(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(54)【発明の名称】軌道設備を処理するための清掃装置
(51)【国際特許分類】
E01B 27/02 20060101AFI20230222BHJP
【FI】
E01B27/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540513
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 EP2020086635
(87)【国際公開番号】W WO2021136672
(87)【国際公開日】2021-07-08
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター ブーフベアガー
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057AB00
2D057CB00
(57)【要約】
本発明は、レール(3)とまくらぎ(4)とから形成された軌道(5)を処理するための清掃装置(8)であって、複数の軸区分(11)から成るブラシ軸(10)を備えており、ブラシ軸(10)は、中空軸として形成されていて、中空軸から半径方向に突出した弾性的な清掃要素(12)を有しており、清掃装置は、少なくとも1つの調整可能な高さ駆動装置(23)を介して、レール(3)上で走行可能な車両(1)に取付け可能である、清掃装置(8)に関する。本発明では、1つの軸区分(11)の少なくとも1つの回転軸線(24)が、軸区分(11)の外側に作用する制御要素(17)を備える制御軸(16)を介して調整可能であることが特定されている。これによって、従来技術に比べて、清掃性能ひいては機械の経済性の向上と同時に、それに伴う清掃パターンの質の改善が達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール(3)とまくらぎ(4)とから形成された軌道(5)を処理するための清掃装置であって、複数の軸区分(11)から成るブラシ軸(10)を備えており、該ブラシ軸(10)は、中空軸として形成されていて、該中空軸から半径方向に突出した弾性的な清掃要素(12)を有しており、前記清掃装置は、少なくとも1つの調整可能な高さ駆動装置(23)を介して、前記レール(3)上で走行可能な車両(1)に取付け可能である、清掃装置において、
1つの軸区分(11)の少なくとも1つの回転軸線(24)が、当該軸区分(11)の外側に作用する制御要素(17)を備える制御軸(16)を介して調整可能であることを特徴とする、清掃装置。
【請求項2】
前記制御要素(17)は、回動可能に支持された前記制御軸(16)に接合されていて、剣に類似の形状に形成されていることを特徴とする、請求項1記載の清掃装置。
【請求項3】
前記制御軸(16)は、機械式の枢着リンク機構(19)と、少なくとも1つの伝動装置(18)とを介して回転されるようになっていることを特徴とする、請求項1または2記載の清掃装置。
【請求項4】
前記伝動装置(18)は、ウォーム伝動装置として構成されていることを特徴とする、請求項3記載の清掃装置。
【請求項5】
前記ブラシ軸(10)の個々の前記軸区分(11)は、カルダンジョイント(13)を介して可動に結合されていること特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の清掃装置。
【請求項6】
前記ブラシ軸(10)は、側方に配置された少なくとも1つのチェーン伝動装置(15)によって駆動されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の清掃装置。
【請求項7】
前記ブラシ軸(10)は、5つの軸区分(11)から成っていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の清掃装置。
【請求項8】
2つの制御要素(17)が、前記軸区分(11)の中間の部分に作用しており、それぞれ1つの制御要素(17)が、前記中間の部分の左右で支持箇所に作用していることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の清掃装置。
【請求項9】
前記ブラシ軸(10)と前記制御軸(16)とは、それぞれの対応する駆動構成要素および支持構成要素とともに、1つの共通のブラシボックス(22)内に配置されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の清掃装置。
【請求項10】
前記ブラシ軸(10)に弾性的に半径方向で配置されている前記清掃要素(12)は、中実材料から形成されているかまたは内部で中空のホース状の製品から形成されていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レールとまくらぎとから形成された軌道を処理するための清掃装置であって、複数の軸区分から成るブラシ軸を備えており、ブラシ軸は、中空軸として形成されていて、この中空軸から半径方向に突出した弾性的な清掃要素を有しており、清掃装置は、少なくとも1つの調整可能な高さ駆動装置を介して、レール上で走行可能な車両に取付け可能である、清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バラスト道床は、軌道座屈を防止するように軌道位置を確保している。そのための前提条件は、バラスト道床の横断面を技術的に適切に構成することである。すなわち、十分な量のバラストを、延在区間全体にわたって可能な限り均一にかつ予め規定された断面形状で分配することである。耐久性を持たせるように突固めを実施することができるようにするためには、十分なバラストが存在していなければならない。
【0003】
バラストの取出しは、相応のバラストプラウによって行われる。サイドプラウによって、例えば道床側面が成形される、すなわち、適切な勾配角度が形成される。サイドプラウは、バラストを道床の上側の領域へ道床頂部に向かって引き出す。道床頂部では、クラウンプラウがこのバラストを把持し、クラウンプラウのガイドプレートの位置に応じて、バラストを軌道領域で分配する。
【0004】
次いで、清掃装置が、取り残されたバラスト粒子の残量をまくらぎ上面から除去する。清掃装置には横方向搬送ベルトが装備されていることが多く、この横方向搬送ベルトが、次いで、余剰のバラストを側方へ降ろすか、または別の搬送ベルトを介して貯蔵サイロへ搬送する。高速区間では清掃装置が特に重要になり、ここでは、いわゆる深部清掃が言及される。この場合、バラストは、まくらぎ区画、すなわち隣り合う2つのまくらぎの間の領域の中間では、まくらぎ上面よりも深くから掃き出される。
【0005】
米国特許第3,007,264号明細書に基づき、軌道横断面にわたって分配されて配置された合計5つの清掃ブラシを備える清掃装置が知られている。それぞれ軌道道床側面を清掃するために設けられている外側の2つの清掃ブラシのブラシ軸は、それぞれ隣り合う清掃ブラシのブラシ軸にカルダンジョイントを介して結合されており、これによって、隣り合う清掃ブラシのブラシ軸に対する角度が調整可能である。一方、5つの清掃ブラシのすべてを1つの共通の駆動装置を介して回転させることができるようになっている。
【0006】
さらに、オーストリア国特許発明第395875号明細書に、軌道のバラスト道床を処理するための軌道工事機械が開示されている。この軌道工事機械は、バラストを除去または清掃するための装置と、場合によっては、バラスト保管および/または軌道内への挿入またはバラスト平坦化を行うための別の装置とを備えている。まくらぎ領域に配置されたバラスト清掃装置は、駆動装置によって互いに独立して高さ調整可能かつ回転可能な、機械横方向で相前後して配置された3つの清掃ローラから成り、これらの清掃ローラの回転軸線は、実質的に機械横方向に延びている。合計3つの清掃ローラは、単にまくらぎ領域の全体にわたって延在しており、外側の2つの清掃ローラの回転軸線は、互いに独立して、中間の清掃ローラの回転軸線または軌道平面に対する角度を調整可能である。
【0007】
両先行技術に上乗せして、欧州特許第2775035号明細書は、改善された使用可能性と、偏心的に形成された支持装置を備えて中空軸内で案内されている制御軸によって実現される調整可能性とを有する清掃装置を示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の根底にある課題は、冒頭に記載した形態の装置のために、従来技術に比べて、種々異なるまくらぎ形状に適合させる際のより高い柔軟性、ならびに清掃性能ひいては機械の経済性の向上と同時に、それに伴う清掃パターンの質の改善を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この課題は、請求項1記載の装置によって解決される。従属請求項は、本発明の有利な構成に関する。
【0010】
本発明は、1つの軸区分の少なくとも1つの回転軸線が、この軸区分の外側に作用する制御要素を備える制御軸を介して調整可能であることを特定している。これによって、制御軸がブラシ軸の内部に、このブラシ軸の傾きの原因となる偏心的に形成された内位の支持装置を備えて構成される、軸の内部に軸が設けられる手間のかかる構造が省略される。これによって、構成要素の製造および工場で行われる組立ても大幅に容易になる。これによって、高価な特殊工具や分割可能な複合的な軸構成も不要になる。
【0011】
制御要素が、回動可能に支持された制御軸に接合されていて、剣に類似の形状に形成されていると有利である。
【0012】
制御要素のスリムな形態と、特にその位置とは、制御要素が清掃要素に接触することのないように相応に選択されている。したがって、清掃要素の望ましくない摩耗を防止することができる。
【0013】
本発明の1つの構成は、制御軸が、機械式の枢着リンク機構と、少なくとも1つの伝動装置とを介して回転されるようになっていることを特定している。
【0014】
相応の枢着機構を介して、並進的に作用するアクチュエータが伝動装置に作用して、この伝動装置が、制御軸をその回転軸線を中心として調整する。この場合、伝動装置によって、並進的な制御運動が、制御軸を駆動する回転自由度に変換される。アクチュエータは、複動式の液圧シリンダとして構成されており、液圧供給は、車両固有の既存の液圧システムを介して行われる。これによって、容易な制御・調整可能性が与えられている。ピストンの位置特定のために、内部に取り付けられた位置/ストローク測定システムが使用されてもよい。
【0015】
この場合、伝動装置が、ウォーム伝動装置として構成されていると特に有利である。
【0016】
セルフロック式のウォーム伝動装置としての実現は、制御軸ひいては係合する調整要素を制御する際の高いプロセス安定性と安全性とを証明する。
【0017】
本発明の別の1つの構成によれば、ブラシ軸の個々の軸区分が、カルダンジョイントを介して可動に結合されていることが特定されている。
【0018】
このことにより、形状接続によるロバストな力伝達が保証されると同時に、複数部分から成るブラシ軸を調整するために必要な軸線方向の長さ補償が保証される。
【0019】
1つの構成は、ブラシ軸が、側方に配置された少なくとも1つのチェーン伝動装置によって駆動されていることを特定している。
【0020】
この配置形態は、構造的な軸懸架のコンパクトな構造形態を可能にする。駆動チェーンホイールは、内側でフランジ結合された液圧式モータによって回転される。
【0021】
ブラシ軸が、5つの軸区分から成っていると特に有利である。
【0022】
5つの部分から成る中空軸構成により、ほぼすべての一般的なまくらぎ形状、特に部分的に傾斜した上面を備えるコンクリート製まくらぎに対する最善の適合可能性が与えられている。この構成は、まくらぎ中間をも完全に捕捉し、望ましくないバラスト溜まりは残らない。この領域は高速交通区間で特に重要であり、このような区間では、いわゆる深部清掃において、まくらぎ区間の中間でまくらぎ上面よりも深くからバラストを掃き出さなければならない。
【0023】
本発明の有意義な改良形態は、2つの制御要素が、軸区分の中間の部分に作用しており、それぞれ1つの制御要素が、中間の部分の左右で支持箇所に作用していることである。
【0024】
調整要素が、ブラシ軸の中間の軸区分に対称的に係合することにより、均一な力伝達がもたらされ、非対称的な負荷によって生じるおそれのある引っ掛かりおよび摩耗現象が抑制される。
【0025】
別の1つの構成は、ブラシ軸と制御軸とが、それぞれの対応する駆動構成要素および支持構成要素とともに、1つの共通のブラシボックス内に配置されていることを特定している。
【0026】
これにより、コンパクトなユニットが形成され、必要に応じて装置全体の迅速な取付けおよび取外しが可能になる。
【0027】
ブラシ軸に弾性的に半径方向で配置されている清掃要素が、中実材料から形成されているかまたは内部で中空のホース状の製品から形成されていることも可能である。
【0028】
これによって、ばら物の性質と粒度とに関して適合させる際の高い柔軟性が与えられている。種々異なるまくらぎ形状が、清掃要素の相応の形状および構成を要求する場合もある。
【0029】
さらに、この構造は、中空軸のより大きな直径ひいてはより大きな軸周面によって優れている。その結果、従来の機械に比べて、より多くの清掃要素が取り付けられる。したがって、均一できれいな清掃パターンを伴う、より高い清掃性能が達成される。
【0030】
以下に、本発明を、添付の図面を参照して例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】軌道設備を処理するための機械の概略的な側面図である。
【
図2】清掃要素を備えた複数部分から成るブラシ軸の概略的な図である。
【
図3】清掃要素を備えた複数部分から成るブラシ軸の概略的な断面図である。
【
図4】清掃要素を備えた複数部分から成るブラシ軸の概略的な等角投影図である。
【
図5】複数部分から成るブラシ軸を清掃要素なしに示す概略的な等角投影図である。
【
図6】ブラシボックスを備えた清掃装置の概略的な側面図である。
【
図7】ブラシボックスを備えた清掃装置の概略的な等角投影図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、レール3とまくらぎ4とから形成された軌道5を処理するための車両1を簡略化して示している。車両1は、レール走行機構2によって軌道5に沿って移動可能である。車両1は、運転・作業室6と、駆動ユニット7と、清掃装置8と、バラスト26を操作するためのプラウ9とを有している。清掃装置8は、調整可能な高さ駆動装置23を介して車両に取り付けられている。
【0033】
図2には、レール3を備えたまくらぎ4の上方の、複数部分から成るブラシ軸10の図が描かれている。ブラシ軸10は、この構成では、中空軸として形成されている5つの軸区分11から成る(
図5も参照のこと)。軸区分11から半径方向に突出するように、弾性材料から成る清掃要素12が構成されており、これらの清掃要素12は個別に交換可能である。軸区分11は、カルダンジョイント13によって互いに接合されている。
【0034】
上記で
図2について説明した実施形態が、
図3に、回転軸線24を通る断面図によって示されている。軸区分11の中間の部分は、2つの制御要素17によって高さ調整可能に構成されており、制御要素17は、左側と右側とで、カルダンジョイント13の領域に作用する。この配置形態は対称的に構成されており、したがって、中間の軸区分に隣接する両方の部分は、絶対値で同一の角度だけ傾いている。
【0035】
図4は、清掃要素12を備えた複数部分から成るブラシ軸10の等角投影図を示している。清掃装置は、調整可能な高さ駆動装置23を介して車両1に取り付けられている。ブラシ軸は、それぞれ側方に配置された2つの液圧式駆動装置14によってチェーン伝動装置15を介して駆動される。制御要素17を備える制御軸16は、装置8の支持フレーム21を介して支持されている。制御軸16に、セルフロック式の2つのウォーム伝動装置18として構成された伝動装置が設けられている。制御は、並進的に作用する液圧シリンダ20によって行われ、この液圧シリンダ20は、機械式の枢着リンク機構19を介してウォーム伝動装置18に結合されている。
【0036】
図5は、すでに
図4で示したように、複数部分から成るブラシ軸10の等角投影図を示しているが、個々の軸区分11を有するブラシ軸10の構造全体と、特に制御要素17の係合点とを見やすく図示するために、清掃要素12を省いている。軸区分11同士は、カルダンジョイント13を介して結合されている。制御要素17が、変位していないニュートラルな位置にある場合、軸区分11の回転軸線24は、制御軸16の回転軸線25に対して平行である。制御軸16は、軸の内部に軸が設けられる(Welle-in-Welle)形態で構成されている。すなわち、中間の軸区分11の左右に直接隣接して作用する2つの中間の制御要素17だけが回動可能に構成されている。その他のすべての制御要素17は、制御軸16の外側形材に固く接合されている。
【0037】
図6は、ブラシボックス22内の清掃装置8の側面図を示している。支持フレーム21は、ブラシボックス22に直接結合されている。
【0038】
図6に対して補足的に、
図7に、ブラシボックス22内の清掃装置8の等角投影図が図示されている。
【国際調査報告】