(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-03
(54)【発明の名称】顔面に固定される装置
(51)【国際特許分類】
A41D 13/11 20060101AFI20230224BHJP
A42B 3/18 20060101ALI20230224BHJP
A42B 1/00 20210101ALI20230224BHJP
【FI】
A41D13/11 Z
A42B3/18
A42B1/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539361
(86)(22)【出願日】2020-12-27
(85)【翻訳文提出日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 KR2020019166
(87)【国際公開番号】W WO2021133131
(87)【国際公開日】2021-07-01
(31)【優先権主張番号】10-2019-0177090
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0071798
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0183985
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521331397
【氏名又は名称】コリアテック カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KOREATECH Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】12, Bongeunsa-ro 49-gil, Gangnam-gu, Seoul, 06103, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ヨル・イ
【テーマコード(参考)】
3B107
【Fターム(参考)】
3B107AA01
3B107BA08
3B107CA02
3B107CA03
3B107DA21
(57)【要約】
本発明は、顔面に固定される装置に関する。具体的には、マスク、帽子、ヘルメット、携帯用音響機器、メガネまたはゴーグル、眼帯、VR機器、顎補助装置、及び顔面美容帯のうちの少なくとも一つ以上を顔面の特定部位を密着することによって固定する、顔面に固定される装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頭部の前面または後面に位置する本体と、
前記本体と連結され、使用者の第1固定部位のうちの少なくとも一部に密着することによって前記本体を固定する第1固定部材と、
を含む顔面に固定される装置であって、
前記第1固定部位は、使用者の顔面のうち、
1)矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)の移動範囲で見たとき、使用者の茎状突起(Styloid process)を含む位置から使用者の小臼歯(premolar)までを含み、縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)の移動範囲で見たとき、使用者の側頭突起(temporal process)を含む顔面下端部位である第1-1固定部位と、
2)矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)の移動範囲で見たとき、使用者の耳下腺(parotid gland)を含む位置から使用者の咀嚼筋(muscles of mastication)の翼状突起(medial pterygoid)の二筋のうち前側繊維が位置する部位を除いた部位までであり、縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)の移動範囲で見たとき、使用者の側頭突起(temporal process)を含む顔面下端部位である第1-2固定部位と、
3)矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)の移動範囲で見たとき、使用者の茎状突起(Styloid process)を含む位置から使用者の咀嚼筋(muscles of mastication)の咬筋(masseter muscle)までを含み、縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)の移動範囲で見たとき、使用者の側頭突起(temporal process)を含む顔面下端部位であり、前記咬筋(masseter muscle)から最も突出した筋腹部(muscle belly)を除いた部位である第1-3固定部位と、
4)矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)の移動範囲で見たとき、使用者の耳珠(tragus)の前端部から使用者の大頬骨筋(zygomaticus major)の後面部を圧迫しない部位までを含み、縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)の移動範囲で見たとき、使用者の側頭突起(temporal process)を含む顔面下端部位である第1-4固定部位と、
5)使用者の顔面を基準とする正方形の内部である第1-5固定部位であって、使用者の顔面を基準とする正方形は、使用者の下顎角(Angle of Mandible)及び頬骨突起(Zygomatic process)を一面とする正方形であり、使用者の顔面を基準とする正方形は、矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)及び縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)を横及び縦とし、前記下顎角(Angle of Mandible)から前記頬骨突起(Zygomatic process)までの縦軸距離を一辺の長さとする第1-5固定部位と、
6)使用者の顔面を基準とする(x、y)の値が、(-1、-1)、(1、-1)、(2、-1)、(3、-1)、(4、-1)、(-1、1)、(1、1)、(2、1)、(3、1)、(4、1)、(5、1)、(-1、2)、(1、2)、(2、2)、(3、2)、(-1、3)、(1、3)、(2、3)、(-1、4)、(1、4)、(-1、5)、(1、5)、(2、5)である第1-6固定部位と、
のうちの少なくとも一つ以上を含み、
ここで、使用者の顔面を基準とする(x、y)は、使用者の顔面を基準とする正方形の横及び縦を5等分したときの小正方形の座標を基準に選定したものであり、前記5等分は、使用者の頭部の後面から前面に前記xが1、2、3、4、5と指定され、使用者の頭部の上面から下面に前記yが1、2、3、4、5と指定され、使用者の顔面を基準とする正方形の前記使用者の頭部の後面部縦軸を基準に対称になってさらに配置される前記小正方形は、xが負の値と指定され、使用者の顔面を基準とする正方形の前記使用者の頭部の上面部横軸を基準に対称になってさらに配置される前記小正方形は、yが負の値と指定され、使用者の顔面を基準とする正方形の前記使用者の頭部の上面及び後面の頂点を基準に対称になってさらに配置される前記小正方形は、x及びyが負の値と指定される、顔面に固定される装置。
【請求項2】
前記第1-5固定部位は、使用者の顔面を基準とする(x、y)の値が、(1、1)、(2、1)、(3、1)、(4、1)、(1、2)、(2、2)、(3、2)、(1、3)、(1、4)、(1、5)、(2、5)であり、前記第1-6固定部位は、使用者の顔面を基準とする(x、y)の値が(-1、-1)、(1、-1)、(2、-1)、(3、-1)、(4、-1)、(-1、1)、(1、1)、(2、1)、(-1、2)、(1、2)、(-1、3)、(1、3)である、請求項1に記載の顔面に固定される装置。
【請求項3】
前記第1-5固定部位は、使用者の顔面を基準とする(x、y)の値が、(2、2)、(4、2)、(1、3)、(3、3)、(4、3)、(5、3)、(1、4)、(2、4)、(3、4)、(4、4)、(5、4)、(1、5)、(2、5)、(4、5)、(5、5)である、請求項1に記載の顔面に固定される装置。
【請求項4】
前記第1-5固定部位は、使用者の顔面を基準とする(x、y)の値が、(2、1)、(2、2)、(1、3)、(4、3)、(5、3)、(1、4)、(2、4)、(4、4)、(5、4)、(1、5)、(2、5)、(5、5)である、請求項1に記載の顔面に固定される装置。
【請求項5】
前記第1-5固定部位は、使用者の顔面を基準とする(x、y)の値が、(2、2)、(1、3)、(2、4)、(1、5)、(2、5)である、請求項4に記載の顔面に固定される装置。
【請求項6】
前記第1-5固定部位は、使用者の顔面を基準とする(x、y)の値が(2、2)、(1、3)である、請求項4に記載の顔面に固定される装置。
【請求項7】
前記本体と連結され、使用者の第2固定部位のうちの少なくとも一部に密着することによって前記本体を固定する第2固定部材を含み、
前記第2固定部位は、使用者の鼻唇溝(nasolabial fold)領域、使用者の上唇挙筋(levator labii superioris)または上唇鼻翼挙筋(levator labii superiorisalaequenasi)、及び使用者の小鼻(alar crease)の外周部のうちの少なくとも一つ以上を含む、請求項1に記載の顔面に固定される装置。
【請求項8】
前記第2固定部位は、使用者の小鼻(alar crease)の外周部を含む、請求項7に記載の顔面に固定される装置。
【請求項9】
前記第1固定部位から、茎状突起、小臼歯、側頭突起が除かれる、請求項1に記載の顔面に固定される装置。
【請求項10】
前記本体、前記第1固定部材、及び前記第2固定部材のうちの少なくとも2個以上は、同じ素材から構成される、請求項7に記載の顔面に固定される装置。
【請求項11】
前記第1固定部位及び/または前記第2固定部位の他に、前記使用者の顔面の他の部位である更なる固定部位に密着することによって前記本体を固定する追加固定部材を含む、請求項7に記載の顔面に固定される装置。
【請求項12】
前記本体と前記第1固定部材とを連結する第1連結部、及び前記本体と前記第2固定部材とを連結する第2連結部を含む、請求項7に記載の顔面に固定される装置。
【請求項13】
前記第1連結部及び/または前記第2連結部の長さが調節される、請求項12に記載の顔面に固定される装置。
【請求項14】
前記本体、前記第1連結部、前記第2連結部、前記第1固定部材、及び前記第2固定部材は、同じ素材から一体に加工されて製造される、請求項12に記載の顔面に固定される装置。
【請求項15】
前記第1連結部及び/または前記第2連結部は、弾性を有する、請求項12に記載の顔面に固定される装置。
【請求項16】
前記第1連結部、前記第2連結部、前記第1固定部材、及び前記第2固定部材の素材は、樹脂と、金属と、半導体と、セラミックと、革と、紙と、ガラス纎維及び炭素纎維を含む纎維と、ガラスと、ゴムと、木と、バイオ材料と、炭素纎維と、のうちの少なくとも一つ以上である、請求項12に記載の顔面に固定される装置。
【請求項17】
前記第1固定部位のうちの少なくとも一部に密着する第1固定部材の第1密着面及び前記第2固定部位のうちの少なくとも一部に密着する第2固定部材の第2密着面がそれぞれ少なくとも1個以上である、請求項7に記載の顔面に固定される装置。
【請求項18】
鼻、顎、耳、乳様骨(mastoid bone)、首後部、及び頭部の頭頂骨(parietal bone)または後頭骨(occipital bone)のうちの少なくとも一つ以上に位置する補助固定部位に固定されることによって前記本体を固定する補助固定部材を含む、請求項1または7に記載の顔面に固定される装置。
【請求項19】
前記本体は、マスク、帽子、ヘルメット、携帯用音響機器、メガネまたはゴーグル、眼帯、VR機器、顎補助装置、及び顔面美容帯のうちので少なくとも一つ以上である、請求項1または7に記載の顔面に固定される装置。
【請求項20】
前記マスクは、空気汚染マスク、使い捨てマスク、フィルター交替型マスク、産業用マスク、軍用マスク、防毒面、手術用マスク、料理用マスク、紫外線マスク、防寒マスク、陽圧機マスク、酸素マスク、溶接マスク、過呼吸防止マスク、トレーニングマスク、スキンスキューバマスク、皮膚管理マスク、LEDマスク、超音波マスク、低周波マスク、及びフェイシャルマスクのうちのいずれか一つであり、
前記帽子は、サンキャップ、フェドーラ、野球帽及びキャップのうちのいずれか一つであり、
前記ヘルメットは、自転車用、スキー用、スノーボード用、スケートボード用、ホッケー用、スクーター用、及び軍用のヘルメットのうちのいずれか一つであり、
前記音響機器は、ヘッドホン、イヤホン、ヘッドセット及びマイクのうちのいずれか一つであり、
前記メガネまたはゴーグルは、メガネ、ゴーグル、及び視力強化器のうちのいずれか一つであり、
前記VR機器は、VR機器であり、
前記顎補助装置は、顎矯正機、リフティングバンド、及び開口防止バンドのうちの一つであり、
前記顔面美容帯は、マスクパック、及び仮面のうちの一つである、請求項19に記載の顔面に固定される装置。
【請求項21】
前記第1固定部位及び/または前記第2固定部位に密着することによって前記本体を固定することは、
1)前記第1固定部材及び/または前記第2固定部材がそれぞれ使用者の前記第1固定部位のうちの少なくとも一部及び/または前記第2固定部位のうちの少なくとも一部を圧迫して固定するか、
2)前記第1固定部位のうちの少なくとも一部及び/または前記第2固定部位のうちの少なくとも一部に別途の固定パッチを付着した後、前記固定パッチ及び前記第1固定部位のうちの少なくとも一部及び/または前記第2固定部位のうちの少なくとも一部をベルクロ(登録商標)テープ、磁力、フック、接着、圧迫、ボタン、結合突起、クリップ、留め具、スライダー、スノーボード靴用バインディング、ケーブルタイ、レール、ボタン、ドッキング、ボルト及びナット、及び紐のうちの少なくとも一つ以上によって固定する、請求項7に記載の顔面に固定される装置。
【請求項22】
前記第1固定部材及び/または前記第2固定部材がそれぞれ使用者の前記第1固定部位及び/または前記第2固定部位を圧迫する圧力は、40kPa以下である、請求項21に記載の顔面に固定される装置。
【請求項23】
前記第1固定部材及び/または第2固定部材は、人体に電気刺激を伝達することができる素材または電気刺激を発生することができる素材を含む、請求項7に記載の顔面に固定される装置。
【請求項24】
前記本体の重さは、1kg以下である、請求項1または7に記載の顔面に固定される装置。
【請求項25】
請求項1または7に記載の顔面に固定される装置を使用者の頭部に固定する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年12月27日付の韓国特許出願第2019-0177090号、2020年6月12日付の韓国特許出願第2020-0071798号、及び2020年12月24日付の韓国特許出願第2020-0183985号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献等に開示されたすべての内容は、この明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、顔面に固定される装置に関する。具体的には、本発明は、使用者の顔面の特定部位と密着することによって使用者の顔面に固定されるマスク、帽子、ヘルメット、携帯用音響機器、メガネまたはゴーグル、眼帯、VR機器、顎補助装置、及び顔面美容帯のうちの少なくとも一つ以上である、顔面に固定される装置に関する。
【背景技術】
【0003】
耳を支持物として用いて顔面に着用する装置が大幅に増えている。コロナ19以後にマスクは日常製品になっている。伝統的なメガネはもちろんのこと、ヘッドホン、イヤホンも多様な方式で耳を支持物として用いている。VR機器も耳を支持物として用いる製品であり、その活用度が段々高くなっている。
【0004】
耳を支持物として用いる装置を着用する時間も大きく増えている。一日中、着用しているメガネはもちろんのこと、マスクも場所や時間に関係なく着用している。新規の技術が適用されたイヤホンを数時間も使うことはとても自然なことになった。
【0005】
このように、耳に対する物理的なストレスが大きく増加することに予想される。大人の50%を超えているメガネ着用者にはその不便さが加重するであろう。コロナ19及び粒子状物質によるマスク着用の日常化も耳に対する物理的な負担を加重させる要因の一つである。
【0006】
したがって、耳に対する物理的なストレスを減らしながら各種の機器を顔に固定することができる新概念の機器または方式を開発する必要がある。耳にのみ依存する伝統的な方式ではなく、耳を補助するか代替することができる第2の定着地に固定可能な機器または方式の開発が必要である。
【0007】
このような問題を解決するために、本発明の発明者は、顔面に固定される装置のうち代表的なマスクの問題点を分析した。このために、マスクの紐の長さによる漏洩率、マスクを着用するときに感じる痛みに対する事前研究を遂行した。本発明では、事前研究としてKF94マスクを使い、9人の参加者を対象として研究を遂行した。
【0008】
まず、マスクの基本的な目的である低い漏洩率を達成することができる適切な紐の長さに対する研究を遂行した。成人向けに製作されたマスクに対して、マスクの紐の長さを調節しなかった場合と、マスクの紐を含む長さを顔の長さの120%に調整した場合と、の漏洩率を比較した。後者の場合は、前者の場合に比べて、漏洩率が少なくは25%から多くは83%まで減少したことが現れた。すなわち、マスクは紐の長さを調節することで漏洩率を低めることができ、これによりマスクを着用する元の目的を達成することができることが分かった。
【0009】
ここで言及する顔長は、モルフェウスを用いて測定した顔の長さであり、使用者の左耳から鼻の下までかつ鼻の下から右耳までの距離を言う。
【0010】
マスクの紐の長さを調節する場合、漏洩率は低めることができるが、長時間の着用による多様な部位の痛みが観測された。
【0011】
図1は、マスクの着用による痛みを観測した位置を示す模式図である。
図1に示す顔の特定部分に対する痛みの程度に対して、着用直後と、8時間の間に連続的に着用した後と、の定性評価を実施した。マスクの紐の長さを調節せずに8時間の間に連続的に着用する場合、6番部位(耳後)でのみ痛みの程度が大きく高くなることが観測された。顔面に対する圧迫程度が弱い場合でもマスクの紐が耳にずっと固定されることによって現れる痛みと分析される。
【0012】
マスクの紐の長さを顔長の120%に調整して漏洩率を低めた状態で8時間の間に連続的に着用する場合、6番部位を含めて多様な部位で痛みが増加することが現れた。耳に関連した4番部位を含めて、3番部位、7番部位でも痛みが大きく増加することが現れた。3番部位と7番部位とは、筋膜圧痛点の疼痛が発現する部位であり、頭痛を引き起こしやすく、3番と7番との側頭筋側頭筋と後頭部の上部頸椎伸筋との筋肉は、上部僧帽筋の筋膜圧痛点の痛み誘発部位であり、頭痛及び肩の痛みを引き起こす可能性がある。
【0013】
本発明の発明者は、前記のような事前研究によって、長時間マスクを着用する場合、耳以外の筋骨格系にも痛みを引き起こす可能性があることを確認することができる。また、マスクの着用によって引き起こさされる多様な痛みは、集中力を低下させて学業または業務まで差し支えを生じる可能性がある。
【0014】
本発明は、このような問題点を解決するためのものであり、耳を除いた第2の定着地に固定可能な顔面に固定される装置を開発する過程で本発明が導出された。
【0015】
特許文献1は、着用が簡便で楽なマスクに関するものであり、顔の前面部の屈曲部にかかる掛け部21、及び前記掛け部21から延びて頬骨の上端部に接触し、耳付近の顔側面まで顔輪郭に沿って延びる弾性密着部22を含むフレーム20と、前記フレーム20が内部に着脱可能に挿入される装着ホール11を有し、顔の鼻及び口の周辺部まで取り囲み、弾力を有する纎維バンド素材からなる本体10と、前記本体10の内側面に着脱可能に装着され、前記フレーム20が内部に着脱可能に挿入される装着ホール31を有し、鼻孔及び口を取り囲むフィルター30と、から構成されることにより、前記フレーム20の前記弾性密着部22の弾性力によって前記掛け部21及び弾性密着部22が顔にかかって密着した状態を維持するものに関するものであり、特許文献1の目的は、耳が不便ではないながら使用者の顔面に安定的にかかることができ、使用の便宜性が増加したマスクを提供することにあり、本体及びフィルターの着脱が可能な構造を有してフィルターの交替が可能であり、使用環境によって本体またはフィルターを分離して独自的に使うことが可能なマスクを提供することにある。
【0016】
特許文献1の掛け部21から延びて頬骨の上端部に接触し、耳付近の顔側面まで顔輪郭に沿って延びる弾性密着部22を含むフレーム20が頬付近を含む部位に広く配置されている。この場合、1)付着及び脱着の過程中に顔が擦りむけて皮膚を刺激するか化粧が落とされるおそれがある。2)また、皮膚が弱い部位を継続的に刺激しているので、長時間着用する場合、使用者の顔面に痕跡が残るだけでなく不便さを感じることになる。3)また、押圧される面とこれを押圧する圧力とに対する明確な基準を提示することができないので、一様な固定力を保障にしにくい。
【0017】
特許文献2は、粒子状物質を遮断するためのネックウォーマーに関するものであり、円筒状に形成され、着用の際に顔面の目の下から首までカバーするネックカバー部と、着用の際に使用者の鼻及び口から一定の距離で離隔して形成されてカバーするシーリングカバー部と、ネックカバー部の上端縁に形成され、ネックカバー部の上端部が顔面に密着するようにする圧迫リング部と、鼻及び口による空気を濾過させるフィルタリング部と、を含み、顔面及び首の保護はもちろんのこと、呼吸器に流入する粒子状物質を遮断するネックウォーマーに関するものであり、特許文献2の目的は、粒子状物質を効率的に遮断し、首及び顔面も保護することができ、粒子状物質遮断の効用性確保のために顔の曲面に対する密着性を有し、活動中にも顎の下に下がらないようにする機能性ネックウォーマーを提示している。
【0018】
特許文献2の輪ゴムを使う方式の代表的な問題点は、1)脱着及び付着が非常に不便であるという点である。また、特許文献1のように、2)付着及び脱着の過程中に顔が擦りむけることよって化粧が落とされるおそれがある。3)長時間着用する場合、使用者の顔面に痕跡が残るだけでなく不便さを感じることになる。
【0019】
特許文献3は、ウェアラブルマスクに関するものであり、使用者の顔面のうち口部位を覆って保護する本体と、前記本体と連結され、前記使用者がウェアラブルマスクを着用したとき、使用者の顔面の一部に接触して当該部位に密着する顔面固定部材と、を含んでなり、特許文献3の目的は、顔面に着用されるとき、凹溝を通して顔面の一部に密着するので、マスクに付加される紐のような掛け道具を形成しなくても良いので、製作コストを節減することができ、本体を使い捨て用に形成しても、本体のみを交替して半永久的に使えるようにするウェアラブルマスクを提供することにある。
【0020】
特許文献3の場合、1)顔面の広い部位と接触するので、化粧が落とされるおそれがある。2)また、継続的な着用によって顔面に痕跡が残るおそれがあり、3)押圧される面とこれを押圧する圧力とに対する明確な基準を提示することができないので、一様な固定力を保障にしにくい。
【0021】
特許文献4は、マスクに使用する素材の伸縮率と、顎先から耳珠までの長さ、頬骨の位置等を基にした立体に対応する製図と、により、成人用から小児用に至るまで、及び顔面、顎部、前頭部等の各部にジャストフィットするフェイスマスクに関するものであり、特許文献4の目的は、顔面、顎部、前頭部にフィットし、包帯、絆創膏、眼帯などの代わりをする医療用品または美容の目的に適したシート型フェイスマスクの立体に対応する製図法及び前記マスクを提供することにある。
【0022】
特許文献4は、耳にかけてその張力を用いるものであり、本発明で言及している耳に対するストレスを極度に高めることに相当する。
【0023】
特許文献5は、耳かけ紐なしにマスクを顔面に装着することができるようにしたマスクカバーに関するものであり、特許文献5の目的は、伸縮性に優れた材料を用いて顔面の曲面に沿って変形されるようにし、マスクカバーの通気性が良好なマスクを提供することにある。
【0024】
特許文献5は、1)顔に別途のアンカー部材を付着しなければならないので、着用に不便さを感じることがあり、2)アンカーが付着される面によって顔に痕跡が残るか継続的な刺激によって皮膚損傷のおそれがある。3)また、アンカーが付着される面に対する明確な基準を提示することができないので、一様な固定力を保障しにくい。
【0025】
特許文献6は、身体用弛緩予防及び改善具に関するものであり、製造コストの低減を図り、頭部およびその他の部位に装着可能とし、広い範囲で面方向に引張力を作用させることができる身体用弛緩予防および改善具を提供し、前記弛緩予防及び改善具は、頭頂部または前頭部から耳下腺咬筋部を経由してオトガイ部およびオトガイ下部にわたる領域を覆う基部に、側頭部11から外側眼瞼交連部近傍にわたる領域を覆う一対の目尻被覆部が一体に形成されている。
【0026】
特許文献6は、顔面全体を取り囲む引張力を用いるためのものであり、引張力自体を特徴としているが、本発明で提示する問題点を解決するための手段ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1773856号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10-1954022号公報
【特許文献3】韓国登録実用新案第0490095号公報
【特許文献4】特開2004-267692号公報
【特許文献5】特開2018-145570号公報
【特許文献6】特許第4799884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明は、前記のような従来の問題点を解決するためのものであり、1)脱着及び付着が容易であり、2)脱着及び付着の過程で顔面を含む皮膚との接触を最小化し、3)長時間着用しても皮膚に刺激が少なく、4)耳を含む他の筋骨格系の痛みなどの不便さを最小化し、5)押圧部位を明確に特定することができるだけでなく、その領域を最適化して、使用者に関係なく一様な固定力を提供することができる顔面に固定される装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
前記のような目的を達成するために、本発明は、顔面に固定される多様な装置であって、人体の顔面に固定可能な共通的な改善方法を備えた顔面に固定される装置を提供する。
【0030】
本発明は、使用者の頭部の前面または後面に位置する本体と、前記本体と連結され、使用者の第1固定部位のうちの少なくとも一部に密着することによって前記本体を固定する第1固定部材と、を含む顔面に固定される装置であって、
前記第1固定部位は、使用者の顔面のうち、
1)矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)の移動範囲で見たとき、使用者の茎状突起(Styloid process)を含む位置から使用者の小臼歯(premolar)までを含み、
縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)の移動範囲で見たとき、使用者の側頭突起(temporal process)を含む顔面下端部位である第1-1固定部位と、
2)矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)の移動範囲で見たとき、使用者の耳下腺(parotid gland)を含む位置から使用者の咀嚼筋(muscles of mastication)の翼状突起(medial pterygoid)の二筋のうち前側繊維が位置する部位を除いた部位までであり、
縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)の移動範囲で見たとき、使用者の側頭突起(temporal process)を含む顔面下端部位である第1-2固定部位と、
3)矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)の移動範囲で見たとき、使用者の茎状突起(Styloid process)を含む位置から使用者の咀嚼筋(muscles of mastication)の咬筋(masseter muscle)までを含み、
縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)の移動範囲で見たとき、使用者の側頭突起(temporal process)を含む顔面下端部位であり、
前記咬筋(masseter muscle)から最も突出した筋腹部(muscle belly)を除いた部位である第1-3固定部位と、
4)矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)の移動範囲で見たとき、使用者の耳珠(tragus)の前端部から使用者の大頬骨筋(zygomaticus major)の後面部を圧迫しない部位までを含み、
縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)の移動範囲で見たとき、使用者の側頭突起(temporal process)を含む顔面下端部位である第1-4固定部位と、
5)使用者の顔面を基準とする正方形の内部である第1-5固定部位であって、
使用者の顔面を基準とする正方形は、使用者の下顎角(Angle of Mandible)及び頬骨突起(Zygomatic process)を一面とする正方形であり、使用者の顔面を基準とする正方形は、矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)及び縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)を横及び縦とし、前記下顎角(Angle of Mandible)から前記頬骨突起(Zygomatic process)までの縦軸距離を一辺の長さとする第1-5固定部位と、
6)使用者の顔面を基準とする(x、y)の値が、(-1、-1)、(1、-1)、(2、-1)、(3、-1)、(4、-1)、(-1、1)、(1、1)、(2、1)、(3、1)、(4、1)、(5、1)、(-1、2)、(1、2)、(2、2)、(3、2)、(-1、3)、(1、3)、(2、3)、(-1、4)、(1、4)、(-1、5)、(1、5)、(2、5)である第1-6固定部位と、
のうちの少なくとも一つ以上を含み、
ここで、使用者の顔面を基準とする(x、y)は、使用者の顔面を基準とする正方形の横及び縦を5等分したときの小正方形の座標を基準に選定したものであり、前記5等分は、使用者の頭部の後面から前面に前記xが1、2、3、4、5と指定され、使用者の頭部の上面から下面に前記yが1、2、3、4、5と指定され、
使用者の顔面を基準とする正方形の前記使用者の頭部の後面部縦軸を基準に対称になってさらに配置される前記小正方形は、xが負の値と指定され、
使用者の顔面を基準とする正方形の前記使用者の頭部の上面部横軸を基準に対称になってさらに配置される前記小正方形は、yが負の値と指定され、
使用者の顔面を基準とする正方形の前記使用者の頭部の上面及び後面の頂点を基準に対称になってさらに配置される前記小正方形は、x及びyが負の値と指定される。
【0031】
具体的には、前記第1-5固定部位は、使用者の顔面を基準とする(x、y)の値が、(1、1)、(2、1)、(3、1)、(4、1)、(1、2)、(2、2)、(3、2)、(1、3)、(1、4)、(1、5)、(2、5)であり、好ましくは(2、2)、(4、2)、(1、3)、(3、3)、(4、3)、(5、3)、(1、4)、(2、4)、(3、4)、(4、4)、(5、4)、(1、5)、(2、5)、(4、5)、(5、5)であり、より好ましくは(2、1)、(2、2)、(1、3)、(4、3)、(5、3)、(1、4)、(2、4)、(4、4)、(5、4)、(1、5)、(2、5)、(5、5)であり、さらに好ましくは(2、2)、(1、3)、(2、4)、(1、5)、(2、5)であり、最も好ましくは(2、2)、(1、3)である。
【0032】
前記第1-6固定部位は、使用者の顔面を基準とする(x、y)の値が(-1、-1)、(1、-1)、(2、-1)、(3、-1)、(4、-1)、(-1、1)、(1、1)、(2、1)、(-1、2)、(1、2)、(-1、3)、(1、3)である。
【0033】
一方、前記第1固定部位から茎状突起、小臼歯、及び側頭突起は、除かれることができる。
【0034】
本発明による顔面に固定される装置は、前記本体と連結され、使用者の第2固定部位のうちの少なくとも一部に密着することによって前記本体を固定する第2固定部材を含み、
前記第2固定部位は、使用者の鼻唇溝(nasolabial fold)領域、使用者の上唇挙筋(levator labii superioris)または上唇鼻翼挙筋(levator labii superiorisalaequenasi)、及び使用者の小鼻(alar crease)の外周部のうちの少なくとも一つ以上を含み、好ましくは前記第2固定部位は、使用者の小鼻(alar crease)の外周部を含むことができる。
【0035】
前記本体、前記第1固定部材、及び前記第2固定部材のうちの少なくとも2個以上は同じ素材から構成されることができる。
【0036】
本発明による顔面に固定される装置は、前記第1固定部位及び/または前記第2固定部位の他に、前記使用者顔面の他の部位である更なる固定部位に密着することによって前記本体を固定する追加固定部材を含むことができる。
【0037】
前記本体と前記第1固定部材とを連結する第1連結部、及び前記本体と前記第2固定部材とを連結する第2連結部を含むことができ、前記第1連結部及び/または前記第2連結部の長さが調節されることができる。
【0038】
本発明による顔面に固定される装置は、前記本体、前記第1連結部、前記第2連結部、前記第1固定部材、及び前記第2固定部材が同じ素材から一体に加工されて製造されることができる。
【0039】
前記第1連結部及び/または前記第2連結部は、弾性を有することができる。
【0040】
前記第1連結部、前記第2連結部、前記第1固定部材、及び前記第2固定部材のそれぞれの具体的な素材が、樹脂と、金属と、半導体と、セラミックと、革と、紙と、ガラス纎維及び炭素纎維を含む纎維と、ガラスと、ゴムと、木と、バイオ材料と、炭素纎維と、のうちの少なくとも一つ以上であることができる。
【0041】
前記第1固定部位のうちの少なくとも一部に密着する第1固定部材の第1密着面、及び前記第2固定部位のうちの少なくとも一部に密着する第2固定部材の第2密着面がそれぞれ少なくとも1個以上であることができる。
【0042】
本発明による顔面に固定される装置は、鼻、顎、耳、乳様骨(mastoid bone)、首後部、及び頭部の頭頂骨(parietal bone)または後頭骨(occipital bone)のうちの少なくとも一つ以上に位置する補助固定部位に固定されることによって前記本体を固定する補助固定部材を含むことができる。
【0043】
前記本体は、マスク、帽子、ヘルメット、携帯用音響機器、メガネまたはゴーグル、眼帯、VR機器、顎補助装置、及び顔面美容帯のうちの少なくとも一つ以上であり、具体的には、
前記マスクは、空気汚染マスク、使い捨てマスク、フィルター交替型マスク、産業用マスク、軍用マスク、防毒面、手術用マスク、料理用マスク、紫外線マスク、防寒マスク、陽圧機マスク、酸素マスク、溶接マスク、過呼吸防止マスク、トレーニングマスク、スキンスキューバマスク、皮膚管理マスク、LEDマスク、超音波マスク、低周波マスク、及びフェイシャルマスクのうちのいずれか一つであり、
前記帽子は、サンキャップ、フェドーラ、野球帽及びキャップのうちのいずれか一つであり、
前記ヘルメットは、自転車用、スキー用、スノーボード用、スケートボード用、ホッケー用、スクーター用、及び軍用のヘルメットのうちのいずれか一つであり、
前記音響機器は、ヘッドホン、イヤホン、ヘッドセット及びマイクのうちのいずれか一つであり、
前記メガネまたはゴーグルは、メガネ、ゴーグル、及び視力強化器のうちのいずれか一つであり、
前記VR機器はVR機器であり、
前記顎補助装置は、顎矯正機、リフティングバンド、及び開口防止バンドのうちの一つであり、
前記顔面美容帯は、マスクパック、及び仮面のうちの一つであることができる。
【0044】
前記第1固定部位及び/または前記第2固定部位に密着することによって前記本体を固定することは、
1)前記第1固定部材及び/または前記第2固定部材がそれぞれ使用者の前記第1固定部位のうちの少なくとも一部及び/または前記第2固定部位のうちの少なくとも一部を圧迫して固定するか、
2)前記第1固定部位のうちの少なくとも一部及び/または前記第2固定部位のうちの少なくとも一部に別途の固定パッチを付着した後、前記固定パッチ及び前記第1固定部位のうちの少なくとも一部及び/または前記第2固定部位のうちの少なくとも一部をベルクロ(登録商標)テープ、磁力、フック、接着、圧迫、ボタン、結合突起、クリップ、留め具、スライダー、スノーボード靴用バインディング、ケーブルタイ、レール、ボタン、ドッキング、ボルト及びナット、及び紐のうちの少なくとも一つ以上によって固定することができる。
【0045】
前記第1固定部材及び/または前記第2固定部材がそれぞれ使用者の前記第1固定部位のうちの少なくとも一部及び/または前記第2固定部位のうちの少なくとも一部を圧迫する圧力は、40kPa以下、好ましくは0.1kPa~10kPa、より好ましくは0.1kPa~5kPa、さらに好ましくは0.1kPa~1kPaである。
【0046】
前記第1固定部材及び/または第2固定部材は、人体に電気刺激を伝達することができる素材または電気刺激を発生することができる素材を含むことができる。
【0047】
前記本体の重さは、1kg以下、好ましくは450g以下であることができる。
【0048】
本発明は、前記顔面に固定される装置を使用者の頭部に固定する方法を提供する。
【0049】
本発明は、前記発明を解決することができる手段が重複されるか組み合わせられて提供されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】マスク着用による痛みを観測した位置を示す模式図である。
【
図2】茎状突起(Styloid process)を含む頭蓋骨の側面図である。
【
図3】側頭突起(temporal process)及び翼状突起(medial pterygoid)を同時に示すために骨格及び筋肉を同時に示す解剖図である。
【
図4】咀嚼筋(muscles of mastication)及び翼状突起(medial pterygoid)を同時に示すために骨格及び筋肉を同時に示す解剖図である。
【
図5】大頬骨筋(zygomaticus major)及び翼状突起(medial pterygoid)を同時に示すために骨格及び筋肉を同時に示す解剖図である。
【
図6】使用者の顔面のうち下顎角(Angle of Mandible)及び頬骨突起(Zygomatic process)を一面とする使用者の顔面を基準とする正方形及びその内部を分割する小正方形を含む図である。
【
図7】本発明による使用者の顔面を基準とする(x、y)の値を例示する模式図である。
【
図8】実験を遂行するために、使用者の顔面のうち小正方形を含む使用者の顔面を基準とする正方形を人の顔面に実際に適用した例示の写真である。
【
図9】PPTを測定するための装置の概略図である。
【
図10】第1-5固定部位のための本発明の第1実施例によるPPTに対する実験結果を示す図である。
【
図11】第1-5固定部位のための本発明の第1実施例によるVASに対する実験結果を示す図である。
【
図12】第1-5固定部位のための本発明の第1実施例によるPPT/VASに対する分析結果を示す図である。
【
図13】第1-6固定部位のための本発明の第2実施例によるPPTに対する実験結果を示す図である。
【
図14】フレームを実際使用者の特定部位に特定の圧力で固定する場合、固定程度を測定するための装置を示す図である。
【
図15】第2固定部材を備えたフレームを示す図である。
【
図16】第2固定部材の位置を小鼻を基準に上、中、下に示す写真である。
【
図17】本発明による顔面に固定される装置のうち固定部位及び当該固定部位を圧迫する固定部材の例を示す図である。
【
図18】本発明による顔面に固定される装置のうち固定部位及び当該固定部位を圧迫する固定部材の例を示す図である。
【
図19】本発明による顔面に固定される装置のうち固定部位及び当該固定部位を圧迫する固定部材の例を示す図である。
【
図20】本発明による顔面に固定される装置のうち固定部位及び当該固定部位を圧迫する固定部材の例を示す図である。
【
図21】本発明による顔面に固定される装置のうち固定部位及び当該固定部位を圧迫する固定部材の例を示す図である。
【
図22】本発明による顔面に固定される装置のうち固定部位及び当該固定部位を圧迫する固定部材の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、添付図面に基づき、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただ、本発明の好適な実施例の動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0052】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使う。明細書全般にわたって、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0053】
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれら実施例に限定されるものではない。
【0054】
本発明は、顔面に固定される装置を提供する。具体的には、本発明が提供する顔面に固定される装置の本体は、マスク、帽子、ヘルメット、携帯用音響機器、メガネまたはゴーグル、眼帯、VR機器、顎補助装置、及び顔面美容帯のうちの少なくとも一つ以上を含む。
【0055】
本発明において、マスクは、顔の前面部の下端を遮るものであり、帽子は、頭部上端の少なくとも一部を遮るものであり、ヘルメットは、頭部上端の少なくとも一部を保護するものであり、携帯用音響機器は、耳または耳周辺に音波を介して音響を伝達するものであるかマイクであり、メガネまたはゴーグルは、視力矯正または目を保護するためのものであり、VR機器は、視覚または聴覚を用いて仮想現実を感じるようにするものであり、顎補助装置は、医学または美容の目的で顎の一部に持続的な圧迫を加えるものであり、顔面美容帯は、顔面を隠すか飾るためのものである。
【0056】
図2~
図7は、本発明による固定部位を説明するための人体関連の解剖図である。
【0057】
本発明は、顔面に固定される多様な装置を人体の顔面に固定することができる共通的な改善方法を備えた顔面に固定される装置を提供する。
【0058】
【0059】
図2に示す固定部位は、矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)の移動範囲で見たとき、使用者の茎状突起(Styloid process)を含む位置から使用者の小臼歯(premolar)までを含み、縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)の移動範囲で見たとき、使用者の側頭突起(temporal process)を含む顔面下端部位である。
【0060】
ここで、矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)は、
図2~
図7でx軸または横軸に相当するものであり、縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)は、
図2~
図7でy軸に相当するものである。具体的には、
図2で例示する点線部位が本発明の第1-1固定部位であることができる。
【0061】
図3に示す第1-2固定部位は、矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)の移動範囲で見たとき、使用者の耳下腺(parotid gland)を含む位置から使用者の咀嚼筋(muscles of mastication)の翼状突起(medial pterygoid)の二筋のうち前側繊維が位置する部位を除いた部位までであり、縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)の移動範囲で見たとき、使用者の側頭突起(temporal process)を含む顔面下端部位である。
図2と比較して見るとき、縦軸の移動範囲は同一であり、矢状軸の移動範囲で見たとき、使用者の耳下腺(parotid gland)を含む位置から使用者の咀嚼筋(muscles of mastication)の翼状突起(medial pterygoid)の二筋のうち前側繊維が位置する部位を除いた部位までである点に違いがある。
【0062】
前記翼状突起(medial pterygoid)は、
図3で最終的に2個が示されており、顔の前面に相当する部分が前側繊維が位置する部位であり、この部分は除かれる。
図3で例示する点線部位が本発明の第1-2固定部位であることができる。
【0063】
図4に示す第1-3固定部位は、矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)の移動範囲で見たとき、使用者の茎状突起(Styloid process)を含む位置から使用者の咀嚼筋(muscles of mastication)の咬筋(masseter muscle)までを含み、縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)の移動範囲で見たとき、使用者の側頭突起(temporal process)を含む顔面下端部位であり、前記咬筋(masseter muscle)から最も突出した筋腹部(muscle belly)は除かれる。
【0064】
図4で、咀嚼筋(muscles of mastication)の咬筋(masseter muscle)までを全部含むが、前記咬筋(masseter muscle)から最も突出した筋腹部(muscle belly)は、圧迫を加えるときに痛みを感じやすい部分であるので、除くことが好ましい。
【0065】
図4で例示する矩形点線部位のうち、円形の点線部位を除いた部位が本発明の第1-3固定部位の好ましい部位である。
【0066】
図5に示す第1-4固定部位は、矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)の移動範囲で見たとき、使用者の耳珠(tragus)の前端部から使用者の大頬骨筋(zygomaticus major)の後面部を圧迫しない部位までを含み、縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)の移動範囲で見たとき、使用者の側頭突起(temporal process)を含む顔面下端部位である。
【0067】
図5で例示する点線部位が、本発明の第1-4固定部位であることができる。
【0068】
図6は、本発明による第1-5固定部位を示し、
図7は、本発明による第1-6固定部位を示す。
【0069】
図6は、使用者の顔面のうち下顎角(Angle of Mandible)及び頬骨突起(Zygomatic process)を一面とする使用者の顔面を基準とする正方形及びその内部を分割する小正方形を含む図であり、25個の小正方形を含む最大の正方形が本発明の第1-5固定部位であることができる。
【0070】
図7は、本発明による第1-6固定部位を示し、第1-5固定部位を拡張したものであり、第1-5固定部位及び第1-6固定部位に適用される使用者の顔面を基準とする(x、y)の値を示す。
【0071】
具体的には、前記第1-5固定部位は、使用者の顔面を基準とする(x、y)の値が、(1、1)、(2、1)、(3、1)、(4、1)、(1、2)、(2、2)、(3、2)、(1、3)、(1、4)、(1、5)、(2、5)であり、好ましくは(2、2)、(4、2)、(1、3)、(3、3)、(4、3)、(5、3)、(1、4)、(2、4)、(3、4)、(4、4)、(5、4)、(1、5)、(2、5)、(4、5)、(5、5)であり、より好ましくは(2、1)、(2、2)、(1、3)、(4、3)、(5、3)、(1、4)、(2、4)、(4、4)、(5、4)、(1、5)、(2、5)、(5、5)であり、さらに好ましくは(2、2)、(1、3)、(2、4)、(1、5)、(2、5)であり、最も好ましくは(2、2)、(1、3)である。
【0072】
前記第1-6固定部位は、使用者の顔面を基準とする(x、y)の値が、(-1、-1)、(1、-1)、(2、-1)、(3、-1)、(4、-1)、(-1、1)、(1、1)、(2、1)、(-1、2)、(1、2)、(-1、3)、(1、3)である。
【0073】
ここで、使用者の顔面を基準とする正方形は、使用者の下顎角(Angle of Mandible)及び頬骨突起(Zygomatic process)を一面とする正方形であり、使用者の顔面を基準とする正方形は、矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)及び縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)を横及び縦とし、前記下顎角(Angle of Mandible)から前記頬骨突起(Zygomatic process)までの縦軸距離を一辺の長さとする。
【0074】
ここで、使用者の顔面を基準とする(x、y)は、使用者の顔面を基準とする正方形の横及び縦を5等分したときの小正方形の位置であり、使用者の頭部の後面から前面に前記xが1、2、3、4、5と指定され、使用者の頭部の上面から下面に前記yが1、2、3、4、5と指定される。
【0075】
使用者の顔面を基準とする正方形の前記使用者の頭部後面部の縦軸を基準に対称になってさらに配置される前記小正方形は、xが負の値と指定され、使用者の顔面を基準とする正方形の前記使用者の頭部上面部の横軸を基準に対称になってさらに配置される前記小正方形は、yが負の値と指定され、使用者の顔面を基準とする正方形の前記使用者の頭部の上面及び後面の頂点を基準に対称になってさらに配置される前記小正方形は、x及びyが負の値と指定される。
【0076】
図6は、使用者の下顎角(Angle of Mandible)及び頬骨突起(Zygomatic process)を一面とする使用者の顔面を基準とする正方形を示し、使用者の顔面を基準とする正方形は、矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)及び縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)を横及び縦とし、前記下顎角(Angle of Mandible)から前記頬骨突起(Zygomatic process)までの縦軸距離を一辺の長さとする。
図6に示す使用者の顔面を基準とする正方形は、横と縦をそれぞれ5等分した小正方形を表示している。
【0077】
図7は、本発明による使用者の顔面を基準とする(x、y)の値を例示する模式図である。
図7で、数字が記載されていない正方形部分は、
図6に表示した使用者の顔面を基準とする正方形と同じ部分である。
図7で、上端の横軸に表示された数字は、使用者の顔面を基準とする(x、y)の値のうちx値を示し、縦軸に表示された数字は、使用者の顔面を基準とする(x、y)の値のうちy値を示す。-1が表示された部分は、x値が-1、y値が-1であり、使用者の顔面を基準とする(x、y)は、(-1、-1)である。横軸に沿って-1、1、2、3、4、5で表示された部分の使用者の顔面を基準とする(x、y)値は、(-1、-1)、(1、-1)、(2、-1)、(3、-1)、(4、-1)、(5、-1)に相当し、縦軸に沿って-1、1、2、3、4、5で表示された部分の使用者の顔面を基準とする(x、y)値は、(-1、-1)、(-1、1)、(-1、2)、(-1、3)、(-1、4)、(-1、5)に相当する。残りの表示されていない部分は、x値とy値とを組み合わせたものである。例えば、
図7で有色部分の使用者の顔面を基準とする(x、y)値は、(3、2)である。
【0078】
前記固定部位の具体的な位置による使用者の不便感及び固定力の明確な基準を提示するために次のような実験を遂行した。
【0079】
<第1実施例:第1-5固定部位の固定力測定>
図6に示す使用者の顔面を基準とする(x、y)のそれぞれの座標に対して使用者が痛みを感じる圧力(PPT)、固定圧力の下で感じる痛み(VAS)を測定した。
【0080】
使用者が痛みを感じる圧力、固定圧力の下で感じる痛みを別に測定したことは、使用者が顔面の位置による筋肉の有無、骨格の位置、皮膚の厚さによって、圧力を高めたとき、固定力は保障されるが使用者が苦痛を感じる可能性があるか、苦痛を大きく感じる可能性がないが固定力を保障することができない場合が発生するからである。
【0081】
図6に示す使用者の顔面を基準とする(x、y)のそれぞれの座標に対して使用者の圧痛閾値(PPT)を測定した。圧痛閾値(Pressure Pain Threshold:PPT)は、痛みに耐えることができる最大圧力値であり、本実験で定義した。
【0082】
図8は、実験を遂行するために使用者の顔面のうち小正方形を含む正方形を人の顔面に実際に適用した例示写真であり、
図9は、PPTを測定するための装置の概略図である。
【0083】
痛みを感じる圧力分布は、痛覚計(Algometer)を用いて該当座標で痛みを感じる圧力(圧痛閾値、PPT)を測定した。対象者の顔面に位置する本発明による使用者の顔面を基準とする(x、y)の値のそれぞれに対応する小正方形領域でPPT装備を用いて圧痛閾値(PPT)を測定した。痛みを感じる圧力の単位は、kg/cm
2である。当該座標に痛みが始まった圧力値を入力し、前記圧力値を相対的色に変換した結果を
図10に示した。
図10の結果は、19人の人員に対して遂行した値の平均値である。
図10、
図11、及び
図12で、上端の表は、
図6に示す使用者の顔面を基準とする(x、y)の位置による測定値であり、下側のグラフで前記測定値を相異なる色で表示したものである。下側グラフの正方形の縦軸に表示された1~5は、使用者の顔面を基準とする(x、y)座標のうちy値に相当するものであり、横軸に表示された1~5は、使用者の顔面を基準とする(x、y)座標のうちx値に相当するものである。
【0084】
固定圧力の下で感じる痛み分布を測定するために、前記小正方形のそれぞれの座標にバネ付き痛覚計(Algometer)を用いて張力を一定に付与した後、対象者の不便程度(Discomfort score;VAS)を調査した。圧力は、1kg/cm
2に固定し、各座標に対して不便程度値を入力し、前記入力値に対する相対的色に変換した結果を
図11に示した。視覚的アナログ尺度(VAS、Visual Analog Scale)は、患者の自覚する痛み程度を、「なし」から「激しい痛み」まで0から10に設定して患者に直接表示する方法であり、痛みに対する評価尺度として使われている指標の一つである。
図11の結果は、19人の人員に対して遂行した値の平均値である。
【0085】
一方、使用者が痛みを感じる圧力、固定圧力の下で感じる痛みに対する実験結果に基づいて新規の痛み指数を導出した。前記新規の痛み指数は、使用者が痛みを感じる圧力(PPT)を固定圧力の下で感じる痛みの値(VAS)で割ったものに100を掛けた値であり、強い圧力に耐えることができながらもより小さい痛みを感じる可能性がある部位を選定するためのものである。小正方形のそれぞれの座標に対して分析した結果を
図12に示した。
【0086】
第1-5固定部位のための本発明の第1実施例では、このように3方法で明確な固定部位を導出することができ、
図10では1.2以上の値、
図11では5.0以上の値、
図12では25以上の値を適用する場合、使用者の不便感を最小化しながら固定力を保障することができると評価された。
【0087】
<第2実施例:第1-6固定部位の固定力測定>
前記のように、第1実施例によって第1-5固定部位を選定した。第1-5固定部位は、使用者の下顎角(Angle of Mandible)及び頬骨突起(Zygomatic process)を一面とする使用者の顔面を基準とする正方形の内部に相当する。
【0088】
本発明による研究を遂行するのに伴い、耳孔の前と顎関節後部との間の空間も固定部位として活用することができることを把握した。本発明による第2実施例では、この部位に対する追加の評価を遂行した。固定部位の範囲を顔面の後方に拡張するにあたり、顎関節を過ぎなければ活用することができることを認知し、これを拡張したものである。これと同様に、固定部位の範囲を顔面の上方に拡張した。
【0089】
図7に示す使用者の顔面を基準とする(x、y)のそれぞれの座標に対して使用者が痛みを感じる圧力(PPT)を測定した。測定方法は、第1実施例と同様である。
【0090】
使用者の圧痛閾値(PPT)を本発明による使用者の顔面を基準とする(x、y)によって測定した理由は、使用者の顔面の位置による筋肉の有無、骨格の位置、皮膚の厚さによって痛み程度が変わることがあるからである。圧痛閾値が高いほど固定力を保障することができる圧力を高めることができるという意味である。
【0091】
痛みを感じる圧力の単位は、kg/cm
2である。該当座標に対する圧痛閾値を記入し、これに対する結果を
図13に示した。
図13の結果は、9人に対して遂行した値の平均値である。
図13の上端には、圧痛閾値(PPT)によって異なる色の基準を示した。1.2未満は、圧痛閾値があまり低くて固定部位として使うのに適しない領域であり、1.4超過は、圧痛閾値が一番高い最適の領域である。
【0092】
<固定力実験>
本発明の実施例1によって導出された部位のうち、特に痛みに比べて固定力が高いと評価される部位5ヶ所を選定し、これに対する固定力を多様な方法で測定した。
【0093】
使用者の顔面を基準とする(x、y)の値である(1、5)、(1、3)、(2、5)、(2、2)、(2、4)をそれぞれ1、2、3、4、5部位と名付け、これらに対する固定力実験を別に遂行した。前記1、2、3、4、5部位に対して、顔面を取り囲みながら小正方形の該当座標のみを圧迫するフレーム形態の半円フレーム(以下「フレーム」という)を製造した後、前記半円フレームが当該座標を圧迫する圧力を変えた後、「アイウエオ」を発声するか(Verbal)、半円フレームを水平に据え置いた後、首を30度に曲げてから戻したとき、水平フレームの原位置維持可否(Flexion)、時速3km/h及び5km/hの歩行によって前記半円フレームが定位置を離脱するか(Walking)を観測した。それぞれに対する実験結果を表1、表2、及び表3に示した。これは、3人に対して実験を遂行した結果の平均値である。
【0094】
図14は、フレームで実際使用者の特定部位に特定の圧力で固定する場合、固定程度を測定するための装置である。装置の弾性力を10g、30g、50gに変えて、使用者の顔面に加わる圧力を変えたことを図式化して付け加えた。
【0095】
表1で、圧力は、前記フレームが使用者に加える弾性力または圧力であり、gが単位である。表1は、発声(Verbal)、屈曲(Flexion)、及び歩行(Walking)の実験でフレームが元の部位に位置するための最小限の圧力を示すものであり、2番及び4番は、低い圧力によっても元の部位に位置することが分かる。
【0096】
【0097】
表2は、発声(Verbal)、屈曲(Flexion)、及び歩行(Walking)
の実験で固定圧力によってフレームが元の部位を離脱した人の数を示す。表1と同様に、2番及び4番では、フレームが離脱しなかった。
【0098】
【0099】
表3は、フレームの移動が発生しなかった区域をフレームが加える圧力によって示した結果である。2番及び4番は、低い圧力によってもフレームが動かないことが分かる。
【0100】
【0101】
前記5個の部位に対してフレームに一定の重さの重りを吊るした後、前記フレームの固定可否を測定した結果を表4に示した。
【0102】
【0103】
表4からも分かるように、2番及び4番は、低い圧力によっても重い重りを固定することができる。前記実験によって2番及び4番の部位が最も優れた固定力を保障することが分かる。
【0104】
<第2固定部位の固定力測定>
本発明による第2固定部位が付加されることによる固定力効果を測定した。
【0105】
図15は、第2固定部位の付加による固定力を測定するために、フレームに第2固定部材を付け加えたものを示す。前記2番及び4番部位にフレームを固定した後、第2固定部材の有無によって、かつ第2固定部材の位置を小鼻を基準に上、中、下に変えて固定力を観測した。
【0106】
図16は、第2固定部材の位置を小鼻を基準に上、中、下にしたものを示す写真である。
【0107】
固定力に対する実験は、フレームのみを持って遂行した場合と同様に、「アイウエオ」を発声する場合(Verbal)、時速3km/h及び5km/hで歩行する場合、前記半円フレームが定部位を離脱するか(Walking)を、フレームに10g、20g、30g、40g、50gの相異なる重りを付け加えながら区分して遂行した。本実験は、3人に対して実験を遂行した結果の平均値である。
【0108】
表2を参照すれば分かるように、フレームの固定力を30gにする場合、第2固定部材の付加有無に関係なく、2番及び4番は、発声(Verbal)、及び歩行(Walking)で固定部位を離脱しなかった。
【0109】
第2固定部材による効果を観測するために、フレームの支持圧力を最小化してフレームの圧力を10g以下に減らして観測した。この場合、2番及び4番部位でも最小限の重りである10gを支持することができない。下記の表5は、これによる実験結果である。重りの重さと第2固定部材の位置とによってフレームが元の位置を離脱しない場合に○で表示した。
【0110】
【0111】
表5を参照すると、第2固定部材がないフレームの場合、2番及び4番は、いずれも定部位を離脱したことが現れた。第2固定部材もその位置によって元の位置から離脱する程度が異なり、小鼻を中心に下に位置する場合、最も強い固定力を保障することが観測された。
【0112】
図17~
図22は、本発明による顔面に固定される装置において固定部位及び当該固定部位を圧迫する固定部材の多様な例を示す。
【0113】
図17~
図22で灰色領域で表示した部分は、固定部材が使用者の顔面と直接的に対面して密着可能な部位を示し、黒色実線は、固定部材を例示するものであり、弾性素材から構成されたフレームの多様な実施例を示す。前記フレームは、前記灰色領域で表示された部位上にもフレームが屈曲してフレーム自体が顔面を直接圧迫することができる。図面には、フレームが線のみで表記されているが、これを弾性を有する面に変更することは容易であるので、これに対する具体的な例示は省略した。また、フレームが屈曲してフレーム自体が顔面を直接圧迫することができる部分も面に変更することができる。
【0114】
図17~
図22では、顔面の片面のみを示しているが、フレームは、顔面を取り囲む形態であるので、図面に示されていない部分にも固定部材が配置される。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、顔面の特定部位に密着することによって顔面に固定される装置を提供することができる。従来のマスクなどを含む装置に比べて、本発明による顔面に固定される装置は、1)脱着及び付着が容易であり、2)脱着及び付着の過程で顔面を含む皮膚との接触を最小化し、3)長時間着用しても皮膚に刺激が少なく、4)耳を含む他の筋骨格系の痛みなどの不便さを最小化し、5)押圧する部位を明確に特定するだけでなく、その領域を最適化して使用者に関係なく一様な固定力を提供することができ、6)本発明で押圧する顔面の特定部位は、前述したように耳に対する物理的力が作用しないので、長時間の着用によるストレス及び集中力弱化の問題がない。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の頭部の前面または後面に位置する本体と、
前記本体と連結され、使用者の第1固定部位のうちの少なくとも一部に密着することによって前記本体を固定する第1固定部材と、
を含む顔面に固定される装置であって、
前記第1固定部位は、使用者の顔面のうち、
1)矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)の移動範囲で見たとき、使用者の茎状突起(Styloid process)を含む位置から使用者の小臼歯(premolar)までを含み、縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)の移動範囲で見たとき、使用者の側頭突起(temporal process)を含む顔面下端部位である第1-1固定部位と、
2)矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)の移動範囲で見たとき、使用者の耳下腺(parotid gland)を含む位置から使用者の咀嚼筋(muscles of mastication)の翼状突起(medial pterygoid)の二筋のうち前側繊維が位置する部位を除いた部位までであり、縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)の移動範囲で見たとき、使用者の側頭突起(temporal process)を含む顔面下端部位である第1-2固定部位と、
3)矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)の移動範囲で見たとき、使用者の茎状突起(Styloid process)を含む位置から使用者の咀嚼筋(muscles of mastication)の咬筋(masseter muscle)までを含み、縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)の移動範囲で見たとき、使用者の側頭突起(temporal process)を含む顔面下端部位であり、前記咬筋(masseter muscle)から最も突出した筋腹部(muscle belly)を除いた部位である第1-3固定部位と、
4)矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)の移動範囲で見たとき、使用者の耳珠(tragus)の前端部から使用者の大頬骨筋(zygomaticus major)の後面部を圧迫しない部位までを含み、縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)の移動範囲で見たとき、使用者の側頭突起(temporal process)を含む顔面下端部位である第1-4固定部位と、
5)使用者の顔面を基準とする正方形の内部である第1-5固定部位であって、使用者の顔面を基準とする正方形は、使用者の下顎角(Angle of Mandible)及び頬骨突起(Zygomatic process)を一面とする正方形であり、使用者の顔面を基準とする正方形は、矢状軸(sagittal or anteroposterior axis)及び縦軸(longitudinal or craniocaudal axis)を横及び縦とし、前記下顎角(Angle of Mandible)から前記頬骨突起(Zygomatic process)までの縦軸距離を一辺の長さとする第1-5固定部位と、
6)使用者の顔面を基準とする(x、y)の値が、(-1、-1)、(1、-1)、(2、-1)、(3、-1)、(4、-1)、(-1、1)、(1、1)、(2、1)、(3、1)、(4、1)、(5、1)、(-1、2)、(1、2)、(2、2)、(3、2)、(-1、3)、(1、3)、(2、3)、(-1、4)、(1、4)、(-1、5)、(1、5)、(2、5)である第1-6固定部位と、
のうちの少なくとも一つ以上を含み、
ここで、使用者の顔面を基準とする(x、y)は、使用者の顔面を基準とする正方形の横及び縦を5等分したときの小正方形の座標を基準に選定したものであり、前記5等分は、使用者の頭部の後面から前面に前記xが1、2、3、4、5と指定され、使用者の頭部の上面から下面に前記yが1、2、3、4、5と指定され、使用者の顔面を基準とする正方形の前記使用者の頭部の後面部縦軸を基準に対称になってさらに配置される前記小正方形は、xが負の値と指定され、使用者の顔面を基準とする正方形の前記使用者の頭部の上面部横軸を基準に対称になってさらに配置される前記小正方形は、yが負の値と指定され、使用者の顔面を基準とする正方形の前記使用者の頭部の上面及び後面の頂点を基準に対称になってさらに配置される前記小正方形は、x及びyが負の値と指定される、顔面に固定される装置。
【請求項2】
前記本体と連結され、使用者の第2固定部位のうちの少なくとも一部に密着することによって前記本体を固定する第2固定部材を含み、
前記第2固定部位は、使用者の鼻唇溝(nasolabial fold)領域、使用者の上唇挙筋(levator labii superioris)または上唇鼻翼挙筋(levator labii superiorisalaequenasi)、及び使用者の小鼻(alar crease)の外周部のうちの少なくとも一つ以上を含む、請求項1に記載の顔面に固定される装置。
【請求項3】
前記第2固定部位は、使用者の小鼻(alar crease)の外周部を含む、
請求項2に記載の顔面に固定される装置。
【請求項4】
前記第1固定部位から、茎状突起、小臼歯、側頭突起が除かれる、請求項1に記載の顔面に固定される装置。
【請求項5】
前記第1固定部位及び/または前記第2固定部位の他に、前記使用者の顔面の他の部位である更なる固定部位に密着することによって前記本体を固定する追加固定部材を含む、
請求項2に記載の顔面に固定される装置。
【請求項6】
前記本体と前記第1固定部材とを連結する第1連結部、及び前記本体と前記第2固定部材とを連結する第2連結部を含む、
請求項2に記載の顔面に固定される装置。
【請求項7】
前記第1連結部及び/または前記第2連結部の長さが調節される、
請求項6に記載の顔面に固定される装置。
【請求項8】
前記第1連結部及び/または前記第2連結部は、弾性を有する、
請求項6に記載の顔面に固定される装置。
【請求項9】
鼻、顎、耳、乳様骨(mastoid bone)、首後部、及び頭部の頭頂骨(parietal bone)または後頭骨(occipital bone)のうちの少なくとも一つ以上に位置する補助固定部位に固定されることによって前記本体を固定する補助固定部材を含む、
請求項1または2に記載の顔面に固定される装置。
【請求項10】
前記本体は、マスク、帽子、ヘルメット、携帯用音響機器、メガネまたはゴーグル、眼帯、VR機器、顎補助装置、及び顔面美容帯のうちので少なくとも一つ以上である、
請求項1または2に記載の顔面に固定される装置。
【請求項11】
前記第1固定部位及び/または前記第2固定部位に密着することによって前記本体を固定することは、
1)前記第1固定部材及び/または前記第2固定部材がそれぞれ使用者の前記第1固定部位のうちの少なくとも一部及び/または前記第2固定部位のうちの少なくとも一部を圧迫して固定するか、
2)前記第1固定部位のうちの少なくとも一部及び/または前記第2固定部位のうちの少なくとも一部に別途の固定パッチを付着した後、前記固定パッチ及び前記第1固定部位のうちの少なくとも一部及び/または前記第2固定部位のうちの少なくとも一部をベルクロ(登録商標)テープ、磁力、フック、接着、圧迫、ボタン、結合突起、クリップ、留め具、スライダー、スノーボード靴用バインディング、ケーブルタイ、レール、ボタン、ドッキング、ボルト及びナット、及び紐のうちの少なくとも一つ以上によって固定する、
請求項2に記載の顔面に固定される装置。
【請求項12】
前記第1固定部材及び/または前記第2固定部材がそれぞれ使用者の前記第1固定部位及び/または前記第2固定部位を圧迫する圧力は、40kPa以下である、
請求項11に記載の顔面に固定される装置。
【請求項13】
前記第1固定部材及び/または第2固定部材は、人体に電気刺激を伝達することができる素材または電気刺激を発生することができる素材を含む、
請求項2に記載の顔面に固定される装置。
【請求項14】
前記本体の重さは、1kg以下である、
請求項1または2に記載の顔面に固定される装置。
【請求項15】
請求項1または2に記載の顔面に固定される装置を使用者の頭部に固定する、方法。
【国際調査報告】