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特表2023-508667エチレン/ブテンマルチブロックコポリマー及びその製造のためのプロセス
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  • 特表-エチレン/ブテンマルチブロックコポリマー及びその製造のためのプロセス 図1
  • 特表-エチレン/ブテンマルチブロックコポリマー及びその製造のためのプロセス 図2
  • 特表-エチレン/ブテンマルチブロックコポリマー及びその製造のためのプロセス 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-03
(54)【発明の名称】エチレン/ブテンマルチブロックコポリマー及びその製造のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C08F 210/16 20060101AFI20230224BHJP
   C08F 4/643 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
C08F210/16
C08F4/643
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539117
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(85)【翻訳文提出日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 US2020066870
(87)【国際公開番号】W WO2021133925
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】62/954,247
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ペセク、ステイシー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ムンロ、ジェフリー シー.
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、チョー
【テーマコード(参考)】
4J100
4J128
【Fターム(参考)】
4J100AA02P
4J100AA04Q
4J100CA04
4J100DA01
4J100DA04
4J100DA13
4J100DA19
4J100DA24
4J100DA42
4J100DA43
4J100DA49
4J100FA04
4J100FA08
4J100FA10
4J100FA19
4J100FA28
4J100FA30
4J128AA02
4J128AC01
4J128AC09
4J128AC19
4J128AC27
4J128AE06
4J128AE07
4J128BA00A
4J128BA03B
4J128BB00A
4J128BB01B
4J128BC09B
4J128BC12B
4J128BC25B
4J128EB02
4J128EB05
4J128EC02
4J128FA02
4J128FA07
4J128FA09
4J128GA01
4J128GA05
4J128GA06
4J128GA07
4J128GA08
4J128GA16
4J128GA19
(57)【要約】
本開示は、プロセスを提供する。一実施形態では、プロセスは、125Cを超える温度で、重合条件下で、エチレン及びブテンを触媒系と接触させることを含む。触媒系は、(i)式(III)の構造を有する第1の重合触媒と、(ii)式(I)の構造を有する第2の重合触媒と、(iii)鎖シャトリング剤と、を含む。プロセスは、0.06以上のLCB/1000Cを有するエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーを形成することを含む。本開示は、プロセスによって製造された得られた組成物を提供する。一実施形態では、組成物は、0.06以上のLCB/1000Cを有するエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーを含む。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
125℃を超える温度で、重合条件下で、エチレン及びブテンを、
(i)式(III)
【化1】
(式中、
Mがチタン、ジルコニウム又はハフニウムであり、
各Y及びYが、独立して、(C-C40)ヒドロカルビル、(C-C40)トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、ハロゲン、アルコキシド若しくはアミンからなる群から選択されるか、又は、2つのY基が、一緒になって二価のヒドロカルビレン、ヒドロカルバジイル若しくはトリヒドロカルビルシリル基であり、
各Ar及びArが、独立して、(C-C40)アリール、置換(C-C40)アリール、(C-C40)ヘテロアリール、及び置換(C-C40)ヘテロアリールからなる群から選択され、
が、各出現で独立して、Tが結合する2つの酸素原子の間の架橋を形成する飽和C-Cアルキルであり、
各R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13及びR14が、独立して、水素、ハロゲン、(C-C40)ヒドロカルビル、置換(C-C40)ヒドロカルビル、(C-C40)ヘテロヒドロカルビル、置換(C-C40)ヘテロヒドロカルビル、(C-C40)アリール、置換(C-C40)アリール、(C-C40)ヘテロアリール及び置換(C-C40)ヘテロアリール及びニトロ(NO)からなる群から選択される)の構造を有する第1の重合触媒、
(ii)式(I)
【化2】
(式中、
Mがチタン、ジルコニウム又はハフニウムであり、
各Z及びZが、独立して、(C-C40)ヒドロカルビル、(C-C40)トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、ハロゲン、アルコキシド若しくはアミンからなる群から選択されるか、又は、2つのZ基が、一緒になって二価のヒドロカルビレン、ヒドロカルバジイル若しくはトリヒドロカルビルシリル基であり、
各Q及びQ10が、独立して、(C-C40)アリール、置換(C-C40)アリール、(C-C40)ヘテロアリール、及び置換(C-C40)ヘテロアリールからなる群から選択され、
各Q、Q、Q、Q、Q、及びQが、独立して、水素、(C-C40)ヒドロカルビル、置換(C-C40)ヒドロカルビル、(C-C40)ヘテロヒドロカルビル、置換(C-C40)ヘテロヒドロカルビル、ハロゲン、及びニトロ(NO)からなる群から選択され、
各Q及びQが、独立して、(C-C40)アルキル、置換(C-C40)アルキル、及び[(Si)-(C+Si)40]置換オルガノシリルからなる群から選択され、
各Nが、独立して、窒素であり、
任意選択的に、Q1~5基のうちの2つ以上が、一緒に組み合わさって、環構造を形成し、かかる環構造が、任意の水素原子を除外して前記環中に5~16個の原子を有し、
任意選択的に、Q6~10基のうちの2つ以上が、一緒に組み合わさって、環構造を形成することができ、かかる環構造が、任意の水素原子を除外して前記環中に5~16個の原子を有し、
任意選択的に、Q6~10基のうちの2つ以上が、一緒に組み合わさって、環構造を形成することができ、かかる環構造が、任意の水素原子を除外して前記環中に5~16個の原子を有する)の構造を有する第2の重合触媒、
(iii)鎖シャトリング剤、
を含む触媒系と接触させることと、
0.06以上のLCB/1000Cを有するエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーを形成することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
130℃~170℃の温度で、重合条件下で、前記エチレン及びブテンを、
(i)触媒1の構造を有する第1の重合触媒
【化3】
(ii)触媒2の構造を有する第2の重合触媒
【化4】
(iii)ジエチル亜鉛である鎖シャトリング剤、を含む触媒系と接触させることと、
レオロジー比(RR)及び0.1ラジアン毎秒の粘度(V0.1)を有し、RRが式(A)
RR≧[(-3.0×10-8)×(V0.1]+[0.001×(V0.1)]+0.85。式(A)
を満たす、エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーを形成することと、を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
100rad/秒の粘度(V100)を有し、RRが、式(B)
RR≧[(2.0×10-6)×(V100]+[0.003×(V100)]+0.6。式(B)
を満たす、エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーを形成することを含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
0.06以上のLCB/1000Cを有するエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーを含む、組成物。
【請求項5】
前記エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーが、10モル%~30モル%のブテンを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーが、レオロジー比(RR)及び0.1ラジアン毎秒の粘度(V0.1)を有し、RRが式(A)
RR≧[(-3.0×10-8)×(V0.1]+[0.001×(V0.1)]+0.85
を満たす、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーが、100rad/秒の粘度(V100)を有し、RRが式(B)
RR≧[(2.0×10-6)×(V100]+[0.003×(V100)]+0.6
を満たす、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーが、1.2~10.0のレオロジー比(RR)を有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーが、ハードセグメント及びソフトセグメントを含み、前記ソフトセグメントが、-5℃~30℃の溶融温度(SS-Tm)を有する、請求項8に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、弾性挙動、柔軟性、及び加工性などの、エラストマー、低密度ポリオレフィンの重要な特性を維持しながら、高密度ポリエチレンの耐久性及び高温耐性の両方の利点を提供する。エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、典型的には、高密度の「ハード」セグメントと、低密度の「ソフト」セグメントと、を含む。レオロジー比を含むレオロジー特性は、ポリマー分子内に長鎖分岐を組み込むことによってポリオレフィン中で修飾され得る。
【0002】
当該技術分野は、射出成形物品、ポリマー押出/加工、及び薄膜生成などの用途のための改善された剪断減粘性レオロジーを有するエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーの必要性を認識している。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、プロセスを提供する。一実施形態では、プロセスは、用いて125℃を超える温度で、重合条件下でエチレン及びブテンを触媒系と接触させることを含む。触媒系は、(i)式(III)の構造を有する第1の重合触媒と、(ii)式(I)の構造を有する第2の重合触媒と、(iii)鎖シャトリング剤と、を含む。プロセスは、0.06以上のLCB/1000Cを有するエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーを形成することを含む。
【0004】
本開示は、プロセスによって製造された得られた組成物を提供する。一実施形態では、組成物は、0.06以上のLCB/1000Cを有するエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーを含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】ビニレン、三置換、ビニル、及びビニリデンの異なるタイプの炭素-炭素二重(ポリマー鎖中の不飽和)結合の化学構造を示すチャートである。
図2】本開示の実施形態による、本発明の実施例及び比較例の試料の、エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーにおける、0.1rad/秒で測定された、粘度の関数としてのレオロジー比(rheology ratio、RR)を示すグラフである。
図3】本開示の実施形態による、本発明の実施例及び比較例の試料の、100rad/秒で測定された、粘度の関数としてのレオロジー比(RR)を示すグラフである。 定義
【0006】
元素周期表への任意の参照は、CRC Press,Inc.,1990-1991によって出版されたものへの参照である。この表における元素の族への参照は、族の番号付けの新しい表記法による。
【0007】
米国特許実務の目的のため、任意の参照される特許、特許出願、又は刊行物の内容は、特に定義の開示(本開示に具体的に提供されるあらゆる定義と矛盾しない程度に)及び当該技術分野における一般的知識に関して、それらの全体が参照により組み込まれる(又はその同等の米国版が参照によりそのように組み込まれる)。
【0008】
本明細書に開示されている数値範囲は、下限値及び上限値を含む、下限値から上限値のすべての値を含む。明示的な値(例えば、1又は2、又は3~5、又は6、又は7)を含有する範囲の場合、任意の2つの明示的な値の間のあらゆるサブ範囲(例えば、上記の1~7の範囲の場合、1~2、2~6、5~7、3~7、5~6、など)が含まれる。
【0009】
反対の記載がない限り、文脈から暗示的でない限り、すべての部分及びパーセンテージは、重量に基づき、すべての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。
【0010】
本明細書で使用される「ブレンド」又は「ポリマーブレンド」という用語は、2つ以上のポリマーのブレンドである。そのようなブレンドは、混和性(分子レベルで相分離しない)であってもなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、及び当該技術分野において既知の他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含んでいても、いなくてもよい。
【0011】
「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、並びに組成物の材料から形成された反応生成物及び分解生成物を指す。
【0012】
「含む(comprising)」」、「含む(including)」、「有する(having)」という用語、及びそれらの派生語は、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、任意の追加の成分、ステップ、又は手順の存在を除外することを意図しない。疑義を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、反対の記載がない限り、ポリマーであろうとなかろうと、任意の追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、あらゆる続く記述の範囲からあらゆる他の成分、ステップ、又は手順を除外する。「からなる(consisting of)」という用語は、明確に描写若しくは列挙されていない任意の成分、ステップ、又は手順を除外する。「又は」という用語は、特に明記しない限り、列挙された構成部分を個別に、並びに任意の組み合わせで指す。単数形の使用は複数形の使用を含み、その逆もまた同様である。
【0013】
「エチレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント(重量%)超の重合エチレンモノマーを含有し、任意で少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。エチレン系ポリマーは、エチレンホモポリマー、及びエチレンコポリマー(エチレン及び1つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。「エチレン系ポリマー」及び「ポリエチレン」という用語は、交換可能に使用され得る。
【0014】
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるモノマーの重合によって調製されたポリマーである。この総称は、2つの異なるモノマーから調製されたポリマー、及び3つ以上の異なるモノマーから調製されたポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマーなどを指すために通常用いられるコポリマーを含む。
【0015】
「オレフィン系ポリマー」又は「ポリオレフィン」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合オレフィンモノマーを含有するポリマーであり、任意選択的に、少なくとも1つのコモノマーを含み得る。オレフィン系ポリマーの非限定的な例としては、エチレン系ポリマー又はプロピレン系ポリマーが挙げられる。
【0016】
「ポリマー」は、同一のタイプ又は異なるタイプであるかに関わらず、重合形態でポリマーを構成する複数の及び/若しくは繰り返しの「単位」又は「mer単位」を提供するモノマーを重合することによって調製される化合物である。したがって、ポリマーという総称は、ホモポリマーという用語を包含し、通常、1つのタイプのモノマーのみから調製されたポリマーを指すのに用いられ、コポリマーという用語は、通常、少なくとも2つのタイプのモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる。それはまた、例えばランダム、ブロックなどのすべての形態のコポリマーを包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」及び「プロピレン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれ、エチレン又はプロピレンと、1つ以上の追加の重合性α-オレフィンモノマーとを重合することから調製された上述のコポリマーを示す。ポリマーは、多くの場合、1つ以上の特定のモノマー「で作製され」、特定のモノマー又はモノマータイプに「基づいて」、特定のモノマー含有量を「含有する」などと称されるが、この文脈では、「モノマー」という用語は、特定のモノマーの重合残留物を指し、非重合種を指すものではないと理解されることに留意する。一般に、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものを指す。
試験方法
13C NMR
【0017】
13C核磁気共鳴(13C nuclear magnetic resonance、13C NMR)試料は、10mmのNMRチューブ中、0.2gのポリマー試料に、約2.7gの、0.025Mのクロミウムアセチルアセトネートを含むテトラクロロエタン-d/オルトジクロロベンゼンとCr(AcAc)(又は、0.025MのCr(AcAc)を含むテトラクロロエタン-d)との50/50(w:w)混合物を添加することによって調製する。窒素でチューブのヘッドスペースをパージすることにより、試料から酸素を除去する。次に、ヒートブロック及びヒートガンを使用して、チューブ及びその内容物を約135℃に加熱することにより、試料を溶解させ、均質化する。各溶解試料を目視検査して均質性を確認する。
【0018】
NMRデータは、Bruker400MHz又は600MHz分光計のいずれかで、10mmの凍結プローブを使用して収集する。データは、7.3秒パルス反復遅延、90度フリップ角、及び120℃の試料温度を用いた逆ゲート付きデカップリングを使用して収集する。すべての測定は、試料のスピニング無し、及びロックモード、において行う。試料を、データ取得前に7分間熱平衡化させる。13C NMR化学シフトは30.0ppmでのEEEトライアドを内部参照とする。
【0019】
エチレン及びブテンのコモノマー含有量は、参照からの割り当て(Sahoo et al.,Macromolecules,2003,36,4017)及び統合された13C NMRスペクトルを使用して決定してベクトル方程式s=fMを解き、式中、Mは割り当てた行列であり、sはスペクトルの行ベクトルであり、fはモル分率組成のベクトルである。fの要素は、E(エチレン)及びB(ブテン)のすべての並べ替えを伴うE及びBのトライアドとする。割り当てた行列Mは、fにおける各トライアドに対する1つの行と、積分されたNMRシグナルの各々の列とで作成する。行列の要素は、参考文献(Sahoo et al.,Macromolecules,2003,36,4017)の割り当てを参照して決定された整数値である。この方程式は、各試料のs及び積分された13Cデータとの間の誤差関数を最小にするために必要なfの要素の変化によって解く。これは、Solver機能を使用することによって、Microsoft Excelで実行する。
【0020】
13C NMRはまた、ポリマー中の長鎖分岐(long chain branching、LCB)の程度を決定するためにも使用される。LCBは、最初に、1000個の炭素(1000C)についての8.0~45.0ppmの13C NMRピークの積分を設定し、次に、37.95~38.35ppmのメチンピークを積分することによって測定した。この積分をyと仮定すると、LCB/1000C=yとなる。
H NMR
【0021】
H核磁気共鳴(1H nuclear magnetic resonance、H NMR)は、ポリマー中の以下のタイプの炭素-炭素二重結合(「不飽和」)を検出する。「ビニレン」は、式R-CH=CH-Rを有する炭素-炭素二重結合であり、式中、R及びRは、それぞれ、炭素原子又はN、O、P、B、S、及びSiから選択されるヘテロ原子である。「三置換」は、二重結合の炭素が合計3個の炭素原子に結合した炭素-炭素二重結合であり、(図1の)R、R及びRは、それぞれ炭素原子である。「ビニル」は、式R-CH=CH-Rを有する炭素-炭素二重結合であり、式中、Rは、炭素原子又はN、O、P、B、S、及びSiから選択されるヘテロ原子である。「ビニリデン」は、式C=CHを有する炭素-炭素二重結合である。「総不飽和(又は「総」)は、ポリマー中のビニレン、三置換、ビニル、及びビニリデンの合計である。ビニレン、三置換、ビニル、及びビニリデンの化学構造を図1に提供する。
【0022】
H NMR分析用のポリマー試料は、10mm NMRチューブ内で130mgの試料を0.001MのCr(AcAc)を含む50/50重量のテトラクロルエタン-d/パークロロエチレン3.25gに添加することによって調製した。酸化を防止するために、チューブに挿入したピペットを通して、Nをおよそ5分間溶媒に通して通気させることによって、試料をパージし、蓋をし、テフロンテープで密封した。均質性を保証するために、試料を115℃で加熱してボルテックスした。
【0023】
Bruker high-temperature CryoProbeを装備したBruker AVANCE 400/600MHz分光計にて、120℃の試料温度で、H NMRを実施した。スペクトルを得るために、2つの実験、すなわち総ポリマープロトンを定量するための対照スペクトル、及び強いポリマー骨格ピークを抑圧し末端基の定量化のための高感度スペクトルを可能にする二重予備飽和実験、を実行した。対照は、ZGパルス、4回のスキャン、SWH10,000Hz、AQ1.64s、D14sで実行した。二重予備飽和実験を、修正されたパルスシーケンス、lc1prf2.zz1、TD32768,100スキャン、DS4、SWH10,000Hz、AQ1.64s、D 1s、D13 13sを用いて実行した。
【0024】
ASTM D792、方法Bに従い密度を測定する。1立方センチメートル当たりのグラム単位(g/cc)で結果を記録する。
示差走査熱量測定法(differential scanning calorimetry、DSC)
【0025】
示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲にわたる温度のポリマーの溶融、結晶化、及びガラス転移挙動を測定することができる。例えば、RCS(冷蔵冷却システム(refrigerated cooling system))及びオートサンプラーを備えるTA Instruments Discovery DSCを使用して、この分析を実施する。試験中、50ml/分の窒素パージガスのフローを使用する。各試料を約190℃で溶融圧縮して薄いフィルムとする。その後、溶融した試料を室温(約25℃)まで空冷する。3~10mg、直径6mmの試験片を冷却したポリマーから抽出し、秤量し、軽量アルミニウムパン(約50mg)内に置き、圧着して閉じる。次に、分析を実施して、熱的特性を決定する。
【0026】
試料の熱挙動は、試料温度を昇降して熱流量対温度プロファイルを作成することにより決定する。まず、試料を180℃に急速に加熱し、5分間等温に保持して熱履歴を除去する。次に、試料を10℃/分の冷却速度で-90℃まで冷却し、5分間、-90℃の等温に保持する。次に、試料を10℃/分の加熱速度で150℃に加熱する(これが「第2の熱」上昇である)。冷却曲線及び第2の加熱曲線を記録する。
【0027】
ソフトセグメントの溶融温度SS-Tmを、DSC第2加熱曲線から決定する。エチレン/オクテンマルチブロックコポリマー(及びエチレン/ブテンマルチブロックコポリマー)は、典型的に2つの溶融ピークを有し、1つのピークはソフトセグメント及びハードセグメントの各々に関連する。SS-Tmは、より低い温度ピークに関連している。いくつかのブロックコポリマーでは、ソフトセグメントの溶融に関連するピークは、ベースライン上の小さなハンプ(又はバンプ)であり、ピーク最大値を割り当てることが困難になる。この困難性は、通常のDSCプロファイルを、以下の方法を使用して加重DSCプロファイルに変換することによって克服することができる。DSCでは、熱流は、特定の温度で溶融する材料の量、並びに温度依存的な比熱容量に依存する。直鎖状低密度ポリエチレンの溶融レジームにおける比熱容量の温度依存性は、コモノマー含有量の減少に伴う溶融熱の増加をもたらす。すなわち、コモノマー含有量の増加とともに結晶化度が低減するにつれて、融解熱は徐々に低くなる。Wild,L.Chang,S.;Shankernarayanan,M J.Improved method for compositional analysis of polyolefins by DSC.Polym.Prep 1990;31:270-1を参照されたく、また参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。DSC曲線内の所与の点(ワット/グラムで表される熱流及び℃で表される温度によって定義される)について、直鎖状コポリマーについて予想される融解熱の、温度依存性融解熱(ΔH(T))に対する比率を取ることによって、DSC曲線を重量依存性分布曲線に変換することができる。第2の加熱曲線は、-30℃~135℃の熱流の線形ベースラインを引くことによってベースライン補正される。次に、温度依存性融解熱曲線は、2つの連続するデータ点間の積分された熱流の合計から計算され、次いで累積エンタルピー曲線によって全体的に表すことができる。所与の温度での直鎖状エチレン/オクテンコポリマーの溶融熱間の予想される関係は、溶融熱対溶融温度曲線によって示される。ランダムなエチレン/オクテンコポリマーを使用することにより、直鎖状コポリマーの予想される溶融熱、ΔH直鎖状コポリマーの結合、及び溶融温度、T(℃)の、以下の関係式を得ることができる:
【数1】
この場合、この関係式はエチレン/ブテンコポリマーに適用される。各積分データ点について、所与の温度で、累積エンタルピー曲線からのエンタルピーの、その温度での直鎖状コポリマーの予想される融解熱に対する比率を取ることによって、画分重量をDSC曲線の各点に割り当てることができる。この方法は、エチレン/オクテンコポリマーに適用可能であるが、本出願におけるエチレン/ブテンコポリマーなどの他のポリマーに適合させることができる。SS-Tmは、エンタルピー画分重量対温度曲線の最大値の位置として割り当てられる。
【0028】
ガラス転移温度Tgは、Bernhard Wunderlich,The Basis of Thermal Analysis,in Thermal Characterization of Polymeric Materials 92,278-279(Edith A.Turi ed.,2d ed.1997)に記載されている通り、試料の半分が液体の熱容量を獲得したDSC第2加熱曲線から決定される。ガラス転移領域の下及び上からベースラインを引き、Tg領域を通して外挿する。試料の熱容量がこれらのベースラインの中間となる温度が、Tgである。
【0029】
ポリマーの溶融点Tmは、DSC加熱曲線における最大熱流に対応する温度として決定される。
DMSレオロジー
【0030】
レオロジー比(RR)(V0.1/V100)は、Rheometric Scientific,Inc.ARES(Advanced Rheometric Expansion System)動的機械分光計(dynamic mechanical spectrometer、DMS)で溶融レオロジー技術を使用して試料を検査することによって決定される。「25mm」ステンレス鋼平行板を、Advanced Rheometric Expansion System(ARES)に装備する。0.1~100rad/秒の周波数範囲の一定温度動的周波数掃引を、190℃の窒素パージ下で実施した。直径約25.4mmの試料を、圧縮成形プラークから切り出した。試料を下部プレート上に置き、5分間溶融させた。次いで、プレートを2.0mmの間隙まで閉じ、試料を直径25mmに切り落とした。試験開始する前に、試料を190℃で5分間平衡化させた。複素粘度を、10%の一定の歪み振幅で測定した。V0.1は、190℃で0.1rad/秒で測定されたパスカル秒(Pa-s)における粘度である。V100は、190℃で100rad/秒で測定されたPa-sにおける粘度である。
【0031】
【数2】
弾性回復
【0032】
100%及び300%のヒステリシスを、Instron(商標)機器により、ASTM D1708マイクロ引張試験片を使用して、周期的負荷による100%及び300%の歪みから決定する。試料を、21℃で3サイクルにわたり、267%/分-1で負荷及び脱負荷する。300%歪みの周期的実験では、第1の脱負荷からの、150%歪みでの後退応力を記録する。100%歪みの周期的実験では、第1の脱負荷からの、50%歪みでの後退応力を記録する。すべての実験の回復パーセントは、負荷がベースラインに戻るときの歪みを使用して、第1の脱負荷サイクルから計算する。回復パーセントは、次のように定義する:
【数3】
式中、εは、周期的な負荷での歪みであり、εは、第1の脱負荷サイクル中に負荷がベースラインに戻る際の歪みである。
トリプル検出器GPC(Triple Detector GPC、TD-GPC)
【0033】
トリプル検出器ゲル浸透クロマトグラフィー(TD-GPC)用のクロマトグラフィーシステムは、内部IR5赤外線検出器(IR5)を装備したPolymerChar GPC-IR(Valencia,Spain)の高温GPCクロマトグラフで構成した。オートサンプラーオーブンコンパートメントを160℃に設定し、カラムコンパートメントを150℃に設定した。カラムには、4本のAgilent「Mixed A」30cm 20ミクロン線形混合床カラム及び20umのプレカラムを使用した。使用したクロマトグラフィー溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、これは、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有していた。溶媒源を、窒素スパージした。使用した注入体積は200マイクロリットルであり、流速は1.0ミリリットル/分であった。
【0034】
GPCカラムセットの較正を、580~8,400,000の範囲の分子量を有する21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を用いて行い、個々の分子量の間に少なくとも10倍の間隔を有する6つの「カクテル」混合物中に配列した。標準は、Agilent Technologiesから購入した。1,000,000以上の分子量については50ミリリットルの溶媒中の0.025グラムで、また1,000,000未満の分子量については50ミリリットルの溶媒中の0.05グラムでポリスチレン標準物質を調製した。ポリスチレン標準物質を穏やかに撹拌しながら摂氏80度で30分間溶解させた。ポリスチレン標準ピーク分子量を、式1を使用してポリエチレン分子量に変換し(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)):
【数4】
式中、Mは、分子量であり、Aは、0.4315の値を有し、Bは、1.0に等しい。
【0035】
五次多項式を使用して、それぞれのポリエチレン同等較正点に当てはめた。Aに対してわずかな調整(約0.375~0.445)を行い、カラム分解能及びバンド拡張効果を、線状ホモポリマーポリエチレン標準物質が120,000Mwで得られるように補正した。
【0036】
GPCカラムセットの合計プレートカウントは、デカン(50ミリリットルのTCB中0.04gで調製され、穏やかに撹拌しながら20分間溶解した)を用いて行った。プレートカウント(式2)及び対称性(式3)を、200マイクロリットル注入で以下の式に従い測定した:
【数5】
式中、RVはミリリットルでの保持体積であり、ピークの幅はミリリットル単位であり、ピーク最大値はピークの最大位置であり、1/10の高さはピーク最大値の1/10の高さであり、後部ピークはピーク最大値よりも後の保持体積でのピークテールを指し、前部ピークはピーク最大値よりも早い保持体積でのピーク前部を指す。クロマトグラフィーシステムのプレート計数は、18,000超となるべきであり、対称性は、0.98~1.22となるべきである。
【0037】
試料はPolymerChar「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動様式で調製し、2mg/mlを試料の目標重量とし、PolymerChar高温オートサンプラーを介して、予め窒素スパージされたセプタキャップ付きバイアルに溶媒(200ppmのBHTを含有)を添加した。試料を、「低速」振とうしながら摂氏160度で2時間溶解させた。
【0038】
Mn(GPC)、Mw(GPC)、及びMz(GPC)の計算は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェア、各等間隔のデータ回収点(i)におけるベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、及び式1の点(i)における狭い標準較正曲線から得られるポリエチレン等価分子量を使用して、式4~6によるPolymerChar GPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャネル)を使用して、GPC結果に基づいて行った。
【数6】
【0039】
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して各試料に流量マーカー(デカン)を導入した。この流量マーカー(flowrate marker、FM)は、試料中のそれぞれのデカンピーク(RV(FM試料))のRVを、狭い標準較正(RV(FM較正済み))内のデカンピークのそれと整合することによって各試料のポンプ流量(流量(見かけ))を直線的に補正するために使用した。こうして、デカンマーカーピークの時間におけるいかなる変化も、実行全体にわたって流量(流量(有効))における線形シフトに関連すると推測される。流量マーカーピークのRV測定の精度を最高にするため、最小二乗適合ルーチンを使用して、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式にフィットさせる。次に、二次方程式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を求める。流量マーカーのピークに基づいてシステムを較正した後、(狭い標準較正に対する)有効流量を式7のように計算する。流量マーカーのピークの処理は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアにより行った。許容される流量補正では、有効流量が見かけ流量の+/-1%以内であるべきである。
【0040】
流量(有効)=流量(見かけ)(RV(較正済みFM)/RV(FM試料))(式7)
【0041】
g/10分でのメルトインデックス(melt index、MI)(I2)は、ASTM D1238(190℃/2.16kg)に従って測定する。
XRF
【0042】
Spectro-Asoma(Marble Falls、TX)Phoenixエネルギー分散XRF分光計を使用してX線蛍光(X-ray fluorescence、XRF)を行った。分光計には、MoアノードX線管、30kV電源、Mo(2ミル厚)チューブフィルター、1ミル厚のBeウィンドウを備えた大気ネオン密閉ガス比例検出器、及びオペレーティングソフトウェアのバージョン220を装備した。分光計を使用して、試料及び標準についてZnKα特徴的なX線強度及びX線管の後方散乱強度を得た。Phoenix法による検証で使用される操作条件を以下の表Aに列挙する。マルチブロックコポリマーのペレットを、Chemplex Industries,INC.から入手したXRF試料カップに注いだ。(カタログ番号1730)を、ポリプロピレンフィルム(カタログ番号436)とフィットさせた。カップにペレットを充填したが、ペレットがカップの上部を超える程には過充填しなかった。フィルムを、提供されたリングでカップに固定し、ペレットを、清潔なリントフリーペーパータオルで覆われた平坦な表面上でタップした。Analytical SciencesのICP及びXRFに基づいて開発された較正を使用して、データを分析した。報告されたZn濃度値(百万分率、「ppm」)は、+/-10%以内であった。
【表1】
【発明を実施するための形態】
【0043】
本開示は、プロセスを提供する。一実施形態では、提供されるプロセスは、125℃を超える温度で、重合条件下で、エチレン及びブテンを触媒系と接触させることを含む。触媒系は、(i)第1の重合触媒と、(ii)第2の重合触媒と、(iii)鎖シャトリング剤と、を含む。第1の重合触媒は、式(III)の構造を有し、
【化1】
式中、
Mがチタン、ジルコニウム又はハフニウムであり、
各Y及びYが、独立して、(C-C40)ヒドロカルビル、(C-C40)トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、ハロゲン、アルコキシド若しくはアミンからなる群から選択されるか、又は、2つのY基が、一緒になって二価のヒドロカルビレン、ヒドロカルバジイル若しくはトリヒドロカルビルシリル基であり、
各Ar及びArが、独立して、(C-C40)アリール、置換(C-C40)アリール、(C-C40)ヘテロアリール、及び置換(C-C40)ヘテロアリールからなる群から選択され、
が、各出現で独立して、Tが結合する2つの酸素原子の間の架橋を形成する飽和C-Cアルキルであり、
各R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13及びR14が、独立して、水素、ハロゲン、(C-C40)ヒドロカルビル、置換(C-C40)ヒドロカルビル、(C-C40)ヘテロヒドロカルビル、置換(C-C40)ヘテロヒドロカルビル、(C-C40)アリール、置換(C-C40)アリール、(C-C40)ヘテロアリール及び置換(C-C40)ヘテロアリール及びニトロ(NO)からなる群から選択される。
【0044】
第2の重合触媒(ii)は、式(I)の構造を有し、
【化2】
式中、
Mがチタン、ジルコニウム又はハフニウムであり、
各Z及びZが、独立して、(C-C40)ヒドロカルビル、(C-C40)トリヒドロカルビルシリルヒドロカルビル、ハロゲン、アルコキシド若しくはアミンからなる群から選択されるか、又は、2つのZ基が、一緒になって二価のヒドロカルビレン、ヒドロカルバジイル若しくはトリヒドロカルビルシリル基であり、
各Q及びQ10が、独立して、(C-C40)アリール、置換(C-C40)アリール、(C-C40)ヘテロアリール、及び置換(C-C40)ヘテロアリールからなる群から選択され、
各Q、Q、Q、Q、Q、及びQが、独立して、水素、(C-C40)ヒドロカルビル、置換(C-C40)ヒドロカルビル、(C-C40)ヘテロヒドロカルビル、置換(C-C40)ヘテロヒドロカルビル、ハロゲン、及びニトロ(NO)からなる群から選択され、
各Q及びQが、独立して、(C-C40)アルキル、置換(C-C40)アルキル、及び[(Si)-(C+Si)40]置換オルガノシリルからなる群から選択され、
各Nが、独立して、窒素であり、
任意選択的に、Q1~5基のうちの2つ以上が、一緒に組み合わさって、環構造を形成し、かかる環構造が、任意の水素原子を除外しいて環中に5~16個の原子を有し、
任意選択的に、Q6~10基のうちの2つ以上が、一緒に組み合わさって、環構造を形成することができ、かかる環構造が、任意の水素原子を除外して環中に5~16個の原子を有する。
【0045】
触媒系はまた、鎖シャトリング剤(iii)も含む。本プロセスは、0.06以上のLCB/1000Cを有するエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーを形成することを含む。
【0046】
本プロセスは、125℃を超える温度で、重合条件下で、エチレン及びブテンを触媒系と接触させることを含む。本明細書で使用される場合、「重合条件」という用語は、エチレン及びブテンが触媒系の存在下で共重合されるプロセスパラメータを指す。重合条件としては、例えば、重合反応器条件(反応器タイプ)、反応器圧力、反応器温度、試薬及びポリマーの濃度、溶媒、担体、滞留時間及び分布が挙げられ、分子量分布及びポリマー構造に影響を与える。本明細書で使用される重合条件という用語は、125℃を超える重合温度を含む。
【0047】
一実施形態では、重合条件としては、130℃~170℃、又は130℃~160℃、又は140℃~150℃の温度が挙げられる。
【0048】
本プロセスは、125℃を超える温度で、重合条件下で、エチレン及びブテンを触媒系と接触させることを含む。触媒系は、(i)第1の重合触媒(上記式(III))と、(ii)第2の重合触媒(上記式(I))と、(iii)鎖シャトリング剤と、を含む。触媒系は、鎖シャトリング剤を含む。本明細書で使用される場合、「鎖シャトリング剤」は、重合条件下で様々な活性触媒部位間でのポリメリル移動を引き起こすことができる化合物を指す。すなわち、ポリマーフラグメントの移動は、容易かつ可逆的な様式で、活性触媒部位への出入りとして起こる。シャトリング剤又は鎖シャトリング剤とは対照的に、いくつかの主基アルキル化合物のような単に「連鎖移動剤」として作用する剤は、例えば、連鎖移動剤上のアルキル基を触媒上の成長中のポリマー鎖と交換することができ、その結果、一般的に、ポリマー鎖の成長が停止する。この場合、主基中心は、鎖シャトリング剤が行うような様式で、触媒部位との可逆的移動に関与するのではなく、死んだポリマー鎖の貯蔵所として作用し得る。望ましくは、鎖シャトリング剤とポリメリル鎖との間に形成された中間体は、この中間体と他の任意の成長ポリメリル鎖との間の交換に対して十分に安定ではなく、したがって連鎖停止は比較的まれである。
【0049】
本プロセスは、0.06以上のLCB/1000Cを有するエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーを形成することを含む。「エチレン/ブテンマルチブロックコポリマー」という用語は、重合形態にあるエチレン及びブテンのコモノマーからなるエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーを指し、ポリマーは、化学的又は物理的特性が異なる2つの重合モノマー単位(すなわち、エチレン及びブテン)の複数のブロック又はセグメントを特徴とし、ブロックは、直鎖状の様式で結合(又は共有結合)している、すなわち、ポリマーは、重合エチレン性官能基に関して端部同士結合している化学的に区別された単位を含む。ベースエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーとしては、2つのブロック(ジブロック)及び3つ以上のブロック(マルチブロック)を有するブロックコポリマーが挙げられる。エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、スチレン(すなわち、スチレンを含まない)、及び/又はビニル芳香族モノマー、及び/又は共役ジエンを含まないか、そうでなければ除外する。コポリマー中の「エチレン」又は「ブテン」又は「コモノマー」の量を参照するときは、それはその重合単位を指すことが理解される。いくつかの実施形態では、エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、式:(AB)nによって表すことができ、式中、nは、少なくとも1であり、好ましくは1を超える整数、例えば、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、又はそれ以上であり、「A」は、ハードブロック又はセグメントを表し、「B」は、ソフトブロック又はセグメントを表す。A及びBは、実質的に分岐又は実質的に星形の様式とは対照的に、実質的に直鎖状の様式、又は直鎖状の形式で、連結又は共有結合している。他の実施形態では、Aブロック及びBブロックは、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。言い換えれば、ブロックコポリマーは、通常、AAA-AA-BBB-BBのような構造を有さない。一実施形態では、エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、異なるコモノマーを含む第3のタイプのブロックを有さない。別の実施形態では、ブロックA及びブロックBの各々は、ブロック内に実質的にランダムに分布したモノマー又はコモノマーを有する。言い換えれば、ブロックA及びブロックBのいずれも、残りのブロックとは実質的に異なる組成を有する、先端セグメントなどの、別の組成の2つ以上の部分セグメント(又は部分ブロック)を含まない。
【0050】
エチレンは、全エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーの大部分のモル分率を構成する。エチレンは、全エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーの少なくとも50モル%(mol%)を構成する。一実施形態では、エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーの総モルに基づいて、50モル%、又は60モル%、又は65モル%~80モル%、又は85モル%、又は90モル%、又は95モル%のエチレンと、それに相対する量のブテン、又は5モル%、若しくは10モル%、若しくは15モル%、又は20モル%~35モル%、若しくは40モル%、又は50モル%未満のブテンを含有する。更なる実施形態では、エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、5モル%~30モル%のブテン(及び95モル%~70モル%のエチレン)、又は10モル%~25モル%のブテン(及び90モル%~75モル%のエチレン)を含有する。
【0051】
エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、様々な量の「ハード」セグメント及び「ソフト」セグメントを含む。「ハード」セグメントは、エチレンが、ポリマーの重量に基づいて、90重量%超、又は95重量%、又は95重量%超、又は98重量%超、最大100重量%の量で存在する重合単位のブロックである。言い換えれば、ハードセグメント中のコモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)は、ポリマーの重量に基づいて、10重量%未満、又は5重量%、又は5重量%未満、又は2重量%未満であり、最低でゼロであり得る。いくつかの実施形態では、ハードセグメントは、すべて、又は実質的にすべてがエチレンに由来する単位を含む。「ソフト」セグメントは、コモノマー含有量(ブテンの含有量)が、ポリマーの重量に基づいて、5重量%超、又は8重量%超、又は10重量%超、又は15重量%超である重合単位のブロックである。一実施形態では、ソフトセグメントのコモノマー含有量は、20重量%を超える、又は25重量%を超える、又は30重量%を超える、又は35重量%を超える、又は40重量%を超える、又は45重量%を超える、又は50重量%を超える、又は60重量%を超え、最大100重量%であり得る。
【0052】
ソフトセグメントは、エチレン/ブテンマルチブロックコポリマー中において、エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーの総重量の、1重量%、又は5重量%、又は10重量%、又は15重量%、又は20重量%、又は25重量%、又は30重量%、又は35重量%、又は40重量%、又は45重量%から55重量%、又は60重量%、又は65重量%、又は70重量%、又は75重量%、又は80重量%、又は85重量%、又は90重量%、又は95重量%、又は99重量%で存在することができる。逆に、ハードセグメントは、同様の範囲で存在することができる。ソフトセグメントの重量百分率及びハードセグメントの重量百分率は、DSC又はNMRから得られたデータに基づいて計算することができる。かかる方法及び計算は、例えば、米国特許第7,608,668号に開示されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特に、ハード及びソフトセグメントの重量パーセント、並びにソフトセグメントの溶融温度(SS-Tm)は、米国特許第7,608,668号の第57カラム~第63カラムに記載されるように決定され得る。
【0053】
エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、直鎖状形式で結合(又は共有結合)した2つ以上の化学的に異なる領域又はセグメント(「ブロック」と称される)を含み、すなわち、それはペンダント又はグラフト化された様式ではなく、重合エチレン性官能基に関して端と端で結合している化学的に区別された単位を含有する。ブロックは、組み込まれたコモノマーの量若しくは種類、密度、結晶化度の量、そのような組成物のポリマーに起因し得る結晶子径、立体規則性の種類若しくは度合(アイソタクチック若しくはシンジオタクチック)、レジオ規則性若しくはレジオ不規則性、分枝の量(長鎖分枝若しくは超分枝を含む)、均質性、又は任意の他の化学的若しくは物理的特性が異なる。連続的なモノマー添加、流動触媒、又はアニオン重合技術によって生成されるインターポリマーを含む、従来技術のブロックインターポリマーと比較して、本発明のエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、一実施形態では、ポリマー多分散性(PDI又はMw/Mn又はMWD)、多分散ブロック長分布、及び/又はそれらの調製に使用される複数の触媒と組み合わせたシャトル剤の効果による多分散ブロック数分布の両方の独特の分布によって特徴付けられる。
【0054】
一実施形態では、エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、連続プロセスで製造され、1.7~3.5、又は1.8~3、又は1.8~2.5、又は1.8~2.2の多分散指数(Mw/Mn)を有する。バッチ又はセミバッチプロセスで製造される場合、エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、1.0~3.5、又は1.3~3、又は1.4~2.5、又は1.4~2のMw/Mnを有する。
【0055】
加えて、エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、ポアソン分布ではなく、シュルツ・フロリー分布に適合するPDI(又はMw/Mn)を有する。本発明のエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、多分散ブロック分布と並んでブロックサイズの多分散分布の両方を有する。これにより、改善された区別可能な物理的特性を有するポリマー生成物が形成される。多分散ブロック分布の理論上の利点は、Physical Review E(1998)57(6),pp.6902-6912、及びDobrynin,J.Chem.Phvs.(1997)107(21),pp.9234-9238において以前にモデル化され、検討されている。
【0056】
一実施形態では、本エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、ブロック長の最確分布を有する。
【0057】
本プロセスは、1000個の炭素当たり0.04以上、又は0.06以上の長鎖分岐若しくは0.06LCB/1000Cの長鎖分岐(LCB)を有するエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーを形成する。1000個の炭素当たりの長鎖分岐、又は「LCB/1000C」は、ポリオレフィン分子中の長鎖分岐(炭素1000個当たり6個を超える炭素を有する炭素鎖)の数の比である。言い換えれば、LCB/1000Cは、ポリマー鎖に組み込まれた炭素数6を超える長さの炭素鎖の数の測定値である。より大きなLCB/1000C値を有するポリマーは、より小さいLCB/1000C値を有するポリマーと比較して、ポリマー骨格に沿ってより長い鎖分岐を有する。他のすべてのポリマー特性を等しくしたとき、より大きなLCB/1000C値は、典型的には、より大きな剪断減粘性粘度をもたらす。
【0058】
一実施形態では、本プロセスは、0.04~0.80、又は0.05~0.20、又は0.06~0.15のLCB/1000C含有量を有するエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーを形成することを含む。
【0059】
一実施形態では、本プロセスは、130℃~170℃の温度で、重合条件下で、エチレン及びブテンを触媒系と接触させることを含む。触媒系は、
(i)ハフニウム、[[2’,2’’’-[1,4-ブタンジイルビス(オキシ-κO)]ビス[3-(9H-カルバゾール-9-イル)-5-メチル-5’-フルオロ[1,1’-ビフェニル]-2-オラト-κO]](2-)]ジメチル-であり、以下の触媒1の構造を有する、第1の重合触媒
【化3】
(ii)ハフニウム、ジメチルビス[N-(2-メチルプロピル)-6-(2,4,6-トリメチルフェニル)-2-ピリジン-アミノ-κN1、κN2]-であり、以下の触媒2の構造を有する、第2の重合触媒、
【化4】
(iii)ジエチル亜鉛である鎖シャトリング剤、を含む。本プロセスは、あるレオロジー比(RR)及び0.1ラジアン毎秒の粘度(V0.1)を有するエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーを形成することを含み、RRは、式(A)を満たす:
【数7】
【0060】
一実施形態では、本プロセスは、上記の式(A)を満たすエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーを形成することを含み、エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーはまた、RRが式(B)を満たす100rad/秒の粘度(V100)を有する:
【数8】
【0061】
本開示は、前述の重合プロセスから形成された組成物を提供する。一実施形態では、組成物は、0.04以上、又は0.06以上のLCB/1000Cを有するエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーを含む。
【0062】
一実施形態では、組成物は、0.04LCB/1000C~0.80LCB/1000C、又は0.05LCB/1000C~0.20LCB/1000C、又は0.06LCB/1000C~0.15LCB/1000CのLCB/1000C含有量を有するエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーを含む。
【0063】
一実施形態では、組成物のエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーの総モルに基づいて、10モル%~30モル%のブテンと、相対量のエチレン又は90モル%~70モル%のエチレンと、を含む。
【0064】
一実施形態では、組成物のエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、あるレオロジー比(RR)及び0.1ラジアン毎秒(V0.1)の粘度を有し、RRは、式(A)を満たす:
【数9】
【0065】
一実施形態では、組成物のエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、上記の式(A)を満たし、エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーはまた、RRが式(B)を満たす100rad/秒の粘度(V100)を有する:
【数10】
【0066】
一実施形態では、組成物のエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、1.2~10.0のレオロジー比(RR)を有する。更なる実施形態では、エチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、1.2~8.0のRRを有し、RRは、式(A)を満たし、式(B)を満たす。
【0067】
一実施形態では、組成物のエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、ハードセグメント及びソフトセグメントを有し、ソフトセグメントは、-5℃~35℃、又は-5℃~33℃、又は-5℃~30℃のソフトセグメント溶融温度(SS-Tm)を有する。
【0068】
一実施形態では、組成物のエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、-50℃~-70℃、又は-52℃~-66℃のガラス転移温度(glass transition temperature、Tg)を有する。
【0069】
一実施形態では、組成物のエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、0.860g/cc~0.890g/cc、又は0.865g/cc~0.885g/ccの密度を有する。
【0070】
一実施形態では、組成物のエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、105℃~122℃、又は109℃~120℃のTmを有する。
【0071】
更なる実施形態では、組成物のエチレン/ブテンコポリマーは、0.1g/10分~40.0g/10分、又は0.5g/10分~20g/10分、又は1.0~10g/10分、又は1.0g/10分~5g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0072】
一実施形態では、組成物のエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、ASTM D1708に従って測定したとき、21℃で、300%/分の変形速度で、50%、又は60%~70%、又は80%、又は90%の弾性回復(elastic recovery、Re)を有する。
【0073】
一実施形態では、組成物のエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、ブロックの多分散分布及びブロックサイズの多分散分布を有する。
【0074】
一実施形態では、組成物のエチレン/ブテンマルチブロックコポリマーは、以下の特性のうちの1つ、いくつか、又はすべてを有する:
(i)0.05~0.20、若しくは0.06~0.15のLCB/1000C含有量、並びに/又は
(ii)10モル%~30モル%のブテン、並びに/又は
(iii)1.2~8.0のレオロジー比(RR)、並びに/又は
(iv)RR≧(-3.0×10-8)×(V0.1+0.001×(V0.1)+0.85であるV0.1、並びに/又は
(v)RR≧(2.0×10-6)×(V100+0.003×(V100)+0.6であるV100、並びに/又は
(vi)-5℃~35℃、若しくは-5℃~33℃、若しくは-5℃~30℃のSS-Tm、並びに/又は
(vii)-50℃~-70℃のTg、並びに/又は
(viii)0.860g/cc~0.890g/ccの密度、並びに/又は
(ix)105℃~122℃のTm、並びに/又は
(x)0.1g/10分~40.0g/10分、若しくは0.5g/10分~20g/10分のメルトインデックス(I2)、並びに/又は
(xi)50%~90%の弾性回復(Re)、並びに/又は
(xii)1.7~3.5のMw/Mn、並びに/又は
(xiiii)ブロックの多分散分布及びブロックサイズの多分散分布。
【0075】
以下の実施例において、本開示のいくつかの実施形態を、限定ではなく例示として記載する。
【実施例
【0076】
以下の表1は、比較試料(Comparative Sample、CS)A~C及び本発明の実施例(Inventive Example、IE)1~5を調製するために使用した触媒、共触媒、並びに鎖シャトリング剤を提供する。
【表2】
CS A~C及びIE 1~5の重合
【0077】
反応環境に導入する前に、すべての原材料(モノマー及びコモノマー)並びにプロセス溶媒(狭い沸点範囲の高純度イソパラフィン溶媒、Isopar-E)を分子篩で精製する。水素は、高純度グレードとして加圧されて供給し、更に精製しない。反応器モノマーの供給流を、圧縮機によって反応圧力より高い圧力に加圧する。溶媒及びコモノマーの供給を、ポンプを介して反応圧力より高い圧力に加圧する。個々の触媒成分を、精製された溶媒で手作業でバッチ希釈し、反応圧力より高い圧力に加圧する。すべての反応供給流を、質量流量計を用いて測定し、コンピュータにより自動化されたバルブ制御システムによって独立して制御する。
【0078】
十分に混合された連続溶液反応器で重合が起こる。新鮮な溶媒、モノマー、コモノマー、水素、及び触媒成分のすべての供給について、独立した制御が可能である。反応器への全新鮮供給流(溶媒、モノマー、及び水素)は、供給流を熱交換器に通すことによって温度制御される。重合反応器への新鮮なコモノマー供給を反応器に注入する。触媒、共触媒、及び鎖シャトリング剤を、特別に設計された注入スティンガーを通じて反応器に注入する。第1の重合触媒成分の供給を、コンピュータ制御し、反応器モノマーの転化を特定の目標値に維持する。第2の重合触媒の供給対全触媒の供給のモル比を、ポリマーのソフトセグメントとポリマーのハードセグメントとの間の所望の分割が維持されるよう調整する。共触媒成分を、触媒成分に対して計算された特定のモル比に基づいて供給する。
【0079】
反応器流出物は、好適な試薬(水)の添加及びそれとの反応により流出物が非活性化される、ゾーンに入る。この同じ反応器出口位置に、ポリマーの安定化のために他の添加剤が添加される。触媒の非活性化及び添加剤の添加に続いて、反応器流出物は、ポリマーが非ポリマー流から除去される脱揮発システムに入る。単離されたポリマー溶融物をペレット化し、回収する。
【0080】
表2の値に対応する反応器流の供給データフローを使用して、比較試料及び実施例を製造する。
【0081】
比較試料(CS)CS A~C及び本発明の実施例(IE)IE 1~5の重合条件を、以下の表2に提供する。
【表3】
【0082】
表2で生成されたCS A~C及びIE 1~5の特性を以下の表3に示す。
【表4】
【0083】
エチレン/ブテンマルチブロックブロックコポリマーを、2つの異なる触媒ペアで生成する。触媒A及び触媒Bを利用して、比較試料A~Cを生成した。表3に示されるように、13C NMRを使用してもCS A~CS Cでは、長鎖分岐は、ないか、又は実質的に検出不可能である。しかしながら、触媒1及び触媒2を利用し、(反応器温度の上昇を除き)同様のプロセス条件下で本発明の実施例1~5を生成したとき、13-C NMRで0.06LCB/1000C~0.12LCB/1000Cの範囲のエチレン/ブテンマルチブロックコポリマー中長鎖分岐が検出された。
【0084】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態及び例示に限定されず、実施形態の一部、及び異なる実施形態の要素の組み合わせを含むそれらの実施形態の変更された形態を、以下の特許請求の範囲に該当する範囲で含むことが特に意図されている。
図1
図2
図3
【国際調査報告】