(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-03
(54)【発明の名称】デジタル計画に従ったインプラントの深さおよび回転の同時制御を備えるインプラントドライバ
(51)【国際特許分類】
A61C 8/00 20060101AFI20230224BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564693
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 EP2020025603
(87)【国際公開番号】W WO2021136590
(87)【国際公開日】2021-07-08
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522258905
【氏名又は名称】デンツプライ インプランツ エヌブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ポルスポール,ワウテル
(72)【発明者】
【氏名】クラース,ワード
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159AA55
(57)【要約】
インプラントを、患者の顎内のデジタル仮想計画インプラントおよびインプラント位置に従って配置するためのインプラントドライバアセンブリであって、前述のインプラントドライバアセンブリは、少なくとも1つのインプラントドライバおよび少なくとも1つのサージカルテンプレートを備え、インプラントドライバは、1つ以上の第1のマーカを有し、サージカルテンプレートと整列するように適合され、サージカルテンプレートは、ガイド要素を有し、1つ以上の第2のマーカを有し、その結果、インプラントに接続された時のインプラントドライバ上の1つ以上の第1のマーカと、サージカルテンプレート上の1つ以上の第2のマーカとの整列は、顎骨に挿入されている時のインプラントの螺旋運動を規定し、インプラントドライバおよびサージカルテンプレートはまた、デジタル仮想計画インプラント位置によって規定されるようなインプラントドライバの回転または回転対称位置を示すための、1つ以上の第1のマーカの少なくとも1つおよび1つ以上の第2のマーカの少なくとも1つを含み、それにより、ガイド要素は滑腔を有するブッシングであり、1つ以上の第1のマーカは、インプラントドライバの外面内または外面上のねじ山を備え、1つ以上の第2のマーカは、インプラントドライバの外面内または外面上のねじ山を辿るためのねじ山追従体を備え、ねじ山追従体は、サージカルテンプレートのガイド要素から取り外し可能または引き込み可能な1つ以上のピンを備える、インプラントドライバアセンブリ。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラントを、患者の顎内のデジタル仮想計画インプラントおよびインプラント位置に従って配置するためのインプラントドライバアセンブリであって、前記インプラントドライバアセンブリは、少なくとも1つのインプラントドライバおよび少なくとも1つのサージカルテンプレートを備え、前記インプラントドライバは、1つ以上の第1のマーカを有し、前記サージカルテンプレートと整列するように適合され、前記サージカルテンプレートは、ガイド要素および1つ以上の第2のマーカを有し、その結果、前記インプラントに接続された時の前記インプラントドライバ上の1つ以上の第1のマーカと、前記サージカルテンプレート上の1つ以上の第2のマーカとの整列は、顎骨に挿入されている時の前記インプラントの螺旋運動を規定し、前記インプラントドライバおよび前記サージカルテンプレートはまた、前記デジタル仮想計画インプラント位置によって規定されるような前記インプラントドライバの回転または回転対称位置を示すための、前記1つ以上の第1のマーカの少なくとも1つおよび前記1つ以上の第2のマーカの少なくとも1つを含み、それにより、前記ガイド要素は滑腔を有するブッシングであり、前記1つ以上の第1のマーカは、前記インプラントドライバの外面内または外面上のねじ山を備え、前記1つ以上の第2のマーカは、前記インプラントドライバの前記外面内または前記外面上の前記ねじ山を辿るためのねじ山追従体を備え、前記ねじ山追従体は、前記サージカルテンプレートの前記ガイド要素から取り外し可能または引き込み可能な1つ以上のピンを備える、インプラントドライバアセンブリ。
【請求項2】
前記1つ以上の第1のマーカの少なくとも1つおよび前記1つ以上の第2のマーカの少なくとも1つは、前記インプラントドライバの最終垂直位置を示すためのものである、請求項1に記載のインプラントドライバアセンブリ。
【請求項3】
患者の顎内の前記デジタル仮想計画インプラントおよび/またはインプラント位置は、信号記憶装置に保存される、請求項1または2に記載のインプラントドライバアセンブリ。
【請求項4】
前記1つ以上の第1のマーカの1つは、分配されたマーカである、先行する請求項のいずれかに記載のインプラントドライバアセンブリ。
【請求項5】
前記ねじ山は、ねじ山開始部およびねじ山入口部を有する、先行する請求項のいずれかに記載のインプラントドライバアセンブリ。
【請求項6】
前記インプラントドライバは、前記滑腔ブッシングを通るように適合される、先行する請求項のいずれかに記載のインプラントドライバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプラントを患者の口内に配置するため、およびインプラントを患者の口内に配置するのに適した道具を作製するための方法、システム、および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科インプラントを所定の位置に配置するための、患者固有のサージカルテンプレートと組み合わせたインプラントドライバの使用は、歯科インプラント処置において一般的な方法である。しかしながら現在は、垂直位置およびその長手方向軸の周りの回転の同時制御を備えた、インプラントをその所定の仮想計画位置に配置することを可能とする市販のガイド手術器具キットは、市場にない。最も商業化されたガイド手術システムでは、インプラントは、その所定の仮想計画垂直位置、またはその所定の仮想計画回転位置のいずれかに配置されるが、両方ではない。この理由は、現在の商業化されたガイド手術用器具が、インプラントに所定の仮想計画螺旋経路を辿らせないためである。現在の商業化されたシステムを用いたインプラント配置中にインプラントが辿る螺旋経路は、そのねじ山が骨を「つかむ」瞬間のインプラントの位置、およびインプラントのねじ山設計によって決定される。現在商業化されていない、参照された先行技術は、インプラントの最終位置の再現可能な深さおよび回転をもたらすインプラントの螺旋制御配置を可能とする、インプラントドライバについて記載しているが、仮想計画方法で事前に規定される螺旋を有さない。
【0003】
WO2010/125593は、骨切り面へのその挿入の開始時の、各インプラントのそれ自体の軸の周りの回転角の構成によって、位置、最終挿入深さ、挿入軸方向、および各インプラントの前述の軸の周りの回転角を同時制御するための手段を備える、インプラント挿入点に一致しかつインプラントの挿入の配向を制御するための1つ以上の孔またはスリーブを備えるサージカルガイドを利用する種類の、ガイドされた歯科インプラント位置決めシステムを開示する。骨切り面の実現の深さおよび軸方向を同時制御するための手段も開示される。
【0004】
EP2153797は、位置決め治具として作製される付属物であって、前述の付属物は、インプラント(7)にねじ込まれ得るねじ(22)のための通路(25)を備え、これらの通路(25)および前述の付随するねじ(22)は、ねじ(22)が締められると、それらが特定の位置に押し込まれ得るような形状である、付属物、ならびにドリル治具(6)の形状であり、1つまたはいくつかの管路(9)がドリルのために形成され、コンピュータ計画の機能でドリル治具(6)に設けられる、付属物を開示する。
【0005】
WO2007/129955は、歯科インプラントを患者の骨組織に固定するための装置および方法に関する。装置は、管状取り付けガイド上のインターロック部と係合することができるインターロック部を備える雌ねじガイドスリーブを含む。ホルダは、ガイドスリーブのねじ山に相補的なねじを備える。ホルダは、インプラントをホルダの一方の端部に固定するように構成される。管状取り付けガイドは、サージカルテンプレートの孔に配置され、孔内に所望の角度位置でセメント接着される。テンプレートは患者の口内に配置される。テンプレートの孔を通して、骨の中への孔が開けられる。歯科インプラントは、ホルダに固定され、ガイドスリーブは、それぞれのインターロック部がかみ合うように、テンプレートの孔内に配置される。ホルダは、インプラントが骨にねじ込まれるまで、ガイドスリーブを通してねじ込まれる。出願はまた、サージカルテンプレートを作製するための方法に関する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、サージカルテンプレートおよび/または器具のセットの設計、ならびにこのテンプレートまたはこれらの器具を作りかつ使用して、歯科インプラントを、所定の仮想計画位置である位置に配置する方法の両方を提供する。この位置は、顎内のインプラント位置の実際の規定をもたらす、患者の顎のデジタル臨床データに対する仮想インプラント位置を、デジタルで計画することによって達成され得る。
【0007】
本発明の実施形態の目的は、患者の顎内に設置する時に、各インプラントの位置、最終挿入深さ、および軸の周りの回転角を同時に制御することである。
【0008】
本発明の実施形態の別の目的は、インプラントドライバを用いたインプラントの配置を可能にすることであり、正しい垂直位置(すなわち、顎内の正しい挿入深さ)に到達した後、顎骨への損傷をもたらすのでインプラントドライバをさらにねじ込むべきではないことを示すマーキングが存在する。代わりに、インプラントおよびドライバは、正しい垂直位置だけでなく同時に正しい回転位置にも到達し、それによりさらなる垂直移動は必要ない。これは、起こり得る顎骨への損傷を防ぐ。システムのパーツは、インプラントの正しい位置を外科的に達成するように協働する。
【0009】
例えば、本発明の実施形態は、以下に記載されるような論理的依存性の任意選択の特徴を備える、インプラントドライバアセンブリに関する。
【0010】
1.
インプラントを、患者の顎内のデジタル仮想計画インプラントおよびインプラント位置に従って配置するためのインプラントドライバアセンブリであって、前述のインプラントドライバアセンブリは、少なくとも1つのインプラントドライバおよび少なくとも1つのサージカルテンプレートを備え、インプラントドライバは、1つ以上の第1のマーカを有し、サージカルテンプレートと整列するように適合され、サージカルテンプレートは、ガイド要素および1つ以上の第2のマーカを有し、その結果、インプラントに接続された時のインプラントドライバ上の1つ以上の第1のマーカと、サージカルテンプレート上の1つ以上の第2のマーカとの整列は、顎骨に挿入されている時のインプラントの螺旋運動を規定し、インプラントドライバおよびサージカルテンプレートはまた、デジタル仮想計画インプラント位置によって規定されるようなインプラントドライバの回転または回転対称位置を示すための、1つ以上の第1のマーカの少なくとも1つおよび1つ以上の第2のマーカの少なくとも1つを含み、それにより、ガイド要素は滑腔を有するブッシングであり、1つ以上の第1のマーカは、インプラントドライバの外面内または外面上のねじ山を備え、1つ以上の第2のマーカは、インプラントドライバの外面内または外面上のねじ山を辿るためのねじ山追従体を備え、ねじ山追従体は、サージカルテンプレートのガイド要素から取り外し可能または引き込み可能な1つ以上のピンを備える、インプラントドライバアセンブリ。
【0011】
2.
1つ以上の第1のマーカの少なくとも1つおよび1つ以上の第2のマーカの少なくとも1つは、インプラントドライバの最終垂直位置を示すためのものである、項目1に記載のインプラントドライバアセンブリ。
【0012】
3.
患者の顎内のデジタル仮想計画インプラントおよび/またはインプラント位置は、信号記憶装置に保存される、項目1または2に記載のインプラントドライバアセンブリ。
【0013】
4.
1つ以上の第1のマーカの1つは、分配されたマーカである、先行する項目のいずれかに記載のインプラントドライバアセンブリ。
【0014】
5.
ねじ山は、ねじ山開始部およびねじ山入口部を有する、先行する項目のいずれかに記載のインプラントドライバアセンブリ。
【0015】
6.
インプラントドライバは、ねじ山追従体がねじ山から外れるように、一方の端部が狭くなる、先行する項目のいずれかに記載のインプラントドライバアセンブリ。
【0016】
7.
インプラントドライバは、滑腔ブッシングを通るように適合される、先行する項目のいずれかに記載のインプラントドライバ。
【0017】
例えば、本発明の実施形態は、以下に記載されるような論理的依存性の任意選択の特徴を備える、インプラントドライバ上の第1のマーキングおよびサージカルテンプレートのガイド要素上の第2のマーキングの許容される位置を決定するための方法に関する。
【0018】
8.
インプラントドライバ上の第1のマーキングおよびサージカルテンプレートのガイド要素上の第2のマーキングの許容される位置を決定するための方法であって、
サージカルテンプレートの製造の前に、患者のデジタル臨床データに対して、インプラントの回転位置を仮想的に計画するステップと、
ガイド要素上の第2のマーキングとインプラントドライバ上の第1のマーキングとの協働が、インプラントドライバを使用してインプラントを患者の顎内に配置することを可能とし、その結果、インプラントドライバは回転位置に移動するような方法で、サージカルテンプレートのガイド要素上の第2のマーキングを位置付けるステップであって、ガイド要素は、インプラントドライバを受け入れるために適合された滑腔を有する、ステップと
を含む、方法。
【0019】
9.
ガイド要素上の第2のマーキングとインプラントドライバ上の第1のマーキングとの協働が、インプラントドライバを使用してインプラントを患者の顎内に配置することを可能とし、その結果、インプラントドライバは、サージカルテンプレートの製造の前に患者のデジタル臨床データに対して仮想的に計画された、患者の顎内のインプラントの垂直位置に移動する、項目10に記載の方法。
【0020】
10.
患者の顎内のデジタル仮想計画インプラントおよび/またはインプラント位置は、信号記憶装置に保存される、項目10または11に記載の方法。
【0021】
11.
第1および/または第2のマーキングは、分配されたマーカである、項目10~12のいずれかに記載の方法。
【0022】
12.
第2のマーキングは、インプラントドライバの外面内または外面上のねじ山を備える、項目11に記載の方法。
【0023】
13.
ねじ山は、ねじ山開始部およびねじ山入口部を有する、項目12に記載の方法。
【0024】
14.
第1のマーキングは、辿るためのねじ山追従体を備え、第1のマーキングは、インプラントドライバの外面内または外面上のねじ山である、項目12または13に記載の方法。
【0025】
15.
ねじ山追従体は、サージカルテンプレートのガイド要素から取り外し可能または引き込み可能な1つ以上のピンである、項目14に記載の方法。
【0026】
16.
インプラントドライバは、ねじ山追従体がねじ山から外れるように、一方の端部が狭くなる、項目13~15のいずれかに記載の方法。
【0027】
17.
ガイド要素は、ブッシングである、項目8~16のいずれかに記載の方法。
【0028】
18.
ブッシングは、滑腔を有する、項目17に記載の方法。
【0029】
19.
インプラントドライバは、滑腔を有するブッシングに通される、項目18に記載の方法。
【0030】
例えば、本発明の実施形態は、以下に記載されるような論理的依存性の任意選択の特徴を備える、歯科用ハンドピースの設定におけるプログラミングのための方法に関する。
【0031】
20.
歯科用ハンドピースの設定において、インプラントを患者の顎内のデジタルで予め決定された位置に配置するのに必要な回転をプログラミングするための方法であって、
螺旋を規定する1つ以上の第1のマーカを含むインプラントドライバを製造するステップであって、
螺旋の長手方向軸は、インプラントドライバの長手方向軸と一致し、
螺旋のピッチは、インプラントドライバと適合するインプラントのねじ山のピッチと一致し、
インプラントドライバ上の1つ以上の第1のマーカは、サージカルテンプレート上の1つ以上の第2のマーカとの整列を容易にして、インプラントドライバの所定の初期位置を確立することを可能とし、サージカルテンプレートは、インプラントドライバが通る滑腔ブッシングを有する、
ステップ
を含む、方法。
【0032】
21.
ねじ山入口部およびねじ山開始部は、インプラントドライバの所定の初期位置を確立することを可能とする、項目20に記載の方法。
【0033】
22.
患者の顎のためのインプラント位置は、患者から得られるデジタル臨床データから決定される、項目21に記載の方法。
【0034】
23.
仮想インプラント位置およびインプラントドライバに基づいて、仮想螺旋経路が、仮想計画インプラントに接続された場合の仮想最終位置にある、インプラントドライバの1つ以上の第1のマーカの位置によって規定される、項目22に記載の方法。
【0035】
24.
仮想計画インプラント位置に仮想的に接続されるインプラントドライバ上のねじ山開始部の位置を特定することをさらに含む、項目23に記載の方法。
【0036】
25.
螺旋経路は溝であり、サージカルテンプレートに位置し、螺旋を辿るねじ山追従体/ガイドピンの位置が選択される、項目23または24に記載の方法。
【0037】
26.
螺旋経路を辿って、ねじ山開始部の初期位置をねじ山開始部の最終位置に移動させるのに必要な極回転を計算することをさらに含む、項目21~25のいずれかに記載の方法。
【0038】
27.
以下
【数1】
(式中、αは極回転であり、hは、仮想計画インプラントの長手方向軸に沿って測定された、ねじ山開始部の初期位置とねじ山開始部の最終位置との間の垂直方向の高さである)
を計算することをさらに含む、項目26に記載の方法。
【0039】
28.
ねじ山開始部がその初期位置に移動した後に、この回転をインプラントドライバに適用することができるように、極回転αを歯科用ハンドピースシステムにプログラミングすることをさらに含む、項目27に記載の方法。
【0040】
例えば、本発明の実施形態は、以下に記載されるような論理的依存性の任意選択の特徴を備える、サージカルテンプレートを設置して、インプラントを患者の顎内のデジタルで予め決定された位置に配置する方法に関する。
【0041】
29.
サージカルテンプレートを設置して、インプラントを患者の顎内のデジタルで予め決定された位置に配置する方法であって、
手術器具の所定のセットが、サージカルテンプレートの一部であるガイド要素によってガイドされ得るように、サージカルテンプレートを製造するステップであって、サージカルテンプレートは、インプラントの術前計画仮想位置に従って位置決めされる骨切り術を行うのに使用されるように適合され、そのため、仮想インプラント位置は、患者から得られるデジタル臨床データに対して計画され、サージカルテンプレートのガイド要素はブッシングであり、ブッシングは滑腔であり、ブッシングは、引き込み可能なまたは埋め込まれたねじ山追従体を含み、その結果、ねじ山追従体はインプラントドライバ上の螺旋溝を辿る、ステップ
を含む、方法。
【0042】
30.
ねじ山追従体は、引き込み可能なピン/ねじまたは埋め込まれたピンの頂点を有する、項目29に記載の方法。
【0043】
31.
インプラントドライバ2は、インプラントに接続されているか、または接続可能であり、サージカルテンプレートのガイド要素中を移動するのに適している、項目29または30に記載の方法。
【0044】
32.
インプラントドライバ上のねじ山入口部は、ピン/ねじの頂点と整列し、インプラントドライバは、ねじ山開始部がピン/ねじの頂点と一致するまで、滑腔ブッシング中を移動する、項目30または31に記載の方法。
【0045】
33.
アセンブリになったインプラントドライバおよびインプラントは、ピン/ねじの頂点がインプラントドライバのねじ山を辿るため、インプラントドライバのねじ山およびブッシングのねじ山追従体によって強制される螺旋運動で、下方に移動する、項目32に記載の方法。
【0046】
34.
移動は、ねじ山開始部、およびインプラントドライバ/インプラントアセンブリが、その最終位置に移動するまで続けられる、項目33に記載の方法。
【0047】
36.
最終位置は、インプラントドライバ上の第1の最終位置マーカを、サージカルテンプレート上の第2の最終位置マーカと整列させることによって示される、項目34に記載の方法。
【0048】
例えば、本発明の実施形態は、信号記憶装置に保存されたデジタル仮想計画インプラント、1つ以上の第1のマーカを含むインプラントドライバ、配置されるインプラント、および1つ以上の第2のマーカを含むサージカルテンプレートのガイド要素を含む、パーツキットに関し、その結果、インプラントに接続された時のインプラントドライバ上の1つ以上の第1のマーカと、サージカルテンプレート上の1つ以上の第2のマーカとの整列は、インプラントドライバを使用して顎骨に挿入されている時のインプラントの螺旋運動を規定し、インプラントドライバおよびサージカルテンプレートはまた、インプラントドライバの最終垂直位置を示すための、1つ以上の第1のマーカの少なくとも1つおよび1つ以上の第2のマーカの少なくとも1つを含み、その結果、インプラントドライバの最終垂直位置は、インプラントが、配置された時に、デジタル仮想計画インプラントで規定されるのと同じ垂直位置および回転または回転対称位置にあるようなものである。
【0049】
インプラントドライバ上のマーカと、サージカルテンプレート、特にブッシングまたはブッシング内のスリーブなどのガイド要素上のマーカとの、組み合わされた所定の位置により、本発明の実施形態は、これらのマーカが整列すると、インプラントを、回転または回転対称位置に対応する位置に運ぶことができる、インプラントドライバの螺旋挿入経路を規定することができる。これを、所定の仮想計画インプラント位置に関連付けることができる。回転対称位置に加えて、任意選択で、垂直位置またはインプラントの深さも達成され得る。ガイド要素は、例えばねじ山のない滑らかな内面を有する、滑腔ブッシングまたはブッシング内の滑腔スリーブなどの、滑腔を有し得る。スリーブは、ブッシング内にはめ込まれてよく、その場合、スリーブは滑腔を有するが、ブッシングは、その場合、滑らかな内面を必要としない場合がある。
【0050】
本発明の実施形態におけるブッシングなどのサージカルテンプレート上のガイド要素の穴は、穴に入り、ガイド要素上の第2のマーキングとして使用される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つまでのピンまたはねじを有し得る。ピンまたはねじは、引き込み可能であり得るか、またはブッシングなどのガイド要素に埋め込まれ得る。ピンまたはねじは、ねじ山追従体であり得る。
【0051】
本発明の実施形態は、以下の利点を有する:
(i)サージカルガイドにおけるブッシングの滑腔またはブッシング内のスリーブなどの、サージカルガイドのガイド要素の内面上に雌ねじを必要としないこと、
(ii)インプラントが配置された後の、インプラントドライバのより容易な回収、
(iii)それらの道具を損傷する危険を冒さずにブッシングを通る他の道具を使用する可能性、ならびに
(iv)手術計画への直接統合および歯科用ハンドピースの可能なプログラミング。
【0052】
本発明の一態様では、インプラントドライバは、患者の顎内に配置されるインプラントのセットまたはインプラントを備え、インプラントドライバの外面は、回転マーカを有する。任意選択で、患者の顎内のインプラントの挿入深さのための深さマーカが存在し得る。回転マーカは、例えば螺旋の形態で、インプラントドライバの表面上に分配され得る。分配された回転マーカの使用は、その少なくとも一部を、歯科医または口腔外科医がいつでも見ることができるという利点を有する。分配されたマーカは、色付きの帯、線、点線または点鎖線などの途切れた線状マーカなどの、様々なマーカ要素を含み得る。回転マーカは、印刷、塗装、ミリング、レーザーアブレーション、彫刻、エッチングなどの任意の好適なプロセスによって、インプラントドライバの中または上に配置され得る。例えば、回転マーカは、インプラントドライバの表面にインデント加工され、刻まれ、ミリングされ得、例えば、ねじ山であり得る。任意選択でスリーブを備えるブッシングなどのガイド要素上のマーキングに対するインプラントドライバ上のマーカの位置は、インプラントドライバの設計仕様、サージカルテンプレートの設計仕様、および仮想計画インプラントの位置により決定される。後者は、患者固有であり、したがって、マーカの位置の患者固有の特性を決定する。
【0053】
インプラント深さマーカは、局在マーカ要素、例えば、1つ以上の線、点線などの途切れた線状マーカ、1つ以上の局在彫刻、1つ以上の局在エッチング、1つ以上の局在印刷もしくは塗装、1つ以上の局在ミリング、または類似のものなどの、任意の好適な模様によって提供され得る。インプラントドライバ上のマーカは、好ましくは、インプラントが最終かつ正しい回転および深さ位置にある時に、サージカルテンプレート上、例えばブッシングなどのガイド要素上の少なくとも1つのマーカと整列する。インプラントドライバ上の第1のマーカ、およびテンプレートのガイド要素上の第2のマーカは、螺旋運動を規定する。第1および第2のマーキングは、互いに相互作用し、互いに協働し、または互いに整合して、回転の始点および終点、ならびに例えば、間の全ての点を規定する。
【0054】
インプラントドライバ上の第1のマーカと、ブッシングなどのガイド要素上の第2のマーカとの間の協働があるため、垂直停止位置は、必ずしも必要ない。例えば、本発明のさらなる実施形態は、その長さに沿った特定の位置で停止するねじ山を有するインプラントドライバを提供する。これは、サージカルテンプレート上の第2のマーカを必要とせずに、インプラントの最終垂直位置を決定するのに使用され得る。
【0055】
サージカルテンプレートのブッシング上のマーカは、患者固有の場所に、1つ以上の引き込み可能なまたは埋め込まれたねじ山追従体を含み得る。ねじ山追従体は、例えばねじ山または螺旋溝でもある、インプラントドライバ上の回転マーカと協働する。ねじ山は、インプラントドライバの表面内または表面上に形成され得る。ブッシングなどのガイド要素に対するねじ山追従体の位置は、インプラントドライバの設計仕様、ブッシングなどのガイド要素の設計仕様、および仮想計画インプラントの位置により決定される。後者は、患者固有であり、したがって、ねじ山追従体の位置の患者固有の特性を決定する。ねじ山追従体は、インプラントドライバ上の回転マーカ、例えばインプラントドライバのねじ山との整列を容易にするか、または強制さえすることができるマーカである。ねじ山追従体が、インプラントドライバ上のねじ山に挿入されるか、またはインプラントドライバ上のねじ山が、インプラントドライバ上でねじ山追従体に挿入されると、サージカルテンプレートに対するインプラントドライバの移動は、ねじ山追従体の位置、およびねじ山追従体がインプラントドライバのねじ山の中または上に挿入された場所でのねじ山追従体の摺動運動によって制御される。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態では、インプラントドライバのねじ山は、インプラントのねじ山と一致し、すなわち、同じピッチのねじ山を有し得る。さらに、インプラントドライバは、例えば回転および/または垂直方向の、インプラントドライバの正しい最終位置を示すためのマーカも備え得る。インプラントが、インプラントドライバを用いてこの特定の最終位置に配置されると、インプラントは、仮想計画インプラントについて規定されたのと同じ垂直位置および回転または回転対称位置に到達する。この理由で、この位置は、最終位置と呼ばれる。インプラント接続体は、x回の回転対称性を有し、例えば、インプラント接続体が六角形である場合、6回対称性を有することに留意されたい。その垂直軸の周りの最終インプラント回転位置は、仮想計画回転位置の倍数であることが可能であり得る。例えば、六角形の接続体では、最終インプラントを、その長手方向軸の周りの仮想計画回転配向に対して60°、120°…などの角度で、その長手方向軸の周りに回転させることができる。インプラントドライバおよびブッシングの設計を、類似または同一の結果に到達するように変更することができる。例えば、ある設計は、インプラントドライバ上のねじ山追従体、およびブッシング上のねじ山を有し得る。
【0057】
本発明の実施形態は、インプラントを、所定の仮想計画位置に従って配置することができるように、患者固有のマーカを備えるサージカルテンプレート、および/またはマーカを備えるインプラントドライバを設計、および/または製造、および/または使用するための方法を提供する。
【0058】
本発明の別の態様では、マーカ位置を決定する1つの方法として、特定の数学的計算が提示される。数学的計算を使用しない、マーカ位置を決定する他の方法は、本発明の範囲内に含まれる。
【0059】
本発明の実施形態は、仮想計画インプラント位置に一致するインプラントの最終位置に到達するのに必要な、インプラントドライバの回る数または回転数を決定する方法を含む。この数を、次いで、インプラントドライバの駆動に使用される電動ハンドピースにプログラミングすることができ、その結果、最終位置への到達は、最終インプラントドライバ位置を示すマーカの使用をもはや必要としない。
【0060】
本発明の実施形態は、参照された先行技術に存在する1つまたは2つの主な問題を解決し得る。例えば、本発明に係るインプラントドライバおよびサージカルテンプレートは、2つのねじ山付き相互作用要素を必要としない。第1の問題は、既知の方法が、サージカルテンプレートのブッシング(またはサージカルテンプレートに装着された、例えばブッシング内のさらなるねじ山付きスリーブ)、およびインプラントドライバの両方のねじ切りを必要とするという事実に関連する。そのような2つのねじ山付き相互作用要素の組み合わせは、いくつかの欠点を有する。第1に、それは、インプラントの最終位置に到達した時に、インプラントからのインプラントドライバの容易な分離を可能としない。実際、インプラントドライバは、典型的には、インプラントドライバをその長手方向軸に沿ってインプラントから離れるように平行移動させることによってのみ、インプラントから分離され得る。そのような動きは、ねじ山付きインプラントドライバがサージカルテンプレートのブッシングのねじ山にも結合される場合、不可能である。本発明のいくつかの実施形態の態様は、引き込み可能である(引き込み可能であり得る)1つ以上のねじ山追従体を含む。ねじ山追従体は、単純なピンであり得る。そのようなピンは、インプラントドライバ上のねじ溝への局所的な侵入または点接触を有する。引き込みは、インプラントからインプラントドライバを分離するために必要な、インプラントドライバの平行移動動作を可能とする。第2に、サージカルテンプレートのねじ山付きブッシングまたはねじ山付きのさらなるスリーブは、ドリルなどの、他の、典型的にはより高速回転する手術器具の誘導に最適ではない。これらの器具の誘導のために、滑らかな内面のブッシング(すなわち、滑腔ブッシング)、またはブッシング内にスリーブがある場合は滑腔スリーブが好ましい。要するに、全ねじブッシングの代わりに、サージカルテンプレートのブッシングに1つ以上の離散マーカ(例えば、ねじ山追従体として作用するガイドピン)を導入することは、参照された先行技術と比較して優れた構想であると考えられる。
【0061】
本発明の実施形態におけるブッシングなどのサージカルテンプレート上のガイド要素の穴は、穴に入り、ガイド要素上の第2のマーキングとして使用される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つまでのピンまたはねじを有し得る。ピンまたはねじは、引き込み可能であり得るか、またはブッシングなどのガイド要素に埋め込まれ得る。ピンまたはねじは、ねじ山追従体であり得る。
【0062】
参照された先行技術に存在する第2の問題は、仮想インプラント計画に基づいてマーカ位置を決定する方法を含まないことである。結果として、先行技術の開示は、垂直深さおよび回転または回転対称位置の両方において、仮想計画インプラント位置に一致するインプラントを配置するための手段を提供しない。本発明の実施形態は、仮想的に計画された位置、回転または回転対称性に一致する位置および配向でのインプラントの配置を可能とする。仮想計画位置の一致は、深さおよび回転位置の両方においてであり得る。これは、参照された先行技術と対照的であるが、本発明の実施形態は、インプラント(単数または複数)を配置するために使用されるのと同じ処置セッションで、アバットメントおよびクラウンなどの、仮想的に計画されかつ仮想的に設計された、患者固有の補綴要素のより正確な配置を可能とする。配置されるインプラントの垂直位置(または深さ)および回転位置の両方が制御されるため、配置された患者固有の補綴要素の位置は、それらの仮想計画位置により正確に一致することになる。参照された先行技術では、インプラント位置は、予め決定され、サージカルテンプレートが製造された後にのみ再現可能である。したがって、参照された先行技術は、補綴要素を、デジタル手法ではなく、手作業で(例えば、同じサージカルテンプレートを使用した、物理的モデルへのインプラント(アナログ)配置によって)作製することのみを可能とする。この理由で、仮想インプラント位置およびインプラントドライバ上の所定のマーカに基づいて、滑腔ブッシングなどのサージカルテンプレートガイド要素の離散マーカ(単数または複数)の患者固有の位置を決定するための方法は、優れた構想であると考えられる。
【0063】
一態様では、本発明の実施形態は、信号記憶装置に保存されたデジタル仮想計画インプラント、1つ以上の第1のマーカを含むインプラントドライバ、配置されるインプラント、および1つ以上の第2のマーカを含むサージカルテンプレートのガイド要素を含む、パーツキットを提供し、その結果、(インプラントが打ち込まれる時にそれに接続されている)インプラントドライバ上の1つ以上の第1のマーカと、サージカルテンプレート上の1つ以上の第2のマーカとの整列は、顎骨に挿入されている時のインプラントの螺旋運動を規定し、インプラントドライバおよびサージカルテンプレートはまた、インプラントドライバの最終垂直位置を示すための、1つ以上の第1のマーカの少なくとも1つおよび1つ以上の第2のマーカの少なくとも1つを含み、その結果、インプラントドライバの最終垂直位置は、インプラントが、配置された時に、デジタル仮想計画インプラントと同じ垂直位置および回転または回転対称位置にあるようなものである。上記は、最終位置のマーカのみよりも好ましく、それは、この規定が、通常の方法でインプラントドライバを用いてインプラントを配置し、次いで、まず正しい垂直位置に到達した後、さらなる垂直移動を妨げながら、インプラントドライバを正しい回転位置にさらにねじ込むという状況を含むため、これでは不十分だからである。これは、骨を損傷する可能性が最も高い。
【0064】
ガイド要素は穴を有し得、穴は滑らかである。これは、インプラントが患者の顎内に配置された後に、インプラントからインプラントドライバを取り外すのがより容易であるという利点を提供する。本発明の実施形態におけるブッシングなどのサージカルテンプレート上のガイド要素の穴は、穴に入り、ガイド要素上の第2のマーキングとして使用される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つまでのピンまたはねじを有し得る。ピンまたはねじは、引き込み可能であり得るか、またはブッシングなどのガイド要素に埋め込まれ得る。ピンまたはねじは、ねじ山追従体であり得る。
【0065】
1つ以上の第1のマーカは、1つ以上の分配されたマーカであり得る。これにより、マーカは口腔外科医または歯科医からより見やすくなる。
【0066】
1つ以上の第1のマーカは、インプラントドライバの外面内または外面上のねじ山を備え得る。ねじ山は、ねじ山開始部およびねじ山入口部を有し得る。ねじ山は、製造が容易である。
【0067】
1つ以上の第2のマーカは、インプラントドライバの外面内または外面上のねじ山を辿るためのねじ山追従体を備え得る。ねじ山追従体は、位置安定性を提供する。
【0068】
ねじ山追従体は、1つ以上のピンであり得、その一部または各々は、サージカルテンプレートのガイド要素から取り外し可能であるか、または取り外し可能であり得る。
【0069】
ガイド要素は、滑腔ブッシングであり得る。これは、インプラントが顎骨に挿入された後に、インプラントからインプラントドライバを取り外すことをより容易にする。
【0070】
インプラントドライバは、ねじ山追従体がねじ山から外れるように、一方の端部が狭くなり得る。これは、インプラントが顎骨に挿入された後に、インプラントからインプラントドライバを取り外すことをより容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1A】本発明の実施形態に係る、インプラントドライバ、仮想計画インプラント、滑腔ブッシングの形態のガイド要素を備えるサージカルテンプレート、およびねじ山追従体の組み合わせを概略的に示す。
【
図2A】本発明の実施形態に係る、インプラントドライバ、および最終位置に配置されたインプラント、およびサージカルテンプレートの滑腔ブッシングの形態のガイド要素の組み合わせを示す。
【
図3】本発明の実施形態に係る、ねじ山、ねじ山入口部、およびねじ山開始部を備えるインプラントドライバの一部、インプラントの一部、ならびにガイドピンの形態のねじ山追従体を備える滑腔ブッシングの形態のガイド要素を示す。
【
図4】本発明の実施形態に係る、ねじ山、ねじ山入口部、およびねじ山開始部を備えるインプラントドライバ、インプラント、ならびにガイドピンの形態のねじ山追従体を備えるガイド要素を示す。
【
図5】本発明の実施形態に係る、ねじ山、ねじ山入口部、およびねじ山開始部を備えるインプラントドライバ、インプラントの一部、ならびにガイドピンの形態の異なるねじ山追従体を備えるガイド要素を示す。
【
図6】本発明の実施形態に係る、ねじ山、ねじ山入口部、およびねじ山開始部を備える、頂部付近が狭くなったインプラントドライバ、インプラントの一部、ならびに埋め込まれたねじ山追従体を備えるガイド要素を示す。
【
図7】本発明の実施形態に係る、仮想最終位置にある、すなわち、仮想計画インプラントに接続されたインプラントドライバの一部を示す。
【
図8】本発明の実施形態に係る、螺旋状の線および螺旋のピッチだけ離隔したドットのセットなどの螺旋規定マーカ、ならびに最終位置マーカを備えるインプラントドライバの一部、インプラントドライバ上の螺旋マーカと整列するマーカ、ならびにインプラントドライバの最終位置マーカと整列する最終位置マーカを備えるガイド要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0072】
定義
「螺旋挿入経路」:歯のインプラントが顎骨に挿入される時に、インプラントドライバは回転し、それがインプラントを顎骨にねじ込む。インプラントドライバ上の点は、したがって回転し、回転軸に平行な方向に沿って直線的に移動することになり、それにより、組み合わされた移動は、点の螺旋経路を生成する。
【0073】
「滑腔」は、ブッシングなどのサージカルテンプレート上のガイド要素の内部にねじ山または他の表面凹凸を有さない本発明の全ての実施形態を意味する。本発明の実施形態におけるブッシングなどのサージカルテンプレート上のガイド要素の穴は、穴に入り、ガイド要素上の第2のマーキングとして使用される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つまでのピンまたはねじを有し得る。ピンまたはねじは、引き込み可能であり得るか、またはブッシングなどのガイド要素に埋め込まれ得る。ピンまたはねじは、ねじ山追従体であり得る。
【0074】
「分配されたマーカ」は、インプラントドライバの回転位置から独立した歯科医または口腔外科医がマーカの一部を見ることができるように、例えばインプラントドライバの表面上に広がっているマーカを意味する。そのようなマーカは、例えばインプラントドライバの表面の任意の位置に存在し得、例えばねじ山が、例えばインプラントドライバの表面を360°横断する。
【0075】
「局在マーカ」は、マーカが表面上に広がっているのではなく特定の場所にあるような小さいマーカを意味する。典型的な局在マーカは、点または線であろう。
【0076】
例示的実施形態の説明
本発明の実施形態は、インプラントのインシリコ位置を計画するため、すなわち、術前計画を作成するための仮想計画ソフトウェアを利用することができる。術前計画への入力は、好ましくは、患者の解剖学的構造、例えば顎骨および歯列のMRI走査、従来型またはコーンビーム(CB)コンピュータ断層撮影(CT)走査などの1つ以上の体積走査から得られる1つ以上の画像である。任意選択で、インビトロモデルの光走査または患者の口の口腔内光走査などの他のタイプの走査が、単独で、または他の走査と組み合わせて使用され得る。1つ以上の走査から、患者の解剖学的構造、例えば歯列のデジタル化が、例えば、当業者に知られているソフトウェアおよび従来の技術を使用することによって得られる。術前計画では、患者の解剖学的構造、例えば骨および歯列のデジタル化は合成され、口腔外科医または施術者は、インプラントの位置および配向を、それらの最適または最良の可能な臨床的および審美的位置で仮想的に計画することができる。
【0077】
本発明の実施形態は、デジタル術前計画の生成および使用、サージカルテンプレートまたは器具のセットの設計、ならびにこのサージカルテンプレートまたはこれらの器具を作りかつ使用して、歯科インプラントを、所定の仮想計画デジタル規定位置に配置する方法を含み得る。
【0078】
インプラントの所定の仮想計画デジタル規定位置は、ランダムアクセスメモリ、または例えば光ディスク、磁気テープ、ハードドライブ、フラッシュドライブのような半導体固体メモリなどの信号記憶媒体にデジタル形式で保存されてよい。
【0079】
例えば、インプラントドライバおよびサージカルテンプレートの両方、またはこれらの一方に、マーカの所定の位置があることによって、本発明の実施形態は、インプラントを、回転または回転対称位置で、所定の仮想計画インプラント位置に対応する位置に運ぶことができる、インプラントドライバの螺旋挿入経路を規定することができる。任意選択で、位置は、垂直位置と回転または回転対称位置との両方において、所定の仮想計画インプラント位置に一致することができる。後者の位置は、最終位置と呼ばれ、最終位置への到達時に整列する、インプラントドライバおよびガイド要素のいずれか、各々、または両方のさらなるマーカ(のセット)で示され得る。
【0080】
図1Aおよび
図1Bは、本発明の実施形態に係る、シャンク18を備えるインプラントドライバ2、および概略的に示される仮想インプラント位置16へのインプラントドライバの接続を示す。
図2Aおよび
図2Bは、本発明のこの実施形態に係る、シャンク18を備えるインプラントドライバ2、および実際のインプラント24へのインプラントドライバの接続を示す。インプラントドライバ2が、この実施形態に係るインプラント24を設置するのに使用される場合、それは、例えば少なくとも1つの分配された回転マーカとしてのねじ山4などの第1のマーキングを使用して行われ、これは、最終位置を決定するためにねじ山4を使用する時に、インプラント24の顎内への位置決めを可能とする。したがって、ドライバ2が回転すると、インプラント24は顎内にさらに入る。インプラントドライバ2上の任意の点は、ドライバ2が回転し、顎に向かって下方にまたは顎内に移動する時に、螺旋経路を辿ることになる。回転ならびに任意選択で深さおよび回転の両方が所定の仮想インプラント位置に一致するインプラント位置を達成するための、インプラントドライバの接続の正しく終端した螺旋経路は、インプラントドライバ上のマーカ(例えば、ねじ山4(
図1A参照)、または引かれた線26(
図1B参照)もしくは55(
図8参照)、または1列に並んだドットのセット56A~N(
図8参照)、ねじ山開始部6、またはねじ山入口部8(
図1B参照)…などの第1のマーキング)、およびサージカルテンプレート12の局在マーカ(例えば、ガイド要素(例えば、滑腔ブッシング14(
図1A参照))上の患者固有の位置を有する、ねじ山追従体10、または引かれた線27もしくは28(
図1B参照)もしくは57、58、59(
図8参照)などの第2のマーキング)の両方の組み合わせを整列させることによって示され得る。第1および第2のマーキングは、互いに整列することができるか、または互いに協働し、互いに相互作用し、互いに整合し、互いに相互運用して、インプラント24を正しい最終位置に運ぶことができる。それにより、インプラントドライバ2上のねじ山4(
図1A参照)、または引かれた線26(
図1B参照)、螺旋状の線55(
図8参照)、または1列に並んだドットのセット56(
図8参照)、またはねじ山開始部6、またはねじ山入口部8などのマーカは、インプラントドライバ2の螺旋経路のピッチ29を規定する(
図3参照)。螺旋経路のピッチ29(
図3参照)は、インプラント24の配置時にインプラント2または顎骨の損傷を避けるために、任意選択で、インプラントの送りねじのねじ山のピッチ30(
図3参照)と同一であり得る。インプラントドライバ2上のこれらの分配された螺旋規定マーカと、任意選択で挿入されたスリーブを備える滑腔ブッシングなどのサージカルテンプレート12上の局在マーカとの整列は、インプラントドライバ2の、したがってそれに接続されたインプラント24の螺旋運動およびその最終位置を規定する。これは、インプラント24を、その長手方向軸の周りのその所定の仮想計画最終回転位置および/または顎内のその深さを含む、所定の仮想計画デジタル規定インプラント位置に従って配置する。
【0081】
サージカルテンプレート12は、歯13などの患者の口腔構造上に適合する。これを達成する方法は、当業者に知られている。サージカルテンプレート12は、ガイド要素(例えば、滑腔ブッシング14)を有する。滑腔ブッシング14などのガイド要素は、患者の失った歯の位置、したがって、インプラント24が配置される仮想インプラント位置16の上に位置することになる。本発明の実施形態では、インプラントドライバ2上の螺旋を規定する第1のマーカは、ねじ山開始部6およびねじ山入口部8を備えるねじ山4である(
図1Bに最も良く見られる)。ねじ山入口部8およびねじ山開始部6の機能は、インプラントドライバ2上のそのようなマーカ、例えばねじ山4と、ガイド要素(好ましくは滑腔ブッシング14など)上に局在する第2のマーカとの整列を容易にすることである。これは、滑腔ブッシング14中の孔(例えば、ねじの場合はねじ穴)を介して滑腔ブッシング14に組み込まれる、ガイドピン/ねじ10または15(
図4または
図6参照)の頂点11によって規定されるねじ山追従体であり得る。ピン/ねじの頂点11の位置は、患者固有であり、仮想計画インプラント16の位置、そのマーカ4、6、8、26、27、28、55、56、57、58、59を含むインプラントドライバ2の設計仕様、およびサージカルテンプレート12のガイド要素(滑腔ブッシング14など)の設計仕様(例えば、垂直位置)に依存する。ねじ山追従体10が、滑腔ブッシング14などのガイド要素を貫通する深さは、好ましくは、インプラントドライバ2が回転し、歯肉20を通して患者の顎骨22内にインプラント24を打ち込む(
図2A参照)のを依然として可能としながら、ねじ山追従体10の頂点11がねじ山4に入って滑らかに動くように調節可能である。インプラントドライバ2および滑腔ブッシング14の両方の第1および第2のマーキングが整列する場合、例えば、ねじ山追従体の頂点11がねじ山4を辿る場合、インプラントドライバの螺旋経路は、インプラント24を、その長手方向軸の周りの回転位置、または任意選択で深さおよび回転の両方の位置において、仮想計画位置に従って配置することができるような方法で、骨内にインプラント24を打ち込むようなものである。これは、最終位置と呼ばれる。
【0082】
2つ以上の頂点11またはガイドピン/ねじ10を、
図5の10A、10B、10で示すように使用することができる。しかしながら、これらのガイドピン/ねじ10AおよびBが開始時に回転を妨げるのを避けるために、それらが、通常は引き込まれた位置にあり、ガイドピン/ねじ10が螺旋溝4に入った後にのみ溝4と係合する位置に移動するように、それらを引き込み可能にすることができる。
【0083】
本発明の実施形態におけるブッシングなどのサージカルテンプレート上のガイド要素の穴は、穴に入り、ガイド要素上の第2のマーキングとして使用される1つ、2つ、3つ、4つ、または5つまでのピンまたはねじを有し得る。ピンまたはねじは、引き込み可能であり得るか、またはブッシングなどのガイド要素に埋め込まれ得る。ピンまたはねじは、ねじ山追従体であり得る。
【0084】
最終インプラント位置は、例えば、インプラントドライバ2上の最終位置マーカ4、6、8、26および/または回転マーカ27と、サージカルテンプレート12上の最終位置マーカ28、(上面)60とを整列させることによって示されるように達成される。例えば、インプラントドライバ2(
図1B参照)上に局在する垂直位置を示す線26を、滑腔ブッシング14の頂部60と整列させることができるか、またはインプラントドライバ2上に局在する回転最終位置を示す線27、58(
図8参照)を、サージカルテンプレート12の滑腔ブッシング14上に局在する回転最終位置を示す線28、59(
図8参照)と整列させることができる。インプラントドライバ2およびサージカルテンプレート12上の最終位置マーカは、異なる方法で作ることができる線、ドット、隆起、谷、色付きの帯、物理的止め具、物理的形状変化などの多くの形態で存在することができる。それらは、描画、彫刻、ミリング、塗装、印刷、エッチング、レーザーアブレーション、または任意の他の方法でのマーカ要素上への追加などが可能である。
【0085】
代替の実施形態は、最終位置に到達する前にねじ山追従体10がインプラントドライバ2との接触を失うように、頂部付近が狭くなったインプラントドライバ2を含む。この最終位置は、最終位置マーカ26で示され得る。これが起こると、螺旋運動は、もはやインプラントドライバ2およびねじ山4と、ねじ山追従体10との協働によって決定されないが、インプラント24(のねじ山)と骨によって決定される。この後者の実施形態は、例えば、埋め込まれた(すなわち、引き込み不可能な)ねじ山追従体10が使用される場合に、最終位置に到達した後にインプラント24からインプラントドライバ2を容易に取り外すことを可能とする。
【0086】
本発明の代替の実施形態は、ねじ山4を、やはり螺旋を規定する異なる種類の分配されたマーカに置き換えることができるインプラントドライバ2を含み得、螺旋経路のピッチ29は、インプラント24の配置時にインプラント24または顎骨の損傷を避けるために、任意選択で、インプラントの送りねじのねじ山のピッチ30(
図3参照)と同一である。これらのインプラントドライバマーカ4、6、8、26、27、55、56は、描画、彫刻、エッチング、塗装、印刷、レーザーアブレーション、ミリング、もしくは要素上への追加が可能であるか、または任意の他の手段によるものであり得る、螺旋、ドット、線などの多くの形態を取り得る。例は、物理的ねじのねじ山4(例えば、彫刻された螺旋)、レーザーマーキングされた螺旋、垂直方向に離隔し、全てピッチ29を規定するドット56A…56Nの線(
図8参照)などである。好ましくは、ねじ山マーカ4は、サージカルテンプレート20上に位置し、滑腔ブッシング14などのガイドを貫通するねじ山追従体10と協働する。滑腔ブッシング14などのサージカルテンプレートのガイド要素上の患者固有のマーカ28、57、59、60も、サージカルテンプレート12の滑腔ブッシング14などのガイド要素上に描画、彫刻、塗装、印刷、レーザーアブレーション、ミリング、任意の他の手段による追加などが行われる、線(単数または複数)、ドット(単数または複数)、溝(単数または複数)、孔(単数または複数)などのいずれかのような、多くの形態を取り得る。そのようなタイプのマーカ28、57、59、60は、インプラントドライバ2上のマーカ4、6、8、26、27、55、56と整列すると、所定の仮想計画インプラント位置に厳密に従ってインプラント24を配置する挿入経路に沿った、インプラントドライバ2、したがってそれに接続されたインプラント24の位置の視覚的強調およびフィードバックを可能とする。最終位置は、インプラントドライバ2、例えば線27、58と、ガイド要素、例えば線28、60との両方での、最終位置マーカ4、6、8、26、27の整列によって示され得る。
【0087】
方法を含む本発明の実施形態
本発明の実施形態は、患者固有の局在マーカ28、57、59、もしくは60を備えるサージカルテンプレート12および滑腔ブッシング14、ならびに/またはそれらの一部が分配されたマーカであり得るマーカ4、6、8、26、27を備えるインプラントドライバ2を設計、ならびに/または製造、ならびに/または利用するための方法を提供する。分配されたマーカは、インプラントドライバの全周に存在し得る。マーカは、インプラント24を、所定の仮想計画位置に従って配置することができるように使用される。この所定の仮想計画位置は、CAT走査、X線、MRI、CBCT、光もしくは口腔内走査、またはそれらの任意の組み合わせのような、任意の好適な走査技術によって得ることができるデジタル臨床データに対するインプラント位置を、デジタルで計画することによって達成され得る。
【0088】
ピン形状のねじ山追従体10の頂点11などの、サージカルテンプレートガイド要素のマーキングの許容される位置を決定するための方法は、以下のステップで提供される。
-ステップ1:インプラントドライバ2の設計仕様におけるマーカ4、6、8、26、27、55、56、58の1つ、一部、または全てを有するインプラントドライバ2を製造する。これらのマーカの1つ以上は、例えば、以下の仕様を含む螺旋を規定する、分配されたマーカであり得る:
・螺旋の長手方向軸は、インプラントドライバ2の長手方向軸と一致する。
・螺旋のピッチ27は、任意選択で、インプラントドライバ2と適合するインプラント(単数または複数)のねじ山のピッチ30と一致する。
・任意選択で、インプラントドライバ2上のマーカ4、6、8、26、27、55、56、58は、サージカルテンプレート12、例えば滑腔ブッシング14上のマーカ(単数または複数)28、57、59、60との整列を容易にする。例えば、ねじ山入口部8およびねじ山開始部6は、サージカルテンプレート12、例えばブッシング14上のねじ山追従体10との整列を容易にして、ねじ山開始部6、したがってインプラントドライバ/インプラントアセンブリの所定の初期位置を確立する。
-ステップ2(ステップ1の前または後):患者から得られるデジタル臨床データに対して、患者の顎のためのインプラント位置を仮想的に計画する。
-ステップ3:仮想インプラント位置およびインプラントドライバ2の設計仕様に基づいて、その仮想最終位置にある、すなわち仮想計画インプラントに接続されたインプラントドライバ2上のインプラントドライバのマーカ4、6、8、26、27、55、56の位置によって規定される仮想螺旋を規定する。
-ステップ4:サージカルテンプレートのガイド要素(例えば、滑腔ブッシング14)の設計におけるマーカ(単数または複数)28、57、59、60の位置を、ステップ3で規定されたような螺旋経路と整列することができるように規定する。
-ステップ5:マーカ(単数または複数)を含むサージカルテンプレート12を製造する。
-ステップ6:サージカルテンプレート12を患者の解剖学的構造上に設置し、骨切り術を行い、インプラントドライバ2をインプラントに接続し、インプラントドライバ/インプラント結合体をサージカルテンプレート12のガイド要素14に挿入し、サージカルテンプレート12のガイド要素14上のマーカ28、57、59、60を、インプラントドライバ2のマーカ4、6、8、26、27、55、56と整列させ、インプラントドライバおよびガイド要素の両方のマーカ4、6、8、26、27、28が整列した状態を維持しながら、骨内にインプラント24を打ち込む。インプラントドライバおよびガイド要素の両方の最終位置マーカ4、6、8、26、27、28によって示される最終位置に到達したら、インプラント24の配置を停止する。
【0089】
本発明の実施形態は、歯科用ハンドピースの設定において、インプラントをデジタルで予め決定された位置に配置するのに必要な回転をプログラミングするための方法を提供する:
-ステップ1:以下の仕様を含む螺旋を規定する、インプラントドライバ2の設計仕様におけるマーカ4、6、8、26、27、55、56の1つ、一部、または全てを含むインプラントドライバ2を製造する:
・螺旋の長手方向軸は、インプラントドライバ2の長手方向軸と一致する。
・螺旋のピッチ29は、任意選択で、インプラントドライバと適合するインプラント(単数または複数)のねじ山のピッチ30と一致する。
・インプラントドライバ2上のマーカ4、6、8、26、27、57、56、58は、サージカルテンプレート12上のマーカ(単数または複数)28、57、59、60との整列を容易にし、例えば、ねじ山入口部8およびねじ山開始部6は、ねじ山開始部6、したがってインプラントドライバ/インプラントアセンブリの所定の初期位置を確立することを可能とする。
-ステップ2(ステップ1の前または後):患者から得られるデジタル臨床データに対して、患者の顎のためのインプラント位置を仮想的に計画する。
-ステップ3:仮想インプラント位置およびインプラントドライバの設計仕様に基づいて、その仮想最終位置にある、すなわち仮想計画インプラント24に接続されたインプラントドライバ2の、インプラントドライバのマーカ4、6、8、26、27、55、56の位置によって規定される仮想螺旋を規定する。さらに、仮想計画インプラント位置に仮想的に接続されるインプラントドライバ2のねじ山開始部6の位置を特定する。これは、ねじ山開始部の最終位置である(
図7参照)。
-ステップ4:サージカルテンプレート12の設計におけるねじ山追従体/ガイドピン10の位置、例えば、ガイドピンの頂点11の位置を、ステップ3で規定されたような螺旋経路上に位置する点として選択する。規定により、インプラント配置時、ねじ山開始部の初期位置は、ねじ山追従体10の位置と一致することになる。さらなる詳細については、以下の「動作原理」の節を参照されたい。
-ステップ5:インプラントドライバ2のマーカ4、6、8、26、27、55、56によって規定された螺旋を辿って、ねじ山開始部の初期位置を(ステップ3で決定された)ねじ山開始部の最終位置に移動させるのに必要な極回転を計算する。これを、以下の式を使用して行うことができ、式中、αは極回転であり、hは、(仮想計画インプラントの長手方向軸に沿って測定された)ねじ山開始部の初期位置とねじ山開始部の最終位置との間の垂直方向の高さである:
【数2】
-ステップ6:ねじ山開始部6がその初期位置に移動した後、すなわち、ねじ山開始部6が、ねじ山追従体10、例えばガイドピンの頂点11の位置と一致した後に、この回転をインプラントドライバ2に適用することができるように、この極回転を歯科用ハンドピースシステムにプログラミングする。
【0090】
動作原理
明確にするために、ピン10などの単一のガイドねじ山追従体を備える(好ましくは滑腔の)ブッシング14の形態のガイド要素を含む、サージカルテンプレート12の実施形態が開示される。
-まず、サージカルテンプレート12は、手術器具の所定のセットが、テンプレート12の一部である(好ましくは滑腔の)ブッシング14などのガイド要素によってガイドされ得るように、設計および製造される。このサージカルテンプレート12は、インプラント24の術前計画仮想位置に従って位置決めされる骨切り術を行うのに使用される。その仮想インプラント位置は、患者から得られるデジタル臨床データに対して計画される。
-サージカルテンプレート12のガイド要素または(好ましくは滑腔の)ブッシング14は、引き込み可能なピン/ねじ10または埋め込まれたピン15(
図6参照)の頂点11などの、引き込み可能なまたは埋め込まれたねじ山追従体10を含み、その結果、ピン/ねじの頂点11が、方法によって規定された螺旋上に位置決めされることになるように、設計および製造される。
-骨切り術が行われた後、インプラントドライバ2は、インプラント24に接続されているか、または接続可能であり、このアセンブリは、サージカルテンプレート12の(好ましくは滑腔の)ブッシング14などのガイド要素中を移動するのに適しているか、または次いで移動する。ドライバのねじ山入口部8は、ピン/ねじ10、15の頂点11と整列し、ドライバ2は、次いで、ねじ山開始部6がピン/ねじの頂点11と一致するまで、(好ましくは滑腔の)ブッシング14の中を下方に移動する。これは、ねじ山開始部の初期位置である。
-次いで、インプラントドライバ/インプラントアセンブリは、インプラントドライバのねじ山4およびブッシングのねじ山追従体10によって強制される螺旋運動で下方に移動するが、これは、ピン/ねじの頂点11が、インプラントドライバ2のねじ山4を辿っているためである。この移動は、ねじ山開始部6、したがってインプラントドライバ/インプラントアセンブリが、その最終位置に移動するまで続けられる。この最終位置は、インプラントドライバ2上の最終位置マーカ4、6、8、26、27、58を、サージカルテンプレート12の線28、頂部60、および(好ましくは滑腔の)ブッシング14上の線59などのサージカルテンプレート上の最終位置マーカとそれぞれ整列させることによって、さらに示され得る。
【国際調査報告】