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特表2023-508437多重免疫分析用検査ストリップ製造方法及びこれを利用して製造された検査ストリップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(54)【発明の名称】多重免疫分析用検査ストリップ製造方法及びこれを利用して製造された検査ストリップ
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20230222BHJP
【FI】
G01N33/543 521
G01N33/543 525U
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539275
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(85)【翻訳文提出日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 KR2020012332
(87)【国際公開番号】W WO2021132847
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】10-2019-0175150
(32)【優先日】2019-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】522253036
【氏名又は名称】プレシジョン バイオセンサー インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,キュヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジョンミョン
(57)【要約】
【要約】
【課題】多重診断機能を遂行すると共に小型化及び構造単純化が可能な多重免疫分析用検査ストリップの製造方法及びこれを利用して製造された検査ストリップを提供する。
【解決手段】多重免疫分析用検査ストリップの製造方法は、サンプルパッドと、第1探知用反応体及び第2探知用反応体を含むプロブパッドと、ターゲット分析体が第1探知用反応体及び第2探知用反応体と結合された二つの生体結合体を捕獲可能な捕獲メンブレーンと、生体試料の吸着移動が可能な吸着パッドとを製造し、サンプルパッド、プロブパッド、捕獲メンブレーン及び吸着パッドを生体試料の流れ方向に順次に配置固定する配置固定段階を含み、第1探知用反応体は蛍光を発生させる第1プロブ物質が固定結合された形態で形成され、第2探知用反応体は反射光を発生させる第2プロブ物質が固定結合された状態で形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体試料が供給されることができるようにサンプルパッドを製造するサンプルパッド製造段階と、
生体試料中のターゲット分析体とそれぞれ結合する第1探知用反応体及び第2探知用反応体を含むようにプロブパッドを製造するプロブパッド製造段階と、
ターゲット分析体が前記第1探知用反応体及び第2探知用反応体とそれぞれ結合されて生成された二つの生体結合体をすべて捕獲することができる反応領域が形成されるように捕獲メンブレーンを製造する捕獲メンブレーン製造段階と、
生体試料の吸着移動が可能になるように吸着パッドが製造される吸着パッド製造段階と、
前記サンプルパッド、プロブパッド、捕獲メンブレーン及び吸着パッドを生体試料の流れ方向に順次に配置固定する配置固定段階を含み、
前記第1探知用反応体は検査光の照射によって蛍光を発生させる第1プロブ物質が固定結合された形態で形成され、前記第2探知用反応体は検査光の照射によって反射光を発生させる第2プロブ物質が固定結合された状態で形成されることを特徴とする多重免疫分析用検査ストリップ製造方法。
【請求項2】
前記プロブパッド製造段階は、
前記第1探知用反応体が含有された第1プロブ溶液を製造する第1プロブ溶液製造段階と、
前記第2探知用反応体が含有された第2プロブ溶液を製造する第2プロブ溶液製造段階と、
前記第1プロブ溶液及び第2プロブ溶液を硝子繊維基板に吸収させる段階と、
前記第1プロブ溶液及び第2プロブ溶液が吸収された硝子繊維基板を乾燥する段階と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の多重免疫分析用検査ストリップ製造方法
【請求項3】
前記プロブパッド製造段階は、乾燥された硝子繊維基板を湿図20%以下空間で乾燥保管する段階をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の多重免疫分析用検査ストリップ製造方法。
【請求項4】
前記第1プロブ物質はEu(europium)粒子であることを特徴とする請求項2に記載の多重免疫分析用検査ストリップ製造方法。
【請求項5】
前記第1プロブ溶液製造段階は
表面に-COOHを有するEu粒子をMES(N-morpholino ethanesulfonic acidバインディングバッファー(binding buffer)にウォッシングする段階と、
ウォッシングされたEu粒子とEDC/Sulfo-NHS((N-(3-dimethylpropyl)-N-ethycarbodiimide hydrochloride/N-hydroxysulfosuccinimide)を反応させて前記アミン反応性Eu粒子を生成する段階と、
前記アミン反応性Eu粒子を前記ターゲット分析体と結合することができる生体物質と撹拌して反応させる段階を含み、
前記撹拌して反応させる段階で、前記アミン反応性Eu粒子が前記生体物質と結合して前記第1探知用反応体が形成されることを特徴とする請求項4に記載の多重免疫分析用検査ストリップ製造方法。
【請求項6】
前記第2プロブ物質はAu粒子であることを特徴とする請求項2に記載の多重免疫分析用検査ストリップ製造方法。
【請求項7】
前記第2探知用反応体は前記ゴールド粒子の表面にコーティングされる枸椽酸ナトリウムイオンと、前記生体物質の陽イオン的官能基間のイオン相互作用による接合方式で生成されたことを特徴とする請求項6に記載の多重免疫分析用検査ストリップ製造方法。
【請求項8】
前記捕獲メンブレーン製造段階は、
SA-グルタルアルデヒド(streptavidin-glutaraldehyde溶液を製造する段階と、
前記ターゲット分析体と結合することができる生体物質を前記SA-グルタルアルデヒド溶液に混合してSPB(sodium phosphate buffer)で希釈する段階と、
前記希釈する段階によって希釈された溶液をニトロセルロースメンブレーンの特定領域に分柱させて固定して前記反応領域を形成する段階と、
前記反応領域を形成する段階を経ったニトロセルロースメンブレーンをNFDM(non-fat dry milk)を含む混合溶液でブロッキングする段階と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の多重免疫分析用検査ストリップ製造方法。
【請求項9】
前記捕獲メンブレーン製造段階は、前記ブロッキングする段階を経ったニトロセルロースメンブレーンを湿図20%以下空間で乾燥保管する段階をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の多重免疫分析用検査ストリップ製造方法。
【請求項10】
前記SA-グルタルアルデヒド溶液を製造する段階はSA(streptavidin)をSPBに溶解させる段階と、
SAが溶解された溶液にグルタルアルデヒド(glutaraldehyde)を添加した後撹拌して反応させる段階と、
前記撹拌して反応させる段階を経った溶液をSPBで透析する段階と、を含むことを特徴とする請求項8に記載の多重免疫分析用検査ストリップ製造方法。
【請求項11】
前記多重免疫分析用検査ストリップ製造方法は、生体試料中のターゲット分析体と結合するブロック用反応体を含むようにブロックパッドを製造するブロックパッド製造段階をさらに含み、
前記配置固定段階は前記サンプルパッド、ブロックパッド、プロブパッド、捕獲メンブレーン及び吸着パッドが生体試料の流れ方向に順次に配置固定する方式で遂行されることを特徴とする請求項1に記載の多重免疫分析用検査ストリップ製造方法。
【請求項12】
前記ブロックパッド製造段階は前記ブロック用反応体が含有されたブロック溶液を製造するブロック溶液製造段階と、前記ブロック溶液を鼠の兔疫グロブリンG(mouse immunoglobulin G)と共に硝子繊維基板に吸収させる段階と、前記ブロック溶液が吸収された硝子繊維基板を乾燥する段階と、を含むことを特徴とする請求項11に記載の多重免疫分析用検査ストリップ製造方法。
【請求項13】
前記ブロックパッド製造段階は、乾燥された硝子繊維基板を湿図20%以下空間で乾燥保管する段階をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の多重免疫分析用検査ストリップ製造方法。
【請求項14】
前記ブロック溶液製造段階は
NHS-ビオチン(N-hydroxysuccinimide-biotin)をDMSO(Dimethyl sulfoxideに溶解させる段階と、
前記NHS-ビオチンが溶解された溶液に前記ターゲット分析体と結合することができる生体物質を添加した後撹拌して反応させる段階と、
前記撹拌して反応させる段階を経った溶液をSPBで透析する段階を含み、
前記撹拌して反応させる段階で、前記NHS-ビオチンが前記生体物質と結合して前記ブロック用反応体が形成されることを特徴とする請求項12に記載の多重免疫分析用検査ストリップ製造方法。
【請求項15】
前記第1探知用反応体及び第2探知用反応体がお互いに異なる種類のターゲット分析体と結合するように形成される場合、
前記ブロック用反応体は前記第1探知用反応体が結合されるターゲット分析体と結合することができる第1ブロック用反応体と、前記第2探知用反応体が結合されるターゲット分析体と結合することができる第2ブロック用反応体を含むことを特徴とする請求項14に記載の多重免疫分析用検査ストリップ製造方法。
【請求項16】
請求項1乃至請求項15のうちで何れか一つに記載の多重免疫分析用検査ストリップ製造方法によって製造された多重免疫分析用検査ストリップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多重免疫分析用検査ストリップ製造方法及びこれを利用して製造された検査ストリップに関するものであり、より詳細には、生体試料内のターゲット分析体に対する探知用反応体として蛍光物質が結合された第1反応体と反射光物質が結合された第2反応体を適用することで、一つの反応領域でターゲット分析体に対する蛍光検出及び反射光秘色検出がすべて可能であって診断正確度を向上させることができるし、使用者の必要によって蛍光方式免疫分析診断装置に適用するか、または反射光秘色方式免疫分析診断装置に選択的に適用することができて使用便宜性が増加し、一つの反応領域で蛍光及び反射光を通じて2個のターゲット分析体を検出することができるし、一つの反応領域を有する単純で小型化された構造で多重分析が可能な多重免疫分析用検査ストリップの製造方法及びこれを利用して製造された検査ストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
免疫分析用迅速診断検査キット(rapid diagnostic test kit for immunoassay)は血液、小便、唾液などのような生体試料を利用して診断検査が可能な現場検査(point-of-careのための検査道具である。このような迅速診断検査キットの例として姙娠診断キット、エイズ診断キットなどがある。
【0003】
このような診断装置は診断のために所定の生体物質(タンパク質、DNA、抗原など)を検出することができる方法を確立しなければならない。従来の生体物質検出方法で、有機染料などを利用する蛍光標識方法と、反射光物質などを利用する反射光標識方法がある。
【0004】
このような迅速免疫分析診断装置は蛍光方式や反射光方式や同一な作動原理で作動し、生体試料を毛細管現象を通じて吸着供給することができる検査ストリップを利用する。外部から供給された生体試料が毛細管現象によって検査ストリップ内で長さ方向に側方流動するので、このような方式を側方流動免疫分析法とも言う。
【0005】
検査ストリップは一般にサンプルパッドと、ブロックパッドと、プロブパッドと、メンブレーンと、吸着パッドが長さ方向に沿って順次に配置される。サンプルパッドには外部から生体試料が供給され、供給された生体試料は毛細管現象によってブロックパッド、プロブパッド、メンブレーン、吸着パッドに順次に流動する。ブロックパッドには生体試料中のターゲット分析体(抗原など)と結合できるようにブロック体が塗布され、ブロックパッドで湧出されたブロック用反応体とターゲット分析体が結合してブロック用生体結合体が形成される。プロブパッドには生体試料中のターゲット分析体と結合できるように探知用反応体が塗布され、ブロックパッドでブロック用反応体と結合したターゲット分析体がプロブパッドで湧出された探知用反応体と結合して探知用生体結合体が形成される。メンブレーン探知用生体結合体を捕獲するように捕獲物質が塗布される反応領域が形成され、反応領域で探知用生体結合体と捕獲物質が結合されて探知用生体複合体が形成される。吸着パッドは生体試料の吸着移動が可能になるように多孔性物質で構成される。
【0006】
検査ストリップの反応領域に検査光を照射すれば、探知用反応体の種類によって反応領域の探知用生体複合体で蛍光が発生されるか、または検査光が反射されて反射光が発生され、このような蛍光または反射光を検出して特定疾患因子に対する診断を遂行する。
【0007】
このような構造によって蛍光方式免疫分析診断装置では検査光種類で紫外線光や蛍光物質種類による特定励起波長を使用することで、探知用生体複合体で蛍光を発生させて蛍光を検出し、反射光方式免疫分析診断装置では検査光種類で可視光を使用することで、探知用生体複合体から検査光を反射させて反射光を検出する。検出された蛍光または反射光の検出強度などを分析して特定疾患因子があるかを診断することができる。
【0008】
このような蛍光方式免疫分析診断装置と反射光方式免疫分析診断装置はそれぞれ適用される検査光の光源がお互いに異なるだけでなく、検査ストリップの探知用反応体に対する組成がお互いに異なって併用検査が不可能で現在までそれぞれ独立的な方式で研究開発されて来ている。
【0009】
また、検査ストリップは一般に一つの反応領域を有するように形成されるが、これによって1回検査時何れか一つの特定疾患因子があるかのみを検査できるだけで、複数の特定疾患因子があるかの如何を検査することができないし、該当検査正確度を判断することができなくて1回検査に対する正確度を判断するためには検査をもう一度進行してこれを検証しなければならない。
【0010】
一つの検査ストリップを利用した1回検査を通じて複数の特定疾患因子を検査するか、または検査正確度検証のために、検査ストリップに形成された反応領域の個数を増加させる方式などが提案されたが、この場合検査ストリップの長さが増加するようになって、それによる生体試料検体量及び反応時間が増加するなどの問題があった。
【0011】
特に、疾病は複雑な生物学的相互作用と連携されて多様なタンパク質が疾病と複雑に連関されているので、正確な診断のためには1回検査時多重分析が可能な診断方式に対して臨床的要求が高くなっているが、現在使われている免疫分析診断装置ではこれに対する解決策が用意されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上で言及した従来技術が有する問題点を解決するためのものであり、本発明が成そうとする目的は、生体試料内のターゲット分析体に対する探知用反応体として蛍光物質が結合された第1反応体と反射光物質が結合された第2反応体を適用することで、一つの反応領域でターゲット分析体に対する蛍光検出及び反射光検出がすべて可能であり、免疫反応の慢性的な問題であるフック効果(Hook effect)を改善して診断正確度を向上させることだけではなく、反応領域を追加しなくてもより正確で多様な方式の診断が可能であり、これによって多重診断機能を遂行すると共に小型化及び構造単純化が可能な多重免疫分析用検査ストリップの製造方法及びこれを利用して製造された検査ストリップを提供することである。
【0013】
本発明のまた他の目的は、使用者の必要によって蛍光方式免疫分析診断装置に適用するか、または反射光方式免疫分析診断装置に選択的に適用することができて使用便宜性が増加して使用範囲をより拡張することができる多重免疫分析用検査ストリップの製造方法及びこれを利用して製造された検査ストリップを提供することである。
【0014】
本発明のまた他の目的は、第1反応体及び第2反応体がお互いに異なるターゲット分析体と結合するようにすることで、一つの反応領域で蛍光及び反射光を通じて2個のターゲット分析体を検出することができるし、これによって一つの反応領域を有する単純で小型化された構造で1回検査時2個特定疾患因子を診断することができる多重免疫分析用検査ストリップの製造方法及びこれを利用して製造された検査ストリップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施例による多重免疫分析用検査ストリップ製造方法は、生体試料が供給されることができるようにサンプルパッドを製造するサンプルパッド製造段階、生体試料中のターゲット分析体とそれぞれ結合する第1探知用反応体及び第2探知用反応体を含むようにプロブパッドを製造するプロブパッド製造段階、ターゲット分析体が第1探知用反応体及び第2探知用反応体とそれぞれ結合されて生成された二つの生体結合体をすべて捕獲することができる反応領域が形成されるように捕獲メンブレーンを製造する捕獲メンブレーン製造段階、生体試料の吸着移動が可能になるように吸着パッドが製造される吸着パッド製造段階、そして、サンプルパッド、プロブパッド、捕獲メンブレーン及び吸着パッドを生体試料の流れ方向に順次に配置固定する配置固定段階を含み、第1探知用反応体は検査光の照射によって蛍光を発生させる第1プロブ物質が固定結合された形態で形成され、第2探知用反応体は検査光の照射によって反射光を発生させる第2プロブ物質が固定結合された状態で形成される。
【0016】
この時、プロブパッド製造段階は第1探知用反応体が含有された第1プロブ溶液を製造する第1プロブ溶液製造段階、第2探知用反応体が含有された第2プロブ溶液を製造する第2プロブ溶液製造段階、第1プロブ溶液及び第2プロブ溶液を硝子繊維基板に吸収させる段階、そして、第1プロブ溶液及び第2プロブ溶液が吸収された硝子繊維基板を乾燥する段階、を含むことができる。
【0017】
また、プロブパッド製造段階は乾燥された硝子繊維基板を湿図20%以下空間で乾燥保管する段階をさらに含むことができる。
【0018】
また、第1プロブ物質はEu(europium)粒子であることがある。
【0019】
また、第1プロブ溶液製造段階は表面に-COOHを有するEu粒子をMES(N-morpholino ethanesulfonic acidバインディングバッファー(binding buffer)にウォッシングする段階、ウォッシングされたEu粒子とEDC/Sulfo-NHS((N-(3-dimethylpropyl)-N-ethycarbodiimidehydrochloride)/N-hydroxysulfosuccinimide)を反応させてアミン反応性Eu粒子を生成する段階、アミン反応性Eu粒子をターゲット分析体と結合することができる生体物質と撹拌して反応させる段階を含み、撹拌して反応させる段階で、アミン反応性Eu粒子が生体物質と結合して第1探知用反応体が形成されることができる。
【0020】
また、第2プロブ物質はAu粒子であることがある。
【0021】
また、第2探知用反応体はゴールド粒子の表面にコーティングされる枸椽酸ナトリウムイオンと、生体物質の陽イオン的官能基間のイオン相互作用による接合方式で生成されることができる。
【0022】
また、捕獲メンブレーン製造段階はSA-グルタルアルデヒド(streptavidin-glutaraldehyde溶液を製造する段階、ターゲット分析体と結合することができる生体物質をSA-グルタルアルデヒド溶液に混合してSPB(sodium phosphate buffer)で希釈する段階、希釈する段階によって希釈された溶液をニトロセルロースメンブレーンの特定領域に分柱させて固定して反応領域を形成する段階、そして、反応領域を形成する段階を経ったニトロセルロースメンブレーンをNFDM(non-fat dry milk)を含む混合溶液でブロッキングする段階、を含むことができる。
【0023】
また、捕獲メンブレーン製造段階はブロッキングする段階を経ったニトロセルロースメンブレーンを湿図20%以下空間で乾燥保管する段階をさらに含むことができる。
【0024】
また、SA-グルタルアルデヒド溶液を製造する段階はSA(streptavidin)をSPBに溶解させる段階、SAが溶解された溶液にグルタルアルデヒド(glutaraldehydeを添加した後撹拌して反応させる段階、そして、撹拌して反応させる段階を経った溶液をSPBに透析する段階、を含むことができる。
【0025】
また、多重免疫分析用検査ストリップ製造方法は、生体試料中のターゲット分析体と結合するブロック用反応体を含むようにブロックパッドを製造するブロックパッド製造段階をさらに含み、配置固定段階はサンプルパッド、ブロックパッド、プロブパッド、捕獲メンブレーン及び吸着パッドが生体試料の流れ方向に順次に配置固定する方式で遂行されることができる。
【0026】
また、ブロックパッド製造段階はブロック用反応体が含有されたブロック溶液を製造するブロック溶液製造段階、ブロック溶液を鼠の兔疫グロブリンG(mouse immunoglobulin G)と共に硝子繊維基板に吸収させる段階、そして、ブロック溶液が吸収された硝子繊維基板を乾燥する段階、を含むことができる。
【0027】
また、ブロックパッド製造段階は乾燥された硝子繊維基板を湿図20%以下空間で乾燥保管する段階をさらに含むことができる。
【0028】
また、ブロック溶液製造段階はNHS-ビオチン(N-hydroxysuccinimide-biotin)をDMSO(Dimethyl sulfoxideに溶解させる段階、NHS-ビオチンが溶解された溶液にターゲット分析体と結合することができる生体物質を添加した後撹拌して反応させる段階、撹拌して反応させる段階を経った溶液をSPBで透析する段階を含み、撹拌して反応させる段階で、NHS-ビオチンが前記生体物質と結合して前記ブロック用反応体が形成されることができる。
【0029】
また、第1探知用反応体及び第2探知用反応体がお互いに異なる種類のターゲット分析体と結合するように形成される場合、ブロック用反応体は第1探知用反応体が結合されるターゲット分析体と結合することができる第1ブロック用反応体と、第2探知用反応体が結合されるターゲット分析体と結合することができる第2ブロック用反応体を含むことができる。
【0030】
一方、本発明の一実施例による多重免疫分析用検査ストリップは上述した多重免疫分析用検査ストリップ製造方法によって製造される。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、生体試料内のターゲット分析体に対する探知用反応体として蛍光物質が結合された第1反応体と反射光物質が結合された第2反応体を適用することで、一つの反応領域でターゲット分析体に対する蛍光検出及び反射光検出がすべて可能で、免疫反応の慢性的な問題であるフック効果(Hook effect)を改善して診断正確度を向上させることだけではなく、反応領域を追加しなくてもより正確で多様な方式の診断が可能であり、これによって多重診断機能を遂行すると共に小型化及び構造単純化の可能な効果がある。
【0032】
また、使用者の必要によって蛍光方式免疫分析診断装置に適用するか、または反射光方式免疫分析診断装置に選択的に適用することができて使用便宜性が増加して使用範囲をより拡張することができる効果がある。
【0033】
また、第1反応体及び第2反応体がお互いに異なるターゲット分析体と結合するようにすることで、一つの反応領域で蛍光及び反射光を通じて2個のターゲット分析体を検出することができるし、これによって一つの反応領域を有する単純で小型化された構造で1回検査時に2個の特定疾患因子を診断することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の一実施例による多重免疫分析用検査ストリップを示した図面である。
図2】本発明の一実施例による多重免疫分析検査ストリップの探知用反応体の形態を概念的に示した図面である。
図3】本発明の一実施例による多重免疫分析用検査ストリップの反応領域に捕獲された生体結合体の形態を概念的に示した図面である。
図4】本発明の一実施例による多重免疫分析用検査ストリップの反応領域に捕獲された生体結合体の形態を概念的に示した図面である。
図5】本発明の一実施例による多重免疫分析用検査ストリップのブロック用反応体の形態を概念的に示した図面である。
図6】本発明の一実施例による多重免疫分析用検査ストリップにブロックパッドが含まれた場合に反応領域に捕獲された生体結合体の形態を概念的に示した図面である。
図7】本発明の一実施例による多重免疫分析検査ストリップの製造過程に対する流れ図である。
図8】本発明の一実施例による多重免疫分析検査ストリップの製造過程のうちでブロックパッドの製造過程をより詳細に示した流れ図である。
図9】本発明の一実施例による多重免疫分析検査ストリップの製造過程のうちでプロブパッドの製造過程をより詳細に示した流れ図である。
図10】本発明の一実施例による多重免疫分析検査ストリップの製造過程のうちで捕獲メンブレーンの製造過程をより詳細に示した流れ図である。
図11】本発明の一実施例による多重免疫分析検査ストリップのTnI検体とNT-proBNP検体の濃度による直線性を示すグラフである。
図12】本発明の一実施例による多重免疫分析検査ストリップのTnI検体とNT-proBNP検体の濃度による相関性を示すグラフである。
図13】本発明の一実施例による多重免疫分析検査ストリップのCRP濃度を測定するための線形相関関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の望ましい実施例を添付された図面らを参照して詳しく説明する。まず、各図面の構成要素らに参照符号を付け加えるにおいて、同一な構成要素らに対してはたとえ他の図面上に表示されてもできるだけ同一な符号を有するようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにおいて、関連される公知構成または機能に対する具体的な説明が本発明の要旨を濁ごすことができると判断される場合にはその詳細な説明は略する。
【0036】
図1は、本発明の一実施例による多重免疫分析用検査ストリップを示した図面であり、図2は本発明の一実施例による多重免疫分析検査ストリップの探知用反応体の形態を概念的に示した図面である。そして、図3及び図4は本発明の一実施例による多重免疫分析用検査ストリップの反応領域に捕獲された生体結合体の形態を概念的に示した図面である。
【0037】
図1乃至図4を参照すれば、本発明の一実施例による多重免疫分析用検査ストリップは蛍光検出及び反射光検出がすべて可能な構造として、サンプルパッド101、プロブパッド103、捕獲メンブレーン104及び吸着パッド105が検査ストリップ100の長さ方向に沿って順次に配置される。
【0038】
このようなサンプルパッド101、プロブパッド103、捕獲メンブレーン104及び吸着パッド105の構成は背景技術で説明したように一般な検査ストリップでの機能と同一な機能を遂行するように形成される。
【0039】
すなわち、サンプルパッド101には生体試料が供給され、供給された生体試料は毛細管現象によってプロブパッド103、捕獲メンブレーン104、吸着パッド105で順次に流動する。
【0040】
プロブパッド103にはターゲット分析体(T1、T2)と結合するように探知用反応体(P1、P2)が塗布され、プロブパッド103でターゲット分析体(T1、T2)と探知用反応体(P1、P2)が結合して探知用生体結合体(M3、M4)が形成される。捕獲メンブレーン104には探知用生体結合体(M3、M4)を捕獲するように捕獲物質(生体物質)(S)が塗布される反応領域110が形成され、反応領域110で探知用生体結合体(M3、M4)と捕獲物質(生体物質)(S)が結合されて探知用生体複合体(V1、V2)が形成される。吸着パッド105は生体試料の吸着移動が可能になるように多孔性物質で構成される。
【0041】
整理すれば、サンプルパッド101に供給された生体試料のうちでターゲット分析体(T1、T2)はプロブパッド(103)で探知用反応体(P1、P2)と結合して探知用生体結合体(M3、M4)を形成し、探知用生体結合体(M3、M4)は捕獲メンブレーン104に沿って吸着パッド105側にずっと展開される過程で捕獲メンブレーン104に形成された反応領域110で捕獲物質(生体物質)(S)によって捕獲結合されて探知用生体複合体(V1、V2)を形成するようになる。
【0042】
検査ストリップ100の反応領域110は捕獲メンブレーン104を幅方向に横切る方向のライン形態で形成され、一つの反応領域110と一つのコントロール領域120を有するように形成されることができる。勿論、反応領域110は必要によってお互いに離隔されるように複数で形成されることができる。反応領域110に形成された探知用生体複合体(V1、V2)から蛍光または反射光を検出して特定疾患因子があるかを診断し、コントロール領域120を通じてテストの有効性を判断することができる。
【0043】
本発明の一実施例によってプロブパッド103に塗布された探知用反応体(P1、P2)は第1探知用反応体(P1)及び第2探知用反応体(P2)を含む。
【0044】
第1探知用反応体(P1)は検査光の照射によって蛍光を発生させる第1プロブ物質(R1)が固定結合され、第2探知用反応体(P2)は検査光の照射時検査光を反射させて反射光を発生させる第2プロブ物質(R2)が固定結合される。
【0045】
具体的に、プロブパッド103には探知用反応体(P1、P2)として第1探知用反応体(P1)と第2探知用反応体(P2)が共に塗布されるが、このような探知用反応体(P1、P2)は生体物質(S)にプロブ物質(R1、R2)が固定結合された構造で形成されることができる。
【0046】
第1探知用反応体(P1)は検査光(紫外線光及び蛍光物質による励起光)の照射時蛍光を発生させる第1プロブ物質(R1)が生体物質(S)に固定結合されるが、第1プロブ物質(R1)としては蛍光染料、量子ドット(quantum dot)、ランタン系物質(lanthanides:Eu、Tb、Dy、Sm)などが適用されることができる。
【0047】
第2探知用反応体(P2)は検査光(可視光)の照射時検査光を反射させて反射光を発生させる第2プロブ物質(R2)が生体物質(S)に固定結合されるが、第2プロブ物質(R2)としては、金属ナノ粒子、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)及びマンガン(Mn)などが適用されることができるし、以外にも炭素(carbon)粒子、ラテックス(latex)粒子などが適用されることができる。
【0048】
このような第1探知用反応体(P1)及び第2探知用反応体(P2)は気相凝縮法(gas phase condensation method)、高周波プラズマ化学的合成法(high frequency plasma chemical synthesis method)、化学沈澱法(conventional chemical precipitation)、水熱合成法(hydrothermal synthesis method、電気的分散反応法(electric dispersion re-action method、燃焼合成法(combustive synthesis method、ゾル-ゲル合成法(sol-gel synthesis method、熱化学合成法(thermochemical synthesis method)、マイクロフルイダイザー工程(microfludize rprocess)、マイクロエマルション技術(microemulson technology)、高エネルギー機械的ミーリング(high energy mechanical milling)、またはこれらの組合を通じて形成されることができる。
【0049】
図2に示されたように、第1探知用反応体(P1)は生体試料内の疾患マーカーであるターゲット分析体(T1)と特異的に結合されて蛍光探知用生体結合体(M3)を形成し、第2探知用反応体(P2)は生体試料内の疾患マーカーであるターゲット分析体(T1)と特異的に結合されて反射光探知用生体結合体(M4)を形成する。
【0050】
この時、図2の(a)に示されたように第1探知用反応体(P1)と第2探知用反応体(P2)はすべて同一なターゲット分析体(T1)と特異的に結合されるように構成されることもできて、図2の(b)に示されたように第1探知用反応体(P1)と第2探知用反応体(P2)がお互いに異なるターゲット分析体(T1、T2)と特異的に結合されるように構成されることもできる。
【0051】
図2の(a)に示された場合をよく見れば、第1反応体(P1)と第2反応体(P2)は生体試料のうちですべて同一なターゲット分析体(T1)と特異的に結合されてそれぞれ蛍光探知用生体結合体(M3)及び反射光探知用生体結合体(M4)を形成する。
【0052】
このように形成された蛍光探知用生体結合体(M3)及び反射光探知用生体結合体(M4)は捕獲メンブレーン104で吸着パッド105側に展開され、この過程で図3の(a)及び図4の(a)に示されたように反応領域110に塗布された生体物質(S)によって捕獲される。ここで、反応領域110に塗布された生体物質(S)は生体試料内のターゲット分析体(T1)、あるいは他の生体物質と特異的に結合することができる物質で、DNAまたはRNAを含む核酸(nucleicacid)、アミノ酸(aminoacid)、脂肪(fat)、糖蛋白質(glycoprotein)、抗体(antibody)、抗原、または、これらの組合になることがある。反応領域110では蛍光探知用生体結合体(M3)及び反射光探知用生体結合体(M4)が生体物質(S)に結合されてそれぞれ蛍光探知用生体複合体(V1)及び反射光探知用生体複合体(V2)を形成する。
【0053】
このように蛍光探知用生体結合体(M1)及び反射光探知用生体結合体(M2)が反応領域110で捕獲されて蛍光探知用生体複合体(V1)及び反射光探知用生体複合体(V2)を形成することで、反応領域110に検査光(紫外線光)を照射すれば、蛍光探知用生体複合体(V1)の第1プロブ物質(R1)によって蛍光が発生して蛍光を検出することができるし、同じく反応領域110に検査光(可視光)を照射すれば、反射光探知用生体複合体(V2)の第2プロブ物質(R2)によって検査光に対する反射光が発生して反射光を検出することができる。
【0054】
蛍光検出のための検査光は紫外線(UV)波長帯の照明光、例えば、400nm以下波長の照明光を適用することができる。このため光源としてUV LEDを適用することができるし、また、蛍光物質固有の励起波長を使用することができる。反射光検出のための検査光は可視光系列の照明光を適用することができるし、このための光源として、赤色光LED、緑色光LED、青色光LED、白色光LEDなど多様な光源が適用されることができる。
【0055】
このような構造によって本発明の一実施例による検査ストリップ100は第1検査光(一例で紫外線波長帯の照明光)と第2検査光(可視光系列の照明光)を反応領域110に順次に照射することで、蛍光及び反射光をそれぞれ検出することができる。よって、特定疾患マーカーである一つのターゲット分析体(T1)に対する検査過程で蛍光検出及び反射光検出を通じて実質的に同時に2回の検査を遂行するようになる効果があり、これを通じて検査結果に対する相互検証効果が発揮されて診断正確度を向上させることができる。また、人体内に存在するターゲット分析体の濃度範囲が大きい場合、低濃度区間は蛍光を利用して濃度を測定し、高濃度区間は反射光を利用して濃度を測定することで測定正確度を向上させることができる。そして、必要によって蛍光方式免疫分析診断装置または反射光方式免疫分析診断装置に選択的に適用することができる。
【0056】
一方、図2の(b)に示された場合をよく見れば、第1反応体(P1)と第2反応体(P2)は生体試料のうちでお互いに異なるターゲット分析体(T1、T2)と特異的に結合されてそれぞれ蛍光探知用生体結合体(M3)及び反射光探知用生体結合体(M4)を形成する。
【0057】
このように形成された蛍光探知用生体結合体(M3)及び反射光探知用生体結合体(M4)は図2の(a)で説明したところと同じく、捕獲メンブレーン104で吸着パッド105側に展開され、この過程で図3の(b)及び図4の(b)に示されたように反応領域110に塗布された生体物質(S)によって捕獲され、反応領域110では蛍光探知用生体結合体(M3)及び反射光探知用生体結合体(M4)が生体物質(S)に結合されてそれぞれ蛍光探知用生体複合体(V1)及び反射光探知用生体複合体(V2)を形成する。
【0058】
このように反応領域110に蛍光探知用生体複合体(V1)及び反射光探知用生体複合体(V2)が形成されることで、図2の(a)で説明したところと同じく、反応領域110に第1検査光(一例で紫外線波長帯の照明光)を照射すれば、蛍光探知用生体複合体(V1)の第1プロブ物質(R1)によって蛍光が発生して蛍光を検出することができるし、同じく反応領域110に第2検査光(可視光系列の照明光)を照射すれば、反射光探知用生体複合体(V2)の第2プロブ物質(R2)によって検査光に対する反射光が発生して反射光を検出することができる。
【0059】
この場合には、第1反応体(P1)と第2反応体(P2)に結合されるターゲット分析体(T1、T2)がお互いに異なるので、2種の特定疾患因子であるターゲット分析体(T1)を1回の検査過程を通じて診断することができる。すなわち、第1検査光照射による蛍光検出を通じて第1特定疾患マーカーである第1ターゲット分析体(T1)が生体試料内に存在するかの如何を診断することができるし、第2検査光照射による反射光検出を通じて第2特定疾患マーカーである第2ターゲット分析体(T2)が生体試料内に存在するかの如何を診断することができる。よって、単純に第1及び第2検査光を検査ストリップ100に順次に照射することで、1回の検査過程を通じて2個の特定疾患因子を同時に診断することができて多重分析が可能であるという長所がある。
【0060】
整理すれば、本発明の一実施例による検査ストリップ100は探知用反応体(P1、P2)として蛍光物質が結合された第1反応体(P1)と反射光物質が結合された第2反応体(P2)が適用されて生体試料内のターゲット分析体(T1)に対する蛍光検出及び反射光検出がすべて可能であるので、1回検査を通じて実質的に2回検査機能を発揮するようになって、これによって検査結果に対する相互検証が可能であり、測定可能の濃度範囲を増加させて診断正確度を向上させることができるし、特に、同一な反応領域110に対して蛍光検出及び反射光検出が可能であるので、反応領域110を追加しなくても反応領域110を追加した効果が発揮され、これによって検査ストリップ100の長さを長く増加させなくても、より正確で多様な診断が可能である。
【0061】
また、使用者の必要によって蛍光方式免疫分析診断装置に適用するか、または反射光方式免疫分析診断装置に選択的に適用することができるので、使用便宜性が増加して使用範囲がより拡張されることができる。
【0062】
併せて、第1反応体(P1)と第2反応体(P2)がお互いに異なる種類のターゲット分析体(T1、T2)と結合するようにすることで、1回検査を通じて2個のターゲット分析体(T1、T2)を同時に検出することができる。
【0063】
図5は、本発明の一実施例による多重免疫分析用検査ストリップのブロック用反応体(O1、O2)の形態を概念的に示した図面であり、図6は本発明の一実施例による多重免疫分析用検査ストリップにブロックパッド102が含まれた場合に反応領域に捕獲された生体結合体の形態を概念的に示した図面である。
【0064】
図5乃至図6を参照すれば、本実施例によるブロックパッド102には生体試料中のターゲット分析体(T1、T2)と結合できるようにブロック用反応体(O1、O2)が塗布され、ブロックパッド102でターゲット分析体(T1、T2)とブロック用反応体(O1、O2)が結合してブロック用生体結合体(M1、M2)が形成される。この場合、プロドパッド103では塗布された探知用反応体(P1、P2)がブロック用反応体(O1、O2)と結合したターゲット分析体と結合する。
【0065】
そして、ブロックパッド102に噴射されたブロック用反応体(O1、O2)は生体物質(S)(例えば、DNAまたはRNAを含む核酸(nucleic acid)、アミノ酸(amino acid)、脂肪(fat)、糖蛋白質(glycoprotein)、抗体(antibody)、抗原、または、これらの組合)にブロック物質(B)が固定結合された構造で形成されることができる。また、ブロック物質(B)としては、ビオチン(biotin)粒子を含む物質が適用されることができる。
【0066】
この時、反応領域110に塗布された捕獲物質(生体物質)(S)は、図6に示されたようにターゲット分析体(T1、T2)と結合したブロック用反応体のブロック物質(B)と結合されて探知用生体複合体(V1、V2)を形成する。ここで、ブロック物質(B)がビオチン物質である場合、反応領域110に塗布された捕獲物質はストレプトアビジン(streptavidin)であることがある。そして、反応領域110に塗布された捕獲物質(S)は第1及び第2ターゲット分析体(T1、T2)のうちで一つのターゲット分析体だけと結合する物質であることもある。
【0067】
図7は、本発明の一実施例による多重免疫分析検査ストリップの製造過程に対する流れ図である。
【0068】
図7を参照して本実施例による多重免疫分析検査ストリップの製造過程をよく見れば、サンプルパッド101が製造され(S610)、ブロックパッド102が製造され(S620)、プロブパッド103が製造され(S630)、捕獲メンブレーン104が製造され(S640)、吸着パッド105が製造される(S650)。ここで、サンプルパッド101、ブロックパッド102、プロブパッド103、捕獲メンブレーン104及び吸着パッド105の製造順序は変更されることができるし、同時に進行されることもできる。
【0069】
製造されたサンプルパッド101、ブロックパッド102、プロブパッド103、捕獲メンブレーン104及び吸着パッド105は生体試料の流れ方向に順次に配置され、配置されたパッドらはお互いの間に固定されることができる(S660)。
【0070】
この時、お互いの間に付着されるパッド101、102、103、105、または捕獲メンブレーン104の間にはお互いに一部面積または全体面積が重畳されるように付着されることができる。
【0071】
図8は、本発明の一実施例による多重免疫分析検査ストリップの製造過程のうちでブロックパッド102の製造過程をより詳細に示した流れ図である。
【0072】
図8を参照して検査ストリップの製造過程のうちでブロックパッド102の製造過程をより詳細に見れば、まず、サンプルパッド101を製造する(S710)。
【0073】
そして、NHS-ビオチン(N-hydroxysuccinimide-biotin)10mMをDMSO(Dimethyl sulfoxide)に溶解させ(S720)、溶解された溶液を抗体のような生体物質(S)と共に常温で略45分間撹拌して反応させる(S721)。反応が完了された溶液はpHが7.5である100mMのSPB(sodium phosphate buffer)によって透析されることで、第1及び第2ブロック用反応体(O1、O2)が含有された第1及び第2ブロック溶液が製造される(S722)。ここで、製造された第1及び第2ブロック溶液はすべてCRP Biotin-抗体コンジュゲイト溶液(C-reactive protein Biotin-antibody conjugated solution)であることがある。また、ここで製造された第1ブロック用溶液はNT-proBNP Biotin-抗体コンジュゲイト溶液(N-terminal pro b-type natriuretic peptide Biotin-antibody conjugated solution)であり、第2ブロック用溶液はTnI Biotin-抗体コンジュゲイト溶液(Troponin Biotin-antibody conjugated solution)であることがある。
【0074】
製造されたブロック用溶液は鼠の兔疫グロブリンG(mouse immunoglobulin G)0.5mg/mLと共に硝子繊維基板に吸収される(S723)。ブロック用溶液が吸収された硝子繊維基板は0.1mBar以下の気圧で1時間の間に乾燥される(S724)。このような過程(S720~S724)を通じてブロックパッド102が製造され、製造されたブロックパッド102は20%以下の湿度で保管される(S725)。
【0075】
以後、プロブパッド103が製造され(S730)、捕獲メンブレーン104が製造され(S740)、吸着パッド105が製造される(S750)。そして、製造されたサンプルパッド101、ブロックパッド102、プロブパッド103、捕獲メンブレーン104及び吸着パッド105は生体試料の流れ方向に順次に配置され、配置されたパッドらはお互いの間に固定されることができる(S760)。
【0076】
図9は、本発明の一実施例による多重免疫分析検査ストリップの製造過程のうちでプロブパッド103の製造過程をより詳細に示した流れ図である。
【0077】
図9を参照して検査ストリップの製造過程のうちでプロブパッド103の製造過程をより詳細に見れば、まず、サンプルパッド101を製造し(S810)、ブロックパッド102を製造する(S820)。
【0078】
そして、表面に-COOHを有するEu(europium)粒子が50mMのMES(N-morpholino ethanesulfonic acidを含み、pHが6.1であるバインディングバッファー(binding buffer)によってウォッシングされたダ(S830)。
【0079】
ウォッシングされたEu粒子は、EDC/Sulfo-NHS((N-(3-dimethylpropyl)-N-ethycarbodiimide hydrochloride/N-hydroxysulfosuccinimideと常温で30分間反応させて第1プロブ物質(R1)であるアミン反応性Eu粒子を製造する(S831)。
【0080】
そして、製造されたアミン反応性Eu粒子は抗体のような生体物質(S)と常温で1時間の間に撹拌されて反応される(S832)。
【0081】
これで、第1探知用反応体(P1)が含有された第1プロブ溶液が製造され、ここで製造された第1プロブ溶液はCRP Eu-抗体コンジュゲイト溶液またはNT-proBNP Eu-抗体コンジュゲイト溶液であることがある。
【0082】
第1プロブ溶液の製造が完了すれば、Eu粒子をAu粒子で取り替えて第2プロブ物質(R2)であるアミン反応性Au粒子を製造し、これを利用して第2探知用反応体(P2)が含有された第2プロブ溶液を製造する(S833)。ここで、製造された第2プロブ溶液はCRP Au-抗体コンジュゲイト溶液またはTnI Au-抗体コンジュゲイト溶液であることがある。
【0083】
ここで、第2探知用反応体(P2)はゴールド粒子の表面にコーティングされる枸椽酸ナトリウムイオンと、生体物質の陽イオン的官能基間のイオン相互作用による接合方式で生成されることができる。
【0084】
もし、第1プロブ溶液がCRP Eu-抗体コンジュゲイト溶液であり、第2プロブ溶液がCRP Au-抗体コンジュゲイト溶液である場合、第1プロブ溶液と第2プロブ溶液は同一なターゲット分析体CRP(T1)と特異的に結合する。
【0085】
反面、もし第1プロブ溶液がNT-proBNP Eu-抗体コンジュゲイト溶液であり、第2プロブ溶液がTnI Au-抗体コンジュゲイト溶液である場合、第1プロブ溶液と第2プロブ溶液はお互いに異なるターゲット分析体NT-proBNP、TnI(T1、T2)と特異的に結合する。
【0086】
製造された第1プロブ溶液及び第2プロブ溶液は硝子繊維基板に吸収され(S834)、第1プロブ溶液及び第2プロブ溶液が吸収された硝子繊維基板は0.1mBar以下の気圧で1時間の間に乾燥される(S835)。このような過程(S830~S835)を通じてプロブパッド103が製造され、製造されたプロブパッド103は20%以下の湿度で保管される(S836)。
【0087】
以後、捕獲メンブレーン104が製造され(S840)、吸着パッド105が製造される(S850)。そして、製造されたサンプルパッド101、ブロックパッド102、プロブパッド103、捕獲メンブレーン104及び吸着パッド105は生体試料の流れ方向に順次に配置され、配置されたパッドらはお互いの間に固定されることができる(S860)。
【0088】
図10は、本発明の一実施例による多重免疫分析検査ストリップの製造過程のうちで捕獲メンブレーンの製造過程をより詳細に示した流れ図である。
【0089】
図10を参照して検査ストリップの製造過程のうちで捕獲メンブレーン104の製造過程をより詳細に見れば、まず、サンプルパッド101を製造し(S910)、ブロックパッド102を製造し(S920)、プロブパッド103を製造する(S930)。
【0090】
そして、SA(streptavidin)をpHが6.8である100mMのSPBに溶解させた後(S940)、SAが溶解された溶液にグルタルアルデヒド(glutaraldehyde)1%を添加して5分間撹拌して反応させる(S941)。撹拌によって反応が完了された溶液はpHが6.8である10mMのSPBに透析させてSA-グルタルアルデヒド(streptavidin-glutaraldehyde溶液を製造する(S942)。
【0091】
製造されたSA-グルタルアルデヒド溶液はpHが7.5である50mMのSPBによって1mg/Mlで希釈され(S943)、希釈されたSA-グルタルアルデヒド溶液はニトロセルロースメンブレーンに1uL/cmの量で分柱されて固定される(S944)。
【0092】
SA-グルタルアルデヒド溶液が固定されたニトロセルロースメンブレーンは、1%NFDM(non-fat dry milk)、0.05%ポリソルベート20(tween20)、1%グルコース(glucose)、0.005%アジ化ナトリウム(sodium azide)が混合された溶液で15分間ブロッキングさせた後(S945)、20%以下の湿度で乾燥されて保管されることで捕獲メンブレーン104が製造される(S946)。
【0093】
以後、吸着パッド105が製造された後(S950)、製造されたサンプルパッド101、ブロックパッド102、プロブパッド103、捕獲メンブレーン104及び吸着パッド105は生体試料の流れ方向に順次に配置され、配置されたパッドらはお互いの間に固定されることができる(S960)。
【0094】
図11は、本発明の一実施例による多重免疫分析検査ストリップ100のTnI検体とNT-proBNP検体の濃度による直線性(linearity)を示すグラフである。
【0095】
図11を参照すれば、本実施例による多重免疫分析検査ストリップのTnI検体とNT-proBNP検体の濃度による直線性を判断するため、高濃度(30ng/mL)と低濃度(0.03ng/mL)のTnI検体と高濃度(12,000pg/mL)と低濃度(30pg/mL)のNT-proBNP検体を10:0、9:1、8:2、7:3、6:4、5:5、4:6、3:7、2:8、1:9、0:10の割合で交ぜて11種の濃度を製造して検査した。各濃度の物質当たり3回繰り返し測定して測定された結果で多項回帰分析を施行して最適の多項式を求めた。最適の多項式が一次線形である場合該当範囲の直線性が維持されることで判定したし、一次線形ではない場合相対的非直線性が15%以下を満足すれば直線性があると判定した。
【0096】
評価結果最適の多項式が一次線形であったし、TnIは0.03~30ng/mLで優秀な直線性を示したし、NT-proBNPは30~9、606pg/mLで優秀な直線性を示した。ここで直線性はCLSIEP6-Aの指針(Clinical and Laboratory Standards Institute, ed. Evaluation of the Linearity of Quantitative Measurement Procedures: a Statistical Approachと、 Approved Guideline. CLSI document EP6-A. Wayne, PA: Clinical and Laboratory Standards Institute, 2003)によって評価した。
【0097】
それで、本実施例によるプロブパッド103の製造に使われるTnI検体の濃度は0.03~30ng/mLであり、NT-proBNP検体の濃度はNT-proBNPは30~9,606pg/mLであることが望ましい。
【0098】
一方、本実施例による免疫分析検査ストリップ100の検出限界(limit of detection、LoD)を算出するための過程であり、先ず、空白限界(limit of blank、LoB)を設定するために空白検体、すなわち、抗原が含まれない人間血漿を60回繰り返し測定してshapiro-wilk正規性検定を施行した。
【0099】
結果値の分布が不正規分布である場合95thパーセンタイル値で空白限界を設定したし、正規分布である場合測定値の平均と標準偏差を求めてLoB=Meanblank+1.645SD公式によって空白限界を設定した。
【0100】
検出限界はLoBとLoB4倍濃度の間の低濃度検体を使って各60回測定したし、資料が正規分布するので、LoD=LOB+cβ(cβfはSDsの自由度)で計算した。
【0101】
空白検体と低濃度検体を繰り返し測定して算出したLoBはTnI0.02ng/mL、NT-proBNP19.24pg/mLであったし、LoDはTnI0.03ng/mL、NT-proBNP29.4pg/mLであった。
【0102】
ここで、検出限界はCLSIEP17-A2指針(Clinical and Laboratory Standards Institute, ed. Evaluation of precision performance of quantitative measurement methodsと、 approved guideline. CLSI document EP17-A2. 2nd ed. Clinical and Laboratory Standards Institute, 2012.)によって設定した。
【0103】
図12は、本発明の一実施例による免疫分析検査ストリップのTnI検体とNT-proBNP検体の濃度による相関性を示すグラフである。
【0104】
図12を参照すれば、各検査項目に対してExdia TnI(LOT FA9A1、プレシジョンバイオ、KOR)とExdia NT-proBNP(FP9B1、プレシジョンバイオ、KOR)を対象で評価した。各試薬で測定した値で回帰方程式と相関係数(coefficient of correlation、r)を算出した。相関性を評価した結果、線形回帰モデルは図11のようであったし、TnIはy=1.1692x-0.3612数式を従って、NT-proBNPはy=0.8588x+0.2915数式に従った。二つの試薬間の相関係数(R2)はTnIが0.9413、NT-proBNPが0.9027の値を見せた。
【0105】
図13は、本発明の一実施例による多重免疫分析検査ストリップのCRP濃度を測定するための線形相関関係を示したグラフである。
【0106】
図13を参照すれば、本実施例による多重免疫分析検査ストリップ100で広範囲な濃度範囲のCRPを測定するために、低濃度は敏感度が高い蛍光粒子を使って信号値を測定したし、高濃度は敏感度は低いが高濃度範囲で測定が容易なゴールド信号値を使って抗原濃度決定を遂行した。
【0107】
抗原の濃度を決定する遂行過程をより詳しく説明すれば次のようである。抗原をストリップで5分間反応後テストラインの蛍光信号値の強度を測定する。蛍光信号値の強度があらかじめ決めておいたcut-off以下ならば、5pl蛍光補正曲線を適用して抗原の濃度値を算出し、測定した蛍光信号値の強度がcut-off以上なら、ゴールドの5pl補正曲線を適用して抗原の濃度値を算出する。
【0108】
実際サンプルを測定するためにCRP抗原が含まれない人間の血漿に0.2-200ug/mLのCRP抗原を混合して準備する。準備した抗原を開発したストリップセンサーに5分間反応させた後蛍光信号値とゴールド信号値を測定して5pl補正曲線の係数を算出する。蛍光信号値とゴールド信号値が重なる区間である12.5ug/mLをcut-offで適用して濃度値を算出する。試験結果0.2-200ug/mLの範囲内でサンプルの線形相関関係はy=0.9977x-0.4956数式に従って、R2=0.9971を得て本発明を通じてCRPの広範囲な濃度を定量的に測定が可能であることを確認した。
【0109】
以上の説明は本発明の技術思想を例示的に説明したことに過ぎないものであり、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者なら本発明の本質的な特性から脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能であろう。よって、本発明に開示された実施例らは本発明の技術思想を限定するためではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は下の請求範囲によって解釈されなければならないし、それと同等な範囲内にあるすべての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれることで解釈されなければならないであろう。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】