(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】鋳型ポリヌクレオチド結合のための単一部位を有するナノ粒子
(51)【国際特許分類】
C12N 15/09 20060101AFI20230227BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20230227BHJP
【FI】
C12N15/09 Z
C12Q1/6869 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021577118
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(85)【翻訳文提出日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 US2020066549
(87)【国際公開番号】W WO2021133770
(87)【国際公開日】2021-07-01
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500358711
【氏名又は名称】イルミナ インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】502279294
【氏名又は名称】イルミナ ケンブリッジ リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】520512579
【氏名又は名称】イルミナ・シンガポール・プライベイト・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Illumina Singapore Pte Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,シャンユエン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ,ウェイン エヌ
(72)【発明者】
【氏名】ガッティ ラフランコーニ,ピエトロ
(72)【発明者】
【氏名】テオ,イン ナー
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,アンドリュー エイ
(72)【発明者】
【氏名】バシガルポ, マリア ロヘルト
(72)【発明者】
【氏名】ブラスタッド,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ボーラ,ハッサン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,クリフォード
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QR32
4B063QS34
4B063QS39
(57)【要約】
足場と、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合させるための単一の鋳型部位と、アクセサリーオリゴヌクレオチドを足場に結合させるための複数のアクセサリー部位と、を含み、足場は、非対称のアクリルアミドポリマー足場又はリシル構成繰り返し単位を含むデンドリマーから選択され、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合させるための単一の鋳型部位は、共有結合性鋳型結合部位及び非共有結合性鋳型結合部位から選択され、アクセサリーオリゴヌクレオチドを足場に結合させるための複数のアクセサリー部位は、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位及び非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位から選択される、ナノ粒子が提供される。ナノ粒子の使用法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子であって、
足場と、共有結合性鋳型結合部位及び非共有結合性鋳型結合部位から選択される、鋳型ポリヌクレオチドを前記足場に結合させるための単一の鋳型部位と、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位及び非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位から選択される、アクセサリーオリゴヌクレオチドを前記足場に結合させるための複数のアクセサリー部位と、を含み、
前記足場は、式I:
【化1】
の化合物であり、各Xは、式II:
【化2】
の化合物であり、式中、R
2は、式IIIa:
【化3】
から選択され、式中、R
5は、
【化4】
から選択され、xは1~20,000の範囲の整数であり、yは1~100,000の範囲の整数であり、x:yの比率は、およそ10:90~およそ1:99であり得、各R
zは、独立してH又はC
1~4アルキル、及び式IIIb:
【化5】
であり、式中、R
5は、
【化6】
から選択され、yは1~2,000の範囲の整数であり、x及びzは、合計が1~10,000の範囲であり、(x:y):zの比率は、およそ(85):15~およそ(95):5であり得、各R
zは、独立して水素又は(C
1~4)アルキルであり、
R
1は、鋳型ポリヌクレオチドを前記足場に結合させるための前記単一の鋳型部位を含み、R
4は、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルキル、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルケニル、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルキニル、任意選択的に置換されたC
1~C
20オキサアルキル、任意選択的に置換されたC
1~C
20チアアルキル、及び任意選択的に置換されたC
1~C
20アザアルキルから選択され、置換体は、C
1~C
20アルキル、二重結合酸素、及びヒドロキシル基のうちの1つ以上との置換を含み、R
3は、アクセサリーオリゴヌクレオチドを結合させるためのアクセサリー部位を含む、ナノ粒子。
【請求項2】
前記単一の鋳型部位は、共有結合性鋳型結合部位を含む、請求項1に記載のナノ粒子。
【請求項3】
前記共有結合性鋳型結合部位は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、アルデヒド-NHSエステル結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O
6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O
2-ベンジルシトシン結合部位、及びソルターゼカップリング結合部位から選択される、請求項2に記載のナノ粒子。
【請求項4】
前記単一の鋳型部位は、非共有結合性鋳型結合部位を含む、請求項1のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項5】
前記非共有結合性鋳型結合部位は、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む、請求項4に記載のナノ粒子。
【請求項6】
前記非共有結合性鋳型結合部位は、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、前記非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位から選択される、請求項4に記載のナノ粒子。
【請求項7】
アクセサリーオリゴヌクレオチドを前記足場に結合させるための前記複数のアクセサリー部位は、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項8】
前記共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O
6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O
2-ベンジルシトシン結合部位、ソルターゼカップリング結合部位、及び前述の2つ以上の任意の組み合わせから選択される、請求項7に記載のナノ粒子。
【請求項9】
前記アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項10】
前記非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む、請求項9に記載のナノ粒子。
【請求項11】
前記非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、前記非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位の一方又は両方から選択される、請求項9に記載のナノ粒子。
【請求項12】
前記単一の鋳型部位に結合した単一の鋳型ポリヌクレオチドを更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項13】
前記複数のアクセサリー部位に結合した複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドを更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項14】
前記ナノ粒子は、少なくとも直径約10nmである、請求項1~13のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項15】
単一の鋳型ポリヌクレオチドを、請求項1~14のいずれか一項に記載の前記ナノ粒子の前記単一の鋳型部位に結合させることを含む、方法。
【請求項16】
複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドを、請求項1~15のいずれか一項に記載の前記ナノ粒子の前記複数のアクセサリー部位に結合させることを含む、方法。
【請求項17】
前記鋳型ポリヌクレオチドのコピー、前記鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及び両方のコピーから選択される、1つ以上の足場に結合したコピーを合成することを更に含み、前記足場に結合したコピーは、前記アクセサリーオリゴヌクレオチドから延在する、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記足場を基材に結合させることを更に含み、前記結合させることは、アクセサリーオリゴヌクレオチドを、前記基材に結合したオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることを含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記基材は複数のナノウェルを含み、前記基材に結合した前記オリゴヌクレオチドは、前記複数のナノウェル内で結合している、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ただ1つの足場が前記ナノウェルのいずれか1つのナノウェル内で結合する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記鋳型ポリヌクレオチドのコピー、前記鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及び両方のコピーから選択される、1つ以上の基材に結合したコピーを合成することを更に含み、前記基材に結合したコピーは、基材に結合したアクセサリーオリゴヌクレオチドから延在する、請求項18~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
足場に結合したコピー及び基材に結合したコピーのうちの少なくとも1つをシーケンシングすることを更に含み、前記シーケンシングすることは、合成時解読を含む、請求項17又は21に記載の方法。
【請求項23】
ナノ粒子であって、
足場と、共有結合性鋳型結合部位及び非共有結合性鋳型結合部位から選択される、鋳型ポリヌクレオチドを前記足場に結合させるための単一の鋳型部位と、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位及び非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位から選択される、アクセサリーオリゴヌクレオチドを前記足場に結合させるための複数のアクセサリー部位と、を含み、
前記足場はデンドリマーを含み、前記デンドリマーは2~10世代の構成繰り返し単位を含み、前記構成繰り返し単位はリジンを含み、上流世代のリジンは、直下流の世代の第1のリジンとのペプチド結合及び前記直下流の世代の第2のリジンとのイソペプチド結合を形成し、
前記単一の鋳型部位は、前記第1世代の前記デンドリマーの前記リジンのC末端から延在し、前記複数のアクセサリー部位は、最終世代の前記デンドリマーのリジンのNH
2基から延在する、ナノ粒子。
【請求項24】
前記単一の鋳型部位は、共有結合性鋳型結合部位を含む、請求項23に記載のナノ粒子。
【請求項25】
前記共有結合性鋳型結合部位は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O
6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O
2-ベンジルシトシン結合部位、及びソルターゼカップリング結合部位から選択される、請求項24に記載のナノ粒子。
【請求項26】
前記単一の鋳型部位は、非共有結合性鋳型結合部位を含む、請求項23のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項27】
前記非共有結合性鋳型結合部位は、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む、請求項26に記載のナノ粒子。
【請求項28】
前記非共有結合性鋳型結合部位は、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、前記非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位から選択される、請求項28に記載のナノ粒子。
【請求項29】
アクセサリーオリゴヌクレオチドを前記足場に結合させるための前記複数のアクセサリー部位は、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む、請求項23~28のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項30】
前記共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O
6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O
2-ベンジルシトシン結合部位、ソルターゼカップリング結合部位、及び前述の2つ以上の任意の組み合わせから選択される、請求項29に記載のナノ粒子。
【請求項31】
前記アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む、請求項23~28のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項32】
前記非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む、請求項31に記載のナノ粒子。
【請求項33】
前記非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、前記非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位の一方又は両方から選択される、請求項31に記載のナノ粒子。
【請求項34】
前記単一の鋳型部位に結合した単一の鋳型ポリヌクレオチドを更に含む、請求項23~33のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項35】
前記複数のアクセサリー部位に結合した複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドを更に含む、請求項23~34のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項36】
前記ナノ粒子は、少なくとも直径約10nmである、請求項23~35のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項37】
単一の鋳型ポリヌクレオチドを、請求項23~36のいずれか一項に記載の前記ナノ粒子の前記単一の鋳型部位に結合させることを含む、方法。
【請求項38】
複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドを、請求項23~37のいずれか一項に記載の前記ナノ粒子の前記複数のアクセサリー部位に結合させることを含む、方法。
【請求項39】
前記鋳型ポリヌクレオチドのコピー、前記鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及び両方のコピーから選択される、1つ以上の足場に結合したコピーを合成することを更に含み、前記足場に結合したコピーは、前記アクセサリーオリゴヌクレオチドから延在する、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
前記足場を基材に結合させることを更に含み、前記結合させることは、アクセサリーオリゴヌクレオチドを、前記基材に結合したオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることを含む、請求項37~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記基材は複数のナノウェルを含み、前記基材に結合した前記オリゴヌクレオチドは、前記複数のナノウェル内で結合している、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
ただ1つの足場が前記ナノウェルのいずれか1つのナノウェル内で結合する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記鋳型ポリヌクレオチドのコピー、前記鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及び両方のコピーから選択される、1つ以上の基材に結合したコピーを合成することを更に含み、前記基材に結合したコピーは、基材に結合したアクセサリーオリゴヌクレオチドから延在する、請求項40~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
足場に結合したコピー及び基材に結合したコピーのうちの少なくとも1つをシーケンシングすることを更に含み、前記シーケンシングすることは、合成時解読を含む、請求項39又は43に記載の方法。
【請求項45】
ナノ粒子であって、
足場と、共有結合性鋳型結合部位及び非共有結合性鋳型結合部位から選択される、鋳型ポリヌクレオチドを前記足場に結合させるための単一の鋳型部位と、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位及び非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位から選択される、アクセサリーオリゴヌクレオチドを前記足場に結合させるための複数のアクセサリー部位と、を含み、
前記足場は、式IV:
【化7】
の化合物であり、各Xは、式V:
【化8】
の化合物であり、式中、R
2は、式VIa:
【化9】
式VIb:
【化10】
から選択され、式中、pは1~20から選択される整数であり、R
5は、アクセサリーオリゴヌクレオチドを結合するための前記アクセサリー部位を含み、R
3は、直接結合、
【化11】
から選択され、mは1~20,000の整数であり、nは1~100,000の整数であり、
R
1は、鋳型ポリヌクレオチドを前記足場に結合させるための前記単一の鋳型部位を含み、R
4は、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルキル、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルケニル、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルキニル、任意選択的に置換されたC
1~C
20オキサアルキル、任意選択的に置換されたC
1~C
20チアアルキル、及び任意選択的に置換されたC
1~C
20アザアルキルから選択され、置換体は、C
1~C
20アルキル、二重結合酸素、及びヒドロキシル基のうちの1つ以上との置換を含み、R
3は、アクセサリーオリゴヌクレオチドを結合させるためのアクセサリー部位を含む、ナノ粒子。
【請求項46】
前記単一の鋳型部位は、共有結合性鋳型結合部位を含む、請求項45に記載のナノ粒子。
【請求項47】
前記共有結合性鋳型結合部位は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O
6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O
2-ベンジルシトシン結合部位、及びソルターゼカップリング結合部位から選択される、請求項46に記載のナノ粒子。
【請求項48】
前記単一の鋳型部位は、非共有結合性鋳型結合部位を含む、請求項45のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項49】
前記非共有結合性鋳型結合部位は、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む、請求項48に記載のナノ粒子。
【請求項50】
前記非共有結合性鋳型結合部位は、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、前記非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位の一方又は両方から選択される、請求項48に記載のナノ粒子。
【請求項51】
アクセサリーオリゴヌクレオチドを前記足場に結合させるための前記複数のアクセサリー部位は、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む、請求項45~50のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項52】
前記共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O
6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O
2-ベンジルシトシン結合部位、ソルターゼカップリング結合部位、及び前述の2つ以上の任意の組み合わせから選択される、請求項51に記載のナノ粒子。
【請求項53】
前記アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む、請求項45~50のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項54】
前記非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む、請求項53に記載のナノ粒子。
【請求項55】
前記非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、前記非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位の一方又は両方から選択される、請求項53に記載のナノ粒子。
【請求項56】
前記単一の鋳型部位に結合した単一の鋳型ポリヌクレオチドを更に含む、請求項45~55のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項57】
前記複数のアクセサリー部位に結合した複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドを更に含む、請求項45~56のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項58】
前記ナノ粒子は、少なくとも直径約10nmである、請求項45~57のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項59】
単一の鋳型ポリヌクレオチドを、請求項45~58のいずれか一項に記載の前記ナノ粒子の前記単一の鋳型部位に結合させることを含む、方法。
【請求項60】
複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドを、請求項45~59のいずれか一項に記載の前記ナノ粒子の前記複数のアクセサリー部位に結合させることを含む、方法。
【請求項61】
前記鋳型ポリヌクレオチドのコピー、前記鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及び両方のコピーから選択される、1つ以上の足場に結合したコピーを合成することを更に含み、前記足場に結合したコピーは、前記アクセサリーオリゴヌクレオチドから延在する、請求項59又は60に記載の方法。
【請求項62】
前記足場を基材に結合させることを更に含み、前記結合させることは、アクセサリーオリゴヌクレオチドを、前記基材に結合したオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることを含む、請求項59~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記基材は複数のナノウェルを含み、前記基材に結合した前記オリゴヌクレオチドは、前記複数のナノウェル内で結合している、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
ただ1つの足場が前記ナノウェルのいずれか1つのナノウェル内で結合する、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記鋳型ポリヌクレオチドのコピー、前記鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及び両方のコピーから選択される、1つ以上の基材に結合したコピーを合成することを更に含み、前記基材に結合したコピーは、基材に結合したアクセサリーオリゴヌクレオチドから延在する、請求項62~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
足場に結合したコピー及び基材に結合したコピーのうちの少なくとも1つをシーケンシングすることを更に含み、前記シーケンシングすることは、合成時解読を含む、請求項61又は65に記載の方法。
【請求項67】
ナノ粒子であって、
足場と、共有結合性鋳型結合部位及び非共有結合性鋳型結合部位から選択される、鋳型ポリヌクレオチドを前記足場に結合させるための単一の鋳型部位と、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位及び非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位から選択される、アクセサリーオリゴヌクレオチドを前記足場に結合させるための複数のアクセサリー部位と、を含み、
前記足場は、式VII:
【化12】
の化合物であり、各Xは、VIII:
【化13】
の化合物であり、式中、yは1~20の整数であり、R
2は、式IXa:
【化14】
式IXb:
【化15】
から選択され、式中、pは1~20から選択される整数であり、R
5は、アクセサリーオリゴヌクレオチドを結合させるための前記アクセサリー部位を含み、R
3は、直接結合、
【化16】
から選択され、mは1~2,000の整数であり、nは1~10,000の整数であり、
R
1は、鋳型ポリヌクレオチドを前記足場に結合させるための前記単一の鋳型部位を含み、R
4は、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルキル、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルケニル、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルキニル、任意選択的に置換されたC
1~C
20オキサアルキル、任意選択的に置換されたC
1~C
20チアアルキル、及び任意選択的に置換されたC
1~C
20アザアルキルから選択され、置換体は、C
1~C
20アルキル、二重結合酸素、及びヒドロキシル基のうちの1つ以上との置換を含み、R
3は、アクセサリーオリゴヌクレオチドを結合させるためのアクセサリー部位を含む、ナノ粒子。
【請求項68】
前記単一の鋳型部位は、共有結合性鋳型結合部位を含む、請求項67に記載のナノ粒子。
【請求項69】
前記共有結合性鋳型結合部位は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O
6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O
2-ベンジルシトシン結合部位、及びソルターゼカップリング結合部位から選択される、請求項68に記載のナノ粒子。
【請求項70】
前記単一の鋳型部位は、非共有結合性鋳型結合部位を含む、請求項67のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項71】
前記非共有結合性鋳型結合部位は、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む、請求項70に記載のナノ粒子。
【請求項72】
前記非共有結合性鋳型結合部位は、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、前記非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位から選択される、請求項70に記載のナノ粒子。
【請求項73】
アクセサリーオリゴヌクレオチドを前記足場に結合させるための前記複数のアクセサリー部位は、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む、請求項67~72のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項74】
前記共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O
6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O
2-ベンジルシトシン結合部位、ソルターゼカップリング結合部位、及び前述の2つ以上の任意の組み合わせから選択される、請求項73に記載のナノ粒子。
【請求項75】
前記アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む、請求項67~72のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項76】
前記非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む、請求項75に記載のナノ粒子。
【請求項77】
前記非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、前記非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位の一方又は両方から選択される、請求項75に記載のナノ粒子。
【請求項78】
前記単一の鋳型部位に結合した単一の鋳型ポリヌクレオチドを更に含む、請求項67~77のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項79】
前記複数のアクセサリー部位に結合した複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドを更に含む、請求項67~78のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項80】
前記ナノ粒子は、少なくとも直径約10nmである、請求項67~79のいずれか一項に記載のナノ粒子。
【請求項81】
単一の鋳型ポリヌクレオチドを、請求項67~80のいずれか一項に記載の前記ナノ粒子の前記単一の鋳型部位に結合させることを含む、方法。
【請求項82】
複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドを、請求項67~81のいずれか一項に記載の前記ナノ粒子の前記複数のアクセサリー部位に結合させることを含む、方法。
【請求項83】
前記鋳型ポリヌクレオチドのコピー、前記鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及び両方のコピーから選択される、1つ以上の足場に結合したコピーを合成することを更に含み、前記足場に結合したコピーは、前記アクセサリーオリゴヌクレオチドから延在する、請求項81又は82に記載の方法。
【請求項84】
前記足場を基材に結合させることを更に含み、前記結合させることは、アクセサリーオリゴヌクレオチドを、前記基材に結合したオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることを含む、請求項81~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記基材は複数のナノウェルを含み、前記基材に結合した前記オリゴヌクレオチドは、前記複数のナノウェル内で結合している、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
ただ1つの足場が前記ナノウェルのいずれか1つのナノウェル内で結合する、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記鋳型ポリヌクレオチドのコピー、前記鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及び両方のコピーから選択される、1つ以上の基材に結合したコピーを合成することを更に含み、前記基材に結合したコピーは、基材に結合したアクセサリーオリゴヌクレオチドから延在する、請求項84~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
足場に結合したコピー及び基材に結合したコピーのうちの少なくとも1つをシーケンシングすることを更に含み、前記シーケンシングすることは、合成時解読を含む、請求項83又は87に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、特許協力条約に基づいて出願された国際出願であり、2019年12月23日出願の米国特許仮出願第62/952,799号、及び2019年12月23日出願の同第62/952,866号の優先権を主張し、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(配列表)
本出願は、2020年12月16日作成の配列表を含み、ASCII形式の当該ファイルは、1912732.txtと指定され、そのサイズは3.2KBである。当該ファイルは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
多くの現在のシーケンシングプラットホームは、「合成時解読」(sequencing by synthesis、SBS)技術、及び検出のための蛍光ベースの方法を使用する。いくつかの例では、配列となるようにライブラリから単離された多数の標的ポリヌクレオチド、すなわち鋳型ポリヌクレオチドは、播種として知られるプロセスにおいて基材の表面に結合する。次いで、鋳型ポリヌクレオチドの複数のコピーは、クラスタリングと呼ばれるプロセスにおいて、コピーである鋳型ポリヌクレオチドが播種された位置に近接した表面への結合時に合成され得る。続いて、クラスタ化されたポリヌクレオチドの新生コピーは、新生鎖への結合時に各ヌクレオチドを特定するシグナルを発するという条件下で合成される。最初に播種された位置に近接する、播種された鋳型ポリヌクレオチドの複数のコピーのクラスタリングは、可視化可能な重合中に生成されたシグナルの増幅をもたらし、検出を改善する。
【0004】
可能な限り利用可能な基材表面が鋳型ポリヌクレオチドによって播種される場合、SBS作業用の播種及びクラスタリングは、シーケンシングラン中に得られるシーケンシング情報の量を最大化し得る。対照的に、一般に、播種及びクラスタリングに使用される基材の利用可能な表面積が少ないほど、SBSプロセスの効率は悪くなり、所与の量の所与のライブラリのシーケンシング情報を得るための時間、反応物、費用、及び複雑なデータ処理は増加し得る。
【0005】
播種及びクラスタリングはまた、互いに異なる配列を有するライブラリからの鋳型ポリヌクレオチドが互いに十分に遠位である表面の位置に播種される、又は結合されるときに良好に作用し、その結果、クラスタリングは、単一の鋳型ポリヌクレオチドの播種からそれぞれ得られる、コピーされたポリヌクレオチドの空間的に異なるクラスタをもたらす(モノクローン性と呼ばれる)。すなわち、鋳型ポリヌクレオチドのライブラリは、概して、ヌクレオチド配列が互いに異なる、多数の鋳型ポリヌクレオチド分子を含み得る。2つのこのような鋳型ポリヌクレオチドの播種が基材の表面で近すぎる場合、クラスタリングによって、空間的に混合した、コピーされたポリヌクレオチドの集団が生じることがあり、その一部は、近くに播種された鋳型ポリヌクレオチドのうちの1つの配列を有し、他方は、これもまた表面の近くに播種された別の鋳型ポリヌクレオチドの配列を有する。又は、互いに近すぎる位置に播種された2つの異なる鋳型ポリヌクレオチドから形成された2つのクラスタは、互いに近接しすぎる、又は互いに接触することがあり、その結果、クラスタ間で、基材に結合した配列に空間的混合がない、又は空間的混合が最小限であり得るとしても、SBSプロセスで使用される撮像システムは、2つのクラスタを別々のクラスタとして区別することができないことがある。このような不利な状態は、一般に、ポリクローン性と称され得る。ポリクローン性クラスタが存在する場合、ポリクローン性クラスタから明確な配列情報を得ることは、より困難で、時間がかかり、費用がかかり、効率が低く、より複雑なデータ分析を必要し得る。
【発明の概要】
【0006】
したがって、基材表面の可能な限り大きい表面積が播種及びクラスタリングに使用されるという条件下でSBSを実施し、その一方ではまた、クラスタのモノクローン性を可能な限り最大化し、ポリクローン性クラスタを可能な限り最小限に抑えるように、播種された鋳型ポリヌクレオチドの単離を促進することが望ましい。本明細書では、SBSにおける播種密度及びモノクローン性クラスタリングを有利に増加させるために使用され得る組成物及び方法が開示される。
【0007】
一態様では、ナノ粒子が提供され、このナノ粒子は、足場と、共有結合性鋳型結合部位及び非共有結合性鋳型結合部位から選択される、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合させるための単一の鋳型部位と、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位及び非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位から選択される、アクセサリーオリゴヌクレオチドを足場に結合させるための複数のアクセサリー部位と、を含み、足場は、式I:
【化1】
の化合物であり、各Xは、式II:
【化2】
の化合物であり、式中、R
2は、式IIIa:
【化3】
から選択され、式中、R
5は、
【化4】
から選択され、xは1~2,000の範囲の整数であり、yは1~10,000の範囲の整数であり、x:yの比率は、およそ10:90~およそ1:99であり得、式中、各R
zは、独立して、H又はC
1~4アルキル、及び式IIIb:
【化5】
であり、式中、R
5は、
【化6】
から選択され、yは1~2,000の範囲の整数であり、x及びzは、合計が1~10,000の範囲の整数あり、(x:y):zの比率は、およそ(85):15~およそ(95):5であり得、式中、各R
zは、独立して、H又はC
1~4アルキルであり、R
1は、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合させるための単一の鋳型部位を含み、R
4は、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルキル、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルケニル、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルキニル、任意選択的に置換されたC
1~C
20オキサアルキル、任意選択に置換されたC
1~C
20チアアルキル、及び任意選択的に置換されたC
1~C
20アザアルキルから選択され、置換体は、C
1~C
20アルキル、二重結合酸素、及びヒドロキシル基のうちの1つ以上による置換を含み、R
3はアクセサリーオリゴヌクレオチドの結合のためのアクセサリー部位を含む。
【0008】
一例では、単一の鋳型部位は、共有結合性鋳型結合部位を含む。別の例では、共有結合性鋳型結合部位は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、アルデヒド-NHSエステル結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O2-ベンジルシトシン結合部位、及びソルターゼカップリング結合部位から選択される。
【0009】
別の例では、単一の鋳型部位は、非共有結合性鋳型結合部位を含む。更に別の例では、非共有結合性鋳型結合部位は、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む。なお更なる例では、非共有結合性鋳型結合部位は、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位から選択される。
【0010】
別の例では、アクセサリーオリゴヌクレオチドを足場に結合させるための複数のアクセサリー部位は、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む。更に別の例では、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O2-ベンジルシトシン結合部位、ソルターゼカップリング結合部位、及び前述の2つ以上の任意の組み合わせから選択される。
【0011】
別の例では、アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む。更に別の例では、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む。更に別の例では、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位の一方又は両方から選択される。
【0012】
別の例では、ナノ粒子は、単一の鋳型部位に結合した単一の鋳型ポリヌクレオチドを更に含む。更に別の例では、足場は、複数のアクセサリー部位に結合した、複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドを更に含む。
【0013】
別の例では、ナノ粒子は、少なくとも直径10nm、少なくとも直径20nm、少なくとも直径30nm、少なくとも直径約40nm、少なくとも直径約50nm、少なくとも直径約60nm、少なくとも直径約70nm、少なくとも直径約80nm、少なくとも直径約90nm、少なくとも直径約100nm、少なくとも直径約125nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約175nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約225nm、少なくとも直径約250nm、少なくとも直径約275nm、少なくとも直径約300nm、少なくとも直径約325nm、少なくとも直径約350nm、少なくとも直径約375nm、少なくとも直径約400nm、少なくとも直径約425nm、少なくとも直径約450nm、少なくとも直径約475nm、少なくとも直径約500nm、少なくとも直径約550nm、少なくとも直径約600nm、少なくとも直径約650nm、少なくとも直径約700nm、少なくとも直径約750nm、少なくとも直径約800nm、少なくとも直径約850nm、少なくとも直径約900nm、少なくとも直径約950nmである。
【0014】
別の態様では、単一の鋳型ポリヌクレオチドをナノ粒子の単一の鋳型部位に結合させることを含む方法が提供される。更に別の態様では、複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドをナノ粒子の複数のアクセサリー部位に結合させることを含む方法が提供される。更に別の例では、本方法は、鋳型ポリヌクレオチドのコピー、鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及び両方のコピーから選択される、1つ以上の足場に結合したコピーを合成することを更に含み、足場に結合したコピーは、アクセサリーオリゴヌクレオチドから延在する。更に別の例では、本方法は、足場を基材に結合させることを更に含み、結合させることは、アクセサリーオリゴヌクレオチドを、基材に結合したオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることを含む。
【0015】
一例では、基材は、複数のナノウェルを含み、基材に結合したオリゴヌクレオチドは、複数のナノウェル内で結合している。別の例では、ただ1つの足場がナノウェルのいずれか1つのナノウェル内で結合する。更に別の例では、本方法は、鋳型ポリヌクレオチドのコピー、鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及び両方のコピーから選択される、1つ以上の基材に結合したコピーを合成することを更に含み、基材に結合したコピーは、基材に結合したアクセサリーオリゴヌクレオチドから延在する。更に別の例では、方法は、足場に結合したコピー及び基材に結合したコピーのうちの少なくとも1つをシーケンシングすることを更に含み、シーケンシングすることは、合成時解読を含む。
【0016】
別の態様では、ナノ粒子が提供され、このナノ粒子は、足場と、共有結合性鋳型結合部位及び非共有結合性鋳型結合部位から選択される、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合させるための単一の鋳型部位と、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位及び非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位から選択される、足場にアクセサリーオリゴヌクレオチドを結合させるための複数のアクセサリー部位と、を含み、足場は、デンドリマーを含み、デンドリマーは、2~10世代の構成繰り返し単位を含み、構成繰り返し単位はリジンを含み、上流世代のリジンは、直下流の世代の第1のリジンとのペプチド結合及び直下流の世代の第2のリジンとのイソペプチド結合を形成し、単一の鋳型部位は、第1世代のデンドリマーのリジンのC末端から延在し、複数のアクセサリー部位は、最終世代のデンドリマーのリジンのNH2基から延在する。
【0017】
一例では、単一の鋳型部位は、共有結合性鋳型結合部位を含む。別の例では、共有結合性鋳型結合部位は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、アルデヒド-NHSエステル結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O2-ベンジルシトシン結合部位、及びソルターゼカップリング結合部位から選択される。
【0018】
別の例では、単一の鋳型部位は、非共有結合性鋳型結合部位を含む。更に別の例では、非共有結合性鋳型結合部位は、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む。なお更なる例では、非共有結合性鋳型結合部位は、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位から選択される。
【0019】
別の例では、アクセサリーオリゴヌクレオチドを足場に結合させるための複数のアクセサリー部位は、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む。更に別の例では、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O2-ベンジルシトシン結合部位、ソルターゼカップリング結合部位、及び前述の2つ以上の任意の組み合わせから選択される。
【0020】
別の例では、アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む。更に別の例では、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む。更に別の例では、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位の一方又は両方から選択される。
【0021】
別の例では、ナノ粒子は、単一の鋳型部位に結合した単一の鋳型ポリヌクレオチドを更に含む。更に別の例では、足場は、複数のアクセサリー部位に結合した、複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドを更に含む。
【0022】
別の例では、ナノ粒子は、少なくとも直径10nm、少なくとも直径20nm、少なくとも直径30nm、少なくとも直径約40nm、少なくとも直径約50nm、少なくとも直径約60nm、少なくとも直径約70nm、少なくとも直径約80nm、少なくとも直径約90nm、少なくとも直径約100nm、少なくとも直径約125nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約175nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約225nm、少なくとも直径約250nm、少なくとも直径約275nm、少なくとも直径約300nm、少なくとも直径約325nm、少なくとも直径約350nm、少なくとも直径約375nm、少なくとも直径約400nm、少なくとも直径約425nm、少なくとも直径約450nm、少なくとも直径約475nm、少なくとも直径約500nm、少なくとも直径約550nm、少なくとも直径約600nm、少なくとも直径約650nm、少なくとも直径約700nm、少なくとも直径約750nm、少なくとも直径約800nm、少なくとも直径約850nm、少なくとも直径約900nm、少なくとも直径約950nmである。
【0023】
別の態様では、単一の鋳型ポリヌクレオチドをナノ粒子の単一の鋳型部位に結合させることを含む方法が提供される。更に別の態様では、複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドをナノ粒子の複数のアクセサリー部位に結合させることを含む方法が提供される。更に別の例では、本方法は、鋳型ポリヌクレオチドのコピー、鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及び両方のコピーから選択される、1つ以上の足場に結合したコピーを合成することを更に含み、足場に結合したコピーは、アクセサリーオリゴヌクレオチドから延在する。更に別の例では、本方法は、足場を基材に結合させることを更に含み、結合させることは、アクセサリーオリゴヌクレオチドを、基材に結合したオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることを含む。
【0024】
一例では、基材は、複数のナノウェルを含み、基材に結合したオリゴヌクレオチドは、複数のナノウェル内で結合している。別の例では、ただ1つの足場がナノウェルのいずれか1つのナノウェル内で結合する。更に別の例では、本方法は、鋳型ポリヌクレオチドのコピー、鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及び両方のコピーから選択される、1つ以上の基材に結合したコピーを合成することを更に含み、基材に結合したコピーは、基材に結合したアクセサリーオリゴヌクレオチドから延在する。更に別の例では、方法は、足場に結合したコピー及び基材に結合したコピーのうちの少なくとも1つをシーケンシングすることを更に含み、シーケンシングすることは、合成時解読を含む。
【0025】
別の態様では、ナノ粒子が提供され、このナノ粒子は、足場と、共有結合性鋳型結合部位及び非共有結合性鋳型結合部位から選択される、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合させるための単一の鋳型部位と、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位及び非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位から選択される、アクセサリーオリゴヌクレオチドを足場に結合させるための複数のアクセサリー部位と、を含み、足場は、式IV:
【化7】
の化合物であり、各Xは、式V:
【化8】
の化合物であり、式中、R
2は、式VIa:
【化9】
式VIb:
【化10】
から選択され、式中、pは1~20から選択される整数であり、R
5は、アクセサリーオリゴヌクレオチドを結合させるためのアクセサリー部位を含み、R
3は、直接結合、
【化11】
から選択され、mは1~2,000の整数であり、nは1~10,000の整数であり、R
1は、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合させるための単一の鋳型部位を含み、R
4は、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルキル、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルケニル、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルキニル、任意選択的に置換されたC
1~C
20オキサアルキル、任意選択的に置換されたC
1~C
20チアアルキル、及び任意選択的に置換されたC
1~C
20アザアルキルから選択され、置換体は、C
1~C
20アルキル、二重結合酸素、及びヒドロキシル基のうちの1つ以上との置換を含み、R
3は、アクセサリーオリゴヌクレオチドを結合させるためのアクセサリー部位を含む。前述の例のいずれかでは、トリチオカーボネート基
【化12】
は、任意選択的に、直接結合、-CH
2-結合、-S-結合、N-結合、又は-O-結合で置換され得る。
【0026】
一例では、単一の鋳型部位は、共有結合性鋳型結合部位を含む。別の例では、共有結合性鋳型結合部位は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、アルデヒド-NHSエステル結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O2-ベンジルシトシン結合部位、及びソルターゼカップリング結合部位から選択される。
【0027】
別の例では、単一の鋳型部位は、非共有結合性鋳型結合部位を含む。更に別の例では、非共有結合性鋳型結合部位は、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む。なお更なる例では、非共有結合性鋳型結合部位は、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位から選択される。
【0028】
別の例では、アクセサリーオリゴヌクレオチドを足場に結合させるための複数のアクセサリー部位は、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む。更に別の例では、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O2-ベンジルシトシン結合部位、ソルターゼカップリング結合部位、及び前述の2つ以上の任意の組み合わせから選択される。
【0029】
別の例では、アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む。更に別の例では、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む。更に別の例では、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位の一方又は両方から選択される。
【0030】
別の例では、ナノ粒子は、単一の鋳型部位に結合した単一の鋳型ポリヌクレオチドを更に含む。更に別の例では、足場は、複数のアクセサリー部位に結合した、複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドを更に含む。
【0031】
別の例では、ナノ粒子は、少なくとも直径10nm、少なくとも直径20nm、少なくとも直径30nm、少なくとも直径約40nm、少なくとも直径約50nm、少なくとも直径約60nm、少なくとも直径約70nm、少なくとも直径約80nm、少なくとも直径約90nm、少なくとも直径約100nm、少なくとも直径約125nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約175nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約225nm、少なくとも直径約250nm、少なくとも直径約275nm、少なくとも直径約300nm、少なくとも直径約325nm、少なくとも直径約350nm、少なくとも直径約375nm、少なくとも直径約400nm、少なくとも直径約425nm、少なくとも直径約450nm、少なくとも直径約475nm、少なくとも直径約500nm、少なくとも直径約550nm、少なくとも直径約600nm、少なくとも直径約650nm、少なくとも直径約700nm、少なくとも直径約750nm、少なくとも直径約800nm、少なくとも直径約850nm、少なくとも直径約900nm、少なくとも直径約950nmである。
【0032】
別の態様では、単一の鋳型ポリヌクレオチドをナノ粒子の単一の鋳型部位に結合させることを含む方法が提供される。更に別の態様では、複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドをナノ粒子の複数のアクセサリー部位に結合させることを含む方法が提供される。更に別の例では、本方法は、鋳型ポリヌクレオチドのコピー、鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及び両方のコピーから選択される、1つ以上の足場に結合したコピーを合成することを更に含み、足場に結合したコピーは、アクセサリーオリゴヌクレオチドから延在する。更に別の例では、本方法は、足場を基材に結合させることを更に含み、結合させることは、アクセサリーオリゴヌクレオチドを、基材に結合したオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることを含む。
【0033】
一例では、基材は、複数のナノウェルを含み、基材に結合したオリゴヌクレオチドは、複数のナノウェル内で結合している。別の例では、ただ1つの足場がナノウェルのいずれか1つのナノウェル内で結合する。更に別の例では、本方法は、鋳型ポリヌクレオチドのコピー、鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及び両方のコピーから選択される、1つ以上の基材に結合したコピーを合成することを更に含み、基材に結合したコピーは、基材に結合したアクセサリーオリゴヌクレオチドから延在する。更に別の例では、方法は、足場に結合したコピー及び基材に結合したコピーのうちの少なくとも1つをシーケンシングすることを更に含み、シーケンシングすることは、合成時解読を含む。
【0034】
別の態様では、ナノ粒子が提供され、このナノ粒子は、足場と、共有結合性鋳型結合部位及び非共有結合性鋳型結合部位から選択される、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合させるための単一の鋳型部位と、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位及び非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位から選択される、足場にアクセサリーオリゴヌクレオチドを結合させるための複数のアクセサリー部位と、を含み、足場は、VII:
【化13】
の化合物であり、各Xは、VIII:
【化14】
の化合物であり、式中、yは1~20の整数であり、R
2は、式IXa:
【化15】
式IXb:
【化16】
から選択され、式中、pは1~20から選択される整数であり、R
5は、アクセサリーオリゴヌクレオチドを結合させるためのアクセサリー部位を含み、R
3は、直接結合、
【化17】
から選択され、mは1~2,000の整数であり、nは1~10,000の整数であり、R
1は、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合させるための単一の鋳型部位を含み、R
4は、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルキル、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルケニル、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルキニル、任意選択的に置換されたC
1~C
20オキサアルキル、任意選択的に置換されたC
1~C
20チアアルキル、及び任意選択的に置換されたC
1~C
20アザアルキルから選択され、置換体は、C
1~C
20アルキル、二重結合酸素、及びヒドロキシル基のうちの1つ以上との置換を含み、R
3は、アクセサリーオリゴヌクレオチドを結合させるためのアクセサリー部位を含む。前述の例のいずれかでは、トリチオカーボネート基
【化18】
は、任意選択的に、直接結合、-CH
2-結合、-S-結合、N-結合、又は-O-結合で置換され得る。
【0035】
一例では、単一の鋳型部位は、共有結合性鋳型結合部位を含む。別の例では、共有結合性鋳型結合部位は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、アルデヒド-NHSエステル結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O2-ベンジルシトシン結合部位、及びソルターゼカップリング結合部位から選択される。
【0036】
別の例では、単一の鋳型部位は、非共有結合性鋳型結合部位を含む。更に別の例では、非共有結合性鋳型結合部位は、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む。なお更なる例では、非共有結合性鋳型結合部位は、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位から選択される。
【0037】
別の例では、アクセサリーオリゴヌクレオチドを足場に結合させるための複数のアクセサリー部位は、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む。更に別の例では、共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O2-ベンジルシトシン結合部位、ソルターゼカップリング結合部位、及び前述の2つ以上の任意の組み合わせから選択される。
【0038】
別の例では、アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位を含む。更に別の例では、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、ポリヌクレオチドハイブリダイゼーション部位を含む。更に別の例では、非共有結合性アクセサリーオリゴヌクレオチド結合部位は、非共有結合性ペプチド結合部位を含み、非共有結合性ペプチド結合部位は、コイルドコイル結合部位及びアビジン-ビオチン結合部位の一方又は両方から選択される。
【0039】
別の例では、ナノ粒子は、単一の鋳型部位に結合した単一の鋳型ポリヌクレオチドを更に含む。更に別の例では、足場は、複数のアクセサリー部位に結合した、複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドを更に含む。
【0040】
別の例では、ナノ粒子は、少なくとも直径10nm、少なくとも直径20nm、少なくとも直径30nm、少なくとも直径約40nm、少なくとも直径約50nm、少なくとも直径約60nm、少なくとも直径約70nm、少なくとも直径約80nm、少なくとも直径約90nm、少なくとも直径約100nm、少なくとも直径約125nm、少なくとも直径約150nm、少なくとも直径約175nm、少なくとも直径約200nm、少なくとも直径約225nm、少なくとも直径約250nm、少なくとも直径約275nm、少なくとも直径約300nm、少なくとも直径約325nm、少なくとも直径約350nm、少なくとも直径約375nm、少なくとも直径約400nm、少なくとも直径約425nm、少なくとも直径約450nm、少なくとも直径約475nm、少なくとも直径約500nm、少なくとも直径約550nm、少なくとも直径約600nm、少なくとも直径約650nm、少なくとも直径約700nm、少なくとも直径約750nm、少なくとも直径約800nm、少なくとも直径約850nm、少なくとも直径約900nm、少なくとも直径約950nmである。
【0041】
別の態様では、単一の鋳型ポリヌクレオチドをナノ粒子の単一の鋳型部位に結合させることを含む方法が提供される。更に別の態様では、複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドをナノ粒子の複数のアクセサリー部位に結合させることを含む方法が提供される。更に別の例では、本方法は、鋳型ポリヌクレオチドのコピー、鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及び両方のコピーから選択される、1つ以上の足場に結合したコピーを合成することを更に含み、足場に結合したコピーは、アクセサリーオリゴヌクレオチドから延在する。更に別の例では、本方法は、足場を基材に結合させることを更に含み、結合させることは、アクセサリーオリゴヌクレオチドを、基材に結合したオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることを含む。
【0042】
一例では、基材は、複数のナノウェルを含み、基材に結合したオリゴヌクレオチドは、複数のナノウェル内で結合している。別の例では、ただ1つの足場がナノウェルのいずれか1つのナノウェル内で結合する。更に別の例では、本方法は、鋳型ポリヌクレオチドのコピー、鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー、及び両方のコピーから選択される、1つ以上の基材に結合したコピーを合成することを更に含み、基材に結合したコピーは、基材に結合したアクセサリーオリゴヌクレオチドから延在する。更に別の例では、方法は、足場に結合したコピー及び基材に結合したコピーのうちの少なくとも1つをシーケンシングすることを更に含み、シーケンシングすることは、合成時解読を含む。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むと、より深く理解されるであろう。
【0044】
【
図1】本開示の態様による、ナノ粒子の一例を示す。
【0045】
【
図2】本開示の態様による、ナノ粒子の足場の一部の一例を示す。
【0046】
【
図3】本開示の態様による、ナノ粒子の単一の鋳型ポリヌクレオチド部位及びアクセサリー結合部位の一例を示す。
【0047】
【
図4】本開示による、ナノ粒子を合成する方法の一例を示す。
【0048】
【
図5】リジンを含む構成繰り返し単位を有するデンドリマー構造を有するナノ粒子の一例を示す。
【0049】
【
図6】本開示の態様による、ナノ粒子の例を合成するための合成方法を示す。
【0050】
【
図7】本開示の態様による、ナノ粒子への鋳型の結合の例を示す。
【0051】
【
図8】本開示の態様による、ハイブリダイゼーションによって鋳型ポリヌクレオチドをナノ粒子に非共有結合させる一例を示す。
【0052】
【
図9】本開示の態様による、コイルドコイルペプチド結合部位によって鋳型ポリヌクレオチドをナノ粒子に非共有結合させる一例を示す。
【0053】
【
図10】本発明の態様による、ナノウェル表面積に応じたナノウェル当たりのナノ粒子の数を示すグラフである。
【0054】
【
図11A】本開示の態様による、足場を使用して、基材に鋳型ポリヌクレオチドを播種する例を示す。
【
図11B】本開示の態様による、足場を使用して、基材に鋳型ポリヌクレオチドを播種する例を示す。
【
図11C】本開示の態様による、足場を使用して、基材に鋳型ポリヌクレオチドを播種する例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
「一例」、「別の例」、「ある例」などへの本明細書全体を通じての言及は、例に関連して記載されている特定の要素(例えば、特徴、構造、及び/又は特性)が、本明細書に記載されている少なくとも1つの例に含まれており、他の例に存在していても、存在していなくともよいことを意味している。更に、文脈上明確に別段の指示がない限り、任意の例に関する記載の要素は、様々な例において任意の好適な様式で組み合わせ得ることを理解すべきである。
【0056】
本開示は、SBS中にモノクローン性クラスタリングを増加させるための組成物及び方法に関する。一例では、サイズ排除の原理を使用して、個々の鋳型ポリヌクレオチドを播種し、したがって、互いに近すぎるクラスタリングを促進することを阻止する。各個々の鋳型ポリヌクレオチドを所与の十分な空間寸法のナノ粒子と関連付けることにより、鋳型ポリヌクレオチドは、互いに十分に遠位の基材の表面に結合して、ポリクローン性クラスタの形成を低減し、モノクローン性クラスタの形成を増加させるように誘導され得る。ナノ粒子は、鋳型ポリヌクレオチドのための結合部位を含み得る。ナノ粒子は、鋳型ポリヌクレオチドの結合のための1つの単一部位のみを有し得る。したがって、1つの鋳型ポリヌクレオチドのみをナノ粒子に結合させることができ、その結果、足場への鋳型ポリヌクレオチドの結合は、同じナノ粒子への第2の鋳型ポリヌクレオチドの結合を阻止し、結合した鋳型ポリヌクレオチドは、その単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位を占有している。ナノ粒子当たり単一の鋳型ポリヌクレオチドのみの結合、及び結果として生じる、このようなナノ粒子に結合した鋳型ポリヌクレオチドの互いからの空間分布(結合したナノ粒子のサイズに直接的又は間接的に起因する)は、ポリクローン性クラスタの形成を低減させる。
【0057】
ナノ粒子はまた、鋳型ポリヌクレオチドに加えて、本明細書ではアクセサリー結合部位と称される、ナノ粒子を組成物又は表面に結合させるための他の種類の1つ以上の結合部位を含んでよい。例えば、単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位に加えて、ナノ粒子は、SBSプロセスで用いる、基材の表面へのナノ粒子の結合を可能にするアクセサリー結合部位を含んでよい。別の例では、ナノ粒子は、1つ以上の表面ポリマーをナノ粒子に結合させるための1つ以上のアクセサリー結合部位を有し得る。別の例では、ナノ粒子は、アクセサリーオリゴヌクレオチドをナノ粒子に結合させるための1つ以上のアクセサリー結合部位を含んでよく、オリゴヌクレオチドは、以下により詳細に記載するように、クラスタリングプロセスの一部として鋳型ポリヌクレオチド又はそのコピーの末端に結合し得る。別の例では、このようなアクセサリーオリゴヌクレオチドは、SBSプロセスで用いる基材の表面に結合したオリゴヌクレオチドにハイブリダイズ可能であり得、それにより、単一鋳型ポリヌクレオチドが結合したナノ粒子は、このような基材表面に結合し得る。
【0058】
足場は、鋳型ポリヌクレオチドのための単一の結合部位と、例えば、アクセサリーオリゴヌクレオチドの結合のための1つ以上のアクセサリー部位と、を含み得、単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位は、アクセサリー結合部位の化学的性質又は構造とは異なる化学的性質又は構造であり得る。全結合部位のうちの単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位は、鋳型ポリヌクレオチドに結合するように設計された化学的性質又は構造を有する唯一の部位であり得、対応する化学的性質又は構造は、鋳型ポリヌクレオチドに結合するための化学的性質又は構造である。比較すると、1つ以上のアクセサリー結合部位は、鋳型ポリヌクレオチドへの結合(binding)又は結合(attaching)に適合しない、異なる化学的性質又は構造を有し得る。むしろ、1つ以上のアクセサリー結合部位は、アクセサリー結合部位が結合を意図する他の組成物又は構造、例えば、アクセサリーオリゴヌクレオチド、ポリマーなどへの結合(binding)又は結合(attaching)に適合し、鋳型ポリヌクレオチドへの結合(binding)又は結合(attaching)には適合しない化学的性質又は構造を有し得る。したがって、鋳型ポリヌクレオチドは、1つ以上のアクセサリー結合部位に結合(binding)又は結合(attaching)することができず、ナノ粒子の単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位において、ナノ粒子当たり1つのみの鋳型ポリヌクレオチドの結合をもたらす。
【0059】
鋳型ポリヌクレオチドは、試料から単離されたポリデオキシリボ核酸など試料から得られたポリヌクレオチド、又は試料から得られたmRNA分子からコピーされたcDNA分子であり得る。SBSプロセスは、例えば、鋳型ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定するために、又は参照シーケンスと比較して鋳型ポリヌクレオチドの遺伝子配列における1つ以上の多型性又は変質を特定するために実行され得る。ライブラリは、1つ以上の試料から調製され得、ライブラリは、1つ以上の試料から得られた複数の鋳型ポリヌクレオチドを含む。鋳型ポリヌクレオチドは、試料中に存在していたか又は試料からコピーされた配列の一部であるポリヌクレオチド配列を得ることによって得ることができる。SBSプロセスにおいて複数の鋳型ポリヌクレオチドをシーケンシングすることにより、ライブラリ内の複数の鋳型ポリヌクレオチドに関する配列情報が、ライブラリが得られた試料について収集され、分析されると、鋳型ポリヌクレオチドに関する配列、遺伝子型、又は他の配列関連情報が決定され得る。
【0060】
鋳型ポリヌクレオチドは、試料から鋳型ポリヌクレオチドを得るプロセスの一部として処理され得る。処理の一部は、鋳型の5プライム、3プライム、又は両方の末端などにポリヌクレオチド配列を添加して、続いて生じるSBS処理を補助することを含み得る。本明細書で更に開示するように、鋳型ポリヌクレオチドは、ナノ粒子上の部位との結合の形成を促進する又は可能にする特徴を付加することによって更に修飾され得る。
【0061】
鋳型ポリヌクレオチドは、SBSプロセスにおいてシーケンシング情報を得るのに好適な任意の所与の長さであり得る。例えば、鋳型ポリヌクレオチドは、約50ヌクレオチドの長さ、約75ヌクレオチドの長さ、約100ヌクレオチドの長さ、約125ヌクレオチドの長さ、約150ヌクレオチドの長さ、約175ヌクレオチドの長さ、約200ヌクレオチドの長さヌクレオチドの長さ、約225ヌクレオチドの長さ、約250ヌクレオチドの長さ、約275ヌクレオチドの長さ、約300ヌクレオチドの長さ、約325ヌクレオチドの長さ、約350ヌクレオチドの長さ、約375ヌクレオチドの長さ、約400ヌクレオチドの長さ、約425ヌクレオチドの長さ、約450ヌクレオチドの長さ、約475ヌクレオチドの長さ、約500ヌクレオチドの長さ、約525ヌクレオチドの長さ、約550ヌクレオチドの長さ、約575ヌクレオチドの長さ、約600ヌクレオチドの長さ、約625ヌクレオチドの長さ、約650ヌクレオチドの長さ、約675ヌクレオチドの長さ、約700ヌクレオチドの長さ、約725ヌクレオチドの長さ、約750ヌクレオチドの長さ、約775ヌクレオチドの長さ、約800ヌクレオチドの長さ、約825ヌクレオチドの長さ、約850ヌクレオチドの長さ、約875ヌクレオチドの長さ、約900ヌクレオチドの長さ、約925ヌクレオチドの長さ、約950ヌクレオチドの長さ、約975ヌクレオチドの長さ、約1,000ヌクレオチドの長さ、約1,025ヌクレオチドの長さ、約1,050ヌクレオチドの長さ、約1,075ヌクレオチドの長さ、約1,100ヌクレオチドの長さ、約1,125ヌクレオチドの長さ、約1,150ヌクレオチドの長さ、約1,175ヌクレオチドの長さ、約1,200ヌクレオチドの長さ、約1,225ヌクレオチドの長さ、約1,250ヌクレオチドの長さ、約1,275ヌクレオチドの長さ、約1,300ヌクレオチドの長さ、約1,325ヌクレオチドの長さ、約1,350ヌクレオチドの長さ、約1,375ヌクレオチドの長さ、約1,400ヌクレオチドの長さ、約1,425ヌクレオチドの長さ、約1,450ヌクレオチドの長さ、約1,475ヌクレオチドの長さ、約1,500ヌクレオチド以上の長さであり得る。
【0062】
いくつかの例では、ナノ粒子上に2つ以上の異なるアクセサリー結合部位の集団が存在し得、一方は、ある集団の組成物又は構造への結合(binding)又は結合(attaching)に適合する、ある種類の化学的性質又は構造を有し、他方は、別の集団の組成物又は構造への結合(binding)又は結合(attaching)に適合する、第2の種類の化学的性質又は構造を有する。例えば、ある集団のアクセサリー部位は、アクセサリーオリゴヌクレオチドへの結合に適合する化学的性質又は構造を有し得、これにより、アクセサリーオリゴヌクレオチは、以下により詳細に記載するように、例えば、ナノ粒子上での鋳型ポリヌクレオチドのクラスタリングに関与する鋳型ポリヌクレオチドのコピーに結合し得、他のアクセサリー部位は、SBSを実施するための基材の表面への結合(binding)又は結合(attaching)に適合する、異なる化学的性質又は構造を有し得る。
【0063】
ナノ粒子は、足場を含み得る。足場は、鋳型ナノ粒子間の所望の最小距離又は所与の用途に望ましいようにナノ粒子に結合した鋳型ナノ粒子の最大密度に応じた、ナノ粒子の占有容積の構造的要素である。足場は、単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位及び1つ以上のアクセサリー結合部位のように、前述の結合部位を含み得る。合わせて、足場及び結合部位は、ナノ粒子を構成し得る。足場は、結合のために1種類以上の化学的性質又は構造を含むように合成され得、合成されると、これらを含み得る。すなわち、鋳型ポリヌクレオチドへの結合の単一部位と、アクセサリー結合部位に対応する、単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位とは異なる化学的性質又は構造を有する、1つ以上の追加結合部位を含むように合成され得る、又はこれらを含むように修飾され得る。
【0064】
足場は、非対称ポリマーを含み得、いくつかのポリマー鎖は、鋳型ポリヌクレオチドのための異なる結合部位も含む、足場コアから延在する。直鎖状又は分岐状のポリマー鎖は、足場コアから延在し得、ポリマー上にアクセサリー結合部位を有し、アクセサリー結合部位に対して直交する結合の化学的性質を有する別の結合部位は、単一の鋳型ポリヌクレオチドに結合するために足場コア上に存在する。一例では、足場は、アクリルアミドモノマー含有ヘテロポリマー又はホモポリマーが延在する、アクセサリー結合部位を含むコアと、鋳型ポリヌクレオチドを結合させるために異なる結合の化学的性質を有する別の結合部位と、を含み得る。一例では、足場コアは、2つ又は3つの直鎖又は分岐ポリマーのための結合点を含み得る。
【0065】
一例では、足場は、足場コアに個別に結合(liked)された2つ又は3つの直鎖又は分岐ポリマーを含み得る。足場の非限定的な例は、式I:
【化19】
の化合物であり、各Xは、式II:
【化20】
の化合物であり、式中、R
2は、式IIIa:
【化21】
から選択され、式中、R
5は、
【化22】
から選択され、xは1~2,000の範囲の整数であり、yは1~10,000の範囲の整数であり、x:yの比率は、およそ10:90~およそ1:99であり得、式中、各R
zは、独立して、H又はC
1~4アルキル、及び式IIIb:
【0066】
【化23】
であり、式中、R
5は、
【化24】
から選択され、yは1~2,000の範囲の整数であり、x及びzは、合計が1~10,000の範囲の整数であり、(x:y):zの比率は、およそ(85):15~およそ(95):5であり得、式中、各R
zは、独立して、H又はC
1~4アルキルであり、R
1は、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合させるための単一の鋳型部位を含み、R
4は、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルキル、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルケニル、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルキニル、任意選択的に置換されたC
1~C
20オキサアルキル、任意選択的に置換されたC
1~C
20チアアルキル、及び任意選択的に置換されたC
1~C
20アザアルキルから選択され、置換体は、C
1~C
20アルキル、二重結合酸素、及びヒドロキシル基のうちの1つ以上による置換を含み、R
3はアクセサリーオリゴヌクレオチドの結合のためのアクセサリー部位を含む。前述の例のいずれかでは、トリチオカーボネート基
【化25】
は、任意選択的に、直接結合、-CH
2-結合、-S-結合、N-結合、又は-O-結合で置換され得る。
【0067】
別の例では、R
2は式IIIa
【化26】
の化合物であり、yは0であり得、xは1~2,000の整数であり得る。
【0068】
一例では、R1は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、アルデヒド-NHSエステル結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O2-ベンジルシトシン結合部位、又はソルターゼカップリング結合部位を含む。特定の非限定的な例では、R1は、アミン基、テトラジン基、又はジベンゾシクロオクテン基を含む。
【0069】
一例では、各R3は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、アルデヒド-NHSエステル結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O2-ベンジルシトシン結合部位、又はソルターゼカップリング結合部位を含み得る。特定の非限定的な例では、各R3はアジド基を含む。
【0070】
特定の非限定的な例では、足場は、以下の構造を含む(描写の簡素化のために、1つのXのみを完全に示すが、他の2つのXは、完全に示したXと同じ構造を有する)。
【化27】
【0071】
別の例では、Xは、
【化28】
を含み得る。別の例では、Xは、
【化29】
を含み得る。別の例では、Xは、
【化30】
を含み得る。
【0072】
別の例では、R1は鋳型ポリヌクレオチドに結合し、1つ以上のR3は、アクセサリーオリゴヌクレオチドなどアクセサリーに結合する。別の例では、アクセサリーオリゴヌクレオチドは、鋳型ポリヌクレオチドのコピーであるか、又は鋳型ポリヌクレオチドに相補的なヌクレオチド配列に結合する。
【0073】
足場の非限定的な別の例は、式IV:
【化31】
の化合物であり、各Xは、式V:
【化32】
の化合物であり、式中、R
2は、式VIa:
【化33】
式VIb:
【化34】
から選択され、式中、pは1~20から選択される整数であり、R
5は、アクセサリーオリゴヌクレオチドを結合させるためのアクセサリー部位を含み、R
3は、直接結合、
【化35】
から選択され、mは1~2,000の整数であり、nは1~10,000の整数であり、R
1は、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合させるための単一の鋳型部位を含み、R
4は、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルキル、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルケニル、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルキニル、任意選択的に置換されたC
1~C
20オキサアルキル、任意選択的に置換されたC
1~C
20チアアルキル、及び任意選択的に置換されたC
1~C
20アザアルキルから選択され、置換体は、C
1~C
20アルキル、二重結合酸素、及びヒドロキシル基のうちの1つ以上との置換を含み、R
3は、アクセサリーオリゴヌクレオチドを結合させるためのアクセサリー部位を含む。前述の例のいずれかでは、トリチオカーボネート基
【化36】
は、任意選択的に、直接結合、-CH
2-結合、-S-結合、N-結合、又は-O-結合で置換され得る。
【0074】
一例では、R1は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、アルデヒド-NHSエステル結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O2-ベンジルシトシン結合部位、又はソルターゼカップリング結合部位を含む。別の例では、R1は、コイルドコイル結合部位又はアビジン-ビオチン結合部位を含む。特定の非限定的な例では、R1は、アミン基、テトラジン基、又はジベンゾシクロオクテン基を含む。
【0075】
一例では、各R5は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、アルデヒド-NHSエステル結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O2-ベンジルシトシン結合部位、又はソルターゼカップリング結合部位を含み得る。別の例では、各R5は、コイルドコイル結合部位又はアビジン-ビオチン結合部位を含む。特定の非限定的な例では、各R5はアジド基を含む。
【0076】
特定の非限定的な例では、足場は、以下の構造を含む(描写の簡素化のために、1つのXのみを完全に示すが、他の2つのXは、完全に示したXと同じ構造を有する)。
【化37】
【0077】
特定の非限定的な例では、足場は、以下の構造(描写の簡素化のために、1つのXのみを完全に示すが、他の2つのXは、完全に示したXと同じ構造を有する):
【化38】
を含み、式中、R
6は、
【化39】
から選択される。
【0078】
別の特定の非限定的な例では、足場は、以下の構造を含む(描写の簡素化のために、1つのXのみを完全に示すが、他の2つのXは、完全に示したXと同じ構造を有する)。
【化40】
【0079】
別の特定の非限定的な例では、足場は、以下の構造を含む(描写の簡素化のために、1つのXのみを完全に示すが、他の2つのXは、完全に示したXと同じ構造を有する)。
【化41】
【0080】
別の例では、R1は鋳型ポリヌクレオチドに結合し、1つ以上のR5は、アクセサリーオリゴヌクレオチドなどアクセサリーに結合する。別の例では、アクセサリーオリゴヌクレオチドは、鋳型ポリヌクレオチドのコピーであるか、又は鋳型ポリヌクレオチドに相補的なヌクレオチド配列に結合する。
【0081】
別の例では、足場コアは、前駆トリアジン分子であり得るか、又はそれに由来し得る。足場の非限定的な例は、式IV:
【化42】
の化合物であり、各Xは、VIII:
【化43】
の化合物であり、式中、yは1~20の整数であり、R
2は、式IXa:
【化44】
式IXb:
【化45】
から選択され、式中、pは1~20から選択される整数であり、R
5は、アクセサリーオリゴヌクレオチドを結合させるためのアクセサリー部位を含み、R
3は、直接結合、
【化46】
から選択され、mは1~2,000の整数であり、nは1~10,000の整数であり、R
1は、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合させるための単一の鋳型部位を含み、R
4は、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルキル、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルケニル、任意選択的に置換されたC
1~C
20アルキニル、任意選択的に置換されたC
1~C
20オキサアルキル、任意選択的に置換されたC
1~C
20チアアルキル、及び任意選択的に置換されたC
1~C
20アザアルキルから選択され、置換体は、C
1~C
20アルキル、二重結合酸素、及びヒドロキシル基のうちの1つ以上との置換を含み、R
3は、アクセサリーオリゴヌクレオチドを結合させるためのアクセサリー部位を含む。前述の例のいずれかでは、トリチオカーボネート基
【化47】
は、任意選択的に、直接結合、-CH
2-結合、-S-結合、N-結合、又は-O-結合で置換され得る。
【0082】
一例では、R1は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、アルデヒド-NHSエステル結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O2-ベンジルシトシン結合部位、又はソルターゼカップリング結合部位を含む。別の例では、R1は、コイルドコイル結合部位又はアビジン-ビオチン結合部位を含む。特定の非限定的な例では、R1は、アミン基、テトラジン基、又はジベンゾシクロオクテン基を含む。
【0083】
一例では、各R5は、アミン-NHSエステル結合部位、アミン-イミドエステル結合部位、アミン-ペントフルオロフェニルエステル結合部位、アミン-ヒドロキシメチルホスフィン結合部位、カルボキシル-カルボジイミド結合部位、チオール-マレイミド結合部位、チオール-ハロアセチル結合部位、チオール-ピリジルジスルフィド結合部位、チオール-チオスルホネート結合部位、チオール-ビニルスルホン結合部位、アルデヒド-ヒドラジド結合部位、アルデヒド-アルコキシアミン結合部位、アルデヒド-NHSエステル結合部位、ヒドロキシ-イソシアネート結合部位、アジド-アルキン結合部位、アジド-ホスフィン結合部位、トランスシクロオクテン-テトラジン結合部位、ノルボルネン-テトラジン結合部位、アジド-シクロオクチン結合部位、アジド-ノルボルネン結合部位、オキシム結合部位、SpyTag-SpyCatcher結合部位、Snapタグ-O6-ベンジルグアニン結合部位、CLIPタグ-O2-ベンジルシトシン結合部位、又はソルターゼカップリング結合部位を含み得る。別の例では、各R5は、コイルドコイル結合部位又はアビジン-ビオチン結合部位を含む。特定の非限定的な例では、各R5はアジド基を含む。
【0084】
特定の非限定的な例では、足場は、以下の構造(描写の簡素化のために、1つのXのみを完全に示すが、他の2つのXは、完全に示したXと同じ構造を有する)を含む。
【化48】
【0085】
別の特定の非限定的な例では、足場は、以下の構造(描写の簡素化のために、1つのXのみを完全に示すが、他の2つのXは、完全に示したXと同じ構造を有する):
【化49】
を含み、式中、R
6は、
【化50】
から選択される。
【0086】
別の特定の非限定的な例では、足場は、以下の構造を含む(描写の簡素化のために、1つのXのみを完全に示すが、他の2つのXは、完全に示したXと同じ構造を有する)。
【化51】
【0087】
別の特定の非限定的な例では、足場は、以下の構造を含む(描写の簡素化のために、1つのXのみを完全に示すが、他の2つのXは、完全に示したXと同じ構造を有する)。
【化52】
【0088】
別の例では、R1は鋳型ポリヌクレオチドに結合し、1つ以上のR5は、アクセサリーオリゴヌクレオチドなどアクセサリーに結合する。別の例では、アクセサリーオリゴヌクレオチドは、鋳型ポリヌクレオチドのコピーであるか、又は鋳型ポリヌクレオチドに相補的なヌクレオチド配列に結合する。
【0089】
ポリマー鎖は、制御ラジカル重合(controlled radical polymerization、CRP)法を使用して足場コアから成長させることができる。ポリマーは、可逆的付加開裂連鎖移動(Reversible Addition-Fragmentation Chain Transfer、RAFT)重合法、ATRP(原子移動ラジカル重合)法、又はNMP(ニトロキシド媒介ラジカル重合)法によって、足場コアから成長させることができる。別の例では、ポリマーを合成し、次いで足場コアに結合させることができる。CRP法は、足場コアに結合したポリマーの重合度(DP)に対する厳密な制御を含み得、したがってポリマー分子量及びナノ粒子サイズを制御する。例えば、鎖当たり約100個、鎖当たり約150個、鎖当たり約200個、鎖当たり約250個、鎖当たり約300個、鎖当たり約350個、鎖当たり約400個、鎖当たり約450個、鎖当たり約500個、鎖当たり約550個、鎖当たり約600個、鎖当たり約650個、鎖当たり約700個、鎖当たり約750個、鎖当たり約800個、鎖当たり約850個、鎖当たり約900個、鎖当たり約950個、鎖当たり約1,000個、鎖当たり約1,050個、鎖当たり約1,100個、鎖当たり約1,150個、鎖当たり約1,200個、鎖当たり約1,250個、鎖当たり約1,300個、鎖当たり約1,350個、鎖当たり約1,400個、鎖当たり約1,450個、鎖当たり約1,500個、鎖当たり約1,550個、鎖当たり約1,600個、鎖当たり約1,650個、鎖当たり約1,700個、鎖当たり約1,750個、鎖当たり約1,800個、鎖当たり約1,850個、鎖当たり約1,900個、鎖当たり約1,950個、又は鎖当たり約2,000個のDP。いくつかの例では、足場コアから第1のこのようなポリマーを成長させた後、第2のこのようなポリマーは、RAFTプロセスによって、「リビング」RAFT重合プロセスとして、第1のポリマーから更に拡張され得る。
【0090】
別の例では、足場は、構成繰り返し単位(constitutional repeating until)がリジンアミノ酸を含むデンドロンを含み得、リジンは分岐点であり、重合は、アミノ酸のカルボン酸と直上流世代のリジンのαアミノ基との間でのペプチド結合、及び直上流世代のリジンのεアミノ末端間でのイソペプチド結合の形成によって生じる。それによって、リジンは、デンドリマー構造内の分岐点として機能する。一例では、デンドリマーのコア単位は、リジンを含み得る。例えば、コア単位リジンのカルボン酸は、単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位に結合し得るが、αアミノ基及びεアミノ基は分岐し、下流アミノ酸に結合し得る。例えば、システインは、コアリジンに結合して得、単一のチオール鋳型ポリヌクレオチド結合部位を提供する。他の例では、他のアミノ酸、修飾アミノ酸、又は他の構造は、コアリジンから延在して、単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位を提供し得る。デンドロンの最下流分岐の末端基は、アクセサリー結合部位を含み得る。例えば、アクセサリー結合部位は、デンドロンの末端世代のリシルα基及びリシルεアミノ基を含み得る。本明細書で使用するとき、下流及び上流という用語は、デンドロンのコア単位に対して分岐鎖に沿った方向を指し、上流はコアユニットの方向を意味し、下流は分岐鎖の末端ユニットの方向を意味する。デンドロンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、又はそれ以上の世代を有し得る。
【0091】
一例では、上流リジンは、そのαアミノ基及びεアミノ基を介して2つの下流リジンに結合する。このような下流リジンのそれぞれは、同様に、そのαアミノ基及びεアミノ基とのペプチド結合及びイプシロペプチド結合の形成を介して更に2つのリジンに結合し、リジンの構成繰り返し単位のデンドロン(それぞれ上流のカルボン酸を介して上流リジンのアミノ基に、及びそのアミノ基を介して2つの下流リジンに結合)をもたらす。
【0092】
別の例では、足場は、ポリペプチド内に1つ以上のリジン残基を含む第1のポリペプチド配列を含み得る。1つ以上のこのようなリジンは、そのεアミノ基を介して次のポリペプチドへのイソペプチド結合を形成し得、また、そのαアミノ基を介してポリペプチド内の隣接するアミノ酸へのペプチド結合を形成し得る。このような次のポリペプチドはまた、1つ以上のリジンであってよく、又はそれを含んでよく、1つ以上のこのような次のポリペプチドのリジンは、そのεアミノ基を介して更なるポリペプチドへのイソペプチド結合を形成し得、また、そのαアミノ基を介して次のポリペプチド内の隣接するアミノ酸へのペプチド結合を形成し得る。このような更なるポリペプチドは同様に、1つ以上の更なるポリペプチドへの1つ以上のイソペプチド結合を形成する1つ以上のリジンなどを含み得る。連続するリジン分岐点を有する連続ポリヌクレオチドが更に含まれ得る。この例では、足場は、リジン残基において接続された分岐形成で互いに結合したポリペプチドを含む。第1のポリペプチド配列は、単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位を含み得、又はそれに結合され得、最終ポリペプチド(例えば、連続ポリペプチドへのイソペプチド結合を形成するリジンを含まない、次の、追加の、更なる、又は後続のポリペプチド)は、(例えば、N末端アミノ酸の末端アミノ基に、最終ポリペプチドのリジンのεアミノ酸に、又は両方に)最終ポリペプチドのアクセサリー結合部位を含み得る。
【0093】
足場に結合するための鋳型ポリヌクレオチドは、SBSプロセスにおけるシーケンシングのためなどに好適な任意の長さであり得る。例えば、鋳型ポリヌクレオチドは、約50ヌクレオチドの長さ、約75ヌクレオチドの長さ、約100ヌクレオチドの長さ、約125ヌクレオチドの長さ、約150ヌクレオチドの長さ、約175ヌクレオチドの長さ、約200ヌクレオチドの長さ、約225ヌクレオチドの長さ、約250ヌクレオチドの長さ、約275ヌクレオチドの長さ、約300ヌクレオチドの長さ、約325ヌクレオチドの長さ、約350ヌクレオチドの長さ、約375ヌクレオチドの長さ、約400ヌクレオチドの長さ、約425ヌクレオチドの長さ、約450ヌクレオチドの長さ、約475ヌクレオチドの長さ、約500ヌクレオチドの長さ、約525ヌクレオチドの長さ、約550ヌクレオチドの長さ、約575ヌクレオチドの長さ、約600ヌクレオチドの長さ、約625ヌクレオチドの長さ、約650ヌクレオチドの長さ、約675ヌクレオチドの長さ、約700ヌクレオチドの長さ、約725ヌクレオチドの長さ、約750ヌクレオチドの長さ、約775ヌクレオチドの長さ、約800ヌクレオチドの長さ、約825ヌクレオチドの長さ、約850ヌクレオチドの長さ、約875ヌクレオチドの長さ、約900ヌクレオチドの長さ、約925ヌクレオチドの長さ、約950ヌクレオチドの長さ、約975ヌクレオチドの長さ、約1,000ヌクレオチドの長さ、約1,100ヌクレオチドの長さ、約1,200ヌクレオチドの長さ、約1,300ヌクレオチドの長さ、約1,40ヌクレオチドの長さ、約1,500ヌクレオチドの長さ、約1,600ヌクレオチドの長さ、約1,700ヌクレオチドの長さ、約1,800ヌクレオチドの長さ、約1,900ヌクレオチドの長さ、約2,000ヌクレオチド以上の長さであり得る。
【0094】
足場への単一の鋳型ポリヌクレオチド又はアクセサリー(例えば、アクセサリーオリゴヌクレオチド、アクセサリー組成物、又はアクセサリー構造)の結合は、足場及び鋳型ポリヌクレオチド又はアクセサリーに、互いに相補的である、すなわち、互いに共有結合又は非共有結合して間に結合を形成するように構成されている部分又は構造を含めることによって達成され得る。それらは、共有結合のために相補的であり得る、又は非共有結合のために相補的であり得る。足場は、鋳型ポリヌクレオチドに結合する部分又は構造(単一の鋳型部位)に相補的である、又は対応する部分又は構造を有する単一の鋳型部位を含み得る。足場はまた、アクセサリーに結合した部分又は構造(アクセサリー部位)に相補的な、又は対応する他の部分又は構造を含み得る、又はこのような他の部分又は構造に結合し得る。鋳型ポリヌクレオチドに結合した部分又は構造とアクセサリー部位の部分又は構造との間の交差反応は、足場への複数の鋳型ポリヌクレオチドの結合を阻止するために回避されるべきである。単一の鋳型ポリヌクレオチドの結合を阻止するアクセサリーによる単一の鋳型部位の占有を阻止するために、アクセサリーに結合した部分又は構造と単一の鋳型部位の部分又は構造との間の交差反応も回避されるべきである。いくつかの例では、このような交差反応は、単一の鋳型部位又はアクセサリー部位を化学的にブロックし、その一方、アクセサリーをアクセサリー部位に、又は単一の鋳型ポリヌクレオチドを単一の鋳型部位にそれぞれ結合させ、次いで、非占有部位のブロックを解除して、単一の鋳型ポリヌクレオチド又はアクセサリーの結合を可能にすることによって回避され得る。
【0095】
相補的な結合パートナーの非排他的なリストを表1に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0096】
前述の全ては、鋳型ポリヌクレオチド又はアクセサリーオリゴヌクレオチドなどアクセサリーに結合するために、本明細書に開示される足場に付加され得る、又は含まれ得、鋳型ポリヌクレオチド又はアクセサリーは、足場に結合するための前述の対の相補的な部分若しくは構造を含み得る、又はこれらを含むように修飾され得る。
【0097】
このような相補的な部分又は構造の対の間に結合を付加又は形成するために好適である、任意のバイオコンジュゲーション法が使用され得る。修飾ヌクレオチドは、このような相補的な部分若しくは構造の対の例の1つ、又は他の例の市販の所有例であり得、ポリマー、ヌクレオチド、若しくはポリヌクレオチドにこのような部分又は構造の例を1つ以上含む、又はこれらを結合させる、若しくは含める方法も既知である。表1に列挙した結合パートナーの1つの相補的な対からの部分又は構造を一端に有し、表1に列挙した結合パートナーの別の相補的な対の結合パートナーからの部分又は構造を有する二官能性リンカー分子も市販されている。足場、鋳型ポリヌクレオチドの部分若しくは構造、又はアクセサリーの部分若しくは構造、又は前述の特徴のいずれかの間を結合するための部分若しくは構造を提供するために前述の特徴のいずれかに結合するオリゴ若しくはペプチドは、このようなリンカーのうちの一端に結合し得、その結果、当初の部分又は構造は、実質的に別の部分又は構造、すなわち、リンカーの他端に存在する部分又は構造に置換される。
【0098】
修飾アミノ酸は、このような相補的な部分若しくは構造の対の例の1つ、又は他の市販の所有例であり得、アミノ酸若しくはポリペプチドに部分若しくは構造のこのような例を1つ以上含む、又はこれらをアミノ酸若しくはポリペプチドに結合させる方法も既知である。相補的な部分又は構造のこのような対のメンバー間に結合を形成するための方法は既知である。したがって、このような相補的な部分又は構造は、足場及び鋳型ポリヌクレオチド若しくは足場及びアクセサリーに付加され得る、又はそれらに含まれ得、結合部位を形成し、それらの間の結合を可能にする。
【0099】
本明細書で使用するとき、「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合によって結合したアミノ酸鎖を意味することが意図される。「タンパク質」及び「ポリペプチド」という用語は、互換的に使用され得る。ポリペプチドは、ペプチド結合によって互いに結合したアミノ酸の数の配列を含み得、アミノ酸の数は、約2以上、約5以上、約10以上、約15以上、約20以上、約25以上、約30以上、約35以上、約40以上、約45以上、約50以上、約55以上、約60以上、約65以上、約70以上、約75以上、約80以上、約85以上、約90以上、約95以上、約100以上、約110以上、約120以上、約130以上、約140以上、約150以上、約160以上、約170以上、約180以上、約190以上、約200以上、約225以上、約250以上、約275以上、約300以上、約325以上、約350以上、約375以上、約400以上、約425以上、約450以上、約475以上、約500以上、約550以上、約600以上、約650以上、約700以上、約750以上、約800以上、約850以上、約900以上、約950以上、約1000以上であり得る。
【0100】
場合によっては、ポリペプチド、すなわちタンパク質は、このような結合を促す三次元立体構造を用いる別のポリペプチドなど別の結合パートナー、若しくは他の非タンパク質結合パートナーへの結合を促進する、又は可能にする構造又は三次元立体構造を用い得る。ポリペプチドはまた、他の基材ポリペプチド若しくは他の分子に対する酵素反応の実行を促進する三次元立体構造、又は別の酵素反応若しくは他の反応の基材として機能するように三次元立体構造を用い得る。ポリペプチドはまた、アミノ末端、カルボキシル末端、アミノ酸の側基などの部位、又はアミノ酸への修飾が、別の分子との結合のためにアクセス可能であり得るように三次元立体構造を用い得る。
【0101】
鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合させるために、様々なバイオコンジュゲーション化学物質が使用され得る。化学部分は、相補的な化学部分に対して共有コンジュゲーションを形成する能力を有する部位に含まれるか、又はこのような部位に付加され得、相補的な部分は、鋳型ポリヌクレオチドに結合し得る、又は含まれ得る。次いで、鋳型ポリヌクレオチドは、相補的な化学部分間の共有結合を介して、足場にコンジュゲートされ得る。
【0102】
別の例では、足場は、単一の鋳型部位として、別のポリペプチド配列又は他の化学部分への共有結合を形成することができるポリペプチド配列を含み得る、又はそれに結合され得る。このような他のポリペプチド又は他の化学部分は、次いで、足場及び鋳型ポリヌクレオチドの単一の鋳型部位が互いに共有結合し得るように、鋳型ポリヌクレオチドに含まれるか、又は鋳型ポリヌクレオチドに結合し得る。あるいは、鋳型ポリヌクレオチドは、第1のこのようなポリペプチド配列を有し得、足場の単一の鋳型部位は、このような他のポリペプチド配列又は鋳型ポリヌクレオチドのポリペプチド配列に共有結合することができる他の化学部分を有し得る。このような対の非限定的な例としては、SpyTag/SpyCatcher系、Snapタグ/O6-ベンジルグアニン系、及びCLIPタグ/O2-ベンジルシトシン系が挙げられる。
【0103】
SpyTag/SpyCatcher系及びそれらをコードするポリヌクレオチドの相補的な対のアミノ酸配列が、利用可能であり得る。配列の例を表1に示す。SpyTag配列及びSpyCatcher配列のいくつかのアミノ酸部位変異は、組み換えポリペプチドに含めるために利用可能であり得る。Snapタグは、官能性O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼであり、CLIPタグは、Snapタグの修飾バージョンである。Snapタグ、CLIPタグ、SpyCatcherをコードするヌクレオチド配列は、操作されたポリペプチド配列をサブクローニングする、及びそれに包含するために市販され得る。
【0104】
あるいは、足場の単一の鋳型部位及び鋳型ポリヌクレオチドでの共有結合のための相補的な対は、共有結合の酵素触媒形成を介して互いに共有結合し得る。例えば、足場の単一の鋳型部位及び鋳型ポリヌクレオチドは、ソルターゼ媒介カップリング、例えば、一方でのLPXTGアミノ酸配列及び他方でのオリゴグリシン求核配列(例えば、3~5個のグリカンを繰り返す)によって互いに共有結合することができるモチーフを含み得る。次いで、スルホターゼ媒介ペプチド転移を実行して、単一の鋳型部位における足場と鋳型ポリヌクレオチドとの共有結合をもたらし得る。
【0105】
別の例では、足場は、単一の鋳型部位における単一の鋳型ポリヌクレオチドの非共有結合のための領域を含み得る。例えば、足場は、ワトソン-クリック塩基対合によって鋳型ポリヌクレオチドの末端に対してハイブリダイズするためのオリゴヌクレオチドを含み得る。別の例では、足場及び鋳型ポリヌクレオチドは、相補的なペプチド結合部位を含み得る、又はそれに結合し得る。例えば、足場及び鋳型ポリヌクレオチドは、コイルドコイルモチーフの相補的な対として互いに結合し得るペプチド配列を含み得るか、又はそれに結合し得る。コイルドコイルモチーフは、2つ以上のポリペプチド鎖がそれぞれ、αヘリックス二次構造を形成し、αヘリックスが共にらせん状になって、緊密な非共有結合を形成する、いくつかのポリペプチドの構造的特徴である。コイルドコイル配列は、7アミノ酸繰り返し、すなわち、7個のアミノ酸HPPHCPCの繰り返しパターン(Hは疎水性アミノ酸を示し、Cは、典型的には荷電アミノ酸を表し、Pは、極性、親水性アミノ酸を表す)を含み得る。7アミノ酸繰り返しの例は、ロイシンジッパーコイルドコイルに見られ、ロイシンジッパーコイルドコイルでは、7アミノ酸繰り返しの第4のアミノ酸は、ロイシンであることが多い。
【0106】
足場は、コイルドコイル結合対の一部を形成する1つのアミノ酸配列を含み得る、又はそれに結合し得、鋳型ポリヌクレオチドは、足場である、又は足場に結合する部分に相補的であり、その結果、2つは互いに結合する、コイルドコイル結合対の別の部分を形成する、別のアミノ酸配列に結合し得る。例えば、足場は、コイルドコイル結合対の一部を形成する一方のアミノ酸配列に共有結合され得、鋳型ポリヌクレオチドは、足場である、又は足場に結合する部分に相補的であり、その結果、2つは互いに結合する、コイルドコイル結合対の別の部分を形成する、別のアミノ酸配列に結合し得る。
【0107】
別の例では、足場及び鋳型ポリヌクレオチドはそれぞれ、非共有的に結合するペプチド対の他の相補的パートナーを含み得るか、又はそれに結合し得る。例としては、ビオチン-アビジン結合対が挙げられる。ビオチン及びアビジンペプチド(アビジン、ストレプトアビジン、及びニュートラアビジンなど、これら全ては、特に明記しない限り、本明細書では「アビジン」と総称される)は、互いに強い非共有結合を形成する。このような対の一部は、結合部分がビオチンであるか、アビジンであるかにかかわらず、足場若しくは鋳型ポリヌクレオチドのいずれかの一部であり得る、又は足場若しくは鋳型ポリヌクレオチドのいずれかに結合し得、相補部分は、足場若しくは鋳型ポリヌクレオチドの対応する部分である、又はそれに結合し、それらの間での非共有結合を可能にする。
【0108】
1つ以上のビオチン部分を、DNA分子、鋳型ポリヌクレオチド、足場、オリゴDNA、他のポリペプチド、又は本明細書に記載のように分子を合わせて結合する(鋳型ポリヌクレオチドを足場に、又はアクセサリーを足場になど)ための他の組成物に含める、又はこれらに付加するために、多数の方法を使用できる。例えば、ポリメラーゼによるDNA分子への組み込みのために、ビオチン化ヌクレオチドが市販されており、ポリヌクレオチド又はポリペプチドにビオチン部分を付加するためのキットが市販されている。ビオチン残基はまた、アミノ酸若しくは修飾アミノ酸又はヌクレオチド若しくは修飾ヌクレオチドに付加され得る。表1に示す架橋化学物質はまた、カルボン酸基、アミン基、又はチオール基などタンパク質にビオチン基を付加するために使用され得る。いくつかのビオチンリガーゼ酵素はまた、ポリペプチドのビオチン化(例えば、ポリペプチドに含まれる、AviTagアミノ酸配列GLNDIFEAQKIEWHE(配列番号3)のリジン残基のビオチン化)など酵素的に標的化されたビオチン化にも使用可能である。遺伝子操作されたアスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APEX)も、チロシン、場合によってはトリプトファン、システイン、又はヒスチジンなど電子数の多いアミノ酸のビオチン化を可能にするようにビオチンを修飾するために使用可能である。
【0109】
別の例では、アミノ酸配列DSLEFIASKLA(配列番号4)を含むポリペプチドは、(配列中に存在する2つのS残基のよりN末端において)ビオチン化され得、これは、Sfpホスフォプテテニイニルトランスフェラーゼ触媒共有結合のための基材であり、小分子は補酵素A(CoA)にコンジュゲートされている。例えば、この配列を含むポリペプチドは、CoA-ビオチンコンジュゲートによるポイペプチドへの共有結合を介してビオチン化され得る。この系はまた、DNA分子若しくはポリペプチド又は本明細書に開示する他の分子に結合するために足場の結合部位を生成する際に使用する、表1で特定した多くの他の種類の結合部分又は構造を結合するために使用され得る。例えば、表1で特定した反応性対部分のうちのいずれかにコンジュゲートされたCoAは、Sfpホスフォンテテニルトランスフェラーゼによって上記で特定した配列を含有するポリペプチドに共有結合され得、それによって、相補的な結合パートナーを含む別の組成物のポリペプチドへの結合を可能にする。
【0110】
ポリペプチドへの結合部分の付加に他の酵素が使用され得る。例えば、リポ酸リガーゼ酵素は、リポ酸分子を付加することができ、又はアルキン若しくはアジド基など表1で特定した結合部分を含む修飾リポ酸分子は、ポリペプチドに含まれるアミノ酸配列DEVLVEIETDKAVLEVPGGEEE(配列番号5)又GFEIDKVWYDLDA(配列番号6)内のリジン残基の側基のアミンに共有結合され得る。別の例では、足場、鋳型ポリヌクレオチド、又はその中に含まれるか、又はそれに結合されることが意図される他のポリペプチド若しくはDNA分子は、活性セリン加水分解酵素を含むか、又はそれに結合し得る。フルオロホスホネート分子は、セリン加水分解酵素の活性部位のセリン残基に共有結合するようになる。アジド基又はデスチオビオチン基(アビジンに結合することができるビオチンの類似体)など表1で特定した結合部分を含む、市販のフルオロホスホネート分子の類似体。したがって、このような基は、本明細書に開示するように足場で使用されるか、又は足場に結合したポリペプチド若しくはDNA分子に含まれるか、又はこれらに結合したセリンヒドロラーゼ酵素に共有結合し得、このような結合部分又は構造は、表1からの相補的結合パートナー(アジド-アルキン、アジド-ホスフィン、アジド-シクロオクチン、アジド-ノルボルネン、又はデスチオビオチン-アビジン結合など)のためにこのようなタンパク質上に結合部位を生成するのに好適な修飾フルオロホスホネート分子の結合による使用によって、それに共有付加され得る。
【0111】
アビジン配列を含むポリペプチド(別の組成物に含まれるか、又は別の組成物に結合したアビジンポリペプチドなど)に結合すること、ないしは別の方法で、足場と鋳型ポリヌクレオチドとの間、若しくは足場とアクセサリーとの間を結合するために、官能基を、足場の一部として足場に結合した、又はアクセサリーの一部としてアクセサリー若しくは鋳型ポリヌクレオチドに結合したポリペプチドに官能基を付加することを促進する組成物をビオチン化する、任意の前述の方法は、本明細書に開示するように成分間の結合を可能にするために、又は促進するために使用され得る。
【0112】
足場の単一の鋳型部位に結合するために、鋳型ポリヌクレオチドは、それに付加される、相補的な結合部分又は構造を有し得る。一例では、ライブラリ試料の調製中に、複数の鋳型ポリヌクレオチドは、シーケンシングのために調製され得る。一般に、このような試料調製中に、ライブラリ試料の鋳型ポリヌクレオチドは、シーケンシングされるライブラリの一部として、既に含まれている配列に加えて、特定のヌクレオチド配列を含むように修飾される。このような付加されたヌクレオチド配列は、播種プロセスの一部としての鋳型ポリヌクレオチドの後続の同定又はSBS基材の表面への結合など、様々な機能のうちのいずれかを果たし得る。本開示によると、鋳型ポリヌクレオチドのこのような調製物はまた、結合される、又は含まれる相補的な結合部分又は構造を含み得る。
【0113】
例えば、鋳型ポリヌクレオチドの調製は、その末端のうちの1つから延在するなど鋳型ポリヌクレオチド内のヌクレオチド配列の結合を含み得、この配列は、他の配列が足場の単一の鋳型部位に含まれるか、又はそれに結合した別の配列に相補的である。ワトソン-クリック塩基対合によるハイブリダイゼーションは、2つの間の結合をもたらす。別の例では、アクセサリーオリゴヌクレオチドなどアクセサリーは、アクセサリーに相補的である部分又は構造のアクセサリーへの共有結合を可能にするように修飾され得る。例えば、ホスフェート基、塩基、又は糖などアクセサリーオリゴヌクレオチドなどアクセサリーに含まれるヌクレオチドへの修飾は、足場のアクセサリー部位への共有結合用の部位を提供するために含まれ得る。足場のアクセサリー部位は、次に、オリゴDNAアクセサリーなどアクセサリーへの結合を可能にする相補的な部分又は構造を含み得る。一例では、試料調製中に鋳型ポリヌクレオチドに付加されるポリヌクレオチド配列に、足場のアクセサリー結合部位の相補的部分が含まれる結合部分を含むように修飾されたヌクレオチド。このような化学部分を担持する多数の修飾ヌクレオチドは、このような修飾ヌクレオチドが組み込まれているDNA分子への組成物の共有結合のために市販されている。
【0114】
別の例では、鋳型ポリヌクレオチドは、ポリペプチドに結合することによって、試料調製中などに修飾され得る。このようなポリペプチドは、足場の単一の鋳型部位のアミノ酸構造に相補的であるようにアミノ酸配列及び/又は構造を有し得、その結果、鋳型ポリヌクレオチドは、その結合したポリペプチドを介して、足場の単一の鋳型部位に結合し得る。足場の単一の鋳型部位と鋳型ポリヌクレオチドとの間の共有結合又は非共有結合のためのポリペプチド対の例は、上記で提供しており、非限定的な例として、互いにコイルドコイル結合を形成するために7アミノ酸繰り返しを有するαらせん状アミノ酸配列、ビオチン-アビジン結合対、SpyTag/SpyCatcher系、ソルターゼ媒介ペプチド転移結合のためのLPXTG/オリゴグリシン求核対が挙げられる。別の例では、鋳型ポリヌクレオチドは、試料調製中に、Snapタグ配列又はO6-ベンジルグアニンのうちの1つを含むように修飾され得、足場の単一の鋳型部位は2つのうちの他方を含んで、Snapタグ/O6-ベンジルグアニン系に従って2つの間の共有結合を可能にし得る。別の例では、鋳型ポリヌクレオチドは、試料調製中に、CLIPタグ配列又はO2-ベンジルグアニンのうちの1つを含むように修飾され得、足場の単一の鋳型部位は2つのうちの他方を含んで、CLIPタグ/O2-ベンジルグアニン系及びCLIPタグ/O2-ベンジルシトシン系に従って2つの間の共有結合を可能にし得る。
【0115】
上述の例の全ては、1つ以上のアクセサリーを足場上の1つ以上のアクセサリー部位に結合するために同様に使用され得る。DNA足場又はポリペプチド足場のアクセサリー部位への結合のために、アクセサリー(アクセサリーオリゴDNAなど)は、それに付加された相補的な結合部分又は構造を有し得る。一例では、ヌクレオチド配列は、アクセサリーに含まれ得る、又はアクセサリーに結合され得、アクセサリーに結合しているか、又はアクセサリーに含まれる相補的な結合部分若しくは構造を含み得る。
【0116】
別の例では、アクセサリー(アクセサリーオリゴDNAなど)は、ヌクレオチド配列を含み得るか、アクセサリーオリゴDNAの場合には、その末端のうちの1つから延在するなどヌクレオチド配列に結合され得、配列は、他の配列が足場のアクセサリー部位に含まれるか、又はそれに結合される別の配列に相補的である。相補配列間のワトソン-クリック塩基対合は、ハイブリダイゼーションと、2つの間の結合、したがってアクセサリー結合部位へのアクセサリーの結合と、をもたらす。別の例では、アクセサリーは、その共有結合修飾を含んで、アクセサリーに相補的である部分又は構造のそこへの共有結合を可能にし得る。例えば、ホスフェート基、塩基、又は糖など鋳型ポリヌクレオチドに含まれるヌクレオチドへの修飾は、足場のアクセサリー部位への共有結合のための部位を提供するために含まれ得る。足場のアクセサリー部位は、次に、オリゴDNAアクセサリーなどアクセサリーへの結合を可能にする相補的な部分又は構造を含み得る。一例では、足場のアクセサリー結合部位のアクセサリー分は、アクセサリーオリゴDNAなどアクセサリーに付加される、又はアクセサリーに含まれてこれらの間の結合を可能にするポリヌクレオチド配列に含まれ得る、結合部分を含むように修飾されたヌクレオチド。このような化学部分を担持する多数の修飾ヌクレオチドは、このような修飾ヌクレオチドが組み込まれているDNA分子への組成物の共有結合のために市販されている。
【0117】
別の例では、アクセサリー分は、ポリペプチドに結合することによって修飾され得る。このようなポリペプチドは、足場のアクセサリー部位のアミノ酸構造に相補的であるようにアミノ酸配列及び構造を有し得、その結果、アクセサリーは、その結合したポリペプチドを介して、足場のアクセサリー部位に結合し得る。アクセサリー部位とアクセサリーとの間の共有結合又は非共有結合のためのポリペプチド対の例は、上記で提供しており、非限定的な例として、互いにコイルドコイル結合を形成するために7アミノ酸繰り返しを有するαらせん状アミノ酸配列、ビオチン-アビジン結合対、SpyTag/SpyCatcher系、ソルターゼ媒介ペプチド転移結合のためのLPXTG/オリゴグリシン求核対が挙げられる。別の例では、アクセサリーオリゴDNAなどアクセサリーは、Snapタグ配列又はO6-ベンジルグアニンのうちの1つを含むように修飾され得、足場のアクセサリー部位は2つのうちの他方を含んで、Snapタグ/O6-ベンジルグアニン系に従って2つの間の共有結合を可能にし得る。別の例では、アクセサリーは、CLIPタグ配列又はO2-ベンジルグアニンのうちの1つを含むように修飾され得、足場のアクセサリー部位は2つのうちの他方を含んで、CLIPタグ/O2-ベンジルグアニン系に従って2つの間の共有結合を可能にし得る。
【0118】
一例では、単一の鋳型ポリヌクレオチドは、足場の単一の鋳型部位に結合し得、アクセサリーオリゴDNA分子など複数のアクセサリーヌクレオチドは、足場のアクセサリー部位に結合し得る。このようなオリゴDNA分子の例は、足場上でクラスタリングを行うためのプライマーであり得る。従来のクラスタリングプロセスの一部として、鋳型ポリヌクレオチドのコピー又はその相補体は、基材の表面で生成される。上述したように、いくつかの例では、このような表面クラスタリングは、好ましくないことに、1つ以上のポリクローン性クラスタの形成をもたらす場合がある。本明細書に開示するように、クラスタリングは、事前に足場を表面に結合させることなく、溶液中など足場上で実施され得る。他の例では、単一の鋳型ポリヌクレオチドが結合した足場を基材の表面に結合させ、次いで、基材の表面、足場上、又は足場上かつ基材の表面でクラスタリングを行ってよい。
【0119】
クラスタリング手順の場合、試料調製中などに鋳型ポリヌクレオチドに対する修飾が行われ得、その3プライム末端及び5プライム末端の一方又は両方に1つ以上のヌクレオチド配列を含む。次いで、鋳型ヌクレオチド及び鋳型ヌクレオチドに相補的なヌクレオチド配列のコピーは、本明細書に開示するように足場上で合成され、クラスタを形成し得る。このような足場上クラスタリングは、モノクローン性クラスタの形成をもたらし得る。
【0120】
例えば、鋳型ポリヌクレオチドは、単一の鋳型結合部位に結合し得、その5プライム末端は足場に向けて方向付けられ、その3プライム末端は結合部位から足場へと離れる方向に方向付けられる。3プライム末端は、第1のプライマーに含まれるヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み得る。「プライマー」は、DNA合成又はRNA合成の開始点として機能する一本鎖核酸配列(例えば、一本鎖DNA又は一本鎖RNA)として定義される。プライマーは、任意の数の塩基の長さであり得、様々な非天然ヌクレオチドを含み得る。例では、プライマーは、20~40塩基又は10~20塩基の範囲の短鎖である。鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端に相補的なプライマーのコピーは、足場のアクセサリー部位に更に結合し得る。
【0121】
次いで、鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端が、ワトソン-クリック塩基対合を介して、当該3プライム末端に相補的である、足場に結合した第1のプライマーに対してハイブリダイズする重合反応が実施され得る。重合反応中のポリメラーゼは、鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端がハイブリダイズする足場に付着したプライマーから開始して、足場に付着した鋳型ポリヌクレオチドに相補的な新生鎖を生成し得る。次いで、鋳型ポリヌクレオチド及びその相補体は、脱ハイブリダイズされ得る。
【0122】
相補体の3プライム末端にある鋳型ポリヌクレオチドの相補体は、第2のプライマー配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み得る。鋳型ポリヌクレオチドの相補体の3プライム末端に相補的な第2のプライマーのコピーは、足場のアクセサリー部位に更に結合し得る。次いで、鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端が、ワトソン-クリック塩基対合を介して、当該3プライム末端に相補的である、足場に結合した第1のプライマーにハイブリダイズし、鋳型ポリヌクレオチドの相補体の3プライム末端は、ワトソン-クリック塩基対合を介して、当該3プライム末端に相補的な足場に結合した第2のプライマーにハイブリダイズする、第2の重合反応を実行し得る。第2の重合反応中のポリメラーゼは、鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端がハイブリダイズする足場に付着した第1のプライマーから開始して、足場に付着した鋳型ポリヌクレオチドに相補的な別の新生鎖を生成し得る。また、第2の重合反応中のポリメラーゼは、足場への結合時に、以前の重合反応で重合された鋳型の相補体の3プライム末端がハイブリダイズされる、足場に結合したプライマーから開始される、鋳型ポリヌクレオチドの新生鎖のコピーを更に生成し得る。次いで、鋳型ポリヌクレオチド及びそのコピー並びのその相補体は、脱ハイブリダイズされ得る。
【0123】
次いで、後続の重合反応が、反復プロセスで実施され得る。足場に結合した鋳型ポリヌクレオチド及びそのコピーの3プライム末端は、これらに相補的である、足場に結合した第1のプライマーにハイブリダイズし、鋳型ポリヌクレオチドの、足場に結合した相補体の3プライム末端は、これらに相補的である、足場に結合した第2のプライマーにハイブリダイズする。新生鎖は、足場に結合した鋳型ポリヌクレオチド及び相補体並びにこれらのコピーがハイブリダイズされる、足場に結合した第1のプライマー及び第2のプライマーにおいて開始した、ポリメラーゼによって重合される。重合後の鎖の脱ハイブリダイゼーションに続いて、連続重合反応が実施され、それによって鋳型ポリヌクレオチドのコピー数が増加し、その相補体は足場に結合する。このようにして、鋳型ポリヌクレオチドのコピー及び相補体は増幅し、増幅したコピーが足場に結合し、クラスタを形成する。本明細書に開示するように、このクラスタリングプロセスは、従来のSBSプロセスにおいて基材の表面で実施される従来のクラスタリングとは対照的に、溶液中など足場上で実施され得る。足場上でクラスタリングされた単一の鋳型ポリヌクレオチドのみのコピー及びその相補体が存在するため、モノクローン性クラスタが足場上に存在する。
【0124】
鋳型ポリヌクレオチドの5プライム末端にある、又はそれに結合した配列が単一の鋳型部位に結合し、鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端は足場から離れる方向に方向付けられている例では、鋳型ポリヌクレオチドは、鋳型部位プライマーと称される、単一の鋳型部位に結合した、又はその一部であるプライマー配列に対するハイブリダイゼーションによって、足場の単一の鋳型部位に結合し得る。一例では、試料調製プロセスによって調製される鋳型ポリヌクレオチドは、5プライマー末端において、又はそれに結合した、鋳型部位プライマーに相補的なヌクレオチド配列を有し得る。鋳型部位プライマーに相補的なそのようなヌクレオチド配列を3プライムにすると、鋳型ポリヌクレオチドは、上記の第2のプライマーのヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列を含み得る(第2のプライマーは、鋳型ポリヌクレオチドに対する相補体の3プライム末端が相補的ワトソン-クリック塩基対合によってハイブリダイズし得る、足場に付着したプライマーである)。鋳型ポリヌクレオチド中のこのような配列を含むことは、重合ステップ中に合成される鋳型ポリヌクレオチドの相補体が、その3プライム末端に向かって、このような第2のプライマーの配列に相補的であるポリヌクレオチド配列を有することを意味する。鋳型ポリヌクレオチドの相補体の3プライム末端に向かうこのような配列を有することにより、クラスタリング中の後続の重合反応中に、このような第2のプライマーの相補体の3プライム末端のハイブリダイゼーションが可能になる。
【0125】
鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端において、単一の鋳型部位に結合した鋳型ポリヌクレオチドの5プライム末端から離れる方向に方向付けられた、鋳型ポリヌクレオチドは、上記のように第1のプライマーに相補的な配列を含み得る。上記のように、第1の重合ステップ中に、鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端におけるこのようなヌクレオチド配列は、第1のプライマーにハイブリダイズし得、鋳型ポリヌクレオチドの新生相補体の重合が続く。鋳型部位プライマーにハイブリダイズした鋳型ポリヌクレオチドの部分と、第2のプライマーの配列を含む鋳型ポリヌクレオチドにおいて3プライムに位置するヌクレオチド配列との間に鋳型ポリヌクレオチドの相補体の重合の中断が存在することは有利であり得る。すなわち、鋳型ポリヌクレオチドの相補体がその3プライム末端において第2のプライマーに相補的な配列を有することは有利であり得る。しかしながら、鋳型ポリヌクレオチドの新生相補体に第2のプライマーに対応する配列に相補的なヌクレオチド配列を付加した後に重合の中断がない場合、鋳型ポリヌクレオチドの相補体の3プライム末端はそこで終端しないであろう。
【0126】
例えば、鋳型部位プライマーに相補的なヌクレオチド配列が、第2のプライマーに相補的な配列への5プライムであり、当該配列と連続している場合、鋳型ポリヌクレオチドの合成相補体の3プライム末端は、鋳型部位プライマーに含まれるヌクレオチド配列を含み得る。例えば、鋳型ポリヌクレオチドの相補体を重合する際のDNAポリメラーゼは、鋳型ポリヌクレオチドの5プライム末端に対するハイブリダイゼーションから鋳型部位プライマーを外し、鋳型ポリヌクレオチドの相補体の3プライム末端へのそれに対応するヌクレオチド配列の付加を重合し得る。鋳型ポリヌクレオチドの相補体の3プライム末端のアクセサリー部位において上記の第2のプライマーにハイブリダイズする能力を損なう場合、このような結果は望ましくないことがあり得る。
【0127】
したがって、一例では、3プライムの重合の中断を鋳型ポリヌクレオチドの5プライム末端に組み込むことが望ましくあり得、鋳型ヌクレオチドの5プライム末端は、鋳型部位プライマーに対するハイブリダイゼーションによって単一の鋳型部位に結合する。例えば、PEGリンカー、アルキルリンカー、又は他の化学部分などリンカーは、鋳型部位プライマーにハイブリダイズするヌクレオチド配列を鋳型ポリヌクレオチドの5プライム末端に接続するために含まれ得る。連続したヌクレオチド配列接続ではなく、このようなリンカーの存在は、ポリメラーゼが鋳型部位プライマーに対応するヌクレオチド配列を鋳型ポリヌクレオチドの相補体の3プライム末端に付加しないようにし、これは、代わりに、所望に応じて第2のプライマーのヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列で終端するであろう。
【0128】
他の例では、鋳型ポリヌクレオチドは、鋳型部位プライマーと称される足場の単一の鋳型部位の一部であるか、又はそれに結合したプライマーに相補的である鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端においてポリヌクレオチド配列を有し得るか、又はそれに結合し得る。鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端の、又はそれに結合したこのような配列の鋳型部位プライマーに対するハイブリダイゼーションに続いて重合プロセスが実行され得、この重合プロセスでは、DNAポリメラーゼが、鋳型部位プライマーから開始される、鋳型ポリヌクレオチドに相補的な新生ポリヌクレオチドの形成を重合する。次いで、足場に結合した相補体から鋳型ポリヌクレオチドへの鋳型ポリヌクレオチドの脱ハイブリダイゼーションを行う。足場への結合部位から離れる方向に方向付けられた、足場に結合した、鋳型ポリヌクレオチドの相補体の3プライム末端は、上記の第2のプライマー配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み得る(第2のプライマーは、鋳型ポリヌクレオチドの相補体の3プライム末端が相補的ワトソン-クリック塩基対合によってハイブリダイズし得る、足場に結合したプライマーである)。鋳型ポリヌクレオチドの相補体の3プライム末端に相補的な第2のプライマーのコピーは、足場のアクセサリー部位に更に結合し得る。次いで、鋳型ポリヌクレオチドの相補体の3プライム末端が、ワトソン-クリック塩基対合を介して、当該3プライム末端に相補的な、足場に結合した第2のプライマーにハイブリダイズする第2の重合反応が実施され得る。第2の重合反応におけるポリメラーゼは、以前の重合反応において重合された鋳型の相補体の3プライム末端がハイブリダイズされる、足場に結合した第2のプライマーから開始される、鋳型ポリヌクレオチドの新生鎖のコピー(すなわち、足場に結合した、鋳型ポリヌクレオチドの相補体の相補体)を生成し得る。次いで、足場に結合した、鋳型ポリヌクレオチドの相補体及び鋳型ポリヌクレオチドのコピーを互いから脱ハイブリダイズするために、脱ハイブリダイゼーションステップが実施され得る。
【0129】
コピーの3プライム末端にある鋳型ポリヌクレオチドのコピーは、上記の第1のプライマー配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み得る。上記の鋳型ポリヌクレオチドのコピーの3プライム末端に相補的な第1のプライマーのコピーは、足場のアクセサリー部位に更に結合し得る。次いで、鋳型ポリヌクレオチドのコピーの3プライム末端が、ワトソン-クリック塩基対合を介して、当該3プライム末端に相補的である、足場に結合した第1のプライマーにハイブリダイズし、鋳型ポリヌクレオチドの相補体の3プライム末端は、ワトソン-クリック塩基対合を介して、足場に結合した、当該3プライム末端に相補的な第2のプライマーにハイブリダイズする、第3の重合反応が実施され得る。第3の重合反応におけるポリメラーゼは、足場への結合時に、鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端がハイブリダイズされる、足場に結合した第1のプライマーから開始される、鋳型ポリヌクレオチドの、別の新生鎖相補体を生成し得る。また、第3の重合反応におけるポリメラーゼは、以前の重合反応において重合された鋳型の相補体の3プライム末端がハイブリダイズされる、足場に結合した第2のプライマーから開始される、鋳型ポリヌクレオチドの新生鎖のコピーを更に生成し得る。次いで、鋳型ポリヌクレオチドのコピー及び鋳型ポリヌクレオチドの相補体を互いから脱ハイブリタイズする脱ハイブリダイゼーションステップが実施され得る。
【0130】
次いで、後続の重合反応が、反復プロセスで実施され得る。足場に結合した鋳型ポリヌクレオチドのコピーの3プライム末端は、これらに相補的である、足場に結合した第1のプライマーにハイブリダイズし、足場に結合した、鋳型ポリヌクレオチドの相補体の3プライム末端は、これらに相補的である、足場に結合した第2のプライマーにハイブリダイズする。新生鎖は、足場に結合した鋳型ポリヌクレオチド及び相補体並びにこれらのコピーがハイブリダイズされる、足場に結合した第1のプライマー及び第2のプライマーにおいて開始した、ポリメラーゼによって重合される。鎖の脱ハイブリダイゼーションは、重合後に行われ、次いで連続重合反応が行われ、更に脱ハイブリダイゼーションが続く。このようにして、鋳型ポリヌクレオチドのコピー及び相補体は増幅し、増幅したコピー及び相補体は足場に結合し、クラスタを形成する。本明細書に開示するように、このクラスタリングプロセスは、従来のSBSプロセスにおいて基材の表面で実施される従来のクラスタリングとは対照的に、溶液中など足場上で実施され得る。足場上でクラスタリングされた単一の鋳型ポリヌクレオチドのみのコピー及びその相補体が存在するため、モノクローン性クラスタが足場上に存在する。
【0131】
一例では、鋳型ポリヌクレオチドの末端は、第3の鋳型部位プライマーと称される、足場の単一の鋳型部位に含まれるか、又はそれに結合したヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含むか、又はそれに結合している。一例では、鋳型ポリヌクレオチドの相補体は、第3の鋳型部位プライマーにおいて開始した足場上で合成され得る。
【0132】
本明細書に開示するような足場上でのクラスタリングの例では、鋳型ポリヌクレオチドは、本明細書に開示する様々な共有結合又は非共有結合のいずれかに従って、足場の単一の鋳型部位に結合し得る。例えば、鋳型ポリヌクレオチドのいずれかの末端は、表1で特定したような結合部位対からの部分又は構造を含み得、同じ対の相補的な部分又は構造は、足場の単一の鋳型部位に存在し得る。次いで、上記のように数回の連続した重合が続き得る。例えば、鋳型ポリヌクレオチドの5プライム末端にある、又はそれに面する足場の単一の鋳型部位に結合した鋳型ポリヌクレオチドの3プライム末端は、足場のアクセサリー部位に結合したオリゴヌクレオチドプライマー及びDNAポリメラーゼによって合成された、その相補体にハイブリダイズされ得る。次いで、上記のように連続した数回の重合が続き得、鋳型ポリヌクレオチドの複数のコピー及び足場のアクセサリー部位から生じる、その相補体の重合をもたらす。単一の鋳型ポリヌクレオチドのみが足場に結合し、足場は単一の鋳型ポリヌクレオチド部位のみを有するため、このようなコピーは、足場上でモノクローン性クラスタを構成するであろう。
【0133】
別の例では、足場は、SBS手順で用いる基材の表面など基材の表面に結合し得る。例えば、足場のアクセサリー部位は、基材の表面に結合する部位、又は基材の表面に結合する組成物を含み得る、それであり得る、又はそれに結合し得る。一例では、基材の表面は、非限定的な例として、例えば、上記の第1のプライマー若しくは第2のプライマー、又はその両方に相補的であるプライマーのコピーなどプライマーに結合し得る。このような相補的プライマーは、基材の表面に直接結合し得、又はポリマー分子(例えば、PAZAM又は関連ポリマー)が結合し、プライマーがこのようなポリマーに結合する表面など修飾表面に結合し得る。前述の第1のプライマー及び第2のプライマーは、足場のアクセサリー部位に(直接、又は非限定的な例として上記に開示するようなPAZAM若しくは他のPAZAM様ポリマーなどポリマー、又はスペーサ-若しくは他の組成物を介して)結合し得る。このような足場の第1のプライマー及び第2のプライマー、又は足場に結合した第1のプライマー及び第2のプライマーは、基材の表面への結合時にこれらのプライマーに相補的なプライマーにハイブリダイズし、それによって、足場を基材の表面に結合させ得る。
【0134】
上記のような第1のプライマー及び第2のプライマーの例としては、既存のSBSプロセスで使用されるプライマーが挙げられ得る。好適なプライマーの具体例としては、HiSeq(商標)、HiSeqX(商標)、MiSeq(商標)、MiSeqDX(商標)、MiNISeq(商標)、NextSeq(商標)、NextSeqDX(商標)、NovaSeq(商標)、Genome Analyzer(商標)、ISEQ(商標)、及び他の装置プラットフォームでのシーケンシングのためにIllumina Inc.により販売されている市販のフローセルの表面で使用される、P5及び/又はP7プライマーが挙げられる。また、上記のような第1のプライマー若しくは第2のプライマーに対応するか、又は相補的であるヌクレオチド配列を含む鋳型ポリヌクレオチドの一部は、上記のSBSプラットフォームなどで使用されるプライマー配列に従って、例えば、P5プライマー(AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACAC(配列番号7)のヌクレオチド配列など)、P7プライマー(CAAGCAGAAGACGGCATACGAGAT(配列番号8)のヌクレオチド配列など)、又はその両方に対応する、又は相補的である配列を有し得る。
【0135】
SBSプロセスのための基材としては、非限定的な例として、前述のSBSプラットフォームなどのいずれかで使用される基材が挙げられ得る。非限定的な例として、このような基材は、フローセルであり得る。本明細書で使用するとき、「フローセル」という用語は、反応を行うことができるチャンバ(すなわち、フローチャネル)と、試薬をチャンバに送達するための入口と、チャンバから試薬を除去するための出口とを有する容器を意味することを意図する。いくつかの例では、チャンバは、チャンバ内で発生する反応又はシグナルの検出を可能にする。例えば、チャンバは、アレイ、光学的に標識された分子などのチャンバ内での光学的検出を可能にする1つ以上の透明な表面を含み得る。本明細書で使用するとき、「フローチャネル」又は「フローチャネル領域」は、液体試料を選択的に受容することができる、2つの結合された構成要素間に画定される領域であり得る。いくつかの例では、フローチャネルは、パターン形成された支持体と蓋との間に画定されてもよく、したがって、パターン形成された支持体内に画定された1つ以上の凹部と流体連通し得る。他の例では、フローチャネルは、パターン形成されていない支持体と蓋との間に画定され得る。
【0136】
本明細書で使用するとき、「凹部」という用語は、パターン形成された支持体の表面の間隙領域によって完全に包囲される表面開口部を有する、パターン形成された支持体における不連続の凹状特徴を指す。凹部は、表面の開口部において、例として、円形、楕円形、正方形、多角形、星形(任意の数の頂点を持つ)など様々な形状を有し得る。表面と直交するように取られた凹部の断面は、湾曲形状、正方形、多角形、双曲線、円錐、角のある形状などであり得る。例として、凹部は、ウェルであり得る。また、本明細書で使用するとき、「機能化凹部」は、プライマーが結合している不連続の凹状特徴を指し、いくつかの例では、ポリマー(Pazam又は類似のポリマーなど)が凹部の表面に結合する。
【0137】
フローセルの「支持体」又は「基材」という用語は、表面化学物質が付加され得る支持体又は基材を指す。「パターン化された基材」という用語は、凹部が内部又は上に画定される支持体を指す。「パターン化されていない基材」という用語は、実質的に平面状の支持体を指す。基材はまた、本明細書では「支持体」、「パターン化された支持体」、又は「パターン化されていない支持体」と称され得る。支持体は、ウェハ、パネル、矩形シート、ダイ、又は任意の他の好適な構成であってよい。支持体は、概して硬質であり、水性液体に不溶性である。支持体は、凹部を修飾するために使用される化学物質に対して、不活性であってよい。例えば、支持体は、ポリマーコーティング層を形成して、プライマーを、堆積されたポリマー層などに結合させるために使用される化学物質に対して不活性であり得る。好適な支持体の例としては、エポキシシロキサン、ガラス及び改質又は機能化ガラス、多面体オリゴマーシルセスキオキサン(polyhedral oligomeric silsequioxanes)(POSS)及びその誘導体、プラスチック(アクリル、スチレン及び他の材料のポリスチレン及びコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(Chemours製のTEFLON(登録商標)など)、環状オレフィン/シクロオレフィンポリマー(COP)(Zeon製のZEONOR(登録商標)など)、ポリイミドなど)、ナイロン、セラミック/セラミック酸化物、シリカ、溶融シリカ、又はシリカ系材料、ケイ酸アルミニウム、シリコン及び変性シリコン(例えば、ホウ素ドープP+シリコン)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化シリコン(SiO2)、五酸化タンタル(TaO5)又は他の酸化タンタル(TaOx)、ハフニウム酸化物(HaO2)、炭素、金属、無機ガラスなどが挙げられる。支持体はまた、ガラス、又はシリコン、又はシリコン系ポリマー、例えばPOSS材料であってよく、任意選択的に、酸化タンタル又は別のセラミック酸化物のコーティング層を表面に有してよい。POSS材料は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Kejagoas et al.,Microelectronic Engineering 86(2009)776-668に開示されているものであり得る。
【0138】
一例では、凹部は、パターン化された基材がその表面にウェルのアレイを含むようなウェルであり得る。ウェルは、マイクロウェル又はナノウェルであり得る。それぞれのウェルのサイズは、その容積、ウェル開口面積、深さ、及び/又は直径によって特徴付けられ得る。
【0139】
それぞれのウェルは、液体を閉じ込めることができる任意の容積を有し得る。最小容積又は最大容積は、例えば、フローセルの下流での使用に期待されるスループット(例えば、多重度)、分解能、検体組成物、又は検体の反応性に適応するように選択され得る。例えば、容積は、少なくとも約1×10-3μm3、約1×10-2μm3、約0.1μm3、約1μm3、約10μm3、約100μm3、又はそれ以上であり得る。代替的又は更に、容積は、最大で約1×104μm3、約1×103μm3、約100μm3、約10μm3、約1μm3、約0.1μm3、又はそれ以下であり得る。
【0140】
各ウェル開口部によって占有される面積は、上記のウェル容積と同様の基準に基づいて選択され得る。例えば、表面の各ウェル開口部の面積は、少なくとも約1×10-3μm2、約1×10-2μm2、約0.1μm2、約1μm2、約10μm2、約100μm2、又はそれ以上であり得る。代替的又は更に、面積は、最大で約1×103μm2、約100μm2、約10μm2、約1μm2、約0.1μm2、約1×10-2μm2、又はそれ以下であり得る。各ウェル開口部によって占有される面積は、上記の値よりも大きい、小さい、又はそれらの間であり得る。
【0141】
各ウェルの深さは、少なくとも約0.1μm、約1μm、約10μm、約100μm、又はそれ以上であり得る。代替的又は更に、深さは、最大で約1×103μm、約100μm、約10μm、約10μm、約1μm、又はそれ以下であり得る。各ウェル14’の深さは、上記の値よりも大きい、小さいか、又はそれらの間であり得る。
【0142】
場合によっては、各ウェルの直径は、少なくとも約50nm、約0.1μm、約0.5μm、約1μm、約10μm、約100μm、又はそれ以上であり得る。代替的又は更に、直径は、最大で約1×103μm、約100μm、約10μm、約1μm、約0.5μm、0.1μm、又はそれ以下(例えば、約50nm)であり得る。直径は、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約350nm、約400nm、約450nm、約500nm、約550nm、約600nm、約650nm、約700nm、約750nm、約800nm、約900nm、約950nm、約1μm、約1.25μm、約1.5μm、約1.74μm、約2μm、約2.25μm、約2.5μm、約2.75μm、約3μm、約3.25μm、約3.5μm、約3.75μm、約4μm、約4.25μm、約4.5μm、約4.75μm、約5μm、約5.25μm、約5.5μm、約5.75μm、約6μm、約6.25μm、約6.5μm、約6.75μm、約7μm、約7.25μm、約7.5μm、約7.75μm、約8μm、約8.25μm、約8.5μm、約8.75μm、約9μm、約9.25μm、約9.5μm、又は約9.75μmであり得る。各ウェルの直径は、上記の値よりも大きい、小さいか、又はそれらの間であり得る。本明細書で使用するとき、ナノウェルという用語は、最大直径が約1μm以下である円形開口部を有するウェルを意味することを意図する。
【0143】
本明細書で提供する範囲は、示した範囲及び示した範囲内の任意の値又は部分範囲を含むことを理解されたい。例えば、約100mm~約1μm(1000nm)の範囲は、約100mm~約1μmの明示的に列挙された限界だけでなく、約708nm、約945.5nmなど個々の値、及び約425nm~約825nm、約550nm~約940nmなど部分範囲を含むように解釈されるべきである。更に、値を説明するために「約」及び/又は「実質的に」が利用される場合、これらは、示した値からのわずかな変動(最大で±10%)を包含することを意味する。
【0144】
一例では、ナノ粒子のサイズは、ナノウェルなどウェル内のナノ粒子の存在がウェルの容積の大半を占有するために、別のナノ粒子がウェルを同時に十分に占有できないようなサイズであり得る。ナノ粒子のサイズは、基材の表面にあるウェルの既知のサイズを参照して、他のナノ粒子が存在しないウェルに入ることはできるが、当該ウェルに先に入っており、そこに存在する別のナノ粒子の存在によってウェルに入ることができないように、設計され得る、又は決定され得る。ウェルに対して2つ以上は適合することができないようにサイズが決定されたナノ粒子は、ウェル内のクラスタのモノクローン性を促進し得る。例えば、従来のSBSプロセスでは、鋳型ポリヌクレオチドは、鋳型ポリヌクレオチドが播種する(すなわち、ウェルに結合したプライマーなどに、直接、又は鋳型ヌクレオチドの一部のヌクレオチド配列に相補的である、表面に結合したポリマーを介して結合する)ウェルの数を最大化するが、ポリクローン性クラスタの形成を最小限に抑えるのに十分に低いように較正された濃度の溶液中のウェルでパターン化されたフローセルに導入され得る。
【0145】
一例では、フローセルは、凹部又はナノウェルではないナノスケール領域、ないしは別の方法で、鋳型ポリヌクレオチド又は足場が結合し得る、又は播種し得る、本明細書でナノパッドと呼ばれる空間的に隔離された領域を含み得る。いくつかの例では、フローセル表面は、鋳型ポリヌクレオチド又は足場が結合し得ない表面の領域によって互いに離間したナノパッドを含む。ナノパッドは、モノクローン性クラスタの形成を促進するように互いに離間され得る。例えば、単一の鋳型ポリヌクレオチドによって播種された1つのナノパッド内に形成されたクラスタが1つの鋳型ポリヌクレオチドのみで播種された、別のこのようなナノパッドから十分に離隔されるように、ナノパッドを互いに離隔し得る。しかしながら、2つ以上の鋳型ポリヌクレオチドによるナノパッドの播種を阻止することは困難であり得、結果として、1つ以上のポリクローン性クラスタが形成される。本明細書に開示する例では、ナノ粒子は、所与のナノパッド内での1つ以上の鋳型ポリヌクレオチドの播種又は結合を阻止することによって、ポリクローン性クラスタを好むモノクローン性クラスタの形成を促進し得る。例えば、ナノ粒子のサイズは、2つ以上のナノ粒子が結合するにはナノパッド上の場所が不十分であり、鋳型ポリヌクレオチドは、足場の単一の鋳型ポリヌクレオチド部位に結合するようなサイズであり得る。
【0146】
場合によっては、互いに異なるヌクレオチド配列を有する2つ以上の鋳型ポリヌクレオチドが、同じセル内で互いに結合する、又は播種する場合、ポリクローン性クラスタが生じ得る。分子は、ポアソン分布(これに従って、未占有ウェルの数を最小化することと(SBS実行の効率増加のため)、複数の異種鋳型ポリヌクレオチドによって占有されるウェルの数を最小化することとのバランスが存在する)に基づいて、適用された溶液中のそれらの濃度に基づいてウェル中に分布し得る。最小ウェルサイズと鋳型ポリヌクレオチドのサイズ(例えば、B-DNA分子の直径は約2mmである)との相違により、一方では利用可能である、又は好ましいように、ウェル内の表面などそのほど多くの基材表面を用いない濃度と、望ましくない、又は望ましくない程多数のポリクローン性クラスタの形成をもたらす濃度とのどちらかを選択することになり得る。
【0147】
本明細書に開示するように、鋳型ポリヌクレオチドは、ナノ粒子に結合し、ナノ粒子当たり1つの鋳型ポリヌクレオチドが結合する。ナノ粒子は、別のナノ粒子がまだ存在していないフローセルのウェル内のナノ粒子に入ることができるようにが、別のナノ粒子が既に存在するフローセルのウェルに入ることができないようにサイズ決めされ得る。モノクローン性クラスタリングなどクラスタリングは、ナノ粒子がウェルに入る前にナノ粒子上で生じ得、その結果、モノクローン性クラスタがウェルに存在する。又は、鋳型ポリヌクレオチドは、ナノ粒子の鋳型部位に結合し得、ナノ粒子は、(例えば、アクセサリー部位の表面への結合又はウェルの表面への修飾によって)ウェルに入り、結合し、それによってウェルを単一のナノ粒子のみで播種し、次いで、クラスタリングがウェル内で進行し、ウェル内に存在するモノクローン性クラスタをもたらす。いくつかの例では、ある程度のクラスタリングは、ナノ粒子がウェルに入る前にナノ粒子上で生じ得、ナノ粒子がウェルに入った後に更なるクラスタリングが生じ得る。全てのこのような例には、モノクローン性クラスタがウェル内に形成される例が含まれる。更に、ナノ粒子のサイズを低減する、最小化する、又は、一例では、同時に1つのウェル内に2つ以上のナノ粒子が同時に存在しないように調整することは、ポリクローン性クラスタの形成を低減し得る、最小化し得る、又は一例では排除し得る。
【0148】
ナノ粒子サイズは、足場のサイズを修正すること、結合したポリマーなどアクセサリー部位に結合したアクセサリーのサイズを修正すること、又はその両方によって調整され得る。ナノ粒子のサイズはまた、鋳型ポリヌクレオチドのコピー及び相補体がクラスタリング中の数回の重合中に結合し得るナノ粒子上の部位の数を修正することなどによって、ナノ粒子で生じた、又は生じなかったクラスタリングの量によって修正され得、このような部位が少ないと、ナノ粒子サイズの上限が低くなる可能性があり、このような部位が多いと、ナノ粒子サイズの上限が高くなる可能性がある。クラスタリング中の何回もの重合はまた、ナノ粒子サイズを変更し得、更に回数が増えると、ナノ粒子に結合した鋳型ポリヌクレオチドのコピー及び相補体が増加し、したがって、そのサイズの上限を増加させる可能性があり、回数が減ると、ナノ粒子に結合した鋳型ポリヌクレオチドのコピー及び相補体が減少し、したがって、サイズの上限を減少させる可能性がある。ナノ粒子のサイズは、足場上でのクラスタリングの発生前後に、そのサイズに従って決定され得る。
【0149】
本明細書で使用するとき、「ナノ粒子」という用語は、最大約1,000nmのサイズの最大寸法を有する粒子を意味することを意図している。幾何学的形状に応じて、寸法は、長さ、幅、高さ、直径などを指し得る。本明細書では、一例として寸法を説明するために、「直径」が概して使用されるが、本明細書に記載のナノ粒子は、球形又は円形である必要はない。本明細書に開示するナノ粒子は、約2nm、約5nm、約7nm、約10nm、約12nm、約15nm、約17nm、約20nm、約22nm、約25nm、約27nm、約30nm、約32nm、約35nm、約40nm、約42nm、約45nm、約47nm、約50nm、約52nm、約55nm、約57nm、約60nm、約62nm、約65nm、約67nm、約70nm、約72nm、約75nm、約77nm、約80nm、約82nm、約85nm、約87nm、約90nm、約92nm、約95nm、約97nm、約100nm、約125nm、約150nm、約175nm、約200nm、約225nm、約250nm、約275nm、約300nm、約325nm、約350nm、約375nm、約400nm、約425nm、約450nm、約475nm、約500nm、約525nm、約550nm、約575nm、約600nm、約625nm、約650nm、約675nm、約700nm、約725nm、約750nm、約775nm、約800nm、約825nm、約850nm、約875nm、約900nm、約925nm、約950nm、約975nm、又は約1,000nmの直径を有し得る。ナノ粒子の直径は、準弾性光散乱としても知られる動的光散乱(dynamic light scattering、DLS)によって測定され、流体力学半径(hydrodynamic radius、Rh)の2倍として表現され、DLS系又はDLS及び他の官能性を含む他の系(例えば、ZETASIZER(登録商標)、MalvernInstrumentsLimited)で決定され得る。
【0150】
本明細書に開示するナノ粒子は、約2nm~約10nm、約5nm~約15nm、約7nm~約20nm、約10nm~約25nm、約15nm~約30nm、約20nm~約50nm、約40nm~約60nm、約50nm~約75nm、約60nm~約100nm、約70nm~約100nm、約75nm~約100nm、約80nm~約110nm、約90nm~約130nm、約100nm~約150nm、約100nm~約200nm、約150nm~約225nm、約200nm~約250nm、約200nm~約300nm、約225nm~約275nm、約250nm~約300nm、約275nm~約325nm、約300nm~約400nm、約300nm~約350nm、約325nm~約375nm、約350nm~約400nm、約375nm~約425nm、約400nm~約500nm、約400nm~約450nm、約425nm~約475nm、約450nm~約500nm、約475nm~約525nm、約500nm~約600nm、約500nm~約550nm、約525nm~約575nm、約550nm~約600nm、約575nm~約625nm、約600nm~約700nm、約600nm~約625nm、約625nm~約675nm、約650nm~約700nm、約675nm~約725nm、約700nm~約800nm、約700nm~約725nm、約725nm~約775nm、約750nm~約800nm、約775nm~約825nm、約800nm~約900nm、約800nm~約850nm、約825nm~約875nm、約850nm~約900nm、約875nm~約925nm、約900nm~約1,000nm、約900nm~約950nm、約925nm~約975nm、約950nm~約1,000nm、約300nm~約450nm、約350nm~約500nm、約400nm~約550nm、約450nm~約600nm、約500nm~約650nm、約550nm~約700nm、約600nm~約750nm、約650nm~約800nm、約700nm~約850nm、約750nm~約900nm、約800nm~約950、又は約850nm~約1,000nmの範囲内の直径を有し得る。
【0151】
便宜上及び明確さのために、本明細書、実施例、及び特許請求の範囲で用いる特定の用語をここで説明する。
【0152】
「アクリレート基」としては、アクリル酸及びその誘導体(例えば、メタクリル酸)の塩、エステル、及び共役塩基が挙げられる。アクリレートイオンは、分子式CH2=CHCOO-を有する。
【0153】
「アクリルアミドモノマー」は、構造
【化53】
又はその置換類似体(例えば、メタクリルアミド又はN-イソプロピルアクリルアミド)を有するモノマーである。アクリルアミド基及びアジド基を含むモノマーの例は、アジドアセトアミドペンチルアクリルアミド
【化54】
である。
【0154】
本明細書に使用されるとき、「アルキル」は、完全に飽和している(すなわち、二重結合又は三重結合を含有しない)直鎖又は分岐鎖炭化水素鎖を指す。アルキル基は、1~20個の炭素原子を有し得る。例示的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、三級ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。例として、表記「C1~4アルキル」は、アルキル鎖中に1~4個の炭素原子が存在すること、すなわち、アルキル鎖が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、及びt-ブチルからなる群から選択されることを示す。
【0155】
本明細書に使用されるとき、「アルケニル」は、1つ以上の二重結合を含有する直鎖又は分岐鎖炭化水素鎖を指す。アルケニル基は、2~20個の炭素原子を有し得る。例示的なアルケニル基としては、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルなどが挙げられる。
【0156】
本明細書に使用されるとき、「アルキン」又は「アルキニル」は、1つ以上の三重結合を含有する直鎖又は分岐鎖炭化水素鎖を指す。アルキニル基は、2~20個の炭素原子を有し得る。
【0157】
アルコキシ又はアルコキシルは、酸素を通して親構造に結合した直鎖構成又は分岐構成の、1~20個の炭素原子、例えば、1~6個の炭素原子など1~10個の炭素原子などの基を指す。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどが挙げられる。
【0158】
オキサアルキルは、1つ以上の炭素(及びそれらの関連する水素)が酸素によって置換されているアルキル残基を指す。例としては、メトキシプロポキシ、3、6、9-トリオキサデシルなどが挙げられる。オキサアルキルという用語は、酸素がその隣接する原子との単結合(エーテル結合を形成する)を介して結合した化合物を指すものであり、カルボニル基に見られるように、二重結合酸素を指すものではない。同様に、チアアルキル及びアザアルキルは、1つ以上の炭素がそれぞれ硫黄又は窒素によって置換されているアルキル残基を指す。アザアルキルの例としては、エチルアミノエチル及びアミノヘキシルが挙げられる。
【0159】
本明細書で使用するとき、「アリール」は、環骨格中に炭素のみを含有する芳香環又は環系(すなわち、2つの隣接する炭素原子を共有する2つ以上の縮合環)を指す。アリールが環系である場合、系内の全ての環は芳香環である。アリール基は、6~18個の炭素原子を有し得る。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アズレニル、及びアントラセニルが挙げられる。
【0160】
本明細書で使用するとき、「結合した」という用語は、共有結合的に又は非共有結合的に(例えば、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス力、親水性相互作用及び疎水性相互作用によって)のいずれかで、互いに接合される、固定される、接着される、接続される、又は結合される、2つのものの状態を指す。例えば、核酸は、共有結合又は非共有結合によって官能化ポリマーに結合され得る。
【0161】
「アジド(azide)」又は「アジド(azido)」官能基は、-N3を指す。
【0162】
本明細書で使用するとき、「結合領域」は、例えば、スペーサ層、蓋、別の基材など、又はそれらの組み合わせ(例えば、スペーサ層及び蓋)であり得る別の物質に結合されるべき基材上の領域を指す。結合領域で形成される結合は、(上記のような)化学結合、又は機械的結合(例えば、締結具などを使用する)であり得る。
【0163】
「tert-ブチルオキシカルボニル基」(Boc)は、
【化55】
基を差す。「ブチルオキシカルボニルオキシ基」は、-OCO
2tBu基を差す。
【0164】
本明細書で使用するとき、「カルボシクリル」は、環系骨格中に炭素原子のみを含有する非芳香族環又は環系を意味する。カルボシクリルが環系である場合、2つ以上の環が、縮合、架橋、又はスピロ結合方式で一体に結合され得る。カルボシクリルは、環系中の少なくとも1つの環が芳香族ではないことを条件として、任意の飽和度を有してよい。したがって、カルボシクリルとしては、シクロアルキル、シクロアルケニル、及びシクロアルキニルが挙げられる。カルボシクリル基は、3~20個の炭素原子を有し得る。カルボシクリル環の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、2,3-ジヒドロ-インデン、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、アダマンチル、及びスピロ[4.4]ノナニルが挙げられる。
【0165】
本明細書で使用するとき、「カルボン酸」又は「カルボキシル」という用語は、-COOHを指す。
【0166】
本明細書で使用するとき、「シクロアルキレン」は、2つの結合点を介して分子の残りに結合した完全飽和カルボシクリル環又は環系を意味する。
【0167】
本明細書で使用するとき、「シクロアルケニル」又は「シクロアルケン」は、少なくとも1つの二重結合を有する炭素環又は環系を意味し、環系内の環は、いずれも芳香族ではない。例としては、シクロヘキセニル又はシクロヘキセン及びノルボルネニル又はノルボルネンが挙げられる。本明細書で使用するとき、「ヘテロシクロアルケニル」又は「ヘテロシクロアルケン」は、少なくとも1つの二重結合を有する、環骨格中に少なくとも1つのヘテロ原子を有する炭素環又は環系を意味し、環系内の環は、いずれも芳香族ではない。
【0168】
本明細書に使用されるとき、「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」は、-OH基を指す。
【0169】
本明細書で使用するとき、「プライマー」は、DNA合成又はRNA合成の開始点として機能する一本鎖核酸配列(例えば、一本鎖DNA又は一本鎖RNA)として定義される。プライマーの5’末端は、官能価ポリマー層とのカップリング反応を可能にするように修飾され得る。プライマーの長さは、任意の数の塩基の長さであることができ、様々な非天然ヌクレオチドを含むことができる。一例では、プライマーは、20~40塩基の範囲の短鎖である。
【0170】
本明細書で使用するとき、「任意選択的に置換された」という用語は、「置換されていない、又は置換された」と互換的に使用され得る。「置換された」という用語は、特定の基の1つ以上の水素原子を特定のラジカルと置き換えることを指す。例えば、置換されたアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルなどは、各残基中の1つ以上のH原子がハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アシル、アルコキシアルキル、ヒドロキシ低級アルキル、カルボニル、フェニル、ヘテロアリール、ベンゼンスルホニル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、ハロアルコキシ、オキサアルキル、カルボキシ、アルコキシカルボニル[-C(=O)O-アルキル]、アルコキシカルボニルアミノ[HNC(=O)O-アルキル]、カルボキサミド[-C(=O)NH2]、アルキルアミノカルボニル[-C(=O)NH-アルキル]、シアノ、アセトキシ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、(アルキル)(アリール)アミノアルキル、アルキルアミノアルキル(シクロアルキルアミノアルキルなど)、ジアルキルアミノアルキル、ジアルキルアミノアルコキシ、ヘテロシクリルアルコキシ、メルカプト、アルキルチオ、スルホキシド、スルホン、スルホニルアミノ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニル、アリールスルホニルアミノ、アシルアミノアルキル、アシルアミノアルコキシ、アシルアミノ、アミジノ、アリール、ベンジル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヒドロキシイミノ、アルコキシイミノ、オキサアルキル、アミノスルホニル、トリチル、アミジノ、グアニジノ、ウレイド、ベンジルオキシフェニル、及びベンジルオキシで置換されているアルキル、アリール、シクロアルキル、又はヘテロシクリルなどを指す。「オキソ」はまた、「任意選択的に置換された」で参照した置換基の中に含まれ、オキソは二価のラジカルであるため、当業者には、置換基(例えば、フェニル上)としては適切ではない状況が存在することが理解されよう。一例では、1、2、又は3個の水素原子は、特定のラジカルで置換され得る。アルキル及びシクロアルキルの場合、3個以上の水素原子がフッ素で置換され得、実際には、全ての利用可能な水素原子がフッ素で置換され得る。このような化合物(例えば、ペルフルオロアルキル)は、「フルオロ炭化水素」のクラスに含まれる。明確にするために、総称は、2つ以上の置換基を包含し得る。すなわち、例えば、「ハロアルキル」又は「ハロフェニル」は、少なくとも1つ、しかしおそらく2つ以上の水素がハロゲンで置換されるアルキル又はフェニルを指す。いくつかの例では、置換基は、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アシル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、オキサアルキル、カルボキシ、シアノ、アセトキシ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノアリールスルホニル、アリールスルホニルアミノ、及びベンジルオキシである。
【0171】
本明細書に記載の化合物を説明する際に、「少なくとも1つの含酸素置換基で置換された」という用語が使用される。含酸素置換基は、炭素及び水素に加えて酸素を含有する置換基であり、含酸素置換基はまた、窒素(例えば、カルボキサミド又はメタンスルホニル)など追加のヘテロ原子を含み得る。含酸素置換基の典型的な例としては、アルコキシ、ヒドロキシ、フルオロアルコキシ、ホルミル、アセチル、及び他のC1~C6アシル鎖が挙げられる。
非限定的な実施例
【0172】
以下の実施例は、本開示の特定の実施形態を例示することを意図したものであるが、決してその範囲を限定することを意図するものではない。
【0173】
図1は、本明細書に開示するナノ粒子の非限定的な例の図を示す。この非限定的な例では、単一の鋳型ポリヌクレオチド部位は、開示するように、ナノ粒子の足場部分の楔形部分として示されている。単一の鋳型ポリヌクレオチドは、単一の鋳型部位に結合して示されている。また、この非限定的な例では、足場のアクセサリー部位から延在する複数のアクセサリーが示されている。中央の図では、アクセサリーはポリマーとして示されている。左パネルでは、多数の、鋳型ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドのコピー及び鋳型ポリヌクレオチドのコピーが示されており、このようなコピーは足場に結合し、足場から延在する。この例では、これらはポリマーから延在し、次に足場から延在する。
【0174】
右パネルでは、単一の鋳型部位において結合した鋳型ポリヌクレオチドを有するナノ粒子が、基材のウェル内で示されている。複数のアクセサリーオリゴヌクレオチドは、足場から延在するように示されている。右パネルには示されていないが、この例では、アクセサリーオリゴヌクレオチドは、足場に結合したポリマーから延在する。アクセサリーオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列は、ウェルの表面に結合したプライマーに相補的である。それによって、アクセサリーオリゴヌクレオチドは、ウェルに結合したプライマーにハイブリダイズし、ウェルの表面に結合する。この場合、ウェルのサイズに対するナノ粒子のサイズのために、ウェル内には1つのナノ粒子のみが存在し得る。したがって、クラスタリングは単一鋳型から開始される
【0175】
図2は、本開示によるナノ粒子足場の非限定的な例の図である。左側では、足場は、3つのポリマー尾部を有する非対称足場及び足場に結合した単一の鋳型ポリヌクレオチドとして示される。右側には、ナノ粒子の分子構造の例(3アームのRAFT剤コアを含む)が示されており、単一の鋳型結合点が図示され、ポリマーは足場のコアから延在している。この例ではアジド基(例えば、マトリクスモノマー及びプライマー結合点)として示されている、アクセサリー部位を含む足場の一部を形成し得るアクリルアミドモノマーの非限定的な例も示されている。
【0176】
図3は、本明細書に開示する足場ポリマーの非限定的な別の例を示す。右側には、3つのポリマーアームが延在する足場コアが示されており、単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位が示されている。左側には、コア及びポリマーアームのうちの1つの化学構造が示されている(図を明確にする目的で他のポリマーアームは省略しているが、足場には含まれる)。ジベンゾシクロオクテン基は、単一の鋳型ポリヌクレオチド結合部位として示されており、アクセサリー結合部位は図示されたポリマーアーム上に示されている。
【0177】
図4は、本開示の態様による、足場の一例の合成スキームの別の非限定的な例を示す。この例では、トリス分子のアミン末端はブロックされており(t-ブチルジカーボネート、又はBoc2O、DIPEA、又はN,N-ジイソプロピルエチルアミン、及びTHF、又はテトラヒドロフラン)、2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸(DDMAT)基がトリスコアのヒドロキシル末端に付加される。その後の重合のために、2つの選択肢が示されている。経路1では、標準的な水性RAFT重合を実施して、モノマーを鎖に付加し、続いてアミン基の脱保護及びアミン基へのジベンゾシクロオクテン(DBCO)基の結合を行う。代替の経路2では、最初にアミン基のブロックがトリフルオロ酢酸(TFA)で解除され、モノマー基を付加するRAFT重合の実施前に、まずジベンジルシクロオクテン基を結合させる(DBCO-PEG1-NHSエステル)。
【0178】
本開示による足場を合成するための代替スキームは、以下の通りである
【化56】
(この例では、説明を簡潔にするために、DDMATの付加後にポリマーアームのうちの1つのみが示されるが、3つのアーム全ては同じ構造を有するであろう)。この非限定的な作業例では、PEGリンカーは、鋳型ポリヌクレオチド部位(R)と、アクセサリー部位(この実施例ではアジド基)を含むポリマーアームとの間に付加されている。
【0179】
本開示の態様に従って行われた、足場を合成するための別のスキームは、以下の非限定的な作業例に従う。
【化57】
そこから、合成スキームの以下の非限定的な例を実行することができる(ここでも、図を明確にするために3つのポリマーアームのうちの1つのみを示すが、全てのポリマーアームは、同じスキームに従って合成される)。
【化58】
【0180】
この非限定的な例では、単一の鋳型ポリヌクレオチド部位はテトラジンである。以下のR
1を有するモノマーは、本明細書に開示するように、異なる種の足場を合成するために(非限定的な例として、アクセサリー結合部位のアジド基を付加するために)重合中に付加され得る。
【化59】
【0181】
以下のR
2を有するモノマーは、本明細書に開示するように、異なる種の足場を合成するために、重合中に任意選択的に付加され得る。:
【化60】
【0182】
アクリルアミドモノマーは、任意選択的に以下のスキームに従ってペグ化され得る。
【化61】
【0183】
本開示に従ってトリアジンコアから足場を合成するための代替スキームは、以下の非限定的な例に従う。
【化62】
【化63】
【0184】
この非限定的な例では、単一の鋳型ポリヌクレオチド部位は、上記のように、テトラジンコアの上部から延在するアミンである。以下のR
1を有するモノマーは、本明細書に開示するように、異なる種の足場を合成するために(非限定的な例として、アクセサリー結合部位のアジド基を付加するために)重合中に付加され得る。
【化64】
【0185】
以下のR
2を有するモノマーは、本明細書に開示するように、異なる種の足場を合成するために、重合中に任意選択的に付加され得る。:
【化65】
【0186】
アクリルアミドモノマーは、任意選択的に以下のスキームに従ってペグ化され得る。
【化66】
【0187】
トリアジン足場コアに付加するための二官能性ペグ化第二級アミンは、以下のスキームに従って合成され得る。
【化67】
【0188】
二官能性ペグ化第二級アミンのトリアジン足場コアへの初期付加中に付加される成分の化学量論的制御及び精製方法(例えば、極性の違いに基づく)は、一置換体及び三置換体とは対照的に、二置換トリアジン(2つの二官能性第二級アミンを付加)の生成を支援するために使用され得る。
【0189】
図5は、本開示の態様によるデンドリマー足場の一例を示す。この例では、4個のリジンを含み、C末端システインで終端するポリペプチドが示されている。第2、第3、及び第4のリジンは、εアミノ基を介した別のリジン基へのイソペプチド結合を含むフォークを含む。第2のリジンは、イソペプチド結合によって結合した単一のリジンを有する。第3のリジンはジリジンに結合し、これは、そのC末端リジンのεアミノ基へのイソペプチド結合によって連結された別のリジンを有する。第4のリジンは、別のリジンがイソペプチド結合によってその第2のリジンに結合したトリリジン残基に結合し、イソペプチド結合によって結合したジリジン残基はそのC末端リジンに結合する。
【0190】
したがって、デンドロン足場のこの例では、異なる数の世代が、システインコアから延在する分岐から出現する。他の例では、より多くの世代又はより少ない世代が含まれ得、異なる分岐は、互いに同数の世代、又は互いに異なる数の世代を有し得る。他の例では、追加の種のアミン酸は、例えば、リジン残基へのペプチド結合を介して、リシルフォークの間に、又は単一鋳型ポリヌクレオチド部位を有する末端に含まれ得る。
【0191】
図6は、リシルデンドリマー構造足場、又はリジン置換基のε-アミノ基におけるイソペプチド結合によって結合して分岐ペプチド足場を形成するリジン含有ポリペプチドの足場内などで、分岐リジン置換基がαアミノペプチド結合及びε-アミノイソペプチド結合を有する、ナノ粒子の合成スキームを示す。固相ペプチド合成を使用して、例えば、
図6の上パネルに従って直鎖状のポリペプチド鎖内で共にアミノ酸の配列を合成し得る(固相ペプチド合成(SPSS)による逐次合成戦略)。アミン基は、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)又はtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)でブロックされる。保護基は、添加された組成物/カップリング試薬の存在下で選択的に除去される。遊離アミノ基の反復保護(n個(n=サイクル数)のモノマーを付加する)、続いてその除去及び活性化アミノ酸の添加により、直鎖ポリペプチドが合成され得る(n個(n=サイクル数)のモノマーを添加する)。これにより、1つ以上のリジン残基を含む荷電アミノ酸の直鎖が、足場の成分として生成され得る。次いで、組成物は、基材樹脂から開裂され、望ましいように更に修飾され得る。
【0192】
図6の下パネルに更に示されるように、1つ以上のリジン残基を含む、個別に形成されたポリペプチド鎖の長さを、合成ステップ(下パネル、固相ペプチド合成(SPPS)による収束合成戦略)中にポリマーセットとして付加することができる収束固相タンパク質合成方法を使用することができる。
図6には示されていない、いくつかの例では、アミノ酸又はポリペプチドは、分岐としてフォークに独立して付加され得、フォークは、
図22に示されるように単一アミノ基から直線的に連結されるのではなく、2個のアミノ基(すなわち、リジンの、又は別のアミノ酸)のαアミノ基などN末端及びリジンのεアミノ酸)を含有する構造である。例えば、2つのアミノ基を有するリジンアミノ酸は、
図6に示される固相タンパク質合成スキームに従って、直鎖ポリペプチドの2つの分岐又は2つの個々のリジン残基が各アミノ基に結合し得るフォーク状結合点としての役割を果たし得る。
【0193】
図7は、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合するための異なる方法の図である。上では、単一の鋳型ポリヌクレオチド部位を有する足場が示されている。左では、鋳型部位プライマーが単一の鋳型ポリヌクレオチド部位に含まれ、その末端は、鋳型ポリヌクレオチドの末端に相補的であり、ワトソン-クリック塩基対ハイブリダイゼーションによる鋳型ポリヌクレオチドの足場への非共有結合を可能にする。中央では、鋳型ポリヌクレオチド及び単一の鋳型ポリヌクレオチド部位は、鋳型ポリヌクレオチドと足場との間に形成される共有結合の形成をもたらす、それぞれ相補的な部分又は構造を有する。右では、ポリペプチドが単一の鋳型部位に含まれ、それに相補的なポリペプチドが、鋳型ポリヌクレオチドの末端に結合している。単一の鋳型部位のポリペプチドと鋳型ポリヌクレオチドと間の非共有結合は、鋳型ポリヌクレオチドを足場に結合させる。
【0194】
図8は、PX(GFP-オリゴコンジュゲート)によって表される鋳型部位プライマーに対するハイブリダイゼーションによって、タンパク質足場の単一の鋳型部位に結合した鋳型ポリヌクレオチドの例を示す。ライブラリの鋳型ポリヌクレオチドの2つの例が示されており、これは、P5配列及びP7配列を有する標準的なライブラリ分子であり、3プライム末端においてPX鋳型部位プライマーに相補的な領域(PX’と称する)、又はPX’配列がPEGリンカーによってP5配列から分離されている修飾バージョンである。エーテル鎖は、足場の単一の鋳型部位に結合する。標準的なライブラリ配列は、第1の鎖延長重合反応で使用することができ、PXプライマーは、鋳型ポリヌクレオチドに相補的な新生鎖を重合するための開始プライマーとして機能する。
【0195】
図9は、非共有結合、具体的にはコイルドコイルペプチド非共有結合の例を示す(一例では、K
Dは、<1x10
-10Mのピコモル範囲である)。コイルドコイル結合の2つの相補的結合パートナーを形成する、αらせん状ポリペプチド構造の2つのアミノ酸配列が示されている。このような配列を足場又はライブラリ鋳型ポリヌクレオチドに結合することによって、鋳型ポリヌクレオチドは、αらせん間の非共有結合を介して足場に結合することができる。別の例では、足場に結合した配列に相補的なαらせん状配列のうちの1つは、アクセサリーオリゴヌクレオチドをアクセサリー部位に結合させるためのアクセサリーオリゴヌクレオチドなどアクセサリーに結合し得る。
【0196】
図10は、所与のナノウェル表面積(SA)又は直径(D)のナノウェル(デンドリマー/ナノウェル)に存在し得る、所与のサイズの足場の数の試験の例のグラフ(播種イベント対ナノウェル表面積)を示す。直径約100nmの(本明細書に開示するナノ粒子のナノ粒子の構造とは異なる構造を有する)ナノ粒子を、直径185nm、285nm、又は375nmのナノウェルに播種し、ナノウェル当たりのデンドリマーの数を測定した。結果の最適線(y=3E-0.5x-3.4874、R
2=0.9991)からの外挿は、この実施例において、ナノウェルの単一ナノ粒子播種は、直径約100nmのナノ粒子及び直径約100nmのナノウェルを使用した結果であろうことを示す。
【0197】
図11A~
図11Cは、本開示の態様による、足場を使用して、基材に鋳型ポリヌクレオチドを播種する例を示す。米国特許仮出願第62/952,799号による、DNAデンドリマー足場として構成された足場は、50nm~150nmの直径を有した。この足場は、鋳型ポリヌクレオチドと複数のアクセサリー部位(cPX)とを結合するための単一の鋳型部位(Pa)を含む。
図11Aは、鋳型ポリヌクレオチド及びその相補体を示し、プライマー配列は各末端に付加されている(P5/cP5及びP7/cP7)。鋳型ポリヌクレオチドのP5プライマー末端は、PEGリンカーによってプライマー(cPa)に接合される。cPaプライマーは、足場の単一の鋳型部位(Pa)に相補的である。
図11Bは、cPaプライマーを介した、
図11Aに示される鋳型ポリヌクレオチド及びその相補体に対して、その単一の鋳型部位(Pa)を介してハイブリダイズした足場分子の描写である。足場は、基材に結合している。基材は、足場のアクセサリー部位(cPX)に相補的であるプライマー(PX)に結合している。基材もプライマーに結合しており、鋳型末端のハイブリダイゼーションを可能にして、基材上でのクラスタリングを可能にする。
【0198】
図11Cは、単一の鋳型部位を有する足場を使用して基材に鋳型ポリヌクレオチドを播種し、続いてクラスタリングすることを実証する、前述による実施例を示す。足場は、本開示の態様並びに
図11A及び
図11Bに従って鋳型ポリヌクレオチドに結合した。示されるモル比で鋳型ポリヌクレオチド(ライブラリ)と足場を合わせ、合わせたものを基材(播種用のナノウェルを有するフローセル)に播種し、次いで、リコンビナーゼ駆動クラスタ増幅プロセス(ExAmpクラスタ増幅)に従ってクラスタリングを行った。陰性対照としては、鋳型なしの足場及び足場なしの鋳型が挙げられる。陽性対照(+対照)として、足場を介さずに基材に結合したプライマーに対する鋳型分子のハイブリダイゼーション後の基材上でのクラスタリングを使用して、足場を使用せずに、基材上でのクラスタリングを行った。
【0199】
左パネルは、上記条件(2つの陰性対照、様々な足場:鋳型モル比の5つの条件、及び1つの陽性対照)によるクラスタリングプロセス後のフローセルの画像である。陰性対照を除く全ての条件での蛍光は、単一の鋳型結合部位を有する足場が、基材に鋳型ポリヌクレオチドを播種し、クラスタリングプロセスを支援し得ることを示す。棒グラフは、8つの条件のクラスタリング結果の定量的測定値である。上のグラフは、クラスタサイズの間接的な尺度としてのサイクル1の強度、すなわち収率である(強度は、クラスタサイズ、すなわち収率に正比例する)。下のグラフの%PFは、%通過フィルター(閾値フィルターを通過するナノウェルの割合)であり、内部に形成されたクラスタの純度を示す。すなわち、モノクローン性クラスタを有するナノウェルの数に正比例する。
【0200】
本明細書でより詳細に考察した、前述の概念及び更なる概念の全ての組み合わせが、(かかる概念が相互に矛盾しなければ)本明細書に開示する発明の主題の一部であると企図されることを理解されたい。具体的には、本開示の終わりに現れる特許請求される主題の全ての組み合わせは、本明細書に開示する発明の主題の一部であることが企図され、本明細書に記載の利益及び利点を得るために使用され得る。
【配列表】
【国際調査報告】