(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(54)【発明の名称】乳製品におけるデンプン混合物の使用
(51)【国際特許分類】
A23C 9/154 20060101AFI20230222BHJP
A23C 19/00 20060101ALI20230222BHJP
A23C 9/13 20060101ALI20230222BHJP
A23C 13/12 20060101ALI20230222BHJP
A23G 9/04 20060101ALI20230222BHJP
A23L 29/212 20160101ALI20230222BHJP
【FI】
A23C9/154
A23C19/00
A23C9/13
A23C13/12
A23G9/04
A23L29/212
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540409
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2020087661
(87)【国際公開番号】W WO2021136728
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】201911395136.6
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ポーラ、バーナード
(72)【発明者】
【氏名】ハジム、ジョヴィン
(72)【発明者】
【氏名】タオ、チンリン
【テーマコード(参考)】
4B001
4B014
4B025
【Fターム(参考)】
4B001AC02
4B001AC03
4B001AC31
4B001BC03
4B001BC08
4B001BC12
4B001BC14
4B001EC04
4B001EC53
4B014GB18
4B014GG01
4B014GG11
4B014GK08
4B014GL11
4B025LB20
4B025LB25
4B025LD04
4B025LG01
4B025LG07
4B025LG43
4B025LG53
4B025LP03
(57)【要約】
本発明は、デンプン混合物を含む乳製品に関するものであり、このデンプン混合物は、(a)天然ソバデンプンと、(b)任意選択で、ワキシーメイズデンプン、メイズデンプン、タピオカデンプン、ワキシータピオカデンプン、ポテトデンプン、ワキシーポテトデンプン、カンショデンプン、ワキシーカンショデンプン、コメデンプン、ワキシーコメデンプン、キビデンプン、アマランスデンプン、アロールートデンプン、レンコンデンプン、キノアデンプン、及びそれらの混合物、好ましくはポテトデンプン、タピオカデンプン又はカンショデンプンからなる群から選択される第2の天然デンプンと、からなる。本発明はまた、乳製品を製造するプロセスに関する。デンプン混合物は、テクスチャ改善、粘度安定性、剪断耐性、及び/又は耐酸性の点から、本発明の乳製品に必要な特性を提供することができる。更に、デンプン混合物は、完成した乳製品中の塊形成及びざらつき感のテクスチャを防ぐ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンプン混合物を含む乳製品であって、前記デンプン混合物が、
(a)天然ソバデンプンと、
(b)任意選択で、ワキシーメイズデンプン、メイズデンプン、タピオカデンプン、ワキシータピオカデンプン、ポテトデンプン、ワキシーポテトデンプン、カンショデンプン、ワキシーカンショデンプン、コメデンプン、ワキシーコメデンプン、キビデンプン、アマランスデンプン、アロールートデンプン、レンコンデンプン、キノアデンプン、及びそれらの混合物、好ましくはポテトデンプン、タピオカデンプン又はカンショデンプンからなる群から選択される第2の天然デンプンと、からなる、乳製品。
【請求項2】
前記天然ソバデンプンが、前記デンプン混合物の総重量に対して50~100重量%、好ましくは75~100重量%、より好ましくは90~100重量%に相当し、前記第2の天然デンプンが、前記デンプン混合物の総重量に対して0~50重量%、好ましくは0~25重量%、より好ましくは0~10重量%に相当する、請求項1に記載の乳製品。
【請求項3】
前記デンプン混合物が、前記乳製品の総重量に対して0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.5重量%~2重量%に相当する、請求項1又は2に記載の乳製品。
【請求項4】
前記デンプン混合物が、RVAを使用して8%懸濁液で最大95℃に加熱されると、1500~4200cP、好ましくは1800cP~4000cP、より好ましくは2200cP~3800cPの範囲のピーク粘度を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の乳製品。
【請求項5】
前記デンプン混合物が、65℃~85℃、好ましくは68℃~80℃、より好ましくは70℃~75℃の範囲の糊化温度を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の乳製品。
【請求項6】
前記乳製品が、
70重量%超、好ましくは80重量%超、より好ましくは90重量%超、更により好ましくは90重量%~95重量%の乳、
0~30重量%、好ましくは3~20重量%、より好ましくは5~10重量%の糖、
0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.5重量%~2重量%のデンプン又はデンプン混合物、
任意選択で、0重量%~1重量%、好ましくは0.0001重量%~0.05重量%、より好ましくは0.001重量%~0.005重量%のスターター培養物、
任意選択で、0重量%~10重量%、好ましくは0.01重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~3重量%の乳清タンパク質及び/又は他のタンパク質源、
任意選択で、0重量%~20重量%、好ましくは0.01重量%~10重量%、より好ましくは0.1重量%~5重量%の水、
任意選択で、0重量%~8重量%、好ましくは0.01重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~3重量%の添加剤(酸性調整剤、防腐剤、乳化剤、着色剤、甘味料、風味増強剤、風味物質、保湿剤、固化防止剤、酸化防止剤、親水コロイド、栄養素増強剤、増量剤、及びそれらの混合物を含む)、を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の乳製品。
【請求項7】
前記乳製品が、乳、発酵乳(チーズ、ヨーグルト、サワークリーム、及びケフィアクリームなど)、及びアイスクリームを含む群から選択され、好ましくは前記乳製品が、ヨーグルトである、請求項1~6のいずれか一項に記載の乳製品。
【請求項8】
前記デンプン混合物が、テクスチャ加工剤、ゲル化剤、増粘剤、クリーミング剤、及び/又は安定剤として使用される、請求項1~7のいずれか一項に記載の乳製品。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の乳製品を製造するプロセスであって、
(a)前記乳製品を調製するために使用される全ての成分を、5~60分間、好ましくは15~45分間、より好ましくは約30分間混合する工程と、
(b)工程(a)で得られた前記混合物を50℃~100℃、好ましくは60℃~80℃、より好ましくは約65℃を含む温度に予熱する工程と、
(c)工程(b)で得られた前記予熱された混合物を、60℃~145℃を含む温度で1秒~60分間、好ましくは80℃~120℃を含む温度で1~30分間、より好ましくは約95℃で約5分間加熱する工程と、
(d)工程(c)で得られた前記加熱された混合物を冷却し、任意選択でスターター培養物を添加する工程と、
(e)工程(d)で得られた前記開始培養物を任意選択で含む前記冷却された混合物を、4℃~60℃、好ましくは20℃~50℃を含む温度で、より好ましくは約43℃の温度で、前記混合物が3~5、好ましくは3.5~4.8を含むpH、より好ましくは4.6のpHを有するまで発酵させる工程と、
(f)工程(e)で得られた前記発酵混合物をホモジナイザーで滑らかにする工程と、
(g)工程(f)で得られた前記滑らかな混合物を詰める工程と、を含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デンプン混合物を含む乳製品に関する。本発明はまた、乳製品を製造するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
デンプンは、食品業界では非常に重要な成分、例えば増粘剤、ゲル化剤、テクスチャ加工剤、又は安定化剤である。
【0003】
デンプンの増粘特性は、水性デンプン懸濁液が加熱されたときのデンプン顆粒の水和及び膨潤の結果であり、これにより、デンプン懸濁液の粘度が上昇する。しかしながら、膨潤及び水和顆粒は安定ではなく、したがって破裂しやすい。実際、粘度の初期ピークの後、デンプン懸濁液の粘度は、再び急速に低下する。この低下は、特に、剪断の存在下及び/又は酸性条件下で起こる。ほとんどの食品用途では、増粘された製品の粘度が、初期ピークに達した後に再び低下することは望ましくない。そうではなく、通常、剪断の存在下及び/又は酸性条件下においてであっても、増粘された製品の粘度が安定したままであるか、又は経時的に更に上昇することが望ましい。多くの食品用途に必要な粘度安定性、剪断耐性、及び耐酸性を提供することができるように、デンプンの特性を改善するための多くの試みがなされてきた。
【0004】
加工時、最終使用時、又は保存時のいずれにおいても、厳しい酸条件及び/又は熱条件及び/又は剪断条件に供される食品を増粘することが望まれる用途では、従来、このような極限条件に著しく耐性のある化学的に変性したデンプンが使用されてきた。化学的に変性したデンプンは、オキシ塩化リン、トリメタリン酸ナトリウム、及びエピクロロヒドリンなどの化学試薬が使用されて、デンプン中の多糖類間に架橋を形成し、それによって高温でのその粘度及び安定性特性を変化させる様々な架橋技術によって生成される。
【0005】
しかしながら、食品業界における最近の傾向は、いわゆる「クリーンラベル」又は非化学的に変性した成分に対する消費者需要が高まっている。実際、多くの消費者は、特に乳製品などの健康食品の場合、化学的に変性したデンプンの代わりに、クリーンラベルデンプンを含むクリーンラベル成分を有する食品を探している。
【0006】
Ingredion製のNovation2300(欧州特許第0721471(B1)号に開示されている)並びにTate&Lyle製のClaria+(国際公開第2013/173161(A1)号及び同第2014/053833(A)号に開示されている)などのヨーグルト用途のための物理的及び/又は酵素的に変性したワキシーベースデンプンが提供されている。しかしながら、これらのデンプンは、化学的に変性したデンプンよりも高い剪断減粘性に対する感受性を示す。更に、ワキシーベースデンプンは、化学試薬を添加することなく変性されるが、物理的処理の一部には、新しい結合を生成し、それによって架橋するなど、デンプンの化学構造をランダムに変化できるものがあり、これは化学反応の効果と非常に類似している。
【0007】
したがって、粘度安定性、剪断耐性、及び耐酸性の点から同様の性能、更には改善された性能を示し、一方で、ラベルを得る目的に関しては化学的に変性されているとみなされないか、又は分類されない、このような化学的、物理的及び酵素的に変性したデンプンの代替物を開発する必要がある。
【0008】
本発明者らは、驚くべきことに、特定のデンプン混合物がこれらの基準を満たすことを見出した。
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の目的は、デンプン混合物を含む乳製品であり、当該デンプン混合物は、
(a)天然ソバデンプンと、
(b)任意選択で、ワキシーメイズデンプン、メイズデンプン、タピオカデンプン、ワキシータピオカデンプン、ポテトデンプン、ワキシーポテトデンプン、カンショデンプン、ワキシーカンショデンプン、コメデンプン、ワキシーコメデンプン、キビデンプン、アマランスデンプン、アロールートデンプン、レンコンデンプン、キノアデンプン、及びそれらの混合物、好ましくはポテトデンプン、タピオカデンプン又はカンショデンプンからなる群から選択される第2の天然デンプンと、からなる。
【0010】
本発明の第2の目的は、本発明の乳製品を製造するプロセスであり、当該プロセスは、
(a)乳製品を調製するために使用される全ての成分を、5~60分間、好ましくは15~45分間、より好ましくは約30分間混合する工程と、
(b)工程(a)で得られた混合物を50℃~100℃、好ましくは60℃~80℃、より好ましくは約65℃を含む温度に予熱する工程と、
(c)工程(b)で得られた予熱された混合物を、60℃~145℃を含む温度で1秒~60分間、好ましくは80℃~120℃を含む温度で1~30分間、より好ましくは約95℃で約5分間加熱する工程と、
(d)工程(c)で得られた加熱された混合物を冷却し、任意選択でスターター培養物を添加する工程と、
(e)工程(d)で得られた開始培養物を任意選択で含む冷却された混合物を、4℃~60℃、好ましくは20℃~50℃を含む温度で、より好ましくは約43℃の温度で、混合物が3~5、好ましくは3.5~4.8を含むpH、より好ましくは4.6のpHを有するまで発酵させる工程と、
(f)工程(e)で得られた発酵混合物をホモジナイザーで滑らかにする工程と、
(g)工程(f)で得られた滑らかな混合物を詰める工程と、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の目的は、デンプン混合物を含む乳製品であり、当該デンプン混合物は、
(a)天然ソバデンプンと、
(b)任意選択で、ワキシーメイズデンプン、メイズデンプン、タピオカデンプン、ワキシータピオカデンプン、ポテトデンプン、ワキシーポテトデンプン、カンショデンプン、ワキシーカンショデンプン、コメデンプン、ワキシーコメデンプン、キビデンプン、アマランスデンプン、アロールートデンプン、レンコンデンプン、キノアデンプン、及びそれらの混合物、好ましくはポテトデンプン、タピオカデンプン又はカンショデンプンからなる群から選択される第2の天然デンプンと、からなる。
【0012】
本明細書で使用される場合、「乳製品」という表現は、乳(milk)、発酵乳(チーズ、ヨーグルト、サワークリーム、及びケフィアクリームなど)及びアイスクリーム、好ましくはヨーグルトを指すが、これらに限定されない。
【0013】
本明細書で使用される場合、「天然デンプン」という表現は、非変性形態で天然にみられるデンプンを指す。デンプンの典型的な供給源は、穀物、塊茎、根菜類、豆果及び果物である。天然の供給源は、ワキシーメイズ、メイズ、小麦、ワキシー小麦、タピオカ、ワキシータピオカ、ポテト、ワキシーポテト、カンショ、ワキシーカンショ、エンドウマメ、リョクトウ、コメ、ワキシーコメ、キビ、アマランス、アロールート、レンコン、キノア及びソバであり得る。天然デンプンは、通常、湿式粉砕又は乾式粉砕のいずれかの既知のプロセスを使用して抽出される。
【0014】
本明細書で使用される場合、「天然ソバデンプン」という表現は、天然の供給源から得られるソバデンプンを指す。天然ソバデンプンは、酵素的又は化学的加工方法から生じるものではない。更に、天然ソバデンプンは、脱水及び50℃を超える温度での熱処理などの極端な物理的加工方法から生じるものではない。天然ソバデンプンは、抽出プロセスによってソバ粒子(Fagopyrum esculentum)から回収される。ソバデンプンは、ソバの実(buckwheat groat)から直接抽出することもでき、又はデンプン含有量の高いソバの実若しくはソバ粉(実及び粉中に50~70%のデンプン)から抽出することもできる。
【0015】
本発明に有用な天然ソバデンプンは、天然供給源から回収される。天然ソバデンプンは、ソバの実又はソバ粉から抽出することができる。
【0016】
第1の抽出プロセスの例は、以下の
1)50℃以下の温度で、ソバ粉(乾式粉砕)又はソバの実(湿式粉砕)から水性懸濁液を調製する工程と、
2)室温~50℃を含む温度で粒径の差によって、好ましくは濾過によって、ふるいを使用することによってデンプン及びタンパク質画分から繊維画分を分離する工程と、
3)好ましくは水平スクリューデカンター、遠心デカンター、又は液体サイクロンを使用することによって、タンパク質、可溶性炭水化物及び塩を含む軽い画分、並びにデンプンを含む重い画分を得るために、水性懸濁液をpH7~9の密度で分画する工程と、
4)重い画分を再懸濁するために、室温~50℃を含む温度で重い画分に水を添加する工程と、
5)好ましくは水平スクリューデカンター、遠心デカンター、又は液体サイクロン、より好ましくは液体サイクロンを使用して、残存タンパク質を除去するために、pH7~9、及び室温~50℃を含む温度で少なくとも1回、デンプン画分を処理する工程と、
6)デンプン画分のpHを5~7に中和する工程と、
7)好ましくは流動層乾燥機又は熱風乾燥機を使用することによって、デンプン画分を乾燥させる工程と、
8)乾燥したデンプンを回収する工程と、を含む。
【0017】
第2の抽出プロセスの別の例は、以下の
1)50℃以下の温度で、7~9のpHでソバ粉(乾式粉砕)又はソバの実(湿式粉砕)から水性懸濁液を調製する工程と、
2)好ましくは水平スクリューデカンター、遠心デカンター、又は液体サイクロンを使用することによって、タンパク質、可溶性炭水化物及び塩を含む軽い画分、並びにデンプン及び繊維を含む重い画分を得るために、水性懸濁液を密度で分画する工程と、
3)重い画分を再懸濁するために、室温~50℃を含む温度で重い画分に水を添加する工程と、
4)室温~50℃を含む温度で粒径の差によって、好ましくは濾過によって、ふるいを使用することによってデンプン画分から繊維画分を分離する工程と、
5)好ましくは水平スクリューデカンター、遠心デカンター、又は液体サイクロン、より好ましくは液体サイクロンを使用して、残存タンパク質を除去するために、pH7~9、及び室温~50℃を含む温度で少なくとも1回、デンプン画分を処理する工程と、
6)デンプン画分のpHを5~7に中和する工程と、
7)好ましくは流動層乾燥機又は熱風乾燥機を使用することによって、デンプン画分を乾燥させる工程と、
8)乾燥したデンプンを回収する工程と、を含む。
【0018】
有利には、抽出プロセスは有機溶媒を含まず、化学反応物を含まない。化学的変換はない。したがって、抽出プロセスから得られた天然のソバデンプンを取り入れた製品は、天然及びクリーンラベル製品である。更に、ソバは、ソバは古代穀物であり、消費者には健康によい食材として認識されている。
【0019】
本発明に有用な天然ソバデンプンは、セラチン化されていないが、粒状形態である。
【0020】
天然ソバデンプンは、より高い糊化温度を有し、したがって膨潤させるには、ほとんどの天然デンプンよりも高い温度が必要である。特に、天然ソバデンプンの膨潤力は、低温殺菌又は滅菌プロセスなどの加熱プロセス全体を通して安定である。したがって、デンプン顆粒は、乳製品加工中に容易に破壊されず、加工中に発生する粘度を容易に維持することができる。特に、天然ソバデンプンは、均質化及び滅菌などの過酷な処理に耐えることができ、加工後にその粒状構造を維持することができる。天然ソバデンプンはまた、冷蔵庫に保存されたときに低度の老化を示し、したがって、安定した粘度を有する冷却乳製品を提供する。更に、天然ソバデンプンは、凍結及び解凍を繰り返した後、シネレシスが低いか又は全くない。結果として、天然ソバデンプンは、加熱プロセス中及び保存中に高い安定性を有する。結果として、天然ソバデンプンを含有する本発明のデンプン混合物は、同じ特性を有する。
【0021】
好ましい実施形態では、第2の天然デンプンは、ポテトデンプン、タピオカデンプン又はカンショデンプンである。
【0022】
驚くべきことに、天然ソバデンプンに少量の天然ポテトデンプン、タピオカデンプン又はカンショデンプンを添加すると、滅菌/低温殺菌プロセス、均質化プロセス中、及び冷蔵中の粘度及び安定性(シネレシスを含む)を犠牲にすることなく、塊形成及びざらつき感(sandiness)を防ぐ点から、乳製品の滑らかなテクスチャを改善することが見出された。特に、ポテトデンプン、タピオカデンプン又はカンショデンプンは、デンプン混合物の最終粘度が大きく低下することなく、全ての濃度でソバデンプンのRVA(急速粘度分析)ピーク粘度を上昇させることが見出された。ピーク粘度は、天然デンプンスラリーを撹拌しながら加熱するときの最大粘度であり、最終粘度は、95℃に加熱された後に撹拌しながら50℃で保持されたデンプンペーストの粘度である。したがって、天然ポテトデンプン、タピオカデンプン又はカンショデンプンは、ソバデンプンを含有するヨーグルトの粘度に対する悪影響が他の天然デンプンよりも少ない。
【0023】
特定の実施形態では、天然ソバデンプンは、デンプン混合物の総重量に対して50~100重量%、好ましくは75~100重量%、より好ましくは90~100重量%に相当し、第2の天然デンプンは、デンプン混合物の総重量に対して0~50重量%、好ましくは0~25重量%、より好ましくは0~10重量%に相当する。第2の天然デンプンが、デンプン混合物の総重量に対して50重量%超である場合、糊化温度が高くかつ老化の傾向が少ないなどのソバデンプンの利点は、それほど明らかではない。
【0024】
特定の実施形態では、デンプン混合物は、乳製品の総重量に対して0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.5重量%~2重量%に相当する。
【0025】
本発明のデンプン混合物は、テクスチャ改善、粘度安定性、剪断耐性、及び/又は耐酸性の点から、乳製品に必要な特性を提供することができる。更に、本発明のデンプン混合物は、完成した乳製品中の塊形成及びざらつき感のテクスチャを防ぐ。
【0026】
特定の実施形態では、デンプン混合物は、RVA(急速粘度分析)を使用して8%懸濁液で最大95℃に加熱されると、1500~4200cP、好ましくは1800~4000cP、より好ましくは2200~3800cPの範囲のピーク粘度を有する。これらのピーク粘度範囲内では、デンプン混合物は、塊形成を防ぎながら低温殺菌/滅菌及び均質化プロセス中、並びに冷蔵中に、依然として安定した粘度を有する。
【0027】
特定の実施形態では、デンプン混合物は、65℃~85℃、好ましくは68℃~80℃、より好ましくは70℃~75℃の範囲の糊化温度を有する。
【0028】
特定の実施形態では、本発明の乳製品は、任意選択で糖、乳、任意選択で水、任意選択でスターター培養物、任意選択で乳清タンパク質、及び任意選択で添加剤を更に含む。
【0029】
当該糖は、スクロース(砂糖)、フルクトース、マンノース、マルトース、イソマルツロース、アルルロース、タガトース、グルコース、例えば、限定されるものではないがグルコースシロップ、ショ糖、ハチミツ、アガベシロップ(agave syrup)、メープルシロップ、及びそれらの混合物を含む群から選択され得る。
【0030】
本発明の乳製品は、乳製品の総重量に対して、0重量%~30重量%、好ましくは3重量%~20重量%、より好ましくは5重量%~10重量%の糖を含む。
【0031】
「乳」とは、本明細書では、脱脂乳、全乳、粉乳、全脂粉乳、低脂肪乳、乳脂肪、バター乳、クリーム、及びそれらの混合物と理解されたい。
【0032】
本発明の乳製品は、乳製品の総重量に対して、70重量%超、好ましくは80重量%超、より好ましくは90重量%超、更により好ましくは90重量%~95重量%の乳を含む。
【0033】
本発明の乳製品は、乳製品の総重量に対して、0重量%~20重量%、好ましくは0.01重量%~10重量%、より好ましくは0.1重量%~5重量%の水を含む。
【0034】
「スターター培養物」とは、本明細書では、病原体の成長を防ぐために乳を発酵させ、そのpHを低下させることができる、生菌(Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricus及びStreptococcus thermophilus)と理解されたい。培養中又は培養後に、他の乳酸菌(lartobacilli)及びビフィズス菌(bifidobacteria)を添加することもできる。生菌を有する少量の発酵乳製品を使用して、スターター培養物を置き換えることができる。
【0035】
特定の実施形態では、本発明の乳製品は、乳製品の総重量に対して、0重量%~1重量%、好ましくは0.0001重量%~0.05重量%、より好ましくは0.001重量%~0.005重量%のスターター培養物を含む。
【0036】
「乳清タンパク質」とは、本明細書では、乳清から得られたタンパク質の混合物、チーズ生成における硬化プロセス後の生成物による液体と理解されたい。乳清タンパク質は、乳清タンパク質濃縮物及び乳清タンパク質分離物を構成する。
【0037】
大豆タンパク質、エンドウマメタンパク質、コメタンパク質、小麦タンパク質、麻タンパク質、及びそれらの混合物を含む、他のタンパク質源を使用して、交換又は乳製品中のタンパク質含有量を濃縮することもできる。
【0038】
特定の実施形態では、本発明の乳製品は、乳製品の総重量に対して、0重量%~10重量%、好ましくは0.01重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~3重量%の乳清タンパク質及び/又は他のタンパク質源を含む。
【0039】
「添加剤」とは、本明細書では、酸性度調整剤、防腐剤、乳化剤、着色剤、甘味料、風味増強剤、風味物質、保湿剤、固化防止剤、酸化防止剤、親水コロイド、栄養素増強剤、増量剤、及びそれらの混合物と理解されたい。
【0040】
「酸性度調整剤」とは、本明細書では、食品のpH値を維持又は変更するために使用される物質と理解されたい。
【0041】
「防腐剤」とは、本明細書では、食品が腐敗及び劣化するのを防ぎ、食品の貯蔵寿命を延ばす物質と理解されたい。
【0042】
「乳化剤」とは、本明細書では、乳化体中の様々な構成相間の表面張力を改善して均一な分散体又は乳化体を形成することができる物質と理解されたい。
【0043】
「着色剤」とは、本明細書では、食品に色を付加し、かつ/又は食品の色を改善する物質と理解されたい。
【0044】
「甘味料」とは、本明細書では、単糖ではないが、ネオテーム、スクラロース、アスパルテーム、ステビア抽出物(又はステビオールグリコシド)、アセスルファムK、糖アルコール(ソルビトール、キシリトール、マルチトール、及びエリスリトール)、ルオハンガオ抽出物、又はそれらの混合物などの、食品に甘味を提供する物質と理解されたい。
【0045】
「風味増強剤」とは、本明細書では、食品の元の風味を補完又は増強するための物質と理解されたい。
【0046】
風味増強剤の例としては、5’-リボヌクレオチド二ナトリウム、5’-イノシン酸二ナトリウム、5’-グアニル酸二ナトリウム、グルタミン酸一ナトリウム、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
「風味物質」とは、本明細書では、食品用エッセンスを割り当て、食品風味を増強するために使用することができる物質と理解されたい。
【0048】
風味物質の例としては、国の食品安全性標準GB2760-2014に記載されている物質、(+/-)-1-ヘキシルシクロエタノール、2(4)-エチル-4(2),6-ジメチルジヒドロ-1,3,5-ジチアジナン、3-ヘプチルジヒドロ-5-メチル-2(3H)-フラノン、バニリルアルコール、6-[5(6)-デセノイルオキシ]デカン酸、グルコシルステビオールグリコシド、3-{1-[(3,5-ジメチル-1,2-オキサゾール-4-イル)メチル]-1H-ピラゾール-4-イル}-1-(3-ヒドロキシベンジル)イミダゾリジン-2,4-ジオン、4-アミノ-5-[3-(イソプロピルアミノ)-2,2-ジメチル-3-オキソプロポキシ]-2-メチルキノリン-3-カルボン酸サルフェート、9-デセン-2-オン、6-メチルヘプタナール、シクロプロパンカルボン酸(2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキシル)-アミド、4-ヒドロキシ-4-メチル-5-ヘキセン酸ガンマラクトン、フルフリル2-メチル-3-フリルジスルフィド、4-デセン酸、2-(4-メチル-5-チアゾリル)エチルプロピオネート、4,5-オクタンジオン、エチル5-ヒドロキシデカノエート、ジオクチルアジペート、エチルリナリルエーテル、2-プロピオニルピロール、アリル1-プロペニルジスルフィド、2-アセトキシ-3-ブタノン、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
「保湿剤」とは、本明細書では、食品中の水の保持を助ける目的で添加される物質と理解されたい。
【0050】
保湿剤の例としては、マルチトール及びマルチトールシロップ、ポリデキストロース、グリセリン(グリセロール)、乳酸カリウム、乳酸ナトリウム、リン酸、二リン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素カルシウム(オルトリン酸二カルシウム)、オルトリン酸三カルシウム(リン酸カルシウム)、オルトリン酸三カリウム、オルトリン酸三ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、リン酸一水素三ナトリウム、ポリメタリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウム、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
「固化防止剤」とは、本明細書では、粒状又は粉末食品の弱凝集を防ぎ、それを緩く又は自由に流動させるために使用される物質と理解されたい。
【0052】
「酸化防止剤」とは、本明細書では、オイル又は食品成分の酸化的切断又は劣化を防止又は先延ばしし、食品の安定性を高めることができる物質と理解されたい。
【0053】
酸化防止剤の例としては、D-イソアスコルビン酸(エリソルビン酸)、D-イソアスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、リン脂質、乳酸ナトリウム、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
「親水コロイド」とは、本明細書では、それらが水と接触しているときに粘性ペースト又はゲルを形成する物質と理解されたい。
【0055】
「栄養素増強剤」とは、本明細書では、食品の栄養含有量(値)を増加させるために添加される天然又は合成物質と理解されたい。
【0056】
栄養素増強剤の例としては、炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、L-トレオン酸カルシウム、グリシン酸カルシウム、アスパラギン酸カルシウム、クエン酸リンゴ酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、オルトリン酸三カルシウム(リン酸カルシウム)、ビタミンEコハク酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、骨粉(超微細生骨粉)、耐性デキストリン、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
「増量剤」とは、本明細書では、食品のかさに寄与する物質と理解されたい。
【0058】
増量剤の例としては、マルチトール及びマルチトールシロップ、ポリデキストロース、耐性デキストリン、ヒドロキシプロピルデンプン、乳酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素カルシウム(オルトリン酸二カルシウム)、オルトリン酸三カルシウム(リン酸カルシウム)、オルトリン酸三カリウム、オルトリン酸三ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、二リン酸一水素三ナトリウム、ポリメタリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウム、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
乳製品はまた、塩化カリウム、ガラクトマンナン、窒素、及びそれらの混合物などの他の添加剤を含み得る。
【0060】
特定の実施形態では、本発明の乳製品は、乳製品の総重量に対して、0重量%~8重量%、好ましくは0.01重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~3重量%の添加剤を含む。
【0061】
特定の実施形態では、本発明の乳製品は、
70重量%超、好ましくは80重量%超、より好ましくは90重量%超、更により好ましくは90重量%~95重量%の乳、
0~30重量%、好ましくは3~20重量%、より好ましくは5~10重量%の糖、
0.05重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~5重量%、より好ましくは0.5重量%~2重量%のデンプン又はデンプン混合物、
任意選択で、0重量%~1重量%、好ましくは0.0001重量%~0.05重量%、より好ましくは0.001重量%~0.005重量%のスターター培養物、
任意選択で、0重量%~10重量%、好ましくは0.01重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~3重量%の乳清タンパク質及び/又は他のタンパク質源、
任意選択で、0重量%~20重量%、好ましくは0.01重量%~10重量%、より好ましくは0.1重量%~5重量%の水、
任意選択で、0重量%~8重量%、好ましくは0.01重量%~5重量%、より好ましくは0.1重量%~3重量%の添加剤(酸性調整剤、防腐剤、乳化剤、着色剤、甘味料、風味増強剤、風味物質、保湿剤、固化防止剤、酸化防止剤、親水コロイド、栄養素増強剤、増量剤、及びそれらの混合物を含む)を含む。
【0062】
特定の実施形態では、本発明の乳製品は、乳、バター、発酵乳(チーズ、ヨーグルト、サワークリーム、及びケフィアクリームを含むがこれらに限定されない)及びアイスクリームを含む群から選択され、好ましくは、乳製品は、ヨーグルトである。
【0063】
特定の実施形態では、デンプン混合物は、テクスチャ加工剤、ゲル化剤、増粘剤、クリーミング剤、及び/又は安定剤として使用される。
【0064】
本発明の第2の目的は、本発明の乳製品を製造するプロセスであり、当該プロセスは、
(a)乳製品を調製するために使用される全ての成分を、5~60分間、好ましくは15~45分間、より好ましくは約30分間混合する工程と、
(b)工程(a)で得られた混合物を50℃~100℃、好ましくは60℃~80℃、より好ましくは約65℃を含む温度に予熱する工程と、
(c)工程(b)で得られた予熱された混合物を、60℃~145℃を含む温度で1秒~60分間、好ましくは80℃~120℃を含む温度で1~30分間、より好ましくは約95℃で約5分間加熱する工程と、
(d)工程(c)で得られた加熱された混合物を冷却し、任意選択でスターター培養物を添加する工程と、
(e)工程(d)で得られた開始培養物を任意選択で含む冷却された混合物を、4℃~60℃、好ましくは20℃~50℃を含む温度で、より好ましくは約43℃の温度で、混合物が3~5、好ましくは3.5~4.8を含むpH、より好ましくは4.6のpHを有するまで発酵させる工程と、
(f)工程(e)で得られた発酵混合物をホモジナイザーで滑らかにする工程と、
(g)工程(f)で得られた滑らかな混合物を詰める工程と、を含む。
【0065】
特定の実施形態では、工程(e)では、発酵は、3時間~24時間、好ましくは4時間~12時間、より好ましくは約5~6時間続く。
【0066】
本発明では、デンプン混合物は、抽出後に化学的、酵素的、又は物理的に変性されていない天然デンプンの組み合わせであり、したがってクリーンラベル成分として分類することができる。
【0067】
したがって、本発明は、有害な化学物質を使用せずに食品成分のみを使用する乳製品の調製を可能にする。
【0068】
本発明のデンプン混合物は、化学的に変性したデンプンが従来使用されている同じ用途で使用することができる。
【0069】
本発明のデンプン混合物は、強酸条件及び/又は熱条件及び/又は剪断条件が存在するか、又は適用される化学的に変性したデンプンの代替又は代用として使用することができる。
【0070】
本発明の別の目的は、乳製品の生成のために化学的、酵素的、又は物理的に変性したデンプンを置き換えるための、本発明のデンプン混合物の使用である。
【0071】
本発明の別の目的は、テクスチャ加工剤、ゲル化剤、増粘剤として、クリーミング剤として、及び/又は乳製品の生成のための安定化剤としての、本発明のデンプン混合物の使用である。
【0072】
ここで、本発明を以下の図及び実施例によって例示するが、これらは本発明を説明することを意図しており、その範囲を決して限定するものではないことが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1】ソバデンプン及びワキシーメイズデンプン混合物の急速粘度分析(RVA)結果である。
【
図2】ソバデンプン及びタピオカデンプン混合物のRVA結果である。
【
図3】ソバデンプン及びポテトデンプン混合物のRVA結果である。
【
図4】ソバデンプン及びカンショデンプン混合物のRVA結果である。
【
図5】ソバデンプン及びワキシーコメデンプン混合物のRVA結果である。
【
図6】ソバデンプン及びポテトデンプン混合物のRVA結果である。
【
図7】ソバデンプン及びソバ-ポテトデンプン混合物のシネレシス試験である。
【
図8】30日間の冷蔵後のヨーグルト試料の外観である。
【
図9】30日間の冷蔵後のヨーグルト試料中のデンプン顆粒の外観である。
【実施例】
【0074】
以下の実施例では、以下の市販製品を使用する。
Roquetteによって商品化された天然ワキシーメイズデンプン
地元食料品ストアから入手した天然タピオカデンプン
Roquetteによって商品化された天然ポテトデンプン
地元食料品ストアから入手した天然カンショデンプン
Wuxi Jingnong Biotechnology Co.Ltd.によって製造された天然ワキシーコメデンプン
Roquetteによって商品化された変性したデンプンClearam(クリアラム)CJ5025
Roquetteによって商品化された変性したデンプンClearam CR4015
BrightDairy製の乳は、地元食料品ストアから購入した。
Ingredionによって商品化された機能性クリーンラベルワキシーメイズデンプンNovation2300
Tate&Lyleによって商品化された機能性クリーンラベルワキシーメイズデンプンClaria+
【0075】
天然ソバデンプンバッチ1(BWS1)は、本明細書に記載されているソバデンプンの第1の抽出プロセスに従って生成された。
【0076】
天然ソバデンプンバッチ2(BWS2)は、本明細書に記載されているソバデンプンの第2の抽出プロセスに従って生成された。
【0077】
実施例1:他のデンプンと混合されたソバデンプンの糊化特性
【0078】
以下の表1に提示された、分析するための各デンプン又はデンプン混合物試料(2g、乾燥重量基準)を、アルミニウムキャニスター中25g(8%のデンプン懸濁液)の最終総重量になるように水と混合した。
【表1】
【0079】
次いで、分析するための各試料を、粘度及び糊化温度を測定しながら、表2に提示された加熱プロファイルに従って、ラピッドビスコアナライザー(Rapid Visco Analyser)(RVA4500、Perten Instruments)を使用して加熱した。
【表2】
【0080】
糊化温度は、粘度が上昇し始める温度であり、0.1分以内に24cPを超える粘度上昇によって特定される。
【0081】
ピーク粘度は、加熱し95で保持中の最高粘度であり、トラフは、95℃で保持中の最低粘度であり、最終粘度は、冷却し50℃で冷保持中の最高粘度であり、ブレークダウンは、ピーク粘度とトラフとの差であり、セットバックは、最終粘度とトラフとの差である。
【0082】
結果をそれぞれ
図1~5、及び表3に示す。
【表3】
【0083】
結論:天然デンプンは、粘度調整剤として使用することができる天然のクリーンラベルデンプンである。しかしながら、ほとんどの天然のデンプンは、特に剪断(低粘度剪断)及び冷蔵(デンプンの老化)中に安定ではない。
【0084】
ソバデンプンは、本明細書で試験される全ての天然デンプン、すなわち、100%ワキシーメイズデンプン、100%タピオカデンプン、100%ポテトデンプン、100%カンショデンプン、及び100%ワキシーコメデンプンよりも高い糊化温度及びより小さいブレークダウンを有し、ソバデンプンが他の天然デンプンよりも熱及び剪断耐性がより高いことを示している。
【0085】
ソバデンプンのピーク粘度が低いということは、ヨーグルト加工における滅菌/低温殺菌プロセス中などの加熱中に、ソバデンプン顆粒が完全には膨潤しなかったことを示す。したがって、天然ソバデンプンは、別の天然デンプンと混合することができる。後者(他の天然デンプン)は、エマルジョン及び部分的に膨潤したソバデンプン顆粒を安定化させるために連続相を提供することができ、前者(天然ソバデンプン)は、食品のテクスチャを改質し、シネレシスを防ぐことできる耐熱性充填剤として機能する。
【0086】
少量の他の天然デンプン(最大25%)は、ソバデンプンの耐熱性及び剪断耐性並びに低率の老化に影響を及ぼさなかった。しかしながら、ポテトデンプンを除いて、ソバデンプンは、他の天然デンプンよりも冷却中により高い最終粘度を有した。したがって、ソバデンプンの粘度に明らかな影響を与えることなく、乳製品中で部分的に膨潤したソバデンプン顆粒を安定化するために、ポテトデンプンを使用することができると思われる。更に、カンショデンプン及びタピオカデンプンとソバデンプンとの混合物は、ソバデンプンの最終粘度の低下が小さいことを示すため、部分的に膨潤したソバデンプン顆粒を安定化させる良好な潜在能力も有し得る。
【0087】
実施例2:ソバデンプン及びポテトデンプン混合物の特性
【0088】
以下の試料について、ゼラチン化特性、糊化特性、及びシネレシスを試験した。
天然ソバデンプンバッチ1(BWS1と呼ばれる)
天然ソバデンプンバッチ2(BWS2と呼ばれる)
天然ポテトデンプン(PSと呼ばれる)
混合物:10%ポテトデンプン(PSと呼ばれる)と90%ソバデンプンバッチ1(BWS1と呼ばれる)
混合物:25%ポテトデンプン(PSと呼ばれる)と75%ソバデンプンバッチ1(BWS1と呼ばれる)
混合物:10%ポテトデンプン(PSと呼ばれる)と90%ソバデンプンバッチ2(BWS2と呼ばれる)
混合物:25%ポテトデンプン(PSと呼ばれる)と75%ソバデンプンバッチ2(BWS2と呼ばれる)
【0089】
デンプンゼラチン化は、熱、圧力、剪断、及び化学物質などによるデンプン天然結晶構造の溶融又は破壊である。過剰な水中でのゼラチン化後、天然のデンプン顆粒はそれらの粒状構造を失い、デンプンペーストとなる。保存中、特に冷蔵温度では、デンプンペーストは再結晶化し、これは老化として知られている。老化の程度は、デンプンの種類、含水量、及び保存温度などの多くの要因に依存する。老化した(retrograded)デンプン中の結晶構造は、熱、圧力、剪断、及び化学物質などによるデンプンゼラチン化と同様のプロセスによって溶融(又は部分的に溶融)することができる。
【0090】
各試料のゼラチン化特性を、以下のプロトコルに従って示差走査熱量測定(DSC1、Mettler Toledo)によって測定した。
【0091】
分析するための各デンプン試料(2~3mg、乾燥重量基準)を、デンプン対水の重量比1:3で水と混合した。混合物を標準的な40μLのアルミニウムパンに密閉し、少なくとも1時間平衡化させた。次いで、パンをDSCにて10℃で1分間再度平衡化し、続いて10℃/分で100℃に加熱した。
【0092】
Mettler Toledo(STAReシステム)によって提供されるソフトウェアを使用して、開始温度(To)、ピーク温度(Tp)、終了温度(Tc)及びエンタルピー変化を得た。
【0093】
デンプンゼラチン化のエンタルピー変化は、曲線下面積に基づいて得られた。ゼラチン化試験の後、パンを冷蔵庫で7日間保存し、同じ加熱条件を使用して再分析して、老化したデンプンの溶融に関連する吸熱に基づいて、デンプン試料の老化特性を得る。
【0094】
老化率は、老化したデンプンの溶融のエンタルピー変化をデンプンゼラチン化のエンタルピー変化で割ったものである。
【0095】
【0096】
この分析は、ソバデンプンのゼラチン化及び老化特性に対する、ポテトデンプンとソバデンプンとの混合の効果を試験することを目的とした。ソバデンプンは、老化に対する安定性が良好であり、また特に冷蔵時に、良好かつ安定したテクスチャを有するためには、デンプン混合物を乳製品に使用する場合、ポテトデンプンを添加することが、ソバデンプンの低率の老化に影響を与えないことが必要である。
【0097】
表4に示されるように、老化したデンプンのゼラチン化温度及び溶融温度の点から、100%天然ソバデンプン(BWS1及びBWS2)とソバデンプン混合物との間に明らかな差はなかった。
【0098】
天然ソバデンプン(100%、BWS1及びBWS2)及びソバデンプン混合物は、低率の老化(20~36%)を示した。
【0099】
ポテトデンプンは、わずかに低いゼラチン化温度(Tp及びTc)を有したが、老化したデンプンのわずかに高い溶融温度及び高率の老化を有した。
【0100】
結果は、ソバデンプン中の少量のポテトデンプン(最大25重量%)が、ソバデンプンのゼラチン化特性及び老化特性に大きな影響を及ぼさないことを示す。
【0101】
各試料の糊化特性を、以下のプロトコルに従って、急速粘度分析装置(RVA4500、Perten Instruments)によって測定した。分析するための各デンプン試料(1.5g、乾燥重量基準)を、アルミニウムキャニスター中30gの最終総重量(5%デンプン懸濁液)になるように水と混合した。次いで、分析するための各試料を、実施例1の表2に提示された加熱プロファイルに従って加熱した。
【0102】
【0103】
この分析は、ソバデンプンの糊化特性(ペースト粘度を含む)に対する、ポテトデンプンとソバデンプンとの混合の効果を試験することを目的とした。ポテトデンプンの添加は、ピーク及び最終粘度の有意な低下を示さないことが必要である。
【0104】
図6及び表5に示されるように、ポテトデンプンは、100%天然ソバデンプン(BWS1及びBWS2)及びソバ混合物よりもはるかに高い粘度を有する。10%及び25%ポテトデンプンの添加は、ソバデンプン単独(BWS1及びBWS2)と比較して粘度の明らかな上昇を示し、したがって、10%~25%ポテトデンプンを使用して、部分的に膨潤したソバデンプン顆粒を安定化させるために連続相を提供することができる。
【0105】
各デンプン試料のシネレシスの程度を、以下のプロトコルに従って測定した。RVA試験中に完全にゼラチン化した後に得られた各デンプンペーストを、3つ風袋合わせした15mL遠心チューブに分割した。チューブを20時間、-20℃で凍結し、次いで30℃で4時間解凍した。凍結及び解凍を5サイクル(すなわち、5日間)繰り返した。3サイクル目及び5サイクル目で、各試料からの1つのチューブを、解凍した後、3000×gで20分間遠心分離した。水相を除去し、ゲル相を秤量した。シネレシスの程度は、以下の式:
シネレシス%=(wi-wf)/wi
*100%
(式中、wi=凍結解凍処理の前のゲルの初期重量、及び
wf=解凍及び水相の除去後のゲルの最終重量)に従って計算した。
【0106】
【0107】
この分析は、ソバデンプンペーストの安定性に対する、ポテトデンプンとソバデンプンとの混合の効果を試験することを目的とした。凍結解凍サイクル及び遠心分離後の水分放出が少ないほど、ペーストのテクスチャがより安定している。
【0108】
図7に示されるように、純粋な天然ソバデンプン(BWS1及びBWS2)及びソバデンプン混合物は、3サイクルの凍結及び解凍後にシネレジスを示さず、5サイクル後にはわずかなシネレシス(<1%)しか示さなかった。対照的に、天然ポテトデンプンは、3サイクル目及び5サイクル目の後に明らかなシネレシスを示した(>8%)。結果は、ソバデンプン中の少量のポテトデンプン(最大25重量%)が、ソバデンプンペーストの安定性に大きな影響を及ぼさないことを示す。
【0109】
結論:10%及び25%ポテトデンプンを添加すると、ソバデンプン(BWS1及びBWS2)の粘度は低下せず、ソバデンプンの剪断耐性及び熱特性を維持した。更に、100%ソバデンプン(BWS1及びBWS2)及びポテトデンプンを含むそれらの混合物は、DSCによって検出された低率の老化(20~36%)、並びに凍結及び解凍の5サイクル後の低度のシネレシス(<1%)を示した。したがって、少量のポテトデンプンを使用して、粘度調整剤として、部分的に膨潤したソバデンプン顆粒を安定化させるための連続相を提供することができる。
【0110】
実施例3:他のクリーンラベルデンプン及び化学的に変性したデンプンと比較した、ソバデンプン又はソバ及びポテトデンプン混合物で作製されたヨーグルトの特性。
【0111】
7つのヨーグルト試料を、
ソバデンプンバッチ1(BSW1と呼ばれる)、
ソバデンプンバッチ2(BSW2と呼ばれる)、
10%ポテトデンプン(BSW1-PSと呼ばれる)と90%ソバデンプン BSW1との混合物
10%ポテトデンプン(BWS2-PSと呼ばれる)と90%ソバデンプン BSW2との混合物
化学的に変性したワキシーメイズデンプンClearam CJ5025、
機能性クリーンラベルワキシーメイズデンプンNovation2300、
機能性クリーンラベルワキシーメイズデンプンClaria+、でそれぞれ作製した。
【0112】
ソバデンプンバッチ1は、本明細書に記載されているソバデンプンの第1の抽出プロセスを使用して、ソバの実から抽出された。
【0113】
ソバデンプンバッチ2は、本明細書に記載されているソバデンプンの第2の抽出プロセスを使用して、ソバの実から抽出された。
【0114】
ヨーグルトは、以下の処方及び手順:
(a)全ての成分(91.5%の乳、7.5%のスクロース、及び1%のデンプン)を30分間混合することと、
(b)工程(a)で得られた混合物を65℃に予熱することと、
(c)工程(b)で得られた予熱した混合物を95℃で5分間加熱することと、
(d)工程(c)で得られた加熱した混合物を43℃に冷却し、ヨーグルトスターター培養物(0.03g/kgの乳)を添加することと、
(e)混合物が4.6のpH(約5~6時間)に達するまで、43℃でヨーグルトスターター培養物を含む冷却された混合物を発酵させることと、
(f)工程(e)で得られた発酵混合物をホモジナイザーで滑らかにすることと、
(g)工程(f)で得られた滑らかな混合物を詰めることと、に従って調製した。
【0115】
1つの対照ヨーグルトは、天然又は変性したデンプンなしで作製された。
【0116】
各試料について、外観、顕微鏡検査、見かけ粘度、及び粒径を評価した。
【0117】
見かけ粘度(ηと表示されることもある)は、レオロジー特性である。見かけ粘度は、流体に加えられる剪断応力を剪断速度で割ったものに等しい。見かけ粘度は、流動に対する抵抗性の尺度である。
【0118】
塊形成、滑らかさ、及び光沢度などの外観を、30日間の冷蔵後に撮影した写真から分析した。
【0119】
【0120】
デンプンの添加は、塊の形成を防ぎ、ヨーグルト、特に飲料ヨーグルトの滑らかさ及び光沢を維持することが予想された。30日間の冷蔵後、Claria+で作製されたヨーグルト及び対照ヨーグルト試料において大きな塊が見られたが、ソバデンプン及びソバとポテトデンプンとの混合物で作製されたものは滑らかなままであり、光沢のある外観を有した。
【0121】
ヨーグルト試料中のデンプン顆粒の構造を光学顕微鏡法によって分析した。
【0122】
【0123】
ヨーグルト中のデンプン顆粒は、高温及び高剪断速度に耐えることが可能であることを必要とする。したがって、粒状構造は、容易に破壊されないことが必要である。更に、小さな顆粒サイズは、飲料ヨーグルトに理想的である低粘度の滑らかなテクスチャを提供する。
【0124】
顕微鏡検査から、多くの破壊された顆粒を示したClearam CJ5025で作製されたヨーグルト試料を除いて、加工後(加熱及び発酵を含む)の全てのヨーグルト試料中でデンプン顆粒が見られた。Claria+及びNovation2300のデンプン顆粒は、膨潤(粒径が大きくなる)しているが、ソバデンプン顆粒は、ヨーグルト加工後に小さくそのままで残っていた。これは、ソバデンプンがより強力な耐熱性及び剪断耐性を有することを示す。ポテトデンプンは、デンプン混合物の10%のみを占めており、その外観は、デンプン混合物を含有するヨーグルト試料において明確に見られないことに留意されたい。
【0125】
見かけ粘度を、29スピンドルを備えたBrookfield粘度計を使用して、60rpmで15秒間、分析した。
【0126】
【0127】
この分析は、デンプンを添加してヨーグルトの冷蔵後の粘度を試験することを目的とした。冷蔵後1日間は新鮮なヨーグルトとみなされ、1日間冷蔵と30日間冷蔵との間の見かけ粘度差は、冷蔵時の粘度の安定性を示した。更に、これらの結果を使用して、デンプンをヨーグルトに添加することから、どのタイプのヨーグルト(スプーンですくえるヨーグルト及び飲料ヨーグルトなど)を作製することができるかを決定することができる。
【0128】
Claria+を含むヨーグルト試料は、1日間冷蔵及び30日間冷蔵後、最も高い粘度を有した。他のヨーグルト試料は、対照よりも粘度が低かった。対照ヨーグルトの高粘度は、塊形成に起因している可能性が最も高い。ソバデンプン単独(BWS1及びBWS2)を含むヨーグルト試料は、Clearam CJ5025及びNovation2300を含むものと同様の粘度を有したが、ソバ及びポテトデンプン混合物を含むものは、他の試料と比較して最低粘度を有し、これは飲料ヨーグルトに適している。ソバ及びポテトデンプン混合物で作製されたヨーグルトでは、同じソバデンプン単独で作製されたものに比べ、1日間冷蔵と30日間冷蔵との間の見かけ粘度差はより小さく、ポテトデンプンが、冷蔵時にソバデンプンで作製されたヨーグルトの粘度を更に安定化させることができたことを示している。更に、Claria+を含むヨーグルト試料は、1日間冷蔵と30日間冷蔵との間の見かけ粘度差が最も大きく、このヨーグルト試料の粘度が不安定であることを示した。
【0129】
ヨーグルト中のデンプン顆粒、エマルジョン液滴、強凝集体、又は弱凝集体から生じるヨーグルトの粒径は、レーザー粒径分析装置(S3500、Microtrac,USA)によって決定された。
【0130】
【0131】
この分析は、膨潤したデンプン顆粒、タンパク質強凝集体、及び/又は任意の弱凝集体から生じ得る、ヨーグルト中の粒径を測定することを目的とした。この分析はまた、ヨーグルト中に塊形成及び/又は大きな粒子があるかどうかを判定するために使用することもできる。大きな粒子はまた、ざらつき感のテクスチャとして消費者に認識され得る。特に飲料ヨーグルトの場合、ヨーグルトの滑らかなテクスチャを提供するために、大きな粒子及び塊の形成を避ける必要がある。
【0132】
単独で、又はポテトデンプンとの混合物(BWS1、BWS2、BWS1-PS及びBWS2-PS)としてのいずれで、ソバデンプン顆粒は、膨潤がより少なく、粒径は、対照及び他のクリーンラベルデンプン(Claria+及びNovation2300)よりも小さい。これは、ソバデンプン(BWS1、BWS2、BWS1-PS、及びBWS2-PS)が、より低いレベルのざらつき感及び塊状テクスチャを有し、ヨーグルト系の感覚を改善したことを意味する。ClearamCJ5025は、ソバデンプンと同様の小さな粒径を有し、これは恐らくヨーグルト試料中のClearam CJ5025の破壊された顆粒によるものであった。
【0133】
結論:
ソバデンプン(BWS1、BWS2、BWS1-PS 及びBWS2-PS)は、製造中及び冷蔵中にヨーグルト中の塊形成を防ぎ、小さな粒子を提供することができる。ソバデンプンにポテトデンプンを少量添加すると、更に粒径が小さくなり、塊形成が減り、わずかに低下した粘度を有する改善されたテクスチャをもたらし、これは飲料ヨーグルトに理想的である。また、ポテトデンプンを少量添加すると、ソバデンプンで作製されたヨーグルトの粘度の冷蔵中の変化を低減し、これは冷却飲料ヨーグルトの安定性に重要である。ソバデンプン、又はソバ及びとポテトデンプンの混合物を使用して、乳製品中の化学的に変性したデンプンを置き換えることができる。
【国際調査報告】