(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-03
(54)【発明の名称】バイオプリンタノズル、バイオプリンタ及び管腔組織構築物の印刷方法
(51)【国際特許分類】
B05B 1/14 20060101AFI20230224BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20230224BHJP
B29C 64/295 20170101ALI20230224BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20230224BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20230224BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20230224BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20230224BHJP
B29C 64/245 20170101ALI20230224BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20230224BHJP
B05C 7/02 20060101ALI20230224BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20230224BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20230224BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20230224BHJP
B05D 7/22 20060101ALI20230224BHJP
A61F 2/06 20130101ALI20230224BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20230224BHJP
【FI】
B05B1/14 Z
B33Y30/00
B29C64/295
B29C64/106
B33Y10/00
B29C64/393
B33Y50/02
B29C64/245
B05C11/10
B05C7/02
B05D7/24 301M
B05D7/24 301P
B05D1/26 Z
B05D3/00 B
B05D3/00 D
B05D7/22 A
B05D3/00 C
A61F2/06
B29C64/209
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540446
(86)(22)【出願日】2020-12-29
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 CN2020141029
(87)【国際公開番号】W WO2021136297
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】201911389611.9
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517342925
【氏名又は名称】レボテック カンパニー,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】ツオ シアオ
(72)【発明者】
【氏名】ホー チュンシュアン
(72)【発明者】
【氏名】リー イーチュン
(72)【発明者】
【氏名】シアン チエ
(72)【発明者】
【氏名】シュイ ツーチン
(72)【発明者】
【氏名】チアン チー
【テーマコード(参考)】
4C097
4D075
4F033
4F042
4F213
【Fターム(参考)】
4C097AA15
4C097BB01
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4C097MM06
4D075AC06
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4D075EA35
4F033AA02
4F033BA03
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4F213AH63
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4F213WL02
4F213WL22
4F213WL32
4F213WL74
(57)【要約】
本開示は、バイオプリンタノズル、バイオプリンタ、及び管腔組織構築物の印刷方法を提供する。バイオプリンタノズルは、バイオプリンタノズルの内部に配置されたバイオインク流路と、バイオインク流路と連通し、前記バイオプリンタノズルの吐出端部の側部に位置するバイオインク吐出口と、バイオプリンタノズルの内部に配置され、バイオインク流路から隔離された医療用接着剤の流路と、医療用接着剤の流路と連通し、吐出端部の側部に位置する医療用接着剤の吐出口とを備え、医療用接着剤の吐出口とバイオインク吐出口とは、前記バイオプリンタノズルの軸線方向に沿って相対移動が可能な状態に配置されている。バイオプリンタは、バイオプリンタノズルを含む。管腔組織構築物の印刷方法は、バイオプリンタを用いて印刷を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオプリンタノズルであって、
前記バイオプリンタノズルの内部に配置されたバイオインク流路(P1)と、
前記バイオインク流路(P1)と連通し、前記バイオプリンタノズルの吐出端部の側部に位置するバイオインク吐出口(J1)と、
前記バイオプリンタノズルの内部に配置され、前記バイオインク流路(P1)から隔離された医療用接着剤の流路(P2)と、
前記医療用接着剤の流路(P2)と連通し、前記吐出端部の側部に位置する医療用接着剤の吐出口(J2)とを備え、
前記医療用接着剤の吐出口(J2)と前記バイオインク吐出口(J1)とは、前記バイオプリンタノズルの軸線方向に沿って相対移動が可能な状態に配置されている
バイオプリンタノズル。
【請求項2】
前記バイオインク吐出口(J1)は、前記バイオプリンタノズルの軸線方向に沿って、前記医療用接着剤の吐出口(J2)よりも吐出端部の上面に近い位置にある、請求項1に記載のバイオプリンタノズル。
【請求項3】
前記バイオプリンタノズルは、前記バイオプリンタノズルの円周に沿って均等に分布した複数のバイオインク吐出口(J1)を備え、及び/又は、
前記バイオプリンタノズルは、前記バイオプリンタノズルの円周に沿って均等に分布する複数の医療用接着剤の吐出口(J2)を備えるか、又は前記医療用接着剤の吐出口(J2)は、前記バイオプリンタノズルの軸線方向の周囲に配置された環状口を備える、
請求項1又は2に記載のバイオプリンタノズル。
【請求項4】
バイオプリンタノズルの側部に配置された医療用接着剤の掻き取り部(M)を備え、前記医療用接着剤の掻き取り部(M)は、前記バイオプリンタノズルの軸線方向に沿って、前記バイオインク吐出口(J1)と前記医療用接着剤の吐出口(J2)との間に配置される、請求項1~3のうちいずれか一項に記載のバイオプリンタノズル。
【請求項5】
前記医療用接着剤の掻き取り部(M)は、前記バイオプリンタノズルの側部に配置された環状突起又はブラシヘッドを備える、請求項4に記載のバイオプリンタノズル。
【請求項6】
前記バイオインク吐出口(J1)が配置されたバイオインクノズル本体と、
前記バイオインクノズル本体の外周に配置された医療用接着剤ノズル本体とを備え、
前記医療用接着剤の吐出口(J2)は、前記医療用接着剤ノズル本体上に配置されているか、又は前記バイオインクノズル本体と前記医療用接着剤ノズル本体との間に配置されている、
請求項1~5のうちいずれか一項に記載のバイオプリンタノズル。
【請求項7】
前記バイオインク流路(P1)は、前記バイオインクノズル本体内に配置され、
前記医療用接着剤の流路(P2)は、前記医療用接着剤ノズル本体と前記バイオインクノズル本体との間に配置される、
請求項6に記載のバイオプリンタノズル。
【請求項8】
前記バイオプリンタノズルは、前記バイオインクノズル本体と前記医療用接着剤ノズル本体との間に接続された接続フィンを備える、請求項7に記載のバイオプリンタノズル。
【請求項9】
前記バイオインク流路(P1)は、前記バイオインクノズル本体内に配置され、
前記医療用接着剤の流路(P2)は、前記バイオインクノズル本体内に配置され、前記バイオインクノズル本体の側壁は、前記医療用接着剤の流路(P2)と連通する連通口(N)を有し、
前記医療用接着剤の吐出口(J2)は、前記バイオインクノズル本体と前記医療用接着剤ノズル本体の前記吐出端部に近い端部とによって形成される、前記バイオプリンタノズルの軸線方向の周りに配置された環状口を含み、前記連通口(N)は前記環状吐出口と連通している、
請求項6に記載のバイオプリンタノズル。
【請求項10】
ノズル取り付け台をさらに備え、
前記バイオインク流路(P1)は、前記バイオインクノズル本体に配置された第1のバイオインク流路部(P11)と、前記ノズル取り付け台に配置された第2のバイオインク流路部(P12)とを備え、又はバイオインク流路(P1)はノズル取り付け台に配置され、
前記医療用接着剤の流路(P2)は、前記医療用接着剤ノズル本体に配置された第1の医療用接着剤の流路部(P21)と、前記ノズル取り付け台に配置された第2の医療用接着剤の流路部(P22)とを備える、
請求項6に記載のバイオプリンタノズル。
【請求項11】
前記医療用接着剤の流路(P2)は、第1の環状緩衝溝(G)をさらに備え、この緩衝溝を介して、前記第1の医療用接着剤の流路部(P21)は前記第2の医療用接着剤の流路部(P22)と連通している、請求項10に記載のバイオプリンタノズル。
【請求項12】
前記第1の環状緩衝溝(G)は、前記医療用接着剤ノズル本体と前記ノズル取り付け台との間に形成される、請求項11に記載のバイオプリンタノズル。
【請求項13】
前記医療用接着剤の流路(P2)は、前記医療用接着剤の吐出口(J2)と第1の医療用接着剤の流路部(P21)との間に配置された第2の環状緩衝溝(L)を備える、請求項10に記載のバイオプリンタノズル。
【請求項14】
請求項1~13のうちいずれか一項に記載のバイオプリンタノズルを含むバイオプリンタノズル(1001)と、
前記バイオプリンタノズル(1001)と接続され、前記バイオプリンタノズル(1001)の前記バイオインク流路(P1)にバイオインクを供給し、前記医療用接着剤の流路(P2)に医療用接着剤を供給するように構成された供給アセンブリ(1005)と、
管腔組織構築物のための人工管腔を収容するための人工管腔取り付け穴(1014)を含む人工管腔取り付けアセンブリ(1030)とを備え、
前記人工管腔取り付けアセンブリ(1030)は、人工管腔取り付け穴(1014)の軸線方向に沿って前記バイオプリンタノズル(1001)に対して往復動作可能に構成される、
バイオプリンタ。
【請求項15】
前記供給アセンブリ(1005)は、
医療用接着剤を前記医療用接着剤の流路(P2)に供給するように構成された医療用接着剤注入器(1003)と、
バイオインクを前記バイオインク流路(P1)に供給するように構成されたバイオインク注入器(1004)と、
前記医療用接着剤注入器(1003)及び前記バイオインク注入器(1004)を固定するように構成された注入器固定アセンブリと、
前記医療用接着剤注入器(1003)のプランジャと前記バイオインク注入器(1004)のプランジャとに駆動的に接続され、前記2つのプランジャを駆動するように構成された押し出し機構とを備える、
請求項14に記載のバイオプリンタノズル。
【請求項16】
前記押し出し機構は、
プランジャのエンドディスクを配置するためのノッチを備える注入器プランジャ保持タブ(1024)と、
内部にバネ取り付け穴(10294)を有するアセンブリハウジング(10291)と、ガイドポスト(10292)と、バネ(10293)とを備えるプランジャ保持バネアセンブリ(1029)であって、前記ガイドポスト(10292)は前記アセンブリハウジング(10291)を移動可能に通り、前記ガイドポスト(10292)の中間部分は前記バネ取り付け穴(10294)に設けられ、前記ガイドポスト(10292)の第1の端部は前記注入器プランジャ保持タブ(1024)と接続され、前記ガイドポスト(10292)の中間部は半径方向外側に面する突出部を有し、前記バネ(10293)は前記ガイドポスト(10292)の外周にスリーブされ且つ前記ガイドポスト(10292)の前記第1の端部に近い前記バネ取り付け穴(10294)の内壁と前記突出部との間に設けられ、
前記プランジャ保持バネアセンブリ(1029)の前記プランジャから離れた端部に設けられたバネ押し出しタブ(1025)と、
前記アセンブリハウジング(10291)と駆動的に接続され、前記アセンブリハウジング(10291)を駆動して、前記ガイドポスト(10292)の第2端部と前記バネ押し出しタブ(1025)を、付勢状態と分離状態の間で切り替えるように構成されたプッシュプル機構(1026)であって、前記付勢状態では、前記エンドディスクを取り付けるための空間が、前記注入器プランジャ保持タブ(1024)と前記プランジャ保持バネアセンブリ(1029)の間に形成され、前記分離状態では、前記プランジャ保持バネアセンブリ(1029)が前記エンドディスクを前記注入器プランジャ保持タブ(1024)に押圧固定し、前記プッシュプル機構(1026)は前記プランジャ保持バネアセンブリ(1029)によってプランジャを駆動するように構成される、
請求項15に記載のバイオプリンタノズル。
【請求項17】
前記人工管腔取り付けアセンブリ(1030)と駆動的に接続し、前記人工管腔取り付けアセンブリ(1030)を前記人工管腔取り付け穴(1014)の軸線方向に沿って往復動作するよう構成される駆動アセンブリ(1009)を備える、請求項14~16のうちいずれか一項に記載のバイオプリンタ。
【請求項18】
前記人工管腔取り付け穴(1014)に対する前記バイオプリンタノズル(1001)の位置を検出するように構成された検出モジュール(1012)を備える、請求項14~17のうちいずれか一項に記載のバイオプリンタ。
【請求項19】
前記人工管腔取り付け穴(1014)の温度を調節するように構成された温度制御モジュール(1013)を備える、請求項14~18のうちいずれか一項に記載のバイオプリンタ。
【請求項20】
前記人工管腔取り付け穴(1014)の軸線方向に沿って延び、移動可能に配置された支持棒(1021)と、
前記支持棒(1021)の上端部に配置され、前記バイオプリンタノズル(1001)の外壁と隙間嵌めするように構成されたノズル取り付け口を含み、前記ノズル取り付け口に取り付けられた前記バイオプリンタノズル(1001)を人工管腔取り付け穴(1014)と同軸となるように維持する支持板(1027)と、をさらに備える、
請求項14~19のうちいずれか一項に記載のバイオプリンタ。
【請求項21】
請求項14~20のうちいずれか一項に記載のバイオプリンタを使用する管腔組織構築物の印刷方法であって、
前記供給アセンブリ(1005)を印刷材料で充填することを含む、印刷材料の充填することと、
前記人工管腔取り付けアセンブリ(1030)の人工管腔取り付け穴(1014)に前記人工管腔を取り付けることを含む、管腔組織構築物のための人工管腔の取り付けることと、
前記バイオプリンタノズル(1001)が前記人工管腔の中に延び、初期位置となるようにすることを含む、前記バイオプリンタノズルの初期位置決めることと、
前記人工管腔取り付け穴(1014)の軸線方向に沿って前記バイオプリンタノズル(1001)に対して前記人工管腔取り付けアセンブリ(1030)を移動させ、移動中に前記バイオプリンタノズル(1001)の前記バイオインク流路(P1)にバイオインクを供給するとともに前記医療用接着剤の流路(P2)に医療用接着剤を供給することを含む、印刷材料を被覆することとを備える、
管腔組織構築物の印刷方法。
【請求項22】
前記管腔組織構築物のための前記人工管腔の取り付け後に、前記人工管腔取り付け穴(1014)の温度を調節することをさらに含む、請求項21に記載の管腔組織構築物の印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本開示は、2019年12月30日に出願され、「バイオプリンタノズル、バイオプリンタ及び管腔組織構築物の印刷方法」と題する中国特許出願公開第201911389611.9号明細書に基づく優先権を主張し、その開示が全体として本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、バイオプリンティングの技術分野に関し、特に、バイオプリンタノズル、バイオプリンタ、及び管腔組織構築物の印刷方法に関する。
【背景技術】
【0003】
管腔組織構築物は、身体自身の管腔組織の代用となるものである。例えば、人工血管は、身体自身の血管が重度に狭窄又は閉塞した場合に、身体自身の血管の代用として使用される。
【0004】
先行技術における人工血管の多くは、ナイロン、ポリエステル(ダクロン)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の合成材料で作られている。人工血管の内壁には天然の血管のような内皮細胞が存在しないため、長期間の使用により再び閉塞が起こりやすい。
【0005】
「管腔組織構築物の印刷装置、その印刷方法、及び3Dバイオプリンタ」と題する特許文献1は、人工管腔(人工血管など)の人工管腔の内壁に付着物であるバイオインク(バイオブリックを含み、バイオブリックの定義は特許文献2を参照できる)を印刷して管腔組織構築物を形成する印刷技術を提案するものであり、これにより、作製された管腔組織構築物が実際の血管の生物学的性能を有するものとなる。しかし、現在のところ、この印刷技術では、10cmを超える長さの管腔組織構築物を作製することは困難である。臨床適応(動静脈瘻など)に適合させるためには、より長い管腔組織構築物(例えば、長さ30cm以上)を作製する必要がある。
【0006】
特許文献3は、「マルチチャンネル3Dプリントヘッド及びそれを用いたパイプ製造方法」と題し、同軸で内側から外側に向かって層状に間隔を開けて配置され、異なる印刷材料が注入される複数の押出パイプを含み、内側の押出パイプの出口端が外側の押出パイプの出口端から延出する、3Dプリントヘッドを開示する。
【0007】
特許文献4は、「管腔組織構築物、その作製方法及び作製装置」と題し、管腔組織構築物の外壁を接着剤で被覆するバイオプリンタ1000を開示し、バイオプリンタ1000は接着剤を収容する容器、搬送路及び接着剤の出口を備えている。被覆工程では、接着剤出口は静止しており、外壁を出口に対して相対的に移動させることにより、接着剤が圧力を受けて出口から連続的に絞り出され、外壁の内面に接着剤が塗布される。本特許出願では、生体組織により形成された、印刷された内壁を、上記のように接着剤が塗布された外壁でスリーブの形態とし、生体構築物を得ることができる。
【0008】
特許文献5は、「バイオプリンタノズル及びバイオプリンタ」と題し、バイオプリンタの同軸2層流路ノズルを開示し、第1流路は主材料流体(バイオインク)の通過用であり、第2流路(即ち、外層流路)は補助材料流体の通過用であり、内層流路及び外層流路は、吐出出口の方向に向かって縮小されており、これにより、流出した主材料を補助材料で包み込むことが容易となり、印刷要件を満たす粒状のバイオプリント材料を形成する。つまり、この開示されたノズルは印刷に必要な微小液滴を形成するものであり、バイオインクと医療用接着剤との同時塗布を実現することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】中国特許出願第201910025832.1号(中国特許出願公開第110053255号明細書)
【特許文献2】中国特許出願第201610211570.4号(中国特許出願公開第106039406号明細書)
【特許文献3】中国特許出願公開第109514858号明細書
【特許文献4】中国特許出願公開第107411844号明細書
【特許文献5】中国特許出願公開第105647804号明細書
【発明の概要】
【0010】
本開示の目的は、バイオプリンタノズル、バイオプリンタ及び管腔組織構築物の印刷方法を提供することである。
【0011】
本開示の第1の態様は、バイオプリンタノズルを提供するものであり、前記バイオプリンタノズルは、
前記バイオプリンタノズルの内部に配置されたバイオインク流路と、
前記バイオインク流路と連通し、前記バイオプリンタノズルの吐出端部の側部に位置するバイオインク吐出口と、
前記バイオプリンタノズルの内部に配置され、前記バイオインク流路から隔離された医療用接着剤の流路と、
前記医療用接着剤の流路と連通し、前記吐出端部の側部に位置する医療用接着剤の吐出口とを備え、
前記医療用接着剤の吐出口と前記バイオインク吐出口とは、前記バイオプリンタノズルの軸線方向に沿って相対移動が可能な状態に配置されている、バイオプリンタノズル。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態において、前記バイオインク吐出口は、前記バイオプリンタノズルの軸線方向に沿って、前記医療用接着剤の吐出口よりも吐出端部の上面に近い位置にある。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態において、
前記バイオプリンタノズルは、前記バイオプリンタノズルの円周に沿って均等に分布した複数のバイオインク吐出口を含み、及び/又は、
前記バイオプリンタノズルは、前記バイオプリンタノズルの円周に沿って均等に分布する複数の医療用接着剤の吐出口を備えるか、又は前記医療用接着剤の吐出口は、前記バイオプリンタノズルの軸線方向の周囲に配置された環状口を含む。
【0014】
本開示のいくつかの実施形態において、前記バイオプリンタノズルは、バイオプリンタノズルの側部に配置された医療用接着剤の掻き取り部を含み、前記医療用接着剤の掻き取り部は、前記バイオプリンタノズルの軸線方向に沿って、前記バイオインク吐出口と前記医療用接着剤の吐出口との間に配置される。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態において、前記医療用接着剤の掻き取り部は、前記バイオプリンタノズルの側部に配置された環状突起又はブラシヘッドを含む。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態において、バイオプリンタノズルは、
前記バイオインク吐出口が配置されたバイオインクノズル本体と、
前記バイオインクノズル本体の外周に配置された医療用接着剤ノズル本体とを備え、
前記医療用接着剤の吐出口は、前記医療用接着剤ノズル本体上に配置されているか、又は前記バイオインクノズル本体と前記医療用接着剤ノズル本体との間に配置されている。
【0017】
本開示のいくつかの実施形態において、
前記バイオインク流路は、前記バイオインクノズル本体内に配置され、
前記医療用接着剤の流路は、前記医療用接着剤ノズル本体と前記バイオインクノズル本体との間に配置される。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態において、前記バイオプリンタノズルは、前記バイオインクノズル本体と前記医療用接着剤ノズル本体との間に接続された接続フィンを含む。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態において。
前記バイオインク流路は、前記バイオインクノズル本体内に配置され、
前記医療用接着剤の流路は、前記バイオインクノズル本体内に配置され、前記バイオインクノズル本体の側壁は、前記医療用接着剤の流路と連通する連通口を有し、
前記医療用接着剤の吐出口は、前記バイオインクノズル本体と前記医療用接着剤ノズル本体の前記吐出端部に近い端部とによって形成される、前記バイオプリンタノズルの軸線方向の周りに配置された環状吐出口を含み、前記連通口は、前記環状吐出口と連通している。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態において、前記バイオプリンタノズルは、ノズル取り付け台をさらに含み、
前記バイオインク流路は、前記バイオインクノズル本体に配置された第1のバイオインク流路部と、前記ノズル取り付け台に配置された第2のバイオインク流路部とを含み、又はバイオインク流路はノズル取り付け台に配置され、
前記医療用接着剤の流路は、前記医療用接着剤ノズル本体に配置された第1の医療用接着剤の流路部と、前記ノズル取り付け台に配置された第2の医療用接着剤の流路部とを含む。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態において、前記医療用接着剤の流路は、第1の環状緩衝溝をさらに含み、この緩衝溝を介して、前記第1の医療用接着剤の流路部は前記第2の医療用接着剤の流路部と連通している。
【0022】
本開示のいくつかの実施形態において、前記第1の環状緩衝溝は、前記医療用接着剤ノズル本体と前記ノズル取り付け台との間に形成される。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態において、前記医療用接着剤の流路は、前記医療用接着剤の吐出口と第1の医療用接着剤の流路部との間に配置された第2の環状緩衝溝を含む。
【0024】
本開示の第2の態様は、バイオプリンタノズルを提供するものであり、
本開示の第1の態様に記載のバイオプリンタノズルを含むバイオプリンタノズルと、
前記バイオプリンタノズルと接続され、前記バイオインクノズルの前記バイオインク流路にバイオインクを供給し、前記医療用接着剤の流路に医療用接着剤を供給するように構成された供給アセンブリと、
管腔組織構築物のための人工管腔を収容するための人工管腔取り付け穴を含む人工管腔取り付けアセンブリとを備え、
前記人工管腔取り付けアセンブリは、人工管腔取り付け穴の軸線方向に沿って前記バイオプリンタノズルに対して往復動作可能に構成される。
【0025】
本開示のいくつかの実施形態において、前記供給アセンブリは、
医療用接着剤を前記医療用接着剤の流路に供給するように構成された医療用接着剤注入器と、
バイオインクを前記バイオインク流路に供給するように構成されたバイオインク注入器と、
前記医療用接着剤注入器及び前記バイオインク注入器を固定するように構成された注入器固定アセンブリと、
前記医療用接着剤注入器のプランジャと前記バイオインク注入器のプランジャとに駆動的に接続され、前記2つのプランジャを駆動するように構成された押し出し機構と、を備える。
【0026】
本開示のいくつかの実施形態では、押し出し機構は、
プランジャのエンドディスクを配置するためのノッチを備える注入器プランジャ保持タブと、
内部にバネ取り付け穴を有するアセンブリハウジングと、ガイドポストと、バネとを含むプランジャ保持バネアセンブリであって、前記ガイドポストは前記アセンブリハウジングを移動可能に通り、前記ガイドポストの中間部分は前記バネ取り付け穴に設けられ、前記ガイドポストの第1の端部は前記注入器プランジャ保持タブと接続され、前記ガイドポストの中間部は半径方向外側に面する突出部を有し、前記バネは前記ガイドポストの外周にスリーブされ、前記ガイドポストの前記第1の端部に近い前記バネ取り付け穴の内壁と前記突出部との間に設けられ、
前記プランジャ保持バネアセンブリの前記プランジャから離れた端部に設けられたバネ押し出しタブと、
前記アセンブリハウジングと駆動的に接続され、前記アセンブリハウジングを駆動して、前記ガイドポストの第2端部と前記バネ押し出しタブを、付勢状態と分離状態の間で切り替えるように構成されたプッシュプル機構であって、ここで、前記付勢状態では、前記エンドディスクを取り付けるための空間が、前記注入器プランジャ保持タブと前記プランジャ保持バネアセンブリの間に形成され、前記分離状態では、前記プランジャ保持バネアセンブリが前記エンドディスクを前記注入器プランジャ保持タブに押圧固定し、前記プッシュプル機構は前記プランジャ保持バネアセンブリによってプランジャを駆動するように構成される。
【0027】
本開示のいくつかの実施形態では、前記バイオプリンタは、駆動アセンブリを含み、この駆動アセンブリは、前記人工管腔取り付けアセンブリと駆動的に接続し、前記人工管腔取り付けアセンブリを前記人工管腔取り付け穴の軸線方向に沿って往復動作するよう構成されている。
【0028】
本開示のいくつかの実施形態では、前記バイオプリンタは、前記人工管腔取り付け穴に対する前記バイオプリンタノズルの位置を検出するように構成された検出モジュールを含む。
【0029】
本開示のいくつかの実施形態では、バイオプリンタは、前記人工管腔取り付け穴の温度を調節するように構成された温度制御モジュールを含む。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態において、バイオプリンタは、さらに、
前記人工管腔取り付け穴の軸線方向に沿って延び、移動可能に配置された支持棒と、
前記支持棒の上端部に配置され、前記バイオプリンタノズルの外壁と隙間嵌めするように構成されたノズル取り付け口を含み、前記ノズル取り付け口に取り付けられた前記バイオプリンタノズルを人工管腔取り付け穴と同軸となるように維持する支持板と、を備える。
【0031】
本開示の第3の態様は、管腔組織構築物を印刷するために本開示の第2の態様に記載のバイオプリンタを使用する管腔組織構築物印刷方法を提供するものであり、
前記供給アセンブリを前記印刷材料で充填することを含む、印刷材料の充填工程と、
前記人工管腔取り付けアセンブリの人工管腔取り付け穴に前記人工管腔を取り付けることを含む、管腔組織構築物のための人工管腔の取り付け工程と、
前記バイオプリンタノズルが前記人工管腔の中に延び、初期位置となるようにすることを含む、前記バイオプリンタノズルの初期位置決め工程と、
前記人工管腔取り付け穴の軸線方向に沿って前記バイオプリンタノズルに対して前記人工管腔取り付けアセンブリを移動させ、移動中に前記バイオプリンタノズルの前記バイオインク流路にバイオインクを供給するとともに前記医療用接着剤の流路に医療用接着剤を供給することを含む、印刷材料の被覆工程と、を備える。
【0032】
本開示のいくつかの実施形態では、前記方法は、前記管腔組織構築物のための前記人工管腔の取り付け後に、前記人工管腔取り付け穴の温度を調節する工程をさらに含む。
【0033】
本開示で提供される、前記バイオインク吐出口及び前記医療用接着剤の吐出口を前記バイオプリンタノズルの軸線方向に沿って相対移動が可能な状態に有する前記バイオプリンタノズルに基づき、管腔組織構築物が印刷されるときは、前記バイオプリンタノズルは前記管腔組織構築物の作製のために前記人工管腔内に延びることが可能であり、前記管腔組織構築物用の前記人工管腔を搭載する前記人工管腔取り付けアセンブリが、前記バイオプリンタノズルに対して軸線方向に相対移動するように駆動され、最初に前記医療用接着剤が吐出され、前記バイオプリンタノズルと前記管腔組織構築物用の前記人工管腔の相対移動とともに、前記管腔組織構築物用の前記人工管腔の内壁は、前記医療用接着剤で被覆されて医療用接着剤層が形成される。前記バイオインクは、医療用接着剤の吐出時から短時間の間に吐出される。前記医療用接着剤の接着効果により、吐出後の前記バイオインクは前記医療用接着剤層に直ちに接着することができ、より長い管腔組織構築物のための前記人工管腔の内壁を前記医療用接着剤と前記バイオインクとで同時に被覆することが実現できるため、前記管腔組織構築物のための前記人工管腔の内壁に前記医療用接着剤層とバイオインク層の同時形成を確実なものとし、所望の管腔組織構築物を形成することができる。
【0034】
本開示によって提供されるバイオプリンタ及び管腔組織構築物の印刷方法は、本開示のバイオプリンタノズルに対応する利点を有する。
【0035】
本開示の他の特徴及びその利点は、本開示の好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、添付図面を参照することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本明細書に例示される図面は、本開示のさらなる理解を提供するために使用され、本開示の一部を形成するものであり、本開示の例示的な実施形態及びその記述は、本開示を不適切に限定することを意図するものではなく、説明のために意図されるものである。
【0037】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係るバイオプリンタノズルの模式的な斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す実施形態のバイオプリンタノズルをある視点から見た模式的断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す実施形態のバイオプリンタノズルを別の視点から見た模式的断面図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態に係るバイオプリンタノズルの模式的な斜視図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す実施形態のバイオプリンタノズルの模式的断面図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態に係るバイオプリンタノズルの模式的な透視図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す実施形態のバイオプリンタノズルの模式的な断面図である。
【
図9】
図9は、
図7に示す実施形態のバイオプリンタノズルのバイオインクノズル本体の模式的な斜視図である。
【
図11】
図11は、
図7に示す実施形態のバイオプリンタノズルの医療用接着剤ノズル本体の模式的な斜視図である。
【
図13】
図13は、
図7に示す実施形態のバイオプリンタノズルのノズル取り付け台の模式的な斜視図である。
【
図16】
図16は、本開示の実施形態に係るバイオプリンタノズルの模式的な斜視図である。
【
図18】
図18は、
図16に示す実施形態のバイオプリンタノズルのバイオインクノズル本体の模式的な斜視図である。
【
図20】
図20は、
図16に示す実施形態のバイオプリンタノズルの医療用接着剤ノズル本体の模式的な斜視図である。
【
図22】
図22は、
図16に示す実施形態のバイオプリンタノズルのノズル取り付け台の模式的な斜視図である。
【
図24】
図24は、本開示の実施形態に係るバイオプリンタの模式的な斜視図である。
【
図25】
図25は、
図24に示す実施形態のバイオプリンタの部分的な構造を示す模式的な斜視図である。
【
図27】
図27は、
図24に示す実施形態のバイオプリンタのプランジャ保持バネアセンブリなどの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本開示の実施形態における技術的解決策を、添付の図面と共に、本発明の実施形態において、明確にかつ完全に説明する。見かけ上は、説明される実施形態は、本開示の実施形態の全てではなく、単にその一部に過ぎない。少なくとも1つの好ましい実施形態に係る以下の説明は、実際には単に例示であり、決して本開示及びその適用又は使用に対するいかなる限定となるものではない。当業者が本開示の実施形態に基づいて創意工夫なく得られる他の全ての実施形態は、本開示の保護範囲に含まれる。
【0039】
明確に記述されない限り、これらの実施形態で規定される構成要素やステップの相対的な配置、数字による表現、数値は、本開示の範囲を限定するものでない。同時に、説明を容易にするために、図面に示された様々な部品の寸法は実際の縮尺で描かれていないことを理解されたい。関連技術の当業者に知られている技術、方法及び装置は、詳細には論じられていないが、適切な場合、その技術、方法及び装置は、正式な明細書の一部とみなされるべきである。本明細書で示され、議論されたすべての実施例において、いかなる特定の値も、限定ではなく、単に好ましい値として解釈されるべきである。したがって、好ましい実施形態の他の例では、異なる値を伴うものであってもよい。類似の参照符号及び文字は、以後の図面において類似の構成要素を示すため、ある図面において構成要素が定義されると、それ以降の図面においてさらに議論する必要がないことに留意されたい。
【0040】
本開示の説明において、部品を定義するために「第1」及び「第2」のような用語を使用することは、単にそれぞれの部品の区別を容易にするためであると理解されたい。特に記述されない限り、前述した用語は特別な意味を持たず、したがって、本開示の保護範囲に対する制限として理解されるものではない。
【0041】
図1~
図23に示すように、本開示のいくつかの実施形態は、バイオプリンタノズルを提供する。バイオプリンタノズルは、バイオインク流路P1、バイオインク吐出口J1、医療用接着剤の流路P2、及び医療用接着剤の吐出口J2を備える。バイオインク流路P1は、バイオプリンタノズルの内部に配置されている。バイオインク吐出口J1は、バイオインク流路P1と連通し、バイオプリンタノズルの吐出端部の側部に配置されている。医療用接着剤の流路P2は、バイオプリンタノズルの内部に配置され、バイオインク流路P1から隔離されている。医療用接着剤の吐出口J2は、医療用接着剤の流路P2と連通しており、バイオプリンタノズルの吐出端部の側部に配置されている。さらに、医療用接着剤の吐出口J2とバイオインク吐出口J1とは、バイオプリンタノズルの軸線方向に沿って相対移動が可能な状態に配置されている。
【0042】
本開示の実施形態で提供される、バイオインク吐出口J1及び医療用接着剤の吐出口J2をバイオプリンタノズルの軸線方向に沿って相対移動が可能な状態に配置されるバイオプリンタノズルに基づき、管腔組織構築物が印刷されると、バイオプリンタノズルは管腔組織構築物のための人工管腔内に延びることができ、管腔組織構築物のための人工管腔を担持する人工管腔取り付けアセンブリは、バイオプリンタノズルに対して軸線方向に相対的に移動するように駆動され、それにより、まず医療用接着剤が吐出され、次にバイオプリンタノズルと管腔組織構築物の人工管腔との相対移動に伴い、管腔組織構築物用の人工管腔の内壁が医療用接着剤で被覆されて医療用接着剤層を形成する。医療用接着剤の吐出時から短時間の間にバイオインクが吐出される。医療用接着剤の接着効果により、吐出後のバイオインクを直ちに医療用接着剤層に付着させることができるので、管腔組織構築物の人工管腔の内壁に医療用接着剤層とバイオインク層の同時形成を確実なものとし、所望の管腔組織構築物を形成することができる。本開示の実施形態のバイオプリンタノズルは、より長い管腔組織構築物のための人工管腔の内壁を、医療用接着剤及びバイオインクで同時に被覆することを可能にする。
【0043】
いくつかの実施形態のバイオプリンタノズルにおいて、バイオインク吐出口J1は、バイオプリンタノズルの軸線方向に沿って、医療用接着剤の吐出口J2よりも吐出端部の上面に近い位置にある。この構造のバイオプリンタノズルを用いて管腔組織構築物を印刷する場合、バイオプリンタノズルは、管腔組織構築物の人工管腔の第1の端部から第2の端部まで延び、第2の端部から人工管腔の内壁に医療用接着剤層及びバイオインク層を印刷することが可能である。印刷工程において、バイオプリンタノズルは、人工管腔の第2の端部から第1の端部まで徐々に移動し、それにより、管腔組織構築物の印刷中に、管腔組織構築物の人工管腔からバイオプリンタノズルが抜け出るように導かれ、印刷後に完全に抜け出ることが可能である。
【0044】
いくつかの実施形態のバイオプリンタノズルにおいて、複数のバイオインク吐出口J1は、バイオプリンタノズルの円周に沿って均等に分布し、及び/又は、医療用接着剤の吐出口J2は環状吐出口か、若しくは複数の医療用接着剤の吐出口J2はバイオプリンタノズルの円周に沿って均等に分布している。上記バイオインク吐出口J1と医療用接着剤の吐出口J2との配置は、印刷材料であるバイオインクと医療用接着剤とを均一に塗布するのに有益である。
【0045】
いくつかの実施形態のバイオプリンタノズルにおいて、バイオプリンタノズルは、バイオプリンタノズルの側部に配置された医療用接着剤の掻き取り部Mを含み、医療用接着剤の掻き取り部Mは、バイオプリンタノズルの軸線方向に沿ってバイオインク吐出口J1と医療用接着剤の吐出口J2との間に配置されている。医療用接着剤の掻き取り部は、バイオプリンタノズルの側部に配置された環状突起又はブラシヘッドを含む。医療用接着剤の掻き取り部Mは、医療用接着剤による均一な被覆に有益であり、したがって、人工管腔の内壁へのバイオインクの均一かつ強固な接着に有益である。
【0046】
本開示のいくつかの実施形態のバイオプリンタノズルは、
図1~
図23と併せて、以下に詳細に説明される。
【0047】
図1~
図4は、本開示の実施形態に係るバイオプリンタノズル100を示す。
図1~
図4に示すように、バイオプリンタノズル100は、印刷材料を吐出するための吐出端部と、バイオインク流路P1と、バイオインク吐出口J1と、医療用接着剤の流路P2と、医療用接着剤の吐出口J2とを備えている。バイオインク流路P1は、バイオプリンタノズル100の内部に配置されている。バイオインク吐出口J1は、バイオインク流路P1と連通しており、吐出端部の側部に配置されている。医療用接着剤の流路P2は、バイオプリンタノズル100の内部に配置され、バイオインク流路P1から隔離されている。医療用接着剤の吐出口J2は、医療用接着剤の流路P2と連通し、吐出端部の側部に位置しており、医療用接着剤の吐出口J2とバイオインク吐出口J1とは、バイオプリンタノズル100の軸線方向に沿って相対移動が可能な状態に配置されている。
【0048】
バイオインク吐出口J1は、バイオプリンタノズル100の軸線方向に沿って、医療用接着剤の吐出口J2よりも吐出端部の上面に近い位置にある。複数のバイオインク吐出口J1は、バイオプリンタノズル100の円周に沿って均等に分布している。医療用接着剤の吐出口J2は、環状吐出口である。
【0049】
図1及び
図2に示すように、バイオプリンタノズル100は、バイオプリンタノズル100の側部に配置された医療用接着剤の掻き取り部Mを更に含み、医療用接着剤の掻き取り部Mは、バイオプリンタノズル100の軸線方向に沿って、バイオインク吐出口J1と医療用接着剤の吐出口J2との間に配置されている。医療用接着剤の掻き取り部Mは、バイオプリンタノズルの側部に配置された環状突起を含む。塗布を容易にするために、環状突起の医療用接着剤の吐出口J2に近い側は、バイオプリンタノズル100の径方向内側から径方向外側に向かって、バイオインク吐出口J1の側へ傾斜している。
【0050】
図1~
図4に示すように、バイオプリンタノズル100は、バイオインクノズル本体110と、医療用接着剤ノズル本体120とを含む。バイオインク吐出口J1は、バイオインクノズル本体110に配置されている。医療用接着剤ノズル本体120は、バイオインクノズル本体110の外周に配置されている。医療用接着剤の吐出口J2は、バイオインクノズル本体110と医療用接着剤ノズル本体120との間に配置されている。
図2に示すように、本実施形態では、医療用接着剤の吐出口J2は、バイオインクノズル本体110の周囲外壁と、医療用接着剤ノズル本体120の吐出端部に近い一端の内壁との間に配置される。
【0051】
バイオインク流路P1は、バイオインクノズル本体110内に配置されている。複数のバイオインク吐出口J1は、バイオインク流路P1と連通している。
【0052】
医療用接着剤の流路P2は、医療用接着剤ノズル本体120とバイオインクノズル本体110との間に配置されている。医療用接着剤の流路P2は、全体として、バイオインク流路P1の外周に配置された環状の流路であり、医療用接着剤は、環状流路の軸線方向に沿って流れる。医療用接着剤の流路P2の出口(医療用接着剤を吐出するためのポート)は、医療用接着剤の吐出口J2である。
【0053】
図3~
図4に示すように、バイオプリンタノズル100は、また、バイオインクノズル本体110と医療用接着剤ノズル本体120との間に接続された接続フィン130を含んでいる。
【0054】
以下、本開示の実施形態に係るバイオプリンタノズル100について、
図1~
図4と併せてより詳細に説明する。
【0055】
図1~
図4に示すように、バイオプリンタノズル100は、同軸線上に配置されたバイオインクノズル本体110と医療用接着剤ノズル本体120とを含む。バイオインクノズル本体110は、医療用接着剤ノズル本体120の内部に挿入される。バイオインクノズル本体110と医療用接着剤ノズル本体120は、接続フィン130によって固定されている。接続フィン130は、バイオインクノズル本体110を内層に、医療用接着剤ノズル本体120を外層に固定するために用いられ、バイオインクノズル本体110と医療用接着剤ノズル本体120の同軸性を維持する。
【0056】
本実施形態では、バイオインクノズル本体110の上端部がバイオプリンタノズル100の吐出端部であり、バイオインクノズル本体110の上端部の側壁に、バイオプリンタノズル100の円周に沿って均等に分布した複数のバイオインクノズルJ1を備えることで、各バイオインク吐出口J1よりバイオインクを吐出できるようにしたものである。バイオインク吐出口J1は、バイオインクノズル本体110の上端部の側壁に均等に分布しているので、複数の流体の流れとなるバイオインクを均一に吐出することが可能となる。
【0057】
バイオインク流路P1は、インクノズル本体110の内部に配置されており、バイオインク流路P1の一端(図中の上端部)はバイオインク放出口であり、他端(図中の下端部)はバイオインク供給口である。バイオインク放出口は、バイオインク吐出口J1と連通している。また、医療用接着剤ノズル本体120の内壁とバイオインクノズル本体110の外壁との間の環状空間は、医療用接着剤の流路P2を形成し、医療用接着剤の流路P2の一端(図中の上端部)は医療用接着剤放出口、すなわち、医療用接着剤の吐出口J2であり、他端(図中の下端部)は医療用接着剤供給口である。
【0058】
管腔組織構築物の人工管腔の内壁に吹き付けられる医療用接着剤の平坦化を図るため、医療用接着剤の吐出口J2に近いバイオインクノズル本体110の位置に医療用接着剤の掻き取り部Mを配置する。
図1及び
図2において、医療用接着剤の掻き取り部Mは、逆円錐形状を有している。
【0059】
本開示の実施形態のバイオプリンタノズル100は、どのようにして、より長い管腔組織構築物の内壁を医療用接着剤とバイオインクで同時に被覆するかという技術的課題を解決することを容易にするものである。被覆開始時には、まず、バイオプリンタノズル100が管腔組織構築物の人工管腔の内部まで延び、医療用接着剤の吐出口J2の位置が管腔組織構築物の人工管腔の上端部と合わせられる。
図24~
図26に示すバイオプリンタ1000を参照すると、この時点で、バイオプリンタ1000の供給アセンブリ1005は、医療用接着剤及びバイオインクの供給を開始し、プリンタ1000の駆動アセンブリ1009は、管腔組織構築物の人工管腔がバイオプリンタノズル100に対して上方に移動するよう駆動する。移動中、バイオインクノズルJ1と医療用接着剤ノズルJ2とが相対移動が可能な状態な位置にあるため、先に吐出した後、人工管腔の内壁を医療用接着剤で被覆することができる。バイオプリンタノズル100と人工管腔の相対移動に伴い、バイオインクを吐出して医療用接着剤層の被覆を継続すると同時に、医療用接着剤の粘着効果により、バイオインクを医療用接着剤層に即座に付着させることができるようになる。バイオプリンタノズル100が人工管腔から完全に抜けると、人工管腔の内壁に医療用接着剤層とバイオインク層を同時に形成することができ、所望の管腔組織構築物を形成することができる。
【0060】
図5及び
図6は、本開示の実施形態に係るバイオプリンタノズル200を示す。
図5及び
図6に示すように、バイオプリンタノズル200は、印刷材料を吐出するための吐出端部と、バイオインク流路P1と、バイオインク吐出口J1と、医療用接着剤の流路P2と、医療用接着剤の吐出口J2とを備えている。バイオインク流路P1は、バイオプリンタノズル200の内部に配置されている。バイオインク吐出口J1は、バイオインク流路P1と連通しており、吐出端部の側部に配置されている。医療用接着剤の流路P2は、バイオプリンタノズル200の内部に配置され、バイオインク流路P1から隔離されている。医療用接着剤の吐出口J2は、医療用接着剤の流路P2と連通し、吐出端部の側部に位置しており、医療用接着剤の吐出口J2とバイオインク吐出口J1とは、バイオプリンタノズル200の軸線方向に沿って相対移動が可能な状態に配置されている。
【0061】
バイオインク吐出口J1は、バイオプリンタノズル200の軸線方向に沿って、医療用接着剤の吐出口J2よりも吐出端部の上面に近い位置に設けられている。複数のバイオインク吐出口J1は、バイオプリンタノズル200の円周に沿って均等に分布している。医療用接着剤の吐出口J2は、環状吐出口である。
【0062】
図5及び
図6に示すように、バイオプリンタノズル200は、バイオインクノズル本体210と、医療用接着剤ノズル本体220とを含む。バイオインク吐出口J1は、バイオインクノズル本体210に配置されている。医療用接着剤ノズル本体220は、バイオインクノズル本体210の外周に配置されている。
【0063】
バイオインク流路P1は、バイオインクノズル本体210内に配置されている。複数のバイオインク吐出口J1は、バイオインク流路P1と連通している。
【0064】
医療用接着剤の流路P2は、バイオインクノズル本体210内に配置されており、バイオインクノズル本体210の側壁には、医療用接着剤の流路P2と連通する連通口Nが設けられている。
【0065】
医療用接着剤の吐出口J2は、バイオインクノズル本体210と医療用接着剤ノズル本体220との間に配置されている。医療用接着剤の吐出口J2は、バイオプリンタノズルの軸線方向の周囲に配置された環状吐出口を含み、環状吐出口は、バイオインクノズル本体210と医療用接着剤ノズル本体220の吐出端部付近の端部とによって形成されており、連通口Nは、環状吐出口と連通している。
図6に示すように、本実施形態では、医療用接着剤の吐出口J2は、バイオインクノズル本体210の周囲外壁と、医療用接着剤ノズル本体220の吐出端部付近の一端の内壁との間に配置されている。
【0066】
本開示の実施形態のバイオプリンタノズル200は、
図5及び
図6と併せて、以下により詳細に説明される。
【0067】
図5及び
図6に示すように、バイオプリンタノズル200は、バイオインクノズル本体210と、医療用接着剤ノズル本体220とを含む。バイオインクノズル本体210の内部には、バイオインク流路P1と医療用接着剤の流路P2が並列に配置されている。バイオインク流路P1の一端(図中の上端部)は、バイオインク放出口であり、他端(図中の下端部)は、バイオインク供給口である。医療用接着剤の流路P2の一端(図中の上端部)は医療用接着剤の吐出口であり、他端(図中の下端部)は医療用接着剤供給口である。バイオインクノズル本体210の上端部には、バイオインクノズル本体210の上端部の側壁に、バイオプリンタノズル200の円周に沿って均等に分布した複数のバイオインク吐出口J1が設けられており、バイオインク吐出口J1は、バイオインク放出口に連通するように設けられている。バイオインクノズル本体210の中間部には段差が設けられており、この段差には、スリーブ状の医療用接着剤ノズル本体220がバイオインクノズル本体210にスリーブ状に取り付けられている。医療用接着剤ノズル本体220とバイオインクノズル本体210の外壁との間の環状吐出口が医療用接着剤の吐出口J2である。医療用接着剤の吐出口J2は、医療用接着剤の流路P2の医療用接着剤放出口と連通している。
【0068】
バイオプリンタノズル200の動作原理は、バイオプリンタノズル100の動作原理と同じであり、ここでは説明を繰り返さない。
【0069】
バイオプリンタノズル200では、バイオインク流路P1及び接着剤流路P2の直径を、バイオプリンタノズル100の対応する流路の直径よりも小さく設定することができるので、印刷工程におけるバイオインク及び医療用接着剤の使用量を節約することが可能である。
【0070】
図7~
図15は、本開示の一実施形態に係るバイオプリンタノズル300を示す。
図7~
図15に示すように、バイオプリンタノズル300は、印刷材料を吐出するための吐出端部(図中の上端部)と、バイオインク流路P1と、バイオインク吐出口J1と、医療用接着剤の流路P2と、医療用接着剤の吐出口J2とを備えている。
【0071】
バイオインク流路P1は、バイオプリンタノズル300の内部に配置されている。バイオインク吐出口J1は、バイオインク流路P1と連通しており、吐出端部の側部に配置されている。医療用接着剤の流路P2は、バイオプリンタノズル300の内部に配置され、バイオインク流路P1から隔離されている。医療用接着剤の吐出口J2は、医療用接着剤の流路P2と連通し、吐出端部の側部に位置しており、医療用接着剤の吐出口J2とバイオインク吐出口J1とは、バイオプリンタノズル300の軸線方向に沿って相対移動が可能な状態に配置されている。
【0072】
バイオインク吐出口J1は、バイオプリンタノズル300の軸線方向に沿って、医療用接着剤の吐出口J2よりも吐出端部の上面に近い位置にある。複数のバイオインク吐出口J1は、バイオプリンタノズル300の円周に沿って均等に分布している。医療用接着剤の吐出口J2は、環状吐出口である。
【0073】
図7~
図15に示すように、バイオプリンタノズル300は、バイオインクノズル本体310と、医療用接着剤ノズル本体320と、ノズル取り付け台330を含む。バイオインクノズル本体310と医療用接着剤ノズル本体320は、ノズル取り付け台330上に配置される。
【0074】
バイオインク吐出口J1は、バイオインクノズル本体310に配置されている。医療用接着剤ノズル本体320は、スリーブ状の構造を有し、バイオインクノズル本体310の外周に配置されている。
【0075】
医療用接着剤の吐出口J2は、バイオインクノズル本体310と医療用接着剤ノズル本体320の吐出端部付近の端部とで形成される環状吐出口を含み、連通口は環状吐出口と連通した状態である。
図8に示すように、医療用接着剤の吐出口J2は、バイオインクノズル本体310の中間部における突出部分の底壁と、バイオプリンタノズル300の吐出端部に近い医療用接着剤ノズル本体320の端壁との間に配置されている。
【0076】
バイオインク流路P1は、バイオインクノズル本体310に配置された第1のバイオインク流路部P11と、ノズル取り付け台300に配置された第2のバイオインク流路部P12とを含む。
【0077】
医療用接着剤の流路P2は、医療用接着剤ノズル本体320に配置された第1の医療用接着剤の流路部P21と、ノズル取り付け台に配置された第2の医療用接着剤の流路部P22とを含む。
図8に示すように、医療用接着剤の流路P2は、第1の環状緩衝溝Gをさらに含み、この第1の環状緩衝溝Gを介して第1の医療用接着剤の流路部P21は第2の医療用接着剤の流路部P22と連通している。
図8に示すように、第1の環状緩衝溝Gは、医療用接着剤ノズル本体320とノズル取り付け台330との間に形成されている。
【0078】
本開示の実施形態に係るバイオプリンタノズル300について、
図7~
図15と併せて以下にさらに説明する。
【0079】
図7~
図15に示すように、バイオプリンタノズル300は、バイオインクノズル本体310と、医療用接着剤ノズル本体320と、ノズル取り付け台330とを含む。ノズル取り付け台330は、医療用接着剤ノズル本体320とバイオインクノズル本体310とが順次スリーブされており、バイオインクノズル本体310は、医療用接着剤ノズル本体320を通過してノズル取り付け台330に挿入される。
【0080】
ノズル取り付け台330は、その内部に第2のバイオインク流路部P12を備え、その一端が第2のバイオインク流路部P12の供給口であり、他端が第2のバイオインク流路部P12の放出口である。第2の医療用接着剤の流路部P22は、第2のバイオインク流路部P12の両側に対称的に配置されている。なお、図示しない実施形態では、医療用接着剤の使用量を節約するために、第2の医療用接着剤の流路部P22の数を1つとすることも可能である。第2の医療用接着剤の流路部P22の一端は、第2の医療用接着剤の流路部P22の放出口であり、他端は、第2の医療用接着剤の流路部P22の供給口である。
【0081】
バイオインクノズル本体310は、下部に配置された取り付け柱311を含み、医療用接着剤ノズル本体320の中間部には、バイオインクノズル本体310の取り付け柱311を貫通するための取り付け穴C2が設けられている。取り付け穴C2の外側には、複数の第1の医療用接着剤の流路部P21が均等に配置されている。第1の医療用接着剤の流路部P21の一端は第1の医療用接着剤放出口O2であり、他端は第1の医療用接着剤供給口である。医療用接着剤ノズル本体320の上端面には、周方向に沿って均等に分布した複数の第1の医療用接着剤放出口O2が設けられている。また、第1の医療用接着剤放出口O2(連通口として)は、医療用接着剤の吐出口J2(環状吐出口)と連通しており、第1の医療用接着剤供給口は、第2の医療用接着剤放出口と連通している。
【0082】
図8に示すように、第2の医療用接着剤の流路部P22は、第2のバイオインク流路部P12の両側に対称に配置され、第1の環状緩衝溝Gは、第2の医療用接着剤の流路部P22の上方に配置される。第2の医療用接着剤の流路部P22の一端は第2の医療用接着剤放出口であり、他端は第2の医療用接着剤供給口である。第2の医療用接着剤放出口は、第1の環状緩衝溝Gと連通している。医療用接着剤ノズル本体320の中間部には、取り付け穴C2が設けられ、取り付け穴C2の外周には、複数の第1の医療用接着剤の流路部P21が均等に設けられている。第1の医療用接着剤の流路部P21の一端は、医療用接着剤の吐出口と連通する第1の医療用接着剤放出口O2であり、他端は、第1の環状緩衝溝Gと連通する第1の医療用接着剤供給口である。
【0083】
バイオインクノズル本体310の上端部の側壁には、複数のバイオインク吐出口J1が均等に配置されている。バイオインクノズル本体310は、下端部に取り付け柱311を備え、そこに第1のバイオインク流路部P11を設け、第1のバイオインク流路部P11の一端をバイオインク吐出口J1と連通する第1のバイオインク放出口とし、他端を第2のバイオインク放出口と連通するバイオインク供給口としている。
【0084】
バイオプリンタノズル300の動作原理は、バイオプリンタノズル100と同様であり、ここでは説明を繰り返さない。
【0085】
バイオプリンタノズル300では、バイオインク流路及び医療用接着剤の流路の直径がバイオプリンタノズル100の直径よりも小さくなるため、印刷工程におけるバイオインク及び医療用接着剤の使用量が節約される。
【0086】
バイオプリンタノズル300において、ノズル取り付け台330の上端と取り付け柱311の下端は、ネジ止めによる接続構造であってもよく、これにより、ノズル取り付け台330、バイオインクノズル本体310及び医療用接着剤ノズル本体320の組立及び分解が容易となる。
【0087】
図16~
図23は、本開示のいくつかの実施形態のバイオプリンタノズル400を示す。
図16~
図23に示すように、バイオプリンタノズル400は、印刷材料を吐出するための吐出端部(図中の上端部)と、バイオインク流路P1と、バイオインク吐出口J1と、医療用接着剤の流路P2と、医療用接着剤の吐出口J2とを備えている。
【0088】
バイオインク流路P1は、バイオプリンタノズル400の内部に配置されている。バイオインク吐出口J1は、バイオインク流路P1と連通しており、吐出端部の側部に配置されている。医療用接着剤の流路P2は、バイオプリンタノズル400の内部に配置され、バイオインク流路P1から隔離されている。医療用接着剤の吐出口J2は、医療用接着剤の流路P2と連通し、吐出端部の側部に位置し、医療用接着剤の吐出口J2とバイオインク吐出口J1とは、バイオプリンタノズル400の軸線方向に沿って相対移動が可能な状態に配置されている。
【0089】
バイオインク吐出口J1は、バイオプリンタノズル400の軸線方向に沿って、医療用接着剤の吐出口J2よりも吐出端部の上面に近い位置に配置されている。複数のバイオインク吐出口J1は、バイオプリンタノズル400の円周に沿って均等に分布しており、医療用接着剤の吐出口J2は、環状吐出口である。
【0090】
図16~
図23に示すように、バイオプリンタノズルは、バイオインクノズル本体410と、医療用接着剤ノズル本体420と、ノズル取り付け台430とを含んでいる。バイオインクノズル本体410と医療用接着剤ノズル本体420は、ノズル取り付け台430上に配置される。
【0091】
バイオインク吐出口J1は、バイオインクノズル本体410に配置されている。医療用接着剤ノズル本体420は、スリーブ状の構造を有し、バイオインクノズル本体410の外周に配置されている。
【0092】
医療用接着剤の吐出口J2は、環状吐出口を含み、バイオインクノズル本体410と医療用接着剤ノズル本体420の吐出端部に近い端部とによって形成されている。
図17に示すように、医療用接着剤の吐出口J2は、バイオインクノズル本体410の中間部における突出部分の底壁と、バイオプリンタノズル400の吐出端部近くの医療用接着剤ノズル本体420の端壁との間に配置されている。
【0093】
バイオインク流路P1は、ノズル取り付け台430に配置されている。
【0094】
医療用接着剤の流路P2は、医療用接着剤ノズル本体420に配置された第1の医療用接着剤の流路部P21と、ノズル取り付け台430に配置された第2の医療用接着剤の流路部P22とを含む。
図17に示すように、医療用接着剤の流路P2は、第1の環状緩衝溝Gをさらに含み、この第1の環状緩衝溝Gを介して第1の医療用接着剤の流路部P21は第2の医療用接着剤の流路部P22と連通している。
図17に示すように、第1の環状緩衝溝Gは、医療用接着剤ノズル本体420とノズル取り付け台430との間に形成されている。
【0095】
図17に示すように、医療用接着剤の流路P2は、医療用接着剤の吐出口J2と第1の医療用接着剤の流路部P21との間に配置された第2の環状緩衝溝Lを含む。
【0096】
本開示の実施形態のバイオプリンタノズル400について、
図16~
図23と併せて以下にさらに説明する。
【0097】
図16~
図23に示すように、バイオプリンタノズル400は、バイオインクノズル本体410と、医療用接着剤ノズル本体420と、ノズル取り付け台430とを含む。ノズル取り付け台430は、医療用接着剤ノズル本体420及びバイオインクノズル本体410と順次スリーブ接続される。
【0098】
ノズル取り付け台430は、その内部にバイオインク流路P1を備え、バイオインク流路P1の一端(図中の上端部)がバイオインク放出口O1となり、他端(図中の下端部)がバイオインク供給口となっている。
【0099】
第2の医療用接着剤の流路部P22は、ノズル取り付け台430のバイオインク流路P1の両側にそれぞれ対称に配置されている。第2の医療用接着剤の流路部P22の一端は第2の医療用接着剤放出口O22であり、他端は第2の医療用接着剤供給口である。なお、図示しないいくつかの実施形態では、医療用接着剤の使用量を節約するために、第2の医療用接着剤の流路部P22の数を1つに設定することができる。
【0100】
ノズル取り付け台430は、上から順に、バイオインクノズル本体410を取り付けるための第1の取り付け柱431、医療用接着剤ノズル本体420を取り付けるための第2の取り付け柱432、及び取り付け台本体433をそれぞれ備えている。第1の取り付け柱431の外壁上部には、第1の外側ネジ溝が設けられ、第2の取り付け柱432の外壁には、第2の外側ネジ溝が設けられている。第2の医療用接着剤放出口O22は、第2の取り付け柱432の上端面に設けられている。バイオインク放出口O1は、第1の取り付け柱431の上端面に設けられている。
【0101】
医療用接着剤ノズル本体420の内部には、第1の取り付け柱431を通すための第1の取り付け穴C21と、第2の取り付け柱432を通すための第2の取り付け穴C22が順次配置される。第2の取り付け穴C22の内壁には第2の内側ネジ溝T2が設けられており、第2の内側ネジ溝T2と第2の外側ネジとのネジ止めにより、医療用接着剤ノズル本体420とノズル取り付け台430との着脱自在な接続が実現される。
【0102】
医療用接着剤ノズル本体420の上端面には、第2の環状緩衝溝Lが設けられ、その底面には、複数の第1の医療用接着剤放出口O21が設けられている。第1の医療用接着剤放出口O21は、第2の環状緩衝溝Lの底面に均等に分布している。第2の環状緩衝溝Lの下方には、複数の第1の医療用接着剤の流路部P21が、複数の医療用接着剤放出口O21に対応する形で配置される。第1の医療用接着剤の流路部P21の一端(図中の上端部)は第1の医療用接着剤放出口O21であり、他端(図中の下端部)は第1の医療用接着剤供給口である。第1の医療用接着剤放出口O21は、医療用接着剤の吐出口J2と連通している。第1の医療用接着剤供給口は、第2の医療用接着剤放出口O22と連通している。
【0103】
バイオインクノズル本体410は、その内部に、第1の取り付け柱431と嵌め合い、取り付けるための取り付け穴C1を備える。取り付け穴C1の内壁には、第1の内側ネジT1が設けられている。第1の内側ネジT1と第1の外側ネジとのねじ止めにより、バイオインクノズル本体410とノズル取り付け台430との間の着脱可能な接続が実現される。
【0104】
医療用接着剤ノズル本体420及びバイオインクノズル本体410は、それぞれノズル取り付け台430と着脱可能に接続されており、医療用接着剤ノズル本体420及びバイオインクノズル本体410の分解及び洗浄を容易に行うことができる。
【0105】
バイオインクノズル本体410の上端部の側壁には、円周に沿って均等に分布した複数のバイオインクノズルJ1が設けられており、バイオインク吐出口J1は、バイオインク放出口O1と連通するように設けられている。
【0106】
医療用接着剤の吐出口J2から吐出された医療用接着剤で管腔組織構築物の人工管腔の内壁をより均一に被覆するために、バイオインクノズル本体410の下端と医療用接着剤ノズル本体420の上端との間の隙間に、スポンジブラシヘッドが設けられる。そして、まず、医療用接着剤の吐出口J2から吐出された医療用接着剤でスポンジブラシヘッドを湿らせ、スポンジブラシヘッドを濡らし、スポンジブラシヘッドと管腔組織構築物の人工管腔の内壁との接触と押し出しにより、管腔組織構築物の人工管腔の内壁に医療用接着剤を均一に被覆することが可能である。
【0107】
バイオプリンタノズル400の動作原理は、バイオプリンタノズル100の動作原理と同じであり、ここでは説明を繰り返さない。
【0108】
バイオプリンタノズル400では、バイオインク流路P1及び医療用接着剤の流路P2の直径が、バイオプリンタノズル100の対応する流路の直径より小さくなるので、印刷工程でのバイオインク及び医療用接着剤の使用量を節約することができる。また、医療用接着剤ノズル本体420の医療用接着剤の吐出口J2の構造を変更し、スポンジブラシヘッドを追加することにより、医療用接着剤による被覆工程において、管腔組織構築物の人工管腔の内壁をより均一に被覆することが可能である。
【0109】
図24~
図26に示すように、本開示のいくつかの実施形態は、バイオプリンタ1000を提供する。本開示の実施形態に係るバイオプリンタ1000は、主に、バイオプリンタノズル1001と、供給アセンブリ1005と、人工管腔取り付けアセンブリ1030とを含む。
【0110】
バイオプリンタノズル1001は、上述した実施形態のバイオプリンタノズルを含む。例えば、バイオプリンタノズル1001は、上述したバイオプリンタノズル100、200、300、又は400、又はそれらの変形例とすることができる。
【0111】
供給アセンブリ1005は、バイオプリンタノズル1001と接続され、バイオプリンタノズル1001のバイオインク流路P1にバイオインクを供給し、医療用接着剤の流路P2に医療用接着剤を供給するように構成される。
【0112】
人工管腔取り付けアセンブリ1030は、管腔組織構築物の人工管腔を収容するための人工管腔取り付け穴1014を含む。人工管腔取り付けアセンブリ1030は、人工管腔取り付け穴1014の軸線方向に沿ってバイオプリンタノズル1001に対して往復動作が可能なように構成される。人工管腔は、例えば、人工血管、人工胆管、人工尿道カテーテルなどである。
【0113】
いくつかの実施形態のバイオプリンタ1000において、供給アセンブリ1005は、主に、医療用接着剤注入器1003、バイオインク注入器1004、注入器固定アセンブリ、及び押し出し機構を含む。医療用接着剤注入器1003は、医療用接着剤を医療用接着剤の流路P2に供給するように構成される。バイオインク注入器1004は、バイオインクをバイオインク流路P1に供給するように構成されている。注入器固定アセンブリは、医療用接着剤注入器1003及びバイオインク注入器1004を固定するように構成されている。押し出し機構は、医療用接着剤注入器1003のプランジャとバイオインク注入器1004のプランジャとに駆動的に接続されて、2つのプランジャを駆動するように構成されている。
【0114】
いくつかの実施形態のバイオプリンタ1000において、押し出し機構は、主に、注入器プランジャ保持タブ1024、プランジャ保持バネアセンブリ1029、バネ押し出しタブ1025、及び、プッシュプル機構1026を含む。
【0115】
注入器プランジャ保持タブ1024は、プランジャのエンドディスクを配置するためのノッチを備えている。
【0116】
図27に示すように、プランジャ保持バネアセンブリ1029は、アセンブリハウジング10291と、ガイドポスト10292と、バネ10293とを含む。アセンブリハウジング10291は、その内部にバネ取り付け穴10294を有する。ガイドポスト10292は、アセンブリハウジング10291を可動可能に通過し、バネ取り付け穴10294内に位置する中間部を有する。ガイドポスト10292の第1の端部は、注入器プランジャ保持タブ1024と接続されている。ガイドポスト10292の中間部は、半径方向外側に面する突出部を有し、バネ10293は、ガイドポスト10292の外周にスリーブされ且つガイドポスト10292の第1の端部に近いバネ取り付け穴10294の内壁と突出部との間に設けられる。
【0117】
バネ押し出しタブ1025は、プランジャ保持バネアセンブリ1029のプランジャから離れた端部に設けられる。
【0118】
プッシュプル機構1026は、アセンブリハウジング10291と駆動的に接続され、アセンブリハウジング10291を駆動して、ガイドポスト10292の第2の端部とバネ押し出しタブ1025とを付勢状態と分離状態とに切り換えるように構成される。付勢状態では、注入器プランジャ保持タブ1024とプランジャ保持バネアセンブリ1029との間にエンドディスクを取り付けるための空間が形成される。分離状態では、プランジャ保持バネアセンブリ1029は、エンドディスクを注入器プランジャ保持タブ1024に押圧固定し、プッシュプル機構1026は、プランジャ保持バネアセンブリ1029を介してプランジャを駆動するよう構成される。
【0119】
いくつかの実施形態では、バイオプリンタ1000は、駆動アセンブリ1009を含む。駆動アセンブリ1009は、人工管腔取り付けアセンブリ1030と駆動的に接続され、人工管腔取り付けアセンブリ1030を駆動して人工管腔取り付け穴1014の軸線方向に沿って往復運動させるように構成される。
【0120】
いくつかの実施形態では、バイオプリンタ1000は、検出モジュール1012を更に含む。検出モジュール1012は、バイオプリンタノズル1001と人工管腔取り付け穴1014の相対位置を検出するように構成される。
【0121】
いくつかの実施形態では、バイオプリンタは、温度制御モジュール1013を含む。温度制御モジュール1013は、人工管腔取り付け穴1014の温度を調節するように構成され、温度制御モジュール1013はまた、医療用接着剤注入器1003、バイオインク注入器1004、バイオインク接続パイプ1015、及び医療用接着剤接続パイプ1016の温度調整を達成するように、それぞれ別々に、注入器押し出し板1018及びパイプクランプブロック1028に配置されてもよい。
【0122】
いくつかの実施形態において、バイオプリンタは、支持棒1021及び支持板1027を含む。支持棒1021は、人工管腔取り付け穴1014の軸線方向に沿って延び、移動可能に配置される。支持板1027は、支持棒1021の上端部に配置され、支持板1027は、ノズル取り付け口に取り付けられたバイオプリンタノズル1001を人工管腔取り付け穴1014と同軸となるように維持するために、バイオプリンタノズル1001の外壁と隙間嵌めするように構成されたノズル取り付け口を含んでいる。
【0123】
以下、本開示の実施形態におけるバイオプリンタ1000について、
図24~
図26と併せてより詳細に説明する。なお、本開示の実施形態におけるバイオプリンタ1000を説明する際に用いる「前」とは、バイオインク及び医療用接着剤を外部に送り出す際のバイオプリンタ1000の注入器のプランジャの移動方向を示し、「後」とは、前記移動方向と反対の方向を示す。
図24~
図26においては、「前」は左側、「後」は右側である。
【0124】
図24~
図26に示すように、バイオプリンタ1000は、取り付け台1002と、取り付け台1002上に配置されたバイオプリンタノズル1001、供給アセンブリ1005、人工管腔取り付けアセンブリ1030、駆動アセンブリ1009及び検出モジュール1012とを含む。
【0125】
供給アセンブリ1005は、医療用接着剤注入器1003、バイオインク注入器1004、注入器取り付け板1017、注入器押し付けアセンブリ、押し付け板駆動機構、及び押し出し機構を含む。
【0126】
医療用接着剤注入器1003とバイオインク注入器1004は、共に注入器取り付け板1017に取り付けられる。注入器押し付けアセンブリは、注入器押し付け板1018、回転シャフト、及びギアラックアセンブリを含む。注入器押し付け板1018は、回転軸と固定的に連結されており、この回転軸は、ギアと固定的に連結されている。注入器押し付け板1018は、回転軸とギアとラックの協働により駆動される。回転軸と連結されたギアは、ラック上を移動する際に回転軸を回転させ、それにより注入器押し付け板1018を移動させ、注入器取り付け板1017に2つの注入器を押し付ける。
【0127】
押し出し機構は、2つの注入器のそれぞれの後部に配置され、前端に配置されたプランジャ固定機構と、後端に配置されたプッシュプル機構1026とを含む。
【0128】
プランジャ固定機構は、注入器プランジャ保持タブ1024と、プランジャ保持バネアセンブリ1029と、バネ押し付けタブ1025とを含む。
【0129】
注入器プランジャ保持タブ1024は、プランジャのエンドディスクを配置するためのノッチを備えている。注入器プランジャ保持タブ1024は、プランジャ保持バネアセンブリ1029の前に設けられ、後に接続される。バネ押し付けタブ1025は、プランジャ保持バネアセンブリ1029の後部に設けられている。
【0130】
図25に示すように、プランジャ保持バネアセンブリ1029は、全体としてブロック構造を有している。注入器プランジャ保持タブ1024は、アセンブリハウジング10291と、アセンブリハウジング10291上に配置された2つの(上下の)ガイドポスト10292と、アセンブリハウジング10291の2つの(上下の)バネ取り付け穴10294にそれぞれ配置された2つのバネ10293とを含んでいる。各バネ10293は、対応するバネ取り付け穴10294に設けられ、対応するガイドポスト10292の外周にスリーブされており、バネ10293は、ガイドポスト10292の第1の端部に近い対応するガイドポスト10292の突出部分とスプリング取り付け穴10294の内壁の間に設けられる。ガイドポスト10292の両端は、アセンブリハウジング10291から延び出ている。ガイドポスト10292の前端(第1の端部)は、注入器プランジャ保持タブ1024と接続されている。
【0131】
プッシュプル機構1026は、アセンブリハウジング10291と駆動的に接続されている。プッシュプル機構1026がプランジャ保持バネアセンブリ1029を後方に移動するように駆動すると、ガイドポスト10292の後端(第2の端部)とバネ押し付けタブ1025が付勢状態になり、ガイドポスト10292の前方移動を容易にして、注入器プランジャ保持タブ1024とプランジャ保持バネアセンブリ1029の組立ハウジング10291間の間隔を広げ、プランジャのエンドディスクを置くための空間を残すことができる。プランジャ保持バネアセンブリ1029のガイドポスト10292の後端(第2の端部)がバネ押し付けタブ1025から離れた後、即ち、両者が分離状態にあるとき、ガイドポスト10292は、バネ10293の復元力によって組立ハウジング10291に対してその後端に向かって相対移動し、注入器プランジャ保持タブ1024とプランジャ保持バネアセンブリ1029の組立ハウジング10291との間の間隔を狭め、プランジャのエンドディスクを押して固定し、注入器のプランジャ保持バネアセンブリ102
9及びプランジャの取り付けを完成させることができる。
【0132】
次に、プランジャ保持バネアセンブリ1029は、プッシュプル機構1026によって前後に動作するように駆動することができ、したがって、注入器のプランジャを駆動して注入器内のバイオインク又は医療用接着剤を絞り出し、供給アセンブリ1005がバイオプリンタノズル1001に供給を完了することができる。好ましくは、プランジャ保持バネアセンブリ1029は、ガイドレール1031上に配置され、ガイドレール1031に沿って往復動作する。
【0133】
医療用接着剤注入器1003の前端は、医療用接着剤接続パイプ1016を介して、バイオプリンタノズル1001の医療用接着剤の流路に接続されている。バイオインク注入器1004の前端部は、バイオインク接続パイプ1015を介して、バイオプリンタノズル1001のバイオインク流路に接続されている。注入器圧板1022は、注入器のバレル出口に配置されている。また、バイオプリンタノズル1001、バイオインク接続パイプ1015、医療用接着剤接続パイプ1016を固定するパイプクランプブロック1028とパイプ固定ブロック1020が注入器の前方に配置され、プランジャを引いたときに注入器全体が後方に引っ張られないように、注入器圧板1022がパイプクランプブロック1028に押し込まれてマッチピンにより固定されている。
【0134】
パイプクランプブロック1028は、パイプクランプブロック1028に対して上下方向に相対移動するパイプクランプブロック押し付け板1019により、パイプ固定ブロック1020に押し付けられる。パイプ固定ブロック1020と注入器取り付け板1017はいずれも、それらの側部に配置された可動台板に固定されている。
【0135】
パイプ固定ブロック1020は、側部にスライド溝が設けられ、スライド溝には支持棒1021がスライド溝に沿ってスライド可能に設けられ、支持棒1021はバイオプリンタノズル1001と平行に設けられ、支持棒1021の上端部に支持板1027がバイオプリンタノズル1001の外壁と隙間嵌めで設けられる。支持棒1021と支持板1027により、バイオプリンタノズル1001の移動方向が決定され、バイオプリンタノズル1001の真直性が保たれる。
【0136】
人工管腔取り付けアセンブリ1030は、半円形のスロットを有する2つの固定ブロックを含む。一方の固定ブロックの側部は、駆動アセンブリ1009と接続され、固定側固定ブロックとして機能する。他方の固定ブロックは、カバー板固定ブロックとして機能し、ヒンジによって固定側固定ブロックと接続される。固定側固定ブロック及びカバー板固定ブロックの各々は、その内部に温度制御モジュール1013を備え、人工管腔取り付け穴1014の温度を調節することができる。2つの固定ブロックを組み合わせた後、2つの半円形スロットを組み合わせて、バイオプリンタノズル1001の外径よりわずかに大きい直径の円筒形中空穴を形成し、人工管腔取り付け穴1014として機能させる。人工管腔取り付け穴1014の長さは、バイオプリンタノズル1001の医療用接着剤の流路の長さより僅かに短い。管腔組織構築物の人工管腔は、管腔組織構築物の人工管腔が人工管腔取り付け穴1014に取り付けられた後、バイオプリンタノズル1001の外径よりわずかに大きな内径を有する。
【0137】
駆動アセンブリ1009は、駆動モータ1006、スクリューロッド1008、スライダ1010、接続板1011、及びスライドレール1007を含む。スクリューロッド1008は、駆動モータ1006の出力軸に接続され、スライダ1010は、スクリューロッド1008に設けられ、移動可能に係合される。スライダ1010の一部分は、接続板1011と接続され、スライドレール1007は、接続板1011の下方に設けられ、固定側固定ブロックと接続されている。スクリューロッド1008は、駆動モータ1006によって回転駆動されて、スライダ1010をスクリューロッド1008上で移動させ、移動中のスライダ1010は、接続板1011を駆動してスライドレール1007上を移動させ、人工管腔取り付けアセンブリ1030が接続板1011によって移動するように駆動される。
【0138】
人工管腔取り付けアセンブリ1030の人工管腔取り付け穴1014の上端部には、検出モジュール1012が固定されている。検出モジュール1012は、ブラケットと、ブラケットに固定されたカメラとを含み、人工管腔取り付け穴1014の上部に直接対向するカメラは、バイオプリンタノズル1001が初期位置に到達したかどうかを検出するために使用される。この初期位置とは、バイオプリンタノズル1001の医療用接着剤の吐出口が管腔組織構築物の人工管腔の上端と一致する位置であってもよい。
【0139】
人工管腔取り付けアセンブリ1030と検出モジュール1012の両方は、スライドレール1007上を上下に移動するように駆動アセンブリ1009と駆動可能に接続される。
【0140】
本実施形態のバイオプリンタでは、バイオプリンタノズル1001及び人工管腔取り付けアセンブリ1030は、人工管腔取り付け穴1014の軸線方向に沿って互いに相対移動することができ、その移動中に、管腔組織構築物のための人工管腔の内壁を医療用接着剤及びバイオインクで一定な、均等の、同時の被覆が実行される。検出モジュール1012を設けることにより、医療用接着剤とバイオインクの両方が臨界オーバーフロー状態にあることを確認することができ、被覆動作の開始時に医療用接着剤の吐出口とバイオインク吐出口を直ちに吐出させることができ、全体の被覆長に偏差がないことを確認することができる。
【0141】
本開示の実施形態は、さらに、上記バイオプリンタを用いて管腔組織構築物を印刷する管腔組織構築物の印刷方法を提供する。管腔組織構築物の人工管腔は、例えば、人工血管である。
【0142】
管腔組織構築物の印刷方法は、
供給アセンブリ1005を印刷材料で充填することを含む、印刷材料充填工程を含む。
【0143】
医療用接着剤注入器1003とバイオインク注入器1004の2つの注入器に対応する印刷材料を充填し、それぞれのプランジャを伸ばした状態にしておく。バイオプリンタノズル1001は、2つの注入器を接続した後、パイプ固定ブロック1020に取り付け、さらに注入器取り付け板1017に同期して取り付けられる。そして、パイプ固定ブロック1020には、パイプクランプブロック1028が取り付けられる。そして、パイプ固定ブロック1020、パイプクランプブロック1028、注入器取り付け板1017、注入器、バイオプリンタノズル1001を搭載した可動台板全体を取り付け台1002に載置し、注入器クランプ板1018とパイプクランプブロック押し付け板1019で注入器とパイプクランプブロック1028を固定し、その時注入器プランジャ保持タブ1024は伸長状態である。取り付け工程では、プランジャのエンドディスクを注入器プランジャ保持タブ1024とプランジャ保持バネアセンブリ1029の間の隙間に入れることができる。
【0144】
管腔組織構築物の人工管腔の取り付けは、人工管腔取り付けアセンブリ1030の人工管腔取り付け穴1014に人工管腔を取り付けけることを含む。管腔組織構築物の人工管腔は、人工管腔取り付け穴に置かれ、クランプされ、固定される。
【0145】
人工管腔取り付け穴1014の温度は調節される。温度制御モジュール1013は、適切な温度に設定される。
【0146】
バイオプリンタノズルの初期位置決め工程は、バイオプリンタノズル1001が人工管腔内に延び、初期位置にあることを可能にすることを含む。駆動アセンブリ1009は、人工管腔取り付けアセンブリ1030を下方に移動するように駆動するよう制御される。人工管腔装着アセンブリ1030が支持板1027に接触すると、その瞬間、支持板1027は、支持棒1021を下方に移動するように駆動する。支持板1027は、バイオプリンタノズル1001が管腔組織構築物と接触したときに、バイオプリンタノズル1001が管腔組織構築物の人工管腔と同軸になるようにすることができるので、バイオプリンタノズル1001は管腔組織構築物の中にスムーズに入り、バイオプリンタノズル1001の頂部が管腔組織構築物から抜け出るまで相対移動を継続させることができる。検出モジュール1012が、バイオプリンタノズル1001が初期位置に達したこと(例えば、バイオプリンタノズル1001の上端が人工管腔からちょうど抜け出たこと)を検出すると、プッシュプル機構1026は、医療用接着剤及びバイオインクを押し出すように制御される。バイオプリンタノズル1001から医療用接着剤とバイオインクが溢れたことをカメラが監視した後、プッシュプル機構1026を停止し、バイオプリンタノズル1001に医療用接着剤とバイオインクを予め注入してカメラで両者を監視することにより、印刷開始前にバイオプリンタノズル1001の各流路が塞がれていないかどうか事前に判断することが可能である。
【0147】
印刷材料による被覆工程が行われる。駆動アセンブリ1009は、逆方向に移動するように制御され、バイオプリンタノズル1001が人工管腔上の設定位置(例えば、医療用接着剤の吐出口が人工管腔の上縁と一致する位置)に移動すると、プッシュプル機構1026が作動して前方に押し出し、バイオプリンタノズル1001が医療用接着剤及びバイオインクを同時に絞り出す。バイオプリンタノズル1001に沿った人工管腔の上方移動の過程において、人工管腔の内壁に上から下に向かって医療用接着剤を塗布して医療用接着剤層を形成し、医療用接着剤層の内壁に上から下に向かってバイオインクを塗布して医療用接着剤層とバイオインク層を同時に加工し、設定した被覆長になると押し出し機構の移動を停止させる。
【0148】
管腔組織構築物が取り出される。駆動アセンブリ1009は、人工管腔取り付けアセンブリ1030を上方に移動するように駆動し続けるため、バイオプリンタノズル1001は人工管腔取り付け穴から離れ、カバー板固定ブロックが開けられ、生体構築物層(医療用接着剤層及びバイオインク層を含む)を有する管腔組織構築物を取り出す。
【0149】
操作終了後、プッシュプル機構1026を後方に引いて、注入器のプランジャを後方に移動するように駆動する。
【0150】
上記の工程により、管腔組織構築物の人工管腔の内壁に医療用接着剤とバイオインクとの被覆を同時に完了させることができるので、管腔組織構築物の人工管腔に作製した生体構築物層を一度に形成してバイオインクの固着効果を確保することができる。また、特定の位置から被覆工程を開始することが可能であり、人工管腔の内壁に被覆する前に印刷材料を吐出口へ押し出し、被覆工程の開始時に吐出遅れのない直接吐出を実現することが可能となる。
【0151】
本開示の実施形態に係るバイオプリンタノズル、バイオプリンタ、及び管腔組織構築物の印刷方法を用いることにより、管腔組織構築物等の人工生体構築物の、人工管腔の内壁への医療用接着剤及びバイオインクによる同時被覆を実現し、生体構築物層を一度に形成することが可能となり、作製する人工生体構築物の長さに応じたバイオプリンタノズルと要件を満たす人工管腔装着穴を採用する限りは、より長い管腔組織構築物を作製することができ、必要な管腔組織構築物が長すぎるために医療用接着剤とバイオインクの多重印刷(multiple printing)による医療用接着剤の粘性低下などの問題を回避することにつながる。
【0152】
本開示の実施形態のバイオプリンタノズル、バイオプリンタ及び管腔組織構築物の印刷方法を用いることにより、長さが30cm以上の管腔組織構築物を作製することができる。
【0153】
そして、上記の実施形態は、本開示の技術的解決策を説明するために用いられているに過ぎず、これを限定するものではないことに留意されたい。本開示は、好ましい実施形態を参照して詳細に説明されたが、当業者は、本開示の特定の実施形態が変更され得ること、又は技術的特徴の一部が等価的に置き換えられ得ること、及び全ての変更及び置き換えは、本開示によって請求される技術的解決の範囲に包含されるべきことを理解されたい。
【国際調査報告】