(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-03
(54)【発明の名称】リチウムイオンバッテリ
(51)【国際特許分類】
H01M 10/052 20100101AFI20230224BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20230224BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20230224BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20230224BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20230224BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20230224BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20230224BHJP
H01M 50/107 20210101ALI20230224BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20230224BHJP
【FI】
H01M10/052
H01M4/38 Z
H01M4/36 A
H01M4/36 B
H01M4/62 Z
H01M4/36 C
H01M4/36 E
H01M4/525
H01M4/505
H01M10/0568
H01M50/107
H01M4/134
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022555905
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(85)【翻訳文提出日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 IB2021051096
(87)【国際公開番号】W WO2021191695
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519445152
【氏名又は名称】テクトロニック コードレス ジーピー
【氏名又は名称原語表記】Techtronic Cordless GP
【住所又は居所原語表記】100 Innovation Way Anderson SC 29621 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100196449
【氏名又は名称】湯澤 亮
(72)【発明者】
【氏名】ファトゥー、デニス ガストン
(72)【発明者】
【氏名】スブラマニアン、アディティア
【テーマコード(参考)】
5H011
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H011AA03
5H029AJ03
5H029AK03
5H029AL11
5H029AL18
5H029AM07
5H029BJ02
5H029BJ04
5H029CJ08
5H029HJ01
5H029HJ04
5H029HJ05
5H029HJ17
5H029HJ19
5H050AA08
5H050BA17
5H050CA08
5H050CB11
5H050CB29
5H050EA08
5H050EA23
5H050GA10
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA17
5H050HA19
(57)【要約】
【解決手段】 高エネルギー密度を有するリチウムイオンバッテリ構成を提供するシステム及び方法が開示される。実施形態は、30~85重量%のシリコンを含むアノードを備えるリチウムイオンバッテリを提供し、それによってリチウムイオンバッテリの高いエネルギー密度及び高いN:P比を促進する。高いN:P比は、リチウムイオンバッテリの迅速な充電及び低温充電能力を更に可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
30重量%超のシリコンを含むアノードと、
リチウム金属酸化物を含むカソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に配置された電解質とを含むリチウムイオンバッテリ(LiB)であって、
少なくとも800Wh/Lのエネルギー密度を有するように構成される、リチウムイオンバッテリ。
【請求項2】
前記リチウムイオンバッテリが1.2超のN:P比を有し、前記N:P比が前記アノード対前記カソードの面積容量比を表わす、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項3】
1.2~4.0の範囲のN:P比を有する、請求項2に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項4】
前記アノードが31~85重量%のシリコンを含む、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項5】
前記アノードがシリコンナノワイヤー、炭素に封入されたシリコン、シリコン-グラフェンブレンド、前記アノード上のシリコンの膨張を軽減するように構成されたシリコンと弾性ポリマーとの混合物、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項6】
前記シリコンナノワイヤーが、100~1000nmの範囲の平均直径を有する、請求項5に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項7】
前記シリコンナノワイヤーがスズ、ゲルマニウム、鉄、アルミニウム、マグネシウム、又はそれらの任意の組合せなどのドーパントを更に含む、請求項5に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項8】
炭素に封入された前記シリコンが、0.1~4の範囲のシリコン対炭素重量比を有する、請求項5に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項9】
炭素に封入された前記シリコンが0.5~10μmの平均直径を有する、請求項5に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項10】
前記弾性ポリマーがポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項5に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項11】
前記シリコン-グラフェンブレンドが、0.5~4の範囲のシリコン対グラフェン重量比を有する、請求項5に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項12】
前記アノードが、前記シリコン上にコートされるか又は前記シリコンと混合される炭素系材料を更に含む、請求項5に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項13】
前記炭素系材料が黒鉛、グラフェン、又は他の炭素系材料を含む、請求項12に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項14】
前記炭素系材料と混合された前記シリコンが、10~30μmの範囲の厚さを有する、請求項12に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項15】
前記アノードの前記シリコンが、スズ、アンチモン、ゲルマニウム、又はそれらの任意の組合せを含む二次材料と混合される、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項16】
前記二次材料が、100:1~1:100のシリコン対二次材料の重量比でシリコンと混合される、請求項15に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項17】
前記アノードが、3400~4200mAh/gの間の容量/単位体積を有するように構成される、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項18】
前記リチウム金属酸化物がニッケルを含む、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項19】
前記リチウム金属酸化物がLi
aNi
xA
yB
zO
2(式中、a≧1、x≧0.5、y+z=1-x)の式を有する、請求項18に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項20】
Aが、Mn、Co、Ni、Al、及びそれらの組合せからなる群から選択され、Bが、Co、Mn、Ni、Al、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項19に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項21】
x:y:zの比が、6:2:2、8:1:1、及び9:0.5:0.5からなる群から選択される、請求項19に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項22】
前記カソードの前記リチウム金属酸化物が、コア-シェル勾配構造物の外側シェルからコアへとNiの濃度が増加する前記コア-シェル勾配構造物中に存在する、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項23】
前記電解質が難燃性である、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項24】
前記難燃性電解質がイオン性液体を含む、請求項23に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項25】
前記イオン性液体がカチオン及びアニオンを含み、前記カチオンがイミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、又はそれらの任意の組合せを含み、前記アニオンが臭化物、塩化物、ヨウ化物、リン酸塩、BF4-、PF6-、TFSI-、FSI-、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項24に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項26】
250Wh/kg超のエネルギー密度を有する、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項27】
250~450Wh/kgの範囲のエネルギー密度を有する、請求項26に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項28】
円筒形態、角柱形態、又はパウチ形態である、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項29】
21700円筒形セル形態において6Ahの容量を有するように構成される、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項30】
前記6Ahの21700セル形態の前記リチウムイオンバッテリが、連続で約30Aの放電率能力及び2秒間100Aのパルス電力能力を有するように構成される、請求項29に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項31】
電動工具に電力を供給するように構成される、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年3月23日に出願された、米国特許出願第16/827,365号の優先権の利益を主張するものであり、同出願は、全体として参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は一般的にバッテリに関する。より詳しくは、本発明は、高電力及び高エネルギー密度並びに高熱安定性を提供するように構成されたリチウムイオンバッテリに関する。
【背景技術】
【0003】
様々な形のバッテリの使用は、今日の世界でほとんどどこにでも存在するようになった。電動工具(例えば、ドリル、のこぎり、草刈り機、送風機、研磨機など)、小型電気製品(例えば、ミキサ、ブレンダ、コーヒーグラインダなど)、通信デバイス(例えば、スマートフォン、パーソナル・デジタル・アシスタントなど)、及びオフィス機器(例えば、コンピュータ、タブレット、プリンタなど)などの、ポータブル又はコードレスデバイスがますます普及しているので、様々な化学的性質及び構成のバッテリ技術の使用は、普通である。
【0004】
リチウムイオンバッテリ(LiB)構成は、ポータブルデバイス又はコードレスデバイス、及び電気自動車に対して使用するために近年好評を得ている。LiBは、NiCdなどのバッテリ構成ほど安定していない化学的性質(例えば、可燃性電解質を含有する)を場合によっては提供するが、それにもかかわらず、多くの再充電可能バッテリ構成(例えば、NiCd及びNiMH(ニッケル金属水素化物))よりも高いエネルギー密度及びより低い毒性レベルを有し、典型的に復元効果を有さず、低自己放電を受け、したがって現在のポータブルデバイス又はコードレスデバイスに一般的に利用される再充電可能バッテリ構成を提供する。
【0005】
ポータブルデバイス又はコードレスデバイスのサイズ及び重量はしばしば重要な問題である。バッテリパックの形態の複数の単一バッテリをしばしば備える、オンボード再充電可能バッテリシステムのサイズ及び重量はしばしばポータブルデバイス又はコードレスデバイスの全サイズ及び/又は重量にかなり寄与するので、再充電可能バッテリのサイズ及び重量は、ホストデバイスの設計に重要になり得る。このようなサイズ及び重量問題は、ホストポータブルデバイス又はコードレスデバイス、又は電気自動車の有効且つ所望の使用を可能にする十分な電力の蓄積及び供給の必要性と相殺される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
現在入手可能なリチウムイオンバッテリは、いくつかの欠点がある。例えば、最も一般的に使用されるアノード材料の1つとして黒鉛は、その制限された容量/単位体積及び/又は/単位重量のためにリチウムイオンバッテリのエネルギー密度の著しい改良を妨げる主な制限要因の1つになっている。例えば、100%完全リチウム化黒鉛は100%完全リチウム化シリコンの3400~4200mAh/gと比較して330~372mAh/gの容量を有するが、バッテリ製造分野においてこれらの材料を利用する方法がその全容量を構成するということにならない。より高いエネルギー密度を有するバッテリに対する需要が増え続けているので、シリコンなどの、ずっとより高い容量を有する他の材料がアノード容量を改良するために黒鉛への添加剤として使用されている。しかしながら、シリコンは、リチウムイオンバッテリのアノードにおいて使用される場合、バッテリが充電されるときにかなり(300%まで)膨張する傾向があり、シリコンの膨張を吸収する余分のバッテリ体積が必要となり、バッテリ又はバッテリセルの限られた空間内でのアノードの膨張はバッテリ又はバッテリセルの構造的完全性、衝撃性能及びエネルギー密度をそれぞれ損なう可能性があるので、これは安全性の問題を引き起こす。更にアノード中のシリコンの膨張は、接着性の問題を生じ得、アノード中で余分のバインダーを使用する必要が生まれる。現在入手可能なリチウムイオンバッテリのアノードは一般的に、これらの問題(例えば、シリコンの膨張による)を避けるために約30重量%の最大シリコン濃度に抑えた。したがって、シリコンが30重量%を超えるアノードは現在、リチウムイオンバッテリのエネルギー密度及び/又は電力密度を改良しようとするとき、まだ解決されていない設計上の制約を意味する。
【0007】
更に、現在入手可能なリチウムイオンバッテリは比較的遅い充電速度を有し、それは多くの分野においてそれらの適用を制限し得る。より具体的には、アノードにおいて使用される黒鉛は制限された容量/単位体積及び/単位重量を有するので、商用リチウムイオンバッテリにおいて1よりわずかに大きいN:P比(例えば、1.05のN:P比)が一般的に使用され、アノード(黒鉛)の占有面積を制限する。カソード容量に対してアノード容量の過剰量を抑えることによって、現在入手可能なリチウムイオンバッテリは、過充電によって引き起こされる好ましくない効果を避けるためにゆっくりと充電されなければならない。現在入手可能なリチウムイオンバッテリの遅い充電の別の理由は、充電中、黒鉛アノードがリチウム還元電位に達し、それは迅速な充電プロセス及び/又は低温充電条件下でリチウムデンドライトを形成し得るということである。
【0008】
リチウムイオンバッテリに伴なう上記の問題の少なくとも一部の解決策は、30~85重量%のシリコン含有量を有するアノードを含むリチウムイオンバッテリを達成することが分かっており、これを可能にしている。とりわけ、シリコンは黒鉛よりもかなり高い容量/単位体積及び/単位重量を有するので、アノード中の高いシリコン含有量は、リチウムイオンバッテリ内のアノードの全体積及び/又は重量を低減するのに役立つことができる。これは、予め決められた容量に達するために必要とされるリチウムイオンバッテリの体積を少なくとも低減し、改良されたエネルギー密度をもたらすために有利であり得る。アノード中のシリコンの高い濃度は、低量のシリコンを含有するか又は実質的に含有しないアノードと比較してリチウムイオンバッテリのアノードの厚さの低減を更に容易にする。
【0009】
更に、開示されたリチウムイオンバッテリのアノードを形成するために利用されるシリコン材料は、バッテリが充電されるとき(又は充電しているとき)限られた体積膨張を示すように構成され、それによってシリコンの膨張を吸収する余分のバッテリ体積の必要性を抑え、バッテリの限られた空間内のシリコンの膨張によって引き起こされるリスクを低減し、リチウムイオンバッテリ内の85重量%ものアノードのシリコン含有量を最終的に可能にする。例えば、シリコンが好ましい方向に沿ってだけ膨張し、したがってバッテリセル内の全膨張を制御する、直径対長さ比の高アスペクト比を有するシリコンナノワイヤー。また、グラフェンシートはシリコンの膨張粒子を抑えるための軟質膜として機能しているので、軟質グラフェンシートによって封入されるシリコン粒子を使用することもできる。また、アノード中に過剰なシリコンを組み込んで、シリコンが完全な体積膨張を開始するのを防ぐことができる。最後になったが、シリコン酸化物はシリコンと比較してより低い体積膨張があるがより低い容量を有するので、アノードの容量と体積膨脹とのバランスポイントを見出すためにアノード中のシリコンの少なくとも一部はシリコン酸化物の形態であり得る。
【0010】
更に、黒鉛の容量の約5~10倍である、アノード中の高濃度のシリコンの使用は開示されたリチウムイオンバッテリの高いN:P比(陰極の容量対陽極の容量)をもたらすことができる。カソード容量を上回る過剰なアノード容量は、好ましくない効果の問題を最小限にして、リチウムイオンバッテリの迅速な充電及び/又は低温充電を促進することができる。シリコンの過剰なアノードは、アノードがリチウムめっき電位に達するのを防ぎ且つリチウムデンドライトの形成を防ぐのに役立つように構成される。更に、開示されたリチウムバッテリはイオン性液体を含む難燃性電解質を備えることができ、それによって開示されたリチウムイオンバッテリの安全性を高める。
【0011】
本発明の実施形態における、開示されたリチウムイオンバッテリは、限定されないが、電動工具、真空掃除機、芝道具及び庭道具、電気自動車、ポータブルスマートデバイスなどの様々なデバイスにおいて使用するために必要とされる安全基準を満たしながら、現在入手可能なリチウムイオンバッテリと比較してかなり改良されたエネルギー密度を示す。本発明の実施形態に従って、リチウムイオンバッテリは、少なくとも1.2~4のN:P比のために約0℃の低温並びに5C~10Cまで(例えば、それぞれ、12~6分以内の充電)及び約-20℃の低温で4Cまで(すなわち15分)の充電速度で充電することができ、それによって、低温環境で運転及び充電される必要があるデバイス及び/又は電気自動車内でリチウムイオンバッテリを使用することを更に可能にする。「充電速度(Charge rate)」は、電流として又は「Cレート」として定義することができる。したがって、開示されたリチウムイオンバッテリは、低いエネルギー密度、遅い充電速度、及び低温で再充電する能力がないことなどの上記の現在入手可能なリチウムイオンバッテリを超える技術的達成を提供する。
【0012】
以下には、本明細書の全体にわたって使用される様々な用語及び語句の定義が挙げられる。
【0013】
用語「約(about)」又は「約(approximately)」は、当業者によって理解されるようにほぼ~と定義される。非限定的な一実施形態においてこの用語は、10%以内、好ましくは、5%以内、より好ましくは、1%以内、及び最も好ましくは、0.5%以内であると定義される。
【0014】
用語「重量%(wt.%)」、「体積%(vol.%)」、又は「モル%(mol.%)」は、構成要素を含む材料の全重量、全体積、又は全モル数に基づいて、それぞれ、構成要素の重量、体積、又はモル百分率を意味する。非限定的な例において、材料100モル中の構成要素10モルは、構成要素10モル%である。
【0015】
用語「実質的に」及びその別形態は、10%以内、5%以内、1%以内、又は0.5%以内の範囲を含むと定義される。
【0016】
用語「抑制する(inhibiting)」又は「低減する(reducing)」又は「防ぐ(preventing)」又は「避ける(avoiding)」又はこれらの用語の任意の別形態は、クレーム及び/又は明細書において使用されるとき、所望の結果を達成するための任意の測定可能な減少又は完全な抑制を含む。
【0017】
用語「有効な」は、その用語が明細書及び/又はクレームにおいて使用されるとき、所望の、予想された、又は意図された結果を出すために十分な、を意味する。
【0018】
クレーム又は明細書中の「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」又は「有する(having)」と共に使用されるときに「a」又は「an」という語の使用は、「1つの(one)」を意味し得るが、それはまた、「1つ以上の」、「少なくとも1つの」、及び「1つ又は2つ以上の」の意味と一致している。
【0019】
「含む(comprising)」(並びに「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの含む(comprising)の任意の形態)、「有する(having)」(並びに「有する(have)」及び「有する(has)」などの有する(having)の任意の形態)、「含む(including)」(並びに「含む(includes)」及び「含む(include)」などの含む(including)の任意の形態)又は「含有する(containing)」(並びに「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」などの含有する(containing)の任意の形態)という語は包括的又は非限定的(open-ended)であり、追加の、記載されていない要素又は方法の工程を排除しない。
【0020】
本発明の方法は、明細書全体にわたって開示された特定の成分、構成要素、組成物等を「含む(comprise)」、「本質的に~からなる(consist essentially of)」又は「からなる(consist of)」ことができる。移行句「本質的に~からなる(consisting essentially of)」に対して、1つの非限定的な態様において、本発明の感圧接着剤の基本的且つ新規な特性は、選択された電磁線に応答してポリマー切断を開始するそれらの能力である。
【0021】
上記は、以下の本発明の詳細な説明がよりよく理解され得るように、本発明の特徴及び技術的利点をかなり大まかに概説した。本発明の特許請求の範囲の主題を形成する、本発明の追加の特徴及び利点を以下に説明する。開示された概念及び具体的な実施形態が、本発明の同じ目的を遂行するための他の構造を修正又は設計するための基礎として容易に利用され得ることは、当業者によって認識されるべきである。同様に、そのような均等構成が、添付の特許請求の範囲に明記された本発明の趣旨及び範囲から逸脱しないことは、当業者によって了解されるべきである。本発明に特有であると考えられる新規な特徴は、その組織及び動作方法の両方に関して、さらなる目的及び利点とともに、添付図と関連して考慮されるとき、以下の説明からよりよく理解されるであろう。しかしながら、各図は、例示及び説明のみを目的として提供され、本発明の限定の定義として意図されていないことが明確に理解されるはずである。
【0022】
本発明のより完全な理解のために、ここで、添付図面と併用される以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態によるリチウムイオンバッテリの略図を示す。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態によるリチウムイオンバッテリのアノードのための基礎材料として使用され得るシリコンナノワイヤーの略図を示す。
【
図3】
図3は、リチウムイオンバッテリが充電されるか又は充電しているときに体積膨張を軽減するように構成されたシリコン「卵-卵黄」モデルの図解を示す。
図3Aは、「卵-卵黄」モデルのシリコン材料が放電されることを示す。
図3Bは、「卵-卵黄」モデルのシリコン材料が充電されることを示す。
【
図4】
図4は、それぞれ放電時及び充電時の、本発明の実施形態によるリチウムイオンバッテリのアノードのためのグラフェン及び/又はポリマーによって封入されるシリコン粒子(シリコン塊状材料)の態様を示す。
【
図5】
図5は、コア部分からシェル部分の外部表面までニッケル勾配を有するリチウム金属酸化物のコア-シェル構成の略図を示す。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態によるリチウムイオンバッテリを製造するための方法のフローチャート略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
リチウムイオンバッテリは、リチウムイオンバッテリが提供する高いエネルギー密度及び電力密度のために様々なデバイス及び電気自動車において使用される。これらのデバイス及び電気自動車の性能及び出力は連続的に改良されるので、より高いエネルギー密度を有するバッテリに対する需要は急速に高まっている。しかしながら、アノードの低い容量及び限られた充電速度などのいくつかの問題が、改良されたリチウムイオンバッテリの開発における障害になっている。
【0025】
現在入手可能なリチウムイオンバッテリに見い出されるアノードのために最も一般的に使用される材料である黒鉛は比較的低い容量/単位体積及び/又は/単位重量を有し、これはバッテリセルの限られた空間内での電力容量を増加させる可能性を狭める。個々数年にわたって、黒鉛の容量/単位体積及び/又は/単位重量の5~10倍を示すシリコンは、リチウムイオンバッテリのアノードの容量を改良するために黒鉛への添加剤として使用されている。しかしながら、これらの現在入手可能なリチウムイオンバッテリ内のシリコンは、バッテリが充電されるときにかなり膨張し、リチウムイオンバッテリ内の余分の体積が必要となり、バッテリ内のシリコンの膨張によって生じる安全性の問題を引き起こす。本発明は、現在入手可能なリチウムイオンバッテリに伴なう上述の問題の少なくとも一部の解決策を提供する。開示された解決策は、充電中に制限された又はごくわずかな体積膨張を示し、それによって安全性の問題を軽減し且つリチウムイオンバッテリ内のシリコンの膨張を吸収する余分のスペースの必要性を低減するように構成された、30重量%超、好ましくは40重量%超、及び85重量%ものシリコンを含むアノードを備えるリチウムイオンバッテリを前提としている。
【0026】
本発明のこれらの及びその他の非限定的な態様は、以下の欄において更に詳細に考察される。
【0027】
A.リチウムイオンバッテリ
本発明の実施形態では、リチウムイオンバッテリは、アノード、カソード、及び電解質を含む。リチウムイオンバッテリは、従来のリチウムイオンバッテリと比較してかなり改良されたエネルギー密度を有することができる。
図1を参照して、リチウムイオンバッテリ100の略図が示される。
【0028】
本発明の実施形態に従って、リチウムイオンバッテリ100はアノード101を備える。アノード101は、シリコン系材料を含むアノード活性層102を備えることができる。シリコン系材料の非限定的な例には、シリコン、及びシリコン酸化物(SiOx)が含まれ得る。いくつかの場合では、アノード101は30重量%超のシリコン系材料を含む。いくつかの場合では、アノード101は、30~85重量%のシリコン系材料、及び30~35重量%、35~40重量%、40~45重量%、45~50重量%、50~55重量%、55~60重量%、60~65重量%、65~70重量%、70~75重量%、75~80重量%、及び80~85重量%の範囲などのその間の全ての範囲及び値を含むことができる。いくつかの他の態様では、アノード101は75~85重量%のシリコン系材料を含むことができる。アノード101のシリコン系材料は、リチウムイオンバッテリ100が充電しているか又は充電されるときに50体積%未満で膨張するように構成することができる。いくつかの態様では、シリコンを含むアノード101は、アノード101において使用されるシリコン材料の種類に応じて、全充電プロセスの間に50~100体積%膨張することができる。本発明の実施形態では、シリコン系材料30~85重量%を含むアノード101は、シリコンを含まない黒鉛アノードと比較して10倍までのアノード容量、及び30重量%のシリコン濃度を有する黒鉛アノードと比較して5倍までのアノード容量を有するように構成することができる。いくつかの場合では、30重量%のシリコンを有するアノード101は、700mAh/gまでの容量を有することができ、85重量%のシリコンを有するアノード101は、3400mAh/gの容量を有することができ、それは黒鉛の容量の10倍である。
【0029】
いくつかの態様では、アノード101のシリコン系材料には、シリコンナノワイヤー(
図2に示される)、炭素に封入されたシリコン(
図4A及び4Bに示される)、シリコンとグラフェンのブレンド、シリコンと弾性ポリマーとの混合物、シリコン酸化物、又はそれらの任意の組合せが含まれ得る。アノード101のシリコンナノワイヤーは、その上に堆積されるドーパントを更に含むことができる。ドーパントの非限定的な例には、スズ、ゲルマニウム、鉄、アルミニウム、マグネシウム、又はそれらの任意の組合せが含まれ得る。不動態化剤はナノ粒子の形態であり得る。いくつかの態様では、シリコンナノワイヤーは、100~1000nmの範囲及びその間の全ての範囲及び値の平均直径を有することができる。いくつかの場合では、アノード101のシリコンナノワイヤーは、エッチング、化学的蒸着、物理的蒸着、沈殿、及び/又は融蝕によって製造することができる。
【0030】
いくつかの態様では、アノード101のシリコン系材料は、
図3A及び3Bに示される「卵-卵黄」モデルに従う「卵-卵黄」構成において構成することができる。
図3Aに示されるように、「卵-卵黄」構成を有するシリコン系材料は、その内側部分にキャビティを有することができる。リチウムイオンバッテリ100が充電されるとき、キャビティは、全体積を実質的に変化させないままで、収縮してシリコンの膨張を吸収することができる(例えば、シリコンの全径R
1は、
図3A及び3Bに示されるように、充放電されるときに実質的に同じであり得る)。リチウムイオンバッテリ100が放電されるとき、シリコンの膨張は実質的に逆になり得、キャビティは実質的にその原寸に回復することができる。
【0031】
いくつかの態様では、アノード101のシリコン系材料は、炭素に封入されたシリコンを含むことができ、炭素に封入されたシリコンは、0.5~10μmの平均直径及び0.5~1μm、1~1.5μm、1.5~2.0μm、2.0~2.5μm、2.5~3.0μm、3.0~3.5μm、3.5~4.0μm、4.0~4.5μm、4.5~5.0μm、5.0~5.5μm、5.5~6.0μm、6.0~6.5μm、6.5~7.0μm、7.0~7.5μm、7.5~8.0μm、8.0~8.5μm、8.5~9.0μm、9.0~9.5μm、9.5~10μmの範囲などのその間の全ての範囲及び値の平均直径を有するシリコン粒子(シリコン塊状材料)を含むことができる。炭素に封入されたシリコンは、0.1~4の範囲並びに0.1~0.4、0.4~0.8、0.8~1.2、1.2~1.6、1.6~2.0、2.0~2.4、2.4~2.8、2.8~3.2、3.2~3.6、及び3.6~4.0の範囲などのその間の全ての範囲及び値の全シリコン対炭素の重量比を有することができる。シリコンを封入する炭素は、黒鉛、グラフェン、炭素灰、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。本発明の実施形態では、炭素に封入されたシリコンは、エッチング、化学的蒸着(CVD)、物理的蒸着(PVD)、沈殿、及び融蝕によって製造される。
図4A及び4Bに示されるように、リチウムイオンバッテリ100が充電されるとき、グラフェン及び/又はポリマー封入層はシリコンの膨張を抑制するように構成され得、リチウムイオンバッテリ100のシリコンの膨張の軽減をもたらすことができる。リチウムイオンバッテリ100が放電されるとき、シリコン粒子及びグラフェン及び/又はポリマー封入層は、それらの元の形状を実質的に回復し得る。
【0032】
いくつかの態様では、アノード101のシリコン系材料はシリコン-グラフェンブレンドを含むことができ、シリコン-グラフェンブレンドは、0.1~4の範囲のシリコン対グラフェン重量比並びに0.1~0.4、0.4~0.7、0.7~1、1~1.3、1.3~1.6、1.6~1.9、1.9~2.2、2.2~2.5~2.8、2.8~3.1、3.1~3.4、3.4~3.7、及び3.7~4.0の範囲などのその間の全ての範囲及び値のシリコン対グラフェン重量比を有することができる。いくつかの場合では、シリコン-グラフェンブレンドは、0.5~10μmの平均粒度並びに0.5~1.0μm、1.0~2.0μm、2.0~3.0μm、3.0~4.0μm、4.0~5.0μm、5.0~6.0μm、6.0~7.0μm、7.0~8.0μm、8.0~9.0μm、及び9.0~10μmの範囲などのその間の全ての範囲及び値の平均粒度を有することができる。シリコン-グラフェンブレンドのシリコン粒子は、性質において単峰性又は二峰性であり得る。シリコン-グラフェンブレンドのシリコン粒子は、球形、楕円形、円筒形、直交形、又はそれらの組合せであり得る。
【0033】
いくつかの態様では、アノード101のシリコン系材料は、0.5~6の範囲のシリコン対ポリマー重量比並びに0.5~1、1~1.5、1.5~2.0、2.0~2.5、2.5~3.0、3.0~3.5、3.5~4.0、4.0~4.5、4.5~5.0、5.0~5.5、及び5.5~6.0の範囲などのその間の全ての範囲及び値のシリコン対ポリマー重量比を有するシリコンと弾性ポリマーとの混合物を含むことができる。弾性ポリマーの非限定的な例には、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、及びそれらの組合せが含まれ得る。いくつかの場合では、シリコンと弾性ポリマーとの混合物は、球形及び/又は楕円形粒子を有する粉末形態である。本発明の実施形態では、シリコンと弾性ポリマーとの混合物は、沈殿、混合、ベーキング、及び/又はそれらの任意の組合せによって製造される。本発明の実施形態では、シリコン粒子の封入は、シリコンナノ粒子の形状を変化させない場合がある。
【0034】
本発明の実施形態では、アノード活性層102は、炭素系材料を更に含む。炭素系材料をシリコン系材料と混合することができ、及び/又はシリコン系材料の上にコートすることができる。炭素系材料は、膨張を防ぎ及び/又はシリコン系材料の導電率を改良するように構成される。炭素系材料の非限定的な例には、黒鉛、グラフェン、炭素灰、及びそれらの組合せが含まれ得る。いくつかの場合では、炭素系材料は、沈殿、混合、ベーキング、CVD、PVD、又はそれらの任意の組合せによってシリコン上にコートされ得る。いくつかの場合では、シリコン系材料の上の炭素系材料のコーティングは、5~1000nmの範囲並びに5~10nm、10~20nm、20~30nm、30~40nm、40~50nm、50~60nm、60~70nm、70~80nm、80~90nm、90~100nm、100~200nm、200~300nm、300~400nm、400~500nm、500~600nm、600~700nm、700~800nm、800~900nm、及び900~1000nmの範囲などのその間の全ての範囲及び値の厚さを有することができる。本発明の実施形態では、アノード101中のシリコン系材料は、二次材料と更に混合される。二次材料の非限定的な例には、スズ、アンチモン、ゲルマニウム、及びそれらの組合せが含まれ得る。二次材料は、1:100~100:1のシリコン対二次材料の重量比及びその間の全ての範囲及び値でシリコンと混合され得る。
【0035】
本発明の実施形態では、アノード101は、第1の金属層103を含む。第1の金属層103は、金属シート及び/又は金属箔を含むことができる。いくつかの場合では、第1の金属層103は銅を含む。本発明の実施形態では、シリコン系材料及び/又は炭素系材料を含むアノード活性層102は、第1の金属層103の一方の表面又は両方の表面上にコートされる。いくつかの態様では、アノード活性層102は第1の金属層103上にコートされる。アノード活性層102の厚さは、アノード101の目標容量に基づいて決定することができる。いくつかの場合では、第1の金属層103上のアノード活性層102の厚さは、10~50μmの範囲並びに10~12μm、12~14μm、14~16μm、16~18μm、18~20μm、20~22μm、22~24μm、24~26μm、26~28μm、28~30μm、30~32μm、32~34μm、34~36μm、36~38μm、38~40μm、40~42μm、42~44μm、44~46μm、46~48μm、及び48~50μmの範囲などのその間の全ての範囲及び値であり得る。いくつかの態様では、アノード活性層102は、ドクターブレード、スロットダイコーター、コンマコーター、又はそれらの任意の組合せの方法によって第1の金属層103上にコートされる。
【0036】
本発明の実施形態に従って、リチウムイオンバッテリ100は、カソード110を含む。本発明の実施形態におけるカソード110は、リチウム金属酸化物を含むカソード活性層112を備える。いくつかの態様では、カソード110のリチウム金属酸化物は、LiaNixAyBzO2(式中、a≧1、x≧0.5、y+z=1-x)の式を有することができる。Aの非限定的な例には、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)、及びそれらの組合せが含まれ得る。Bの非限定的な例には、コバルト(Co)、マンガン(Mg)、アルミニウム(Al)、及びそれらの組合せが含まれ得る。いくつかの場合では、x:y:zの比は6:2:2、8:1:1、又は9:0.5:0.5であり得る。x:y:zの比は、限定によってではなく、説明目的のために提供された前述の3つの実施例に限定されないことは理解されるはずである。いくつかの場合では、カソード110は、リチウム、ニッケル、マンガン、コバルト酸化物、又はリチウム、ニッケル、コバルト、アルミニウム酸化物を含む。いくつかの他の場合では、カソード100は、酸化リチウムニッケル、又は酸化リチウムマンガンを含む。
【0037】
いくつかの態様では、カソード110のリチウム金属酸化物は、
図5に示されるように、コア-シェル勾配構造物の外側シェルからコアへとNiの濃度が増加するコア-シェル勾配構造物中に存在する。いくつかの場合では、
図5に示されるように、カソード110のリチウム金属酸化物のコア-シェル構造物のコア部分は、80重量%までのNiを含むことができ、シェル部分のNi濃度は、シェル部分の内層中約80重量%までからシェル部分の外層中33重量%まで減少することができる。リチウム金属酸化物のコア-シェル勾配構造物は、共沈殿プロセスによって製造することができる。いくつかの態様では、リチウム金属酸化物は、ドーパント又は表面コーティングを含むことができる。ドーパント又は表面コーティングの非限定的な例には、炭素、ジルコニウム、アルミニウム、ゲルマニウム、及びそれらの組合せが含まれ得る。
【0038】
本発明の実施形態では、カソード110は第2の金属層113を備え、カソード活性層112は第2の金属層113の一方又は両方の面上にコートされる(第2の金属層113はカソード110において使用される金属層を意味し、用語「第2の」は、カソードの金属層113をアノードの第1の金属層から区別するために使用されると理解されるはずである。したがって用語「第2の」は、カソード110が2つの金属層を備えることを必要とすると理解されるべきではない)。いくつかの態様では、第2の金属層113はアルミニウムを含む。カソード活性層112は、第2の金属層113上に20~100ミクロン(第2の金属層113の各面につき)及びその間の全ての範囲及び値の厚さでコートされ得る。カソード活性層112は、第2の金属層113上にコンマコーター、スロットダイコーター、又はドクターブレードによってコートされ得る。
【0039】
本発明の実施形態に従って、リチウムイオンバッテリ100は、アノード101とカソード110との間に配置された電解質を含む。電解質は難燃性電解質であり得る。いくつかの態様では、難燃性電解質はイオン性液体を含む。イオン性液体はプロトン性又は非プロトン性であり得る。イオン性液体はカチオン及びアニオンを含む。カチオンの非限定的な例には、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム、及びそれらの組合せが含まれ得る。アニオンの非限定的な例には、臭化物、塩化物、ヨウ化物、リン酸塩、BF4
-、PF6
-、TFSI-、FSI-、及びそれらの組合せが含まれ得る。
【0040】
本発明の実施形態では、温度上昇に応答して、特定のイオン性化合物は、熱活性化の結果として液体になる。この状態での塩は、一般に、「融解塩」として示され、そのいくつかは、周囲温度で、更に非常に低温で液体のままである。いくつかの態様では、このような溶融塩は、「周囲温度イオン性液体」又は「イオン性液体」と呼ばれる。電解質のイオン性液体は、熱安定性を改良するように構成されると共に、限定されないが、火災又は爆発をもたらす短絡、過充電、クラッシュなどの安全問題を軽減する。
【0041】
本発明の実施形態に従って、リチウムイオンバッテリ100は、アノード101とカソード110との間に配置されたセパレーター120を更に備え、アノード101とカソード110との間の接触を防ぐように構成される。セパレーター120は、ポリエチレン(PE)、及び/又はポリプロピレン(PP)を含むことができる。セパレーター120は、その機械的強度を改良するように構成された酸化アルミニウム、及び/又は酸化ジルコニウムなどのセラミックスでコートされ得る。本発明の実施形態に従って、リチウムイオンバッテリ100は、アノード101、カソード110、セパレーター120、及び電解質を密閉するように構成されるハウジング121を備える。いくつかの態様では、ハウジング121は、ポリエチレン被覆アルミニウム、ニッケル被覆鋼、アルミニウム、鋼、又はそれらの任意の組合せを含むことができる。
【0042】
本発明の実施形態では、現在入手可能なリチウムイオンバッテリによって達成される550~600Wh/Lの最大エネルギー密度と比較して、リチウムイオンバッテリ100は、750~900Wh/Lの範囲のエネルギー密度並びに750~760Wh/L、760~770Wh/L、770~780Wh/L、780~790Wh/L、790~800Wh/L、800~810Wh/L、810~820Wh/L、820~830Wh/L、830~840Wh/L、840~850Wh/L、850~860Wh/L、860~870Wh/L、870~880Wh/L、880~890Wh/L、及び890~900Wh/Lの範囲などのその間の全ての範囲及び値のエネルギー密度を有するように構成される。エネルギー/キログラムに対して、リチウムイオンバッテリ100は、250~450Wh/kgの範囲のエネルギー密度並びに250~260Wh/kg、260~270Wh/kg、270~280Wh/kg、280~290Wh/kg、290~300Wh/kg、300~310Wh/kg、310~320Wh/kg、320~330Wh/kg、330~340Wh/kg、340~350Wh/kg、350~360Wh/kg、360~370Wh/kg、370~380Wh/kg、及び380~390Wh/kg、390~400Wh/kg、400~410Wh/kg、410~420Wh/kg、420~430Wh/kg、430~440Wh/kg、及び440~450Wh/kgの範囲などのその間の全ての範囲及び値のエネルギー密度を有するように構成される。
【0043】
本発明の実施形態では、リチウムイオンバッテリ100は、1.2~4の範囲及び1.2~1.6、1.6~2.0、2.0~2.4、2.4~2.8、2.8~3.2、3.2~3.6、及び3.6~4.0の範囲などのその間の全ての範囲及び値のN:P比(すなわち、陰極(アノード101)容量対陽極(カソード110)容量)を有することができる。N:リチウムイオンバッテリ100の迅速な充電を促進するように高いN:P比が構成される。いくつかの態様では、リチウムイオンバッテリの迅速な充電は4~10Cレートで行われ、それはそれぞれ、充電のための15~6分に相当し、現在入手可能なバッテリ(例えば、現在入手可能な21700バッテリ)の5倍までの速さである。いくつかの態様では、25℃での50%の充電速度で-20~0℃の低温範囲でのリチウムイオンバッテリ100の充電を助長するようにリチウムイオンバッテリの高いN:P比が更に構成される。
【0044】
図1は円筒形セル形態のリチウムイオンバッテリを示すが、リチウムイオンバッテリ100は、限定されないが、円筒形セル、角柱形セル、及びパウチセルなどの様々なセル構成であり得ることは理解されるはずである。いくつかの場合では、リチウムイオンバッテリ100は、約21mmの直径及び約70mmの長さを有する、円筒形21700セル形態で構成することができる。いくつかの態様では、円筒形21700セル形態のリチウムイオンバッテリ100は6Ahの電力容量を有することができる。現在入手可能な21700セル形態の電力容量の上限は4Ahであり、現在入手可能な21700セルが5Ahの電力容量に達するためにはかなりの調査研究を必要とする。したがって、本発明のリチウムイオンバッテリ100は、現在入手可能なリチウムイオンバッテリを上回る著しい技術的達成を提供する。
【0045】
円筒形21700セル形態のリチウムイオンバッテリ100は、15mOhms未満の交流内部抵抗(ACIR)、及び25mOhms未満の直流内部抵抗(DCIR)を有することができる。いくつかの態様では、6Ahの電力容量を有するリチウムイオンバッテリ100の円筒形21700セルは、2秒間の間約30Aまでの常時電力の放電率能力及び100Aのパルス電力能力を有する。これは、2秒間の間3Aの常時電力及び8Aのパルス電力を最も良くて提供することができる、現在入手可能な21700リチウムイオンバッテリを上回る著しい改良を示す。
【0046】
いくつかの場合では、リチウムイオンバッテリ100は、約18mmの直径及び約65mmの長さを有する、円筒形18650セル形態で構成することができる。円筒形18650セル形態のリチウムイオンバッテリは、20mOhms未満のACIR、及び30mOhms未満のDCIRを有することができる。21700及び18650セル形態のリチウムイオンバッテリ100の特性が説明されたが、同様な改良を提供するために実施形態を他のセル形態に組み込むこともでき、連続放電率、パルス放電率、電力容量(Ah)、DCIR、及び/又はACIRの特定の数値は特定のセル形態に応じて変化し得ることは理解されるはずである。いくつかの態様では、4Ahの電力容量を有するリチウムイオンバッテリ100の円筒形18650セルは、電圧又は温度遮断限界に達することなく連続で5Cまでの放電率能力並びに電圧又は温度遮断限界に全く達することなく16Cまでのパルス電力を有する。
【0047】
いくつかの態様では、リチウムイオンバッテリ100は、電動工具において使用されるように構成される。電動工具の非限定的な例には、ドリル、のこぎり、グラストリマー、ブロアー、及びサンダーが含まれ得る。リチウムイオンバッテリ100の使用はそのように限定されないと理解されるはずである。本明細書のコンセプトに従って高電力及び高エネルギー密度を提供するように構成されたバッテリは、例えば、ポータブルスマートデバイス、ポータブル計算デバイス、電気自動車、バックアップ/無停電電源装置等のこのようなデバイスに電力供給するのに使用することができる。本発明の実施形態では、リチウムイオンバッテリ100は、前述のデバイスにおいて使用されるために必要とされる安全基準を満たす。安全基準の非限定的な例には、UN/DOT 38.3,5thEdition,Amendment 1-Recommendations on the Transport of Dangerous Goods,IEC 62133-2:2017-Safety requirements for portable sealed secondary lithium cells,and for batteries made from them,for use in portable applications-Part 2:Lithium systems,and UL 2054 2ndEdition-Household and Commercial Batteriesが含まれ得る。
【0048】
B.リチウムイオンバッテリの製造方法
本発明の実施形態では、30~85重量%のシリコン系材料を有するアノード101を含むことができる、前述のリチウムイオンバッテリ100の製造方法が提供される。本発明の実施形態に従って、リチウムイオンバッテリ100を製造するための方法200(
図6に示される)は、ブロック201に示されるように、リチウムイオンバッテリ100のアノード101のシリコン系材料を製造する工程を含むことができる。
【0049】
いくつかの態様では、シリコン系材料はシリコンナノワイヤーを含み、ブロック201の製造工程は、エッチング、化学的蒸着、物理的蒸着、沈殿、及び/又は融蝕によってシリコンナノワイヤーを製造する工程を含む。いくつかの場合では、シリコンナノワイヤーの表面は、官能基で更に官能化される。官能基には、酸化物、窒化物基、又はそれらの任意の組合せが含まれ得る。シリコンナノワイヤーは、マグネシウム(Mg)などのドーパントを更に含むことができる。
【0050】
いくつかの態様では、シリコン系材料は、炭素に封入されたシリコンを含み、ブロック201の製造工程は、熱ベーキング、物理的蒸着、化学的蒸着によってシリコンを炭素で封入する工程を含む。本発明の実施形態では、ブロック201で封入されるシリコンは、エッチング、化学的蒸着、物理的蒸着、沈殿、又は融蝕によって製造される。
【0051】
いくつかの態様では、シリコン系材料は、弾性ポリマーと混合されたシリコンを含み、ブロック201の製造工程は、弾性ポリマーをシリコン塊状材料と混合してシリコンと弾性ポリマーとの実質的に均一な混合物を形成する工程を含む。いくつかの場合では、弾性ポリマーは、エッチング、化学的蒸着、物理的蒸着、沈殿、融蝕、又はそれらの任意の組合せを含む。混合には、物理的混合、及び加熱が含まれ得る。
【0052】
本発明の実施形態に従って、ブロック202に示されるように、方法200は、カソード110のリチウム金属酸化物を製造する工程を含む。いくつかの態様では、ブロック202における製造は、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化コバルトと炭酸リチウムとの間の固相反応を含むことができる。リチウム金属酸化物を製造するための固相反応は、450~800℃の温度で行なうことができる。製造されるリチウム金属酸化物は粉末形態であり得る。
【0053】
本発明の実施形態に従って、ブロック203に示されるように、方法200は、アノード101のシリコン系材料及び/又は炭素系材料を導電剤及びバインダーと混合してアノード混合物を形成する工程を含む。ブロック204に示されるように、方法200は、リチウム金属酸化物を導電性バインダーと混合してカソード混合物を形成する工程を含むことができる。アノード混合物及び/又はカソード混合物は、スラリーの形態であり得る。いくつかの態様では、ブロック203において、アノード混合物は、0.8~0.95の範囲の、シリコン系材料対導電剤及びバインダーの重量比で形成される。いくつかの態様では、ブロック204において、カソード混合物は、0.88~0.97の範囲の、リチウム金属酸化物対導電剤及びバインダーの重量比で形成される。本発明の実施形態では、アノード混合物は、30重量%以上のシリコンを含む。導電剤の非限定的な例には、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(ketjan black)、Super P、カーボンナノチューブ、及びそれらの組合せが含まれ得る。バインダーの非限定的な例には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、カルボキシメチルセルロース/ブタジエンスチレンゴム(CMC/SBR)、ポリアクリル酸(PAA)、及びそれらの組合せが含まれ得る。
【0054】
本発明の実施形態に従って、ブロック205に示されるように、方法200は、アノード混合物を使用して、アノード活性層102を第1の金属層103上にコートする工程を含む。ブロック206に示されるように、方法200は、カソード混合物を使用して、カソード活性層112を第2の金属層113上にコートする工程を含むことができる。いくつかの態様では、ブロック205において、コーティング工程は、アノード混合物を第1の金属層103上に広げる工程を含むことができる。ブロック206において、コーティング工程は、カソード混合物を第2の金属層113上に広げる工程を含むことができる。ブロック205におけるコーティング工程は、アノード混合物を第1の金属層103上で圧縮する工程を更に含むことができる。ブロック206において、コーティング工程は、カソード混合物を第2の金属層113上で圧縮してその厚さを調節する工程を含むことができる。ブロック205及び206におけるコーティング工程は、圧縮工程の後に、それぞれ、アノード混合物を第1の金属層103上で乾燥させる工程、及びカソード混合物を第2の金属層113上で乾燥させる工程を更に含むことができる。ブロック205及び206におけるコーティング工程は、更にそのうえ、所望の形状及び/又はサイズに、乾燥されたアノード混合物を第1の金属層103と一緒に切断し及び乾燥されたカソード混合物を第2の金属層113と一緒に切断し、それによってそれぞれアノード101及びカソード110を形成する工程を含むことができる。ブロック205において製造されるアノード101は、30~85重量%のシリコン、好ましくは40~85重量%のシリコン並びに40~45重量%、45~50重量%、50~55重量%、55~60重量%、60~65重量%、65~70重量%、70~75重量%、75~80重量%、及び80~85重量%の範囲などのその間の全ての範囲及び値を含むことができる。
【0055】
本発明の実施形態に従って、ブロック207に示されるように、方法200は、アノード101、カソード110、セパレーター120をハウジング121内で組み立てて未完成セルを形成する工程を含む。いくつかの態様では、ブロック207における組立工程は、アノード101、セパレーター120、カソード110を積層して電極構造物を形成する工程と、電極構造物のアノード101及びカソード110を相当する端子に接続する工程とを含む。いくつかの態様では、安全装置及び/又はベントを電極構造物及び/又は端子に接続及び/又はその上に配置して副組立体を形成することができる。ブロック207における組立は、副組立体をハウジング121内に挿入する工程と、ハウジング121を封止する工程とを含むことができる。いくつかの態様では、ハウジング121上にそれが封止された後に少なくとも1つの開口が残される。
【0056】
本発明の実施形態に従って、ブロック208に示されるように、方法200は、封止ハウジング121内に電解質を加えてリチウムイオンバッテリ100を形成する工程を含む。いくつかの態様では、ブロック206における電解質を加える工程は、ブロック205から得られた封止ハウジング121を真空中で乾燥させる工程と、乾燥された封止ハウジング121内に少なくとも1つの開口を通って真空中で電解質を充填する工程と、ハウジング121の少なくとも1つの開口を封止してリチウムイオンバッテリ100を形成する工程とを含むことができる。
【0057】
本発明及びその利点について詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換及び改変を本明細書で行うことができることを理解されたい。そのうえ、本出願の範囲は、本明細書に説明したプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法及びステップの特定の実施形態に限定されることを意図していない。当業者が本発明の開示から容易に認識することになるように、本明細書で説明した対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行するか、又は実質的に同じ結果を達成する、現存するか又は後に開発されることになるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法又はステップは、本発明に従って利用され得る。それゆえ、添付の特許請求の範囲は、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法又はステップをその範囲内に含むことを意図している。
【0058】
そのうえ、本出願の範囲は、本明細書に説明したプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法及びステップの特定の実施形態に限定されることを意図していない。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体積膨張を抑えるように構成される、30重量%超のシリコンを含むアノードと、
リチウム金属酸化物を含むカソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に配置された電解質とを含むリチウムイオンバッテリ(LiB)であって、
少なくとも800のエネルギー密度を有するように構成される、リチウムイオンバッテリ。
【請求項2】
前記リチウムイオンバッテリが1.2超のN:P比を有し、前記N:P比が前記アノード対前記カソードの面積容量比を表わす、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項3】
1.2~4.0の範囲のN:P比を有する、請求項2に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項4】
前記アノードが31~85重量%のシリコンを含む、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項5】
前記アノードがシリコンナノワイヤー、炭素に封入されたシリコン、シリコン-グラフェンブレンド、前記アノード上のシリコンの膨張を軽減するように構成されたシリコンと弾性ポリマーとの混合物、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項6】
前記シリコンナノワイヤーが、100~1000nmの範囲の平均直径を有する、請求項5に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項7】
前記シリコンナノワイヤーがスズ、ゲルマニウム、鉄、アルミニウム、マグネシウム、又はそれらの任意の組合せなどのドーパントを更に含む、請求項5に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項8】
炭素に封入された前記シリコンが、0.1~4の範囲のシリコン対炭素重量比を有する、請求項5に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項9】
炭素に封入された前記シリコンが0.5~10μmの平均直径を有する、請求項5に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項10】
前記弾性ポリマーがポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項5に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項11】
前記シリコン-グラフェンブレンドが、0.5~4の範囲のシリコン対グラフェン重量比を有する、請求項5に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項12】
前記アノードが、前記シリコン上にコートされるか又は前記シリコンと混合される炭素系材料を更に含む、請求項5に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項13】
前記炭素系材料が黒鉛、グラフェン、又は他の炭素系材料を含む、請求項12に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項14】
前記炭素系材料と混合された前記シリコンが、10~30μmの範囲の厚さを有する、請求項12に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項15】
前記アノードの前記シリコンが、スズ、アンチモン、ゲルマニウム、又はそれらの任意の組合せを含む二次材料と混合され、前記二次材料が、100:1~1:100のシリコン対二次材料の重量比でシリコンと混合される、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項16】
前記シリコンの内側のキャビティが前記膨張に応答して収縮する、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項17】
前記アノードが、3400~4200mAh/gの間の容量/単位体積を有するように構成される、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項18】
前記リチウム金属酸化物がニッケルを含む、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項19】
前記リチウム金属酸化物がLi
aNi
xA
yB
zO
2(式中、aは約1、xは約0.5、y+z=1-x)の式を有する、請求項18に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項20】
Aが、Mn、Co、Ni、Al、及びそれらの組合せからなる群から選択され、Bが、Co、Mn、Ni、Al、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項19に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項21】
x:y:zの比が、6:2:2、8:1:1、及び9:0.5:0.5からなる群から選択される、請求項19に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項22】
前記カソードの前記リチウム金属酸化物が、コア-シェル勾配構造物の外側シェルからコアへとNiの濃度が増加する前記コア-シェル勾配構造物中に存在する、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項23】
前記電解質が難燃性である、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項24】
前記難燃性電解質がイオン性液体を含む、請求項23に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項25】
前記イオン性液体がカチオン及びアニオンを含み、前記カチオンがイミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、又はそれらの任意の組合せを含み、前記アニオンが臭化物、塩化物、ヨウ化物、リン酸塩、BF
4
-、PF
6
-、TFSI
-、FSI
-、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項24に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項26】
250Wh/kg超のエネルギー密度を有する、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項27】
250~450Wh/kgの範囲のエネルギー密度を有する、請求項26に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項28】
円筒形態、角柱形態、又はパウチ形態である、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項29】
21700円筒形セル形態において6Ahの容量を有するように構成される、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項30】
前記6Ahの21700セル形態の前記リチウムイオンバッテリが、連続で約30Aの放電率能力及び2秒間100Aのパルス電力能力を有するように構成される、請求項29に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項31】
電動工具に電力を供給するように構成される、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
31~85重量%のシリコン活物質を含むアノードと、
リチウム金属酸化物活物質を含むカソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に配置された電解質であって、カチオン及びアニオンを含むイオン性液体を含有する電解質と
を含むリチウムイオンバッテリ(LiB)であって、
前記リチウムイオンバッテリが800~900Wh/Lの体積エネルギー密度及び2.0~4.0の範囲のN:P比を有するように構成され、前記N:P比が前記アノード対前記カソードの面積容量比を表わす、リチウムイオンバッテリ。
【請求項2】
前記N:P比が2.8~4.0の範囲である、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項3】
前記N:P比が3.2~4.0の範囲である、請求項2に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項4】
前記アノードの前記シリコン活物質が、前記アノード上のシリコンの膨張を軽減するように構成されたシリコンナノワイヤーを含む、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項5】
前記シリコンナノワイヤーが、100~1000nmの範囲の平均直径を有する、請求項4に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項6】
前記シリコンナノワイヤーのシリコン系材料がスズ、ゲルマニウム、鉄、アルミニウム、マグネシウム、又はそれらの任意の組合せを含むドーパントを含む、請求項4に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項7】
前記アノードの前記シリコン活物質が、0.1~4の範囲のシリコン対炭素の重量比を有する炭素に封入されたシリコンを含む、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項8】
炭素に封入された前記シリコンが0.5~10μmの平均直径を有する、請求項7に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項9】
前記アノードの前記シリコン活物質がシリコンと弾性ポリマーとを含み、前記弾性ポリマーがポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項10】
前記アノードの前記シリコン活物質がシリコン-グラフェンブレンドを含み、前記シリコン-グラフェンブレンドが、0.5~4の範囲のシリコン対グラフェン重量比を有する、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項11】
前記アノードの前記シリコン活物質が、前記シリコン活物質のシリコン上にコートされるか又は前記シリコン活物質の前記シリコンと混合される炭素系材料を含み、前記炭素系材料が黒鉛、グラフェン、又は他の炭素系材料を含む、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項12】
前記シリコン活物質の前記シリコンをコートする前記炭素系材料が10~30μmの範囲の厚さを有する、請求項11に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項13】
前記アノードの前記シリコン活物質が、スズ、アンチモン、ゲルマニウム、又はそれらの任意の組合せを含む二次材料と混合され、前記二次材料が、100:1~1:100のシリコン対二次材料の重量比で前記シリコン活物質のシリコンと混合される、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項14】
前記アノードが、3400~4200mAh/gの間の容量/単位体積を有するように構成される、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項15】
前記リチウム金属酸化物活物質がニッケルを含む、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項16】
31~85重量%のシリコン活物質を含むアノードと、
リチウム金属酸化物活物質を含むカソードであって、前記リチウム金属酸化物活物質がニッケルを含み、前記リチウム金属酸化物活物質がLi
aNi
xA
yB
zO
2(式中、a≧1、x≧0.5、y+z=1-x)の式を有し、Aが、Mn、Co、Ni、Al、及びそれらの組合せからなる群から選択され、Bが、Co、Mn、Ni、Al、及びそれらの組合せからなる群から選択されるカソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に配置された電解質であって、難燃性であり、及びイオン性液体を含む電解質とを含むリチウムイオンバッテリであって、
800~900Wh/Lの体積エネルギー密度を有するように構成されるリチウムイオンバッテリ。
【請求項17】
x:y:zの比が6:2:2、8:1:1、及び9:0.5:0.5からなる群から選択される、請求項16に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項18】
31~85重量%のシリコン活物質を含むアノードと、
リチウム金属酸化物活物質を含むカソードであって、前記カソードの前記リチウム金属酸化物活物質が、コア-シェル勾配構造物の外側シェルからコアへとNiの濃度が増加する前記コア-シェル勾配構造物中に存在する、カソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に配置された電解質であって、難燃性であり、及びイオン性液体を含有する電解質とを含むリチウムイオンバッテリであって、
800~900Wh/Lの体積エネルギー密度を有するように構成される、リチウムイオンバッテリ。
【請求項19】
前記電解質が難燃性イオン性液体を含む、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項20】
前記カチオンがイミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、又はそれらの任意の組合せを含み、前記アニオンが臭化物、塩化物、ヨウ化物、リン酸塩、BF
4
-、PF
6
-、TFSI
-、FSI
-、又はそれらの任意の組合せを含む、請求項19に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項21】
250~450Wh/kgの範囲の重量エネルギー密度を更に有する、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項22】
前記重量エネルギー密度が440~450Wh/kgの範囲である、請求項21に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項23】
円筒形態、角柱形態、又はパウチ形態であり、
21700円筒形セル形態において6Ahの容量を有するように構成されるか、又は電動工具に電力を供給するように構成される、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項24】
6Ahの容量の21700セル形態のリチウムイオンバッテリが、連続で約30Aの放電率能力及び2秒間100Aのパルス電力能力を有するように構成される、請求項23に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項25】
前記アノードの前記シリコン活物質がシリコンナノワイヤー、炭素に封入されたシリコン、シリコン-グラフェンブレンド、及び前記アノード上のシリコンの膨張を軽減するように構成されたシリコンと弾性ポリマーとの混合物を含む、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【請求項26】
前記シリコン活物質が、シリコン系材料によって囲まれる内側キャビティ部分を含むように形成される前記シリコン系材料を含み、その結果、
前記リチウムイオンバッテリが放電状態にあるとき、前記内側キャビティ部分が第1の体積を有し及び前記内側キャビティ部分を囲む前記シリコン系材料が第1の直径を有し、並びに
リチウムイオンバッテリが充電状態にあるとき、前記内側キャビティ部分が第2の体積を有し及び前記内側キャビティ部分を囲む前記シリコン系材料が第2の直径を有し、
前記第1の体積が前記第2の体積より大きく、並びに
前記第1の直径と前記第2の直径が実質的に同じである、請求項1に記載のリチウムイオンバッテリ。
【国際調査報告】