IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイストロニック レーザー アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特表-レーザ加工ツール 図1
  • 特表-レーザ加工ツール 図2
  • 特表-レーザ加工ツール 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-03
(54)【発明の名称】レーザ加工ツール
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/082 20140101AFI20230224BHJP
   B23K 26/064 20140101ALI20230224BHJP
【FI】
B23K26/08 H
B23K26/064 K
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022559385
(86)(22)【出願日】2021-02-24
(85)【翻訳文提出日】2022-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2021054528
(87)【国際公開番号】W WO2021204456
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】20168254.9
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503168692
【氏名又は名称】バイストロニック レーザー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】ビュルギ,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ベルガミン,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ケーア,クリスティアン
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168CB03
4E168DA28
4E168EA17
(57)【要約】
本発明は、ブリッジ(10)上において案内されるとともに可動台車(2)を有する加工装置(1)を有し、可動台車(2)上に加工ユニット(3)が配置され、加工ユニット(3)は、加工されるべき被加工物にレーザ光のレーザビームを指向させるように設計される加工ヘッド(4)を有し、レーザ光源(16)からレーザ光を供給するための可撓性ファイバケーブル(6)が、加工ヘッド(4)に接続され、加工ユニット(3)が、可動台車(2)に対して加工ヘッド(4)とともに直線的に移動可能であるレーザ加工ツール(100)、特にレーザ切断ツールに関する。ファイバケーブル(6)は、第1固定手段(7)を用いて加工ユニット(3)に固定されるとともに第2固定手段(8)を用いて可動台車(2)に固定され、ファイバケーブル(6)は、第1固定手段及び第2固定手段(7,8)の間において所定のガイド面(G)に、可動台車(2)に対して加工ユニット(3)の直線運動を可能にするために自由に移動可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ加工ツール、特にレーザ切断ツールであって、ブリッジ(10)上において案内されるとともに可動台車(2)を有する加工装置(1)を有し、前記可動台車(2)上に加工ユニット(3)が配置され、前記加工ユニット(3)は、加工されるべき被加工物にレーザ光のレーザビームを指向させるように設計される加工ヘッド(4)を有し、レーザ光源(16)から前記レーザ光を供給するための可撓性ファイバケーブル(6)が、前記加工ヘッド(4)に接続され、前記加工ユニット(3)が、前記可動台車(2)に対して前記加工ヘッド(4)とともに直線的に移動可能である、レーザ加工ツールにおいて、
前記ファイバケーブル(6)は、第1固定手段(7)を用いて前記加工ユニット(3)に固定されるとともに第2固定手段(8)を用いて前記可動台車(2)に固定され、前記ファイバケーブル(6)は、前記第1固定手段及び前記第2固定手段(7,8)の間において所定のガイド面(G)に、前記可動台車(2)に対して前記加工ユニット(3)の直線運動を可能にするために自由に移動可能である、
ことを特徴とするレーザ加工ツール。
【請求項2】
前記ファイバケーブル(6)は、前記第1固定手段及び前記第2固定手段(7,8)の間において179度の最大たわみを備えて前記所定のガイド面(G)において案内される、
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工ツール。
【請求項3】
前記ファイバケーブル(6)は、前記第1固定手段及び前記第2固定手段(7,8)の間において120度、特に100度の最大たわみを備えて前記所定のガイド面(G)において案内される、
ことを特徴とする請求項2記載のレーザ加工ツール。
【請求項4】
前記ファイバケーブル(6)のみが、前記第1固定手段及び前記第2固定手段(7,8)を用いて固定される、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のレーザ加工ツール。
【請求項5】
前記レーザ加工ツール(100)の動作位置において、前記ファイバケーブル(6)は、前記第1固定手段(7)の位置において実質的に垂直方向に走行する、及び/又は、前記第2固定手段(8)の位置において実質的に水平方向に走行する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のレーザ加工ツール。
【請求項6】
前記所定のガイド面(G)は、前記ブリッジ(10)に対して垂直に延在する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載のレーザ加工ツール。
【請求項7】
前記所定のガイド面(G)を規定するガイド手段(9,9’)は、前記所定のガイド面(G)に対して垂直に走行する方向において前記ファイバケーブル(6)の運動を制限するために設けられる、
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載のレーザ加工ツール。
【請求項8】
前記ガイド手段(9,9’)は、前記ファイバケーブル(6)のための少なくとも2つの平行な停止要素を有する、
ことを特徴とする請求項7に記載のレーザ加工ツール。
【請求項9】
少なくとも1つの停止要素は、壁部によって形成される、及び/又は、少なくとも1つの停止要素は、1つ又は複数のロッド及び/又はワイヤによって形成される、
ことを特徴とする請求項8に記載のレーザ加工ツール。
【請求項10】
前記第1固定手段(7)及び/又は前記第2固定手段(8)はそれぞれ、前記ファイバケーブル(6)をクランプするためのクランプ装置を有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項9の何れか1項に記載のレーザ加工ツール。
【請求項11】
前記可動台車(2)と前記加工ユニット(3)との間にエネルギーチェーン(11)が設けられ、前記エネルギーチェーン(11)において、前記ファイバケーブル(6)以外のラインが前記可動台車(2)から前記加工ユニット(3)に案内される、
ことを特徴とする請求項1から請求項10の何れか1項に記載のレーザ加工ツール。
【請求項12】
前記可動台車(2)は、前記ブリッジ(10)上において移動可能に案内され、前記ブリッジ(10)は、前記可動台車(2)に対して垂直に移動可能である、
ことを特徴とする請求項1から請求項11の何れか1項に記載のレーザ加工ツール。
【請求項13】
レーザ加工ツールのための加工装置であって、前記加工装置(1)は、ブリッジ(10)上において案内するように構成されて可動台車(2)を含み、前記可動台車(2)上に加工ユニット(3)が配置され、前記加工ユニット(3)は、レーザ加工ツール(100)において前記加工装置(1)を使用するとき、加工されるべき被加工物にレーザ光のレーザビームを指向させるように設計される加工ヘッド(4)を有し、レーザ光源(16)から前記レーザ光を供給するための可撓性ファイバケーブル(6)が、前記加工ヘッド(1)に接続され、前記加工ユニット(3)が、前記可動台車(2)に対して前記加工ヘッド(4)とともに直線的に移動可能である、加工装置において、
前記ファイバケーブル(6)は、第1固定手段(7)を用いて前記加工ユニット(3)に固定されるとともに第2固定手段(8)を用いて前記可動台車(2)に固定され、それによって、前記ファイバケーブル(6)は、前記第1固定手段及び前記第2固定手段(7、8)の間において所定のガイド面(G)に、前記可動台車(2)に対して前記加工ユニット(3)の直線運動を可能にするために自由に移動可能である、
ことを特徴とする加工装置。
【請求項14】
前記加工装置(1)は、請求項2から請求項11の何れか1項に記載のレーザ加工ツール(100)のための加工装置(1)として働くように構成される、
ことを特徴とする請求項13に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
レーザ加工ツールは、高エネルギーのレーザ光を用いて被加工物を機械加工するために、例えばシートメタルを切断するために使用される。この目的のために、可動台車上に取り付けられ、レーザ光から被加工物を加工するためのレーザビームを発生させる加工ヘッドを有する加工ユニットが提供される。加工ヘッドの位置を変更するために、加工ユニットは、可動台車に対して移動させることができる。
【背景技術】
【0002】
レーザ光は通常、ファイバケーブルを介してレーザ加工ツールの加工ヘッドに供給される。ファイバケーブルは、加工ヘッドに接続され、そこから、レーザ加工ツールのための他の操作ライン(line)も案内するそれ自体既知のエネルギーチェーン(energy chain)を使用して、レーザ光をファイバケーブルに放射するレーザ光源に導かれる。
【0003】
WO2015/086724A1号文献は、請求項1の前提部によるレーザ加工ツールを示す。このツールでは、ファイバケーブルは、可動横断台車から、前記横断台車の上方で垂直方向に延在してファイバケーブルを180度たわませるエネルギーチェーンを介して、レーザヘッドを備えた加工ユニットに案内される。ファイバケーブルは、レーザ加工ツール内の他のラインに比べて大きい最小曲げ半径を有するので、エネルギーチェーンはまた、大きい曲げ半径を有し、その結果、大きい垂直方向及び水平方向の拡張を有し、それは、レーザ加工ツールを大きくする。さらに、エネルギーチェーンの大きい曲げ半径のため、ファイバケーブルの長さが大きくなる。高出力のレーザ光を案内するためのファイバケーブルの長さは制限されるので、これは、レーザ加工ツール内のファイバケーブルの配置の自由度を少なくし、レーザ加工ツール外のレーザ光源の自由度を少なくすることを引き起こす。
【0004】
US2010/0147810A1号文献は、水平方向に走行するエネルギーチェーンを用いてたわませられるファイバケーブルを介して、レーザ光が可動切断ヘッドに供給されるレーザ切断ツールを示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ファイバケーブルを簡単且つスペースをとらない方法で加工ヘッドに案内することができる、改良されたレーザ加工ツールとそれに対応する改良された加工装置を作ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1によるレーザ加工ツール及び請求項13による加工装置によって達成される。本発明のさらなる発展は、従属請求項に規定される。
【0007】
本発明によるレーザ加工ツールは、加工ヘッドを有する加工ユニットが配置される可動台車を有する加工装置を含む。加工ヘッドは、レーザ加工ツールが作動しているとき、加工されるべき被加工物にレーザ光のレーザビームを指向させるように設計される。レーザ加工ツールは好ましくは、被加工物、特に金属製のシート又は管状体を切断するためのレーザ切断ツールである。この場合、加工ヘッドは、切断ヘッドであり、そのレーザビームは、対応する被加工物を切断する。
【0008】
本発明によるレーザ加工ツールでは、可撓性ファイバケーブルは、レーザ光源からレーザ光を供給するために加工ユニットの加工ヘッドに接続される。加工ユニットは、可動台車に対して加工ヘッドとともに直線的に移動可能であり、好ましくは垂直方向に移動可能である。例えば、2kWから20kWの範囲の電力を有する高出力ファイバレーザからのレーザ光が、ファイバケーブルに案内される。ファイバケーブルの内径は、好ましくは100μmの範囲にある。一実施形態では、ファイバ内に案内されるレーザ光は、短波で非可視のレーザ光である。
【0009】
本発明によるレーザ加工ツールは、ファイバケーブルが、第1固定手段を用いて加工ユニットに固定されるとともに第2固定手段を用いて可動台車に固定され、ファイバケーブルが、第1固定手段及び第2固定手段の間において所定の案内面に、可動台車に対する加工ユニットの直線運動を可能にするために自由に移動可能であることを特徴とする。従って、第1固定手段及び第2固定手段の間にファイバケーブルをしっかりと固定するための更なる固定手段(fixing means)は設けられていない。
【0010】
本発明によるレーザ加工ツールは、可動台車と加工ユニットとの間におけるファイバケーブルの簡単且つスペースをとらない案内が、ガイド面における対応する固定具の間のファイバケーブルの自由な可動性によって達成されるという利点を有する。特に、ファイバケーブルの長さを短くすることができ、ファイバケーブル及びそれに対応するレーザ光源の配置において適用性を高めることができる。
【0011】
好ましい実施形態では、ファイバケーブルは、第1固定手段及び第2固定手段の間において179度の最大たわみ(deflection)を備えて所定のガイド面において案内される。179度による最大たわみという用語は、ファイバケーブルの経路に沿って第1固定手段と第2固定手段(これらの固定手段を含む)との間のファイバケーブル上の任意の点から出発して第1固定手段と第2固定手段(これらの固定手段を含む)との間の任意の他の点までのファイバケーブルの延在方向が、最大179度である角度について回転するように理解されるべきである。その結果、ファイバケーブルをさらに短くすることができ、これは、特に10kWからの範囲の高いレーザ出力で極めて有利である。
【0012】
本発明によるレーザ加工ツールの好ましい実施形態では、ファイバケーブルは、第1固定手段と第2固定手段との間において120度、特に100度の最大たわみを備えて所定のガイド面において案内される。言い換えれば、ファイバケーブルの経路に沿って第1固定手段と第2固定手段(これらの固定手段を含む)との間のファイバケーブル上の任意の点から出発して第1固定手段と第2固定手段(これらの固定手段を含む)との間の任意の他の点までのファイバケーブルの延在方向が、最大120度、又は最大100度、又は最大90度である角度について回転する。これは、ファイバケーブルをさらに短くすることができる。
【0013】
さらに好ましい実施形態では、ファイバケーブルのみが、第1固定手段及び第2固定手段を用いて固定される。これは、第1固定手段と第2固定手段との間の延在部に沿ったファイバケーブルに他のラインが干渉することを防止する。
【0014】
さらに好ましい実施形態では、レーザ加工ツールの動作位置において、すなわち前記ツールがその動作のために意図されたように設定されるとき、ファイバケーブルは、第1固定手段の位置において実質的に垂直方向に走行する、及び/又は、第2固定手段の位置において実質的に水平方向に走行する。このようにして、可動台車と加工ユニットとの間におけるファイバケーブルの、特にスペースをとらない案内を実現することができる。
【0015】
さらに好ましい実施形態では、所定のガイド面は、ブリッジ又はその長手方向の範囲に対して垂直に延在する。
【0016】
所定のガイド面におけるファイバケーブルの移動は、その構成に応じて異なる方法で実現することができる。例えば、ファイバケーブルは、所定のガイド面におけるファイバケーブルの運動がファイバケーブル自体によって保証されるように十分な剛性を有することができる。代替的に又は付加的に、好ましい変形例では、所定のガイド面に対して垂直に走行する方向においてファイバケーブルの運動を制限するために、事前に規定されたガイド面を規定するガイド手段が設けられる。
【0017】
好ましい変形例では、前記実施形態によるガイド手段は、ファイバケーブルのための少なくとも2つの平行な停止要素を有する。少なくとも1つの停止要素は、好ましくは壁部によって形成される。代替的又は付加的に、少なくとも1つの停止要素はまた、1つ又は複数のロッド及び/又はワイヤによって形成することができる。
【0018】
第1固定手段又は第2固定手段は、任意の方法で、加工ユニット又は可動台車へのファイバケーブルのしっかりとした固定を確保することができる。好ましい実施形態では、第1固定手段及び/又は第2固定手段はそれぞれ、対応する固定位置においてファイバケーブルをクランプするためのクランプ装置を有する。
【0019】
さらに好ましい実施形態では、可動台車と加工ユニットとの間に、エネルギーガイドチェーン又はドラッグ(drag)チェーンとも呼ばれるそれ自体既知のエネルギーチェーンが設けられる。このエネルギーチェーンでは、ファイバケーブル以外のラインが、可動台車から加工ユニットに案内される。これらのラインは、加工ユニット又は加工ヘッドの動作に必要であるライン、例えば、レーザ加工に必要である圧縮空気又はガス(例えば、窒素及び/又は酸素)を供給するための1つ若しくは複数のホース、及び/又は、冷却剤又は水を供給するための1つ若しくは複数のライン、及び/又は、1つ若しくは複数の信号ケーブル、及び/又は、1つ若しくは複数の電力ケーブルなどを含む。
【0020】
今述べた実施形態のエネルギーチェーンは、大きな最小曲げ半径を有するファイバケーブルを含まないので、エネルギーチェーンは、著しく小さい曲げ半径を有することができ、これは、著しくコンパクトな構造を可能にする。エネルギーチェーンは好ましくは、レーザ加工ツールの動作位置において、可動台車から垂直に上方に延在し、その後180度たわませられ、その後垂直方向に加工ユニット内に下方に延在するように配置される。
【0021】
さらに、特に好ましい実施形態では、レーザ加工ツールの動作位置において、台車は、ブリッジ上において移動可能に案内され、ブリッジは、台車に対して垂直に移動可能である。これは、加工されるべき被加工物に関して加工ユニットを非常に柔軟に配置することを可能にする。可動台車は好ましくは、ブリッジに沿って水平方向に移動させることができ、ブリッジは、台車の移動経路に対して垂直な水平方向にも移動させることができる。
【0022】
本発明によるレーザ加工ツールに加えて、本発明は、このようなレーザ加工ツールのための加工装置に関する。この加工装置は、ブリッジ上において案内するように構成され、可動台車、すなわちブリッジ上において移動するように構成される台車を含む。加工ユニットは、台車上に配置され、加工ユニットは、レーザ加工ツールにおいて加工装置を使用するとき、加工されるべき被加工物にレーザ光のレーザビームを指向させるように設計される加工ヘッドを有し、レーザ光源からレーザ光を供給するための可撓性ファイバケーブルは、加工ヘッドに接続され、加工ユニットは、可動台車に対して加工ヘッドとともに直線的に移動可能である。
【0023】
本発明による加工装置は、ファイバケーブルが、第1固定手段を用いて加工ユニットに固定されるとともに第2固定手段を用いて可動台車に固定され、ファイバケーブルが、第1固定手段及び第2固定手段の間において所定のガイド面に、可動台車に対して加工ユニットの直線運動を可能にするために自由に移動可能であることを特徴とする。
【0024】
本発明による加工装置は従って、本発明によるレーザ加工ツールのための加工装置として働くように構成される。好ましい実施形態では、この加工装置はまた、前述したレーザ加工ツールの好ましい実施形態の1つ若しくは複数によるレーザ加工ツールのための加工装置として働くように構成される。言い換えれば、前述したレーザ加工ツールの好ましい実施形態の特徴は、前記特徴が加工装置に関するものであれば、加工装置において実施することができる。
【0025】
以下、本発明の例示的実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明によるレーザ加工ツールの一実施形態に設置される加工装置の概略斜視図であり、加工ヘッドは、第1垂直位置にある。
図2図1に類似する説明図であり、加工ヘッドは、図1からの第1垂直位置より低い第2垂直位置にある。
図3図1及び図2からの加工装置が設置されたレーザ加工ツールの概略全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の変形例を、レーザ切断ツールの形をしたレーザ加工ツール100を使用して以下に説明する。レーザ加工ツール100の全体構造は、図3に見ることができる。レーザ加工ツールは、高エネルギーのレーザビームをメタルシートに指向させる加工装置を使用して、メタルシートを切断するために使用される。
【0028】
図1は、参照符号1によって全体として示される加工装置を詳細に示す。この装置は、ここで説明する実施形態では、横断又は切断台車として設計され、加工ユニット3を支持する可動台車2を有する。図1に示す直交座標系に対応して、加工ユニット3は、以下にさらに説明するように、アクチュエータシステム(図示せず)によって、台車2に対して垂直Z方向に移動させることができる。台車2は、ブリッジ10上に配置され、ブリッジ10は、ここで説明する実施形態では、切断ブリッジを表し、図1の図ではその一部分のみが示されている。台車2は、アクチュエータシステム(図示せず)によって、図示される座標系に従って水平Y方向に、このブリッジに沿って移動させることができる。
【0029】
図3によるレーザ加工ツールの全体図から分かるように、ブリッジ10はまた、特に図示される座標系の水平X方向、すなわち台車2の経路に垂直に移動させることができる。このため、ブリッジは、Y方向に延在する2つの支持部15及び15’を有するフレーム14上に配置される。ブリッジは、これらの支持体上に横たわり、適切なアクチュエータ(図示せず)を用いてその長手方向に沿って移動させることができる。
【0030】
図1によれば、加工ユニット3は、ここで説明する実施形態では、切断ヘッドとして設計される加工ヘッド4を有し、加工ヘッドにファイバケーブル6が接続され、ファイバケーブルを介してレーザ光が加工ヘッドに供給される。レーザ光は、図3において参照符号16によって示されるレーザ光源から発生する。加工ヘッド4には、ファイバケーブル6を介して加工ヘッド4に案内されて下方に指向されるレーザ光からレーザビームを発生させる光学系が存在する。図3の説明に従ってフレーム14の支持部15及び15’の間に配置される、切断されるべきシートメタル(図示せず)は、レーザ加工ツールの動作中、加工ヘッドの下方に位置付けられる。
【0031】
ファイバケーブル6に加えて、加工ヘッド4は、それ自体既知の方法で、その動作に必要である更なるラインを備えて供給される。これらのラインは、明確にするために示されていないが、とりわけ、電力供給のための電気ライン、制御ケーブル、及び切断プロセスに必要である圧縮空気とガスを供給するためのホースを含む。これらのラインは、それ自体既知のエネルギーチェーン11を介して、台車2から加工ヘッド4にファイバケーブル6とは別に案内される。
【0032】
エネルギーチェーン11は、Z方向に上方に延在し、Zドラッグとも呼ばれる。このチェーンでは、前述したケーブルは、多数の可撓性リンクの上を案内される。台車2から出発して、ラインは、Zドラッグへ垂直に上方に走行し、Zドラッグは、ラインを180度たわませ、その後、加工ヘッド4の上方にある加工ユニット3のハウジング5へ垂直に下方にラインを案内する。エネルギーチェーン11は、加工ヘッド4又は加工ユニット3が台車2に対して移動するとき、ラインの曲げ位置を変化させることによって、エネルギーチェーン11に案内されたラインを変えることを可能にする。
【0033】
ここで説明した実施形態とは対照的に、従来の加工装置では、ファイバケーブル6は、他のラインとともに、エネルギーチェーン11を介して加工ヘッド4に供給される。ファイバケーブルが一般に、エネルギーチェーンに案内される他のラインより著しく大きい最小曲げ半径を有することがここでは不利である。従って、エネルギーチェーン11の曲げ半径は、ファイバケーブルの比較的大きい最小曲げ半径に設定しなければならず、それは、エネルギーチェーンの垂直の拡張を増大させる。従って、通常設けられる機械屋根をより高い高さに配置しなければならず、それは、コストの増大を引き起こす。さらに、Zドラッグにおいてファイバケーブルを案内することは、このケーブルのより長い長さを引き起こす。加工ヘッド4の正しい動作のために、一定のファイバケーブル長さを超えてはならないので、ファイバケーブルの敷設、及びそれに応じてレーザ光源の位置を設計する範囲は、高出力のレーザ光の伝送のためにファイバ長さが制限されるので、制限される。さらに、ファイバケーブルが長くなると、製造コストの増加を引き起こす。Zドラッグにファイバがないため、前述したように小さくすることができ、それは、そこに案内されるすべてのケーブル及び/又はホースを短くすることを引き起こす。これは、さらなるコストを節約することができる。
【0034】
前記の問題を取り除くために、ここで説明する実施形態では、ファイバケーブル6は、Zドラッグ11とは別に加工ヘッド4に案内される。加工ヘッド4から出発して、ファイバケーブルは、最初に水平Y方向に加工ヘッド4から外に走行し、その後、概略的にのみ示される第1固定手段7によって加工ユニット3のハウジング5にしっかりと固定される前に、180°曲げられる。固定手段7として、それ自体既知の締結要素(fastening element)を使用することができ、例えばクランプ装置を設けることができる。ケーブルは次に、第1固定手段7から、また概略的にのみ示される第2固定手段8に案内され、第2固定手段は、例えば、再びクランプ装置によって実施することができる。第2固定手段8は、台車2上に設けられ、従ってファイバケーブルが台車にしっかりと取り付けられることを保証する。
【0035】
図1の加工装置の本質的特徴は、ファイバケーブル6が、第1固定手段7と第2固定手段8との間において、さらなる固定なしに、特に図示される座標系のX-Z平面に平行なガイド面Gにおいてエネルギーチェーンなしに、自由に移動可能であることである。このようにして、台車2に対する加工ユニット3の垂直変位中のファイバケーブルの運動が可能になる。しかしながら、台車2がY方向に急速に移動されるときにファイバケーブルの望ましくない運動を回避するために、固定手段7及び8の間においてファイバケーブルの運動は、ガイド手段9及び9'の助けによって制限され、ガイド手段は、ここで説明する実施形態では、2つの平行な壁部を表している。ガイド手段は、停止要素を形成し、ファイバケーブルは、停止要素の間において固定手段7から固定手段8に延在する。ガイド手段は、台車2の一部であり、平面において互いに平行に走行し、前記平面は次に、図示される座標系のX-Z平面に平行である。固定手段8は、ガイド手段9の上縁部の後方領域に位置付けられる。
【0036】
ファイバケーブル6を保護するために、加工ヘッド4及びハウジング5の左側にクラッド(cladding)がまた設けられる。このクラッドは、加工ヘッド4からガイド手段9及び9’への経路においてファイバケーブルの一部を覆っている。このクラッドは、図3に見ることができ、そこでは参照符号12によって指定されている。ケーブルガイドを見えるようにするために、図1及び図2の図では、クラッドは省略されている。
【0037】
図1では、加工ユニット3又は加工ヘッド4は、台車2に対して第1上方垂直位置に配置される。加工ヘッドを用いた切断プロセス又はレーザ光の放射の間、加工ユニット3は、図2に示される第2下方垂直位置に、加工ヘッド4とともに下方へ移動される。この図から分かるように、加工ヘッド4は現在、ブリッジ10の下方に位置付けられ、これは、図1の位置における場合とは異なる。加工ユニット3の垂直運動は、適切なアクチュエータと、台車4上の加工ユニットの垂直ガイドとによって可能となる。
【0038】
図2の位置への加工ユニット3の垂直運動は、第1固定手段7の下方への変位を引き起こし、それは次に、2つの固定手段7及び8の間におけるファイバケーブル6の伸張を引き起こす。固定手段間のファイバケーブルの自由な移動は従って、2つの固定手段間の距離の変化を補償することができる。ガイド手段9及び9’の間のファイバケーブル6の伸張は、図2ではケーブルの破線表示によって示されている。
【0039】
図1及び図2の実施形態によれば、固定手段7及び8は、ファイバケーブル6が固定手段8の位置において水平方向に走行し、固定手段7の位置において垂直方向に走行するようにファイバケーブル6を固定する。このようにして、ファイバケーブル6が180度より著しく小さい角度だけたわませられることが実現される。言い換えれば、ファイバケーブル6の延在方向は、ファイバケーブルの経路に沿って固定手段7及び8の間におけるファイバケーブル上の任意の点から出発して、固定手段7及び8の間における任意の他の点に、180度より著しく小さい角度について回転する。このようにして、台車2と加工ヘッド4との間において短いケーブルガイドが可能となる。
【0040】
図3は再び、前述した加工装置1を含むレーザ加工ツール100の全体構造を概略図において示す。図3の説明では、レーザ加工ツールは、ブリッジ10及びフレーム14に沿うケーブルガイドを示す視点から示されている。この観点から、加工装置1は、ブリッジ10の後方に配置され、それによって部分的に覆われている。従って、ブリッジ10の後方に位置付けられる加工ヘッド4は、図3から見ることができない。しかしながら、ハウジング5の一部、並びにZドラッグ11、及びファイバケーブルの運動が制限されるガイド手段又は壁部9は見ることができる。さらに、ファイバケーブルの一部が位置付けられるクラッド12は見ることができる。図面を明確にするために、図3には、ファイバケーブルも他のラインも示されていない。
【0041】
図3によれば、ファイバケーブルは、図3には示されていない固定手段8の後方にスロット(slot)13を介して台車2から離れる。ファイバケーブルは次に、水平Y方向に延在してYドラッグとも呼ばれるエネルギーチェーン17に入るように曲げられる。Zドラッグ11を介して加工ヘッド4に到達する他のラインも、それ自体既知の方法でこのエネルギーチェーン内に案内される。エネルギーチェーン17は、台車2が移動されるとき、そこに受け入れられるライン又はケーブルが送り込まれることを保証する。Yドラッグから、ケーブルは、ここでより詳細に説明されていないが、それ自体既知のケーブルチャネルを介して、Xドラッグとも呼ばれるさらなるエネルギーチェーン18へと通過し、ブリッジ10がX方向に移動されるとき、そこに含まれるケーブルが送り込まれることを保証する。Xドラッグから離れた後に、ケーブルは、その機能に応じて、レーザ加工ツールを制御するための制御キャビネット19かそれとも、既に前述したレーザ光源16に案内される。このケーブルガイドは、図3には示されておらず、また本発明には関係がない。
【0042】
前述した本発明の実施形態は、多数の利点を有する。特に、ファイバケーブルの最小曲げ半径が、Zドラッグを介して加工ヘッドに到達する他のラインの最小曲げ半径より著しく大きいという事実は、ファイバケーブルを加工ヘッドに別々に案内することによって考慮される。結果として、このドラッグがファイバケーブルを案内していないとき、その曲げ半径を小さくすることによって、Zドラッグの垂直の高さを低減させることができる。さらに、ファイバケーブルを加工ユニット又は台車上の2つの固定点において適切に固定することによって、ケーブルを180度未満にたわませることができ、それは、ケーブル長さを短くすることができる。これは次に、ケーブルガイド及びレーザ光源の位置決めにおいて設計自由度が高めるとともにコストを低減させることを引き起こす。
【符号の説明】
【0043】
100 レーザ加工ツール
1 加工装置
2 可動台車
3 加工ユニット
4 加工ヘッド
5 ハウジング
6 ファイバケーブル
7 第1固定手段
8 第2固定手段
9,9' ガイド手段
10 ブリッジ
11 Zドラッグ
12 クラッド
13 スロット
14 フレーム
15,15' フレーム支持部
16 レーザ光源
17 Yドラッグ
18 Xドラッグ
19 制御キャビネット
G ガイド面
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ加工ツール、特にレーザ切断ツールであって、ブリッジ(10)上において案内されるとともに可動台車(2)を有する加工装置(1)を有し、前記可動台車(2)上に加工ユニット(3)が配置され、前記加工ユニット(3)は、加工されるべき被加工物にレーザ光のレーザビームを指向させるように設計される加工ヘッド(4)を有し、レーザ光源(16)から前記レーザ光を供給するための可撓性ファイバケーブル(6)が、前記加工ヘッド(4)に接続され、前記加工ユニット(3)が、前記可動台車(2)に対して前記加工ヘッド(4)とともに直線的に移動可能であり、
前記ファイバケーブル(6)は、第1固定手段(7)を用いて前記加工ユニット(3)に固定されるとともに第2固定手段(8)を用いて前記可動台車(2)に固定され、前記ファイバケーブル(6)は、前記第1固定手段及び前記第2固定手段(7,8)の間において所定のガイド面(G)に、前記可動台車(2)に対して前記加工ユニット(3)の直線運動を可能にするために自由に移動可能であり、
前記所定のガイド面(G)を規定するガイド手段(9,9’)は、前記所定のガイド面(G)に対して垂直に走行する方向において前記ファイバケーブル(6)の運動を制限するために設けられ、
前記ガイド手段(9,9’)は、前記ファイバケーブル(6)のための少なくとも2つの平行な停止要素を有する、
ーザ加工ツール。
【請求項2】
前記ファイバケーブル(6)は、前記第1固定手段及び前記第2固定手段(7,8)の間において179度の最大たわみを備えて前記所定のガイド面(G)において案内される、
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工ツール。
【請求項3】
前記ファイバケーブル(6)は、前記第1固定手段及び前記第2固定手段(7,8)の間において120度、特に100度の最大たわみを備えて前記所定のガイド面(G)において案内される、
ことを特徴とする請求項2記載のレーザ加工ツール。
【請求項4】
前記ファイバケーブル(6)のみが、前記第1固定手段及び前記第2固定手段(7,8)を用いて固定される、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のレーザ加工ツール。
【請求項5】
前記レーザ加工ツール(100)の動作位置において、前記ファイバケーブル(6)は、前記第1固定手段(7)の位置において実質的に垂直方向に走行する、及び/又は、前記第2固定手段(8)の位置において実質的に水平方向に走行する、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載のレーザ加工ツール。
【請求項6】
前記所定のガイド面(G)は、前記ブリッジ(10)に対して垂直に延在する、
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載のレーザ加工ツール。
【請求項7】
少なくとも1つの停止要素は、壁部によって形成される、及び/又は、少なくとも1つの停止要素は、1つ又は複数のロッド及び/又はワイヤによって形成される、
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載のレーザ加工ツール。
【請求項8】
前記第1固定手段(7)及び/又は前記第2固定手段(8)はそれぞれ、前記ファイバケーブル(6)をクランプするためのクランプ装置を有する、
ことを特徴とする請求項1から請求項の何れか1項に記載のレーザ加工ツール。
【請求項9】
前記可動台車(2)と前記加工ユニット(3)との間にエネルギーチェーン(11)が設けられ、前記エネルギーチェーン(11)において、前記ファイバケーブル(6)以外のラインが前記可動台車(2)から前記加工ユニット(3)に案内される、
ことを特徴とする請求項1から請求項の何れか1項に記載のレーザ加工ツール。
【請求項10】
前記可動台車(2)は、前記ブリッジ(10)上において移動可能に案内され、前記ブリッジ(10)は、前記可動台車(2)に対して垂直に移動可能である、
ことを特徴とする請求項1から請求項の何れか1項に記載のレーザ加工ツール。
【請求項11】
レーザ加工ツールのための加工装置であって、前記加工装置(1)は、ブリッジ(10)上において案内するように構成されて可動台車(2)を含み、前記可動台車(2)上に加工ユニット(3)が配置され、前記加工ユニット(3)は、レーザ加工ツール(100)において前記加工装置(1)を使用するとき、加工されるべき被加工物にレーザ光のレーザビームを指向させるように設計される加工ヘッド(4)を有し、レーザ光源(16)から前記レーザ光を供給するための可撓性ファイバケーブル(6)が、前記加工ヘッド(1)に接続され、前記加工ユニット(3)が、前記可動台車(2)に対して前記加工ヘッド(4)とともに直線的に移動可能であり、
前記ファイバケーブル(6)は、第1固定手段(7)を用いて前記加工ユニット(3)に固定されるとともに第2固定手段(8)を用いて前記可動台車(2)に固定され、
記ファイバケーブル(6)は、前記第1固定手段及び前記第2固定手段(7、8)の間において所定のガイド面(G)に、前記可動台車(2)に対して前記加工ユニット(3)の直線運動を可能にするために自由に移動可能であり、
前記所定のガイド面(G)を規定するガイド手段(9,9’)は、前記所定のガイド面(G)に対して垂直に走行する方向において前記ファイバケーブル(6)の運動を制限するために設けられ、
前記ガイド手段(9,9’)は、前記ファイバケーブル(6)のための少なくとも2つの平行な停止要素を有する、
工装置。
【請求項12】
前記加工装置(1)は、請求項2から請求項10の何れか1項に記載のレーザ加工ツール(100)のための加工装置(1)として働くように構成される、
ことを特徴とする請求項11に記載の加工装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
レーザ加工ツールは、高エネルギーのレーザ光を用いて被加工物を機械加工するために、例えばシートメタルを切断するために使用される。この目的のために、可動台車上に取り付けられ、レーザ光から被加工物を加工するためのレーザビームを発生させる加工ヘッドを有する加工ユニットが提供される。加工ヘッドの位置を変更するために、加工ユニットは、可動台車に対して移動させることができる。
【背景技術】
【0002】
レーザ光は通常、ファイバケーブルを介してレーザ加工ツールの加工ヘッドに供給される。ファイバケーブルは、加工ヘッドに接続され、そこから、レーザ加工ツールのための他の操作ライン(line)も案内するそれ自体既知のエネルギーチェーン(energy chain)を使用して、レーザ光をファイバケーブルに放射するレーザ光源に導かれる。
【0003】
WO2015/086724A1号文献は、請求項1の前提部によるレーザ加工ツールを示す。このツールでは、ファイバケーブルは、可動横断台車から、前記横断台車の上方で垂直方向に延在してファイバケーブルを180度たわませるエネルギーチェーンを介して、レーザヘッドを備えた加工ユニットに案内される。ファイバケーブルは、レーザ加工ツール内の他のラインに比べて大きい最小曲げ半径を有するので、エネルギーチェーンはまた、大きい曲げ半径を有し、その結果、大きい垂直方向及び水平方向の拡張を有し、それは、レーザ加工ツールを大きくする。さらに、エネルギーチェーンの大きい曲げ半径のため、ファイバケーブルの長さが大きくなる。高出力のレーザ光を案内するためのファイバケーブルの長さは制限されるので、これは、レーザ加工ツール内のファイバケーブルの配置の自由度を少なくし、レーザ加工ツール外のレーザ光源の自由度を少なくすることを引き起こす。
【0004】
US2010/0147810A1号文献は、水平方向に走行するエネルギーチェーンを用いてたわませられるファイバケーブルを介して、レーザ光が可動切断ヘッドに供給されるレーザ切断ツールを示す。
【0005】
DE112012006616T5文献は、レーザビームを集光してレーザビームを被加工物に照射する加工ヘッド、及びレーザ発振器から出力されたレーザビームを加工ヘッドに案内するファイバを含むファイバレーザビーム機械を開示する。前記機械はさらに、ファイバを加工ヘッドに固定して結合するファイバコネクタと、可撓性を有するとともにU字形状を有してファイバを収容するケーブル保持装置とを有する。さらに、固定部分は、ケーブル保持装置を加工ヘッドに固定して結合する。
【0006】
JPH0570777U文献は、レーザ発振器から集光光学ユニットに延在する光ファイバのための光ファイバ固定機構を有するレーザ加工機械を開示する。前記光ファイバは、光ファイバがロボットの動作に柔軟に追従するように光ファイバ固定機構の弾性ロッドを介してロボットに沿って案内される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ファイバケーブルを簡単且つスペースをとらない方法で加工ヘッドに案内することができる、改良されたレーザ加工ツールとそれに対応する改良された加工装置を作ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1によるレーザ加工ツール及び請求項13による加工装置によって達成される。本発明のさらなる発展は、従属請求項に規定される。
【0009】
本発明によるレーザ加工ツールは、加工ヘッドを有する加工ユニットが配置される可動台車を有する加工装置を含む。加工ヘッドは、レーザ加工ツールが作動しているとき、加工されるべき被加工物にレーザ光のレーザビームを指向させるように設計される。レーザ加工ツールは好ましくは、被加工物、特に金属製のシート又は管状体を切断するためのレーザ切断ツールである。この場合、加工ヘッドは、切断ヘッドであり、そのレーザビームは、対応する被加工物を切断する。
【0010】
本発明によるレーザ加工ツールでは、可撓性ファイバケーブルは、レーザ光源からレーザ光を供給するために加工ユニットの加工ヘッドに接続される。加工ユニットは、可動台車に対して加工ヘッドとともに直線的に移動可能であり、好ましくは垂直方向に移動可能である。例えば、2kWから20kWの範囲の電力を有する高出力ファイバレーザからのレーザ光が、ファイバケーブルに案内される。ファイバケーブルの内径は、好ましくは100μmの範囲にある。一実施形態では、ファイバ内に案内されるレーザ光は、短波で非可視のレーザ光である。
【0011】
本発明によるレーザ加工ツールは、ファイバケーブルが、第1固定手段を用いて加工ユニットに固定されるとともに第2固定手段を用いて可動台車に固定され、ファイバケーブルが、第1固定手段及び第2固定手段の間において所定の案内面に、可動台車に対する加工ユニットの直線運動を可能にするために自由に移動可能である。従って、第1固定手段及び第2固定手段の間にファイバケーブルをしっかりと固定するための更なる固定手段(fixing means)は設けられていない。
【0012】
本発明によるレーザ加工ツールでは、所定のガイド面に対して垂直に走行する方向においてファイバケーブルの運動を制限するために、事前に規定されたガイド面を規定するガイド手段が設けられる。ガイド手段は、ファイバケーブルのための少なくとも2つの平行な停止要素を有する。少なくとも1つの停止要素は、好ましくは壁部によって形成される。代替的又は付加的に、少なくとも1つの停止要素はまた、1つ又は複数のロッド及び/又はワイヤによって形成することができる。
【0013】
ガイド手段に加えて、ファイバケーブルは、所定のガイド面におけるファイバケーブルの運動がファイバケーブル自体によって保証されるように十分な剛性を有することができる。
【0014】
本発明によるレーザ加工ツールは、可動台車と加工ユニットとの間におけるファイバケーブルの簡単且つスペースをとらない案内が、ガイド面における対応する固定具の間のファイバケーブルの自由な可動性によって達成されるという利点を有する。特に、ファイバケーブルの長さを短くすることができ、ファイバケーブル及びそれに対応するレーザ光源の配置において適用性を高めることができる。
【0015】
好ましい実施形態では、ファイバケーブルは、第1固定手段及び第2固定手段の間において179度の最大たわみ(deflection)を備えて所定のガイド面において案内される。179度による最大たわみという用語は、ファイバケーブルの経路に沿って第1固定手段と第2固定手段(これらの固定手段を含む)との間のファイバケーブル上の任意の点から出発して第1固定手段と第2固定手段(これらの固定手段を含む)との間の任意の他の点までのファイバケーブルの延在方向が、最大179度である角度について回転するように理解されるべきである。その結果、ファイバケーブルをさらに短くすることができ、これは、特に10kWからの範囲の高いレーザ出力で極めて有利である。
【0016】
本発明によるレーザ加工ツールの好ましい実施形態では、ファイバケーブルは、第1固定手段と第2固定手段との間において120度、特に100度の最大たわみを備えて所定のガイド面において案内される。言い換えれば、ファイバケーブルの経路に沿って第1固定手段と第2固定手段(これらの固定手段を含む)との間のファイバケーブル上の任意の点から出発して第1固定手段と第2固定手段(これらの固定手段を含む)との間の任意の他の点までのファイバケーブルの延在方向が、最大120度、又は最大100度、又は最大90度である角度について回転する。これは、ファイバケーブルをさらに短くすることができる。
【0017】
さらに好ましい実施形態では、ファイバケーブルのみが、第1固定手段及び第2固定手段を用いて固定される。これは、第1固定手段と第2固定手段との間の延在部に沿ったファイバケーブルに他のラインが干渉することを防止する。
【0018】
さらに好ましい実施形態では、レーザ加工ツールの動作位置において、すなわち前記ツールがその動作のために意図されたように設定されるとき、ファイバケーブルは、第1固定手段の位置において実質的に垂直方向に走行する、及び/又は、第2固定手段の位置において実質的に水平方向に走行する。このようにして、可動台車と加工ユニットとの間におけるファイバケーブルの、特にスペースをとらない案内を実現することができる。
【0019】
さらに好ましい実施形態では、所定のガイド面は、ブリッジ又はその長手方向の範囲に対して垂直に延在する。
【0020】
1固定手段又は第2固定手段は、任意の方法で、加工ユニット又は可動台車へのファイバケーブルのしっかりとした固定を確保することができる。好ましい実施形態では、第1固定手段及び/又は第2固定手段はそれぞれ、対応する固定位置においてファイバケーブルをクランプするためのクランプ装置を有する。
【0021】
さらに好ましい実施形態では、可動台車と加工ユニットとの間に、エネルギーガイドチェーン又はドラッグ(drag)チェーンとも呼ばれるそれ自体既知のエネルギーチェーンが設けられる。このエネルギーチェーンでは、ファイバケーブル以外のラインが、可動台車から加工ユニットに案内される。これらのラインは、加工ユニット又は加工ヘッドの動作に必要であるライン、例えば、レーザ加工に必要である圧縮空気又はガス(例えば、窒素及び/又は酸素)を供給するための1つ若しくは複数のホース、及び/又は、冷却剤又は水を供給するための1つ若しくは複数のライン、及び/又は、1つ若しくは複数の信号ケーブル、及び/又は、1つ若しくは複数の電力ケーブルなどを含む。
【0022】
今述べた実施形態のエネルギーチェーンは、大きな最小曲げ半径を有するファイバケーブルを含まないので、エネルギーチェーンは、著しく小さい曲げ半径を有することができ、これは、著しくコンパクトな構造を可能にする。エネルギーチェーンは好ましくは、レーザ加工ツールの動作位置において、可動台車から垂直に上方に延在し、その後180度たわませられ、その後垂直方向に加工ユニット内に下方に延在するように配置される。
【0023】
さらに、特に好ましい実施形態では、レーザ加工ツールの動作位置において、台車は、ブリッジ上において移動可能に案内され、ブリッジは、台車に対して垂直に移動可能である。これは、加工されるべき被加工物に関して加工ユニットを非常に柔軟に配置することを可能にする。可動台車は好ましくは、ブリッジに沿って水平方向に移動させることができ、ブリッジは、台車の移動経路に対して垂直な水平方向にも移動させることができる。
【0024】
本発明によるレーザ加工ツールに加えて、本発明は、このようなレーザ加工ツールのための加工装置に関する。この加工装置は、ブリッジ上において案内するように構成され、可動台車、すなわちブリッジ上において移動するように構成される台車を含む。加工ユニットは、台車上に配置され、加工ユニットは、レーザ加工ツールにおいて加工装置を使用するとき、加工されるべき被加工物にレーザ光のレーザビームを指向させるように設計される加工ヘッドを有し、レーザ光源からレーザ光を供給するための可撓性ファイバケーブルは、加工ヘッドに接続され、加工ユニットは、可動台車に対して加工ヘッドとともに直線的に移動可能である。
【0025】
本発明による加工装置は、ファイバケーブルが、第1固定手段を用いて加工ユニットに固定されるとともに第2固定手段を用いて可動台車に固定され、ファイバケーブルが、第1固定手段及び第2固定手段の間において所定のガイド面に、可動台車に対して加工ユニットの直線運動を可能にするために自由に移動可能である。さらに、所定のガイド面に対して垂直に走行する方向においてファイバケーブルの運動を制限するために、事前に規定されたガイド面を規定するガイド手段が設けられる。ガイド手段は、ファイバケーブルのための少なくとも2つの平行な停止要素を有する。
【0026】
本発明による加工装置は従って、本発明によるレーザ加工ツールのための加工装置として働くように構成される。好ましい実施形態では、この加工装置はまた、前述したレーザ加工ツールの好ましい実施形態の1つ若しくは複数によるレーザ加工ツールのための加工装置として働くように構成される。言い換えれば、前述したレーザ加工ツールの好ましい実施形態の特徴は、前記特徴が加工装置に関するものであれば、加工装置において実施することができる。
【0027】
以下、本発明の例示的実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明によるレーザ加工ツールの一実施形態に設置される加工装置の概略斜視図であり、加工ヘッドは、第1垂直位置にある。
図2図1に類似する説明図であり、加工ヘッドは、図1からの第1垂直位置より低い第2垂直位置にある。
図3図1及び図2からの加工装置が設置されたレーザ加工ツールの概略全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の変形例を、レーザ切断ツールの形をしたレーザ加工ツール100を使用して以下に説明する。レーザ加工ツール100の全体構造は、図3に見ることができる。レーザ加工ツールは、高エネルギーのレーザビームをメタルシートに指向させる加工装置を使用して、メタルシートを切断するために使用される。
【0030】
図1は、参照符号1によって全体として示される加工装置を詳細に示す。この装置は、ここで説明する実施形態では、横断又は切断台車として設計され、加工ユニット3を支持する可動台車2を有する。図1に示す直交座標系に対応して、加工ユニット3は、以下にさらに説明するように、アクチュエータシステム(図示せず)によって、台車2に対して垂直Z方向に移動させることができる。台車2は、ブリッジ10上に配置され、ブリッジ10は、ここで説明する実施形態では、切断ブリッジを表し、図1の図ではその一部分のみが示されている。台車2は、アクチュエータシステム(図示せず)によって、図示される座標系に従って水平Y方向に、このブリッジに沿って移動させることができる。
【0031】
図3によるレーザ加工ツールの全体図から分かるように、ブリッジ10はまた、特に図示される座標系の水平X方向、すなわち台車2の経路に垂直に移動させることができる。このため、ブリッジは、Y方向に延在する2つの支持部15及び15’を有するフレーム14上に配置される。ブリッジは、これらの支持体上に横たわり、適切なアクチュエータ(図示せず)を用いてその長手方向に沿って移動させることができる。
【0032】
図1によれば、加工ユニット3は、ここで説明する実施形態では、切断ヘッドとして設計される加工ヘッド4を有し、加工ヘッドにファイバケーブル6が接続され、ファイバケーブルを介してレーザ光が加工ヘッドに供給される。レーザ光は、図3において参照符号16によって示されるレーザ光源から発生する。加工ヘッド4には、ファイバケーブル6を介して加工ヘッド4に案内されて下方に指向されるレーザ光からレーザビームを発生させる光学系が存在する。図3の説明に従ってフレーム14の支持部15及び15’の間に配置される、切断されるべきシートメタル(図示せず)は、レーザ加工ツールの動作中、加工ヘッドの下方に位置付けられる。
【0033】
ファイバケーブル6に加えて、加工ヘッド4は、それ自体既知の方法で、その動作に必要である更なるラインを備えて供給される。これらのラインは、明確にするために示されていないが、とりわけ、電力供給のための電気ライン、制御ケーブル、及び切断プロセスに必要である圧縮空気とガスを供給するためのホースを含む。これらのラインは、それ自体既知のエネルギーチェーン11を介して、台車2から加工ヘッド4にファイバケーブル6とは別に案内される。
【0034】
エネルギーチェーン11は、Z方向に上方に延在し、Zドラッグとも呼ばれる。このチェーンでは、前述したケーブルは、多数の可撓性リンクの上を案内される。台車2から出発して、ラインは、Zドラッグへ垂直に上方に走行し、Zドラッグは、ラインを180度たわませ、その後、加工ヘッド4の上方にある加工ユニット3のハウジング5へ垂直に下方にラインを案内する。エネルギーチェーン11は、加工ヘッド4又は加工ユニット3が台車2に対して移動するとき、ラインの曲げ位置を変化させることによって、エネルギーチェーン11に案内されたラインを変えることを可能にする。
【0035】
ここで説明した実施形態とは対照的に、従来の加工装置では、ファイバケーブル6は、他のラインとともに、エネルギーチェーン11を介して加工ヘッド4に供給される。ファイバケーブルが一般に、エネルギーチェーンに案内される他のラインより著しく大きい最小曲げ半径を有することがここでは不利である。従って、エネルギーチェーン11の曲げ半径は、ファイバケーブルの比較的大きい最小曲げ半径に設定しなければならず、それは、エネルギーチェーンの垂直の拡張を増大させる。従って、通常設けられる機械屋根をより高い高さに配置しなければならず、それは、コストの増大を引き起こす。さらに、Zドラッグにおいてファイバケーブルを案内することは、このケーブルのより長い長さを引き起こす。加工ヘッド4の正しい動作のために、一定のファイバケーブル長さを超えてはならないので、ファイバケーブルの敷設、及びそれに応じてレーザ光源の位置を設計する範囲は、高出力のレーザ光の伝送のためにファイバ長さが制限されるので、制限される。さらに、ファイバケーブルが長くなると、製造コストの増加を引き起こす。Zドラッグにファイバがないため、前述したように小さくすることができ、それは、そこに案内されるすべてのケーブル及び/又はホースを短くすることを引き起こす。これは、さらなるコストを節約することができる。
【0036】
前記の問題を取り除くために、ここで説明する実施形態では、ファイバケーブル6は、Zドラッグ11とは別に加工ヘッド4に案内される。加工ヘッド4から出発して、ファイバケーブルは、最初に水平Y方向に加工ヘッド4から外に走行し、その後、概略的にのみ示される第1固定手段7によって加工ユニット3のハウジング5にしっかりと固定される前に、180°曲げられる。固定手段7として、それ自体既知の締結要素(fastening element)を使用することができ、例えばクランプ装置を設けることができる。ケーブルは次に、第1固定手段7から、また概略的にのみ示される第2固定手段8に案内され、第2固定手段は、例えば、再びクランプ装置によって実施することができる。第2固定手段8は、台車2上に設けられ、従ってファイバケーブルが台車にしっかりと取り付けられることを保証する。
【0037】
図1の加工装置の本質的特徴は、ファイバケーブル6が、第1固定手段7と第2固定手段8との間において、さらなる固定なしに、特に図示される座標系のX-Z平面に平行なガイド面Gにおいてエネルギーチェーンなしに、自由に移動可能であることである。このようにして、台車2に対する加工ユニット3の垂直変位中のファイバケーブルの運動が可能になる。しかしながら、台車2がY方向に急速に移動されるときにファイバケーブルの望ましくない運動を回避するために、固定手段7及び8の間においてファイバケーブルの運動は、ガイド手段9及び9'の助けによって制限され、ガイド手段は、ここで説明する実施形態では、2つの平行な壁部を表している。ガイド手段は、停止要素を形成し、ファイバケーブルは、停止要素の間において固定手段7から固定手段8に延在する。ガイド手段は、台車2の一部であり、平面において互いに平行に走行し、前記平面は次に、図示される座標系のX-Z平面に平行である。固定手段8は、ガイド手段9の上縁部の後方領域に位置付けられる。
【0038】
ファイバケーブル6を保護するために、加工ヘッド4及びハウジング5の左側にクラッド(cladding)がまた設けられる。このクラッドは、加工ヘッド4からガイド手段9及び9’への経路においてファイバケーブルの一部を覆っている。このクラッドは、図3に見ることができ、そこでは参照符号12によって指定されている。ケーブルガイドを見えるようにするために、図1及び図2の図では、クラッドは省略されている。
【0039】
図1では、加工ユニット3又は加工ヘッド4は、台車2に対して第1上方垂直位置に配置される。加工ヘッドを用いた切断プロセス又はレーザ光の放射の間、加工ユニット3は、図2に示される第2下方垂直位置に、加工ヘッド4とともに下方へ移動される。この図から分かるように、加工ヘッド4は現在、ブリッジ10の下方に位置付けられ、これは、図1の位置における場合とは異なる。加工ユニット3の垂直運動は、適切なアクチュエータと、台車4上の加工ユニットの垂直ガイドとによって可能となる。
【0040】
図2の位置への加工ユニット3の垂直運動は、第1固定手段7の下方への変位を引き起こし、それは次に、2つの固定手段7及び8の間におけるファイバケーブル6の伸張を引き起こす。固定手段間のファイバケーブルの自由な移動は従って、2つの固定手段間の距離の変化を補償することができる。ガイド手段9及び9’の間のファイバケーブル6の伸張は、図2ではケーブルの破線表示によって示されている。
【0041】
図1及び図2の実施形態によれば、固定手段7及び8は、ファイバケーブル6が固定手段8の位置において水平方向に走行し、固定手段7の位置において垂直方向に走行するようにファイバケーブル6を固定する。このようにして、ファイバケーブル6が180度より著しく小さい角度だけたわませられることが実現される。言い換えれば、ファイバケーブル6の延在方向は、ファイバケーブルの経路に沿って固定手段7及び8の間におけるファイバケーブル上の任意の点から出発して、固定手段7及び8の間における任意の他の点に、180度より著しく小さい角度について回転する。このようにして、台車2と加工ヘッド4との間において短いケーブルガイドが可能となる。
【0042】
図3は再び、前述した加工装置1を含むレーザ加工ツール100の全体構造を概略図において示す。図3の説明では、レーザ加工ツールは、ブリッジ10及びフレーム14に沿うケーブルガイドを示す視点から示されている。この観点から、加工装置1は、ブリッジ10の後方に配置され、それによって部分的に覆われている。従って、ブリッジ10の後方に位置付けられる加工ヘッド4は、図3から見ることができない。しかしながら、ハウジング5の一部、並びにZドラッグ11、及びファイバケーブルの運動が制限されるガイド手段又は壁部9は見ることができる。さらに、ファイバケーブルの一部が位置付けられるクラッド12は見ることができる。図面を明確にするために、図3には、ファイバケーブルも他のラインも示されていない。
【0043】
図3によれば、ファイバケーブルは、図3には示されていない固定手段8の後方にスロット(slot)13を介して台車2から離れる。ファイバケーブルは次に、水平Y方向に延在してYドラッグとも呼ばれるエネルギーチェーン17に入るように曲げられる。Zドラッグ11を介して加工ヘッド4に到達する他のラインも、それ自体既知の方法でこのエネルギーチェーン内に案内される。エネルギーチェーン17は、台車2が移動されるとき、そこに受け入れられるライン又はケーブルが送り込まれることを保証する。Yドラッグから、ケーブルは、ここでより詳細に説明されていないが、それ自体既知のケーブルチャネルを介して、Xドラッグとも呼ばれるさらなるエネルギーチェーン18へと通過し、ブリッジ10がX方向に移動されるとき、そこに含まれるケーブルが送り込まれることを保証する。Xドラッグから離れた後に、ケーブルは、その機能に応じて、レーザ加工ツールを制御するための制御キャビネット19かそれとも、既に前述したレーザ光源16に案内される。このケーブルガイドは、図3には示されておらず、また本発明には関係がない。
【0044】
前述した本発明の実施形態は、多数の利点を有する。特に、ファイバケーブルの最小曲げ半径が、Zドラッグを介して加工ヘッドに到達する他のラインの最小曲げ半径より著しく大きいという事実は、ファイバケーブルを加工ヘッドに別々に案内することによって考慮される。結果として、このドラッグがファイバケーブルを案内していないとき、その曲げ半径を小さくすることによって、Zドラッグの垂直の高さを低減させることができる。さらに、ファイバケーブルを加工ユニット又は台車上の2つの固定点において適切に固定することによって、ケーブルを180度未満にたわませることができ、それは、ケーブル長さを短くすることができる。これは次に、ケーブルガイド及びレーザ光源の位置決めにおいて設計自由度が高めるとともにコストを低減させることを引き起こす。
【符号の説明】
【0045】
100 レーザ加工ツール
1 加工装置
2 可動台車
3 加工ユニット
4 加工ヘッド
5 ハウジング
6 ファイバケーブル
7 第1固定手段
8 第2固定手段
9,9' ガイド手段
10 ブリッジ
11 Zドラッグ
12 クラッド
13 スロット
14 フレーム
15,15' フレーム支持部
16 レーザ光源
17 Yドラッグ
18 Xドラッグ
19 制御キャビネット
G ガイド面
【国際調査報告】