(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】鋳型ポリヌクレオチド付着のための単一部位を有するナノ粒子
(51)【国際特許分類】
C12N 15/10 20060101AFI20230227BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20230227BHJP
【FI】
C12N15/10 110Z
C12Q1/6869 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577116
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 US2020066547
(87)【国際公開番号】W WO2021133768
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】502279294
【氏名又は名称】イルミナ ケンブリッジ リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520512579
【氏名又は名称】イルミナ・シンガポール・プライベイト・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Illumina Singapore Pte Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ,ウェイン エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ブーテル,ジョナサン マーク
(72)【発明者】
【氏名】ルサール-ヴィジェ,マチュー
(72)【発明者】
【氏名】ニランタル,サウラブ
(72)【発明者】
【氏名】ガッティ ラフランコーニ,ピエトロ
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド,セス
(72)【発明者】
【氏名】テオ,イン ナー
(72)【発明者】
【氏名】バシガルポ, マリア ロヘルト
(72)【発明者】
【氏名】ペイサジョビッチ,セルジョ
(72)【発明者】
【氏名】ブラスタッド,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ハワード,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シャンユエン
(72)【発明者】
【氏名】ボーウェン,シェイン エム
(72)【発明者】
【氏名】ネミロスキー,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】ブロディン,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ビンセント,ルドビック
(72)【発明者】
【氏名】バーティ,ロレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,アンドリュー エイ
(72)【発明者】
【氏名】シェン,フェイ
(72)【発明者】
【氏名】ストームズ,レナ
(72)【発明者】
【氏名】ベニス,オリビア
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR62
4B063QS25
(57)【要約】
足場と、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合するための単一の鋳型部位と、アクセサリーオリゴヌクレオチドを足場に結合するための複数のアクセサリー部位と、を含む、ナノ粒子が提供され、足場は、1つ以上の足場DNA分子及び1つ以上の足場ポリペプチドから選択され、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合するための単一の鋳型部位は、共有結合性鋳型結合部位及び非共有結合性鋳型結合部位から選択され、アクセサリーオリゴヌクレオチドを足場に結合するための複数のアクセサリー部位は、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位及び非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位から選択される。また、特に合成時解読において、ナノ粒子を使用する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子であって、
足場と、前記足場に鋳型ポリヌクレオチドを結合するための単一の鋳型部位と、前記足場にアクセサリーオリゴヌクレオチドを結合するための複数のアクセサリー部位と、を含み、
前記足場が、1つ以上の足場DNA分子及び1つ以上の足場ポリペプチドから選択され、
前記足場に鋳型ポリヌクレオチドを結合するための前記単一の鋳型部位が、共有結合性鋳型結合部位及び非共有結合性鋳型結合部位から選択され、
前記足場にアクセサリーオリゴヌクレオチドを結合するための前記複数のアクセサリー部位が、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位及び非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位から選択される、ナノ粒子。
【請求項2】
前記足場が、1つ又は複数の足場DNA分子を含む、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
前記足場が、複数の足場DNA分子を含み、前記複数の足場DNA分子は、DNAデンドリマーを含む、請求項2に記載のナノ粒子。
【請求項4】
前記DNAデンドリマーが、何世代も分岐している構成繰り返し単位を含み、前記世代の数は2~100である、請求項3に記載のナノ粒子。
【請求項5】
前記分岐している構成繰り返し単位が各々、互いにハイブリダイズして1つの上流オーバーハング及び2つの下流オーバーハングを含むアダプターを形成する、3つの構成繰り返し単位のオリゴデオキシリボヌクレオチドを含み、第2世代以上の各アダプターの上流オーバーハングは、すぐ上流の構成繰り返し単位の下流オーバーハングに相補的であり、第1世代のアダプターの下流オーバーハングは、前記単一の鋳型部位を含む、請求項4に記載のナノ粒子。
【請求項6】
前記足場が、一本鎖DNAを含む、請求項2に記載のナノ粒子。
【請求項7】
前記足場が、1つ以上の足場ポリペプチドを含む、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項8】
前記足場ポリペプチドが、緑色蛍光タンパク質を含む、請求項7に記載のナノ粒子。
【請求項9】
前記単一の鋳型部位が、共有結合性鋳型結合部位を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項10】
前記共有結合性鋳型結合部位が、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、ヒドロキシ-イソシアナト結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snap-tag-O
6-ベンジルグアニン結合部位、CLIP-tag-O
2-ベンジルシトシン結合部位、及びソルターゼ-共役結合部位から選択される、請求項9に記載のナノ粒子。
【請求項11】
前記単一の鋳型部位が、非共有結合性鋳型結合部位を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項12】
前記非共有結合性鋳型結合部位が、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む、請求項11に記載のナノ粒子。
【請求項13】
前記非共有結合性鋳型結合部位が、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、前記非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位から選択される、請求項11に記載のナノ粒子。
【請求項14】
前記足場にアクセサリーオリゴヌクレオチドを結合するための前記複数のアクセサリー部位が、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項15】
前記共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位が、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、ヒドロキシ-イソシアナト結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snap-tag-O
6-ベンジルグアニン結合部位、CLIP-tag-O
2-ベンジルシトシン結合部位、ソルターゼ-共役結合部位、及び上記のうち2つ以上の任意の組み合わせから選択される、請求項14に記載のナノ粒子。
【請求項16】
前記アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位が、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項17】
前記非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位が、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む、請求項16に記載のナノ粒子。
【請求項18】
前記非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位が、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、前記非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位の一方又は両方から選択される、請求項16に記載のナノ粒子。
【請求項19】
前記単一の鋳型部位に結合した単一の鋳型ポリヌクレオチドを更に含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項20】
前記複数のアクセサリー部位に結合した複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドを更に含む、請求項1~19のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項21】
前記ナノ粒子が、少なくとも直径約10nmである、請求項1~20のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項22】
単一の鋳型ポリヌクレオチドを請求項1~21のいずれか一項に記載のナノ粒子の単一の鋳型部位に結合させることを含む、方法。
【請求項23】
複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドを請求項1~22のいずれか一項に記載のナノ粒子の複数のアクセサリー部位に結合させることを含む、方法。
【請求項24】
前記鋳型ポリヌクレオチドのコピー、前記鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及びその両方のコピーから選択される、1つ以上の足場に付着したコピーを合成することを更に含み、前記足場に付着したコピーは、前記アクセサリーオリゴヌクレオチドから延在する、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
前記足場を基材に付着させることを更に含み、付着させることは、アクセサリーオリゴヌクレオチドを前記基材に付着したオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることを含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記基材が複数のナノウェルを含み、前記基材に付着した前記オリゴヌクレオチドは前記複数のナノウェル内に付着している、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ただ1つの足場が前記ナノウェルのいずれか1つ内に結合する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記鋳型ポリヌクレオチドのコピー、前記鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及びその両方のコピーから選択される、1つ以上の基材に付着したコピーを合成することを更に含み、前記基材に付着したコピーは、基材に付着したオリゴヌクレオチドから延在する、請求項25~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
足場に付着したコピー及び基材に付着したコピーのうちの少なくとも1つを配列決定することを更に含み、配列決定は合成時解読を含む、請求項24又は28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、特許協力条約の規定により出願された国際出願であり、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許2019年12月23日に出願された米国特許仮出願第62/952,799号、及び2019年12月23日に出願された米国特許仮出願第62/952,866号の優先権を主張するものである。
配列表
【0002】
本出願は、2020年12月16日に作成された配列表を含み、そのファイルは、ASCIIフォーマットで、名称がH1912656.txtであり、サイズが6.8KBである。ファイルは、その全体が本出願内に参照することにより組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
現在の多くのシーケンシングプラットホームは、「合成時解読」(sequencing by synthesis、SBS)技術、及び検出のための蛍光ベースの方法を使用する。いくつかの例では、配列決定されるライブラリから単離された多数の標的ポリヌクレオチド、又は鋳型ポリヌクレオチドは、播種として知られるプロセスにおいて基材の表面に付着される。その後、鋳型ポリヌクレオチドの複数のコピーは、クラスタリングと呼ばれるプロセスにおいて、コピーである鋳型ポリヌクレオチドを播種した場所に近接する表面に付着して合成され得る。続いて、クラスタリングしたポリヌクレオチドの新生コピーは、新生鎖に付着しているときに各ヌクレオチドを特定するシグナルを放出する条件下で合成される。最初に播種された場所に近接する播種された鋳型ポリヌクレオチドの複数のコピーのクラスタリングは、可視化可能な重合中に生成されたシグナルの増幅をもたらし、検出を改善する。
【0004】
可能な限り利用可能な基材表面の多くが鋳型ポリヌクレオチドによって播種される場合、SBSのための播種及びクラスタリングは良好に進み、配列決定実行中に得られ得る配列情報の量を最大化し得る。対照的に、一般に、播種及びクラスタリングに使用される利用可能な基材の表面積が少ないほど、SBSプロセスの効率性が下がり、あるライブラリの特定の配列情報の量を得るための時間、反応物質、費用が上がり、複雑なデータ処理をもたらす場合がある。
【0005】
播種及びクラスタリングはまた、互いに異なる配列を有するライブラリ由来の鋳型ポリヌクレオチドが、クラスタリングによって、それぞれ単一の鋳型ポリヌクレオチドの播種から得られるコピーされたポリヌクレオチドの空間的に個別のクラスターをもたらすように、互いに十分に遠位の表面の位置上に播種、又はその位置に付着される場合にも良好に進み、この条件は一般的に単クローン性と呼ばれる。すなわち、鋳型ポリヌクレオチドのライブラリは、一般に、ヌクレオチド配列が互いに異なる多数の鋳型ポリヌクレオチド分子を含み得る。2つのそのような鋳型ポリヌクレオチドが基材の表面上で近すぎる場合、クラスタリングにより、コピーされたポリヌクレオチドの空間的に混じり合った集団をもたらされる場合があり、そのうちの一部は、近くに播種された鋳型ポリヌクレオチドのうちの1つの配列を有し、別のものは表面上の近くにも播種された別の鋳型ポリヌクレオチドの配列を有する。又は、互いに近すぎる状態で播種された2つの異なる鋳型ポリヌクレオチドから形成された2つのクラスターは、互いに近すぎるか、又は隣接している可能性があり、クラスター間の基材に付着した配列の空間的混合がない、又は最低限であっても、SBSプロセスで使用される撮像システムが、これらを別々のクラスターと区別できない可能性がある。そのような不利な条件は、一般に、多クローン性と称され得る。存在する場合、多クローン性クラスターから明確な配列情報を得るためには、より困難で、時間がかかり、費用がかかり、効率が低く、より複雑なデータ分析を必要とする場合がある。
【発明の概要】
【0006】
したがって、可能な限りクラスターの単クローン性を最大化し、可能な限り多クローン性クラスターを最小限に抑えるように、播種された鋳型ポリヌクレオチドの分離を促進する一方で、可能な限り基材表面の利用可能な表面積が播種及びクラスタリング用に使用される条件下で、SBSを実施することが望ましい。本明細書に開示されるのは、SBSにおける播種密度及び単クローン性クラスタリングを有利に増加させるために使用され得る、組成物及び方法である。
【0007】
一態様では、足場と、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合するための単一の鋳型部位と、アクセサリーオリゴヌクレオチドを足場に結合するための複数のアクセサリー部位と、を含む、ナノ粒子が提供され、足場は、1つ以上の足場DNA分子及び1つ以上の足場ポリペプチドから選択され、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合するための単一の鋳型部位は、共有結合性鋳型結合部位及び非共有結合性鋳型結合部位から選択され、アクセサリーオリゴヌクレオチドを足場に結合するための複数のアクセサリー部位は、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位及び非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位から選択される。
【0008】
ある例では、足場は、1つ又は複数の足場DNA分子を含む。別の例では、足場は、複数の足場DNA分子を含み、複数の足場DNA分子は、DNAデンドリマーを含む。更に別の例では、DNAデンドリマーは、何世代も分岐している構成繰り返し単位を含み、世代の数は2~100である。更に別の例では、分岐している構成繰り返し単位は各々、互いにハイブリダイズして1つの上流オーバーハング及び2つの下流オーバーハングを含むアダプターを形成する、3つの構成繰り返し単位のオリゴデオキシリボヌクレオチドを含み、第2世代以上の各アダプターの上流オーバーハングは、すぐ上流の構成繰り返し単位の下流オーバーハングに相補的であり、第1世代のアダプターの下流オーバーハングは、単一の鋳型部位を含む。更なる例では、足場は、一本鎖DNAを含む。
【0009】
別の例では、足場は、1つ以上の足場ポリペプチドを含む。別の例では、足場ポリペプチドは、緑色蛍光タンパク質を含む。
【0010】
別の例では、単一の鋳型部位は、共有結合性鋳型結合部位を含む。更に別の例では、共有結合性鋳型結合部位は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、ヒドロキシ-イソシアナト結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snap-tag-O6-ベンジルグアニン結合部位、CLIP-tag-O2-ベンジルシトシン結合部位、及びソルターゼ-共役結合部位から選択される。
【0011】
別の例では、単一の鋳型部位は、非共有結合性鋳型結合部位を含む。更に別の例では、非共有結合性鋳型結合部位は、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む。更に別の例では、非共有結合性鋳型結合部位は、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位から選択される。
【0012】
別の例では、アクセサリーオリゴヌクレオチドを足場に結合するための複数のアクセサリー部位は、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む。更に別の例では、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、ヒドロキシ-イソシアナト結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snap-tag-O6-ベンジルグアニン結合部位、CLIP-tag-O2-ベンジルシトシン結合部位、ソルターゼ-共役結合部位、及び上記のうち2つ以上の任意の組み合わせから選択される。
【0013】
別の例では、アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む。更に別の例では、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む。更に別の例では、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位の一方又は両方から選択される。
【0014】
別の例では、ナノ粒子は、単一の鋳型部位に結合した単一の鋳型ポリヌクレオチドを更に含む。更に別の例では、ナノ粒子は、複数のアクセサリー部位に結合した複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドを更に含む。
【0015】
別の例では、ナノ粒子は、少なくとも直径約10nm、少なくとも直径約20nm、少なくとも直径約30nm、少なくとも直径約40nm、少なくとも直径約50nm、少なくとも直径約60nm、少なくとも直径約70nm、少なくとも直径約80nm、少なくとも直径約90nm、少なくとも直径約100nm、少なくとも直径約125nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約175nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約225nm、少なくとも直径約250nm、少なくとも直径約275nm、少なくとも直径約300nm、少なくとも直径約325nm、少なくとも直径約350nm、少なくとも直径約375nm、少なくとも直径約400nm、少なくとも直径約425nm、少なくとも直径約450nm、少なくとも直径約475nm、少なくとも直径約500nm、少なくとも直径約550nm、少なくとも直径約600nm、少なくとも直径約650nm、少なくとも直径約700nm、少なくとも直径約750nm、少なくとも直径約800nm、少なくとも直径約850nm、少なくとも直径約900nm、又は少なくとも直径約950nmである。
【0016】
別の態様では、単一の鋳型ポリヌクレオチドをナノ粒子の単一の鋳型部位に結合させることを含む、方法が提供される。
【0017】
別の態様では、複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドをナノ粒子の複数のアクセサリー部位に結合させることを含む、方法が提供される。
【0018】
別の態様では、単一の鋳型ポリヌクレオチドをナノ粒子の単一の鋳型部位に結合させること、及び、複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドをナノ粒子の複数のアクセサリー部位に結合させること、のうち少なくとも1つを含み、鋳型ポリヌクレオチドのコピー、鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及びその両方から選択される、1つ以上の足場に付着したコピーを合成することを更に含み、足場に付着したコピーがアクセサリーオリゴヌクレオチドから延在する、方法が提供される。
【0019】
別の例では、方法は、足場を基材に付着させることを更に含み、付着させることは、アクセサリーオリゴヌクレオチドを基材に付着したオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることを含む。
【0020】
本方法の更に別の例では、基材は複数のナノウェルを含み、基材に付着したオリゴヌクレオチドは複数のナノウェル内に付着している。更に別の例では、ただ1つの足場がナノウェルのいずれか1つ内に結合する。更に別の例では、方法は、鋳型ポリヌクレオチドのコピー、鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及びその両方のコピーから選択される、1つ以上の基材に付着したコピーを合成することを更に含み、基材に付着したコピーは、基材に付着したオリゴヌクレオチドから延在する。更に別の例では、方法は、足場に付着したコピー及び基材に付着したコピーのうちの少なくとも1つを配列決定することを更に含み、配列決定は合成時解読を含む。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むと、より深く理解されるであろう。
【0022】
【0023】
【
図2A】本開示の態様による、DNAデンドリマーを含むナノ粒子の足場の例の部分を示す。
【
図2B】本開示の態様による、DNAデンドリマーを含むナノ粒子の足場の例の部分を示す。
【
図2C】本開示の態様による、DNAデンドリマーを含むナノ粒子の足場の例の部分を示す。
【
図2D】本開示の態様による、DNAデンドリマーを含むナノ粒子の足場の例の部分を示す。
【
図2E】本開示の態様による、DNAデンドリマーを含むナノ粒子の足場の例の部分を示す。
【
図2F】本開示の態様による、DNAデンドリマーを含むナノ粒子の足場の例の部分を示す。
【0024】
【
図3】本開示の態様による、一本鎖DNA足場を含むナノ粒子の例を示す。
【0025】
【
図4】本開示の態様による、ナノ粒子のポリペプチド足場の例を示す。
【0026】
【
図5】本開示の態様による、鋳型のナノ粒子への付着の例を示す。
【0027】
【
図6】本開示の態様による、鋳型ポリヌクレオチドの足場に付着したコピーを合成する例を示す。
【0028】
【
図7】本開示の態様による、ポリヌクレオチドの共有結合性付着の例を示す。
【0029】
【
図8】本開示の態様による、アミノ酸への足場の共有結合性付着の例を示す。
【0030】
【
図9】本開示の態様による、ハイブリダイゼーションによる鋳型ポリヌクレオチドのナノ粒子への非共有結合性付着の例を示す。
【0031】
【
図10】本開示の態様による、コイルドコイルペプチド結合部位による鋳型ポリヌクレオチドのナノ粒子への非共有結合性付着の例を示す。
【0032】
【
図11】本開示の態様による、共有結合性付着のためのナノ粒子の足場の複数のアクセサリー部位の例を示す。
【0033】
【
図12】本開示の態様による、ナノウェル内のナノ粒子の例を示す。
【0034】
【
図13】本発明の態様による、ナノウェルの表面積によるナノウェル当たりのナノ粒子の数を示すグラフである。
【0035】
【
図14A】本開示の態様による、DNA足場を使用して鋳型ポリヌクレオチドを基材に播種する例を示す。
【
図14B】本開示の態様による、DNA足場を使用して鋳型ポリヌクレオチドを基材に播種する例を示す。
【
図14C】本開示の態様による、DNA足場を使用して鋳型ポリヌクレオチドを基材に播種する例を示す。
【
図14D】本開示の態様による、DNA足場を使用して鋳型ポリヌクレオチドを基材に播種する例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
「一例」、「別の例」、「ある例」などへの本明細書全体を通じての言及は、例に関連して記載されている特定の要素(例えば、特徴、構造、及び/又は特性)が、本明細書に記載されている少なくとも1つの例に含まれており、他の例に存在していても、存在していなくともよいことを意味している。更に、文脈上明確に別段の指示がない限り、任意の例に関する記載の要素は、様々な例において任意の好適な様式で組み合わせ得ることを理解すべきである。
【0037】
本開示は、SBS中の単クローン性クラスタリングを増加させるための組成物及び方法に関する。ある例では、サイズ排除の原理を使用して、個々の鋳型ポリヌクレオチドを播種することを阻止することにより、互いに近すぎるクラスタリングを促進する。各個々の鋳型ポリヌクレオチドを所与の十分な空間寸法を有するナノ粒子に関連付けることにより、鋳型ポリヌクレオチドを、互いに十分に遠位の基材の表面に付着させて、多クローン性クラスターの形成を低減し、単クローン性クラスターの形成を増加させるように誘導し得る。ナノ粒子は、鋳型ポリヌクレオチドの結合部位を含み得る。ナノ粒子は、鋳型ポリヌクレオチドの結合のための1つの単一部位のみを有し得る。したがって、1つの鋳型ポリヌクレオチドのみがナノ粒子に結合させることができ、その結果、鋳型ポリヌクレオチドが足場に付着することにより、同じナノ粒子への第2の鋳型ポリヌクレオチドの付着が阻止され、付着した鋳型ポリヌクレオチドは、その単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位を占有している。ナノ粒子当たり単一の鋳型ポリヌクレオチドのみが付着すると、付着したナノ粒子のサイズに直接的又は間接的に起因して、そのようなナノ粒子に付着した鋳型ポリヌクレオチドの互いに対する空間的分布を生じ、多クローン性クラスターの形成を低減する。
【0038】
ナノ粒子はまた、本明細書ではアクセサリー結合部位と称される、鋳型ポリヌクレオチドに加えて、組成物又は表面にナノ粒子を付着するための他の種類の1つ以上の結合部位を含み得る。例えば、単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位に加えて、ナノ粒子は、SBSプロセスで使用するための、基材の表面へのナノ粒子の付着を可能にするアクセサリー結合部位を含み得る。別の例では、ナノ粒子は、1つ以上の表面ポリマーをナノ粒子に付着するための1つ以上のアクセサリー結合部位を有し得る。別の例では、ナノ粒子は、以下により詳細に記載されるように、アクセサリーオリゴヌクレオチドをナノ粒子に付着するための1つ以上のアクセサリー結合部位を含み得、オリゴヌクレオチドは、クラスタリングプロセスの一部として鋳型ポリヌクレオチド又はそのコピーの末端に結合し得る。別の例では、そのようなアクセサリーオリゴヌクレオチドは、SBSプロセスで使用するための基材の表面に付着したオリゴヌクレオチドにハイブリダイズ可能であり、それにより、単一の鋳型ポリヌクレオチドが付着したナノ粒子がそのような基材表面に付着し得る。
【0039】
足場は、鋳型ポリヌクレオチドのための単一の結合部位と、例えば、アクセサリーオリゴヌクレオチドの結合のための1つ以上のアクセサリー部位とを含み得るが、単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位は、アクセサリー結合部位の化学的性質又は構造とは異なる化学物質又は構造であり得る。結合部位の全てのうち、単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位は、鋳型ポリヌクレオチドに付着するための対応する化学的性質又は構造を有する、鋳型ポリヌクレオチドに付着するように設計された化学的性質又は構造を有する唯一のものであり得る。これに対して、1つ以上のアクセサリー結合部位は、鋳型ポリヌクレオチドへの結合又は付着に適合しない、異なる化学的性質又は構造を有し得る。むしろ、1つ以上のアクセサリー結合部位は、アクセサリー結合部位がアクセサリーオリゴヌクレオチド、ポリマーなどの結合を意図し、鋳型ポリヌクレオチドへの結合又は付着には適合しない、他の組成物又は構造に結合又は付着するのに適合する化学的性質又は構造を有し得る。したがって、鋳型ポリヌクレオチドは、1つ以上のアクセサリー結合部位に結合又は付着することが不可能であり、その結果、ナノ粒子の単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位において、ナノ粒子当たり1つの鋳型ポリヌクレオチドのみの付着が生じる。
【0040】
鋳型ポリヌクレオチドは、試料から単離されたポリデオキシリボ核酸などの試料から得られたポリヌクレオチド、又は試料から得られたmRNA分子からコピーされたcDNA分子であり得る。SBSプロセスは、例えば、鋳型ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定するため、又は参照配列と比較して鋳型ポリヌクレオチドの遺伝的配列における1つ以上の多型若しくは変化を特定するために実行され得る。ライブラリは、1つ以上の試料から調製され得、ライブラリは、1つ以上の試料から得られた複数の鋳型ポリヌクレオチドを含む。鋳型ポリヌクレオチドは、試料中に存在するか又は試料からコピーされた配列の部分であるポリヌクレオチド配列を得ることによって得ることができる。ライブラリが得られた試料について、ライブラリ内の複数の鋳型ポリヌクレオチドに関する配列情報が収集され、解析される場合、SBSプロセスで複数の鋳型ポリヌクレオチドを配列決定することにより、配列、遺伝子型、又は他の配列関連情報がその鋳型ポリヌクレオチドに対して決定され得る。
【0041】
鋳型ポリヌクレオチドは、試料から鋳型ポリヌクレオチドを得るプロセスの一部として処理され得る。処理の一部は、鋳型の5プライム、3プライム、又は両方の末端などにポリヌクレオチド配列を添加して、続いて生じるSBS処理を補助することを含み得る。本明細書に更に開示されるように、鋳型ポリヌクレオチドは、ナノ粒子上の部位との結合形成を促進又は許可する特徴部を添加することによって更に修飾され得る。
【0042】
鋳型ポリヌクレオチドは、SBSプロセスにおいて配列情報を得るのに好適な任意の所与の長さであり得る。例えば、鋳型ポリヌクレオチドは、長さ約50ヌクレオチド、長さ約75ヌクレオチド、長さ約100ヌクレオチド、長さ約125ヌクレオチド、長さ約150ヌクレオチド、長さ約175ヌクレオチド、長さ約200ヌクレオチド、長さ約225ヌクレオチド、長さ約250ヌクレオチド、長さ約275ヌクレオチド、長さ約300ヌクレオチド、長さ約325ヌクレオチド、長さ約350ヌクレオチド、長さ約375ヌクレオチド、長さ約400ヌクレオチド、長さ約425ヌクレオチド、長さ約450ヌクレオチド、長さ約475ヌクレオチド、長さ約500ヌクレオチド、長さ約525ヌクレオチド、長さ約550ヌクレオチド、長さ約575ヌクレオチド、長さ約600ヌクレオチド、長さ約625ヌクレオチド、長さ約650ヌクレオチド、長さ約675ヌクレオチド、長さ約700ヌクレオチド、長さ約725ヌクレオチド、長さ約750ヌクレオチド、長さ約775ヌクレオチド、長さ約800ヌクレオチド、長さ約825ヌクレオチド、長さ約850ヌクレオチド、長さ約875ヌクレオチド、長さ約900ヌクレオチド、長さ約925ヌクレオチド、長さ約950ヌクレオチド、長さ約975ヌクレオチド、長さ約1,000ヌクレオチド、長さ約1,025ヌクレオチド、長さ約1,050ヌクレオチド、長さ約1,075ヌクレオチド、長さ約1,100ヌクレオチド、長さ約1,125ヌクレオチド、長さ約1,150ヌクレオチド、長さ約1,175ヌクレオチド、長さ約1,200ヌクレオチド、長さ約1,225ヌクレオチド、長さ約1,250ヌクレオチド、長さ約1,275ヌクレオチド、長さ約1,300ヌクレオチド、長さ約1,325ヌクレオチド、長さ約1,350ヌクレオチド、長さ約1,375ヌクレオチド、長さ約1,400ヌクレオチド、長さ約1,425ヌクレオチド、長さ約1,450ヌクレオチド、長さ約1,475ヌクレオチド、長さ約1,500ヌクレオチド、又はそれ以上であり得る。
【0043】
いくつかの例では、ナノ粒子上に2つ以上の異なるアクセサリー結合部位の集団が存在してもよく、一部は、組成物又は構造の1つの集団への結合又は付着に適合する1つの種類の化学的性質又は構造を有し、他のものは、組成物又は構造の別の集団への結合又は付着に適合する第2の種類の化学的性質又は構造を有する。例えば、アクセサリー部位の1つの集団は、アクセサリーオリゴヌクレオチドへの結合と適合性のある化学的性質又は構造を有し得、アクセサリーオリゴヌクレオチドは、以下により詳細に記載されるように、例えば、ナノ粒子上の鋳型ポリヌクレオチドのクラスタリングに関与する鋳型ポリヌクレオチドのコピーに結合し得るが、他のアクセサリー部位は、SBSを実施するための基材の表面への結合又は付着と適合性のある異なる化学的性質又は構造を有し得る。
【0044】
ナノ粒子は、足場を含み得る。足場は、鋳型ナノ粒子間に所望される最短距離、又は所与の用途に望ましい場合があるナノ粒子に付着した鋳型ナノ粒子の最大密度に応じたナノ粒子占有容積の構造的構成要素である。足場は、単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位及び1つ以上のアクセサリー結合部位のような、前述の結合部位を含み得る。結合部位を有する足場は一緒に、ナノ粒子を構成し得る。足場は、付着のための複数のタイプの化学的性質又は構造を含むように合成されてもよく、一旦合成されると、これを含んでもよい。すなわち、鋳型ポリヌクレオチドへの単一の付着部位と、アクセサリー結合部位に対応する単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位とは異なる化学的性質又は構造を有する1つ以上の追加の結合部位とを含むように合成されてもよく、又はこれを含むように修飾されてもよい。
【0045】
足場は、いくつかの異なる置換成分から合成され得る。ある例では、足場は、1つ以上の足場デオキシリボ核酸(DNA)分子から合成され得る。DNA分子は、本明細書に更に開示されるように設計及び構造化され、異なる結合部位(すなわち、鋳型ポリヌクレオチド及びアクセサリー結合部位に対する)を含むことを可能にし、また、ポリヌクレオチドに付着したときに互いに離散した鋳型ポリヌクレオチドとするためのサイズ排除特性を提供し得る。いくつかの例では、足場は、デンドリマーを形成するように一緒にハイブリダイズした複数のDNA分子を含み得る。例えば、Y字形状を形成するようにワトソン-クリック塩基対合によって互いにハイブリダイズすることができる、複数の、例えば3つの鎖のDNA、又はオリゴデオキシリボヌクレオチド(オリゴDNA)分子を含むアダプターを形成することができ、各々の一端は、他方の2つのうちの1つにハイブリダイズし、それぞれの他方の末端は他方の2つのうちの他方にハイブリダイズする。
【0046】
そのようなアダプターは、デンドリマーの構成繰り返し単位を形成することができる。例えば、Y字形アダプターの各末端は、DNAのオーバーハングを有し得、オリゴDNAのうちの1つの末端は、任意の他のオリゴDNAにハイブリダイズする部分を越えて延在する。そのようなデンドリマーの1つの世代のアダプターは、デンドリマーの直前の世代の構成繰り返し単位を構成する別のYアダプターのオーバーハングとハイブリダイズすることができる、本明細書で上流末端と称されるY字型の一端にオーバーハングを有し得る。また、下流末端と称されるアダプターの他の2つの末端は各々、デンドリマーの直後の世代の構成繰り返し単位を構成するYアダプターの上流端のオーバーハングとハイブリダイズすることができるオーバーハングを有し得る。したがって、1つの世代のアダプターは、次の世代で2つのアダプターに付着し、これが次の世代の4つのアダプターに付着し、更に次の世代の8つのアダプターに付着する、と続き得る。末端Yアダプターのうちの1つのうちのいずれか1つの末端、別のアダプターの上流オーバーハングにハイブリダイズしない、任意の世代、例えば最後の世代の下流オーバーハング、又は、第1世代の上流オーバーハングのいずれかは、単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位を含み得るか、又はこれに付着し得る。ある例では、適合した第1世代の上流オーバーハングを含むDNAオリゴは、それ自体が鋳型ポリヌクレオチドの伸長であり、試料調製中に添加され得る。他の端部又はオーバーハングは、アクセサリー部位を含むか、又はアクセサリー部位に付着され得る。
【0047】
他の例では、足場は、単一の鋳型ポリヌクレオチドの自身への、及び1つ以上のアクセサリー組成物又は構造体の1つ以上のアクセサリー結合部位への付着を可能にするように修飾又は構造化された、1つ以上の一本鎖DNA(ssDNA)分子を含み得る。ssDNAベースの足場を生成するための様々な方法が使用され得る。ある例では、二本鎖閉ループ又はプラスミドは、ローリングサークル増幅プロセスにおけるssDNA足場分子のコード配列として機能し得る。鎖置換DNAポリメラーゼ(例えば、Phi29)によるそれらの鎖の複製は、環状コード鎖のコピーされた鎖のコンカテマー化コピーを含むssDNA分子を生成することができる。所望のサイズのssDNA足場の合成をもたらすように、反応条件を採用することができる。5プライム又は3プライム末端は、単一の鋳型部位として単一の鋳型ポリヌクレオチド分子を含むか、又はそれに付着されるか、又は付着可能であるように更に修飾され得る。アクセサリー部位は、ssDNA足場分子の他端、又は以下に更に記載されるように、鎖の個々のヌクレオチドへの修飾を含み得る。
【0048】
別の例では、ssDNA足場は、鋳型非依存性ポリメラーゼ(例えば、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ、又はTdT)の使用によって合成され得る。TdTは、鋳型を必要又はコピーすることなく、一本鎖DNA鎖の3プライム-ヒドロキシル末端にデオキシヌクレオチドを組み込む。5プライム又は3プライム末端は、単一の鋳型部位として単一の鋳型ポリヌクレオチド分子を含むか、又はそれに付着されるか、又は付着可能であるように更に修飾され得る。アクセサリー部位は、ssDNA足場分子の他端、又は以下に更に記載されるように、鎖の個々のヌクレオチドへの修飾を含み得る。本明細書に使用されるとき、「ヌクレオチド」は、窒素含有複素環式塩基、糖、及び1つ以上のリン酸基を含む。ヌクレオチドは、核酸配列のモノマー単位である。RNAでは、糖はリボースであり、DNAでは、糖は、デオキシリボース、すなわち、リボースの2’位に存在するヒドロキシル基が欠如している糖である。窒素含有複素環式塩基(すなわち、核酸塩基)は、プリン塩基であってもピリミジン塩基であってもよい。プリン塩基としては、アデニン(A)及びグアニン(G)、並びにそれらの修飾された誘導体又は類似体が挙げられる。ピリミジン塩基としては、シトシン(C)、チミン(T)、及びウラシル(U)、並びにそれらの修飾された誘導体又は類似体が挙げられる。デオキシリボースのC-1原子は、ピリミジンのN-1又はプリンのN-9に結合される。
【0049】
別の例では、ssDNA足場は、任意の適用可能な方法によって複数の一本鎖DNA分子を生成し、それらを一緒にライゲーションして、足場として単一のssDNA分子を形成することによって合成され得る。例えば、ポリメラーゼは、ランオフ重合反応(すなわち、コード鎖の5プライム末端に達するとポリメラーゼが新生鎖の伸長を中止する)で、線状化DNAコード鎖をコピーすることによってDNAの新生鎖の形成を重合し得る。複数のssDNA生成物を合成し、次いで単一のssDNA足場の形成のために末端間をライゲーションすることができる。ある例では、1つのssDNA生成物の別のものへのライゲーションは、スプリントの助けを借りて達成され得る。例えば、短いオリゴDNAは、3プライム末端が1つのssDNA生成物の5プライム末端に相補的であり、5プライム末端が別のssDNA生成物の3プライム末端に相補的であるように設計されてもよく、その結果、2つのssDNA生成物へのDNA-オリゴのハイブリダイゼーションは、それらが出会い、DNA-オリゴにハイブリダイズする、ニックが付いた二本鎖構造において他方の3プライム末端と一緒になった5プライム末端をもたらす。続いてDNAリガーゼ(例えば、T4)を用いて、2つの末端を一緒に酵素的にライゲーションし、2つから単一のssDNA分子を形成することができる。所望され得るようにssDNA足場を構築するため、追加の反応が、そのような第1の反応の生成物の一方又は両方の末端の、別のssDNA生成物などへのスプリントによるライゲーションのためのDNAオリゴと共に含まれ得る。
【0050】
足場に結合するための鋳型ポリヌクレオチドは、SBSプロセスでの配列決定を含む、任意の好適な長さであり得る。例えば、鋳型ポリヌクレオチドは、長さ約50ヌクレオチド、長さ約75ヌクレオチド、長さ約100ヌクレオチド、長さ約125ヌクレオチド、長さ約150ヌクレオチド、長さ約175ヌクレオチド、長さ約200ヌクレオチド、長さ約225ヌクレオチド、長さ約250ヌクレオチド、長さ約275ヌクレオチド、長さ約300ヌクレオチド、長さ約325ヌクレオチド、長さ約350ヌクレオチド、長さ約375ヌクレオチド、長さ約400ヌクレオチド、長さ約425ヌクレオチド、長さ約450ヌクレオチド、長さ約475ヌクレオチド、長さ約500ヌクレオチド、長さ約525ヌクレオチド、長さ約550ヌクレオチド、長さ約575ヌクレオチド、長さ約600ヌクレオチド、長さ約625ヌクレオチド、長さ約650ヌクレオチド、長さ約675ヌクレオチド、長さ約700ヌクレオチド、長さ約725ヌクレオチド、長さ約750ヌクレオチド、長さ約775ヌクレオチド、長さ約800ヌクレオチド、長さ約825ヌクレオチド、長さ約850ヌクレオチド、長さ約875ヌクレオチド、長さ約900ヌクレオチド、長さ約925ヌクレオチド、長さ約950ヌクレオチド、長さ約975ヌクレオチド、長さ約1,000ヌクレオチド、長さ約1,100ヌクレオチド、長さ約1,200ヌクレオチド、長さ約1,300ヌクレオチド、長さ約1,40ヌクレオチド、長さ約1,500ヌクレオチド、長さ約1,600ヌクレオチド、長さ約1,700ヌクレオチド、長さ約1,800ヌクレオチド、長さ約1,900ヌクレオチド、長さ約2,000ヌクレオチド、又はそれ以上であり得る。
【0051】
単一の鋳型ポリヌクレオチド又はアクセサリー(例えば、アクセサリーオリゴヌクレオチド、アクセサリー組成物、又はアクセサリー構造)のDNA足場への付着は、互いに相補的な足場及び鋳型ポリヌクレオチド又はアクセサリー上に部分又は構造を含めることによって達成され得るが、これは、共有結合的又は非共有結合的に互いに結合し、これらの間に付着部を形成するように構成されることを意味する。これらは、共有結合のために相補的、又は非共有結合のために相補的であり得る。DNA足場は、鋳型ポリヌクレオチドに付着した部分又は構造(単一の鋳型部位)に相補的であるか、又はそれを有する部分又は構造を有する単一の鋳型部位を含み得る。DNA足場はまた、アクセサリーに付着した部分又は構造(アクセサリー部位)に相補的であるか、又はそれを有する他の部分又は構造を含むか、又はそれに付着し得る。鋳型ポリヌクレオチドに付着した部分又は構造とアクセサリー部位の部分又は構造との間の交差反応性を回避し、DNA足場への2つ以上の鋳型ポリヌクレオチドの付着を阻止しなければならない。また、アクセサリーに付着した部分又は構造と単一の鋳型部位の部分又は構造との間の交差反応性も回避し、単一の鋳型ポリヌクレオチドへの付着を阻止するアクセサリーによる単一の鋳型部位の占有を防がなければならない。いくつかの例では、このような交差反応性は、アクセサリー部位がアクセサリー部位に結合し、又は単一の鋳型ポリヌクレオチドが単一の鋳型部位にそれぞれ結合する間に、単一の鋳型部位又はアクセサリー部位を化学的にブロックし、その後、非占有部位のブロックを解除して単一の鋳型ポリヌクレオチド又はアクセサリーのその場所への付着を可能にすることによって、回避され得る。
【0052】
非排他的な相補的結合パートナーのリストを表1に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0053】
前述のいずれも、鋳型ポリヌクレオチド又はアクセサリーオリゴヌクレオチドなどのアクセサリーへの付着のため本明細書に開示される足場に追加又は含まれてもよく、鋳型ポリヌクレオチド又はアクセサリーは、足場への結合のため前述の対の相補的部分又は構造を含み得るか、又はこれらを含むように修飾され得る。
【0054】
このような相補的部分又は構造の対の間に結合部を追加又は形成するための任意の好適な生体共役反応法を使用することができる。相補的部分又は構造のどれか一方の例、かかる例の例を有する修飾されたヌクレオチドは市販されている場合があり、これらがポリマー、ヌクレオチド、若しくはポリヌクレオチド中にある、又は付着している、又は含む、1つ以上のかかる例の部分又は構造を含めるための方法も知られている。また、表1に列挙された1つの相補的な対の結合パートナーの部分又は構造を1つの末端に、及び表1に列挙された別の相補的な対の結合パートナーの部分又は構造を有する二官能性リンカー分子も市販され得る。そのような前述の特徴のうちのいずれか間に結合するための部分又は構造を提供するために、前述の特徴のうちのいずれかに付着している足場の部分又は構造、鋳型ポリヌクレオチド、又はアクセサリーのもの、又はオリゴ若しくはポリペプチドは、そのようなリンカーのうちのいずれかの末端に結合され得、その結果、初期部分又は構造が別のリンカー、すなわち、リンカーの他端に存在する部分又は構造に効率的に置換される。
【0055】
例えば、二官能性リンカーは、NHS-エステル基などの表1に列挙されたものの中から一方の末端にある部分を有し得る。他の末端部では、アジド基などの別の基を有し得る。末端部は、例えば、連結配列中の1つ以上のPEG基、アルキル鎖、これらの組み合わせなどのリンカーによって互いに連結されてもよい。結合部位(例えば、足場、又は鋳型ポリヌクレオチド若しくはアクセサリー中のもの)が結合用にアミン基を有する場合、二官能性リンカーのNHSエステル末端はアミン基に結合することができ、アジド基の結合パートナー(例えば、アルキン、ホスフィン、シクロオクチン、又はノルボルネン)を有する組成物(例えば、鋳型ポリヌクレオチド若しくはアクセサリー、又は足場)に結合するために利用可能な遊離アジド末端を残す。又は、結合部位(例えば、足場、又は鋳型ポリヌクレオチド若しくはアクセサリー中のもの)がアジド基の結合パートナー(例えば、アルキン、ホスフィン、シクロオクチン、又はノルボルネン)を有する場合、二官能性リンカーのアジド末端はアミン基に結合することができ、アミン基を有する組成物(例えば、鋳型ポリヌクレオチド若しくはアクセサリー、又は足場)に結合するために利用可能な遊離NHSエステル末端を残す。1つのタイプの結合部位を形成するための表1で特定された部分を末端に、別のタイプの結合部位を形成するための表1で特定された異なる部分を他方の末端に含む、二官能性リンカーの多くの他の例が市販されている。
【0056】
相補的部分又は構造のどれか一方の例、かかる例の例を有する修飾されたアミノ酸は市販されている場合があり、これらがアミノ酸又はポリペプチド中にある、又は付着している、1つ以上のかかる例の部分又は構造を含めるための方法も知られている。相補的部分又は構造のそのような対のメンバー間に結合を形成するための方法が知られている。したがって、そのような相補的部分又は構造は、足場及び鋳型ポリヌクレオチド又は足場及びアクセサリーに追加され得るか、又はそれに含まれ得、結合部位を形成し、それらの間の付着を可能にする。
【0057】
ある例では、足場の単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位は、表1の第1の部分又は構造を含み得、足場の1つ以上のアクセサリー部位は、表1の1つ以上の他の部分又は構造を含み得る。第1の結合パートナーが他の結合パートナーと反応して結合部位を形成せず、他の部分又は構造が第1の結合パートナーと反応して結合部位を形成しない条件下で、第1の部分又は構造は、第1の結合パートナーと結合部位を形成することができ得、他の部分又は構造は、別の結合パートナーと結合部位を形成することができ得る。別の例では、第1の部分又は構造及び他の部分又は構造は、互いに結合パートナーを形成しないように選択される。
【0058】
本明細書で使用されるとき、用語「ポリペプチド」は、ペプチド結合によって一緒に結合したアミノ酸鎖を意味することが意図される。用語「タンパク質」及び「ポリペプチド」は、互換的に使用され得る。ポリペプチドは、ペプチド結合によって互いに結合したある数のアミノ酸の配列を含み得、アミノ酸の数は、約2以上、約5以上、約10以上、約15以上、約20以上、約25以上、約30以上、約35以上、約40以上、約45以上、約50以上、約55以上、約60以上、約65以上、約70以上、約75以上、約80以上、約85以上、約90以上、約95以上、約100以上、約110以上、約120以上、約130以上、約140以上、約150以上、約160以上、約170以上、約180以上、約190以上、約200以上、約225以上、約250以上、約275以上、約300以上、約325以上、約350以上、約375以上、約400以上、約425以上、約450以上、約475以上、約500以上、約550以上、約600以上、約650以上、約700以上、約750以上、約800以上、約850以上、約900以上、約950以上、約1000以上であってよい。
【0059】
場合によっては、ポリペプチド又はタンパク質は、ある構造又は三次元立体構造を取り、別のポリペプチドなどの別の結合パートナーへの結合を促進又は可能にし、この別のポリペプチドも、このような結合、又は他の非タンパク質結合パートナーを促す三次元構造を取る。ポリペプチドはまた、三次元立体構造を取り、他の基質ポリペプチド又は他の分子に対する酵素反応の実行を促し、又は、別の酵素的若しくは他の反応の基質として機能し得る。ポリペプチドはまた、三次元立体構造を取り、アミノ末端、カルボキシル末端、アミノ酸の側基、又はアミノ酸への修飾などの部位が、別の分子との結合のためにアクセス可能であり得るようなる。
【0060】
様々な生体共役反応用化学物質を使用し、鋳型ポリヌクレオチドをDNA足場のヌクレオチドに、又は5プライム若しくは3プライム(例えば、ハイブリダイズされていないオーバーハング中に含まれるヌクレオチド、又はデンドリマーDNA足場の他のヌクレオチド、又はssDNA足場のそれらの間の3プライム若しくは5プライム末端若しくはヌクレオチド)に付着させることができる。更に、DNA足場に含まれるヌクレオチドへの修飾、例えばリン酸基、塩基、又は糖は、付着のための単一の鋳型部位を提供するために実施され得る。化学部分は、相補的な化学部分に共有結合を形成する能力を有するそのような部位に含まれるか、又はそのような部位に追加され得、その相補的部分は、鋳型ポリヌクレオチドに付着又は含まれ得る。次いで、鋳型ポリヌクレオチドは、相補的化学部分間の共有結合を介するなどによって、DNA足場にコンジュゲートされ得る。ある例では、付着部分を含むように修飾されたヌクレオチドは、ポリメラーゼによってポリヌクレオチド鎖に組み込むことができるが、相補的な部分が反応してそれらの間に共有結合を形成することができる化学部分も含み、重合反応中に含まれて、DNA足場又はその一部を形成し得る。
【0061】
別の例では、DNA足場は、単一の鋳型部位として、別のポリペプチド配列又は他の化学部分への共有結合を形成することができるポリペプチド配列を含むか、又はそれに付着し得る。そのような他のポリペプチド又は他の化学部分は、その後、足場及び鋳型ポリヌクレオチドの単一の鋳型部位が互いに共有結合し得るように、鋳型ポリヌクレオチドに含まれるか、又はそれに付着され得る。あるいは、鋳型ポリヌクレオチドは、第1のそのようなポリペプチド配列を有し得、足場の単一の鋳型部位は、鋳型ポリヌクレオチドのポリペプチド配列に共有結合することができるそのような他のポリペプチド配列又は他の化学部分を有し得る。そのような対の非限定的な例としては、SpyTag/SpyCatcher系、Snap-tag/O6-ベンジルグアニン系、及びCLIP-tag/O2-ベンジルシトシン系が挙げられる。
【0062】
SpyTag/SpyCatcher系及びそれらをコードするポリヌクレオチドの相補対のアミノ酸配列は、利用可能であり得る。配列の例を表1に示す。SpyTag配列及びSpyCatcher配列のいくつかのアミノ酸部位変異は、組換えポリペプチドに含めるために利用可能であり得る。Snap-tagは、機能性O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼであり、CLIP-tagは、Snap-tagの修飾バージョンである。Snap-tag、CLIP-tag、SpyCatcherをコードするヌクレオチド配列は、遺伝子操作したポリペプチド配列にサブクローニング及び包含のために市販されている場合がある。
【0063】
あるいは、足場及び鋳型ポリヌクレオチドの単一の鋳型部位への共有結合のための相補的な対は、酵素触媒による共有結合形成を介して互いに共有結合し得る。例えば、足場及び鋳型ポリヌクレオチドの単一の鋳型部位は、ソルターゼ媒介カップリングによって互いに共有結合可能なモチーフ、例えば、一方にはLPXTGアミノ酸配列、及び他方にオリゴグリシン求核配列(例えば、3~5個のグリシンのリピートを有する)を含み得る。次いで、ソルターゼ媒介ペプチド転移を実行して、単一の鋳型部位で足場と鋳型ポリヌクレオチドとの共有結合をもたらすことができる。
【0064】
別の例では、DNA足場は、単一の鋳型部位での単一の鋳型ポリヌクレオチドの非共有結合のための領域を含み得る。例えば、デンドリマーDNA足場のハイブリダイズされていないオーバーハングは、鋳型ポリヌクレオチドの末端へのワトソン-クリック塩基対合によってハイブリダイズ可能であり得る。ある例では、デンドリマーの第1世代のアダプターの上流オーバーハングは、鋳型ポリヌクレオチドの末端に含まれるヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み得る。又は、ssDNA足場の3プライム又は5プライム末端は、鋳型ポリヌクレオチドの末端に含まれるヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有し得る。そのような相補的ヌクレオチド配列のワトソン-クリック塩基対合を介した互いへのハイブリダイゼーションは、その結果、DNA足場の単一の鋳型部位の鋳型ポリヌクレオチドへの非共有結合を可能にし得る。
【0065】
別の例では、DNA足場及び鋳型ポリヌクレオチドは、相補的ペプチド結合部位を含むか、又はそれに付着し得る。例えば、DNA足場及び鋳型ポリヌクレオチドは、コイルドコイルモチーフの相補的ペアとして互いに結合し得るペプチド配列を含み得るか、又はそれに付着し得る。コイルドコイルモチーフは、2つ以上のポリペプチド鎖が各々αヘリックス二次構造を形成し、αヘリックスコイルが一緒になって緊密な非共有結合を形成する、いくつかのポリペプチドの構造的特徴である。コイルドコイル配列は、7つのアミノ酸HPPHCPC(Hは疎水性アミノ酸を示し、Cは典型的には荷電アミノ酸を表し、Pは極性の親水性アミノ酸を表す)の繰り返しパターンである、7残基繰り返しを含み得る。7残基繰り返しの例は、ロイシンジッパーコイルドコイルに見られ、7残基の4つ目のアミノ酸は、高い頻度でロイシンである。
【0066】
DNA足場は、コイルドコイル結合対の一部を形成する1つのアミノ酸配列を含むか、又はそれに付着してもよく、鋳型ポリヌクレオチドは、DNA足場又はDNA足場に付着しているものに相補的である、コイルドコイル結合対の別の部分を形成する別のアミノ酸配列に付着してもよく、その結果2つが互いに付着する。例えば、DNA足場は、コイルドコイル結合対の一部を形成する1つのアミノ酸配列に共有結合してもよく、鋳型ポリヌクレオチドは、DNA足場又はDNA足場に付着しているものに相補的である、コイルドコイル結合対の別の部分を形成する別のアミノ酸配列に付着してもよく、その結果2つが互いに付着する。
【0067】
別の例では、DNA足場及び鋳型ポリヌクレオチドは各々、非共有的に結合するペプチド対の他の相補的パートナーを含み得るか、又はそれに付着し得る。例としては、ビオチン-アビジン結合対が挙げられる。ビオチン及びアビジンペプチド(例えば、アビジン、ストレプトアビジン、及びニュートラアビジン、これらの全ては、特に明記しない限り、本明細書では「アビジン」と総称される)は、互いに強い非共有結合を形成する。このような対の一方は、結合部分がビオチン又はアビジンかどうかに関わりなく、DNA足場又は鋳型ポリヌクレオチドのいずれかの一部であってもよく、又はそれに付着してもよく、相補的部分は、DNA足場又は鋳型ポリヌクレオチドの一部に対応する、又はこれらに付着して、それらの間の非共有結合を可能にする。
【0068】
1つ以上のビオチン部分を、DNA分子、鋳型ポリヌクレオチド、DNA足場、オリゴDNA、ポリペプチド足場、他のポリペプチド、又は分子を共に結合するための他の組成物(例えば、足場に鋳型ポリヌクレオチド、又は足場にアクセサリー)中に含める、又は1つ以上のビオチン部分をこれらに追加する多くの方法が存在する。例えば、ポリメラーゼによるDNA分子への組み込みのためのビオチン化ヌクレオチドが市販されており、ポリヌクレオチド又はポリペプチドにビオチン部分を追加するためのキットが市販されている。ビオチン残基はまた、アミノ酸若しくは修飾されたアミノ酸、又はヌクレオチド若しくは修飾されたヌクレオチドに追加され得る。表1に示される連結用化学構造を使用して、タンパク質の、例えば、カルボン酸基、アミン基、又はチオール基にビオチン基を追加することもできる。ポリペプチドなどの酵素的に標的化されたビオチン化に、いくつかのビオチンリガーゼ酵素も利用可能である(例えば、ポリペプチド中に含まれるAviTagアミノ酸配列GLNDIFEAQKIEWHE(配列番号3)のリジン残基へ)。遺伝子操作されたアスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APEX)も、ビオチンを修飾し、電子が豊富なアミノ酸、例えばチロシン、及び場合によってはトリプトファン、システイン、又はヒスチジンのビオチン化を可能にするために利用可能である。
【0069】
別の例では、アミノ酸配列DSLEFIASKLA(配列番号4)を含むポリペプチドは、ビオチン化(配列中に存在する2つのS残基のよりN末端側で)されてもよく、これは、補酵素A(CoA)とコンジュゲートした小分子を有するSfpホスホパンテチエニルトランスフェラーゼが触媒する共有結合についての基質である。例えば、この配列を含むポリペプチドは、CoA-ビオチンコンジュゲートによる共有結合によってビオチン化され得る。この系はまた、本明細書に開示されるDNA分子又はポリペプチド又は他の分子に結合するために足場の結合部位を作製する際に使用するため、表1で特定された多くの他のタイプの結合部分又は構造の付着に使用され得る。例えば、表1で特定された反応性対部分のうちのいずれかにコンジュゲートされたCoAは、Sfpホスホパンテチエニルトランスフェラーゼによって上記で特定された配列を含有するポリペプチドに共有結合し得、それによって、相補的結合パートナーを含む別の組成物の結合を可能にする。
【0070】
他の酵素を、ポリペプチドに結合部分を追加するために使用することができる。例えば、リポ酸リガーゼ酵素は、リポ酸分子を追加することができ、又はアルキン又はアジド基などの表1で特定された結合部分を含む修飾リポ酸分子は、ポリペプチド中に含まれるアミノ酸配列DEVLVEIETDKAVLEVPGGEEE(配列番号5)又はGFEIDKVWYDLDA(配列番号6)に存在するリジンの側基のアミンに共有結合され得る。別の例では、足場、鋳型ポリヌクレオチド、又はその中に含まれるか、又はそれに結合されることが意図される他のポリペプチド若しくはDNA分子は、活性セリンヒドロラーゼ酵素を含むか、又はそれに付着し得る。フルオロホスホネート分子は、セリンヒドロラーゼ酵素の活性部位のセリン残基に共有結合する状態になる。アジド基又はデスチオビオチン基(アビジンに結合できるビオチンの類似体)などの表1で特定された結合部分を含む、市販のフルオロホスホネート分子の類似体。したがって、そのような基は、本明細書に開示される足場に使用されるか、又はそれに付着されたポリペプチド又はDNA分子に含まれるか、又はそれに付着されたセリンヒドロラーゼ酵素に共有結合され得、そのような結合部分又は構造は、表1の相補的結合パートナー(例えば、アジド-アルキン、アジド-ホスフィン、アジド-シクロオクチン、アジド-ノルボルネン、又はデスチオビオチン-アビジン結合)のためのかかるタンパク質上の結合部位を形成するための適切な修飾フルオロホスホネート分子の付着をしようすることによって、共有結合され得る。
【0071】
足場と鋳型ポリヌクレオチドとの間又は足場とアクセサリーとの間の結合のため、足場の一部として、足場に付着される、アクセサリーの一部、又はアクセサリー若しくは鋳型ポリヌクレオチドに付着される、アビジン配列(例えば、別の組成物に含まれるか、又は付着されるアビジンポリペプチド)を含むポリペプチドへの結合、ないしは別の方法でポリペプチドへの官能基の追加を促進するための組成物をビオチン化する任意の前述の方法は、本明細書に開示されるこのような成分間の結合を許可又は促進するために使用され得る。
【0072】
別の例では、足場は、ポリペプチド又はタンパク質分子などのアミノ酸で合成されてよい。ある例では、鋳型ポリヌクレオチドの付着のための単一の鋳型部位は、かかるポリペプチド足場のN末端又はC末端であり得るが、又はそれらに付着し得る。別の例では、鋳型ポリヌクレオチドの具着のための単一の鋳型部位は、ポリペプチド足場の内部アミノ酸であり得るか、又はそれらに付着し得る。例えば、ポリペプチドのC末端とN末端との間のアミノ酸の側基、又は末端のうちの1つに鋳型ポリヌクレオチドを付着させるために、様々な生体共役反応用化学物質が使用され得る。更に、ポリペプチド足場のアミノ酸、例えばアミノ酸のうちの1つの側鎖への修飾は、付着のための単一の鋳型部位を提供するために実施され得る。化学部分は、相補的な化学部分に共有結合を形成する能力を有するそのような部位に含まれるか、又はそのような部位に追加され得、その相補的部分は、鋳型ポリヌクレオチドに付着又は含まれ得る。次いで、鋳型ポリヌクレオチドは、相補的化学部分間の共有結合を介するなどによって、ポリペプチド足場にコンジュゲートされ得る。
【0073】
別の例では、ポリペプチド足場は、単一の鋳型部位として、別のポリペプチド配列又は他の化学部分への共有結合を形成することができるポリペプチド配列を含むか、又はそれに付着し得る。そのような他のポリペプチド又は他の化学部分は、その後、足場及び鋳型ポリヌクレオチドの単一の鋳型部位が互いに共有結合し得るように、鋳型ポリヌクレオチドに含まれるか、又はそれに付着され得る。あるいは、鋳型ポリヌクレオチドは、第1のそのようなポリペプチド配列を有し得、足場の単一の鋳型部位は、鋳型ポリヌクレオチドのポリペプチド配列に共有結合することができるそのような他のポリペプチド配列又は他の化学部分を有し得る。そのような対の非限定的な例としては、SpyTag/SpyCatcher系、Snap-tag/O6-ベンジルグアニン系、及びCLIP-tag/O2-ベンジルシトシン系が挙げられる。あるいは、足場及び鋳型ポリヌクレオチドの単一の鋳型部位への共有結合のための相補的な対は、酵素触媒による共有結合形成を介して互いに共有結合し得る。例えば、足場及び鋳型ポリヌクレオチドの単一の鋳型部位は、ソルターゼ媒介カップリングによって互いに共有結合可能なモチーフ、例えば、一方にはLPXTGアミノ酸配列、及び他方にオリゴグリシン求核配列(例えば、3~5個のグリシンのリピートを有する)を含み得る。次いで、ソルターゼ媒介ペプチド転移を実行して、単一の鋳型部位で足場と鋳型ポリヌクレオチドとの共有結合をもたらすことができる。
【0074】
別の例では、ポリペプチド足場は、単一の鋳型部位での単一の鋳型ポリヌクレオチドの非共有結合のための領域を含み得る。例えば、オリゴDNAは、ポリペプチド足場上の単一部位に共有結合し得る。例えば、ポリペプチド足場及びオリゴDNA上の相補的化学部分は、鋳型ポリヌクレオチド及びポリペプチド足場の直接共有結合について上述したように、それらの間の共有結合を可能にし得る。オリゴDNAは、鋳型ポリヌクレオチドの一部、例えば、鋳型ポリヌクレオチドの3プライム又は5プライム末端に相補的なヌクレオチド配列を有し得る。そのようなオリゴDNAと鋳型ポリヌクレオチドとの間の相補性は、ワトソン-クリック塩基対合を介して、鋳型オリゴヌクレオチドの一部とポリペプチド足場に付着したオリゴDNAとの間のハイブリダイゼーションを可能にし得る。
【0075】
別の例では、ポリペプチド足場及び鋳型ポリヌクレオチドは、相補的ペプチド結合部位を含むか、又はそれに付着し得る。例えば、ペプチド足場及び鋳型ポリヌクレオチドは、コイルドコイルモチーフの相補的ペアとして互いに結合し得るペプチド配列を含み得るか、又はそれに付着し得る。ポリペプチド足場は、コイルドコイル結合対の一部を形成する1つのアミノ酸配列を含むか、又はそれに付着してもよく、鋳型ポリヌクレオチドは、ポリペプチド足場又はポリペプチド足場に付着しているものに相補的である、コイルドコイル結合対の別の部分を形成する別のアミノ酸配列に付着してもよく、その結果2つが互いに付着する。
【0076】
別の例では、ポリペプチド足場及び鋳型ポリヌクレオチドは各々、非共有的に結合するペプチド対の他の相補的パートナーを含み得るか、又はそれに付着し得る。例としては、ビオチン-アビジン結合対が挙げられる。ビオチン及びアビジンペプチドは、互いに強い非共有結合を形成する。このような対の一方は、結合部分がビオチン又はアビジンかどうかに関わりなく、ポリペプチド足場又は鋳型ポリヌクレオチドのいずれかの一部であってもよく、又はそれに付着してもよく、相補的部分は、ポリペプチド足場又は鋳型ポリヌクレオチドの一部に対応する、又はこれらに付着して、それらの間の非共有結合を可能にする。
【0077】
DNA足場又はポリペプチド足場の単一の鋳型部位への付着のために、鋳型ポリヌクレオチドは、それに追加される相補的な付着部分又は構造を有し得る。ある例では、ライブラリ試料の調製中に、複数の鋳型ポリヌクレオチドを配列決定のために調製することができる。一般に、そのような試料調製中に、ライブラリ試料の鋳型ポリヌクレオチドを修飾し、配列決定されるライブラリの一部として既に含まれている配列に加えて、特定のヌクレオチド配列を含める。そのような追加されたヌクレオチド配列は、続く鋳型ポリヌクレオチドの同定、又は播種プロセスの一部としてSBS基材の表面への付着を含む、様々な機能のうちのいずれかを果たし得る。本開示によれば、鋳型ポリヌクレオチドのそのような調製はまた、それに付着しているか、又はその中に含まれる相補的な付着部分又は構造を含み得る。
【0078】
例えば、デンドリマーDNA足場の場合、鋳型ポリヌクレオチドの調製は、第1世代のデンドリマーのアダプターの上流末端のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列を有するオリゴヌクレオチドを鋳型ポリヌクレオチドに追加するか、又はそれを含むことを含み得る。そして、第1世代アダプターは、それが構成される3つのポリヌクレオチド配列のうちの1つとして、鋳型ポリヌクレオチドに追加されたようにそのような配列を含み得る。別の例では、ヌクレオチド配列は、第1世代のデンドリマーDNA足場のアダプターの上流オーバーハングなどのデンドリマーDNA足場のアダプターのオーバーハングに相補的な鋳型ポリヌクレオチドに追加され得る。
【0079】
別の例では、鋳型ポリヌクレオチドの調製は、鋳型ポリヌクレオチド中に、例えばその末端のうちの1つから延在してヌクレオチド配列の付着を含み得、その配列は、他の配列が足場の単一の鋳型部位に含まれるか、又はそれに付着している別の配列に相補的である。ワトソン-クリック塩基対合によるハイブリダイゼーションは、2つの間の結合をもたらす。別の例では、アクセサリーオリゴヌクレオチドなどのアクセサリーを修飾し、それに相補的な部分又は構造への共有結合を可能にし得る。例えば、アクセサリーオリゴヌクレオチドなどのアクセサリーに含まれるヌクレオチドの、例えばホスフェート基、塩基、又は糖への修飾は、足場のアクセサリー部位への共有結合のための部位を提供するために含まれ得る。足場のアクセサリー部位は、次に、オリゴDNAアクセサリーなどのアクセサリーへの付着を可能にする相補的部分又は構造を含み得る。ある例では、試料調製中に鋳型ポリヌクレオチドに追加されるポリヌクレオチド配列中に含まれる、足場のアクセサリー結合部位の相補的部分が含まれる付着部分を含むように修飾されたヌクレオチド。そのような化学部分を有する多数の修飾ヌクレオチドは、そのような修飾ヌクレオチドが組み込まれたDNA分子への組成物の共有結合のために市販されている。
【0080】
別の例では、鋳型ポリヌクレオチドは、例えば資料調製中に、ポリペプチドに付着させることによって修飾され得る。そのようなポリペプチドは、足場の単一の鋳型部位のアミノ酸構造に相補的であるようにアミノ酸配列及び構造を有し得、その結果、鋳型ポリヌクレオチドは、付着したポリペプチドを介して、足場の単一の鋳型部位に付着し得る。足場の単一の鋳型部位と鋳型ポリヌクレオチドとの間の共有又は非共有結合のためのポリペプチドの対の例は上で提供されており、非限定的な例として、互いのコイルドコイル結合の形成のための7残基繰り返しを有するαヘリックスアミノ酸配列、ビオチン-アビジン結合対、SpyTag/SpyCatcher系、ソルターゼ媒介ペプチド転移結合のためのLPXTG/オリゴグリシン求核対が挙げられる。別の例では、鋳型ポリヌクレオチドは試料調製中に修飾され、Snap-tag配列又はO6-ベンジルグアニンのうちの1つを含んでよく、足場の単一の鋳型部位はこの2つのうち他方を含んでよく、Snap-tag/O6-ベンジルグアニン系に従って2つの間の共有結合を可能にする。別の例では、鋳型ポリヌクレオチドは試料調製中に修飾され、CLIP-tag配列又はO2-ベンジルシトシンのうちの1つを含んでよく、足場の単一の鋳型部位はこの2つのうち他方を含んでよく、CLIP-tag/O2-ベンジルシトシン系に従って2つの間の共有結合を可能にする。及び、CLIP-tag/O2-ベンジルシトシン系。
【0081】
上述の例のいずれも、1つ以上のアクセサリーを足場上の1つ以上のアクセサリー部位に付着するために同様に使用され得る。DNA足場又はポリペプチド足場のアクセサリー部位への付着のために、アクセサリー(例えば、アクセサリーオリゴDNA)は、それに追加される相補的な付着部分又は構造を有し得る。ある例では、ヌクレオチド配列は、アクセサリーに含まれ得るか、又は付着され得、それに付着しているか、又は含まれる相補的な付着部分又は構造を含み得る。
【0082】
例えば、デンドリマーDNA足場の場合、ヌクレオチド配列は、アクセサリーに含まれ得るか、又は付着され得、その配列は、最終世代のデンドリマーDNA足場のアダプターの下流オーバーハング、ないしは別の方法でハイブリダイズした他の世代のデンドリマーのアダプターの下流オーバーハングなど、デンドリマーDNA足場のアダプターに相補的であり得る。
【0083】
別の例では、アクセサリー(例えば、アクセサリーオリゴDNA)は、例えばアクセサリーオリゴDNAの場合、その末端のうちの1つから延在するヌクレオチド配列を含み得るか、又はそれに付着され得、その配列は、他の配列が足場のアクセサリー部位に含まれるか、又はそれに付着される別の配列に相補的である。相補配列間のワトソン-クリック塩基対合は、ハイブリダイゼーションと2つの間の結合を、それによるアクセサリー結合部位へのアクセサリーの付着をもたらす。別の例では、アクセサリーは、その共有結合修飾を含み、それに相補的な部分又は構造への共有結合を可能にし得る。例えば、鋳型ポリヌクレオチドに含まれるヌクレオチドの、例えばホスフェート基、塩基、又は糖への修飾は、足場のアクセサリー部位への共有結合のための部位を提供するために含まれ得る。足場のアクセサリー部位は、次に、オリゴDNAアクセサリーなどのアクセサリーへの付着を可能にする相補的部分又は構造を含み得る。ある例では、足場のアクセサリー結合部位の相補的部分が含まれる付着部分を含むように修飾されたヌクレオチドは、アクセサリーオリゴDNAなどのアクセサリーに追加される、又はこれに含まれるポリヌクレオチド配列中に含まれ、これらの間の結合を可能にし得る。そのような化学部分を有する多数の修飾ヌクレオチドは、そのような修飾ヌクレオチドが組み込まれたDNA分子への組成物の共有結合のために市販されている。
【0084】
別の例では、アクセサリーは、ポリペプチドに付着させることによって修飾され得る。そのようなポリペプチドは、足場のアクセサリー部位のアミノ酸構造に相補的であるようにアミノ酸配列及び/又は構造を有し得、その結果、アクセサリーは、付着したポリペプチドを介して、足場のアクセサリー部位に付着し得る。アクセサリー部位とアクセサリーとの間の共有又は非共有結合のためのポリペプチドの対の例は上で提供されており、非限定的な例として、互いのコイルドコイル結合の形成のための7残基繰り返しを有するαヘリックスアミノ酸配列、ビオチン-アビジン結合対、SpyTag/SpyCatcher系、ソルターゼ媒介ペプチド転移結合のためのLPXTG/オリゴグリシン求核対が挙げられる。別の例では、アクセサリーオリゴDNAなどのアクセサリーは修飾され、Snap-tag配列又はO6-ベンジルグアニンのうちの1つを含んでよく、足場のアクセサリー部位はこの2つのうち他方を含んでよく、Snap-tag/O6-ベンジルグアニン系に従って2つの間の共有結合を可能にする。別の例では、アクセサリーは、CLIP-tag配列又はO2-ベンジルシトシンのうちの1つを含んでよく、足場のアクセサリー部位はこの2つのうち他方を含んでよく、CLIP-tag/O2-ベンジルシトシン系に従って2つの間の共有結合を可能にする。
【0085】
鋳型ポリヌクレオチドの足場の鋳型部位への、又はアクセサリーオリゴDNAなどのアクセサリーの足場のアクセサリー部位への付着は、それらの間の直接結合を介してもよい。他の例では、DNA足場のヌクレオチド、又はポリペプチド足場のアミノ酸を連結するスペーサー、ポリマー、又は他の化学組成物を、単一の鋳型部位又はアクセサリー部位又はその両方に含めてもよい。ある例では、鋳型ポリヌクレオチド又はアクセサリー間の結合のための部分又は構造は、ポリペプチド足場の修飾アミノ酸又はDNA足場の修飾ヌクレオチド中に組み込まれ得、鋳型ポリヌクレオチド又はアクセサリーに直接付着した相補的部分又は構造に直接結合し得る。別の例では、スペーサー、ポリマー、又は他の化学組成物は、DNA足場のヌクレオチド又はポリペプチド足場のアミノ酸、又はその両方から延在し得、鋳型ポリヌクレオチド又はアクセサリーを結合するための部分又は構造は、スペーサー、ポリマー、又は他の化学部分に、かかるスペーサー、ポリマー、又は他の化学部分から足場までの距離で存在し得る。別の例では、スペーサー、ポリマー、又は他の化学組成物は、鋳型ポリヌクレオチド又はアクセサリー又はその両方から延在し得、足場を結合するための部分又は構造は、スペーサー、ポリマー、又は他の化学部分に、かかるスペーサー、ポリマー、又は他の化学部分から鋳型ポリヌクレオチド又はアクセサリーまでの距離で存在し得る。ある例では、そのようなスペーサー、ポリマー、又は他の化学組成物は、足場から単一の鋳型部位まで、及び、鋳型ポリヌクレオチド又は足場からアクセサリー部位まで、及び、アクセサリー又は足場から単一の鋳型部位まで、及び、鋳型ポリヌクレオチドと足場からアクセサリー部位まで、及び、アクセサリーから延在し得る。別の例では、そのようなスペーサー、ポリマー、又は他の化学組成物は、足場から単一の鋳型部位、鋳型ポリヌクレオチド、足場からアクセサリー部位、及びアクセサリーのうちの任意の1つ、又は2つ以上の任意の組み合わせから延在し得る。
【0086】
スペーサー、ポリマー、又は化学組成物は、スペーサーから単一の鋳型部位、鋳型ポリヌクレオチド、スペーサーからアクセサリー部位、又はアクセサリーのうちの任意の1つ、又は2つ以上の任意の組み合わせから延在し得、2つのかかるスペーサー、ポリマー、又は化学組成物は、可能性はあるが、互いに同じスペーサー、ポリマー、又は化学組成物であってはならない。ある例では、スペーサー、ポリマー、又は他の化学組成物は、DNA足場又はポリペプチド足場から延在し得、スペーサー、ポリマー、又は他の化学組成物は、2つ以上のアクセサリー部位を含み得る。
【0087】
いくつかの例では、アクセサリーオリゴDNAなどのアクセサリーがアクセサリー部位を含む足場に付着されるポリマーは、任意の順序又は構成で2つ以上の繰り返しモノマー単位を含むランダム、ブロック、直鎖、及び/又は分枝状コポリマーであってもよく、直鎖、架橋、若しくは分枝状、又はこれらの組み合わせであってもよい。例では、ポリマーはヘテロポリマーであってもよく、ヘテロポリマーは、
【化1】
又はその置換された類似体などのアクリルアミドモノマーを含んでもよい(「置換された」とは、指定の基における1つ以上の水素原子の別の原子又は基による置換を指す)。例では、ポリマーはヘテロポリマーであり、アジド含有アクリルアミドモノマーを更に含んでいてもよい。いくつかの態様では、ヘテロポリマーは、
【化2】
及び任意に
【化3】
を含み、式中、各R
zは、独立して、H又はC
1~4アルキルである。
【0088】
ある例では、使用されるポリマーとしては、PAZAMとしても知られているポリ(N-(5-アジドアセトアミジルペンチル)アクリルアミド-コ-アクリルアミド)、
【化4】
などの例を挙げることができ、式中、nは、1~20,000の範囲の整数であり、mは、1~100,000の範囲の整数である。
【0089】
いくつかの例では、アクリルアミドモノマーは、アジドアセトアミドペンチルアクリルアミドモノマー
【化5】
を含んでいてもよい。いくつかの例では、アクリルアミドモノマーは、N-イソプロピルアクリルアミド
【化6】
を含んでもよい。
いくつかの態様では、ヘテロポリマーは、以下の構造:
【化7】
(式中、xは、1~20,000の範囲の整数であり、yは、1~100,000の範囲の整数である)、又は
【化8】
(式中、yは、1~20,000の範囲の整数である)を含んでよく、このときそれぞれ、x及びzは、x及びzの合計が1~100,000の範囲内である整数であり、各R
zは、独立して、H又はC
1~4アルキルであり、x:yの比は、約10:90~約1:99であり得るか、若しくは約5:95であり得、又は、(x:y):zの比は、約85:15~約95:5であり得るか、若しくは約90:10であり得(このとき、x:(y:z)は、約1:(99)~約10:(90)であり得るか、若しくは約5:(95)であり得る)。これらの例では、「約」は、あるものの相対量が、列挙された比で記載された量と最大5%異なっていてもよいことを意味する。
【0090】
「ヘテロポリマー」は、少なくとも2つの異なる繰り返しサブユニット(モノマー)の大分子である。「アクリルアミドモノマー」は、構造
【化9】
又はその置換された類似体(例えば、メタクリルアミド又はN-イソプロピルアクリルアミド)を有するモノマーである。アクリルアミド基及びアジド基を含むモノマーの例は、上に示すアジドアセトアミドペンチルアクリルアミドである。「アルキル」は、完全に飽和している(すなわち、二重結合も三重結合も含有しない)直鎖又は分枝状炭化水素鎖を指す。例示的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、及び三級ブチルが挙げられる。例として、表記「C
1~4アルキル」は、アルキル鎖中に1~4個の炭素原子が存在すること、すなわち、アルキル鎖が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びt-ブチルからなる群から選択されることを示す。
【0091】
前述のポリマーのうちの任意の1つ以上のうちの1つ以上は、1つ以上のアクセサリーとして、又はアクセサリーオリゴDNA分子などの1つ以上のアクセサリーを足場に付着させるために、DNA足場又はポリペプチド足場に付着され得る。例えば、足場は、1つ以上のアルキン基、又はノルボルネン基などのアジド基と反応して結合し得る1つ以上の他の基を含み得、ポリマーのアジドは、環化付加クリック化学反応を介して、アルキン、ノルボルネン、又は足場の他の基と共有結合し得る。更なる例では、他の組成物又は追加のアクセサリー、例えば例示的なオリゴDNA分子として含まれる他の組成物又は構造もまた、1つ以上のアルキン基、又はノルボルネン基などのアジド基と反応して結合し得る1つ以上の他の基を含み得、又は含むように修飾され得、ポリマーのアジドは、環化付加クリック化学反応を介して、かかる多の化合物又は追加のアクセサリーのアルキン、ノルボルネン、又は足場の他の基と共有結合し得る。したがって、1つ以上のポリマーは、足場に付着され得、1つ以上のそのような付着したポリマーは、追加のアクセサリー、例えばオリゴDNA分子などの1つ以上の更なる組成物に更に付着し得る。他の例では、反応性化学物質を使用して、ポリマーを、足場及びオリゴDNA分子などのポリマーのアクセサリーに付着させることができる。
【0092】
ある例では、単一の鋳型ポリヌクレオチドは、足場の単一の鋳型部位に結合され得、アクセサリーオリゴDNA分子などの複数のアクセサリーヌクレオチドは、足場のアクセサリー部位に結合され得る(直接、又は、上記のポリマー若しくは他のポリマー、若しくはスペーサー、若しくは他の組成物を介して)。そのようなオリゴDNA分子の例は、足場上でクラスタリングを行うためのプライマーであり得る。従来のクラスタリングプロセスの一部として、鋳型ポリヌクレオチド又はその相補体のコピーは、基材の表面上で作製される。上で説明したように、いくつかの例では、そのような表面上クラスタリングは、有利ではない、1つ以上の多クローン性クラスターの形成をもたらす場合がある。本明細書に開示されるように、クラスタリングは、表面に足場を事前に付着させることなく、溶液中などで足場上で実施され得る。他の例では、単一の鋳型ポリヌクレオチドが付着した足場を基材の表面に付着させ、次いで、基材の表面上、足場上、又は足場と基材の表面上でクラスタリングを行ってもよい。
【0093】
クラスタリング手順において、試料調製中などで、鋳型ポリヌクレオチドに対して修飾を行い、その3プライム及び5プライム末端の一方又は両方に1つ以上のヌクレオチド配列を含めることができる。次いで、鋳型ヌクレオチド及び鋳型ヌクレオチドに相補的なヌクレオチド配列のコピーが、本明細書に開示されるように、足場上で合成され、クラスターを形成し得る。そのような足場上クラスタリングは、単クローン性クラスターの形成をもたらし得る。
【0094】
例えば、鋳型ポリヌクレオチドは、5プライム末端が足場の方に向けられ、3プライム末端が足場への結合部位から離れて向けられた、単一の鋳型付着部位に結合し得る。3プライム末端は、第1のプライマーに含まれるヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み得る。「プライマー」は、DNA又はRNA合成の開始点として機能する一本鎖核酸配列(例えば、一本鎖DNA又は一本鎖RNA)として定義される。プライマーは、任意の数の塩基の長さであることができ、様々な非天然ヌクレオチドを含むことができる。例では、プライマーは、20~40塩基又は10~20塩基の範囲の短鎖である。鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端に相補的なプライマーのコピーは、直接、又は本明細書に開示されるように、ポリマー(例えば、比限定的な例として、PAZAM又は本明細書に開示される関連ポリマー)、スペーサー、又は他の化学組成物への付着によって、足場のアクセサリー部位に更に付着され得る。
【0095】
次いで、重合反応を実施できるが、ここでは、鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端がワトソン-クリック塩基対合を介して、それに相補的な足場に結合した第1のプライマーとハイブリダイズする。重合反応中のポリメラーゼは、鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端がハイブリダイズする足場に付着したプライマーから開始して、足場に付着した鋳型ポリヌクレオチドに相補的な新生鎖を生成し得る。次いで、鋳型ポリヌクレオチド及びその相補体は、脱ハイブリダイズされ得る。
【0096】
相補体の3プライム末端での鋳型ポリヌクレオチドに対する相補体は、第2のプライマー配列に相補的なヌクレオチド配列を含み得る。鋳型ポリヌクレオチドに対する相補体の3プライム末端に相補的な第2のプライマーのコピーは、足場のアクセサリー部位に更に付着され得る。次いで、第2の重合反応を実行することができ、ここでは、鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端が、それに相補的な足場に結合した第1のプライマーとワトソン-クリック塩基対合を介してハイブリダイズし、鋳型ポリヌクレオチドに対する相補体の3プライム末端が、それに相補的な足場に結合した第2のプライマーとワトソン-クリック塩基対合を介してハイブリダイズする。第2の重合反応中のポリメラーゼは、鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端がハイブリダイズする足場に付着した第1のプライマーから開始して、足場に付着した鋳型ポリヌクレオチドに相補的な別の新生鎖を生成し得る。そして、第2の重合反応中のポリメラーゼは、事前の重合反応において重合された鋳型に対する相補体の3プライム末端がハイブリダイズする足場に付着した第2のプライマーから開始して、足場に付着した鋳型ポリヌクレオチドの新生鎖コピーを更に生成し得る。次いで、鋳型ポリヌクレオチド及びそのコピー及びその相補体は、脱ハイブリダイズされ得る。
【0097】
次いで、続く重合反応が、繰り返しプロセスで実施され得る。足場に結合した鋳型ポリヌクレオチド及びそのコピーの3プライム末端は、それに相補的な足場に結合した第1のプライマーにハイブリダイズし、鋳型ポリヌクレオチドに対する足場に結合した相補体の3プライム末端は、それに相補的な足場に結合した第2のプライマーにハイブリダイズする。新生鎖は、ポリメラーゼによって重合されるが、足場に結合した第1及び第2のプライマーで開始され、足場に結合した鋳型ポリヌクレオチド及びその相補体及びそのコピーがハイブリダイズする。重合後の鎖の脱ハイブリダイズに続いて、連続重合反応が実行され、それによって、足場に付着した鋳型ポリヌクレオチド及びその相補体のコピー数が増加する。このようにして、鋳型ポリヌクレオチドのコピー及び相補体が増幅され、増幅したコピーが足場に結合し、クラスターを形成する。本明細書に開示されるように、このクラスタリングプロセスは、従来のSBSプロセスにおいて基材の表面上で実施される従来のクラスタリングとは対照的に、溶液などにおいて足場上で実施され得る。足場上でクラスター化した単一の鋳型ポリヌクレオチドのみのコピー及び相補体が存在するため、単クローン性クラスターが足場上に存在する。
【0098】
そのような例では、鋳型ポリヌクレオチドの5プライム末端にあるか、又は付着した配列を単一の鋳型部位に結合する場合、鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端は足場から離れる方向に向けられ、鋳型ポリヌクレオチドは、鋳型部位プライマーと称される単一の鋳型部位に付着した、又はその一部に付着したプライマー配列へのハイブリダイゼーションによって、足場の単一の鋳型部位に結合し得る。ある例では、試料調製プロセスによって調製されるとき、鋳型ポリヌクレオチドは、鋳型部位プライマーに相補的なヌクレオチド配列を、その5プライム末端に有し得るか、又はそれに付着し得る。鋳型部位プライマーに相補的なそのようなヌクレオチド配列を3プライムにすると、鋳型ポリヌクレオチドは、上記の第2のプライマーのヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列を含み得る(第2のプライマーは、鋳型ポリヌクレオチドに対する相補体の3プライム末端が相補的ワトソン-クリック塩基対合によってハイブリダイズし得る、足場に付着したプライマーである)。鋳型ポリヌクレオチド中のそのような配列を含めることは、重合工程中に合成される鋳型ポリヌクレオチドに対する相補体が、その3プライム末端に向かって、そのような第2のプライマーの配列に相補的であるポリヌクレオチド配列を有することを意味する。鋳型ポリヌクレオチドに対する相補体の3プライム末端に向かうそのような配列を有することにより、クラスタリング中の後続の重合反応中に、そのような第2のプライマーへの相補体の3プライム末端のハイブリダイゼーションが可能になる。
【0099】
単一の鋳型部位に結合した鋳型ポリヌクレオチドの5プライム末端から離れる方向に向けられた、鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端では、鋳型ポリヌクレオチドは、上記のように第1のプライマーに相補的な配列を含み得る。上記のように、第1の重合工程中に、鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端におけるそのようなヌクレオチド配列は、第1のプライマーにハイブリダイズし得、続いて、鋳型ポリヌクレオチドに対する新生相補体が重合される。鋳型部位プライマーにハイブリダイズした鋳型ポリヌクレオチドの部分と、第2のプライマーの配列を含む鋳型ポリヌクレオチドにおいて3プライムに位置するヌクレオチド配列との間の鋳型ポリヌクレオチドへの相補体の重合が中止することが、有利であり得る。すなわち、鋳型ポリヌクレオチドの相補体がその3プライム末端に第2のプライマーに相補的な配列を有することが有利であり得る。しかしながら、第2のプライマーに対応する配列に相補的なヌクレオチド配列を、鋳型ポリヌクレオチドに対する新生相補体に加えた後に重合が中止されない場合、鋳型ポリヌクレオチドに対する相補体の3プライム末端はそこで終端しないであろう。
【0100】
例えば、鋳型部位プライマーに相補的なヌクレオチド配列が、第2のプライマーに相補的な配列に5プライムかつ連続している場合、鋳型ポリヌクレオチドに対する相補体の3プライム末端は、鋳型部位プライマーに含まれるヌクレオチド配列を含み得る。例えば、鋳型ポリヌクレオチドに対する相補体を重合する際のDNAポリメラーゼは、鋳型部位プライマーをハイブリダイズ部位から鋳型ポリヌクレオチドの5プライム末端に移動し、それに対応するヌクレオチド配列を鋳型ポリヌクレオチドに対する相補体の3プライム末端に追加して重合させることができる。そのような結果は、アクセサリー部位で上記の第2のプライマーにハイブリダイズすることにより、鋳型ポリヌクレオチドに対する相補体の3プライム末端の能力が損なわれる場合に望ましくない場合がある。
【0101】
したがって、ある例では、鋳型ポリヌクレオチドのそのような5プライム末端が鋳型部位プライマーにハイブリダイズすることによって単一の鋳型部位に結合する場合、鋳型ポリヌクレオチドの3プライムから5プライム末端への重合の中止を組み込むことが望ましい場合がある。例えば、PEGリンカー、アルキルリンカー、又は他の化学部分などのリンカーを含めて、鋳型部位プライマーにハイブリダイズするヌクレオチド配列を鋳型ポリヌクレオチドの5プライム末端に接続することができる。連続したヌクレオチド配列の接続ではなく、そのようなリンカーの存在は、ポリメラーゼが鋳型部位プライマーに対応するヌクレオチド配列を鋳型ポリヌクレオチドの相補体の3プライム末端に追加することを阻止し、代わりに、望ましくあり得るように、第2のプライマーのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列で終端するであろう。
【0102】
他の例では、鋳型ポリヌクレオチドは、鋳型部位プライマーと称される足場の単一の鋳型部位の一部であるか、又はそれに付着したプライマーに相補的である、鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端でポリヌクレオチド配列を有し得るか、又はそれに付着し得る。鋳型部位プライマーへの鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端の、又はそれに付着されるそのような配列のハイブリダイゼーションに続いて、鋳型部位プライマーから開始され、DNAポリメラーゼが鋳型ポリヌクレオチドに相補的な新生ポリヌクレオチドの形成を重合する、重合プロセスを実施することができる。次いで、鋳型ポリヌクレオチドに対する足場に付着した相補体から鋳型ポリヌクレオチドを脱ハイブリダイズする。鋳型ポリヌクレオチドに対する足場に付着した相補体の3プライム末端は、足場に対する付着部位から離れる方向に向けられており、上記の第2のプライマー配列に相補的なヌクレオチド配列を含み得る(第2のプライマーは、鋳型ポリヌクレオチドに対する相補体の3プライム末端が相補的ワトソン-クリック塩基対合によってハイブリダイズし得る、足場に付着したプライマーである)。鋳型ポリヌクレオチドに対する相補体の3プライム末端に相補的な第2のプライマーのコピーは、足場のアクセサリー部位に更に付着され得る。次いで、第2の重合反応を実施できるが、ここでは、鋳型ポリヌクレオチドに対する相補体の3プライム末端がワトソン-クリック塩基対合を介して、それに相補的な足場に結合した第2のプライマーとハイブリダイズする。第2の重合反応中のポリメラーゼは、事前の重合反応において重合された鋳型に対する相補体の3プライム末端がハイブリダイズする足場に付着した第2のプライマーから開始して、鋳型ポリヌクレオチドの新生鎖コピー(すなわち、鋳型ポリヌクレオチドに対する鋳型に結合した相補体の相補体)を生成し得る。次いで、脱ハイブリダイズ工程を実施して、鋳型ポリヌクレオチドに対する足場に付着した相補体、及び鋳型ポリヌクレオチドにコピーを互いから脱ハイブリダイゼーションし得る。
【0103】
コピーの3プライム末端での鋳型ポリヌクレオチドのコピーは、上記第1のプライマー配列に相補的なヌクレオチド配列を含み得る。上述した鋳型ポリヌクレオチドのコピーの3プライム末端に相補的な第1のプライマーのコピーは、足場のアクセサリー部位に更に付着され得る。次いで、第3の重合反応を実行することができ、ここでは、鋳型ポリヌクレオチドのコピーの3プライム末端が、それに相補的な足場に結合した第1のプライマーとワトソン-クリック塩基対合を介してハイブリダイズし、鋳型ポリヌクレオチドに対する相補体の3プライム末端が、それに相補的な足場に結合した第2のプライマーとワトソン-クリック塩基対合を介してハイブリダイズする。第3の重合反応中のポリメラーゼは、鋳型ポリヌクレオチドのコピーの3プライム末端がハイブリダイズする足場に付着した第1のプライマーから開始して、足場に付着した鋳型ポリヌクレオチドに相補的な別の新生鎖を生成し得る。そして、第3の重合反応中のポリメラーゼは、事前の重合反応において重合された鋳型に対する相補体の3プライム末端がハイブリダイズする足場に付着した第2のプライマーから開始して、鋳型ポリヌクレオチドの新生鎖コピーを更に生成し得る。次いで、鋳型ポリヌクレオチドのコピー及び対応する相補体を脱ハイブリダイズする脱ハイブリダイゼーション工程が実施され得る。
【0104】
次いで、続く重合反応が、繰り返しプロセスで実施され得る。鋳型ポリヌクレオチドの足場に結合したコピーの3プライム末端は、それに相補的な足場に結合した第1のプライマーにハイブリダイズし、鋳型ポリヌクレオチドに対する足場に結合した相補体の3プライム末端は、それに相補的な足場に結合した第2のプライマーにハイブリダイズする。新生鎖は、ポリメラーゼによって重合されるが、足場に結合した第1及び第2のプライマーで開始され、足場に結合した鋳型ポリヌクレオチド及びその相補体及びそのコピーがハイブリダイズする。ストランドの脱ハイブリダイゼーションは重合後に行われ、次いで連続重合反応が行われて、更なる脱ハイブリダイズが続く。このようにして、鋳型ポリヌクレオチドのコピー及び相補体が増幅され、増幅したコピー及び相補体が足場に結合し、クラスターを形成する。本明細書に開示されるように、このクラスタリングプロセスは、従来のSBSプロセスにおいて基材の表面上で実施される従来のクラスタリングとは対照的に、溶液などにおいて足場上で実施され得る。足場上でクラスター化した単一の鋳型ポリヌクレオチドのみのコピー及び相補体が存在するため、単クローン性クラスターが足場上に存在する。
【0105】
ある例では、鋳型ポリヌクレオチドの末端は、第3の鋳型部位プライマーと称される、足場の単一の鋳型部位に含まれるか、又はそれに付着したヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含むか、又はそれに付着している。ある例では、鋳型ポリヌクレオチドに対する相補体は、第3の鋳型部位プライマーで開始されて足場上で合成され得る。
【0106】
本明細書に開示されるような足場上クラスタリングの例では、足場は、本明細書に開示されるようなDNA足場又はポリペプチド足場であり得る。鋳型ポリヌクレオチドは、本明細書に開示される様々な共有又は非共有結合のいずれかによって、足場の単一の鋳型部位に結合され得る。例えば、鋳型ポリヌクレオチドのいずれかの末端は、表1に特定されるような結合部位対の部分又は構造を含み得、同じ対の相補的部分又は構造は、足場の単一の鋳型部位に存在し得る。次いで、上記のように、連続的な重合プロセスを続けることができる。例えば、鋳型ポリヌクレオチドの5プライム末端において、又はそれに向かって足場の単一の鋳型部位に結合した鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端は、足場のアクセサリー部位に結合したオリゴヌクレオチドプライマーと、DNAポリメラーゼによって合成されたそれに対する相補体とにハイブリダイズし得る。次いで、上記のように連続的な重合プロセスを続けることができ、鋳型ポリヌクレオチドの複数のコピーと、足場のアクセサリー部位から生じる相補体との重合をもたらす。単一の鋳型ポリヌクレオチドのみが足場に結合したため、足場は単一の鋳型ポリヌクレオチド部位のみを有し、そのようなコピーは足場上の単クローン性クラスターを構成するであろう。
【0107】
別の例では、足場は、基材の表面、例えばSBS手順で使用するための基材の表面に付着し得る。例えば、足場のアクセサリー部位は、基材の表面に付着した部位、又は基材の表面に結合する組成物を含み得るか、又はそれ自体であり得るか、又はそれに付着された状態になり得る。ある例では、基材の表面は、非限定的な例として、例えば、上記の第1のプライマー又は第2のプライマー又はその両方に相補的なプライマーのコピーなどのプライマーに結合され得る。そのような相補的プライマーは、基材の表面に直接付着され得るか、又はそのようなポリマーに付着したプライマーによって付着しているポリマー分子(例えば、PAZAM又は関連ポリマー)の表面などの修飾した表面に付着され得る。前述の第1のプライマー及び第2のプライマーは、足場のアクセサリー部位に付着され得る(直接、又は非限定的な例として上で開示されるようなPAZAM若しくは他のPAZAM様ポリマー、又はスペーサー又は他の組成物を介して)。足場の、又はそれに付着されたそのような第1及び第2のプライマーは、基材の表面に付着したときにそれに相補的なプライマーにハイブリダイズし、それによって、足場を基材の表面に結合させることができる。
【0108】
上記のような第1及び第2のプライマーの例は、既存のSBSプロセスで使用されるプライマーを含み得る。好適なプライマーの具体例としては、HISEQ(商標)、HISEQX(商標)、MISEQ(商標)、MISEQDX(商標)、MINISEQ(商標)、NEXTSEQ(商標)、NEXTSEQDX(商標)、NOVASEQ(商標)、GENOME ANALYZER(商標)、ISEQ(商標)、及び他の装置プラットフォームでの配列決定のためにIllumina Inc.により販売されている市販のフローセルの表面上で使用される、P5及び/又はP7プライマーが挙げられる。また、上記の第1又は第2のプライマーに対応するか、又は相補的なヌクレオチド配列を含む鋳型ポリヌクレオチドの部分は、例えば、上記のSBSプラットフォームなどで使用されるようなプライマー配列に従って、P5プライマー(ヌクレオチド配列AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACAC(配列番号7)を含む)、P7プライマー(ヌクレオチド配列CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号8)を含む)、又はその両方に対応するか、又はそれに相補的な配列を有し得る。
【0109】
SBSプロセスのための基材としては、非限定的な例として、前述のSBSプラットフォームなどのいずれかで使用される基材が挙げられ得る。非限定的な例として、そのような基材はフローセルであり得る。本明細書に使用されるとき、「フローセル」という用語は、反応を行うことができるチャンバ(すなわち、フローチャネル)と、試薬をチャンバに送達するための入口と、チャンバから試薬を除去するための出口とを有する容器を意味することを意図する。いくつかの例では、チャンバは、チャンバ内で発生する反応又はシグナルの検出を可能にする。例えば、チャンバは、チャンバ内で、アレイ、光学的に標識された分子などの光学的検出を可能にする1つ以上の透明な表面を含み得る。本明細書に使用されるとき、「フローチャネル」又は「フローチャネル領域」は、液体サンプルを選択的に受容することができる、2つの結合された構成要素間に画定される領域であり得る。いくつかの例では、フローチャネルは、パターン形成された支持体と蓋との間に画定されてもよく、したがって、パターン形成された支持体内に画定された1つ以上の凹部と流体連通してもよい。他の例では、フローチャネルは、パターン形成されていない支持体と蓋との間に画定され得る。
【0110】
本明細書に使用されるとき、「凹部」という用語は、パターン形成された支持体表面の間隙領域によって完全に包囲される表面開口部を有する、パターン形成された支持体における不連続の凹状の特徴を指す。凹部は、表面の開口部において、例として、円形、楕円形、正方形、多角形、星形(任意の数の頂点を持つ)などの、様々な形状をとることができる。表面と直交するように取られた凹部の断面は、湾曲形状、正方形、多角形、双曲線、円錐、角のある形状などであることができる。例として、凹部は、ウェルであってよい。また、本明細書で使用されるとき、「官能化された凹部」は、プライマーが付着している不連続の凹状の特徴を指し、いくつかの例では、ポリマー(PAZAM又は類似のポリマーなど)によって凹部の表面に付着している。
【0111】
用語であるフローセルの「支持体」又は「基材」は、表面化学物質が追加され得る支持体又は基材を指す。「パターン形成された基材」という用語は、凹部が画定されている支持体を指す。「パターン形成されていない基材」という用語は、実質的に平面状の支持体を指す。本明細書において基材はまた、「支持体」、「パターン形成された支持体」、又は「パターン形成されていない支持体」と称され得る。支持体は、ウェハ、パネル、矩形シート、ダイ、又は任意の他の好適な構成であってよい。支持体は、一般に、硬質であり、水性液体に不溶性である。支持体は、凹部を修飾するために使用される化学物質に対して、不活性であってもよい。例えば、支持体は、ポリマーコーティング層の形成、付着しているポリマーコーティング層などへのプライマーの付着などに使用される化学物質に対して、不活性であってもよい。好適な支持体の例としては、エポキシシロキサン、ガラス、改質又は機能化ガラス、多面体オリゴマーシルセスキオキサ(POSS)及びその誘導体、ンプラスチック(アクリル、スチレン及び他の材料のポリスチレン及びコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(Chemours製のTEFLON(登録商標)など)、環状オレフィン/シクロオレフィンポリマー(COP)(Zeon製のZEONOR(登録商標)など)、ポリイミドなど)、ナイロン、セラミック/セラミック酸化物、シリカ、溶融シリカ、又はシリカ系材料、ケイ酸アルミニウム、シリコン及び変性シリコン(例えば、ホウ素ドープP+シリコン)、窒化ケイ素(Si3N4)、酸化ケイ素(SiO2)、五酸化タンタル(TaO5)、又は他の酸化タンタル(TaOx)、ハフニウム酸化物(HaO2)、炭素、金属、無機ガラスなどが挙げられる。支持体はまた、ガラス、又はケイ素、又はケイ素系ポリマー、例えばPOSS材料であってもよく、任意選択で、酸化タンタル又は別のセラミック酸化物のコーティング層を表面に有していてもよい。POSS材料は、Kejagoas et al.,Microelectronic Engineering 86 (2009) 776-668に開示されているものであり得、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0112】
ある例では、凹部は、パターン形成された基材がその表面にウェルのアレイを含む、ウェルであり得る。ウェルは、マイクロウェル又はナノウェルであり得る。各ウェルのサイズは、その容積、ウェル開口面積、深さ、及び/又は直径によって特徴付けられ得る。
【0113】
各ウェル2は、液体を閉じ込めることができる任意の容積を有し得る。最小又は最大容積は、例えば、フローセルの下流の使用に期待されるスループット(例えば、多重度)、分解能、検体の組成、又は検体の反応性に適応するように選択することができる。例えば、容積は、少なくとも約1×10-3μm3、約1×10-2μm3、約0.1μm3、約1μm3、約10μm3、約100μm3、又はそれ以上であり得る。代替的又は更に、容積は、最大で約1×104μm3、約1×103μm3、約100μm3、約10μm3、約1μm3、約0.1μm3、又はそれ以下であり得る。
【0114】
各ウェルの開口部が占有する面積は、上記のウェル容積と同様の基準に基づいて選択され得る。例えば、表面上の各ウェル開口部の面積は、少なくとも約1×10-3μm2、約1×10-2μm2、約0.1μm2、約1μm2、約10μm2、約100μm2、又はそれ以上であり得る。代替的又は更に、面積は、最大で約1×103μm2、約100μm2、約10μm2、約1μm2、約0.1μm2、約1×10-2μm2、又はそれ以下であり得る。各凹部の開口部が占有する面積は、上記の値よりも大きい、小さい、又はそれらの間であり得る。
【0115】
各ウェルの深さは、少なくとも約0.1μm、約1μm、約10μm、約100μm又はそれ以上であり得る。代替的又は更に、深さは、最大で約1×103μm、約100μm、約10μm、約1μm、約0.1μm又はそれ以下であり得る。各ウェル14’の深さは、上で示された値よりも大きいか、それよりも小さいか、又はそれらの間であり得る。
【0116】
いくつかの場合では、各ウェルの直径は、少なくとも約50nm、約0.1μm、約0.5μm、約1μm、約10μm、約100μm又はそれ以上であり得る。代替的又は更に、直径は、最大で約1×103μm、約100μm、約10μm、約1μm、約0.5μm、約0.1μm又はそれ以下であり得る(例えば、約50nm)。直径は、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約350nm、約400nm、約450nm、約500nm、約550nm、約600nm、約650nm、約700nm、約750nm、約800nm、約900nm、約950nm、約1μm、約1.25μm、約1.5μm、約1.74μm、約2μm、約2.25μm、約2.5μm、約2.75μm、約3μm、約3.25μm、約3.5μm、約3.75μm、約4μm、約4.25μm、約4.5μm、約4.75μm、約5μm、約5.25μm、約5.5μm、約5.75μm、約6μm、約6.25μm、約6.5μm、約6.75μm、約7μm、約7.25μm、約7.5μm、約7.75μm、約8μm、約8.25μm、約8.5μm、約8.75μm、約9μm、約9.25μm、約9.5μm、又は約9.75μmであり得る。各ウェルの直径は、上で示された値よりも大きいか、それよりも小さいか、又はそれらの間であり得る。本明細書で使用される用語としてのナノウェルは、最大直径が約1μm以下である丸い開口部を有するウェルを意味することを意図している。
【0117】
本明細書で提供される範囲は、表示範囲及び表示範囲内の任意の値又は部分範囲を含むことを理解すべきである。例えば、約100nm~約1μm(1000nm)の範囲は、明確に示された限界値である約100nm~約1μmだけではなく、個々の値、例えば約708nm、約945.5nmなど、及び部分範囲、例えば約425nm~約825nm、約550nm~約940nmなども含むと解釈されるべきである。更に、「約」及び/又は「実質的に」が値を説明するために利用される場合、それらは、示された値からのわずかな変動(最大で±10%)を包含することを意味する。
【0118】
ある例では、ナノ粒子のサイズは、ナノウェルなどのウェル中にナノ粒子が存在することにより、別のナノ粒子が同時に占有できないようにウェルの容積を占めるようなものであり得る。ナノ粒子のサイズは、基材の表面における既知のサイズのウェルを参照して設計又は決定することができ、それにより、他のナノ粒子が存在しないがウェルに入ることができるが、別のナノ粒子が既に入っており、ウェル中に依然として存在しているとウェル中へ入ることが阻止され得る。ウェルに対して3つ以上が適合できないようにサイズ決定されたナノ粒子は、ウェル内のクラスターの単クローン性を促進し得る。例えば、従来のSBSプロセスでは、鋳型ポリヌクレオチドは、鋳型ポリヌクレオチドを播種する(すなわち、直接又は鋳型ヌクレオチドの一部のヌクレオチド配列に相補的な表面に付着したポリマーを介して、ウェルに付着したプライマーなどに結合する)ウェルの数を最大化するように較正されたある濃度の溶液中のウェルでパターン形成されたフローセルに導入され得るが、多クローン性クラスターの形成を最小限に抑えるには十分に低い。
【0119】
ある例では、フローセルは、凹部又はナノウェルではないが、別の方法で空間的に隔離されたナノスケールの領域を含み得、その中に鋳型ポリヌクレオチド又は足場が結合又は播種され得、本明細書ではナノパッドと称する。いくつかの例では、フローセル表面は、鋳型ポリヌクレオチド又は足場が結合し得ない表面の領域によって互いに分離されたナノパッドを含む。ナノパッドは、単クローン性クラスターの形成を促進するように互いに離間され得る。例えば、単一の鋳型ポリヌクレオチドによって播種された1つのナノパッド内に形成されたクラスターが、1つの鋳型ポリヌクレオチドのみで播種された別のそのようなナノパッドから十分に分離されるように、ナノパッドを互いに分離してもよい。しかしながら、2つ以上の鋳型ポリヌクレオチドによるナノパッドの播種を阻止することは困難であるため、1つ以上の多クローン性クラスターが形成される可能性がある。本明細書に開示される例では、ナノ粒子は、2つ以上の鋳型ポリヌクレオチドの特定のナノパッド内への播種又は付着を阻止することによって、多クローン性クラスターを優先する単クローン性クラスターの形成を促進し得る。例えば、2つ以上のナノ粒子が結合するにはナノパッド上にスペースが十分ではなく、鋳型ポリヌクレオチドが足場の単一の鋳型ポリヌクレオチド部位に結合するような、ナノ粒子のサイズであってよい。
【0120】
場合によっては、互いに異なるヌクレオチド配列を有する2つ以上の鋳型ポリヌクレオチドが互いに同じウェル内に結合するか、又は播種された場合、多クローン性クラスターが起こり得る。分子は、ポアソン分布に基づき、適用された溶液内の濃度に基づいてウェル中で分布し得るが、これにより、複数の異なる鋳型ポリヌクレオチドによって占有されるウェルの数を最小化しながら、未占有ウェルの数を最小化する(SBS実行の効率を上げるため)バランスが取られる。最小ウェルサイズと鋳型ポリヌクレオチドのサイズ(例えば、B-DNA分子の直径は、2nm程度であり得る)との間の相違により、一方では、利用可能又は好ましいように、ウェル内の表面などの多くの基材表面を利用しない濃度の中から選択する結果となり、望まれない、又は不必要に多数の多クローン性クラスターの形成をもたらす。
【0121】
本明細書に開示されるように、鋳型ポリヌクレオチドは、ナノ粒子あたり1つの鋳型ポリヌクレオチドのみが結合する状態で、ナノ粒子に結合し得る。ナノ粒子は、別のナノ粒子が存在していないフローセルのウェル内にナノ粒子が入ることができるが、別のナノ粒子が既に存在するフローセルのウェルに入らないように、サイズ決定され得る。単クローン性クラスタリングなどのクラスタリングは、ナノ粒子がウェルに入り、単クローン性クラスターがウェルに存在する前に、ナノ粒子上で起こり得る。又は、鋳型ポリヌクレオチドは、ナノ粒子の鋳型部位に結合してもよく、ナノ粒子は、ウェル内に入って結合してもよく(例えば、アクセサリー部位の表面への結合又はウェルの表面への修飾によって)、それによってウェルを単一のナノ粒子のみで播種し、次いで、クラスタリングがウェル内で進行して、ウェル中に存在している単クローン性クラスターをもたらす。いくつかの例では、ある程度のクラスタリングは、ウェルに入る前にナノ粒子上で発生し得、ナノ粒子がウェルに入った後に更なるクラスタリングが起こり得る。全てのそのような例には、単クローン性クラスターがウェル内に形成される例が含まれる。更に、一度に2つ以上のナノ粒子をウェル中に同時に存在することを低減、最小化、又はある例では排除するようにナノ粒子のサイズを調整することにより、多クローン性クラスターの形成を低減、最小化、又はある例では排除することができる。
【0122】
ナノ粒子のサイズは、足場のサイズの変更、アクセサリー部位に結合した例えばそこに付着したポリマーのアクセサリーのサイズの変更、又はその両方によって調整され得る。ナノ粒子のサイズはまた、ナノ粒子上で生じた又は生じていないクラスタリングの量によって、例えば、鋳型ポリヌクレオチドのコピー及び相補体がクラスタリング中の重合プロセス中に結合し得る、ナノ粒子上の部位の数を変更することによって変更され得、そのような部位が少ないと、ナノ粒子のサイズの上限がより低くなる可能性があり、そのような部位が多い場合、ナノ粒子のサイズの上限がより高くなる可能性がある。クラスタリング中の重合プロセスの回数はまたナノ粒子のサイズを変更し、回数が多いと、ナノ粒子に結合した鋳型ポリヌクレオチドのコピー及び相補体がより多くなり、その結果、サイズの上限がより高くなる可能性があり、回数が少ないと、ナノ粒子に結合した鋳型ポリヌクレオチドのコピー及び相補体がより少なくなることで、サイズの上限がより低くなる可能性がある。ナノ粒子のサイズは、足場上でのクラスタリングが発生する前又は足場上でのクラスタリングが発生した後にそのサイズに従って決定され得る。
【0123】
本明細書で使用されるとき、用語「ナノ粒子」は、サイズが約1,000nmまでの最大寸法を有する粒子を意味することを意図している。幾何学的形状に応じて、寸法は、長さ、幅、高さ、直径などを指し得る。「直径」は、本明細書の一例として寸法を説明するために一般に使用されるが、本明細書に記載のナノ粒子は、球形又は円形である必要はない。本明細書に開示されるナノ粒子は、約2nm、約5nm、約7nm、約10nm、約12nm、約15nm、約17nm、約20nm、約22nm、約25nm、約27nm、約30nm、約32nm、約35nm、約40nm、約42nm、約45nm、約47nm、約50nm、約52nm、約55nm、約57nm、約60nm、約62nm、約65nm、約67nm、約70nm、約72nm、約75nm、約77nm、約80nm、約82nm、約85nm、約87nm、約90nm、約92nm、約95nm、約97nm、約100nm、約125nm、約150nm、約175nm、約200nm、約225nm、約250nm、約275nm、約300nm、約325nm、約350nm、約375nm、約400nm、約425nm、約450nm、約475nm、約500nm、約525nm、約550nm、約575nm、約600nm、約625nm、約650nm、約675nm、約700nm、約725nm、約750nm、約775nm、約800nm、約825nm、約850nm、約875nm、約900nm、約925nm、約950nm、約975nm、又は約1,000nmの直径を有し得る。ナノ粒子の直径は、流体力学半径(Rh)の2倍として表される、準弾性光散乱としても知られる動的光散乱(DLS)によって測定され、これは、DLSシステム又はDLS及び他の機能を備える他のシステム(例えば、ZETASIZER(登録商標)、Malvern Instruments Limited)で決定され得る。
【0124】
本明細書に開示されるナノ粒子は、約2nm~約10nm、約5nm~約15nm、約7nm~約20nm、約10nm~約25nm、約15nm~約30nm、約20nm~約50nm、約40nm~約60nm、約50nm~約75nm、約60nm~約100nm、約70nm~約100nm、約75nm~約100nm、約80nm~約110nm、約90nm~約130nm、約100nm~約150nm、約100nm~約200nm、約150nm~約225nm、約200nm~約250nm、約200nm~約300nm、約225nm~約275nm、約250nm~約300nm、約275nm~約325nm、約300nm~約400nm、約300nm~約350nm、約325nm~約375nm、約350nm~約400nm、約375nm~約425nm、約400nm~約500nm、約400nm~約450nm、約425nm~約475nm、約450nm~約500nm、約475nm~約525nm、約500nm~約600nm、約500nm~約550nm、約525nm~約575nm、約550nm~約600nm、約575nm~約625nm、約600nm~約700nm、約600nm~約625nm、約625nm~約675nm、約650nm~約700nm、約675nm~約725nm、約700nm~約800nm、約700nm~約725nm、約725nm~約775nm、約750nm~約800nm、約775nm~約825nm、約800nm~約900nm、約800nm~約850nm、約825nm~約875nm、約850nm~約900nm、約875nm~約925nm、約900nm~約1,000nm、約900nm~約950nm、約925nm~約975nm、約950nm~約1,000nm、約300nm~約450nm、約350nm~約500nm、約400nm~約550nm、約450nm~約600nm、約500nm~約650nm、約550nm~約700nm、約600nm~約750nm、約650nm~約800nm、約700nm~約850nm、約750nm~約900nm、約800nm~約950、又は約850nm~約1,000nmの範囲内の直径を有し得る。
非限定的実施例
【0125】
以下の実施例は、本開示の特定の実施例を例示することを意図したものであるが、決してその範囲を限定することを意図するものではない。
【0126】
図1は、本明細書に開示されるナノ粒子の非限定的実施例の図を示す。この非限定的実施例では、単一の鋳型ポリヌクレオチド部位は、開示されるように、ナノ粒子の足場部分のくさび形部分として示される。単一の鋳型ポリヌクレオチドは、単一の鋳型部位に結合して示されている。また、この非限定的実施例では、足場のアクセサリー部位から延在する複数のアクセサリーが示されている。中央の図では、アクセサリーはポリマーとして示されている。左の図では、鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドの多数のコピー及び鋳型ポリヌクレオチドのコピーが示されており、そのようなコピーは足場に付着し、そこから延在している。この例では、それらはポリマーから延在し、次に足場から延在する。
【0127】
右の図では、基材のウェル内にある、単一の鋳型部位で結合した鋳型ポリヌクレオチドを有するナノ粒子が示される。複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドが、足場から延在するように示されている。右の図には示されていないが、この例では、アクセサリーオリゴヌクレオチドは、足場に付着したポリマーから延在する。他の例では、アクセサリーオリゴヌクレオチドは、介在ポリマーがそれらの間に存在することなく、足場から直接延在し得る。アクセサリーオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列は、ウェルの表面に付着したプライマーに相補的である。それによって、アクセサリーオリゴヌクレオチドは、ウェルに付着したプライマーにハイブリダイズし、ウェルの表面に付着する。ここで、ウェルのサイズに対するナノ粒子のサイズのため、同時に1つのナノ粒子のみがウェル中に存在し得る。したがって、ウェル内の単一の鋳型ポリヌクレオチドから開始されたクラスタリングは、ウェル内に単クローン性クラスターの形成をもたらすであろう。
【0128】
図2Aは、DNA足場の非限定的作業例を示す。この非限定的実施例では、DNA足場は、複数の足場DNA分子を含み、複数の足場DNA分子は、DNAデンドリマーを形成する。DNAデンドリマーは、アダプターとも称される、多くの世代の分岐している構成繰り返し単位を含む。第1世代は、第2世代の上流に示される。第1世代のアダプターが下に示され、第2世代のアダプターは上に示されている。各アダプターは、互いにハイブリダイズした構成繰り返し単位であるオリゴデオキシリボヌクレオチドを含み、1つの上流オーバーハング及び2つの下流オーバーハングを含むアダプターを形成する。各世代のアダプターについて、3つのオリゴDNA分子は、示されるように互いにハイブリダイズし(ここでは、50nM NaCl中で90℃から20℃に冷却)、1つの上流オーバーハング及び2つの下流オーバーハングを有するアダプターを形成する。
【0129】
この例では、第1世代アダプターの上流オーバーハングは、捕捉部位として特定され、単一の鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合するための単一の鋳型部位を意味する。第1世代アダプター1の下流オーバーハングは、第2世代1’のアダプターの上流オーバーハングに相補的かつハイブリダイズ可能なヌクレオチド配列を有する。次いで、第1世代及び第2世代のアダプターを互いにハイブリダイズさせ、ワトソン-クリック塩基対合ハイブリダイゼーションによって、第2世代アダプター1’の上流オーバーハングを第1世代アダプター1の下流オーバーハングに付着させる。次いで、T4DNAリガーゼ、1mMATP、及び10mMMgCl2の存在下で、この例では10分間室温にて、配列を一緒にライゲーションする。続く世代を、図示されるようにこの構造に追加されてライゲーションでき、このとき、追加世代N’のアダプターの下流オーバーハングは、直前の世代N+1のアダプターの下流オーバーハングに相補的である。ある例では、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、又はそれ以上の世代が、デンドリマーDNA足場の一部として形成され得る。DNAデンドリマー足場のサイズ、例えば直径は、足場に含まれる世代の数を制御することによって部分的に制御され得、より少ない世代を含む足場に対してより多くの世代がより大きなナノ粒子に対応する。
【0130】
非限定的実施例では、第1世代アダプター(G1)は、以下のオリゴヌクレオチド配列(5プライムから3プライム)から合成され、
【0131】
G
1a及びG
1bの下線部分は、下流オーバーハングを表し、G
1cの下線部分は、上流オーバーハングを表す。そのような例では、G
1cの上流オーバーハングは、単一の鋳型ヌクレオチド部位を含み得る。例えば、鋳型ポリヌクレオチドは、その5プライム末端から、以下の配列(5プライムから3プライム)、すなわち、AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTCTTTCCCTACACGACGCTCTTCCGATCT(配列番号12)で延在し得る。この配列の5プライム末端を、G
1cの3プライムの上流オーバーハングにハイブリダイズし、
図2Bに示される非限定的な作業例に示される構造を形成した。
【0132】
第2世代アダプター(G2)の非限定的実施例は、以下のオリゴヌクレオチド配列(5プライムから3プライム)から合成され、
【0133】
G
2b及びG
2cの下線部分は、下流オーバーハングを表し、G
2aの下線部分は、上流オーバーハングを表す。このような例では、2つのG
2a配列のそれぞれのACTG上流オーバーハングは、G
1a及びG
1bの下流CATGオーバーハングとハイブリダイズし、
図2Cに示される非限定的な作業例に示される構造を形成した。
【0134】
第3世代アダプター(G3)の非限定的実施例は、以下のオリゴヌクレオチド配列(5プライムから3プライム)から合成され、
【0135】
G
3b及びG
3cの下線部分は、下流オーバーハングを表し、G
3aの下線部分は、上流オーバーハングを表す。これらのオリゴヌクレオチド配列を一緒にハイブリダイズして、
図2Dに示される非限定的な作業例に示される構造を形成した。2つのG
3a配列のそれぞれの上流ATCGオーバーハングは、G
2b及びG
2cの下流CGATオーバーハングとハイブリダイズした。
【0136】
第4世代アダプター(G4)の非限定的実施例は、以下のオリゴヌクレオチド配列(5プライムから3プライム)から合成され、
【0137】
G
4b及びG
4cの下線部分は、下流オーバーハングを表し、G
4aの下線部分は、上流オーバーハングを表す。これらのオリゴヌクレオチド配列を一緒にハイブリダイズして、
図2Eに示される非限定的な作業例に示される構造を形成した。このような例では、2つのG
4a配列のそれぞれの上流ATGCオーバーハングは、G
3B及びG
3Cの下流GCATオーバーハングとハイブリダイズした。
【0138】
第5世代アダプター(G5)の非限定的実施例は、以下のオリゴヌクレオチド配列(5プライムから3プライム)から合成され、
【0139】
G
5b及びG
5cの下線部分は、下流オーバーハングを表し、G
5aの下線部分は、上流オーバーハングを表す。これらのオリゴヌクレオチド配列を一緒にハイブリダイズして、
図2Fに示される非限定的な作業例に示される構造を形成した。このような例では、2つのG
5a配列のそれぞれの上流GCAAオーバーハングは、G
4b及びG
4cの下流TTGCオーバーハングとハイブリダイズした。この非限定的実施例では、G
5cの3プライム末端にフルオロフォア(ALEXA FLUOR 647(登録商標)、Thermo Fisher Scientific)を結合し、蛍光イメージングによるナノ粒子の視覚化を可能にした。
【0140】
別の実施例では、ポリヌクレオチド又は他のスペーサー(例えば、
【0141】
の非限定的実施例のヌクレオチド配列)を、フルオロフォアと上で示されるようなG
5cオリゴヌクレオチドの3プライム末端との間に含めることができる。
【0142】
6つ以上の世代を有するデンドロンについて、第5世代のアダプター(及び関連するその後の第3世代毎)は、オリゴヌクレオチドG5a、G2b、及びG2cを使用して合成することができ、2つの後続する世代のアダプターは、それぞれ、世代3及び4に関する配列を有するオリゴヌクレオチドで作製される。
【0143】
デンドリマーDNA足場は、所与の世代のアダプターの連続するアセンブリを行い、(第2以上の世代のアダプターについて)先行する世代にハイブリダイズし、オリゴヌクレオチドの末端を一緒に連結することによって、1つの世代から次へと構築されてもよく、このとき、1つの世代の上流アダプターと次の世代の下流アダプターとの間の境界で粘着性のある末端ハイブリダイゼーションによって末端が出会う。
【0144】
アダプター及びDNAデンドリマーを組み立てるための非限定的実施例は、以下の通りである。アダプターを作製するために、上記の非限定的実施例からアダプターの各世代の関連する配列を使用して、アダプターを組み立てるための3つのオリゴヌクレオチドを、200μmの濃度でアセンブリ緩衝液(10mM TRIS pH8.0、1mM EDTA、50mM NaCl)中に懸濁した。次いで、各溶液10μLを20μLのアセンブリ緩衝液と混合した。混合物を95℃で2分間変性し、65℃で2分間冷却し、次いで60度で6分間アニーリングした。0.1℃ずつ温度を低下させ(59.1℃で開始)で、1回毎に30秒にて、39回のアニーリングを続けた。
【0145】
第2世代のアダプターを第1世代に付着させるために、15μLの10×リガーゼ緩衝液を含むT4DNAリガーゼ(NEB M0202M)を含み、0.5μMの第1世代アダプター及び2μMの第2世代アダプターを含むアセンブリ緩衝液で150μLの総体積にして、150μLの溶液を作製した。次いで、100μLのこの反応物を450μLのアセンブリ緩衝液と混合し、次いで50kDaのMWCOフィルターに移した。次いで、試料を15,000×gで1分間遠心分離し、各遠心分離工程に400μLのアセンブリ緩衝液を追加して、濾過を10回繰り返した。新たな400μLのアセンブリ緩衝液を加えた後、新しいチューブ内に逆さまに配置し、5,000×gで3分間遠心分離することによって、デンドリマーをフィルターから溶出した。その後、アセンブリ緩衝液を加えることにより、体積を100μLにした。
【0146】
次いで、デンドリマーの第3世代のアダプターを、T4DNAリガーゼ及びリガーゼ緩衝液を含む、4μM対0.5μMの比率の溶液中の第1世代-第2世代デンドリマーに加え、アセンブリ緩衝液で約60μLの体積にした。第4世代のアダプターを、T4DNAリガーゼ及びリガーゼ緩衝液を含む、8μM対0.5μMの比率の溶液中の第1世代-第3世代デンドリマーに加え、アセンブリ緩衝液で約63μLの体積にした。第5世代のアダプターを、T4DNAリガーゼ及びリガーゼ緩衝液を含む、15μM対0.5μMの比率の溶液中の第1世代-第4世代デンドリマーに加え、アセンブリ緩衝液で約69μLの体積にした。第6世代のアダプターを、T4DNAリガーゼ及びリガーゼ緩衝液を含む、22.5μM対0.5μMの比率の溶液中の第1世代-第5世代デンドリマーに加え、アセンブリ緩衝液で約75μLの体積にした。第6世代のアダプターを、T4DNAリガーゼ及びリガーゼ緩衝液を含む、22.5μM対0.25μMの比率の溶液中の第1世代-第5世代デンドリマーに加え、アセンブリ緩衝液で約75μLの体積にした。
【0147】
ある例では、DNAデンドリマー足場のサイズは、それが含むアダプターの世代数の関数として決定され得る。例えば、2~9世代を有するデンドロンDNA足場を上記のように合成し、それらの直径をDLSによって測定した。結果を表2に示す。
【表2】
【0148】
図3は、ssDNA足場の非限定的実施例を示す。この非限定的実施例では、ssDNA足場を合成する異なる方法が示されている。単一の鋳型部位がssDNA足場の末端に存在する。4つの頂点を持つ星は、足場上のアクセサリー部位を示す。P5及びP7は、アクセサリーオリゴヌクレオチドを表し、5つの頂点を持つ星は、アクセサリー部位に相補的な部分又は構造を表す。左上に示されている実施例では、環状DNA鋳型が、ローリングサークル増幅プロセスにおいて、DNAポリメラーゼによるssDNA分子の合成のための鋳型として使用される。例えば、鎖置換DNAポリメラーゼ(例えば、Phi29)による鎖の複製は、環状コード鎖のコピーされた鎖のコンカテマー化コピーを含むssDNA分子を生成することができる。ssDNA足場のサイズは、環状鋳型のサイズ及びローリングサークル増幅プロセスの時間を制御することによって部分的に決定することができる(ローリングサークル増幅プロセス中の重合時間が長いと、より長いssDNA足場をもたらす)。
【0149】
上部中央に示される別の非限定的実施例は、鋳型非依存性ポリメラーゼ(例えば、末端デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ、又はTdT)の使用によるssDNA鋳型の合成を含む。TdTなどの鋳型非依存性ポリメラーゼは、鋳型を必要又はコピーすることなく、一本鎖DNA鎖の3プライム-ヒドロキシル末端にデオキシヌクレオチドを組み込む。鋳型非依存性ポリメラーゼの使用によって合成されたssDNAのサイズは、足場が合成される重合プロセスの時間を変更することによって制御され得る。
【0150】
ssDNA足場を合成するための方法の別の非限定的実施例を右上に示す。この実施例では、いくつかの一本鎖DNA分子が、何らかの所望の方法によって合成される。ある実施例では、ssDNA分子は、ランオフ重合プロセスで合成され、ポリメラーゼは、直鎖状コード鎖の末端に達するまで、それに相補的な新生鎖を合成する線状化プラスミドからのコード鎖に沿って進行する。末端に到達すると、ポリメラーゼはコード鎖の末端から流れ、ssDNA分子の合成が完了する。複数のssDNA生成物を合成し、次いで、複数の各々を含む単一のssDNA足場の形成のために末端間をライゲーションすることができる。ある実施例では、示されるように、1つのssDNA生成物の別のものへのライゲーションは、スプリントの助けを借りて達成され得る。例えば、短いオリゴDNAは、3プライム末端が1つのssDNA生成物の5プライム末端に相補的であり、5プライム末端が別のssDNA生成物の3プライム末端に相補的であるように設計されてもよく、その結果、2つのssDNA生成物へのDNA-オリゴのハイブリダイゼーションは、それらが出会い、DNA-オリゴにハイブリダイズする、ニックが付いた二本鎖構造において他方の3プライム末端と一緒になった5プライム末端をもたらす。続いてDNAリガーゼ(例えば、T4)を用いて、2つの末端を一緒に酵素的にライゲーションし、2つから単一のssDNA分子を形成することができる。所望され得るようにssDNA足場を構築するため、追加の反応が、そのような第1の反応の生成物の一方又は両方の末端の、別のssDNA生成物などへのスプリントによるライゲーションのためのDNAオリゴと共に含まれ得る。このようにして作製されたssDNAのサイズは、ssDNA足場を形成するために一緒に連結されるssDNA分子の数及びサイズを制御することによって制御され得る。これらの実施例は網羅的ではない。これらはまた、ssDNA足場の合成において2つ以上又は3つ全てを一緒に使用することができるため、相互排他的ではない。
【0151】
この非限定的実施例では、アクセサリーオリゴヌクレオチドは、ssDNA足場に結合して示されている。アクセサリーオリゴDNAは、本明細書に開示されることを行うための様々な方法のいずれかによってアクセサリー部位に結合し得る。次いで、非共有結合性ワトソン-クリック塩基対合ハイブリダイゼーションによって足場の相補的な3プライム末端で単一の鋳型部位に結合している、鋳型の5プライム末端が示される。次いで、クラスタリングプロセスが足場上で行われる。ssDNA足場にハイブリダイズしない鋳型ポリヌクレオチドの部分の末端は、P5及びP7アクセサリーオリゴヌクレオチドに対応するか、又はそれに相補的な配列を含む。複数の重合プロセスに続いて、鋳型ポリヌクレオチドに対する足場に結合した相補体及び鋳型ポリヌクレオチドの足場に結合したコピーが見られ、P5及びP7アクセサリーオリゴヌクレオチドの5プライム末端から伸長している。この実施例では、第1の重合は、鋳型ポリヌクレオチドの5プライム末端を足場の3プライム末端にハイブリダイズさせないことができなかった。したがって、ssDNA足場のハイブリダイズ末端に相補的な鋳型ポリヌクレオチドの5プライム末端の部分に相補的な配列は、合成された鋳型ポリヌクレオチドに対する足場に付着した相補体には含まれなかった。
【0152】
そして、鋳型ポリヌクレオチド又はアクセサリーオリゴヌクレオチドなどのアクセサリーを、本明細書に開示されるようなDNA足場に結合するための上記の部分又は構造は、鋳型ポリヌクレオチド又はアクセサリーを足場に結合するために使用され得る。いくつかの実施例では、アジド基、アルキン基、シクロオクチン基、ビオチン基、又はチオール基を含むそのような部分又は構造を有し、新生DNA鎖に組み込むことができる市販のヌクレオチドは、DNA足場に含まれ得る。例えば、DNA足場が合成されるポリメラーゼ反応において、修飾ヌクレオチドは、非修飾ヌクレオチドが存在する濃度に対して選択された濃度で重合反応内に播種され得る。そのような濃度に応じて、DNA足場に組み込まれたヌクレオチドの特定の割合が修飾ヌクレオチドになる。相補的な部分又は構造を有する組成物によってDNA足場に結合するための2種類以上の部分又は構造を含めるために、2種類以上の修飾ヌクレオチドが反応内に播種され得る。修飾ヌクレオチド、つまり、足場とアクセサリー又は鋳型ポリヌクレオチドとの間の結合について本明細書に開示されるような部分又は構造を追加するため更に修飾されることができる修飾ヌクレオチドをDNA足場に組み込むことによって、単一の鋳型部位及びアクセサリー部位がDNA足場に含まれ得る。
【0153】
ある実施例では、ヌクレオチドは、それが連結されるポリヌクレオチドのヌクレオチドなどの別のヌクレオチドに対するポリエチレングリコール又は他のリンカーなどのリンカーを含むように、修飾され得る。別の実施例では、ヌクレオチドは、それが連結されるポリペプチドのアミノ酸に対するポリエチレングリコール又は他のリンカーなどのリンカーを含むように、修飾され得る。そのようなポリヌクレオチドに対する連結部又はポリペプチドに対する連結部は、例えば本明細書に開示される非共有結合の例によって、鋳型ポリヌクレオチド又はアクセサリーの結合部位であり得る。
【0154】
図4は、ポリペプチド足場の非限定的作業例の図を示す。この実施例では、
図4に示すアミノ酸配列及び立体構造を有する緑色蛍光タンパク質(GFP)を使用した。GFPは、3つのシステイン残基を含有する。GFPが、
図4に示される三次元構造を取る場合、
図4に示される配列においてC137として示されるシステインのうちの1つのみが、
図4に示されるように分子から外向きに露出される。C125及びC195のシステイン残基は、GFPの三次元立体構造内に埋め込まれ、図示のように構造の外側に露出されず、したがって結合形成に利用できない場合がある。単一のシステイン残基のみが結合形成に利用可能である場合(例えば、
図4に示される構造の外向きのC137)、チオール基は、GFPタンパク質足場の単一の鋳型ポリヌクレオチド部位として機能し得る。
【0155】
他の2つの実施例では、C125及びC195を、標準的な組換え方法によって、ある実施例では両方をアラニンに、別の実施例では両方をバリンに変異させ、C137において、単一のチオール部位のみを足場鋳型ヌクレオチド結合部位として残した。そのチオール基を有するそのような単一のシステイン残基は、GFPタンパク質足場がそのうちの1つのみを有し、他のチオール基を欠いているため、単一の鋳型ヌクレオチド部位であり得、相補的な部分又は構造としてそのようなチオール基と結合を形成することができる、いくらか可能性がある部分又は構造が、鋳型ポリヌクレオチドに結合するために使用され得る。GFPタンパク質足場はまた、多数のリジン残基(例えば、
図4に示される配列に示されるように19ヶ所)を含み得る。リジン残基は、それらの側鎖のアミン基を含む。したがって、GFP足場内のリジン残基のアミン基は、アクセサリー部位として機能し、そのようなアミン基に結合できる部分又は構造を含有するオリゴDNA分子、又はポリマーなどのアクセサリーは、リジンアミン基アクセサリー部位に結合するためにそのようなアクセサリー上に存在し得る。
【0156】
別の実施例では、GFPなどのポリペプチド足場のアミン基は、他の付着部位に効果的に変換され得る。ある実施例では、PEG24配列によって分離された、一方の末端にNHS-エステル及び他方のアジド基を有する二官能性リンカーは、GFPポリペプチド足場のアミン部位に付着した。GFPポリペプチド足場のアミン基と結合した二官能性リンカーのNHS-エステル末端は、アジド基を露出させて、アクセサリー結合部位として利用可能なままである。追加により、ゲル電気泳動によって測定されるとき、GFPポリペプチド足場に約20kDaのサイズの増加をもたらし、これは、1つを19個のリジン残基のアミン基の各々に、1つをGFPポリタンパク質足場のN末端に、20個の二官能性リンカー(各々がサイズが1157Daである)の追加と一致する。他の実施例では、異なる二官能性リンカーを使用して、異なる部分又は構造で、チオール部位を効果的に置き換えるか、又はアミン基若しくはチオール基を効果的に置き換えることができた。
【0157】
図5は、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合するための異なる方法の図である。上部では、単一の鋳型ポリヌクレオチド部位を有する足場が示されている。左側では、鋳型部位プライマーが単一の鋳型ポリヌクレオチド部位に含まれ、その末端が鋳型ポリヌクレオチドの末端に相補的であり、ワトソン-クリック塩基対合ハイブリダイゼーションによる鋳型ポリヌクレオチドの足場への非共有結合を可能にする。中央では、鋳型ポリヌクレオチド及び単一の鋳型ポリヌクレオチド部位は、鋳型ポリヌクレオチドと足場との間に形成される共有結合の形成をもたらす、それぞれ相補的な部分又は構造を有する。右側では、ポリペプチドが単一の鋳型部位に含まれ、それに相補的なポリペプチドは、鋳型ポリヌクレオチドの末端に付着する。単一の鋳型部位と鋳型ポリヌクレオチドとのポリペプチド間の非共有結合は、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合させる。
【0158】
図6は、鋳型ポリヌクレオチドが足場の単一の鋳型部位から延びるプライマーへのハイブリダイゼーションによってタンパク質足場に結合し、次いでプライマーがポリメラーゼによって伸長され鋳型ポリヌクレオチドに対する足場に結合した相補体を形成した、非限定的実施例を示す。マレイミド部分は、P5オリゴヌクレオチドの5プライム末端に付着した。P5オリゴヌクレオチドは、オリゴのマレイミド基とGFP足場のアクセス可能なシステイン残基のチオール基との間のチオール-マレイミド結合によって、GFPポリペプチド足場の単一のアクセス可能な鋳型部位に付着した。左側のポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)ブロット中の矢印(タグ付け)によって示される移動バンドは、足場とP5オリゴヌクレオチドとの間のチオール-マレイミド結合を示す。3プライム末端がP5オリゴヌクレオチドに相補的である鋳型ポリヌクレオチドは、P5オリゴヌクレオチドへの非共有結合ハイブリダイゼーションによって足場に結合した。次いで、重合反応を実施して、鋳型ポリヌクレオチドに対する足場に付着した相補体を形成するため、足場に結合したものを形成した。
【0159】
右側のPAGEブロットは、3つの異なる条件下で実行した重合反応の結果を示す。条件Aでは、P5オリゴヌクレオチドは、チオール-マレイミド結合によって足場に結合した。カラムAの矢印で示されるバンド(第1の鎖)は、鋳型ポリヌクレオチドに対する足場に付着した相補体が、重合中に足場上に形成されたことを示す。カラムBでは、P5オリゴヌクレオチドの伸長は、P5オリゴヌクレオチドの3プライムヌクレオチド上の遮断位置にCy5フルオロフォアを付着させることによって阻止され、ポリメラーゼによって伸長されることを阻止した。カラムBの矢印は、鋳型ポリヌクレオチドに対する足場ベースの相補体が形成されなかったことを示し、カラムAに示される陽性の結果を確認した。カラムCでは、Cy5は、延長を遮断せずにヘキサチミジン(T6)を介してP5オリゴヌクレオチドに結合した。カラムAの矢印と一致するカラムCの矢印は、鋳型ポリヌクレオチドに対する足場に付着した相補体が形成され、カラムBにおいてそれがないことは、単にCy5の存在による偽陰性の結果ではなかったことを再び確認する。
【0160】
図7は、タンパク質のN-末端に特異的な(PLP)媒介アミノ基転移を含む生体共役反応の非限定的実施例を示す。この反応は、N-末端アミンをケトン又はアルデヒドに酸化し、次いで、アルコキシアミンと安定なオキシム結合を形成する。
【0161】
図8は、本明細書に示されるように、又は単一の鋳型部位のために、足場のアクセサリー部位への結合のための天然アミノ酸によって形成できる結合の非限定的実施例を示す。例としては、システイン残基へのチオール-マレイミド結合、リジン残基でのアミン-NHS結合、トリプトファン残基へのロジウムカルベノイド結合、アルギニン残基へのα、ベータ-ジカルボニル結合、オキシム結合形成が続くタンパク質N末端のPLP媒介アミノ基転移が挙げられる。右側には、修飾された非天然のアミノ酸残基におけるタンパク質の部位特異的修飾の例が示されている。1つの例は、ヒドロキシアミンと反応してオキシムを形成する非天然ケトンアミノ酸を示す。第2の反応は、テトラジンと反応する非天然ノルボルネン(又は他の歪みを有するアルケン/アルキン)を示す。
【0162】
図9は、PX(GFP-オリゴコンジュゲート)によって表される鋳型部位プライマーへのハイブリダイゼーションによって、タンパク質足場の単一の鋳型部位に結合した鋳型ポリヌクレオチドの例を示す。ライブラリの鋳型ポリヌクレオチドの2つの例が示されており、1つは、P5及びP7配列、3プライム末端でPX鋳型部位プライマー(PX’と表示)に相補的な領域を有する標準的なライブラリ分子であり、又はPX’配列がPEGリンカーによってP5配列から分離されている変更バージョンである。エーテル鎖は、足場の単一の鋳型部位に結合する。標準ライブラリ配列は、第1の鎖延長重合反応で使用することができ、PXプライマーは、鋳型ポリヌクレオチドに相補的な新生鎖を重合するための開始プライマーとして機能する。
【0163】
図10は、非共有結合、具体的にはコイルドコイルペプチド非共有結合の例を示す(この例では、K
Dはピコモル範囲、<1×10
-10M)。コイルドコイル付着物の2つの相補的結合パートナーを形成するαヘリックスポリペプチド構造の2つのアミノ酸配列が示されている。このような配列の一方を、
図10に示されるポリヌクレオチド足場などの足場(GFP-ペプチド融合)へ、他方を鋳型ポリヌクレオチド(ペプチドオリゴコンジュゲート)へ、又はライブラリ鋳型ポリヌクレオチドへ付着させることによって、鋳型ポリヌクレオチドは、αヘリックス間の非共有結合を介して足場に結合され得る。別の例では、足場に付着したものに相補的なαヘリックス配列のうちの1つは、アクセサリーオリゴヌクレオチドをアクセサリー部位に付着させるためのアクセサリーオリゴヌクレオチドなどのアクセサリーに付着させることができる。
【0164】
図11は、活性化NHS-エステルを使用したポリペプチド足場のリジン側鎖の選択的生体共役反応を示す。リジンをジベンゾシクロオクチン(DBCO)に結合させた。DBCOのアルキン部分は、その後、歪みにより促進される[3+2]環化付加クリック反応を介してアジド含有分子に付加され得る。続いてDBCOモチーフに付加され得る分子は、非限定的実施例として、オリゴヌクレオチド及びポリマーを含む。GFPポリペプチド足場は、DBCOで容易に標識され、DBCOで標識された足場の混合物を生成した。未標識GFPは、反応生成物のSDS PAGEゲル分析によって検出された(図示せず)。
【0165】
図12は、フローセルのウェルの表面に付着した単一の鋳型ポリヌクレオチドを有する足場の非限定的実施例の例示的な図を示す。この非限定的実施例では、足場はDNAデンドリマーである。単一の鋳型部位は、第1世代アダプターの上流オーバーハングから延在し、アダプター部位は、アダプターの最後の世代の下流オーバーハングから延在する。
図13は、所与のナノウェル表面積(SA)又は直径(D)のナノウェル(デンドリマー/ナノウェル)に存在し得る所与のサイズの足場の試験数の非限定的実施例のグラフ(播種イベント対ナノウェル表面積)を示す。直径約100nmのDNAデンドリマーナノ粒子を、185、285、又は375nmの直径のナノウェルに播種し、ナノウェル当たりのデンドリマーの数を測定した。結果の最良の適合曲線から外挿すると(y=3E-0.5x-3.4874、R
2=0.9991)、この実施例において、約100nmの直径を有するナノ粒子及び直径約100nmのナノウェルを使用することにより、ナノウェルの単一ナノ粒子播種がもたらされることを示す。
【0166】
図14A~
図14Dは、本開示の態様による、DNA足場を使用して鋳型ポリヌクレオチドを基材に播種する例を示す。
図14Aは、本開示によるDNAデンドリマーを含む足場DNA分子の描写を示す。足場は、50nm~150nmの直径を有した。足場は、鋳型ポリヌクレオチドを結合するための単一の鋳型部位(Pa)と、複数のアクセサリー部位(cPX)とを含む。
図14Bは、鋳型ポリヌクレオチド及びその相補体を示し、プライマー配列が各末端に追加されている(P5/cP5及びP7/cP7)。鋳型ポリヌクレオチドのP5-プライマー末端は、PEGリンカーによってプライマー(cPa)に連結される。cPaプライマーは、
図14Aに示される足場DNA分子の単一の鋳型部位(Pa)に相補的である。
図14Cは、cPaプライマーを介して、鋳型ポリヌクレオチド及び
図4Bに示されるその相補体に、その単一の鋳型部位(Pa)を介してハイブリダイズした
図14Aに示される足場DNA分子の図である。足場は、基材に付着している。基材は、足場のアクセサリー部位(cPX)に相補的であるプライマー(PX)に付着している。基材はまた、鋳型末端のハイブリダイゼーションを可能にするプライマーにも付着して、基材上でのクラスタリングを可能にする。
【0167】
図14Dは、単一の鋳型部位を有する足場を使用して基材に鋳型ポリヌクレオチドを播種し、続いてクラスタリングする前述の例による実施例を示す。足場は、本開示及び
図14A~
図14Cによる鋳型ポリヌクレオチドに付着した。デンドリマー足場を、示されているモル比率で鋳型ポリヌクレオチド(ライブラリ)と組み合わせ、基材(播種用のナノウェルを有するフローセル)に播種し、次いで、リコンビナーゼ駆動クラスター増幅プロセス(ExAmpクラスター増幅)に従ってクラスタリングを行った。陰性対照は、鋳型を含まない足場及び足場を含まない鋳型を含む。陽性対照(+対照)として、足場を介さずに基材に付着したプライマーへの鋳型分子のハイブリダイゼーション後の、基材上でのクラスタリングを使用して、デンドロンを用いずに基材上でのクラスタリングを行った。
【0168】
左図は、上記条件(2つの陰性対照、様々な足場:鋳型モル比の5つの条件、及び1つの陽性対照)に従うクラスタリングプロセス後のフローセルの図である。陰性対照を除く全ての条件での蛍光は、単一の鋳型結合部位を有する足場が、鋳型ポリヌクレオチドを有する基材に播種でき、クラスタリングプロセスを支持できることを示す。棒グラフは、8つの条件のクラスタリング結果の定量的測定値である。上のグラフでは、クラスターサイズ又は収率の間接的な尺度として、C1強度はサイクル1の強度である(強度はクラスターサイズ又は収率に正比例する)。下のグラフでは、%PFは、閾値フィルターを通過するナノウェルの割合であるフィルター通過%であり、中に形成されたクラスターの純度を示し、すなわち、単クローン性クラスターでのナノウェルの数に正比例する。
【0169】
本明細書でより詳細に考察される、前述の概念及び更なる概念の全ての組み合わせが、(かかる概念が相互に矛盾しなければ)本明細書に開示される発明の主題の一部であると企図されることを理解されたい。具体的には、本開示の終わりに現れる特許請求される主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示される発明の主題の一部であると企図され、本明細書に記載される便益及び利点を達成するために使用され得る。
【配列表】
【国際調査報告】