(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-03
(54)【発明の名称】インサイドアウトコンパクト傘
(51)【国際特許分類】
A45B 19/10 20060101AFI20230224BHJP
A45B 25/06 20060101ALI20230224BHJP
A45B 25/02 20060101ALI20230224BHJP
【FI】
A45B19/10 A
A45B25/06 B
A45B25/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539742
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(85)【翻訳文提出日】2022-07-11
(86)【国際出願番号】 EP2021050306
(87)【国際公開番号】W WO2021136850
(87)【国際公開日】2021-07-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515084591
【氏名又は名称】ジェナン,カジム
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】ジェナン,カジム
【テーマコード(参考)】
3B104
【Fターム(参考)】
3B104AA06
3B104AA07
3B104AA10
3B104GA02
3B104KA03
3B104LA04
3B104QB01
(57)【要約】
折り畳む際に、残存した水を含む天蓋の濡れた側同士が折り畳まれ、天蓋を巻き付けて閉じる際にユーザが乾いた側を取り扱うことができるようにした折り畳み傘を生み出そうとする試みは以前からある。これは、天蓋上に残存した水の床への落下やユーザが濡れるのを防ぐ。また、設計も、ユーザから離れてフレームの折り畳みを容易にし、戸口の狭い隙間のような小さな空間でも傘を閉じることができるようになっている。本発明は、従来の一段折り畳み傘と同程度に傘のサイズ及び重量を維持しつつ、所期の目的を達成する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.シャフト(10、110、410、610、810、1810)と、
b.天蓋(125、1841)と、
c.前記シャフトに沿って位置して連結及び切り離し特性を有し、張りカップリング及びアンカップリング機構を制御するように構成された第1の又はトップスライダ(11、111、311、411、611、811、1811)、第2のスライダ(12、112、312、412、612、812、1812)及び第3のスライダ(13、113、313、413、613、813、1813)と、
d.複数の第1のスポーク(18、118、218、718、818、1818)、第2のスポーク(19、119、219、419,719、819、1819)、張りスポーク(20、120、220、720、820、1820)及びトップ支持スポーク(21、121、721、821、1821)を含むフレームと、を備え、
e.各々の前記第1及び第2のスポークは、第1のスライド接続(23、123、823、1823)により共に接続され、前記第1のスポークは、前記天蓋を支持し、前記第2のスポークは、対応する前記第1のスポークを支持し、前記第1のスライド接続は、該第1のスライド接続を通って前記第1のスポークが伸長するように構成され、
f.前記第2のスポーク上に位置する第2のスライド接続(24、124、724、824、1824)は、前記シャフト上の前記第1の又はトップスライダにより支持されてリンク機構に接続された対応する前記トップ支持スポークに接続され、前記リンク機構は、対応する前記第1のスポークの位置を制御するように構成された対応する前記張りスポークの移動を作動させるように構成され、
g.作動機構は、対応する前記トップ支持スポークに対する前記第2のスポーク及び該第2のスポーク上に位置する第2のスライド接続の旋回により作動されるように構成され、前記トップ支持スポークは、一端において前記シャフト上の第1の又はトップスライダにより支持され、他端において前記第2のスポーク上に位置する第2のスライド接続に接続されていることを特徴とするインサイドアウト折り畳み傘。
【請求項2】
前記シャフトは、伸縮自在となっていることを特徴とする請求項1に記載のインサイドアウト折り畳み傘。
【請求項3】
前記シャフトは、1つの部材から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインサイドアウト折り畳み傘。
【請求項4】
前記第1の又はトップスライダの移動を制御するように構成された第4の又は底部スライダが設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のインサイドアウト折り畳み傘。
【請求項5】
前記フレーム及び天蓋を閉じて適所に該フレームを内含及びロックするために、前記シャフトに向かって上方に旋回するように構成された旋回コンポーネント(332、432)を有するフレーム閉じ機構を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のインサイドアウト折り畳み傘。
【請求項6】
前記旋回コンポーネントが旋回して前記シャフトに向かって閉じたときに、前記天蓋が前記フレーム及びシャフトの周りに巻き付くように前記旋回コンポーネントに取り付けられた環状コンポーネントを有する天蓋巻き付け機構を更に備えたことを特徴とする請求項5に記載のインサイドアウト折り畳み傘。
【請求項7】
ツーピース伸縮スペーサ及びバネを有するバネラッチ機構を更に備え、前記ツーピース伸縮スペーサの第1のピースは、前記シャフト上に位置する第1の又はトップスライダに接続されて前記バネの一端を支持し、前記ツーピース伸縮スペーサの第2のピースは、一端にラッチを有して他端において前記バネの他端を支持し、前記バネラッチ機構は、風の力を最小化するために前記フレームを開配置から移動させて平衡位置に戻す復帰バネ力を生み出すように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のインサイドアウト折り畳み傘。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、限定される訳ではないが、傘に関する。傘フレームは、典型的には天蓋(キャノピ)を支持する第1のスポークと、第1のスポークを支持する第2のスポークと、を備え、これらが傘のフレームを作り上げている。
【背景技術】
【0002】
第1のスポークが一続きで互いに折り畳まれる部材から成らない傘は、一般的にスティック傘として知られる。この場合、第1のスポークの一端は、シャフトに沿って上下に移動するランナにより支持され、他端は、天蓋の外端により支持される。第2のスポークは、一端においてシャフトに沿って上下に移動するランナにより支持され、他端において旋回(ピボット)機構により第1のスポークを支持している。
【0003】
第1のスポークが旋回様機構により接続された複数の部材から成り、シャフト上のスライダから天蓋の外端まで一続きになっていない傘は、畳み込み、コンパクト又は折り畳み傘として知られる。このような傘を利用する主な目的は、閉配置において傘を短くするためである。
【0004】
フレームを完全にインサイドアウト(裏返し)にするインサイドアウトスティック傘は、欧州特許出願No.13774769.7においてJenan Kazimにより発明されている。この傘では、第1のスポークが、一続きのスポークとして入れ子状に伸縮可能となっている。
【0005】
同じ発明者による本発明は、特に折り畳み傘に適用可能である。しかしながら、第1及び第2のスポーク間の従来の旋回様機構とは対照的に、本発明では、第1のスポークの最外セグメントが第2のスポークに対してスライドオーバー又は近接するようなスライド機構が用いられている。そのため、閉配置における第1のスポークの長さが、開配置における同長さよりもずっと短い。開配置における第1のスポークの長さとは、天蓋を支持するシャフト上のスライダから第1のスポークの先端により支持される天蓋の外端までの円弧長である。
【0006】
この革新的機構の利点は、天蓋の濡れた側が天蓋の内方に閉じ込められ、天蓋の外側が触っても乾いていることである。
【0007】
閉配置において、第1のスポーク部分が第2のスポークに包囲又は隣接しているので、フレームは、ずっと簡単に包囲及び保護される。これに対して、第1のスポークセグメントが旋回して第2のスポークの外側に出ている従来の傘では、フレームがすぐにダメージを受けたり他人に突き刺さることがある。
【0008】
ここで提示される革新的な傘は、従来の傘より風に対してもより良いパフォーマンスを見せる。第1のスポークがシャフトに対してスライドすることができるので天蓋が変形可能となり、風に応じて風に曝された天蓋の形が変化する。また、本発明で提示される傘の構成は、閉配置におけるフレーム及びシャフト周りへの天蓋生地の自動巻き付けを容易にする。
【0009】
折り畳む際に、残存した水を含む天蓋の濡れた側同士が折り畳まれ、天蓋を巻き付けて閉じる際にユーザが乾いた側を取り扱うことができるようにした折り畳み傘を生み出そうとする試みは以前からある。これは、天蓋上に残存した水の床への落下やユーザが濡れるのを防ぐ。また、設計も、ユーザから離れてフレームの折り畳みを容易にし、戸口の狭い隙間のような小さな空間でも傘を閉じることができるようになっている。
【0010】
本発明は、従来の一段折り畳み傘と同程度に傘のサイズ及び重量を維持しつつ、所期の目的を達成する。この革新的な傘を開くためにユーザは、ラッチを開放するためにボタンを押し、スライドがラッチされて傘が完全に開配置となるまでシャフトに沿ってスライダを上に押し、傘を閉じるためにユーザは、ボタンを押し、フレームが閉配置に旋回するまでスライダをハンドルの方に移動させる。これらの操作は、ユーザが従来の折り畳み型の傘を開け閉めするやり方と同一である。これは、第1のスポークの旋回及び天蓋の必要な張りを達成するために、シャフトに沿ったスライド移動の革新カップリング及びアンカップリングにより実現される。また、本発明は、開配置において天蓋に必要な張りを与え、且つ閉配置においてフレームのコンパクトな閉じを達成するために、スライダ間に伸縮可能なスペーサを独自に用いる。閉じ込めた水が漏出する可能性を最小化するために、可能な限り天蓋のコンパクトな閉じを達成することは重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来の傘では、閉配置においてハンドルに近い底部に天蓋の端部があり、天蓋の濡れた側が外側にある。従来の傘を開くためには、第1のスポークに取り付けられた天蓋の対角方向の端部が天蓋の直径だけ離れるまで、天蓋の端部を支持する第1のスポークの先端をシャフトから離れるように上方へ旋回させてフレームを拡げる。これは、天蓋の移動及び天蓋を張るフレームの更なる移動を抑制する。
【0012】
このような傘では、閉配置において天蓋がインサイドアウトとなった反転折り畳みは明らかに不可能である。反転折り畳みの場合、天蓋の端部を支持する第1のスポークの先端は、ハンドルから遠いシャフトの上端に位置する。閉配置から開かれる場合、第1のスポークの先端が天蓋端部間の直径だけ離れるまで、天蓋の端部を支持する第1のスポークの先端が、ハンドルから遠いシャフトの端部においてシャフトから離れるように旋回する。この場合、天蓋の端部は第1のスポークを抑え、第1のスポークがそれ以上に旋回できないようにすることでフレームの開きを抑える。そして、天蓋は、上下反転した錐形状となる。これは、天蓋に取り付けられた第1のスポーク先端の適切位置において、天蓋の張りと第1のスポークの旋回との連結及び切り離しを必要とする基本的な問題である。
【0013】
この特性は、従来の傘の一般的な外観及びサイズを持つ反転折り畳み傘の作用に必須である。今までに反転折り畳み傘を革新しようとする多くの試みがあったが、それらはすべて、開及び閉操作の間の天蓋張りの制御及び天蓋直径の制御を実現することができなかったため、本発明に沿った目的を達成するのに失敗している。今回の革新は、コンパクト型反転折り畳み傘のこれら課題を実質的に解決するにあたり、目的を提供し、基本的な課題を明確にし、解決法及びアプローチを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の態様によれば、以下のようなインサイドアウト折り畳み傘が与えられる。
a.シャフトと、
b.天蓋と、
c.前記シャフトに沿って位置して連結及び切り離し特性を有し、張りカップリング及びアンカップリング機構を制御するように構成された第1の又はトップスライダ、第2のスライダ及び第3のスライダと、
d.複数の第1のスポーク、第2のスポーク、張りスポーク及びトップ支持スポークを含むフレームと、を備え、
e.各々の前記第1及び第2のスポークは、第1のスライド接続により共に接続され、前記第1のスポークは、前記天蓋を支持し、前記第2のスポークは、対応する前記第1のスポークを支持し、前記第1のスライド接続は、該第1のスライド接続を通って前記第1のスポークが伸長するように構成され、
f.前記第2のスポーク上に位置する第2のスライド接続は、前記シャフト上の前記第1の又はトップスライダにより支持されてリンク機構に接続された対応する前記トップ支持スポークに接続され、前記リンク機構は、対応する前記第1のスポークの位置を制御するように構成された対応する前記張りスポークの移動を作動させるように構成され、
g.作動機構は、対応する前記トップ支持スポークに対する前記第2のスポーク及び該第2のスポーク上に位置する第2のスライド接続の旋回により作動されるように構成され、前記トップ支持スポークは、一端において前記シャフト上の第1の又はトップスライダにより支持され、他端において前記第2のスポーク上に位置する第2のスライド接続に接続されている。
【0015】
1つの選択肢において、前記シャフトは、伸縮自在となっている。
【0016】
もう1つの選択肢において、前記シャフトは、1つの部材から形成されている。
【0017】
オプションとして、前記第1の又はトップスライダの移動を制御するように構成された第4の又は底部スライダが設けられる。第4の又は底部スライダは、第1の又はトップスライダの移動が第4の又は底部スライダにより制御される場合のみ必要とされる。それ以外の場合には、3つのスライダだけが、張りカップリング及びアンカップリング機構を制御するのに必要とされる。
【0018】
オプションとして、本インサイドアウト折り畳み傘は、前記フレーム及び天蓋を閉じて適所に該フレームを内含及びロックするために、前記シャフトに向かって上方に旋回するように構成された旋回コンポーネントを有するフレーム閉じ機構を更に備える。
【0019】
オプションとして、本インサイドアウト折り畳み傘は、前記旋回コンポーネントが旋回して前記シャフトに向かって閉じたときに、前記天蓋が前記フレーム及びシャフトの周りに巻き付くように前記旋回コンポーネントに取り付けられた環状コンポーネントを有する天蓋巻き付け機構を更に備える。
【0020】
オプションとして、本インサイドアウト折り畳み傘は、ツーピース伸縮スペーサ及びバネを有するバネラッチ機構を更に備え、前記ツーピース伸縮スペーサの第1のピースは、前記シャフト上に位置する第1の又はトップスライダに接続されて前記バネの一端を支持し、前記ツーピース伸縮スペーサの第2のピースは、一端にラッチを有して他端において前記バネの他端を支持し、前記バネラッチ機構は、風の力を最小化するために前記フレームを開配置から移動させて平衡位置に戻す復帰バネ力を生み出すように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明は、以下の図面を参照しながら記載される。
【
図1】シャフトに沿ったスライダ構成のオプションの1つを示す図で、図のシャフトは1つの部材として示されているが伸縮自在であってもよい。
【
図2】
図1とシャフト及びスライダは同一であるが、第1のスポーク、第2のスポーク、張り及び反転機構に関わるスポーク及びリンク機構も示す図。
【
図3】張り及び反転機構に関わるリンク機構の詳細に示す図。
【
図4】傘の開き及び張りの中間段階における第1のスポーク、第2のスポーク、反転及び張り機構を示す図。
【
図5】傘の開き及び張りの最終段階に近い段階における第1のスポーク、第2のスポーク、反転及び張り機構を示す図。
【
図7】
図5に示した張り機構に対する代替案であり、他にも多数ある張り機構の1例を示す図。
【
図8】
図5に示した張り機構に対する別の代替案であり、他にも多数ある張り機構の別の1例を示す図。
【
図9】閉配置におけるフレームの閉じ及び天蓋の巻き付けを達成するのに用いられ得る機構の1つを示す図。
【
図10】閉配置におけるフレームの閉じ及び天蓋の巻き付けを達成するのに用いられ得る機構の別の1つを示す図。
【
図11】閉配置におけるフレームの閉じ及び天蓋の巻き付けを達成する代替法を示す図。
【
図12】閉配置におけるフレームの閉じ及び天蓋の巻き付けを達成する別の代替法を示す図。
【
図13】閉じプロセスにおける天蓋の典型的な形状及びシャフト周りへの天蓋フラップの巻き付けを容易にする機構を示す図。
【
図14】シャフトに沿って第1の支持スライダを移動させることで天蓋を支持する第1のスポークを引き戻すバネ機構を示す図。
【
図15】張り機構に対する更に別の代替案を示す図。
【
図18】開配置におけるフレーム上への天蓋の配置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本態様及び実施形態は、本発明を実用化するにあたって出願人にとって現時点で最良と思われる方法で示されている。しかしながら、これらは、本発明が実現され得る唯一の方法ではない。本態様及び実施形態は、図面を参照して示され、単に例示のためだけに記載される。
【0023】
図1及び
図2は、一緒に参照すべきである。明確性のため、符号はこれら2つの図に示されている。
図1は、シャフト10に沿って移動可能で伸縮可能又は伸縮不能なスライダを示している。この例では、スライダ14、11が、アウターシャフト15により互いに接続されている。これは、トップスライダ11の位置が固定されていない場合に必要とされ得る。本例では、スライダ13、14が、シャフトに沿った各々の相対位置に依存して、互いを連結又は切り離す連結機構を有する。天蓋を開くためにスライダ11がシャフトの頂部に位置するエンドストップに達するまで、スライダ13、14が、各々の開始位置からシャフトに沿って上方に押し上げられる。スライダ12、13もまた、天蓋のインサイドアウト反転を容易にするため、天蓋の張り及び折り畳みフレームの閉じを容易にするため、そして、フレーム及びシャフト周りへの天蓋の巻き付けを容易にするために連結又は切り離される。第2のスポーク19は、スライド旋回サポート23を介して第1のスポーク18を支持し、第1のスポーク18は、スライド旋回サポート23を通ってスライドする。また、第2のスポーク19は、第2のスポーク19に沿ってスライド自在なスライド接続24を介してフレームの残りの部分に接続されている。このような独自な配置により、フレームが伸長して天蓋に張りを与え、第2のスポーク19に沿って第1のスポーク18をスライドさせることでスライダ13に近接したスポーク19の底部まで天蓋を支持するスポーク20、18を旋回会合させてコンパクトな配置でフレームを閉じることができる。これにより、閉配置でのサイズを最小化するようにフレームをコンパクト化して、閉じかけの車のドアのような狭い空間でもフレームを引くことができる。コンパクト化したフレームは、しっかりと天蓋を保持し、天蓋から水がこぼれる危険を最小化する。スライダ12に対するスライダ13の相対移動は、スポーク18、19の旋回を容易にし、スライダ12、11の相対移動は、天蓋の張り又は張りの解消を容易にする。第1のスポーク18に対して旋回可能に接続されたスポーク20や支持スポーク18に対してスライドサポート24を介して旋回可能に接続されたスポーク21を移動させる内部フレーム構造には、いくつかの異なる様式がある。これらの様式について、図面を参照しながら以下で説明する。
【0024】
図2は、フレームの主なスポークを示している。スポーク18、20は、天蓋を支持すると共に天蓋を張る。第2のスポーク19は、第1のスポーク18を支持する。スポーク21は、開配置及び閉配置への第2のスポーク19の旋回を容易にする。スポーク22は、開配置及び閉配置へとスポーク21を旋回させる。スライダ11、12、13の互いの移動は、天蓋のインサイドアウト反転、フレームの開き、天蓋の張り、天蓋の張りの解消、天蓋の濡れた側である天蓋外側を内方に反転させてフレーム及びシャフト周りへの巻き付けのために天蓋の乾いた側を外側にするのを容易にする。
【0025】
図3、
図4及び
図5は、一緒に参照すべきである。明確性のため、符号はこれら3つの図に示されている。
図3は、明確性のために
図4に示した部分の拡大視である。本発明独自の特徴は、第1のスポーク118が、第2のスポーク119に取り付けられたコネクタ123を通ってスライド可能となっていることである。コネクタ123は、スポーク118、119の移動面において旋回することができる。また、本発明は、第2のスポーク119に沿って移動可能なスライドコネクタ124を独自に備える。このスライドコネクタ124は、スポーク119と121及びスポーク119と127を接続する。フレームが閉配置の場合、スライダ113は、ハンドルに近い位置でシャフトにラッチされる。ラッチが解除され、スライダ113がハンドルから離れるようにシャフトに沿って押し上げられると、スライダ113と
図1に示したスライダ14とは互いに連結されているので、スライダ14は一緒に引っ張られる。トップスライダ111とスライダ14とはコネクタ15により互いに接続されているので、スライダ14の移動は、シャフトに沿ってトップスライダ111を持ち上げる。スライダ111がシャフト頂部近くのストッパに達すると、スライダ14、113の連結が外れて、スライダ113がスライダ112に向かってシャフトに沿って上方に移動する。この移動は、第1のスポーク118も旋回させるスポーク121に対する第2のスポーク119の旋回を容易にし、第1のスポーク118の先端がシャフトに対して直角に近くなる又は超える。第1のスポーク118の先端は、天蓋125の周縁と接続されている。
【0026】
スポーク119、121間の相対旋回もコネクタ124を引っ張り、これは次いでスポーク121、120間のリンク128を引っ張る。本例では、スポーク120がコネクタ126を通ってスライドする。リンク128は、スポーク121に取り付けられ、スポーク121に対してフレームの開く面において旋回可能となっている。この旋回は、スポーク121から離れるようにスポーク120を持ち上げ、スポーク120は、第1のスポーク118も持ち上げる。スポーク120、121の長さは、必要とされる曲率に天蓋125を十分に伸ばすように選択される。
【0027】
この段階ではスライダ112と連結されたスライダ113をスライダ111に向かって押し上げると、開配置において天蓋が張る。バネ129は、スポーク122に向かうスポーク121の自動旋回を促進し、第2のスポーク119に沿ってシャフトの方にスライドコネクタ124を引っ張ることで自動閉じ機構を容易にする。フレームを閉じるためには、スライダ112、113が、シャフトに沿ってハンドルに向かって下方に引かれる。この移動は、フレームの閉じ機構及びシャフトに向かった第1のスポークの内方への引っ張りを開始し、天蓋の乾いた面が外を向くようにフレームの直角配置をひっくり返す(インサイドアウトとも言われる)。フレーム及び天蓋がこの段階を過ぎると、スライダ112、113は切り離される。この段階でスライダ14の方に更に移動したスライダ113は、シャフトにラッチされる。この移動は、シャフトに向かって第2のスポーク119及び第1のスポーク118を旋回させ、フレームを閉じる。スライダ113は、更に移動することでスライダ14と連結されてスライダ14をシャフトから解離させ、天蓋の乾いた側を外側にして濡れた側を内方に閉じ込めた状態で天蓋及びフレームを閉配置とする。
【0028】
連結システムについてはいくつかの様式が達成可能で、更なる可能性が
図6、
図7、
図8及び
図15の例により示される。
【0029】
図6は、
図5と同一であり、連結システムを構成する他の2つの様式を示す
図7及び
図8との比較のために示されている。
図7では、スポーク220が2つの部材220、220aに分かれている。これら2つの部材は、フレーム面において互いに対して旋回できるように接続されている。スポーク220は、コネクタ232を通ってスライドせず、コネクタ232は、スポーク220に対してリンク128を旋回させる。リンク128は、他端において
図3で説明したものと同一である。リンク128は、スポーク121に取り付けられてスポーク121に対して旋回し、スポーク220、220aを持ち上げる。このオプションでは、スポーク220aが閉配置から開配置に旋回したときにスポーク220、218間の接続を更に持ち上げるように、スポーク220aの長さが調整されている。
図8には、スポーク220を1つの部材として、コネクタ231を通ってスポーク121がスライドするようにコネクタ231をスライド型とすることで、
図7と同一の目的を達成する別のオプションが示されている。
【0030】
図9は、フレームの完全な閉じ並びにフレーム及びシャフト周りへの天蓋の巻き付けを補助する機構を示す。このオプションでは、スライダ312、313が切り離され、スライダ312がフレーム又はシャフト上の障害物によりハンドルに向かって下方にスライドできないようになっており、スライダ313がユーザによって引かれてシャフトに沿って移動する。閉じ/巻き付けフレームは、コネクタ333により331で支持された旋回コンポーネント332から成り、旋回コンポーネント332は、コネクタ333を通ってスライドする。スライダ313がスライダ312から離れて下方に移動すると、旋回コンポーネント332が331によりシャフトの方に引っ張られて上方に旋回する。旋回コンポーネント332は、
図13で示すように円弧部538を持ち得る。旋回コンポーネント332がシャフトに向かって上方に旋回すると、傘フレームを形成している第2のスポーク、第1のスポーク及びすべての他の連結部分が、シャフトの方に引っ張られて閉じる。また、フック538も、フレーム及びシャフト周りへの天蓋の巻き付けを容易にする。スライダ313は、可能な限り引っ張られるとシャフト上にラッチされる。これにより、閉配置のままとなる。
【0031】
図10は、部分的に閉配置となった状態での閉じ及び巻き付け機構を示している。また、
図10は、閉じ機構のプロセスを自動で行うようにするバネ334も示している。これは、シャフトに何らかの方法で取り付けられた固定スライダ312に向かってスライダ313が上方に押されたときに、バネにエネルギが蓄えられることで達成される。スライダ313、312が互いに連結されると、スライダ313、312が切り離されてスライダ313が下方に開放されるまで、バネのエネルギは連結されたスライダ313、312によりロックされる。これは、フレームを保持して手で天蓋を巻き付け、天蓋の周りにストラップを巻き付けることで天蓋を閉配置に保つ手動の業界標準法を用いることなく、フレームを閉じて天蓋を巻き付けることで天蓋を閉配置に保つ革新的なプロセスである。
【0032】
図11及び
図12は、
図9及び
図10で例示したものと同じ目的を達成するための異なるオプションを示す。この場合、スライダ412は、スライダ413を通って外方へと伸長した部材436を有する。円弧部435を有する旋回コンポーネント432は、スライダ413に接続されている。スライダ413、412が切り離されてスライダ413が下方に移動すると、旋回コンポーネント432が、スライダ412の一部である部材436に押し付けられる。そうすると、旋回コンポーネント432が、シャフトに向かって上方に旋回し、第2のスポーク419、第1のスポーク418及びすべての付随する接続フレーム部材を閉配置となるようにシャフトに向かって旋回及び押し上げる。旋回コンポーネント432及び
図13に示すように周方向に円弧部538を持ち得る接続部材435の旋回は、フレームを閉配置とすると共に、円弧部538が、フレーム及びシャフト周りに天蓋を巻き付ける。また、閉配置においてスライダ413は、フレームが閉じ天蓋が巻き付けられたままとなるようにシャフトにラッチされる。
【0033】
図13は、閉じかけの天蓋537と巻き付けコンポーネント538を示している。
【0034】
図14は、バネラッチ機構を示している。革新的なのは、天蓋が張った完全な開配置においてスライダ612をラッチすることである。この革新では、ラッチはシャフトに接続されておらず、バネ639に抗してシャフトに沿って下方に移動することができる。天蓋及びフレームが風により上方に押されると、この段階では互いに連結されたスライダ612、613がフレームにより下方に押される。スライダ612、613の下方への移動は、フレーム及び天蓋を内方に後退させ、風に曝される天蓋のサイズを減らすことで風による力を低減する。天蓋形状の変化も、風による力を低減する。スライダは、スライダをその平衡位置に引き戻して開配置へと天蓋を拡げ戻そうとするバネ力に抗して下方に移動する。スライダ612、611間のスペーサは、2つの部材に分かれている。部材640は、ラッチ642を含んでバネの一端に接続され、部材641は、バネの他端を支持するスライダ611の一部である。
【0035】
図15は、フレーム機構に関する別の代替オプションを示している。これは、
図5に示したフレームと同一であるが、コネクタ726を通してスポーク720がスライドしないようになっている。しかしながら、728と721との間の接続である接続726aを通して、721がスライドする。727がスライダ726aを移動させると、スポーク720、721間のリンクは、コネクタ726に位置を変化させ、それを持ち上げることで開配置とし、押し下げることで閉配置とする。
【0036】
図16は、フレーム機構に関する別の代替オプションを示している。この図では、単純なフレーム配置を用いた場合と同一の目的を達成する別のフレーム構成が提示されている。この場合、スポーク1822は、スポーク1821を旋回させることで天蓋を張って開配置とし、スポーク1819に沿ってシャフトに向かってスライド接続1824をスライドさせることでシャフトの方にスポーク1821を旋回させてフレームを閉じる。フレームが閉配置となっている場合、スライド接続1824は、スポーク1819の底端にあり、スライダ1813に近接している。スポーク1822は、スポーク1821及びスライダ1812により旋回可能に支持されている一方、スポーク1821上の旋回接続を超えてスポーク1820にスポーク1822を接続する旋回接続まで伸長している。スポーク1821への旋回接続を超えて伸長したスポーク1822の部分は、1822aでマークされている。この構成は、スポーク1821に対するスポーク1822の角移動に関連してスポーク1820での移動を作動させる。スポーク1821、1820に旋回可能に接続されたスペーサ接続1827は、天蓋を張って天蓋が必要な形を与えるようにスポーク1820が正しい配向となることを保証する。また、スペーサ接続1827は、スポーク1820がスポーク1821に向かって引き戻されるのを保証し、これは結果的に第1のスポーク1818を引き戻し、天蓋に取り付けられた第1のスポークの内端がスライダ1813に近接した位置へと引っ張られた閉配置へとフレームを崩す。閉配置において、すべてのフレームスポークは、シャフトに近接するようにしてコンパクト化される。スライダ1813がスライダ1812の方へ押されると、第2のスポーク1819がシャフトから離れるように旋回し、互いに取り付けられた第1のスポークの先端と天蓋の端部がシャフトから離れるように旋回してフレームが開く。スライダ1813、1812間の初期距離は、スライダ1813、1812が互いに連結されて一緒にシャフトに沿って上方に移動したときに、第1のスポークの先端と天蓋の端部がシャフトから90度以上旋回して天蓋の端部が更なる移動を抑えないことを保証するのに重要である。2つのスライダ1813、1812がシャフトに沿って上方に移動し続けると、スポーク1822が旋回して移動したスポーク1820が第1のスポークを伸長し、スライド接続1823の方に第2のスライダ1813により押されたスライド接続1824は、天蓋を完全に張る。更なる上方への移動は、バネ1811a又は1819a又はその両方により妨げられる。スペーサ1813a、1813bは、スライダ1813に伸縮自在に接続されている。フレーム及び天蓋を閉じるためにスライダ1813をシャフトに沿って下げると、スライダ1812も下方に移動し、フレームが閉配置になったときのスライダ1813、1812間のスペースは、伸縮自在スペーサ1813a、1813bの長さによって定義される。スライダ1812は、スペーサに沿って移動可能であるが、閉配置でスペーサ1813aの上端近傍においてスペーサ1813bにより制限される。組み合わせ又は単独で用いられるバネ1811a、1819aの剛性は、開配置での上向きの力に対するフレーム剛性を定義する。この特性は、傘が開配置において使用されている際に、風によって第1のスポーク及び天蓋がインサイドアウト反転する可能性を最小化するのに用いられる。
【0037】
図17は、フレーム機構に関する別の代替オプションを示している。この図では、単純なフレーム配置を用いた場合と同一の目的を達成する更に別のフレーム構成が提示されている。この構成は、スポーク822がスライダ812とスポーク821との間でだけ旋回可能に接続されてスポーク821を超えて伸長していない点を除いて、
図16に示したフレームと類似している。また、コネクタ827は、スポーク820とスポーク819に沿ってスライド可能なスライダ824とを旋回可能に接続している。この配置は、第1のスポーク818と第2のスポーク819との間の更なる連結を創り出す。この配置は、風の力に対するフレームの反応様式を変化させる。
【0038】
図18は、
図16で提示したフレーム配置に対する天蓋1841を示しているが、他の提示したフレーム配置にも適用可能である。
【国際調査報告】