(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-06
(54)【発明の名称】捲縮合成繊維で作られた不織布の生産方法及び生産装置
(51)【国際特許分類】
D04H 3/018 20120101AFI20230227BHJP
D04H 3/16 20060101ALI20230227BHJP
D04H 3/147 20120101ALI20230227BHJP
【FI】
D04H3/018
D04H3/16
D04H3/147
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022502111
(86)(22)【出願日】2020-07-07
(85)【翻訳文提出日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2020069127
(87)【国際公開番号】W WO2021018525
(87)【国際公開日】2021-02-04
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505313830
【氏名又は名称】ライフェンホイザー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト・マシイネンファブリーク
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】税所 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー,トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ゾマー,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ボール,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ゴイス,ハンス-ゲオルク
【テーマコード(参考)】
4L047
【Fターム(参考)】
4L047AA14
4L047AA27
4L047AB03
4L047BA09
4L047BB09
4L047CA02
4L047CA05
4L047CB01
4L047EA10
(57)【要約】
捲縮合成繊維で作られた不織布を生産するための方法であって、合成繊維は紡糸されて、不織ウェブとしてコンベア上に堆積される。堆積された不織ウェブは、少なくとも1つの第1熱風結合装置によって予結合され、主吸引空気は、繊維堆積のエリアにおいてコンベアを通して下方から吸引される。第1吸引空気は、第1熱風結合装置の領域においてコンベアを通して下方から吸引される。主吸引空気の風速は、第1吸引空気の風速より高い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
捲縮合成繊維で作られた不織布を生産するための方法であって、前記合成繊維が、紡糸されて、不織ウェブ(14)としてコンベア上に堆積され、前記堆積された不織ウェブ(14)が少なくとも1つの第1熱風結合装置(7)によって予結合され、主吸引空気(19)が前記繊維堆積のエリア(18)において前記コンベアを通して下方から吸引され、第1吸引空気(20)が前記第1熱風結合装置(7)の領域において前記コンベアを通して下方から吸引され、前記主吸引空気(19)の風速(v
M)が前記第1吸引空気(20)の風速(v
1)より高く、前記第1熱風結合装置(7)が第1熱風(15)を吹き付け、前記主吸引空気(19)の風速(v
M)が前記第1熱風(15)の風速(v
H1)より高く、かつ前記第1吸引空気(20)の風速(v
1)が前記第1熱風(15)の風速(v
H1)より高いかこれに等しい、方法。
【請求項2】
前記不織布が、スパンボンド不織布として与えられ、連続合成フィラメント(1)が紡糸され、冷却され、延伸されて、その後前記コンベア上にスパンボンド不織ウェブ(14)として堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
バイコンポーネントフィラメント及び/又はマルチコンポーネントフィラメントが紡糸され、好ましくは前記フィラメントの少なくとも1つの成分がポリオレフィンである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
並列構成及び/又は偏心芯鞘構成を持つバイコンポーネントフィラメント及び/又はマルチコンポーネントフィラメントが紡糸される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第2吸引空気(23)が、前記繊維堆積のエリア(18)と前記第1熱風結合装置(7)の領域との間で前記コンベアを通して下方から吸引され、好ましくは、前記第2吸引空気(23)の風速(v
2)が前記主吸引空気(19)の風速(v
M)より低く、かつ好ましくは、前記第2吸引空気(23)の風速(v
2)が前記第1吸引空気(20)の風速(v
1)より高い、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記不織ウェブ(14)の搬送方向に前記第1熱風結合装置(7)の後に、前記不織ウェブ(14)が、少なくとも1つの第2熱風結合装置(24)によって結合又は予結合され、第2熱風(25)が前記第2熱風結合装置(24)によって吹き付けられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1熱風(15)の風速(v
H1)が前記第2熱風(25)の風速(v
H2)より高い、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1熱風(15)が、前記第2熱風(25)より高い気温を有する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1熱風結合装置(7)が、前記処理される不織ウェブ(14)に関して前記第2熱風結合装置(24)より小さい空気処理エリア(26)を有する、請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
第3吸引空気(27)が、前記第2熱風結合装置(24)のエリアにおいて前記コンベアを通して下方から吸引され、好ましくは前記第3吸引空気(27)の風速(v
3)が前記第2熱風(25)の風速(v
H2)より低い、請求項6~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記主吸引空気(19)の風速(v
M)及び前記第1吸引空気(20)の風速(v
1)が、それぞれ前記第3吸引空気(27)の風速(v
3)より高い、請求項6~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1吸引空気(20)の領域と前記第3吸引空気(27)の領域との間で第4吸引空気(28)が前記コンベアを通して下方から吸引され、好ましくは、前記第4吸引空気(28)の風速(v
4)が前記第1吸引空気(20)の風速(v
1)より低く、かつ好ましくは、前記第4吸引空気(28)の風速(v
4)が前記第3吸引空気(27)の風速(v
3)より高い、請求項6~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第2熱風(25)の温度が80℃~180℃である、請求項6~12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1熱風結合装置(7)及び/又は前記第2熱風結合装置(24)が、前記不織ウェブ(14)用の予圧着装置として形成され、前記フィラメントの搬送方向に前記予圧着の後に、前記不織ウェブ(14)が最終的に凝固され、特に熱風によって最終的に凝固される、請求項6~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記不織ウェブ(14)の搬送速度が120m/分を上回る、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記不織ウェブ(14)が、2つ又はそれ以上の層を積層することによって生産される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記不織ウェブ(14)が、かさ密度0.06g/cm
3以下、強度0.6(N/5cm)/(g/m
2)以上を有する、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
繊維を紡糸するための紡糸装置を持ち、前記繊維を冷却するための冷却装置(3)を備え、不織ウェブ(14)のために前記繊維を堆積するためのコンベアを備える、-特に請求項1~17のいずれか1項に記載の方法を実施するための-捲縮合成連続フィラメントで作られた不織布を生産するための装置であって、
前記フィラメント流れ方向に、延伸装置(8)が前記冷却装置(3)の下流に配置され、前記延伸装置によって、前記連続フィラメント(1)が延伸され、前記冷却装置(3)と前記延伸装置(8)の集合体が閉鎖ユニットとして形成され、前記閉鎖ユニットにおいて、冷却空気の供給を除いてそれ以外の空気の供給が含まれず、
主吸引エリアが前記繊維堆積のエリア(18)のすぐ下方に設置され、前記主吸引エリアにおいて主吸引空気(19)を前記コンベアを通して下方から吸引でき、前記コンベアの搬送方向に又は前記不織ウェブ(14)の搬送方向に前記繊維堆積のエリア(18)の下流に、第1熱風結合装置(7)が第1熱風(15)で前記不織ウェブ表面に作用するために設置され、第1吸引空気領域が前記第1熱風結合装置(7)のすぐ下方に配列され、前記第1吸引空気領域において、第1吸引空気(20)が前記コンベアを通してかつ前記不織ウェブ(14)を通して下方から吸引され、
第2吸引エリアが前記繊維堆積のエリア(18)と前記第1熱風結合装置(7)の領域との間に設置され、前記第2吸引エリアにおいて、第2吸引空気(23)が前記コンベアを通して下方から吸引される、
装置。
【請求項19】
前記装置が、連続フィラメント(1)から不織布を生産するためのスパンボンド装置として設計され、前記延伸装置(8)と前記コンベアとの間に、少なくとも1つのディフューザ(11)が配列される、請求項18に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捲縮合成繊維で作られた不織布を生産する方法に関するものであり、合成繊維は紡糸されて、不織ウェブとしてコンベア上に堆積される。本発明は、更に、捲縮合成繊維で作られた不織ウェブを生産するための対応する装置に関するものである。合成繊維を捲縮することが潜在的に合成繊維を捲縮することを含むことは、本発明の枠組み内に在る。更に、捲縮連続合成フィラメントが、捲縮連続フィラメントとして使用されることは、本発明の枠組み内に在る。
【背景技術】
【0002】
捲縮合成繊維で作られた不織布を生産する方法は、様々な構成で実用的に知られている。これは、特に、スパンボンド方法によって生産されるスパンボンドウェブに言える。この場合、多くの用途において、スパンボンドウェブは、大きいボリュームを持ち、同時に充分な安定性又は強度を持つことが望ましい。しかし、スパンボンドウェブを生産する枠組み内で、これら2つの特性は、通常、競合する特性又は効果を持つ。大きいボリュームは、強度を犠牲にして得ることが多く、その逆も成り立つ。又、スパンボンドウェブは、充分な均質性を持つことが望ましい。経済的理由で、スパンボンドウェブの生産時には高い生産速度が望ましい。ボリュームのあるスパンボンドウェブの生産時に高い生産速度を得るためには、通常、スパンボンドウェブの強度及び均質性を失うことを受容する必要がある。これらは、非常に望ましくない不利点である。この点に関して、改良が必要とされる。
【0003】
スパンボンドウェブを生産する過程で、孔付き堆積ベルト上に堆積した不織ウェブは、孔付き堆積ベルトを通して吸引される空気によって安定化されることも、知られている。その際、吸引領域から非吸引領域へ孔付き堆積ベルトで移送される不織ウェブが、いわゆるブローバック効果を受けることが問題となる。非吸引領域の始点において、不織ウェブの更に搬送される繊維は、あたかも吸引領域の吸引空気によって吸い戻されるようになって、混乱した不均質性が不織ウェブに中に形成される。したがって、不織ウェブの均質性は、望ましいこととして置き去りにされることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、充分な安定性又は強度を持ちながら最適の均質性を有するヴォリュームのある不織ウェブを高生産速度で生産できる、冒頭に述べたタイプの方法を提供するための技術的問題に基づいている。本発明は、更に、このような不織布を生産するための対応する装置を提供するための技術的問題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
技術的問題を解決するために、本発明は、捲縮合成繊維で作られた不織布を生産する方法を教示する。合成繊維は、紡糸されて、不織ウェブとしてコンベア上に堆積され、堆積した不織ウェブは、第1熱風結合装置によって予結合される。ここでは、主吸引空気は、繊維堆積のエリアにおいてコンベアを通して下方から吸引され、第1吸引空気は、第1熱風結合装置の領域においてコンベアを通して下方から吸引され、主吸引空気の風速は、第1吸引空気の風速より高い。
【0006】
合成繊維が第1熱風結合後に最終熱風結合を受けることは、本発明の枠組み内に在り、好ましい。1つの可能な最終熱風結合は、ベルトオーブンを使用して実施される。このようなベルトオーブンにおいて、熱風は、繊維を通過して流れて、最終製品を凝固して生成する。好ましい実施形態において、使用される熱風温度及び風速は、第1熱風結合におけるより低い。
【0007】
第1熱風結合装置によって、第1熱風の流れが生成され、これが、適宜、不織ウェブに対して上方から作用して、予結合をもたらす。主吸引空気が繊維の堆積エリアの下方でコンベアを通して吸引されることは、本発明の枠組み内に在る。更に、第1吸引空気が熱風結合装置の下方でコンベアを通して吸引されることも、本発明の枠組み内に在る。特に推奨する本発明の実施形態は、コンベアが孔付き堆積ベルトとして又は連続循環孔付き堆積ベルトとして構成されることを、特徴とする。
【0008】
不織布がスパンボンド不織布として生産されることは本発明に従った方法の枠組み内に在り、連続合成フィラメントは、紡糸され、冷却され、延伸されて、その後、スパンボンド不織ウェブとしてコンベア上に又は孔付き堆積ベルト上に堆積される。したがって、本発明の枠組み内で使用される合成繊維は、連続合成フィラメントを含む。
【0009】
本発明に従ったスパンボンド方法又は方法を実行するための本発明に従ったスパンボンド装置の特に好ましい実施形態について、以下に説明する。適宜、連続フィラメント-特にバイコンポーネントフィラメント及び/又はマルチコンポーネントフィラメントの形式の連続フィラメント-は、スピナレットの助けを借りて紡糸され、その後、フィラメントを冷却するための冷却装置の中を案内される。好ましくは、少なくとも1つのモノマー吸引装置が、スピナレットと冷却装置との間に配置され、これによって、フィラメント形成スペースからの吸引が、スピナレットのすぐ下方で行われるので、空気に加えて、フィラメントの紡糸中に生成された分解生成物、モノマー、オリゴノマー及びこれに類似するものなどの気体は、装置から除去できる。冷却装置においてスピナレットによって生成されたフィラメントカーテンは、両側から冷却空気に曝すことを推奨する。非常に好ましい実施形態-本発明に従った方法の枠組み内で特に重要性を有する-は、冷却装置が、フィラメントの流れの方向に連続的に配列された少なくとも2つの冷却室区分に分割されることを特徴とし、それぞれの区分へ温度の異なる冷却空気を供給できることが好ましい。フィラメントの流れの方向に延伸装置が冷却装置の後又は下方に設置され、延伸装置によって、冷却装置を通過するフィラメントが引っ張られる又は延伸されることがうまくいくことが分かった。冷却装置は、適宜、中間通路に直接隣接し、中間通路は、フィラメントの堆積のために集束するように構成されるか又はウェッジ型に集束することが好ましい。中間通路を通過した後、フィラメントカーテンは、延伸装置のドローダウン通路又は延伸シャフトの中へ入ることが好ましい。特に推奨する本発明の実施形態は、冷却装置及び延伸装置から形成されたユニット又は冷却装置及び中間通路並びに延伸シャフトから形成されたユニットが閉鎖ユニットであることを特徴とする。閉鎖ユニットとは、本明細書において、冷却装置における冷却空気の供給以外に、それ以上の空気がこのユニットの中には供給されず、ユニットが外部に対して閉鎖されるように構成されることを意味する。
【0010】
本発明の好ましい実施形態は、更に、延伸装置から出て来る連続フィラメントが、少なくとも1つのディフューザを備えるレイユニット(laying unit)の中を案内されることを特徴とする。1つの実施形態によれば、少なくとも2つの連続的に配列されたディフューザが設置される。適宜、レイユニットを通過した後又は少なくとも1つのディフューザを通過した後、フィラメントは、コンベア上に又は孔付き堆積ベルト上に堆積される。ここで、フィラメントは、堆積されてスパンボンドウェブを形成する。
【0011】
本発明に従った方法の枠組み内で使用されるディフューザが2つの対向するディフューザ壁を有し、壁が機械方向を横切ってしたがってCD方向に延びることは、本発明の枠組み内に在る。機械方向とは、本発明の枠組み内において、特に、孔付き堆積ベルト上の不織ウェブの搬送方向を意味する。強く推奨する本発明の実施形態によれば、孔付き堆積ベルトから少なくとも1つのディフューザまでの距離は、調節可能である。これは、特に孔付き堆積ベルトのすぐ上方に配列されたディフューザの距離を含む。更に、本発明の枠組み内で、ディフューザ壁間の距離及び/又はディフューザ壁間の角度は調節可能である。特に、孔付き堆積ベルトと孔付き堆積ベルトのすぐ上方に配列されたディフューザとの間の距離の調節は、本発明の枠組み内においてかつ本発明に従った技術的問題の解決の観点から、特に重要である。好ましくは、孔付き堆積ベルトとディフューザとの間の距離は、5mm~150mm、特に好ましくは5mm~100mmである。
【0012】
特に推奨する本発明の実施形態は、本発明に従った方法の枠組み内で、多層不織ウェブが生産されることを特徴とし、ここで使用する不織層又はスパンボンド層は、各々以上に説明した方法に従って又は以前説明した装置を使用して生産される。少なくとも1つのスピナレット又は少なくとも1つの紡糸ビームが、各不織層に割り当てられる。特に好ましい実施形態によれば、コンベア上の不織ウェブの処理に関連して以上に及び今後説明する本発明に従った手段(特に、予結合手段及び/又は吸引手段)は、各不織層をコンベア又は孔付き堆積ベルトに当てた後に実施される。適宜、これらの手段は、不織ラミネートの不織層の少なくとも一部分のために実施される。
【0013】
合成繊維又は連続フィラメントがバイコンポーネントフィラメント及び/又はマルチコンポーネントフィラメントとして紡糸されることは、本発明の枠組み内に在る。好ましくは、この場合、少なくとも1つの成分又は合成成分は、ポリオレフィンから又は実質的にポリオレフィンから成る。強く推奨する実施形態は、バイコンポーネントフィラメント又はマルチコンポーネントフィラメントにおいて、少なくとも2つの成分又は少なくとも2つの合成成分が、ポリオレフィンを含むか、又はポリオレフィンから成るか、又は実質的にポリオレフィンから成ることを特徴とする。本発明の立証された実施形態は、バイコンポーネントフィラメント及び/又はマルチコンポーネントフィラメントが、並列構成で及び/又は偏心芯鞘構成で紡糸されることを特徴とする。原則として、フィラメントの潜在的捲縮加工を許容するバイコンポーネントフィラメント及び/又はマルチコンポーネントフィラメントの他の構成が可能である。
【0014】
好ましくは、本発明の枠組み内において、少なくとも1つの成分がポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含む又はポリプロピレン及び/又はポリエチレンから成る又は実質的にポリプロピレン及び/又はプリエチレンから成る、バイコンポーネントフィラメント及び/又はマルチコンポーネントフィラメントが使用される。推奨する実施形態によれば、1つの成分がポリプロピレンを含む又はポリプロピレンから成る又は実質的にポリプロピレンから成り、他方の成分がポリエチレンを含む又はポリエチレンから成る又は実質的にポリエチレンから成る、バイコンポーネントフィラメントが生産される。これらのバイコンポーネントフィラメントは、並列構成及び/又は偏心芯鞘構成を持つことが分かってる。バイコンポーネントフィラメントの1つの成分がポリプロピレンを含むか、ポリプロピレンから成るか又は実質的にポリプロピレンから成り、他方の成分がポリエチレンを含むか又はポリエチレンから成るか又は実質的にポリエチレンから成る場合、2つの成分、ポリプロピレン:ポリエチレンの質量比率は、20:80~80:20であることが好ましい。ポリプロピレンを使用する際、ポリプロピレンは、25~100g/10分(230℃/2.16kg)、好ましくは30~80g/10分、非常に好ましくは35~60g/10分の溶融流量(MFR)を持つように選択されることを推奨する。
【0015】
第1熱風結合装置は、不織ウェブを予結合するために第1熱風を吹き付け、主吸引空気の風速は、第1熱風の風速より高いことは、本発明の枠組み内に在る。好ましくは、第1吸引空気の風速は、第1熱風結合装置の第1熱風の風速より高いか又はこれに等しい。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、第2吸引空気は、繊維堆積のエリアと第1熱風結合装置の領域との間でコンベアを通して下方から又は孔付き堆積ベルトを通して下方から吸引される。不織ウェブの搬送方向において、繊維堆積のエリア、第2吸引空気の吸引領域及び第1熱風結合装置の領域は、連続的に配列される。この場合、不織ウェブの搬送方向に、主吸引空気の吸引、第2吸引空気の吸引及び第1吸引の吸引が連続的に又は直接連続して配列されることも、本発明の枠組み内に在る。
【0017】
適宜、第2吸引空気の風速は、主吸引空気の風速より低い。好ましくは、主吸引空気の風速は、5m/秒~25m/秒、非常に好ましくは、8m/秒~20m/秒、更に好ましくは10m/秒~15m/秒であり、第2吸引空気の風速は、適宜、2m/秒~15m/秒、非常に好ましくは3m/秒~12m/秒、更に好ましくは、5m/秒~10m/秒である。第2吸引空気の風速は、第1吸引空気の風速より高いことを推奨する。好ましくは、第2吸引空気の風速は、第1吸引空気の風速より10%~50%高く、特に好ましくは第1吸引空気の風速より15%~30%高く、非常に好ましくは、第1吸引空気の風速より18%~25%高い。
【0018】
適宜、第1熱風結合装置は、熱風ナイフとして構成される。コンベアから又は孔付き堆積ベルトから第1熱風装置までの距離は調節できることを推奨する。好ましくは、コンベア又は孔付き堆積ベルトから第1熱風結合装置までの距離は、2mm~50mm、特に好ましくは5mm~25mmである。更に、第1熱風結合から出て来る熱風とコンベア又は孔付き堆積ベルトとの間の角度は調節できることを推奨する。1つの実施形態によれば、第1熱風結合から出て来る熱風とコンベア又は孔付き堆積ベルトとの間の角度は、90°であり、好ましくは、±20°の範囲で調節できる。本発明の好ましい実施形態は、第1熱風結合装置又は第1熱風ナイフの熱風の温度は調節できることを特徴とする。好ましくは、第1熱風結合装置から吹き付けられる熱風の温度は、80~180℃、好ましくは100~175℃、更に好ましくは125℃~170℃である。
【0019】
本発明の枠組み内で特に重要な実施形態は、不織ウェブの搬送方向に設置された第1熱風結合装置の後に、不織ウェブが第2熱風結合装置によって結合又は予結合され、第2熱風が、第2熱風結合装置によって、不織ウェブに吹き付けられることである。
【0020】
推奨する本発明の実施形態によれば、好ましくは、コンベア又は孔付き堆積ベルトからの第2熱風結合装置までの距離は調節できる。好ましくは、コンベア又は孔付き堆積ベルトから第2熱風結合装置までの距離は、10mm~300mm、特に好ましくは50mm~200mmの範囲である。
【0021】
好ましくは、第2熱風結合装置から吹く熱風とコンベア又は孔付き堆積ベルトとの間の角度は約90°で、いずれの側にも0~10°調節できる。適宜、第2熱風結合装置は、熱風ナイフとして又は熱風炉として構成される。第2熱風結合装置から吹く熱風の温度が調節できることを推奨する。好ましくは、第2熱風結合装置から吹く熱風の温度は、80~180℃、好ましくは100~150℃、特に好ましくは125℃~145℃である。
【0022】
本発明に従った方法の非常に好ましい実施形態は、第1熱風結合装置の第1熱風の風速が第2熱風結合装置の第2熱風の風速より高いことを特徴とする。
【0023】
好ましくは、第1熱風結合装置の第1熱風の風速は、1m/秒~5m/秒(例えば、2.6m/秒)、非常に好ましくは1.5m/秒~4m/秒、更に好ましくは3m/秒未満であり、第2熱風結合装置の第2熱風の風速は、第1熱風結合装置の第1熱風の風速より好ましくは10%~50%低く、特に15%~30%(例えば2.0m/秒)低く、非常に好ましくは18%~30%低い。
【0024】
適宜、第1熱風結合装置の第1熱風は、第2熱風結合装置の第2熱風より高い温度を有する。本発明の立証された実施形態は、第1熱風結合装置が、不織ウェブの搬送方向で見て、第2熱風結合装置より処理される不織ウェブに関して小さい空気処理面積又は予結合面積を持つことを特徴とする。第2熱風結合装置の空気処理面積したがって予結合面積は、したがって、不織ウェブの搬送方向で見たとき、35mm~110mmであり、第2熱風結合装置の第2熱風のための出口の幅(搬送方向で)は、110mm~1100mmである。
【0025】
第1熱風結合装置の第1熱風が第2熱風結合装置の第2熱風とは異なる温度及び/又は異なる風速及び/又は異なる空気処理断面を持つことは、本発明の枠組み内に在る。この場合、更に、第1熱風結合装置の第1熱風が、冷却勾配を生じるために、第2熱風結合装置の第2熱風より、予結合される不織ウェブに関してより高い温度及び/又はより高い風速及び/又はより小さい空気処理断面を持つことは、本発明の枠組み内に在る。
【0026】
強く推奨する本発明の実施形態は、第3吸引空気が、第2熱風結合装置のエリアにおいてコンベアを通して又は孔付き堆積ベルトを通して下方から吸引されることを特徴とする。好ましくは、第3吸引空気の風速は、第2熱風結合装置から出て来る第2熱風の風速より低い。強く推奨する本発明の実施形態は、更に、主吸引空気の風速が、第2熱風結合装置から出て来る第2熱風の風速より高いことを特徴とする。
【0027】
好ましくは、第2熱風の風速は、1.1m/秒~2.6m/秒、特に好ましくは1.2m/秒~2.4m/秒である。第1吸引空気の風速が第2熱風結合装置から出て来る第2熱風の風速より高いことを推奨する。
【0028】
本発明の特別な実施形態は、第1吸引空気の吸引領域と第3吸引空気の吸引領域との間で、第4吸引空気がコンベア又は孔付き堆積ベルトを通して下方から吸い込まれることを特徴とする。好ましくは、第4吸引空気の風速は、第1吸引空気の風速より低い。適宜、第4吸引空気の風速は、第3吸引空気の風速より高い。したがって、不織ウェブの搬送方向に第1吸引空気の吸引、第4吸引空気の吸引及び第3吸引空気の吸引が連続的に配列されることは、本発明の枠組み内に在る。この場合、適宜、風速は、第1吸引空気の吸引から第3吸引空気の吸引まで減少する。第1吸引空気は、したがって、特に熱風速度の好ましい勾配及び既存の結合度に合わせるために、3つの吸引空気の中で最高風速を持ち、第4吸引空気は2番目の風速を持ち、第3吸引空気は3番目の風速を持つ。
【0029】
第1熱風結合装置及び/又は第2熱風結合装置が、不織ウェブのための予圧着装置として形成されることは、本発明の枠組み内に在る。好ましくは、両方即ち第1及び第2熱風結合装置が、予圧着装置として設計される。更に、フィラメントの搬送方向にこの(これらの)予圧着の後に、不織ウェブは、最終的に凝固される。好ましくは、不織ウェブは、熱風で最終的に凝固される。推奨する本発明の実施形態によれば、予圧着は、まず、第1熱風結合装置で行われ、その後、更なる予圧着が第2熱風結合装置で行われ、最終的に最終凝固装置によって最終凝固が行われ、最終凝固は、熱風で行われることが好ましい。
【0030】
本発明に従った方法において、不織ウェブの搬送速度が、120m/分超え、好ましくは130m/分超え、140m/分超え及び非常に好ましくは150m/分超えであることは、本発明の枠組み内に在る。したがって、本発明の枠組み内で、比較的高い生産速度、例えば150m/分超えで作動できる。本発明は、この場合、高ボリューム及び高均質度並びに高強度を持ちながら安定した不織ウェブが得られると言う発見に基づいている。ここで重要なのは、機械方向(MD)に及び機械方向を横切って(CD)フィラメントが制御可能に配列される繊維堆積が得られることである。したがって、本発明に従った方法は、容易に制御可能なMD/CD比を可能にする。本発明に従ったパラメータ範囲の自由度の結果、この比率は、制御可能であり、正確にかつ再生可能に設定できる。不織ウェブの均質性は、本発明に従ったルールを順守すれば全ての要件を満たす。本発明によれば、高ボリューム及び高強度を有する不織ウェブを、明確に高生産速度で有利に生産できる。本発明は、更に、本発明に従った空気の流れ特に本発明に従った吸引手段を実現するとき、最初に説明した不利なブローバック効果を回避できる、と言う発見に基づいている。これも、均質の不織ウェブを生産できると言う事実に大いに寄与している。本発明に従った手段を実現するとき、本発明に従った不織ウェブを、上下に配列された複数の層から容易に生産できることは、本発明の枠組み内に在る。このような不織ラミネート又は不織ラミネートの各層は、このように、本発明に従った与空気手段又は与熱風を使用して単純に生産できる。
【0031】
本発明に従った方法の好ましい実施形態によれば、かさ密度0.06g/cm3以下、好ましくはかさ密度0.05g/cm3以下及び特に好ましくはかさ密度0.04g/cm3以下の不織ウェブ又はスパンボンドウェブが、生産される。0.6~2.0(N/5cm)/(g/m2)以上の強度を有する不織ウェブ又はスパンボンドウェブが本発明に従った方法によって生産されることは、本発明の枠組み内に在る。機械方向(MD)の強度は、20N/5cm以上が好ましく、適宜25N/5cm以上、好ましくは30N/5cm以上である。かさ密度及び強度のこれらの値及び値範囲は、10gsm~50gsm、好ましくは15gsm~35gsm及び非常に好ましくは17gsm~25gsmの基本重量を持つ不織ウェブにとって特に好ましい。
【0032】
本明細書において使用する「かさ密度」は、厚みに対する「質量/単位面積」から算定されg/cm3で表された相対密度である。
【0033】
質量/単位面積は、WSP(世界経済フォーラム)130.1(2005)に従って計測される。最小テスト面積50,000mm2は、ラインの幅を均等に横切ってウェブの代表的エリアで計測され、平均値を計算した。
【0034】
厚みは、本明細書においては、WSP120.6(2005)-オプションAに基づいてテストする。サンプルに対する押さえのテスト圧力は、標準に従って0.5kPaであるが、読取りは、接触時間5秒後に行われる。同じ代表的位置から採取した試料から少なくとも10回の計測を実施し、かさ密度を計算するために平均値を使用した。
【0035】
本明細書において使用する引張りテスト標準は、WSP110.04(05)-オプションBであり、50x200mmのサイズの試料、0.5Nのプレテンション負荷、100mmのクランプ距離及び200mm/分のテスト速度を使用する。MD及びCD方向のために少なくとも10個の試料を、代表的位置から採取し、結果を平均化しなければならない。結果は、N/5cm(幅)で表される。
【0036】
本発明は、紡糸装置又は繊維を紡糸するためのスピナレットを持つ捲縮合成繊維で作られた不織布を生産するための装置にも関する。装置には、繊維を冷却するための冷却装置及び不織ウェブのために繊維を堆積するためのコンベアが設置され、主吸引エリアは、繊維堆積のエリアのすぐ下方に設置され、主吸引エリアにおいて、主吸引空気は、コンベアを通して下方から吸引でき、コンベアの搬送方向又は不織ウェブの搬送方向に繊維堆積のエリアの下流に、第1熱風結合装置が設置される。第1熱風結合装置は、不織ウェブ表面に第1熱風で作用し、第1吸引領域が、第1熱風接触装置のすぐ下方に設置される。ここで、第1吸引空気は、コンベアを通して又は不織ウェブを通して下方から吸引できる。
【0037】
装置が連続フィラメントから不織布を生産するためのスパンボンド装置として設計されることは、本発明の枠組み内に在り、フィラメントの搬送方向に冷却装置後に、フィラメントを延伸するための延伸装置が配列され、延伸装置とコンベアとの間に、少なくとも1つのディフューザが配列される。本発明に従った設備の特に好ましい実施形態は、冷却装置と延伸装置の集合体が閉鎖ユニットして形成され、冷却空気の供給を除いて、それ以上の空気の供給を含まないことを特徴とする。
【0038】
本発明について、単に1つの好ましい実施形態を示す下記の図面を使って以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、本発明に従った方法を実行するための本発明に従った装置の垂直断面図である。
【
図2】
図2は、孔付き堆積ベルトの領域における
図1の断面を示す。
【
図5】
図5は、複数のスパンボンドウェブから不織ウェブラミネートを生産するためのマルチビームシステムの形式の本発明に従った装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図面は、捲縮連続フィラメント1で作られたスパンボンドウェブの形式の不織ウェブ14を生産するための本発明に従った方法を実行するための本発明に従った装置を示す。フィラメントは、好ましくはかつ好ましい実施形態においては、バイコンポーネントフィラメントとして形成される捲縮合成連続フィラメント1である。この場合、2つの成分の各々がポリオレフィンを含む又はポリオレフィンから成る又は実質的にポリオレフィンから成ることは、本発明の枠組み内に在る。好ましくは、1つの成分は、ポリプロピレンであり、他方の成分は、ポリエチレンである。
【0041】
図1は、このような装置の非常に好ましい実施形態を示す。この装置は、連続フィラメント1を紡糸するためのスピナネット2を備える。紡糸された連続フィラメント1は、冷却室4を持ちかつ冷却室の両側に配列された空気供給キャビン5、6を持つ冷却装置の中へ導かれる。冷却室4及び空気供給キャビン5、6は、機械方向MDを横切ってしたがって装置のCD方向に延びる。冷却空気は、対向する空気供給キャビン5、6から冷却室4の中へ導かれる。
【0042】
好ましい実施形態によればかつ好ましい実施形態において、各空気供給キャビン5、6は、2つのキャビン区分16、17に分割され、そこから、異なる温度の冷却空気がそれぞれに供給される。好ましい実施形態において、第1温度の冷却空気は、それぞれ上部キャビン区分16から供給でき、第1温度と異なる第2温度の冷却空気は、それぞれ2つの下部キャビン区分17から供給できる。空気供給キャビン5、6又は冷却室4を2つに分割することは、本発明の枠組み内で重要である。本発明にしたがって、技術的問題は2部分又はマルチパート冷却室を持つことで特に効果的にかつ確実に解決できることが立証されている。
【0043】
フィラメントの流れ方向FSに、延伸装置8が冷却装置3の下流に配置される。延伸装置によって、連続フィラメント1は延伸される。延伸装置8は、好ましくはかつ好ましい実施形態において、冷却装置3を延伸装置8の延伸シャフト10に接続する中間通路9を有する。特に推奨する本発明の実施形態は、冷却装置3と延伸装置8の集合体又は冷却装置3、中間通路9及び延伸シャフト10のユニットが、閉鎖システムとして構成されることを特徴とする。閉鎖システムは、この場合、特に、冷却装置3における冷却空気の供給を除いて、それ以外にこの集合体に空気の供給がないことを意味する。したがって、
図1の装置が構成される。
【0044】
好ましい実施形態において、フィラメントの流れの方向FSに、延伸装置8の後にディフューザ11が続き、この中を連続フィラメント1が案内される。 好ましい実施形態によればかつ好ましい実施形態において、二次空気をディフューザ11の中へ導くための二次空気取入れギャップ12が、延伸装置8との間に又は延伸シャフト10とディフューザ11との間に設置される。二次空気の導入も、本発明の枠組み内で特に有利な重要性を有する。
図1に示す1つだけのディフューザ11の代わりに、例えば、2つのディフューザ11を連続フィラメント1のフィラメント流れ方向FSに連続的に又は上下に配列できる。強く推奨する実施形態は、孔付き堆積ベルト13のすぐ上に配列されたディフューザ11と孔付き堆積ベルト13との間の距離を調節できることを特徴とする。ディフューザ11の下縁と孔付き堆積ベルト13との間の距離のこの調節も、本発明の枠組み内で重要である。好ましくは、ディフューザ11の下縁と孔付き堆積ベルト13との間の距離は、5mm~150mmである。
【0045】
ディフューザ11を通過した後、連続フィラメント1は、好ましくはかつ好ましい実施形態において、孔付き堆積ベルト13として構成されるコンベア上に堆積される。孔付き堆積ベルト13は、好ましい実施形態において、連続循環孔付き堆積ベルト13として設計され、これを推奨する。フィラメント堆積物又は不織ウェブ14は、機械方向MDに搬送又は移動される。
【0046】
図2は、本発明に従った装置の第1の好ましい実施形態を示す。堆積した不織ウェブは、(第1)熱風結合装置7を使用して予圧着される。この場合、不織ウェブ14は、(第1)熱風結合装置7によって(第1)熱風の作用を上から受け、それによって予圧着される。この(第1)熱風15は、その温度及び/又はその風速v
VH1に関して調節可能である。好ましい実施形態において、不織ウェブ14に対する又は孔付き堆積ベルト13に対する第1熱風結合装置7の角度又は(第1)熱風15の角度は、調節可能であり、これを推奨する。
【0047】
本発明によれば、繊維堆積のエリア18において、主吸引空気19は、孔付き堆積ベルト13を通して吸引される。更に、本発明によれば、(第1)熱風結合装置7のエリアにおいて、第1吸引空気20は、孔付き堆積ベルト13を通して又は孔付き堆積ベルト13上に在る不織ウェブ14を通して吸引される。空気流の吸引のために、適宜、ファン21、22が孔付き堆積ベルト13の下方に設置される。
【0048】
主吸引空気19の風速vMが、第1吸引空気20の風速v1より高いことは、本発明の枠組み内に在る。更に、主吸引空気19の風速vMは、好ましくはかつ好ましい実施形態において、(第1)熱風15の風速vH1より高い。1つの実施形態によれば、風速vMは、10m/秒~25m/秒であり、(第1)熱風の風速vH1は、1.5m/秒~3m/秒である。好ましい実施形態において、第1吸引空気20の風速v1は、(第1)熱風15の風速vH1より高く、これを推奨する。
【0049】
好ましくはかつ
図2の好ましい実施形態において、第2吸引空気23が、主吸引空気19の吸引と第1吸引空気20の吸引との間で吸引される。適宜、この第2吸引空気23の風速v
2は、主吸引空気19の風速v
Mより低く、好ましくは第1吸引空気20の風速v
1より高い。好ましい実施形態によれば、第2吸引空気23の風速V
2は、2~13m/秒、更に好ましくは3~12m/秒である。
図2の下の領域に風速プロフィルを示し、ファン21、22の助けを借りて不織ウェブ14を通してかつ孔付き堆積ベルト13を通して吸引される空気のそれぞれの風速vを、搬送方向におけるそれぞれの位置の関数として示す。繊維堆積のエリア18下方の風速vが最も高く、その後、熱風結合装置7まで減少することが分かる。したがって、主吸引空気19の風速v
Mから第2吸引空気23の風速v
2を経て第1吸引空気20の風速v
1までの速度の減少が見られる。空気流19、23、20の吸引エリアは、好ましくはかつ好ましい実施形態において、分割壁29によって画定されるか又は相互に分離される。本発明の好ましい実施形態によれば、これらの分割壁29は、調節可能又は設定可能であるように作られ、このようにして、吸引または吸引空気の速度に影響を与える。
【0050】
図3は、本発明に従った装置の別の実施形態を示す。まず、構成部品及び空気の流れは、第1熱風結合装置7まで、
図2に従った実施形態と同様に実現される。更に、
図3に従ったこの実施形態において、好ましくはかつ好ましい実施形態において熱風炉として構成される第2熱風結合装置24が設置される。熱風結合装置7及び24の両方は、不織ウェブ14の予圧着のために使用される。これら2つの予圧着の後に、不織ウェブ14は、好ましくは、
図3には図示しないが、最終凝固を受ける。適宜、不織ウェブ14のこの最終凝固も、熱風によって実現される。第2熱風結合装置24において、不織ウェブ14は、不織ウェブ14の表面に作用する第2熱風25によって予圧着される。この第2熱風25は、風速v
H2を有する。第1熱風結合装置7の第1熱風15の風速v
H1が第2熱風結合装置24の第2熱風25の風速v
H2より高いことは、本発明の枠組み内に在る。好ましい実施形態において、第2熱風25の風速v
H2は、第1熱風15の風速v
H1より少なくとも20%低い。好ましくは及び好ましい実施形態において、更に、第1熱風結合装置7の第1熱風15は、第2熱風結合装置24の第2熱風25より高い温度を有する。推奨する実施形態によればかつ
図3に従った好ましい実施形態において、第1熱風結合装置7は、不織ウェブ14の搬送方向で見て、第2熱風結合装置24より狭い空気処理領域26を有する。不織ウェブ14の搬送方向で見たとき第1熱風結合装置7の空気処理領域26の幅は35~110mmであることを推奨する。好ましい実施形態5によれば、第2熱風結合装置24の空気処理領域の幅は、不織ウェブ14の搬送方向で見て、110~1100mmである。
【0051】
好ましくはかつ好ましい実施形態において、第3吸引空気27は、第2熱風結合装置24下方の不織ウェブ14又は孔付き堆積ベルト13を通して吸引される。この第3吸引空気27は、好ましくはかつ好ましい実施形態において、第2熱風25の風速vH2より低い風速v3を有する。推奨する実施形態及び好ましい実施形態において、更に、主吸引空気19の風速vM及び第1吸引空気20の風速v1は、各々、第3吸引空気27の風速v3より高い。
【0052】
図3から、好ましい実施形態によればかつ好ましい実施形態において、第1熱風結合装置7と第2熱風結合装置24との間で第4吸引空気28が、不織ウェブ14を通して及び孔付き堆積ベルト13を通して吸引されることが分かる。この第4吸引空気28は、風速v
4を有する。適宜、第4吸引空気28のこの風速v
4は、第1吸引空気20の風速v
1より低く、かつ第3吸引空気27の風速v
3より高い。好ましい実施形態によれば、第4吸引空気28の風速v
4は、3m/秒より低く、より好ましくは2m/秒より低い。
図3の下部領域には、好ましい風速プロフィルを示し、コンベア又は孔付き堆積ベルト13の下方の位置の関数として風速vを示す。好ましい実施形態によればかつ好ましい実施形態において、風速vは、主吸引空気19の風速v
Mから第3吸引空気27の風速v
3へ向かって減少する。又、
図3は、個々の吸引エリアが-
図2の好ましい実施形態におけるのと同様-分割壁29によって相互に分離されることを示す。好ましい実施形態において、これらの分割壁29は、個々の吸引空気の流れの吸引断面を変更できそれによって吸引又は吸引速度を変更できるように、調節可能であることを推奨する。この調節の可能性は、特に本発明の枠組み内で成功であることが立証されている。吸引又は吸引速度は、更に、ファン21、22を介して制御及び/又は調節できる。
【0053】
図4は、更に推奨する本発明の実施形態を示す。この実施形態は、第2熱風結合装置24が熱風炉として構成されず、第1熱風結合装置7と同様、熱風ナイフとして構成される点だけが、
図3に従った実施形態と異なる。両方の熱風結合装置7、24又は両方の熱風ナイフは、不織ウェブ14の予圧着のために設置される。適宜、2回の予圧着後、不織ウェブ14の最終凝固-
図4に示さず-が行われ、凝固は熱風で実行されることが好ましい。
【0054】
図2、3及び4の風速プロフィルは、吸引空気の風速vは、繊維堆積のエリア18から搬送方向に減少する又は連続的に減少することを示す。本発明に従ったこの風速vの調節の結果として、特に異なる吸引の間の移行領域において又は異なる空気流の間の移行領域において生じる不織ウェブ14に対するブローバックのマイナス効果は、回避できる。本発明は、この点に関して、本発明に従った手段によって欠陥の無い均質な不織ウェブ14を生産できると言う発見に基づいている。
【0055】
図5は、複数のスパンボンドウェブS、好ましい実施形態においては3つのスパンボンドウェブS1、S2及びS3で作られた多層不織ウェブ14を生産するための本発明に従った装置の好ましい実施形態を示す。多層不織ウェブ14用の個別のスパンボンドウェブSを生産するために、それぞれ、紡糸ビーム又はスピナレット2がそれぞれの連続フィラメント1を紡糸するために使用される。この場合、各スパンボンドウェブS1、S2及びS3を生産するために、各場合に、上述のスパンボンド装置が使用される。各スパンボンドウェブS1、S2及びS3の堆積後、予圧着が、それぞれの場合に熱風ナイフの形式の2つの熱風結合装置7、24によって行われる。空気流及び風速は、各々好ましくは
図3及び
図4に関連して説明したものに合致する。各スパンボンドウェブS1、S2及びS3は、したがって、孔付き堆積ベルト13上への堆積後、熱風結合装置7、24で二重予圧着を受ける。3つのスパンボンドウェブS1、S2及びS3で作られたラミネートが完成した後に、最終凝固が、最終凝固装置30によって行われることが好ましい。
【国際調査報告】