(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-03
(54)【発明の名称】頭部外科手術経路のための3次元マッピングシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
A61B8/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540448
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(85)【翻訳文提出日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 IB2020061939
(87)【国際公開番号】W WO2021137073
(87)【国際公開日】2021-07-08
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】パルティ・ヤイル
(72)【発明者】
【氏名】ベッタン・レミ
(72)【発明者】
【氏名】グリナー・バディム
(72)【発明者】
【氏名】アブニ・ウリ
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB03
4C601DD11
4C601EE09
4C601EE11
4C601FE03
4C601FF11
4C601GA19
4C601GA21
4C601KK31
(57)【要約】
頭部スキャンのボクセルから導出された頭部構造の画像内で3次元外科手術経路をマッピング及び表示するための装置及び方法が提供される。入口ボクセル及び標的ボクセルは、経路エンドポイントとして選択される。一連のそれぞれの近隣ボクセルが、入口ボクセルと標的ボクセルとの間にマッピングされて、経路が画定される。一連内の各ボクセルVxi、yi、ziについて、ボクセルVxi、yi、ziの直前のボクセルの近隣ボクセルを除外した、ボクセルVxi、yi、ziの近隣ボクセルのグループの中から、ボクセルVxi、yi、ziの直後のボクセルが選択される。選択は、エンドポイントボクセルに対する相対距離及び少なくとも閾値密度を表す所定の距離内のボクセルからの相対距離に基づいて判定された選択重みを比較することによって行われる。次いで、経路のボクセルは、表示ビュー内で選択的に強調されて、3D外科手術経路の視覚化が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の頭部スキャンのボクセルから導出された頭部構造の表示された画像内に3次元(3D)外科手術経路をマッピング及び表示するための方法であって、前記方法は、
前記3D外科手術経路のエンドポイントとして、初期入口ボクセルVx
e、y
e、z
e及び外科手術部位標的ボクセルVx
t,、y
t、z
tを選択することと、
一連のボクセルを、前記入口ボクセルVx
e、y
e、z
eと前記標的ボクセルVx
t、y
t、z
tとの間の各ボクセルが、前記一連のもののうちの直前のボクセルと直後のボクセルの両方の近隣ボクセルになり、前記3D外科手術経路を画定するようにマッピングすることと、
直前のボクセルを有する前記一連内の各ボクセルVx
i、y
i、z
iについて、ボクセルVx
i、y
i、z
iの前記直前のボクセルの近隣ボクセルを除外した、ボクセルVx
i、y
i、z
iの近隣ボクセルのグループの中から、ボクセルVx
i、y
i、z
iの前記直後のボクセルを選択することであって、
前記エンドポイントボクセルVx
e、y
e、z
e及びVx
t、y
t、z
tに対する相対距離、並びに少なくとも閾値密度を表す所定の距離内のボクセルからの相対距離を含む選択された基準に基づいて、近隣ボクセルの前記グループのうちの各ボクセルの選択重みを判定することと、
判定された前記選択重みの比較に基づいて、ボクセルVx
i、y
i、z
iの前記直後のボクセルを選択することと、を含む、選択することと、
前記頭部構造の表示ビュー内で前記3D外科手術経路の前記ボクセルを選択的に強調して、前記3D外科手術経路の視覚化を提供することと、を含む、方法。
【請求項2】
ボクセルの選択重みを前記判定することのための前記選択された基準は、少なくとも前記閾値密度を表すボクセルが前記所定の距離内にある場合のペナルティを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ペナルティが、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づき、
前記閾値密度が、マイナス500(-500)Huとして設定され、
前記所定の距離が、0.8mmである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記3D外科手術経路が、前記入口ボクセルVx
e、y
e、z
eにおいて開始すると判定され、
選択された基準に基づいて各ボクセルVx
i、y
i、z
iの近隣ボクセルの前記グループのうちの各ボクセルの選択重みを前記判定することが、前記入口ボクセルVx
e、y
e、z
eに対する相対近接度、及び前記標的ボクセルVx
t、y
t、z
tからの相対距離を含み、
ボクセルの選択重みを前記判定することのための前記選択された基準が、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づくペナルティを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ペナルティが、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づき、
前記閾値密度が、マイナス500(-500)Huとして設定され、
前記所定の距離が、0.8mmである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記3D外科手術経路が、前記標的ボクセルVx
t、y
t、z
tにおいて開始すると判定され、
選択された基準に基づいて各ボクセルVx
i、y
i、z
iの近隣ボクセルの前記グループのうちの各ボクセルの選択重みを前記判定することが、前記入口ボクセルVx
e、y
e、z
eからの相対距離、及び前記標的ボクセルVx
t、y
t、z
tに対する相対近接度を含み、
ボクセルの選択重みを前記判定することのための前記選択された基準が、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づくペナルティを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ペナルティが、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づき、
前記閾値密度が、マイナス500(-500)Huとして設定され、
前記所定の距離が、0.8mmである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記閾値密度が、骨の密度になるように設定される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記頭部構造の表示ビュー内で前記3D外科手術経路の前記ボクセルを前記選択的に強調することが、前記表示ビュー内に隠れている前記3D外科手術経路の部分のボクセルの異なる強調を適用することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記3D外科手術経路の前記表示ビューを使用して、カテーテルの遠位端を、前記初期入口ボクセルVx
e、y
e、z
eに対応する前記対象の頭部内の物理的位置において開始して、前記3D外科手術経路に沿って前記対象の前記頭部に挿入して、前記カテーテルの前記遠位端を、前記外科手術部位標的ボクセルVx
t,、y
t、z
tに対応する物理的位置に位置付けることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
対象の頭部スキャンのボクセルから導出された頭部構造のグラフィック表示内に3次元(3D)外科手術経路をマッピング及び表示するための装置であって、前記装置は、
前記対象の前記頭部スキャンのボクセルを記憶するように構成されたデータ記憶装置と、
前記頭部スキャンに基づいて、前記対象の頭部構造の断面ビュー及び斜視ビューを提供するように構成されたプロセッサ及び関連する表示デバイスと、
ユーザが、前記3D外科手術経路のエンドポイントとして、初期入口ボクセルVx
e、y
e、z
e及び外科手術部位標的ボクセルVx
t、y
t、z
tを選択するように構成されたボクセル選択デバイスと、を備え、
前記プロセッサは、一連のボクセルを、前記入口ボクセルVx
e、y
e、z
eと前記標的ボクセルVx
t、y
t、z
tとの間の各ボクセルが、前記一連のもののうちの直前のボクセルと直後のボクセルの両方の近隣ボクセルになり、前記3D外科手術経路を画定するようにマッピングするように構成されており、
直前のボクセルを有する前記一連内の各ボクセルVx
i、y
i、z
iについて、前記プロセッサは、ボクセルVx
i、y
i、z
iの前記直前のボクセルの近隣ボクセルを除外した、ボクセルVx
i、y
i、z
iの近隣ボクセルのグループの中から、ボクセルVx
i、y
i、z
iの前記直後のボクセルを、
前記エンドポイントボクセルVx
e、y
e、z
e及びVx
t、y
t、z
tに対する相対距離、並びに少なくとも閾値密度を表す所定の距離内のボクセルからの相対距離を含む選択された基準に基づいて、近隣ボクセルの前記グループのうちの各ボクセルの選択重みを判定することと、
判定された前記選択重みの比較に基づいて、ボクセルVx
i、y
i、z
iの前記直後のボクセルを選択することと、によって、選択するように構成されており、
前記プロセッサが、前記表示デバイス上の頭部構造の画像において前記3D外科手術経路の前記ボクセルを選択的に強調して、前記3D外科手術経路の視覚化を提供するように構成されている、装置。
【請求項12】
前記プロセッサは、ボクセルの選択重みを前記判定するために前記プロセッサによって使用される前記選択された基準が、少なくとも前記閾値密度を表すボクセルが前記所定の距離内にある場合のペナルティを含むように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記プロセッサは、
前記ペナルティが、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づき、
前記閾値密度が、マイナス500(-500)Huとして設定され、
前記所定の距離が、0.8mmであるように構成されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記プロセッサは、
前記3D外科手術経路が、前記入口ボクセルVx
e、y
e、z
eにおいて開始すると判定され、
各ボクセルVx
i、y
i、z
iの近隣ボクセルの前記グループのうちの各ボクセルの選択重みが、前記入口ボクセルVx
e、y
e、z
eに対する相対近接度、及び前記標的ボクセルVx
t、y
t、z
tからの相対距離を含む選択された基準に基づいて判定され、
ボクセルの選択重みを前記判定するために前記プロセッサによって使用される前記選択された基準が、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づくペナルティを含む、ように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記プロセッサは、
前記ペナルティが、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づき、
前記閾値密度が、マイナス500(-500)Huとして設定され、
前記所定の距離が、0.8mmであるように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記プロセッサは、
前記3D外科手術経路が、前記標的ボクセルVx
t、y
t、z
tにおいて開始すると判定され、
各ボクセルVx
i、y
i、z
iの近隣ボクセルの前記グループのうちの各ボクセルの選択重みが、前記入口ボクセルVx
e、y
e、z
eからの相対距離、及び前記標的ボクセルVx
t、y
t、z
tに対する相対近接度を含む選択された基準に基づいて判定され、
ボクセルの選択重みを前記判定するために前記プロセッサによって使用される前記選択された基準が、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づくペナルティを含む、ように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項17】
前記プロセッサは、
前記ペナルティが、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づき、
前記閾値密度が、マイナス500(-500)Huとして設定され、
前記所定の距離が、0.8mmであるように構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記閾値密度が、骨の密度になるように設定されるように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記頭部構造の表示ビュー内で前記3D外科手術経路の前記ボクセルを前記選択的に強調することが、前記表示ビュー内に隠れている前記3D外科手術経路の部分のボクセルの異なる強調を適用することを含むように構成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項20】
遠位端を有するカテーテルであって、外科手術ツールが、前記遠位端から動作できる、カテーテルと、
前記プロセッサに結合された関連するカテーテル位置感知機器と、を更に備え、
前記位置感知機器は、前記カテーテルの前記遠位端が前記対象の頭部に挿入されたときに、前記プロセッサが前記カテーテルの前記遠位端の前記位置を追跡することを可能にする信号を提供するように構成されており、
前記プロセッサが、カテーテル移動の対応する視覚化を表示するように前記表示デバイスを制御するように構成されており、その結果、ユーザが、前記3D外科手術経路の表示ビューを使用して、前記カテーテルの前記遠位端を、前記初期入口ボクセルVx
e、y
e、z
eに対応する前記対象の頭部内の物理的位置において開始して、前記3D外科手術経路に沿って前記対象の前記頭部に挿入して、前記カテーテルの前記遠位端を、前記外科手術部位標的ボクセルVx
t,、y
t、z
tに対応する物理的位置に位置付けることを可能にする、請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、医療処置を改善するためのシステム、装置、及び方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
体内構造の視覚化は、賦活波の伝播をマッピングすることによって実行することができる。蛍光光度検査、コンピュータ断層撮影(computerized tomography、CT)、超音波及び磁気共鳴撮像法(magnetic resonance imaging、MRI)、並びに他の技術を利用して、体内構造の視覚化及びグラフィックレンダリングを提供することができる。
【0003】
典型的には、体内構造の視覚化及びグラフィックレンダリングは、3Dスキャン画像のボクセルから構成され、ボクセルは、スキャンの特定のスライスの選択された座標の画像データである。例えば、頭部CTスキャンは、骨、組織、空気などの材料のタイプをそれぞれ表す画像データのボクセルからなる対象の頭部の一連の画像「スライス」を生成することができる。スキャンスライスは順番に組み合わされて、頭部スキャンから、対象の頭部並びに頭部の内部及び外部構造の3Dスキャン画像が生成される。
【0004】
ボクセルによって表される材料のタイプは、従来、周知のハウンスフィールドスケールを適用することなど、選択された分析基準をスキャンデータに適用することによって判定される。次いで、スキャンされた頭部骨の本物そっくりの画像を表示デバイス上に提示するために、判定された表現される材料に対応するように色又はグレースケールの重みを選択することができる。
【0005】
コンピュータ処理ユニット(computer processing unit、CPU)とグラフィック処理ユニット(graphic processing unit、GPU)の両方を含み得る現代のコンピュータプロセッサの使用により、ユーザは、スキャンデータから導出された頭部骨の3Dスキャン画像の実質的に任意の断面ビュー又は斜視ビューを閲覧するために表示デバイスを動作させることができる。そのようなビューはまた、所望され得るときは、実際の3Dレンダリングを生成するために、3D印刷技術を用いることを含む印刷することもできる。
【0006】
様々な医学的状態は、対象の頭部内の外科手術を必要とし得る。例えば、ENT(耳、鼻、咽)医師は、患者の洞内の比較的遠隔の部位で外科手術を必要とする疾患を診断し得る。
【0007】
そのような外科手術を準備するために、外科手術部位への経路の視覚化及び3次元(three dimensional、3D)マップを提供することが望ましい。経路は、経路が骨、組織、又は他のそのような障壁を通過しない、頭部内の遠隔の外科手術部位で、外科手術ツールを非侵襲的外科手術のために挿入できるものである。複数のそのような経路が存在し得るが、可能であり得る限り、骨からの距離を大きく保ちながら、比較的短い経路が選択されることが好ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
対象の頭部スキャンのボクセルから導出された頭部構造の表示された画像内に3次元(3D)外科手術経路をマッピング及び表示するためのシステム、装置、及び方法が提供される。
【0009】
例示的な方法では、初期入口ボクセルVxe、ye、ze及び外科手術部位標的ボクセルVxt、yt、ztを、3D外科手術経路のエンドポイントとして選択する。一連のボクセルを、入口ボクセルVxe、ye、zeと標的ボクセルVxt、yt、ztとの間の各ボクセルが、一連のもののうちの直前のボクセルと直後のボクセルの両方の近隣ボクセルになり、3D外科手術経路を画定するようにマッピングする。直前のボクセルを有する一連内の各ボクセルVxi、yi、ziについて、ボクセルVxi、yi、ziの直前のボクセルの近隣ボクセルを除外した、ボクセルVxi、yi、ziの近隣ボクセルのグループの中から、ボクセルVxi、yi、ziの直後のボクセルを選択する。
【0010】
選択は、選択された基準に基づいて近隣ボクセルのグループのうちの各ボクセルの選択重みを判定することを含む。ボクセル選択の基準は、エンドポイントボクセルVxe、ye、ze及びVxt、yt、ztに対する相対距離、並びに少なくとも閾値密度を表す所定の距離p内のボクセルからの相対距離dを含む。次いで、判定された選択重みの比較に基づいて、ボクセルVxi、yi、ziの直後のボクセルを選択する。次いで、頭部構造の表示ビュー内で、判定された3D外科手術経路のボクセルを選択的に強調して、3D外科手術経路の視覚化を提供する。
【0011】
ボクセルの選択重みを判定するための選択基準は、少なくとも閾値密度を表すボクセルが所定の距離内にある場合のペナルティを含み得る。ペナルティは、所定の距離pと、少なくとも閾値密度を表す最も近いボクセルからのボクセルの距離dとの間の差に基づき得る。一例では、閾値密度は、マイナス500(-500)Huとして設定され、所定の距離pは、0.8mmである。別の例では、閾値密度は、骨の密度になるように設定される。
【0012】
3D外科手術経路は、入口ボクセルVxe、ye、zeにおいて開始すると判定され得る。そのような場合、各ボクセルVxi、yi、ziの近隣ボクセルのグループのうちの各ボクセルの選択重みは、入口ボクセルVxe、ye、zeに対する相対近接度、及び標的ボクセルVxt、yt、ztからの相対距離を含む選択された基準に基づいて判定することができる。
【0013】
あるいは、3D外科手術経路は、標的ボクセルVxt、yt、ztから開始すると判定されてもよい。そのような場合、各ボクセルVxi、yi、ziの近隣ボクセルのグループのうちの各ボクセルの選択重みは、入口ボクセルVxe、ye、zeからの相対距離、及び標的ボクセルVxt、yt、ztに対する相対近接度を含む選択された基準に基づいて判定することができる。
【0014】
頭部構造の表示ビュー内で3D外科手術経路のボクセルを選択的に強調することは、表示ビュー内に隠れている3D外科手術経路の部分のボクセルの異なる強調を適用することを含み得る。
【0015】
請求項1に記載の方法は、3D外科手術経路の表示ビューを使用して、カテーテルの遠位端を、初期入口ボクセルVxe、ye、zeに対応する対象の頭部内の物理的位置において開始して、3D外科手術経路に沿って対象の頭部に挿入して、カテーテルの遠位端を、外科手術部位標的ボクセルVxt,、yt、ztに対応する物理的位置に位置付けることを更に含み得る。
【0016】
対象の頭部スキャンのボクセルから導出された頭部構造のグラフィック表示内に3次元(3D)外科手術経路をマッピング及び表示するための例示的な装置は、プロセッサ及び関連するデータ記憶装置、ディスプレイ、並びにボクセル選択デバイスを含む。データ記憶装置は、対象の頭部スキャンのボクセルを記憶するように構成されている。プロセッサ及び関連する表示デバイスは、頭部スキャンに基づいて、対象の頭部構造の断面ビュー及び斜視ビューを提供するように構成されている。ボクセル選択デバイスは、ユーザが、3D外科手術経路のエンドポイントとして、初期入口ボクセルVxe、ye、ze及び外科手術部位標的ボクセルVxt、yt、ztを選択するように構成されている。
【0017】
プロセッサは、一連のボクセルを、入口ボクセルVxe、ye、zeと標的ボクセルVxt、yt、ztとの間の各ボクセルが、一連のもののうちの直前のボクセルと直後のボクセルの両方の近隣ボクセルになり、3D外科手術経路を画定するようにマッピングするように更に構成されている。直前のボクセルを有する一連内の各ボクセルVxi、yi、ziについて、プロセッサは、ボクセルVxi、yi、ziの直前のボクセルの近隣ボクセルを除外した、ボクセルVxi、yi、ziの近隣ボクセルのグループの中から、ボクセルVxi、yi、ziの直後のボクセルを選択するように構成されている。
【0018】
選択は、エンドポイントボクセルVxe、ye、ze及びVxt、yt、ztに対する相対距離、並びに少なくとも閾値密度を表す所定の距離内のボクセルからの相対距離を含む選択された基準に基づいて、近隣ボクセルのグループのうちの各ボクセルの選択重みを判定することと、次いで、判定された選択重みの比較に基づいて、ボクセルVxi、yi、ziの直後のボクセルを選択することと、によって実行される。
【0019】
プロセッサは、表示デバイス上の頭部構造の画像において、判定された3D外科手術経路のボクセルを選択的に強調して、3D外科手術経路の視覚化を提供するように更に構成されている。
【0020】
プロセッサは、ボクセルの選択重みを判定するためにプロセッサによって使用される選択された基準が、少なくとも閾値密度を表すボクセルが所定の距離内にある場合のペナルティを含むように構成されている。プロセッサは、所定の距離と、少なくとも閾値密度を表す最も近いボクセルからのボクセルの距離との間の差に基づいてペナルティを判定するように構成され得る。一例では、閾値密度は、マイナス500(-500)Huとして設定され、所定の距離は、0.8mm.14である。別の例では、閾値密度は、骨の密度になるように設定される。
【0021】
プロセッサは、3D外科手術経路が、入口ボクセルVxe、ye、zeにおいて開始すると判定されるように構成され得る。そのような場合、各ボクセルVxi、yi、ziの近隣ボクセルのグループのうちの各ボクセルの選択重みは、入口ボクセルVxe、ye、zeに対する相対近接度、及び標的ボクセルVxt、yt、ztからの相対距離を含む選択された基準に基づいて判定される。
【0022】
あるいは、プロセッサは、3D外科手術経路が、標的ボクセルVxt、yt、ztから開始すると判定されるように構成され得る。そのような場合、各ボクセルVxi、yi、ziの近隣ボクセルのグループのうちの各ボクセルの選択重みは、入口ボクセルVxe、ye、zeからの相対距離、及び標的ボクセルVxt、yt、ztに対する相対近接度を含む選択された基準に基づいて判定される。
【0023】
プロセッサはまた、頭部構造の表示ビュー内で3D外科手術経路のボクセルを選択的に強調することが、表示ビュー内に隠れている3D外科手術経路の部分のボクセルの異なる強調を適用することを含むように構成され得る。
【0024】
例示的な装置は、遠位端を有するカテーテルであって、外科手術ツールが遠位端から動作できる、カテーテルと、プロセッサに結合された関連するカテーテル位置感知機器と、を更に含むことができる。位置感知機器は、カテーテルの遠位端が対象の頭部に挿入されたときに、プロセッサがカテーテルの遠位端の位置を追跡することを可能にする信号を提供するように構成されている。この場合、プロセッサは、カテーテル移動の対応する視覚化を表示するように表示デバイスを制御するように構成されており、その結果、ユーザは、3D外科手術経路の表示ビューを使用して、カテーテルの遠位端を、初期入口ボクセルVxe、ye、zeに対応する対象の頭部内の物理的位置において開始して、3D外科手術経路に沿って対象の頭部に挿入して、カテーテルの遠位端を、外科手術部位標的ボクセルVxt,、yt、ztに対応する物理的位置に位置付けることを可能にされている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
添付の図面と共に一例として与えられた以降の説明から、より詳細な理解が可能になる。
【
図1A】スキャンから導出された3D画像のボクセル及びその近隣ボクセルの図である。
【
図1B】
図1Aの対応するボクセルを表す例示的な表記のグラフィック表現である。
【
図2】本開示の主題の1つ又は2つ以上の特徴が実装され得る例示的なシステムの図である。
【
図3】従来の方法で導出されたエンドポイント間の外科手術経路を示す、選択された表示ビューのグラフィック描写である。
【
図4】本発明の教示の例に従って導出されたエンドポイント間の外科手術経路を示す、
図3の表示ビューに対応する表示ビューのグラフィック描写である。
【
図5】本発明の教示による、
図4に示すエンドポイント間の外科手術経路を導出するためのフローチャートである。
【
図6A】後続ボクセルが判定されるべきボクセル
図6Bに対する直前のボクセル
図6Aの相対位置の第1の場合のグラフィック描写である。
【
図6B】後続ボクセルが判定されるべきボクセル
図6Bに対する直前のボクセル
図6Aの相対位置の第1の場合のグラフィック描写である。
【
図7A】後続ボクセルが判定されるべきボクセル
図7Bに対する直前のボクセル
図7Aの相対位置の第2の場合のグラフィック描写である。
【
図7B】後続ボクセルが判定されるべきボクセル
図7Bに対する直前のボクセル
図7Aの相対位置の第2の場合のグラフィック描写である。
【
図8A】後続ボクセルが判定されるべきボクセル
図8Bに対する直前のボクセル
図8Aの相対位置の第3の場合のグラフィック描写である。
【
図8B】後続ボクセルが判定されるべきボクセル
図8Bに対する直前のボクセル
図8Aの相対位置の第3の場合のグラフィック描写である。
【
図9】本発明の教示の別の例に従って導出されたエンドポイント間の外科手術経路を示す、
図3の表示ビューに対応する表示ビューのグラフィック描写である。
【
図10】本発明の教示による、
図9に示すエンドポイント間の外科手術経路を導出するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
開示された主題の実装形態によれば、対象の頭部のスキャンのボクセルの形態の画像データを使用して、外科手術処置が実行される内部頭部部位などの所望の部位への経路の視覚化及び3次元(3D)マップを導出する。
【0027】
本明細書の参照のために、ボクセルは、表記Vx、y、zによって表すことができ、式中、zは、スキャンから導出された一連の画像スライス内の特定のスライスを示し、x及びyは、zスライスにおける座標である。Vx、y、z表記における下付き文字x、y、及びzの順序は、例として使用され、限定することを意図するものではない。例えば、Vz、y、xは、表記の形態であり得る。
【0028】
ボクセルVx、y、zは、
図1Aに示されるように、ボクセルVx、y、zがボクセルの3×3立方体アレイの中心にある26個の他のボクセルによって一般的に囲まれた立方体と見なすことができる。例外は、x又はyがスライスzの縁部の座標を表すか、あるいはzが一連の画像スライス内の最初又は最後のスライスである場所である。
【0029】
ボクセルVx、y、zの26個の周囲のボクセルは、本明細書では「近隣ボクセル」と呼ばれる。ボクセルVx、y、zの26個の近隣ボクセルは、
図1Bに示すように、
6つの「隣接する近隣」ボクセル、すなわちボクセルVx+1、y、z、Vx-1、y、z、Vx、y+1、z、Vx、y-1、z、Vx、y、z-1、及びVx、y、z+1、
12個の「2D対角近隣」ボクセル、すなわち、ボクセルVx+1、y+1、z、Vx+1、y-1、z、Vx-1、y+1、z、Vx-1、y-1、z、Vx、y+1、z+1、Vx、y-1、z+1、Vx+1、y、z+1、Vx-1、y、z+1、Vx、y+1、z-1、Vx、y-1、z-1、Vx+1、y、z-1、及びVx-1、y、z-1、並びに
8つの「3D対角近隣」ボクセル、すなわちボクセルVx+1、y+1、z+1、
Vx-1、y+1、z+1、Vx+1、y-1、z+1、Vx-1、y-1、z+1、Vx+1、y+1、z-1、Vx-1、y+1、z-1、Vx+1、y-1、z-1、及びVx-1、y-1、z-1、からなることを認識されよう。
【0030】
ボクセルVxe、ye、zeにおいて始まる初期入口部位からボクセルVxt、yt、ztにおける外科手術標的部位までの外科手術経路は、一連のボクセルによって画定され、ここで、ボクセルVxe、ye、zeとボクセルVxt、yt、ztとの間の各ボクセルは、経路を画定している一連のそれの直前のボクセルとそれの直後のボクセルの両方の近隣ボクセルである。
【0031】
図2は、本開示の主題の1つ又は2つ以上の例示的な特徴を実装することが可能な例示的なマッピングシステム20の図である。マッピングシステム20は、3Dスキャン画像を処理及び記憶するように構成されたデータ処理構成要素22及びデータ記憶構成要素24を含む。例えば、ENT(耳/鼻/喉)医師30が、患者の頭部26内の選択された部位で非侵襲的外科手術を実行するための、患者28の頭部26のスキャンの画像データから導出された3Dスキャン画像。
【0032】
マッピングシステム20は、例えば、患者の頭部26の3Dスキャン画像から選択された断面ビュー又は斜視ビューを選択的に表示するためのモニタ又は他の表示デバイス32を含む。データ処理構成要素22は、データ記憶構成要素24及び表示デバイス32に結合されて、患者の頭部26のスキャンデータから導出されるような、3Dスキャン画像から表示デバイス32上に所望の断面ビュー又は斜視ビューを生成する、1つ又は2つ以上のCPU、GPU、及び/又は他のプロセッサを含むことができる。
【0033】
表示デバイスがデカルトピクセル表示を用いる、表示デバイス32によって表示される3D様の斜視ビューでは、ボクセルは、ピクセルに適切にマッピングされて、従来のGPU技術を使用して3次元を有するように見える斜視ビューを提供する。しかしながら、ホログラフィック又は他の真の3D表示デバイスが使用される場合、ボクセルは、3D座標表示要素に直接マッピングされ得る。
【0034】
データ処理構成要素22は、表示デバイスを制御して、所定の属性、例えば、べた色を、特定の3D外科手術経路を画定する表示ボクセルに適用することによって、表示ビュー内に選択されたボクセル間の3D外科手術経路を表示するように更に構成され、これは、本明細書では3D外科手術経路のボクセルの強調と呼ばれる。
【0035】
特定のビューにおいて、経路の一部分が骨又は組織などのバリアボクセルの下にある場合、経路のその部分は、異なる色などで異なって強調されて、経路部分が実際には骨又は組織などのバリア材料の後ろに隠れていることを示し得る。そのような場合、ENT医師は、経路の以前に隠れていた部分がバリア材料の後ろにない、3Dスキャン画像の異なるビューを選択することを望む場合がある。
【0036】
例えば、
図9に示されるビューに関して、ボクセルVx
st、y
st、z
stとボクセルVx
t、y
t、z
tとの間に示される判定された経路の一部分は、骨材料の上方を通るように見える。骨材料の上方を通るように見える経路部分が、実際には骨材料の下にある通路にあると判定された場合、表示ビューが、表示された骨材料の下に経路の部分の実際の相対位置を反映するように、処理構成要素22によって異なる強調が適用されることが好ましい。
【0037】
マッピングシステム20は、トラックボール及び/又はタッチパッド34などの1つ又は2つ以上の周辺デバイスを含んで、ユーザが、例えば、頭部26のスキャンの3D画像データの特定のビューを選択して表示デバイス32に表示することを可能にする。デバイス34などの周辺デバイスのうちの1つ又は2つ以上はまた、ユーザがそれらの間の経路のエンドポイントとして機能する特定のボクセルを選択することを可能にするように構成される。そのような周辺デバイスとしては、コンピュータマウスデバイス、ビデオゲームコントローラデバイス、ジョイスティックデバイス、レーザーポインティングデバイス、音声コマンドデバイス、及びタッチスクリーン表示コントロールを挙げることができるが、これらに限定されない。好ましくは、1つ又は2つ以上の周辺デバイスは、ENT医師30又は外科手術助手などのユーザが、外科手術処置を実行する外科手術ツールを位置付けるために標的ボクセルを選択することが所望され得るように、3Dスキャン画像の連続ビューを通してパンニングすることを可能にするために用いられる。
【0038】
マッピングシステム20はまた、外科手術ツールを含むか、又は外科手術ツールがカテーテル38の遠位端でのその操作のために挿入され得る、カテーテル38などのデバイスを含み得る。カテーテル38は、生体データ又は超音波スライスなどを取得するように構成された超音波トランスデューサを含むことができる。カテーテル38の遠位端は、患者28が外科手術処置のために配置されるガーニー41上に配置された位置パッド39に関連して動作するプローブを含むことができる。
【0039】
図2の図示された例では、カテーテル38の遠位端プローブ及び位置パッド39は、位置感知機器を備え、それぞれのケーブル42、43によって処理構成要素22に結合されている。この例では、処理構成要素22は、カテーテルプローブ及び位置パッド29からの信号を使用して、ENT医師30によって対象の頭部に挿入されるように、カテーテル38の遠位端の位置を追跡するように、かつ表示されている3Dスキャン画像のビューに関連して、表示デバイス32上にカテーテル移動の視覚化を表示するように構成されている。
【0040】
このようにして、ENT医師30は、表示ビューを使用して、外科手術処置のための外科手術ツールの位置決めにおいて、ボクセルVxe、ye、zeにおいて開始する初期入口部位から、ボクセルVxt、yt、ztにおける外科手術部位まで、判定された3D外科手術経路を追うことができる。したがって、表示ビューを参照しながら、ENT医師30は、初期入口部位に対応する対象の頭部内の物理的位置において開始して、カテーテル38の遠位端を経路に沿って挿入して、表示された経路を追うことによって標的部位に対応する物理的位置にカテーテルの遠位端を位置付ける。その時点で、外科手術ツールは、それがカテーテルの遠位端にすでに配設されているか、又は外科手術ツールが標的部位における手術のためにカテーテルを通って挿入され得る場合、外科手術処置のために適切に位置している。
【0041】
上記のように、非侵襲的頭部外科手術のための経路は、エンドポイントとしての初期入口部位であるボクセルVxe、ye、zeと、エンドポイントとしての外科手術標的部位であるボクセルVxt、yt、ztと、を選択することによって判定される。次いで、経路は、一連のボクセルによって画定され、ここで、ボクセルVxe、ye、zeとボクセルVxt、yt、ztとの間の各ボクセルは、経路を画定する一連のその直前のボクセルとその直後のボクセルの両方の近隣ボクセルである。
【0042】
従来、エンドポイントボクセルのうちの1つで開始し、他のエンドポイントに達したときに終了して、経路一連内の次のボクセルは、A*アルゴリズムとして知られているものを使用して、26個の近隣ボクセルの中から「最良の」後続ボクセルを選択することによって判定される。
【0043】
A*アルゴリズムは、CTスキャンのマッピングにおいて経路を探索するための周知のアルゴリズムである。A*アルゴリズムの主なパラメータセットは、式F=G+Hにある。F、G、及びH変数は、各ボクセルに帰属し、ボクセルの経路一連の後続ボクセルの選択に関連して、各近隣ボクセルについて計算される。近隣ボクセルが、骨又は組織を表すバリアボクセルである場合、そのボクセルは、一連内の次のボクセルとしての考慮から自動的に除外される。
【0044】
Fは、ボクセルの重みである。Gは、ボクセルと開始エンドポイントボクセルとの間の距離である。Hは、ボクセルから終了エンドポイントボクセルまでのヒューリスティック推定距離である。
【0045】
F、G及びHパラメータに加えて、オープンリスト及びクローズドリストという、ボクセルの2つのリストが、アルゴリズム内で実装される際に維持される。オープンリストは、評価された選択可能なボクセルを含むリストであるが、評価された全ての可能性のある後続ボクセルを有していない。これは、保留中のタスクのリストである。
【0046】
クローズドリストは、評価されたボクセルを含むリストであり、全ての可能性のある後続ボクセルが評価され、適用可能な場合はオープンリストに追加されている。
【0047】
A*アルゴリズムは、最初に開始エンドポイントボクセルVxe、ye、zeをオープンリストに追加することによって開始される。
【0048】
以下のステップを繰り返す。
a.オープンリスト内で最低コスト(F)を有するボクセルを選択する。これは、現在のボクセルと呼ばれる。
b.現在のボクセルをクローズドリストに切り替える。
c.現在のボクセルの26個の近隣ボクセルの各々について、
i.近隣ボクセルが選択可能でない場合(組織、骨、若しくは他のバリアボクセルタイプ)、又は近隣ボクセルがクローズドリストにある場合、それを無視する。
ii.近隣ボクセルがオープンリストにない場合、近隣ボクセルをオープンリストに追加する。現在のボクセルを近隣ボクセルのプレデセサーボクセルにし、近隣ボクセルのF、G、及びHコストを判定及び記録する。
iii.近隣ボクセルがすでにオープンリストにある場合、測定としてGコストを使用して、近隣ボクセルへの経路がより良好であるかどうかを確認する。より低いGコストは、これがより良好な経路であることを意味する。そうである場合、近隣ボクセルのプレデセサーボクセルを現在のボクセルに変更し、ノードのG及びFコストを再計算する。オープンリストがコストFに従ってオートされたままである場合、それは、変更を考慮することに頼る必要があり得る。
【0049】
このプロセスは、標的ボクセルVxt、yt、ztがクローズドリストに追加され、その場合に、経路が見つかったときに停止する。あるいは、プロセスは、オープンリストが空であり、その場合に、許容可能な経路がないため、アルゴリズムが標的ボクセルVxt、yt、ztを見つけることができなかったときに停止する。
【0050】
標的ボクセルVxt、yt、ztが見つかった場合、標的ボクセルVxt、yt、ztから逆方向に動作して、各クローズドリストボクセルからそれのプレデセサーボクセルまで、開始ボクセルVxe、ye、zeに達するまでの一連のボクセルが、経路として保存される。
【0051】
26個の全ての近隣ボクセルは、一連の次のボクセルを選択すると考えられるため、プロセスは、計算的に複雑であり、比較的時間がかかり、リソースを消費する。
【0052】
図3は、入口部位ボクセルVx
e、y
e、z
eから開始して外科手術部位標的ボクセルVx
t、y
t、z
tまでの、従来のA*アルゴリズムを使用して判定されたボクセル経路の表示ビューを示す。従来の判定された経路内のボクセルは、入口部位ボクセルVx
e、y
e、z
eと標的ボクセルVx
t、y
t、z
tとの間の判定された経路を表す連続ラインが表示されるように、処理ユニット22によって強調されている。
【0053】
図3に示すように、従来の判定された経路は、密接に鼻骨に沿って移動する。したがって、従来の判定された経路に沿ってカテーテル38を挿入することは、標的部位での外科手術ツールの操作の困難さを増加させる。
【0054】
本発明の実施形態によれば、処理構成要素22は、骨及び/又は他のバリアボクセルからのより良好な間隔も提供する、より速く、より計算的に複雑でない様式で所望の外科手術経路を画定するための頭部経路マッピングを実行するように構成されている。
【0055】
例えば、
図4は、
図3の同じ入口部位ボクセルVx
e、y
e、z
eから開始して同じ外科手術部位標的ボクセルVx
t、y
t、z
tまでの、修正されたA*アルゴリズムを使用して判定されたボクセル経路の表示ビューを示す。
図4の判定された経路内のボクセルは、入口部位ボクセルVx
e、y
e、z
eと標的ボクセルVx
t、y
t、z
tとの間の判定された経路を表す連続ラインが表示されるように、処理ユニット22によって強調されている。
【0056】
図4に示される経路を生成した本発明の例示的な実装形態では、式F=G+Hが依然として用いられ、F値はF=G+Hのままであった。しかしながら、G値は、開始エンドポイントボクセルから現在のボクセルまでの距離と、組織又は骨を表すボクセルなどの少なくとも閾値密度のボクセルに対するボクセルの近接度に対する関数であるペナルティとの合計であった。H値は、現在のボクセルから終了エンドポイントボクセルまでのユークリッド距離であった。
【0057】
図4に示すように、例示的な判定された経路は、可能な場合、図示の骨からかなりの距離で鼻腔を横断する。したがって、判定された経路に沿ってカテーテル38を挿入することは、標的部位での外科手術ツールの操作の困難さを減少させる。
【0058】
開始エンドポイントボクセルとしての入口部位ボクセルVxe、ye、zeと、終了エンドポイントボクセルとしての標的部位ボクセルVxt、yt、ztとで開始することが好ましいが、プロセスは、終了エンドポイントボクセルとしての入口部位ボクセルVxe、ye、zeと、開始エンドポイントボクセルとしての標的部位ボクセルVxt、yt、ztとで実装できる。
【0059】
G値を判定する際に加算されるペナルティPの一例は、Pが0.0mm又は(p-d)の値の最大値に等しいことによって与えられ、式中、pは、相対的に緻密な材料からの所望の最小間隔に関する所定の距離であり、dは、現在のボクセルと、少なくとも閾値密度の密度を表す最も近いボクセルとの間の距離である。
【0060】
例えば、閾値密度は、骨、組織、及び他のバリア物質を表すボクセルを含む、少なくともマイナス500(-500HU)以上のハウンスフィールド値を有するボクセルまでの距離を測定するように設定することができる。必要に応じて、閾値は、骨、組織、又は別のタイプのバリア物質の密度など、特定の物質の密度として設定することができる。
【0061】
例えば、所定の距離pは、0.8mmとして設定することができる。そのような場合、現在のボクセルが、最も近いボクセル、比較的高密度(すなわち、少なくとも閾値密度のうちの1つ)のボクセルから0.8mmより離れている場合、ペナルティは、通常のG値に加算されない。したがって、ペナルティは3D空間で計算され、この例では半径0.8mmの球体である、半径pの球体内の全ての方向において、現在のボクセルから任意の比較的高密度のボクセルまでの距離dを見つける。
【0062】
修正されたA*アルゴリズムを実装する際に、マッピングの方法の計算の複雑さを低減するために、現在のボクセルに関して評価される近隣ボクセルの数は、現在のボクセルのプレデセサーボクセル、並びに現在のボクセルのプレデセサーボクセルの近隣ボクセルでもある全ての近隣ボクセルを自動的に排除する。このプロセスでは、現在のボクセルの後続ボクセルと考えられるボクセルのグループ内にあるのに適格なボクセルの数は、現在のボクセルがそのプレデセサーボクセルに対して隣接しているか、2D対角にあるか、又は3D対角にあるかに応じて異なる。
【0063】
図6Aに示される中実ボクセルなど、現在のボクセルのプレデセサーボクセルが、
図6Bに示される中実ボクセルなどの現在のボクセルに隣接している場合、光シェーディングによって示されるボクセルは全て、現在のボクセルに対する後続ボクセルの選択プロセスから自動的に排除される。プレデセサーボクセルの近隣ボクセルではない9つの非シェーディングのボクセルのみが、現在のボクセルの潜在的な後続ボクセルのグループを画定する。
図6A及び
図6Bの図示された隣接するケースでは、現在のボクセルがVx、y、xとして表される
図1Bの表記を使用して、現在のボクセルの潜在的な後続ボクセルのグループを画定する9つのボクセルは、「隣接する近隣」ボクセルVx、y、z+1、「2D対角近隣」ボクセルVx、y+1、z+1、Vx、y-1、z+1、Vx+1、y、z+1、Vx-1、y、z+1、及び「3D対角近隣」ボクセルVx+1、y+1、z+1、Vx-1、y+1、z+1、Vx+1、y-1、z+1、Vx-1、y-1、z+1である。
【0064】
図7Aに示される中実ボクセルなど、現在のボクセルのプレデセサーボクセルが、
図7Bに示される中実ボクセルなどの現在のボクセルに対して3D対角にある場合、光シェーディングによって示されるボクセルは全て、現在のボクセルに対する後続ボクセルの選択プロセスから自動的に排除される。プレデセサーボクセルの近隣ボクセルではない19個の非シェーディングのボクセルのみが、現在のボクセルの潜在的な後続ボクセルのグループを画定する。
図7A及び
図7Bの図示された3D対角のケースでは、現在のボクセルがVx、y、xとして表される
図1Bの表記を使用して、現在のボクセルの潜在的な後続ボクセルのグループを画定する19個のボクセルは、「隣接する近隣」ボクセルVx-1、y、z、Vx、y+1、z、及びVx、y、z+1、「2D対角近隣」ボクセルVx+1、y+1、z、Vx-1、y+1、z、Vx-1、y-1、z、Vx、y+1、z+1、Vx、y-1、z+1、Vx+1、y、z+1、Vx-1、y、z+1、Vx、y+1、z-1、及びVx-1、y、z-1、並びに「3D対角近隣」ボクセルVx+1、y+1、z+1、Vx-1、y+1、z+1、Vx+1、y-1、z+1、Vx-1、y-1、z+1、Vx+1、y+1、z-1、Vx-1、y+1、z-1、及びVx-1、y-1、z-1である。
【0065】
図8Aに示される中実ボクセルなど、現在のボクセルのプレデセサーボクセルが、
図8Bに示される中実ボクセルなどの現在のボクセルに対して2D対角にある場合、光シェーディングによって示されるボクセルは全て、現在のボクセルに対する後続ボクセルの選択プロセスから自動的に排除される。プレデセサーボクセルの近隣ボクセルではない15個の非シェーディングのボクセルのみが、現在のボクセルの潜在的な後続ボクセルのグループを画定する。
図8A及び
図8Bの図示された2D対角のケースでは、現在のボクセルがVx、y、xとして表される
図1Bの表記を使用して、現在のボクセルの潜在的な後続ボクセルのグループを画定する15個のボクセルは、「隣接する近隣」ボクセルVx、y+1、z及びVx、y、z+1、「2D対角近隣」ボクセルVx+1、y+1、z、Vx-1、y+1、z、Vx、y+1、z+1、Vx、y-1、z+1、Vx+1、y、z+1、Vx-1、y、z+1、及びVx、y+1、z-1、並びに「3D対角近隣」Vx+1、y+1、z+1、Vx-1、y+1、z+1、Vx+1、y-1、z+1、Vx-1、y-1、z+1、Vx+1、y+1、z-1、及びVx-1、y+1、z-1である。
【0066】
任意の所与のボクセルについて、隣接する近隣ボクセルに到達するために、6つのオプションがある。任意の所与のボクセルについて、3D対角近隣ボクセルに到達するために、8つのオプションがある。任意の所与のボクセルについて、2D対角近隣ボクセルに到達するために、12個のオプションがある。したがって、後続ボクセルを選択する例示的な本発明の方法によれば、従来の方法で考慮される26個のボクセルと比較して、後続選択において考慮されるボクセルの平均数は、14.8、すなわち(6*9+8*19+12*15)/26=14.8)である。
【0067】
概して、プロセスは、
図5のステップに従って進行する。第1のステップ501において、ENT医師が、入口及び標的エンドポイントボクセルを選択する。第2のステップ502において、直前の経路ボクセルを有する各経路ボクセルについて、直前のボクセルの近隣ボクセルを除外した近隣ボクセルのグループの中から、後続経路ボクセルが選択される。ステップ503において、後続ボクセル選択は、少なくとも閾値密度を有するボクセルに対するボクセルの近接度のペナルティと共に、開始エンドポイントに対する相対近接度及び終了エンドポイントからの相対距離に基づいて行われる。ステップ504において、マッピングされた経路がENT医師に表示される。
【0068】
より具体的には、対象の頭部スキャンのボクセルから導出された頭部構造の表示された画像内に3次元(3D)外科手術経路をマッピング及び表示するための方法が提供される。経路のエンドポイントとして、初期入口ボクセルVxe、ye、ze及び外科手術部位標的ボクセルVxt,、yt、ztを選択する。次いで、一連のボクセルを、入口ボクセルVxe、ye、zeと標的ボクセルVxt、yt、ztとの間の各ボクセルが、一連のもののうちの直前のボクセルと直後のボクセルの両方の近隣ボクセルとなり、3D外科手術経路を画定するようにマッピングする。直前のボクセルを有する一連内の各ボクセルVxi、yi、ziについて、ボクセルVxi、yi、ziの直前のボクセルの近隣ボクセルを除外した、ボクセルVxi、yi、ziの近隣ボクセルのグループの中から、ボクセルVxi、yi、ziの直後のボクセルを選択する。選択は、エンドポイントボクセルVxe、ye、ze及びVxt、yt、ztからの相対距離、並びに少なくとも閾値密度を表す所定の距離内のボクセルからの相対距離を含む、選択された基準に基づいて、近隣ボクセルのグループのうちの各ボクセルの選択重みを判定することを含む。次いで、選択は、判定された選択重みの比較に基づいて、ボクセルVxi、yi、ziの直後のボクセルを選択することによって行われる。次いで、頭部構造の表示ビュー内で3D外科手術経路のボクセルを強調して、3D外科手術経路の視覚化を提供する。
【0069】
本発明の更なる実装形態は、頭部構造のENT医師の知識に基づく準標的の選択を含む。例えば、「準標的」ボクセルは、選択が既知の空洞をも考慮に入れながら、狭い通路などを横断する必要がある場合のように、経路がどこに行かなければならないかのENT医師の知識に従って選択することができる。
図9は、
図3の同じ外科手術部位標的ボクセルVx
t、y
t、z
tまでの同じ入口部位ボクセルVx
e、y
e、z
eに加えて、準標的ボクセルVx
st、y
st、z
stを使用して判定されたボクセル経路の表示ビューを示す。
図9の判定された経路内のボクセルは、準標的ボクセルVx
st、y
st、z
stを通った入口部位ボクセルVx
e、y
e、z
eと標的ボクセルVx
t、y
t、z
tとの間の判定された経路を表す連続ラインが表示されるように、処理ユニット22によって強調されている。
【0070】
図9に示される経路を生成した本発明の例示的な実装形態では、プロセスは、従来の方法を使用して単に入口部位ボクセルVx
e、y
e、z
eと標的ボクセルVx
t、y
t、z
tとの間の経路を直接計算することより6倍速く完了した。
【0071】
具体的には、本方法は、骨を表すボクセルが初期入口ボクセルVxe、ye、zeと外科手術部位標的ボクセルVxt、yt、ztとの間の最短線(ユークリッド距離)内にある場合には、より非常に効率的である。そのような場合、準標的ボクセルVxst、yst、zstは、骨を表すボクセルが初期入口ボクセルVxe、ye、zeと準標的ボクセルVxst、yst、zstとの間の最短線内にないように、初期入口ボクセルVxe、ye、zeと外科手術部位標的ボクセルVxt、yt、ztとの間で有利に選択され得る。
【0072】
図9に示すように、例示的な判定された経路は、可能な場合、図示の骨からかなりの距離で鼻腔を横断する。したがって、判定された経路に沿ってカテーテル38を挿入することは、標的部位での外科手術ツールの操作の困難さを減少させる。
【0073】
概して、プロセスは、
図10のステップに従って進行する。第1のステップ1001において、ENT医師が、入口及び標的エンドポイントボクセルを選択する。第2のステップ1002では、ENT医師が、エンドポイントボクセル間の準標的ボクセルを選択する。ステップ1003において、後続ボクセル選択は、1つのエンドポイントボクセルから準標的ボクセルまで、次いで準標的ボクセルから他のエンドポイントボクセルまで行われる。ステップ1004において、マッピングされた経路がENT医師に表示される。
【0074】
より具体的には、対象の頭部スキャンのボクセルから導出された頭部構造の表示された画像内に3次元(3D)外科手術経路をマッピング及び表示するための更なる方法が提供される。初期入口ボクセルVxe、ye、ze及び外科手術部位標的ボクセルVxt、yt、ztを選択し、ここで、骨を表すボクセルは、初期入口ボクセルVxe、ye、zeと外科手術部位標的ボクセルVxt、yt、ztとの間の最短経路内にある。準標的ボクセルVxst、yst、zstも、初期入口ボクセルVxe、ye、zeと外科手術部位標的ボクセルVxt、yt、ztとの間で選択する。準標的ボクセルVxst、yst、zstを含む一連のボクセルを、入口ボクセルVxe、ye、zeと標的ボクセルVxt、yt、ztとの間の各ボクセルが、一連のもののうちの直前のボクセルと直後のボクセルの両方の近隣ボクセルになり、3D外科手術経路を画定するようにマッピングする。
【0075】
初期入口ボクセルVxe、ye、zeと準標的ボクセルVxst、yst、zstとの間の一連内の各ボクセルVxi、yi、ziについて、ボクセルVxi、yi、ziの近隣ボクセルのグループの中から、ボクセルVxi、yi、ziの直後のボクセルを選択する。選択は、入口ボクセルVxe、ye、ze及び準標的ボクセルVxst、yst、zstからの相対距離を含む選択された基準に基づいて、近隣ボクセルのグループのうちの各ボクセルの選択重みを判定することを含む。判定された選択重みの比較に基づいて、ボクセルVxi、yi、ziの直後のボクセルを選択する。
【0076】
準標的ボクセルVxst、yst、zstと標的ボクセルVxt、yt、ztとの間の一連内の各ボクセルVxj、yj、zjについて、ボクセルVxj、yj、zjの近隣ボクセルのグループの中から、ボクセルVxj、yj、zjの直後のボクセルを選択する。選択は、準標的ボクセルVxst、yst、zst及び標的ボクセルVxt、yt、ztからの相対距離を含む選択された基準に基づいて、近隣ボクセルのグループのうちの各ボクセルの選択重みを判定することを含む。判定された選択重みの比較に基づいて、ボクセルVxj、yj、zjの直後のボクセルを選択する。
【0077】
頭部構造の表示ビュー内で、選択された経路ボクセル及び3D外科手術経路のボクセルを選択的に強調して、3D外科手術経路の視覚化を提供する。
【0078】
準標的を用いる実装形態は、上記に開示された例示的な修正されたA*アルゴリズムの使用と組み合わせることができる。そのような場合、
一連内の各ボクセルVxi、yi、ziについて、ボクセルVxi、yi、ziの直前のボクセルの近隣ボクセルを除外した、ボクセルVxi、yi、ziの近隣ボクセルのグループの中から、ボクセルVxi、yi、ziの直後のボクセルが選択される。各ボクセルVxi、yi、ziの近隣ボクセルの選択重みを判定することは、少なくとも閾値密度を表す所定の距離内のボクセルからの相対距離に基づくペナルティを含む。一連内の各ボクセルVxj、yj、zjについて、ボクセルVxj、yj、zjの直前のボクセルの近隣ボクセルを除外した、ボクセルVxj、yj、zjの近隣ボクセルのグループの中から、ボクセルVxj、yj、zjの直後のボクセルが選択される。各ボクセルVxj、yj、zjの近隣ボクセルの選択重みを判定することは、少なくとも閾値密度を表す所定の距離内のボクセルからの相対距離に基づくペナルティを含む。
【0079】
本明細書に記載される機能及び方法はいずれも、汎用コンピュータ、プロセッサ、又はプロセッサコアに実装されることができる。好適なプロセッサとしては、例として、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来型プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと関連する1つ又は2つ以上のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)回路、任意のその他のタイプの集積回路(integrated circuit、IC)、及び/又は状態機械が挙げられる。そのようなプロセッサは、処理されたハードウェア記述言語(hardware description language、HDL)命令及びネットリスト等の他の中間データ(そのような命令は、コンピュータ可読媒体に記憶することが可能である)の結果を用いて製造プロセスを構成することにより、製造することが可能である。そのような処理の結果はマスクワークであり得、このマスクワークをその後半導体製造プロセスにおいて使用して、本開示の特徴を実装するプロセッサを製造する。
【0080】
本明細書に記載される機能及び方法はいずれも、非一時的コンピュータ可読記憶媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア、又はファームウェアにおいて実装されて、汎用コンピュータ又はプロセッサによって実行されることができる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体の例としては、読み取り専用メモリ(read only memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、磁気媒体、例えば、内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスク、磁気光学媒体、並びに光学媒体、例えば、CD-ROMディスク及びデジタル多用途ディスク(digital versatile disk、DVD)が挙げられる。
【0081】
本明細書の開示に基づいて、多くの変形が可能であることを理解されたい。特徴及び要素は、特定の組み合わせで上述されているが、各特徴又は要素は、他の特徴及び要素なしで単独で、又は他の特徴及び要素を伴う若しくは伴わない様々な組み合わせで使用することができる。
【0082】
〔実施の態様〕
(1) 対象の頭部スキャンのボクセルから導出された頭部構造の表示された画像内に3次元(3D)外科手術経路をマッピング及び表示するための方法であって、前記方法は、
前記3D外科手術経路のエンドポイントとして、初期入口ボクセルVxe、ye、ze及び外科手術部位標的ボクセルVxt,、yt、ztを選択することと、
一連のボクセルを、前記入口ボクセルVxe、ye、zeと前記標的ボクセルVxt、yt、ztとの間の各ボクセルが、前記一連のもののうちの直前のボクセルと直後のボクセルの両方の近隣ボクセルになり、前記3D外科手術経路を画定するようにマッピングすることと、
直前のボクセルを有する前記一連内の各ボクセルVxi、yi、ziについて、ボクセルVxi、yi、ziの前記直前のボクセルの近隣ボクセルを除外した、ボクセルVxi、yi、ziの近隣ボクセルのグループの中から、ボクセルVxi、yi、ziの前記直後のボクセルを選択することであって、
前記エンドポイントボクセルVxe、ye、ze及びVxt、yt、ztに対する相対距離、並びに少なくとも閾値密度を表す所定の距離内のボクセルからの相対距離を含む選択された基準に基づいて、近隣ボクセルの前記グループのうちの各ボクセルの選択重みを判定することと、
判定された前記選択重みの比較に基づいて、ボクセルVxi、yi、ziの前記直後のボクセルを選択することと、を含む、選択することと、
前記頭部構造の表示ビュー内で前記3D外科手術経路の前記ボクセルを選択的に強調して、前記3D外科手術経路の視覚化を提供することと、を含む、方法。
(2) ボクセルの選択重みを前記判定することのための前記選択された基準は、少なくとも前記閾値密度を表すボクセルが前記所定の距離内にある場合のペナルティを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記ペナルティが、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づき、
前記閾値密度が、マイナス500(-500)Huとして設定され、
前記所定の距離が、0.8mmである、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記3D外科手術経路が、前記入口ボクセルVxe、ye、zeにおいて開始すると判定され、
選択された基準に基づいて各ボクセルVxi、yi、ziの近隣ボクセルの前記グループのうちの各ボクセルの選択重みを前記判定することが、前記入口ボクセルVxe、ye、zeに対する相対近接度、及び前記標的ボクセルVxt、yt、ztからの相対距離を含み、
ボクセルの選択重みを前記判定することのための前記選択された基準が、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づくペナルティを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記ペナルティが、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づき、
前記閾値密度が、マイナス500(-500)Huとして設定され、
前記所定の距離が、0.8mmである、実施態様4に記載の方法。
【0083】
(6) 前記3D外科手術経路が、前記標的ボクセルVxt、yt、ztにおいて開始すると判定され、
選択された基準に基づいて各ボクセルVxi、yi、ziの近隣ボクセルの前記グループのうちの各ボクセルの選択重みを前記判定することが、前記入口ボクセルVxe、ye、zeからの相対距離、及び前記標的ボクセルVxt、yt、ztに対する相対近接度を含み、
ボクセルの選択重みを前記判定することのための前記選択された基準が、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づくペナルティを含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記ペナルティが、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づき、
前記閾値密度が、マイナス500(-500)Huとして設定され、
前記所定の距離が、0.8mmである、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記閾値密度が、骨の密度になるように設定される、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記頭部構造の表示ビュー内で前記3D外科手術経路の前記ボクセルを前記選択的に強調することが、前記表示ビュー内に隠れている前記3D外科手術経路の部分のボクセルの異なる強調を適用することを含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記3D外科手術経路の前記表示ビューを使用して、カテーテルの遠位端を、前記初期入口ボクセルVxe、ye、zeに対応する前記対象の頭部内の物理的位置において開始して、前記3D外科手術経路に沿って前記対象の前記頭部に挿入して、前記カテーテルの前記遠位端を、前記外科手術部位標的ボクセルVxt,、yt、ztに対応する物理的位置に位置付けることを更に含む、実施態様1に記載の方法。
【0084】
(11) 対象の頭部スキャンのボクセルから導出された頭部構造のグラフィック表示内に3次元(3D)外科手術経路をマッピング及び表示するための装置であって、前記装置は、
前記対象の前記頭部スキャンのボクセルを記憶するように構成されたデータ記憶装置と、
前記頭部スキャンに基づいて、前記対象の頭部構造の断面ビュー及び斜視ビューを提供するように構成されたプロセッサ及び関連する表示デバイスと、
ユーザが、前記3D外科手術経路のエンドポイントとして、初期入口ボクセルVxe、ye、ze及び外科手術部位標的ボクセルVxt、yt、ztを選択するように構成されたボクセル選択デバイスと、を備え、
前記プロセッサは、一連のボクセルを、前記入口ボクセルVxe、ye、zeと前記標的ボクセルVxt、yt、ztとの間の各ボクセルが、前記一連のもののうちの直前のボクセルと直後のボクセルの両方の近隣ボクセルになり、前記3D外科手術経路を画定するようにマッピングするように構成されており、
直前のボクセルを有する前記一連内の各ボクセルVxi、yi、ziについて、前記プロセッサは、ボクセルVxi、yi、ziの前記直前のボクセルの近隣ボクセルを除外した、ボクセルVxi、yi、ziの近隣ボクセルのグループの中から、ボクセルVxi、yi、ziの前記直後のボクセルを、
前記エンドポイントボクセルVxe、ye、ze及びVxt、yt、ztに対する相対距離、並びに少なくとも閾値密度を表す所定の距離内のボクセルからの相対距離を含む選択された基準に基づいて、近隣ボクセルの前記グループのうちの各ボクセルの選択重みを判定することと、
判定された前記選択重みの比較に基づいて、ボクセルVxi、yi、ziの前記直後のボクセルを選択することと、によって、選択するように構成されており、
前記プロセッサが、前記表示デバイス上の頭部構造の画像において前記3D外科手術経路の前記ボクセルを選択的に強調して、前記3D外科手術経路の視覚化を提供するように構成されている、装置。
(12) 前記プロセッサは、ボクセルの選択重みを前記判定するために前記プロセッサによって使用される前記選択された基準が、少なくとも前記閾値密度を表すボクセルが前記所定の距離内にある場合のペナルティを含むように構成されている、実施態様11に記載の装置。
(13) 前記プロセッサは、
前記ペナルティが、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づき、
前記閾値密度が、マイナス500(-500)Huとして設定され、
前記所定の距離が、0.8mmであるように構成されている、実施態様12に記載の装置。
(14) 前記プロセッサは、
前記3D外科手術経路が、前記入口ボクセルVxe、ye、zeにおいて開始すると判定され、
各ボクセルVxi、yi、ziの近隣ボクセルの前記グループのうちの各ボクセルの選択重みが、前記入口ボクセルVxe、ye、zeに対する相対近接度、及び前記標的ボクセルVxt、yt、ztからの相対距離を含む選択された基準に基づいて判定され、
ボクセルの選択重みを前記判定するために前記プロセッサによって使用される前記選択された基準が、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づくペナルティを含む、ように構成されている、実施態様11に記載の装置。
(15) 前記プロセッサは、
前記ペナルティが、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づき、
前記閾値密度が、マイナス500(-500)Huとして設定され、
前記所定の距離が、0.8mmであるように構成されている、実施態様14に記載の装置。
【0085】
(16) 前記プロセッサは、
前記3D外科手術経路が、前記標的ボクセルVxt、yt、ztにおいて開始すると判定され、
各ボクセルVxi、yi、ziの近隣ボクセルの前記グループのうちの各ボクセルの選択重みが、前記入口ボクセルVxe、ye、zeからの相対距離、及び前記標的ボクセルVxt、yt、ztに対する相対近接度を含む選択された基準に基づいて判定され、
ボクセルの選択重みを前記判定するために前記プロセッサによって使用される前記選択された基準が、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づくペナルティを含む、ように構成されている、実施態様11に記載の装置。
(17) 前記プロセッサは、
前記ペナルティが、前記所定の距離と、少なくとも前記閾値密度を表す最も近いボクセルからの前記ボクセルの距離との間の差に基づき、
前記閾値密度が、マイナス500(-500)Huとして設定され、
前記所定の距離が、0.8mmであるように構成されている、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記プロセッサは、前記閾値密度が、骨の密度になるように設定されるように構成されている、実施態様11に記載の装置。
(19) 前記プロセッサは、前記頭部構造の表示ビュー内で前記3D外科手術経路の前記ボクセルを前記選択的に強調することが、前記表示ビュー内に隠れている前記3D外科手術経路の部分のボクセルの異なる強調を適用することを含むように構成されている、実施態様11に記載の装置。
(20) 遠位端を有するカテーテルであって、外科手術ツールが、前記遠位端から動作できる、カテーテルと、
前記プロセッサに結合された関連するカテーテル位置感知機器と、を更に備え、
前記位置感知機器は、前記カテーテルの前記遠位端が前記対象の頭部に挿入されたときに、前記プロセッサが前記カテーテルの前記遠位端の前記位置を追跡することを可能にする信号を提供するように構成されており、
前記プロセッサが、カテーテル移動の対応する視覚化を表示するように前記表示デバイスを制御するように構成されており、その結果、ユーザが、前記3D外科手術経路の表示ビューを使用して、前記カテーテルの前記遠位端を、前記初期入口ボクセルVxe、ye、zeに対応する前記対象の頭部内の物理的位置において開始して、前記3D外科手術経路に沿って前記対象の前記頭部に挿入して、前記カテーテルの前記遠位端を、前記外科手術部位標的ボクセルVxt,、yt、ztに対応する物理的位置に位置付けることを可能にする、実施態様11に記載の装置。
【国際調査報告】