(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(54)【発明の名称】ロック装置を作動させるように構成されたギアモータを含む車両のロックシステム
(51)【国際特許分類】
B62K 5/10 20130101AFI20230222BHJP
B60T 13/74 20060101ALI20230222BHJP
B60T 7/02 20060101ALI20230222BHJP
F16H 1/16 20060101ALI20230222BHJP
【FI】
B62K5/10
B60T13/74 H
B60T7/02 A
F16H1/16 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540502
(86)(22)【出願日】2020-12-29
(85)【翻訳文提出日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 IB2020062515
(87)【国際公開番号】W WO2021137153
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】102019000025723
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512185877
【氏名又は名称】ピアッジオ・エ・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Viale Rinaldo Piaggio, 25, I-56025 Pontedera, PI,Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ペダーニ,ジュゼッペ
【テーマコード(参考)】
3D011
3D048
3D124
3J009
【Fターム(参考)】
3D011AA06
3D011AD01
3D011AF04
3D011AG03
3D011AH01
3D048AA01
3D048BB59
3D048CC02
3D048KK07
3D048KK16
3D124BB02
3D124BB17
3D124CC56
3J009DA17
3J009DA18
3J009EA06
3J009EA19
3J009EA35
3J009EB17
3J009FA05
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】ロック装置(111)と、前記ロック装置(111)に作動可能に連結され、前記ロック装置(111)に安定したロック状態と解放状態とを取らせるように構成されたギアモータ(112)とを含む車両(10)のロックシステム(100)が記載されている。前記ギアモータ(112)は、入力シャフト(201)と、前記入力シャフト(201)の第1部分(203)に結合された第1トランスミッションホイール(202)と、前記入力シャフト(201)の第2部分(205)に結合された第2トランスミッションホイール(204)とを有する駆動モータ(200)を備えることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節型四辺形運動機構(20)を備えるフロントステアリングシステムが設けられた三輪の転動車両(10)のためのアンチロールロックシステム(100)であって、
前記ロックシステムは、
ロック装置(111)と、
前記ロック装置(111)に作動可能に接続され、前記ロック装置(111)に安定したロック状態と解放状態とを取らせるように構成されたギアモータ(112)と、
を備え、
前記ギアモータ(112)は、
入力シャフト(201)を有する駆動モータ(200)と、
前記入力シャフト(201)の第1部分(203)に結合された第1トランスミッションホイール(202)と、
前記入力シャフト(201)の第2部分(205)に結合された第2トランスミッションホイール(204)と、
を備える、アンチロールロックシステム(100)。
【請求項2】
前記第1トランスミッションホイール(202)及び前記第2トランスミッションホイール(204)は、前記入力シャフト(201)の2つの反対側に配置されている、請求項1に記載のロックシステム(100)。
【請求項3】
前記第1トランスミッションホイール(202)及び前記第2トランスミッションホイール(204)は、前記入力シャフト(201)と同じ側に配置されている、請求項1に記載のロックシステム(100)。
【請求項4】
前記入力シャフト(201)の前記第1部分(203)および前記第2部分(205)は、それぞれ第1ウォームねじ部分(203)および第2ウォームねじ部分(205)を備え、前記第1トランスミッションホイールおよび第2トランスミッションホイール(202,204)の両方が螺旋状の歯を備える、請求項1から3のいずれか1項に記載のロックシステム(100)。
【請求項5】
前記第1ウォームねじ部分(203)の螺旋と前記第2ウォームねじ部分(205)の螺旋とは、反対のねじ込み方向を有する、請求項2に従属する請求項4に記載のロックシステム(100)。
【請求項6】
前記第1ウォームねじ部分(203)の螺旋と前記第2ウォームねじ部分(205a)の螺旋は、同じねじ込み方向を有する、請求項3に従属する請求項4に記載のロックシステム(100)。
【請求項7】
前記第1ウォームねじ部(203)及び前記第2ウォームねじ部分(205)の螺旋の傾斜角が3°以下であり、螺旋状の歯を有する前記第1歯付きホイール(202)及び前記第2歯付きホイール(204)のモジュールが0.75以下である、請求項4に記載のロックシステム(100)。
【請求項8】
前記ギアモータが、前記入力シャフト(201)に対して横方向に、好ましくは直交して配置される出力シャフト(209)を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載のロックシステム(100)。
【請求項9】
前記第1ホイール(202)は第3ホイール(206)と一体して回転し、前記第2ホイール(204)は前記第3ホイール(206)と同じ直径を有する第4ホイール(207)と一体して回転し、前記出力シャフト(209)は前記第3ホイール(206)及び第4ホイール(207)より大きい直径を有する第5ホイール(208)と一体して回転し、
前記第3ホイール(206)、第4ホイール(207)、及び第5ホイール(208)は、前記入力シャフト(201)から前記出力シャフト(209)へ運動を伝達するために互いに動作可能に結合される、請求項8に記載のロックシステム(100)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のロックシステム(100)を備える、車両(10)。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか1項に記載のロックシステム(100)を含む、車両用パーキングブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック装置に作動可能に接続されるギアモータを含む車両用ロックシステム、及び当該ロックシステムを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、限定するものではないが、二輪車の分野を参照すると、ハンドリングの点で二輪車の特徴と四輪車の安定性とを組み合わせた「ハイブリッド」車両が知られている。このような車両は、例えば、2つのフロントホイールステアリングと固定軸を持つリアホイールとを備えた三輪車両が代表的である。有利なことに、前述のタイプの三輪自動車は、オートバイのように運転することができ(運転者が傾く)、同時に四輪車両の通常の安定性を提供することができる。このタイプの1つの車両は、例えば、同じ出願人に対する欧州特許EP1484239B1に記載されている。このような車両では、2つのフロントホイールにそれぞれ1つずつ、同じく独立したショックアブソーバを備えた独立サスペンション装置と、関節型四辺形運動機構に基づくフロントステアリングシステムが設けられている。関節型四辺形運動機構により、車両の操舵および/または「傾き」の操作中、フロントホイールは実質的に地面に隣接した状態を維持できる。この種の車両の構造上の特性により、走行条件によっては、例えば、非常に低速の場合、あるいは、停止や停車中に、関節型四辺形機構によって引き起こされる回転運動により、車両が転倒し得る。
【0003】
前述の欠点を克服するために、この種の車両にアンチロールロックシステムを設けることが知られており、このシステムは、全ての車両走行条件下で、また車両が停止したとき又は静止状態にあるときに、車両の安定性を確保するものである。アンチロールロックシステムの一例は、同じ出願人に対する欧州特許EP1561612B1に記載されている。その特許に記載されたアンチロールロックシステムは、具体的には、ストップエレメント、特にブレーキディスクの一部を構成し、その回転運動において、関節型四辺形機構のエレメントと一体となっているものである。さらに、アンチロールロックシステムは、関節型四辺形機構構造の回転運動を防止するために、ストップエレメントの位置をロックするためのロックエレメント、特にブレーキキャリパを含む。また、アンチロールロックシステムは、ロックエレメント自体を制御するために、ロックエレメントに作動的に接続されたパーキングアセンブリを備える。具体的には、パーキングアセンブリは、ブレーキキャリパに作動可能に接続され、ブレーキキャリパに、ストップエレメント、ひいては関節型四辺形機構をロックする安定したロック状態と、ストップエレメントを解放して関節型四辺形機構の回転運動を可能にする解放状態と、を取らせる。パーキングアセンブリは、通常、らせん状の歯を有するホイールに結合された無端ねじを備えたギアモータを備える。上述したロックシステムの1つの欠点は、ロックシステムの正しい動作を保証するために、すなわちロック装置のロック状態および解除状態の安定性を保証するために、高価な部品を使用する必要があり、同時にロックシステムの全体的なサイズを最小限に抑える必要があるという事実と関連している。実際、全体のサイズが小さいロックシステムを製造すると同時に、ブレーキキャリパのロック状態および解除状態におけるギアモータの運動の不可逆性を保証するように、らせん状の歯を持つホイールの歯と無端ねじの間にそのような高い摩擦係数を確保するために、例えば、ベークライト加工した布製のギアホイールなど特殊材料からなるらせん状の歯を持つ、高価なギアホイールが通常使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ロック装置に作動的に接続されたギアモータを含む、公知技術のロックシステムを参照して上述した欠点を少なくとも部分的に克服することである。
【0005】
特に、本発明の目的は、公知技術を参照して上述したロックシステムよりも安価であり、同時にロックシステム全体のサイズの縮小を可能にする、ロック装置に作動的に接続されたギアモータを含む車両用ロックシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのような目的は、請求項1に一般に定義されるような車両用ロックシステムによって達成される。前記のロックシステムの好ましい有利な実施形態は、添付の従属請求項に定義されている。
【0007】
本発明はまた、請求項10に記載の車両に関する。
【0008】
本発明はまた、請求項11に記載の車両用パーキングブレーキに関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、以下の段落で簡単に説明する添付図面を参照しながら、非限定的な例として与えられるその特定の実施形態の以下の詳細な説明から、よりよく理解されるであろう。
【
図1】
図1は、本明細書によるロックシステムを備えた、フェアリングを除いた三輪車の正面図を示す。
【
図2】
図2は、
図1の車両の透視図であり、フェアリングに加え、車両のさらなる部品が取り除かれている状態を示す。
【
図3】
図3は、
図1のロックシステムのギアモータの第1実施形態を示す斜視側面図である。
【
図5】
図5は、
図1のロックシステムのギアモータの第2実施形態を示す斜視側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
同様または類似の要素は、添付の図において同じ参照数字で示されている。
【0011】
参照数字10によって全体的に示される車両の第1実施形態が、添付の
図1~2に示されている。実施形態によれば、車両10は、三輪の転輪車両10である。特に、車両10は、それ自体既知の方法で、2つのフロントステアリングホイール11,12と、固定軸を有するリアホイール(図示せず)と、を備える。実施形態によれば、車両10は、フロントステアリングホイール11,12に作動可能に接続されたステアリングハンドルバー150を備える。車両10は、
図1及び
図2にフェアリングが取り除かれた状態で示されている。特に、車両は、例えば、限定するものではないが、固定軸を有するリアホイールのような、異なる構成要素が取り除かれた状態で
図2に示されている。
【0012】
実施形態によれば、2つのフロントホイール11,12はそれぞれ独立したフロントサスペンション13,14を備え、その各々は独立したショックアブソーバ15,16を順に備えている。サスペンションという用語は、車両のばね上と車両のばね下を接続するように構成された機構を意味すると理解される。実施形態によれば、車両10は、多関節四角形運動機構20を含むステアリング機構を備える。実施形態によれば、機構20は、好ましくはその中心線で車両10のフレームにヒンジ結合された2つの互いに対向する剛性の水平クロスピース21,22を含む。特に、剛性の水平クロスピース21,22は、上部の水平クロスピース21と下部の水平クロスピース22とを備える。さらに、機構20は、水平クロスピース21,22に、より好ましくはクロスピース21,22の反対側の端部に横方向にヒンジ結合された2つの互いに反対側の垂直アップライト23,24、好ましくは2つのスリーブ23,24を備える。実施形態によれば、垂直アップライト23,24は、ホイール11,12が車両フレームに対して回転することを可能にするために、独立したフロントサスペンション13,14に回転可能に接続される。
【0013】
再び
図1~2を参照すると、車両10は、ロックシステム100を構成している。実施形態によれば、ロックシステム100は、車両10の横転を防止するように構成されたアンチロールロックシステム100であり、この状況は、例えば、車両10が所定速度以下で走行しているとき、または車両10が停止しているとき、または停車しているときに発生する可能性がある。実施形態によれば、ロックシステム100は、ロック装置111とギアモータ112とを備え、これらは、例えば、ボーデンケーブルによって互いに接続されている。好ましくは、ロック装置111は、車両10のフレームに固定されることが望ましいブレーキキャリパ111を備える。ギアモータ112は、ロック装置111に作動的に接続され、ロック装置111に安定したロック状態と解放状態とを取らせるように構成される。実施形態によれば、ロックシステム100は、ストップエレメント110を備え、このストップエレメント110は、好ましくは、ブレーキディスク部分110、例えば、ブレーキディスクの「第4」に相当する部分110を備える。ストップエレメント110は、関節型四辺形機構20のエレメントと、その回転運動において、一体である。特に、ストップエレメント110は、好ましくは、上部の水平クロスピース21に固定される。ロック装置111は、車両10のフレームに対するストップエレメント110の位置をロックするように構成されている。それにより、ロック装置111は、機構20の動き、ひいては車両10の回転を防止する。すなわち、好ましい実施形態によれば、ブレーキキャリパ111は、ギアモータ112によって開閉される。特に、ブレーキキャリパ111が閉じられると(安定したロック状態)、ストップエレメント110をロックし、したがって、車両10の回転運動をロックする。その代わりに、開かれたとき(解放状態)、ブレーキキャリパ111は、ストップエレメント110を解放し、したがって、車両10の回転運動を可能にする。
【0014】
2つのフロントステアリングホイールを有する転動車両の上述の関節型の代替として、前記車両は、文献WO2014009637A1からより良く知られているように二重関節型四辺形機構を有するフロントエンド、または本明細書に組み込まれる文献EP3397547A1またはEP2899107A1に良く書かれているようにストップエレメントおよびロックエレメントの異なる配置を有していてもよい。
【0015】
次に、
図3~4を参照すると、ギアモータ112の第1実施形態が図式的に描かれている。具体的には、ギアモータ112は、入力シャフト201を有する駆動モータ200、好ましくは電気モータ200を備える。さらに、ギアモータ112は、第1トランスミッションホイール202と第2トランスミッションホイール204とを備える。第1ホイール202は、入力シャフト201の第1部分203に結合されている。第2ホイール204は、入力シャフト201の第2部分205に結合されている。実施形態によれば、入力シャフトの第1部分203及び第2部分205は、入力シャフトの軸X1に沿って互いにアラインし、互いに間隔を空けて配置される。なお、入力シャフトに結合された一対のトランスミッションホイールを設けることで、単一のトランスミッションホイールを用いる場合と比べて、トランスミッションホイールと入力シャフトとの間の摩擦を増加させることができる。有利には、これにより、ギアモータ112の動きの不可逆性、すなわち、ロックシステム100のロック装置111のロック状態の安定性が保証される。前記安定性は、二輪車およびそのライダーの安全上の理由から、回転ロックが作動した状態で停止しているとき、または駐車しているときのみ、ライダーを乗せたまま車両が倒れることを防止するために必要なものである。また、この技術的解決策により、トランスミッションホイールにプラスチックなどの安価な材料を使用したり、トランスミッションホイールの寸法を小さくすることができ、結果としてシステム全体のサイズを小さくすることができます。有利なことに、一対のトランスミッションホイールと入力シャフトとの間の摩擦が増加するため、単一のトランスミッションホイールを採用する場合よりも入力シャフトを小径に製造することも可能である。
【0016】
再び
図3~4を参照すると、実施形態に従って、第1トランスミッションホイール202及び第2トランスミッションホイール204は、入力シャフト201の2つの反対側に配置されている。特に、ホイール202,204は、入力シャフト201上のスラストをバランスさせるように配置され、それによって、入力シャフト201の曲げ応力を小さくすることができる。
【0017】
実施形態によれば、入力シャフト201の第1部分203および第2部分205は、それぞれ第1無端ねじ部分203および第2無端ねじ部分205を備える。さらに、第1トランスミッションホイール202および第2トランスミッションホイール204は、いずれも、螺旋状の歯を備える。代替の実施形態に従って、トランスミッションホイール202,204は、螺旋状の歯を有するギアホイールの代わりに、摩擦ホイールであり得る。この場合、第1無端ねじ部分203及び第2無端ねじ部分205は、入力シャフト201に設けられることはない。
【0018】
図3に示すように、実施形態によれば、第1無端ねじ部分203の螺旋と第2無端ねじ部分205の螺旋とは、反対のねじ込み方向を有する。特に、実施形態によれば、第1無端ねじ部分203は右ねじ山を有し、第2無端ねじ部分205は左ねじ山を有する。
【0019】
実施形態によれば、第1無端ねじ部分203及び第2無端ねじ部分205の螺旋の傾斜角は3°未満であり、螺旋状の歯を有する第1ギアホイール202及び第2ギアホイール204のモジュール、すなわち各ホイール202,204の歯の数に対する原径の比は0.75未満である。好都合なことに、このような特徴により、ロック装置111がロック状態をとるときのギアモータ112の移動の不可逆性が保証される。
【0020】
実施形態によれば、ギアモータ112は、入力シャフト201に対して横方向に、好ましくは直交するように配置された出力シャフト209を備える。実施形態によれば、ギアモータ112は、ギアモータ112の入力シャフト201と出力シャフト209との間に介在されるギアトレイン250を構成している。ギアトレイン250は、第1トランスミッションホイール202及び第2トランスミッションホイール204を含んで構成される。実施形態によれば、ギアトレイン250は、第1トランスミッションホイール202及び第2トランスミッションホイール204とそれぞれ回転可能に一体化された第3トランスミッションホイール206及び第4トランスミッションホイール207を備える。さらに、実施形態によれば、ギアトレイン250は、第5ホイール208に動きを伝達するように、第3トランスミッションホイール206及び第4トランスミッションホイール207が結合される第5トランスミッションホイール208を備える。第5トランスミッションホイール208は、出力シャフト209と回転可能に一体化されていることが好ましい。実施形態によれば、前記第3トランスミッションホイール206、第4トランスミッションホイール207及び第5トランスミッションホイール208は、直歯を有するギアホイールである。実施形態によれば、前記第3ホイール206及び第4ホイール207は、出力シャフト209の回転速度を減少させるために、同じ直径を有し、両者は第5ホイール208より小さい直径を有する。好ましくは、前記第3ホイール206及び第4ホイール207は、出力シャフト209の回転速度をさらに低下させるために、第1ホイール201及び第2ホイール202よりも小径である。
【0021】
図3を参照すると、入力シャフト201を矢印R1で示す方向に回転させると、第1ホイール202および第2ホイール204がそれぞれ矢印R2およびR3で示す反対方向に回転することに注目することができる。
【0022】
実施形態に従って、ロック装置111を制御することができるアクチュエータ(それ自体は知られていない)が、出力シャフト209上に装着される。例えば、そのようなアクチュエータは、ロック装置111を制御するように構成された、制御ケーブル、好ましくは金属ケーブルを巻いたり解いたりできる、出力シャフト209上に嵌められた支持体を備えてもよい。あるいは、前述のアクチュエータは、ロック装置111に作動的に接続される油圧回路のポンプを作動させるように構成されたレバー、またはロック装置111の電気制御装置を作動させるように構成されたレバーを備えてもよい。
【0023】
ここで
図5~6を参照すると、ギアモータ112の第2実施形態が図式的に示されている。このような第2実施形態によるギアモータは、参照符号112aによって全体的に示されている。なお、ギアモータ112に関する上記の説明は、互換性のある限り、ギアモータ112aにも概ね適用できる。したがって、説明を簡潔にするために、ギアモータ112aの構造についての詳細な説明は省略する。具体的には、
図5~6のギアモータ112aは、
図3~4に示したギアモータ112と比較して、第1トランスミッションホイール202及び第2トランスミッションホイール204が入力シャフト201の同じ側に配置されている点が基本的に異なっている。さらに、実施形態によれば、ギアモータ112aの入力シャフト201は、シャフト201の第1無端ねじ部203の螺旋のねじ山と螺旋方向が一致する第2無端ねじ部205aとを備える。なお、第1トランスミッションホイール202および第2トランスミッションホイール204を入力シャフト201の同じ側に配置することは、有利には入力シャフト201の構造を簡素化することを可能にする。それによって、実際には、入力シャフト201に単一のねじ山を設けることが可能であり、そのねじ山は1つのねじ込み方向のみを有し、そのねじ山には両方のトランスミッションホイール202、204が結合されてもよい。実施形態によれば、入力シャフト201の曲げ応力を低減するために、第1トランスミッションホイール202及び第2トランスミッションホイール204が配置された側に対して入力シャフト201の反対側にコントラストエレメント(図示せず)が設けられてもよい。
【0024】
図5を参照すると、入力シャフト201を矢印F1で示す方向に回転させると、第1ホイール202および第2ホイール204がそれぞれ矢印F2およびF3で示す同じ方向に回転することがわかる。第3トランスミッションホイール206及び第4トランスミッションホイール207は、第5ホイール208に代わって矢印F4で示す方向、すなわち第1ホイール202及び第2ホイール204の回転方向に関して反対方向に回転する。
【0025】
従って、以上の説明に基づいて、上述したタイプの車両用ロックシステムが、先行技術を参照して前述の目的を達成することを可能にすることを理解することができる。
【0026】
それにもかかわらず、本明細書の教示は、多関節四角形運動機構からなるフロントステアリングシステムを備える三輪の転動車両のためのアンチロールロックシステムに限定されないが、他のタイプのシステムにも適用できることに留意されたい。例えば、限定するものではないが、本明細書の教示に照らして、本明細書によるロックシステムを構成する車両用パーキングブレーキも提供されることは、当業者には明らかである。
【0027】
本発明の原理を害することなく、実施形態および構造の詳細は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、非限定的な例として開示された上記の説明に関して広く変化させることが可能である。
【国際調査報告】