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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(54)【発明の名称】印刷方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230222BHJP
   B41J 29/17 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
B41J2/01 101
B41J2/01 123
B41J29/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540309
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-07-08
(86)【国際出願番号】 IB2020061673
(87)【国際公開番号】W WO2021137063
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】62/954,516
(32)【優先日】2019-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514210005
【氏名又は名称】ランダ コーポレイション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ランダ,ベンジオン
(72)【発明者】
【氏名】ゴールデンスタイン,ゾハル
(72)【発明者】
【氏名】シンドラー,トメル
(72)【発明者】
【氏名】レザール,ロネン
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056FA13
2C056HA42
2C056HA58
2C056JB15
2C056JB18
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AR01
2C061CM01
2C061CM07
(57)【要約】
印刷の方法は、画像を中間転写部材(ITM)(44)上に形成するために、ITM(44)に、少なくとも印刷流体を含む1つ以上の流体を塗布することを含む。画像の少なくとも一部は、ITM(44)から標的基材(50)に転写される。標的基材(50)に転写されずにITM(44)上に残った1つ以上の流体の残留物は、ITM(44)から1つ以上の回転可能要素(112)に転写されて、残留物は1つ以上の回転可能要素(112)から除去される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間転写部材(ITM)上に画像を形成するために、少なくとも印刷流体を含む1つ以上の流体を、前記ITMに塗布することと、
前記画像の少なくとも一部を前記ITMから標的基材に転写することと、
前記標的基材に転写されずに前記ITM上に残った前記1つ以上の流体の残留物を、前記ITMから1つ以上の回転可能要素に移すことと、
前記残留物を前記1つ以上の回転可能要素から除去することと
を含む、印刷方法。
【請求項2】
前記1つ以上の回転可能要素が前記ITMの第1の面上に配置されて、前記第1の面の反対側の、前記ITMの第2の面上に配置された1つ以上の追加の回転可能要素を含み、前記回転可能要素の少なくとも第1の回転可能要素および前記追加の回転可能要素の少なくとも第2の回転可能要素は相互に向かい合っており、前記残留物を移すことは、前記第1と第2の回転可能要素を係合することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも印刷流体を塗布することは、処理流体を前記ITMに塗布することを含み、少なくとも、(i)前記処理流体、および(ii)前記印刷流体、の少なくとも1つを前記ITMに塗布する場合に、前記第1と第2の回転可能要素の係合が実行される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1と第2の回転可能要素の係合は、所定の時間間隔で実行されて、前記所定の時間間隔外で、前記第1と第2の回転可能要素の係合を解除することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ITMは、第1の材料から作られて第1の構造を持つ第1の外層、および第2の材料から作られて第2の構造を持つ第2の外層を含み、前記第1および第2の外層は、前記残留物を前記第1の外層から前記第2の外層に移すために形成される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ITMは、前記残留物に対する第1の接着力を有する第1の外層を含み、前記第1および第2の回転可能要素の少なくとも1つは、前記残留物に対する第2の接着力を有する第2の外層を含み、前記第2の接着力は、前記第1の接着力よりも大きく、前記残留物を移すことは前記第1と第2の外層を係合することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の外層は、(a)無電解ニッケル、(b)硬質クロム、(c)陽極酸化被覆、および(d)セラミック被覆から成るリストから選択された合金を少なくとも含む、請求項5~請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記第2の外層は、N1~N4の間のISOグレードの表面粗さを有する、請求項5~請求項6のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記回転可能要素の少なくとも1つは、(a)アルミニウム、(b)金属合金、(c)セラミック化合物、および(d)ポリマーから成るリストから選択された合金を少なくとも含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記残留物を除去することは、前記1つ以上の回転可能要素から前記残留物を:(a)掻き取ること、(b)ブラシで払い除けること、および(c)拭き取ること、の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記残留物を除去することは、前記それぞれの回転可能要素の少なくとも1つの表面と、前記それぞれの回転可能要素の前記表面に対して、55°~65°の間の角度で、配向されている、少なくとも1つのスクレーパーを係合することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ITMは所与の幅を有しており、前記回転可能要素の少なくとも1つは、前記所与の幅以上の長さを有するローラーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の回転可能要素は、前記ITMの第1の面上に配置されて、前記第1の面の反対側の、前記ITMの第2の面上に配置された1つ以上の追加の回転可能要素を含み、前記回転可能要素の少なくとも第1の回転可能要素および前記追加の回転可能要素の少なくとも第2の回転可能要素は相互に向かい合っており、前記残留物を移すことは、少なくとも前記ITMが移動されるときに、少なくとも前記第1の回転可能要素および前記第2の回転可能要素が継続的に相互に係合されていることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
中間転写部材(ITM)上に画像を形成するために、少なくとも印刷流体を含む1つ以上の流体を、前記ITMに塗布するように構成される、1つ以上のステーションと、
前記画像の少なくとも一部を前記ITMから標的基材に転写するように構成される、画像転写ステーションと、
(i)前記標的基材に転写されずに前記ITM上に残った前記1つ以上の流体の残留物を、前記ITMから1つ以上の回転可能要素に移して、(ii)前記残留物を前記1つ以上の回転可能要素から除去するように構成される、ITM洗浄ステーション(ICLS)と
を備える、印刷システム。
【請求項15】
前記1つ以上の回転可能要素は、前記ITMの第1の面上に配置されて、前記第1の面の反対側の、前記ITMの第2の面上に配置された1つ以上の追加の回転可能要素を含み、前記回転可能要素の少なくとも第1の回転可能要素および前記追加の回転可能要素の少なくとも第2の回転可能要素は相互に向かい合っており、前記ICLSは、前記残留物を移すために、前記第1と第2の回転可能要素を係合するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記1つ以上のステーションは、処理流体を前記ITMに塗布するように構成され、前記ICLSは、少なくとも、前記1つ以上のステーションが、(i)前記処理流体、および(ii)前記印刷流体、の少なくとも1つを前記ITMに塗布する場合に、前記第1と第2の回転可能要素を係合するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記ICLSは、前記第1と第2の回転可能要素を所定の時間間隔で係合し、前記所定の時間間隔外では、前記第1と第2の回転可能要素の係合を解除するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記ITMは、第1の材料から作られて第1の構造を持つ第1の外層と、第2の材料から作られて第2の構造を持つ第2の外層とを含み、前記第1および第2の外層は、前記残留物を前記第1の外層から前記第2の外層に移すために形成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記ITMは、前記残留物に対する第1の接着力を有する第1の外層を含み、前記第1および第2の回転可能要素の少なくとも1つは、前記残留物に対する第2の接着力を有する第2の外層を含み、前記第2の接着力は、前記第1の接着力よりも大きく、前記ICLSは、前記残留物を移すために前記第1と第2の外層を係合するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記第2の外層は、(a)無電解ニッケル、(b)硬質クロム、(c)陽極酸化被覆、および(d)セラミック被覆から成るリストから選択された合金を少なくとも含む、請求項18~請求項19のいずれかに記載のシステム。
【請求項21】
前記第2の外層は、N1~N4の間のISOグレードの表面粗さを有する、請求項18~請求項19のいずれかに記載のシステム。
【請求項22】
前記回転可能要素の少なくとも1つは、(a)アルミニウム、(b)金属合金、(c)セラミック化合物、および(d)ポリマーから成るリストから選択された合金を少なくとも含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項23】
前記ICLSは、前記残留物を前記1つ以上の回転可能要素から除去するように構成された、(a)スクレーパー、(b)ブラシ、および(c)ワイパーの少なくとも1つを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項24】
前記ICLSは、前記それぞれの回転可能要素の少なくとも1つの表面と、前記それぞれの回転可能要素の前記表面に対して、55°~65°の間の角度で配向されている、少なくとも1つのスクレーパーを係合することによって前記残留物を除去するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項25】
前記ITMは所与の幅を有しており、前記回転可能要素の少なくとも1つは、前記所与の幅以上の長さを有するローラーを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項26】
前記1つ以上の回転可能要素は、前記ITMの第1の面上に配置されて、前記第1の面の反対側の、前記ITMの第2の面上に配置された1つ以上の追加の回転可能要素を含み、前記回転可能要素の少なくとも第1の回転可能要素および前記追加の回転可能要素の少なくとも第2の回転可能要素は相互に向かい合っており、少なくとも前記ITMが移動されるとき、少なくとも前記第1の回転可能要素および前記第2の回転可能要素は継続的に相互に係合されている、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月29日に出願された米国仮特許出願第62/954,516号の利益を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般にデジタル印刷に関し、詳細にはデジタル印刷システムの部材を洗浄するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
いくつかの印刷システムは、機材を洗浄するための組立体を含み得る。
【0004】
例えば、米国特許出願公開第2019/0016114号は、装置を小型化しながら、転写部材を継続的に洗浄可能な印刷装置を説明する。印刷装置は、転写部材と接触して回転しながら、転写部材に洗浄液を塗布するように構成された洗浄ローラー、洗浄ローラーの一部が洗浄液に浸されるように洗浄液を貯蔵するように構成された液体タンク、および液体タンク内で回転する洗浄ローラーの表面に接触することによって汚れを除去するように構成された除去ユニットを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で説明される本発明の一実施形態は、印刷の方法を提供し、本方法は、中間転写部材(ITM)に、画像をITM上に形成するための印刷流体を少なくとも含む1つ以上の流体を塗布することを含む。画像の少なくとも一部は、ITMから標的基材に転写される。標的基材に転写されずにITM上に残った1つ以上の流体の残留物は、ITMから1つ以上の回転可能要素に移されて、残留物は1つ以上の回転可能要素から除去される。
【0006】
いくつかの実施形態では、1つ以上の回転可能要素は、ITMの第1の面に配置されて、第1の面の反対側の、ITMの第2の面上に配置された1つ以上の追加の回転可能要素を含み、回転可能要素の少なくとも第1の回転可能要素および追加の回転可能要素の少なくとも第2の回転可能要素は相互に向かい合っており、残留物を移すことは、第1と第2の回転可能要素を係合することを含む。他の実施形態では、少なくとも印刷流体を塗布することは、処理流体をITMに塗布すること、ならびに(i)処理流体、および(ii)印刷流体、の少なくとも1つをITMに塗布する場合に、第1と第2の回転可能要素の係合が実行されることを含む。さらに他の実施形態では、第1と第2の回転可能要素の係合は、所定の時間間隔で実行され、本方法は、所定の時間間隔外で、第1と第2の回転可能要素の係合を解除することを含む。
【0007】
一実施形態では、ITMは:(i)第1の材料から作られて第1の構造を持つ第1の外層、および(ii)第2の材料から作られて第2の構造を持つ第2の外層、を含み、第1および第2の外層は、残留物を第1の外層から第2の外層に移すために形成される。別の実施形態では、ITMは、残留物に対する第1の接着力を有する第1の外層を含み、第1および第2の回転可能要素の少なくとも1つは、残留物に対する第2の接着力を有する第2の外層を含み、それにより第2の接着力は第1の接着力よりも大きく、残留物を移すことは第1と第2の外層を係合することを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、第2の外層は少なくとも、(a)無電解ニッケル、(b)硬質クロム、(c)陽極酸化被覆、および(d)セラミック被覆から選択された合金を含む。他の実施形態では、第2の外層は、N1~N4の間のISOグレードの表面粗さを有する。さらに他の実施形態では、回転可能要素の少なくとも1つは、(a)アルミニウム、(b)金属合金、(c)セラミック化合物、および(d)ポリマーから成るリストから選択された合金を少なくとも含む。
【0009】
一実施形態では、残留物を除去することは、1つ以上の回転可能要素から残留物を:(a)掻き取ること、(b)ブラシで払い除けること、および(c)拭き取ること、の少なくとも1つを含む。別の実施形態では、残留物を除去することは、それぞれの回転可能要素の少なくとも1つの表面と、それぞれの回転可能要素の表面に対して、55°~65°の間の角度で配向されている、少なくとも1つのスクレーパーとの間で係合することを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、ITMは所与の幅を有しており、回転可能要素の少なくとも1つは、その所与の幅以上の長さを有するローラーを含む。他の実施形態では、1つ以上の回転可能要素は、ITMの第1の面上に配置されて、第1の面の反対側の、ITMの第2の面上に配置された1つ以上の追加の回転可能要素を含み、回転可能要素の少なくとも第1の回転可能要素および追加の回転可能要素の少なくとも第2の回転可能要素は相互に向かい合っており、残留物を移すことは、少なくともITMが移動されるときに、少なくとも第1の回転可能要素および第2の回転可能要素が継続的に相互に係合されることを含む。
【0011】
本発明の一実施形態に従い、(a)中間転写部材(ITM)上に画像を形成するために、少なくとも印刷流体を含む1つ以上の流体を、ITMに塗布するように構成される、1つ以上のステーション、(b)画像の少なくとも一部をITMから標的基材に転写するように構成される、画像転写ステーション、および(c)(i)標的基材に転写されずにITM上に残った1つ以上の流体の残留物を、ITMから1つ以上の回転可能要素に移して、(ii)残留物を1つ以上の回転可能要素から除去するように構成される、ITM洗浄ステーション(ICLS)、を含む印刷システムが追加として提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に従った、デジタル印刷システムの概略側面図である。
図2A】本発明の実施形態に従った、ブランケット洗浄ステーションの概略側面図である。
図2B】本発明の実施形態に従った、ブランケット洗浄ステーションの概略側面図である。
図3】本発明の一実施形態に従い、標的基材に転写されなかった画像の残留物を洗浄するための方法を概略的に示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概観
いくつかの印刷プロセスは、印刷流体を使用して、1つ以上の部材またはドラムなどの、中間基材の表面上に画像を形成すること、およびその画像を中間基材から標的基材に転写することを含み得る。いくつかの事例では、印刷流体は完全に転写されず、その残留物が中間基材の表面上に残り得る。かかる残留物は、印刷システムを汚染し得、それぞれの標的基材上に印刷される後続の画像の品質を低下させ得る。
【0014】
以下で説明される本発明の実施形態は、印刷システムの動作中に中間転写部材(ITM)を洗浄するための改善された技術を提供する。いくつかの実施形態では、デジタル印刷システムは、本明細書ではブランケットとも呼ばれる、ITM上に、インクまたは任意の他のタイプの印刷流体を含む画像を印刷するように構成される、画像形成ステーションを含む。デジタル印刷システムは、画像をITMから、シートまたは連続ウェブ基材などの、標的基材に転写するように構成される、画像転写ステーションをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、デジタル印刷システムは、ITMにごく近接して取り付けられる、ITM洗浄ステーション(ICLS)をさらに含む。ICLSは、ITMから1つ以上の回転可能転写ローラーに、標的基材に転写されずにITM上に残った残留物を移行させるように構成される。
【0016】
本発明の文脈およびクレームでは、「残留物」という用語は、画像をITMから標的基材に転写した後に、中間基材上に、意図的にではなく、残されている任意のタイプの固形体、液体、気体、またはそれらの任意の組合せを指す。例えば、印刷流体、ITMの処理流体、その組合せ、様々なタイプの汚染物質、またはITMから標的基材への画像の転写後にITM表面上にあることが意図されていない任意の他の種類の物質。いくつかの事例では、処理流体などの、物質は、ITM表面に意図的に塗布され得、したがって、残留物と見なされないことに留意されたい。
【0017】
ICLSは、残留物をそれぞれ1つ以上の転写ローラーから、例えば、掻き取りブレードを使用して除去し、その除去した残留物のデブリを、任意の適切な移行技術を使用して廃棄容器に移すようにさらに構成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、ICLSは1つ以上の回転可能な補助ローラーを含み得、それらは、例えば、補助ローラーの中心で軸に連結された、デジタル印刷システムのシャシーに、直接または間接的に固定されて、軸の周りを回転するように構成される。転写ローラーおよび補助ローラーは、ITMの反対側上に配置され、転写ローラーおよび対応する補助ローラーの各対は相互に向かい合っている。
【0019】
いくつかの実施形態では、転写ローラーおよび掻き取りブレードはそれぞれ、第1および第2のアームに連結される。第1および第2のアームは、(例えば、ピンを使用して)相互に、かつ、ヒンジを使用して前述のシャシーに連結され、そのため、アームの各々はヒンジの周りを回転するように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、ICLSは空気圧ピストン組立体を含み、それは、少なくとも第1のアームを補助ローラーに対して移動させることによって、転写ローラーと補助ローラーを係合および係合解除するように構成される。係合位置では、移動しているITMは転写ローラーを回転させて、残留物を転写ローラーの外表面に移行させる。
【0021】
いくつかの実施形態では、ITMの最外層は、印刷流体および残留物に対して所与の接着力を有する「剥離層」である。転写ローラーは、その所与の接着力よりも大きい(残留物に対する)接着力を有する外層を含む。かかる実施形態では、係合位置で、残留物はITMから転写ローラーに移される。
【0022】
いくつかの実施形態では、ICLSは、掻き取りブレードと転写ローラーとの係合および係合解除のための機構を含む。係合されるとき、1つ以上の掻き取りブレードは残留物をそれぞれの転写ローラーの外表面から除去するように構成される。
【0023】
開示される技術は、印刷プロセス中に形成される欠陥の数を減らすことによって印刷画像の品質を改善する。その上、開示される技術は、(a)印刷プロセス中にITMを洗浄すること、および(b)印刷プロセス中に汚染事象の数を減らし、したがって、印刷画像を生成するためのかかるシステムの可用性を高めることによって、印刷システムの生産性を改善する。
【0024】
システム説明
図1は、本発明の一実施形態に従った、デジタル印刷システム10の概略側面図である。いくつかの実施形態では、システム10は、画像形成ステーション60、乾燥ステーション64、刷ステーション84、ITM洗浄ステーション(ICLS)100、およびブランケット処理ステーション52を循環する回転可撓性ブランケット44を含む。本発明の文脈およびクレームでは、「ブランケット」および「中間転写部材(ITM)」という用語は区別しないで使用されて、以下で詳細に説明されるように、インク画像を受け取って、そのインク画像を標的基材に転写するように構成された中間部材として使用される1つ以上の層を含む可撓性部材を指す。
【0025】
操作モードでは、画像形成ステーション60は、ブランケット44の表面の上部ラン上のデジタル画像42の、本明細書では「インク画像」(図示せず)または簡略して「画像」とも呼ばれる、ミラーインク画像を形成するように構成される。その後、インク画像は、ブランケット44の下部ランの下に配置された、標的基材(例えば、紙、折畳み箱、多層ポリマー、またはシートもしくは連続ウェブの形の任意の適切な可撓性パッケージ)に転写される。
【0026】
本発明の文脈において、「ラン(run)」という用語は、ブランケット44がその上を誘導される任意の2つの所与のローラー間のブランケット44の長さまたはセグメントを指す。
【0027】
いくつかの実施形態では、設置中、ブランケット44は、縁と縁が付着されて連続するブランケットループ(図示せず)を形成し得る。継ぎ目の設置のための方法およびシステムの一例が、米国仮出願第62/532,400号に詳細に記述されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
いくつかの実施形態では、画像形成ステーション60は典型的には、複数の印刷バー62を含み、各々は、ブランケット44の上部ランの表面の上に固定の高さで位置付けられたフレーム(図示せず)上に(例えば、スライダを使用して)取り付けられている。いくつかの実施形態では、各印刷バー62は、ブランケット44上の印刷領域と同じ幅の印刷ヘッドの細長片を含み、個々に制御可能な印刷ノズルを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、画像形成ステーション60は、任意の適切な数のバー62を含み得、各バー62は、異なる色の水性インクなどの、印刷流体を含み得る。インクは典型的には、シアン、マゼンタ、黄、および黒などであるがそれらに制限されない、可視色を有する。図1の例では、画像形成ステーション60は、7つの印刷バー62を含むが、例えば、シアン、マゼンタ、黄および黒などの任意の選択された色を有する4つの印刷バー62を含み得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、印刷ヘッドは、インク画像(図示せず)をブランケット44の表面上に形成するために、異なる色のインク液滴をブランケット44の表面上に噴射するように構成される。
【0031】
いくつかの実施形態では、異なる印刷バー62は、矢印94によって表される、本明細書ではブランケット44の移動方向とも呼ばれる、移動軸に沿って相互に間隔が空けられている。この構成では、バー62間の正確な間隔、および各バー62のインクの液滴の方向付けと移動しているブランケット44との間の同期化は、画像パターンの正確な配置を可能にするために不可欠である。
【0032】
いくつかの実施形態では、システム10は、高温ガスもしくは空気送風機66および/または赤外線(IR)ヒーターまたはおよび印刷用途に対して適合された他の適切なタイプの加熱器などの、加熱器を含む。図1の例では、送風機66は、印刷バー62の間に位置付けられて、ブランケット44の表面上に付着されたインク液滴を部分的に乾燥させるように構成される。印刷バー間のこの温風の流れは、例えば、印刷ヘッドの表面での凝結を減らす、および/またはサテライト(例えば、主インク液滴の周囲に分散された残留物または小さい液滴)を処理する、および/または印刷ヘッドのインクジェットノズルの詰まりを防ぐ、および/またはブランケット44上の異なるカラーインクの液滴が不必要に相互に混ざるのを防ぐ、のに役立ち得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、システム10は、温風(または別のガス)をブランケット44の表面上に吹き付けるように構成された、乾燥ステーション64を含む。いくつかの実施形態では、乾燥ステーションは、送風機68または任意の他の適切な乾燥装置を含む。
【0034】
乾燥ステーション64では、ブランケット44上に形成されたインク画像は、インクをもっと完全に乾かすために放射および/または温風にさらされて、液体キャリアのほとんど、または全部を蒸発させて、粘着性のあるインクフィルムになるポイントまで加熱される樹脂および着色剤の層だけが残る。
【0035】
いくつかの実施形態では、システム10は、ブランケット44などの、回転ITMを含むブランケットモジュール70を含む。いくつかの実施形態では、ブランケットモジュール70は1つ以上のローラー78を含み、ローラー78の少なくとも1つは、エンコーダ(図示せず)を含み、エンコーダは、ブランケット44のセクションの位置をそれぞれの印刷バー62に対して制御するために、ブランケット44の位置を記録するように構成される。いくつかの実施形態では、ローラー78のエンコーダは典型的には、それぞれのローラーの角変位を示すロータリーベースの位置信号を生成するように構成されたロータリーエンコーダを含む。本発明の文脈およびクレームでは、「を示す(indicative of)」および「指示(indication)」という用語は区別しないで使用されることに留意されたい。
【0036】
追加または代替として、ブランケット44は、システム10の様々なモジュールの動作を制御するための組込みエンコーダ(図示せず)を含み得る。組込みエンコーダの1つの実施態様は、例えば、米国仮出願第62/689,852号に詳細に記述されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0037】
いくつかの実施形態では、ブランケット44はローラー76および78、ならびに本明細書でダンサー組立体74とも呼ばれる、動力引張りローラーの上を誘導される。ダンサー組立体74は、ブランケット44における弛みの長さを制御するように構成され、その動きは両方向矢印によって図式的に表されている。さらに、経年劣化に伴うブランケット44の任意の伸びは、システム10のインク画像配置性能に影響を及ぼさず、ダンサー組立体74に張力をかけることによってさらに弛みを取ることを必要とするだけであろう。
【0038】
いくつかの実施形態では、ダンサー組立体74は動力化され得る。ローラー76および78の構成および動作は、例えば、米国特許出願公開第2017/0008272号および前述のPCT国際公開第WO2013/132424号にさらに詳細に記述されており、その開示は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0039】
いくつかの実施形態では、システム10は、ブランケット44に沿って1つ以上の位置に配置された1つ以上の張力センサー(図示せず)を含み得る。張力センサーは、ブランケット44内に統合され得るか、またはブランケット44に印加された機械的張力を示す信号を取得するための任意の他の適切な技術を使用するブランケット44外部のセンサーを含み得る。いくつかの実施形態では、システム10のプロセッサ20および追加のコントローラ(例えば、以下の図2および図3に示される)は、ブランケット44に印加された張力を監視するため、およびダンサー組立体74の動作を制御するために、張力センサーによって生成された信号を受信するように構成される。
【0040】
本明細書では画像転写ステーションとも呼ばれる、刷ステーション84において、ブランケット44は、圧胴シリンダ82と圧力シリンダ90との間を通る。
【0041】
いくつかの実施形態では、システム10は制御コンソール12を含み、制御コンソール12は、以下で説明されるように、ブランケットモジュール70、ブランケットモジュール70の上に配置された画像形成ステーション60、およびブランケットモジュール70の下に配置されて1つ以上の刷ステーションを含む、基材搬送モジュール80などの、システム10の複数のモジュールを制御するように構成される。
【0042】
いくつかの実施形態では、コンソール12は、ケーブル57を介して、ダンサー組立体74のコントローラおよびコントローラ54とインタフェースを取るため、ならびにそれらから信号を受信するための、適切なフロントエンドおよびインタフェース回路を備えた、プロセッサ20、典型的には汎用コンピュータを含む。いくつかの実施形態では、単一装置として図式的に示されている、コントローラ54は、システム10上の所定の位置に取り付けられた1つ以上の電子モジュールを含み得る。コントローラ54の電子モジュールの少なくとも1つは、制御回路またはプロセッサ(図示せず)などの、電子装置を含み得、それは、システム10の様々なモジュールおよびステーションを制御するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサ20および制御回路は、印刷システムによって使用される機能を実行するためにソフトウェアでプログラムされ得、ソフトウェアのためのデータをメモリ22内に格納し得る。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを経由して、プロセッサ20および制御回路に電子的形態でダウンロードされ得るか、またはそれは、光学、磁気もしくは電子メモリ媒体などの、持続性有形的媒体上で提供され得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、コンソール12はディスプレイ34を含み、ディスプレイ34は、プロセッサ20から受信したデータおよび画像、または入力装置40を使用してユーザー(図示せず)によって挿入された入力を表示するように構成される。いくつかの実施形態では、コンソール12は、任意の他の適切な構成を有し得、例えば、コンソール12およびディスプレイ34の代替構成が、米国特許第9,229,664号に詳細に記述されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、画像42の1つ以上のセグメント(図示せず)を含むデジタル画像42および/またはメモリ22内に格納され得る様々なタイプのテストパターンを、ディスプレイ34上に表示するように構成される。
【0045】
いくつかの実施形態では、本明細書では冷却ステーションとも呼ばれる、ブランケット処理ステーション52は、例えば、ブランケットを冷却し、かつ/または処理流体をブランケット44の外表面に塗布し、かつ/またはブランケット44の外表面を洗浄することによって、ブランケットを処理するように構成される。ブランケット処理ステーション52において、ブランケット44の温度は、ブランケット44が画像形成ステーション60に入る前に、所望の値まで下げることができる。処理は、冷却および/または洗浄および/または処理流体をブランケットの外表面上に塗布するために構成された1つ以上のローラーもしくはブレードの上をブランケット44を通過させることによって実行され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、ブランケット処理ステーション52は、図1に示されているブランケット処理ステーション52の位置に追加して、または代わりに、画像形成ステーション60に隣接して配置され得る。かかる実施形態では、ブランケット処理ステーションは、印刷バー62に隣接した、1つ以上のバーを含み得、処理流体は噴射によってブランケット44に塗布される。
【0047】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、ブランケット44の温度を監視するため、およびブランケット処理ステーション52の動作を制御するために、ブランケット44の表面温度を示す信号を、例えば、温度センサー(図示せず)から受信するように構成される。かかる処理ステーションの例は、例えば、PCT国際公開第WO2013/132424号および第WO2017/208152号に記述されており、それらの開示は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
追加または代替として、処理流体は、画像形成ステーションでのインク噴射の前に、噴射によってブランケット44に塗布され得る。
【0049】
図1の例では、ステーション52は刷ステーション84と画像形成ステーション60との間に取り付けられているが、ステーション52は、刷ステーション84と画像形成ステーション60との間の任意の他の、または追加の1つ以上の適切な位置にブランケット44に隣接して取り付けられ得る。前述のとおり、ステーション52は追加または代替として、画像形成ステーション60に隣接したバーを含み得る。
【0050】
図1の例では、圧胴シリンダ82は、基材搬送モジュール80によって入力スタック86から出力スタック88へ圧胴シリンダ82を経由して運ばれた、個々のシート50などの、標的可撓性基材上にインク画像を押し付ける。
【0051】
いくつかの実施形態では、ブランケット44の下部ランは、刷ステーション84において圧胴シリンダ82と選択的に相互作用して、圧力シリンダ90の圧力の作用によりブランケット44と圧胴シリンダ82との間で圧迫された標的可撓性基材上に画像パターンを押し付ける。図1に示されるシンプレックスプリンタ(すなわち、シート50の片面上への印刷)の場合、1つの刷ステーション84だけが必要である。
【0052】
他の実施形態では、モジュール80は、1つ以上の両面印刷を可能にするために、2つ以上の圧胴シリンダを含み得る。2つの圧胴シリンダの構成は、両面プリント印刷の2倍の速度での片面プリントの実行も可能にする。加えて、片面および両面プリントの混合ロットも印刷できる。代替実施形態では、連続ウェブ基材上への印刷のためにモジュール80の異なる構成が使用され得る。両面印刷システムおよび連続ウェブ基材上への印刷のためのシステムの詳細な説明および様々な構成は、例えば、米国特許第9,914,316号および第9,186,884号、PCT国際公開第WO2013/132424号、米国特許出願公開第2015/0054865号、ならびに米国仮出願第62/596,926号に提供されており、それらの開示は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
上で簡潔に説明されるように、シート50または連続ウェブ基材(図示せず)は、モジュール80により入力スタック86から運ばれて、圧胴シリンダ82と圧力シリンダ90との間に置かれたニップ(図示せず)を通過する。ニップ内で、インク画像を搬送しているブランケット44の表面が、例えば、圧力シリンダ90の、圧縮可能なブランケット(図示せず)によりシート50(または他の適切な基材)にしっかりと押し付けられ、それによりインク画像がシート50の表面上に印加されて、ブランケット44の表面からきれいに分離される。その後、シート50は出力スタック88へ搬送される。
【0054】
図1の例では、ローラー78は、ブランケット44の上部ランに位置付けられて、画像形成ステーション60に隣接して通過する際にブランケット44をピンと張ったままに維持するように構成される。さらに、形成ステーション60によって、ブランケット44の表面上へのインク液滴の正確な噴射および付着、それによりインク画像の配置を獲得するために、画像形成ステーション60の下でブランケット44の速度を制御することは特に重要である。
【0055】
いくつかの実施形態では、圧胴シリンダ82は、インク画像を、移動しているブランケット44から、ブランケット44と圧胴シリンダ82との間を通過している標的基材に転写するために、周期的にブランケット44に係合されて、ブランケット44から解放される。いくつかの実施形態では、システム10は、上部ランをピンと張ったまま維持して、ブランケット44の上部ランを、下部ランで生じている機械的振動によって影響を受けることから実質的に分離するために、前述のローラーおよびダンサー組立体を使用してブランケット44にトルクを印加するように構成される。
【0056】
前述のとおり、インク画像は典型的には、複数の色のインクを有する水性インクなどの、印刷流体、およびブランケット処理ステーション52を使用してブランケット44に塗布される、前述の処理流体を含む。いくつかの事例では、ブランケット44からシート50へインク画像を転写した後、残留物がブランケット44上に残り得、とりわけ、ブランケット44上のかき傷およびシステム10の汚染を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、システム10は、典型的には刷ステーション84とブランケット処理ステーション52との間に取り付けられる、ITM洗浄ステーション(ICLS)100を含む。いくつかの実施形態では、ICLS 100は、回転可能要素の1つ以上の対、本例では、概略的に相互に係合して示されている一対のローラーを含む。係合されると、ローラーはブランケット44から、前述の残留物を除去するように構成される。ICLS 100は、以下の図2Aおよび図2Bでさらに詳細に説明され、ブランケット洗浄プロセスは以下の図3でさらに説明される。
【0057】
ICLS 100およびブランケット処理ステーション52の両方の構成要素は、図1に例示されるように、すなわち、例えば、転写ステーションの構成要素と同様に、ブランケット44の両側に配置されることに留意されたい。
【0058】
いくつかの実施形態では、システム10は、本明細書で自動品質管理(AQM)システムとも呼ばれる、画像品質管理ステーション55を含み、それは、システム10内に統合された閉ループ検査システムとして機能する。いくつかの実施形態では、ステーション55は、図1に示されているように、圧胴シリンダ82に隣接して、またはシステム10内の任意の他の適切な位置に、配置され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、ステーション55はカメラ(図示せず)を含み、それは、シート50上に印刷された前述のインク画像の1つ以上のデジタル画像を取得するように構成される。いくつかの実施形態では、カメラは、密着型画像センサー(CIS)または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサーなどの、任意の適切な画像センサー、および約1メートルの幅または任意の他の適切な幅をもつスリットを含むスキャナを含み得る。
【0060】
本開示の文脈およびクレームでは、任意の数値もしくは範囲に対する「約(about)」または「略(approximately)」という用語は、構成要素の部品または集合が本明細書で説明されるその意図する目的のために機能するのを可能にする適切な寸法公差を示す。例えば、「約」または「略」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指し得、例えば、「約90%」は72%~100%の値の範囲を指し得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、ステーション55は、シート50上に印刷されたインクの品質を監視するように構成された分光光度計(図示せず)を含み得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、ステーション55によって取得されたデジタル画像は、それぞれの印刷画像の品質を評価するように構成される、プロセッサ20またはステーション55の任意の他のプロセッサなどの、プロセッサに伝送される。その評価およびコントローラ54から受信した信号に基づき、プロセッサ20は、システム10のモジュールおよびステーションの動作を制御するように構成される。本発明の文脈およびクレームでは、「プロセッサ」という用語は、プロセッサ20または、ステーション55に接続されているか、もしくはステーション55と統合されている任意の他のプロセッサもしくはコントローラなどの、任意の処理装置を指し、それは、ステーション55のカメラおよび/または分光光度計から受信した信号を処理するように構成される。本明細書で説明される信号処理操作、制御関連命令、および他の計算操作は、単一のプロセッサによって実行されるか、または1つ以上のそれぞれのコンピュータの複数のプロセッサ間で分担され得ることに留意されたい。
【0063】
いくつかの実施形態では、ステーション55は、シート50との完全な画像位置決め、色と色の間(C2C)の位置決め、印刷された幾何形状、画像均一性、色のプロファイルおよび直線性、ならびに印刷ノズルの機能性などであるが、それらに制限されない、様々な属性を監視するために、印刷画像およびテストパターンの品質を検査するように構成される。いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、幾何学的歪みまたは、前述の属性の1つ以上における他のエラーを自動的に検出するように構成される。例えば、プロセッサ20は、所与のデジタル画像の設計バージョン(本明細書では「マスター」または「ソース画像」とも呼ばれる)と、カメラによって取得される、所与の画像の印刷バージョンのデジタル画像との間で比較するように構成される。
【0064】
他の実施形態では、プロセッサ20は、前述のエラーを示す歪みを検出するために、任意の適切なタイプの画像処理ソフトウェアを、例えば、テストパターンに適用し得る。いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、修正処置を機能不良のモジュールに適用するために検出された歪みを分析し、かつ/または検出された歪みを補正するために、システム10の別のモジュールもしくはステーションに命令を供給するように構成される。
【0065】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、ステーション55の分光光度計から受信した信号に基づいて、印刷された色のプロファイルおよび直線性における逸脱を検出するように構成される。
【0066】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、ステーション55によって取得された信号に基づいて、様々なタイプの欠陥:(i)基材(例えば、ブランケット44および/またはシート50)における、かき傷、ピンホール、および損傷した縁など、ならびに(ii)不規則なカラースポット、サテライト、および跳ねなどの印刷関連の欠陥、を検出するように構成される。
【0067】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、これらの欠陥を、印刷されたもののセクションと、本明細書でマスターとも呼ばれる、元の設計のそれぞれの参照セクションとの間の比較によって検出するように構成される。プロセッサ20は、欠陥を分類し、その分類および所定の基準に基づき、指定された所定の基準内にない欠陥を有するシート50を拒絶するようにさらに構成される。
【0068】
いくつかの実施形態では、ステーション55のプロセッサは、例えば、欠陥密度が指定された閾値を上回っている場合、システム10の動作を停止するかどうかを決定するように構成される。ステーション55のプロセッサは、前述のように、システム10のモジュールおよびステーションの1つ以上において修正処置を開始するようにさらに構成される。修正処置は、オンザフライで(その間、システム10は印刷プロセスを継続する)、またはオフラインで、印刷動作を停止し、システム10のそれぞれのモジュールおよび/もしくはステーション内の問題を修正することにより、実行され得る。他の実施形態では、システム10の任意の他のプロセッサまたはコントローラ(例えば、プロセッサ20またはコントローラ54)は、欠陥密度が指定された閾値を上回っている場合、修正処置を開始するか、またはシステム10の動作を停止するように構成される。
【0069】
追加または代替として、プロセッサ20は、例えば、ステーション55から、システム10の印刷プロセスにおける追加のタイプの欠陥および問題を示す信号を受信するように構成される。これらの信号に基づき、プロセッサ20は、パターン配置精度および前述されていない追加のタイプの欠陥のレベルを自動的に推定するように構成される。他の実施形態では、シート50上(または前述した任意の他の基材上)に印刷されたパターンを検査するための任意の他の適切な方法も、例えば、外部(例えば、オフライン)の検査システム、または任意のタイプの測定治具および/もしくはスキャナを使用して、使用できる。これらの実施形態では、外部の検査システムから受信した情報に基づき、プロセッサ20は、任意の適切な修正処置を開始し、かつ/またはシステム10の動作を停止するように構成される。
【0070】
システム10の構成は、本発明を明確にするために純粋に例として単純化されて提供されている。前述した印刷システム10で説明されている構成要素、モジュールおよびステーション、ならびに追加の構成要素および構成は、例えば、米国特許第9,327,496号および第9,186,884号、PCT国際公開第WO2013/132438号、第WO2013/132424号および第WO2017/208152号、米国特許出願公開第2015/0118503号および第2017/0008272号に詳細に記述されており、それらの開示は全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
システム10の特定の構成は、本発明の実施形態によって対処される特定の問題を例示するため、およびかかるシステムの性能強化においてこれらの実施形態の適用を例証するために、例として示されている。しかし、本発明の実施形態は、この特定の種類のシステム例に決して制限されず、本明細書で説明される原理は、任意の他の種類の印刷システムに同様に適用され得る。
【0072】
ブランケット洗浄ステーション
図2Aは、本発明の一実施形態に従った、ITM洗浄ステーション(ICLS)100の概略側面図である。いくつかの実施形態では、ICLS 100は、1つ以上の回転可能要素、本例では、システム10のシャシー105上に取り付けられている、フレーム104に連結された、2つの類似の補助ローラー102を含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、各補助ローラー102は、約80mmの直径または任意の他の適切な直径を有する円形断面を有する。図2Aの例では、補助ローラー102はXおよびY軸に固定され、ブランケット44が矢印94によって表される移動方向に移動するときに、ブランケット44によってZ軸の周りを回転させられる。
【0074】
いくつかの実施形態では、各補助ローラー102は、Al6061-T6などの、アルミニウム合金、または任意の他の適切な合金を含む中心部を有し得る。補助ローラー102の中心部は、約20ShA~約95ShAの間の範囲のショアA硬度を持つエチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴムなどの、任意の適切なタイプの軟質材料を含む外層103で覆われ得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、ICLS 100は、1つ以上の追加の回転可能要素、本例では相互に類似した2つの転写ローラー112を含み、その各々は円形断面および約80mmの直径を有する。転写ローラー112は、前述のAl6061-T6などの、アルミニウム合金、もしくは任意の他の適切な合金、またはセラミック化合物もしくはポリマーを含む中心部を有する。
【0076】
いくつかの実施形態では、転写ローラー112の中心部は、N2 ISOグレードの表面粗さを有する無電解ニッケルを含む外層113で覆われ得る。材料特性および表面処理に基づき、外層113は、以下で詳細に説明されるようにブランケット44から移された残留物を受け取るように構成される。
【0077】
追加または代替として、外層113は、ブランケット44から移された残留物を受け取るように構成された任意の他の適切な材料および粗さレベルを含み得る。例えば、外層113は、無電解ニッケル、硬質クロム、陽極酸化または任意の他の適切なタイプのセラミック被覆を含み得る。その上、外層113の粗さグレードは、N1~N4の間の任意の適切なISOグレードの表面粗さを有し得る。
【0078】
いくつかの実施形態では、ブランケット44は、矢印94と直交する所与の幅(例えば、約1メートル)を有しており、ローラー102および112の少なくとも1つ(典型的には両方)は、ブランケット44の所与の幅以上の長さを有し得る。
【0079】
図2Aに示されるように、転写ローラー112および補助ローラー102は、ブランケット44の反対側に配置されて、相互に向かい合っている。この構成では、ローラー102および112の各対は、ブランケット44の少なくともY軸に沿った動きを防いで、ブランケット44の前述の移動方向に沿った動きを可能にし得、それは、実質的にX軸と平行である。図2Aの例では、ICLS 100は、2対のローラー102および112を含む。しかし、他の実施形態では、ICLS 100は、任意の適切な構成に配置された任意の他の適切な数のローラー102および112(すなわち、1対以上のローラー102および112)を含み得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、転写ローラー112は、シャシー105に連結されて、ヒンジ107の周りを回転するように構成される、剛性アーム106上に取り付けられる。いくつかの実施形態では、ICLS 100は、以下の図2Bで詳細に説明されるように、ローラー102と112との間で係合および係合解除するように構成される。
【0081】
上の図1で説明されるように、ブランケット44は画像形成ステーション60からインク画像を受け取って、インク画像をシート50または任意の他の標的基材に転写する。いくつかの事例では、ブランケット44からシート50へインク画像を転写した後、残留物がブランケット44上に残り得、ICLS 100は、これらの残留物を、ブランケット44からICLS 100の転写ローラー112に移すことによってそれらを除去するように構成される。いくつかの実施形態では、ブランケット44の外表面は、はく離層(図示せず)を含み、それは、インク画像をシート50に転写し、その後、前述の残留物を転写ローラー112に移すように構成される。
【0082】
いくつかの実施形態では、一対の係合されたローラー102および112は、ブランケット44が通過する、ニップを形成するように構成される。一対の補助ローラー102と転写ローラー112との間に形成されたニップは、上の図1で説明されるように、圧胴シリンダ82と圧力シリンダ90との間に形成されるニップと実質的に類似し得、ブランケットから転写ローラーへの残留物の移行を可能にする。
【0083】
いくつかの実施形態では、ICLS 100は、転写ローラー112の外層113の表面に移された残留物を除去するための要素を含む。いくつかの実施形態では、これらの残留物除去要素は、本明細書では残留物クリーナーとも呼ばれて、それぞれの転写ローラー112がそれ自身の軸の周りを回転する際に、残留物を機械的に除去するために、外層113の表面と物理的に接触するように構成される。
【0084】
いくつかの実施形態では、残留物クリーナーは、各転写ローラー112から残留物を洗浄するように構成された、1つ以上の掻き取りブレード組立体111を含み得る。図2Aの例では、2つの掻き取りブレード組立体111が、各転写ローラー112を洗浄するために使用される。他の実施形態では、ICLS 100は、任意の他の適切な数の掻き取りブレード組立体111を含み得る。
【0085】
一実施形態では、単一の掻き取りブレード組立体111は、それぞれの転写ローラー112の外層113の表面から全ての残留物を洗浄するために十分であり得る。別の実施形態では、3つ以上の掻き取りブレード組立体111が、単一の転写ローラー112を洗浄するために使用され得る。
【0086】
各転写ローラー112は、独立した数の掻き取りブレード組立体111を有し得ることに留意されたい。例えば、第1の転写ローラー112は単一の掻き取りブレード組立体111を使用して洗浄され得、第2の転写ローラー112は2つ以上の掻き取りブレード組立体111を使用して洗浄され得る。
【0087】
転写ローラー112の数、および特に、それぞれの転写ローラー112を洗浄するために適用される掻き取りブレード組立体111の数は、印刷用途およびブランケット44に塗布される材料によって決まり得ることに留意されたい。
【0088】
いくつかの実施形態では、掻き取りブレード組立体111は、シャシー105に連結されて、ヒンジ107の周りを回転するように構成される、回転可能アーム108上に取り付けられる。
【0089】
他の実施形態では、残留物を転写ローラー112から除去するための要素は、ブラシ、ワイパー、またはスクロールダウンクリーナー(scrolling down cleaner)などであるが、それらに限定されない、任意の他の適切なタイプの残留物クリーナーを含み得る。
【0090】
ICLS 100は、それぞれの転写ローラー112に適用される1つ以上のタイプのクリーナーを含み得ることに留意されたい。例えば、掻き取りブレード組立体111およびブラシ。
【0091】
いくつかの実施形態では、ICLS 100は、以下の図2Bで詳細に説明されるように、ローラー102と112を係合および係合解除するように構成される。いくつかの実施形態では、システム10の通常の動作中に、例えば、少なくともブランケット44が移動されているときに、少なくとも1つのローラー112および、ローラー112と向かい合っている、1つのローラー102は、残留物をブランケット44からローラー112に移すために、継続的に相互に係合される。
【0092】
他の実施形態では、プロセッサ20はICLS 100を制御して、ローラー102と112を、画像の転写中など、所定の時間間隔で係合し、所定の時間間隔外では、ローラー102と112の係合を解除する。
【0093】
いくつかの実施形態では、ブランケット処理ステーション52がブランケット44(上の図1で説明されるように)の表面に処理流体を絶えず塗布する場合、ICLS 100は、ローラー102および112の対が常に係合されてブランケット44の表面から処理流体の残留物を除去するように操作される。
【0094】
他の実施形態では、ICLS 100は常に係合モードであり得、かかる実施形態では、ローラー102および112の全ての対は、その間ずっと係合されている。ICLS 100は、係合モードにおいてノンストップで動作可能であるが、かかる係合が要求される場合には、1つ以上の対のローラー102と112の係合を解除する能力があることに留意されたい。前述のとおり、ローラー102と112との係合および係合解除動作は、プロセッサ20によって制御される。
【0095】
追加または代替として、ローラー102と112の対間での係合は、少なくとも、印刷流体(例えば、インク)をブランケット24に塗布する場合に実行され得る。
【0096】
他の実施形態では、ローラー102と112の1つ以上(および典型的には両方)の対は、少なくとも、ブランケット44が矢印94によって示される移動方向に移動されているときに、係合され得る。
【0097】
代替実施形態では、図2Aに示されるローラー102および112の2つの対の代わりに、ICLS 100は、ローラー102および112の単一の対を含み得る。言い換えれば、ICLS 100は、1つの補助ローラー102および1つの転写ローラー112を含み得る。かかる実施形態では、プロセッサ20はICLS 100を制御してローラー102と112を係合し、いくつかの実施形態では、以下の図2Bで詳細に説明されるようにローラー102と112の係合を解除もする。ローラー102および112の複数の対に対して説明される本開示の実施形態は、ローラー102および112の前述の単一の対を有する、ICLS 100などの、任意のITM洗浄ステーションに対して、変更すべきところは変更して、適用可能であることに留意されたい。
【0098】
ここで、掻き取りブレード組立体111を示す差し込み図120を参照する。いくつかの実施形態では、掻き取りブレード組立体111は、ブレードハウジング115およびブレード114を含む。ブレードハウジング115は、ブレード114を保持するように構成されて、アルミニウム合金、または任意の他の適切な合金を含み得る。ブレード114は、1090鋼、または、それぞれの転写ローラー112の外層113の表面から前述の残留物を掻き取るために適合された任意の他の適切な合金を含み得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は掻き取りブレード組立体111を制御して、(a)ブレード114を方向116に移動させることによってブレード114と外層113の表面を係合するか、または(b)ブレード114を方向118に移動させることによってブレード114と外層113の表面の係合を解除するように構成される。一実施形態では、ブレードハウジング115は、以下の図2Bで詳細に説明されるように、ブレード114と外層113の表面を係合および係合解除するように構成される。
【0100】
いくつかの実施形態では、システム10の動作中に、ブランケット44は、矢印94の方向に移動しているとき、転写ローラー112を反時計回りに(矢印109として示される)回転させる。いくつかの実施形態では、画像形成ステーション60がインク液滴をブランケット44に塗布するとき、プロセッサ20は、前述のように外層113の表面から残留物を除去するために、掻き取りブレード組立体111を制御してブレード114を方向116に移動させる。除去された残留物のデブリは、例えば、重力によって落とされて、廃棄トレイ110に移されるか、または任意の他の適切な技術を使用して任意の他の適切な廃棄容器に移動される。
【0101】
いくつかの実施形態では、システム10は、インク液滴をブランケット44に塗布することなく動作し得る。例えば、システム10の始動時または保守中に、ブランケット処理ステーション52は前述の処理流体をブランケット44の表面に塗布し得る。かかる実施形態では、プロセッサ20は、外層113の表面から係合解除して、処理流体が外層113から除去されるのを防ぐために、掻き取りブレード組立体111を制御してブレード114を方向118に移動させるように構成される。
【0102】
処理流体の使用後に、プロセッサ20は、使用された処理流体を外層113の表面から除去するために、掻き取りブレード組立体111を制御してブレード114を方向116に移動させ得ることに留意されたい。
【0103】
いくつかの実施形態では、掻き取りブレード組立体111は、任意の適切な数のブレード114を含み得る。具体的には、ICLS 100が単一の対のローラー102および112を含む場合、掻き取りブレード組立体111は任意の適切な数のブレード114を含み得る。例えば、掻き取りブレード組立体111は、1つのブレード114(差し込み図120に示されるブレードなど)、2つのブレード114(図2Aに示されるような)、または3つ以上のブレード114を含み得る。その上、前述のように、一対のローラー102および112を含む場合でさえ、ブレード組立体111は、1つ以上のブレード111と、ブラシなどの、他の洗浄要素の組合せを含み得る。
【0104】
図2Bは、本発明の一実施形態に従った、ICLS 100の係合および係合解除組立体の概略側面図である。図2Bでは、ICLS 100はローラー102および112なしで、かつブレード114なしで示されていることに留意されたい。
【0105】
いくつかの実施形態では、ICLS 100は、空気圧ピストン組立体123を含み、それは、フレーム104の一方の端部に、ねじ141または任意の他の適切な固定技術を使用して連結される。ピストン組立体123の他方の端部は、アーム106に引っ掛けられて転写ローラー102の固定シャフト(dead shaft)135の間に配置された、取付台144に連結される。転写ローラー102の固定シャフト137は図2Bでは、転写ローラー112の固定シャフト135よりも大きく見えるが、ローラー102および112の実際の直径は、前述の図2Aで説明されるように、同様であること(例えば、約80mm)に留意されたい。いくつかの実施形態では、ピストン組立体123は、約40mmなどの、任意の適切な直径を有する1つ以上の空気圧ピストン(図示せず)を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20はピストン組立体123を制御して、取付台144をY軸に沿って廃棄トレイ110の方に押すことによりローラー102と112の係合を解除するように構成される。前述の図2Aに示されるように、アーム106および108はヒンジ107の周りを回転し得、そのため転写ローラー112はブランケット44から離されて補助ローラー102から係合を解除される。
【0107】
いくつかの実施形態では、ICLS 100は、シャシー105上に取り付けられたヒンジ136に連結された1つ以上のガススプリング124、ならびにアーム106および108を相互に固定するように構成された、ねじ138を含む。一実施形態では、ガススプリング124は、保守中、例えば、1つ以上のローラー102および/もしくは112の交換中、ならびに/または1つ以上のブレード114の交換中に、少なくともアーム106を保持するように構成される。例えば、ブレード交換では、ねじ138は、アーム106と108を分離するために、ICLS 100から引き抜かれる。ローラー交換では、ピストン組立体123は取付台144から分離されて、ガススプリング124はアーム106および108のヒンジ107の周りの制御された回転を可能にする。
【0108】
他の実施形態では、ICLS 100は、単一対のローラー102および112を含み得、前述の1つ以上のガススプリング124は、ICLS 100の構成から除外され得る。かかる実施形態では、ローラー102および112の対は、シャシー105にごく近接して配置され得、ピストン組立体123は、前述のとおり、取付台144をY軸に沿って廃棄トレイ110の方に押すために十分であり得る。この構成は、ガススプリング124を有することなく、前述のように保守作業を実行し、かつ/または、圧胴シリンダ82に関して任意の適切な保守作業を実行するのを可能にする。
【0109】
代替実施形態では、前述の1つ以上のガススプリング124の代わりに、ICLS 100は、アーム106および108を相互に固定するように構成された任意の他の適切なタイプの装置を含み得る。
【0110】
ここで、ブレードハウジング115の構成要素を示す差し込み図140を参照する。ブレード114およびブレードハウジング115の部品は、前述の図2Aの差し込み図120で説明されるブレード114の方向116および118への動きに関連した要素の説明のために差し込み図140から取り除かれたことに留意されたい。
【0111】
いくつかの実施形態では、ブレードハウジング115は、ねじ130に連結されて、ブレードハウジング115をヒンジ132の周りを時計周りに回転させることによってブレード114を方向116に引っ張るように構成される、スプリング126を含む。追加または代替として、ブレードハウジング115は、スプリング126に関して前述したように、ブレード114を方向116に引っ張るために制御可能および/または調節可能な力を印加するように構成される、ピストン(図示せず)などであるが、それに制限されず、任意の他の適切なタイプの装置を含み得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、ブレードハウジング115は、少なくとも2つの位置を有する偏心ねじ128を含む。第1の位置で、偏心ねじ128は、ブレード114を方向118に押すために、ブレードハウジング115をヒンジ132の周りを反時計回りに回転させるように構成される。第2の位置で、偏心ねじ128は典型的にはハウジング115に力を印加せず、スプリング126は、前述されて、上の図2Aの差し込み図120に示されるように、ブレード114を外層113の表面に連結させる。
【0113】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20は、偏心ねじ130の位置を制御することによって、ブレード114と転写ローラー112との間の係合および係合解除を制御するように構成される。かかる実施形態では、偏心ねじ130が第1の位置にある場合、ブレード114と転写ローラー112は相互から係合解除され、他方、偏心ねじ130が第2の位置にある場合、ブレード114と転写ローラー112は相互に係合される。プロセッサ20は、偏心ねじ130を第1の位置と第2の位置との間の任意の位置に配置するようにさらに構成されることに留意されたい。
【0114】
他の実施形態では、ICLS 100は、ブレード114と転写ローラー112との間の係合および係合解除を制御するための任意の他の適切な機構を含み得る。
【0115】
ICLS 100の特定の構成は、本発明の実施形態によって対処される、汚染およびかき傷などの、特定の問題を例示するため、ならびにICLS 100およびシステム10の性能の強化においてこれらの実施形態の適用を例証するために、例として示されている。しかし、本発明の実施形態は、この特定の種類の洗浄ステーションおよび印刷システム例に決して制限されず、本明細書で説明される原理は、他の種類の洗浄ステーションおよび印刷システムに同様に適用され得る。
【0116】
図3は、本発明の一実施形態に従い、シート50に転写されなかった残留物を洗浄するための方法を概略的に示す流れ図である。
【0117】
本方法は、プロセッサ20が、画像形成ステーション60を制御して、画像をその上に形成するためにインク液滴をブランケット44に塗布する、画像印刷ステップ200から始まる。画像転写ステップ202で、プロセッサ20はブランケットモジュール70および刷ステーション84を制御して画像をブランケット44からシート50に転写する。
【0118】
いくつかの事例では、シート50に転写されなかった残留物は、ブランケット44上に残り得る。残留物移行ステップ204で、プロセッサ20はICLS 100を制御して、残留物をブランケット44から、転写ローラー112などの、1つ以上の回転可能要素に移すために、その間にブランケット44を有するローラー102と112を係合する。
【0119】
前述の図2Aで説明されるように、ブランケット44のはく離層は、(インク画像および)残留物を移行させるように適合されて、外層113の外表面は残留物を受け取るように適合され、そのため、残留物はブランケット44から1つ以上の転写ローラー112に移される。
【0120】
いくつかの実施形態では、外層113の外表面は、ブランケット44の残留物に対する接着力よりも大きい、残留物に対する所与の接着力を有し得る。かかる実施形態では、ローラー102と112が係合しているとき、ブランケット44のはく離層は外層113の外表面と係合して、残留物は外層113に移される。
【0121】
本方法を完了する残留物除去ステップ206で、プロセッサ20は、残留物を転写ローラー112から除去するために、ICLS 100を制御して1つ以上のブレード114と外層113の外表面を係合する。
【0122】
いくつかの実施形態では、プロセッサ20はICLS 100を制御して、ブランケット44のそれぞれのセクションに塗布される新しい画像ごとに、前述の方法を繰り返すように構成される。
【0123】
本明細書で説明される実施形態は主に、デジタル印刷システムのITMから残留物を洗浄するための方法および装置に対処するが、本明細書で説明される方法およびシステムは、任意の可撓性基材からの任意の種類の汚染の洗浄など、他の用途においても使用できる。
【0124】
従って、前述の実施形態は例として引用されていること、および本発明は本明細書で上で具体的に示されて説明されているものに制限されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、前述の様々な特徴の組合せおよび部分的組合せの両方、ならびに前述の説明を読むと当業者が思い付くような、従来技術で開示されていない、変形およびその修正を含む。本特許出願で参照により組み込まれる文書は、任意の用語が、本明細書で明示的または暗黙的に行われる定義と矛盾する方法で、これらの組み込まれた文書で定義されている範囲を除いて、本出願の一体部分と見なされるべきであり、本明細書における定義だけが考慮されるべきである。
図1
図2A-2B】
図3
【国際調査報告】