(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-03
(54)【発明の名称】CD163抗体または結合タンパク質
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230224BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230224BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230224BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230224BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230224BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230224BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230224BHJP
C12P 21/02 20060101ALI20230224BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20230224BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230224BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
C12P21/08
A61K39/395 N
A61P31/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022539134
(86)(22)【出願日】2020-12-24
(85)【翻訳文提出日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 GB2020053370
(87)【国際公開番号】W WO2021130502
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】508056235
【氏名又は名称】エコ アニマルヘルス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】オーウェン チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ベンチャオウイ ハフィド アブデラーリ
(72)【発明者】
【氏名】テイト バーカード クリスティーン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG26
4B064AG27
4B064BJ12
4B064CA02
4B064CA05
4B064CA08
4B064CA09
4B064CA10
4B064CA11
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA83X
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4B065AA87Y
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4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA43
4C085AA14
4C085CC23
4C085GG01
4C085GG08
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA05
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、ブタにおけるブタ生殖器呼吸器症候群(PRRS)ウイルス感染の治療または予防に使用するための、ブタCD163に結合するモノクローナル抗体を提供する。好ましい抗体は、ブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含み、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、アミノ酸配列XYADまたはXYAEまたはXYANを含み、式中、Xが任意のアミノ酸であり得る、可変重鎖(VH)CDR2を含む。核酸分子、発現ベクターおよび組成物も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブタにおけるPRRSウイルス感染の治療または予防に使用するための、ブタCD163に結合するモノクローナル抗体。
【請求項2】
前記抗体が、ブタCD163のSRCR5ドメインに結合する能力を有する、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項3】
前記抗体が、1型および/または2型PRRSV感染を阻害する能力を有する、請求項1または2に記載のモノクローナル抗体。
【請求項4】
ブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含み、前記抗原結合ドメインが、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、アミノ酸配列XYADまたはXYAEまたはXYANを含む可変重鎖(VH)CDR2を含み、式中、Xは、任意のアミノ酸、好ましくはY、L、P、N、F、もしくはR、より好ましくはY、F、L、N、もしくはR、またはY、PもしくはL、最も好ましくはYであり得る、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用に好適な抗体。
【請求項5】
ブタCD163(配列番号116)のアミノ酸L526およびL527を含むか、またはそれらに対応するブタCD163の前記SRCR5ドメイン内のエピトープに結合する抗原結合ドメインを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用に好適な抗体、または請求項4に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗原結合ドメインが、配列番号116のアミノ酸L526、L527およびS507、もしくはL526、L527およびE509、もしくはL526、L527、S507およびE509を含むか、またはそれらに対応するブタCD163の前記SRCR5ドメイン内のエピトープに結合する、請求項5に記載の抗体。
【請求項7】
ブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含み、前記抗原結合ドメインが、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、
(i)RYVMG(配列番号2)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して、1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1と、
(ii)GIAWSGRAPYADSVKG(配列番号3)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2と、
(iii)GEGAIRWTTLDAYDY(配列番号4)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3と、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用に好適な抗体、または請求項4~6のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項8】
前記重鎖可変領域が、
(i)RYVMG(配列番号2)またはそれに実質的に相同な配列のVH CDR1であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つまたは2つのアミノ酸変化を含む配列である、VH CDR1と、
(ii)X
1 I X
3 W S G R A P Y A D S V K G(配列番号73)のVH CDR2であって、式中、X
1またはX
3が、任意のアミノ酸であり得、好ましくはX
1が、GもしくはAであり、かつ/またはX
3が、AもしくはSである、VH CDR2と、
(iii)G E G A I X
6 W T T X
10 X
11 A Y X
14 Y(配列番号75)のVH CDR3であって、式中、X
6、X
10 X
11およびX
14が、任意のアミノ酸であり得、好ましくはX
6が、RもしくはKもしくはLであり、X
10が、LもしくはPであり、X
11が、DもしくはGであり、かつ/またはX
14が、DもしくはNである、VH CDR3と、を含む、請求項7に記載の抗体。
【請求項9】
前記重鎖可変領域が、
(i)RYVMG(配列番号10)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1と、
(ii)AISWSGRAPYADSVKG(配列番号11)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2と、
(iii)GEGAIKWTTLDAYDY(配列番号12)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3と、を含む、請求項7または8に記載の抗体。
【請求項10】
前記重鎖可変領域が、
(i)RYVMG(配列番号2)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1と、
(ii)GIAWSGRAPYADSVKG(配列番号3)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2と、
(iii)GEGAIRWTTLDAYDY(配列番号4)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3と、を含む、請求項7または請求項8に記載の抗体。
【請求項11】
前記重鎖可変領域が、
(i)RYVMG(配列番号18)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1と、
(ii)GIAWSGRAPYADSVKG(配列番号19)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2と、
(iii)GEGAILWTTPGAYNY(配列番号20)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3と、を含む、請求項7または8に記載の抗体。
【請求項12】
ブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含み、前記抗原結合ドメインが、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、
(i)TYSMG(配列番号26)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して、1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1と、
(ii)AHRWSGSAYYAEHADSVEG(配列番号27)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2と、
(iii)GVGSAAQYRY(配列番号28)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3と、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用に好適な抗体、または請求項4~6のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項13】
前記重鎖可変領域が、
(i)X
1 X
2 S M G(配列番号77)のVH CDR1であって、式中、X
1またはX
2が、任意のアミノ酸であり得、好ましくはX
1が、TもしくはPであり、かつ/またはX
2が、YもしくはGである、VH CDR1と、
(ii)A H R W S G S A Y Y A X
12 X
13 A D S V E G(配列番号79)のVH CDR2であって、式中、X
12またはX
13が、任意のアミノ酸であり得、好ましくはX
12が、EもしくはDであり、かつ/またはX
13が、HもしくはYである、VH CDR2と、
(iii)G V G S X
5 A Q Y X
9 Y(配列番号81)のVH CDR3であって、式中、X
5およびX
9が、任意のアミノ酸であり得、好ましくはX
5が、AもしくはEであり、かつ/またはX
9が、RもしくはTである、VH CDR3と、を含む、請求項12に記載の抗体。
【請求項14】
前記重鎖可変領域が、
(i)TYSMG(配列番号26)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1と、
(ii)AHRWSGSAYYAEHADSVEG(配列番号27)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2と、
(iii)GVGSAAQYRY(配列番号28)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3と、を含む、請求項12または13に記載の抗体。
【請求項15】
前記重鎖可変領域が、
(i)PGSMG(配列番号34)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1と、
(ii)AHRWSGSAYYADYADSVEG(配列番号35)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2と、
(iii)GVGSAAQYTY(配列番号36)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3と、を含む、請求項12または13に記載の抗体。
【請求項16】
前記重鎖可変領域が、
(i)TYSMG(配列番号42)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1と、
(ii)AHRWSGSAYYAEHADSVEG(配列番号43)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2と、
(iii)GVGSEAQYRY(配列番号44)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3と、を含む、請求項12または13に記載の抗体。
【請求項17】
ブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含み、前記抗原結合ドメインが、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、
(i)SYSMG(配列番号50)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1と、
(ii)AITWNGYITNYADSVKG(配列番号51)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2と、
(iii)TTFSTTSPISRTYNY(配列番号52)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3と、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用に好適な抗体、または請求項4~6のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項18】
ブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含み、前記抗原結合ドメインが、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、
(i)TYAMG(配列番号58)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1と、
(ii)IISFGGTFYADSVKGのアミノ酸配列(配列番号59)、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2と、
(iii)GRTLSKRADSYAS(配列番号60)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3と、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用に好適な抗体、または請求項4~6のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項19】
ブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含み、前記抗原結合ドメインが、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、
(i)MYAMS(配列番号66)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1と、
(ii)AINTSGRYSRYADSVKG(配列番号67)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2と、
(iii)TDKGNWALAMSYDY(配列番号68)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3と、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用に好適な抗体、または請求項4~6のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項20】
前記抗体が、2型PRRSV感染を特異的に阻害することができる、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用に好適な抗体、または請求項4~6のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項21】
前記抗体が、2型PRRSV感染を特異的に阻害することができ、ブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含み、前記抗原結合ドメインが、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、
(i)VYGTGのアミノ酸配列(配列番号84)、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1と、
(ii)GISGTTGSTLYADSVKGのアミノ酸配列(配列番号85)、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2と、
(iii)GGRVYITTSSWAY(配列番号86)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3と、を含む、請求項20に記載の抗体。
【請求項22】
前記抗体が、2型PRRSV感染を特異的に阻害することができ、ブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含み、前記抗原結合ドメインが、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、
(i)RYAMG(配列番号92)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1と、
(ii)AIAWSTGSTYYANSVKG(配列番号93)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2と、
(iii)ETRYCSGFGCLDPRTYGS(配列番号94)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3と、を含む、請求項20に記載の抗体。
【請求項23】
前記抗体が、2型PRRSV感染を特異的に阻害することができ、ブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含み、前記抗原結合ドメインが、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、
(i)TDTMAのアミノ酸配列(配列番号100)、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1と、
(ii)GIGRSGGSIYYADAVKG(配列番号101)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2と、
(iii)RQRIGLVVGALGYDY(配列番号102)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較し1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3と、を含む、請求項20に記載の抗体。
【請求項24】
前記抗体が、2型PRRSV感染を特異的に阻害することができ、ブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含み、前記抗原結合ドメインが、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域が、
(i)DYTIGのアミノ酸配列(配列番号108)、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1、であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1と、
(ii)CINSITSNTYYADSVKG(配列番号109)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2と、
(iii)DSGLFSGSSCLKYRAMRFGS(配列番号110)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前記実質的に相同な配列が、所与のCDR配列と比較して1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3と、を含む、請求項20に記載の抗体。
【請求項25】
前記抗体が、単一ドメイン抗体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用に好適な抗体、または請求項4~24のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項26】
前記抗体が、1型および2型PRRSV感染を阻害することができ、好ましくは前記抗体が、宿主細胞を感染させる2型PRRSVの能力を少なくとも50%阻害することができ、かつ/または宿主細胞を感染させる1型PRRSVの能力を少なくとも50%、少なくとも80%または少なくとも90%阻害することができる、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用に好適な抗体、または請求項4~19もしくは25のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項27】
前記抗体が、2型PRRSV感染を特異的に阻害することができ、好ましくは前記抗体が、宿主細胞を感染させる2型PRRSVの能力を少なくとも40%阻害することができ、より好ましくは、前記抗体が、宿主細胞を感染させる1型PRRSVの能力を著しく阻害しない、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用に好適な抗体、または請求項4~6もしくは20~25のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項28】
請求項7~24のいずれか一項に記載の抗体と同じブタCD163のエピトープに結合する抗体。
【請求項29】
請求項7~24のいずれか一項に記載の2つ以上の抗体の組み合わせ、または請求項7~19のいずれか一項に記載の抗体と請求項21~24のいずれか一項に記載の抗体との組み合わせ。
【請求項30】
請求項4~28のいずれか一項に記載の抗体をコードするヌクレオチド配列を含む1つ以上の核酸分子、あるいは
そのような核酸分子を含む1つ以上の発現ベクター、あるいは前記発現ベクターもしくは核酸分子を含むか、または請求項4~28のいずれか一項に記載の抗体を発現する1つ以上の宿主細胞。
【請求項31】
請求項4~28のいずれか一項に記載の抗体を産生する方法であって、前記方法が、(i)請求項30で定義された、前記発現ベクターのうちの1つ以上または前記核酸配列のうちの1つ以上を含む宿主細胞を、コードされた前記抗体の発現に好適な条件下で培養する工程と、任意選択で、(ii)前記宿主細胞または増殖培地/上清から発現した前記抗体を単離または取得する工程とを含む、方法。
【請求項32】
請求項4~28のいずれか一項に記載の抗体、または請求項29に記載の抗体の組み合わせ、または請求項30に記載の1つ以上の核酸分子もしくは発現ベクターを含む組成物、好ましくは医薬的に許容される組成物。
【請求項33】
治療に使用するための、好ましくはブタにおけるPRRSウイルス感染の治療または予防に使用するための、請求項4~28のいずれか一項に記載の抗体、または請求項29に記載の抗体の組み合わせ、または請求項30に記載の1つ以上の核酸分子もしくは発現ベクター。
【請求項34】
ブタにおけるPRRSウイルス感染の治療または予防に使用するための薬物もしくは組成物の製造における、請求項4~28のいずれか一項に記載の抗体、または請求項29に記載の抗体の組み合わせ、または請求項30に記載の1つ以上の核酸分子もしくは発現ベクターの使用。
【請求項35】
ブタにおけるPRRSウイルス感染の治療または予防の方法であって、前記方法が、それを必要とする対象に、治療有効量の請求項4~28のいずれか一項に記載の抗体、または請求項29に記載の抗体の組み合わせ、または請求項30に記載の1つ以上の核酸分子もしくは発現ベクターを投与する工程を含む、方法。
【請求項36】
1型および/または2型PRRSV感染の治療または予防における、請求項33に記載の使用のための分子、請求項34に記載の使用、または請求項35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、CD163(分化抗原群163)に結合する結合タンパク質、具体的には抗体、特にブタのCD163に結合する結合タンパク質および抗体の分野に関する。このような抗CD163結合タンパク質および抗体は、ブタ生殖器呼吸器症候群(PRRS)ウイルス感染症などの感染症の治療または予防などにおいて、治療および保護に使用され、例えば、発生率および重症度を軽減する。結合タンパク質および抗体ベースの組成物、方法およびキットも提供される。
【0002】
ブタ生殖器呼吸器症候群(PRRS)は、世界で最も壊滅的なウイルス性ブタ疾患の1つであり、養豚業界に多大な経済的損失をもたらす。原因物質は、PRRSウイルス(PRRSV)であり、ニドウイルス目内のアルテリウイルス科に分類されるエンベロープRNAウイルスである。PRRSVは、宿主と細胞の向性が制限されており、重要な標的細胞としてブタ肺胞マクロファージ(PAM)がある。臨床症状は多様であるが、若齢ブタおよび幼い子ブタにおける呼吸困難と呼吸器疾患、後期流産と未経産ブタおよび母ブタの死産、妊娠初期の胎児の再吸収、仕上げブタの低成長などがある。妊娠の減少または喪失、幼い子ブタの死亡、およびすべてのPRRSV感染ブタの成長率の低下により、米国単独で豚肉生産者にとって年間6億5,000万ドルを超える損失と推定される。
【0003】
現在知られているすべてのPRRSV分離株は、1型(PRRSV-1)または2型(PRRSV-2)の2つの遺伝子型(または種)のうちの1つに分類され、これらの両型は、長期感染および同様の臨床症状を引き起こすが、ヌクレオチドレベルではわずかに約60%の同一性を有する。遺伝子型1はヨーロッパに由来し、ヨーロッパのPRRSV分離株または系統株に見られる傾向があるが、遺伝子型2は北米に由来し、アジアまたはアメリカの分離株または系統株に見られる傾向がある(Stoian and Rowland,2019,Vet.Sci.,6,9によるレビューを参照)。各遺伝子型には大きな多様性があり、2006年以降、特に中国およびベトナムで出現した新しい高病原性株を含む、多数の株が特定されている。同様の高病原性株は、マレーシア半島からロシア南部に広がる他の箇所でも出現しており、これらはブタ個体数に対する脅威を増大させている(An et al.,2011,Emerging Infect Dis 17(9):1782)。中国だけでも、2006年および2007年にPRRSウイルス感染のために、毎年2,000万頭を超えるブタが殺処分された(An et al.,2010,Emerging Infect Dis 16(2):365)。最近では、ヨーロッパで大発生を引き起こしている毒性株の症例報告は、PRRSウイルスの出現の増加を脅威として示している(Sinn et al.,2016,Porcine Health Management(2):28)。
【0004】
スカベンジャー受容体CD163は、PRRSV感染の重要な侵入メディエーターであり、したがってPRRSV感染において重要な役割を有する。CD163は、130kDaのI型膜貫通タンパク質であり、シグナルペプチドとそれに続く9つのスカベンジャー受容体システインリッチ(SRCR)ドメインを有し、各々は長さが約100アミノ酸で、35アミノ酸のプロリン-セリン-スレオニン(PST)-リッチ領域がSRCRドメイン6(SRCR6)とSRCR7を分離している。第2のPSTリッチ領域は、SRCR9を膜貫通ドメインと、機能的な内部移行モチーフを含む短い細胞質側末端とに接続する。CD163の表面発現は、単球-マクロファージ系の細胞に限定されている。CD163のSRCR5ドメインは、PRRSVによるブタ肺胞マクロファージの感染が発生するために重要な役割を果たすことが確認されている(Gorp et al.,2010,J.of Virology,March,3101-3105)。
【0005】
PRRSV感染の正確なメカニズムは、不明である。しかしながら、このメカニズムの一部として、PRRSVは細胞のエンドソーム区画に侵入すると考えられており、CD163とPRRSVのGP2-GP3-GP4ヘテロ三量体との相互作用により、ウイルスの脱コートおよびウイルスゲノムの細胞質への放出が仲介される。
【0006】
PRRSVの1つの提案された治療選択肢には、PRRSV感染に耐性のあるブタを作り、次にこれらのブタを繁殖させて遺伝子組換えを広めるためのある種の遺伝子ノックアウトまたはCD163の遺伝子編集が含まれる(Burkard et al.,2017,PLOS Pathogens 13(2):e1006206)。これは非常に効果的に機能することが示されているが、この治療は、ブタの個体数のかなりの割合を治療することができるという点から、複雑で時間がかかる。さらに、かつ重要なことに、多くの市場では、動物の遺伝子組換えを伴う技術、例えばそのような動物から生産された動物製品の望ましさに関しては、かなりの抵抗がある。
【0007】
PRRSの経済的影響を制限するために使用される最も一般的な医学的介入は、ワクチン接種である。ワクチンは、疾患が蔓延しているすべての地域で日常的に使用されている。死滅ウイルスワクチン(ビリン)または(ほとんどの場合)改変生ワクチン(MLV)のいずれかの、2つのタイプのワクチンが日常的に使用されている。しかしながら、現在のワクチンは部分的にしか効果がなく、バイオセキュリティと畜産の同時決定が緊密に連携している疾患管理への統合的アプローチ内で展開されるならば最も価値がある。ワクチン有効性の欠如の背後にある理由は複雑であるが、ウイルスの生物学(肺胞マクロファージの向性と高い変異性)と相まってPRRSV集団の高い遺伝的多様性は、ワクチン株と循環株が免疫原性の点でしっかりと一致している場合に最良の結果が見られるようなものである(Nan et al.,2017,Front.Immunol.8:1635によるレビュー)。さらに、生ワクチン株は、野外株と再結合して、病原性であり得る新しい野外株を産生することができる。
【0008】
現在、PRRSV感染症に対する抗ウイルス治療の選択肢はない。
【0009】
したがって、かなりの数の動物の感染を治療または予防するために容易に使用することができる、PRRSV感染(または他のCD163媒介感染)のための代替の、好ましくは改善された治療および予防の選択肢への明確な必要性が存在する。
【0010】
本発明は、PRRSV感染を低減または予防するように作用することができる、ブタCD163に向けられた結合タンパク質および抗体の形態で、そのような代替の治療的または予防的選択肢の1つを提供する。
【0011】
驚くべきことに、例えば、ブタCD163上の複数の異なるエピトープを標的とするポリクローナル抗体調製物とは対照的に、ブタCD163上の同じエピトープを標的とする単一タイプの抗体(モノクローナル抗体)は、PRRSV感染を大幅に低減または予防するのに効果的であることが示されている。さらに、これらの抗CD163抗体のサブセットは、1型および/または2型PRRSVによる感染の異なる阻害を示すことが確認されている。
【0012】
したがって、本発明者らは、CD163、特にブタCD163に結合し、その活性または機能を阻害することができる抗CD163抗体を提供してきた。そのような抗体(または、例えば、本明細書に記載のCD163抗原結合ドメインを含む他の結合タンパク質)は、例えば、ウイルスタンパク質などの他のタンパク質と相互作用するCD163の能力を阻害し、それにより、ブタ肺胞マクロファージなどの細胞の感染を阻害することができる。そのような抗体(または、例えば、本明細書に記載のCD163抗原結合ドメインを含む他の結合タンパク質)は、ブタの感染症、特にPRRSV感染症を治療または予防するために便利にかつ有利に使用することができる。
【0013】
一実施形態において、本発明は、ブタにおける例えばPRRSウイルス感染またはCD163媒介感染などの感染の治療または予防に使用するために、CD163、例えばブタCD163に結合する結合タンパク質、例えば抗体、例えばモノクローナル抗体を提供する。したがって、特に、本発明は、ブタにおけるPRRSウイルス感染の治療または予防に使用するためにブタCD163に結合するモノクローナル抗体を提供する。しかしながら、本発明の抗体は、CD163が役割を果たすことが示されているブタの任意の病状の治療または予防に使用することができ、その場合、このタンパク質の結合および阻害は、有用な治療ツールとなり得る。
【0014】
本明細書の他の箇所で考察されるように、本発明の好ましい抗体(または結合タンパク質)および本明細書に記載の治療方法での使用に好適な抗体は、CD163のSRCR5ドメインに結合する能力を有し、例えば、CD163のSRCR5ドメインにエピトープを有する。さらに、好ましい抗体(または結合タンパク質)は、1型および/または2型PRRSV感染、より好ましくは1型および2型PRRSV感染を阻害する能力を有する。さらに、いくつかの好ましい抗体は、2型PRRSV感染を阻害する能力を有し、好ましくは、2型PRRSV感染を特異的に阻害する能力を有する。
【0015】
1型および/または2型PRRSV感染を阻害する能力
ファミリー40
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)RYVMG(配列番号2)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)GIAWSGRAPYADSVKG(配列番号3)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)GEGAIRWTTLDAYDY(配列番号4)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3。
【0016】
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)RYVMG(配列番号10)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)AISWSGRAPYADSVKGのアミノ酸配列(配列番号11)、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)GEGAIKWTTLDAYDY(配列番号12)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3。
【0017】
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)RYVMG(配列番号18)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)GIAWSGRAPYADSVKG(配列番号19)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)GEGAILWTTPGAYNY(配列番号20)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3。
【0018】
好ましい実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)RYVMG(配列番号2)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)GIAWSGRAPYADSVKG(配列番号3)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)GEGAIRWTTLDAYDY(配列番号4)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3。
【0019】
好ましい実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)RYVMG(配列番号10)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)AISWSGRAPYADSVKG(配列番号11)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)GEGAIKWTTLDAYDY(配列番号12)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3。
【0020】
好ましい実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)RYVMG(配列番号18)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)GIAWSGRAPYADSVKG(配列番号19)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)GEGAILWTTPGAYNY(配列番号20)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3。
【0021】
本発明のさらなる実施形態において、VH CDR2は、X1 I X3 W S G R A P Y A D S V K G(配列番号73)のアミノ酸配列を有するか、またはそれを含む。これらの実施形態において、X1またはX3は、任意のアミノ酸であり得る。好ましくは、これらのX残基のうちの1つ以上、最も好ましくは、すべてが、以下の基から選択される:X1は、GまたはAであり、X3は、AまたはSである。したがって、好ましいVH CDR2は、G/AIA/SWSGRAPYADSVKG(配列番号74)のアミノ酸配列を有するかまたは含む。例えば、この実施形態の好ましいVH CDR2配列は、配列番号3、11または19を有するか、またはそれらを含む。
【0022】
本発明のさらなる実施形態において、VH CDR3は、G E G A I X6 W T T X10 X11 A Y X14 Y のアミノ酸配列(配列番号75)を有するか、またはそれを含む。これらの実施形態において、X6、X10 X11およびX14は、任意のアミノ酸であり得る。好ましくは、これらのX残基のうちの1つ以上、最も好ましくはすべてが、以下の基から選択される:X6は、RまたはKまたはLであり、X10は、LまたはPであり、X11は、DまたはGであり、X14は、DまたはNである。したがって、好ましいVH CDR3は、G E G A I R/K/L W T T L/P D/G A Y D/N Yのアミノ酸配列(配列番号76)を有するかまたは含む。例えば、この実施形態の好ましいVH CDR3配列は、配列番号4、12、または20を有するか、またはそれらを含む。
【0023】
さらなる実施形態において、本発明は、以下を含む抗体(または結合タンパク質)を提供する:
配列番号2のVH CDR1またはそれに実質的に相同な配列を含むVH領域であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つまたは2つ(好ましくは1つ)のアミノ酸変化を含む配列である、配列番号2のVH CDR1、配列番号73のVH CDR2、および配列番号75のVH CDR3を含むVH領域。いくつかのそのような実施形態において、VH CDR1は、好ましくは、配列番号2である。いくつかのそのような実施形態において、VH CDR2は、好ましくは、配列番号3、11または19である。いくつかのそのような実施形態において、VH CDR3は、好ましくは、配列番号4、12または20である。
【0024】
一実施形態において、本発明は、以下を含む抗体(または結合タンパク質)を提供する:
配列番号2のVH CDR1またはそれに実質的に相同な配列を含むVH領域であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つまたは2つ(好ましくは1つ)のアミノ酸変化を含む配列である、配列番号2のVHCDR1,配列番号74のCDR2、および配列番号76のVH CDR3を含むVH領域。いくつかのそのような実施形態において、VH CDR1は、好ましくは、配列番号2である。いくつかのそのような実施形態において、VH CDR2は、好ましくは、配列番号3、11または19である。いくつかのそのような実施形態において、VH CDR3は、好ましくは、配列番号4、12または20である。
【0025】
本発明のさらなる実施形態において、抗体(または結合タンパク質)は、以下を含む:
配列番号2のVH CDR1または所与のCDR配列と比較して1つまたは2つ(好ましくは1つ)のアミノ酸変化を含む配列と、配列番号73のVH CDR2またはそれに実質的に相同な配列と、配列番号75のVH CDR3、またはそれに実質的に相同な配列と、を含むVH領域。そのような実施形態において、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つ、好ましくは1つ、2つまたは3つ、好ましくは1つまたは2つ(より好ましくは1つ)のアミノ酸変化を含む配列である。
【0026】
本発明のさらなる実施形態において、抗体(または結合タンパク質)は、以下を含む:
配列番号2のVH CDR1または所与のCDR配列と比較して1つまたは2つ(好ましくは1つ)のアミノ酸変化を含む配列と、配列番号74のVH CDR2またはそれに実質的に相同な配列と、配列番号76のVH CDR3またはそれに実質的に相同な配列と、を含むVH領域。そのような実施形態において、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つ、好ましくは1つ、2つまたは3つ、好ましくは1つまたは2つ(より好ましくは1つ)のアミノ酸変化を含む配列である。
【0027】
ファミリー70
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)TYSMG(配列番号26)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)AHRWSGSAYYAEHADSVEG(配列番号27)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)GVGSAAQYRY(配列番号28)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3。
【0028】
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)PGSMG(配列番号34)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)AHRWSGSAYYADYADSVEG(配列番号35)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)GVGSAAQYTY(配列番号36)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3。
【0029】
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)TYSMG(配列番号42)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)AHRWSGSAYYAEHADSVEG(配列番号43)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)GVGSEAQYRY(配列番号44)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3。
【0030】
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)TYSMG(配列番号26)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)AHRWSGSAYYAEHADSVEG(配列番号27)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)GVGSAAQYRY(配列番号28)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3。
【0031】
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)PGSMG(配列番号34)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)AHRWSGSAYYADYADSVEG(配列番号35)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)GVGSAAQYTY(配列番号36)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3。
【0032】
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)TYSMG(配列番号42)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)AHRWSGSAYYAEHADSVEG(配列番号43)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)GVGSEAQYRY(配列番号44)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3。
【0033】
本発明のさらなる実施形態において、VH CDR1は、X1 X2 S M G(配列番号77)のアミノ酸配列を有するか、またはそれを含む。これらの実施形態において、X1またはX2は、任意のアミノ酸であり得る。好ましくは、これらのX残基のうちの1つ以上、最も好ましくはすべてが、以下の基から選択される:X1は、TまたはPであり、X2は、YまたはGである。したがって、好ましいVH CDR1は、T/P Y/G S M G(配列番号78)のアミノ酸配列を有するかまたは含む。例えば、この実施形態の好ましいVH CDR1配列は、配列番号26、34または42を有するか、またはそれらを含む。
【0034】
本発明のさらなる実施形態において、VH CDR2は、A H R W S G S A Y Y A X12 X13 A D S V E G(配列番号79)のアミノ酸配列を有するか、またはそれを含む。これらの実施形態において、X12またはX13は、任意のアミノ酸であり得る。好ましくは、これらのX残基のうちの1つ以上、最も好ましくは、すべてが、以下の基から選択される:X12は、EまたはDであり、X13は、HまたはYである。したがって、好ましいVH CDR2は、A H R W S G S A Y Y A E/D H/Y A D S V E G(配列番号80)のアミノ酸配列を有するかまたは含む。例えば、この実施形態の好ましいVH CDR2配列は、配列番号27、35、または43を有するか、またはそれらを含む。
【0035】
本発明のさらなる実施形態において、VH CDR3は、G V G S X5 A Q Y X9 Y(配列番号81)のアミノ酸配列を有するか、またはそれを含む。これらの実施形態において、X5およびX9は、任意のアミノ酸であり得る。好ましくは、これらのX残基のうちの1つ以上、最も好ましくはすべてが、以下の基から選択される:X5は、AまたはEであり、X9は、RまたはTである。したがって、好ましいVH CDR3は、G V G S A/E A Q Y R/T Y(配列番号82)のアミノ酸配列を有するかまたは含む。例えば、この実施形態の好ましいVH CDR3配列は、配列番号28、36または44を有するか、またはそれらを含む。
【0036】
一実施形態において、本発明は、以下を含む抗体(または結合タンパク質)を提供する:
配列番号77のVH CDR1、配列番号79のVH CDR2、および配列番号81のVH CDR3を含むVH領域。いくつかのそのような実施形態において、VH CDR1は、好ましくは、配列番号26、34または42である。いくつかのそのような実施形態において、VH CDR2は、好ましくは、配列番号27、35または43である。いくつかのそのような実施形態において、VH CDR3は、好ましくは、配列番号28、36または44である。
【0037】
一実施形態において、本発明は、以下を含む抗体(または結合タンパク質)を提供する:
配列番号78のVH CDR1、配列番号80のVH CDR2、および配列番号82のVH CDR3を含むVH領域。いくつかのそのような実施形態において、VH CDR1は、好ましくは、配列番号26、34または42である。いくつかのそのような実施形態において、VH CDR2は、好ましくは、配列番号27、35または43である。いくつかのそのような実施形態において、VH CDR3は、好ましくは、配列番号28、36または44である。
【0038】
本発明の他の実施形態において、抗体(または結合タンパク質)は、以下を含む:
配列番号77のVH CDR1または所与のCDR配列と比較して1つまたは2つ(好ましくは1つ)のアミノ酸変化を含む配列と、配列番号79のVH CDR2またはそれに実質的に相同な配列と、配列番号81のVH CDR3またはそれに実質的に相同な配列と、を含むVH領域。そのような実施形態において、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つ、好ましくは1つ、2つまたは3つ、好ましくは1つまたは2つ(より好ましくは1つ)のアミノ酸変化を含む配列である。
【0039】
本発明の他の実施形態において、抗体(または結合タンパク質)は、以下を含む:
配列番号78のVH CDR1または所与のCDR配列と比較して1つまたは2つ(好ましくは1つ)のアミノ酸変化を含む配列と、配列番号80のVH CDR2またはそれに実質的に相同な配列と、配列番号82のVH CDR3またはそれに実質的に相同な配列と、を含むVH領域。そのような実施形態において、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つ、好ましくは1つ、2つまたは3つ、好ましくは1つまたは2つ(より好ましくは1つ)のアミノ酸変化を含む配列である。
【0040】
CDR配列のうちの1つ以上が、XX残基(または本明細書で定義された別のタイプの代替残基)を含む本発明の実施形態において、次に、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つ、好ましくは1つ、2つまたは3つ(より好ましくは1つもしくは2つ、または1つ)のアミノ酸変化またはアミノ酸置換を含む、それに実質的に相同である配列を有するCDRもまた、本発明により包含される。いくつかのそのような実施形態において、アミノ酸残基における前述の変化または置換は、XX残基のうちの1つ以上を含み得るか、またはXX残基以外の残基にあり得る。他のそのような実施形態において、前述の変化は、XX残基と非XX残基との混合物にある。
【0041】
クローン150(#15)
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)SYSMG(配列番号50)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)AITWNGYITNYADSVKG(配列番号51)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)TTFSTTSPISRTYNY(配列番号52)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3。
【0042】
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)SYSMG(配列番号50)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)AITWNGYITNYADSVKG(配列番号51)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)TTFSTTSPISRTYNY(配列番号52)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3。
【0043】
クローン70(#23)
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)TYAMG(配列番号58)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)IISFGGTFYADSVKG(配列番号59)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2および
(iii)GRTLSKRADSYAS(配列番号60)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3。
【0044】
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)TYAMG(配列番号58)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)IISFGGTFYADSVKG(配列番号59)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)GRTLSKRADSYAS(配列番号60)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3。
【0045】
クローン144(#1)
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)MYAMS(配列番号66)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)AINTSGRYSRYADSVKG(配列番号67)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2および
(iii)TDKGNWALAMSYDY(配列番号68)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3。
【0046】
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)MYAMS(配列番号66)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)AINTSGRYSRYADSVKG(配列番号67)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)TDKGNWALAMSYDY(配列番号68)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3。
【0047】
上記のセクションに記載したすべての抗体(または結合タンパク質)は、1型および2型PRRSV感染を阻害する能力を有し、したがって1型および/または2型PRRSV感染の治療または予防に使用することができる。
【0048】
2型PRRSV感染を阻害する能力
上記のように、本発明の他の抗CD163抗体および結合タンパク質は、2型PRRSV感染を阻害する能力を有し、好ましくは、2型PRRSV感染を特異的に(または2型のみを、もしくは優先的に)阻害し、例えば、2型PRRSV感染を阻害するが、1型PRRSV感染を阻害しない(または大幅に阻害しない)。したがって、本発明のさらなる実施形態は、2型PRRSV感染を特異的に阻害することができる抗体(または結合タンパク質)を提供する。そのような「2型」抗体または結合タンパク質の例を以下に記載する。他の好ましい実施形態において、2型PRRSV感染を阻害することができるこれらの「2型」抗体および結合タンパク質は、上記の抗体との組み合わせで使用することができ、それにより1型および/または2型PRRSV感染を阻害することができ、好ましくは1型、または1型および2型のPRRSV感染を阻害することができる。
【0049】
クローン57(#11)
したがって、さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)VYGTG(配列番号84)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)GISGTTGSTLYADSVKG(配列番号85)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)GGRVYITTSSWAY(配列番号86)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3。
【0050】
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)VYGTG(配列番号84)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)GISGTTGSTLYADSVKG(配列番号85)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)GGRVYITTSSWAY(配列番号86)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3。
【0051】
クローン41(#12)
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)RYAMG(配列番号92)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)AIAWSTGSTYYANSVKG(配列番号93)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)ETRYCSGFGCLDPRTYGS(配列番号94)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3。
【0052】
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)RYAMG(配列番号92)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)AIAWSTGSTYYANSVKG(配列番号93)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)ETRYCSGFGCLDPRTYGS(配列番号94)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3。
【0053】
クローン171(#14)
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)TDTMAのアミノ酸配列(配列番号100)、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)GIGRSGGSIYYADAVKG(配列番号101)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)RQRIGLVVGALGYDY(配列番号102)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3。
【0054】
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)TDTMA(配列番号100)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)GIGRSGGSIYYADAVKG(配列番号101)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)RQRIGLVVGALGYDY(配列番号102)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3。
【0055】
クローン29(#17)
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)DYTIG(配列番号108)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR1であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つまたは2つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)CINSITSNTYYADSVKG(配列番号109)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR2であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)DSGLFSGSSCLKYRAMRFGS(配列番号110)のアミノ酸配列、またはそれに実質的に相同な配列を含む可変重鎖(VH)CDR3であって、前述の実質的に相同な配列は、所与のCDR配列と比較して、1つ、2つ、3つまたは4つのアミノ酸置換を含む配列である、可変重鎖(VH)CDR3。
【0056】
さらなる実施形態において、本発明は、CD163、例えばブタCD163に結合する抗原結合ドメインを含む結合タンパク質、例えば抗体を提供し、前述の抗原結合ドメインは、3つの相補性決定領域(CDR)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含み、前述の重鎖可変領域は、以下を含む:
(i)DYTIG(配列番号108)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR1、
(ii)CINSITSNTYYADSVKG(配列番号109)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR2、および
(iii)DSGLFSGSSCLKYRAMRFGS(配列番号110)のアミノ酸配列を含む可変重鎖(VH)CDR3。
【0057】
他の実施形態
本発明の特定の好ましい実施形態は、配列番号1、9、17、25、33、41、49、57もしくは65のアミノ酸配列、またはそれらに実質的に相同な配列を有するVHドメインを含むCD163、例えばブタCD163に結合する抗体(または結合タンパク質)を提供する。いくつかの実施形態において、そのような抗体(または結合タンパク質)はまた、最大3つの軽鎖CDR、好ましくは3つの軽鎖CDRを含むVLドメインを含む。
【0058】
好ましい実施形態において、本発明は、配列番号1、9、17、25、33、41、49、57もしくは65のアミノ酸配列、またはそれらに少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、90%、95%または98%の同一性)を有する配列を有するVHドメインを含むCD163、例えばブタCD163に結合する抗体(または結合タンパク質)を提供する。いくつかの実施形態において、そのような抗体(または結合タンパク質)はまた、最大3つの軽鎖CDR、好ましくは3つの軽鎖CDRを含むVLドメインを含む。
【0059】
好ましい実施形態において、本発明は、配列番号1、9、17、25、33、41、49、57もしくは65のアミノ酸配列を有するVHドメインを含むCD163、例えばブタCD163に結合する抗体(または結合タンパク質)を提供する。いくつかの実施形態において、そのような抗体(または結合タンパク質)はまた、最大3つの軽鎖CDR、好ましくは3つの軽鎖CDRを含むVLドメインを含む。
【0060】
本発明の特定の好ましい実施形態は、配列番号83、91、99もしくは107のアミノ酸配列、またはそれらと実質的に相同である配列を有するVHドメインを含むCD163、例えばブタCD163に結合する抗体(または結合タンパク質)を提供する。いくつかの実施形態において、そのような抗体(または結合タンパク質)はまた、最大3つの軽鎖CDR、好ましくは3つの軽鎖CDRを含むVLドメインを含む。
【0061】
好ましい実施形態において、本発明は、配列番号83、91、99もしくは107のアミノ酸配列、またはそれらと少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、90%、95%または98%の同一性)を有する配列を有するVHドメインを含むCD163、例えばブタCD163に結合する抗体(または結合タンパク質)を提供する。いくつかの実施形態において、そのような抗体(または結合タンパク質)はまた、最大3つの軽鎖CDR、好ましくは3つの軽鎖CDRを含むVLドメインを含む。
【0062】
好ましい実施形態において、本発明は、配列番号83、91、99もしくは107のアミノ酸配列を有するVHドメインを含むCD163、例えばブタCD163に結合する抗体(または結合タンパク質)を提供する。いくつかの実施形態において、そのような抗体(または結合タンパク質)はまた、最大3つの軽鎖CDR、好ましくは3つの軽鎖CDRを含むVLドメインを含む。
【0063】
他の好ましい実施形態は、免疫グロブリン(Ig)形態、例えばIgG形態、または本明細書で定義された様々な抗体(または結合タンパク質)の免疫グロブリン定常領域、例えばIgG定常領域の全部または一部を含む形態、例えば全長IgまたはIgG形態である。もちろん、完全IgG抗体は、典型的には、2つの実質的に同一の重鎖および2つの実質的に同一の軽鎖を含むことが理解される。免疫グロブリン定常領域の一部を含む好ましい形態は、Fc領域またはドメインを含む形態、例えば、Fc融合物である。そのようなFc領域またはドメインは、当技術分野で知られており、一般に、抗体重鎖のCH2およびCH3ドメインを含み、これらは会合してホモ二量体を形成する。これらの領域は、任意の適切な供給源もしくは種、例えば、免疫化によって抗体を産生するために使用される宿主種とは異なる供給源もしくは種、または抗体が由来する箇所とは異なるが、好ましくはブタFc領域またはドメインに対応するか、または由来する供給源または種に由来し得る。このようなFc領域はホモ二量体である(またはホモ二量体を形成する)ため、2つのポリペプチド鎖を二量体化するために便利に使用することができる。したがって、本発明の1つ以上の単一ドメイン抗体(例えば、VHH抗体)をFc領域の各鎖に連結または融合することにより、Fc領域の2つの鎖が二量体化する場合、それらを使用して、単一の構築物または分子において本発明の単一ドメイン抗体(例えば、VHH抗体)の複数のコピーを提供することができる。本発明の複数の単一ドメイン抗体(例えば、VHH抗体)が、Fc領域の各鎖に順番に連結または融合される場合、これらの抗体は、同じ抗体(例えば、同じVHHの2つ以上のコピーが各鎖上に提供され得る)または異なる抗体であり得る。したがって、例えば、Fc融合物を使用して、本発明の同一の単一ドメイン抗体の複数のコピー、または本発明の異なる単一ドメイン抗体の複数のコピーを含む構築物を提供することができる。そのような構築物は、一般に、本発明の同じ抗体の複数のコピー(例えば、単一の単一ドメイン抗体もしくはVHH抗体の複数のコピー、または複数の異なる単一ドメイン抗体もしくはVHH抗体の複数のコピー)を含むので、そのような構築物は、例えば、アビディティ効果によるCD163の結合の改善を示すことができる。
【0064】
結合タンパク質、例えば、表A、B、C、D、E、F、G、HまたはIに記載の49(#18)、47(#19)、48(#20)、76(#2)、77(#16)、78(#8)、150(#15)、70(#23)または144(#1)抗体配列に基づく抗体が好ましい。本発明は、VHH抗体(単一ドメイン抗体)であるモノクローナル抗体によって例示され、その配列を本明細書の表A、B、C、D、E、F、G、HおよびIに示す。これらのVHH抗体の各々のVH CDRドメインおよびVHドメインを本明細書の表A~Iに示す。VH CDRドメイン、またはVHドメインのこれらのセット、またはそのようなドメインを含むIgG配列(またはそれに実質的に相同な配列)を含む抗体(または結合タンパク質)は、本発明の好ましい実施形態である。
【0065】
さらに、結合タンパク質、例えば、表1、2、3または4に記載の57(#11)、41(#12)、171(#14)、29(#17)抗体配列に基づく抗体が好ましい。本発明は、VHH抗体(単一ドメイン抗体)であるモノクローナル抗体によって例示され、その配列を本明細書の表1、2、3および4に示す。これらのVHH抗体の各々のVH CDRドメインおよびVHドメインを本明細書の表1、2、3および4に示す。これらのセットのVH CDRドメイン、またはVHドメイン、またはそのようなドメイン(またはそれに実質的に相同な配列)を含むIgG配列を含む抗体(または結合タンパク質)は、本発明の好ましい実施形態である。
【0066】
実質的に相同な配列の特定の例は、開示されたアミノ酸配列に対して少なくとも60%または65%の同一性を有する配列である。特定の実施形態において、本発明の抗体(または結合タンパク質)は、配列番号1、9、17、25、33、41、49、57または65のアミノ酸配列に対して少なくとも約60%、65%、70%もしくは75%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%もしくは95%、最も好ましくは少なくとも約97%、98%もしくは99%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列領域を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含む。
【0067】
実質的に相同な配列の他の特定の例は、開示されたアミノ酸配列に対して少なくとも60%または65%の同一性を有する配列である。特定の実施形態において、本発明の抗体(または結合タンパク質)は、配列番号83、91、99または107のアミノ酸配列に対して少なくとも約60%、65%、70%もしくは75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも約85%、より好ましくは少なくとも約90%もしくは95%、最も好ましくは少なくとも約97%、98%もしくは99%のアミノ酸配列同一性のアミノ酸配列領域を含む少なくとも1つの重鎖可変領域を含む。
【0068】
実質的に相同な配列の他の好ましい例は、開示されたアミノ酸配列の保存的アミノ酸置換を含む配列である。
【0069】
実質的に相同な配列の他の好ましい例は、開示されたCDR領域のうちの1つ以上またはFR領域のうちの1つ以上において1つ、2つ、3つもしくは4つ、好ましくは1つ、2つもしくは3つ、好ましくは1つもしくは2つ(より好ましくは1つ)のアミノ酸変化を含む配列である。そのような変化は、保存アミノ酸置換もしくは非保存アミノ酸置換、またはそれらの混合物であり得る。
【0070】
そのような実施形態において、好ましい変化は、保存的アミノ酸置換である。
【0071】
すべての実施形態において、実質的に相同な配列を含む結合タンパク質、例えば抗体は、CD163、例えばブタCD163に結合する能力を保持する。好ましくは、実質的に相同な配列を含む結合タンパク質、例えば抗体は、49(#18)、47(#19)、48(#20)、76(#2)、77(#16)、78(#8)、150(#15)、70(#23)または144(#1)抗体に関して本明細書に記載の他の特性のうちの1つ以上(好ましくはすべて)を保持する。
【0072】
すべての実施形態において、実質的に相同な配列を含む結合タンパク質、例えば抗体は、CD163、例えばブタCD163に結合する能力を保持する。好ましくは、実質的に相同な配列を含む結合タンパク質、例えば抗体は、57(#11)、41(#12)、171(#14)または29(#17)抗体に関して本明細書に記載の他の特性のうちの1つ以上(好ましくはすべて)を保持する。
【0073】
本発明による実質的に相同なアミノ酸配列のさらなる例は、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0074】
本発明の抗体(または結合タンパク質)のCDRは、好ましくは、天然に存在する抗体かつ/または有効な改変抗体に見られるものなどの適切なフレームワーク領域によって分離される。したがって、本発明のVH(例えば、VHH)、VLおよび個々のCDR配列は、好ましくは、抗原(本明細書ではCD163)結合を可能にするために適切なフレームワークまたは足場内に提供されるかまたは組み込まれる。そのようなフレームワーク配列または領域は、適切な足場を形成するために必要に応じて、天然に存在するフレームワーク領域、FR1、FR2、FR3かつ/またはFR4に対応し得るか、または例えば様々な天然に存在するフレームワーク領域を比較することによって識別されるコンセンサスフレームワーク領域に対応し得る。代替的に、非抗体足場またはフレームワーク、例えば、T細胞受容体フレームワークを使用することができる。
【0075】
フレームワーク領域に使用できる適切な配列は、当技術分野でよく知られており、記述されており、これらのいずれかを使用することができる。フレームワーク領域の好ましい配列は、本発明のVHH抗体を構成するフレームワーク領域のうちの1つ以上、好ましくは、表A、B、C、D、E、F、G、HおよびIに開示された49(#18)、47(#19)、48(#20)、76(#2)、77(#16)、78(#8)、150(#15)、70(#23)、もしくは144(#1)VHH抗体のフレームワーク領域、またはそれらに実質的に相同なフレームワーク領域、特に抗原特異性の維持を可能にするフレームワーク領域、例えば、抗体の実質的に同じかもしくは同じ3D構造をもたらすフレームワーク領域のうちの1つ以上である。
【0076】
フレームワーク領域、特に本発明の「2型」抗体のための他の好ましい配列は、本発明のVHH抗体を構成するフレームワーク領域のうちの1つ以上、好ましくは表1、2、3、および4に開示された57(#11)、41(#12)、171(#14)、もしくは29(#17)VHH抗体のフレームワーク領域、またはそれらと実質的に相同なフレームワーク領域、特に抗原特異性の維持を可能にするフレ-ムワーク領域、例えば、抗体の実質的に同じかもしくは同じ3D構造をもたらすフレームワーク領域のうちの1つ以上である。
【0077】
特定の好ましい実施形態において、必要に応じて、可変重鎖(配列番号5、6、7および8)フレームワーク領域(FR)の4つすべて、またはそれらに実質的に相同なFR領域が、本発明の抗体に見られる。
【0078】
他の好ましい実施形態において、必要に応じて、可変重鎖(配列番号13、14、15および16)フレームワーク領域(FR)の4つすべて、またはそれに実質的に相同なFR領域が、本発明の抗体に見られる。
【0079】
他の好ましい実施形態において、必要に応じて、可変重鎖(配列番号21、22、23および24)フレームワーク領域(FR)の4つすべて、またはそれらに実質的に相同なFR領域が、本発明の抗体に見られる。
【0080】
他の好ましい実施形態において、必要に応じて、可変重鎖(配列番号29、30、31および32)フレームワーク領域(FR)の4つすべて、またはそれらに実質的に相同なFR領域が、本発明の抗体に見られる。
【0081】
他の好ましい実施形態において、必要に応じて、可変重鎖(配列番号37、38、39および40)フレームワーク領域(FR)の4つすべて、またはそれらに実質的に相同なFR領域が、本発明の抗体に見られる。
【0082】
他の好ましい実施形態において、必要に応じて、可変重鎖(配列番号45、46、47および48)フレームワーク領域(FR)の4つすべて、またはそれに実質的に相同なFR領域が、本発明の抗体に見られる。
【0083】
他の好ましい実施形態において、必要に応じて、可変重鎖(配列番号53、54、55および56)フレームワーク領域(FR)の4つすべて、またはそれらに実質的に相同なFR領域が、本発明の抗体に見られる。
【0084】
他の好ましい実施形態において、必要に応じて、可変重鎖(配列番号61、62、63および64)フレームワーク領域(FR)の4つすべて、またはそれらに実質的に相同なFR領域が、本発明の抗体に見られる。
【0085】
他の好ましい実施形態において、必要に応じて、可変重鎖(配列番号69、70、71および72)フレームワーク領域(FR)の4つすべて、またはそれらに実質的に相同なFR領域が、本発明の抗体に見られる。
【0086】
特定の好ましい実施形態において、特に本発明の「2型」抗体について、可変重鎖(配列番号87、88、89および90)フレームワーク領域(FR)の4つすべて、またはそれらと実質的に相同なFR領域が、本発明の抗体に見られる。
【0087】
他の好ましい実施形態において、必要に応じて、可変重鎖(配列番号95、96、97および98)フレームワーク領域(FR)の4つすべて、またはそれらに実質的に相同なFR領域が、本発明の抗体に見られる。
【0088】
他の好ましい実施形態において、必要に応じて、可変重鎖(配列番号103、104、105および106)フレームワーク領域(FR)の4つすべて、またはそれらに実質的に相同なFR領域が、本発明の抗体に見られる。
【0089】
他の好ましい実施形態において、必要に応じて、可変重鎖(配列番号111、112、113および114)フレームワーク領域(FR)の4つすべて、またはそれらに実質的に相同なFR領域が、本発明の抗体に見られる。
【0090】
上記のように、本発明は、CD163に結合する(または特異的に認識するか、もしくは特異的に結合する)結合タンパク質、例えば抗体を提供する。CD163は、M130、MM130、SCAR1、マクロファージ関連抗原、ヘモグロブリンスカベンジャー受容体、またはスカベンジャー受容体システインリッチ1型タンパク質M130としても知られている。本発明の好ましい結合タンパク質は、抗体、特にVHH抗体である。しかしながら、抗体、例えばVHH抗体に関連する本明細書に記載の実施形態は、必要な変更を加えて、他のタイプの結合タンパク質に等しく適用されるか、またはその逆である。
【0091】
好ましい結合タンパク質は、ブタのCD163に結合する(例えば、特異的に結合する)ことができる任意の単一のポリペプチド鎖である。本発明で使用することができる適切なタイプの結合タンパク質は、当技術分野で知られている。例えば、いくつかの実施形態において、本発明の抗体のCDR領域(および任意選択でFR領域)を適切な足場またはフレームワーク、例えば免疫グロブリン足場上に移植することができるように、一般にCDR領域(および任意選択でFR領域または免疫グロブリンベースの足場)を含む免疫グロブリンベースのポリペプチドが使用される。
【0092】
しかしながら、他の実施形態において、それ自体が特定の標的抗原(CD163またはブタCD163)に特異的に結合する能力について選択することができる、非免疫グロブリンベースの一本鎖結合タンパク質/足場タンパク質を使用することができる。このような分子は、抗体ミミック(または抗体ミメティック)とも称される。適切な非免疫グロブリンベースの一本鎖結合タンパク質の例は、当技術分野で知られており、かつ記載されており、例えば、アドネクチン(例えば、Therapeutics,Inc.,Waltham,MAから入手可能な化合物);アフィマー(例えば、Avactaから入手可能);アンキリン反復タンパク質またはDARPin(例えば、Molecular Partners AG,Zurich,Switzerlandから入手可能);リポカリン、例えばアンチカリン(例えば、Pieris Proteolab AG,Freising,Germanyから入手可能);ヒトA-ドメイン(例えば、アビマー);staphylococcal(ブドウ球菌)タンパク質A(例えば、Affibody AG,Swedenから入手可能);チオレドキシン;およびガンマ-B-クリスタリンまたはユビイシンベースの分子、例えば、アフィリン(例えば、Scil Proteins GmbH,Halle,Germanyから入手可能)などの、例えば、フィブロネクチンIII型ドメインの第10モジュールに基づくフィブロネクチン(またはフィブロネクチンベースの分子)を含む。そのような分子はまた、標的抗原結合を媒介する適切なCDRを移植することができる足場として使用することができる。例えば、本発明の抗体のCDR領域(および任意選択でFR領域)は、適切な非免疫グロブリン足場上に移植することができる。
【0093】
本発明の他の実施形態において、アプタマーなどの核酸ベースの分子は、そのような分子が、それ自体で特定の標的抗原(CD163またはブタCD163)に特異的に結合する能力のために選択され得るという条件で使用され得る。したがって、結合タンパク質が本明細書で言及される場合、これらの実施形態は、核酸ベースの分子などの他のタイプの結合実体または部分に拡張することができる。
【0094】
本発明の好ましい非抗体結合タンパク質(または結合部分)は、本発明の抗CD163抗体と同じエピトープに結合する能力を有し、そのような結合タンパク質(または結合部分)は、例えば、参照抗体として本発明の抗体を使用して、例えば、本明細書の他の箇所に記載のような競合アッセイによって選択することができる。
【0095】
CD163は、130kDaのI型膜貫通タンパク質であり、シグナルペプチドとそれに続く9つのスカベンジャー受容体システインリッチ(SRCR)ドメインを有し、各々の長さは約100個のアミノ酸で、35個のアミノ酸のプロリン-セリン-スレオニン(PST)-リッチ領域がSRCRドメイン6(SRCR6)とSRCR7を分離している。第2のPSTリッチ領域は、SRCR9を膜貫通ドメインと、機能的な内部移行モチーフを含む短い細胞質側末端とに接続する。CD163の表面発現は、単球-マクロファージ系の細胞に限定されている。
【0096】
本発明に特に関連するのは、CD163がブタ肺胞マクロファージ(PAM)の表面に発現し、ウイルス性病原体、特にPRRSVを含む様々な病原体がブタでの疾患を引き起こす能力において重要な役割を果たすと考えられている。
【0097】
したがって、本発明の結合タンパク質または抗体は、CD163に結合するか、またはCD163に結合することができる。本発明によれば、CD163は、任意の種、例えば、ブタ(ブタ(porcine))、ヒト、ウシ(ウシ(bovine))、イヌ(イヌ(canine))、ネコ(ネコ(feline))、ヒツジ(ヒツジ(ovine))、ウマ(ウマ(equine))、マウスおよびサルなどの任意の哺乳動物種に由来し得る。好ましい実施形態において、CD163は、ブタCD163であり、抗体は、ブタCD163に結合するか、またはブタCD163に結合することができる(または特異的に認識されるか、または特異的に結合することができる)。
【0098】
特定の実施形態において、抗体は、他の種のCD163と交差反応すること(または結合することも)ができる。したがって、いくつかの実施形態において、抗体は、1つ以上の他の種、例えば、CD163の1つ以上の他の種、例えば、上記のような1つ以上の他の哺乳動物種とともに、ブタCD163に結合することができる。いくつかの実施形態において、抗体は、ブタCD163およびヒトCD163にも結合することができる。言い換えれば、抗体はブタCD163およびヒトCD163の両方と交差反応することができる。他の実施形態において、抗体は、ブタCD163に結合することができるが、ヒトCD163に結合しない(または、ヒトCD163に大幅に結合しないか、または交差反応しない)。
【0099】
本発明の結合タンパク質および抗体は、任意の適切な形態のCD163、特にSRCR5ドメインを含むCD163の形態に結合することができる。したがって、そのような形態は、全長CD163、またはCD163の非全長形態、例えば、CD163の切断型、もしくは例えばSRCRドメインのサブセットを含むが一般にSRCR5ドメインを含むCD163の他の変異形態を含み得る。本発明の結合タンパク質および抗体が結合することができるCD163の好ましい便利な形態には、組換えCD163、例えば組換えブタCD163、または細胞表面に発現された場合のCD163(細胞表面発現CD163)が含まれる。したがって、そのような細胞表面形態は、多くの場合、CD163の天然または天然の形態、例えば、CD163を自然に発現または過剰発現する細胞に見られる形態を表す。
【0100】
CD163を自然に発現する適切な細胞型は、当業者に周知であり、単球およびマクロファージが含まれる。好ましい細胞型は、PAMである。代替的に、CD163は、例えば、CD163を通常は発現しない細胞型において組換え手段によって(または他の工学的手段によって)発現または過剰発現され得る、言い換えれば、CD163の組換え形態を発現する細胞が使用され得る。
【0101】
結合タンパク質および抗体の結合能力を評価するために本明細書で使用され得るCD163の例示的な形態、例えば、組換えCD163は、全長CD163、またはCD163-SRCR1~9、CD163-SRCR4-7もしくはCD163-SRCR5-6などの異なるCD163 SRCRドメインのサブセットを含む構築物である。SRCR5ドメインのすべてまたは一部(好ましくはすべて)が存在する条件で、CD163 SRCRドメインと、異なるCD163 SRCRドメインのサブセットを含む断片との他の組み合わせを同様に使用することができる。いくつかの実施形態において、抗体は、SRCR5ドメインの欠失またはドメイン内の欠失、またはドメイン内の変異を含むCD163分子に結合しない(または大幅に結合しない)。ブタの形態は、本発明の抗体を評価するために好ましく使用されるが、他の種、例えば他の哺乳動物種からの同等の形態もまた、例えば交差反応性を評価するために使用され得る。
【0102】
様々な種のCD163の配列は、当技術分野で周知であり、かつ記載されており、例えば、様々な配列データベース、例えば、Uniprotから取得することができる。参照しやすいように、ブタのCD163のUniprot番号は、Q2VL90であり、ヒトのCD163のUniprot番号は、Q86VB7である。
【0103】
したがって、本発明の好ましい結合タンパク質または抗体は、CD163のSRCR5ドメインまたはSRCR5ドメイン内のエピトープ、好ましくはブタSRCR5ドメインに結合する能力を有する。
【0104】
ブタSRCR5ドメインの配列を以下に示す。これは、Uniprot Q2VL90の残基477~577に対応している:PRLVGGDIPCSGRVEVQHGDTWGTVCDSDFSLEAASVLCRELQCGTVVSLLGGAHFGEGSGQIWAEEFQCEGHESHLSLCPVAPRPDGTCSHSRDVGVVCS(配列番号115)。
【0105】
ブタCD163の配列を以下に示す。これは、UniprotQ2VL90の全配列に対応している。
MDKLRMVLHENSGSADFRRCSAHLSSFTFAVVAVLSACLVTSSLGGKDKELRLTGGENKCSGRVEVKVQEEWGTVCNNGWDMDVVSVVCRQLGCPTAIKATGWANFSAGSGRIWMDHVSCRGNESALWDCKHDGWGKHNCTHQQDAGVTCSDGSDLEMGLVNGGNRCLGRIEVKFQGRWGTVCDDNFNINHASVVCKQLECGSAVSFSGSANFGEGSGPIWFDDLVCNGNESALWNCKHEGWGKHNCDHAEDAGVICLNGADLKLRVVDGVTECSGRLEVKFQGEWGTICDDGWDSDDAAVACKQLGCPTAVTAIGRVNASEGTGHIWLDSVSCHGHESALWQCRHHEWGKHYCNHDEDAGVTCSDGSDLELRLKGGGSHCAGTVEVEIQKLVGKVCDRSWGLKEADVVCRQLGCGSALKTSYQVYSKTKATNTWLFVSSCNGNETSLWDCKNWQWGGLSCDHYDEAKITCSAHRKPRLVGGDIPCSGRVEVQHGDTWGTVCDSDFSLEAASVLCRELQCGTVVSLLGGAHFGEGSGQIWAEEFQCEGHESHLSLCPVAPRPDGTCSHSRDVGVVCSRYTQIRLVNGKTPCEGRVELNILGSWGSLCNSHWDMEDAHVLCQQLKCGVALSIPGGAPFGKGSEQVWRHMFHCTGTEKHMGDCSVTALGASLCSSGQVASVICSGNQSQTLSPCNSSSSDPSSSIISEENGVACIGSGQLRLVDGGGRCAGRVEVYHEGSWGTICDDSWDLNDAHVVCKQLSCGWAINATGSAHFGEGTGPIWLDEINCNGKESHIWQCHSHGWGRHNCRHKEDAGVICSEFMSLRLISENSRETCAGRLEVFYNGAWGSVGRNSMSPATVGVVCRQLGCADRGDISPASSDKTVSRHMWVDNVQCPKGPDTLWQCPSSPWKKRLASPSEETWITCANKIRLQEGNTNCSGRVEIWYGGSWGTVCDDSWDLEDAQVVCRQLGCGSALEAGKEAAFGQGTGPIWLNEVKCKGNETSLWDCPARSWGHSDCGHKEDAAVTCSEIAKSRESLHATGRSSFVALAIFGVILLACLIAFLIWTQKRRQRQRLSVFSGGENSVHQIQYREMNSCLKADETDMLNPSGDHSEVQ(配列番号116)。
【0106】
適切な形態のCD163への結合(または結合する能力)を評価する方法は、当業者に周知であり、任意の適切な方法を使用することができる。
【0107】
結合を評価するための便利で適切な方法には、上記のような固定化形態のCD163などの固定化抗原への抗体の結合を評価するためのELISAアッセイなどのインビトロ結合アッセイが含まれる。当業者は、ELISAアッセイに精通しており、そのようなアッセイにおいて結合タンパク質または抗体がCD163に結合する能力を評価するための好適な条件を容易に確立することができるであろう。特に好ましいELISAアッセイは、実施例のセクションに記載されている。代替的に、または追加的に、細胞表面で発現されるCD163への抗体の結合は、例えば、PAMまたはCD163の組換え形態を発現する細胞、例えば、本明細書の他の箇所で記載の形態を使用するフローサイトメトリーアッセイ(例えば、FACS分析)を含む任意の適切な手段によって評価することができる。特に好ましいフローサイトメトリーアッセイは、実施例のセクションに記載されている。抗体が細胞表面のCD163に結合する能力を試験するための別の方法は、免疫組織化学である。
【0108】
特定の実施形態において、本発明の結合タンパク質または抗体は、表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ(例えば、BIACoreアッセイ)において(決定されたように)CD163(例えば、ブタCD163またはヒトCD163)に結合する。好適なSPRアッセイは、当技術分野で知られている。特定の好ましいSPRアッセイにおいて、適切な形態のCD163が、例えばアミンカップリング(例えば、2000反応単位(RU)CD163が固定化されている)を介して、固体支持体(例えば、センサーチップ)上で捕捉(または固定化)され、次に、試験される結合タンパク質または抗体の様々な濃度(例えば希釈系列、例えば2倍または3倍希釈系列)が注入される。注入に好ましい濃度および流量は、例のセクションに記載されている。
【0109】
このようなSPRアッセイ法は、抗体-抗原相互作用の結合速度を測定するため、例えば、結合速度(ka)、解離速度(kd)、親和性(KD)を決定するためにも、便利に使用することができる。特定の実施形態において、測定は、25℃で、pH7.4の好適な緩衝液、例えば、HBS-EP(GE Healthcare Life Sciencesによって販売される、0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.0005%界面活性剤P20)などの標準的なHEPES-EDTA緩衝液中で行われる。速度パラメータは、例えば、BIAevaluationソフトウェアを使用して、1:1の相互作用を想定したセンソグラム実験データをフィッティングすることによって、任意の好適なモデルまたはソフトウェアによって決定または計算され得る。特に好ましいSPRアッセイは、本明細書の実施例のセクションに記載されている。
【0110】
したがって、特に好ましい実施形態において、本発明の結合タンパク質または抗体は、表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ(例えば、BIACoreアッセイ)において(評価された場合、決定されるように)、CD163(例えば、ブタまたはヒトCD163、好ましくはブタCD163)に結合する。
【0111】
特定の好ましい実施形態において、本発明の抗体は、VHHフォーマットである場合、CD163(例えば、ブタCD163)に対して高い結合親和性を有し、例えば、50nM以下(より良い)の範囲のKD(平衡解離定数)を有する。
【0112】
したがって、好ましくは、本発明の抗体は、VHHフォーマットの場合、100nM未満、80nM未満、60nM未満、50nM未満、45nM未満、40nM未満、35nM未満、30nM未満、25nM未満、20nM未満、15nM未満、または10nM未満、より好ましくは10.0、9.5、9.0、8.5、8.0、7.5、7.0、6.5、6.0、5.5、5.0、4.5、4.0、3.5、3.0、2.5、2.0、1.5または1.0nM未満のKDに対応する、CD163(例えば、ブタCD163)に対する結合親和性を有する。特定の例示的な結合親和性は、実施例に開示されている。そのような結合親和性を評価するために使用され得るCD163の例示的な形態は、SRCR4-7を含む組換えブタCD163またはSRCR1-9を含む組換えブタCD163である。適切な例示的な形態は、実施例のセクションに記載されており、例えば、構築物pCD163-SRCR4-7huFcまたはpCD163-SRCR1-9huFcである。したがって、上記の結合親和性は、本発明の抗体がこれらの構築物を使用してアッセイされるとき、またはアッセイされる場合、例えば、SPRアッセイにおいて観察され得る。
【0113】
上記のように、本発明のいくつかの実施形態において、抗体は、ブタCD163に結合することができるが、ヒトCD163に結合しない(または大幅に結合しない)。別の見方をすれば、それらはヒトCD163とは対照的にブタCD163に優先的に結合する。
【0114】
本発明の結合タンパク質または抗体の好ましい使用は、CD163を伴う病原体感染、中でも注目すべきはPRRSV感染の治療または予防においてであり、典型的には、本発明の結合タンパク質または抗体は、病原体(例えば、PRRSV)感染を阻害する(または遮断もしくは低減する)、例えば、病原体、例えばPRRSVが感染を引き起こす(例えば、適切な宿主細胞を感染させる)能力を阻害する(または遮断もしくは低減する)。好ましくは、阻害または減少は、測定可能な阻害または減少であり、より好ましくは、有意な阻害または減少、例えば、≦0.05または<0.05の確率値を伴うような統計的に有意な阻害または減少である。特定の実施形態において、本発明の結合タンパク質または抗体は、宿主細胞を感染させる病原体、例えば、PRRSVの能力を少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、または少なくとも98%阻害する(または遮断もしくは低減する)ことができる。典型的には、そのような%阻害(および本明細書に記載の他のパーセンテージ阻害レベル)は、適切な対照アッセイまたは対照レベルと比較して(または比べて)、例えば、結合タンパク質または抗体の不在下(抗CD163抗体)での対照アッセイまたは対照レベルである(抗CD163抗体)(例えば、陰性対照もしくはバックグラウンドレベルもしくはアッセイ)。したがって、0%の阻害(対照)レベル(または逆に100%もしくは最大の感染レベル)は、典型的には、結合タンパク質または抗体(抗CD163抗体)の不在下のレベルである。
【0115】
感染を阻害するそのような能力は、任意の適切なアッセイで決定または試験することができ、その例は、当業者によって容易に導き出されるであろう。適切なアッセイは、例えば、インビトロまたはエクスビボアッセイであり得、例えば、本明細書の他の箇所で考察される、PAMなどのCD163発現宿主細胞または組換えCD163発現宿主細胞の使用を含む。このような細胞は、細胞の感染を引き起こすレベルでPRRSVまたは他の適切な病原体と接触させることができる。適切なアッセイは、典型的には、血清、例えばブタ血清またはウシ胎児血清(FBS)の存在下で行うことができる。使用する血清の適切なパーセンテージは、当業者によって容易に決定され、例えば、10%FBSおよび80%ブタ血清のレベルが、実施例のセクションに記載されたアッセイで使用された。次に、そのような感染を阻害または低減する本発明の結合タンパク質または抗体の能力を、例えば、対照アッセイによって設定された100%感染レベルと比較して(または比べて)容易に分析することができる。適切で例示的な感染アッセイは、実施例のセクションに記載されている。
【0116】
感染を阻害または低減するために、任意の適切な濃度の結合タンパク質または抗体を使用することができる。本発明の例示的な抗体は、少なくとも50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、300または400μg/mlの濃度、例えば、200、300または400μg/mlまでの濃度、例えば50もしくは100および200、300もしくは400μg/mlの間の濃度で使用される場合、抗体、特にVHHで、阻害、例えば本明細書に概説されている阻害レベルを引き起こす能力を有する。抗体(例えば、VHH抗体)の組み合わせが使用される場合、いくつかの実施形態におけるこれらのレベルは、存在する抗体(例えば、VHH)の総量、すなわち存在する抗体の個々の濃度の合計を指すことができる。
【0117】
いくつかの実施形態において、本発明の結合タンパク質または抗体は、感染を引き起こす(例えば、CD163発現宿主細胞を感染させる)PRRSV1型またはPRRSV2型の能力を阻害する(または遮断もしくは低減する)ことができる。いくつかの実施形態において、本発明の結合タンパク質または抗体は、感染を引き起こす(例えば、CD163発現宿主細胞を感染させる)1型PRRSVおよび2型PRRSVの両方の能力を阻害する(または遮断もしくは低減する)ことができる。本発明の結合タンパク質または抗体は、PRRSV(または他の病原性実体)それ自体とは対照的に、宿主細胞CD163を標的とすることに留意されたい。これは、感染または病変形成のためにCD163上の同じ結合領域を使用する任意のウイルス、例えばPRRSVによる感染を阻害できるという重要な利点を提供する。このように、本発明の抗体などは、細胞を感染させるためにCD163を使用することを条件として、高病原性株または分離株を含むPRRSVの多くの株または分離株を遮断する手段を提供することができる。CD163の利用は、複数のPRRSV株による感染によく見られると考えられている。したがって、本発明の抗体は、幅広い有用性を有する。これは、例えば、菌株特異的であり得るPRRSVの既知のアプローチのいくつか、例えばワクチン接種とは対照的であり、それらの有効性(またはそれらが本当に有効であるかどうか)は、菌株に応じて変化し得る。したがって、本発明の抗体は、そのような従来の方法に勝る重要な利点および柔軟性を提供する。
【0118】
本発明の好ましい抗体は、1型PRRSV感染をほぼ完全に阻害する能力を有し、例えば、少なくとも90%の阻害を観察することができる。代替的に、少なくとも50%、60%、70%、75%、または80%の阻害を観察することができる。いくつかの実施形態において、1型PRRSV感染の少なくとも80%の阻害、より好ましくは少なくとも85%、90%または95%の阻害を示す能力を有する抗体が好ましい。
【0119】
本発明の好ましい抗体は、少なくとも50%、少なくとも55%もしくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、または少なくとも80%の阻害により、2型PRRSV感染を阻害する能力を有する。
【0120】
本発明のいくつかの好ましい抗体は、例えば、上記および本明細書の他の箇所で記載したレベルで、1型および2型PRRSV感染の両方を阻害する能力を有する。このような抗体は、本明細書では「二重」抗体と称されることもある。したがって、例示的な抗体は、1型PRRSVの少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の阻害と組み合わせて、2型PRRSVの少なくとも50%の阻害が可能であり得る。代替の例示的な抗体は、1型PRRSVの少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%または95%の阻害と組み合わせて、2型PRRSVの少なくとも55%または60%の阻害が可能であり得る。代替の例示的な抗体は、1型PRRSVの少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%または95%の阻害と組み合わせて、2型PRRSVの少なくとも65%、70%または75%の阻害が可能であり得る。いくつかの実施形態において、本発明の好ましい抗体は、1型PRRSVの少なくとも90%または95%の阻害と組み合わせて、2型PRRSVの少なくとも65%、70%または75%の阻害が可能であり得る。
【0121】
VHH抗体の形態の例示的な「二重」抗体は、それぞれ、表A、B、C、D、E、F、G、H、およびIに示されるように、49(#18)、47(#19)、48(#20)、76(#2)、77(#16)、78(#8)、150(#15)、70(#23)、および144(#1)である。
【0122】
いくつかの実施形態において、本発明の結合タンパク質または抗体は、宿主細胞に感染するPRRSV 2型の能力を阻害する(または遮断もしくは低減する)ことができる。いくつかの実施形態において、本発明の結合タンパク質または抗体は、感染を引き起こすPRRSV2型の能力を特異的に阻害する(または遮断もしくは低減する)能力(例えば、CD163発現宿主細胞を感染させるか、または2型PRRSV感染を特異的に阻害する)を有する。そのような結合タンパク質または抗体は、PRRSV1型感染とは対照的に、PRRSV2型感染を優先的に阻害または低減する。したがって、例示的な抗体は、2型PRRSV感染を少なくとも40%、45%、または50%阻害することができ得る(例えば、宿主細胞を感染させる2型PRRSVの能力を少なくとも40%、45%、または50%阻害する)。
【0123】
他の実施形態において、そのような結合タンパク質または抗体は、1型PRRSV感染を阻害または低減しない(例えば、大幅に阻害または低減しない)(例えば、宿主細胞を感染させる1型PRRSVの能力を阻害または低減しない、または大幅に阻害または低減しない)。純粋に例として、1型PRRSV感染を大幅に阻害または低減しないそのような抗体は、そのような感染を10%未満、または5%未満、または2%未満、好ましくはまったく(0%)低減し得ない。このような抗体は、本明細書では「2型特異的」または「2型のみ」の抗体と称されることがある。VHH抗体の形態の例示的なそのような抗体は、それぞれ、表1、2、3および4に示されるように、57(#11)、41(#12)、171(#14)、および29(#17)である。
【0124】
1型および2型PRRSVの阻害の比較は、適切なアッセイを使用して簡単に行うことができる。例えば、同じ濃度の試験抗体または結合タンパク質を使用して、アッセイ条件を同じに保ち、1つのアッセイは、1型PRRSVを使用して、別のアッセイは、2型PRRSVを使用して行う。そのような阻害を評価するための適切な対照もまた、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0125】
特定の実施形態において、本発明の抗体は、350μg/ml以下、300μg/ml以下、280μg/ml以下、260μg/ml以下、240μg/ml以下、220μg/ml以下、200μg/ml以下、190μg/ml以下、180μg/ml以下、170μg/ml以下、160μg/ml以下、150μg/ml以下、140μg/ml以下、130μg/ml以下、120μg/ml以下、110μg/ml以下、100μg/ml以下、90μg/ml以下、または80μg/ml以下のIC50(例えば、宿主細胞のPRRSV1感染の阻害のため、例えば、PAM)を有する。いくつかの実施形態において、IC50は、80~350、300、250もしくは200μg/ml、または80~160μg/ml、または80~120μg/ml、または100~200μg/ml、または100~160μg/ml、または100~120μg/mlである。特定の例示的なIC50値も実施例に示す。
【0126】
特定の実施形態において、本発明の抗体は、300μg/ml以下、280μg/ml以下、260μg/ml以下、240μg/ml以下、220μg/ml以下、210μg/ml以下、200μg/ml以下、180μg/ml以下、170μg/ml以下、160μg/ml以下、150μg/ml以下、140μg/ml以下、130μg/ml以下、120μg/ml以下、110μg/ml以下または100μg/ml以下のIC50(例えば、宿主細胞のPRRSV2感染の阻害のため、例えば、PAM)を有する。いくつかの実施形態において、IC50は、100もしくは150もしくは200~300μg/ml、または200~260μg/ml、または200~220μg/ml、または220~300μg/ml、または220~260μg/ml、または220~240μg/mlである。特定の例示的なIC50値も実施例に示す。
【0127】
上記の好ましいIC50値は、好ましくは、適切なウイルス感染性アッセイ、例えば上記または実施例のセクションで決定されるものである。
【0128】
本明細書に記載の二重抗体は、2型PRRSV感染を阻害する良好な能力を示すが、2型PRRSV感染の阻害は、1型PRRSV感染の阻害について観察されるレベルほど完全ではないか、またはそれほど高いレベルに達しないことが一般に観察される。理論に縛られることを望まないが、2型感染に関与するCD163上に複数のエピトープが存在する可能性がある。したがって、本発明の好ましい実施形態において、例えば本明細書に記載の二重抗体および2型特異抗体は、組み合わせて使用することができる。このような組み合わせは、2型PRRSV感染症の治療または予防が必要または望まれる場合に特に有用であり得る。
【0129】
本発明の代替の実施形態において、本発明の結合タンパク質または抗体を使用して、PRRSV感染のリスクを低減するか、または予防することができる。
【0130】
好ましくは、上記の能力および特性は、適切な対照レベルと比較した場合、測定可能または有意なレベルで、より好ましくは統計的に有意なレベルで観察される。適切な有意水準については、本書の他の箇所で考察される。より好ましくは、上記の能力および特性のうちの1つ以上は、従来技術の抗体について観察された能力と比較した場合、測定できるほど優れている、またはより好ましくは大幅に優れている(好ましくは統計的に大幅に優れている)レベルで観察される。
【0131】
本明細書で言及する任意の統計分析において、好ましくは、関連する対照もしくは他の比較エンティティもしくは測定値に対する統計的に有意差は、≦0.1または<0.1、好ましくは≦0.05または<0.05の確率値を有する。統計的有意性を決定する適切な方法は、当技術分野で周知であり、記述されており、これらのいずれかを使用することができる。
【0132】
いくつかの実施形態において、本発明の結合タンパク質または抗体は、本明細書に記載の機能特性、特に好ましい機能特性のうちの1つ以上、好ましくは2つ以上、または3つ以上、最も好ましくはすべてを有する。
【0133】
出願書類全体で使用される場合、「a」および「an」という用語は、上限がその後具体的に述べられている場合を除いて、参照される「少なくとも1つ」、「少なくとも第1の」、「1つ以上」、または「複数」の成分または工程を意味するという意味で使用される。したがって、本明細書で使用される場合、「抗体」とは、「少なくとも一次抗体」を意味する。
【0134】
さらに、「含む」、「含む」、「有する」または「有する」という用語、または他の同等の用語が本明細書で使用される場合、いくつかのより具体的な実施形態において、例えば、本明細書におけるCDRまたはFR配列の定義において、これらの用語には、「からなる」または「本質的にからなる」という用語、または他の同等の用語が含まれる。
【0135】
本明細書で定義された本発明の結合タンパク質または抗体もしくはその部分もしくは断片をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子、またはそれに実質的に相同な核酸分子は、本発明のさらに別の態様を形成する。
【0136】
好ましい核酸分子は、本発明のVHH抗体またはVH領域もしくはドメインをコードするもの(例えば、配列番号1、9、17、25、33、41、49、57または65をコードするもの)である。他の好ましい核酸分子は、表A、B、C、D、E、F、G、HまたはIのいずれか1つで定義された3つのCDR配列のセットをコードするものである。好ましいそのような核酸分子はまた、適切なフレームワーク領域、例えば、FR1、FR2、FR3およびFR4領域、好ましくは、表A、B、C、D、E、F、G、HまたはIのいずれか1つで定義されたFR配列のセットをコードする。
【0137】
他の実施形態において、好ましい核酸分子は、本発明のVHH抗体またはVH領域もしくはドメインをコードするもの(例えば、配列番号83、91、99または107をコードするもの)である。他の好ましい核酸分子は、表1、2、3または4のいずれか1つで定義された3つのCDR配列のセットをコードするものである。好ましいそのような核酸分子はまた、適切なフレームワーク領域、例えば、FR1、FR2、FR3およびFR4領域、好ましくは、表1、2、3または4のいずれか1つで定義されたFR配列のセット(例えば、本発明の2型特異抗体)をコードする。
【0138】
アミノ酸または核酸配列に関連して本明細書で使用される場合、「実質的に相同」という用語は、開示されたアミノ酸または核酸配列と少なくとも60%、65%、70%または75%、好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。したがって、本発明の実質的に相同な配列は、本発明の配列への単一もしくは複数の塩基またはアミノ酸の変化(付加、置換、挿入または欠失)を含む。アミノ酸レベルでは、好ましい実質的に相同な配列は、本発明の配列を構成するフレームワーク領域のうちの1つ以上および/またはCDRのうちの1つ以上において、最大5つ、例えば、わずかに1つ、2つ、3つ、4つまたは5つ、好ましくは1つ、2つ、3つまたは4つ、好ましくは1つ、2つまたは3つ、より好ましくは1つまたは2つのアミノ酸変化を含む。前述の変化は、保存的または非保存的アミノ酸にあり得る。好ましくは、前述の変化は、置換、好ましくは保存的アミノ酸置換である。
【0139】
特定の実施形態において、所与の開始配列が比較的短い(例えば、長さが5アミノ酸)場合、配列において任意選択で行われ得るアミノ酸置換の数と比較して、それに実質的に相同な配列においてより少ないアミノ酸置換が存在し得る。より長い開始配列と実質的に相同である。例えば、特定の実施形態において、本発明による開始VH CDR1配列に実質的に相同な配列は、例えば、いくつかの実施形態において、長さが5アミノ酸残基であり得る開始VH CDR1配列は、開始配列と比較して、好ましくは1つまたは2つ(より好ましくは1つ)のアミノ酸変化を有する。したがって、いくつかの実施形態において、実質的に相同な配列(例えば、実質的に相同なCDR配列)におけるアミノ酸変化の数は、所与の開始CDR配列の長さに合わせて調整することができる。例えば、CDRにおいて特定の%配列同一性、例えば、少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を達成するために、所与の開始CDR配列の長さに応じて、異なる数のアミノ酸変化が存在し得る。
【0140】
アラニンスキャニング変異誘発および/または抗原-抗体複合体の結晶構造の分析などの当技術分野の日常的な方法を使用して、CDRのどのアミノ酸残基が抗原結合に寄与しないか、または大幅に寄与しないかを決定することができ、したがって、実質的に相同な配列に関与する本発明の実施形態における変化または置換の良好な候補である。
【0141】
新しい抗体を形成するための親抗体のアミノ酸配列における1つ以上のアミノ酸の付加、削除、置換、または挿入が同定されると、前述の親抗体は、本明細書の他の箇所で定義された本発明の抗体の1つであり、得られた新しい抗体を試験して、本発明に従ってCD163に結合する抗体を同定することは、当技術分野で日常的である技術を使用して行われ得る。このような方法を使用して、複数の新しい抗体を形成することができ、CD163に結合するそれらの能力についてすべてを試験することができる。好ましくは、1つ以上のアミノ酸の前述の付加、欠失、置換または挿入は、CDRドメインのうちの1つ以上で起こる。
【0142】
例えば、前述の操作は、適切な結合タンパク質およびそのドメインをコードする核酸分子が、結果として生じる発現タンパク質のアミノ酸配列が次に適切な方法で修飾されるように修飾される、核酸レベルでの遺伝子工学によって便利に実行され得る。CD163に結合する修飾抗体のうちの1つ以上の能力を試験することは、当技術分野で周知であり、記載されている任意の適切な方法によって行われ得る。好適な方法は、本明細書の他の箇所および実施例のセクションにも記載されている。
【0143】
これらの方法によって産生され、取得され、または取得可能な新しい抗体は、本発明のさらなる態様を形成する。
【0144】
「実質的に相同である」という用語はまた、実質的に同じ方法で本発明のタンパク質または核酸分子と実質的に同じ機能を実行する本発明のアミノ酸およびヌクレオチド配列の変更または化学的同等物を含む。例えば、任意の実質的に相同な抗体は、上記のようにCD163に結合する能力を保持しなければならない。好ましくは、任意の実質的に相同な抗体は、出発抗体の機能的能力のうちの1つ以上(またはすべて)を保持しなければならない。
【0145】
好ましくは、任意の実質的に相同な抗体は、問題の開始抗体によって認識されるCD163の同じエピトープ、例えば、本明細書に記載の本発明の抗体のうちの1つ以上のCDRドメインまたは本発明のVH(VHH)ドメインによって認識される同じエピトープに特異的に結合する、例えば、本発明の様々な抗体のうちの1つ以上(例えば、それぞれ、表A、B、C、D、E、F、G、H、G、およびIに示されるVHH抗体49(#18)、47(#19)、48(#20)、76(#2)、77(#16)、78(#8)、150(#15)、70(#23)、または144(#1)のうちの1つ以上)と同じエピトープに結合する能力を保持しなければならない。したがって、好ましくは、任意の実質的に相同な抗体は、好適なアッセイにおいて、CD163への結合のために、本発明の様々な抗体(例えば、それぞれ、表A、B、C、D、E、F、G、H、G、およびIに示されるVHH抗体49(#18)、47(#19)、48(#20)、76(#2)、77(#16)、78(#8)、150(#15)、70(#23)、または144(#1))のうちの1つ以上と競合する能力を保持しなければならない。
【0146】
他の実施形態において、任意の実質的に相同な抗体は、問題の開始抗体によって認識されるCD163の同じエピトープ、例えば、本明細書に記載の本発明の1つ以上の抗体のCDRドメインまたは本発明のVH(VHH)ドメインによって認識される同じエピトープに特異的に結合する、例えば、本発明の様々な2型抗体のうちの1つ以上(例えば、それぞれ、表1、2、3、および4に示されるVHH抗体57(#11)、41(#12)、171(#14)、または29(#17)のうちの1つ以上)と同じエピトープに結合する能力を保持しなければならない。したがって、好ましくは、任意の実質的に相同な抗体は、CD163への結合のために、本発明の様々な2型抗体(例えば、それぞれ、表1、2、3および4に示されるVHH抗体57(#11)、41(#12)、171(#14)、または29(#17)、例えば、本発明の2型特異抗体)のうちの1つ以上と競合する能力を保持しなければならない。
【0147】
同じエピトープ/抗原への結合は、当技術分野で周知であり、記載されている方法によって、例えば、結合アッセイ、例えば、競合アッセイを使用するか、または抗原-抗体複合体の結晶構造の分析によって、容易に試験することができる。他の機能特性の保持もまた、当技術分野で周知であり、記載されている方法、または本明細書に記載の方法によって容易に試験することができる。
【0148】
したがって、当業者は、結合アッセイ、例えば、本明細書の他の箇所に記載の競合アッセイまたはELISAアッセイなどの結合アッセイを使用して、任意の抗体、例えば「実質的に相同な」抗体が同じ結合特異性を有するかどうか、例えば、本発明の抗体および抗体断片と同じエピトープに結合するか、または同じもしくは同等の親和性を有するかどうかを試験することができることを理解するであろう。BIAcoreアッセイはまた、抗体、例えば「実質的に相同な」抗体がCD163に結合することができるかどうかを確立するために容易に使用することができる。当業者は、他の好適な方法および変形を認識するであろう。
【0149】
以下に概説するように、競合結合アッセイを使用して、抗体、例えば「実質的に相同な」抗体が、本明細書の様々な配列表に示すように本発明の抗体のうちの1つ以上によって認識されるCD163の実質的に同じエピトープに特異的に結合する能力を保持するかどうか、または本明細書の様々な配列表に示すように本発明の様々な抗体のうちの1つ以上と競合する能力を有するかどうかを試験することができる。以下に説明する方法は、好適な競合アッセイの一例にすぎない。当業者は、他の好適な方法および変形を認識するであろう。
【0150】
例示的な競合アッセイは、様々な濃度の試験抗体(例えば、実質的に相同な抗体)の存在下でのCD163への本発明の抗体の様々な有効濃度の結合を評価することを含む。次に、試験抗体によって誘導される結合の阻害の量を評価することができる。濃度の増加で本発明の抗体との競合の増加を示す試験抗体(すなわち、試験抗体の濃度の増加は、CD163に結合する本発明の抗体の量の対応する減少をもたらす)は、実質的に同じエピトープへの結合の証拠である。好ましくは、試験抗体は、CD163に結合する本発明の抗体の量を大幅に低減する。好ましくは、試験抗体は、CD163に結合する本発明の抗体の量を少なくとも約95%低減する。ELISAおよびフローサイトメトリーアッセイは、そのような競合アッセイにおいて結合の阻害を評価するために使用され得るが、他の好適な技術も、当業者に周知であろう。
【0151】
本発明の抗体(例えば、それぞれ、表A、B、C、D、E、F、G、H、およびIに示されるように、VHH抗体49(#18)、47(#19)、48(#20)、76(#2)、77(#16)、78(#8)、150(#15)、70(#23)、または144(#1))によって認識される、CD163の実質的に同じ(または同じ)エピトープもしくはCD163の重複するエピトープに特異的に結合する能力を有し、または本発明の様々な抗体(例えば、それぞれ、表A、B、C、D、E、F、G、H、およびIに示されるように、VHH抗体49(#18)、47(#19)、48(#20)、76(#2)、77(#16)、78(#8)、150(#15)、70(#23)、または144(#1))のうちの1つ以上と競合する能力を有するそのような抗体(モノクローナル抗体)は、本発明のさらなる実施形態である。
【0152】
別の実施形態において、本発明の抗体(例えば、それぞれ、表1、2、3および4に示されるように、VHH抗体57(#11)、41(#12)、171(#14)、または29(#17))によって認識される、CD163の実質的に同じ(または同じ)エピトープまたはCD163の重複するエピトープに特異的に結合する能力を有し、あるいは本発明の様々な抗体(例えば、それぞれ、表1、2、3および4に示されるように、VHH抗体57(#11)、41(#12)、171(#14)、または29(#17)、例えば、本発明の2型特異抗体)のうちの1つ以上と競合する能力を有するそのような抗体(モノクローナル抗体)は、本発明のさらなる実施形態である。いくつかの実施形態において、好ましいそのような抗体は、表3に概説されている配列番号99(または前述の配列に関連する3つのCDR配列)を含むVHH抗体171(#14)である。
【0153】
本明細書で使用される場合、「競合抗体」という用語は、「参照抗体」とほぼ実質的にもしくは本質的に同じ、または同じエピトープにも結合する抗体を指す。「競合する抗体」には、重複するエピトープ特異性を有する抗体が含まれる。したがって、競合する抗体は、CD163への結合について参照抗体と効果的に競合することができる。好ましくは、競合する抗体は、参照抗体と同じエピトープに結合することができる。代替的に、競合する抗体は、好ましくは、参照抗体と同じエピトープ特異性を有する。
【0154】
本明細書で使用される場合、「参照抗体」とは、本発明に従ってCD163に結合することができる抗体であり、好ましくは本明細書で定義されたVHドメインを有し、より好ましくはVHドメインを有するか、または表A、B、C、D、E、F、G、H、またはIに概説されている配列番号1、9、17、25、33、41、49、57、または65(または前述の配列の関連する3つのCDR配列)を含むVHH抗体である。
【0155】
本明細書で使用される場合、他の「参照抗体」とは、本発明に従ってCD163に結合することができる抗体であり、好ましくは本明細書で定義されたVHドメインを有し、より好ましくはVHドメインを有するか、または表1、2、3または4(例えば、本発明の2型特異抗体)に概説されている配列番号83、91、99または107(または前述の配列の関連する3つのCDR配列)を含むVHH抗体である。いくつかの実施形態において、好ましい参照抗体は、表3に概説されている配列番号99(または前述の配列の関連する3つのCDR配列)を含むVHH抗体である。
【0156】
1つ以上の競合する抗体または同じエピトープに結合する抗体の同定は、現在、簡単な技術的問題であり、本明細書の配列表に概説されているような参照抗体が提供されている。競合する抗体または同じエピトープに結合する抗体の同定は、参照抗体と比較して決定するこことができるので、一方または両方の抗体が結合するエピトープを実際に決定することは、競合する抗体または同じエピトープに結合する抗体を同定するために、いかなる方式であっても必要とされないことが理解されよう。しかしながら、必要に応じて、標準的な手法を使用してエピトープマッピングを行うことができる。
【0157】
配列番号115に記載のブタCD163のSRCR5ドメインと、VHH抗体171(#14)、すなわち表3に示した、アミノ酸配列(配列番号17’または99)を有するVHH 014(2D01)との間の抗原-抗体複合体の結晶構造の分析を、この抗体が結合するCD163内の領域(エピトープ)を決定するために行われている(
図6を参照)。抗原結合に寄与するブタCD163上の残基は、ブタCD163のS507、E509、L526、およびL527として同定されている(配列番号116に記載のUniprot Q2VL90配列を参照)。結晶構造は、S507およびE509がVHH 014(2D01)のL104と相互作用し、L526がVHH 014(2D01)のY59と相互作用し、L527がVHH 014(2D01)のD62と相互作用することを示している。
【0158】
CD163のエピトープ
したがって、さらなる態様は、ブタCD163に結合または特異的に結合する抗原結合ドメインを含む抗体(または結合タンパク質)を提供し、前述の抗体(抗原結合ドメイン)は、配列番号116のアミノ酸S507、E509、L526およびL527、または代替CD163配列、例えば別の種からのCD163配列中の対応する残基を含む(またはそれによって定義された)ブタCD163のSRCR5ドメイン中のエピトープに結合する。
【0159】
代替的に、さらなる態様は、ブタCD163に結合または特異的に結合する抗原結合ドメインを含む抗体(または結合タンパク質)を提供し、前述の抗体(抗原結合ドメイン)は、配列番号115のアミノ酸S32、E34、L51およびL52、または代替CD163配列、例えば別の種からのCD163配列中の対応する残基を含む(またはそれによって定義された)ブタCD163のSRCR5ドメイン中のエピトープに結合する。関連する残基は、以下の配列番号115に下線で示される。
[配列表1]
【0160】
特に、VHHのCDR2とブタCD163の残基L526およびL527(配列番号116)との間の相互作用は、抗原-抗体(抗原結合ドメイン)相互作用にとって重要であるように見える。したがって、本発明のさらなる態様は、ブタCD163に結合または特異的に結合する抗原結合ドメインを含む抗体(または結合タンパク質)を提供し、前述の抗体(抗原結合ドメイン)は、配列番号116のアミノ酸L526およびL527、または代替CD163配列、例えば別の種からのCD163配列中の対応する残基を含む(それによって定義された)ブタCD163のSRCR5ドメイン中のエピトープに結合する。
【0161】
他の実施形態において、本発明は、ブタCD163に結合または特異的に結合する抗原結合ドメインを含む抗体(または結合タンパク質)を提供し、前述の抗体(抗原結合ドメイン)は、配列番号116のアミノ酸L526、L527およびS507、もしくはL526、L527およびE509、またはアミノ酸L526、L527、S507およびE509、または代替CD163配列、例えば別の種からのCD163配列中の対応する残基を含む(またはそれによって定義された)ブタCD163のSRCR5ドメイン中のエピトープに結合する。
【0162】
他の実施形態において、前述の抗体(または結合タンパク質)は、配列番号116の残基S507、E509、L526およびL527のうちの1つ、2つ、3つ、もしくはすべて、または代替CD163配列、例えば別の種からのCD163配列中の対応する残基を含む(またはそれによって定義された)ブタCD163のSRCR5ドメイン中のエピトープに結合する。言い換えれば、本発明の抗体(または結合タンパク質)によって結合されるCD163上のエピトープの少なくとも1つのアミノ酸は、配列番号116のS507、E509、L526もしくはL527、または代替のCD163配列、例えば別の種からのCD163配列中の対応する残基を含む。このような抗体は、重複するエピトープに結合する抗体の例とみなすことができる。
【0163】
代替的に、前述の抗体(または結合タンパク質)は、配列番号115の残基S32、E34、L51およびL52のうちの1つ、2つ、3つ、もしくはすべて、または代替CD163配列、例えば別の種からのCD163配列中の対応する残基を含む(またはそれによって定義された)ブタCD163のSRCR5ドメイン中のエピトープに結合する。言い換えれば、本発明の抗体(または結合タンパク質)によって結合されるCD163上のエピトープの少なくとも1つのアミノ酸は、配列番号115のS32、E34、L51もしくはL52、または代替のCD163配列、例えば別の種のCD163配列中の対応する残基を含む。このような抗体は、重複するエピトープに結合する抗体の例とみなすことができる。
【0164】
本発明者らの知る限り、ブタCD163、特にブタCD163のSRCR5ドメイン中のエピトープに結合または特異的に結合することができ、2型PRRSV感染を阻害または低減することができるモノクローナル抗体は、2型PRRSV感染のみを阻害または低減する形態、または前述の抗体が1型および2型PRRSV感染を阻害または低減することができる形態のいずれかで当技術分野で記載されていない。
【0165】
したがって、本明細書に記載の個々のモノクローナル抗体は、異常であり、かつ有利である。さらに、上記のように、本発明者らは、2型PRRSV感染に重要であり、したがってPRRSV感染を低減または阻害するために一般に抗体および結合タンパク質の標的であるブタCD163上のエピトープを同定したと信じている。さらに、エピトープの一部として本明細書で同定されたブタCD163上の残基は、PRRSV感染にとって潜在的に重要であると以前に同定されたものとは異なるCD163の領域に位置することに留意されたい。例えば、以前のレポート、例えば、Ma et al.,2017(Am.Soc.For Microbiology,91(3):e01897-16)は、CD163のSRCR5ドメインの残基R561が1型PRRSV感染に重要であると特定した。この残基は、CD163の残基Phe544とArg570の間に位置するブタCD163のループ5-6に見られる。他の報告では、CD163の残基S487とG499の間に位置するCD163のリガンド結合ポケット(LBP)も、PRRSV感染の重要な領域であり得ると推測されている。現在の試験でエピトープの一部であると同定された4つの残基は、いずれもこれらの領域に存在しない。
【0166】
したがって、本発明は、PRRSV感染、特に2型PRRSV感染に重要であるブタCD163のSRCR5領域の異なる部分における新規エピトープを同定したと考えられ、このエピトープに結合する抗体(または結合タンパク質)または重複するエピトープが特に好ましい。上記のように、表3に示した抗体171(#14)は、このエピトープに結合することが示されている。競合結合試験を使用した最初の実験では、少なくとも抗体57(#11)、70(#23)、144(#1)、および150(#15)が同じまたは重複するエピトープに結合し得ることを示している。
【0167】
抗体上のパラトープ
CD163の2つのL残基、L526およびL527は、VHH抗体171(#14)のCDR2、すなわちVHH 014(2D01)に見られるYYADモチーフのY59およびD62と相互作用することが示されている。このVHH抗体は、2型PRRSV感染の阻害効果を有するか、または感染を低減することが示されている。配列YYADまたは配列YYADに非常に類似した配列が、本明細書に記載のすべてのVHH抗体のCDR2の同等または対応する領域に見られることに留意されたい。本明細書に記載のすべてのVHH抗体は、2型PRRSV感染に対する阻害効果を有するか、または感染を低減することが示されている。したがって、このVH CDR2領域は、2型PRRSV感染を阻害または低減する能力を有する抗体(例えば、VHH抗体)の重要な特徴のようである。
【0168】
したがって、本発明の好ましい抗体(または結合タンパク質)は、CDR2、特に、アミノ酸配列YADもしくはYAE、好ましくはXYADもしくXYAEを含むVH CDR2を含み、式中、Xは任意のアミノ酸、好ましくはY、L、P、N、F、またはR、より好ましくはY、F、L、NもしくはR、またはY、PもしくはL、最も好ましくはYであり得る。他の実施形態において、配列は、YADまたはYAEの代替として、YANまたはXYANを含み得る。
【0169】
実施形態において、X残基は、VHH抗体171(#14)、すなわち、表3に示すVHH 014(2D01)の配列番号17’または99の59位、または代替抗体(またはVHH)のVH CDR2中の対応する位置に位置する。代替的に、X残基は、VHH抗体171(#14)、すなわち、表3に示すVHH 014(2D01)の配列番号19’または101(CDR2)の10位、または代替抗体(またはVHH)のVH CDR2中の対応する位置に位置し、これは、例えば、本明細書に記載の他のVHH抗体のCDR2領域の8位または9位にあり得る。XYADもしくはXYAEもしくはXYANモチーフにおける他の残基の位置は、これらの位置を参照してそれに応じて決定することができる。
【0170】
CD163の2つの残基S507およびE509は、VHH抗体171(#14)のCDR3、すなわち、VHH 014(2D01)のL104と相互作用することが示されている。このVHH抗体は、2型PRRSV感染の阻害効果を有するか、または感染を低減することが示されている。したがって、このVH CDR3残基(または他の抗体、例えばVHH抗体中の対応する残基)は、2型PRRSV感染を阻害または低減する能力を有する抗体(例えば、VHH抗体)における重要な残基であり得る。
【0171】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明の抗体(または結合タンパク質)は、CDR3、特に、VHH抗体171(#14)、すなわち、表3に示すVHH 014(2D01)の配列番号17’もしくは99の104位、または代替抗体(またはVHH)のVH CDR3における対応する位置にアミノ酸残基Lを含む、VH CDR3を含む。代替的に、L残基は、VHH抗体171(#14)、すなわち、表3に示すVHH 014(2D01)の配列番号20’もしくは102の6位、または代替抗体(またはVHH)のVH CDR3における対応する位置に位置する。
【0172】
いくつかの実施形態において、CDR3における上記のL残基は、CDR2における上記のYADもしくはYAEもしくはYAN配列、好ましくはXYADもしくはXYAEもしくはXYANに加えて存在し、式中、Xは任意のアミノ酸、好ましくはY、L、P、N、F、もしくはR、より好ましくはY、F、L、NもしくはR、またはY、PもしくはL、最も好ましくはYであり得る。
【0173】
実質的に相同な配列が提供される本発明の実施形態において、いくつかの実施形態において、上記で定義された残基YAD、YAEもしくはYAN、またはXYAD、XYAEもしくはXYANが維持されているか、または存在し、変形はこれらの残基の外側で起こる。
【0174】
本発明のタンパク質の実質的に相同な配列には、保存的アミノ酸置換、または例えば、抗体のVH、VLもしくはCDRドメインに影響を及ぼさない変化、例えば、タグ配列、毒素または他の成分が添加され、抗原の結合に寄与しない抗体、またはあるタイプまたはフォーマットの結合タンパク質、抗体分子もしくは断片を別のタイプまたはフォーマットの結合タンパク質、抗体分子または断片に変換するための変化(例えば、VHHからFabもしくはscFvもしくは全抗体またはその逆への変換)に寄与しない逆)、または抗体分子の特定のクラスまたはサブクラスの抗体分子への変換(例えば、抗体分子のIgGまたはそのサブクラス、例えば、IgG2への変換)が含まれるが、これらに限定されない。
【0175】
本明細書で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が類似の側鎖を有する別のアミノ酸残基で置き換えられているものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されており、塩基性側鎖(例えば、リシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、極性無電荷側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、グリシン、システイン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が挙げられる。他の例では、アミノ酸残基のファミリーは、疎水性側基または親水性側基に基づいてグループ化することができる。
【0176】
相同性は、任意の便利な方法で評価することができる。しかしながら、配列間の相同性の程度を決定するために、配列のマルチプルアラインメントを行うコンピュータプログラム、例えば、Clustal W(Thompson,Higgins,Gibson、Nucleic Acids Res.,22:4673-4680,1994)が有用である。必要に応じて、ClustalWアルゴリズムをBLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff and Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:10915-10919,1992)およびギャップオープニングペナルティ10およびギャップエクステンションペナルティ0.1と一緒に使用することができ、その結果、2つの配列間で最高次の一致が得られ、一方の配列の全長の少なくとも50%がアラインメントに関与する。配列を整列させるために使用することができる他の方法は、Smith and Waterman(Smith and Waterman,Adv.Appl.Math.,2:482,1981)によって改訂されたNeedleman and Wunsch (Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.,48:443,1970)のアライメント方法があり、その結果、2つの配列間で最高次の一致が得られ、2つの配列間で同一のアミノ酸の数が決定される。2つのアミノ酸配列間の同一性のパーセンテージを計算する他の方法は、一般に技術的に認識されており、例えば、CarilloおよびLiptonによって記載された方法(Carillo and Lipton,SIAM J.Applied Math.,48:1073,1988Oxford University Press, New York,1988,Biocomputing:Informatics and Genomics Projectsが挙げられる。
【0177】
一般的に、そのような計算にはコンピュータプログラムが用いられる。配列対を比較し、整列させるプログラム、例えばALIGN(Myers and Miller,CABIOS,4:11-17,1988)、FASTA(Pearson and Lipman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:2444-2448,1988、Pearson,Methods in Enzymology,183:63-98,1990)およびgapped BLAST(Altschul et al.,Nucleic Acids Res.,25:3389-3402,1997)、BLASTP、BLASTN、またはGCG(Devereux,Haeberli,Smithies,Nucleic Acids Res.,12:387,1984)もこの目的に有用である。さらに、欧州バイオインフォマティクス研究所のDaliサーバーは、タンパク質配列の構造ベースのアラインメントを提供する(Holm,Trends in Biochemical Sciences,20:478-480,1995、Holm,J.Mol.Biol.,233:123-38,1993、Holm,Nucleic Acid Res.,26:316-9,1998)。
【0178】
参照点を提供することにより、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の相同性、配列同一性などを有する本発明による配列は、デフォルトのパラメータ(例えば、インターネット上のGENESTREAMネットワークサーバー、IGH,Montpellier,Franceで入手可能)とともにALIGNプログラムを使用して決定することができる。
【0179】
本明細書で使用される場合、「抗体」および「免疫グロブリン」という用語は、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を含む、抗原結合ドメインを含む任意の免疫学的結合剤を広く指す。しかしながら、モノクローナル抗体が好ましい。言い換えれば、いくつかの実施形態において、本発明の抗体はポリクローナル抗体ではない。重鎖の定常ドメインのタイプに応じて、全抗体が5つの主要なクラス、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMの1つに割り当てられる。本発明の抗体はこれらのクラスのいずれかにあり得る。これらのいくつかは、さらにIgG1、IgG2、IgG3、IgG4などのサブクラスまたはアイソタイプに分けられる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、およびμと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元構成はよく知られている。
【0180】
一般に、抗原結合領域ではなく全抗体が本発明で使用される場合、それらが生理学的状況において最も一般的な抗体であり、それらが実験室で最も容易に作製されるため、IgGが好ましい。
【0181】
哺乳動物の抗体の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列と可変ドメインのフレームワーク領域内のいくつかのアミノ酸に基づいて、カッパ(κ)とラムダ(λ)の2つの明確に異なるタイプの1つに割り当てられる。
【0182】
本明細書で使用される場合、「重鎖相補性決定領域」(「重鎖CDR」)という用語は、抗体分子の重鎖可変領域(VHドメイン)内またはVHH抗体分子内の超可変性の領域を指す。重鎖可変領域には、アミノ末端からカルボキシ末端まで、重鎖CDR1、重鎖CDR2、および重鎖CDR3と呼ばれる3つのCDRがある。重鎖可変領域は、4つのフレームワーク領域(アミノ末端からカルボキシ末端までFR1、FR2、FR3、およびFR4)も有する。これらのフレームワーク領域は、CDRを分離する。
【0183】
本明細書で使用される場合、「重鎖可変領域」(VHドメイン)という用語は、抗体分子の重鎖の可変領域を指す。
【0184】
本明細書で使用される場合、「軽鎖相補性決定領域」(「軽鎖CDR」)という用語は、抗体分子の軽鎖可変領域(VLドメイン)内の超可変性の領域を指す。軽鎖可変領域には、アミノ末端からカルボキシ末端まで軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、および軽鎖CDR3と呼ばれる3つのCDRがある。軽鎖可変領域には、4つのフレームワーク領域(アミノ末端からカルボキシ末端までFR1、FR2、FR3、およびFR4)もある。これらのフレームワーク領域は、CDRを分離する。
【0185】
本明細書で使用される場合、「軽鎖可変領域」(VLドメイン)という用語は、抗体分子の軽鎖の可変領域を指す。
【0186】
当業者によって理解されるように、「抗体」という用語に包含される免疫学的結合試薬は、全抗体、二量体、三量体および多量体抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、組換え抗体および改変抗体、およびそれらの断片を含む、すべての抗体およびその抗原結合断片を含むか、またはそれらに及ぶ。
【0187】
したがって、「抗体」という用語は、抗原結合領域を有する任意の抗体様分子を指すために使用され、この用語は、Fab’、Fab、F(ab’)2、単一ドメイン抗体(DAB)、TandAb二量体、Fv、scFv(単鎖Fv)、dsFv、ds-scFv、Fd、線状抗体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体断片、バイボディ、トリボディ(それぞれ、scFv-Fab融合体、二重特異性または三重特異性);sc-ダイアボディ;カッパ(ラムダ)ボディ(scFv-CL融合体);BiTE(二重特異性T細胞エンゲージャー、T細胞を引き付けるscFv-scFvタンデム);DVD-Ig(二重可変ドメイン抗体、二重特異性フォーマット);SIP(低分子免疫タンパク質、一種のミニボディ);SMIP(「小型モジュラー免疫医薬品」scFv-Fc二量体;DART(ds安定化ダイアボディ「二重親和性リターゲティング」);1つ以上のCDRなどを含む小型抗体ミメティックなどの抗原結合ドメインを含む抗体断片を含む。
【0188】
様々な抗体ベースの構築物および断片を調製および使用するための技術は、当技術分野で周知である。
【0189】
抗体は、従来の技術を使用して断片化することができる。例えば、F(ab’)2断片は、抗体をペプシンで処理することによって産生され得る。得られたF(ab’)2断片を処理して、ジスルフィド架橋を還元し、Fab’断片を産生することができる。パパイン消化は、Fab断片の形成につながり得る。Fab、Fab’およびF(ab’)2、scFv、Fv、dsFv、Fd、dAb、TandAb、ds-scFv、二量体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異性抗体断片およびその他の断片も、組換え技術によって合成することができ、または化学的に合成することができる。抗体断片を産生するための技術は、当技術分野で周知であり、かつ記載されている。
【0190】
本発明のすべての実施形態において、単一ドメイン抗体(VHH抗体、sdAb、DAB、dAb、ナノボディ、ラクダ科動物の抗体、vNAR(サメ)抗体、VH抗体またはVL抗体とも称される)、特にVHH抗体、ナノボディ、ラクダ抗体、およびvNAR(サメ)抗体が好ましい。そのような抗体は、抗原に結合することができる単一の単量体可変抗体ドメイン、通常はVHドメインを含む(ただし、抗原に結合する能力を有する単一のVLドメインが記載されており、使用することができる)。したがって、いくつかのそのような好ましい実施形態において、本発明の抗体(または抗原結合ドメイン)は、1つ(または単一の)重鎖可変領域(VHまたはVHH)を含むが、いくつかの実施形態において、配列が同じかまたは異なるいくつかのこれらの個々の重鎖可変領域は、同じ構築物または分子に一緒に存在することができる。
【0191】
そのような抗体は、当技術分野で周知であり、記載されている標準的な技術を使用して取得または調製することができる。例えば、そのような抗体は、適切な動物、例えばラマなどのラクダ科動物、またはサメを所望の抗原で免疫し、次に産生された抗体のVHドメインを適切な発現ベクターにクローニングし、バインダーのために選択することによって得ることができる。VHドメインのライブラリー(例えば、ヒトVHドメインのファージディスプレイライブラリー)も利用可能であり、または生成し、次いでスクリーニングすることができる。
【0192】
それらの比較的小さいサイズのために、単一ドメイン抗体は、比較的短い半減期、例えば、比較的短い血漿半減期を有し得る。したがって、そのような抗体は、それらの半減期を延ばすか、または延長するために時には改変される。これを行うための技術は、当技術分野で周知であり、かつ記載されており、これらのいずれかを使用することができる。例としては、アルブミン(またはそれ自体が長い(もしくはより長い)半減期を有する別のタンパク質もしくはエンティティ)に抗体を結合もしくはコンジュゲートもしくは融合すること、あるいは長い(もしくはより長い)半減期を有するタンパク質もしくはエンティティとそれ自体が相互作用することができる別のタンパク質もしくはエンティティに抗体を結合もしくはコンジュゲートもしくは融合すること、あるいはPEG(または他のポリマー)に抗体を結合もしくはコンジュゲートもしくは融合すること、あるいはFcRnに結合するある抗体、または他のタンパク質もしくはエンティティに抗体を結合もしくはコンジュゲートもしくは融合することが挙げられる。
【0193】
特定の実施形態において、本発明の抗体または抗体断片は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgE、IgMもしくはIgD定常領域などの重鎖定常領域のすべてまたは一部分を含む。好ましくは、重鎖定常領域は、IgG重鎖定常領域、例えば、IgG2重鎖定常領域、またはその一部分である。さらに、抗体または抗体断片は、カッパ軽鎖定常領域またはラムダ軽鎖定常領域のすべてもしくは一部分、またはその一部分を含むことができる。このような定常領域のすべてもしくは一部は、自然に産生されることもあれば、または全体的もしくは部分的に合成されることもある。そのような定常領域の適切な配列は、当技術分野で周知であり、かつ記述されている。重鎖および軽鎖からの定常領域の完全な補体が本発明の抗体に含まれる場合、そのような抗体は、典型的には、本明細書において「全長」抗体または「全」抗体と称される。いくつかの実施形態において、IgG2抗体が好ましい。
【0194】
他の実施形態において、定常領域、例えば、重鎖または軽鎖定常領域が存在しないことが好ましく、例えば、可変ドメインまたは重鎖可変ドメイン(VH)は、存在する抗体の単独の部分である。
【0195】
抗体または抗体断片は、自然に産生することができ、または全体的もしくは部分的に合成的に産生することができる。
【0196】
多くの抗体または抗体断片は、3つのCDRドメインを含む抗体軽鎖可変領域(VL)および3つのCDRドメインを含む抗体重鎖可変領域(VH)を含む。前述のVLおよびVHは、一般に、抗原結合部位を形成する。
【0197】
しかしながら、抗体の軽鎖可変ドメインからの3つのCDRおよび重鎖可変ドメインからの3つのCDRの存在が、抗原結合に必ずしも必要ではないことは、当技術分野で十分に記述されている。したがって、上記の古典的な抗体断片よりも小さい構築物が有効であることが知られている。
【0198】
例えば、ラクダ科動物の抗体は、広範な抗原結合レパートリーを有するが、軽鎖がない。また、VHドメインのみまたはVLドメインのみを含む単一ドメイン抗体を用いた結果は、これらのドメインが許容できる程度に高い親和性で抗原に結合することができ、サイズが小さく、産生が容易であるなどの他の利点があることを示している。したがって、3つのCDRは、抗原に効果的に結合することができ、そのような単一ドメイン抗体(例えば、VHH抗体、sdAb、DAB、dAb、ナノボディ、ラクダ科動物の抗体、vNAR(サメ)抗体、VH抗体またはVL抗体、特にVHH抗体、ナノボディ、ラクダ科動物抗体、およびvNAR(サメ)抗体)が本明細書に例示されており、このタイプの抗体が好ましい(例えば、VHH抗体)。
【0199】
本発明の抗体、結合タンパク質および核酸分子は、それらが、ヒトもしくは動物の体内(例えば、ラクダ科動物)またはヒトもしくは動物の体(例えばラクダ科動物)に由来する組織サンプル内にインサイツで存在し得る任意のそのような成分から区別される限り、一般に「単離された」または「精製された」分子である。しかしながら、これらの配列は、ヒトまたは動物の体(例えばラクダ科動物)に見られる配列に対応するか、または実質的に相同であり得る。したがって、核酸分子または配列およびタンパク質またはポリペプチド、例えば抗体に関して本明細書で使用される場合、「単離された」または「精製された」という用語は、それらの自然環境から単離された、精製された、または実質的に免れた場合、例えば、ヒトまたは動物の体から単離された、もしくは精製された場合(実際にそれらが自然に発生する場合)、そのような分子を指し、あるいは、技術的プロセスによって産生された場合、すなわち、組換えおよび合成によって産生された分子を含む、そのような分子を指す。
【0200】
本発明の抗体などは、自然界に存在せず、その点で、自然界に生じる分子に対応しないという点で、人工の構築物であることに留意されたい。例えば、好ましい抗体は、操作または組換えにより産生され得る単一ドメイン抗体であり、そのような抗体を自然に産生する種、例えばラクダ科動物においてさえ、そのような種は、実験的にそうするように、例えば、免疫化によって誘導されない限り、CD163、特にブタCD163に対する抗体を産生しない。換言すれば、本発明の抗体などは、非天然である。
【0201】
本明細書で使用される場合、「断片」という用語は、生物学的関連性の断片、例えば、抗原結合に寄与する断片、例えば、抗原結合部位の一部を形成し、かつ/またはCD163抗体の機能特性に寄与する断片を指す。特定の好ましい断片は、本発明の抗体の重鎖可変領域(VHドメインまたは3つのVH CDR)を含むか、またはそれからなる。
【0202】
当業者は、重鎖および軽鎖CDR、重鎖および軽鎖可変領域、抗体および抗体断片などの本発明のタンパク質およびポリペプチドが、当技術分野で周知であり、かつ記載されているいくつかの方式のいずれかで調製され得るが、最も好ましくは、組換え法を使用して調製されることを理解するであろう。
【0203】
本発明の抗体の重鎖および軽鎖可変領域をコードする核酸断片は、必要に応じて、例えば、クローニングまたは合成による任意の適切な方法によって得られるかまたは産生され得る。
【0204】
本発明の抗体の重鎖および/または軽鎖可変領域をコードする核酸断片が得られると、これらの断片は、例えば、可変領域断片を適切な定常領域ドメインを有する完全長抗体分子に、または本明細書の他の箇所で考察される抗体断片の特定のフォーマット、例えば、VHH、Fab断片、scFv断片などの単一ドメイン抗体に変換するために標準的な組換えDNA技術によってさらに操作され得る。典型的には、またはこのさらなる操作手順の一部として、本発明の抗体分子をコードする核酸断片は、本発明の抗体の産生を容易にするために、または例えばファージディスプレイベクターに組み込むことによって、例えば、選択もしくはスクリーニングを容易にするために、1つ以上の適切な発現ベクターに一般に組み込まれる。
【0205】
可能な発現ベクターには、ベクターが使用される宿主細胞と適合する限り、コスミド、プラスミド、または改変ウイルス(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルス)が挙げられるが、これらに限定されない。発現ベクターは、「宿主細胞の形質転換に好適である」、これは、発現ベクターが、本発明の核酸分子と、発現に使用される宿主細胞に基づいて選択され、核酸分子に作用可能に連結されている調節配列と、を含むことを意味する。作用可能に連結されることは、核酸が、核酸の発現を可能にする方法で調節配列に連結されることを意味することを意図している。
【0206】
したがって、本発明は、発現ベクター、例えば、本発明の核酸分子またはその断片を含有または含む組換え発現ベクター、ならびに、本発明の核酸分子によってコードされるタンパク質配列の転写および翻訳に必要な調節配列を企図する。
【0207】
発現ベクターを宿主細胞に導入して、形質転換された宿主細胞を産生することができる。「形質転換した」、「トランスフェクトした」、「形質転換」および「トランスフェクション」という用語は、当技術分野で知られている多くの可能な技術の1つによる細胞への核酸(例えばベクター)の導入を包含することを意図している。宿主細胞を形質転換およびトランスフェクトするための好適な方法は、Sambrook et al.,1989(Sambrook,Fritsch and Maniatis,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbour Press,Cold Spring Harbour,NY,1989)および他の実験テキストに見られる。
【0208】
好適な宿主細胞には、多種多様な真核生物宿主細胞および原核細胞が含まれる。例えば、本発明のタンパク質は、酵母細胞または哺乳動物細胞で発現され得る。さらに、本発明のタンパク質は、Escherichia coli.などの原核細胞で発現され得る。
【0209】
本発明のタンパク質はまた、固相合成などのタンパク質の化学において周知の技術を使用する化学合成によって調製され得る。
【0210】
さらに別の態様は、本発明の核酸断片もしくはセグメントもしくは分子のうちの1つ以上を含む発現構築物もしくは発現ベクターもしくは発現系(例えば、ウイルスもしくは細菌もしくは他の発現構築物、ベクターまたは系)を提供する。好ましくは、発現構築物もしくはベクターもしくは系は、組換えである。好ましくは、前述の構築物またはベクターまたは系は、本発明の核酸分子によってコードされるタンパク質配列の転写および翻訳に必要な調節配列をさらに含む。好ましい構築物などは、宿主標的種内で、例えばブタ内での本発明の抗体(または結合タンパク質)の長期または持続的発現を可能にするものである。そのような発現は、治療的または生物学的効果が観察されるために十分なレベルおよび長さの発現が達成されるという条件で、例えば、エピソーム組込みにより、一過性であり得、または例えば、ゲノム組込みを介してより永続的であり得る。
【0211】
さらに別の態様は、本発明の1つ以上の発現構築物または発現ベクターを含む宿主細胞(例えば、哺乳動物もしくは細菌もしくは酵母の宿主細胞)またはウイルスを提供する。本発明の核酸分子のうちの1つ以上を含む宿主細胞またはウイルスも提供される。本発明の抗体(または結合タンパク質)を発現する宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞もしくは細菌宿主細胞、または酵母宿主細胞)またはウイルスは、さらに別の態様を形成する。
【0212】
そのような発現構築物もしくはベクターもしくは系、または宿主細胞もしくはウイルス、または本発明の抗体(または結合タンパク質)をコードする他の核酸産物もしくは断片を、治療薬として対象に投与し、本発明の抗体(または結合タンパク質)の産生を対象内のインサイツで可能にし、それによりそれらの治療効果を発揮することができる。
【0213】
本発明のさらに別の態様は、本発明の宿主細胞を培養する工程を含む、本発明の抗体を産生(または製造)する方法を提供する。好ましい方法は、(i)コードされた抗体またはタンパク質の発現に好適な条件下で、本発明の組換え発現ベクターのうちの1つ以上または核酸配列のうちの1つ以上を含む宿主細胞を培養する工程、任意選択で(ii)宿主細胞または増殖培地/上清から抗体またはタンパク質を単離または取得する工程を含む。そのような産生(または製造)の方法はまた、抗体またはタンパク質生成物の精製工程および/または抗体または生成物を、医薬的に許容される担体または賦形剤などの少なくとも1つの追加の成分を含む組成物に調製する工程を含み得る。
【0214】
実施形態において、本発明の抗体またはタンパク質が複数のポリペプチド鎖(例えば、Fab断片または全抗体などの特定の断片)から構成される場合、すべてのポリペプチドは、好ましくは、同じまたは異なる発現ベクターのいずれかからの宿主細胞において発現され、そのため本発明の完全なタンパク質、例えば抗体タンパク質が宿主細胞内で集合し、そこから単離または精製され得る。
【0215】
別の態様では、本発明は、CD163を含む組成物を本発明の抗体と接触させることを含む、CD163を結合する方法を提供する。
【0216】
さらに別の態様では、本発明は、CD163/抗体複合体の形成を可能にするのに有効な条件下で、CD163を含むと疑われる組成物を本発明の抗体と接触させ、そのように形成された複合体を検出することを含む、CD163を検出する方法を提供する。
【0217】
本発明の少なくとも一次抗体(または結合タンパク質)を含む組成物は、本発明のさらなる態様を構成する。好適な希釈剤、担体または賦形剤と混合した本発明の1つ以上の抗体を含む製剤(組成物)は、本発明の好ましい実施形態を構成する。そのような製剤は、医薬用途、例えば、獣医学的用途のためであり得、したがって、本発明の組成物は、好ましくは、非ヒト動物、例えば哺乳動物、好ましくはブタへの投与のために医薬的に許容されるか、または許容される。好適な希釈剤、賦形剤および担体は、当業者に知られている。
【0218】
本発明による組成物は、例えば、経口、経鼻、非経口、静脈内、局所または直腸投与に好適な形態で提示することができる。
【0219】
本明細書で定義された活性化合物(例えば、本発明の抗体)は、錠剤、被覆錠剤、点鼻薬、液剤、乳剤、リポソーム剤、散剤、カプセル剤または徐放性形態などの従来の薬理学的投与形態で提示され得る。これらの形態の調製には、従来の医薬賦形剤ならびに通常の産生方法を用いることができる。
【0220】
注射液は、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸塩などの保存剤、またはEDTAなどの安定剤の添加によるなどの従来の様式で産生することができる。次に、液剤を注射バイアルまたはアンプルに充填することができる。
【0221】
好適な投与量単位は、当業者によって決定することができる。
【0222】
医薬組成物は、同時投与レジメンまたは併用レジメンと関連して、さらなる有効成分(例えば、本明細書の他の箇所に記載される)をさらに含み得る。
【0223】
本発明のさらなる態様は、治療で使用するために、特に、CD163と関連する任意の疾患もしくは状態の治療または予防で使用するために、またはCD163が役割、例えば、原因となる役割(例えば、全体的または部分的に原因となる役割)、または本質的な役割を有する場合に、本明細書で定義された抗CD163抗体(または結合タンパク質)を提供する。例えば、本発明の抗CD163抗体は、ウイルスまたは他の病原体によって引き起こされる任意の感染症の治療または予防に使用することができ、前述の感染症は、CD163と関連するか、またはCD163が、役割、例えば、原因となる役割(例えば、全体的または部分的に原因となる役割)、または本質的な役割を有する。別の言い方をすれば、本発明によれば、抗CD163抗体(または結合タンパク質)は、CD163、特にPAMまたは他のCD163陽性細胞上または細胞内で発現されるCD163の機能を標的とし、阻害または低減し得る。したがって、本明細書で定義された抗CD163抗体(または結合タンパク質)は、CD163の阻害またはCD163機能の遮断もしくは低減が有用である、任意の疾患または状態の治療または予防に使用することができる。
【0224】
好ましい実施形態は、ブタの感染症、好ましくはブタのウイルス感染症の治療または予防に使用するための本発明の抗CD163抗体(または結合タンパク質)を提供する。特に好ましいのは、PRRSV感染の治療または予防である。ブタが治療される実施形態において、本発明の抗CD163抗体(または結合タンパク質)は、典型的には、抗ブタCD163抗体(または結合タンパク質)である。
【0225】
CD163は、すべてのPRRSウイルスの受容体である可能性が高いと思われる。しかしながら、本書の他の箇所に記載されているように、PRRSVには、1型および2型のウイルスの2つの血清型がある。1型ウイルスおよび2型ウイルスは、いくつかのレベルで表現型上では類似しているが、ウイルスの遺伝子型には違いがある。本発明の抗体(または結合タンパク質)を使用して、1型および/または2型PRRSウイルス、例えば1型および2型PRRSウイルスを治療または予防することができる。他の実施形態において、本発明は、2型PRRSV感染を阻害する能力、好ましくは2型PRRSV感染を特異的に阻害する能力を有し、したがって2型PRRSウイルスを治療または予防するために使用することができる抗体(または結合タンパク質)を提供する。
【0226】
本発明の治療方法および使用における結合タンパク質または抗体の投与は、治療を必要とする対象(動物、または哺乳動物、例えばブタ)に対して、医薬的、治療的、または生理学的有効量で行われる。したがって、前述の方法および使用は、治療を必要とする対象を特定する追加の工程を含み得る。
【0227】
本発明による疾患もしくは状態の治療(例えば、既存の疾患の治療)には、前述の疾患もしくは状態の治癒、または疾患の低減もしくは緩和(例えば、疾患の重症度の低下)または疾患の症状が含まれる。
【0228】
本発明の治療方法および使用は、疾患の予防ならびに疾患の積極的治療(例えば、既存疾患の治療)に好適である。したがって、予防的およびメタ感染防御的(疾患の発生に直面した治療、例えば、密接に接触している、かつ/および重大なリスクがある動物への感染性疾患の拡大を防ぐことを目的とし、感染症の診断後の対象群の治療、かつ/または群の一部での臨床的疾患の治療)治療も本発明により包含される。本発明の方法および使用におけるこの理由のために、治療はまた、発症予防、メタ防御もしくは適切な場合予防を含む。
【0229】
そのような予防的(または保護的)な側面は、健康もしくは正常な、またはリスクにある対象に対して便利に行うことができ、完全な予防および重要な予防の両方を含み得る。同様に、重要な予防には、治療を行わない場合に予想される重症度または症状と比較して、疾患の重症度または疾患の症状が低減する(例えば、測定可能にまたは大幅に低減する)シナリオが含まれる。
【0230】
例えばPRRS感染の臨床症状には、妊娠中の母ブタまたは未経産ブタにおける胎児の再吸収、死産および後期流産、すべてのブタ、特に、若齢ブタおよび幼い子ブタにおける、呼吸器疾患および症候群、例えば呼吸困難が含まれる。他の症状には、食欲不振(成長率の低下につながることが多い)、発熱、倦怠感、呼吸困難、生殖障害、下痢(特に幼い子ブタ)、中枢神経系(CNS)の兆候が含まれる。PRRSV感染症の対象は、髄膜炎、グラッサー病、滲出性皮膚炎、ヒゼンダニ症、細菌性気管支肺炎などの風土病にもかかりやすいと報告されている(Diseases of Swine,Eleventh Edition,Editor(s):Jeffrey J.Zimmerman Locke A.Karriker Alejandro Ramirez Kent J.Schwartz Gregory W.Stevenson Jianqiang Zhang,First published:29March2019)、このような病気は通常、抗生物質などの抗菌薬を使用して管理される。結果として、本発明は、農場での抗菌製品の使用を減らす役割を有する。
【0231】
したがって、本発明の抗体は、臨床的疾患または症状、例えば、PRRSV感染または上記に概説されるような下流の固有疾患と関連する臨床的疾患または症状を治療または予防するために、またはウイルス、例えばPRRSV、循環(例えば、循環ウイルス粒子)または感染(例えば、第1の感染)または新しい感染(例えば、第2のまたは後続の感染)、例えば、PRRSV感染(例えば、第1のPRRSV感染)または新しいPRRSV感染(例えば、第2のまたは後続のPRRSV感染)を防ぐために使用され得る。
【0232】
したがって、本発明による治療の好ましい対象には、すべてのタイプのブタ(時にはブタ(swine)とも称される)、例えば、本明細書で定義された病原体、特にPRRSVに感染しやすい、または感染を受けやすいという条件で、すべての年齢および種のブタを含む、任意のブタ、ブタ(swine)、またはブタ種が含まれる。 子ブタ、特に幼い子ブタまたは感染した母ブタからの出生子ブタ(その80%までが死亡する)は、保育ブタ(例えば、12週齢までの離乳後のブタ)、および成長期または肥育期のブタ(例えば、屠殺年齢までのブタ)、特に成長期ブタと同様に、特に好ましい対象である。離乳前の子ブタ、生後4週間までの子ブタ(特に、感染した母ブタの乳腺分泌物を介して感染が伝染する可能性のある感染した母ブタの子ブタ)も、母ブタおよび妊娠母ブタと同様に、治療の対象として好ましい。
【0233】
いくつかの実施形態において、例えば、予防が関係する場合、対象は、問題の疾患または状態によって影響を受けているリスクがある、例えば、上記のような病原体またはウイルス(例えば、PRRSV)に感染して疾患を発症しているリスクがある対象である。そのような対象は、健康な対象、もしくは疾患の症状を示さない対象、もしくは任意の他の適切な「リスクがある」対象であり得る。別の実施形態において、対象は、上記のような問題の疾患もしくは状態を有する、または有する(または発症している)と疑われる、または潜在的に有する(または発症している)対象である。
【0234】
代替的に、本発明は、CD163と関連する疾患もしくは状態、またはCD163が役割、例えば、原因となる役割(例えば、全体的または部分的に原因となる役割)または本質的な役割を有する場合に、治療または予防する方法を提供し、方法は、それを必要とする対象に、本明細書で定義された本発明の治療有効量の抗CD163抗体(または結合タンパク質)を投与することを含む。適切な疾患または状態は、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0235】
ブタにおける感染症の治療または予防、好ましくはブタにおけるウイルス感染の治療または予防が好ましい。特に好ましいのは、PRRSV感染の治療または予防、例えば1型および/または2型PRRSウイルス感染、例えば1型および2型PRRSウイルス感染を治療または予防すること、または2型PRRSウイルス感染を治療または予防する(例えば、具体的に治療または予防する)ことである。
【0236】
したがって、さらにさらなる態様は、ブタにおけるPRRSV感染の治療または予防の方法、例えば、ブタにおける1型および/または2型PRRSウイルス感染の治療または予防を提供し、この方法は、それを必要とする対象に、ブタCD163に結合する治療有効量のモノクローナル抗体を投与することを含む。そのような方法で使用するための適切なCD163抗体(または結合タンパク質)が本明細書に記載されている。
【0237】
本明細書に記載の本発明の治療的使用の実施形態は、必要な変更を加えて、本発明のこの態様に適用される。
【0238】
治療有効量は、臨床評価に基づいて決定され、容易に監視することができる。
【0239】
さらに、代替的に、本発明は、治療に使用するための薬物の製造において本明細書で定義された、本発明の抗CD163抗体(または結合タンパク質)、例えば本発明のモノクローナル抗体の使用を提供する。好ましい治療用途は、特に、CD163と関連する任意の疾患もしくは状態の治療または予防における使用、またはCD163が役割、例えば、原因となる役割(例えば、全体的または部分的に原因となる役割)または本質的な役割を有する場合に使用するために、本明細書の他の箇所に記載される。例えば、本発明の抗CD163抗体(または結合タンパク質)は、ウイルスまたは他の病原体によって引き起こされる任意の感染症の治療または予防に使用することができ、前述の感染症は、CD163と関連するか、またはCD163が役割、例えば、原因となる役割(例えば、全体的または部分的に原因となる役割)、または本質的な役割を有する。別の言い方をすれば、本発明によれば、抗CD163抗体(または結合タンパク質)は、CD163、特にPAMまたは他のCD163陽性細胞上または細胞内で発現されるCD163の機能を標的とし、阻害または低減し得る。したがって、本明細書で定義された抗CD163抗体(または結合タンパク質)は、CD163の阻害またはCD163機能の遮断もしくは低減が有用である任意の疾患または状態の治療または予防に使用することができる。
【0240】
好ましい実施形態は、ブタの感染症、好ましくはブタのウイルス感染症の治療または予防に使用するための薬物の製造における本発明の抗CD163抗体(または結合タンパク質)の使用を提供する。特に好ましいのは、PRRSV感染の治療または予防、例えば1型および/または2型PRRSウイルス感染、例えば1型および2型PRRSウイルス感染を治療または予防すること、または2型PRRSウイルス感染を治療または予防する(例えば、具体的に治療または予防する)ことである。
【0241】
したがって、さらにさらなる態様は、PRRSウイルス感染、好ましくはブタにおける1型および/または2型PRRSウイルス感染の治療または予防に使用するための薬物の製造において、ブタCD163に結合するモノクローナル抗体の使用を提供する。そのような使用のための適切なCD163抗体(または結合タンパク質)が本明細書に記載されている。
【0242】
本明細書に記載の本発明の治療的使用の実施形態は、必要な変更を加えて、本発明のこの態様に適用される。
【0243】
いくつかの実施形態において、本発明の抗体は、組み合わせて使用することができる。
【0244】
それぞれ、表A、B、C、D、E、F、G、H、およびIに示されるように、VHH抗体49(#18)、47(#19)、48(#20)、76(#2)、77(#16)、78(#8)、150(#15)、70(#23)および144(#1)の任意の組み合わせを使用することができる。したがって、これらのうちの2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つまたは9つすべてを組み合わせて、好ましくは2つまたは3つ、より好ましくは2つを使用することができる。
【0245】
好ましい組み合わせは以下を含む:
70(#23)および、76(#2)、78(#8)、77(#16)、49(#18)、47(#19)、または48(#20)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
144(#1)および、76(#2)、78(#8)、77(#16)、49(#18)、47(#19)、または48(#20)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
150(#15)ならびに、76(#2)、78(#8)、77(#16)、49(#18)、47(#19)、または48(#20)、例えば、150(#15)および47(#19)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
76(#2)および、70(#23)もしくは144(#1)もしくは150(#15)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
77(#16)および、70(#23)もしくは144(#1)もしくは150(#15)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
49(#18)および、70(#23)もしくは144(#1)もしくは150(#15)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
47(#19)および、70(#23)もしくは144(#1)もしくは150(#15)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
48(#20)および、70(#23)もしくは144(#1)もしくは150(#15)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、または
78(#8)および、70(#23)もしくは144(#1)もしくは150(#15)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ。
【0246】
好ましい組み合わせは以下を含む:
76(#2)および150(#15)、
76(#2)および77(#16)、
76(#2)および48(#20)、
150(#15)および77(#16)、
150(#15)および48(#20)、
77(#16)および48(#20)、または
150(#15)および77(#16)および48(#20)。
【0247】
それぞれ、表1、2、3および4に示されるように、VHH抗体57(#11)、41(#12)、171(#14)、および29(#17)の任意の組み合わせを、本発明で使用することができる。したがって、これらのうちの2つ、3つ、または4つすべてを組み合わせて、好ましくは2つまたは3つ、より好ましくは2つを使用することができる。
【0248】
好ましい組み合わせは以下を含む:
57(#11)ならびに、41(#12)または29(#17)、例えば57(#11)および29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
171(#14)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
41(#12)および、57(#11)または171(#14)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、または
29(#17)および、57(#11)または171(#14)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ。
【0249】
他の組み合わせには以下が挙げられる:
それぞれ、表A、B、C、D、E、F、G、H、およびIに示されるように、VHH抗体49(#18)、47(#19)、48(#20)、76(#2)、77(#16)、78(#8)、150(#15)、70(#23)、または144(#1)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つと、それぞれ、表1、2、3、および4に示されるように、VHH抗体57(#11)、41(#12)、171(#14)、または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つとの任意の組み合わせ。
【0250】
好ましい組み合わせは以下を含む:
150(#15)および29(#17)、
47(#19)および29(#17)、または
144(#1)および29(#17)。
【0251】
他の好ましい組み合わせは以下を含む:
57(#11)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
57(#11)および、76(#2)、78(#8)、77(#16)、49(#18)、47(#19)、または48(#20)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
171(#14)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
171(#14)および、76(#2)、78(#8)、77(#16)、49(#18)、47(#19)、または48(#20)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
70(#23)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
70(#23)および、76(#2)、78(#8)、77(#16)、49(#18)、47(#19)、または48(#20)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
144(#1)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
144(#1)および、76(#2)、78(#8)、77(#16)、49(#18)、47(#19)、または48(#20)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
150(#15)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、または
150(#15)および、76(#2)、78(#8)、77(#16)、49(#18)、47(#19)、または48(#20)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ。
【0252】
代替の好ましい組み合わせは、以下を含む:
41(#12)および、57(#11)、171(#14)、70(#23)、144(#1)、または150(#15)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
41(#12)および、76(#2)、78(#8)、77(#16)、49(#18)、47(#19)、または48(#20)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
29(#17)および、57(#11)、171(#14)、70(#23)、144(#1)、または150(#15)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、または
29(#17)および、76(#2)、78(#8)、77(#16)、49(#18)、47(#19)、または48(#20)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ。
【0253】
代替の好ましい組み合わせは、以下を含む:
76(#2)および、57(#11)、171(#14)、70(#23)、144(#1)、または150(#15)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
76(#2)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
77(#16)および、57(#11)、171(#14)、70(#23)、144(#1)、または150(#15)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
77(#16)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
49(#18)および、57(#11)、171(#14)、70(#23)、144(#1)、または150(#15)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
49(#18)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
47(#19)および、57(#11)、171(#14)、70(#23)、144(#1)、または150(#15)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
47(#19)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
48(#20)および、57(#11)、171(#14)、70(#23)、144(#1)、または150(#15)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
48(#20)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
78(#8)および、57(#11)、171(#14)、70(#23)、144(#1)、または150(#15)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、または
78(#8)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ。
【0254】
好ましい組み合わせは以下を含む:
57(#11)および、76(#2)、78(#8)、77(#16)、49(#18)、47(#19)、または48(#20)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
171(#14)および、76(#2)、78(#8)、77(#16)、49(#18)、47(#19)、または48(#20)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
70(#23)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
144(#1)および1つ以上、好ましくは41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
150(#15)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
41(#12)および、70(#23)、144(#1)、または150(#15)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
41(#12)および、76(#2)、78(#8)、77(#16)、49(#18)、47(#19)、または48(#20)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
29(#17)および、70(#23)、144(#1)または150(#15)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
29(#17)および、76(#2)、78(#8)、77(#16)、49(#18)、47(#19)、または48(#20)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
76(#2)および、57(#11)または171(#14)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
76(#2)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
77(#16)および、57(#11)または171(#14)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
77(#16)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ。
49(#18)および、57(#11)または171(#14)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
49(#18)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
47(#19)および、57(#11)または171(#14)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
47(#19)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
48(#20)および、57(#11)または171(#14)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
48(#20)および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、
78(#8)、および、57(#11)または171(#14)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ、または
78(#8)、および、41(#12)または29(#17)のうちの1つ以上、好ましくはそのうちの1つ。
【0255】
上記のすべての組み合わせにおいて、必要に応じて、表A~Iおよび1~4に示される3つのCDRを有する抗体を使用することもできる。
【0256】
好ましい組み合わせは、単独の活性剤(単剤療法)、もしくは単独の抗体、もしくは単独の抗CD163剤として投与された本発明の抗体(例えば、VHH)のいずれかと比較して、治療効果の改善または増加、好ましくは大幅な改善または増加をもたらす組み合わせである。他の好ましい組み合わせは、組み合わせの個々の抗CD163抗体が、CD163分子上の異なるエピトープに結合する組み合わせである。
【0257】
本発明の2つ以上の抗体(または結合タンパク質)を使用するそのような併用治療では、第2の(またはその後の)抗CD163抗体は、本発明の第1の抗CD163抗体と実質的に同時に、単一の医薬組成物から、または密接に一緒に(同時にまたは同様の時間に)投与された2つの医薬組成物からなど、対象に投与され得る。代替的に、本発明の第2の(またはその後の)抗CD163抗体は、本発明の第1の抗CD163抗体の投与前または投与に続いて、対象に投与され得る。本明細書で使用される場合、「前または続いて」とは、「交互」を意味し、したがって、第1の抗CD163抗体成分の投与とは異なる時間に第2の抗体が対象に投与される。一般に、2つ(またはそれ超)の成分は、個々の成分がそれぞれの治療効果を発揮することを可能にするために、時間の間隔を効果的にあけて、または一緒に投与されてもよく、すなわち、それらの成分は「生物学的に有効な時間間隔」で「生物学的に有効な量」で投与され、かつ同じ治療レジメンの一部として投与される。
【0258】
本発明の抗CD163抗体(または結合タンパク質)の組み合わせは、適切な場合、同じ分子または構築物の一部として都合よく投与することができ、例えば、人工リンカーを用いて、例えば、コンジュゲートまたは連結することができる。この投与様式は、VHH抗体(または単一のポリペプチド鎖から構成される他のタイプの抗体分子)に特に適切であり得、その個々の抗体は、適切なペプチド(または他の)リンカー、例えば非天然ペプチド、または本発明のVHH抗体かまたは他のVHHもしくは他の抗体との組み合わせのいずれかの複数のVHH(または他の)抗体を含む単一のポリペプチド鎖における人工リンカーによって便利に結合されている。そのような実施形態において、薬剤は、一般に、適切な技術、例えばスペーシングを使用して一緒に連結され、その結果、各成分は、それらのそれぞれの効果、例えば、CD163への結合を発揮することができる。例えば、本発明の抗CD163抗体がCD163上の異なるエピトープに結合する実施形態において、そのような抗体の組み合わせが好ましく、構築物は、個々の抗体がCD163、例えばそのCD163エピトープに結合することができるように適切に設計される。
【0259】
したがって、いくつかの実施形態において、本発明の抗CD163抗体(または結合タンパク質)は、治療レジメン(単剤療法)における単独の活性剤として使用され得るか、または本発明の複数の抗CD163抗体が、例えば上記の組み合わせで使用され得る。いくつかの実施形態において、本発明の抗CD163抗体(または結合タンパク質)(または適切な組み合わせ)は、治療レジメンにおける単独の活性抗CD163剤または単独の活性抗CD163抗体として使用され得るか、またはそれらは、治療レジメンにおける単独の有効な抗PRRSV剤であり得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、追加の抗CD163剤または抗PRRSV剤を使用することができる。
【0260】
したがって、本発明の抗CD163結合タンパク質または抗体(または適切な組み合わせ)は、1つ以上のさらなる(追加のCD163標的または非CD163標的)活性剤と、例えば、少なくとも第2の治療薬または生物学的薬剤と組み合わせることができ、第1は、本発明の抗CD163結合タンパク質または抗体(またはそのような結合タンパク質または抗体の組み合わせ)である。
【0261】
本発明の抗CD163抗体(または結合タンパク質)(または適切な組み合わせ)は、例えば、本明細書の他の箇所に記載された問題の疾患を治療するのに有用な他の任意の治療薬、例えばPRRSVと組み合わせることができる。
【0262】
そのような併用治療の場合、一般的に言えば、第2の(本発明の非抗CD163抗体)薬剤は、本発明の抗CD163抗体(またはそのような抗体の組み合わせ)と実質的に同時に、例えば、単一の医薬組成物から、または密接に一緒に(同時にまたは同様の時間に)投与される2つの医薬組成物から、対象に投与されてもよい。代替的に、第2の(本発明の非抗CD163抗体)薬剤は、本発明の成分の抗CD163抗体の投与前または投与に続いて、対象に投与され得る。本明細書で使用される場合、「前または続いて」とは、「交互」を意味し、したがって、抗CD163抗体成分の投与とは異なる時間に第2(本発明の非抗CD163抗体)薬剤が対象に投与される。一般に、2つ(またはそれ超)の成分は、2つの成分がそれぞれの治療効果を発揮することを可能にするために、時間の間隔を効果的にあけて、または一緒に投与されてもよく、すなわち、それらの成分は「生物学的に有効な時間間隔」で「生物学的に有効な量」で投与され、かつ同じ治療レジメンの一部として投与される。
【0263】
本発明はさらに、本発明の抗体もしくは組成物のうちの1つ以上、または本発明の抗体をコードする核酸分子のうちの1つ以上、または本発明の核酸配列を含む1つ以上の組換え発現ベクター、または本発明の組換え発現ベクターもしくは核酸配列を含む1つ以上の宿主細胞もしくはウイルスを含むキットを含む。好ましくは、前述のキットは、本明細書に記載の方法および使用、例えば、本明細書に記載の治療方法で使用するためのものである。好ましくは、前述のキットは、キット構成要素の使用のための説明書を含む。好ましくは、前述のキットは、本明細書の他の箇所に記載された疾患または状態を治療するためのものであり、任意選択で、そのような疾患または状態を治療するためのキット構成要素の使用に関する説明書を含む。本発明の結合タンパク質による同等の実施形態も提供される。
【0264】
本明細書で定義された本発明の抗体(または結合タンパク質)はまた、インビトロまたはインビボでの適用およびアッセイのための分子ツールとして使用され得る。抗体(および一部の結合タンパク質)は、抗原結合部位を有するため、これらは、特異的結合対のメンバーとして機能することができ、これらの分子は特定の結合対メンバーが必要な任意のアッセイで使用され得る。
【0265】
したがって、本発明のさらに別の態様は、本明細書で定義された本発明の抗体(または結合タンパク質)および、例えばインビトロまたはインビボアッセイにおける分子ツールとしてのそのような抗体(または結合タンパク質)の使用を含む試薬を提供する。
【0266】
本明細書に開示したアミノ酸配列およびそれらの配列識別子(配列番号)の表
本明細書では、この技術分野の慣例に従って、すべてのアミノ酸配列をN末端からC末端に向かって記述する。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【表14】
【0267】
次に、以下の図面を参照して、本発明を以下の非限定的な実施例においてさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0268】
【
図1】高ブタ血清の存在下でのPRRS1型ウイルスBOR57の遮断 パネルA~Iのデータは、80%ブタ血清の存在下でブタ肺胞マクロファージ細胞とともに17時間インキュベートした場合に、1型BOR57 PRRSウイルスによる増殖ウイルス感染を阻害する候補VHH抗体の能力を示している。候補VHH抗体は、50~400μg/mLの用量反応範囲で評価した。データは、平均値+/-SEM(n>3)として示した偽対照と比較して、被験物質の不在下での感染に関連して提示する。
【0269】
【
図2】10%FBS含有培地中のPRRS2型ウイルスMN184の遮断 データは、10%FBSの存在下でブタ肺胞マクロファージ細胞とともに17時間インキュベートした場合に、2型MN184 PRRSウイルスによる増殖ウイルス感染を阻害する候補VHH抗体の能力を示している。候補抗体は、50~300μg/mLの用量反応範囲で評価した。データは、平均値+/-SEM(n>3)として示した偽対照と比較して、被験物質の不在下での感染に関連して提示する。
【0270】
【
図3】PRRSウイルス2型特異的VHH阻害抗体による1型ウイルス感染の遮断 データは、80%ブタ血清の存在下でブタ肺胞マクロファージ細胞とともに17時間インキュベートした場合に、1型BOR57 PRRSウイルスによる増殖ウイルス感染を阻害する候補VHH抗体の能力を示している。候補抗体は、1~100μg/mLの用量反応範囲で評価した。データは、平均値+/-SEM(n>3)として示した偽対照と比較して、被験物質の不在下での感染に関連して提示する。
【0271】
【
図4】VHH15、VHH16、およびVHH20を含むVHH組み合わせを使用するPRRS1型ウイルスBOR57の遮断 データは、個々のVHHを組み合わせて使用して、PRRS1型ウイルスによる感染を阻止し得ることを示している。VHH15とVHH16、VHH15とVHH20、ならびにVHH16とVHH20の組み合わせは、増殖ウイルス感染の効果的な遮断を示した。VHH対の各VHHの100μg/mLの単一濃度を試験した。さらに、VHH15+VHH16+VHH20の三重組み合わせを評価した。各VHHは、50μg/mLの濃度で存在した。データは、PRRSウイルスによる感染を阻止するために使用されるVHHの組み合わせの可能性を示している。データを偽対照と比較して、被験物質の不在下での感染に関連して示す。
【0272】
【
図5】VHH02、VHH15、VHH16、およびVHH20を含むVHHの組み合わせを使用するPRRS1型ウイルスBOR57の遮断 データは、個々のVHHを組み合わせて使用して、PRRS1型ウイルスによる感染を阻止し得ることを示している。VHH02とVHH15、VHH02とVHH16、ならびにVHH02とVHH20の組み合わせは、VHH対の各々3μg/mL~100μg/mLの濃度範囲で増殖ウイルス感染の効果的な遮断を示した。データは、PRRSウイルスによる感染を阻止するために使用されるVHHの組み合わせの可能性を示している。データを偽対照と比較して、被験物質の不在下での感染に関連して示す。
【0273】
【
図6】VHH14(02D01)とブタCD163 SRCR5ドメインとの相互作用のX線結晶構造 左側のパネルは、VHH14:SRCR5複合体の精密な構造を表している。左側にはCD163:SRCR5ドメインがあり、N末端に向かって逆平行に湾曲した2枚の短いβシートが隣接する1枚の長いβシートと、それに続く1枚のαヘリックスとからなる。右側は、VHH14(02D01)のコア構造であり、7枚の逆平行βシートと3枚の短いαヘリックスがコアの周りに配置されている。各タンパク質について、C末端およびN末端の両方を示す。
【0274】
右側のパネルは、1シグマレベルで輪郭を描いた電子密度(2m|Fo|-D|Fc|)の例である。タンパク質鎖および個々のアミノ酸は、線で描かれる。データは、VHH14のCDR2ドメイン内のチロシン(Y59)およびアスパラギン酸(D62)残基と、ブタSRCR5ドメイン内のロイシン残基の対(Leu526、Leu527)の間の明確な相互作用を示している。VHH14(CDR3)のロイシン104と、SRCR5セリン507(S507)内アミノ酸の対と、グルタミン酸509(E509)の間の追加の相互作用も見られる。結晶構造を、2.0~2.3Aに精密化した。この図のLeu(L)52は、配列番号116に示す全長CD163分子のLeu(L)527に対応する。この図のLeu(L)51は、配列番号116に示す全長CD163分子のLeu(L)526に対応する。この図のSer(S)32は、配列番号116に示す全長CD163分子のSer(S)507に対応する。この図のGlu(E)34は、配列番号116に示す全長CD163分子のGlu(E)509に対応する。VHH02D01のAsp(D)62、Tyr(Y)59およびLeu(L)104は、配列番号17’または99に示す(表3)。
【実施例】
【0275】
実施例1:免疫化、ライブラリー生成、スクリーニングおよびクローン選択
材料および方法
免疫化
単一ドメイン抗体は、組換えタンパク質で免疫されたラマから得た。ラマに、不完全フロイントアジュバント(pCD163-SRCR1-9-huFcおよびpCD163-SRCR4-7-huFc)で調製されたブタCD163Fc融合抗原調製物を注射した。動物を、1週間間隔で6回の皮下注射(100μg/用量での2回の注射、続いて50μg/用量での4回の注射)で免疫した。最後の追加免疫から1週間後、血清を収集して、ELISAによってpCD163-SRCR1-9-huFcおよびpCD163-SRCR4-7-huFcに対する抗体価を明らかにした。
【0276】
このELISAでは、96ウェルプレート(Maxisorp;Nunc)を組換えタンパク質でコーティングした。希釈血清サンプルをブロックして添加した後、マウス抗ラクダ科動物IgG2/3(EMD millipore;カタログ番号MAC131)、続いて抗マウス免疫グロブリンペルオキシダーゼコンジュゲート(JIR、カタログ番号715-035-150)を使用して抗pCD163抗体の存在を実証した。
【0277】
ライブラリー構築
3頭の免疫されたラマ(各400ml)のPBMCからRNAを抽出した。ランダムプライマーを使用するcDNA合成には40μgのRNAを使用した。このcDNAを、リーダー配列およびヒンジCH1領域でアニーリングする非タグ付きプライマーを使用した一次PCR増幅において使用し、続いてpDCL1ファージミドベクターにVHH遺伝子をクローニングするための制限エンドヌクレアーゼ部位を導入する二次PCR増幅において使用した。ライブラリーをTG1E.coli細胞にエレクトロポレーションし、免疫ライブラリーの細胞グリセロールストックを-80℃で保存した(FL1158およびFL1159)。
【0278】
選択
ラマVHHライブラリープールからのファージ産生を、pCD163組換えタンパク質またはブタ肺胞マクロファージ(pPAM)を使用して連続した2ラウンドのファージディスプレイ選択で使用した。組換えタンパク質の選択ラウンドは、10μg/mlのpCD163-SRCR1-9-huFcまたはpCD163-SRCR4-7-huFc pH7.4(PBS緩衝液)を使用して行い、非特異的ファージを洗浄し、続いてトリプシンによる特異的ファージ溶出(全溶出)を行った。pPAMの選択ラウンドは、pH7.4の5E106細胞(PBS緩衝液)を使用して行い、非特異的ファージを洗浄し、続いてトリプシンによる特異的ファージ溶出(全溶出)を行った。溶出したファージの段階希釈を行い、指数関数的に増殖するTG1を感染させるために使用した。感染したTG1をLBCarb100Glu2%プレートにプレーティングし、バックグラウンドで濃縮値を計算した(選択用の抗原なし)。
【0279】
ELISAスクリーニング
選択条件出力の第2ラウンドからの個々のクローンを96ウェルのMaster Plateに選び、ペリプラズム抽出物(PE)として、pH7.0でpCD163-SRCR4-7-huFcまたはpCD163-SRCR5-6-huFcタンパク質に結合することを結合ELISAによって試験した。PE結合ELISAの場合、MaxiSorp(商標)高タンパク質結合容量96ウェルELISAプレートを、PBSで希釈した1μg/mlのpCD163-SRCR4-7-huFcタンパク質を使用して4℃で一晩コーティングした。翌日、プレートをPBS Tween0.05%(pH7.4)で3回洗浄し、250μl/ウェルの4%Marvel/CPAまたは4%Marvel/PBSで、室温で1時間ブロックした。ブロッキング後、プレートをPBS Tween0.05%(pH7.4)で3回洗浄し、ウェル当たり20μlのPE+1%Marvel/PBS(pH7.4)中80μlとともに室温で1時間振とうしながらインキュベートした。プレートをPBS Tween0.05%(pH7.4)で3回洗浄し、100μlの抗c-Myc抗体(Roche;カタログ番号11667203001)、続いて1%Marvel/PBS(pH7.4)中の二次抗体DAM-HRP(JIR;カタログ番号715-035-150)とともに室温で1時間振とうしながらインキュベートした。プレートをPBS Tween0.05%(pH7.4)で3回洗浄し、基質溶液(TMB溶液)をプレートに添加した。H2SO4で反応を停止し、プレートをプレートリーダーで、450nmで読み取った。
【0280】
細胞のスクリーニング(FACS):
選択したクローンからのペリプラズム抽出物(PE)を、可溶性VHHに存在するc-mycタグに特異的な抗c-myc抗体(Roche;カタログ番号11667203001)とともに、室温(RT)で30分間撹拌しながらインキュベートした。混合物(PE+抗c-myc抗体)をpPAMまたはpPAMΔ5ドメイン(SRCRドメイン5が欠失した細胞)に加え、4℃で60分間、穏やかに振とうしながらインキュベートした。
【0281】
細胞を150μl/ウェルのFACS緩衝液で3回洗浄し、50μl/ウェルの二次抗体GAM-APCとともに4℃で30分間、振とうしながらインキュベートし、光から保護した。
【0282】
細胞を150μl/ウェルのFACS緩衝液で3回洗浄し、75μl/ウェルのFACS緩衝液に再懸濁して、RL-1チャネル(APCチャネル)のFACSマシン(Attune(商標)NxT)で測定し、サンプルごとに計10000細胞を取得した。
【0283】
配列決定
ポジティブバインダーを配列決定のために送った。クローンは、異なるHCDR3配列に従ってファミリーによって分類した。
【0284】
【0285】
組換えCD163でラマを免疫した後、2ラウンドのファージパニングによってファージクローンを選択した。ファージ候補は、対照ヒトIgGと比較して、ELISAによる組換えCD163発現構築物(pCD163SRCR1-9-FcまたはpCD163-SRCR4-7-Fc)を結合することによって確認した。表5に示すように、選択的結合を、ブタCD163へのいくつかの候補によって実証した。
【0286】
クローンをさらに、ドナー動物の気管支肺胞洗浄から回収された細胞から調製された、単離された初代ブタ肺胞マクロファージ上の天然膜結合CD163に結合する能力についてさらに選択した(Burkard C.,et al PLOS Pathogens2017)。候補ファージは、CD163受容体がエンドサイトーシスメカニズムによって内在化される可能性が高いとき、室温と同様に、4℃の両方で天然膜結合CD163に結合することを実証した。
【0287】
CD163遺伝子においてこのドメインが欠失したブタから単離されたブタ肺胞マクロファージに結合することができない候補を選択することにより、CD163のSRCR5ドメインへの選択的結合についてもすべての候補を評価した(Burkard C.,et al PLOS Pathogens2017)。選択されたすべての候補は、これらの動物から単離されたPAMに結合することができなかったため、ブタCD163のSRCR5ドメインへの優先結合を示している。
【0288】
したがって、組換えCD163タンパク質構築物によるラマの免疫により、初代ブタ肺胞マクロファージで発現されるCD163に結合することができ、これらの細胞のPRRSウイルス感染に必須であることが知られているSRCR5ドメインを特異的に標的とするファージ抗体候補の良好な単離がもたらされた。
【0289】
参照文献:
Burkard C,Lillico SG,Reid E,Jackson B,Mileham AJ,Ait-Ali T,et al.(2017)Precision engineering for PRRSV resistance in pigs:Macrophages from genome edited pigs lacking CD163 SRCR5 domain are fully resistant to both PRRSV genotypes while maintaining biological function.PLoS Pathog 13(2):e1006206.doi:10.1371/journal.ppat.1006206
【0290】
実施例2:ブタCD163に対する抗CD163 VHH抗体の親和性決定
材料および方法:
同定されたVHH抗体候補のそれぞれによるブタCD163への結合の親和性を表面プラズモン共鳴によって決定した。
【0291】
VHH候補抗体の発現および精製
FLAGおよびHisタグ付きVHH可変ドメインにコードする合成遺伝子を購入し、製造元の指示に従って再構成した。各DNA構築物を制限酵素消化し、インサートをゲル精製し、各可変ドメインインサートを哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1とライゲーションさせた。ExpiCHO-S細胞に、40μgの全DNAプラスミド構築物を使用して23のリードパネル配列をトランスフェクトした。総量25mLの細胞を8日間のタンパク質産生に使用した(32℃、5%CO2)。産生されたVHH抗体は、AKTA Pure25FPLCシステム上でHisTrap HP5mL IMACカラム(GE Healthcare、カタログ番号17-5248-02)を使用して、清澄化した上清から捕捉した。溶出した抗体のピーク画分を1×PBS pH7.4に緩衝液交換し、3kDa MCOスピン濃縮器(Amicon、カタログ番号UFC900324)を使用して濃縮した。精製したタンパク質は、分析サイズ排除クロマトグラフィー(aSEC)およびSDS-PAGEによって正しい鎖の存在について分析した。
【0292】
親和性の決定
選択した精製クローンのpCD163への親和性を評価するために、pCD163-SRCR1-9-huFcまたはpCD163-SRCR4-7-huFcタンパク質をCM5センサーシップ(GE Healthcare)上でアミンカップリングによってコーティングした。表面プラズモン共鳴(SPR)(Biacore 3000,GE Healthcare)を使用して、pH7.4で選択した単一ドメイン抗体の結合速度を決定した。約2000RUのpCD163-SRCR1-9-huFcまたはpCD163-SRCR4-7-huFc、酢酸緩衝液pH5.0もしくはpH5.5中の20もしくは30μg/mlのタンパク質を、標準的なアミンカップリング手順を使用してCM5チップに固定化した。固定化のQCは、30.0μg/mlの濃度で市販の抗体抗huFc(JIR、カタログ番号109-005-098)を使用して行った。
【0293】
1×HBS-EP pH7.4を結合速度測定中にランニング緩衝液として利用した。精製したVHHは、3倍希釈(300nM、100nM、33nM、11nM、3.7nM、1.2nM、0.4nM、0nM)で120秒間、30μl/分の流速で注入した。RUレベルは、サンプル間で10μlの10mM NaOH/1M NaClおよび10μlの10mMグリシンpH1.5での再生後、ベースレベルに復元させた。物質移動を伴うフィッティング1:1結合を、BIAevaluationソフトウェアの同時フィッティング選択肢を使用して設定されたサンプル曲線に適用し、結合速度(ka)、解離速度(kd)、親和性(KD)を含む抗体-抗原相互作用の速度定数を計算した。残留物を目視検査し、カイ2の値を考慮した後、曲線をフィッティングから削除した。同時フィッティングでは、最低4つの曲線を考慮した。
【0294】
【0295】
上記のように、ファージ候補をVHHとして発現させて、精製した。全長または切断型CD163のいずれかに結合するVHHの各々の特性評価は、上記のように表面プラズモン共鳴によって行った。結合速度および解離速度の両方を各抗体について決定し、親和性決定を計算した。表7に見られるように、抗体候補のKD値は1~75nMの範囲であった。全長または切断型pCD163-SRCR4-7構築物のいずれかに対する相対的な親和性は、ほぼ同様であった。
【0296】
実施例3:候補CD163特異的候補抗体による初代ブタ肺胞マクロファージ細胞のブタ呼吸器生殖器(PRRS)ウイルス感染の阻害
材料および方法
PRRSウイルス感染プロトコル
試薬
VHH候補抗体を1mg/mLの濃度で等分した
対照抗体:
一次抗体:抗PRRS 1AC7、Ingenasa
二次抗体:ヤギ抗マウスIgG(H+L)Alexa Fluor Plus 488、ThermoFisher、A32723
培地:
完全RPMI(10%FBSまたは80%(高)ブタ血清、ウルトラグルタミン、ペニシリン/ストレップトマイシン)
PAM単離:ブタ肺胞マクロファージ単離は、Burkard et al PLoS Pathogens2017に記載のように行った。
ウイルス単離株:
1型ウイルス:BOR57単離株(Roslin Institute,Edinburgh,UK)
2型ウイルス:MN184米国株(Han et al 2006)
感染プロトコル
1日目-細胞播種
ブタ肺胞マクロファージ細胞を、48ウェルプレートの完全RPMIにプレート当たり2,000万個で播種し、CO2インキュベーター内に一晩放置した。
2日目-VHH処置および感染チャレンジ
1. 前処置(感染の30分前)
a.細胞から培地を吸引する
b.非処置の非感染対照および非処置の感染対照に100μLの培地を加える
c.100μLの培地中20μLのPBSを偽処置した感染対照に加える
d.処置サンプルおよび感染サンプルに100μLの培地中適切な量のVHHストックを加える
e.プレートをCO2インキュベーターに30分間戻す
2. ウイルスストックを解凍し、使用前に15秒間超音波処理する
3. 感染チャレンジ(2時間)
a.細胞から培地を取り除き、VHH含有培地を終夜インキュベーション工程用に保持する
b.非処置の非感染対照に100μLの培地を加える
c.非処置の感染対照に100μLの培地中10μLのウイルスを加える
d.偽処置した感染対照の100μL培地に10μLウイルスと20μLPBSを加える
e.処置サンプルおよび感染サンプルに、100μLの培地中の適切な量のVHHストックおよび10μLのウイルスを加える。
f.プレートを静かに撹拌し、CO2インキュベーターに戻す
g.プレートを15分ごとに2時間穏やかに撹拌する
4. 終夜インキュベーション(15時間)
a.細胞から培地を吸引する
b.非処置の非感染対照および非処置の感染対照に100μLの培地を加える
c.100μLの培地中20μLのPBSを偽処置した感染対照に加える
d.前処置工程から保持しておいたVHH含有培地を適切なサンプルに加える
e.プレートをCO2インキュベーターに15時間戻す
3日目-ウェル内固定および染色プロトコル
5. 細胞から培地を吸引する
6. 細胞を4%ホルムアルデヒド/PBS++(カルシウムおよびマグネシウムを含む)溶液で、室温で30分間固定する
7. PBS++で1回洗浄する
8. Triton-X(PBS++中1%)を用いて室温で5分間透過処理する
9. PBS++またはブロッキング溶液(PBS++/5%FBS)で1回洗浄する
10. ブロッキング溶液(PBS++/5%FBS)を用いて室温で20分間ブロックする
11. 非染色対照および二次抗体のみの対照を除くすべてのウェルに、一次抗体抗-PRRS1AC7を1:5000で加える
12. 室温で1時間インキュベートする
13. PBS++で3回洗浄する
14. 非染色対照を除くすべてのウェルに、二次抗体ヤギ抗マウスIgG(H+L)Alexa Fluor Plus 488を1:5000で加える
15. 室温で45分間インキュベートする
16. PBS++で3回洗浄する
17. 300μLのPBS++を加える
18. 広口径p200ピペットチップを使用して細胞をこすり取り、次に通常のp200チップでウェルの端の周りをこすり取り、次にp1000を使用してウェルの表面を3回洗浄し、細胞を収集してFACチューブに移す。
19. Fortessa×20で測定を行った(電圧:FSC=418、SSC=308&530-30=386)
【0297】
結果および考察:
PRRSウイルスファミリーメンバーによるPAM宿主細胞の感染を阻止する個々のVHHの能力を以下に説明する。上記のアッセイを使用して、17時間の感染サイクルに続いてFACSによって測定された、ウイルスを増殖させる能力によって定量化されたウイルス感染の程度を測定した。提示されたデータを
図1および
図2に示し、ならびに以下の表8に要約する。
【0298】
【0299】
データは、VHHがPRRS1型(
図1も参照)および2型(
図2も参照)の両アイソタイプによるブタ肺胞マクロファージ細胞の増殖感染を阻害することができることを明確に示している。感染アッセイにおいて活性を示すVHHは、1型および2型の両ウイルス感染に対して有効であったもの(VHHの001、002、008、015、016、018、019、020、および023)および、1型PRRSウイルス感染に対しては阻害活性を示さなかったが、2型PRRSウイルス感染に対して選択的阻害活性を示した(VHH011、012、014、017)ものに分けることができる。データは、VHHがPRRS1型および2型の両方のアイソタイプによるブタ肺胞マクロファージ細胞の増殖感染を阻害することができることを明確に示している。
【0300】
一部のVHHは、最大300μg/mLの濃度範囲で2型ウイルス感染(VHHの011、012、014、017)でのみ阻害活性を示した(
図2)。これらの候補VHHは、PRRS2型ウイルスに特異性を示し、1型ウイルス感染アッセイにおいて100μg/mLまでの同様の用量反応濃度範囲にわたり阻害活性を示さなかった(
図3)。
【0301】
参照文献:
Burkard C.,et al Precision engineering for PRRSV resistance in pigs:Macrophages from genome edited pigs lacking CD163 SRCR5 domain are fully resistant to both PRRSV genotypes while maintaining biological function PLoS Pathogens,13(2)2017:e1006206
Han J.,Y.Wang,K.S.Faaberg.Complete genome analysis of RFLP 184 isolates of porcine reproductive and respiratory syndrome virus Virus Research,122(2006),pp.175.
【0302】
実施例4:候補CD163特異的候補抗体の組み合わせによる初代ブタ肺胞マクロファージ細胞のブタ呼吸器生殖器(PRRS)ウイルス感染の阻害
材料および方法
PRRSウイルス感染プロトコル
試薬
VHH候補抗体を1mg/mLの濃度で等分した
対照抗体:
一次抗体:抗PRRS 1AC7、Ingenasa
二次抗体:ヤギ抗マウスIgG(H+L)Alexa Fluor Plus 488、ThermoFisher、A32723
培地:
完全RPMI(10%FBSまたは80%高ブタ血清、ウルトラグルタミン、ペニシリン/ストレップトマイシン)
PAM単離:ブタ肺胞マクロファージ単離は、Burkard et al PLoS Pathogens2017に記載のように行った。
ウイルス単離株:
1型ウイルス:BOR57単離株(Roslin Institute,Edinburgh,UK)
2型ウイルス:MN184米国株(Han et al 2006)
感染プロトコル
1日目-細胞を播種
ブタ肺胞マクロファージ細胞を、48ウェルプレートの完全RPMIにプレート当たり2,000万個で播種し、CO2インキュベーター内に一晩放置した。
2日目-VHH治療および感染チャレンジ
1.前処置(感染の30分前)
a.細胞から培地を吸引する
b.非処置の非感染および非処置の感染対照に100μLの培地を加える
c.100μLの培地に20μLのPBSを加えて、偽処置した感染対照に加える
d.処置サンプルおよび感染サンプルに100μLの培地中適切な量のVHHストックを加える
e.プレートをCO2インキュベーターに30分間戻す
2.ウイルスストックを解凍し、使用前に15秒間超音波処理する
3.感染チャレンジ(2時間)
a.細胞から培地を取り除き、VHH含有培地を終夜インキュベーション工程用に保持する
b.非処置の非感染対照に100μLの培地を加える
c.非処置の感染対照に100μLの培地に10μLのウイルスを加える
d.偽処置した感染対照において100μL培地中10μLウイルスおよび20μLPBSを加える
e.処置サンプルおよび感染サンプルに、適切な量の個々のVHHストック溶液(またはVHHの組み合わせ)および100μLの培地中10μLのウイルスを加える
f.プレートを静かに撹拌し、CO2インキュベーターに戻す
g.プレートを15分ごとに2時間穏やかに撹拌する
4.終夜インキュベーション(15時間)
a.細胞から培地を吸引する
b.非処置の非感染対照および非処置の感染対照に100μLの培地を加える
c.偽処置した感染対照に100μLの培地中20μLのPBSを加える
d.前処置工程から保持しておいたVHH含有培地を適切なサンプルに加える
e.プレートをCO2インキュベーターに15時間戻す
3日目-ウェル内固定および染色プロトコル
5.細胞から培地を吸引する
6.細胞を4%ホルムアルデヒド/PBS++(カルシウムおよびマグネシウムを含む)溶液中で、室温で30分間固定する
7.PBS++で1回洗浄する
8.Triton-X(PBS++中1%)を用いて室温で5分間透過処理する
9.PBS++またはブロッキング溶液(PBS++/5%FBS)で1回洗浄する
10.ブロッキング溶液(PBS++/5%FBS)を用いて室温で20分間ブロックする
11.非染色対照および二次抗体のみの対照を除くすべてのウェルに、一次抗体抗-PRRS1AC7を1:5000で加える
12.室温で1時間インキュベートする
13.PBS++で3回洗浄する
14.非染色対照を除くすべてのウェルに、二次抗体ヤギ抗マウスIgG(H+L)Alexa Fluor Plus 488を1:5000で加える
15.室温で45分間インキュベートする
16.PBS++で3回洗浄する
17.300μLのPBS++を加える
18.広口径p200ピペットチップを使用して細胞をこすり取り、次に通常のp200チップでウェルの端の周りをこすり取り、次にp1000を使用してウェルの表面を3回洗浄し、細胞を収集してFACチューブに移す。
19.Fortessa×20で測定を行った(電圧:FSC=418、SSC=308&B530-30=386)
【0303】
結果および考察:
PRRSウイルスファミリーメンバーによるPAM宿主細胞の感染を阻止する個々のVHHの能力を以下に説明する。上記のアッセイを使用して、17時間の感染サイクルに続いてFACSによって測定された、ウイルスを増殖させる能力によって定量化されたウイルス感染の程度を測定した。提示されたデータを
図4および
図5に示す。
【0304】
VHH15、16、および20の組み合わせを、10%FBS含有培地の存在下でBOR57 PRRS1型ウイルスを使用する感染アッセイで使用した。VHH15とVHH16、VHH15とVHH20、VHH16とVHH20の各々100μgの特定の組み合わせ、およびVHH15+VHH16+VHH20の各々50μgの三重組み合わせは、PRRS1型ウイルスの感染の可能性を非常に低いレベルの感染力に低減させる可能性を示した(
図4を参照)。
【0305】
VHHの様々なペアワイズの組み合わせの可能性を、10%FBSを含有する培地の存在下でBOR57 PRRS1型ウイルスを使用して感染アッセイで調べた。VHH02(01B04)をVHH15(02G01)、VHH16(02H11)、およびVHH20(03H11)のパートナーとして使用して、感染をブロックする可能性を評価した。各パートナーVHHの濃度を上げて組み合わせを試験した。データは、VHHの組み合わせを使用してPRRS1型ウイルス感染をブロックし得ることを示している(
図5を参照)。
【0306】
データは、VHHの組み合わせにより、PRRS1型アイソタイプによるブタ肺胞マクロファージ細胞の増殖感染の阻害が、個々のVHH候補よりも潜在的に大幅に増強されることができることを示している。データは、個々のVHHを組み合わせて、PRRSウイルスファミリーメンバーによる感染遮断の可能性を増強することが可能であり得ることを示唆している。
【0307】
参照文献:
Burkard C.,et al,前掲;Han J.,Y.Wang,K.S.Faaberg,前掲。
【0308】
実施例5:ブタCD163 SRCR5に結合する抗CD163 VHH抗体の決定
材料および方法:
VHH抗体候補2D01(VHH14)に結合するブタCD163 SRCR5ドメインのX線結晶構造を決定した。
【0309】
VHH14抗体の発現および精製
FLAGおよびHisタグ付きVHH可変ドメインにコードする合成遺伝子を購入し、製造元の指示に従って再構成した。各DNA構築物を制限酵素消化し、インサートをゲル精製し、各可変ドメインインサートを哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1とライゲーションさせた。ExpiCHO-S細胞に、40μgの全DNAプラスミド構築物を使用して23のリードパネル配列をトランスフェクトした。総量25mLの細胞を8日間のタンパク質産生に使用した(32℃、5%CO2)。産生されたVHH抗体を、AKTA Pure25FPLCシステムでHisTrap HP5mL IMACカラム(GE Healthcare、カタログ番号17-5248-02)を使用して、清澄化した上清から捕捉した。溶出した抗体のピーク画分を1×PBS pH7.4に緩衝液交換し、3kDa MCOスピン濃縮器(Amicon、カタログ番号UFC900324)を使用して濃縮した。精製したタンパク質は、分析サイズ排除クロマトグラフィー(aSEC)およびSDS-PAGEによって正しい鎖の存在について分析した。
【0310】
ブタSRCR5の発現および精製
E.coli DH10Bacに形質転換して、組換えBacmidを産生する前に、^xHISタグが付いたブタCD163 SRCR5領域をコードする合成遺伝子をpTXBac1(独自のベクター)にサブクローニングした。組換えBacmidを使用して、Spodoptera frugiperda(Sf)細胞を形質転換し、P1ウイルスクローンを生成した。P1クローンからの細胞および培地サンプルを定期的にチェックして、タンパク質の発現を調べ、高発現クローンを特定した。高発現クローンは、Sf細胞をP1ウイルスストックに感染させることによって増幅させて、P2ウイルスストックを生成し、その後、感染多重度(MOI)約1で72時間にわたってSf1細胞内で組換えSRCR5タンパク質を発現させるために使用した。
【0311】
産生スケールアップは、Sf細胞の10Lの培養で行った。上記のように最適な発現条件を使用した。培養上清をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.5で平衡化した後、標準プロトコルによってIMAC上でHISタグを使用して精製した。サンプルをPBS pH7.5および0.1%TritonX-114緩衝液で洗浄した。タンパク質を製造元の指示に従ってイミダゾールで溶出した。コバルト樹脂でさらに精製する前に、溶出したサンプルをPBS pH7.5と緩衝液交換した。イミダゾールシフトを使用して(上記のように)洗浄した後、サンプルを溶出した。得られた溶出サンプルを20mMのTris-HCl、pH7.4、150mMのNaClに緩衝液交換した。
【0312】
【0313】
結晶化およびX線構造決定試験
CD163 SRCR5:VHH14複合体は、PBS pH7.4緩衝液で11.84mg/mLの濃度で調製した。板状結晶は、0.2MのNaCl、0.1Mのリン酸/クエン酸pH4.5、20%w/vのPEG8000で成長させた。0.14MのNaCl、0.07Mのリン酸/クエン酸緩衝液pH4.5、13.9%のPEG8000および46%のエチレングリコールを含む凍結溶液を添加した後、個々の結晶を液体窒素で急速凍結させた。
【0314】
データは、スウェーデンのMAX IVのBioMAXビームライン(l=0.97625Å)で、100Kで収集した。ビームラインには、Eiger16Mハイブリッドピクセル検出器が装備されていた。
【0315】
構造は、Phaserソフトウェアおよび2つの相同タンパク質(PDBコード:5DA4および5JFB)を使用して決定し、それぞれ2.4Åおよび2.0Åと決定した。CD163 SRCR5ドメインの103のアミノ酸(表9の太字)および太字でマークした残基4以降のVHH014(02D01)の122のアミノ酸をモデル化することができた(表9)。
【0316】
結果および考察:
CD163 SRCR5:VHH014複合体の構造から、
図6に示すように、単一の単量体VHH014抗体(右側)と相互作用する単一の単量体SRCR5ドメイン(左側)が明らかになる。電子密度マップから、VHH014の残基とCD163:SRCR5ドメイン内の同定したアミノ酸との間の特異的相互作用が明らかになる。特に、ブタCD163 SRCR5ドメイン内のロイシン526およびロイシン527は、同定したすべてのVHH候補間で共有されるモチーフであるVHH14のCDR2内のXYAD/E/Nモチーフによると、特定の保存残基と相互作用を形成するにみえる。VHH14(02D01)は、PRRS1型ウイルスによる感染を阻害しないが、PRRS2型ファミリーウイルスによる感染を低減することができるため、興味深いものである。ブタCD163 SRCR5で同定されたジロイシンモチーフは、PRRS2型ウイルスとSRCR5との相互作用、およびブタ肺胞マクロファージの増殖感染に重要な特徴を表し得る。
【配列表】
【国際調査報告】