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特表2023-508529治療用電気エネルギーを感知及び適用するための一体型コネクタを備えた神経手術ガイドワイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(54)【発明の名称】治療用電気エネルギーを感知及び適用するための一体型コネクタを備えた神経手術ガイドワイヤ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230222BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540403
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(85)【翻訳文提出日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 IB2020061942
(87)【国際公開番号】W WO2021137076
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】16/729,565
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ゴバリ・アサフ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK13
4C160KK38
4C160MM32
4C160NN21
(57)【要約】
医療用プローブは、ガイドワイヤと、プローブの近位端にあるコネクタと、を含む。ガイドワイヤは、患者の器官に挿入されるように構成され、ガイドワイヤの遠位端に取り付けられた1つ以上の電気デバイス、及び電気デバイスをガイドワイヤの近位端に接続する2つ以上の導体を含む。導体は、ガイドワイヤの近位端に沿って異なる位置で露出している近位端を有する。コネクタには、導体のそれぞれの露出近位端と嵌合するように、かつ、ガイドワイヤが回転している間に導体との電気的接触を維持するように位置付けられた複数の導電性リングが取り付けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用プローブであって、
患者の器官に挿入するように構成されたガイドワイヤであって、
前記ガイドワイヤの遠位端に取り付けられている1つ以上の電気デバイスと、
前記ガイドワイヤの近位端に前記電気デバイスを接続する2つ以上の導体であって、前記ガイドワイヤの前記近位端に沿って異なる位置で露出している近位端を有する、2つ以上の導体と、を含む、ガイドワイヤと、
前記プローブの近位端にあるコネクタであって、前記導体の前記それぞれの露出近位端と嵌合するように、かつ、前記ガイドワイヤが回転している間に前記導体との電気的接触を維持するように位置付けられた複数の導電性リングが取り付けられた、コネクタと、を備える、医療用プローブ。
【請求項2】
前記ガイドワイヤが回転すると、前記導体の前記露出近位端が、前記電気的接触を維持しながら、前記それぞれの導電性リング上を摺動するように構成されている、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項3】
前記複数の導体が、前記ガイドワイヤの外側に配置されている、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項4】
前記コネクタが円筒形であり、前記円筒形に取り付けられた嵌合導体が更に取り付けられ、各嵌合導体がそれぞれのリングに電気的に結合されている、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項5】
前記プローブの前記近位端に取り付けられ、前記導電性リングと前記導体の前記露出近位端との間の電気的接触を確認するように構成された1つ以上の視覚的インジケータを更に備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項6】
前記1つ以上の電気デバイスが、センサを備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項7】
前記センサが、磁気位置センサを備える、請求項6に記載の医療用プローブ。
【請求項8】
前記1つ以上の電気デバイスが、電気外科用ツールを備える、請求項1に記載の医療用プローブ。
【請求項9】
前記電気外科用ツールは、双極電極を含む、請求項8に記載の医療用プローブ。
【請求項10】
システムであって、
医療用プローブであって、
患者の器官に挿入するように構成されたガイドワイヤであって、
前記ガイドワイヤの遠位端に取り付けられている1つ以上の電気デバイスと、
前記ガイドワイヤの近位端に前記電気デバイスを接続する2つ以上の導体であって、前記ガイドワイヤの前記近位端に沿って異なる位置で露出している近位端を有する、2つ以上の導体と、を含む、ガイドワイヤと、
前記プローブの近位端にあるコネクタであって、前記導体の前記それぞれの露出近位端と嵌合するように、かつ、前記ガイドワイヤが回転している間に前記導体との電気的接触を維持するように位置付けられた複数の導電性リングが取り付けられた、コネクタと、を備える、医療用プローブと、
前記1つ以上の電気デバイスを動作させるために前記プローブの前記近位端に接続された1つ以上の外部モジュールと、を備える、システム。
【請求項11】
1つ以上の前記外部モジュールが、1つ以上のセンサを動作させるように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記1つ以上のセンサが磁気位置センサを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
1つ以上の前記外部モジュールが、1つ以上の電気外科用ツールを動作させるように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記1つ以上の電気外科用ツールが、双極電極を含む、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、侵襲的医療用プローブに関し、特に患者の体内への挿入のために医療用プローブの遠位端に電気機械的に接続する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
侵襲性プローブの遠位端を外部モジュールに電気機械的に接続する技術は、特許文献において以前に提案されている。例えば、米国特許第6,355,005号は、血管に挿入するための関節運動ガイドワイヤを記載している。関節運動ガイドワイヤは、回転可能センサケーブル、センサ、コネクタ、及び衛星ワイヤを含む。センサケーブルは、近位端と遠位端とを有する。センサは、遠位端近くのセンサケーブルに接続し、センサケーブルと共に回転する。衛星ワイヤは、センサケーブルの遠位端に取り付けられ、センサケーブルを血管内に保持する。コネクタは、ボール及び衛星ワイヤとセンサケーブルとを可変角度で整列させるソケット接合部を含む。センサは、スリップリングを介して通信され、受信器に送信/受信する対応する電気信号を受信及び変換する。
【0003】
別の例として、欧州特許第2,095,840号は、使い捨て部品及び非使い捨て部品を含むガイドワイヤ用の雌カプラを記載している。使い捨て部品は、開放端及び閉鎖端を有する使い捨て管状本体を含む。少なくとも1つの伝導ばねは、使い捨て管状本体と結合され、その結果、当該少なくとも1つの伝導ばねの各々は、使い捨て管状本体の内壁と接触しているその一部分と、使い捨て管状本体の外壁と接触する部分と、を有する。シースは、使い捨て管状本体の開放端部で使い捨て管状本体と結合され、使い捨て管状本体の閉鎖端部に向かって延在し、コレットは、使い捨て管状本体内に雄カプラを固定するために使い捨て管状本体の開放端部と結合される。非使い捨て部品は、非使い捨て管状本体と、少なくとも1つの接触部の周囲が非使い捨て管状本体の内壁の周囲の一部を取り囲むように、非使い捨て管状本体と結合された少なくとも1つの接点とを含む。使い捨て部品は、非使い捨て部品に挿入可能であり、使い捨て部品が非使い捨て部品に完全に挿入されたときに少なくとも1つの伝導ばねは、少なくとも1つの接触部と電気的に接触している。
【0004】
米国特許第5,178,159号は、その長さに沿って延在する第1及び第2の導体を有するガイドワイヤを備えるガイドワイヤアセンブリを記載している。ガイドワイヤはまた、その長さに沿って延在する第1及び第2の導体を有する可撓性ケーブルを備える。可撓性ケーブルを当該ガイドワイヤに相互接続し、それによって担持された導体を相互接続するためのコネクタアセンブリが提供される。コネクタアセンブリは、スリーブを備えた雄コネクタと、スリーブに取り付けられた導電性コアと、を含む。絶縁体がスリーブに取り付けられ、導電性コアをスリーブから絶縁する。導電性バンドは、絶縁体によって担持され、スリーブから離間されている。第1及び第2の導体は、スリーブ内に配置されている。第1のコネクタは、導電性コアに接続され、第2の導体は、導電性バンドに接続されている。コネクタアセンブリは、導電性コアを受容するための円筒状の凹部を有する内側導電性グリップと、内側導電性グリップの前方に延在する部分に係合する円筒形バンドを有する外側導体グリップとを有する雌コネクタを含む。絶縁体は、内側の導電性グリップと外側の導電性グリップとの間に配置される。絶縁ケースが外側導電性グリップに取り付けられている。第1及び第2の導体は、ケース内に配置される。第1の導体は、内側導電性グリップに接続されている。第2の導体は、外側導電性グリップに接続されている。雌コネクタは、雄コネクタを受容し、第1の導電性グリップは、第1の導電性グリップの円筒形凹部内の導電性コアを受容する。第2の導電性グリップは、バンドと係合する外側導電性グリップの円筒形バンド受容部分によって雄コネクタの導電性バンドを受容する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、ガイドワイヤと、プローブの近位端にあるコネクタを含む医療用プローブを提供する。ガイドワイヤは、患者の器官に挿入されるように構成され、ガイドワイヤの遠位端に取り付けられた1つ以上の電気デバイス、及び電気デバイスをガイドワイヤの近位端に接続する2つ以上の導体を含む。導体は、ガイドワイヤの近位端に沿って異なる位置で露出している近位端を有する。コネクタには、導体のそれぞれの露出近位端と嵌合するように、かつ、ガイドワイヤが回転している間に導体との電気的接触を維持するように位置付けられた複数の導電性リングが取り付けられている。
【0006】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤが回転すると、導体の露出近位端は、電気的接触を維持しながら、それぞれの導電性リング上を摺動するように構成されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、複数の導体は、ガイドワイヤの外側に配置される。
【0008】
一実施形態では、コネクタは円筒形であり、円筒形状に取り付けられた嵌合導体を更に取り付け、各嵌合導体はそれぞれのリングに電気的に結合されている。
【0009】
別の実施形態では、医療用プローブは、プローブの近位端に取り付けられ、導電性リングと導体の露出近位端との間の電気的接触を確認するように構成された1つ以上の視覚的インジケータを更に含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、1つ以上の電気デバイスは、センサを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、センサは磁気位置センサを含む。
【0012】
一実施形態では、1つ以上の電気デバイスは、電気外科用ツールを含む。
【0013】
別の実施形態では、電気外科用ツールは、双極電極を含む。
【0014】
また、本発明の別の実施形態によれば、医療用プローブと1つ以上の外部モジュールとを含むシステムが更に提供される。医療用プローブは、ガイドワイヤと、プローブの近位端にあるコネクタと、を含む。ガイドワイヤは、患者の器官に挿入されるように構成され、ガイドワイヤの遠位端に取り付けられた1つ以上の電気デバイス、及び電気デバイスをガイドワイヤの近位端に接続する2つ以上の導体を含む。導体は、ガイドワイヤの近位端に沿って異なる位置で露出している近位端を有する。コネクタには、導体のそれぞれの露出近位端と嵌合するように、かつ、ガイドワイヤが回転している間に導体との電気的接触を維持するように位置付けられた複数の導電性リングが取り付けられている。1つ以上の外部モジュールは、プローブの近位端で接続されて、1つ以上の電気デバイスを動作させる。
【0015】
いくつかの実施形態では、1つ以上の外部モジュールは、1つ以上のセンサを動作させるように構成されている。他の実施形態では、1つ以上の外部モジュールは、1つ以上の電気外科用ツールを動作させるように構成されている。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、更に、ガイドワイヤ及びプローブの近位端にあるコネクタを含むプローブを患者の臓器に挿入することを含む方法が提供される。ガイドワイヤは、ガイドワイヤの遠位端に取り付けられた1つ以上の電気デバイス、及び電気デバイスをガイドワイヤの近位端に接続する2つ以上の導体を含む。導体は、ガイドワイヤの近位端に沿って異なる位置で露出している近位端を有する。コネクタには、導体のそれぞれの露出近位端と嵌合するように、かつ、ガイドワイヤが回転している間に導体との電気的接触を維持するように位置付けられた複数の導電性リングが取り付けられている。1つ以上の電気デバイスは、プローブの近位端に接続された1つ以上の外部モジュールを使用して動作される。
【0017】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による、磁気位置追跡回転可能ガイドワイヤを使用して実行される脳手術の概略的な絵画図である。
図2】本発明の一実施形態による、一体型コネクタを備えた図1の磁気位置追跡回転可能ガイドワイヤの概略描写図である。
図3】本発明の一実施形態による、図1の磁気位置追跡回転可能ガイドワイヤを使用する方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
概論
いくつかの医療手技は、患者の器官内の医療用プローブの遠位端をナビゲート及び操作(例えば、回転)することを必要とする。例えば、神経外科手術用のガイドワイヤは、患者の脳内の位置に、電気外科手術装置などの手術で使用される要素を摺動させるために使用される。これらのガイドワイヤは通常、蛍光透視で追跡され、典型的には、ガイドワイヤの回転は比較的制限されない。しかしながら、蛍光透視法は大量の電離放射線を使用するため、その使用を限定することが好ましい。代替として、ガイドワイヤの位置及び方向は、ガイドワイヤの遠位端に位置する磁場センサを使用して、近位端に接続導体を用いて磁気的に追跡することができる。しかしながら、導体の存在は、ガイドワイヤの自由回転を制限し得る。
【0020】
様々なタイプのセンサ(例えば、位置、圧力、温度)に加えて、電気外科用デバイス(例えば、双極先端電極)などの他の電気デバイスは、患者の脳組織内の創傷の電気焼灼、癌性脳組織の高周波(RF)アブレーション、又は癌性組織の不可逆的なエレクトロポレーションなどの、治療使用のためにガイドワイヤの遠位縁に取り付けられ得る。治療用電気エネルギーは、典型的には、高電流信号及び/又は高電圧信号として提供され、これは、磁気センサなどの感知デバイスを、それらが電気的接続を共有している場合に損なう場合がある。しかしながら、複数の別個の導体は、ガイドワイヤの自由回転を更に制限し得る。
【0021】
以下に記載される本発明の実施形態は、患者の器官に挿入するためにプローブのガイドワイヤの遠位端に組み込まれた異なる電気デバイスへの電気機械接続のための改善された技術を提供する。デバイス(例えば、位置センサ及びアブレーション電極)への信号及びデバイスからの信号を実施するために、絶縁導電性ケーブルのセットが、ガイドワイヤの外側に配置される。例えば、実施形態は、センサの絶縁導電性ケーブルの1つのセットへの接続性を提供し、双極先端電極などの電気外科用デバイスに別個の接続性を更に提供することができる。1つ以上のセンサは、例えば、信号変調及び復調技術を使用して、同じワイヤ対によってリンクされ得る。電気外科用デバイスは、例えば、プローブを使用してシステム内の電気的治療エネルギー源間を切り替えることによって、導電性ケーブルを共有し得る。
【0022】
別の実施形態では、2つ以上のデバイスは、ライン上の信号を伝導するための共通ラインを共有する(例えば、共通のグランドを使用する)。また、いくつかの信号は、シングルエンドであり得る。したがって、実際の導体の数は、プローブの必要な機能性に従って変化し、一般に、そのような2つ以上であり得る。
【0023】
ガイドワイヤの自由回転を可能にするために、2つの異なる導電性ケーブルのセットの終端が、プローブの近位端(例えば、ガイドワイヤ)でガイドワイヤに沿った異なる位置に露出される。近位端にあるコネクタ、例えば円筒形状の1つは、ガイドワイヤがコネクタ内に(例えば、円筒形状に)摺動するときに、露出導体と嵌合するように位置付けられた複数のそれぞれの導電性リング(例えば、リングのセット)を備える。リングと露出ワイヤ終端との嵌合は、LEDを照明するなど、任意の便利な視聴覚手段によって確認され得る。各導電性リングは、コネクタを磁気センサを動作するための磁気追跡システム、及び双極電極を駆動するための電力発生器などの高電力/電圧治療モジュールなどの外部モジュールにケーブル接続してデバイスを動作することにより、更に接続される。
【0024】
ガイドワイヤをこのタイプの回転可能コネクタと接続することは、ガイドワイヤが自由に回転することを意味し、一方で、遠位端に取り付けられた電気デバイスで動作することができる。開示された技術は、改善された安全性(例えば、電離放射線の使用を低減することによって)及び侵襲的医療ツールの標的組織へのアクセス可能性を可能にする。
【0025】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態による、磁気位置追跡回転可能ガイドワイヤ39を使用して実行される脳手術の概略的な絵画図である。いくつかの実施形態では、外科手術装置28を含む脳診断及び治療システム20は、患者22の脳組織の創傷を電気焼灼する、高周波(RF)で癌性脳組織をアブレーションする、又は癌性組織を不可逆的にエレクトロポレーションするなどの脳手術を実行するように構成されている。
【0026】
外科手術装置28は、挿入管38を介して脳に挿入され、磁気位置センサ48及び双極電極50を備え、医師24が、脳組織にアクセスするために患者22のノーズ26に挿入される、ガイドワイヤ39を備える。外科手術装置28は、医師24が患者22の頭部41内のガイドワイヤ39を操作するのを支援するように構成された、回転可能ガイドワイヤ39の近位端に結合されたハンドヘルド近位端アセンブリ30を更に備える。
【0027】
システム20は、脳内のセンサ48の位置を追跡するように構成された磁気位置追跡システムを備える。磁気位置追跡システムは、フレーム46に固定された磁場発生器44を備える位置特定パッド40を更に備える。図1に示される例示的な構成では、パッド40は、5つの磁場発生器44を備えるが、代替的に、任意の他の好適な数の発生器44を備え得る。パッド40は、発生器44が頭部41の外部の固定された既知の位置に位置決めされるように、患者22の頭部41の下に配置された枕(図示せず)を更に備える。位置センサは、磁場発生器44によって生成された外部磁場を感知することに応じて、位置信号を生成し、それによって、プロセッサ34が、センサ48の位置を推定することを可能にする。
【0028】
位置感知の本技術は、様々な医療用途において、例えば、Biosense Webster Inc.(アーバイン、カリフォルニア州)により製造されているCARTO(商標)システムに実装されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、国際公開第96/05768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455(A1)号、同第2003/0120150(A1)号及び同第2004/0068178(A1)号に詳細に説明されており、先行出願は、完全に記載されているものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
いくつかの実施形態では、システム20は、コンソール33を備え、当該コンソールは、メモリ49と、頭部41の周囲の空間内の規定の作業容積内に磁場を生成するために、ケーブル37を介して好適な信号で磁場発生器44を駆動するよう構成された駆動回路42と、を備える。
【0030】
プロセッサ34は、典型的には、位置センサ48から信号を受信し、ケーブル32を介して双極電極50を電気的に駆動し、本明細書で説明するシステム20の他の構成要素を制御するための適切なフロントエンド及びインターフェース回路を備えた汎用コンピュータである。
【0031】
いくつかの実施形態では、プロセッサ34は、インターフェース(図示せず)を介して、頭部41の二次元(2D)スライスを示す参照MRI画像35などの1つ以上の解剖学的画像を受信するように構成される。図1の実施例において、画像35は患者22の前脳組織の断面冠状図を示す。プロセッサ34は、MRI画像から1つ以上のスライスを選択して、位置センサ48を使用して推定される電極50の位置を医療画像と位置合わせし、次いで、画像35内の追跡された位置をディスプレイ36上で医師24に表示するように構成されている。プロセッサ34は、磁気位置追跡システムの座標系及び/又は医療画像の座標系内の画像35で電極50の位置を位置合わせするように構成されている。
【0032】
コンソール33は、コンソールの動作を制御するためのキーボードやマウスなどの入力デバイスと、ユーザディスプレイ36とを更に含み、これは、プロセッサ34から受信したデータ(例えば、画像)を表示するように、及び/又は入力デバイスを使用してユーザによって(例えば、医師24によって)挿入された入力を表示するように構成される。
【0033】
図1は、簡潔性及び明瞭性のために、本開示の技術に関する要素のみを示す。システム20は、典型的に、開示される技術には直接関連せず、したがって図1及び対応する説明から意図的に省略されている、追加のモジュール及び要素を備える。
【0034】
プロセッサ34は、システムによって使用される機能を実行するように、かつソフトウェアによって処理されるか、又は別様に使用されるデータをメモリ49に格納するようにソフトウェアにプログラムされ得る。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態でプロセッサにダウンロードされてもよく、又は光学的、磁気的、若しくは電子的メモリ媒体など、非一時的な有形媒体上に提供されてもよい。代替的に、プロセッサ34の機能の一部又はすべてが、専用の又はプログラマブルデジタルハードウェア構成要素によって実行され得る。特に、プロセッサ34は、図3に含まれている本明細書に開示される専用のアルゴリズムを実施し、これは、以下で更に記載されるように、プロセッサ34が本開示のステップを行うことを可能にする。
【0035】
治療用電気エネルギーを感知及び適用するための一体型コネクタを有する神経外科手術ガイドワイヤ
図2は、本発明の一実施形態による、一体型コネクタ166を備えた図1の磁気位置追跡回転可能ガイドワイヤ39の概略描写図である。見られるように、ガイドワイヤ39の回転可能遠位端は、双極電極50と、示された実施形態では磁気位置センサであるセンサ48と、を備える。センサ48からの信号は、ガイドワイヤ39の外側に取り付けられたセンサケーブル148を介して受信される。高電流又は高電圧の形態の治療用電気エネルギーは、ガイドワイヤ39の外側にも取り付けられた電極ケーブル150を介して電極50に供給される。
【0036】
図2に見られるように、ガイドワイヤの近位端での導電性ケーブルの2つのセットの終端対249及び251は、ガイドワイヤに沿った異なる位置に露出される。ガイドワイヤは、一体型コネクタ166の露出導体と嵌合するように位置付けられた一体型コネクタ166の2つのセットのそれぞれの導電性リング対248及び250を有する、プローブの近位端でシリンダ66に挿入される。露出したワイヤ終端249及び251とのリング対248及び250の嵌合は、LED348及び350をそれぞれ照明することなどによって、任意の便利な手段によって確認され得る。導電性リング対248及び250は各々、シリンダ66内のケーブル(図示せず)によって磁気追跡システムに、電力発生器にそれぞれ接続される。
【0037】
システム2の構成は、概念的に明瞭にするために一例として表される。他の実施形態では、一体型コネクタ166は、例えば、電気的接触の堅牢性を確保するために、導電性リング対248及び250に対して終端対249及び251をそれぞれ押圧する弾性要素などの追加の要素を含み得る。
【0038】
図3は、本発明の一実施形態による、図1の磁気位置追跡回転可能ガイドワイヤ39の使用方法を概略的に示すフローチャートである。プロセスは、医師24が、ガイドワイヤ挿入ステップ70において、患者22の脳内にトロカール38を通して回転可能ガイドワイヤ39を挿入することで始まる。次に、医師24は、システム20を動作して、ガイドワイヤ39の、例えば、電極50の遠位端の脳内の位置を、ガイドワイヤ位置追跡ステップ72で磁気的に追跡して、電極50を標的組織の方向に前進させる。開示された一体型コネクタを使用して、システムは、ガイドワイヤがガイドワイヤを前進させるプロセスにおいて回転されたときでも、センサ48から信号を受信し続ける。
【0039】
ガイドワイヤ回転ステップ74で、医師24は、ガイドワイヤ39を回転させて、電極50などの電気手術デバイスを、標的組織を治療するための適切な位置に配向する。ガイドワイヤの回転ステップ74及び前進ステップ72は、医師が標的組織に対して電極50の位置に満たされるまで、複数回実行され得る。
【0040】
医師24は、位置調整ステップ76において、追跡された位置を使用して(例えば、医療画像35に登録された追跡された位置を使用して)遠位端位置を調整することによって、電極50と標的組織との係合の質を更に改善し得る。
【0041】
最後に、準備ができたとき、医師24は、電気手術処置ステップ78で、電極50を使用して治療用電気外科手術エネルギーを組織に適用する。開示された一体型コネクタを使用して、システムは、ガイドワイヤがプロセスにおいて回転されたときでも、治療用電気外科手術エネルギーを電極50に適用し続けることができる。
【0042】
図3に示されている例示的なフローチャートは、単に概念を分かりやすくする目的で選択されたものである。代替的な実施形態では、医師24は、追加の監視ステップ(例えば、蛍光透視法)を使用するなど、処置の成功した結果を検証するための追加のステップを実行してもよく、及び/又は例えば、頭蓋内圧などの追加の臨床データを取得するために、遠位端31に取り付けられた他のセンサを適用してもよい。一般に、複数のセンサは、例えば、信号変調及び復調技術を使用して、同じワイヤ対によってリンクされ得る。
【0043】
本明細書に記載の実施形態は、主に脳手術に対処するが、本明細書に記載の方法及びシステムはまた、腹部又は胸部に位置するような他の器官内の医療デバイスを誘導する必要がある他の用途にも使用され得る。
【0044】
したがって、上述の実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、上記の明細書に具体的に示し、かつ説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載される様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むことで当業者に想到されるであろう、先行技術において開示されていないそれらの変形例及び修正例を含むものである。参照により本特許出願に組み込まれる文献は、これらの組み込まれた文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾する様式で定義される程度まで、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の不可欠な部分と見なすものとする。
【0045】
〔実施の態様〕
(1) 医療用プローブであって、
患者の器官に挿入するように構成されたガイドワイヤであって、
前記ガイドワイヤの遠位端に取り付けられている1つ以上の電気デバイスと、
前記ガイドワイヤの近位端に前記電気デバイスを接続する2つ以上の導体であって、前記ガイドワイヤの前記近位端に沿って異なる位置で露出している近位端を有する、2つ以上の導体と、を含む、ガイドワイヤと、
前記プローブの近位端にあるコネクタであって、前記導体の前記それぞれの露出近位端と嵌合するように、かつ、前記ガイドワイヤが回転している間に前記導体との電気的接触を維持するように位置付けられた複数の導電性リングが取り付けられた、コネクタと、を備える、医療用プローブ。
(2) 前記ガイドワイヤが回転すると、前記導体の前記露出近位端が、前記電気的接触を維持しながら、前記それぞれの導電性リング上を摺動するように構成されている、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(3) 前記複数の導体が、前記ガイドワイヤの外側に配置されている、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(4) 前記コネクタが円筒形であり、前記円筒形に取り付けられた嵌合導体が更に取り付けられ、各嵌合導体がそれぞれのリングに電気的に結合されている、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(5) 前記プローブの前記近位端に取り付けられ、前記導電性リングと前記導体の前記露出近位端との間の電気的接触を確認するように構成された1つ以上の視覚的インジケータを更に備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
【0046】
(6) 前記1つ以上の電気デバイスが、センサを備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(7) 前記センサが、磁気位置センサを備える、実施態様6に記載の医療用プローブ。
(8) 前記1つ以上の電気デバイスが、電気外科用ツールを備える、実施態様1に記載の医療用プローブ。
(9) 前記電気外科用ツールは、双極電極を含む、実施態様8に記載の医療用プローブ。
(10) システムであって、
医療用プローブであって、
患者の器官に挿入するように構成されたガイドワイヤであって、
前記ガイドワイヤの遠位端に取り付けられている1つ以上の電気デバイスと、
前記ガイドワイヤの近位端に前記電気デバイスを接続する2つ以上の導体であって、前記ガイドワイヤの前記近位端に沿って異なる位置で露出している近位端を有する、2つ以上の導体と、を含む、ガイドワイヤと、
前記プローブの近位端にあるコネクタであって、前記導体の前記それぞれの露出近位端と嵌合するように、かつ、前記ガイドワイヤが回転している間に前記導体との電気的接触を維持するように位置付けられた複数の導電性リングが取り付けられた、コネクタと、を備える、医療用プローブと、
前記1つ以上の電気デバイスを動作させるために前記プローブの前記近位端に接続された1つ以上の外部モジュールと、を備える、システム。
【0047】
(11) 1つ以上の前記外部モジュールが、1つ以上のセンサを動作させるように構成されている、実施態様10に記載のシステム。
(12) 前記1つ以上のセンサが磁気位置センサを含む、実施態様11に記載のシステム。
(13) 1つ以上の前記外部モジュールが、1つ以上の電気外科用ツールを動作させるように構成されている、実施態様10に記載のシステム。
(14) 前記1つ以上の電気外科用ツールが、双極電極を含む、実施態様13に記載のシステム。
(15) 方法であって、
患者の器官にプローブを挿入することであって、前記プローブが、
患者の器官に挿入するように構成されたガイドワイヤであって、
前記ガイドワイヤの遠位端に取り付けられている1つ以上の電気デバイスと、
前記ガイドワイヤの近位端に前記電気デバイスを接続する2つ以上の導体であって、前記ガイドワイヤの前記近位端に沿って異なる位置で露出している近位端を有する、2つ以上の導体と、を含む、ガイドワイヤと、
前記プローブの近位端にあるコネクタであって、前記導体の前記それぞれの露出近位端と嵌合するように、かつ、前記ガイドワイヤが回転している間に前記導体との電気的接触を維持するように位置付けられた複数の導電性リングが取り付けられた、コネクタと、を備える、プローブを挿入することと、
前記プローブの前記近位端に接続された1つ以上の外部モジュールを使用して、前記1つ以上の電気デバイスを動作させることと、を含む、方法。
【0048】
(16) 前記電気デバイスを動作させることが、1つ以上のセンサを動作させることを含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記1つ以上のセンサが磁気位置センサを含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記電気デバイスを動作させることが、1つ以上の電気外科用ツールを動作させることを含む、実施態様15に記載の方法。
(19) 前記1つ以上の電気外科用ツールが、双極電極を含む、実施態様18に記載の方法。
図1
図2
図3
【国際調査報告】