の洗濯機、又は標準的な機械設定(40℃での綿短サイクル、1:38の長い総サイクル)を用いる同様の機械の使用と、それに続く綿通常サイクルでのMiele T640でのタンブリング乾燥とを含む。分析前に、布地を複数サイクル(6)で処理する。機械中の布地組成物は、合計5.5ポンドのポリエステル、ポリコットン、及び綿の混合物を含む試験布及び標準バラストからなる。各処理サイクル内で、ポリマー及び洗剤処理は、布地の前に、指定レベル(26.01gの洗剤ベース、0.67gのPVAフィルム、洗浄液中の20ppmのポリマー)で機械のドラムに送達される。洗浄サイクル後、布地を1回以上のすすぎサイクルにさらす。
【0166】
セカント係数インストロン法
セカント係数は、インストロンモデル3342(米国マサチューセッツ州ノーウッドのInstron Corp.)などの引張及び圧縮試験機器を使用して測定される。この機器は、次の設定を選択することによって、布地に応じて構成される:モードはTensile Extensionである;波形形状はTriangle;最大ひずみは、479サンフォライズドでは10%及び7422編物では35%であり、速度は、479サンフォライズドでは0.83mm/秒及び7422編物では2.5mm/秒であり、サイクル数は4であり、保持時間は、サイクル間15秒である。
1.布プレス型を配置し、幅1インチ、少なくとも長さ4インチのストリップを均一な縁部に平行に切断し、縦方向に長手に切断する。
2.処理あたり3個の別個の布見本から織られた試験布479サンフォライズド100%綿又は編まれた試験布7422 50:50ポリコットンの3つのストリップを切断する。分析前に、布地を一定温度(70°F)及び湿度(50%RH)の室内で少なくとも6時間調湿する。
3.引張試験装置の2.54cm把持部内に布ストリップの上部、次いで下部を固定し、2.54cmのギャップを設定し、サンプルへの少量の力(0.05N~0.2N)を加える。
4.保持サイクル中、サンプルの下部固定を解放し、再固定し、サンプル上に0.05N~0.2Nの力を加え、同じ力を再度加えることによって弛みを取り除く。
5.サンプルについて4回のヒステリシスサイクルが完了すると、セカント係数がメガパスカル(MPa)で報告される。最終結果は、所与の生地タイプにおける所与の処理のための全ての試験ストリップからの個々のサイクル4の弾性率結果の平均である。報告されるセカント係数は、各布タイプの最大ひずみで計算される。
【0167】
出発物質:
・表3は、第2の液体洗濯ベース洗剤組成物について説明する。
・DuPont社製のカチオン変性ポリα-1,6-グルカンエーテル化合物:表4を参照。
・水溶性フィルム:MonoSol社製のポリビニルアルコールホモポリマー/アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーブレンド
【0168】
【表5】
1 Lutensit Z96(BASFの双性イオン性ポリアミンジアミン-以下の式による双性イオン性ヘキサメチレンジアミン:100%四級化、及び約40%のスルホン化ポリエトキシ(EO24)基)。
【0169】
【0170】
試験結果:
表6は、無ポリマー基準製品と、本発明によるカチオン性ポリグルカンポリマーを単回可変に含む洗浄剤組成物とについて、本明細書に記載の試験方法に従って測定された、編み綿7422に関して得られた断面弾性率をまとめたものである。データが明瞭に示すように、本発明によるカチオン性ポリグルカンの単回可変添加がセカント係数の低下をもたらし、改善された布地保持効果を示す。以下に列挙されるポリマー4及び5では、カチオン性基は、3つのメチル基(すなわち、トリメチルアンモニウムクワット)で置換された第四級アンモニウム基である。カチオン性基は、ヒドロキシプロピル基によってエーテル基(したがってグルカン骨格)に結合されるが、それに応じて任意の好適なアルキル基又は他のヒドロキシアルキル基を使用して結合することができる。データはまた、本発明のポリマーが、組成物4及び組成物5におけるセカント係数の低下により大きな影響を及ぼすことを示し、これは、より高いAESとLASとの比、又は高非イオン性界面活性剤とLASとの比を有することも示唆している。
【0171】
【0172】
表6のデータからは、本発明によるカチオン性ポリグルカンが、広範囲の界面活性剤配合物にわたって性能を提供することが明らかである。
【0173】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【国際調査報告】