(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(54)【発明の名称】マルチロータ航空機
(51)【国際特許分類】
B64C 1/30 20060101AFI20230222BHJP
B64C 1/22 20060101ALI20230222BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20230222BHJP
B64C 25/06 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
B64C1/30
B64C1/22
B64C27/08
B64C25/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539636
(86)(22)【出願日】2020-12-28
(85)【翻訳文提出日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 CN2020000327
(87)【国際公開番号】W WO2021128444
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】201922427413.9
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521546496
【氏名又は名称】周 鵬躍
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】周 鵬躍
(57)【要約】
マルチロータ航空機であって、コントローラと、環状機体と、少なくとも2つの第1のロータユニットと、少なくとも2つのアクチュエータコンポーネントを備える。環状機体は、少なくとも2つのフレームと、少なくとも2つの連結ユニットを備え、隣接する2つのフレームは、連結ユニットを介して活動可能に連結する。少なくとも2つの第1のロータユニットは、それぞれ環状機体に設けられ、かつコントローラと電気的に接続し、飛行の揚力を提供するために使用される。少なくとも2つのアクチュエータコンポーネントは、それぞれ環状機体上に設けられ、かつコントローラと電気的に接続し、マルチロータ航空機が飛行する時に隣接する2つのフレームを互いに遠ざけるまたは近づけるために使用され、これにより、環状機体の囲繞面積を拡大または縮小する。本発明は、少なくとも2つのフレームと少なくとも2つの連結ユニットとからなる環状機体を採用し、少なくとも2つのフレームが少なくとも2つのアクチュエータコンポーネントの駆動によって互いに近づく方向に移動し、環状機体の囲繞面積を縮小する目的を達成し、これにより、大型マルチロータ航空機が大きな面積の離着陸場を必要とする技術的問題を効果的に解決した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチロータ航空機であって、コントローラと、環状機体と、少なくとも2つの第1のロータユニットと、少なくとも2つのアクチュエータコンポーネントを備え、
前記環状機体は、少なくとも2つのフレームと、少なくとも2つの連結ユニットを備え、隣接する2つの前記フレームは、前記連結ユニットを介して可動に連結し、
前記少なくとも2つの第1のロータユニットは、それぞれ前記環状機体に設けられ、かつ前記コントローラと電気的に接続し、前記マルチロータ航空機に飛行の揚力を提供するために使用され、
前記少なくとも2つのアクチュエータコンポーネントは、それぞれ前記環状機体に設けられ、かつ前記コントローラと電気的に接続し、前記マルチロータ航空機が飛行する時に隣接する2つの前記フレームを互いに遠ざけるまたは近づけるために使用され、これにより、前記環状機体の囲繞面積を拡大または縮小する、
マルチロータ航空機。
【請求項2】
前記アクチュエータコンポーネントは、第2のロータユニットを備え、前記第2のロータユニットは、前記フレームまたは前記連結ユニットに設けられ、かつ前記コントローラと電気的に接続し、
前記第2のロータユニットは、隣接する2つの前記フレームを互いに遠ざける駆動力を提供するために使用され、前記アクチュエータコンポーネントは、弾性部材をさらに備え、前記弾性部材の両端は、隣接する2つの前記フレームにそれぞれ連結し、または、前記フレームと、前記フレームと連結する前記連結ユニットにそれぞれ連結し、または、前記連結ユニットにそれぞれ連結し、前記弾性部材の弾性力は、隣接する2つの前記フレーム111を互いに近づけるために使用され、
あるいは、前記アクチュエータコンポーネントは、2組の前記第2のロータユニットに分け、各組の前記第2のロータユニットは、少なくとも1つの前記第2のロータユニットを備え、その2組の前記第2のロータユニット中の1組の前記第2のロータユニットは、隣接する2つの前記フレームを互いに遠ざける駆動力を提供するために使用され、別の1組の前記第2のロータユニットは、隣接する2つの前記フレームを互いに近づける駆動力を提供するために使用され、
あるいは、前記第2のロータユニットは、隣接する2つの前記フレームに互いに遠ざける駆動力を提供するために使用され、前記第1のロータユニットは、隣接する2つの前記フレームを互いに近づける駆動力を提供するためにも使用される、
請求項1に記載のマルチロータ航空機。
【請求項3】
前記フレームは、第1のフレーム本体と、第2のフレーム本体と、連結部を備え、前記第1のフレーム本体および前記第2のフレーム本体は、前記連結部を介して連結し、隣接する2つの前記フレームの前記第1のフレーム本体と前記第2のフレーム本体との間は、前記連結ユニットを介して連結し、
前記第1のフレーム本体および前記第2のフレーム本体には、それぞれ、前記第1のロータユニットが設けられ、前記連結部には、前記第2のロータユニットが設けられ、前記第2のロータユニットは、前記第1のフレーム本体の長手方向および前記第2のフレーム本体の長手方向に沿って推力の非ゼロ成分を同時に発生させるために使用され、あるいは、前記連結ユニットには、前記第1のロータユニットおよび前記第2のロータユニットが設けられる、
請求項2に記載のマルチロータ航空機。
【請求項4】
全ての前記第2のロータユニットの推力の合力は、前記マルチロータ航空機の運動制御に影響を与えないように、常にゼロであり、あるいは、全ての前記第2のロータユニットの推力の合力は、ゼロではない、かつ前記マルチロータ航空機がその合力と同じ方向または他の所定の方向に移動するように駆動するために使用される、
請求項2に記載のマルチロータ航空機。
【請求項5】
前記アクチュエータコンポーネントは直線アクチュエータであり、前記直線アクチュエータの両端はそれぞれ、隣接する2つの前記フレームに連結し、あるいは、前記フレームと前記フレームと連結する前記連結ユニットに連結し、あるいは、前記連結ユニットに連結する、
請求項1に記載のマルチロータ航空機。
【請求項6】
前記アクチュエータコンポーネントは、前記第1のロータユニットと伝動的に連結し、前記第1のロータユニットが前記環状機体に働く推力の方向を変えるように前記第1のロータユニットを駆動するために使用され、これにより、前記マルチロータ航空機が飛行する時に隣接する2つの前記フレームを互いに遠ざけてまたは近づけて前記環状機体の囲繞面積を拡大または縮小する目的を達成する、
請求項1に記載のマルチロータ航空機。
【請求項7】
前記アクチュエータコンポーネントが前記環状機体に働く前記第1のロータユニットの推力を前記環状機体の外側に傾ける時に、前記第1のロータユニットの部分推力は、隣接する2つの前記フレームを互いに遠ざけるように駆動するために使用され、同時に、前記第1のロータユニットは、前記マルチロータ航空機の飛行の揚力として、前記環状機体に働く推力の鉛直方向の非ゼロ成分を保持し、
前記アクチュエータコンポーネントが前記環状機体に働く前記第1のロータユニットの推力を前記環状機体の内側に傾ける時に、前記第1のロータユニットの部分推力は、隣接する2つの前記フレームを互いに近づけるように駆動するために使用され、同時に、前記第1のロータユニットは、前記マルチロータ航空機の飛行の揚力として、前記環状機体に働く推力の鉛直方向の非ゼロ成分を保持する、
請求項6に記載のマルチロータ航空機。
【請求項8】
前記アクチュエータコンポーネントは、第2のロータユニットと方向転換機構を備え、
前記第2のロータユニットは、前記フレームまたは前記連結ユニットに設けられ、
前記方向転換機構は、前記コントローラと電気的に接続し、かつ前記第2のロータユニットに伝動的に連結し、前記第2のロータユニットが前記環状機体に働く推力の方向を変えるように前記第2のロータユニットを駆動するために使用され、これにより、前記マルチロータ航空機が飛行する時に隣接する2つの前記フレームを互いに遠ざけてまたは近づけて前記環状機体の囲繞面積を拡大または縮小する目的を達成する、
請求項1に記載のマルチロータ航空機。
【請求項9】
前記環状機体に働く前記第2のロータユニットの推力が前記環状機体の外側を向く時に、前記第2のロータユニットは、隣接する2つの前記フレームを互いに遠ざけるために使用され、
前記環状機体に働く前記第2のロータユニットの推力が前記環状機体の内側を向く時に、前記第2のロータユニットは、隣接する2つの前記フレームを互いに近づけるために使用される、
請求項8に記載のマルチロータ航空機。
【請求項10】
全ての前記第2のロータユニットの推力の合力は、前記マルチロータ航空機の運動制御に影響を与えないように、常にゼロであり、あるいは、全ての前記第2のロータユニットの推力の合力は、ゼロではない、かつ前記マルチロータ航空機がその合力と同じ方向または他の所定の方向に移動するように駆動するために使用される、
請求項8に記載のマルチロータ航空機。
【請求項11】
前記フレームは、第1のフレーム本体と、第2のフレーム本体と、連結部を備え、前記第1のフレーム本体および前記第2のフレーム本体は、前記連結部を介して連結し、隣接する2つの前記フレームの前記第1のフレーム本体と前記第2のフレーム本体との間は、前記連結ユニットを介して連結し、
請求項1に記載のマルチロータ航空機。
【請求項12】
前記第1のフレーム本体と前記第2のフレーム本体と前記連結部は、連結してU字型またはL字型またはV字型の前記フレームを形成する、
請求項11に記載のマルチロータ航空機。
【請求項13】
前記連結ユニットの少なくとも一端が隣接する前記フレームの前記第1のフレーム本体または前記第2のフレーム本体に差し込み接続でまたはスリーブ接続で連結し、あるいは、前記連結ユニットは、隣接する2つの前記フレームの前記第1のフレーム本体と前記第2のフレーム本体とに連結する伸縮可能な構造である、
請求項11に記載のマルチロータ航空機。
【請求項14】
前記マルチロータ航空機は、網袋をさらに備え
前記網袋は、前記フレームまたは前記連結ユニットに設けられ、あるいは、前記環状機体は、少なくとも2つの降着装置をさらに備え、前記降着装置は、少なくとも2つの前記フレームまたは少なくとも2つの前記連結ユニット上にそれぞれ設けられ、前記網袋は、前記降着装置に設けられ、
前記網袋の袋口は前記環状機体の囲繞面積の拡大または縮小に合わせて拡大または縮小されることが可能である、
請求項1乃至13いずれかに記載のマルチロータ航空機。
【請求項15】
前記フレームまたは前記連結ユニットには、保護フレームが設けられ、前記保護フレームは、前記環状機体の囲繞区域の片側に延び、前記網袋が前記第1のロータユニットのプロペラに接触するのを阻止するために使用され、
前記保護フレームは、複数の保護バーから構成され、前記環状機体の囲繞面積が縮小される時に、前記複数の保護バーが互いに近づき、前記網袋の袋口を部分的にまたは完全に閉ざすために使用される、
請求項14に記載のマルチロータ航空機。
【請求項16】
前記マルチロータ航空機は、無人航空機を捕捉するために使用され、
前記無人航空機を捕捉する必要がある時に、前記マルチロータ航空機は、前記環状機体の囲繞面積を拡大することにより前記網袋の袋口を拡大し、
前記無人航空機が前記網袋に入った後に、前記マルチロータ航空機は、前記環状機体の囲繞面積を縮小することにより前記網袋の袋口を窄める、
請求項14に記載のマルチロータ航空機。
【請求項17】
前記マルチロータ航空機が前記無人航空機の後方から前記無人航空機に接近し、かつ前記環状機体を飛行方向に沿って相対的に傾けて、最終的に前記無人航空機を前記網袋中に入らせる、
請求項16に記載のマルチロータ航空機。
【請求項18】
前記マルチロータ航空機が空中に大きなバナーを展示するために使用され、
前記バナーは前記環状機体に取り付けられ、前記マルチロータ航空機は、飛行時に前記環状機体の囲繞面積を拡大することにより、空中に前記バナーを展開する、
請求項1乃至13のいずれかに記載のマルチロータ航空機。
【請求項19】
前記マルチロータ航空機がタワー型の建造物の構造を点検するために使用され、
前記環状機体の内側面には、点検に関するセンサが環状に配置され、前記マルチロータ航空機は、点検作業を行う際に、タワー型の建造物を前記環状機体の囲繞区域に貫穿させ、
請求項1乃至13のいずれかに記載のマルチロータ航空機。
【請求項20】
飛行の離着陸段階では、前記マルチロータ航空機は、前記環状機体の囲繞面積を縮小して、前記マルチロータ航空機が面積の限られる場所で離着陸するのに有利である、
請求項1乃至13のいずれかに記載のマルチロータ航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は航空機の技術分野に属し、特にマルチロータ航空機に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、大型マルチロータ航空機は民間分野に応用されることが増えている。しかし、離着陸過程で大きな面積の場所を占有する必要があるため、大型マルチロータ航空機の使用範囲が制限される。
自動収納装置が大型マルチロータ航空機を収容するために使用される場合、すなわち、大型マルチロータ航空機が自動収納装置に離着陸し、かつ自動収納装置によって自動的に収納と充電される場合、大きなサイズの自動収納装置が必要となるため、自動収納装置の設計製造コストおよび輸送設置の難易度が大幅に増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このことから、本発明はマルチロータ航空機に関し、大きな面積の離着陸場を必要とする大型マルチロータ航空機の技術問題の解決を含むが、これに限らない技術問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
マルチロータ航空機であって、コントローラと、環状機体と、少なくとも2つの第1のロータユニットと、少なくとも2つのアクチュエータコンポーネントを備え、
環状機体は、少なくとも2つのフレームと、少なくとも2つの連結ユニットを備え、隣接する2つのフレームは、連結ユニットを介して可動に連結し、
少なくとも2つの第1のロータユニットは、それぞれ環状機体に設けられ、かつコントローラと電気的に接続し、マルチロータ航空機に飛行の揚力を提供するために使用され、
少なくとも2つのアクチュエータコンポーネントは、それぞれ環状機体に設けられ、かつコントローラと電気的に接続し、マルチロータ航空機が飛行する時に隣接する2つのフレームを互いに遠ざけるまたは近づけるために使用され、これにより、環状機体の囲繞面積を拡大または縮小する。
【0005】
本発明の実施形態または先行技術における技術案をより明確に説明するために、以下、実施形態または先行技術の説明に必要な図面を簡単に紹介する。以下の説明の図面は本発明の一部の実施形態にすぎない。この分野の一般技術者にとって、創造的な作業なしに、他の実施形態の図面もこれらの図面に基づいて得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施例1、2および5に係る収縮状態のマルチロータ航空機を示す立体図である。
【
図2】本発明の実施例1、2および5に係る展開状態のマルチロータ航空機を示す立体図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る収縮状態の別のマルチロータ航空機を示す立体図であり、第1のロータユニットと第2のロータユニットが連結ユニットに設けられる。
【
図5】
図4の展開状態のマルチロータ航空機を示す立体図である。
【
図6】本発明の実施例1に係る別の収縮状態のマルチロータ航空機を示す立体図であり、環状機体が三角形である。
【
図7】
図6の展開状態のマルチロータ航空機を示す立体図である。
【
図8】本発明の実施例3に係る収縮状態のマルチロータ航空機を示す立体図である。
【
図9】本発明の実施例3に係る展開状態のマルチロータ航空機を示す立体図である。
【
図11】本発明の実施例4および5に係る収縮状態のマルチロータ航空機を示す立体図である。
【
図12】本発明の実施例4に係る展開状態のマルチロータ航空機が無人航空機を捕捉ていることを示す立体図である。
【
図13】本発明の実施例4および5に係るマルチロータ航空機が無人航空機を捕捉したことを示す立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の理解を容易にするために、関連図面を参照し、本発明をより詳細に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1~
図3を参照し、マルチロータ航空機1は、コントローラ(図示せず)と、環状機体11と、少なくとも2つの第1のロータユニット12と、少なくとも2つのアクチュエータコンポーネント13を備える。このコントローラは、従来のフライトコントローラであり、環状機体11に設けられる。環状機体11は、少なくとも2つのフレーム111と、少なくとも2つの連結ユニット112を備える。隣接する2つのフレーム111は、少なくとも1つの連結ユニット112を介して可動に連結する。環状機体11には、少なくとも2つの第1のロータユニット12がそれぞれ設けられ、すなわち、第1のロータユニット12は、フレーム111または連結ユニット112に設置されてもよい。第1のロータユニット12は、コントローラと電気的に接続し、マルチロータ航空機1に飛行の揚力を提供するために使用される。少なくとも2つのアクチュエータコンポーネント13は、それぞれ環状機体11上に設けられ、かつコントローラと電気的に接続し、マルチロータ航空機1が飛行する時に隣接する2つのフレーム111を互いに遠ざけるまたは近づけるために使用され、これにより、環状機体11の囲繞面積を拡大または縮小する。
【0009】
なお、マルチロータ航空機1は、電源 コンポーネント(図示せず)をさらに備える。電源コンポーネントは、環状機体11に設けられ、かつコントローラと電気的に接続する。電源コンポーネントは、コントローラ、第1のロータユニット12およびアクチュエータコンポ13に電力を供給するために使用される。電源コンポーネントは、従来の電池モジュールである。
【0010】
オプションとして、第1のロータユニット12の推力は、マルチロータ航空機1が前方に飛行する時に、マルチロータ航空機1が前方に飛行するための駆動力を提供するためにも使用される。
【0011】
なお、実際の機能によれば、本発明のアクチュエータコンポーネント13は、実行コンポーネント13と呼んでもよい。
【0012】
さらに、
図3を参照し、図示の実施形態では、各アクチュエータコンポーネント13は、第2のロータユニット130と弾性部材(図示せず)を備える。第2のロータユニット130は、フレーム111または連結ユニット112に設けられ、コントローラと電気的に接続し、隣接する2つのフレーム111を互いに遠ざける駆動力を提供するために使用される。具体的には、第2のロータユニット130の推力は、環状機体11の外側に向かい、あるいは、環状機体11の外側に向かって相対的に傾斜する。弾性部材の両端は、隣接する2つのフレーム111にそれぞれ連結し、あるいは、フレーム111と、当該フレーム111と連結する連結ユニット112にそれぞれ連結する。弾性部材の弾性力は、隣接する2つのフレーム111を互いに近づけるために使用される。また、連結ユニット112が伸縮可能である場合、連結ユニット112が収縮する傾向を有するように、弾性部材の両端は連結ユニット112にそれぞれ設置されてもよい。好ましくは、弾性部材はスプリングであり、その設定の数は限定されなく、隣接する2つのフレーム111が最も近い距離にある場合、スプリングが最短長状態にある。
【0013】
第2のロータユニット130が起動し、かつ推力を増大させる時に、隣接する2つのフレーム111が反向して遠ざかって、両者間の距離は漸次大きくなり、これにより、環状機体11の囲繞面積は顕著に拡大され、そして、スプリングは、フレーム111が連結ユニット112に対して最大の機械的移動ストロークに達するまで、あるいは、第2のロータユニット130の推力とスプリングの弾性力が釣り合うまで、引き伸ばされる。このとき、第2のロータユニット130は、隣接する2つのフレーム111が遠ざかった状態を維持するために、特定の推力を維持してもよい。コントローラは、隣接する2つのフレーム111が異なる離間距離に達するように、第2のロータユニット130の推力の大きさを調整してもよく、その結果、環状機体11の囲繞面積を異なる拡大範囲に調整することが可能となり、このことは容易に理解されよう。
【0014】
第2のロータユニット130が推力を減少させ、または回転を停止した後に、隣接する2つのフレーム111は、スプリングの弾性力によって駆動されて互いに近づき、これにより、環状機体11が最小囲繞面積に戻るまで両者の間隔が漸次狭くなる。このとき、隣接する2つのフレーム111間の距離が最も近い状態を維持するように、スプリングの弾性力はゼロでなくてもよい。
【0015】
このように、第2のロータユニット130および弾性部材を介して、マルチロータ航空機1が飛行する時に隣接する2つのフレーム111を互いに遠ざけるまたは近づける目的を達成することができる。
【0016】
また、全ての第2のロータユニット130の推力の合力は、マルチロータ航空機1の運動制御に影響を与えないように、常にゼロに設定してもよい。あるいは、上記の合力の大きさをゼロにすることなく設定してもよく、この合力は、マルチロータ航空機1がその合力と同じ方向または他の所定の方向に移動するように駆動するために使用される。例えば、合力の方向が水平面と平行であり、同時に、第1のロータユニット12によって提供される揚力とマルチロータ航空機1の重力が釣り合い、その合力は、マルチロータ航空機1が水平方向に飛行するように駆動してもよく、その結果、マルチロータ航空機1の機動性の向上に寄与する。
【0017】
なお、環状機体の囲繞領域が位置する側は環状機体の内側であり、環状機体の囲繞領域と反対側は環状機体の外側である。
【0018】
さらに、
図2および
図3を参照し、図示の実施形態では、フレーム111は、第1のフレーム本体1111と、第2のフレーム本体1112と、連結部1113を備える。第1のフレーム本体1111および第2のフレーム本体1112は、連結部1113を介して連結する。第1のフレーム本体1111と、第2のフレーム本体1112と、連結部1113が連結してU字型またはL字型またはV字型のフレーム111を形成する。隣接する2つのフレーム111の第1のフレーム本体1111と第2のフレーム本体1112との間は、連結ユニット112を介して連結し、すなわち、隣接する2つのフレーム111のうち、一方のフレーム111の第1のフレーム本体1111と他方のフレーム111の第2のフレーム本体1112は、1つの連結ユニット112を介して連結する。
【0019】
オプションとして、連結ユニット112は、直線ガイド構造であってもよく、すなわち、連結ユニット112は、直線ガイドレール、ガイドロッド、ガイドスリーブなどであってもよく、連結ユニット112の少なくとも一端が隣接するフレーム111の第1のフレーム本体1111または第2のフレーム本体1112に差し込み接続またはスリーブ接続で連結する。あるいは、連結ユニット112は、隣接する2つのフレーム111の第1のフレーム本体1111と第2のフレーム本体1112に連結する伸縮可能な構造であってもよく、例えば、マルチリンクヒンジ伸縮機構。
【0020】
さらに、連結ユニット112は、多節ガイド構造または多節伸縮構造であるもよく、すなわち、連結ユニット112は、多節直線ガイドレール、多節伸縮スリーブ等であってもよく、これにより、隣接する2つのフレーム111が互いに分離できる距離がより大きくなり、その結果、環状機体の囲繞面積の変動範囲が増大される。
【0021】
オプションとして、フレーム111は、第1のフレーム本体1111に連結する連結ユニット112と第2のフレーム本体1112に連結する連結ユニット112とに対して同時にスライドしてもよく、あるいは、第1のフレーム本体1111に連結する連結ユニット112と第2のフレーム本体1112に連結する連結ユニット112は同時に伸縮してもよい。
【0022】
さらに、
図2および
図3を参照し、図示の実施形態では、第1のフレーム本体1111および第2のフレーム本体1112には、それぞれ、第1のロータユニット12が設けられる。連結部1113には、第2のロータユニット130が設けられる。第2のロータユニット130はそれが位置するフレーム111の第1のフレーム本体1111及び第2のフレーム本体1112の長手方向に沿って、推力の長手方向の非ゼロ成分を同時に発生させることができる。
【0023】
オプションとして、第1のフレーム本体1111と第2のフレーム本体1112は、それぞれ連結ユニット112にスリーブ接続で連結してもよく、1つの第2のロータユニット130は、それが位置するフレーム111の第1のフレーム本体1111の長手方向に沿って推力の非ゼロ成分を発生させ、同時に、隣接するフレーム111上の第2のロータユニット130は、それが位置するフレーム111の第2のフレーム本体1112の長手方向に沿って推力の非ゼロ成分を発生させ、これら2つの推力の非ゼロ成分方向は反向して、その2つのフレーム111を互いに遠ざけるために使用される。環状機体11の各フレーム111上の第2のロータユニット130が同時に推力を発生または増大させる時に、隣接する2つのフレーム111が互いに遠ざかり、これにより、環状機体11の囲繞面積を拡大することが可能となる。
【0024】
本実施例の他の実施形態では、
図4および
図5を参照し、第1のフレーム本体1111および第2のフレーム本体1112の少なくとも一方が連結ユニット112に差し込み接続で連結してもよく、この構成では、第1のロータユニット12および第2のロータユニット130が連結ユニット112に設けられてもよい。
【0025】
また、
図3を参照し、第2のロータユニット130の推力は、第1のロータユニット12の推力方向に沿って非ゼロ成分を同時に存在させてもよく、第2のロータユニット130が起動した後に、マルチロータ航空機1の揚力を増加させため、またはマルチロータ航空機1が前方に飛行するための駆動力を増加させるために使用される。
【0026】
さらに、
図1~
図3を参照し、本実施形態では、環状機体11は、少なくとも2つの降着装置14をさらに備え、少なくとも2つの降着装置14は、少なくとも2つのフレーム111または少なくとも2つの連結ユニット112にそれぞれ設けられてもよく、マルチロータ航空機1が穏やかに着陸することに有利である。
【0027】
マルチロータ航空機1の動作原理を説明するために、方形の環状機体11を例に説明する。ここで、環状機体11は、4つのL字型フレーム111と4つの連結ユニット112を備え、各L字型フレーム111の角部には1つの第2のロータユニット130が設けられ、各L字型フレーム111の側縁には、それぞれ1つまたはそれ以上の第1のロータユニット12が設けられ、隣接する2つのL字型フレーム111の間には、弾性部材を連結する。マルチロータ航空機1が離陸した後に、4つの第2のロータユニット130は、コントローラによって制御されて、同時に起動し、かつ推力を増大させ、4つのL字型フレーム111は、4つの第2のロータユニット130の推力によって互いに遠ざかる方向に同期的に移動し、これにより、環状機体11の囲繞面積が拡大される。マルチロータ航空機1が着陸する前に、4つの第2のロータユニット130は、コントローラによって制御されて、同時に推力を漸次減少させ、あるいは回転を停止し、4つのL字型フレーム111は、弾性部材の弾性力によって互いに近づく方向に同期的に移動し、これにより、環状機体11の囲繞面積が縮小される。
【0028】
環状機体11は方形に限定されず、例えば、環状機体 11は三角形 (図 6および
図7参照) またはその他の形状であってもよく、ここでは特に限定されない。
【0029】
なお、弾性部材は省略してもよい。一実施形態では、各アクチュエータコンポーネント13は、2組の第2のロータユニット130を備え、各組の第2のロータユニット130は、少なくとも1つの第2のロータユニット130を備える。その2組の第2のロータユニット130中の1組の第2のロータユニット130は、隣接する2つのフレーム111を互いに遠ざける駆動力を提供するために使用され、別の1組の第2のロータユニット130は、隣接する2つのフレーム111を互いに近づける駆動力を提供するために使用され、具体的には、隣接する2つのフレーム111を互いに近づける駆動力を提供するために、当該別の1組の第2のロータユニット130のグループの推力は、環状機体11の内側を向かい、あるいは、環状機体11の内側に向かって相対的に傾斜する。環状機体11の囲繞面積を拡大または縮小する必要がある場合、1組の第2のロータユニット130は起動しあるいは推力を増大させ、同時に、別の1組の第2のロータユニット130は回転を停止しあるいは推力を減少させ、例えば、隣接する2つのフレーム111を互いに近づける駆動力を提供するための1組の第2のロータユニット130が起動しあるいは推力を増大させ、別の1組の第2のロータユニット130は回転を停止しあるいは推力を減少させ、このとき、環状機体11の囲繞面積が縮小される。
【0030】
別の実施形態では、第2のロータユニット130は、隣接する2つのフレーム111に互いに遠ざける駆動力を提供するために使用され、第1のロータユニット12は、マルチロータ航空機1に飛行の揚力を提供するだけでなく、隣接する2つのフレーム111を互いに近づける駆動力を提供するためにも使用される。具体的には、環状機体11に働く第1のロータユニット12の推力は、環状機体11の内側に向かって相対的に傾斜し、これにより、第1のロータユニット12の推力の一部は、隣接する2つのフレーム111を互いに近づけるように駆動するために使用され、同時に、第1のロータユニット12は、マルチコプター航空機1の飛行の揚力として、環状機体11に働く推力の鉛直方向における非ゼロ成分を保持する。
【0031】
本発明によって提供されるマルチロータ航空機1は、少なくとも2つのフレーム111と少なくとも2つの連結ユニット112とからなる環状機体11を採用し、隣接するフレーム111がアクチュエータコンポーネント13の駆動によって互いに遠ざけられてまたは近づけられて、環状機体11の囲繞面積を拡大または縮小する目的を達成し、その結果、マルチロータ航空機1は飛行時にその全体面積の大きさを能動的に変えることが可能となる:飛行の離着陸段階では、マルチロータ航空機1は、環状機体11の囲繞面積を縮小して、マルチロータ航空機1が面積の限られる場所で離着陸するのに有利である。飛行の残りの段階では、マルチロータ航空機1は、特別な作業に適するように、環状機体11の囲繞面積を拡大してもよく、例えば、飛行禁止空域に侵入する無人航空機2を捕捉したり、空中に大きなバナーを展示したり、タワー型の建造物の構造を点検したりすることなどができる。
【0032】
具体的には、マルチロータ航空機1が空中に大きなバナーを展示するために使用される場合、バナーは環状機体11に取り付けられ、マルチロータ航空機 1は、飛行時に環状機体 11の囲繞面積を拡大することにより、空中にバナーを展開する。
【0033】
マルチロータ航空機1が通信タワー、工場の煙突、風力発電機のブレードなどのタワー型の建造物を点検するために使用される場合、環状機体11の内側面には、点検に関するセンサ17(
図7参照) 例えばカメラが環状に配置される。マルチロータ航空機1は、点検作業を行う際に、タワー型の建造物を環状機体11の囲繞区域に貫穿させ、その結果、点検の効率を向上させる。
【実施例2】
【0034】
図1~
図3を参照し、本実施例で提供されるマルチロータ航空機は、基本的に実施例1のものと同じであり、相違点は以下のとおりである。アクチュエータコンポーネント13は直線アクチュエータであり、その直線アクチュエータの両端はそれぞれ、隣接する2つのフレーム111に連結し、あるいは、フレーム111、フレーム111と連結する連結ユニット112に連結する。また、連結ユニット112が伸縮可能な構造である場合、直線アクチュエータの両端は連結ユニット112にそれぞれ連結してもよい。
【0035】
具体的には、直線アクチュエータは、負荷の直線運動を実現できる一般的な機械装置であり、これは、スライドスクリューまたはベルト伝動を介してモータの回転運動を負荷の直線運動に変換するようを実現してもよく、空気圧スライドや油圧シリンダなどであってもよい。すなわち、隣接する2つのフレーム111が互いに遠ざかるまたは近づくように駆動するために、隣接する2つのフレーム111の一方に直線アクチュエータの固定端を連結し、隣接する2つのフレーム111の他方に直線アクチュエータの可動端を連結し、あるいは、フレーム111とこれに連結する連結ユニット112の一方に直線アクチュエータの固定端を連結し、フレーム111とこれに連結する連結ユニット112の他方に直線アクチュエータの可動端を連結し、あるいは、直線アクチュエータの固定端と可動端は、いずれも連結ユニット112に連結される。
【実施例3】
【0036】
図8~
図10を参照し、本実施例で提供されるマルチロータ航空機は、基本的に実施例1のものと同じであり、相違点は以下のとおりである。アクチュエータコンポーネント13は、第1のロータユニット12と伝動的に連結し、第1のロータユニット12が環状機体11に働く推力の方向を変えるように第1のロータユニット12を駆動するために使用され、これにより、マルチロータ航空機が飛行する時に隣接する2つのフレーム111を互いに遠ざけてまたは近づけて環状機体11の囲繞面積を拡大または縮小する目的を達成する。
【0037】
オプションとして、アクチュエータコンポーネント13は、駆動部材と伝動部材を備えてもよい。駆動部材は、フレーム111に設けられる。伝動部材の一端は、駆動部材の動力出力軸に連結し、伝動部材の他端は、第1のロータユニット12と連結する。駆動部材は、第1のロータユニット12が環状機体11に働く推力の方向を変えるように、伝動部材を介して駆動部材の動力出力軸を中心に第1のロータユニット12を回動させることができる。
【0038】
図9を参照し、アクチュエータコンポーネント13が環状機体11に働く第1のロータユニット12の推力を環状機体11の外側に特定の角度で傾ける時に、第1のロータユニット12の部分推力は、隣接する2つのフレーム111を互いに遠ざけるように駆動するために使用され、同時に、第1のロータユニット12は、マルチロータ航空機1の飛行の揚力として、環状機体11に働く推力の鉛直方向における非ゼロ成分を保持する。
【0039】
図8を参照し、アクチュエータコンポーネント13が環状機体11に働く第1のロータユニット12の推力を環状機体11の内側に特定の角度傾ける時に、第1のロータユニット12の部分推力は、隣接する2つのフレーム111を 互いに近づけるように駆動するために使用され、同時に、第1のロータユニット12は、マルチロータ航空機1の飛行の揚力として、環状機体11に働く推力の鉛直方向における非ゼロ成分を保持する。
【0040】
このように、第1のロータユニット12は、マルチロータ航空機1に飛行の揚力を提供することができるだけでなく、また環状機体11に囲繞面積を拡大または縮小する駆動力を提供することができる。
【0041】
なお、駆動部材が駆動部材の動力出力軸を中心に第1のロータユニット12を回動させる時に、コントローラは、マルチロータ航空機1の飛行の揚力の大きさが変化しないように、第1のロータユニット12が推力の大きさを動的に変えるように制御し、これにより、マルチロータ航空機1が一定の高度飛行を維持するのに役立つ。
【0042】
本実施例の一実施形態では、駆動部材はフレーム111の内部に設けられ、フレーム111にはガイド溝1110が設けられてもよく、伝動部材の一端がガイド溝1110から突出して第1のロータユニット12と連結する。ガイド溝1110は、伝動部材がフレーム111の断面に沿って揺れるように案内することができ、かつ、伝動部材がフレーム111の長手方向に沿って振動するのを回避することができる。
【0043】
また、各フレーム111上に設けられる第1のロータユニット12の数は、図示の1つに限定されない。例えば、マルチロータ航空機は、2つのフレーム111を備え、各フレーム111には、2つの第 1のローター12が設けられ、これにより、クワッドローターのレイアウトを共同で構成し、各フレーム 111上のアクチュエータコンポーネント13は、それが位置するフレーム111上の2つの第1のローター12が環状機体11に働く推力方向を変えるように、それら第1のローター12を同期的に駆動するために使用される。
【実施例4】
【0044】
図11~
図13を参照し、本実施例で提供されるマルチロータ航空機は、基本的に実施例1~3のいずれかで提供されるマルチロータ航空機と同じであり、相違点は以下のとおりである。マルチロータ航空機1は、網袋15をさらに備える。網袋15は、フレーム111または連結ユニット112または降着装置14上に設けられてもよく、かつ、網袋15の袋口は環状機体11の囲繞面積の拡大または縮小に合わせて拡大または縮小されることができ、すなわち、環状機体11は、囲繞面積を拡大または縮小する過程で、それに応じて同時に網袋15の袋口を拡大または縮小させる。オプションとして、網袋15は、フレーム111または連結ユニット112または降着装置14に着脱可能に連結し、必要に応じて網袋15を環状機体11に設置してもよい。
【0045】
さらに、マルチロータ航空機1は、飛行禁止空域に侵入する無人航空機2を捕捉するために使用されてもよく、具体的には、無人航空機2を捕捉する必要がある時に、マルチロータ航空機1は、環状機体11の囲繞面積を拡大することにより網袋15の袋口を拡大することができ、その結果、捕捉時に捕捉される無人航空機2が網袋15に入る成功率を高めることができるとともに、マルチロータ航空機1が前方に高速で飛行する時に、網袋15が気流の影響を受けて振動して第1のロータユニット12と接触する可能性を回避するように、網袋15を引張状態に保つことが可能となる。
【0046】
マルチロータ航空機1が無人航空機2を捕捉する1つの実現方法は、
図12に示すように、マルチロータ航空機1がドローン2の後方から無人航空機2に接近し、環状機体11を飛行方向に沿って相対的に傾けて、最終的に無人航空機2を網袋15中に入らせ、その結果、第1のロータユニット12および/または第2のロータユニット130はマルチロータ航空機1の飛行速度を上げるために前進飛行の駆動力を提供することが可能となるだけでなく、また、マルチロータ航空機1が無人航空機2 に追いつくと同時に無人航空機2 を網袋15中に入らせるように、網袋15の袋口を無人航空機2に向けることが可能となる。
【0047】
捕捉される無人航空機2が網袋15に入った後に、マルチロータ航空機1は、環状機体11の囲繞面積を縮小することにより網袋15の袋口を窄めることができ、その結果、捕捉された無人航空機2が網袋15の袋口から逃げるリスクを低減するとともに、網袋15を弛ませて捕捉された無人航空機2を絡め取ることが可能となる。
【実施例5】
【0048】
図1、
図2、
図3、
図11~
図13を参照し、本実施例で提供されるマルチロータ航空機は、基本的に実施例4のものと同じであり、相違点は以下のとおりである。フレーム111または連結ユニット112には、保護フレーム16が設けられる。保護フレーム16は、環状機体11の囲繞領域の片側に延び、網袋15が第1のロータユニット12のプロペラに接触するのを阻止するために使用される。
【0049】
具体的には、保護フレーム16は、複数の保護バー160から構成され、複数の保護バー160は、フレーム111または連結ユニット112にそれぞれ設けられ、かつ第1のロータユニット12のプロペラと網15との間に位置する。環状機体11の囲繞面積が拡大される時に、複数の保護バー160が互いに遠ざかり、その結果、網袋15の袋口を塞ぐことを回避でき、捕捉される無人航空機2が網袋15内にスムーズに入ることを可能にする。環状機体11の囲繞面積が縮小される時に、複数の保護バー160が互いに近づき、その結果、網袋15の袋口を部分的にまたは完全に閉ざすことが可能となり、捕捉された無人航空機2が網袋15の袋口から逃げるのを防止する。
【実施例6】
【0050】
本実施例で提供されるマルチロータ航空機は、基本的に実施例1のものと同じであり、相違点は以下のとおりである。弾性部材が方向転換機構に置き換えられる。方向転換機構は、コントローラと電気的に接続し、かつ第2のロータユニット130に伝動的に連結し、第2のロータユニット130が環状機体11に働く推力の方向を変えるように第2のロータユニット130を駆動するために使用され、これにより、第2のロータユニット130が隣接する2つのフレーム111を互いに遠ざけるために使用されるだけでなく、隣接する2つのフレーム111を互いに近づけるためにも使用される。
【0051】
方向転換機構は第2のロータユニット130が環状機体11に働く推力の方向を変えるように第2のロータユニット130を駆動する原理が、実施例3のアクチュエータコンポーネント13は第1のロータユニット12が環状機体11に働く推力の方向を変えるように第1のロータユニット12を駆動する原理と基本的に同じである。しかし、本実施例では、第2のロータユニット130は、隣接する2つのフレーム111を互いに遠ざけるおよび近づける駆動力のみを提供してもよく、マルチロータ航空機1に飛行の揚力を提供しない。すなわち、環状機体11に働く第2のロータユニット130の推力が環状機体11の外側を向き、かつ第1のロータユニット12の推力の方向と直交する時に、第2のロータユニット130は、隣接する2つのフレーム111を互いに遠ざけるためにのみ使用され、環状機体11に働く第2のロータユニット130の推力が環状機体11の内側を向き、かつ第1のロータユニット12の推力方向と直交する時に、第2のロータユニット130は、隣接する2つのフレーム111を互いに近づけるためにのみ使用される。
【0052】
前記実施形態の各技術的特徴は、任意に組み合わせられてもよい。説明を簡潔にするために、前記実施形態の各技術的特徴の可能なすべての組み合わせについては説明しない、しかしながら、これらの技術的特徴の組み合わせは、矛盾がない限り、本明細書に記載された範囲と見なすべきである。
【0053】
前記実施形態は、本発明の若干の実施方式のみを述べており、その説明はより具体的で詳細である、しかし特許請求の範囲の制限として理解することはできない。この分野の一般技術者にとっては、本発明の構想を逸脱することなく、若干の変更や改善が可能であり、これらは本発明の保護範囲に属する。従って、本発明の特許の保護範囲は、添付の特許請求の範囲に基づくべきである。
【国際調査報告】